生命科学関連特許情報

タイトル:公表特許公報(A)_エンベロープウイルスを不活化するための方法および組成物
出願番号:2015525572
年次:2015
IPC分類:C12P 21/02,C12N 15/09,C12N 5/10


特許情報キャッシュ

コンリー,リン,エドワード タオ,インイン JP 2015525572 公表特許公報(A) 20150907 2015526635 20130806 エンベロープウイルスを不活化するための方法および組成物 バイオジェン・エムエイ・インコーポレイテッド 398050098 Biogen MA Inc. 葛和 清司 100102842 コンリー,リン,エドワード タオ,インイン US 61/680,039 20120806 C12P 21/02 20060101AFI20150811BHJP C12N 15/09 20060101ALI20150811BHJP C12N 5/10 20060101ALI20150811BHJP JPC12P21/02 CC12N15/00 AC12N5/00 102 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ US2013053781 20130806 WO2014025771 20140213 37 20150403 4B024 4B064 4B065 4B024AA01 4B024BA53 4B024BA63 4B024CA07 4B024CA20 4B024DA02 4B024GA11 4B024HA03 4B064AG20 4B064AG27 4B064CA10 4B064CA19 4B064CC24 4B064CE02 4B064CE10 4B064CE20 4B064DA01 4B065AA90X 4B065AA90Y 4B065AB01 4B065BA02 4B065BD13 4B065BD14 4B065CA44 関連出願本出願は、米国特許法第119条(e)に基づいて、2012年8月6日に出願された米国仮特許出願第61/680,039号(参照により、その全体が本明細書に組み込まれる)の利益を主張するものである。 本発明の態様および実施形態は、治療用タンパク質の製造技術の分野に関する。 治療用組換えタンパク質等の生物学的製剤は、げっ歯類細胞、昆虫細胞、または哺乳類細胞を使用して製造されることが多い。このような生物学的製剤の製造に付随する懸念は、細胞のウイルス感染に起因する潜在的なウイルス汚染である。この懸念を軽減するための1つの方法は、ウイルスを不活化することである。 一般的に、非イオン性界面活性剤を用いた細胞の処理は、例えば、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞に存在するマウス白血病ウイルス(MuLV)等のエンベロープウイルスを不活化するための有効な方法である。界面活性剤との反応によって、ウイルスの宿主細胞への付着に必要とされる脂質含有ウイルスエンベロープが破壊される。その結果、ウイルスの宿主細胞への付着および侵入が阻止される。古典的な溶媒/界面活性剤(SD)ウイルス不活化システムは、リン酸トリ−n−ブチル(TnBP)等の有機溶媒、およびポリソルベート80またはTRITON(登録商標)X−100等の非イオン性界面活性剤を用いるが、これは、タンパク質製造プロセスに悪影響を及ぼすのみならず、国によっては成分の生態毒性のために経済的および廃水の懸案事項も引き起こす。 本発明は、とりわけ、組換えタンパク質を調製する方法を提供し、それらの方法は、環境に優しく、費用効率の高い、タンパク質を変性しない双性イオン界面活性剤をイオンの不活化に用いる。本発明は、概して溶媒の非存在下でその臨界ミセル濃度(CMC)以上で使用される双性イオン界面活性剤が、例えば、治療用タンパク質(例えば、組換えタンパク質)の生物学的活性に有害な影響を及ぼすことなく、エンベロープウイルス(複数可)を効果的に不活化するという意外な発見に一部基づいている。 よって、本発明の種々の実施形態において、組換えタンパク質(例えば、治療用組換えタンパク質)等のタンパク質を調製する方法が本明細書に提供され、該方法は、タンパク質製剤を、エンベロープウイルスを不活化するのに十分な量の双性イオン界面活性剤と接触させることを含み(またはからなり、または本質的になり)、該量は、界面活性剤の臨界ミセル濃度を超える濃度であり、かつタンパク質の生物学的活性を阻害しない。本明細書で使用される場合、「接触させる」は、任意の2つ以上の成分を接触させることを意味し得る。本明細書に記載されるいずれのタンパク質も、例えば、治療用組換えタンパク質(例えば、抗体)等の治療用タンパク質であり得ることを理解されたい。したがって、本明細書に記載されるように、タンパク質を調製するいずれの方法が組換えタンパク質を調製するために使用されてもよく、またその逆も同様である。本発明の種々の態様および実施形態によるタンパク質/組換えタンパク質の非限定的な例は、本明細書の他の箇所に記載される。 いくつかの実施形態において、方法は、細胞培養培地で、タンパク質を発現する細胞を培養することをさらに含む。いくつかの実施形態において、方法は、タンパク質を精製することをさらに含む。いくつかの実施形態において、培養ステップの間および/または培養ステップの後および/または精製ステップ(例えば、複数の精製ステップが存在する場合、該精製ステップのうちのいずれか)の間に、タンパク質製剤を双性イオン界面活性剤と接触させる。 いくつかの実施形態において、臨界ミセル濃度を超える濃度は、双性イオン界面活性剤の臨界ミセル濃度の約2倍(2×)〜約10×である。いくつかの実施形態において、臨界ミセル濃度を超える濃度は、双性イオン界面活性剤の臨界ミセル濃度の1.5×、2×、2.5×、3×、3.5×、4×、4.5×、5×、5.5×、6×、6.5×、7×、7.5×、8×、8.5×、9×、9.5×、もしくは10×であるか、またはそれよりも高い。いくつかの実施形態において、双性イオン界面活性剤の臨界ミセル濃度は、双性イオン界面活性剤の臨界ミセル濃度の50×未満、または約50×未満である。 いくつかの実施形態において、約4logを超える(>104)エンベロープウイルスの不活化が達成される。いくつかの実施形態において、4log、5log、6log、7log、8log、9log、または10logを超えるエンベロープウイルスの不活化が達成される。いくつかの実施形態において、タンパク質製剤を双性イオン界面活性剤と接触させてから約30分〜約2時間以内に、4log、5log、6log、7log、8log、9log、または10logを超えるエンベロープウイルスの不活化が達成される。いくつかの実施形態において、タンパク質製剤を双性イオン界面活性剤と接触させてから1時間以内(例えば、約45分)に、4logを超えるかまたは約4logを超えるエンベロープウイルスの不活化が達成される。 いくつかの実施形態において、タンパク質は組換えタンパク質である。そのような実施形態において、組換えタンパク質は、腫瘍壊死因子(TNF)阻害剤であるか、またはそれを含み得る。いくつかの実施形態において、TNF阻害剤はエタネルセプトである。本明細書に記載の方法を用いて他の組換えタンパク質を調製することができることを認識されたい。 いくつかの実施形態において、エンベロープウイルスは、げっ歯類細胞株に関連する。いくつかの実施形態において、エンベロープウイルスは、異種指向性マウス白血病ウイルス(XMuLV)である。いくつかの実施形態において、エンベロープウイルスは、ブタヘルペスウイルス1(SuHV−1)である。いくつかの実施形態において、エンベロープウイルスは、哺乳類細胞株に関連する。 いくつかの実施形態において、双性イオン界面活性剤は、生態毒性であると分類されないか、または環境に優しいと見なされる。 いくつかの実施形態において、双性イオン界面活性剤は、N,N−ジメチルドデシルアミンN−オキシド(LDAO)、N−ドデシル−N,N−ジメチル−3−アンモニオ−1−プロパンスルホネート(スルホベタイン3−12)、N−テトラデシル−N,N−ジメチル−3−アンモニオ−1−プロパンスルホネート(スルホベタイン3−14)、またはN−ヘキサデシル−N,N−ジメチル−3−アンモニオ−1−プロパンスルホネート(スルホベタイン3−16)である。いくつかの実施形態において、双性イオン界面活性剤はLDAOである。LDAOは、ドデシル(ジメチル)アミンオキシド(DDAO)としても知られている。 いくつかの実施形態において、方法は、組換えタンパク質製剤を溶媒と接触させることを含まない。いくつかの実施形態において、有機溶媒リン酸トリ−n−ブチル(TnBP)は、本発明の種々の態様による方法から除外される。したがって、本発明のいくつかの実施形態によれば、タンパク質を調製する方法が本明細書に提供され、該方法は、タンパク質製剤を、エンベロープウイルスを不活化するのに十分な量の双性イオン界面活性剤と接触させることを含み(またはからなり、または本質的になり)、該量は、界面活性剤の臨界ミセル濃度を超える濃度であり、かつタンパク質の生物学的活性を阻害せず、該方法は、タンパク質製剤を、例えば、TnBP等の有機溶媒と接触させることを含まない。 いくつかの実施形態において、2つ以上の双性イオン界面活性剤の組み合わせが用いられてもよいことを認識されたい。 いくつかの態様において、本発明は、組換えタンパク質を調製する方法を提供し、該方法は、組換えタンパク質製剤を、エンベロープウイルスを不活化するのに十分な量のN,N−ジメチルドデシルアミンN−オキシド(LDAO)と接触することを含み(またはからなり、または本質的になり)、該量は、界面活性剤の臨界ミセル濃度の約2×〜約10×の濃度であり、かつ組換えタンパク質の生物学的活性を阻害しない。いくつかの実施形態において、組換えタンパク質は、腫瘍壊死因子(TNF)阻害剤であるか、またはそれを含む。いくつかの実施形態において、TNF阻害剤はエタネルセプトである。 種々の他の態様において、本発明は、(a)生物学的に活性な組換えタンパク質と、(b)エンベロープウイルスを不活化するのに十分な量の双性イオン界面活性剤とを含む(またはからなる、または本質的になる)組成物を提供し、該量は、界面活性剤の臨界ミセル濃度を超える濃度であり、かつ組換えタンパク質の生物学的活性を阻害しない。いくつかの実施形態において、組成物は、細胞培養培地を含む。 いくつかの実施形態において、臨界ミセル濃度を超える濃度は、双性イオン界面活性剤の臨界ミセル濃度の約2倍(2×)〜約10×である。いくつかの実施形態において、臨界ミセル濃度を超える濃度は、双性イオン界面活性剤の臨界ミセル濃度の1.5×、2×、2.5×、3×、3.5×、4×、4.5×、5×、5.5×、6×、6.5×、7×、7.5×、8×、8.5×、9×、9.5×、もしくは10×であるか、またはそれよりも高い。いくつかの実施形態において、双性イオン界面活性剤の臨界ミセル濃度は、双性イオン界面活性剤の臨界ミセル濃度の50×未満、または約50×未満である。 いくつかの実施形態において、約4logを超える(>104)エンベロープウイルスの不活化が達成される。いくつかの実施形態において、2log、3log、4log、5log、6log、7log、8log、9log、または10logを超えるエンベロープウイルスの不活化が達成される。いくつかの実施形態において、タンパク質製剤を双性イオン界面活性剤と接触させてから約30分〜約2時間以内に、2log、3log、4log、5log、6log、7log、8log、9log、または10logを超えるエンベロープウイルスの不活化が達成される。いくつかの実施形態において、タンパク質製剤を双性イオン界面活性剤と接触させてから1時間以内(例えば、約45分)に、4logを超えるかまたは約4logを超えるエンベロープウイルスの不活化が達成される。 いくつかの実施形態において、タンパク質は組換えタンパク質である。そのような実施形態において、組換えタンパク質は、腫瘍壊死因子(TNF)阻害剤であるか、またはそれを含み得る。いくつかの実施形態において、TNF阻害剤はエタネルセプトである。他の組換えタンパク質が、本明細書に提供される組成物中に存在し得ることを認識されたい。 いくつかの実施形態において、エンベロープウイルスは、げっ歯類細胞株に関連する。いくつかの実施形態において、エンベロープウイルスは、異種指向性マウス白血病ウイルス(XMuLV)である。いくつかの実施形態において、エンベロープウイルスは、ブタヘルペスウイルス1(SuHV−1)である。いくつかの実施形態において、エンベロープウイルスは、哺乳類細胞株に関連する。 いくつかの実施形態において、双性イオン界面活性剤は、生態毒性であると分類されないか、または環境に優しいと見なされる。 いくつかの実施形態において、双性イオン界面活性剤は、N,N−ジメチルドデシルアミンN−オキシド(LDAO)、N−ドデシル−N,N−ジメチル−3−アンモニオ−1−プロパンスルホネート(スルホベタイン3−12)、N−テトラデシル−N,N−ジメチル−3−アンモニオ−1−プロパンスルホネート(スルホベタイン3−14)、またはN−ヘキサデシル−N,N−ジメチル−3−アンモニオ−1−プロパンスルホネート(スルホベタイン3−16)である。いくつかの実施形態において、双性イオン界面活性剤はLDAOである。LDAOは、ドデシル(ジメチル)アミンオキシド(DDAO)としても知られている。 いくつかの実施形態において、組成物は溶媒を含まない。いくつかの実施形態において、有機溶媒リン酸トリ−n−ブチル(TnBP)は、本発明の種々の態様による組成物から除外される。したがって、本発明のいくつかの実施形態によれば、(a)生物学的に活性な組換えタンパク質と、(b)エンベロープウイルスを不活化するのに十分な量の双性イオン界面活性剤とを含む(またはからなる、または本質的になる)組成物が本明細書に提供され、該量は、界面活性剤の臨界ミセル濃度を超える濃度であり、かつ組換えタンパク質の生物学的活性を阻害せず、該組成物は、例えば、TnBP等の有機溶媒を含有しない(すなわち、含まない)。いくつかの実施形態において、そのような組成物は、細胞培養培地を含む。 本発明のいくつかの態様において、(a)TNF阻害剤と、(b)活性剤の臨界ミセル濃度の約2×〜約10×の濃度のN,N−ジメチルドデシルアミンN−オキシド(LDAO)、N−ドデシル−N,N−ジメチル−3−アンモニオ−1−プロパンスルホネート(スルホベタイン3−12)、N−テトラデシル−N,N−ジメチル−3−アンモニオ−1−プロパンスルホネート(スルホベタイン3−14)、またはN−ヘキサデシル−N,N−ジメチル−3−アンモニオ−1−プロパンスルホネート(スルホベタイン3−16)である双性イオン界面活性剤と、を含む(またはからなる、または本質的になる)組成物が本明細書に提供される。いくつかの実施形態において、双性イオン界面活性剤の量は、組換えタンパク質の生物学的活性を阻害することなくエンベロープウイルスを不活化するのに十分な濃度である。いくつかの実施形態において、組成物は、(a)エタネルセプトと、(b)N,N−ジメチルドデシルアミンN−オキシド(LDAO)とを含む。いくつかの実施形態において、組成物は、細胞培養培地を含む。いくつかの実施形態において、組成物は、有機溶媒を含有しない。 また、本発明のいくつかの態様において、(a)組換えタンパク質(例えば、精製された組換えタンパク質、例えば、精製された腫瘍壊死因子(TNF)阻害剤タンパク質)と、(b)組成物の0.05%未満の量の双性イオン界面活性剤とを含む組成物が本明細書に提供される。いくつかの実施形態において、TNF阻害剤はエタネルセプトである。いくつかの実施形態において、双性イオン界面活性剤はLDAOである。いくつかの実施形態において、組成物は、有機溶媒を含有しない。 いくつかの態様において、組換えタンパク質を調製する方法が本明細書にさらに提供され、該方法は、組換えTNF阻害剤タンパク質製剤を、製剤の0.01%〜0.20%重量/体積(w/v)の量のN,N−ジメチルドデシルアミンN−オキシド(LDAO)と接触させることを含む。いくつかの実施形態において、LDAOの量は、製剤の0.05%〜0.15%w/vの量である。いくつかの実施形態において、組換えTNF阻害剤タンパク質製剤は、溶媒を含有しない。表面張力対加えた界面活性剤の濃度のlogのグラフを示す。矢印は、臨界ミセル濃度(CMC)のポイントを指す。界面活性剤とともに室温で120分間インキュベートした後のウイルス不活化の結果のグラフを示す。 本発明の種々の態様および実施形態は、エンベロープウイルスを不活化するための有効な方法として、例えば、組換えタンパク質製剤等タンパク質製剤を双性イオン界面活性剤と接触させることを企図する。そのようにすることにより、界面活性剤との反応によって脂質含有ウイルスエンベロープが破壊され、ウイルスが宿主細胞に付着および侵入(例えば、感染)することができない。本明細書に記載の方法は、例えば、ヒト等の対象に投与される治療用組換えタンパク質を調製するのに特に有利である。本発明の多くの態様および実施形態によれば、組換えタンパク質製剤を双性イオン界面活性剤と接触させることにより、潜在的に危険なエンベロープウイルス(複数可)を不活化することができる。特に、多くの双性イオン界面活性剤は、無毒性、低コストであり、タンパク質を変性させないため、多くのそのような界面活性剤の使用は、既存の方法に勝る利点を提供する。驚くべきことに、これらの環境に優しい界面活性剤は、古典的な溶媒/界面活性剤(SD)ウイルス不活化システムに使用される他の界面活性剤の濃度よりもはるかに低い濃度でウイルス不活化剤として有効である。 したがって、治療用タンパク質(例えば、抗体、抗原、ホルモン、酵素等の治療用組換えタンパク質)、および治療用タンパク質を含む組成物を調製する方法が、本明細書に提供される。種々の態様および実施形態において、本発明による方法は、組換えタンパク質製剤を双性イオン界面活性剤と接触させることを含む。いくつかの実施形態において、界面活性剤の量は、エンベロープウイルスを不活化するのに十分である。いくつかの実施形態において、エンベロープウイルスを不活化するのに十分な界面活性剤の量は、界面活性剤の臨界ミセル濃度(CMC)を超える濃度である。いくつかの実施形態において、双性イオン界面活性剤の濃度は、組換えタンパク質の生物学的活性を阻害しない。 本発明による方法の1つの非限定的な例は、次の通りである:(a)組換えタンパク質を発現する細胞を細胞培養培地にて約7℃の温度で培養し、組換えタンパク質製剤を製造する;(b)組換えタンパク質製剤を周囲温度(約25℃)まで冷却し、製剤のpHを約5に調整する;(c)界面活性剤の臨界ミセル濃度を超えた、エンベロープウイルスを不活化するのに十分な濃度で組換えタンパク質製剤を双性イオン界面活性剤と接触させる;(d)組換えタンパク質を精製する。 本発明による方法の別の非限定的な例は、次の通りである:(a)組換えタンパク質を発現する細胞を細胞培養培地にて約37℃の温度で培養し、組換えタンパク質製剤を製造する;(b)組換えタンパク質製剤を周囲温度(約25℃)まで冷却し、製剤のpHを約5に調整する;(c)組換えタンパク質を精製する;(d)精製プロセスの間(例えば、複数の精製プロセスのいずれかの前または後)に、組換えタンパク質製剤を、界面活性剤の臨界ミセル濃度を超えた、エンベロープウイルスを不活化するのに十分な濃度の双性イオン界面活性剤と接触させる;(e)双性イオン界面活性剤を(例えば、最後の精製ステップの間に)除去する。 本明細書で使用される場合、タンパク質「製剤」または組換えタンパク質「製剤」は、それぞれ、非組換えタンパク質または組換えタンパク質を含有する組成物(典型的には液体)を指す。製剤は、例えば、馴化細胞培養培地(CCM)等の他の成分を含有し得る。馴化CCMは、細胞が一定期間培養された培地である。本発明のいくつかの実施形態によれば、組換えタンパク質を調製する方法は、組換えタンパク質製剤を、エンベロープウイルスを不活化するのに十分であり、かつ組換えタンパク質の生物学的活性を阻害しない量の双性イオン界面活性剤と接触させることを含む。そのような実施形態において、組換えタンパク質製剤は、本方法によって調製される組換えタンパク質(例えば、対象となる組換えタンパク質、例えば、エタネルセプト等の腫瘍壊死因子阻害剤)を含有することを理解されたい。本発明の種々の態様および実施形態は、組換えタンパク質を対象としているが、組換え型ではないタンパク質も、本発明の各態様および実施形態によって包含される。 本発明は、タンパク質精製プロセスの任意のステップを含む組換えタンパク質の調製/製造プロセスの任意のステップで、組換えタンパク質製剤を双性イオン界面活性剤と接触させることを企図すると理解されたい。タンパク質の精製方法については以下に詳述するが、親和性クロマトグラフィーおよび接線流濾過を非限定的に含む。例えば、親和性クロマトグラフィーの場合、親和性クロマトグラフィープロセスのいずれのステップで組換えタンパク質製剤を双性イオン界面活性剤と接触させてもよく、次いで、任意選択的に、結合および溶出ステップの間に除去することができる。別の例として、接線流濾過の場合、接線流濾過プロセスのいずれのステップで組換えタンパク質製剤を双性イオン界面活性剤と接触させてもよく、次いで、任意選択的に、限外濾過またはダイアフィルトレーションによって除去することができる:例えば、限外濾過およびダイアフィルトレーションは、組換えタンパク質製剤が臨界ミセル濃度未満まで希釈された場合、界面活性剤を除去することができる。したがって、組換えタンパク質製剤を臨界ミセル濃度未満まで希釈する前に、組換えタンパク質製剤を双性イオン界面活性剤と接触させてもよい。双性イオン界面活性剤 双性イオン分子は、分子内の異なる位置に正電荷および負電荷を有する中性分子である。双性イオン界面活性剤(例えば、双性イオン分子を含む界面活性剤)は、ウイルスエンベロープ中に存在するタンパク質等の生体高分子を可溶化するために本明細書において使用され得る。本発明の種々の態様および実施形態に従って使用され得る双性イオン界面活性剤の例は、限定されないが、1−ドデカノイル−グリセロ−3−ホスホコリン、3−[(3−コールアミドプロピル)ジメチルアンモニオ]−1−プロパンスルホン酸水和物、3−(4−tert−ブチル−1−ピリジニオ)−1−プロパンスルホン酸、3−(ベンジルジメチルアンモニオ)プロパンスルホン酸、ASB−14(アミドスルホベタイン−14,3−[N,N−ジメチル(3−イリストイルアミノプロピルアンモニオ]プロパンスルホン酸)、ASB−14−4(4−{N,N−ジメチル−N−[3−(テトラデカノイルアミノ)プロピル]アンモニオ}ブタンスルホネート)、ASB−16(アミドスルホベタイン−16)、ASB−C80(3−{N,N−ジメチル−N−[3−(4−オクチルベンゾイルアミノ)プロピル]アンモニオ}プロパンスルホン酸)、ASB−C6O(4−n−ヘキシルベンゾイルアミド−プロピル−ジメチルアンモニオスルホベタイン)、ASB−C8O(4−n−オクチルベンゾイルアミド−プロピル−ジメチルアンモニオスルホベタイン)、C7BzO(3−(4−ヘプチル)フェニル−3−ヒドロキシ−プロピル−ジメチルアンモニオ−スルホベタイン)、CHAPS(3−[(3−コールアミドプロピル)ジメチルアンモニオ]−1−プロパンスルホン酸)、CHAPSO(3−([3−コールアミドプロピル]ジメチルアンモニオ)−2−ヒドロキシ−1−プロパンスルホン酸)、DDMAB、DDMAU、ジメチルエチルアンモニウムプロパンスルホネート、DMPS(2,3−ジメルカプトプロパンスルホン酸ナトリウム一水和物)、EMPIGEN(登録商標)BB(N,N−ジメチル−N−ドデシルグリシンベタイン)、L−α−リゾホスファチジルコリン、ミルテホシン水和物、LDAO(DDAO,N,N−ジメチルドデシルアミンN−オキシド)、N−ドデシル−N,N−ジメチル−3−アンモニオ−1−プロパンスルホネート、NDSB211(3−[ジメチル−(2−ヒドロキシエチル)アンモニオ]−1−プロパンスルホン酸)、NDSB221(3−(1−メチルピぺリジニオ)−1−プロパンスルホン酸)、O−(デシルホスホリル)コリン、PMAL(登録商標)−B−100、PMAL(登録商標)−C8{ポリ(無水マレイン酸−alt−1−デセン)、3−(ジメチルアミノ)−1−プロピルアミン誘導体}、PMAL(登録商標)−C10{ポリ(無水マレイン酸−alt−1−ドデセン)、3−(ジメチルアミノ)−1−プロピルアミン誘導体}、PMAL(登録商標)−C12{ポリ(無水マレイン酸−alt−1−テトラデセン)、3−(ジメチルアミノ)−1−プロピルアミン誘導体}、スルホベタイン3−8(3−(N,N−ジメチルオクチルアンモニオ)プロパンスルホン酸内塩)、スルホベタイン3−10(3−(デシルジメチルアンモニオ)プロパンスルホン酸内塩)、スルホベタイン3−12(N−ドデシル−N,N−ジメチル−3−アンモニオ−1−プロパンスルホネート)、スルホベタイン3−14(3−(N,N−ジメチルミリスチルアンモニオ)プロパンスルホン酸)、スルホベタイン3−16(3−(N,N−ジメチルパルミチルアンモニオ)プロパンスルホン酸)、スルホベタイン3−18(3−(N,N−ジメチルオクタデシルアンモニオ)プロパンスルホン酸)、およびサーファクチンを含む。いくつかの実施形態において、LDAO、スルホベタイン3−12、スルホベタイン3−14、および/またはスルホベタイン3−16が、エンベロープウイルスを不活化するために使用される。いくつかの実施形態において、LDAOが、エンベロープウイルスを不活化するために使用される。 本明細書に記載される双性イオン界面活性剤のいずれも、使用される特定の界面活性剤の臨界ミセル濃度(CMC)以上の濃度で本発明に従って使用され得る。いくつかの実施形態において、CMCを超える濃度は、界面活性剤のCMCの2倍(2×)、2.5×、5×、もしくは10×であるか、またはおよそこれらの値である。いくつかの実施形態において、界面活性剤の濃度は、界面活性剤のCMCの15×、20×、または50×以下である。いくつかの実施形態において、界面活性剤の濃度は、界面活性剤のCMCの5×未満または2×未満である。いくつかの実施形態において、エンベロープウイルスを不活化するために使用される界面活性剤は、界面活性剤のCMCの2×、5×、または10×以下の濃度である。いくつかの実施形態において、LDAO、スルホベタイン3−12、スルホベタイン3−14、および/またはスルホベタイン3−16(単数/複数)は、それぞれ、LDAO、スルホベタイン3−12、スルホベタイン3−14、および/またはスルホベタイン3−16のCMCの20または約20×以下の濃度で、エンベロープウイルスを不活化するために使用される。いくつかの実施形態において、LDAOは、LDAOのCMCの10×以下の濃度で、エンベロープウイルスを不活化するために使用される。 いくつかの実施形態において、界面活性剤の濃度は、組換えタンパク質製剤の約0.01%〜0.2%重量/体積(w/v)(例えば、0.01%、0.02%、0.03%、0.04%、0.05%、0.06%、0.07%、0.08.0.09%、0.10%、0.11%、0.12%、0.13%、0.14%、0.15%、0.16%、0.17%、0.18%、0.19%、または0.20%w/v)である。いくつかの実施形態において、界面活性剤の濃度は、タンパク質製剤の約0.05%〜約0.15%w/vである。)。いくつかの実施形態において、界面活性剤の濃度は、組換えタンパク質製剤の約0.014%w/v(または0.014%w/v)である。 種々の実施形態において、双性イオン界面活性剤は、公共廃水処理施設に廃棄される有機化学物質に関する「ABC分類」に基づき、デンマークの廃水処理ガイド(Wastewater Disposal Guidelines for Denmark)に従ってクラスBまたはクラスC界面活性剤として分類され得る。A、B、およびC分類は次の通りである:A、潜在的な不可逆的な人体への害および/または高い水生毒性のために排除/交換されるべき界面活性剤ならびに非分解性の界面活性剤;B、確実に水質基準を遵守するために、界面活性剤の濃度は特定の限度内でなければならない;C、濃度制限なく廃棄することができる界面活性剤(A/Bに分類されない界面活性剤を含む)。いくつかの実施形態において、双性イオン界面活性剤は、クラスBまたはクラスCとして分類される。LDAOは、クラスCとして分類される一方で、スルホベタイン界面活性剤は、クラスBとして分類される。臨界ミセル濃度 臨界ミセル濃度(CMC)は、モノマーが自己組織化(例えば、自発的に形成)して非共有結合凝集体になる濃度を超える界面活性剤の濃度を指すと当該技術分野において理解される(Rosen M.Surfactants and Interfacial Phenomena.3rd ed.2004,Hoboken:John Wiley&Sons,Inc.;Helenius A.et al.,Methods Enzymol,1979,56:734−49;Mukerjee,P.,Mysels KJ,Critical Micelle Concentrations of Aqueous Surfactant Systems.Vol.NSRDS−NBS 36.1970,Washington,DC.:National Bureau of Standards)。CMCは、狭い濃度範囲にわたって生じ得る。界面活性剤の総濃度がCMC未満である場合、界面活性剤モノマーはバルク溶液中に遊離するが、CMCを超えてより多くの界面活性剤を加えると、さらなる界面活性剤モノマーがミセルを形成する。CMCを超える濃度では、界面活性剤が、脂溶性タンパク質とともに複合体を形成し、膜タンパク質を可溶化することができる。CMC未満では、界面活性剤は、膜タンパク質を可溶化することなく膜に分配される。界面活性剤/分子の正確な分子量がCMCに影響を及ぼし、CMCは、イオン強度および温度によって変化し得る。例えば、イオン性界面活性剤の場合、CMCは、溶液のイオン強度を増加させることによって低下させることができるが、温度による影響は比較的受けにくい。非イオン性界面活性剤および双性イオン界面活性剤の場合、CMCは、イオン強度の影響を比較的受けにくいが、より低い温度では有意に上昇し得る(Schick M.J.J.Phys.Chem.1963,67(9):1796−99;Qin X.,et al.J.Phys.Chem.B 2011,115:1991−98)。いくつかの物理・化学的因子も、所与の界面活性剤のCMCに影響を及ぼし得る。一般的に、CMCは、界面活性剤の疎水性が増加するにつれて低下する。CMCに直接影響を与える他の特性は、疎水性基および親水性基、ならびに電解質等の溶液添加剤の特徴を含む。 臨界ミセル濃度(CMC)は、表面張力測定(Mittal K.L.,J Pharm Sci,1972,61(8):1334−5、参照により本明細書に組み込まれる)および色素(例えば、アニリノ−1−ナフタレンスルホン酸)結合実験(De Vendittis E.et al.Anal Biochem,1981,115:278−286、参照により本明細書に組み込まれる)を含む種々の技法によって決定することができる(Schick,1963,Normand&Eisele,1993)。一般的に、CMCの値は、界面活性剤の濃度の上昇に伴う界面活性剤溶液の特定の物理化学特性(例えば、表面張力)における変化を特徴付けることによって決定することができる。例えば、CMCは、一連の異なる表面活性剤濃度における表面張力測定値を収集することにより決定することができる。濃度の関数としての特定の表面張力曲線を作成することができる(図1)。CMCポイントは、表面張力の直線的低下の急激な変化を特徴とする。G−BiosciencesのOptimizer−blueBALLS(商標)を使用した他の方法も市販されており、従来の色素可溶化法よりも便利であり得る。Optimizer blueBALLS(商標)は、膜タンパク質として挙動する疎水性の青色色素でコーティングされたガラス製のボールである。一連の界面活性剤溶液にボールを加えた後、ミセルが形成された溶液中で色素の可溶化が起こる。各溶液中の色素の量は、ミセルの数に正比例する。その結果、溶液に溶解した青色染色の濃度を示唆する光学密度プロットが得られ、観察されたデータ対界面活性剤濃度のプロット上の屈折点が、その界面活性剤のCMCに対応する。 双性イオン界面活性剤およびそれらの対応するCMCの例を表1に示す。 本明細書で使用される場合、双性イオン界面活性剤に関連して「エンベロープウイルスを不活化するのに十分な量」は、エンベロープウイルスの周囲にタンパク質のコートを形成する膜タンパク質の少なくとも一部を可溶化するのに効果的であり、それによってウイルスを溶解する、界面活性剤の臨界ミセル濃度以上の界面活性剤の量(例えば、濃度、体積、重量比)を指してもよい。いくつかの実施形態において、「エンベロープウイルスを不活化するのに十分な量」は、例えば、治療用組換えタンパク質の生物学的活性に有害な影響を及ぼす(例えば、阻害する)ことなく、ウイルスのタンパク質コートを破壊および/または溶解する双性イオン界面活性剤の量である。いくつかの実施形態において、「エンベロープウイルスを不活化するのに十分な量」は、その臨界ミセル濃度(CMC)の約2×〜約15×の双性イオン界面活性剤の濃度を指す。いくつかの実施形態において、「エンベロープウイルスを不活化するのに十分な量」は、CMCの1.5×、2×、2.5×、3×、2.5×、4×、4.5×、5×、5.5×、6×、6.5×、7×、7.5×、8×、8.5×、9×、9.5×、10×、10.5×、11×、11.5×、12×、12.5×、13×、13.5×、14×、14.5×、または15×の双性イオン界面活性剤の濃度を指す。いくつかの実施形態において、「エンベロープウイルスを不活化するのに十分な量」は、CMCの2.5×または5×の双性イオン界面活性剤の濃度を指す。 本明細書で使用される場合、組換えタンパク質が、双性イオン界面活性剤と接触した後に、生物学的活性の98%超、95%超、90%超、85%超、80%超、75%超、70%超、65%超、60%超、55%、または50%超を保持する場合、組換えタンパク質の生物学的活性が阻害されるとは見なされない。いくつかの実施形態において、組換えタンパク質が、双性イオン界面活性剤と接触した後に、生物学的活性の約98%超(もしくは98%超)または約95%超(もしくは95%超)を保持する場合、組換えタンパク質の生物学的活性は阻害されない。タンパク質活性アッセイは、当該技術分野で周知であり、その条件は、特定の組換えタンパク質に依存し得る。いずれのタンパク質活性アッセイが、本明細書に記載されるいずれの態様および/または実施形態とともに使用されてもよい。 本発明の種々の態様および実施形態において、方法および組成物は、溶媒、例えば、有機溶媒または無機溶媒を含まない。いくつかの実施形態において、方法および組成物は、リン酸トリ−n−ブチル(TnBP)を含まない。エンベロープウイルス 多くのウイルスは、それらのタンパク質カプシドを覆うウイルスエンベロープを有する。エンベロープは、典型的には宿主細胞膜の一部(リン脂質およびタンパク質)に由来するが、いくつかのウイルス糖タンパク質を含む。機能的に、ウイルスエンベロープは、ウイルスが宿主細胞に侵入するのを助けるために用いられる。エンベロープの表面上の糖タンパク質は、宿主の膜にある受容体部位を同定して結合する役割を果たす。次いで、ウイルスエンベロープは、宿主の膜に融合し、カプシドおよびウイルスゲノムが宿主に侵入して感染できるようにする。ウイルスの脂質二重層エンベロープは、界面活性剤に対する感受性が比較的高い。本発明の種々の態様および実施形態において、エンベロープウイルスを不活化する双性イオン界面活性剤は、破壊することによって、またいくつかの実施形態においてはウイルスエンベロープを溶解することによって、本明細書に提供される。本明細書に記載されるエンベロープウイルスは、DNAウイルス(一本鎖もしくは二本鎖)、RNAウイルス、または逆転写ウイルスとして分類することができる。エンベロープウイルスの例は、限定されないが、ヘルペスウイルス科(例えば、単純ヘルペスウイルス、水痘帯状疱疹ウイルス、サイトメガウイルス、エプスタイン・バーウイルス)、ヘパドナウイルス科(例えば、B型肝炎ウイルス)、トガウイルス科(例えば、風疹ウイルス)、アレナウイルス科(例えば、リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス)、フラビウイルス科(例えば、デングウイルス、C型肝炎ウイルス、黄熱病ウイルス)、オルトミクソウイルス科(例えば、インフルエンザウイルスA、インフルエンザウイルスB、インフルエンザウイルスC、イサウイルス、ソゴトウイルス)、パラミクソウイルス科(例えば、麻疹ウイルス、ムンプスウイルス、呼吸器多核体ウイルス、牛疫ウイルス、イヌジステンパーウイルス)、ブニヤウイルス科(例えば、カリフォルニア脳炎ウイルス、ハンタウイルス)、フィロウイルス科(例えば、エボラウイルス、マールブルグウイルス)、コロナウイルス科(例えば、コロナウイルス)、アストロウイルス科(例えば、アストロウイルス)、ボルナウイルス科(例えば、ボルナ病ウイルス)、およびアルテリウイルス科(例えば、アルテリウイルス、ウマ動脈炎ウイルス)を含む。 いくつかの実施形態において、組換えタンパク質の調製は、様々なサイズの攪拌タンクバイオリアクター内での単細胞懸濁液の使用を含む(Wurm F.M.(2004)Nat.Biotechnol.22,1393−98;Kretzmer G.(2002)Appl.Microbiol.Biotechnol.59,135−42;Chu L.et al.(2001)Curr.Opin.Biotechnol.12,180−87、参照により本明細書に組み込まれる)。細胞は、例えば、血清および/または他の動物由来成分の非存在下において、高い細胞密度での懸濁増殖のために最適化された培地中に維持してもよい。いくつかの実施形態において、細胞は、栄養添加物を加えることなく、全タンパク質製造段階の間に培養してもよい(バッチ培養)。いくつかの実施形態において、細胞生存率およびタンパク質産生を延長するために、定期的に栄養素を培養物に加えてもよい(長期培養または流加バッチ培養)。いくつかの場合において、温度を30℃〜33℃に低下させること、モル浸透圧濃度を上昇させること、または酪酸ナトリウムもしくはバルプロ酸等のヒストン脱アセチル化酵素阻害剤を添加することにより、バッチプロセスおよび流加バッチプロセスの両方においてタンパク質の生産性を向上させることができる。そのような追加ステップは、本明細書において企図される。 本発明の種々の態様および実施形態による細胞(組換え細胞を含む)は、限定されないが、げっ歯類細胞(例えば、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞)、昆虫細胞(例えば、ヨトウガ細胞)、および哺乳動物細胞(例えば、ヒト胎児由来腎臓293(HEK293)細胞)を含む。 組換えタンパク質を発現する細胞は、細胞の増殖および複製に適した様々な温度にわたって、例えば、4℃〜42℃で培養することができる。いくつかの実施形態において、細胞は、約37℃の温度で培養される。いくつかの実施形態において、細胞は約30℃〜約33℃の温度で培養される。いくつかの実施形態において、細胞を培養した後、組換えタンパク質製剤(例えば、細胞、CCM、および組換えタンパク質)を例えば、4℃まで冷却してから、組換えタンパク質製剤を双性イオン界面活性剤と接触させてもよい。細胞は、任意の所望の濃度の組換えタンパク質を発現させる/産生させるために必要な任意の時間培養することができる。 いくつかの実施形態において、組換えタンパク質を発現する細胞が細胞培養培地(CCM)中で培養された後、組換えタンパク質製剤のpHが調製される。製剤のpHは、約pH4.5〜約pH7.5の範囲内で調整され得る。いくつかの実施形態において、組換えタンパク質製剤のpHは、4.5、5.0、5.5、6.0、6.5、7.0、または7.5に調整される。いくつかの実施形態において、組換えタンパク質製剤のpHは、pH5、または約pH5に調整される。いくつかの実施形態において、pHは、双性イオン界面活性剤が中性になるpHまで調整される。 いくつかの実施形態において、組換えタンパク質は精製される。タンパク質の精製方法は、限定されないが、抽出、沈殿および差次的可溶化、超遠心分離法、およびクロマトグラフィー法、例えば、サイズ排除クロマトグラフィー、電荷または疎水性に基づく分離、イオン交換クロマトグラフィー、親和性クロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を含む。 組換えタンパク質製剤は、いずれの温度で、いずれのpHで、いずれの適切な時間、およびいずれの適切な条件下で(例えば、塩、緩衝液等の存在下または非存在下)双性イオン界面活性剤と接触させてもよいことを理解されたい。 いくつかの実施形態において、組換えタンパク質製剤は、約4℃〜約42℃の温度(例えば、4℃、5℃、6℃、7℃、8℃、9℃、10℃、11℃、12℃、13℃、14℃、15℃、16℃、17℃、18℃、19℃、20℃、21℃、22℃、23℃、24℃、25℃、26℃、27℃、28℃、29℃、31℃、32℃、33℃、34℃、35℃、36℃、37℃、38℃、39℃、41℃、41℃、または42℃)で双性イオン界面活性剤と接触させてもよい。例えば、いくつかの実施形態において、組換えタンパク質製剤は、約4℃または約25℃の温度で双性イオン界面活性剤と接触させてもよい。 いくつかの実施形態において、組換えタンパク質製剤は、約pH4.5〜約pH7.5のpH(例えば、4.5、5.0、5.5、6.0、6.5、7.0、または7.5のpH)で双性イオン界面活性剤と接触させてもよい。例えば、いくつかの実施形態において、pHは、4.5未満または7.5超であってもよい。 いくつかの実施形態において、組換えタンパク質製剤は、約15分(分)〜約48時間(時間)、またはそれ以上、双性イオン界面活性剤と接触させてもよい。例えば、いくつかの実施形態において、組換えタンパク質製剤は、15分、30分、45分、60分、2時間、12時間、18時間、24時間、36時間、または48時間、双性イオン界面活性剤と接触させてもよい。タンパク質/組換えタンパク質製剤 本明細書に記載されるタンパク質製剤は、(例えば、1つより多くの)例えば、組換えタンパク質(複数可)等のタンパク質(複数可)を含有し得る。種々の実施形態において、タンパク質は、治療用組換えタンパク質である。いくつかの実施形態において、治療用組換えタンパク質は、不十分または異常なタンパク質に取って代わり(例えば、内分泌疾患、うっ血、血栓症、代謝酵素欠乏、肺および消化器疾患、免疫不全の治療において)、既存の生物学的経路を増強し(例えば、造血発生、生殖能力、免疫調節)、新規機能または活性を提供し(例えば、巨大分子の酵素分解、小分子代謝産物の酵素分解、うっ血、血栓症)、分子または生物体に干渉し(例えば、癌、免疫調節、移植、肺疾患、感染疾患、うっ血および血栓症、内分泌疾患において)、他の化合物またはタンパク質を送達し、有害な外来性物質から保護し、自己免疫疾患を治療し、癌を治療するか、または診断用ツールとして使用される。 本明細書に記載される種々の態様および実施形態とともに使用するための治療用タンパク質の例は、限定されないが、インスリン(例えば、HUMULIN(登録商標)、NOVOLIN(登録商標))、ヒトインスリン吸入剤(例えば、EXUBERA(登録商標))、インスリンアスパルト(例えば、NOVOLOG(登録商標))、インスリングルリジン(例えば、APIDRA(登録商標))、インスリンリスプロ(例えば、HUMALOG(登録商標))、イソフェンインスリン(例えば、NPH)、インスリンデテミル(例えば、LEVEMIR(登録商標))、インスリングラルギン(例えば、LANTUS(登録商標))、長期作用型インスリン亜鉛(例えば、LENTE(登録商標)、ULTRALENT(登録商標))、プラムリンチド酢酸塩(例えば、SYMLIN(登録商標))、成長ホルモン(GH)、ソマトトロピン(例えば、GENOTROPIN(登録商標)HUMATROPE(登録商標)、NORDITROPIN(登録商標)、NUTROPIN(登録商標)、OMNITROPE(登録商標)、PROTROPIN(登録商標)、SIAZEN(登録商標)、SEROSTIM(登録商標)、VALTROPIN(登録商標))、メカセルミン(例えば、INCRELEX(登録商標))、メカセルミンリンファベート(例えば、IPlex)、第VIII因子(例えば、BIOCLATE(登録商標)、HELIXATE(登録商標)、KOGENATE(登録商標)、RECOMBINATE(登録商標)、REFACTO(登録商標))、第IX因子(例えば、BENEFIX(登録商標))、アンチトロンビンIII(例えば、THROMBATE III(登録商標))、プロテインC濃縮製剤(例えば、CEPROTIN(登録商標))、β−グルコセレブロシダーゼ(例えば、CEREZYME(登録商標))、β−グルコセレブロシダーゼ(例えば、CEREDASE(登録商標)(プールされたヒト胎盤から精製)、アルグルコシダーゼ−χ、アロニダーゼ/χ−l−イズロニダーゼ(例えば、ALDURAZYME(登録商標))、イデュルスルファーゼ/イズロネート−2−スルファターゼ(例えば、ELAPRASE(登録商標))、ガルスルファーゼ(例えば、NAGLAZYME(登録商標))、アガルシダーゼ−β/ヒトχ−ガラクトシダーゼA(例えば、FABRAZYME(登録商標))、χ−1−プロテアーゼ阻害剤(例えば、ARALAST(登録商標)、PROLASTIN(登録商標))、ラクターゼ(例えば、LACTAID(登録商標))、膵酵素(例えば、ARCO−LASE(登録商標)、COTAZYM(登録商標)、CREON(登録商標)、DONNAZYME(登録商標)、PANCREASE(登録商標)、VIOKAS(登録商標)E、ZYMASE(登録商標))、アデノシンデアミナーゼ(例えば、ADAGEN(登録商標))、プールされた免疫グロブリン(例えば、OCTAGAM(登録商標))、ヒトアルブミン(例えば、ALBUMARC(登録商標)、ALBUMIN(登録商標)、ALBUMINAR(登録商標)、ALBURX(登録商標)、ALBUTEIN(登録商標)、FLEXBUMIN(登録商標)、BUMINATE(登録商標)、PLASBUMIN(登録商標))、エリスロポエチン、エポエチン−χ(例えば、EPOGEN(登録商標)、PROCRIT)、ダルベポエチン−χ(例えば、ARANESP(登録商標))、フィルラスチム(例えば、NEUPOGEN(登録商標))、ペグフィルグラスチム(例えば、NEULASTA(登録商標))、サルグラモスチム(例えば、LEUKINE(登録商標))、オプレルベキン(例えば、NEUMEGA(登録商標))、ヒト卵胞刺激ホルモン(FSH)(例えば、GONAL−F(登録商標)、FOLLISTIM(登録商標))、ヒト絨毛性ゴナドトロピン(例えば、OVIDREL(登録商標))、ルトピン−χ(例えば、LUVERIS(登録商標))、I型αインターフェロン、インターフェロンアルファコン1、コンセンサスインターフェロン(例えば、INFERGEN(登録商標))、インターフェロン−χ2a(IFN χ2a)(例えば、ROFERON−A(登録商標))、ペグインターフェロン−χ2a(例えば、PEGASYS(登録商標))、インターフェロン−χ2b(IFN χ2b)(例えば、INTRO A(登録商標))、ペグインターフェロン−χ2b(PEG−INTRON(登録商標))、Interfron−χ n3(IFN χ n3)、alferon N、インターフェロン−β1a(rIFN−β)(例えば、AVONEX(登録商標)、REBIF(登録商標))、インターフェロン−β1b(rIFN−β)(例えば、BETASERON(登録商標))、インターフェロン−γ1b(IFN γ)(例えば、ACTIMMUNE(登録商標))、アルデスロイキン(例えば、PROLEUKIN(登録商標))、アルテプラーゼ(例えば、ACTIVASE(登録商標))、レテプラーゼ(例えば、RETAVASE(登録商標))、テネクテプラーゼ(TNKase)、ウロキナーゼ(例えば、ABBOKINASE(登録商標))、第VIIa因子(例えば、NOVOSEVEN(登録商標))、ドロトレコギン−χ(例えば、XIGRIS(登録商標))、サケカルシトニン(例えば、FORTICAL(登録商標)、MIACALIN(登録商標))、テリパラチド(例えば、FORTEO(登録商標))、エキセナチド(例えば、BYETTA(登録商標))、オクトレオチド(例えば、SANDOSTATIN)(登録商標)、ジボテルミン−χ(例えば、INFUSE(登録商標))、組換えヒト骨形態形成タンパク質7(例えば、骨原性タンパク質1)、ヒストレリン酢酸塩(例えば、SUPPRELIN(登録商標)LA、VANTAS(登録商標))、パリフェルミン(例えば、KEPIVANCE(登録商標))、ベカプレルミン(例えば、REGRANEX(登録商標))、トリプシン(例えば、GRANULEX(登録商標))、ネシリチド(例えば、NATRECOR(登録商標))、A型ボツリヌス毒素(例えば、BOTOX(登録商標))、B型ボツリヌス毒素(例えば、MYOBLOCK(登録商標))、コラゲナーゼ(例えば、Collagenase、SANTYL(登録商標))、ヒトデオキシリボヌクレアーゼI、ドルナーゼ−χ(例えば、PULMOZYME(登録商標))、ヒアルロニダーゼ(例えば、AMPHADASE(登録商標))、ヒアルロニダーゼ(例えば、HYLENEX(登録商標))、パピン(例えば、ACCUZYME(登録商標)、PANAFI(登録商標)L)、L−アスパラギナーゼ(例えば、ELSPAR(登録商標))、ペグ−アスパラギナーゼ(例えば、ONCASPAR(登録商標))、ラスブリカーゼ(例えば、ELITEK(登録商標))、レピルジン(例えば、REFLUDAN(登録商標))、ビバリルジン(例えば、ANGIOMAX(登録商標))、ストレプトキナーゼ(例えば、STREPTASE(登録商標))、アニストレプラーゼ(例えば、EMINASE(登録商標))、ベバシズマブ(例えば、AVASTIN(登録商標))、セツキシマブ(例えば、ERBITUX(登録商標))、パニツムマブ(例えば、VECTIBIX(登録商標))、アレムツズマブ(例えば、CAMPATH(登録商標))、リツキシマブ(例えば、RITUXAN(登録商標))、トラスツズマブ(例えば、HERCEPTIN(登録商標))、アバタセプト(例えば、ORENCIA(登録商標))、アナキンラ(例えば、ANTRIL(登録商標)、KINERET(登録商標))、アダリムマブ(例えば、HUMIRA(登録商標))、エタネルセプト(例えば、ENBREL(登録商標))、インフリキシマブ(例えば、REMICADE(登録商標))、アレファセプト(例えば、AMEVIVE(登録商標))、エファリズマブ(例えば、RAPTIVA(登録商標))、ナタリズマブ(例えば、TYSABRI(登録商標))、エクリズマブ(例えば、SOLIRIS(登録商標))、抗胸腺細胞グロブリン(例えば、THYMOGLOBULIN(登録商標))、バシリキシマブ(例えば、SIMULECT(登録商標))、ダクリズマブ(例えば、ZENAPAX(登録商標))、ムロモナブ−CD3(例えば、ORTHOCLONE(登録商標)、OKT3)、オマリズマブ(例えば、XOLAIR(登録商標))、パリビズマブ(例えば、SYNAGIS(登録商標))、エンフビルチド(例えば、FUZEON(登録商標))、アブシキシマブ(例えば、REOPRO(登録商標))、ペグビソマント(例えば、SOMAVERT(登録商標))、ガラガラヘビ多価免疫Fab(例えば、CROFAB(登録商標))、ジゴキシン抗血清(例えば、DIGIFAB(登録商標))、ラニビズマブ(例えば、LUCENTIS(登録商標))、デニロイキンジフチトクス(例えば、ONTAK(登録商標))、イブリツモマブチウキセタン(例えば、ZEVALIN(登録商標))、ゲムツズマブオゾガマイシン(例えば、MYLOTARG(登録商標))、ならびにトシツモマブおよびI−トシツモマブ(例えば、BEXXAR(登録商標)、BEXXAR(登録商標)I−131)を含む。 いくつかの実施形態において、治療用組換えタンパク質は、腫瘍壊死因子(TNF)阻害剤である。いくつかの実施形態において、TNF阻害剤はエタネルセプトである。組成物 (a)タンパク質(例えば、組換えタンパク質)と、(b)エンベロープウイルスを不活化するのに十分であり、かつタンパク質の生物学的活性を阻害しない量の双性イオン界面活性剤とを含み得る組成物が、本明細書に提供される。いくつかの実施形態において、組成物は、細胞培養培地を含む。いくつかの実施形態において、組成物は、溶媒を含有しない(すなわち、含まない)。しかし、いくつかの実施形態において、組成物は、微量の溶媒を含み得る。いくつかの実施形態において、組成物は、リン酸トリ−n−ブチル(TnBP)を含まない。 一態様において、本発明は、(a)組換えタンパク質と、(b)界面活性剤の臨界ミセル濃度を超える濃度の双性イオン界面活性剤とを含む組成物を提供し、該濃度は、エンベロープウイルスを不活化するのに十分であり、かつ組換えタンパク質の生物学的活性を阻害しない。本態様のいくつかの実施形態において、組成物は、細胞培養培地を含む。いくつかの実施形態において、組成物は、溶媒を含まない。いくつかの実施形態において、組成物は、リン酸トリ−n−ブチル(TnBP)を含まない。 別の態様において、本発明は、(a)組換えタンパク質と、(b)活性剤の臨界ミセル濃度の約2倍(2×)〜約10×の濃度の双性イオン界面活性剤とを含む組成物を提供する。本態様のいくつかの実施形態において、濃度は、臨界ミセル濃度の50×、40×、30×、20×、もしくは10×(またはおよそこれらの値)未満である。本態様のいくつかの実施形態において、濃度は、臨界ミセル濃度の約10×未満である。本態様のいくつかの実施形態において、組成物は、細胞培養培地を含む。いくつかの実施形態において、組成物は、溶媒を含まない。いくつかの実施形態において、組成物は、リン酸トリ−n−ブチル(TnBP)を含まない。 さらに別の態様において、本発明は、(a)組換えタンパク質と、(b)界面活性剤の臨界ミセル濃度を超える濃度の双性イオン界面活性剤とを含む組成物を提供し、該濃度は、双性イオン界面活性剤を組換えタンパク質製剤エンベロープウイルスと接触させてから1時間以内に約4logを超える(>104)エンベロープウイルスを不活化するのに十分であり、かつ組換えタンパク質の生物学的活性を阻害しない。本態様のいくつかの実施形態において、双性イオン界面活性剤の濃度は、双性イオン界面活性剤を組換えタンパク質製剤と接触させてから1時間以内に、3log超、4log超、5log超、6log超、7log超、8log超、9log超、または10log超(またはおよそこれらの値)のエンベロープウイルスの不活化を達成するのに十分である。本態様のいくつかの実施形態において、双性イオン界面活性剤の濃度は、双性イオン界面活性剤を組換えタンパク質製剤と接触させてから2時間以内に、3log超、4log超、5log超、6log超、7log超、8log超、9log超、または10log超(またはおよそこれらの値)のエンベロープウイルスの不活化を達成するのに十分である。本態様のいくつかの実施形態において、双性イオン界面活性剤の濃度は、双性イオン界面活性剤を組換えタンパク質製剤と接触させてから3時間以内に、3log超、4log超、5log超、6log超、7log超、8log超、9log超、または10log超(またはおよそこれらの値)のエンベロープウイルスの不活化を達成するのに十分である。本態様のいくつかの実施形態において、双性イオン界面活性剤の濃度は、双性イオン界面活性剤を組換えタンパク質製剤と接触させてから4時間以内に、3log超、4log超、5log超、6log超、7log超、8log超、9log超、または10log超(またはおよそこれらの値)のエンベロープウイルスの不活化を達成するのに十分である。本態様のいくつかの実施形態において、双性イオン界面活性剤の濃度は、双性イオン界面活性剤を組換えタンパク質製剤と接触させてから5時間以内に、3log超、4log超、5log超、6log超、7log超、8log超、9log超、または10log超(またはおよそこれらの値)のエンベロープウイルスの不活化を達成するのに十分である。本態様のいくつかの実施形態において、組成物は、細胞培養培地を含む。いくつかの実施形態において、組成物は、溶媒を含まない。本態様のいくつかの実施形態において、組成物は、リン酸トリ−n−ブチル(TnBP)を含まない。 さらに別の態様において、本発明は、(a)細胞培養培地と、(b)組換え腫瘍壊死因子(TNF)阻害剤と、(c)界面活性剤の臨界ミセル濃度を超える濃度の双性イオン界面活性剤とを含む組成物を提供し、該濃度は、エンベロープウイルスを不活化するのに十分であり、かつ組換えTNF阻害剤の生物学的活性を阻害しない。本態様のいくつかの実施形態において、双性イオン界面活性剤は、N,N−ジメチルドデシルアミンN−オキシド(LDAO)、N−ドデシル−N,N−ジメチル−3−アンモニオ−1−プロパンスルホネート(スルホベタイン3−12)、N−テトラデシル−N,N−ジメチル−3−アンモニオ−1−プロパンスルホネート(スルホベタイン3−14)、またはN−ヘキサデシル−N,N−ジメチル−3−アンモニオ−1−プロパンスルホネート(スルホベタイン3−16)である。本態様のいくつかの実施形態において、双性イオン界面活性剤はLDAOである。本態様のいくつかの実施形態において、エンベロープウイルスを不活化するのに十分な双性イオン界面活性剤の濃度は、双性イオン界面活性剤の臨界ミセル濃度の約2X(または2X)〜約10X(または10X)である。本態様のいくつかの実施形態において、組成物は、溶媒を含まない。本態様のいくつかの実施形態において、組成物は、リン酸トリ−n−ブチル(TnBP)を含まない。 さらなる態様において、本発明は、(a)細胞培養培地と、(b)エタネルセプトと、(c)界面活性剤の限界ミセル濃度を超える濃度の双性イオン界面活性剤とを含む組成物を提供し、該濃度は、エンベロープウイルスを不活化するのに十分であり、かつエタネルセプトの生物学的活性を阻害しない。本態様のいくつかの実施形態において、双性イオン界面活性剤はLDAOである。本態様のいくつかの実施形態において、エンベロープウイルスを不活化するのに十分な双性イオン界面活性剤の濃度は、双性イオン界面活性剤の臨界ミセル濃度の約2X(または2X)〜約10X(または10X)である。本態様のいくつかの実施形態において、組成物は、溶媒を含まない。いくつかの実施形態において、組成物は、リン酸トリ−n−ブチル(TnBP)を含まない。 別の態様において、本発明は、(a)細胞培養培地と、(b)組換えタンパク質と、(c)界面活性剤の限界ミセル濃度を超える濃度のN,N−ジメチルドデシルアミンN−オキシド(LDAO)、N−ドデシル−N,N−ジメチル−3−アンモニオ−1−プロパンスルホネート(スルホベタイン3−12)、N−テトラデシル−N,N−ジメチル−3−アンモニオ−1−プロパンスルホネート(スルホベタイン3−14)、またはN−ヘキサデシル−N,N−ジメチル−3−アンモニオ−1−プロパンスルホネート(スルホベタイン3−16)である双性イオン界面活性剤と、を含む組成物を提供し、該濃度は、エンベロープウイルスを不活化するのに十分であり、かつ組換えタンパク質の生物学的活性を阻害しない。本態様のいくつかの実施形態において、生物学的に活性な組換えタンパク質はエタネルセプトである。本態様のいくつかの実施形態において、組成物は、溶媒を含まない。本態様のいくつかの実施形態において、組成物は、リン酸トリ−n−ブチル(TnBP)を含まない。 さらに別の態様において、本発明は、(a)組換えタンパク質と、(b)界面活性剤の限界ミセル濃度を超える濃度の双性イオン界面活性剤とを含む組成物を提供し、該濃度は、エンベロープウイルスを不活化するのに十分であり、かつ組換えタンパク質の生物学的活性を阻害せず、組成物は溶媒を含まない。本態様のいくつかの実施形態において、組成物は、リン酸トリ−n−ブチル(TnBP)を含まない。いくつかの実施形態において、組成物は、細胞培養培地を含む。方法 タンパク質(例えば、組換えタンパク質)を調製する方法もまた、本明細書に提供される。該方法は、タンパク質製剤(例えば、組換えタンパク質製剤)を、エンベロープウイルスを不活化するのに十分な量の双性イオン界面活性剤と接触させることを含んでもよく、該量は、界面活性剤の臨界ミセル濃度を超える濃度であり、かつタンパク質の生物学的活性を阻害しない。 一態様において、本発明は、組換えタンパク質を調製する方法を提供し、該方法は、組換えタンパク質製剤を、界面活性剤の限界ミセル濃度を超える濃度の双性イオン界面活性剤と接触させることを含み、該濃度は、エンベロープウイルスを不活化するのに十分であり、かつ組換えタンパク質の生物学的活性を阻害しない。本態様のいくつかの実施形態において、方法は、タンパク質製剤を溶媒と接触させることを含まない。本態様のいくつかの実施形態において、方法は、タンパク質製剤をリン酸トリ−n−ブチル(TnBP)と接触させることを含まない。 別の態様において、本発明は、組換えタンパク質を調製する方法を提供し、該方法は、組換えタンパク質製剤を、界面活性剤の臨界ミセル濃度の約2倍(2×)〜約10×の濃度の双性イオン界面活性剤と接触させることを含む。本態様のいくつかの実施形態において、濃度は、臨界ミセル濃度の50×、40×、30×、20×、もしくは10×(またはおよそこれらの値)未満である。本態様のいくつかの実施形態において、濃度は、臨界ミセル濃度の10×未満である。本態様のいくつかの実施形態において、方法は、タンパク質製剤を溶媒と接触させることを含まない。本態様のいくつかの実施形態において、組成物は、タンパク質製剤をリン酸トリ−n−ブチル(TnBP)と接触させることを含む。 さらに別の実施形態において、本発明は、組換えタンパク質を調製する方法を提供し、該方法は、組換えタンパク質製剤を、界面活性剤の限界ミセル濃度を超える濃度の双性イオン界面活性剤と接触させることを含み、該濃度は、双性イオン界面活性剤を組換えタンパク質製剤エンベロープウイルスと接触させてから1時間以内に約4logを超える(>104)エンベロープウイルスの不活化するのに十分であり、かつ組換えタンパク質の生物学的活性を阻害しない。本態様のいくつかの実施形態において、双性イオン界面活性剤の濃度は、双性イオン界面活性剤を組換えタンパク質製剤と接触させてから1時間以内に、3log超、4log超、5log超、6log超、7log超、8log超、9log超、または10log超(またはおよそこれらの値)のエンベロープウイルスの不活化を達成するのに十分である。本態様のいくつかの実施形態において、双性イオン界面活性剤の濃度は、双性イオン界面活性剤を組換えタンパク質製剤と接触させてから2時間以内に、3log超、4log超、5log超、6log超、7log超、8log超、9log超、または10log超(またはおよそこれらの値)のエンベロープウイルスの不活化を達成するのに十分である。本態様のいくつかの実施形態において、双性イオン界面活性剤の濃度は、双性イオン界面活性剤を組換えタンパク質製剤と接触させてから3時間以内に、3log超、4log超、5log超、6log超、7log超、8log超、9log超、または10log超(またはおよそこれらの値)のエンベロープウイルスの不活化を達成するのに十分である。本態様のいくつかの実施形態において、双性イオン界面活性剤の濃度は、双性イオン界面活性剤を組換えタンパク質製剤と接触させてから4時間以内に、3log超、4log超、5log超、6log超、7log超、8log超、9log超、または10log超(またはおよそこれらの値)のエンベロープウイルスの不活化を達成するのに十分である。本態様のいくつかの実施形態において、双性イオン界面活性剤の濃度は、双性イオン界面活性剤を組換えタンパク質製剤と接触させてから5時間以内に、3log超、4log超、5log超、6log超、7log超、8log超、9log超、または10log超(またはおよそこれらの値)のエンベロープウイルスの不活化を達成するのに十分である。ウイルスのlog不活化を計算することは、当該技術分野で周知である。本態様のいくつかの実施形態において、該方法は、タンパク質製剤を溶媒と接触させることを含まない。いくつかの実施形態において、方法は、タンパク質製剤をリン酸トリ−n−ブチル(TnBP)と接触させることを含まない。 さらに別の態様において、本発明は、組換え腫瘍壊死因子(TNF)阻害剤を調製する方法を提供し、該方法は、組換えタンパク質製剤を、界面活性剤の限界ミセル濃度を超える濃度の双性イオン界面活性剤と接触させることを含み、該濃度は、エンベロープウイルスを不活化するのに十分であり、かつ組換えTNF阻害剤の生物学的活性を阻害しない。本態様のいくつかの実施形態において、双性イオン界面活性剤は、N,N−ジメチルドデシルアミンN−オキシド(LDAO)、N−ドデシル−N,N−ジメチル−3−アンモニオ−1−プロパンスルホネート(スルホベタイン3−12)、N−テトラデシル−N,N−ジメチル−3−アンモニオ−1−プロパンスルホネート(スルホベタイン3−14)、またはN−ヘキサデシル−N,N−ジメチル−3−アンモニオ−1−プロパンスルホネート(スルホベタイン3−16)である。本態様のいくつかの実施形態において、双性イオン界面活性剤はLDAOである。本態様のいくつかの実施形態において、エンベロープウイルスを不活化するのに十分な双性イオン界面活性剤の濃度は、双性イオン界面活性剤の臨界ミセル濃度の約2×(または2×)〜約10×(または10×)である。本態様のいくつかの実施形態において、方法は、タンパク質製剤を溶媒と接触させることを含まない。いくつかの実施形態において、方法は、タンパク質製剤をリン酸トリ−n−ブチル(TnBP)と接触させることを含まない。 さらなる態様において、本発明は、エタネルセプトを調製する方法を提供し、該方法は、エタネルセプト製剤を、界面活性剤の限界ミセル濃度を超える濃度の双性イオン界面活性剤と接触させることを含み、該濃度は、エンベロープウイルスを不活化するのに十分であり、かつエタネルセプトの生物学的活性を阻害しない。本態様のいくつかの実施形態において、双性イオン界面活性剤はLDAOである。本態様のいくつかの実施形態において、エンベロープウイルスを不活化するのに十分な双性イオン界面活性剤の濃度は、双性イオン界面活性剤の臨界ミセル濃度の約2×(または2×)〜約10×(または10×)である。本態様のいくつかの実施形態において、方法は、タンパク質製剤を溶媒と接触させることを含まない。いくつかの実施形態において、方法は、タンパク質製剤をリン酸トリ−n−ブチル(TnBP)と接触させることを含まない。 別の態様において、本発明は、組換えタンパク質を調製する方法を提供し、該方法は、組換えタンパク質製剤を、界面活性剤の限界ミセル濃度を超える濃度のN,N−ジメチルドデシルアミンN−オキシド(LDAO)、N−ドデシル−N,N−ジメチル−3−アンモニオ−1−プロパンスルホネート(スルホベタイン3−12)、N−テトラデシル−N,N−ジメチル−3−アンモニオ−1−プロパンスルホネート(スルホベタイン3−14)、またはN−ヘキサデシル−N,N−ジメチル−3−アンモニオ−1−プロパンスルホネート(スルホベタイン3−16)である双性イオン界面活性剤と接触させることを含み、該濃度は、エンベロープウイルスを不活化するのに十分であり、かつ組換えタンパク質の生物学的活性を阻害しない。本態様のいくつかの実施形態において、生物学的に活性な組換えタンパク質はエタネルセプトである。本態様のいくつかの実施形態において、方法は、タンパク質製剤を溶媒と接触させることを含まない。いくつかの実施形態において、方法は、タンパク質製剤をリン酸トリ−n−ブチル(TnBP)と接触させることを含まない。 さらに別の態様において、本発明は、組換えタンパク質を調製する方法を提供し、該方法は、組換えタンパク質製剤を、界面活性剤の限界ミセル濃度を超える濃度の双性イオン界面活性剤と接触させることを含み、該濃度は、エンベロープウイルスを不活化するのに十分であり、かつ組換えタンパク質の生物学的活性を阻害せず、該方法は、タンパク質製剤を溶媒と接触させることを含まない。本態様のいくつかの実施形態において、方法は、タンパク質製剤をリン酸トリ−n−ブチル(TnBP)と接触させることを含まない。 本発明の種々の態様および実施形態のいずれにおいても、組換えタンパク質製剤は、微量の双性イオン界面活性剤を含有し得る。例えば、いくつかの場合において、組換えタンパク質製剤は、たとえ精製された後であっても、検出不能な量の双性イオン界面活性剤を含有し得る。他の実施形態において、組換えタンパク質製剤は、約0.05%もしくは0.05%未満、約0.01%もしくは0.01%未満、約0.005%もしくは0.005%未満、または約0.001%もしくは0.001%未満の双性イオン界面活性剤を含有し得る。 特定の実施形態において、双性イオン界面活性剤は、例えば、微生物の増殖を防止または阻害するための保存剤として、組換えタンパク質製剤中に存在してもよい。そのような実施形態において、タンパク質精製の前、タンパク質精製の間、および/またはタンパク質精製の後に、組換えタンパク質製剤を双性イオン界面活性剤と接触させてもよい。キット 本発明の種々の態様において、本明細書に記載される成分のうちのいずれか1つと、1つ以上の容器(例えば、プラスチックまたはガラス容器)内に充填された1つ以上の成分とを含む、それらからなる、または本質的になるキットが、本明細書に提供される。いくつかの実施形態において、キットは、対象(例えば、ヒト)に組成物を送達するための注射器または他の手段を含む。いくつかの実施形態において、キットは、対象に組成物を投与するための説明書(または説明書を入手するための指示)を含む。 本発明の態様および実施形態を、非限定的な例を用いて以下にさらに記載する。実施例 その臨界ミセル濃度(CMC)未満の界面活性剤は、モノマー形態で存在し、細胞膜に結合する。一旦、界面活性剤のCMCに達すると、その界面活性剤は、自己組織化して細胞膜と相互作用してミセルを形成し、細胞を溶解する。エンベロープウイルスは、界面活性剤によって溶解され得る脂質二重層のコートを含有する。一旦、ウイルスのコートが溶解すると、ウイルスは細胞に感染することができず、したがって不活化される。この理論を確認するために、TRITON X−100(登録商標)(C14H22O(C2H4O)n)を使用して試験を行った。3つの異なる抗体を使用して、周囲温度で1〜2×CMC(0.02%w/w)のTRITON X−100(登録商標)を用いてウイルス不活化試験を行った。TRITON X−100(登録商標)は、様々な分子長の混合物であるため、CMCは、水中25℃で0.01〜0.02%w/wの範囲を有する。この試験の結果は、上記理論を裏付けるものであり、>4logのXMuLV不活化が45分以内に達成されることを示した。また、これらのウイルス不活化試験の1つの間に、CMC未満では、界面活性剤はエンベロープウイルスの不活化に有効ではないことも示された。0.25〜0.5×CMC(0.006%w/w)ではウイルスの不活化は観察されなかった。 本明細書に記載される界面活性剤を15,000リットルの細胞培養規模で経済的に使用することができるかどうかを確認するために、これらの費用を評価した。膜タンパク質を可溶化するために使用される界面活性剤のほとんどは、研究目的で製造されるため、高額であり、15,000リットル規模では法外な費用がかかる。 また、この界面活性剤が、デンマークの廃水処理ガイドの下でどのように分類されるかを確認するためにもこれらを評価した。デンマークのガイドラインは、上述のように、公共廃水処理施設に廃棄される有機化学物質に関する「ABC分類」に基づいている。クラスBおよびCの界面活性剤のみを、ウイルスクリアランス試験において評価した。 TRITON X−100(登録商標)は、組換えタンパク質を調製するために溶媒と一緒に使用することができる:しかしながら、これはデンマークでは生態毒性の高い試薬として分類されており、生物学的生産プロセスに使用する場合、廃水のための特別な処理を必要とする。強力な、生態毒性を示す試薬/溶媒系の代替として、5つの穏やかで環境に優しい界面活性剤を同定し、ウイルス不活化の有効性について評価した。5つの界面活性剤を表2に示す。これらの非イオン性および双性イオン性の界面活性剤は、現在の欧州(デンマーク)および米国における公共廃水処理施設への廃棄に関するガイドラインを満たしており、費用効率が高く、穏やかでタンパク質を変性しない界面活性剤であるため、タンパク質の生物活性に影響を及ぼすとは考えられない。 ウイルス不活化試験の開始前に、界面活性剤が生成物の生物活性に与える有害な影響を評価した。エタネルセプト(本明細書において組換えタンパク質製剤と称される)を含有する馴化細胞培養培地(CCM)に界面活性剤を個別に加え、界面活性剤の10×CMCで2時間、周囲温度でインキュベートした。各組換えタンパク質製剤をMABSELECT SURE(商標)およびPHENYL SEPHAROSE(登録商標)上で精製し、タンパク質の凝集体およびミスフォールディングを減少させた。製剤緩衝液を使用して限外濾過およびダイアフィルトレーションを行った。精製した組換えタンパク質を腫瘍壊死因子(TNF)バイオアッセイにおいて試験したところ、5つの界面活性剤の各々に曝露されたときにエタネルセプトの生物学的活性が保持されたことが示された。 次いで、ウイルスクリアランス試験を行い、5つの界面活性剤の各々が異種指向性マウス白血病ウイルス(XMuLV)を不活化する能力を評価した。組換え産物であるエタネルセプトは、内在性レトロウイルスまたはレトロウイルス様粒子を内部に有し得る、十分に特徴付けられたチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞に発現される。XMuLVは、組換えタンパク質製剤中に存在することが疑われるウイルスまたはウイルス様粒子に対して同様の物理的および化学的特性(同じ属または科)を有する特異的モデルを意味する。ブタヘルペスウイルス−1(SuHV−1)も、ウイルスクリアランス試験に使用される。SuHV−1は、非特異的モデルウイルスであると見なされる−これは、げっ歯類細胞株に対する内在性ウイルスではない。非特異的モデルウイルスは、ウイルスを不活化するための方法のロバスト性を特徴付けるために使用することができる。非特異的モデルウイルス(複数可)の特徴は、エンベロープ/無エンベロープ、サイズ、化学的抵抗性、およびゲノム(RNA/DNA)等の様々な物理的および化学的特性を包含する。医薬品規制調和国際会議(ICH)のガイドラインによれば、非特異的モデルウイルスを選択する場合、物理的および/または化学的処理に対して著しい耐性を示すウイルスを優先するべきである。そのようなウイルスを使用して得られたデータは、一般的なウイルスを除去および/または不活化するための本明細書に記載の方法の有効性に関する有用な情報を提供する(表3を参照)。化学的処理に対して中程度の耐性を示す大きな(120〜200nm)エンベロープDNAウイルスであるSuHV−1を、LDAOおよびSulflobetaine3−16がウイルスを不活化する有効性を評価するための非特異的モデルとして選択した。 10×CMCの界面活性剤およびXMuLV(5%V/V)を、組換えタンパク質エタネルセプトのためのCCMに室温で添加した。120分の期間にわたる種々の時点でサンプルを採取し、XMuLVの感染力を測定した。4つの双性イオン界面活性剤がXMuLVを>4log不活化した一方で、非イオン性界面活性剤Brij−35は、ウイルスを不活化しなかった。その結果を表4および図2に示す。 2.5×および5×CMCのスルホベタイン−16について、ならびに3×および10×CMCのLDAOについて、さらなるXMuLV不活化試験を4℃で行った(表5)。温度が低下すると、CMC値は若干増加する。ウイルス膜のコートを破壊して不活化するために、界面活性剤の濃度を上昇させる必要があるかもしれない。 エタネルセプトのための3×CMCのLDAOについて、実施例1で上述したように、さらなるXMuLVおよびSuHV−1不活化試験を4℃で行った。その結果を表6に示す。 組換えTNF阻害剤タンパク質のための3×CMCのLDAOについて、実施例1で上述したように、さらなるXMuLVおよびSuHV−1不活化試験を4℃で行った。その結果を表7に示す。均等物および範囲 当業者であれば、ほんの日常的な実験を使用して、本明細書に記載される具体的な手順に対する多数の均等物を認識するか、または確認することができるであろう。本発明の範囲は、上記明細書に限定されることを企図するものではなく、むしろ添付の特許請求の範囲に記載される。 特許請求の範囲において、「a」、「an」、および「the」等の冠詞は、反対の指示がない限り、または内容からそうではないことが明白でない限り、1つまたは1つより多くを意味し得る。群の1つ以上のメンバーの間に「または」を含む請求項または記載は、反対の指示がない限り、または内容からそうではないことが明白でない限り、群のメンバーの1つ、1つより多く、または全てが、所与の生成物またはプロセスに存在する、用いられる、または関連する場合に、満たされると考えられる。本発明は、群のメンバーの正確に1つが、所与の生成物またはプロセスに存在する、用いられる、または関連する実施形態を含む。本発明は、群のメンバーの1つ以上または全てが、所与の生成物またはプロセスに存在する、用いられる、または関連する実施形態を含む。 さらに、本発明は、列挙される請求項のうちの1つ以上からの1つ以上の限度、要素、節、および説明的用語が、別の請求項に導入される、全ての変形例、組み合わせ、および順列を包含することを理解されたい。例えば、別の請求項に従属する任意の請求項が、基本となる同じ請求項に従属する任意の他の請求項に見出される1つ以上の限度を含むように変更されてもよい。 要素が、例えば、マーカッシュ群形式において、リストとして提示される場合、その要素の各下位群もまた開示され、任意の要素(複数可)が群から除去され得ることを理解されたい。一般的に、本発明または本発明の態様(単数/複数)が、特定の要素、特徴等を含むと見なされる場合、本発明の特定の実施形態または本発明の態様は、そのような要素、特徴等からなるか、または本質的になることを理解されたい。簡略化の目的で、これらの実施形態は、本明細書においてこのように具体的には記載されていない。また、「含む(comprising)」という用語は、非限定的であることが企図され、追加の要素またはステップの包含を許容することに留意されたい。 範囲が提供される場合、エンドポイントが含まれる。さらに、別途指示のない限り、または内容および当業者の理解から明白でない限り、範囲として表される値は、内容が明らかにそうではないと指示しない限り、その範囲の下限の単位の10分の1まで、本発明の異なる実施形態において、いずれか特定の値、または記載される範囲内の下位範囲をとることができることを理解されたい。 「約」または「およその」という用語は、当業者によって決定される特定の値の許容誤差範囲内を意味し、それは値がどのように測定または決定されるか、例えば、測定システムの限界に、一部依存する。例えば、「約」は、当該技術分野における実践当たりの1以内または1を超える標準偏差を意味し得る。代替として、「約」は、所与の値の20%まで、10%まで、5%まで、または1%までの範囲を意味し得る。代替として、該用語は、ある値の1桁以内、例えば、5倍以内、または2倍以内を意味し得る。本明細書および特許請求の範囲に特定の値が記載される場合、別途記載のない限り、「約」という用語は、特定の値の許容誤差範囲内を意味すると想定されるべきである。 さらに、先行技術の範囲内に属する本発明のいずれか特定の実施形態が、請求項のいずれか1つ以上から明示的に除外され得ることも理解されたい。そのような実施形態は当業者に既知であると見なされるため、それらは、たとえ除外することが本明細書に明示的に記載されていなくても除外され得る。先行技術の存在と関連しているかどうかにかかわらず、任意の理由のために、本発明の方法のいずれか特定の実施形態を1つ以上の請求項から除外することができる。 上記の特許、特許出願、および参考文献の各々は、特に、本明細書において参照された教示のために、参照により本明細書に組み込まれる。 組換えタンパク質を調製する方法であって、組換えタンパク質製剤を、エンベロープウイルスを不活化するのに十分な量の双性イオン界面活性剤と接触させることを含み、前記量は、前記界面活性剤の臨界ミセル濃度を超える濃度であり、かつ前記組換えタンパク質の生物学的活性を阻害しない、前記方法。 細胞培養培地で、組換えタンパク質を発現する細胞を培養することをさらに含む、請求項1に記載の方法。 組換えタンパク質を精製することをさらに含む、請求項1または2に記載の方法。 組換えタンパク質製剤を、培養ステップの間に双性イオン界面活性剤と接触させる、請求項2または3に記載の方法。 組換えタンパク質製剤を、培養ステップの前または後に双性イオン界面活性剤と接触させる、請求項2または3に記載の方法。 組換えタンパク質製剤を、精製ステップの間に双性イオン界面活性剤と接触させる、請求項3〜5のいずれか一項に記載の方法。 臨界ミセル濃度を超える濃度は、臨界ミセル濃度の約2倍〜約10倍である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。 約4logを超えるエンベロープウイルスの不活化は、双性イオン界面活性剤を組換えタンパク質製剤と接触させてから1時間以内に達成される、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。 組換えタンパク質は、腫瘍壊死因子(TNF)阻害剤タンパク質である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。 TNF阻害剤タンパク質は、エタネルセプトである、請求項9に記載の方法。 エンベロープウイルスは、げっ歯類細胞株に関連する、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。 エンベロープウイルスは、異種指向性マウス白血病ウイルスである、請求項11に記載の方法。 エンベロープウイルスは、哺乳類細胞株に関連する、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。 エンベロープウイルスは、ブタヘルペスウイルス1である、請求項13に記載の方法。 双性イオン界面活性剤は、生態毒性であると分類されない、請求項1〜14のいずれか一項に記載の方法。 双性イオン界面活性剤は、N,N−ジメチルドデシルアミンN−オキシド(LDAO)、N−ドデシル−N,N−ジメチル−3−アンモニオ−1−プロパンスルホネート(スルホベタイン3−12)、N−テトラデシル−N,N−ジメチル−3−アンモニオ−1−プロパンスルホネート(スルホベタイン3−14)、またはN−ヘキサデシル−N,N−ジメチル−3−アンモニオ−1−プロパンスルホネート(スルホベタイン3−16)である、請求項1〜15のいずれか一項に記載の方法。 組換えタンパク質製剤を溶媒と接触させることを含まない、請求項1〜16のいずれか一項に記載の方法。 組換えタンパク質と、 エンベロープウイルスを不活化するのに十分な量の双性イオン界面活性剤と、を含み、前記量は、前記界面活性剤の臨界ミセル濃度を超える濃度であり、かつ前記組換えタンパク質の生物学的活性を阻害しない、組成物。 細胞培養培地をさらに含む、請求項13に記載の組成物。 臨界ミセル濃度を超える濃度は、臨界ミセル濃度の約2倍〜約10倍である、請求項18または19に記載の組成物。 約4logを超えるエンベロープウイルスの不活化は、双性イオン界面活性剤を組換えタンパク質製剤と接触させてから1時間以内に達成される、請求項18〜20のいずれか一項に記載の組成物。 組換えタンパク質は、腫瘍壊死因子(TNF)阻害剤タンパク質である、請求項18〜21のいずれか一項に記載の組成物。 TNF阻害剤タンパク質は、エタネルセプトである、請求項22に記載の組成物。 エンベロープウイルスは、げっ歯類細胞株に関連する、請求項18〜23のいずれか一項に記載の組成物。 エンベロープウイルスは、異種指向性マウス白血病ウイルスである、請求項24に記載の組成物。 エンベロープウイルスは、哺乳類細胞株に関連する、請求項18〜23のいずれか一項に記載の組成物。 エンベロープウイルスは、ブタヘルペスウイルス1である、請求項26に記載の組成物。 双性イオン界面活性剤は、生態毒性として分類されない、請求項18〜27のいずれか一項に記載の組成物。 双性イオン界面活性剤は、N,N−ジメチルドデシルアミンN−オキシド(LDAO)、N−ドデシル−N,N−ジメチル−3−アンモニオ−1−プロパンスルホネート(スルホベタイン3−12)、N−テトラデシル−N,N−ジメチル−3−アンモニオ−1−プロパンスルホネート(スルホベタイン3−14)、またはN−ヘキサデシル−N,N−ジメチル−3−アンモニオ−1−プロパンスルホネート(スルホベタイン3−16)である、請求項18〜28のいずれか一項に記載の組成物。 溶媒を含まない、請求項18〜29のいずれか一項に記載の組成物。 組換えタンパク質を調製する方法であって、組換えタンパク質製剤を、エンベロープウイルスを不活化するのに十分な量のN,N−ジメチルドデシルアミンN−オキシド(LDAO)と接触させることを含み、前記量は、界面活性剤の臨界ミセル濃度の約2倍〜約10倍の濃度であり、かつ組換えタンパク質の生物学的活性を阻害しない、前記方法。 組換えタンパク質は、腫瘍壊死因子(TNF)阻害剤タンパク質である、請求項31に記載の方法。 TNF阻害剤タンパク質は、エタネルセプトである、請求項32に記載の方法。 腫瘍壊死因子(TNF)阻害剤タンパク質と、 双性イオン界面活性剤の臨界ミセル濃度の約2倍〜約10倍の濃度のN,N−ジメチルドデシルアミンN−オキシド(LDAO)、N−ドデシル−N,N−ジメチル−3−アンモニオ−1−プロパンスルホネート(スルホベタイン3−12)、N−テトラデシル−N,N−ジメチル−3−アンモニオ−1−プロパンスルホネート(スルホベタイン3−14)、またはN−ヘキサデシル−N,N−ジメチル−3−アンモニオ−1−プロパンスルホネート(スルホベタイン3−16)である前記界面活性剤と、を含む、組成物。 細胞培養培地をさらに含む、請求項34に記載の組成物。 TNF阻害剤タンパク質は、エタネルセプトである、請求項34または35に記載の組成物。 双性イオン界面活性剤は、LDAOである、請求項34〜36のいずれか一項に記載の組成物。 精製された腫瘍壊死因子(TNF)阻害剤タンパク質と、 組成物の0.05%未満の量の双性イオン界面活性剤と、を含む、組成物。 TNF阻害剤タンパク質は、エタネルセプトである、請求項38に記載の組成物。 双性イオン界面活性剤は、LDAOである、請求項38または39に記載の組成物。 請求項18〜30または34〜40のいずれか一項に記載の組成物を含む、キット。 注射器をさらに含む、請求項41に記載のキット。 対象に組成物を投与するための説明書をさらに含む、請求項41または42に記載のキット。 本発明の態様は、治療用組換えタンパク質製剤および治療用組換えタンパク質を調製する方法を提供し、該方法は、組換えタンパク質製剤を双性イオン界面活性剤の臨界ミセル濃度以上の活性剤と接触させることを含む。


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