タイトル: | 公表特許公報(A)_混合物中のポリソルベート種の濃度を決定するための方法 |
出願番号: | 2015513294 |
年次: | 2015 |
IPC分類: | G01N 21/35,G01N 21/552 |
グバグイディ,ベネディクト ゲルメイ,オリヴァー,セー. ラルダウ,ソニア JP 2015523556 公表特許公報(A) 20150813 2015513294 20130521 混合物中のポリソルベート種の濃度を決定するための方法 グラクソスミスクライン バイオロジカルズ ソシエテ アノニム 305060279 平木 祐輔 100091096 藤田 節 100118773 新井 栄一 100122389 田中 夏夫 100111741 菊田 尚子 100169971 岩崎 正路 100168893 グバグイディ,ベネディクト ゲルメイ,オリヴァー,セー. ラルダウ,ソニア US 61/650,735 20120523 G01N 21/35 20140101AFI20150717BHJP G01N 21/552 20140101ALI20150717BHJP JPG01N21/35G01N21/552 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC IB2013001590 20130521 WO2013175312 20131128 28 20150109 2G059 2G059AA01 2G059BB04 2G059BB06 2G059BB09 2G059BB15 2G059CC12 2G059EE02 2G059EE10 2G059EE12 2G059FF08 2G059HH01 2G059HH06 2G059JJ01 2G059JJ12 2G059MM01 2G059MM02 2G059MM03 2G059MM12 2G059NN01連邦政府による資金提供を受けた研究の記載 本発明の態様は、保健社会福祉省からの契約番号HHSO100200600011Cに従い米国政府の支援により成されたものであり、米国政府は、本発明においてある一定の権利を有し得る。 本発明は、減衰全反射-フーリエ変換赤外分光法(ATR-FTIR)を使用して、ポリソルベート、例えばポリソルベート80を測定する方法に関する。 ポリソルベートを定量するための手法は当技術分野において存在しており、例えば、比色定量、HPLC分離、ガスクロマトグラフィー(GC)、及びGC/質量分光法(MS)検出に基づく方法が挙げられる。しかしながら、そのような試験方法では、試験試料内に存在する構成要素又は条件に起因して、干渉が生じる場合がある(マトリックス干渉)。これにより、特定の、時として複雑で時間のかかる試験試料の調製が必要となり得る。 本発明の一態様は、混合物中のポリソルベート種の濃度を決定するための方法であって、混合物の試験試料を採取することと、試験試料に内部標準を添加することと、試験試料の中赤外減衰全反射(ATR)スペクトルを得ることと、反射スペクトルから、C=Oピークに対応する波数及び内部標準に対応する波数を同定することと、(内部標準によって正規化された)C=Oの波数についての曲線下面積を算出することと、前記面積を較正曲線と比較して、試験試料中のポリソルベートの濃度を決定することによる方法である。 本発明の一態様では、試験試料は、抗原、例えば、タンパク質抗原又は多糖体抗原を含む。 本発明の一態様では、試験試料の中赤外減衰全反射スペクトルを得る前に、試験試料は、化学的に前処理されない。 本発明の一態様では、内部標準は、アジドである。 本発明の一態様では、試験試料は、単一のポリソルベート種を含む。 本発明の一態様では、試験試料は、バルクワクチン構成成分からなる。選択イオンモニタリング(SIM)モードのGC-MSクロマトグラムの例を示す図である(TIC:25.D\data.ms 10.686と標識されたピークが、ポリソルベート80である)。化学結合の振動モードを示す図である。振動モードの位置は、波長及び振動数によって示される。内部標準(領域II)を使用して正規化された、溶液(水)中の既知濃度のポリソルベート80から得られたATR-FTIRスペクトルを示す図であり、図中、X軸は、波数(cm-1)であり、Y軸は、吸光度(任意単位の正規化された吸光度)である。スペクトル領域(I) 3000〜2800cm-1=ポリソルベート80の脂肪族鎖、領域(II) 2200〜1980cm-1=試料に添加された内部標準、領域(III) 1735cm-1のピーク=ポリソルベート80(C=0)、領域(IV) 1100cm-1のピーク=ポリソルベート80(C-0)。ピーク面積(I)、(III)、及び(IV)は、ポリソルベート80濃度の関数として増加する。グラフ上の各線は、1つの試料に対する、32回のスキャンからの平均結果を表す。アジド標準の領域IIを使用して正規化された、図3の領域(I)、(III)、及び(IV)から得られた較正曲線を示す図である。面積(Y軸)は、任意単位として表され、X軸は、ポリソルベート80濃度(μg/ml)である。内部標準(領域II)を使用して正規化された、Flu-CCバルク試料のATR-FTIRスペクトルの例を示す図である。マトリックスの複雑さのために、図3のピーク(III)のみを、Flu-CC試料中のポリソルベート80の同定及び定量に使用することができる。図5の領域(I)及び(III)からの面積対ポリソルベート80濃度をグラフ化した図である。図7Aは、ATR-FTIRを使用したポリソルベート80スペクトルを示す図である。図7Bは、ATR-FTIRを使用したポリソルベート80の定量を示す図であり、図中、ピーク応答相関は、正規化されていない。図8Aは、ATR-FTIRを使用したポリソルベート80スペクトルを示す図である。図8Bは、ATR-FTIRを使用したポリソルベート80の定量を示す図であり、図中、ピークは、内部標準としてアジドを使用して正規化されている。Flu-CCの精製中に採取された2つの試料由来のポリソルベート80スペクトルを示す図であり、図中、上の線は、処理中のポリソルベートの添加前に採られた試料であり、下の線は、ポリソルベートの添加後に採られた試料である。 賦形剤は、ワクチン製剤などの医薬製剤に添加されることが多い。ポリソルベートなどの界面活性剤は、医薬調製物及びワクチン調製物において通常使用される賦形剤である。界面活性剤(例えばポリソルベート)は、例えば、保存、輸送、及び送達の間特定のタンパク質構造を維持することによってタンパク質の生物学的活性の保持に役立ち得る。界面活性剤はまた、表面(例えば、バイアル及びシリンジ)へのタンパク質吸着の減少、界面張力の低減、及びタンパク質変性(これは、タンパク質凝集につながる可能性がある)の速度の減少にも役立ち得る。例えば、Khossraviら、Pharma Research、19(5):634 (2002); Lougheedら、Diabetes、32巻(1983) 424〜432を参照されたい。 ポリソルベート20、ポリソルベート40、ポリソルベート60、及びポリソルベート80は、ワクチンなどのバイオ医薬品の製剤化において使用される通常のポリソルベート賦形剤である。医療用製品、バイオ医薬製品、及び生物学的製品中の界面活性剤、及び他の成分の定量は、規制機関によって必要とされる場合がある。 ポリソルベート以外の賦形剤を含む医薬製剤などの液体製剤中のポリソルベートを定量する減衰全反射-フーリエ変換赤外分光法(ATR-FTIR)による方法が、本明細書に開示される。ポリソルベートの定量方法 ポリソルベートの定量のための様々な分析法が記載されている。そのような方法は、多段階の試料調製、複雑なマトリックス内で起こり得る干渉、並びに感度及び特異性の欠如を包含し得る。 ポリソルベート20及び/又は80は、有機溶媒中でコバルト-チオシアネート試薬と錯体を形成したポリソルベート種の青色着色に基づいて定量することもでき、ポリソルベート20及び/又は80の濃度は、光吸収によって決定される。Zsolt及びGabor、J. Pharmaceut. Biomed. Anal.、18 (1998) 715〜720; Huら、J. Chromatogr. A、984 (2003) 233〜236; Adamoら、J. Chromatogr. B、878 (2010) 1865〜1870; Taniら、J. Chromatogr. A、786 (1997) 99〜106。 Feketeらは、アルカリ媒体中の5(p-ジメチルアミノベンジリデン)ロダニン(PDR)との相互作用に基づく、ポリソルベート80の定量的決定のためのLC-CAD法について記載している(Feketeら、J. Pharmaceut. Biomed. Anal.、52 (2010) 672〜679)。この方法は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)分離及び荷電化粒子検出(charged aerosol detection)(CAD)を使用する。Feketeらは、LC-CAD法は、タンパク質溶液中の10〜60μg/mlの範囲のポリソルベート80の定量に好適であると記述している。 サイズ排除高速液体クロマトグラフィー(SEC-HPLC)/紫外(UV)吸光度検出は、決定すべき界面活性剤をその臨界ミセル濃度(CMC)を超える濃度で含有する移動相を用いる。 試料調製後の逆相高速液体クロマトグラフィー(RP-HPLC)/UV吸光度検出は、ソルビタンラウリン酸エステルの酸加水分解と、それに続く遊離ラウリン酸のRP-HPLC分離/UV吸光度検出に基づき得る(モル比1:1)。Zsoltら、J. Pharmaceut. Biomed. Anal.、18 (1998) 715〜720。或いは、ソルビタンオレイン酸エステルの塩基加水分解を使用し、それに続き遊離オレイン酸のRP-HPLC分離/UV吸光度検出を行うこともできる。Huら、J. Chromatogr. A、984 (2003) 233〜236; Adamoら、J. Chromatogr. B、878 (2010) 1865〜1870; Tracyら、AAPS J.、10 (S1) (2008) 647。 逆相高速液体クロマトグラフィー(RP-HPLC)/蒸発光散乱検出(ELSD)は、単一ピークとしてのポリソルベート80の溶出(全てのポリソルベート構成成分の共溶出)を実現することができる。Nairら、J. Chromatogr. A、1012 (2003) 81〜86; Hewittら、J. Chromatogr. A、1215 (2008) 156〜160; Adamoら、J. Chromatogr. B、878 (2010) 1865〜1870; Hewittら、J. Chromatogr. A、15:2138〜45 (2011)。 ガスクロマトグラフィー(GC)/質量分析(MS)検出は、ソルビタンオレイン酸エステルの酸加水分解を使用し、それに続きGCによるオレイン酸メチルエステルの分離/質量分析(MS)による検出を行う。試料調製は、加水分解手順及びその後の抽出ステップを伴う。ポリソルベート80は、内部標準としてのペンタデカン酸に対して定量される(Oliveiraら、Talanta 69巻(2006) 1278〜1284)。 ポリソルベートの定量のための他の分析法としては、薄層クロマトグラフィー(TLC)、超臨界流体クロマトグラフィー(SFC)、ポリソルベートによって形成されるミセルの疎水性コアに分配するN-フェニル-1-ナフチルアミン蛍光色素による蛍光分析、2-ニトロフェニルヒドラゾンによる誘導体化反応後のRP-HPLCによるポリソルベートの酸構成成分の定量化、マトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型質量分析(MALDI-TOF-MS)の使用によるポリソルベート特性決定、及び液体クロマトグラフィー/質量分析検出(MS)を挙げることができる。IR分光法 赤外(IR)振動分光法は、固有振動数において振動する分子の化学結合を分析することによって分子を同定する。4000〜400cm-1、即ち中赤外域の光放射が通常使用され、その理由は、スペクトルの赤外領域には、ほとんどの分子振動の基本振動数が含まれるからである。分子内では、構成成分(例えばCH2)の伸縮及び変角運動の結果、複数のモードの発振が生じる。分子内の双極子の変化を引き起こす発振の結果、同じ振動数を持つ光子の吸収が生じる。試料における吸収振動数のスペクトルを記録し、試料中に存在する化学基の検出及び定量に使用することができる。減衰全反射(ATR) 減衰全反射(ATR)は、赤外分光法とともに使用されるサンプリング手法である。試験試料は、ATR結晶(或いは、内部反射エレメント(Internal Reflection Element)(IRE)とも称される)に接触して配置される。液体試料を試験する場合、浅い(薄い)層をATR結晶の上に広げる。放射線(赤外光)の入射ビームを、既定の角度でATR結晶上に向ける。ビームは、IREと試験試料の間の境界で全て内部反射されるように、ATR結晶を通る。内部反射は、ほんの数ミクロンだけATR結晶表面を超えて試料内に延びるエバネッセント波を発生させ、入射放射線のエネルギーの一部が試験試料によって吸収される。したがって、エバネッセント波は、試料がエネルギーを吸収する赤外スペクトルの領域において減衰又は変更される。試料がエネルギーを吸収する波長については内部反射された放射線の強度が低下し、特定の点における吸収の量を使用して、試験試料中の特定の分子の量を定量することができる。それゆえ、反射された放射線は、そこから試験試料の吸収スペクトルを取得することができる情報を包含する。減衰されたエネルギーは、ATR結晶から出て、IR分光計内の検出器に至る。システムにより、赤外スペクトル(内部反射スペクトル又は減衰全反射(ATR)スペクトルが生成される。 エバネッセント波の試料への侵入深さが限定されていることから、試験試料は、ATR結晶と密接して配置され、これは、液体試料を使用して実現することができる。使用されるATR結晶の種類により、その屈折率、赤外透過範囲、及びIREの化学的特性が規定される。侵入深さは、IREに対する入射するIRビームの入射角を変更することによって又はATR結晶の屈折率を変化させることによって制御することができる。フーリエ変換赤外(FTIR)分光法 フーリエ変換赤外(FTIR)分光法は、分子による赤外光の吸収に基づく。分子は、分子の双極子モーメントに影響する振動数の赤外光のみを吸収し、これは、より高い振動状態への励起を引き起こす。単原子分子(He、Ne等)及び等極二原子分子(H2、O2等)は、赤外光を吸収しない。 FTIR分光法では、固体、液体、又は気体の試料による赤外域の吸収のスペクトルが得られる。数学的アルゴリズム(フーリエ変換)を使用して、生データをスペクトルに変換する。FTIR分光法では、異なる振動数の光を含むビームを試料に向け、異なる波長における吸収の測定を行う。全ての光学振動数は、スキャン時間として公知の期間にわたって同時に観察される。異なる組合せの振動数を含有するように(例えば、当技術分野で公知のように、マイケルソン干渉計の使用によって)ビームを変化させ、再度測定を行う。これを繰り返して、特定の波長における吸収の算出に使用される多数のデータ点(生データ)を得る。 したがって、ATR-FTIRでは、IREと試験試料の境界で赤外ビームに生じる変化が決定される。中赤外スペクトルを論じる場合、波長ではなく、波数(centimeter-1)が通常使用され、その理由は、波数は放射線のエネルギー及び振動数に比例するからである。 赤外エネルギーの試料への侵入深さは、波長に依存する。赤外放射の波長が増加するにつれ、侵入深さは増加する。換言すれば、侵入深さは、波数が減少するにつれ増加する。これは、同じ試料の透過スペクトルと比較して、波数減少に伴うATRスペクトルの相対バンド強度の増加を引き起こす。この現象は、市販のFTIRソフトウェアパッケージなどのソフトウェアを用いて数学的に補正することができる。 ATR-FTIRでは、戻り入射スペクトルの強度特徴をベールの法則とともに使用して、化合物を同定及び定量する。ベールの法則は、FTIRデータ分析の基礎となる。それによると、一定の経路長について、吸収媒体を通過する入射(直接)光エネルギーの強度は、濃度とともに指数関数的に低下すると記述される。本発明の方法の数学的及び統計的演算は、任意の好適な計算装置を使用して実施することができる。分光計は、収集されたIRスペクトル(データ)を保存し、データの数学的操作を実施する能力を有し得る。市販のパーソナルコンピュータを使用して、データの取得、差スペクトルの算出、並びにスペクトル及び他の分析のためのソフトウェアを動作させてもよい。FTIR計器とネットワーク化されたコンピュータを用いて、あるマシンでデータを取得し、別のマシンで分析を実行することもできる。好適なデータ取得及び管理ソフトウェアパッケージは、新たに書くこともでき、又は購入することもできる。本発明における使用に好適な市販のソフトウェアパッケージとしては、OPUSソフトウェア(Bruker Optics、ドイツ)が挙げられ、Matlab(Mathworks Inc.、USA)を、本方法における使用のためにカスタマイズすることもできる。IRスペクトルデータに使用するための多くの好適な多変量分類手法が存在しており、例えば、部分最小二乗、主成分分析(PCA)、又は主(principle)成分回帰(PCR)などの定量方法が挙げられるがこれらに限定されない。処理されたIRスペクトルは、いくつかの生のIRスペクトルから(例えば、ある波長範囲にわたる複数回のスキャンによって及び当技術分野で公知の平均化手法を使用して)形成され得る。 Oliveiraらは、エステル基のC=O伸縮振動に基づくFTIRを使用したバイオディーゼル中のエステル含有量の評価について記載している(Oliveiraら、Talanta 69巻(2006) 1278〜1284)。米国特許第7,255,835号は、タンパク質の二次構造の決定において使用するためのATR-FTIRのシングルパス法について記載している。IRスペクトルの取得 ATR-FTIRを使用したIRスペクトルの収集及び分析についての具体的な詳細は、使用される具体的な装置によって変動するが、一般的に、液体試験試料に接触しているIREにIR放射線を照射することと、IREから反射される放射線をモニタリングすることとを含む。反射データは、好適な媒体に保存する、及び/又はコンピュータスクリーン又はチャート紙に表示することができる。 本発明の機器及び方法を使用して取得されたスペクトルは、試料溶媒由来のシグナルを含む場合があり、溶媒が既知である場合、バックグラウンド減算(数学的減算)を実施することができる。生体構成成分、例えば、タンパク質、糖タンパク質、又は多糖体は、水又は水性緩衝液を含む溶媒中に存在し得る。水性緩衝液は、水に加えて化合物を含み得る。リン酸緩衝生理食塩水(PBS)、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、HEPES(4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジンエタンスルホン酸)、及び他の化合物が、生体分子、例えばポリペプチド抗原を含む溶液の緩衝化に通常使用される。緩衝液構成成分の減算は、緩衝液の存在下での試料のスペクトルから、(試料の非存在下で得られた)緩衝液のスペクトルを数学的に減算することによって実現することができる。 バックグラウンド減算演算はまた、純粋なATR結晶などに由来する他のバックグラウンドシグナルを取り除くために、必要に応じて実施することもできる。 数学的に、スペクトル減算演算は、コンピュータシステム上で実施することができ、減算演算は、減算される複合スペクトルの領域を同定する(又はユーザーに同定させる)アルゴリズムを含み得る。減算すべき領域を同定した後、減算を実施して、結果としての差スペクトルを生成する。差スペクトルは、グラフとして提示することもでき、又は所与の波長における吸光度の関数として表にまとめ、表の形態で提示することもできる。本発明の方法 ATR-FTIRによってポリソルベートを定量する本発明の方法は、ポリソルベートのカルボニル結合(C=O)の検出及び定量に基づく。この結合は、ポリソルベート80、ポリソルベート60、ポリソルベート40、及びポリソルベート20の各々に存在する。したがって、本発明の方法は、ポリソルベート80、ポリソルベート60、ポリソルベート40、及びポリソルベート20のいずれの定量においても有用である。一実施形態では、試料は、単一種のポリソルベートのみを含有する(例えば、ポリソルベート80のみを含有する)。 同量の試料をATR上に配置した場合であっても、ATRエレメント上に保持される試料の正確な分量は変動する場合があり、したがって、本発明の方法は、ATR上に保持される試料の分量について正規化するため、内部標準を用いて作成された較正曲線を使用する。 本発明の方法は、試料の化学的前処理なしで、ATR-FTIR分光手法によって、液体試験試料中のポリソルベートの濃度を決定することを可能にする。本発明者らは、ダイヤモンドIREを利用して、ポリソルベート80のFTIRスペクトルを得た。較正曲線を作成し、対象とする特定のピークを同定するため、本発明者らは、20μg/ml、50μg/ml、100μg/ml、250μg/ml、及び500μg/mlの濃度の、H2O中のポリソルベート80からなる較正セットを使用した。1735cm-1の各スペクトルのピーク面積(C=O)は、内部標準(アジド)を使用して正規化された場合、ポリソルベート80の含有量と直線的に相関することが見出された(R2>0.99)。ATR-FTIR法から得られた結果は、ガスクロマトグラフィー/質量分析検出法(GC-MS)によって確認された。 本明細書で提供される例は、ポリペプチド構成成分を含有する複雑な混合物の試験試料中のポリソルベート濃度を決定するためのATR-FTIR法を実証する(本明細書で提供される例は、細胞培養物において生成された精製バルクインフルエンザウイルス(Flu-CC)の試料を利用した)。定量に使用される試料は、それが採取されるバルクを代表するものでなければならないことは、当業者には明らかであろう。 抗原構成成分を含む製剤などの製剤中のポリソルベートを定量するための本発明の手順は、本開示を踏まえれば分光法の技術分野の当業者に明らかとなる方法を利用する。本発明の方法において有用な装置としては、ATR IRE及びFTIR分光計、並びに適切なデータ処理装置及びソフトウェアが挙げられるがこれらに限定されない。手順の具体的な詳細は、装置のパラメータ及び実験の性質に左右されるが、一般的な方法が本明細書に記載される。さらに、開示される方法は、研究中の試料の様々な特性及び他の関係する実験上の考慮事項に適合させることもできる。 本発明の一実施形態は、試料中のポリソルベートを定量するためのATR-FTIR法を提供する。一実施形態では、試料は、液体中のポリペプチド及び/又はタンパク質(液体試料)、例えば水中のポリペプチド及び/又はタンパク質(水性試料)を含む。一実施形態では、ポリペプチドは、ポリペプチド抗原である。 本発明の一実施形態は、試料中のポリソルベートを定量するためのATR-FTIR法を提供し、ここで、試料は、多糖体、例えば多糖体抗原を含む。一実施形態では、試料は、液体中の多糖体(液体試料)、例えば水中の多糖体(水性試料)を含む。一実施形態では、多糖体は、多糖体抗原である。 一実施形態では、試験試料は、ワクチン(単価ワクチンバルク、及び多価ワクチン製剤などの最終ワクチン製剤を包含する)からなり、さらなる実施形態では、試験試料は、インフルエンザウイルス、麻疹ウイルス、ムンプスウイルス、水痘ウイルス(鶏痘)、風疹ウイルス、ヘルペスウイルス、ポリオウイルス、天然痘ウイルス、ポックスウイルス、ヒトパピローマウイルス(HPV)、日本脳炎ウイルス、HepA又はHepBなどの肝炎ウイルス、ロタウイルス、デングウイルス、呼吸器合胞体ウイルス(RSV)、サイトメガロウイルス(CMV)、肺炎レンサ球菌(Streptococcus pneumoniae)、髄膜炎菌(Neisseria meningitides)、ジフテリア菌(Corynebacterium diphtheriae)、破傷風菌(Clostridium tetani)、百日咳菌(Bordetella pertussis)、インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)、チフス菌(Salmonella typhi)、レンサ球菌属種(Streptococcus species)、コリネバクテリウム属種(Corynebacterium species)、クロストリジウム属種(Clostridium species)、サルモネラ属種(Salmonella species)、及びボルデテラ属種(Bordetella species)から選択される生物由来の抗原を含むワクチンからなる。 一実施形態では、試料は、ポリソルベート80、ポリソルベート60、ポリソルベート40、及びポリソルベート20から選択される単一のポリソルベート種を含むことが既知である。単一のポリソルベート種が試料中に存在する場合、結果は、そのポリソルベートの濃度の測定値を提供する。試料の量は、IRE上に試料の薄層を設けるのに十分なものでなければならない。 本発明の一実施形態では、本方法は、シングルパスATRサンプリング手法及びFTIR分光法を用いる。 一実施形態では、本方法は、(a)ポリソルベートと内部標準とを含む試料を用意することと、(b)内部反射エレメント(IRE)を用意することと、(c)試料をIREに接触させて、試料-IRE界面を形成することと、(d)赤外(IR)放射が試料-IRE界面と相互作用するような条件下で、FTIRデバイス又はFTIR放射の利用を可能にする集束光学素子(focusing optics)を含有するデバイスを使用して、IR放射のビームをIRE内に向けることと、(e)4000〜600cm-1の振動数範囲にわたる反射プロファイルを記録することと、(f)試料の吸光度プロファイルをコンピュータデータベースに蓄積することと、(g)4000〜600cm-1の振動数範囲の試料のIRスペクトルを生成することと、(h)1735cm-1のピークの面積(曲線下面積)を算出し、較正曲線を参照して前記試料中のポリソルベートの濃度を決定することとを含む。 一実施形態では、較正曲線は、実験ごと又は試験される試料セットごとに確立される。一実施形態では、複数の試料に対して、単一の較正曲線が確立及び使用され、ここで、試料は、同じプロセスによって調製された混合物に由来する。一実施形態では、複数の試料に対して、1つの較正曲線が確立及び使用され、ここで、試料は、所定の期間同じプロセスによって調製された混合物に由来する。 ポリソルベート種の(分量は検出せず)存在のみを検出すべき場合、較正曲線は必要とされない。 特定のマトリックス(例えば、特定のワクチン構成成分)に対する本方法の特異性は、既知濃度のポリソルベートをスパイクしたマトリックスの試料を使用して実証することができる。 一実施形態では、内部標準は、アジドであり、2200〜1980cm-1の振動数範囲の試料のIRスペクトルが生成される。 さらなる実施形態では、内部標準は、アジドであり、1735cm-1の振動数を含む試料のIRスペクトルが生成される。 一実施形態では、試験試料は、ポリソルベートの化学構造を変更するように前処理(「化学的前処理」又は「化学的に前処理」)されず、例えば、ポリソルベートは、コバルト-チオシアネートと錯体を形成する、誘導体化される、エステル交換される、トランスベンジル化(transbenzylate)される、エステル誘導体を生成するように処理される、及び/又は加水分解される、ことはない。本明細書において、ポリソルベートの化学構造を変更しない内部標準の添加は、「化学的前処理」とは見なされない。 一実施形態では、内部標準が試験試料に添加される。一実施形態では、内部標準は、アジド(CO2と等電的(isoelectric)である直鎖状アニオン)である。 一実施形態では、ポリソルベートを定量するための本発明のATR-FTIR分光法は、(a)タンパク質分子及び/又は(b)ポリソルベートに加えて賦形剤(非ポリソルベート賦形剤)、を含有する液体製剤に使用され得る。一実施形態では、ポリソルベートを定量するための本発明のATR-FTIR分光法は、(a)多糖体分子及び/又は(b)ポリソルベートに加えて賦形剤(非ポリソルベート賦形剤)を含有する液体製剤に使用され得る。そのような非ポリソルベート賦形剤としては、ポリソルベート以外の洗剤、例えば、TRITON(商標)X-100(4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェニル-ポリエチレングリコール、t-オクチルフェノキシポリエトキシエタノール、ポリエチレングリコールtert-オクチルフェニルエーテル;Sigma Aldrich、St. Louis、MSから入手可能)、及びビタミンEスクシネート(VES)が挙げられる。 本発明の一実施形態では、試料のスペクトルを取得するプロセスは、自動スペクトル取得のための好適な市販のソフトウェアパッケージを使用して自動化される。 別の実施形態では、本発明は、完全に自動化され、試料の注入及び取り出しを行うオートサンプラ、並びにFTIR分光計を動作させるスペクトル取得ソフトウェアパッケージを含むことができる。用語 特に説明がない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本開示が属する技術分野の当業者が通常理解するのと同じ意味を有する。分子生物学における通常の用語の定義は、Benjamin Lewin、Genes V、Oxford University Press出版、1994 (ISBN 0-19-854287-9); Kendrewら(編)、The Encyclopedia of Molecular Biology、Blackwell Science Ltd.出版、1994 (ISBN 0-632-02182-9);及びRobert A. Meyers (編)、Molecular Biology and Biotechnology: a Comprehensive Desk Reference、VCH Publishers, Inc.出版、1995 (ISBN 1-56081-569-8)に見出すことができる。 ポリソルベートは、脂肪酸でエステル化されたPEG化ソルビタン(ソルビトールの誘導体)から誘導される。ポリソルベート種としては、ポリソルベート20(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート)、ポリソルベート40(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノパルミテート)、ポリソルベート60(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノステアレート)、及びポリソルベート80(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート)が挙げられる。「ポリソルベート」の後の数字表示は、親油基を指す(モノラウレート(20)、モノパルミテート(40)、モノステアレート(60)、及びモノオレエート(80))。「ポリオキシエチレン」の後の二十(20)という数字は、分子中のオキシエチレン基の総数を指す。ポリソルベートは、非イオン性界面活性剤として分類される。ポリソルベートの商標名としては、ALKEST(商標)及びTWEEN(商標)が挙げられる。 ポリソルベート80は、非イオン性界面活性剤及び乳化剤であり、商標名としては、Alkest TW 80、Canarcel、及びTWEEN(商標)80が挙げられる。ポリソルベート20は、非イオン性界面活性剤及び乳化剤であり、商標名としては、Alkest TW 20及びTWEEN(商標)20が挙げられる。ポリソルベート40は、非イオン性界面活性剤及び乳化剤であり、商標名としては、TWEEN(商標)40が挙げられる。ポリソルベート60は、非イオン性界面活性剤及び乳化剤であり、商標名としては、TWEEN(商標)60が挙げられる。ポリソルベート80及びポリソルベート20の構造を下に示す。ポリソルベート80(w、x、y及びzの和は20である):ポリソルベート20(w、x、y及びzの和は20である): ポリソルベート80、ポリソルベート60、ポリソルベート40、ポリソルベート20、及びそれらの組合せなどのポリソルベート種は、ワクチンなどの医療用製剤における賦形剤として使用され、ワクチンとしては、インフルエンザ、ヒトパピローマウイルス(HPV)感染、日本脳炎、肺炎球菌疾患、肝炎(HepB)、及びロタウイルス疾患に対する防御を与えるワクチン、さらには混合ワクチン、例えば、DTaP(ジフテリア、破傷風、及び無細胞百日咳)、DTaP/Hib(DTaP+インフルエンザ菌B型)、DTaP/IPV(DTaP+不活化ポリオウイルス)、及びDTaP-HepB-IPVが挙げられる。 インフルエンザワクチンは、様々な基材上で調製される。多くの商業用ワクチンは、雌鶏の卵を使用して調製される。ごく最近では、インフルエンザワクチンは、Madin-Darbyイヌ腎臓(MDCK)細胞株、MRC-5細胞株(ヒト胎児肺)、Vero細胞株(アフリカミドリザル腎臓上皮細胞)、チャイニーズハムスター卵巣細胞株(CHO)、EB66(登録商標)細胞株、及びPER.C6(登録商標)細胞株(ヒト、Crucell(オランダ))などの細胞株を使用して開発されている。EB66(登録商標)細胞株は、胚性幹細胞(Vivalis、Nantes、フランス)に由来する市販のアヒル細胞株であり、インフルエンザウイルスなどのウイルス性ワクチンの製造において使用されるウイルスの生成など、ワクチン構成成分の増殖及び生成に使用される。EB66(登録商標)細胞は、鳥インフルエンザウイルスなどの多くのウイルスによる感染を受けやすい。ワクチン構成成分生成の代替法としては、孵化鶏卵及び初代ニワトリ胚線維芽細胞(CEF)における増殖が挙げられる。 本明細書において、タンパク質(又はポリペプチド)構成成分を含有する(又は含む)製剤(又は溶液)は、医療用組成物、例えばバイオ医薬組成物、例えば治療用ワクチン若しくは予防用ワクチン、又は抗体、モノクローナル抗体、若しくはそれらの抗原結合部分を含む組成物であり得る。 本明細書において、多糖体構成成分を含有する(又は含む)製剤(又は溶液)は、医療用組成物、例えばバイオ医薬組成物、例えば治療用ワクチン又は予防用ワクチンであり得る。 本明細書において、ワクチンは、ヒト又は非ヒト哺乳動物への投与用に設計及び意図されたワクチンであり得る。ワクチンは、疾患に対する防御を与える(疾患にかかる可能性を低減する)ための予防用ワクチンであってもよく、又は(疾患の症状、重症度、期間、又は再発のリスクを抑えることによって疾患を処置するための)治療用ワクチンであってもよい。ワクチンは、抗がんワクチンであってもよい。ワクチンは、単価であっても多価であってもよい。 本明細書において、ワクチンは、インフルエンザウイルス、麻疹ウイルス、ヘルペスウイルス、ポリオウイルス、天然痘ウイルス、ポックスウイルス、ヒトパピローマウイルス(HPV)、日本脳炎ウイルス、HepBなどの肝炎ウイルス、及びロタウイルスが挙げられるがこれらに限定されないウイルスから得られる抗原を含み得る。 本明細書において、ワクチンは、肺炎レンサ球菌、ジフテリア菌、破傷風菌、百日咳菌、及びインフルエンザ菌が挙げられるがこれらに限定されない細菌種から得られる抗原を含み得る。 本明細書において、cGMPは、現行の医薬品適正製造基準(current Good Manufacturing Practices)を意味する。 本明細書において、「バルクワクチン構成成分」又は「バルク」は、完成したワクチンの体積よりも大きい体積で含有又は保存されるワクチン有効成分を指す。バルク中のワクチン有効成分の濃度は、典型的に、完成したワクチン中の有効成分の濃度よりも高い。バルクは、ワクチンの商業的製造における中間生成物である。バルクは、一価(単価)、即ち1つの精製抗原を含有するもの、二価、又は多価であり得る。バルクは、精製抗原を、最終ワクチン製剤(臨床使用又は商業的販売用のもの)中に存在するのとは異なる濃度で含有し得る。一実施形態では、バルクは、少なくとも1つのインフルエンザウイルスタンパク質抗原、例えば、ノイラミニダーゼ(NA)又はヘマグルチニン(HA)抗原を含有する。バルクは、1つの株の病原体又は複数株の病原体に由来する抗原を含有し得る。最終ワクチン製剤は、複数の抗原を含むもの(多価ワクチン)でもよく、即ち複数の単価バルクの混合物であってもよく、複数種の病原体又は複数株の病原体由来の抗原を含むものでもよい。バルクは、ワクチン用量の最終調製に必要となるまで保存され得る。ワクチンは、液体の形態、アジュバント化(adjuvanted)形態、又は凍結乾燥形態であり得る。 本明細書において、試料は、より大きい体積のうちの代表的な部分である。試料は、混合物、例えば、非液体要素を含む液体からなり得る。試料は、水性試料であり得る。 本明細書において、混合物は、少なくとも2つの異なる要素を含み、例えば、ポリペプチド種の分子及びポリソルベート種の分子を含む混合物である。混合物は、固体形態であっても液体形態であってもよい。 本明細書において、用語「ペプチド」、「ポリペプチド」、及び「タンパク質」は、交換可能であり、サイズにかかわらずアミノ酸のポリマーを意味する。「タンパク質」は、比較的大きいポリペプチドに関して使用されることが多く、「ペプチド」は、小さいポリペプチドに関して使用されることが多いが、当技術分野におけるこれらの用語の用法は、重複及び変動する。特に注記がない限り、用語「ポリペプチド」は、本明細書において、ペプチド、ポリペプチド、及びタンパク質を指す。本明細書において、用語「タンパク質」、「ポリペプチド」、及び「ペプチド」は、発現された遺伝子産物及び化学的に合成された構成体(entity)の両方を指し、糖タンパク質及び不活化タンパク質毒素(トキソイド)を含める。 本明細書において、抗原は、ヒトなどの哺乳動物における免疫応答を誘導する、ペプチド及びタンパク質(糖タンパク質を包含する)などの物質を指す。 本明細書において、定量は、例えばμg/mlを単位とする、試料中の特定の物質の濃度の決定、又は特定の体積中の物質の総量の決定を包含する。 本明細書において、用語「水性」は、水構成成分を含むことを意味する。したがって、「水溶液」は、水構成成分を含む溶液である。用語「水性」及び「水溶液」は、具体的に、水、酸化重水素、又は両方を水構成成分として包含することを含める。 本明細書において、内部反射エレメント(IRE)という用語は、ATR結晶又はATRエレメントという用語と交換可能に使用され、入射する放射線を許容し、エレメントの内側の表面(反射表面)から少なくとも1回放射線を反射する、結晶、プリズム、又は他の構造を意味する。ATR-FTIRでは、反射は、IREの反射表面に接触した試料と放射線との相互作用の後に起こる。そのような反射の後、放射線は、再反射又はIREから放出され得る。ATRデバイスを分光計に付加することによって、多くの型の分光計をATRに使用することができる。FTIR分光計は、約30から約60度の間の既定の入射角で試料にIRエネルギーを供給し、入射角を包含する広い範囲の角度にわたって試料からの反射光を収集する能力を有することが好ましい。 IREは、高い屈折率(少なくとも試験される試料の屈折率よりも大きく、典型的には2000cm-1において2.38から4.01の間である)を有し、光学的に密な結晶、例えば、ゲルマニウム結晶、セレン化亜鉛結晶、ダイヤモンド結晶、又はIR光を透過させることが可能な他の高屈折率材料であり得る。当技術分野で公知のように、ATR結晶の形状は、ともに使用される分光計及び試料の種類に依存する。 入射角は、本明細書において、入射光がIREに突き当たる角度である。本発明では、ダイヤモンドATRエレメントを使用することができ、好適な入射角は、表面法線から45度である。 本明細書において、用語「マルチパスATR」は、少なくとも2つの反射面を有するIREへの放射線入射が、IREから出る前に反射面と少なくとも2回相互作用する、減衰全反射手法を意味する。そのような相互作用は、「バウンス」又は「パス」と称されることもある。マルチパスATRは、マルチパスATRスペクトルを生成する。本明細書において、用語「シングルパスATR」は、IRE内に少なくとも1つの反射面を有するIREへの放射線入射が、IREから出る前に反射面と1回のみ相互作用する(1回の「バウンス」又は「パス」)、減衰全反射手法を意味する。シングルパスATRは、シングルパスATRスペクトルを生成する。 本明細書において、本発明の実施形態で使用される較正曲線は、本方法において挙げたのと同じステップを使用して、ただし既知量のポリソルベート種を含有する試料(較正試料)を使用して作成された参照標準を意味する。較正試料中のポリソルベート種は、試験試料中と同じものであり、較正試料中のポリソルベート種の量は、当業者によって、試験試料中に存在すると合理的に予測される範囲を含めた範囲に及ぶ。例えば、試験試料中のポリソルベート濃度がゼロから500μg/mlの間の範囲であると予測される場合、0μg/ml、25μg/ml、50μg/ml、100μg/ml、250μg/ml、及び500μg/mlを含有する較正試料を使用して、較正曲線を準備することができる。任意の好適な面積の単位が、較正曲線に使用され得る。 単数の用語「1つの(a)」、「1つの(an)」、及び「その(the)」は、文脈上特に明示されない限り、複数の指示対象を包含する。同様に、単語「又は」は、文脈上特に明示されない限り、「及び」を包含することが意図される。用語「複数」は、2つ以上を指す。さらに、物質の濃度又はレベルに関して示され、「約」ある一定のレベルであると記述される数値限界は、概数であることが意図される。したがって、濃度が(例えば)「約250μg/ml」であると示されている場合、その濃度は、少なくともおよそ(又は「約」)250μg/mlであると理解されることが意図される。 本明細書に記載されるものと同様又は同等の方法及び材料を、本開示の実施又は試験において使用することができるが、好適な方法及び材料が下に記載される。用語「含む(comprises)」は、「包含する(includes)」を意味する。したがって、文脈上特に必要とされない限り、単語「含む(comprises)」並びに変化形、例えば、「含む(comprise)」及び「含んでいる(comprising)」は、記述された化合物若しくは組成物(例えば、核酸、ポリペプチド、抗原)若しくはステップ、又は化合物若しくはステップの群の包含を含意するが、他の任意の化合物、組成物、ステップ、又はそれらの群の排除を含意しないと理解される。略語「e.g.」は、非限定的な例を示すために本明細書で使用され、用語「例えば」と同義である。 本開示の様々な実施形態の検討を容易にするため、以下の用語説明が提供される。追加の用語及び説明は、本開示の文脈において提供され得る。 タンパク質(糖タンパク質を包含する)及び/又は多糖体を含む製剤などの液体製剤中のポリソルベートを定量するための高速で高感度な方法が開発された。本方法は、他の(非ポリソルベート)賦形剤を含有する液体製剤中、及びタンパク質と他の(非ポリソルベート)賦形剤の両方を含有する液体製剤中のポリソルベートの定量にも好適である。[実施例][実施例1]GC-MSによるポリソルベート80の定量方法 ガスクロマトグラフィー-質量分析(GC-MS)は、液体試料中のポリソルベート80の含有量を測定するための通常使用される検証済みの方法である。 以下の2ステップの手順を使用して、試料及び標準物質を処理した:(1)誘導体化:メタノール+HCl フィッシャーエステル交換反応(2)誘導体化生成物の抽出:ヘキサン/水性媒体分配ポリソルベート80のメチル基転移反応(MeOH+HClを使用)は、9-オクタデセン酸メチルエステルをもたらす。 誘導体化ステップのばらつきを説明するため、内部標準(ペンタデカン酸)を使用した。クロマトグラフィー分離は、溶融シリカキャピラリーカラム(TAP-CB DF=010でコーティングされたVarian WCOT (Wall Coated Open Tubular) Ulti-metal 25m×0.25mmカラム(Agilent Technologies、Santa Clara、US)を使用して得られた。較正範囲は、50から2000μg/mlであった。ポリソルベート80及び内部標準(IS)の質量分析検出は、特定のm/z(質量電荷比)において行った。 以下を混合することによって、試料及び標準物質を調製した:- 200μlの試料又は標準物質- 200μlのペンタデカン酸(内部標準、IS)- 400μlのMeOH/HCl 4N。その後、試料(又は標準物質)を80℃で1時間加熱し、400μlのヘキサンを添加して、メチルエステル誘導体を抽出した。その後、試料(又は標準物質)を、11000RPMで5分間遠心分離した。ヘキサン相を回収し、GC-MSによって分析した。 表1は、内部標準及びポリソルベート80のGC-MS検出に使用された質量電荷比(m/z)並びにこれらの構成成分の保持時間を示す。 図1は、ポリソルベート80のピークを示すSIMモードのGC-MSクロマトグラムの例である。第1のピークは、内部標準(既知分量)に対応し、第2のピーク(TIC:25.D\data.ms 10.686と標識される(TIC=全イオンカウント))は、誘導体化されたポリソルベートに対応する。カウント数は、存在量を示す。[実施例2]ATR-FTIR手順 ATR-FTIRを使用してポリソルベートを定量する方法は、バルク不活化インフルエンザワクチン構成成分の生成中に採取された試料を使用して開発された。 インフルエンザウイルスを、EB66(登録商標)細胞において生成した。以下の一連のステップを使用して、ウイルス収集物を細胞から分離し、精製してバルク濃縮物を生成した:遠心分離、精密ろ過、限外ろ過、ショ糖勾配超遠心分離、β-プロピオラクトン不活化、紫外(UV)光不活化、限外ろ過、スプリット(完全ウイルス(whole virus)の破壊及び不活化)、超遠心分離、クロマトグラフィー、限外ろ過、及びろ過0.22μm。 精製最終バルクは、インフルエンザタンパク質抗原及び賦形剤を含んでいた。 ATR-FTIRスペクトルを、室温で、液体窒素冷却式水銀/カドミウム/テルル検出器を装備したTENSOR(商標)27 FT-IRシングルビーム分光光度計(Bruker Optics、Ettlingen、ドイツ)において、4cm-1の公称分解能で記録し、1cm-1ごとにコード化した。分光光度計は、乾燥空気で連続的にパージした。バックグラウンド吸光度スペクトルを、各試料の前に実行した(試料なしのIRE)。この「ブランク」は、使用したソフトウェアによって、試料の測定スペクトルから減算された。 およそ1μLの試料を内部反射エレメント(IRE)上に広げ、穏やかな窒素流下で溶媒をゆっくりと蒸発させた。IREは、対象とする赤外(IR)放射に対して透過性のダイヤモンド結晶(Golden Gate Reflectance ATR、Reflex Analytical Corporation、Ridgewood、NJ、USA;1回反射)であった。標準的な密閉されたパージ可能な(purgeable)光学ハウジングを使用し、マイケルソン干渉計を使用した。 各試料に対して、スペクトルを4000から600cm-1まで記録し、各試料に対して、複数回のスキャンを平均した。 スペクトル領域3000〜2800cm-1は、ポリソルベート80の脂肪族鎖に帰属され、2200〜1980cm-1のピークは、内部標準(アジド)に対応し、1735cm-1のピークは、ポリソルベート80(C=0伸縮)に由来し、1100cm-1のピークは、ポリソルベート80のC-0結合に帰属される。(Coates、The Interpretation of Infrared Spectra: Published Reference Sources、Applied Spectroscopy Review、31巻(1〜2)、179〜192 (1996); Smith、Infrared Spectral Interpretation, a Systematic Approach、CRC Press、Boca Raton、FL、1999を参照されたい。)ピーク面積(I)、(III)、及び(IV)は、アジドのピーク面積(II)(内部標準)を使用して正規化された。 実施例3及び4に記載するように、既知量のポリソルベートを含有する較正試料を使用して較正曲線を作成し、既知濃度のポリソルベート80を有する参照標準を使用して、対象とする特定のピークを同定した。参照標準は、(1)ポリソルベート80のH2O溶液(20、50、100、250、及び500μg/ml)、及び(2)既知濃度のポリソルベート80を添加した精製バルクFlu-CCの試料であった。参照標準もまた、内部標準としてアジドを含有した(0.2%アジドw/v、10倍希釈して最終の0.02%のアジドを得た)。OPUSソフトウェア(Bruker Optics、ドイツ)及びMatlab(Mathworks Inc.、USA)を使用して、データ分析を実施した。 一般的な振動モードが、図2に示される。中赤外域、即ちおよそ4000〜400cm-1(1.4〜3.0μm)を使用して、基本振動及び関連する構造を研究する。例えば、CH2基の振動モードとしては、対称伸縮(νs CH2 およそ2853cm-1)、非対称伸縮(νas CH2 およそ2926cm-1)、面内変角又ははさみ(δs CH2 およそ1465cm-1)、面内変角又は横ゆれ(ρ CH2 およそ720cm-1)、面外変角又は縦ゆれ(w CH21350〜1150cm-1)、面外変角又はひねり(τCH2 1350〜1150cm-1)が挙げられる。[実施例3]水中のポリソルベートのATR-FTIR検出 実施例2に記載の方法を使用して、ポリソルベートの濃度を、水中20μg/ml、50μg/ml、100μg/ml、250μg/ml、及び500μg/mlのポリソルベート80を使用して調査した(単一の初期試料を希釈して、種々の濃度を作成した)。各試料は、内部標準としてアジド(0.02% w/v)を含有した。 図3は、ポリソルベート80/水希釈物から得られたスペクトルの例を示す。各線は、試料(水中20μg/ml、50μg/ml、100μg/ml、250μg/ml、及び500μg/mlのポリソルベート80)のうちの1つを表し、32回のスキャンからの平均値である。(1つの試料につき256回のスキャンの平均結果も準備され(図示せず)、32回のスキャンの平均結果と同じ相関を示した)。スペクトル領域3000〜2800cm-1は、ポリソルベート80の脂肪族鎖に帰属され、2200〜1980cm-1のピークは、内部標準(アジド)に対応し、1735cm-1のピークは、ポリソルベート80(C=0伸縮)に由来し、1100cm-1のピークは、ポリソルベート80のC-0結合に帰属される。(Coates、The Interpretation of Infrared Spectra: Published Reference Sources、Applied Spectroscopy Review、31巻(1〜2)、179〜192 (1996); Smith、Infrared Spectral Interpretation, a Systematic Approach、CRC Press、Boca Raton、FL、1999を参照されたい。) 図3の5本の線は、5つのポリソルベート/水希釈物試料を表す。ピーク面積(I)、(III)、及び(IV)は、アジド(内部標準、ピーク面積(II)に示す)を使用して正規化されたポリソルベートである。 領域(I) 3000〜2800cm-1=ポリソルベートの脂肪族鎖、 領域(II) 2200〜1980cm-1=内部標準、アジド、 領域(III) 1735cm-1のピーク=ポリソルベート(C=0)、 領域(IV) 1100cm-1のピーク=ポリソルベート(C-0)。ピーク面積(I)、(III)、及び(IV)は、ポリソルベート80濃度の関数として増加すると同定された。 これらの5つのスペクトルから、図4の直線回帰がプロットされた。図4は、ピーク面積の割合(I、III、及びIV、内部標準を使用して正規化された)をプロットしている。面積は、任意単位として表される。ポリソルベート80の用量応答は、この範囲において直線的であり、ピーク(III)及び(IV)について決定係数R2は0.99を超えることが示された。[実施例4]Flu-CCバルクの試料中のポリソルベートのATR-FTIR検出 マトリックスがポリソルベートの測定に影響を及ぼさないことを実証するため、ポリソルベート80を(20μg/ml、50μg/ml、100μg/ml、250μg/ml、及び500μg/mlの量で)、Flu-CCバルクの試料に添加した。試料は、内部標準としてアジドを含有し、実施例2及び3に記載したようにATR-FTIRを使用して調査された。 図5は、ポリソルベート80/Flu-CC試料から得られたスペクトルの例を示す。図5の5本の線は、32回のスキャンから平均され、アジド内部標準を使用して正規化された、5つの異なるポリソルベート/flu試料を表す。(ピーク面積(I)、(II)、及び(III)は、図3において報告される通りである。) 1735cm-1のピーク(III)は、添加されたポリソルベート80の量に伴い正確に増加すると同定された。マトリックスの複雑さのために、ピーク(III)のみを、Flu-CC試料中のポリソルベート80の同定及び定量に使用することができる。下記の直線性係数を参照されたい。 図6は、図5の5つのスペクトルを使用して、(I)及び(III)についてプロットされた直線回帰を示す。面積は、任意単位として表される。ポリソルベート80の用量応答は、この範囲において直線的であり、ピーク(III)について決定係数r2は0.99を上回ることが示された。これは、マトリックスがポリソルベートの測定に有意な影響を及ぼさず、したがって、水中のポリソルベートを較正曲線として使用できることを示す。[実施例5]参照標準及びインフルエンザ試料中のポリソルベートのATR-FTIR検出 実施例3及び4で得られたデータを使用して、表2に示される回収率値を算出した。(回収率値=測定されたポリソルベートの既知量に対する%。)[実施例6]内部標準の使用 図7及び8は、バルクFlu-CC中のポリソルベートの測定における内部標準の使用の効果を示す。図7Aは、正規化されていない、3つの試料に対する(結果は256回のスキャンの平均である)実施例2に記載のATR-FTIR法を使用して得られたピークIIIの例の拡大図である。図8Aは、3つの試料に対する(結果は256回のスキャンの平均である)実施例2に記載のATR-FTIR法を使用して得られたピークIIIの例の拡大図であり、図中、ピークは、内部標準を使用して正規化されている(内部標準ピークの面積で除したピーク面積)。 図7B及び8Bは、それぞれ図7及び8についての、ピーク面積対ポリソルベート濃度(X軸、μg/ml)をグラフ化している。正規化により、応答の直線性が改善される(R2=0.9933)。[実施例7]Flu-CCバルクの試料中のポリソルベート定量 表3:GC-MS(実施例1に記載の方法)及びATR-FTIR(実施例2に記載の方法)を使用したFlu-CCバルク試料中のポリソルベート定量。全ての試料は、精製バルク又は最終バルクである。ポリソルベートの存在は、利用された精製プロセスに起因するものであった。 結果の同等性により、ATR-FTIR法が、ポリソルベートを定量するための信頼性のある代替法であることが示される。ポリソルベートを定量するための本発明のATR-FTIR法の使用は、試料の化学的前処理を必要とせず、精製バルクFlu-CCマトリックスからの干渉を示さない。 表4は、バッチEB66-69(細胞培養物)の処理中の異なる時点で採取された試料中のポリソルベート80の定量を示す。2つの測定法の間に良好なデータ相関が観察された。 表4に示すように、GC-MS手法では、ポリソルベート80の添加前に、ポリソルベートの存在が示された。 図9は、プロセス中の2つの異なる時点由来の試料を使用して、ピークIIIエリアにおけるATR-FTIR測定値を比較している。「SNスプリット」試料は、精製処理中のポリソルベートの添加前に採られたものである。図9は、ピークIIIエリアにおける干渉を示さない。ポリソルベートの添加後の精製の時点で採られた「バルク-PBS」試料と比較されたい。この試料は、ポリソルベート(グラフ上でTWEEN80と標識される)を含有する。図9により、タンパク質を含有する試料中のポリソルベートを測定するための本発明のATR-FTIR手法の特異性が実証される。追加の参考文献 Baulsir及びSimler、Design and evaluation of IR sensors for pharmaceutical testing、Advanced Drug Delivery Reviews 21(3): 191〜203 (Oct 1996) Blancoら、Analytical control of pharmaceutical production steps by near infrared reflectance spectroscopy、Analytica Chimica Acta、392(2〜3):237 (1999) Changら、Study of Interaction of Tributyl Phosphate, Non-ionic Surfactant and Water by FT-Infrared Spectrum. 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