生命科学関連特許情報

タイトル:公表特許公報(A)_エンドソーム輸送評価試験法
出願番号:2015534076
年次:2015
IPC分類:G01N 33/68,C12Q 1/02


特許情報キャッシュ

ハーパー,エレイン JP 2015534076 公表特許公報(A) 20151126 2015538567 20131023 エンドソーム輸送評価試験法 イプセン バイオイノベーション リミテッド 510319889 特許業務法人 もえぎ特許事務所 110000774 ハーパー,エレイン GB 1219024.5 20121023 G01N 33/68 20060101AFI20151030BHJP C12Q 1/02 20060101ALI20151030BHJP JPG01N33/68C12Q1/02 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US GB2013052765 20131023 WO2014064442 20140501 23 20150513 2G045 4B063 2G045AA40 2G045DA20 2G045DA25 4B063QA01 4B063QQ07 4B063QQ08 4B063QQ09 4B063QS03 4B063QS33 4B063QX01 本発明は、真核細胞内への分子の送達効率を評価するための試験法及び対応するキットに関する。 あらゆる潜在的治療用分子の有効性にとって重要な要件として、その治療用分子は、良好な効力を示すことができる必要がある。本発明は、周知のエンドサイトーシスのプロセスを介して真核細胞のサイトゾルに入り込む分子に関する。この点を踏まえ、細胞移入(cell entry)の方式に関与するステップを理解することが重要となる。そこで、こうした細胞移入の方式に関連する重要なステップの説明を容易にするため、図1を参照する。ステップ1において、分子は、細胞表面上に存在する結合部位(例えば、受容体又はアクセプタ)と結合する。ステップ2において、受容体(及び結合した分子)は、細胞内部に移行し、このステップは、一般に、「エンドサイトーシス」又は「エンドソーム形成」と呼ばれる。ステップ3では、内部移行に続いて、分子は、エンドソーム膜に入り込み、エンドソーム内部から、エンドソーム膜を介して、真核細胞のサイトゾル内への分子(又はその一部)の放出をもたらす。サイトゾルに入ると(ステップ4)、分子は、その細胞内標的に作用することが可能となる(例えば、標的細胞タンパク質(cellular target protein)のタンパク質切断等、標的分子の阻害)。 したがって、良好な効力の試験は、上述したステップの1つ以上の正確な評価に依存する。 現在まで、「受容体介在性エンドサイトーシス」を介して真核細胞に移入可能な分子の効力試験は、クロストリジウム神経毒等の毒素分子に焦点を合わせてきた。一例として、市販のクロストリジウム神経毒(例えば、DysportTM、NeuroblocTM、及びBotoxTMの名称で販売されるボツリヌス神経毒)に対して、以下の試験法が利用されてきた。 マウスLD50試験法は、現在、ボツリヌス毒素の放出に関してFDAが承認した唯一の試験法である。ボツリヌス神経毒の3つのドメイン(即ち、結合、転位、及びプロテアーゼ)全ての作用を同時に試験する。更に詳しくは、通常、投与後2乃至4日の所定の時点における毒素の腹腔内半数致死量(median lethal intraperitoneal dose)を定める(活性は、マウスLD50単位で表現される)。しかしながら、残念なことに、LD50試験法では、多数の動物が用いられる。更に、LD50単位は、生物学的定数ではないため、絶対測定値ではなく、そのため、試験法条件に対する依存度が高い。具体的には、この試験法に伴う誤差は、異なる試験施設間で60%の高さとなる場合がある(Sesardic et al. 2003; Biologicals 31(4):265-276)。 マウス弛緩麻痺試験法は、「マウス腹部下垂試験法」としても知られ、ボツリヌス毒素の活性を、マウスの左鼠径大腿領域に毒素を皮下注射した後に見られる腹部の膨隆の度合いに関連付けるものであり、麻痺の程度は、用量依存性となる。この手法は、人道的なエンドポイントに依拠するため、マウスLD50試験を改良したものとして提案されている。この試験法は、LD50試験より略10倍精度が高く、致死量未満の毒素を用い、一般的なLD50試験の72乃至96時間と比較して、24乃至48時間で結果が出るため、LD50試験より迅速である。この試験法の結果は、LD50値との優れた一致を示す(Sesardic et al.,1996)。この試験法に用いられる動物は、LD50試験法の20%ではあるが、依然として動物の使用が必要となる。 マウス/ラット横隔神経片側横隔膜試験法(生体外神経筋標本の使用に基づく)等の試験法は、ボツリヌス神経毒の活性を、維持培地に付与した後の標本における攣縮反応の振幅の減少に関連付ける。試験法の通常のエンドポイントは、振幅の50%の減少が観察されるまでに要した時間である。しかしながら、残念なことに、片側横隔膜試験法では(LD50試験法同様)、多数の動物を使用することになる。加えて、精巧且つ高価な機器を使用する訓練を受けた、高度な技能を有する人員が必要となる。 培養脊髄ニューロンを用いる基質切断試験法では、ボツリヌス神経毒の活性を、前記ニューロンに存在する特異タンパク質の切断に関連付ける。使用する動物は生体内(LD50、マウス弛緩麻痺試験法)及び生体外試験法(片側横隔膜)より少ないが、解剖及び培養を行うために高度な技能を有する人員が必要であり、解剖及び培養手法は、時間がかかり、必要な時期の約3週間前までに計画する必要がある。他の欠点として、基質切断の測定値は、非常に変動し易くなる場合がある。 上述した全ての試験法は、特定の欠点を有しており、特に動物保護の問題、及び/又は、神経筋接合部(NMJ)と結合する分子の試験に対する制限がある。NMJは、天然のクロストリジウム神経毒が結合する標的細胞である。 WO95/33850には、切断産物をエピトープ特異的抗体により検出する無細胞基質切断試験法が記載されている。この抗体は、切断基質を非切断基質タンパク質から識別できるため、クロストリジウム神経毒の効力を定量することが可能となる。この試験法では、上述した動物保護又はNMJ特異性の不足は問題とならないが、実際に「無細胞」の試験法であるため、タンパク質切断のみに関する効力を評価することしかできない。したがって、WO95/33850では、何れか1つ以上の等しく重要なステップ、特に、細胞結合、エンドソーム形成、又はエンドソーム膜を介した転位に関する効力を評価することはできない。換言すれば、効率的な基質切断分子として同定された(WO95/33850による)分子は、例えば、最適な細胞結合、最適なエンドソーム形成、及び/又は最適な転位機能の何れか1つ以上が欠如しているため、有用な治療的効力を殆ど又は全く有していない恐れがあるWO95/33850Sesardic et al. 2003; Biologicals 31(4):265-276 したがって、当該技術分野においては、上述した1つ以上の問題に対処する代替の及び/又は改善された効力試験法が必要である。例えば、既存の動物保護問題に対処する人道的試験法が必要である。同様に、NMJ及び/又は神経細胞に特異的に結合する分子の試験に限定されない試験法が必要である。同様に、細胞に対する信頼性の高い効力の結果を提供する試験法、特に、生体内での効力を反映した効力の結果を提供する試験法が必要である。 本発明は、以下を含む試験法を提供することにより、上述した問題に対処する: i)真核細胞を、エンドソーム放出能力を評価すべき試験分子に接触させる工程、ここで、当該真核細胞は、結合部位を含む細胞膜を備え、当該結合部位は、当該細胞の当該細胞膜の外表面に存在する; ii)前記試験分子を前記真核細胞と共にインキュベートし、それによって、以下を可能にする工程、 a)前記試験分子が前記真核細胞上に存在する前記結合部位と結合して結合複合体を形成し、それによって、前記結合複合体がエンドサイトーシスにより前記真核細胞に移入できるようになること; b)1つ以上のエンドソームが前記細胞内に形成すること、ここで、前記1つ以上のエンドソームは前記試験分子を含む;及び c)前記試験分子が、前記1つ以上のエンドソームのエンドソーム膜を横断して、前記真核細胞のサイトゾルに移入すること; iii)前記真核細胞上に存在する前記結合部位と結合していない余分な試験分子を除去する工程; iv)所定期間後、前記1つ以上のエンドソーム内に存在する試験分子の量を検出する工程、或いは、前記真核細胞のサイトゾル内に存在する試験分子の量を検出する工程; v)工程iv)において検出された試験分子の量をコントロール値と比較する工程、ここで、当該コントロール値は、工程iv)以前の、前記1つ以上のエンドソーム内に存在する試験分子の量又は前記サイトゾル内に存在する試験分子の量を表す; vi)前記1つ以上のエンドソーム内に存在する試験分子の量における相対変化を決定すること、或いは、前記真核細胞のサイトゾル内に存在する試験分子の量における相対変化を決定することにより、前記試験分子のエンドソーム放出値を計算する工程。 真核細胞は、酵母細胞、昆虫細胞、脊椎動物細胞、哺乳動物細胞、植物細胞、及び真菌細胞から選択し得る。こうした動物細胞の例には、ヒト、齧歯類、マウス、及びハムスタ細胞が含まれる。 一実施形態において、真核細胞結合部位は、受容体介在性エンドサイトーシス又は非受容体介在性エンドサイトーシスが可能である。結合部位は、受容体又はアクセプタである。非受容体の結合部位を介してエンドサイトーシスにより取り込まれたペプチド配列の例には、アルギニンに富む配列(例えば、RRRRRRRR、RRRRRRRW)を有するペプチド、及びPHLIP、Pep-1、SAPE、PFVYLI、及びKaposi FGF由来のAAVALIPAVILALLAP等のペプチドが含まれる。こうしたペプチドは、非特異的イオン相互作用により細胞に取り込まれると考えられる。結合部位は、真核細胞の細胞表面上に天然に発生する結合部位にしてよい。或いは、真核細胞は、前記真核細胞の細胞表面上に天然に発生しない結合部位を発現するように改変された組換え真核細胞にしてよい。 インキュベーション工程ii)は、任意の所定期間、例えば、5分乃至5日の期間に亘って継続し得る。一般的な期間は、1乃至12時間、例えば、2乃至10時間、4乃至8時間、又は6乃至8時間である。この期間中、真核細胞(即ち、細胞膜の外表面)は、試験分子(通常、過剰な試験分子)に対して露出され、その結果、試験分子が細胞内エンドソームに対して略同じ割合で移入及び退出する「定常状態」が達成される。この時点は、工程iii及び/又はiv)を実行するのに最適な時点に相当する。 工程iii)は、真核細胞の外部にある試験分子源を低減又は除去することにより、細胞に移入する試験分子の量を減少させる(或いは移入を実質的に防止する)ことを含む。真核細胞に移入する試験分子の量の前記減少は、その後、エンドソームに移入する試験分子の量の変化をもたらし、更に、エンドソームを退出する及び/又は真核細胞のサイトゾルに移入する試験分子の量(又は割合)の変化を発生させる。本発明の試験法の根拠となるものは、エンドソーム構造を退出する試験分子の量(又は割合)であり、エンドソーム構造を退出する試験分子の前記量(又は割合)は、エンドソーム内に存在する試験分子の量の変化、及び/又は、サイトゾル内に存在する試験分子の量の変化により測定し得る。エンドソーム内に存在する試験分子の量を測定する際には、通常、存在する試験分子の量の減少を観察する。サイトゾル内に存在する試験分子の量を測定する際には、通常、サイトゾル内に存在する試験分子の量の増加又は減少を観察し得る。一例として、サイトゾル内の試験分子の量の増加は、試験分子の定常状態のエンドソーム輸送が達成される前に工程iii)が開始された時に観測し得る。或いは、サイトゾル内の試験分子の量の減少は、真核細胞からの試験分子の細胞性分泌の割合がエンドソームからサイトゾルへの試験分子のエンドソーム輸送の割合を上回るときに観察される。 試験法に利用される真核細胞は、何らかの表面に固定化し得る。細胞の固定化は、プレ試験法工程(即ち、事前固定化)として実施してよく、或いは、試験法プロトコルの一部として実施してもよい。したがって、一実施形態において、試験法の細胞は、事前固定される。真核細胞の固定化は、任意の従来の手段により実施し得る。一例として、細胞は、試験法プレートに高密度で播種し、試験法を実施する前に付着させる。或いは、細胞は、試験法プレートに播種し、使用前に数日間培養して、コンフルエントな単層とする。細胞の付着は、ポリ-D-リジン被覆プレート等、従来のコーティングを用いて促進し得る。 一実施形態において、真核細胞の固定化は、工程iii)の前又は最中に実施し、遊離した(例えば、非結合又は外来性)試験分子から前記細胞を分離する簡易な手段を提供し得る。或いは、固定化は、工程iii)の後で、例えば、検出工程iv)を容易にするために実施し得る。 工程iii)は、真核細胞を余分な(例えば、非結合又は外来性)試験分子から分離する濾過工程又はアフィニティリガンド工程を含み得る。工程iii)は、余分な(例えば、非結合又は外来性)試験分子を、例えば従来の緩衝液を用いて、真核細胞から洗い落とす洗浄工程を含み得る。余分な試験分子とは、真核細胞の外部で、試験法媒体中に存在し、真核細胞の表面上に存在する結合部位と未だ結合していない試験分子を意味するものである。 工程iv)における試験分子の検出は、通常、工程iii)の直後に実施される。一例として、工程iv)の一般的な時間枠は、工程iii)に続いて5分乃至5時間である。一実施形態において、工程iv)は、 工程iii)に続いて、15乃至240分間、又は30乃至180分間、又は45乃至150分間、実施される。検出工程iv)は、幾つかの時点、例えば、10分又は15分又は30分間隔で反復してよく、これにより、エンドソーム放出の割合を計算することが可能となる。 検出工程iv)は、任意の従来の手法で実施し得る。一例として、透過処理に依存しない検出は、試験分子自体のモニタリングにより達成することができる。これは、試験分子をフルオロフォアによりタグ付けすることで達成することができる。試験分子に付着させることできる適切なフルオロフォアには、フルオレセイン、ローダミン、緑色蛍光タンパク質、単層カーボンナノチューブ、Alexa Fluor(登録商標)488が含まれる。 試験分子の検出は、前記試験分子の細胞内局在に基づいてよく、サイトゾル内での、こうした局在の例は、細胞核への局在である。本実施形態において、試験分子は、(例えば、フルオロフォアにより)標識されると共に、核局在シグナルを有する。したがって、標識は、エンドソーム内において、及び、細胞核内の標識(例えば、フルオロフォア)の蓄積をモニタすることにより判定されるエンドソーム脱出として、検出することができる。これに関連して、核自体を染料により標識してよく、従来の核染色色素は、当該技術分野において周知である(例えば、ヘキスト染色)。 蛍光共鳴エネルギ移動(FRET)等、任意の従来の検出手段を、試験分子のモニタリングに利用し得る。一例として、ドナーアクセプタ対は、シアン蛍光タンパク質(CFP)及び黄色蛍光タンパク質(YFP)にすることができる。FRETに用いる他のドナーアクセプタ対は、当該技術分野において周知である。一実施形態において、CFP及びYFPにより標識した試験分子を検出することが可能であり、エンドソーム及び/又はサイトゾル内に存在する試験分子の量を決定することができる。一実施形態において、FRETシグナルの損失をモニタし得る。例えば、試験分子の一部のみがエンドソームから細胞質内へ移行する場合、これは、ドナーアクセプタ対(例えば、CFP及びYFP)が分離状態になる際にFRETシグナルの損失につながる可能性がある。したがって、例えば、試験分子は、クロストリジウム神経毒(又はその誘導体又は機能的等価物、例えば、TSI)のL鎖及びHNドメインを含み得る(又は、これらから成り得る)。ドナーアクセプタ標識(例えば、CFP及びYFP)は、前記2成分上に配置してよく、例えば、L鎖をCFPにより標識し、HN成分をYFPにより標識してよい。一実施形態において、FRETシグナルは、LHNを含む試験分子が細胞のエンドソーム内に存在する間に検出可能となる。その後、HN成分の転位機能により、治療的部分(即ち、L鎖)がサイトゾル中へ放出され、FRETシグナルは、CFP及びYFP標識が互いに分離した状態になるため消滅する。 生物発光共鳴エネルギ移動(BRET)も、試験分子のモニタ/検出に使用し得る。BRETでは、FRET対のドナーフルオロフォアがルシフェラーゼに置き換えられる。適切なBRETの方法は、当業者に公知である。 一実施形態において、試験分子の検出は、サイトゾルのpHに対するエンドソーム内に存在する自然pH差に基づくものとし得る。この実施形態において、試験分子は、pH感受性染料等のpH感受性標識により標識し得る。標識は、特定のpH範囲において(例えば、強度が増加して)検出可能/可視となるように選択し得る。したがって、標識は、エンドソーム内に存在する時のみ(例えば、強度が高く)検出可能/可視となり、サイトゾル内に存在する時には(例えば、強度が低く)不可視/検出不能となるように選択し得る。或いは、標識は、試験分子のサイトゾルへの転位時のみ検出可能/可視となるように選択し得る。適切な標識(例えば、染料)は、当業者に公知であり、フルオレセインに基づくpHインジケータ(例えば、BCECF、BCPCF)及びその誘導体、ベンゾキサンテン染料、シアニンに基づく染料、及び他の小分子pHインジケータ(例えば、ユウロピウム錯体、フルオレン誘導体、1,4-ジヒドロキシフタロニトリル(1,4-DHPN)、8-ヒドロキシピレン-1,3,6-トリスルホン酸(HPTS))、ピリジルオキサゾールプローブYellow/Blue DND-160 PDMPO 59等の酸性pHインジケータ、アントラセンに基づくセンサDND-167 60、DND-189 61、DND-153 62、及びDND 192 63、BODIPYに基づく染料(例えば、BODIPYs 68、NH2BDP 68a、DiMeNBDP 68b、EtMeNBDP 68c、及びDiEtNBDP 68d)、及びpHrodo Indicator等である。 利用する検出手段の種類によっては、真核標的細胞を透過処理することが望ましい場合がある。一例として、タンパク質又は非タンパク質タグ(mycタグ又はビオチン等)を試験分子に付着させる場合、或いは試験分子自体が検出可能成分(エピトープ等)を生得的に含む場合があり、その後の検出は、標識一次抗体又は非標識一次抗体を標識二次抗体と共に用いることにより達成し得る。抗体検出試薬及び方法は、当業者に周知であり、日常的である。同様に、結合相手は、当該技術分野において周知であり、例えば、標識ストレプトアビジンを用いて、ビオチン化コントロール分子を検出し得る。透過処理では、一般に、初期固定工程(例えば、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、エタノール、又はメタノールによる)の後で、適切な薬剤による透過処理が行われ、従来の透過処理剤は、当該技術分野において周知である(例えば、Triton X-100、ジギトニン、Tween20、及び/又はサポニン)。 比較工程v)では、検出工程iv)の前にエンドソーム及び/又はサイトゾル内に存在する試験分子の量を表すコントロール値が用いられる。コントロール値は、一般に、検出工程iv)において試験分子の量を決定するものと同一の手段/方法により決定される。コントロール値は、一般に、工程iii)の最中又は以前のエンドソーム及び/又はサイトゾル内に存在する試験分子の量を表す。一例として、コントロール値は、工程ii)の最中又は終了時のエンドソーム及び/又はサイトゾル内に存在する試験分子の量を表す場合があり、一実施形態において、コントロール値は、「定常状態」の転位速度が達成された時、即ち、試験分子が細胞内エンドソームに対して略同じ割合で移入及び退出する時に、エンドソーム及び/又はサイトゾル内に存在する試験分子の量を表す。 試験分子は、「小分子」の治療薬としてよく、フィンゴリモド、モナストロール、パミドロネート、メトトレキサート、ブスピロン、ネモナプリド、アリピプラゾール、ビフェプルノックス、SKF82958、オクトレオチド、MK-5046、FO38-WE-05、リルメニジン、SCH655842、サルビノリン、CP55940、又はナノ粒子等にしてよい。ナノ粒子は、抗体を介した標的化により、細胞を標的とすることに成功しており、細胞内部に移行することが明らかとなっている(例えば、Wartlick et al., J. Drug Target. 12: 461-471参照)。したがって、一実施形態において、試験分子は、特に、試験法細胞上に存在する受容体に対する抗体又はリガンド等の標的化部分の成分に連結したナノ粒子にし得る。 或いは、試験分子は、ポリペプチド又はタンパク質等の大きな分子にし得る。特定の例には、細胞傷害性タンパク質及び非細胞傷害性タンパク質等の毒素が含まれる。この点において、ポリペプチド及びタンパク質への言及には、天然発生及び組換え調製の両方のポリペプチド及びタンパク質が含まれる。 細胞傷害性タンパク質は、天然標的細胞を殺すことにより作用する。この毒素群は、特に、リシン及びアブリン等の植物性毒素と、ジフテリア毒素及び緑膿菌外毒素A等の細菌毒素とにより例示される。細胞傷害性毒素は、一般に、タンパク質合成の細胞プロセスを阻害することにより、その標的細胞を殺す。このクラスのタンパク質には、タンパク質本来の結合能力を結合リガンド(標的化部分としても知られる)の導入により改変することで、改変タンパク質に新たな標的細胞結合特性を与えた、再標的化細胞傷害性タンパク質が含まれる。 一方、非細胞傷害性タンパク質は、細胞機能を無能力化することにより標的細胞に作用する。重要な点として、非細胞傷害性タンパク質は、作用する標的細胞を殺さない。非細胞傷害性タンパク質の最も良く知られた幾つかの例には、クロストリジウム神経毒(例えば、DysportTM、NeuroblocTM、及びBotoxTMの名称で販売されるボツリヌス神経毒)、IgAプロテアーゼ(例えば、WO99/032272参照)、及びアンタレアーゼプロテアーゼ(antarease protease)(例えば、WO2011/022357参照)が含まれる。非細胞傷害性プロテアーゼは、SNAREタンパク質(例えば、SNAP-25、VAMP、又はシンタキシン)として知られる細胞内輸送タンパク質をタンパク質分解的に切断して不活性化することにより作用するものであり、Gerald K (2002) "Cell and Molecular Biology" (4th edition) John Wiley & Sons, Inc.を参照されたい。SNAREという頭字語は、可溶性NSF付着受容体(Soluble NSF Attachment Receptor)という用語に由来し、ここでNSFは、N-エチルマレイミド感受性因子(N-ethylmaleimide-Sensitive Factor)を意味する。SNAREタンパク質は、真核細胞における小胞分泌プロセスの必須成分である。したがって、非細胞傷害性プロテアーゼは、細胞性分泌を抑制することにより作用する。このクラスのタンパク質には、タンパク質本来の結合能力を結合リガンド(標的化部分とも呼ばれる)の導入により改変することで、改変タンパク質に新たな標的細胞結合特性を与えた、再標的化非細胞傷害性タンパク質が含まれる。出願人は、以前1990年代に非細胞傷害性プロテアーゼの再標的化に関する手法を開発している(例えば、WO94/21300、WO96/33273、及びWO98/07864)。前記再標的化タンパク質は、(文献及び科学界全体で)標的化分泌抑制剤(Targeted Secretion Inhibitors)(TSI, TSIs)と呼ばれ、TSIへの言及には、WO2011/018665に記述されたもの等、構造的等価物が含まれる。 本発明の「試験分子」試験法の態様は、更に、試験分子のin situ活性を検出する工程を含み得る。例えば、クロストリジウム神経毒又はTSIに関連して、試験法は、更に、SNAREタンパク質の切断を検出する工程を含み得る。こうした任意の検出手段を、例えば、WO95/33850に記載の方法又はFRET試験法により利用し得る。 本発明の試験法は、真核細胞のエンドソーム輸送系に対する遮断分子の阻害効果を評価するために別個に利用し得る。したがって、関連する態様において、本発明は、以下の工程を含む試験法を提供する: i)真核細胞を、当該真核細胞の表面上に存在する結合部位に結合するコントロール分子に接触させる工程、ここで、当該コントロール分子は、当該結合部位と結合複合体を形成し、エンドサイトーシスにより前記真核細胞に移入し、その間にコントロール分子を含むエンドソームが形成され、かつ、当該コントロール分子は、当該エンドソームのエンドソーム膜を横断して当該真核細胞のサイトゾルに移入する; ii)前記コントロール分子を前記真核細胞と共にインキュベートし、それによって、以下を可能にする工程、 a.前記コントロール分子が前記真核細胞上に存在する前記結合部位と結合して結合複合体を形成し、それによって、前記結合複合体がエンドサイトーシスにより前記真核細胞に移入できるようになること; b.1つ以上のエンドソームが前記細胞内に形成すること、ここで、前記1つ以上のエンドソームは前記コントロール分子を含む;及び c.前記コントロール分子が、前記1つ以上のエンドソームのエンドソーム膜を横断して、前記真核細胞のサイトゾルに移入すること; iii)前記真核細胞を、1つ以上のエンドソームからのコントロール分子のエンドソーム放出を抑制する能力を評価すべき試験阻害剤分子に接触させる工程、ここで、前記真核細胞の当該試験阻害剤分子との当該接触は、工程i)の前、最中又は後、及び/又は工程ii)の最中又は後で実行し得る; iv)所定期間後、前記1つ以上のエンドソーム内に存在するコントロール分子の量を検出する工程、或いは、前記真核細胞のサイトゾル内に存在するコントロール分子の量を検出する工程; v)工程iv)において検出されたコントロール分子の量をコントロール値と比較する工程、ここで、ここで、当該コントロール値は、工程iii)以前の、前記1つ以上のエンドソーム内に存在するコントロール分子の量又は前記サイトゾル内に存在するコントロール分子の量を表す; vi)前記1つ以上のエンドソーム内に存在するコントロール分子の量における相対変化を決定すること、或いは、前記真核細胞のサイトゾル内に存在するコントロール分子の量における相対変化を決定することにより、前記試験阻害剤分子に阻害値を割り当てる工程。 コントロール分子は、上述したような「小分子」の治療薬としてよく、PMSAの阻害剤(Liu et al., 2008参照)又はフィンゴリモド、モナストロール、パミドロネート、メトトレキサート、ブスピロン、ネモナプリド、アリピプラゾール、ビフェプルノックス、SKF82958、オクトレオチド、MK-5046、FO38-WE-05、リルメニジン、SCH655842、サルビノリン、CP55940、又はナノ粒子等にし得る。 或いは、コントロール分子は、ポリペプチド又はタンパク質等の大きな分子にし得る。特定の例には、細胞傷害性タンパク質及び非細胞傷害性タンパク質等の毒素が含まれる。この点において、ポリペプチド及びタンパク質への言及には、天然発生及び組換え調製の両方のポリペプチド及びタンパク質が含まれる。適切な細胞傷害性及び非細胞傷害性タンパク質の例は、上述したものである。非細胞傷害性タンパク質について、好適な例には、クロストリジウム神経毒(破傷風毒素、BoNT/A、BoNT/B、BoNT/C1、BoNT/D、BoNT/E、BoNT/F、BoNT/G、又はC.butyricum等、天然及び改変したもの、更にその組み合わせを含む)、TSIs(上述したもの等)、アンタレアーゼプロテアーゼ、及びIgAプロテアーゼを含む。 試験阻害剤分子の例には、トウセンダニン等のポアブロッカ(Fischer, A. et al. (2009) PNAS, Vol. 106, No. 5, pp. 1330-1335を参照)、バフィロマイシンA等のプロトンATPアーゼブロッカ(Bartz et al. (2011) Biochem J 435 pp. 475-487参照)、コンカナマイシンA(Tscherne et al. (2006) J Virol, Vol. 80, No. 4, pp. 1234-1741)、及びプロジギオシン(Ohkuma et al. (1998) J Biochem Vol. 334, pp. 731-741参照)が含まれる。 本発明の基本試験法を参照して説明した全ての工程は、上述した試験阻害剤分子試験法に等しく適用される。 上述した試験阻害剤分子試験法における接触工程iii)は、任意の所定期間に亘って、例えば、インキュベーション工程ii)の開始前に5分乃至5日の期間に亘って、例としてインキュベーション工程ii)の開始に続いて30分乃至12時間、又は30分乃至10時間、又は30分乃至8時間、又は1乃至8時間に亘って継続し得る。或いは、工程iii)は、工程ii)と同じ時間の長さに亘って実施してよく、或いは、その開始は、5分乃至5日、例として1乃至12時間、又は2乃至10時間、又は4乃至8時間、又は6乃至8時間、遅らせてもよい。一般に、接触工程iii)は、コントロール分子が細胞内エンドソームに対して略同じ割合で移入及び退出する「定常状態」が(工程ii)により)達成された後で実施される。 本発明の阻害剤の態様は、更に、余分なコントロール分子及び/又は試験阻害剤分子を除去する工程を含む。前記「除去工程」は、阻害剤の態様の試験法に関連して「工程iiia)」と呼ばれる。本発明の「試験分子」試験法の態様に関連して説明した「除去」工程iii)の全ての実施形態は、本発明の「阻害剤分子」試験法の態様の「除去」工程iiia)に等しく適用される。図1は、エンドサイトーシスに関連する4つの主要ステップを1乃至4で示した図である。図2は、GHRHRを発現するGH3細胞を標的としたTSIの内部移行を示した図であって、図2Aは、TSIが存在しない状態で細胞をインキュベートした図、図2Bは、GHRH標的化部分を備える3μMのTSIが存在する状態で、細胞を60分間インキュベートした図である。図3は、GHRHRを発現するGH3細胞を標的としたTSIの濃度依存内部移行を示した図である。図4は、ラット下垂体細胞を標的としたTSIの内部移行を示した図であって、図4Aは、TSIが存在しない状態で細胞をインキュベートした図、図4Bは、GHRH標的化部分を備える1μMのTSIが存在する状態で、細胞を60分間インキュベートした図である。図5は、GHRHR標的化部分を備えるTSIのラット下垂体細胞への濃度依存内部移行を示した図であって、GHRH標的化部分を有するTSI(●)、対応するリガンド非結合型TSI(○)と共に、細胞を60分間インキュベートした図である。図6は、ラットGHRHRを発現するGH3細胞を標的としたTSIの内部移行及びエンドソーム脱出を示した図であって、連続処置レジメンをパルスチェイス処置方式と比較した図である。図7は、HT-1080細胞を標的としたTSIの内部移行を示した図であって、図7Aは、TSIが存在しない状態で細胞をインキュベートした図、図7Bは、EGFR標的化部分を備える2μMのTSIが存在する状態で、細胞を60分間インキュベートした図である。図8は、GHRHRを発現するCHO-K1細胞を標的としたTSIの濃度依存内部移行を示した図である。 実施例1 A549を96ウェルプレートに播種し、2日間培養して約90%のコンフルエンスを達成する。Alexa-fluor(登録商標)488標識した上皮成長因子(EGF)を細胞と共に60分間インキュベートする。細胞を洗浄し、様々に増加させたインキュベーション時間の後、全細胞蛍光、エンドソームスポット数、及びエンドソーム蛍光を、高含量スクリーニング(high content screening)を用いて決定する。 実施例2 ラット成長ホルモン放出ホルモン(GHRH)受容体を発現するGH3細胞を、ポリ-D-リジン被覆96ウェルプレートに播種する。24時間後、GHRHの標的化ドメイン(1-44)と、C血清型ボツリヌス神経毒の転位及び軽鎖ドメインとを含むTSIを、細胞と共に30分間インキュベートする。細胞を洗浄し、様々に増加させたインキュベーション時間の経過時において、細胞表面に結合したTSIを酸洗浄剤により除去する。細胞をパラホルムアルデヒドにより固定し、ジギトニンを用いて透過処理する。ボツリヌス神経毒CのTSI軽鎖を、ウサギ抗LCボツリヌス神経毒C一次抗体と、ヤギ抗ウサギAlexa-fluor(登録商標)488標識二次抗体とを用いて検出する。エンドソーム内への蓄積及びエンドソーム脱出は、高含量スクリーニングを用いてモニタする。 実施例3 胚性脊髄ニューロンを調製し、マトリゲル被覆96ウェルプレートにおいて培養する。ボツリヌス神経毒Aをニューロンと共に10分間インキュベート後、細胞を洗浄する。細胞は、様々に増加させたインキュベーション時間の後、サポニンを用いて透過処理し、抗ボツリヌスA神経毒LC抗体を用いてボツリヌス神経毒のLCを検出する。エンドソーム内への蓄積及びエンドソーム脱出は、高含量スクリーニングを用いてモニタする。 実施例4 ヒト副甲状腺ホルモン受容体PTH1を発現するHEK293細胞を、ポリ-D-リジン被覆96ウェルプレートに播種する。一晩インキュベートした後、細胞をmyc標識PTH(1-34)と共に45分間インキュベートする。細胞を洗浄し、様々に増加させたインキュベーション時間の後、細胞を固定し、Tween20により透過処理する。Myc標識PTH(1-34)は、ローダミン標識抗myc抗体を用いて検出する。エンドソーム内への蓄積及びエンドソーム脱出は、高含量スクリーニングを用いてモニタする。 実施例5 血管作用性小腸ペプチド1受容体を発現するCHO-K1細胞を96ウェルプレートに播種し、一晩インキュベートする。細胞は、単独で、或いは様々に増加させた濃度のエンドソーム脱出の阻害剤と共に、60分間インキュベートし、その後、ビオチン化TSIを、細胞と共に20分間、コインキュベートする。TSIを洗浄により除去し、様々に増加させたインキュベーション時間の後、パラホルムアルデヒドを用いて、細胞を固定する。細胞は、ジギトニンを用いて透過処理し、ビオチン化する。TSIは、ストレプトアビジン及びalexa-fluor(登録商標)488標識抗ストレプトアビジン抗体を用いて検出する。TSIのエンドソーム内への蓄積及びエンドソーム脱出は、高含量スクリーニングを用いてモニタする。阻害剤の効果は、阻害剤と共にインキュベートしていないコントロール細胞と比較した、エンドソーム脱出の減少率により評価する。 実施例6 ラットGHRH-Rを発現するGH3細胞を96ウェルプレートに播種し、一晩インキュベートした。細胞は、GHRH標的化部分を備える3μMのTSIが存在する状態(B)及び存在しない状態(A)で、60分間インキュベートした。細胞を固定し、TSIの軽鎖に対するウサギ抗体と、ヤギ抗ウサギAlexa Fluor(登録商標)488とによりプローブした。核は、ヘキスト染色により染色した。 (A)点状の白斑が検出されない薄灰色の核を示す。 (B)薄灰色に染色された核を示す(図2)。 実施例7 ラットGHRH-Rを発現するGH3細胞を96ウェルプレートに播種し、一晩インキュベートした。細胞は、様々に増加させた濃度のGHRH標的化部分を備えるTSIと共に、60分間インキュベートした。細胞を固定し、TSIの軽鎖に対するウサギ抗体と、ヤギ抗ウサギAlexa Fluor(登録商標)488とによりプローブした。エンドソームスポット数を高含量スクリーニングにより測定した。データは、三つ組で行った3回の実験で得られた平均±標準偏差である(図3)。 実施例8 分散させたラット下垂体細胞を5日間培養し、GHRH標的化部分を備える1μMのTSIが存在する状態(B)及び存在しない状態(A)で、60分間インキュベートした。細胞を固定し、TSIの軽鎖に対するウサギ抗体と、ヤギ抗ウサギAlexa Fluor(登録商標)488とによりプローブした。核は、ヘキスト染色により染色した。A)点状の白斑が検出されない薄灰色の核を示す。(B)薄灰色に染色された核を示す。点状の白斑は、エンドソーム内のTSIの軽鎖の存在を示す(図4)。 実施例9 分散させたラット下垂体細胞を5日間培養し、様々に増加させた濃度のGHRH標的化部分を有するTSI又は対応するリガンド非結合型TSIと共に、60分間三つ組でインキュベートした。細胞を固定し、TSIの軽鎖に対するウサギ抗体と、ヤギ抗ウサギAlexa Fluor(登録商標)488とによりプローブした。エンドソームスポット数を高含量スクリーニングにより測定した。データは、1回の実験で得られた三つ組の平均±標準偏差である(図5)。 実施例10 ラットGHRH-Rを発現するGH3細胞を96ウェルプレートに播種し、一晩インキュベートした。細胞は、GHRH標的化部分を有する1μMのTSIと共に、様々に増加させた期間について三つ組でインキュベートし、その後、細胞を固定し、TSIの軽鎖に対するウサギ抗体と、ヤギ抗ウサギAlexa Fluor(登録商標)488とによりプローブした。細胞は、30分間、TSIと共に連続してインキュベートするか、或いは、TSIによるパルスを行い、洗浄した後、様々に増加させた期間(30、90、150分間)インキュベートした。これらの時点で、細胞を固定した後、Dの軽鎖に対する抗体によりプローブした。エンドソームスポット数は、高含量スクリーニングにより測定した。データは、三つ組で行った3回の実験で得られた平均±標準偏差である(図6)。 実施例11 ヒトEGFRを発現するHT-1080細胞を96ウェルプレートに播種し、EGFR標的化部分を備える2μMのTSIが存在する状態(B)及び存在しない状態(A)で、60分間インキュベートした。細胞を固定し、TSIの軽鎖に対するウサギ抗体と、ヤギ抗ウサギAlexa Fluor(登録商標)488とによりプローブした。核は、ヘキスト染色により染色した。(A)点状の白斑が検出されない薄灰色の核を示す。(B)薄灰色に染色された核を示す。点状の白斑は、エンドソーム内のTSIの軽鎖の存在を示す(図7)。 実施例12 GHRHRを発現するCHO-K1細胞を96ウェルプレートに播種し、一晩インキュベートする。細胞は、様々に増加させた濃度のGHRH標的化部分及びA血清型ボツリヌス神経毒の転位及び軽鎖ドメインを有するTSIと共に、三つ組で30分間インキュベートした。細胞を固定し、ジギトニンを用いて透過処理し、TSIの軽鎖に対するウサギ抗体と、ヤギ抗ウサギAlexa Fluor(登録商標)488とによりプローブした。細胞当たりの小胞数を高含量スクリーニングにより測定した。図示したデータは、三つ組で行った3回の実験の平均±標準偏差である(図8)。 以下の工程を含む、試験分子のエンドソーム放出能力を評価するための試験法: i)真核細胞を、エンドソーム放出能力を評価すべき試験分子に接触させる工程、ここで、当該真核細胞は、結合部位を含む細胞膜を備え、当該結合部位は、当該細胞の当該細胞膜の外表面に存在する; ii)前記試験分子を前記真核細胞と共にインキュベートし、それによって、以下を可能にする工程、 a)前記試験分子が前記真核細胞上に存在する前記結合部位と結合して結合複合体を形成し、それによって、前記結合複合体がエンドサイトーシスにより前記真核細胞に移入できるようになること; b)1つ以上のエンドソームが前記細胞内に形成すること、ここで、前記1つ以上のエンドソームは前記試験分子を含む;及び c)前記試験分子が、前記1つ以上のエンドソームのエンドソーム膜を横断して、前記真核細胞のサイトゾルに移入すること; iii)前記真核細胞上に存在する前記結合部位と結合していない余分な試験分子を除去する工程; iv)所定期間後、前記1つ以上のエンドソーム内に存在する試験分子の量を検出する工程、或いは、前記真核細胞のサイトゾル内に存在する試験分子の量を検出する工程; v)工程iv)において検出された試験分子の量をコントロール値と比較する工程、ここで、当該コントロール値は、工程iv)以前の、前記1つ以上のエンドソーム内に存在する試験分子の量又は前記サイトゾル内に存在する試験分子の量を表す; vi)前記1つ以上のエンドソーム内に存在する試験分子の量における相対変化を決定すること、或いは、前記真核細胞のサイトゾル内に存在する試験分子の量における相対変化を決定することにより、前記試験分子のエンドソーム放出値を計算する工程。 前記真核細胞は、酵母細胞、昆虫細胞、脊椎動物細胞、哺乳動物細胞、植物細胞、及び真菌細胞から選択される、請求項1記載の試験法。 前記試験分子は、クロストリジウム神経毒、標的化分泌抑制剤、アンタレアーゼプロテアーゼ、IgAプロテアーゼ、又はその組み合わせから選択される、請求項1又は2記載の試験法。 インキュベーション工程ii)は、5分乃至5日、例として1乃至12時間、又は2乃至10時間、又は4乃至8時間、又は6乃至8時間の期間に亘って継続する、先行請求項の何れかに記載の試験法。 検出工程iv)は、工程iii)に続いて5分乃至5時間、例として工程iii)に続いて15乃至240分、又は30乃至180分、又は45乃至150分間実施される、先行請求項の何れかに記載の試験法。 以下の工程を含む、真核細胞におけるエンドソーム輸送に対する遮断分子の阻害効果を評価する試験法: i)真核細胞を、当該真核細胞の表面上に存在する結合部位に結合するコントロール分子に接触させる工程、ここで、当該コントロール分子は、当該結合部位と結合複合体を形成し、エンドサイトーシスにより前記真核細胞に移入し、その間にコントロール分子を含むエンドソームが形成され、かつ、当該コントロール分子は、当該エンドソームのエンドソーム膜を横断して当該真核細胞のサイトゾルに移入する; ii)前記コントロール分子を前記真核細胞と共にインキュベートし、それによって、以下を可能にする工程、 a)前記コントロール分子が前記真核細胞上に存在する前記結合部位と結合して結合複合体を形成し、それによって、前記結合複合体がエンドサイトーシスにより前記真核細胞に移入できるようになること; b)1つ以上のエンドソームが前記細胞内に形成すること、ここで、前記1つ以上のエンドソームは前記コントロール分子を含む;及び c)前記コントロール分子が、前記1つ以上のエンドソームのエンドソーム膜を横断して、前記真核細胞のサイトゾルに移入すること; iii)前記真核細胞を、エンドソームからのコントロール分子のエンドソーム放出を抑制する能力を評価すべき試験阻害剤分子に接触させる工程; iv)所定期間後、前記1つ以上のエンドソーム内に存在するコントロール分子の量を検出する工程、或いは、前記真核細胞のサイトゾル内に存在するコントロール分子の量を検出する工程; v)工程iv)において検出されたコントロール分子の量をコントロール値と比較する工程、ここで、ここで、当該コントロール値は、工程iii)以前の、前記1つ以上のエンドソーム内に存在するコントロール分子の量又は前記サイトゾル内に存在するコントロール分子の量を表す; vi)前記1つ以上のエンドソーム内に存在するコントロール分子の量における相対変化を決定すること、或いは、前記真核細胞のサイトゾル内に存在するコントロール分子の量における相対変化を決定することにより、前記試験阻害剤分子に阻害値を割り当てる工程。 前記真核細胞は、酵母細胞、昆虫細胞、脊椎動物細胞、哺乳動物細胞、植物細胞、及び真菌細胞から選択される、請求項6記載の試験法。 前記コントロール分子は、クロストリジウム神経毒、標的化分泌抑制剤、アンタレアーゼプロテアーゼ、IgAプロテアーゼ、又はその組み合わせから選択される、請求項6又は7記載の試験法。 インキュベーション工程ii)は、5分乃至5日、例として1乃至12時間、又は2乃至10時間、又は4乃至8時間、又は6乃至8時間の期間に亘って継続する、請求項6乃至8の何れかに記載の試験法。 検出工程iv)は、工程iii)に続いて5分乃至5時間、例として工程iii)に続いて15乃至240分、又は30乃至180分、又は45乃至150分間実施される、請求項6乃至9の何れかに記載の試験法。 接触工程ii)は、インキュベーション工程ii)の開始に続いて5分乃至5日間、例としてインキュベーション工程ii)の開始に続いて30分乃至12時間、又は30分乃至10時間、又は30分乃至8時間、又は1乃至8時間実施される、請求項6乃至10の何れかに記載の試験法。 本発明は、真核細胞内への分子の送達効率を評価するための試験法及び対応するキットを提供する(基本試験法)。本発明は、更に、上述した基本試験法に関連して試験分子の阻害効果を評価するための試験法及び対応するキットを提供する。【選択図】図1 20141208A16333全文3 以下の工程を含む、試験分子のエンドソーム放出能力を評価するための試験法、ここで、当該試験分子はクロストリジウム神経毒又は非細胞傷害性プロテアーゼの本来の結合能力を結合リガンド又は標的化部分の導入により改変した再標的化非細胞傷害性プロテアーゼ(標的化分泌抑制剤)であり、かつ、当該試験分子はSNAREタンパク質をタンパク質分解的に切断して不活性化する能力を有する: i)真核細胞を、エンドソーム放出能力を評価すべき試験分子に接触させる工程、ここで、当該真核細胞は、結合部位を含む細胞膜を備え、当該結合部位は、当該細胞の当該細胞膜の外表面に存在する; ii)前記試験分子を前記真核細胞と共にインキュベートし、それによって、以下を可能にする工程、 a)前記試験分子が前記真核細胞上に存在する前記結合部位と結合して結合複合体を形成し、それによって、前記結合複合体がエンドサイトーシスにより前記真核細胞に移入できるようになること; b)1つ以上のエンドソームが前記細胞内に形成すること、ここで、前記1つ以上のエンドソームは前記試験分子を含む;及び c)前記試験分子が、前記1つ以上のエンドソームのエンドソーム膜を横断して、前記真核細胞のサイトゾルに移入すること; iii)前記真核細胞上に存在する前記結合部位と結合していない余分な試験分子を除去する工程; iv)所定期間後、前記1つ以上のエンドソーム内に存在する試験分子の量を検出する工程、或いは、前記真核細胞のサイトゾル内に存在する試験分子の量を検出する工程; v)工程iv)において検出された試験分子の量をコントロール値と比較する工程、ここで、当該コントロール値は、工程iv)以前の、前記1つ以上のエンドソーム内に存在する試験分子の量又は前記サイトゾル内に存在する試験分子の量を表す; vi)前記1つ以上のエンドソーム内に存在する試験分子の量における相対変化を決定すること、或いは、前記真核細胞のサイトゾル内に存在する試験分子の量における相対変化を決定することにより、前記試験分子のエンドソーム放出値を計算する工程; ここで、工程iv)は蛍光標識を用いて前記試験分子を検出することを含む。 前記真核細胞は、酵母細胞、昆虫細胞、脊椎動物細胞、哺乳動物細胞、植物細胞、及び真菌細胞から選択される、請求項1記載の試験法。 インキュベーション工程ii)は、5分乃至5日、例として1乃至12時間、又は2乃至10時間、又は4乃至8時間、又は6乃至8時間の期間に亘って継続する、先行請求項の何れかに記載の試験法。 検出工程iv)は、工程iii)に続いて5分乃至5時間、例として工程iii)に続いて15乃至240分、又は30乃至180分、又は45乃至150分間実施される、先行請求項の何れかに記載の試験法。 以下の工程を含む、真核細胞におけるエンドソーム輸送に対する遮断分子の阻害効果を評価する試験法、ここで、当該試験分子はクロストリジウム神経毒又は非細胞傷害性プロテアーゼの本来の結合能力を結合リガンド又は標的化部分の導入により改変した再標的化非細胞傷害性プロテアーゼ(標的化分泌抑制剤)であり、かつ、当該試験分子はSNAREタンパク質をタンパク質分解的に切断して不活性化する能力を有する: i)真核細胞を、当該真核細胞の表面上に存在する結合部位に結合するコントロール分子に接触させる工程、ここで、当該コントロール分子は、当該結合部位と結合複合体を形成し、エンドサイトーシスにより前記真核細胞に移入し、その間にコントロール分子を含むエンドソームが形成され、かつ、当該コントロール分子は、当該エンドソームのエンドソーム膜を横断して当該真核細胞のサイトゾルに移入する; ii)前記コントロール分子を前記真核細胞と共にインキュベートし、それによって、以下を可能にする工程、 a)前記コントロール分子が前記真核細胞上に存在する前記結合部位と結合して結合複合体を形成し、それによって、前記結合複合体がエンドサイトーシスにより前記真核細胞に移入できるようになること; b)1つ以上のエンドソームが前記細胞内に形成すること、ここで、前記1つ以上のエンドソームは前記コントロール分子を含む;及び c)前記コントロール分子が、前記1つ以上のエンドソームのエンドソーム膜を横断して、前記真核細胞のサイトゾルに移入すること; iii)前記真核細胞を、エンドソームからのコントロール分子のエンドソーム放出を抑制する能力を評価すべき試験阻害剤分子に接触させる工程; iv)所定期間後、前記1つ以上のエンドソーム内に存在するコントロール分子の量を検出する工程、或いは、前記真核細胞のサイトゾル内に存在するコントロール分子の量を検出する工程; v)工程iv)において検出されたコントロール分子の量をコントロール値と比較する工程、ここで、ここで、当該コントロール値は、工程iii)以前の、前記1つ以上のエンドソーム内に存在するコントロール分子の量又は前記サイトゾル内に存在するコントロール分子の量を表す; vi)前記1つ以上のエンドソーム内に存在するコントロール分子の量における相対変化を決定すること、或いは、前記真核細胞のサイトゾル内に存在するコントロール分子の量における相対変化を決定することにより、前記試験阻害剤分子に阻害値を割り当てる工程; ここで、工程iv)は蛍光標識を用いて前記試験分子を検出することを含む。 前記真核細胞は、酵母細胞、昆虫細胞、脊椎動物細胞、哺乳動物細胞、植物細胞、及び真菌細胞から選択される、請求項5記載の試験法。 インキュベーション工程ii)は、5分乃至5日、例として1乃至12時間、又は2乃至10時間、又は4乃至8時間、又は6乃至8時間の期間に亘って継続する、請求項5乃至6の何れかに記載の試験法。 検出工程iv)は、工程iii)に続いて5分乃至5時間、例として工程iii)に続いて15乃至240分、又は30乃至180分、又は45乃至150分間実施される、請求項5乃至7の何れかに記載の試験法。 接触工程ii)は、インキュベーション工程ii)の開始に続いて5分乃至5日間、例としてインキュベーション工程ii)の開始に続いて30分乃至12時間、又は30分乃至10時間、又は30分乃至8時間、又は1乃至8時間実施される、請求項5乃至8の何れかに記載の試験法。


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