タイトル: | 公表特許公報(A)_糖タンパク質の凝集を低下させるための方法 |
出願番号: | 2015520487 |
年次: | 2015 |
IPC分類: | C07K 14/705,C07K 16/00,C07K 19/00,C12N 15/09 |
ユーミン・チアン サーワット・エフ・カタック チェンジャン・リ JP 2015522024 公表特許公報(A) 20150803 2015520487 20130627 糖タンパク質の凝集を低下させるための方法 ブリストル−マイヤーズ スクイブ カンパニー 391015708 BRISTOL−MYERS SQUIBB COMPANY 鮫島 睦 100100158 田村 恭生 100068526 品川 永敏 100126778 釜平 双美 100162695 ユーミン・チアン サーワット・エフ・カタック チェンジャン・リ US 61/666,296 20120629 US 61/839,393 20130626 C07K 14/705 20060101AFI20150707BHJP C07K 16/00 20060101ALI20150707BHJP C07K 19/00 20060101ALI20150707BHJP C12N 15/09 20060101ALI20150707BHJP JPC07K14/705C07K16/00C07K19/00C12N15/00 A AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC US2013048105 20130627 WO2014004780 20140103 28 20150220 4B024 4H045 4B024AA01 4B024BA31 4B024BA61 4B024CA01 4B024DA02 4B024EA04 4B024GA25 4B024HA08 4H045AA10 4H045AA11 4H045AA30 4H045BA09 4H045BA41 4H045CA40 4H045DA75 4H045DA86 4H045EA20 4H045FA74 本出願全体にわたり、様々な刊行物を参照する。これら刊行物の開示内容のその全ては、本発明が関連する技術分野をより詳細に記述するために、参照により本発明に組み込まれる。本発明の分野 本発明は、O-結合型グリコシル化部位の数を最適化することにより糖タンパク質の凝集を低下させるための方法に関する。本発明の背景 タンパク質のグリコシル化は、生物学的製剤の有効性および薬物動態的寿命の決定に関与する重要な性質である。各グリコシル化部位がタンパク質の全体的な機能にどのように影響を及ぼすかということを理解することは、最終製品の品質を最適化する一助となる。均一なグリコシル化プロファイルを達成することにより、製品の等価性を確保しつつ収量増加を実現できる。 O-結合型グリコシル化とは、糖類(N−アセチルガラクトサミン、ガラクトースまたはキシロース)の一つが、ヒドロキシアミノ酸(最も一般的にはセリンまたはスレオニン)に付加することをいう。O-結合型の糖残基は、N−結合型グリコシル化よりも構造的制約が少ないため、様々な種類の糖形態を作り出す。共通する認識配列がないために、O-結合型グリコシル化を予測することは困難である。しかし、ニューラルネットワークの手法が開発され、ムチン型O-結合部位の予測を向上させてきた(Julenius, K., et.al. 2005. Glycobiology 15, 153-164)。現在までに為された殆どの報告は、糖タンパク質の結合能またはそのペプチドバックボーンのマスキングに関するO−グリカンの役割を立証するものであるが、ある特定の症例研究は、O−結合部位を多く有する卵胞刺激ホルモン(FSH)アナログが、N−結合型グリコシル化部位を多く有するFSHアナログよりも生物活性が低いということを実証している(Weenen, C. et al. 2004. J Clin Endocrinol Metab 89, 5204-5212)。O-結合型グリカンは、糖タンパク質gC−1の細胞表面の発現には重要でないことが示されてきたが、そのエピトープ結合ドメインおよびその結合能と干渉する可能性がある(Biller, M. et al. 2000. Glycobiology 10, 1259-1269)。 グリコシル化の存在は、免疫原性、有効性、溶解性および市販生物学的製剤の半減期に影響を及ぼすと考えられる(Lis, H. et.al.1993. Eur J Biochem 218, 1-27; Lowe, J.B. et.al. 2003. Annu Rev Biochem 72, 643-691; Van den Steen, P. et.al.1998. Crit Rev Biochem Mol Biol 33, 151-208)。しかし、殆どの文献は、N-結合型グリコシル化の効果に焦点を向けている(Hossler, P. et.al.2009. Glycobiology 19, 936-949)。タンパク質の品質に対するO-結合型グリコシル化の効果に関する情報は十分ではない;特に、タンパク質凝集に関して不十分である。 製造中のタンパク質治療薬の凝集は、望ましくなく、またその除去のためには終了段階で大掛かりな処理を必要とする。従って、タンパク質凝集を最小にして、製造コストを低減させ、かつ処理の最適化を促進させる必要がある。O-結合型グリコシル化と治療用糖タンパク質の凝集との関係性を見出すことにより、製造開発の早い段階において、製造者は治療用糖タンパク質を改変することができる。 (発明の要旨) 本発明は、O-結合型グリコシル化部位の数を最適化することにより糖タンパク質の凝集を低下させるための方法を提供するものである。糖タンパク質は、融合タンパク質であり得る。融合タンパク質は、ヒトイムノグロブリンのFc領域のヒンジ部分を含み得る。ヒトイムノグロブリンは、ヒトIgGであり得る。 本発明は、1以上のO-結合型グリコシル化部位を除去することを特徴とする、糖タンパク質の凝集を低下させる方法を提供する。除去されるO-結合型グリコシル化部位は、Fcドメインのヒンジ領域に存在し得る。 本発明は、アミノ酸置換および/または削除による1以上のO-結合型グリコシル化部位を除去することを特徴とする、糖タンパク質の凝集を低下させる方法を提供する。1以上の置換および/または削除されたO-結合型グリコシル化部位は、配列番号:5に示されるFcドメインのヒンジ領域に存在し得る。配列番号:5に示されるFcドメインのヒンジ領域において削除され得るO-結合型グリコシル化部位は、S248、T252、T254から選択される。1以上の置換および/または削除されたO-結合型グリコシル化部位は、配列番号:4に示される変異型Fcドメインのヒンジ領域に存在し得る。配列番号:4に示されるFcドメインのヒンジ領域において削除され有るO-結合型グリコシル化部位は、S129、S130、S136、S139、T133、T135から選択される。 本発明は、S129、S130、S136、S139、T133、T135から選択される少なくとも1つのO-結合型グリコシル化部位の除去を含む図6に示されるCTLA4Ig融合糖タンパク質を提供する。図1A−1Cは、ベラタセプトにおけるグリコシル化部位を示す。Aは、公開データ(AMA 2008; Schwartz et al. 2001)から推定されるN−結合型グリコシル化およびO-結合型グリコシル化部位を示す。Bは、質量分光分析によりマッピングされたトリプシンのペプチドフラグメント(配列番号:3)上のO-結合型グリコシル化部位を示す。一つのO-結合型部位を、S129またはS130に正確に割り当てることは出来なかった。Cは、ニューラルネットワーク法NetOGlyc3.1により予想されたO-結合型グリコシル化部位を示す(配列番号:4)。図6に示されるベラタセプトのアミノ酸配列は、www.cbs.dtu.dk/services/netoglycのオンラインソフトウェアNetOGlyc3.1への入力データとして使用された。図2は、推定O−結合部位数と全シアル酸含量との間には相関関係がないことを示す。3つの変異体(点線で囲まれた)にO-結合型グリコシル化が存在しなかった場合に、一貫した全シアリル化が検出された。図3A−3Dは、隠れた部位(hidden site)のO-結合型グリコシル化を同定するものである。 Aは、共通するO−グリカン構造を示す略図である。括弧内の数字は分子量である。Gal−ガラクトース;GalNAc−N−アセチルガラクトサミン。Bは、野生型ベラタセプトにおけるO-結合型グリコシル化を示すデコンボリューション処理済質量スペクトルデータである。Cは、S129、S130およびS139を有さなかった変異体におけるO-結合型グリコシル化を示すデコンボリューション処理済質量スペクトルデータである。S129、S130およびS139の三重削除後の変異体において、T133、T135およびS136でのO-結合型グリコシル化が検出出来る可能性が高かった。Dは、S129、S130およびS139を有さず、かつT133、T135およびS136がアラニンで置換された変異体において、O-結合型グリコシル化が存在しないことを示すデコンボリューション処理済質量スペクトルデータである。図4A−4Cは、同一部位での一つの変異による異なるO−糖形態の形成を示す。Aは、S129の削除を有する変異体においてO-結合型グリコシル化を示すデコンボリューション処理済質量スペクトルデータである。Bは、位置129にグルタミン置換を有する変異体においてO-結合型グリコシル化を示すデコンボリューション処理済質量スペクトルデータである。Cは、位置S129にて置換なくそのままで、かつ位置130、133、135、136および139にてアラニン置換を有する変異体において、O-結合型グリコシル化が存在しないことを示すデコンボリューション処理済質量スペクトルデータである。図5は、変異型O−結合部位に関して高分子量(HMW)種の低下を%で示す;データを、野性型コントロールにて100%に正規化した。6つの潜在的O−結合部位が存在しており、また1から6つ全てのグリコシル化部位を除去するよう変異体を作成した。図6(配列番号:1および2)は、ベラタセプトの、シグナルペプチド(位置−1のアラニンから位置−26のメチオニンまで)を含む細胞毒性T−リンパ球抗原4(CTLA4)融合タンパク質;位置+1のメチオニンで開始して、位置+124のアスパラギン酸で終結するか、または位置−1のアラニンで開始して、位置+124のアスパラギン酸で終結するCTLA4の変異型細胞外ドメイン;位置+125のグルタミン酸リンカー;ならびに、位置+126から+357のヒトイムノグロブリンG1抗体のFcドメインのヒンジ−CH2−CH3ドメインのヌクレオチドおよびアミノ酸配列を図示している。配列番号:1および2は、ベラタセプトの26個のアミノ酸シグナルペプチドを含むCTLA4融合タンパク質;位置+27のメチオニンから開始して、位置+150のアスパラギン酸で終結するか、または位置+26のアラニンで開始して、位置+150のアスパラギン酸で終結するCTLA4の変異型細胞外ドメイン;位置+151のグルタミン酸リンカー;ならびに、位置+152から+383のヒトイムノグロブリンG1抗体のFcドメインのヒンジ−CH2−CH3ドメインのヌクレオチドおよびアミノ酸配列を図示している。(本発明の詳細な説明) 本願明細書において使用されるあらゆる科学用語および技術用語は、別段の記載が無ければ当分野で一般的に使用される意味を有する。本願明細書に使用されるとおり、以下の単語または表現は、特定の意味を有する。 本明細書に使用されるとおり、「ベラタセプト」は、Igテイル(図6の配列番号:1および2に含まれる)に連結された、A29Y(位置29でアラニンに代わりチロシンのアミノ酸残基に置換する)およびL104E(位置+104でロイシンに代わりグルタミン酸のアミノ酸残基に置換する)のアミノ酸の変更を有する野生型CTLA4の細胞外ドメインを含む可溶性CTLA4Ig変異体分子である融合タンパク質である;L104EA29Y−IgをコードするDNAは、ブタペスト条約の規定の下にアメリカンタイプカルチャーコレクション(ATCC)に、2000年6月20日に寄託された。それはATCC受託番号PTA−2104として受託されている。L104EA29Y−Igは、さらに2006年8月22日に発行された米国特許第7,094,874号に記述されており、その全ては参照により本明細書に組み込まれる。 本明細書に使用されるとおり、「凝集体」は、「高分子量種」と互換的に使用される。例えば、高分子量凝集体とは、テトラマー、ペンタマーまたはヘキサマーであり得る。 モノマー、ダイマーおよび糖タンパク質のHMW種は、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)により分離され得る。SECは、分子サイズを基準にして分子を分離する。分離は、カラム長に沿って分子が移動する場合に示差的な分子の排除または取り込みにより達成される。こうして、分離能は、カラム長に応じて高くなる。例えば、CTLA4Ig分子サンプルは、直列に並べてTSK Gel(登録商標)G3000SWXL(300mm x 7.8mm)およびTSK Gel(登録商標)G3000SWXL(40mm x 6.0mm)カラム(Tosoh Bioscience, Montgomery, PA)を装備した2695 Alliance HPLC (Waters, Milford, MA)を用いて分離され得る。10mg/ml(20μlアリコート)のサンプルは、1.0ml/分の流速で、0.2M KH2PO4、0.9% NaC1(pH6.8)を含有する移動相を用いて分離される。サンプルは、Water's 2487二波長検出器を用いて280nmにおける吸光度によりモニターされる。このシステムを用いると、HMW種は7.5分間±1.0分間の保持時間を有する。各ピークは、そのピーク下面積のために積分される。HMW種の%を、HMWピーク面積を全ピーク面積で割って算出した。 本明細書に使用されるとおり、用語「最適化」、「除去する」、「除去」および「除去される」は、用語「置換される」および/または「削除される」と互換的に使用される。 本明細書に使用されるとおり、ヒトイムノグロブリン抗体の「ヒンジ領域」は、FabアームをFc領域に連結する。ヒンジ領域の柔軟性により、Fabアームは、様々な距離間隔のエピトープへの結合を可能とする広範な角度を選択できる。 ヒトIgGイムノグロブリンのヒンジ領域は、アミノ酸配列:245 EPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLF 272 (配列番号:5)を含む。 ベラタセプトのヒンジ領域は、配列番号:2に示されるように、位置+152のグルタミン酸から開始して、位置+179のフェニルアラニンで終結するアミノ酸配列を含む。 本発明は、O-結合型グリコシル化部位の数を最適化することにより糖タンパク質の凝集を低下させるための方法に関する。糖タンパク質は、融合タンパク質であり得る。融合タンパク質は、ヒトイムノグロブリンのFc領域のヒンジ部分を含み得る。ヒトイムノグロブリンは、ヒトIgGであり得る。 一態様において、本発明は、Fcドメインのヒンジ領域内に1以上のO-結合型グリコシル化部位を除去することを特徴とする糖タンパク質の凝集を低下させるための方法を提供する。 別の態様において、本発明は、Fcドメインのヒンジ領域内に少なくとも1つのO-結合型グリコシル化部位を置換および/または削除することを含んでなり、該O-結合型グリコシル化部位が、配列番号:5に示されるS248、T252、T254から選択される、糖タンパク質の凝集を低下させるための方法を提供するものである。 高分子量種(HMW)の量は、生物学的製剤を製造する際に重要な品質制御パラメーターであり、そしてHMW形成は、タンパク質治療薬の発現システムにおいて望ましくない副次的影響である。HMW種は、共有または非共有的に形成され、またタンパク質凝集体であると判断される。 タンパク質治療薬のO-結合型グリコシル化の影響をより良く理解するために、高度にグリコシル化されたモデルが、ベラタセプト(Nulojix(登録商標))である融合タンパク質CTLA4−Igを調べるために選択された。ベラタセプトについて既知のN−結合型およびO-結合型グリコシル化部位は、図1Aに示される。アミノ酸配列決定およびペプチドマッピングにより、ベラタセプトおよびアバタセプトには3つのN−結合型および2つの優勢なO-結合型グリコシル化部位が存在することが確認されてきたが(図1B)、ニューラルネットワーク法NetOGlyc3.1から、S129からS139の間に密集した6つのO−結合部位が存在することが予想された(図1C)。この矛盾は、可変性の部位占有率(マクロ的不均一性)に関してO-結合型グリカンの不均一性を反映している。 実施例1に示されるように、タンパク質の凝集は、置換または削除によりO−結合部位を除去することによって低下された。このことはタンパク質製品中のHMW種の量の有意な低下により判定された。タンパク質凝集は、少なくとも1以上のO-結合型グリコシル化部位の除去により、5%〜98%、8%〜60%、8%〜30%低下する。 一態様において、本発明は、配列番号:4に示されるヒンジ領域内の少なくとも1つのO-結合型グリコシル化部位の置換および/または削除を特徴とする糖タンパク質の凝集を低下させるための方法を提供する。 別の態様において、本発明は、配列番号:4に示されるS129、S130、S136、S139、T133、T135から選択される少なくとも1つのO-結合型グリコシル化部位の置換および/または削除を特徴とする糖タンパク質の凝集を低下させるための方法を提供する。 別の態様において、本発明は、配列番号:4に示されるO-結合型グリコシル化部位のS129および/またはS139を置換および/または削除することを特徴とする糖タンパク質の凝集を低下させるための方法を提供する。 実施例1においては、部位特異的突然変異誘発は、アラニンまたはグルタミンによる完全な削除または置換のいずれかにより行われた。典型的には、分子表面の外側にある残基は、アラニンにより置換され、そして内没した残基は構造破綻を避けるためにグルタミンで置換される。機能タンパク質の作成に関して、アラニンとセリンとの間の唯一の相違は、水素のヒドロキシルによる置換であるが、これはタンパク質の一般構造を改変することにはならない。このモデルタンパク質において、アミノ酸が完全に削除されていても、依然として適切に折りたたまれたタンパク質が分泌された。 別の態様において、本発明は、O-結合型グリコシル化部位S129またはS139の削除を含む図6に示される融合タンパク質を提供する。 別の態様において、本発明は、O-結合型グリコシル化部位S129およびS139の削除を含む図6に示される融合タンパク質を提供する。 別の態様において、本発明は、S129のグルタミン(Q)またはアラニン(A)による置換を含む図6に示される融合タンパク質を提供する。 別の態様において、本発明は、S139のグルタミン(Q)またはアラニン(A)による置換を含む図6に示される融合タンパク質を提供する。 別の態様において、本発明は、A130、A133、A135、A136、A139の置換を含む図6に示される融合タンパク質を提供する。 別の態様において、本発明は、A129、A133、A135、A136、A139の置換を含む図6に示される融合タンパク質を提供する。 別の態様において、本発明は、アミノ酸S129、S130、S139の削除を含む図6に示される融合タンパク質を提供する。 別の態様において、本発明は、S130、T133、T135およびS136のアラニン(A)による1以上の置換を含む図6に示される融合タンパク質を提供する。 本発明のCTLA4Ig分子の製造方法 CTLA4Ig分子は、原核生物細胞において発現させ得る。原核生物は、種々の細菌株により示されることが多い。その細菌は、グラム陽性またはグラム陰性であってもよい。通常、E.coliなどのグラム陰性細菌が好ましい。他の微生物株も使用され得る。 上記したように、CTLA4Ig分子をコードしている配列は、外来配列をE.coliなどの原核生物細胞において発現するよう設計されたベクターに挿入され得る。これらのベクターは、リボゾーム結合部位配列と共に転写開始のためのプロモーター(所望によりオペレーターを有する)を含むように本明細書に規定される一般的に使用される原核生物のコントロール配列を含んでおり、この一般的に使用されるプロモーターをβ−ラクタマーゼ(ペニシリナーゼ)およびラクトース(lac)プロモーター系(Chang, et al., (1977) Nature 198:1056)、トリプトファン(trp)プロモーター系(Goeddel, et al., (1980) Nucleic Acid Res. 8:4057)およびラムダ派生型PLプロモーターおよびN−遺伝子リボゾーム結合部位(Shimatake, et al., (1981) Nature 292:128)として含む。 かかる発現ベクターは、複製起点および選択マーカー(例えば、抗生物質に対して耐性を付与するβ-ラクタマーゼまたはネオマイシンホスホトランスフェラーゼ遺伝子)も含んでおり、これにより該ベクターは、細菌中で複製でき、プラスミドを担持する細胞を、抗生物質(例えば、アンピシリンまたはカナマイシン)存在下で育成させた場合に選抜することができる。 発現プラスミドは、例えばCaCl2−ショック(Cohen,(1972) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 69:2110, and Sambrook et al. (eds.), "Molecular Cloning: A laboratory Manual", 2nd Edition, Cold Spring Harbor Press,(1989))および電気穿孔法を含むが、これらに限定しない様々な標準方法により、原核生物細胞に導入され得る。 本発明の実施によれば、真核生物細胞とは適切な宿主細胞でもある。真核生物細胞の例には、あらゆる動物細胞(初代または不死化細胞であっても)、酵母[例えば、サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、シゾサッカロミセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)およびピキア・パストリス(Pichia pastoris)]ならびに植物細胞が挙げられる。骨髄腫、COSおよびCHO細胞は、宿主として使用できる動物細胞の例である。特定のCHO細胞には、DG44(Chasin, et la., 1986 Som. Cell. Molec. Genet. 12:555-556; Kolkekar 1997 Biochemistry 36:10901-10909)、CHO−K1(ATCC No. CCL-61)、CHO−K1 Tet−On細胞株(Clontech)、ECACC 85050302であるCHO(CAMR, Salisbury, Wiltshire, UK)、CHOクローン13(GEIMG, Genova, IT)、CHOクローンB(GEIMG, Genova, IT)、ECACC 93061607であるCHO−K1/SF(CAMR, Salisbury, Wiltshire, UK)およびECACC 92052129であるRR−CHOK1(CAMR, Salisbury, Wiltshire, UK)が挙げられるが、これに限定するものではない。代表的な植物細胞には、タバコ(植物全体、細胞培養物またはカルス)、トウモロコシ、ダイズおよびコメの細胞が挙げられる。トウモロコシ、ダイズおよびコメの種もまた許容される。 上記したCTLA4Ig分子をコードする核酸配列は、真核生物宿主において外来配列を発現するために設計されたベクターに挿入され得る。ベクターの調節エレメントは、特定の真核生物宿主に応じて変更できる。 発現ベクターにおいて使用するために一般的に使用される真核生物のコントロール配列には、哺乳類細胞と適合性のあるプロモーターおよびコントロール配列、例えばCMVプロモーター(CDM8ベクター)およびトリ肉腫ウイルス(ASV)(πLNベクター)が挙げられる。他の一般的に使用されるプロモーターには、シミアン・ウイルス40(SV40)由来の初期および後期プロモーター(Fiers, et al., (1973) Nature 273:113)またはその他のウイルスプロモーター(例えば、ポリオーマ、アデノウイルス2およびウシ乳頭腫ウイルスから得られるもの)が挙げられる。誘導プロモーター、例えばhMTII(Karin, et al., (1982) Nature 299:797-802)もまた使用し得る。 また真核生物においてCTLA4Ig分子を発現するためのベクターは、いわゆるエンハンサー領域と呼ばれる配列を担持していてもよい。これらは、遺伝子発現を最適化する際に重要であり、プロモーター領域の上流または下流のいずれかに存在する。 真核細胞宿主細胞のための発現ベクターの例には、哺乳類宿主細胞のためのベクター、例えばBPV−1、pHyg、pRSV、pSV2、pTK2(Maniatis);pIRES(Clontech);pRc/CMV2、pRc/RSV、pSFV1(Life Technologies);pVPakcベクター、pCMVベクター、pSG5ベクター(Stratagene))、レトロウイルスベクター、例えばpFBベクター(Stratagene)、pCDNA−3(Invitrogen)またはその改変型、アデノウイルスベクター;アデノ関連ウイルスベクター、バキュロウイルスベクター、酵母ベクター(例えば、pESCベクター(Stratagene)が挙げられるが、これに限定するものではない。 CTLA4Ig分子をコードしている核酸配列は、真核生物宿主細胞のゲノムに取り込まれ、宿主ゲノム複製物として複製され得る。あるいは、CTLA4Ig分子を担持するベクターは、染色体外の複製を可能とさせる複製起点を含有することができる。 サッカロマイセス・セレビシエにおいて核酸配列を発現させるために、内因性酵母プラスミド由来の複製起点の2μサークルを使用することができる(Broach, (1983) Meth. Enz. 101:307)。あるいは、自律複製を促進できる酵母ゲノム由来の配列を使用できる(例えば、Stinchcomb et al., (1979) Nature 282:39を参照されたい);Tschemper et al.,(1980) Gene 10:157; and Clarke et al., (1983) Meth. Enz. 101:300)。 酵母ベクターのための転写調節配列には、解糖系酵素を合成するためのプロモーターが挙げられる(Hess et al., (1968) J. Adv. Enzyme Reg. 7:149; Holland et al., (1978) Biochemistry 17:4900)。当分野において既知のさらなるプロモーターには、CDM8ベクター内で提供されるCMVプロモーター(Toyama and Okayama, (1990) FEBS 268:217-221)、3−ホスホグリセレートキナーゼのためのプロモーター(Hitzeman et al., (1980) J. Biol. Chem. 255:2073)、および他の解糖系酵素のためのプロモーターもまた挙げられる。 その他のプロモーターは、環境的刺激または細胞の増殖培地によって制御され得ることから誘導性のプロモーターである。これらの誘導性プロモーターには、熱ショックタンパク質、アルコール脱水素酵素2、イソシトクロームC(isocytochrome C)、酸性ホスファターゼ、窒素異化作用関連酵素ならびにマルトースおよびガラクトースの利用に関与する酵素の遺伝子から得られるものが挙げられる。 調節配列は、コード配列の3'末端にも配置され得る。これらの配列は、メッセンジャーRNAを安定化するように作用させ得る。そのような終結因子は、幾つかの酵母由来遺伝子および哺乳類遺伝子における3'の非翻訳領域に後続するコード配列に存在する。 植物および植物細胞のための代表的なベクターには、アグロバクテリウムTiプラスミド、カリフラワー・モザイク・ウイルス(CaMV)ならびにトマト・ゴールデン・モザイク・ウイルス(TGMV)が挙げられるが、これらに限定するものではない。 哺乳類細胞は、例えばこれに限定しないがカルシウムリン酸塩存在下でのトランスフェクション、マイクロインジェクション、電気穿孔法またはウイルスベクターによる形質導入による方法により形質転換され得る。 外来DNA配列を植物および酵母ゲノムに導入するための方法には、以下の方法が挙げられる:(1)機械的方法、例えば一つの細胞またはプロトプラストへのDNAのマイクロインジェクション、細胞とガラスビーズとをDNAの存在下でボルテックスにより混合すること、またはタングステンまたは金により被覆されたDNA粒を細胞またはプロトプラストに撃ち込む;(2)ポリエチレングリコール処理または高圧電気パルス(電気穿孔法)に供して、マクロ分子が細胞膜を透過出来るようにしてDNAを導入すること;または(3)細胞膜に融合するリポソーム(cDNAを含有する)の使用。 米国特許第7,541,164号および米国特許第7,332,303号は、動物または哺乳類細胞培養による本発明のタンパク質、特に特定の組換え糖タンパク質生成物の製造方法を教示しており、参照によりその全てが本明細書に組み込まれる。 細胞培養過程のタンパク質産生段階の後に、CTLA4Ig分子は、当業者には理解される技術を用いて細胞培養培地から回収される。特に、CTLA4Ig分子は、分泌ポリペプチドとして培養培地から回収される。 培養培地は、細胞破片および粒子を除去するために最初に遠心分離される。次いで、所望のタンパク質が、当分野では十分に確立された以下の非限定的な精製方法を用いて、混在するDNA、可溶性タンパク質およびポリペプチドから精製される:SDS−PAGE;硫酸アンモニウム沈殿;エタノール沈殿;イムノアフィニティーカラムまたはイオン交換カラムでの分画;逆相HPLC;シリカまたはアニオン交換樹脂、例えばQAEまたはDEAEのクロマトグラフィー;クロマト分画;例えば、Sephadex G-75TMカラムを用いるゲル濾過;ならびにIgGなどの夾雑物を除去するためのタンパク質A Sepharose(商標登録)カラム。プロテアーゼ阻害剤、例えばフッ化フェニルメタンスルホニル(PMSF)またはプロテアーゼ阻害剤カクテル混合液の添加は、精製中にタンパク質分解を阻害するためには有用であり得る。当業者は、目的とするタンパク質、例えば糖タンパク質に適切な精製方法には、組換え細胞培養により発現したタンパク質の特性変化に応じた変更が必要となり得ることを認識するであろう。 糖タンパク質の糖質群を選択する精製技術および方法は、本発明の範囲内においても利用できる。例えば、かかる技術には、どの糖質を選択するかに拠りカチオンまたはアニオン交換樹脂を用いるHPLCまたはイオン交換クロマトグラフィー(ここで、より塩基性の画分または酸性の画分が回収される)が挙げられる。そのような技術を使用することにより、混在物の同時除去が可能となる。 精製方法は、哺乳類細胞系の細胞培養培地中に存在する可能性のあるウイルスおよび/またはレトロウイルスを不活性化および/または除去する追加工程をさらに含むことができる。多くのウイルス排除工程は、カオトロープ、例えば尿素またはグアニジン、界面活性剤、追加の限外濾過/透析濾過工程、従来の分離、例えばイオン交換またはサイズ排除クロマトグラフィー、pH限界、熱、プロテアーゼ、有機溶媒またはそのあらゆる組合せによる処理を利用することができるが、これに限定するものではない。 精製CTLA4Ig分子は、貯蔵またはさらなる処理の前に、濃縮および緩衝液の交換が必要である。Pall Filtron TFF系は、濃縮するため、そして先の精製カラムからの溶出緩衝液を製剤原料について要求される最終緩衝液に交換するために使用できる。 一態様において、濃縮されており、かつ透析濾過工程に供された精製CTLA4Ig分子は、2LのBiotainer(登録商標)ボトル、50Lのバイオプロセス用バックまたは任意の適切な容器に入れられ得る。かかる容器内のCTLA4Ig分子は、凍結前に約60日間2℃〜8℃で貯蔵され得る。2℃〜8℃にて精製CTLA4Ig分子の貯蔵が長期化すると、HMW種の割合が増加する可能性がある。そのため、長期貯蔵のために、CTLA4Ig分子を、貯蔵前に約−70℃で凍結して、次いで約−40℃の温度で貯蔵することができる。凍結温度は、約−50℃〜約−90℃に変更できる。凍結時間は変更することができ、またCTLA4Ig分子を含有する容器の容量および凍結機に入れる容器の数に依拠して広範に変更できる。例えば、一実施態様において、CTLA4Ig分子は、2LBiotainer(登録商標)ボトルに入れられる。4つ以下の2L Biotainer(登録商標)ボトルを凍結機に入れる場合には、約14時間〜少なくとも18時間の凍結時間が必要とされ得る。少なくとも4つのボトルを入れる場合には、約18〜少なくとも24時間の凍結時間が必要とされ得る。凍結CTLA4Ig分子を含む容器は、約−35℃〜約−55℃の温度で貯蔵される。約−35℃〜約−55℃の温度での貯蔵時間は、変更することが可能であり、18時間程度短縮することが可能である。凍結された製剤物質は、製剤を処方するための管理手法にて解凍され得る。 2006年12月19日に提出した同時係属中の米国特許出願公開番号:US20090252749およびUS20100166774A1は、動物または哺乳類の細胞培養による本発明のタンパク質、特に組換え糖タンパク質生成物の製造方法を教示しており、参照により本明細書の一部に組み込まれる。実施例1 本試験の目的は、O−結合部位の部位特異的突然変異誘発により均一なグリカンを有する糖タンパク質を設計すること、ならびにO−結合部位と凝集との関係性を明示することをゴールとしてマクロ的な不均一性の現象を理解することであった。材料および方法細胞系および培養条件 ヒト胎児腎臓の293−F(HEK293−F)FreeStyle(Invitrogen)懸濁細胞を、血清不含FreeStyle293発現培地(Invitrogen)で生育させて、3日毎に振盪フラスコに継代した。細胞を、37℃で空気中6%CO2のインキュベーターにおいて、130rpmにてオービタルシェーカープラットフォーム上でインキュベートした。O-結合型グリコシル化部位のコンピューター予測 ベラタセプトのO-結合型グリコシル化部位を、www.cbs.dtu.dk/services/netoglycのニューラルネットワーク法NetOGlyc3.1により予測した。ベラタセプト野生型の結果を図1Cに示す。ベラタセプトのアミノ酸配列を、NetOGlyc3.1オンラインソフトウェアへの入力情報として使用した。出力情報から、ベラタセプトが、6つのO−結合部位、即ちS129、S130、T133、T135、S136およびS139を含有することが予想された。融合タンパク質変異体の構築 部位特異的突然変異誘発を、完全な削除またはアラニンまたはグルタミンによる置換のいずれかにより行なった。この突然変異誘発反応を、テンプレートとしてメチル化ベラタセプトプラスミドDNAおよび2つのオーバーラッピングプライマー(この一つは標的配列を含有する)を用いて行なった。突然変異誘発産物を、E.coliコンピテント細胞にて形質転換した(ここで非メチル化線状変異DNAは環化かつ複製された)。プラスミドDNAを、Maxi-prep plasmid kit(Qiagen, Mississauga, ON, Canada)で精製して、配列決定して、正しい変異体の存在を確認した(Cogenics, Houston, TX)。HEK−293F懸濁細胞におけるベラタセプトおよびその変異体の一過性発現 トランスフェクションの1日前に、細胞を、6,00,000細胞/mlで播種し、37℃、6%CO2、135rpmにて振盪するオービタルシェーカープラットフォーム上で攪拌した。トランスフェクションの当日に、細胞を、10,00,00細胞/mlに希釈して、30mlの培養量で125mlの振盪フラスコに添加した。40μgのプラスミドDNAを、OptiPro SFM(Invitrogen)中で全容量0.6mlに希釈して、混合した。分離管内で、FreeStyle MAX 試薬(Invitrogen)(40μl)を、Opti-Pro SFMを用いて全容量0.6mlに希釈した。希釈したDNA溶液および希釈したトランスフェクション試薬を、穏やかに混合して、室温で20分間インキュベートした。次いで、DNAトランスフェクション試薬混合物を、125mlのフラスコ中の新たに希釈した細胞にゆっくりと添加した。トランスフェクションした細胞を、135rpmで振盪するオービタルシェーカープラットフォーム上で、バッチモードにおいて7日間、37℃、6%CO2にてインキュベートした。ベラタセプト変異体濃度の決定および精製 サンプルを、1000rpmで10分間遠心分離して、この上清を生成物の力価アッセイの前に−20℃で貯蔵した。融合タンパク質濃度を、製造元の指示書に従いOctet QK (ForteBio, Menlo Park, CA)で測定した。収集サンプルを、0.2〜0.3mg/mLの終濃度としてタンパク質−Aスピンカラム(Sartorius)を用いて精製した。全てのシアリル化およびN-結合型シアリル化の決定 タンパク質−Aで精製したサンプルを、PNGアーゼにより処理して、非シアリル化(asialylated)およびシアリル化N−結合型グリカンを、2−AB(アミノベンズアミド)で標識した。2−AB標識オリゴ糖を、Glyko-GlycoSep C Column(7.5 x 75 mm, Prozyme, San Leandro, CA)を用いる弱アニオン交換HPLC方法により、中性画分および酸性画分を分離した。移動相は、0.5Mギ酸アンモニウム溶液(pH4.5に調整した)および20%(v/v)アセトニトリル水溶液により形成されるグラジエントからなる。流速は0.75mL/分であり、蛍光検出を、330nmの励起波長および420nmの発光波長を用いて行なった。N−結合型シアリル酸を、非シアリル化およびシアリル化の糖形態の画分に基づいて算出した。 全シアリル酸含量を、以前に記載された方法により決定した(Jing, Y., et.al. 2010. Biotechnol Bioeng 107, 488-496)。N−結合型およびO-結合型グリコシル化由来のシアリル酸(N−アセチルノイラミン酸およびN−グリコリルノイラミン酸)を、部分酸加水分解により溶離させ、次いで逆相HPLCにより分離した。N−グリコリルノイラミン酸は、全てのケースで検出限界以下であった(<0.1mol/mol 糖タンパク質)。 上清サンプルを、タンパク質−A捕捉物を用いて精製して、N−アセチルノイラミン酸(Neu5Ac)およびN−グリコリルノイラミン酸(Neu5Gc)を含むシアリル酸を、部分酸加水分解により溶離させ、次いで逆相HPLCにより分離して、全シアリル酸含量(N−結合型およびO-結合型グリコシル化の両方から得られる)を決定した。結合速度の決定 CD80−Igを200RU密度にてBIAコアセンサーチップ表面上に固定することにより、変異体および野生型の各々のCD80−Igに対する結合速度を決定した。HBS−EP緩衝液(10mM Hepes,150mM NaCl,3mM EDTA,0.005%Tween−20)(pH7.4)中で10〜200nM範囲の濃度を、30μL/分間の流速でセンサーチップ表面に流した。会合および解離データを、様々な濃度で各々3および5分間収集した。O-結合型糖形態の決定 タンパク質−Aで精製したサンプルを、100mM Tris、25mM NaCl(pH7.6)に希釈して、終夜PNGaseFと共にインキュベートして、N-結合型オリゴ糖を除去した。次いで、サンプルを、インスリン内部標準と共に混合し、Waters Oasis HLB cartridge上に重層して、5%アセトニトリル中の0.1ギ酸溶液により洗浄し、次いでアセトニトリル中で0.1ギ酸によるグラジエントにより溶出した。キャピラリーおよびコーン電圧は、各々3kVおよび30Vであり、スキャンを800〜2500m/zで行なった。スペクトルデータを、MaxEnt1 algorithmによりデコンボリューション処理して、分子質量およびO-結合型グリカン種を決定した。サイズ排除クロマトグラフィー(SEC) SECを使用して、前記方法により、野生型および変異型ベラタセプトサンプル中の高分子量(HMW)種を同定した(Qian, Y., et.al. 2010 Biotechnol Prog 26, 1417-1423)。タンパク質−Aで精製したサンプルおよび参照標準を、7.8x300 mm Toso Haas Biosep TSK G3000SWXLカラムを備えたHPLCに直接注入した。分離を、流速0.5mL/分にて30分間室温でPBS(pH7.2)を用いて行なった。アイソクラティック溶出プロファイルを280nmでモニターした。定量を、ゲル粒子外部容量とゲル粒子内部容量の間でHMW、モノマーおよび低分子量種(LMW)の相対ピーク面積%を算出して行った。結果タンパク質発現、シアリル化および結合速度 野性型ベラタセプトおよびその変異体の両方は、HEK一過性発現系において確実に発現しており、全ての変異体は100〜150mg/Lの範囲でタンパク質を分泌していた;具体的には、6つ全ての推定O−結合部位が削除された変異体の合成および分泌の成功は、O-結合型グリコシル化がベラタセプト合成にとって重要ではないということを示している。 驚くべきことに、全てのシアリル化と利用可能なO−結合部位数との間に明白な相関関係はなかった(図2)。例えば、主なO−結合部位(Δ129Δ139またはΔ129Δ130Δ139)の削除を有する変異体は、野生型よりも全シアリル酸のレベルが有意に高い;5つのO−結合部位を除去した場合でさえ、高いシアリル化が、一つの変異体(Δ129Δ130A133A136Δ139)で依然として見ることができた。最も低い全シアリル酸含量を示す3つの変異体は、A130A133A135A136A139、A129A133A135A136A139およびΔ129Δ130A133A135A136Δ139であった。 O-結合型シアリル化がこれら3つの変異体(次の章を参照されたい)において検出されなかったため、全てのシアリル酸は、N-結合型シアリル酸のみを含むと考えられた。 機能を確認するために、各変異体についての結合速度を、CD80Igを用いて測定し、そして野生型および参照標準と同等であることが判った。1つおよび複数のO−結合部位を除去することにより、平衡定数および結合能という観点からCD80結合速度に対して有意な影響を及ぼすことはなかった。O-結合型糖形態隠れたO−結合部位のグリコシル化 図1Bおよび1Cに示したように、コンピューターによるO−グリコシル化ニューラルネットワーク法により予測された6つの部位が存在するが、一方でペプチドマッピングにより同定されたものは、2つの主要なO−結合部位のみであった。潜在的に隠れたO-結合型グリコシル化部位を明らかにするために、S129、S130およびS139を削除することによって既知の部位を妨げた。興味深いことに、O-結合型グリコシル化分析により、別のO−結合部位の存在が実証された(図3C)。このことは、ベラタセプトが、位置133、135および136のさらなる変異を含めて設計された場合にも確認された;しかし、この変異体は、合成、分泌、そしてCD80への結合が可能であったが、いずれのO-結合型グリコシル化も生じなかった(図3D)。様々なO−糖形態の形成に対する隣接配列の効果 図2は、同じ位置での一つの変異が、全シアリル酸含量において有意な変動をもたらしたことを示した。この変動の原因を正確に示すために、それらの変異体をO−糖形態についてさらに分析した。全ての変異体のO-結合型グリコシル化は、野生型と比較して変化したことが判り、そしてさらに興味深いことに、これら変異体のO-結合型グリコシル化パターンは、その他の変異体と互いに相違した(図4)。アラニンの代わりにグルタミンで置換することにより、野生型タンパク質において従前には見られなかった複数の糖形態を生成したが、アラニンの置換により糖形態の数は制限された。これは、どのアミノ酸がその代理として存在するかに依存して、O−グリコシル化がその隣接配列により影響を受け得ることを示している。さらに、S129またはS130をそのまま残して、残りの5つの推定O−結合部位を、アラニンで各部位を置換することにより除去した場合に、O-結合型グリコシル化は形成され得なかった(図4C)。このことは、たとえ共通の認識配列が存在していなくても、O−糖形態の形成においてはミクロ環境が重要であることを支持している。HMW種 タンパク質の凝集は、置換または削除によりO−結合部位を除去することにより低下した。このことはタンパク質生成物中のHMW種量の有意な低下により判断された。S129またはS139のいずれかを変異させることにより、HMW種の%が8%〜29%の範囲で低下したが、一方で両方を変異させることにより、HMWは60%低下した(図5)。3つ以上のO-結合型グリコシル化部位を除去することにより、二重削除変異体に見られた低下%を上回るHMW低下のさらなる増強はなかった。 1以上のO-結合型グリコシル化部位を除去することを特徴とする、糖タンパク質の凝集を低下させる方法。 糖タンパク質がFcドメインのヒンジ領域を含む、請求項1に記載の方法。 O-結合型グリコシル化部位が、アミノ酸の置換および/または削除により除去されている、請求項1または2に記載の方法。 置換および/または削除が、配列番号:5に示されるFcドメインのヒンジ領域において生じる、請求項3に記載の方法。 S248、T252、T254から選択される少なくとも1つのO-結合型グリコシル化部位が、置換および/または削除されている、請求項4に記載の方法。 配列番号:4に示されるヒンジ領域が、S129、S130、S136、S139、T133、T135から選択される少なくとも1つのO-結合型グリコシル化部位の置換および/または削除を含む、請求項2に記載の方法。 糖タンパク質が、融合タンパク質である、請求項2に記載の方法。 糖タンパク質が、S129またはS139から選択される少なくとも1つのO-結合型グリコシル化部位の置換および/または削除を含む図6に示されるCTLA4Ig融合タンパク質を含む、請求項7に記載の方法。 糖タンパク質が、S129およびS139の両方のO-結合型グリコシル化部位の置換および/または削除を含む図6に示されるCTLA4Ig融合タンパク質を含む、請求項7に記載の方法。 S129およびS139の両方のO-結合型グリコシル化部位の置換および/または削除を含む、図6に示されるCTLA4Ig融合タンパク質。 S129、S130、S136、S139、T133、T135から選択される少なくとも1つのO-結合型グリコシル化部位の置換および/または削除を含む、配列番号:4に示されるヒンジ領域。 S129またはS139から選択される少なくとも1つのO-結合型グリコシル化部位の置換および/または削除を含む、図6に示されるCTLA4Ig融合タンパク質。 S129およびS139の両方のO-結合型グリコシル化部位の置換および/または削除を含む、図6に示されるCTLA4Ig融合タンパク質。 下記から選択される、1以上の削除および/または置換を含む、図6に示されるCTLA4Ig融合タンパク質: a.位置129のセリンが削除されている、 b.位置129のセリンがグルタミン酸で置換されている、 c.位置129のセリンがアラニンで置換されている、 d.位置139のセリンが削除されている、 e.位置139のセリンが、グルタミン酸で置換されている、 f.位置139のセリンが、アラニンで置換されている、 g.位置129および139のセリンが削除されている、 h.位置129のセリンがグルタミン酸で置換されており、かつ位置139のセリンがアラニンで置換されている、 i.位置129、130および139のセリンが削除されている、 j.位置129、130および139のセリンが削除されており、かつ位置136のセリンがアラニンで置換されている、 k.位置129、130および139のセリンが削除されており、かつ133位置のスレオニンおよび位置136のセリンが、アラニンで置換されている、 l.位置130、136および139のセリンならびに位置133および135のスレオニンが、アラニンで置換されている、 m.位置129、136および139のセリン、ならびに位置133および135のスレオニンが、アラニンで置換されている、または n.位置129、130および139のセリンが削除されており、位置133および135のスレオニンならびに位置136のセリンがアラニンで置換されている。 本発明は、O-結合型グリコシル化部位の数を最適化することにより、糖タンパク質の凝集を低下させるための方法を提供する。 配列表