タイトル: | 公表特許公報(A)_第VIII因子の液体製剤 |
出願番号: | 2015526958 |
年次: | 2015 |
IPC分類: | A61K 38/43,A61K 9/08,A61K 47/26,A61K 47/10,A61K 47/02,A61P 7/04,C07K 19/00,C07K 16/00,C07K 14/76,C07K 14/755,C07K 9/00,C12N 15/09 |
クリスチャン・リシェル ハンス・ホルムガード・セーレンセン ミカエル・ベク・イェンセン トマス・ビヤーグ JP 2015527350 公表特許公報(A) 20150917 2015526958 20130813 第VIII因子の液体製剤 ノヴォ ノルディスク アー/エス 509091848 村山 靖彦 100108453 実広 信哉 100110364 阿部 達彦 100133400 クリスチャン・リシェル ハンス・ホルムガード・セーレンセン ミカエル・ベク・イェンセン トマス・ビヤーグ EP 12180239.1 20120813 US 61/692,744 20120824 US 61/782,743 20130314 EP 13159832.8 20130318 A61K 38/43 20060101AFI20150821BHJP A61K 9/08 20060101ALI20150821BHJP A61K 47/26 20060101ALI20150821BHJP A61K 47/10 20060101ALI20150821BHJP A61K 47/02 20060101ALI20150821BHJP A61P 7/04 20060101ALI20150821BHJP C07K 19/00 20060101ALN20150821BHJP C07K 16/00 20060101ALN20150821BHJP C07K 14/76 20060101ALN20150821BHJP C07K 14/755 20060101ALN20150821BHJP C07K 9/00 20060101ALN20150821BHJP C12N 15/09 20060101ALN20150821BHJP JPA61K37/465A61K9/08A61K47/26A61K47/10A61K47/02A61P7/04C07K19/00C07K16/00C07K14/76C07K14/755C07K9/00C12N15/00 A AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ EP2013066847 20130813 WO2014026954 20140220 48 20150302 4B024 4C076 4C084 4H045 4B024AA01 4B024BA14 4B024BA40 4B024BA61 4B024CA06 4B024CA07 4B024CA20 4B024DA02 4B024EA04 4B024GA11 4B024HA03 4C076AA12 4C076CC14 4C076CC29 4C076DD23 4C076DD23Q 4C076DD38 4C076DD41Q 4C076DD43Q 4C076DD67 4C076FF36 4C076GG45 4C084AA02 4C084AA03 4C084BA37 4C084BA41 4C084BA44 4C084DC15 4C084MA05 4C084MA17 4C084NA03 4C084NA10 4C084ZA531 4C084ZA532 4H045AA10 4H045AA30 4H045BA10 4H045BA17 4H045BA41 4H045BA57 4H045CA42 4H045DA66 4H045DA70 4H045DA75 4H045EA24 4H045FA74 血友病Aのヒト等の凝固障害を有する対象において、凝固カスケードの様々な工程は、例えば、凝固因子の非存在または不十分な存在により正常に機能しなくなる。このような凝固カスケードの一部分の機能不全は、不十分な血液凝固と、生命に関わる可能性のある出血または関節等の内臓の損傷をもたらす。血友病Aの個体は、外因性第VIII因子(FVIII)等、凝固因子補充療法を受けることができる。 現在市場に出回っているあらゆる第VIII因子製品は、静脈内注入のためのフリーズドライ調製物として供給される。注入を行う者は、使用前に、液体により粉末を再構成する必要がある。この操作は時間がかかり、多段階の手作業による操作となる可能性があり、使用者が溶解を視覚的にモニターする必要があり、これは数分を要するため、ある程度用量がばらつく原因となり得る。したがって、第VIII因子分子の安定的な液体のすぐに使える製剤(好ましくは、簡便な送達系と組み合わせた)が非常に望ましい。非常に高濃度の安定化賦形剤を有する液体製剤は、注射された液体と周囲の組織との間の浸透圧の大きな差により、注射部位に局所的過敏および恐らくは静脈炎を生じ得る。したがって、生理的条件に近い浸透圧濃度を有する液体製剤が特に望ましい。 タンパク質は、水溶液中で多数の可能な分解経路を有する。したがって、液体タンパク質製剤は、実用に必要とされる保存可能期間における安定性を得るために、精密に調整される必要がある。生産、貯蔵および流通を可能にするために、典型的に必要とされる保存可能期間は、貯蔵温度2〜8℃において2年間である。液体製剤における安定性を改善し得る賦形剤、pH値および他の可能な因子を発見するプロセスにおいて、仮定される安定化効果を観察するために試料を非常に長時間インキュベートする必要があるため、目標とする貯蔵条件のみを用いることは非実用的である。したがって、安定性試験は、多くの場合、加速(ストレス)条件下で行われる。このようなストレス条件は、例えば、高温、高湿、強光、極端なpH、ボルテックスもしくは振盪による気液界面の増加および/または反復的な凍結融解サイクルを含む。このようなストレス条件のために、加速安定性試験から得られたデータが、リアルタイム条件下のデータに外挿できるか否か、また、どの程度外挿できるかどうかが重要な問題である。 したがって、長期貯蔵を回避し、ストレス条件を回避する、信頼できる安定性試験を行うための方法が、非常に望ましい。 第VIII因子の液体製剤の安定性は、学術文献に、ならびに特許および特許出願において以前に記載された。 Fatourosら[International Journal of Pharmaceutics 155、121〜131(1997)]は、液体溶液におけるBドメイン欠失型第VIII因子の安定性における酸素、金属イオン、pHおよびイオン強度の影響について記載している。この研究の一部は、US5962650にも記載されている。 Fatourosら[Pharmaceutical Research 14、1679〜1684(1997)およびInternational Journal of Pharmaceutics 194、69〜79(2000)]は、界面活性物質と、特に、非常に高濃度の炭水化物の安定化効果について記載している。この研究の一部は、US5919908にも記載されている。 WO2011/027152は、EDTAに対して余剰のカルシウムであるEDTAおよびカルシウムと、追加的な賦形剤とを含有する、trisおよび安息香酸カリウムの組み合わせにより緩衝される第VIII因子の液体製剤について記載している。US5962650US5919908WO2011/027152US20100261872WO2010045568WO2009062100WO2010014708WO2008082669WO2007126808US20100173831US20100173830US20100168391US20100113365US20100113364WO200331464WO2009108806WO2010102886WO2010115866WO2011101242 (PCT/EP2011/051438)WO2011101284 (PCT/EP2011/051959)WO2011101277 (PCT/EP2011/051889)WO2011131510 (PCT/EP2011/055686)WO2012007324 (PCT/EP2011/061349)WO2011101267 (PCT/EP2011/051723)WO2013083858WO2008/135501WO2009/007451Fatourosら[International Journal of Pharmaceutics 155、121〜131(1997)]Fatourosら[Pharmaceutical Research 14、1679〜1684(1997)]Fatourosら[International Journal of Pharmaceutics 194、69〜79(2000)]McCormick, C.L., A.B. Lowe, and N. Ayres、Water-Soluble Polymers、Encyclopedia of Polymer Science and Technology. 2002、John Wiley & Sons, Inc.Remington: The Science and Practice of Pharmacy、第19版、1995Thim L.ら(Haemophilia 2010;16:349〜359)欧州薬局方2.2.35米国薬局方第785章 本発明は、血友病Aの対象を処置するのに使用できるFVIIIの液体医薬品製剤に関する。 そこで、本発明者らは、遅延作用を有するペグ化第VIII因子分子などの誘導体を含む第VIII因子分子に関して、10mMを超える、例えば15mM以上のカルシウム濃度と、100mM以上のポリオールの濃度とを組み合わせることにより、冷蔵温度における液体製剤の安定性が改善されることを発見した。これらの濃度のカルシウムおよびある特定のポリオールの高度な安定化効果により、低濃度のNaClおよび低浸透圧濃度を有する安定的な液体製剤を得ることができる。 よって、一態様において、本発明は、第VIII因子分子と、10mMを超えるカルシウムイオンの濃度をもたらす1種または複数のカルシウム塩と、少なくとも100mMの濃度の1種または複数のポリオールとを含み、5.5〜7.5の範囲のpHを有する、凝固第VIII因子の液体水性製剤を対象にする。 一態様において、本発明は、第VIII因子分子と、少なくとも15mMの濃度のカルシウム塩と、少なくとも100mMの濃度の糖類および/またはポリオールとを含み、5.5〜7.5のpHを有する、凝固第VIII因子の液体水性製剤を対象にする。 そこで、本発明者らは、化学的タンパク質変性剤を含めて短時間で試料をインキュベートする加速アッセイにより、多価タンパク質の液体製剤における賦形剤の安定化効果を正確に確認できることをさらに発見した。 よって、別の一態様において、本発明は、凝固第VIII因子の液体製剤を最適化し、第VIII因子の安定的な液体製剤を同定するための方法であって、(i)FVIIIと、FVIIIにおける安定化効果に関して評価されるべき1種または複数の賦形剤とを含む1種または複数の液体製剤を用意する工程と、(ii)前記液体製剤に選択されたタンパク質変性剤(例えば、塩化グアニジウムまたは尿素)を添加し、得られた溶液を所定の期間インキュベートする工程と、(iii)(ii)のインキュベートされた溶液を解離した第VIII因子の存在に関して解析する工程と、(iv)所望の低レベルの解離した第VIII因子を有する1種または複数の製剤を選択する工程とを含む方法を対象にする。 本発明のFVIII分子の安定的な液体医薬品製剤は、改善された(使い易い)送達系の使用を容易にする。記載されている安定化の原理を用いて、製造(上流精製工程、貯蔵および取り扱い)における第VIII因子分子を安定化することもできる。凝固第VIII因子分子 第VIII因子(FVIII)は、主に肝細胞によって産生される大型の複合糖タンパク質である。FVIIIは、シグナルペプチドを含むおよそ300kDaのサイズを有し、相同性により定義される数個の別個のドメインを含有する。3個のA-ドメイン、特有のBドメインおよび2個のC-ドメインが存在する。A1(a1領域)およびA2(a2領域)の小型の酸性領域C末端ならびにA3ドメイン(a3領域)のN末端は、トロンビンおよびフォン・ヴィルブランド因子(vWFまたはVWF)、FVIIIの担体タンパク質を含む他の凝固タンパク質と自身との相互作用において重要な役割を果たす。よって、詳細なドメイン構造は、A1-a1-A2-a2-B-a3-A3-C1-C2と記載できる。 FVIIIは、B-a3境界において分離する2本の鎖、即ち、A1-a1-A2-a2-B/a3-A3-C1-C2ヘテロ二量体として血漿中を循環する。タンパク質構造は、二価金属イオン結合により安定化される。A1-a1-A2-a2-B鎖は、重鎖(HC)と呼ばれ、一方、a3-A3-C1-C2鎖は、軽鎖(LC)と呼ばれる。 内因性FVIII分子は、様々なサイズのBドメインを有する分子のプールとしてin vivoにおいて循環し、最短のものは、740位に、即ち、A2-a2のC末端にC末端を有する。異なる長さのBドメインを有するこのようなFVIII分子は全て、完全な凝固促進活性を有する。トロンビンによる活性化の際に、FVIIIは、372位におけるA1-a1のC末端で、740位におけるA2-a2のC末端で、および1689位におけるa3からA3の間で切断され、後者の切断はa3領域を放出し、それに伴いVWFに対する親和性を喪失する。トロンビンにより切断(活性化)されたFVIII分子は、FVIIIaと呼ばれる。活性化は、活性化された血小板および活性化された第IX因子(FIXa)等のリン脂質表面とFVIIIaとの相互作用を可能にする、即ち、テナーゼ複合体が形成され、第X因子(FX)の効率的な活性化を可能にする。 用語「第VIII因子(a)」および「FVIII(a)」は、FVIIIおよびFVIIIaの両方を含む。「FVIII(a)」は、個体毎に存在および発生し得るFVIII(a)の天然対立遺伝子変種を含む。FVIII(a)は、周知の産生および精製方法を用いることにより、血漿から得てもよいし、または組換えにより産生してもよい。グリコシル化、チロシン硫酸化および他の翻訳後修飾の程度および位置は、選ばれた宿主細胞およびその成長条件に応じて異なっていてもよい。 ヒトFVIIIは、2351アミノ酸(シグナルペプチドを含む)および2332アミノ酸(シグナルペプチドなし)からなる。詳細なドメイン構造、A1-a1-A2-a2-B-a3-A3-C1-C2は、それに相当するアミノ酸残基(配列番号1を参照):A1(1〜336)、a1(337〜372)、A2(373〜710)、a2(711〜740)、B(741〜1648)、a3(1649〜1689)、A3(1690〜2020)、C1(2021〜2173)およびC2(2174〜2332)を有する。「天然FVIII」は、配列番号1(アミノ酸1〜2332)に示す全長配列に由来するヒトFVIII分子である。Bドメインは、配列番号1におけるアミノ酸741〜1648に及ぶ。配列番号1:野生型ヒト凝固第VIII因子 本発明の製剤に含まれる第VIII因子分子は、Bドメイン切断/欠失型FVIII分子であってもよく、その場合、残るドメインは、配列番号1のアミノ酸番号1〜740および1649〜2332に表される配列に相当する。よって、これらのFVIII分子は、好ましくは哺乳類起源の、形質転換された宿主細胞で産生される組換え分子となる。しかし、残るドメイン(即ち、3個のA-ドメイン、2個のC-ドメインならびにa1、a2およびa3領域)は、配列番号1に表されるアミノ酸配列(アミノ酸1〜740および1649〜2332)とは僅かに、例えば、約1%、2%、3%、4%または5%異なっている可能性がある。 本発明の製剤に含むれるFVIII分子は、FVIIIの生物学的活性断片、即ち、Bドメイン以外のドメインが欠失または切断されているが、欠失/切断型のFVIII分子が血餅の形成を補助するその能力を保持する、FVIIIであってもよい。FVIII活性は、本技術分野において周知の技法を用いてin vitroで評価することができる。FVIII活性アッセイの例は、実施例の章に見出すことができる。 例えば、フォン・ヴィルブランド因子(vWF)、低密度リポタンパク質受容体関連タンパク質(LPR)、様々な受容体、他の凝固因子、細胞表面等、様々な他の構成成分と第VIII因子との結合能力を改変するために、あるいはグリコシル化部位を導入および/または消失等させるために、残るドメインにアミノ酸修飾(置換、欠失等)を導入することができる。本発明の製剤における使用のために、FVIII活性を消失させない他の突然変異をFVIII分子/アナログに付与することもできる。 本明細書における用語「FVIIIアナログ」は、配列番号1と比較して、またはBドメイン切断/欠失型FVII分子に関しては配列番号1の相当する部分と比較して、1個または複数のアミノ酸が置換または欠失されているFVIII分子(全長またはBドメイン切断/欠失型)を指す。 FVIIIアナログは、親ポリペプチドのアミノ酸残基のうち1個または複数が欠失または他のアミノ酸残基と置換されている、および/または追加的なアミノ酸残基が親FVIIIポリペプチドに付加されているFVIII分子も含む。 さらに、第VIII因子分子/アナログは、例えば、切断されたBドメインに、および/または分子の他のドメインのうち1個もしくは複数に他の修飾を含むことができる(「FVIII誘導体」)。これらの他の修飾は、例えば、高分子化合物、ペプチド性化合物、脂肪酸由来化合物等、第VIII因子分子にコンジュゲートしている様々な分子の形態でなされてもよい。 本明細書における用語「FVIII誘導体」は、親FVIIIポリペプチドのアミノ酸のうち1個または複数が、例えば、アルキル化、ペグ化[ポリペプチドのグリカンの1個または複数にPEGを結合させる糖ペグ化(glycopegylation)を含み、例えば、US20100261872に記載されている]、アシル化、エステル形成もしくはアミド形成、または例えば遅延基(protractive group)もしくは半減期延長部分などの異なる官能基をFVIIIポリペプチド骨格にコンジュゲートするその他の修飾により化学修飾されている、FVIII分子(全長またはBドメイン切断/欠失型)またはFVIIIアナログを指す。用語「FVIII誘導体」は、FVIII分子(全長またはBドメイン切断/欠失型)が、別のポリペプチド、例えばアルブミンまたはFcドメインまたはFc誘導体に融合されている融合タンパク質も包含する。 本文脈において、用語「糖ペグ化FVIII」は、1個または複数のPEG基が、ポリペプチドの多糖類側鎖(グリカン)を介してFVIIIポリペプチドに結合している第VIII因子分子(全長FVIIIおよびBドメイン切断/欠失型FVIIIを含む)を示すことが企図されている。 用語「遅延基」/「半減期延長部分」は、本明細書において、-SH、-OH、-COOH、-CONH2、-NH2、または1つもしくは複数のN-および/もしくはO-グリカン構造等の、1個または複数のアミノ酸部位鎖の官能基に結合した1種または複数の化学基であって、多数の治療用タンパク質/ペプチドにコンジュゲートするとこれらのタンパク質/ペプチドのin vivo循環半減期を増加させることができる化学基を指すものと理解されている。 遅延基/半減期延長部分の例として、生体適合性脂肪酸およびその誘導体、ヒドロキシアルキルデンプン(HAS)、例えば、ヒドロキシエチルデンプン(HES)、ポリ(Glyx-Sery)n[ホモアミノ酸ポリマー(HAP)]、ヒアルロン酸(HA)、ヘパロサン(Heparosan)ポリマー(HEP)、ホスホリルコリンに基づくポリマー(PCポリマー)、Fleximer(登録商標)ポリマー(Mersana Therapeutics社、MA、USA)、デキストラン、ポリ-シアル酸(PSA)、ポリエチレングリコール(PEG)、Fcドメイン、トランスフェリン、アルブミン、エラスチン様ペプチド、XTEN(登録商標)ポリマー(Amunix社、CA、USA)、アルブミン結合ペプチド、フォン・ヴィルブランド因子断片(vWF断片)、カルボキシル末端ペプチド(CTPペプチド、Prolor Biotech社、IL)ならびにこれらのいずれかの組み合わせ(例えば、McCormick, C.L., A.B. Lowe, and N. Ayres、Water-Soluble Polymers、Encyclopedia of Polymer Science and Technology. 2002、John Wiley & Sons, Inc.を参照)が挙げられる。誘導体化の様式は重要ではなく、上記で説明されている通りでもよい。 用語「Fc融合タンパク質」は、本明細書において、いずれかの抗体アイソタイプに由来し得るFcドメインに融合されたFVIIIを包含するよう意図されている。IgG抗体の比較的長い循環半減期のため、IgG Fcドメインが好ましい場合が多いと予想される。例えば、補体結合および/またはある特定のFc受容体への結合等、ある特定のエフェクター機能を調節するために、Fcドメインをさらに修飾してもよい。FcRn受容体に結合する能力を有するFcドメインとFVIIIとの融合は、一般に、wt FVIIIの半減期と比較して、融合タンパク質の循環半減期を延ばすであろう。 よって、本発明における使用のためのFVIII分子は、例えば、FVIIIアナログの融合タンパク質、ペグ化もしくは糖ペグ化FVIIIアナログまたはヘパロサンポリマーにコンジュゲートしたFVIIIアナログ等、FVIIIアナログの誘導体であってもよい。 本明細書における用語「FVIII変異体」は、FVIIIアナログおよびFVIII誘導体の群を指す。 本発明の製剤における使用のためのFVIII分子の例は、例えば、WO2010045568、WO2009062100、WO2010014708、WO2008082669、WO2007126808、US20100173831、US20100173830、US20100168391、US20100113365、US20100113364、WO200331464、WO2009108806、WO2010102886、WO2010115866、WO2011101242 (PCT/EP2011/051438)、WO2011101284 (PCT/EP2011/051959)、WO2011101277 (PCT/EP2011/051889)、WO2011131510 (PCT/EP2011/055686)、WO2012007324 (PCT/EP2011/061349)、WO2011101267 (PCT/EP2011/051723)、およびWO2013083858に記載されているFVIII分子を含む。 本発明の製剤で使用できるFVIII分子の例として、Advate(登録商標)、Helixate(登録商標)、Kogenate(登録商標)、Xyntha(登録商標)の活性成分、ならびにWO2008/135501およびWO2009/007451に記載されているFVIII分子が挙げられる。 本発明の製剤に含まれるFVIII分子は、発色アッセイ(FVIII活性アッセイ)においてヒトFVIIIと比較する際に、野生型FVIIIと比べて実質的に同じまたは改善された生物学的活性を示す、FVIII誘導体もしくはFVIIIアナログまたはこれらの組み合わせとなることもできる。FVIII活性アッセイの例は、実施例の章に見出すことができる。生物活性 本発明に係る製剤に含まれるFVIII分子は、ヒトFVIIIと機能的に類似する様式または同等の様式で凝固カスケードにおいて機能し、活性化された血小板におけるFIXaとの相互作用によりFXaの形成を誘導し、血餅の形成を補助できる。FVIII活性は、本技術分野において周知の技法を用いてin vitroで評価することができる。血液凝固解析、FX活性化アッセイ(発色アッセイと呼ばれることが多い)、トロンビン生成アッセイおよび全血トロンボエラストグラフィーは、このようなin vitro技法の例である。本発明の製剤における使用のためのFVIII分子は、発色アッセイ(FVIII活性アッセイ)におけるヒトFVIIIと比較した場合、天然ヒトFVIIIの活性の少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、100%またはさらには100%を超えるFVIII活性を有することができる。FVIII活性アッセイの例は、実施例の章に見出すことができる。Bドメイン FVIIIにおけるBドメインは、配列番号1のアミノ酸741〜1648に及ぶ。Bドメインはいくつかの異なる部位で切断されるため、循環血漿FVIII分子に大きな不均一性をもたらす。重度にグリコシル化されたBドメインの正確な機能は不明である。Bドメインは、凝固カスケードにおけるFVIII活性に不必要であることが知られている。よって、組換えFVIIIは、Bドメイン欠失/切断型分子の形態で産生されることが多い。機能の明らかな欠如は、Bドメイン欠失/切断型FVIIIが、全長天然FVIIIに見られる特性と同一のin vivo特性を有するようにみえるということにより裏付けられる。とはいえ、少なくとも無血清条件下では、Bドメインは細胞膜との結合を低下させる可能性があるという指摘がある。Bドメイン欠失/切断型第VIII因子分子 内因性全長FVIIIは、単鎖前駆体分子として合成される。前駆体は、分泌される前に重鎖と軽鎖とに切断される。組換えBドメイン欠失型FVIIIは、2種の異なる戦略により産生することができる。Bドメインを含まない重鎖と軽鎖とをそれぞれ2本の異なるポリペプチド鎖として合成してもよく(2本鎖戦略)、または単一の前駆体ポリペプチド鎖としてBドメイン欠失型FVIIIを合成して、これを全長FVIII前駆体と同じ方法で重鎖と軽鎖とに切断してもよい(単鎖戦略)。 単鎖戦略により産生されるBドメイン欠失型FVIII前駆体ポリペプチドにおいて、重鎖および軽鎖部分は、多くの場合、リンカーにより離間される。Bドメイン欠失型FVIIIに免疫原性エピトープを導入するリスクを最小化するために、リンカーの配列は、FVIII Bドメインに由来するものでもよい。最低限、リンカーは、Bドメイン欠失型FVIII前駆体ポリペプチドを重鎖と軽鎖とに切断するプロテアーゼのための認識部位を含む必要がある。全長FVIIIのBドメインにおいて、アミノ酸1644〜1648は、この認識部位を構成する。Bドメイン欠失型FVIIIの活性化においてリンカーの除去をもたらすトロンビン切断部位は、重鎖に位置する。よって、リンカーのサイズおよびアミノ酸配列が、トロンビン活性化によって残りのFVIII分子からリンカーを除去することに影響を与える可能性は低い。Bドメインの欠失/切断は、FVIIIの産生に有利である。にもかかわらず、Bドメインの一部を、生産性を低下させることなくリンカーに含めることができる。生産性におけるBドメインの負の効果は、Bドメインのいかなる特定のサイズまたは配列にも起因していなかった。分解 液体製剤における第VIII因子は、重鎖と軽鎖との間の酸化および解離を含むいくつかのメカニズムにより分解される。軽鎖および重鎖の解離は、周知の技法により、例えば、実施例の章に記載されている分子ふるいクロマトグラフィー(SEC:size-exclusion chromatography)により、in vitroで評価することができる。 第VIII因子分子の解離は、SECにおいて、モノマー型第VIII因子よりも長い溶出時間のピークの出現として観察される。このピークは、遊離軽鎖に割り当てられた(Fatourosら、International Journal of Pharmaceutics 155、121頁、1997)。よって、FVIII分子の解離(disscociation)は、例えば、遊離軽鎖のレベルをアッセイすることにより評価することができる。実施形態 本発明の一実施形態において、第VIII因子は、組換えにより作製された全長ヒトFVIIIである。別の一実施形態において、第VIII因子は、組換えにより作製されたBドメイン切断型FVIIIである。本発明の一実施形態において、第VIII因子は、配列番号1に示す配列を有する全長ヒトFVIIIである。 本発明の一実施形態において、FVIII分子は、FVIII配列アナログであり、別の一実施形態において、FVIII分子は、例えば、後述する実験の章に記載されている血液凝固アッセイで測定する場合、野生型FVIIIと比べて実質的に同じまたは改善された生物学的活性を示すFVIII配列アナログである。 一実施形態において、FVIII分子は、配列番号2に示すアミノ酸配列をコードするベクターにより産生されるBドメイン切断型FVIII分子であり、この分子は、21アミノ酸残基のリンカー配列(SFSQNSRHPSQNPPVLKRHQR)(配列番号6)を含む。配列番号2: 一実施形態において、FVIII分子は、非共有結合性相互作用により一緒になった、重鎖-リンカー配列(A1-a1-A2-a2-L)および軽鎖配列(a3-A3-C1-C2)からなる2本鎖Bドメイン切断型FVIII分子である。リンカー(L)は、20アミノ酸残基のリンカー配列(SFSQNSRHPSQNPPVLKRHQ)(配列番号3)であり、重鎖(A1-a1-A2-a2)および軽鎖(a3-A3-C1-C2)は、配列番号1のそれぞれアミノ酸番号1〜740および1649〜2332に表される配列に相当する。 一実施形態において、FVIIIは、遅延基に結合している。一連の実施形態において、第VIII因子は、(i)ペグ化FVIII、(ii)FVIII融合タンパク質、(iii)アルブミン融合FVIIIまたは(iv)Fc領域融合FVIIIである。 別の一実施形態において、第VIII因子は、糖ペグ化された組換えにより作製された全長ヒトFVIIIまたは糖ペグ化されたBドメイン切断型FVIII等、糖ペグ化FVIIIである。一実施形態において、FVIIは、多糖類(例えば、HEP、HES、HAS、PSA)に結合(attched)している。別の一実施形態において、第VIII因子は、ポリシアル酸(PSA)またはヘパロサン(HEP)に結合している。 一実施形態において、FVIII分子は、改変された循環半減期を有するBドメイン切断型FVIII分子であり、前記分子は、切断されたBドメインにおけるO-結合型オリゴ糖を介して親水性ポリマーと共有結合によりコンジュゲートしており、FVIII活性化は、共有結合によりコンジュゲートしたポリマーの除去をもたらす。その異なる具体的な実施形態において、親水性ポリマーは、ポリエチレングリコール(PEG)、PSAおよびHEPである。 一実施形態において、FVIII分子は、改変された循環半減期を有するBドメイン切断型第VIII因子分子であり、前記分子は、切断されたBドメインにおけるO-結合型オリゴ糖を介して親水性ポリマーと共有結合によりコンジュゲートしており、(i)第VIII因子活性化は、共有結合によりコンジュゲートした親水性ポリマーの除去をもたらし、(ii)FVIII前駆体ポリペプチドの重鎖および軽鎖部分は、リンカーによって離間し、リンカーの配列は、FVIII Bドメインに由来する。一実施形態において、Bドメインの長さは、20〜30アミノ酸である。一実施形態において、親水性ポリマーは多糖類であり、一実施形態において、前記多糖類はPSAであり、別の一実施形態において、前記多糖類はHEPである。一実施形態において、親水性ポリマーはPEGである。異なる実施形態において、PEGのサイズは、約10,000〜約160,000Daまたは約40,000Daである。一連の実施形態において、用いられるPEGは、2〜160kDaまたは2〜80kDaまたは5〜80kDaまたは5〜60kDaまたは10〜80kDaまたは10〜60kDaまたは20〜60kDaの範囲内のサイズを有する。異なる実施形態において、PEGは、2kDa、5kDa、10kDa、20kDa、40kDaまたは80kDaのPEGである。 特定の一連の一実施形態において、上述の遅延基に結合したFVIII分子は、非共有結合性相互作用により一緒になった、重鎖-リンカー配列(A1-a1-A2-a2-L)および軽鎖配列(a3-A3-C1-C2)からなる2本鎖Bドメイン切断型FVIII分子であり、リンカー(L)は、20アミノ酸残基のリンカー配列(SFSQNSRHPSQNPPVLKRHQ)(配列番号3)であり、重鎖(A1-a1-A2-a2)および軽鎖(a3-A3-C1-C2)は、配列番号1のそれぞれアミノ酸番号1〜740および1649〜2332に表される配列に相当する。その特定の実施形態において、記載されているFVIIIは、(i)1個もしくは複数のPEG基、(ii)1個もしくは複数のPSA基、(iii)1個もしくは複数のHEP基または(iv)PEG、PSAおよびHEPから選択される1個もしくは複数の遅延基に結合している。さらに別の特定の実施形態において、1個または複数の遅延PEG/PSA/HEP基は、ポリペプチドの多糖類側鎖(グリカン)を介してFVIIIポリペプチドに結合しており、さらに別の実施形態において、前記遅延基は、リンカー配列(配列番号3)内に位置するグリカンを介してFVIIIポリペプチドに結合している。さらに別の実施形態において、PEG基は、20〜60kDaのPEGまたは40kDaのPEGである。 一実施形態において、本発明の製剤におけるFVIIIは、非共有結合性相互作用により一緒になった、重鎖-リンカー配列(A1-a1-A2-a2-L)および軽鎖配列(a3-A3-C1-C2)からなる2本鎖Bドメイン切断型FVIII分子であり、リンカー(L)は、20アミノ酸残基のリンカー配列(SFSQNSRHPSQNPPVLKRHQ)(配列番号3)であり、重鎖(A1-a1-A2-a2)および軽鎖(a3-A3-C1-C2)は、配列番号1のそれぞれアミノ酸番号1〜740および1649〜2332に表される配列に相当し、1個または複数のPEG基は、リンカー配列(配列番号3)内に位置するグリカンを介してFVIIIポリペプチドに結合している。さらに別の実施形態において、PEG基は、20〜60kDaのPEGまたは40kDaのPEGである。 一実施形態において、本発明の製剤におけるFVIIIは、非共有結合性相互作用により一緒になった、重鎖-リンカー配列(A1-a1-A2-a2-L)および軽鎖配列(a3-A3-C1-C2)からなる2本鎖Bドメイン切断型FVIII分子であり、リンカー(L)は、20アミノ酸残基のリンカー配列(SFSQNSRHPSQNPPVLKRHQ)(配列番号3)であり、重鎖(A1-a1-A2-a2)および軽鎖(a3-A3-C1-C2)は、配列番号1のそれぞれアミノ酸番号1〜740および1649〜2332に表される配列に相当し、1個または複数のHEP基は、リンカー配列(配列番号3)内に位置するグリカンを介してFVIIIポリペプチドに結合している。 一実施形態において、本発明の製剤におけるFVIIIは、非共有結合性相互作用により一緒になった、重鎖-リンカー配列(A1-a1-A2-a2-L)および軽鎖配列(a3-A3-C1-C2)からなる2本鎖Bドメイン切断型FVIII分子であり、リンカー(L)は、20アミノ酸残基のリンカー配列(SFSQNSRHPSQNPPVLKRHQ)(配列番号3)であり、重鎖(A1-a1-A2-a2)および軽鎖(a3-A3-C1-C2)は、配列番号1のそれぞれアミノ酸番号1〜740および1649〜2332に表される配列に相当し、1個または複数のPSA基は、リンカー配列(配列番号3)内に位置するグリカンを介してFVIIIポリペプチドに結合している。 一実施形態において、本発明の製剤におけるFVIIIは、配列番号2に示すBドメイン切断型FVIII分子であり、1個または複数のPEG基は、リンカー配列(配列番号3)内に位置するグリカンを介してFVIIIポリペプチドに結合している。さらに別の実施形態において、PEG基は、20〜60kDaのPEGまたは40kDaのPEGである。 一実施形態において、本発明の製剤におけるFVIIIは、配列番号2に示すBドメイン切断型FVIII分子であり、1個または複数のHEP基は、リンカー配列(配列番号3)内に位置するグリカンを介してFVIIIポリペプチドに結合している。 一実施形態において、本発明の製剤におけるFVIIIは、配列番号2に示すBドメイン切断型FVIII分子であり、1個または複数のPSA基は、リンカー配列(配列番号3)内に位置するグリカンを介してFVIIIポリペプチドに結合している。水性製剤 本発明の製剤における第VIII因子の濃度は、典型的には、10〜10.000IU/mLの範囲内である。異なる実施形態において、本発明の製剤におけるFVIII分子の濃度は、10〜8000IU/mL、または10〜6000IU/mL、または10〜4000IU/mL、または10〜2500IU/mL、または30〜4000IU/mL、または30〜2500IU/mL、または50〜2500IU/mL、または50〜1250IU/mL、または100〜2500IU/mLの範囲内である。 1IU(国際単位)は、1mLの新鮮な、プールされた正常ヒト血漿に存在するFVIIIの量として定義される。 本発明の一実施形態において、医薬品製剤は、水溶液である。用語「水性製剤」は、少なくとも50重量%の水を含む製剤として定義される。同様に、用語「水溶液」は、少なくとも50重量%の水を含む溶液として定義される。塩 本発明に係る製剤は、カルシウム塩を含む。製剤は、ナトリウム塩を含有することもできる。 一実施形態において、製剤は、少なくとも15mMのカルシウム塩を含有する。一連の一実施形態において、製剤は、15〜100mMのカルシウム塩、または15〜80mM、もしくは15〜60mM、もしくは15〜45mM、もしくは15〜30mM、もしくは15〜25mM、もしくは15〜20mM、もしくは少なくとも20mMのカルシウム塩、または20〜100mM、もしくは20〜80mM、もしくは20〜60mM、もしくは20〜45mM、もしくは20〜45mM、もしくは20〜40mM、もしくは20〜30mM、もしくは25〜35mM、もしくは少なくとも30mM、もしくは30〜45mM、もしくは約30mMを含む。特定の一実施形態において、製剤(fomulation)は、25〜35mMのカルシウム塩を含有する。 カルシウム塩は、例えば、塩化カルシウム、酢酸カルシウム、乳酸カルシウム、安息香酸カルシウムおよびこれらの混合物、ならびに当業者に周知の他の可溶性カルシウム塩の群から選択され得る。一実施形態において、カルシウム塩は、塩化カルシウムである。 一実施形態において、製剤は、EDTAを含有しない。 一実施形態において、製剤は、少なくとも5mMのナトリウム塩を含有する。一連の一実施形態において、製剤は、5〜500mMのナトリウム塩、または15〜150mM、もしくは15〜125mM、もしくは15〜100mM、もしくは少なくとも20mMのナトリウム塩(calcium salt)、または20〜150mM、もしくは20〜130mM、もしくは20〜100mM、もしくは少なくとも30mM、もしくは30〜150mM、もしくは50〜150mMを含む。一実施形態において、ナトリウム塩の濃度は、100mMまたは5〜100mMまたは50〜100mMまたは50mM未満または5〜50mMである。 pH調整に用いるナトリウム塩は、典型的にはNaOHの形態であり、規定のナトリウム濃度で含まれる。 ナトリウム塩は、例えば、塩化ナトリウム、酢酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、安息香酸ナトリウムおよびこれらの混合物、ならびに当業者に周知の他の可溶性ナトリウム塩の群から選択され得る。 本発明の一実施形態において、ナトリウム塩は、塩化ナトリウムであり、別の一実施形態において、塩は、酢酸ナトリウムである。第3の実施形態において、本発明の製剤は、塩化ナトリウムおよび酢酸ナトリウムの混合物を含有する。緩衝液 本発明に係る製剤は、緩衝系を含むことができる。緩衝液(または緩衝物質)は、酢酸塩、安息香酸塩、炭酸塩、クエン酸塩、グリシルグリシン、ヒスチジンもしくはヒスチジンの誘導体、Hepes、グリシン、リン酸塩、リン酸水素およびtris(ヒドロキシメチル)-アミノメタン(TRIS)、ビシン(bicine)、トリシン、コハク酸塩、アスパラギン酸、グルタミン酸またはこれらの混合物からなる群から選択され得る。本発明の一実施形態において、緩衝物質の濃度は、1〜100mMであり、例えば、1〜50mMまたは1〜25mMまたは1〜20mMまたは5〜20mMまたは5〜15mM等である。 本発明の一実施形態において、製剤は、ヒスチジン、好ましくはL-ヒスチジンを含む。その一実施形態において、ヒスチジンの濃度は、1〜100mMであり、例えば、1〜50mMまたは1〜25mMまたは1〜20mMまたは5〜20mMまたは5〜15mM等である。 本発明の液体製剤は、典型的には、5.5〜7.5のpHを有する。異なる実施形態において、製剤は、6.0〜7.0または6.2〜6.8または6.3〜6.7のpHを有する。糖類および/またはポリオール 本発明の製剤は、糖類(糖)および/またはポリオール(糖アルコール)をさらに含む。糖類は、例えば、単糖類、二糖類または多糖類および水溶性グルカン(例えば、単糖類フルクトース、グルコース、マンノース、二糖類ラクトース、スクロース、トレハロースおよび多糖類デキストラン、ラフィノース、スタキオースを含む)の群から選択され得る。ポリオールは、例えば、糖アルコール(例えば、マンニトール、ソルビトール、イノシトール、ガラクチトール、ズルシトール、キシリトールおよびアラビトールを含む)、アルジトール[例えば、グリセロール(グリセリン)、1,2-プロパンジオール(プロピレングリコール)、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール]、ポリエチレングリコール、またはこれらの混合物の群から選択され得る。 1種より多くの糖類および/またはポリオールが製剤に含まれる場合、記載されている濃度は、製剤中に存在する「糖類および/またはポリオール」の総量を示すものとする。 本発明の一実施形態において、FVIII製剤は、スクロース、ソルビトール、グリセロール、ラフィノース、スタキオース、マンニトール、ソルビトール、またはこれらの混合物の群から選択される1種または複数の糖類および/または糖アルコールを含む。 一実施形態において、FVIII製剤は、少なくとも200mMの濃度の糖類および/または糖アルコールを含む。 一実施形態において、本発明に係るFVIII製剤は、1種または複数の糖類を含み、ポリオールを含まない。別の一実施形態において、製剤は、単一の糖類構成成分を含み、ポリオールを含まない。上述の具体的な実施形態において、糖類は、スクロースである。 一実施形態において、製剤は、1種または複数のポリオールを含み、糖類を含まない。別の一実施形態において、製剤は、単一のポリオール構成成分を含み、糖類を含まない。上述の具体的な実施形態において、糖類は、ソルビトールまたはマンニトールである。 本発明の一実施形態において、製剤は、1.50Osm/L以下の製剤の計算浸透圧濃度(「X」)をもたらす濃度の糖類および/または糖アルコールを含む。よって、本発明の一実施形態において、製剤は、100mMの濃度〜XmMの濃度の糖類および/または糖アルコールを含み、Xは、製剤の計算浸透圧濃度が1.50Osm/Lに達する値(mM)として定義される。別の一実施形態において、製剤は、200mMの濃度〜XmMの濃度の糖類および/または糖アルコールを含み、Xは、製剤の計算浸透圧濃度が1.50Osm/Lに達する値(mM)として定義される。所定の製剤の浸透圧濃度を計算することにより問題の製剤(fomulation)のX値を決定する際に、製剤中の全構成成分を計算に入れる(例えば、CaCl2、NaCl、緩衝物質、メチオニン)。浸透圧濃度(concetration)の計算は、本願に記載されている(後述する「浸透圧濃度」の章を参照)。しかし、浸透圧濃度の理論的計算は当業者に周知である。 本発明の一実施形態において、製剤は、少なくとも100mM、または少なくとも200mM、または100〜1800mM、または300〜1800mM、または100〜1500mM、または200〜1800mM、または200〜1500mM、または100〜1000mM、または200〜1000mM、または300〜1000mM、または200〜800mM、または300〜800mM、または400〜800mM、または500〜800mM、または500〜700mMの濃度の糖類および/または糖アルコールを含む。 一実施形態において、本発明の製剤は、スクロースを含む。一実施形態において、スクロースの濃度は、100〜1000mM、または150〜1750mM、または200〜1000mM、または300〜1000mM、または200〜800mM、または300〜800mM、または440〜730mM、または400〜800mM、または500〜800mM、または500〜700mMであり、別の一実施形態において、スクロースの濃度は、50〜600mg/mL、または100〜600mg/mL、または100〜450mg/mL、または150〜450mg/mL、または150〜250mg/mLである(100mg/mLのスクロースは292mMに相当)。 別の一実施形態において、本発明の製剤は、ソルビトールを含む。異なる実施形態において、ソルビトールの濃度は、少なくとも400mM、または400〜1500mM、または100〜800mg/mL、または100〜650mg/mL、または150〜650mg/mL、または150〜500mg/mL、または150〜250mg/mLである(100mg/mLのソルビトールは549mMに相当)。他の賦形剤 本発明の製剤は、追加的な賦形剤をさらに含有することができる。本発明に係る医薬品製剤における使用のための標準的な賦形剤の例は、保存料、抗酸化剤および界面活性物質である。 本発明の一実施形態において、メチオニン(または他の硫酸アミノ酸または硫酸アミノ酸アナログ)等の還元剤を加えて、メチオニン残基からメチオニンスルホキシドへの酸化を阻害することができる。「阻害」とは、製造の際および経時的なメチオニン酸化種の蓄積を最小化することを企図する。メチオニン酸化の阻害は、その適切な分子形態におけるポリペプチドのより優れた保持をもたらす。加えるべき量は、規制当局に許容されるメチオニンスルホキシド量になるようにメチオニン残基の酸化を阻害するのに十分な量となるべきである。典型的には、これは、製剤が、約10%〜約30%以下のメチオニンスルホキシドを含有することを意味する。一般に、これは、加えるメチオニンと第VIII因子のメチオニン残基との比率が少なくとも約1:1となるように、メチオニンを加えることにより達成することができる。 本発明の一実施形態において、製剤は、メチオニン、例えば、L-メチオニンを含む。その一実施形態において、メチオニンの濃度は、0.05〜100mMであり、例えば、0.1〜10mMまたは0.1〜2mMまたは0.2〜0.5mM等である。 本発明の一実施形態において、製剤は、界面活性物質をさらに含む。典型的な界面活性物質(商標の例を角括弧[]内に示す)は、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート[Tween 20]、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノパルミテート[Tween 40]またはポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート[Tween 80]等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシプロピレン(polyoxypropylene)-ポリオキシエチレンブロックコポリマー[プルロニックF68/ポロキサマー188]、ポリエチレングリコールオクチルフェニルエーテル[Triton X-100]またはポリオキシエチレングリコールドデシルエーテル[Brij 35]等のポロキサマーである。医薬品製剤における界面活性物質の使用は当業者に周知である。便宜上、Remington: The Science and Practice of Pharmacy、第19版、1995を参照する。 本発明の一実施形態において、製剤は、ソルビタンモノオレエート[Tween 80]を含む。その一実施形態において、ソルビタンモノオレエート[Tween 80]の濃度は、0.01〜0.5mg/mLであり、例えば、0.05〜0.3mg/mLまたは0.05〜0.2mg/mLまたは約0.1mg/mL等である。 本発明の一実施形態において、製剤は、ポロキサマー188を含む。その一実施形態において、ポロキサマー188の濃度は、0.01〜5mg/mLであり、例えば、0.05〜3mg/mLまたは0.25〜2mg/mLまたは約0.5mg/mL等である。 本発明の一実施形態において、製剤は、FVIII、L-ヒスチジン、Tween(登録商標)80、L-メチオニン、NaCl、スクロースおよびCaCl2を含有し、本発明の別の一実施形態において、製剤は、FVIII、10mM L-ヒスチジン、0.1mg/ml Tween(登録商標)80、0.37mM L-メチオニン、78mM NaCl、188mg/mlスクロースおよび30mM CaCl2、pH6.7を含有し、別の一実施形態において、製剤は、FVIII、20〜40mM CaCl2、500〜800mMスクロースまたは150〜250mg/mLソルビトールを含む。これらの実施形態のいずれかの特定の実施形態において、前記FVIIIは、(i)配列番号1のアミノ酸番号1〜740および1649〜2332に表される配列に相当するドメインを含むFVIII分子、または(ii)配列番号2に示すBドメイン切断型FVIII分子、または(ii)非共有結合性相互作用により一緒になった、重鎖-リンカー配列(A1-a1-A2-a2-L)および軽鎖配列(a3-A3-C1-C2)からなる2本鎖Bドメイン切断型FVIII分子であって、リンカー(L)が、20アミノ酸残基のリンカー配列(SFSQNSRHPSQNPPVLKRHQ)(配列番号3)であり、重鎖(A1-a1-A2-a2)および軽鎖(a3-A3-C1-C2)が、配列番号1のそれぞれアミノ酸番号1〜740および1649〜2332に表される配列に相当する分子、または(iv)配列番号2に示すBドメイン切断型FVIII分子であって、1個もしくは複数のPEG基が、リンカー配列(配列番号3)内に位置するグリカンを介してFVIIIポリペプチドに結合している分子、または(v)非共有結合性相互作用により一緒になった、重鎖-リンカー配列(A1-a1-A2-a2-L)および軽鎖配列(a3-A3-C1-C2)からなる2本鎖Bドメイン切断型FVIII分子であって、リンカー(L)が、20アミノ酸残基のリンカー配列(SFSQNSRHPSQNPPVLKRHQ)(配列番号3)であり、重鎖(A1-a1-A2-a2)および軽鎖(a3-A3-C1-C2)が、配列番号1のそれぞれアミノ酸番号1〜740および1649〜2332に表される配列に相当し、1個もしくは複数のPEG基が、リンカー配列(配列番号3)内に位置するグリカンを介してFVIIIポリペプチドに結合している分子、または(vi)改変された循環半減期を有するBドメイン切断型FVIII分子であって、前記分子が、切断されたBドメインにおけるO-結合型オリゴ糖を介して親水性ポリマーと共有結合によりコンジュゲートしており、FVIII活性化が、共有結合によりコンジュゲートしたポリマーの除去をもたらし、その異なる具体的な実施形態において、親水性ポリマーが、ポリエチレングリコール(PEG)、PSAおよびHEPである分子、(vii)改変された循環半減期を有するBドメイン切断型第VIII因子分子であって、前記分子が、切断されたBドメインにおけるO-結合型オリゴ糖を介して親水性ポリマーと共有結合によりコンジュゲートしており、(i)第VIII因子活性化が、共有結合によりコンジュゲートした親水性ポリマーの除去をもたらし、(ii)FVIII前駆体ポリペプチドの重鎖および軽鎖部分が、リンカーにより離間し、リンカーの配列が、FVIII Bドメインに由来し、一実施形態において、Bドメインの長さが、20〜30アミノ酸である分子、または(vi)Advate(登録商標)の活性成分、または(vii)Helixate(登録商標)の活性成分、または(viii)Kogenate(登録商標)の活性成分、または(ix)Xyntha(登録商標)の活性成分、または(x)Thim L.ら(Haemophilia 2010;16:349〜359)に記載されている通りに製造されるFVIII分子、または(xi)WO2009108806に記載されている通りに製造されるFVIII分子である。酸化防止 抗酸化剤の効果は、酸素(空気)を置き換えて製品と接触しないようにすることにより達成できる。特定の実施形態において、製剤は、抗酸化剤を含まず、その代わりに、酸化に対するFVIIIの感受性は、大気を排除するか、または酸素(空気)を置き換えて製品と接触しないようにすることにより制御される。これは、例えば、窒素、ヘリウムまたはアルゴンのいずれかで液体製剤を飽和させ、製品上の空気を該ガスに置き換えた後に最終容器を密封することにより達成することができる。酸素(空気)を置き換える操作は、例えば「脱気」プロセスとして行ってもよく、その場合、(i)不活性ガス(アルゴン、ヘリウムまたは窒素)に曝露すること、および/または(ii)製剤を含有するチャンバーを大気圧より低い圧力まで排気することを1または複数サイクル行うことにより製剤を処理する。特定の一実施形態において、製剤を滅菌濾過し、バイアルに分配し、3サイクルの純N2曝露により脱気し、0.1bar圧力にチャンバーを短時間で排気することにより散在させ、次に、ヘッドスペースに純N2を含ませてバイアルを密封する。 当然ながら、抗酸化剤の使用を、大気の排除と組み合わせてもよい。さらに、製剤は、光から保護されてよく、当然ながら、前記保護は、大気の排除および抗酸化剤の使用のいずれか一方または両方と組み合わせてよい。 よって、本発明はまた、本明細書に定義されている液体水性医薬品製剤と、必要に応じて不活性ガスとを含有する気密容器[例えば、バイアルまたはカートリッジ(ペン型アプリケーター用のカートリッジ等)]を提供する。不活性ガスは、窒素、ヘリウムまたはアルゴンからなる群から選択され得る。本文脈において、用語「気密容器」は、酸素(空気)に対し低透過性を有する容器を意味する。容器(例えば、バイアルまたはカートリッジまたはシリンジ)は、典型的には、必要に応じてゴム隔膜または医薬品製剤の統合性を保存しつつ貫通を可能にする他の閉鎖手段により閉鎖された、ガラスまたはプラスチック、特にガラスでできている。さらに別の実施形態において、容器は、密封された袋、例えば、積層型等の密封されたプラスチック袋[例えば、金属(アルミニウム等)積層型プラスチック袋]に封入されたバイアルまたはカートリッジである。投与および処置 本発明の一実施形態において、製剤は、対象への投与に企図される医薬品製剤である。製剤は、典型的には、シリンジ、必要に応じて、ペン様(pen-like)シリンジを用いた皮下、筋肉内、腹腔内または静脈内注射により行うことのできる非経口的投与により投与される。あるいは、非経口的投与は、注入ポンプを用いて行うことができる。 本発明は、血友病Aを処置する方法であって、本発明に係る製剤を、それを必要とする対象に投与する工程を含む方法も包含する。 本明細書における用語「対象」は、あらゆるヒト患者または非ヒト脊椎動物を含む。 本明細書における用語「処置する」または「処置」は、それを必要とするいずれかのヒトまたは他の脊椎動物対象の医学的治療法を指す。前記対象は、医師または獣医師による身体検査を受け、該医師または獣医師により、前記特異的処置の使用が前記ヒトまたは他の脊椎動物の健康に有益であることを示す暫定的または確定的診断が下されたことが予想される。前記処置のタイミングおよび目的は、対象の健康の現状(status quo)に応じて個体毎に変動し得る。よって、前記処置は、予防的、緩和的、対症的および/または治癒的処置であり得る。本発明の観点から、予防的、緩和的、対症的および/または治癒的処置は、本発明の別々の態様を表すことができる。 前記血友病Aは、重度、中等度または軽度であってもよい。血友病Aの臨床的重症度は、血液中のFVIIIの機能単位の濃度により決定され、軽度、中等度または重度として分類される。重度血友病は、正常レベルの<1%に相当する、<0.01U/mlの凝血因子レベルにより定義され、一方、中等度および軽度患者は、それぞれ1〜5%および>5%レベルを有する。浸透圧濃度 以前には容積オスモル濃度として公知の浸透圧濃度は、溶液1リットル(L)当たりの溶質のオスモル数(Osm)(オスモル/LまたはOsm/L)として定義される、溶質濃度の尺度である。容積モル濃度は、溶液の単位容量当たりの溶質のモル数を測定するが、一方、容積オスモル濃度は、溶液の単位容量当たりの溶質粒子のオスモル数を測定する。重量オスモル濃度は、溶媒1キログラム当たりの溶質のオスモルの尺度(オスモル/kgまたはOsm/kg)である。容積モル濃度および容積オスモル濃度は、理論的には温度依存性である。これは、水が温度によりその容量を変化させるために生じる。しかし、溶質の濃度が低い場合、容積オスモル濃度と重量オスモル濃度とは同等であると考えられる。 浸透圧濃度の理論的計算は当業者に周知である。簡潔に述べると、溶液の構成成分毎に、浸透圧係数f、水中で分子が解離する粒子数nおよびモル濃度の積を計算し、全構成成分の結果を合計する。 よって、溶液の浸透圧濃度は、次の数式から計算することができる:Osm/L=ΣifiniCi(式中、指数iは、特定の構成成分の識別を表し;fiは、特定の構成成分の浸透圧係数であり;nは、水中で分子が解離する粒子数であり;Cは、構成成分のモル濃度である)。先に述べた通り、モル濃度は、僅かな温度依存性を有する;本発明の目的のため、本発明者らは、25℃における濃度を指す。 注射後に溶液により生じ得る浸透圧を評価する代替法は、構成成分の含量を溶媒質量と比較して評価する、重量オスモル濃度の評価による方法である。溶液の密度および溶解された構成成分の乾燥質量が公知の場合、重量オスモル濃度および浸透圧濃度は、容易に相互変換することができる。重量オスモル濃度は、多数の方法で測定でき、最も一般的には凝固点降下により測定できる。例えば、水に関して、1kgの水に添加された1オスモルの溶質は、凝固点を1.86℃低下させる。凝固点降下により溶液の重量オスモル濃度を測定するための方法は、例えば、欧州薬局方2.2.35および米国薬局方第785章に記載されている。 下表に、いくつかの重要な賦形剤の浸透圧係数および粒子数nを列挙する。他の構成成分に関して、f=1の値で実用目的に十分な優れた概算値が得られ、nの値は、非経口使用のための医薬品調製物に関連する実質的に全ての化合物に関して周知である。 本発明の異なる実施形態において、製剤は、1.50Osm/Lを下回る、1.20Osm/Lを下回る、1.00Osm/Lを下回るまたは0.90Osm/Lを下回る計算浸透圧濃度を有する。FVIII製剤における賦形剤の安定化効果を確認するための加速アッセイ そこで、本発明者らは、化学的タンパク質変性剤を含めて短時間で試料をインキュベートする加速アッセイにより、多価タンパク質の液体製剤における賦形剤の安定化効果を正確に確認できることをさらに発見した。 よって、タンパク質変性剤と第VIII因子分子(アナログ(analoque)および誘導体を含む)の液体製剤とのインキュベーションと、続く解析[例えば、実施例の章に記載されている分子ふるいクロマトグラフィー(SEC)による]は、迅速な製剤調査に有用なツールである。試料は、例えば、実施例の章に記載されている発色アッセイにより、活性に関して解析することもできる。本発明に係る方法は、加速安定性試験を行う迅速かつ信頼できる方法を提供する。方法は、試料の長期貯蔵を回避するおよび/または被験試料をストレス条件に晒すことを回避する方法を提供する。ストレス条件は、得られた結果をリアルタイム条件下に外挿することを困難なものとし得る。本発明に係る方法は、遊離軽鎖の形成が少ないFVIII製剤の試料を迅速かつ正確に同定する方法を提供する、即ち、安定的製剤を迅速かつ正確に同定する方法を提供する。 所定の製剤のリアルタイム安定性データを得るのに数ヶ月間またはさらには数年間を要する場合、本方法は、短期間で、典型的には1週間以内に、典型的にはさらに24〜48時間以内にデータを提供する。 化学的タンパク質変性剤は、極端な温度、機械的ストレスまたは光等、外部ストレスによってではなく、溶液の組成によってタンパク質構造を不安定化することを特徴とする。化学的タンパク質変性剤の例は、塩化グアニジウム、尿素、チオ尿素、エタノールおよび当業者に周知の他の化合物等、カオトロピック剤である。5.5を下回るまたは8.0を上回るpHの条件もまた、第VIII因子の化学的変性剤として機能する可能性がある。 本発明の一実施形態において、変性剤は、塩化グアニジウム(GuHCl)である。別の一実施形態において、変性剤は、尿素である。一連の一実施形態において、変性剤は、0.1〜1.0M、例えば、0.2〜0.8Mまたは0.2Mまたは0.4M等の濃度の塩化グアニジウムである。別の一連の実施形態において、変性剤は、1〜5M、例えば、1〜3Mまたは1〜2M等の濃度の尿素である。 製剤は、インタクトな第VIII因子分子の存在を探索するいずれかの方法により解析することができる。インタクトな第VIII因子分子と、解離した軽鎖もしくは解離した重鎖のいずれかとに対して別々のシグナルをもたらす、または全3種に対して別々のシグナルをもたらすクロマトグラフィー方法が特に適する。 一実施形態において、製剤は、分子ふるいクロマトグラフィーにより解析される。別の一実施形態において、製剤は、フィールドフロー分画により解析される。別の一実施形態において、製剤は、イオン交換クロマトグラフィーにより解析される。別の一実施形態において、製剤は、疎水性相互作用クロマトグラフィーにより解析される。別の一実施形態において、製剤は、分析的超遠心分離により解析される。当業者に周知の他の分離方法を同様に用いることができる。インキュベーション時間および温度: FVIII製剤に変性剤を添加した後に、変性剤含有製剤は、典型的には、約5℃で少なくとも1時間、より好ましくは24時間以上インキュベートされる。異なる実施形態において、インキュベーション時間は、12〜240時間、12〜120時間、または24〜120時間、または24〜60時間である。実施形態の列挙 次に、本発明の多数の異なる実施形態について記述する。実施形態1:第VIII因子ポリペプチドと、少なくとも15mMの濃度のカルシウム塩と、少なくとも10mMの濃度のナトリウム塩とを含み、6.0〜7.5のpHを有する、凝固第VIII因子の液体水性製剤。実施形態2:20〜45mMの濃度のカルシウム塩を含む、実施形態1に記載の製剤。実施形態3:塩が、塩化カルシウムである、実施形態1または実施形態2に記載の製剤。実施形態4:ナトリウム塩の濃度が、最大で100mMである、実施形態1〜3のいずれか一つの実施形態に記載の製剤。実施形態5:ナトリウム塩が、塩化ナトリウムまたは酢酸ナトリウムである、実施形態1〜4のいずれか一つの実施形態に記載の製剤。実施形態6:少なくとも200mMの濃度の糖類または糖アルコールをさらに含有する、実施形態1〜5のいずれか一つの実施形態に記載の製剤。実施形態7:少なくとも200mM、最大で800mMの濃度のスクロースを含有する、実施形態6に記載の製剤。実施形態8:少なくとも400mMの濃度のソルビトールを含有する、実施形態6に記載の製剤。実施形態9:第VIII因子ポリペプチドが、組換え全長FVIIIまたは組換えBドメイン切断型FVIIIである、実施形態1〜8のいずれか一つの実施形態に記載の製剤。実施形態10:第VIII因子ポリペプチドが、遅延基に結合している、実施形態9に記載の製剤。実施形態11:第VIII因子ポリペプチドが、ペグ化FVIIIまたはアルブミン融合FVIIIまたはFc領域融合FVIIIである、実施形態10に記載の製剤。実施形態12:第VIII因子ポリペプチドが、糖ペグ化Bドメイン切断型FVIIIである、実施形態10に記載の製剤。実施形態13:6.0〜7.0または6.4〜7.0のpHを有する、実施形態1〜12のいずれか一つの実施形態に記載の製剤。実施形態14:凝固第VIII因子の液体製剤を最適化するための方法であって、(i)検査しようとする第VIII因子を含む種々の液体製剤を用意する工程と、(ii)前記液体製剤にタンパク質変性剤を添加し、得られた溶液を所定の期間インキュベートする工程と、(iii)(ii)のインキュベートされた溶液を遊離FVIII軽鎖の存在に関して解析する工程と、(iv)所望の低レベルの遊離軽鎖を有する1種または複数の製剤を選択する工程とを含む方法。実施形態15:第VIII因子の安定的な液体製剤を同定するための方法であって、(i)検査しようとする第VIII因子を含む種々の液体製剤を用意する工程と、(ii)前記液体製剤にタンパク質変性剤を添加し、得られた溶液を所定の期間インキュベートする工程と、(iii)(ii)のインキュベートされた溶液を遊離FVIII軽鎖の存在に関して解析する工程と、(iv)所望の低レベルの遊離軽鎖を有する1種または複数の製剤を選択する工程とを含む方法。実施形態16:タンパク質変性剤が、塩化グアニジウム(guadinium chloride)または尿素である、実施形態14または実施形態15に記載の方法。実施形態17:第VIII因子ポリペプチドが、組換え全長FVIIIまたは組換えBドメイン切断型FVIIIである、実施形態14〜16のいずれか一つの実施形態に記載の方法。実施形態18:第VIII因子ポリペプチドが、遅延基に結合している、実施形態17に記載の方法。実施形態19:第VIII因子ポリペプチドが、ペグ化FVIIIまたはアルブミン融合FVIIIまたはFc領域融合FVIIIである、実施形態18に記載の方法。実施形態20:第VIII因子ポリペプチドが、糖ペグ化Bドメイン切断型FVIIIである、実施形態19に記載の方法。 さらに別の実施形態を次に記す。実施形態21.第VIII因子ポリペプチドと、少なくとも15mMの濃度のカルシウム塩と、少なくとも100mMの濃度のポリオールとを含み、5.5〜7.0のpHを有する、凝固第VIII因子の液体水性製剤。実施形態22:15〜100mMまたは20〜45mMの濃度のカルシウム塩を含む、実施形態21に記載の製剤。実施形態23:塩が、塩化カルシウムである、実施形態21または実施形態22に記載の製剤。実施形態24:計算浸透圧濃度が、最大で1500mOsm/Lまたは1000mOsm/Lまたは900mOsm/Lである、実施形態21〜23のいずれか一つの実施形態に記載の製剤。実施形態25:ナトリウム塩をさらに含む、実施形態21〜24のいずれか一つの実施形態に記載の製剤。実施形態26:ナトリウム塩が、塩化ナトリウムもしくは酢酸ナトリウム、またはこれらの混合物である、実施形態25に記載の製剤。実施形態27:ポリオールが、糖類または糖アルコールである、実施形態21〜26のいずれか一つの実施形態に記載の製剤。実施形態28:少なくとも200mM、最大で800mMの濃度のスクロースを含有する、実施形態27に記載の製剤。実施形態29:少なくとも400mMの濃度のソルビトールを含有する、実施形態27に記載の製剤。実施形態30:第VIII因子ポリペプチドが、組換え全長FVIIIまたは組換えBドメイン切断型FVIIIである、実施形態21〜29のいずれか一つの実施形態に記載の製剤。実施形態31:第VIII因子ポリペプチドが、遅延基に結合している、実施形態21〜30のいずれか一つの実施形態に記載の製剤。実施形態32:第VIII因子ポリペプチドが、ペグ化FVIIIまたはアルブミン融合FVIIIまたはFc領域融合FVIIIである、実施形態31に記載の製剤。実施形態33:第VIII因子ポリペプチドが、糖ペグ化Bドメイン切断型FVIIIである、実施形態31または実施形態32に記載の製剤。実施形態34:6.0〜7.0または6.4〜7.0のpHを有する、実施形態21〜33のいずれか一つの実施形態に記載の製剤。実施形態35:凝固第VIII因子の液体製剤を最適化するための方法であって、(i)検査しようとする第VIII因子を含む種々の液体製剤を用意する工程と、(ii)前記液体製剤にタンパク質変性剤を添加し、得られた溶液を所定の期間インキュベートする工程と、(iii)(ii)のインキュベートされた溶液を遊離FVIII軽鎖の存在に関して解析する工程と、(iv)所望の低レベルの遊離軽鎖を有する1種または複数の製剤を選択する工程とを含む方法。実施形態36:第VIII因子の安定的な液体製剤を同定するための方法であって、(i)検査しようとする第VIII因子を含む種々の液体製剤を用意する工程と、(ii)前記液体製剤にタンパク質変性剤を添加し、得られた溶液を所定の期間インキュベートする工程と、(iii)(ii)のインキュベートされた溶液を遊離FVIII軽鎖の存在に関して解析する工程と、(iv)所望の低レベルの遊離軽鎖を有する1種または複数の製剤を選択する工程とを含む方法。実施形態37:タンパク質変性剤が、塩化グアニジウムまたは尿素である、実施形態35または実施形態36に記載の方法。実施形態38:第VIII因子ポリペプチドが、組換え全長FVIIIまたは組換えBドメイン切断型FVIIIである、実施形態35〜37のいずれか一つの実施形態に記載の方法。実施形態39:第VIII因子ポリペプチドが、遅延基に結合している、実施形態38に記載の方法。実施形態40:第VIII因子ポリペプチドが、ペグ化FVIIIまたはアルブミン融合FVIIIまたはFc領域融合FVIIIである、実施形態39に記載の方法。実施形態41:第VIII因子ポリペプチドが、糖ペグ化Bドメイン切断型FVIIIである、実施形態39または実施形態40に記載の方法。実験略語のリストSEC 分子ふるいクロマトグラフィーLC 軽鎖GuHCl 塩化グアニジウムBDD-FVIII Bドメイン欠失/切断型第VIII因子GP-BDD-FVIII 糖ペグ化Bドメイン切断/欠失型第VIII因子組換えBドメイン切断/欠失型FVIIIの産生Bドメイン切断/欠失型FVIII(「BDD-FVIII」)(配列番号2): BDD-FVIIIの製造は、例えば、Thim L.ら(Haemophilia 2010; 16:349〜359)に記載されている。糖ペグ化Bドメイン切断/欠失型FVIII(「GP-BDD-FVIII」): GP-BDD-FVIIIの製造は、例えば、WO2009/108806に記載されている。FVIII-Fc/アルブミン融合タンパク質: HEK細胞における一過性発現と、続く親和性カラムF25セファロースおよびPoros 50 HQにおける3段階精製により、第VIII因子がそれぞれFcドメイン(配列番号4)またはアルブミン(配列番号5)に融合された融合タンパク質を調製した。配列番号(SEQI ID NO)4-Fc融合体:配列番号5-アルブミン融合体:FVIIIa活性アッセイ:発色アッセイ rFVIII化合物のFVIII活性(FVIII:C)を、Coatest(登録商標)SP FVIII試薬(Chromogenix社)を用いた発色FVIIIアッセイで以下のように評価する:rFVIII試料およびFVIII標準(例えば、NIBSC社製の第7国際FVIII標準に対して較正された、精製された野生型rFVIII)を、Coatest(登録商標)アッセイ緩衝液(50mM Tris、150mM NaCl、1%BSA、pH7.3、保存料含有)で希釈する。50μlの試料、標準および緩衝液陰性対照を、96ウェルマイクロタイタープレート(Nunc社)に2回複製して加える。Coatest(登録商標)SPキットの第IXa因子/第X因子試薬、リン脂質試薬およびCaCl2を5:1:3(vol:vol:vol)で混合し、その75μlをウェルに加える。室温における15分間のインキュベーション後に、50μlの第Xa因子基質S-2765/トロンビン阻害剤I-2581ミックスを加え、試薬を10分間室温でインキュベートし、その後、25μlの1Mクエン酸、pH3を加える。Spectramax(登録商標)マイクロタイタープレートリーダー(Molecular Devices社)において、620nmにおける吸光度を参照波長として用いて、415nmにおける吸光度を測定する。全試料から陰性対照の値を差し引き、FVIII濃度に対してプロットした吸光度値の直線回帰により較正曲線を作成する。FVIIIa活性アッセイ:一段階(One-Stage)血液凝固アッセイ rFVIII化合物のFVIII活性(FVIII:C)を、一段階FVIII血液凝固アッセイで以下のようにさらに評価する:rFVIII試料およびFVIII標準(例えば、NIBSC社製の第7国際FVIII標準に対して較正された、精製された野生型rFVIII)をHBS/BSA緩衝液(20mM hepes、150mM NaCl、pH7.4、1%BSA含有)で希釈しておよそ10U/mlとし、続いてVWFを含有するFVIII欠損血漿(Dade Behring社)において10倍希釈する。その後、試料をHBS/BSA緩衝液において希釈する。単一因子プログラムを用いたACL300RまたはACL5000装置(Instrumentation Laboratory社)を用いて、APTT血液凝固時間を測定する。VWF含有FVIII欠損血漿(Dade Behring社)をアッセイ血漿として用い、SynthASil(登録商標)(Hemosil(登録商標)、Instrumentation Laboratory社)をPTT試薬として用いる。血液凝固装置において、希釈された試料または標準を、37oCでFVIII欠損血漿およびPTT試薬と混合する。塩化カルシウムを添加し、濁度を測定することにより、血餅が形成されるまでの時間を決定する。試料におけるFVIII:Cを、FVIII標準の希釈物の血餅形成時間の標準曲線に基づき計算する。FVIII分解:分子ふるいクロマトグラフィー(SEC)によるFVIII遊離軽鎖の決定 遊離重鎖および軽鎖を生じるrFVIII化合物の解離を、SEC方法により評価する。カラムは、Sepax Zenix(商標)SEC-300であり、溶離液は、10mM Tris、10mM CaCl2、300mM NaClおよび5%イソプロパノール、pH7.0である。第VIII因子分子の分解は、SECにおいて、モノマー第VIII因子よりも長い溶出時間を有するピークの出現として観察される。このピークを遊離軽鎖(遊離LC)に割り当てた。実用的な実施例(WORKING EXAMPLES) 全製剤において、次の構成成分を含有する糖ペグ化第VIII因子(GP-BDD-FVIII)の一連の製剤を調製した:28μg/mL糖ペグ化第VIII因子、18mg/mL NaCl、0.1mg/mLポリソルベート80、0.6mg/mLスクロース、0.055mg/mLメチオニン、1.5mg/mLヒスチジン、0.13mg/mL CaCl2、pH6.5。それに加えて、各製剤は、次のtable 1(表2)に列挙される通り、追加的なポリオール安定剤を含有した。 試料を5週間5℃でインキュベートし、SEC(上述)により遊離軽鎖に関して解析した。加えて、同一製剤を有するが0.2M GuHClも含有する試料セットを調製し、24時間5℃でインキュベートし、続いてSECにより遊離軽鎖に関して解析した。2種の実験における遊離軽鎖ピークの相対面積を次のtable 2(表3)に列挙する。 化学的変性剤による迅速な方法によって、製剤3が5週間5℃での遊離軽鎖の形成が最少であったことをが正確に確認されることが分かる。 糖ペグ化第VIII因子(GP-BDD-FVIII)の液体製剤における最適カルシウム濃度を調査するために、約250U/mL糖ペグ化第VIII因子、18mg/mL NaCl、0.05mg/mLポリソルベート80、1.5mg/mLスクロース、1mg/mLメチオニンおよび1.5mg/mLヒスチジンpH6.9を有する製剤を調製した。塩化カルシウム濃度を次のtable 3(表4)に列挙する。 溶液を滅菌濾過し、バイアルに分配し、3サイクルの純N2曝露により脱気し、0.1bar圧力にチャンバーを短時間で排気することにより散在させ、ヘッドスペースに純N2を含ませてバイアルを密封した。8週間30℃および26週間5℃の後に、試料をSEC HPLC(上述)により解析し、37週間5℃の後に活性(発色アッセイ、上述)を解析した。さらに、同じカルシウム濃度ならびに130μg/mL糖ペグ化第VIII因子、0.2M GuHCl、18mg/mL NaCl、0.1mg/mLポリソルベート80、3mg/mLスクロース、0.055mg/mLメチオニンおよび1.5mg/mLヒスチジン、pH6.9を用いて、迅速なスクリーニング実験を構築した。試料を24時間5℃でインキュベートした。 下のtable 4(表5)は、異なる条件下で得られる遊離軽鎖の相対量および第VIII因子活性を列挙する。 5℃において、3から10mMへとカルシウム濃度を増加させると、37週間にわたってより優れた活性保存が明らかに生じ、26週間にわたる遊離軽鎖の形成がより少ない。これは、化学的変性剤によるアッセイにより、僅か24時間後に予測することができるが、30℃における加速安定性は、最低限度の差しか示さなかった。さらなる安定化は、カルシウムを10から30mMにすることにより得られる。重ねて、これは、化学的変性アッセイにより十分に予測されるが、30℃における加速安定性によっては予測されない。 130μg/mL糖ペグ化第VIII因子(GP-BDD-FVIII)、0.4M GuHCl、18mg/mL NaCl、3.9mM CaCl2、0.1mg/mLポリソルベート80、3mg/mLスクロース、0.055mg/mLメチオニンおよび1.5mg/mLヒスチジン、pH6.9ならびに異なる追加的な濃度の糖類を有する製剤を調製することにより、糖類の安定化効果を調査した。試料を24時間5℃でインキュベートし、SEC(上述)により解析した。異なる安定剤により得られる遊離軽鎖の相対面積を次のtable 5(表6)に列挙する。 第VIII因子の液体製剤の安定化において、3糖類全てが効率的であることが分かる。 糖ペグ化第VIII因子(GP-BDD-FVIII)の液体安定性におけるpH、NaCl濃度、酢酸ナトリウム(NaOAc)濃度、塩化カルシウム濃度およびスクロース濃度の効果を、多因子実験において0.35M GuHClの存在下で調査した。 全試料は、150μg/mL GP-BDD-FVIIIおよび0.1mg/mLポリソルベート80を含有した。他の構成成分を下のtable 6(表7)に示す。これらの製剤は全て、900mOsm/Lを下回る計算浸透圧濃度を有し、開発中の医薬品製剤の一部ではないGuHClの含量は考慮に入れない。試料を5日間5℃でインキュベートし、SEC(上に記載)により解析した。遊離軽鎖ピークの相対面積もこの表に列挙する。 NaClおよびNaOAcの非存在下、10mM CaCl2含有およびスクロース不含において、最多の遊離軽鎖形成が観察されることが分かる(製剤37、40および43)。カルシウム濃度を30mMに増加させ、300または600mMとなるようスクロースを加え、NaClまたはNaOAcを加えることは全て、遊離軽鎖の形成を減少させる。最も遅い遊離軽鎖形成は、200mM NaOAc、30mM CaCl2および600mMスクロースにより観察される(製剤30、33および36)。 ほぼ同様に優れているのは、200mM NaCl、30mM CaCl2および600mMスクロースを有する試料である(製剤12、15および18)。pHの異なる値の間の差は、実験変動の範囲内である。これらの結果は、30mMカルシウムおよび300または好ましくは600mMスクロースの安定化効果を確認し、ナトリウムの完全な非存在が、水溶液中の第VIII因子の安定性にとって有害であることも示唆する。 NaClまたはNaOAcの最適濃度を評価するために、化学的変性剤として尿素を用いる実験を行った。GuHClは、それ自体が塩であるため、他の塩の最適濃度の決定に干渉し得る。 全試料は、100μg/mL糖ペグ化FVIII(GP-BDD-FVIII)、1.6M尿素、30mM CaCl2、570mMスクロースおよび0.1mg/mLポリソルベート80を含有した。ヒスチジン、NaClおよび酢酸Na(NaOAc)の濃度を、96時間5℃後の遊離軽鎖の相対面積と共に、下のtable 7(表8)に列挙する。SEC(上述)により遊離LCの含量を測定した。この表は、上述の通りに計算される浸透圧(osmostic)濃度も列挙し、開発されている医薬品製剤の一部ではない尿素の含量は考慮に入れない。 遊離軽鎖の形成が、ナトリウム塩を全く含有しない製剤において最も多いことが分かる。10mM NaClまたは10mM NaOAcの添加は、安定性を改善する。最大160mMまでNaClをさらに添加してもさらに安定化することはなく、恐らく僅かに不安定化し、一方、最大160mMのNaOAcの添加は、僅かに安定化する。 GP-BDD-FVIIIの多数の製剤を調製した。全製剤は、10mM L-ヒスチジン、0.02mg/mLポリソルベート80、0.5mg/mLポロキサマー188、0.37mM L-メチオニン、310mM NaClおよび0.6mg/mLスクロースを含有し、6.4に調整されたpHを有した。製剤は、約250U/mLのGP-BDD-FVIIIおよび異なる濃度のCaCl2を含有した。溶液を滅菌濾過し、バイアルに分配し、3サイクルの純N2曝露により脱気し、0.1bar圧力にチャンバーを短時間で排気することにより散在させた。ヘッドスペースにN2を含ませてバイアルを閉鎖し、5℃でインキュベートした。4および8週間のインキュベーション後に、分子ふるいクロマトグラフィー(SEC、上述)により試料を解析した。下のTable 8(表9)は、異なる製剤のこのピークの相対面積を示す。 遊離軽鎖の量の増加が、10mM CaCl2よりも15mM CaCl2においてより遅く、20mM CaCl2においてさらにより遅く、30mM CaCl2においてさらになおより遅いことが分かる。30、45、60および100mM CaCl2の間の遊離軽鎖形成における変動は、実験的不確実性の範囲内である。 Fcドメイン(配列番号4)またはアルブミン(配列番号5)に融合された第VIII因子の一連の製剤を調製した。これらのタンパク質は、推定長持続時間作用を有する。Fc融合タンパク質の製剤は、約200U/ml第VIII因子誘導体、10mMイミダゾール、pH7.3、0.1mg/mlポリソルベート80、0.5Mグリセロール、0.25M NaClおよび0.6M GuHClを含有した。アルブミン融合タンパク質の製剤は、約500U/ml第VIII因子誘導体、10mMイミダゾール、pH7.3、0.1mg/mlポリソルベート80、0.5Mグリセロール、0.25M NaClおよび0.6M GuHClを含有した。それに加えて、製剤は、異なる濃度のスクロースおよびCaCl2を含有した。製剤を約24時間5℃でインキュベートし、分子ふるいクロマトグラフィー(SEC、上述)により解析した。次のTable 9(表10)は、CaCl2およびスクロース濃度ならびに測定された相対軽鎖面積を列挙する。 これらの第VIII因子誘導体に、加速アッセイも適用可能であることが分かる。30mMのカルシウム濃度および500mMのスクロース濃度が、第VIII因子誘導体の液体安定性に有益効果を有することも分かる。 BDD-FVIIIの一連の製剤を調製した。全製剤は、次の構成成分を共通して含んでいた:約2500IU/ml BDD-FVIII、310mM NaCl、20mMヒスチジン、6mg/mlスクロース、0.11mg/mlメチオニン、0.2mg/mlポリソルベート80および0.4M塩酸グアニジン。製剤は、3〜100mMの範囲内の異なる濃度の塩化カルシウムをさらに含有した。製剤を5℃で約24時間インキュベートし、分子ふるいクロマトグラフィー(SEC、上述)により解析した。次のTable 10(表11)は、異なる濃度のCaCl2の軽鎖の相対積分を列挙する。 BDD-FVIIIが、10mMを上回るようカルシウムの濃度を増加させることにより安定化され、値30〜100mMがほぼ等しく有効であることが分かる。 BDD-FVIIIの一連の製剤を調製した。全製剤は、次の構成成分を共通して含んでいた:約500IU/ml BDD-FVIII、310mM NaCl、7mMヒスチジン、2mg/mlスクロース、0.04mg/mlメチオニン、0.07mg/mlポリソルベート80および0.6M塩酸グアニジン。製剤は、1〜30mMの範囲内の異なる濃度の塩化カルシウムをさらに含有した。試料を4日間5℃でインキュベートし、発色アッセイ(Coatest(登録商標)SP FVIII、上述)により第VIII因子活性に関してアッセイした。測定された活性を次表に列挙する。 生物学的活性アッセイを用いて加速安定性スクリーニングを行うこともできることが分かる。 BDD-FVIIIの一連の製剤を調製した。全製剤は、次の構成成分を共通して含んでいた:約2000IU/ml BDD-FVIII、0.6M GuHCl、30mM CaCl2、570mMスクロース、0.1mg/mlポリソルベート80、40mM NaClおよび10mMヒスチジン。pHの値は、5.5〜7.2の間で変動した。全製剤は、開発されている医薬品製剤の一部ではないGuHClの含量を考慮に入れず、約743mOsm/Lの計算浸透圧濃度を有した。製剤を5℃で3日間インキュベートし、分子ふるいクロマトグラフィー(SEC、上述)により解析した。次表は、異なるpH値の軽鎖の相対積分を列挙する。 6.5前後のpH値が最も有利であることが分かる。 GP-BDD-FVIIIの2種の製剤を調製した。両方の製剤は、約290U/ml GP-BDD_FVIII、10mMヒスチジン、30mM CaCl2、1.5mg/mlプルロニックF68、600mMスクロースを含有し、6.7に調整されたpHを有した。一方の製剤はNaClを含有せず、もう一方は、78mM NaClを含有した。NaClを含有しない製剤は、約700mOsm/Lの計算浸透圧濃度を有し、78mM NaClを含有する製剤は、約845mOsm/Lの計算浸透圧濃度を有した。溶液を滅菌濾過し、バイアルに分配し、3サイクルの純N2曝露により脱気し、0.1bar圧力にチャンバーを短時間で排気することにより散在させ、ヘッドスペースに純N2を含ませてバイアルを密封した。試料を5℃または-80℃で52週間インキュベートし、発色アッセイにより活性を測定した。下表は、結果を列挙する。 両方の製剤において活性が非常によく保存されており、5℃で貯蔵された試料は、-80℃で貯蔵された参照と基本的に同じ活性を示したことが分かる。 GP-BDD-FVIIIの8種の製剤を調製した。全製剤は、約300U/ml GP-BDD-FVIII、30mM CaCl2、0.1mg/mlポリソルベート80および500mMスクロースを含有した。製剤は、異なる濃度のヒスチジン、NaCl、酢酸Naを含有し、下表に詳述されている通り、異なる値のpHとなるよう調整された。溶液を滅菌濾過し、バイアルに分配し、3サイクルの純N2曝露により脱気し、0.1bar圧力にチャンバーを短時間で排気することにより散在させ、ヘッドスペースに純N2を含ませてバイアルを密封した。試料を5℃または-80℃で32週間インキュベートし、発色方法により活性を測定した。この結果も表に列挙する。 5℃で貯蔵された試料が、-80℃で貯蔵された参照とほぼ同じ活性を示し、活性が、pH6.4〜6.9で特に良く保存されていることが分かる。 GP-BDD-FVIIIの8種の製剤を調製した。全製剤は、約290U/ml GP-BDD_FVIII、0.3mMメチオニン、30mM CaCl2、0.1mg/mlポリソルベート80および10mMヒスチジンを含有し、6.5のpHを有した。製剤は、下表に詳述する通り、異なる濃度のスクロースおよびNaClを含有した。溶液を滅菌濾過し、バイアルに分配し、3サイクルの純N2曝露により脱気し、0.1bar圧力にチャンバーを短時間で排気することにより散在させ、ヘッドスペースに純N2を含ませてバイアルを密封した。試料を5℃または-80℃で32週間インキュベートし、発色方法により活性を測定した。この結果も表に列挙する。 9mMスクロースを含有する製剤を除いて、5℃で貯蔵された試料が、-80℃で貯蔵された参照とほぼ同じ活性を示すことが分かる。明らかに、安定的な液体第VIII因子製剤に関して以前に記載された値よりもはるかに低いNaCl濃度であっても、より高いスクロース濃度は、製剤に高い安定性を付与する。 全長第VIII因子[Kogenate(商標)]の4種の製剤を調製した。全製剤は、500IU/ml第VIII因子、0.6M GuHCl、20mMヒスチジン、38mM NaCl、0.1mg/mlポリソルベート80、pH6.9を含有した。加えて、製剤は、異なる量のCaCl2およびスクロースを含有した。製剤を約24時間5℃でインキュベートし、SECクロマトグラフィーにより遊離LC含量に関してアッセイした。結果を下表に列挙する。 全長第VIII因子もまた、カルシウムおよびスクロース濃度の増加により、重鎖からの軽鎖の解離に対し安定化され、カルシウムおよびスクロース濃度の両方が増加されると特に安定化されることが分かる。 GP-BDD-FVIIIの6種の製剤を調製した。全製剤は、30mM CaCl2および0.055mg/ml L-メチオニンを含有した。他の構成成分は、下表に列挙されている通りである。溶液を滅菌濾過し、バイアルに分配し、3サイクルの純N2曝露により脱気し、0.1bar圧力にチャンバーを短時間で排気することにより散在させ、ヘッドスペースに純N2を含ませてバイアルを密封した。製剤を9ヶ月間-80℃または5℃で貯蔵し、発色アッセイにより活性に関してアッセイした。結果を表に列挙する。 活性が、9ヶ月間5℃の後に十分に保存されることが分かる。 BDD-FVIIIの2種の製剤を調製した。両方の製剤は、30mM CaCl2、10mMヒスチジン、570mMスクロース、78mM NaCl、0.1mg/mlポリソルベート80および0.055mg/ml L-メチオニンを含有し、6.7に調整されたpHを有した。製剤は、下表に列挙されている通り、異なる濃度の第VIII因子を有した。溶液を滅菌濾過し、バイアルに分配し、3サイクルの純N2曝露により脱気し、0.1bar圧力にチャンバーを短時間で排気することにより散在させ、ヘッドスペースに純N2を含ませてバイアルを密封した。製剤を9ヶ月間-80℃または5℃で貯蔵し、発色アッセイにより活性に関してアッセイした。結果を表に列挙する。 活性が、9ヶ月間5℃の後に十分に保存されることが分かる。 本発明のある特定の特色を本明細書において説明および記載したが、当業者であれば、多くの修正、置換、変更および均等物を想定できよう。したがって、添付の特許請求の範囲が、本発明の本質の範囲内に収まるものとしてこのような修正および変更の全てを包含するよう企図されていることを理解されたい。 第VIII因子分子と、 10mMを超える濃度のカルシウム塩と、 少なくとも100mMの濃度の糖類および/またはポリオールとを含み、5.5〜7.5のpHを有する、凝固第VIII因子の液体水性製剤。 第VIII因子分子と、 少なくとも15mMの濃度のカルシウム塩と、 少なくとも100mMの濃度の糖類および/またはポリオールとを含み、5.5〜7.5のpHを有する、請求項1に記載の凝固第VIII因子の液体水性製剤。 カルシウム塩が、15〜100mM、または15〜80mM、または15〜60mM、または15〜45mM、または20〜100mM、または20〜80mM、または20〜60mM、または20〜45mM、または20〜40mM、または25〜35mMの濃度で存在する、請求項1または2に記載の製剤。 カルシウム塩が、酢酸カルシウムもしくは乳酸カルシウムもしくは安息香酸カルシウムもしくは塩化カルシウム、またはこれらの2種以上の混合物である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の製剤。 塩が、塩化カルシウムである、請求項4に記載の製剤。 少なくとも5mMの濃度のナトリウム塩をさらに含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の製剤。 ナトリウム塩が、5〜500mM、または15〜200mM、または15〜150mM、または15〜100mM、または50〜150mM、または5〜50mMの濃度で存在する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の製剤。 ナトリウム塩が、塩化ナトリウムもしくは酢酸ナトリウム、またはこれらの混合物である、請求項6または7に記載の製剤。 ポリオールが、単糖類もしくは二糖類、もしくは糖アルコール、またはこれらの組み合わせである、請求項1〜8のいずれか一項に記載の製剤。 単糖類もしくは二糖類および/または糖アルコールが、スクロース、ソルビトール、グリセロール、ラフィノース、スタキオース、マンニトール、ソルビトール、またはこれらの混合物の群から選択される、請求項9に記載の製剤。 単糖類もしくは二糖類および/または糖アルコールが、少なくとも100mM、または少なくとも200mM、または100〜1800mM、または300〜1800mM、または100〜1500mM、または200〜1800mM、または200〜1500mM、または100〜1000mM、または200〜1000mM、または300〜1000mM、または200〜800mM、または300〜800mM、または400〜800mM、または500〜800mM、または500〜700mMの濃度で存在する、請求項9または10に記載の製剤。 50〜600mg/mL、または100〜600mg/mL、または100〜450mg/mL、または150〜450mg/mL、または150〜300mg/mLの濃度のスクロースを含有する、請求項1〜11のいずれか一項に記載の製剤。 少なくとも400mMの濃度のソルビトールを含有する、請求項1〜12のいずれか一項に記載の製剤。 前記ソルビトールが、100〜800mg/mL、または100〜650mg/mL、または150〜650mg/mL、または150〜500mg/mL、または150〜250mg/mLの濃度で存在する、請求項13に記載の製剤。 製剤の計算浸透圧濃度が、最大で1500mOsm/L、1200mOsm/L、1000mOsm/L、または900mOsm/Lである、請求項1〜14のいずれか一項に記載の製剤。 5.5〜7.5、または6.0〜7.0、または6.3〜6.7のpHを有する、請求項1〜15のいずれか一項に記載の製剤。 第VIII因子分子が、組換え全長FVIIIまたは組換えBドメイン切断型FVIIIである、請求項1〜16のいずれか一項に記載の製剤。 第VIII因子分子が、FVIII誘導体またはFVIIIアナログである、請求項1〜16のいずれか一項に記載の製剤。 第VIII因子分子が、ペグ化FVIII、またはアルブミン融合FVIIIもしくはFc領域融合FVIII等のFVIII融合タンパク質である、請求項18に記載の製剤。 第VIII因子分子が、糖ペグ化Bドメイン切断型FVIIIである、請求項19に記載の製剤。 FVIII分子が、非共有結合性相互作用により一緒になった、重鎖-リンカー配列(A1-a1-A2-a2-L)および軽鎖配列(a3-A3-C1-C2)からなる2本鎖Bドメイン切断型FVIII分子であって、リンカー(L)が、20アミノ酸残基のリンカー配列(SFSQNSRHPSQNPPVLKRHQ)(配列番号3)であり、重鎖(A1-a1-A2-a2)および軽鎖(a3-A3-C1-C2)が、配列番号1のそれぞれアミノ酸番号1〜740および1649〜2332に表される配列に相当する、請求項1〜17のいずれか一項に記載の製剤。 FVIII分子が、非共有結合性相互作用により一緒になった、重鎖-リンカー配列(A1-a1-A2-a2-L)および軽鎖配列(a3-A3-C1-C2)からなる2本鎖Bドメイン切断型FVIII分子であって、リンカー(L)が、20アミノ酸残基のリンカー配列(SFSQNSRHPSQNPPVLKRHQ)(配列番号3)であり、重鎖(A1-a1-A2-a2)および軽鎖(a3-A3-C1-C2)が、配列番号1のそれぞれアミノ酸番号1〜740および1649〜2332に表される配列に相当し、1個または複数のPEG基が、リンカー配列(配列番号3)内に位置するグリカンを介してFVIIIポリペプチドに結合している、請求項1〜20のいずれか一項に記載の製剤。 (i)検査しようとする第VIII因子を含む1種または複数の液体製剤を用意する工程と、 (ii)前記液体製剤にタンパク質変性剤を添加し、得られた溶液を所定の期間インキュベートする工程と、 (iii)(ii)のインキュベートされた溶液を解離した第VIII因子の存在に関して解析する工程と、 (iv)所望の低レベルの解離した第VIII因子を有する1種または複数の製剤を選択する工程とを含む、凝固第VIII因子の液体製剤を最適化するための方法。 (i)検査しようとする第VIII因子を含む1種または複数の液体製剤を用意する工程と、 (ii)前記液体製剤にタンパク質変性剤を添加し、得られた溶液を所定の期間インキュベートする工程と、 (iii) (ii)のインキュベートされた溶液を解離した第VIII因子の存在に関して解析する工程と、 (iv)所望の低レベルの解離した第VIII因子を有する1種または複数の製剤を選択する工程と を含む、第VIII因子の安定的な液体製剤を同定するための方法。 タンパク質変性剤が、塩化グアニジウムまたは尿素である、請求項23または24に記載の方法。 第VIII因子分子が、組換え全長FVIIIまたは組換えBドメイン切断型FVIIIである、請求項23〜25のいずれか一項に記載の方法。 第VIII因子分子が、FVIII誘導体またはFVIIIアナログである、請求項23〜25のいずれか一項に記載の方法。 第VIII因子ポリペプチドが、糖ペグ化Bドメイン切断型FVIIIである、請求項26または27に記載の方法。 本発明は、第VIII因子分子と、10mMを超える濃度のカルシウム塩と、少なくとも100mMの濃度の糖類および/またはポリオールとを含み、5.5〜7.5のpHを有する、凝固第VIII因子の液体水性製剤を対象にする。本発明は、凝固第VIII因子の液体製剤を最適化するための方法であって、(i)検査しようとする第VIII因子を含む1種または複数の液体製剤を用意する工程と、(ii)前記液体製剤にタンパク質変性剤を添加し、得られた溶液を所定の期間インキュベートする工程と、(iii)(ii)のインキュベートされた溶液を解離した第VIII因子の存在に関して解析する工程と、(iv)所望の低レベルの解離した第VIII因子を有する1種または複数の製剤を選択する工程とを含む方法をさらに提供する。配列表