生命科学関連特許情報

タイトル:公表特許公報(A)_代謝物活性が改変された酵素
出願番号:2015504735
年次:2015
IPC分類:C12N 9/04,C12N 15/09,C12N 15/00,C12P 7/06,C12P 7/16,C12P 7/04,C12N 1/21,C12N 1/15,C12N 1/19,C12P 7/24,C12P 7/30,C12P 7/18


特許情報キャッシュ

コプケ,マイケル パトリック,ウェイン マイケル マドック,ダニエル ジョーン ガース,モニカ JP 2015512646 公表特許公報(A) 20150430 2015504735 20130404 代謝物活性が改変された酵素 ランザテク・ニュージーランド・リミテッド 510119555 小林 浩 100092783 大森 規雄 100120134 鈴木 康仁 100104282 コプケ,マイケル パトリック,ウェイン マイケル マドック,ダニエル ジョーン ガース,モニカ US 61/620,538 20120405 C12N 9/04 20060101AFI20150403BHJP C12N 15/09 20060101ALI20150403BHJP C12N 15/00 20060101ALI20150403BHJP C12P 7/06 20060101ALI20150403BHJP C12P 7/16 20060101ALI20150403BHJP C12P 7/04 20060101ALI20150403BHJP C12N 1/21 20060101ALI20150403BHJP C12N 1/15 20060101ALI20150403BHJP C12N 1/19 20060101ALI20150403BHJP C12P 7/24 20060101ALI20150403BHJP C12P 7/30 20060101ALI20150403BHJP C12P 7/18 20060101ALI20150403BHJP JPC12N9/04 EC12N15/00 AC12N15/00C12P7/06C12P7/16C12P7/04C12N1/21C12N1/15C12N1/19C12P7/24C12P7/30C12P7/18 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC US2013035338 20130404 WO2013152236 20131010 71 20141202 4B024 4B050 4B064 4B065 4B024AA17 4B024BA08 4B024CA02 4B024CA20 4B024DA05 4B024DA06 4B024EA04 4B024FA02 4B024FA10 4B024GA14 4B024GA19 4B024HA01 4B024HA03 4B024HA06 4B024HA08 4B050CC04 4B050DD02 4B050FF13E 4B050FF15E 4B050HH01 4B050KK12 4B050LL05 4B064AC02 4B064AC03 4B064AC04 4B064AC05 4B064AC24 4B064AC32 4B064AC33 4B064CA02 4B064CA19 4B064CB18 4B064CC24 4B064CD15 4B064CE02 4B064CE08 4B064CE12 4B064CE14 4B064DA16 4B065AA23X 4B065AA23Y 4B065AA26X 4B065AB01 4B065AC10 4B065AC14 4B065BA02 4B065BA03 4B065BA25 4B065BB02 4B065BB03 4B065BB08 4B065BB12 4B065BB18 4B065BB19 4B065BB20 4B065BB23 4B065BB29 4B065BC02 4B065BC13 4B065BD16 4B065BD18 4B065BD46 4B065CA05 4B065CA06 4B065CA08 4B065CA09 4B065CA28 4B065CA54 本発明は、変異型アルコール脱水素酵素、該酵素を含む微生物、および微生物発酵によって1つまたはそれ以上の生成物を生産するための方法に関する。 微生物を用いた発酵によるエタノールまたはブタノールなどのアルコール類の生産は周知であり、工業的に何世紀にもわたって使用されてきた。歴史的には、エタノール発酵が最も大きいプロセスである。アセトン−ブタノール−エタノール(ABE)発酵は、2番目に大きい発酵プロセスとして考えられ[Duerre P: Production of solvents. In: Handbook on Clostridia, CRC Press, 2005: 671-696]、中国のような国々の現在の生産能力は百万トンを超えている[Ni Y and Sun Z: Recent progress on industrial fermentative production of acetone-butanol-ethanol by Clostridium acetobutylicum in China. Appl. Microbiol. Biotechnol., 2009, 83: 415-423]。ブタノールは、通常、溶媒またはバイオ燃料として使用され、一方、アセトンは、望ましくない副生成物として考えられている[Duerre P: Production of solvents. In: Handbook on Clostridia, CRC Press, 2005: 671-696]。クロストリジウム・ベイジェリンキ(Clostridium beijerinckii)の少数の単離株は、第二級アルコール脱水素酵素により、アセトンの代わりにイソプロパノールを生産することが知られている[George HA, Johnson JL, Moore WEC, Holdeman LV, Chen JS: Acetone, isopropanol, and butanol production by Clostridium beijerinckii (syn. Clostridium butylicum) and Clostridium aurantibutyricum. Appl Environ Microbiol 45: 1160-1163]。イソプロパノールはブタノールと類似した特性を有し、アセトンよりも有益である。しかしながら、還元はあまり効率的ではなく、それぞれのクロストリジウム・ベイジェリンキ株は良好な力価を生じさせず、有用な生産株として考えられていない。 昨今、C.アセトブチリカム(C. acetobutylicum)は、C.ベイジェリンキ(C. beijerinckii)由来の第二級アルコール脱水素酵素を用いたイソプロパノール生産のために代謝的に遺伝子操作されている[Lee et al, 2012: Metabolic engineering of Clostridium acetobutylicum ATCC824 for isopropanol-butanol-ethanol fermentation, Appl. Environ. Microbiol. 78: 1416-1423]が、高効率のアルコール脱水素酵素が、このプロセスを最適化するために必要とされる。 ABE発酵の挑戦は、すべての既知の生物が糖またはデンプンベースの基質に依存しているということである。アセトンおよびイソプロパノール(isoproanol)などの化学製品の生産に適した多くの炭水化物供給原料のコストは、ヒトの食品または動物飼料としての原料の価値によって影響を受け、このような生産のためのデンプンまたはスクロースを生産する作物の栽培は、すべての地理において経済的に持続可能とは限らない。したがって、より低コストおよび/またはより豊富な炭素資源を、アセトンおよびイソプロパノールなどの有用な化学製品に変換するための技術を開発することは興味深い。 COは、石炭またはオイルなどの有機材料、およびオイル由来の製品の不完全燃焼の主要な自由エネルギーが豊富な副生成物である。例えば、オーストラリアの鉄鋼業界は、年間50万トンを超えるCOを生産し、大気中に放出することが報告されている。密接に関連する微生物であるクロストリジウム・オートエタノゲナム(Clostridium autoethanogenum)、C.ルジュングダーリイ(C. ljungdahlii)、およびC.ラグスダレイ(C. ragsdalei)などのアセトゲン生物は、唯一のエネルギーおよび炭素源としてCOまたはCO2/H2含有ガス上で化学独立栄養的に増殖し得て、酢酸塩、エタノールまたは2,3−ブタンジオールなどの生成物を合成するが、アセトンおよびイソプロパノールは合成しない[Munasinghe PC, Khanal SK: Biomass-derived syngas fermentation into biofuels: Opportunities and challenges. Bioresource Technol 2010, 5013-22]。 最近、イソプロパノールの生産は、スイッチグラス由来の合成ガスからの100Lのパイロットスケールの発酵装置中のクロストリジウム・ラグスダレイ(Clostridium ragsdalei)(クロストリジウム属(Clostridium)株のP11)に関する研究において報告された[Kundiyana DK, Huhnke RL, Wilkins MR: Syngas fermentation in a 100-L pilot scale fermentor: Design and process considerations. J Biosci Bioeng 2010, 109: 492-498]。しかしながら、同じ研究室の関連研究は、これは、使用される合成ガス中の汚染に起因するものであり、その理由は20%のアセトンを含有するガス浄化混合物を通過させたためであることを示した[Ramachandriya KD: Effect of biomass generated producer gas, methane and physical parameters on producer gas fermentations by Clostridium strain P11. Masters thesis, Oklahoma State University 2009; Ramachandriya KD, Wilkins MR, Delorme MJM, Zhu X, Kundiyana DK, Atiyeh HK, Huhnke RL: Reduction of acetone to isopropanol using producer gas fermenting microbes. Biofuels Environ Biotechnol, 2011, epub]。しかしながら、著者は、クロストリジウム・ラグスダレイ(Clostridium ragsdalei)(クロストリジウム属(Clostridium)株のP11)によるアセトンからイソプロパノールへの還元を確認し、第二級アルコール脱水素酵素の存在を推測したが、いずれの証拠も見出されなかった。 本発明の目的は、従来技術の欠点の1つもしくはそれ以上を克服すること、または少なくとも、有用な選択肢を公衆に提供することである。 本発明者らは、イソプロパノールおよび/もしくはCOからの1つもしくはそれ以上の他の生成物の生産、またはアセトン−ブタノール−エタノール(ABE)発酵からイソプロパノール−ブタノール−エタノール(IBE)発酵への改良、または例えば2−ブタノールへのMEKの変換に使用することができるC.オートエタノゲナム(C. autoethanogenum)における新規な第一級:第二級アルコール脱水素酵素を同定し、特異的突然変異誘発によって、基質および/または補因子特異性などの酵素の特性を最適化した。 本発明の一態様において、少なくとも1つの第二の基質と比較して、少なくとも1つの第一の基質に対する特異性が増加しているアルコール脱水素酵素が提供され、ここで、少なくとも1つの第一の基質と少なくとも1つの第二の基質が以下: 第一の基質がアセトンであり、第二の基質がMEKである; 第一の基質がアセトンであり、第二の基質がアセトアルデヒドである; 第一の基質がアセトンであり、第二の基質がアセトインである; 第一の基質がMEKであり、第二の基質がアセトアルデヒドである; 第一の基質がMEKであり、第二の基質がアセトインである; 第一の基質がアセトインであり、第二の基質がアセトンである; 第一の基質がアセトインであり、第二の基質がMEKである; 第一の基質がアセトインであり、第二の基質がアセトアルデヒドである; 第一の基質がアセトアルデヒドであり、第二の基質がアセトンである; 第一の基質がアセトアルデヒドであり、第二の基質がアセトインである;および 第一の基質がアセトアルデヒドであり、第二の基質がMEKであるからなる群から選択され; ここで、アルコール脱水素酵素は、対応する野生型アルコール脱水素酵素と比較して、少なくとも1つまたはそれ以上の変異を含む。 一実施形態において、アルコール脱水素酵素は、2つまたは3つの第二の基質と比較して、1つ、2つまたは3つの第一の基質に対する特異性が増加している。別の実施形態において、アルコール脱水素酵素は、1つ、2つまたは3つの第二の基質と比較して、2つまたは3つの第一の基質に対する特異性が増加している。 別の態様において、本発明は、NADPH補因子と比較してNADH補因子に対する特異性が増加しているアルコール脱水素酵素であって、対応する野生型アルコール脱水素酵素と比較して、少なくとも1つまたはそれ以上の変異を含むアルコール脱水素酵素を提供する。 別の態様において、本発明は、補因子としてNADHを使用するアルコール脱水素酵素であって、補因子としてNADPHを使用する、対応する野生型アルコール脱水素酵素と比較して、少なくとも1つまたはそれ以上の変異を含むアルコール脱水素酵素を提供する。 特定の一実施形態において、アルコール脱水素酵素は、MEKおよび/またはアセトアルデヒドおよび/またはアセトインと比較してアセトンに対する特異性が増加している。 特定の一実施形態において、アルコール脱水素酵素は、アセトンおよび/またはアセトアルデヒドおよび/またはアセトインと比較してMEKに対する特異性が増加している。 特定の一実施形態において、アルコール脱水素酵素は、アセトンおよび/またはMEKおよび/またはアセトインと比較してアセトアルデヒドに対する特異性が増加している。 特定の一実施形態において、アルコール脱水素酵素は、アセトンおよび/またはMEKおよび/またはアセトアルデヒドと比較してアセトインに対する特異性が増加している。 特定の一実施形態において、アルコール脱水素酵素は、基質としてアセトインを使用する能力が実質的にない。特定の一実施形態において、アルコール脱水素酵素は、基質としてアセトインを使用する能力が実質的にないが、基質として、アセトン、MEKおよび/またはアセトアルデヒドを使用することができる。 一実施形態において、少なくとも1つの変異は、配列番号36のアルコール脱水素酵素配列の位置Gly198、Ser199、Arg200、Pro201およびTyr218に対応するアミノ酸のうちの1つまたは組み合わせでのアミノ酸置換である。 一実施形態において、アルコール脱水素酵素は、対応する野生型アルコール脱水素酵素と比較して、以下の変異:Gly198Asp、Gly198Ile、Gly198Leu、Gly198Val、Ser199Asp、Ser199Glu、Ser199Leu、Ser199Val、Arg200Glu、Pro201Asp、Pro201Glu、Tyr218AlaおよびTyr218Pheの1つまたはそれ以上を含む。 別の実施形態において、アルコール脱水素酵素は、対応する野生型アルコール脱水素酵素と比較して、以下の変異:Tyr218Gly、Tyr218SerまたはTyr218Valの1つを含む。 一実施形態において、アルコール脱水素酵素は、Ser199Asp置換を含む。一実施形態において、アルコール脱水素酵素は、Ser199Glu置換を含む。 一実施形態において、アルコール脱水素酵素は、以下の置換:Gly198Asp、Ser199Val、Pro201Gluの組み合わせを含む。一実施形態において、アルコール脱水素酵素は、以下の置換:Gly198Asp、Ser199LeuおよびPro201Gluの組み合わせを含む。別の実施形態において、アルコール脱水素酵素は、以下の置換:Gly198Asp、Ser199Val、Pro201GluおよびTyr218Alaの組み合わせを含む。別の実施形態において、アルコール脱水素酵素は、以下の置換:Gly198Asp、Ser199Val、Pro201GluおよびTyr218Pheの組み合わせを含む。別の実施形態において、アルコール脱水素酵素は、以下の置換:Gly198Asp、Ser199Val、Pro201GluおよびTyr218Glyの組み合わせを含む。別の実施形態において、アルコール脱水素酵素は、以下の置換:Gly198Asp、Ser199Val、Pro201GluおよびTyr218Serの組み合わせを含む。別の実施形態において、アルコール脱水素酵素は、以下の置換:Gly198Asp、Ser199Val、Pro201GluおよびTyr218Valの組み合わせを含む。 一実施形態において、アルコール脱水素酵素は、Ser199Asp置換を含み、1)MEKおよび/またはアセトインと比較してアセトンに対する基質特異性が増加している。一実施形態において、アルコール脱水素酵素は、Ser199Asp置換を含み、MEKおよびアセトインと比較してアセトンに対する基質特異性が増加している。 一実施形態において、アルコール脱水素酵素は、Ser199Glu置換を含み、1)MEK、アセトアルデヒドおよび/もしくはアセトインと比較してアセトンに対する基質特異性が増加し;ならびに/または2)アセトアルデヒドおよび/もしくはアセトインと比較してMEKに対する基質特異性が増加している。一実施形態において、アルコール脱水素酵素は、Ser199Glu置換を含み、1)MEKおよびアセトアルデヒドおよびアセトインと比較してアセトンに対する基質特異性が増加している。別の実施形態において、アルコール脱水素酵素は、Ser199Glu置換を含み、アセトアルデヒドおよびアセトインと比較してMEKに対する基質特異性が増加している。一実施形態において、アルコール脱水素酵素は、Ser199Glu置換を含み、1)MEKおよびアセトアルデヒドおよびアセトインと比較してアセトンに対する基質特異性が増加し;ならびに2)アセトアルデヒドおよびアセトインと比較してMEKに対する基質特異性が増加している。 別の実施形態において、アルコール脱水素酵素は、以下の置換:Gly198Asp、Ser199ValおよびPro201Gluの組み合わせを含み、1)MEKと比較してアセトンに対する基質特異性が増加し;ならびに/または2)MEK、アセトンおよび/もしくはアセトインと比較してアセトアルデヒドに対する基質特異性が増加し;ならびに/または3)アセトンおよび/もしくはMEKと比較してアセトインに対する基質特異性が増加している。一実施形態において、置換のこの組み合わせを含むアルコール脱水素酵素は、MEKおよびアセトンおよびアセトインと比較してアセトアルデヒドに対する基質特異性が増加している。一実施形態において、置換のこの組み合わせを含むアルコール脱水素酵素は、アセトンおよびMEKと比較してアセトインに対する基質特異性が増加している。別の実施形態において、置換のこの組み合わせを含むアルコール脱水素酵素は、1)MEKと比較してアセトンに対する基質特異性が増加し;ならびに2)MEKおよびアセトンおよびアセトインと比較してアセトアルデヒドに対する基質特異性が増加し;ならびに3)アセトンおよびMEKと比較してアセトインに対する基質特異性が増加している。 別の実施形態において、アルコール脱水素酵素は、以下の置換:Gly198Asp、Ser199Val、Pro201GluおよびTyr218Alaの組み合わせを含み、1)MEK、アセトアルデヒドおよび/もしくはアセトインと比較してアセトンに対する基質特異性が増加し;ならびに/または2)アセトアルデヒドおよび/もしくはアセトインと比較してMEKに対する基質特異性が増加し;ならびに/または3)アセトアルデヒドと比較してアセトインに対する基質特異性が増加している。一実施形態において、置換のこの組み合わせを含むアルコール脱水素酵素は、MEKおよびアセトアルデヒドおよびアセトインと比較してアセトンに対する基質特異性が増加している。一実施形態において、置換のこの組み合わせを含むアルコール脱水素酵素は、アセトアルデヒドおよびアセトインと比較してMEKに対する基質特異性が増加している。別の実施形態において、置換のこの組み合わせを含むアルコール脱水素酵素は、1)MEKおよびアセトアルデヒドおよびアセトインと比較してアセトンに対する基質特異性が増加し;ならびに2)アセトアルデヒドおよびアセトインと比較してMEKに対する基質特異性が増加し;ならびに3)アセトアルデヒドと比較してアセトインに対する基質特異性が増加している。 別の実施形態において、アルコール脱水素酵素は、以下の置換:Gly198Asp、Ser199Val、Pro201GluおよびTyr218Pheの組み合わせを含み、1)MEK、アセトアルデヒドおよび/もしくはアセトインと比較してアセトンに対する基質特異性が増加し;ならびに/または2)アセトアルデヒドおよび/もしくはアセトインと比較してMEKに対する基質特異性が増加し;ならびに/または3)アセトインと比較してアセトアルデヒドに対する基質特異性が増加している。一実施形態において、置換のこの組み合わせを含むアルコール脱水素酵素は、MEKおよびアセトアルデヒドおよびアセトインと比較してアセトンに対する基質特異性が増加している。一実施形態において、置換のこの組み合わせを含むアルコール脱水素酵素は、アセトアルデヒドおよびアセトインと比較してMEKに対する基質特異性が増加している。別の実施形態において、置換のこの組み合わせを含むアルコール脱水素酵素は、1)MEK、アセトアルデヒドおよびアセトインと比較してアセトンに対する基質特異性が増加し;ならびに2)アセトアルデヒドおよびアセトインと比較してMEKに対する基質特異性が増加し;ならびに3)アセトインと比較してアセトアルデヒドに対する基質特異性が増加している。一実施形態において、置換のこの組み合わせを含むアルコール脱水素酵素は、基質としてアセトインを使用する能力が実質的にない。 別の実施形態において、アルコール脱水素酵素は、以下の置換:Gly198Asp、Ser199Val、Pro201GluおよびTyr218Alaの組み合わせを含み、補因子としてNADHを使用することができる。一実施形態において、アルコール脱水素酵素は、これらの置換のすべてを含み、1)MEK、アセトアルデヒドおよびアセトインと比較してアセトンに対する基質特異性が増加し;ならびに2)アセトアルデヒドおよびアセトインと比較してMEKに対する基質特異性が増加し;ならびに3)アセトアルデヒドと比較してアセトインに対する基質特異性が増加し;ならびに4)補因子としてNADHを使用することができる。 別の実施形態において、アルコール脱水素酵素は、以下の置換:Gly198Asp、Ser199Val、Pro201GluおよびTyr218Pheの組み合わせを含み、補因子としてNADHを使用することができる。一実施形態において、アルコール脱水素酵素は、これらの置換のすべてを含み、1)MEK、アセトアルデヒドおよびアセトインと比較してアセトンに対する基質特異性が増加し;ならびに2)アセトアルデヒドおよびアセトインと比較してMEKに対する基質特異性が増加し;ならびに3)アセトインと比較してアセトアルデヒドに対する基質特異性が増加し;ならびに4)補因子としてNADHを使用することができる。 一実施形態において、アルコール脱水素酵素は、配列番号38に示される配列を有する。一実施形態において、アルコール脱水素酵素は、配列番号42に示される配列を有する。一実施形態において、アルコール脱水素酵素は、配列番号50に示される配列を有する。 一実施形態において、アルコール脱水素酵素は、配列番号44に示される配列を有する。一実施形態において、アルコール脱水素酵素は、配列番号46に示される配列を有する。一実施形態において、アルコール脱水素酵素は、配列番号48に示される配列を有する。一実施形態において、アルコール脱水素酵素は、配列番号52に示される配列を有する。一実施形態において、アルコール脱水素酵素は、配列番号54に示される配列を有する。一実施形態において、アルコール脱水素酵素は、配列番号63に示される配列を有する。一実施形態において、アルコール脱水素酵素は、配列番号64に示される配列を有する。一実施形態において、アルコール脱水素酵素は、配列番号65に示される配列を有する。 第二の態様において、本発明は、本発明の第一の態様のアルコール脱水素酵素をコードする核酸を提供する。 ある種の実施形態において、核酸は、配列番号37、配列番号41、配列番号47、配列番号49、配列番号67、配列番号68、配列番号69または配列番号70の配列を有する。他の実施形態において、核酸は、配列番号39、配列番号43、配列番号45、配列番号51または配列番号53の配列を有する。 第三の態様において、本発明は、本発明の第一の態様のアルコール脱水素酵素をコードする核酸を含む核酸ベクターを提供する。一実施形態において、ベクターは発現ベクターである。一実施形態において、第一の態様のアルコール脱水素酵素をコードする核酸は、第二の態様の核酸である。 第四の態様において、本発明は、本発明の第二または第三の態様の核酸を含む宿主細胞を提供する。 第五の態様において、本発明は、本発明の第二または第三の態様の1つまたはそれ以上の核酸を含む組換え微生物を提供する。 一実施形態において、微生物は、発酵によって、 イソプロパノール; 2,3−ブタンジオール; エタノール;および 2−ブタノールから選ばれる1つまたはそれ以上の生成物; ならびに場合により1つまたはそれ以上の他の生成物を生産することができる。 一実施形態において、微生物は、発酵によって、 アセトイン; アセトアルデヒド; MEK;および アセトンから選ばれる1つまたはそれ以上の生成物; ならびに場合により1つまたはそれ以上の他の生成物を生産することができる。 一実施形態において、組換え微生物は、細菌、古細菌および真菌を含む微生物の群から選ばれる。 一実施形態において、組換え微生物は、クロストリジウム属(Clostridium)、アセトバクテリウム属(Acetobacterium)、ムーレラ属(Moorella)、ブチリバクテリウム属(Butyribacterium)、ブラウティア属(Blautia)、オキソバクター属(Oxobacter)、サーモアナエロバクター属(Thermoanaerobacter)、エシェリキア属(Escherichia)、クレブシエラ属(Klebsiella)、ザイモモナス属(Zymomonas)、シトロバクター属(Citrobacter)、エンテロバクター属(Enterobacter)、サルモネラ属(Salmonella)、セラチア属(Serratia)、ラクトバチルス属(Lactobacillus)、ラクトコッカス属(Lactococcus)、エンテロコッカス属(Enterococcus)、ペディオコッカス属(Pediococcus)、ストレプトコッカス属(Streptococcus)、サッカロミセス属(Saccharomyces)、ピキア属(Pichia)、カンジダ属(Candida)、ハンゼヌラ属(Hansenula)、ヤロウィア属(Yarrowia)、ロドトルラ属(Rhodotorula)、リゾプス属(Rhizopus)、トリコスポロン属(Trichosporon)、リポミセス属(Lipomyces)、アスペルギルス属(Aspergillus)、トリコデルマ属(Trichoderma)、エクソフィラ属(Exophila)、ムコール属(Mucor)、クラドスポリウム属(Cladosporium)、ファネロカエテ属(Phanerochaete)、クラディオフィラロフォラ属(Cladiophilalophora)、ペシロミセス属(Paecilomyces)、スケドスポリウム属(Scedosporium)、オフィストマ属(Ophistoma)、バチルス属(Bacillus)、オリゴトロファ属(Oligotropha)、シュードモナス属(Pseudomonas)、カルボフィラス属(Carbophilus)、ヒドロゲノファーガ属(Hydrogenophaga)、マイコバクテリウム属(Mycobacterium)、ザバルジニア属(Zavarzinia)、カプラビダス属(Cupravidus)、セネコシスティス属(Senechocystis)、クロロフレクサス属(Chloroflexus)、メチロモナス属(Methylomonas)、メチロバクター属(Methylobacter)、メチロコッカス属(Methylococcus)、メチロミクロビウム属(Methylomicrobium)、メチロスフェラ属(Methylosphera)、メチロカルダム属(Methylocaldum)、メチロシスティス属(Methylocystis)、メチロサイナス属(Methylosinus)、メタノバクテリウム属(Methanobacterium)、メタノコッカス属(Methanococcus)、メタノゲニウム属(Methanogenium)、メタノサルシナ属(Methanosarcina)、メタノシェラ属(Methanoshera)、メタノサーモバクター属(Methanothermobacter)、メタノトリックス属(Methanotrix)、コリネバクテリウム属(Corynebacterium)、アシネトバクター属(Acinetobacter)、アクチノミセス属(Actinomyces)、バクテリオデス属(Bacteriodes)、バークホルデリア属(Burkholderia)、ブレビバクテリウム属(Brevibacterium)、ピロコッカス属(Pyrococcus)、ゲオバクター属(Geobacter)、ゲオバチルス属(Geobacillus)、パエニバチルス属(Paenibacillus)、マイコバクテリウム属(Mycobacterium)、ロドシュードモナス属(Rhodopseudomonas)、サーマトガ属(Thermatoga)、サーモアナエロバクター属(Thermoanaerobacter)、ストレプトミセス属(Streptomyces)、ロドバクター属(Rhodobacter)、ロドコッカス属(Rhodococcus)、ペプトコッカス属(Peptococcus)、ビフィドバクテリウム属(Bifidobacterium)、プロピオニバクテリウム属(Propionibacterium)、フゾバクテリウム属(Fusobacterium)、カンピロバクター属(Campylobacter)、ベイヨネラ属(Veillonella)、アクインコラ属(Aquincola)、アルスロバクター属(Arthrobacter)、モラクセラ属(Moraxella)およびサイクロバクター属(Psychrobacter)から選ばれる。 一実施形態において、生物は、カルボキシド栄養性アセトゲン微生物の群、ABE微生物の群、腸内細菌の群、ラクトバチルスの群、真菌および酵母の群、好気性カルボキシドトローフ(carboxydotroph)の群、好気性CO2固定生物の群、メチロトローフの群およびメタノゲンの群から選ばれる。 一実施形態において、微生物は、クロストリジウム・オートエタノゲナム(Clostridium autoethanogenum)、クロストリジウム・ルジュングダーリイ(Clostridium ljungdahlii)、クロストリジウム・ラグスダレイ(Clostridium ragsdalei)、クロストリジウム・カルボキシディボランス(Clostridium carboxidivorans)、クロストリジウム・ドラケイ(Clostridium drakei)、クロストリジウム・スカトロゲネス(Clostridium scatologenes)、クロストリジウム・コスカチイ(Clostridium coskatii)、クロストリジウム・アセチカム(Clostridium aceticum)、クロストリジウム・マグナム(Clostridium magnum)、クロストリジウム属種(Clostridium sp.)、ブチリバクテリウム・リモサム(Butyribacterium limosum)、ブチリバクテリウム・メチロトロフィカム(Butyribacterium methylotrophicum)、アセトバクテリウム・ウッディ(Acetobacterium woodii)、アルカリバクラム・バッチィ(Alkalibaculum bacchii)、ブラウティア・プロダクタ(Blautia producta)、ユーバクテリウム・リモサム(Eubacterium limosum)、ムーレラ・サーモアセチカ(Moorella thermoacetica)、ムーレラ・サーマウトトロフィカ(Moorella thermautotrophica)、オキソバクター・フェニジイ(Oxobacter pfennigii)およびサーモアナエロバクター・キウヴィ(Thermoanaerobacter kiuvi)を含む群から選択されるカルボキシド栄養性アセトゲンである。一実施形態において、微生物は、クロストリジウム・オートエタノゲナム(Clostridium autoethanogenum)またはクロストリジウム・ルジュングダーリイ(Clostridium ljungdahlii)である。特定の一実施形態において、微生物は、クロストリジウム・オートエタノゲナム(Clostridium autoethanogenum)DSM10061またはDSM23693である。特定の別の実施形態において、微生物は、クロストリジウム・ルジュングダーリイ(Clostridium ljungdahlii)DSM13528(またはATCC55383)である。 一実施形態において、微生物は、クロストリジウム・アセトブチリカム(Clostridium acetobutylicum)、クロストリジウム・ベイジェリンキ(Clostridium beijerinckii)、クロストリジウム・サッカロブチリカム(Clostridium saccharobutylicum)、クロストリジウム・サッカロペルブチルアセトニカム(Clostridium saccharoperbutylacetonicum)を含む群から選択されるABE微生物である。一実施形態において、微生物は、クロストリジウム・アセトブチリカム(Clostridium acetobutylicum)またはクロストリジウム・ベイジェリンキ(Clostridium beijerinckii)である。特定の一実施形態において、微生物は、クロストリジウム・アセトブチリカム(Clostridium acetobutylicum)ATCC824(またはDSM792)である。特定の別の実施形態において、微生物は、クロストリジウム・ベイジェリンキ(Clostridium beijerinckii)NCIMB8052(ATCC51743)である。 一実施形態において、微生物は、エシェリキア属(Escherichia)、クレブシエラ属(Klebsiella)、ザイモモナス属(Zymomonas)、シトロバクター属(Citrobacter)、エンテロバクター属(Enterobacter)、サルモネラ属(Salmonella)、セラチア属(Serratia)を含む群から選択される腸内細菌である。一実施形態において、微生物は、大腸菌(Eschericia coli)、ザイモノナス・モビリス(Zymononas mobilis)、クレブシエラ・ニューモニア(Klebsiella pneumonia)、クレブシエラ・オクストカ(Klebsiella oxtoca)、エンテロバクター・クロアカ(Enterobacter cloacae)またはセラチア・マルセッセンス(Serratia marcescens)である。 一実施形態において、微生物は、ラクトバチルス属(Lactobacillus)、ラクトコッカス属(Lactococcus)、エンテロコッカス属(Enterococcus)、ペディオコッカス属(Pediococcus)、ストレプトコッカス属(Streptococcus)を含む群から選択されるラクトバチルスである。一実施形態において、微生物は、ラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis)、エンテロコッカス・フェカリス(Enterococcus faecalis)、ラクトコッカス・ラクティス(Lactococcus lactis)である。 一実施形態において、微生物は、サッカロミセス属(Saccharomyces)、ピキア属(Pichia)、カンジダ属(Candida)、ハンゼヌラ属(Hansenula)、ヤロウィア属(Yarrowia)、ロドトルラ属(Rhodotorula)、リゾプス属(Rhizopus)、トリコスポロン属(Trichosporon)、リポミセス属(Lipomyces)を含む群から、およびアスペルギルス属(Aspergillus)、トリコデルマ属(Trichoderma)、エクソフィラ属(Exophila)、ムコール属(Mucor)、クラドスポリウム属(Cladosporium)、ファネロカエテ属(Phanerochaete)、クラディオフィラロフォラ属(Cladiophilalophora)、ペシロミセス属(Paecilomyces)、スケドスポリウム属(Scedosporium)、オフィストマ属(Ophistoma)を含む群から選択される真菌または酵母である。一実施形態において、微生物は、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、カンジジア・トロピカリス(Candidia tropicalis)、カンジジア・アルビカンス(Candidia albicans)またはヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)である。一実施形態において、微生物は、アスパルギルス・ニガー(Aspargillus niger)またはトリクデルマ・レゼイ(Trichderma resei)である。 一実施形態において、微生物は、バチルス属(Bacillus)、オリゴトロファ属(Oligotropha)、シュードモナス属(Pseudomonas)、カルボフィラス属(Carbophilus)、ヒドロゲノファーガ属(Hydrogenophaga)、マイコバクテリウム属(Mycobacterium)、ザバルジニア属(Zavarzinia)を含む群から選択される好気性カルボキシドトローフである。一実施形態において、微生物は、オリゴトロファ・カルボキシドボランス(Oligotropha carboxydovorans)、カルボフィラス・カルボキシダス(Carbophilus carboxidus)、ヒドロゲノファーガ・シュードフラバ(Hydrogenophaga pseudoflava)、マイコバクテリウム属種(Mycobacterium sp.)、シュードモナス・カルボキシドヒドロゲナ(Pseudomonas carboxydohydrogena)、シュードモナス属種(Pseudomonas sp.)、ザバルジニア・コンプランソリス(Zavarzinia compransoris)またはバチルス・シュレゲリ(Bacillus schlegelii)である。 一実施形態において、微生物は、カプラビダス属(Cupravidus)、セネコシスティス属(Senechocystis)、クロロフレクサス属(Chloroflexus)を含む群から選択される好気性CO2固定生物である。一実施形態において、微生物は、カプラビダス・ネカトール(Cupravidus necator)、セネコシスティス属種(Senechocystis sp.)またはクロロフレクサス・アウランチカス(Chloroflexus auranticus)である。 一実施形態において、微生物は、メチロモナス属(Methylomonas)、メチロバクター属(Methylobacter)、メチロコッカス属(Methylococcus)、メチロミクロビウム属(Methylomicrobium)、メチロスフェラ属(Methylosphera)、メチロカルダム属(Methylocaldum)、メチロシスティス属(Methylocystis)、メチロサイナス属(Methylosinus)を含む群から選択されるメチロトローフである。一実施形態において、微生物は、メチロコッカス・カプスラタス(Methylococcus capsulatus)またはメチロサイナス・トリコスポリウム(Methylosinus trichosporium)である。 一実施形態において、微生物は、メタノバクテリウム属(Methanobacterium)、メタノコッカス属(Methanococcus)、メタノゲニウム属(Methanogenium)、メタノサルシナ属(Methanosarcina)、メタノシェラ属(Methanoshera)、メタノサーモバクター属(Methanothermobacter)、メタノトリックス属(Methanotrix)を含む群から選択されるメタノゲンである。一実施形態において、微生物は、メタノサーモバクター・マルブルゲンシス(Methanothermobacter marburgensis)またはメタノサルシナ・バケリ(Methanosarcina bakeri)である。 第六の態様において、本発明は、本発明の第五の態様の微生物を用いた基質の微生物発酵によって、イソプロパノール、2,3−ブタンジオール、エタノールおよび2−ブタノールの1つまたはそれ以上、ならびに場合により1つまたはそれ以上の他の生成物を生産するための方法を提供する。 別の態様において、本発明は、アセトイン、MEK、アセトンおよびアセトアルデヒドの1つまたはそれ以上を生産するための方法を提供する。 一実施形態において、本方法は、 (a)本発明の1つまたはそれ以上の微生物の培養物を含有するバイオリアクタに基質を供給する工程;および (b)イソプロパノール、2,3−ブタンジオール、エタノールおよび2−ブタノールの1つまたはそれ以上、ならびに場合により1つまたはそれ以上の他の生成物を生産するために、バイオリアクタ中で培養物を発酵させる工程を含む。 一実施形態において、基質は、CO、CO2およびH2の1つまたはそれ以上を含む基質である。別の実施形態において、基質は、1つまたはそれ以上の炭水化物を含む基質である。 別の実施形態において、2つまたはそれ以上の異なる基質の組み合わせを使用してもよい。一実施形態において、CO、CO2およびH2の1つまたはそれ以上を含む基質、ならびに1つまたはそれ以上の炭水化物を含む基質の組み合わせが使用される。 一実施形態において、基質はCOを含む基質であり、方法は、 (a)ガスが大気中に放出される前に、産業プロセスの結果として生産されるCO含有ガスを捕捉する工程; (b)本発明の1つまたはそれ以上のカルボキシド栄養性アセトゲン微生物を含有する培養物によって、イソプロパノール、2,3−ブタンジオール、エタノールおよび2−ブタノールの1つまたはそれ以上、ならびに場合により1つまたはそれ以上の他の生成物を生産するために、CO含有ガスの嫌気的発酵を行う工程を含む。 本発明はまた、概して、本明細書において個々にまたは集合的に言及されたまたは指示された部分、要素および特徴、該部分、要素または特徴の2つまたはそれ以上のいずれかの組み合わせまたはすべての組み合わせにもあると言うことができ、本発明が関係する技術分野における既知の同等物を有する具体的な整数が本明細書に記述される場合、このような既知の同等物は、個々に明示されたかのように本明細書に組み込まれるとみなされる。 本発明のこれらの態様および他の態様は、すべてのその新規な態様で考察されるべきであり、以下の説明から明白となり、これは、添付する図面を参照して単なる一例として与えられる。野生型タンパク質は、大腸菌(E. coli)で発現させたとき、非常に可溶性であり、容易に精製することができたことを示す図である。試料(左から右):総細胞抽出物;可溶性溶解物;分子量ラダー;カラム溶出画分1〜7。Ser199Asp(左パネル)とArg200Gln(右パネル)変異タンパク質は非常に可溶性であったことを示す図である。Ser199Asp試料(左から右):総細胞抽出物;ラダー;カラム洗浄物1;カラム洗浄物2;溶出画分1〜5。Arg200Gln試料(左から右):総細胞抽出物;カラム洗浄物1;カラム洗浄物2;ラダー;溶出画分1〜5。野生型タンパク質とSer199Asp変異体の活性を示す図である。Ser199Asp変異体は、アセトンを用いた野生型とほぼ同じ活性であった。Ser199Asp変異体の相対的活性を示す図である。変異体2(パネルA)、変異体7(パネルB)、変異体10(パネルC)、変異体11(パネルD)および変異体13(パネルE)は可溶性であったことを示す図である。変異体2の試料(左から右):総細胞抽出物、可溶性溶解物、カラム洗浄画分(1〜6)、分子量ラダー、カラム溶出画分(1〜6)。変異体7の試料(左から右):総細胞抽出物、可溶性溶解物、カラム洗浄画分(1〜5)、分子量ラダー、カラム溶出画分(1〜7)。変異体10の試料(左から右):総細胞抽出物、可溶性溶解物、カラム洗浄画分(1)、分子量ラダー、カラム洗浄画分(2〜4)、カラム溶出画分(1〜5)。変異体11の試料(左から右):総細胞抽出物、可溶性溶解物、カラム洗浄画分(1〜3)、分子量ラダー、カラム溶出画分(1〜5)。変異体13の試料(左から右):総細胞抽出物、可溶性溶解物、カラム洗浄画分(1)、分子量ラダー、カラム洗浄画分(2〜3)、カラム溶出画分(1〜5)、分子量ラダー。補因子としてNADHおよび基質としてアセトンを用いた、野生型タンパク質ならびに変異体2、7、10、11および13の活性を示す図である。変異体11だけは、補因子としてNADHを使用して、いずれかの有意な活性を有する。アセトン(アセトンセット=1)に標準化された様々な基質を用いた、野生型および変異型ADH酵素の比活性を示す図である。各々の酵素について、好ましい補因子を用いた(すなわち、野生型ADH、変異体2と変異体7についてはNADPH;変異体10と変異体11についてはNADH)。MEK(2−ブタノン)(MEKセット=1)に標準化された様々な基質を用いた、野生型および変異型ADH酵素の比活性を示す図である。各々の酵素について、好ましい補因子を用いた(すなわち、野生型ADH、変異体2と変異体7についてはNADPH;変異体10と変異体11についてはNADH)。アセトアルデヒド(アセトアルデヒドセット=1)に標準化された様々な基質を用いた、野生型および変異型ADH酵素の比活性を示す図である。各々の酵素について、好ましい補因子を用いた(すなわち、野生型ADH、変異体2と変異体7についてはNADPH;変異体10と変異体11についてはNADH)。アセトイン(アセトインセット=1)に標準化された様々な基質を用いた、野生型および変異型ADH酵素の比活性を示す図である。各々の酵素について、好ましい補因子を用いた(すなわち、野生型ADH、変異体2と変異体7についてはNADPH;変異体10と変異体11についてはNADH)。補因子としてNADHとNADPH、および対照(CNTL)を含む基質としてアセトンを用いた、C.オートエタノゲナム(C. autoethanogenum)DSM10061野生型酵素の活性試験を示す図である。様々な基質を用いた、野生型Adh酵素について測定された動力学、KM値および活性を示す図である。pMTL85147−ThlA−CtfAB−Adc−Adhのプラスミドマップを示す図である。イソプロパノール、2,3−ブタンジオール、2−ブタノールとエタノールへの発酵経路、およびアルコール脱水素酵素(adh)の役割を示す図である。他の反応(reation):アセト乳酸シンターゼ(als)、アセト乳酸脱炭酸酵素(aldc)、ジオール脱水酵素(pdd)、アルデヒド脱水素酵素(ald)、アルデヒド:フェレドキシン酸化還元酵素(aor)、ホスホトランスアセチラーゼ(pta)、酢酸キナーゼ(ack)、チオラーゼ(thlA)、CoAトランスフェラーゼ(ctfAB)、アセト酢酸脱炭酸酵素(adc)。 以下は、本発明の説明であり、一般論として示されたそれらの好ましい実施形態を含む。本発明はさらに、本発明を支持する実験データ、本発明の様々な態様の具体例および本発明を実施するための手段を提供している、本明細書において後述する「実施例」なる見出しに示されている開示によって明らかにされる。 本発明者(単数または複数)は、カルボキシド栄養性アセトゲン微生物由来のアルコール脱水素酵素の変異が、互いと比較して、基質アセトイン、メチルエチルケトン(MEKまたは2−ブタノン)、アセトンおよびアセトアルデヒドの1つまたはそれ以上に対するその特異性を増加することを予期せずに見出した。 さらに、本発明者らは、NADPHに代えてまたはNADPHに加えて、補因子としてNADHを受け入れることができる変異体を同定した。したがって、それは、これらの補因子の1つだけの利用可能性によって限定されず、生産形成の全体的な効率を高めるためのより豊富な細胞内NADHプールを用いることができる。 変異体(単数または複数)は、本発明の酵素が、別のものと比較して、1つの発酵最終生成物を優先的に生産するように適合され、NADPHプール(Bennett & San, 2009)と比較して典型的には非常により大きなNADHプールを利用可能にすることを意味する。ABE発酵において、エタノールとアセトンの両方が生産され、IBE発酵において、イソプロパノールが生産される(Kopke & Durre, 2011)。本発明は、アセトンのイソプロパノールへの還元を増加させることができ、またはアセトアルデヒドからエタノールへ、もしくはその反対と比較して、この反応を優先的に触媒させることができる。例えば、本発明は、すべての株が厳密にNADPH依存性であり、アセトアルデヒドに対して高いバックグラウンド活性を有する、未修飾のアルコール脱水素酵素に依存するため、イソプロパノール生産の制限を克服するのを助けることができる。イソプロパノール生産のために遺伝子操作された大腸菌(E. coli)株は、同じ欠点と低収率を被り、この理由は、C.ベイジェリンキ(C. beijerinckii)由来の同じNADPH依存性アルコール脱水素酵素が代替物なしに使用されるためである[Hanai T et al (2007) Engineered synthetic pathway for isopropanol production in Escherichia coli. Applied and environmental microbiology 73:7814-8; Inokuma K et al (2010) Improvement of isopropanol production by metabolically engineered Escherichia coli using gas stripping. Journal of bioscience and bioengineering 110:696-701; Jojima T et al (2008) Production of isopropanol by metabolically engineered Escherichia coli. Applied microbiology and biotechnology 77:1219-24]。同様に、本発明は、従前は実行可能なレベルのイソプロパノールを生産することができないカルボキシド栄養性アセトゲン微生物によって一酸化炭素を含む基質からイソプロパノールを生産するための手段を提供する。C.オートエタノゲナム(C. autoethanogenum)、C.ルジュングダーリイ(C. ljungdahlii)またはC.ラグスダレイ(C. ragsdalei)としてのいくつかのカルボキシド栄養性生物は、エタノールと2,3−ブタンジオールの両方を形成することができる(Kopke et al., 2011)。本発明はまた、アセトインの2,3−ブタンジオールへの還元を増加させることができ、またはアセトアルデヒドからエタノールへ、もしくはその反対と比較して、この反応を優先的に触媒させることができる。2,3−ブタンジオールは、ジオール脱水酵素によってMEKに変換することができる(Toraya et al, 1976, Substrate specificity of coenzyme B12-dependent diol dehydrase - glycerol as both a good substrate and a potent inactivator. Biochem. Biophys. Res. Commun., 69: 475-80)。本発明は、MEKの2−ブタノールへの効果的な変換を可能にする。したがって、本発明はまた、より高い特異性でアセトインから2,3−ブタンジオールおよびMEKから2−ブタノールを生産するための解決手段を提供する。 したがって、本発明は、とりわけ、アセトイン、メチルエチルケトン(MEKもしくは2−ブタノン)および/もしくはアセトアルデヒド基質のような他の基質と比較してアセトン基質に対する特異性が増加し、アセトアルデヒドおよび/もしくはアセトイン基質と比較してMEK基質に対する特異性が増加し、MEK、アセトインおよび/もしくはアセトン基質と比較してアセトアルデヒド基質に対する特異性が増加し、ならびに/またはアセトン、MEKおよび/もしくはアセトアルデヒド基質と比較してアセトイン基質に対する特異性が増加しているアルコール脱水素酵素であって、対応する野生型アルコール脱水素酵素と比較して、少なくとも1つまたはそれ以上の変異を含むアルコール脱水素酵素、該アルコール脱水素酵素をコードする核酸、該核酸を含む核酸ベクター、基質の発酵によって、イソプロパノール、2,3−ブタンジオール、エタノールおよび2−ブタノールの1つまたはそれ以上、および場合により1つまたはそれ以上の他の生成物を生産することができ、本発明の1つまたはそれ以上のアルコール脱水素酵素をコードする1つまたはそれ以上の核酸を含む微生物、ならびにイソプロパノール、2,3−ブタンジオール、エタノールおよび2−ブタノールの1つまたはそれ以上、および場合により1つまたはそれ以上の他の生成物を生産するための方法を提供する。 本発明はまた、基質としてアセトインを使用する能力が実質的にないアルコール脱水素酵素、このようなアルコール脱水素酵素をコードする核酸および核酸ベクター、該核酸または核酸ベクターを含む微生物、ならびにこのようなアルコール脱水素酵素を使用する方法を提供する。 語句「CO、CO2およびH2の1つまたはそれ以上を含む基質」は、CO、CO2およびH2の1つまたはそれ以上が、例えば、増殖および/または発酵のために微生物の1つまたはそれ以上の株に利用可能である任意の基質を含むものと理解されるべきである。基質は、100%のCO、CO2もしくはH2または他のガスと比較して大部分のCO、CO2もしくはH2を含んでもよく、または2つもしくはそれ以上の該ガスの任意の比率で組み合わせられてもよいことが認識されるべきである。特定の実施形態において、基質は、COおよびCO2の組み合わせを含む。別の実施形態において、基質は、COおよびH2の組み合わせを含む。別の実施形態において、基質は、CO2およびH2の組み合わせを含む。別の実施形態において、基質は、CO、CO2およびH2の組み合わせを含む。 ある種の実施形態において、基質はCO2を含み、任意の培養、増殖または発酵は、光(光合成)および/または電気(電気合成)の存在下で実施されてもよい。ある種の実施形態において、CO2はO2と組み合わせられる。 一実施形態において、「CO、CO2およびH2を含む基質」とは、「一酸化炭素を含む基質」である。「COを含む基質」および類似の用語は、一酸化炭素が、例えば、増殖および/または発酵のために微生物の1つまたはそれ以上の株に利用可能である任意の基質を含むものと理解されるべきである。 語句「一酸化炭素を含むガス状基質」ならびに類似の語句および用語は、あるレベルの一酸化炭素を含有する任意のガスを含む。ある種の実施形態において、基質は、少なくとも約20体積%〜約100体積%のCO、20体積%〜70体積%のCO、30体積%〜60体積%のCO、および40体積%〜55体積%のCOを含有する。特定の実施形態において、基質は、約25体積%、または約30体積%、または約35体積%、または約40体積%、または約45体積%、または約50体積%のCO、または約55体積%のCO、または約60体積%のCOを含む。 COを含む基質は任意の水素を含有する必要がないが、H2の存在は、本発明の方法に従う生成物形成に有害であるべきではない。特定の実施形態において、水素の存在は、アルコール生産の改善された全体的な効率をもたらす。例えば、特定の実施形態において、基質は、約2:1または1:1または1:2の比率のH2:COを含んでもよい。一実施形態において、基質は、約30体積%以下のH2、20体積%以下のH2、約15体積%以下のH2または約10体積%以下のH2を含む。他の実施形態において、基質流は、低濃度のH2、例えば、5%未満、もしくは4%未満、もしくは3%未満、もしくは2%未満、もしくは1%未満を含み、または実質的に水素を含まない。基質はまた、幾分かのCO2、例えば、約1体積%〜約80体積%のCO2、または1体積%〜約30体積%のCO2を含有してもよい。一実施形態において、基質は、約20体積%以下のCO2を含む。特定の実施形態において、基質は、約15体積%以下のCO2、約10体積%以下のCO2、約5体積%以下のCO2を含み、またはCO2を実質的に含まない。 本発明の特定の実施形態において、CO含有ガス状基質は、産業排ガスまたは産業廃棄ガスである。「産業廃棄ガスまたは産業排ガス」は、概して、産業プロセスによって生産されるCOを含む任意のガスを含み、鉄金属生成物製造、非鉄生成物製造、石油精製プロセス、石炭のガス化、バイオマスのガス化、電力生産、カーボンブラック生産およびコークス製造の結果として生産されるガスを含むと解釈されるべきである。さらなる例は、本明細書の他の箇所に示され得る。 一実施形態において、「CO、CO2およびH2を含む基質」とは、「CO2およびH2を含む基質」である。「CO2およびH2を含む基質」および類似の用語は、二酸化炭素および水素が、例えば、増殖および/または発酵のために微生物の1つまたはそれ以上の株に利用可能である任意の基質を含むものと理解されるべきである。 CO2およびH2を含有する基質は、典型的には、大部分を占めるH2を含有し、例えば、少なくとも約30体積%のH2、または少なくとも40体積%のH2、または少なくとも50体積%のH2、または少なくとも60体積%のH2、または少なくとも70体積%のH2、または少なくとも80体積%のH2、または少なくとも85体積%のH2を含有する。 ガス状基質は、典型的には、少なくとも約10体積%のCO2、または少なくとも15体積%のCO2、または少なくとも20体積%のCO2、または少なくとも25体積%のCO2、または少なくとも30体積%のCO2、または少なくとも40体積%のCO2を含有する。 ある種の実施形態において、H2:CO2の比率は、約1:1または約2:1または約3:1である。 ある種の実施形態において、CO2およびH2を含む基質は、産業プロセスの副生成物として、またはいくつかの他の供給源から得られる廃棄ガスである。CO2排出量の最大の供給源は、世界的に、発電所、産業施設および他の供給源における石炭、オイルおよびガスなどの化石燃料の燃焼に由来する。 ガス状基質は、産業プロセスの副生成物として、または自動車の排出ガスなどのいくつかの別の供給源から得られるCO2およびH2を含有する廃棄ガスであってもよい。ある種の実施形態において、産業プロセスは、水素製造、アンモニア製造、燃料の燃焼、石炭のガス化、ならびに石灰石およびセメントの生産からなる群から選択される。ガス状基質は、混和流を与えるために、1つまたはそれ以上のガス状基質を混和した結果であってもよい。H2またはCO2に富んだ廃棄ガス流は、H2とCO2の両方に富んだ廃棄ガス流よりも豊富であることは当業者に理解される。当業者は、CO2およびH2の所望の成分の1つを含む1つまたはそれ以上のガス流を混和することは、本発明の範囲内にあることを理解する。 水素に富んだガス流は、炭化水素の蒸気改良、具体的には、天然ガスの蒸気改良を含む様々なプロセスによって生産される。石炭または炭化水素の部分酸化もまた、水素に富んだガスの供給源である。水素に富んだガスの他の供給源は、水の電気分解、塩素を生産するために使用される電解セル、ならびに様々な精製装置および化学流からの副生成物を含む。 典型的に二酸化炭素に富んだガス流は、天然ガスまたはオイルなどの炭化水素の燃焼からの排出ガスを含む。二酸化炭素はまた、アンモニア、石灰またはリン酸塩の生産からの副生成物として生産される。 以下の説明において、本発明の実施形態は、「COを含有するガス状基質」または「CO、CO2およびH2の1つまたはそれ以上を含むガス状基質」の送達および発酵に関して説明されている。しかしながら、ガス状基質は、代替的形態で提供されてもよいことが認識されるべきである。例えば、ガス状基質は、液体中に溶解して提供されてもよい。本質的に、液体は、一酸化炭素、二酸化炭素および/または水素を含有するガスで飽和され、次に、その液体をバイオリアクタに添加する。これは、標準的な方法を用いて達成されてもよい。例として、マイクロバブル分散発生装置(Hensirisak et. al. Scale-up of microbubble dispersion generator for aerobic fermentation; Applied Biochemistry and Biotechnology Volume 101, Number 3 / October, 2002)を用いることができる。さらなる例として、COを含有するガス状基質は、固体支持体に吸着されてもよい。このような代替的方法は、用語「COを含有する基質」、「CO2およびH2を含む基質」および「CO、CO2およびH2の1つまたはそれ以上を含む基質」ならびに類似の語句の使用によって包含される。 語句「1つまたはそれ以上の炭水化物を含む基質」および類似の用語は、1つまたはそれ以上の炭水化物が、例えば、増殖および/または発酵のために微生物の1つまたはそれ以上の株に利用可能である任意の基質を含むものと理解されるべきである。「炭水化物」は、概して、単糖、二糖、オリゴ糖および多糖、単炭水化物および複合炭水化物、例えばグルコース、フルクトース、糖蜜およびデンプンを含むと解釈されるべきである。 一実施形態において、「1つまたはそれ以上の炭水化物を含む基質」は、バイオマスから供給されてもよい。バイオマスは、いかなる性質のものであってもよく、例えば、森林または他の市販の作物(例えば、樹木、枝、切り株、木材チップ、おがくず、刈り取った草)、都市固形廃棄物、および微生物発酵による1つまたはそれ以上の生成物を生産するための原料を提供するように生長される作物、例えば、ススキ、スイッチグラス、麻、トウモロコシ、ポプラ、ヤナギ、ソルガム、サトウキビおよび竹などからの残留物を含む。 文脈上他の意味に解すべき場合を除いて、本明細書中で使用される語句「発酵」、「発酵プロセス」または「発酵反応」などは、プロセスの増殖期と生成物生合成期の両方を包含することが意図される。本明細書においてさらに説明するように、いくつかの実施形態において、バイオリアクタは、第一の増殖リアクタと第二の発酵リアクタを含んでもよい。このようにして、発酵反応への金属または組成物の添加は、これらのリアクタのいずれかまたは両方への添加を含むものと理解されるべきである。 用語「バイオリアクタ」は、1つまたはそれ以上の容器および/もしくはタワーまたは配管からなる発酵デバイスを含み、連続撹拌槽型リアクタ(CSTR)、固定化細胞リアクタ(ICR)、トリクルベッドリアクタ(TBR)、気泡カラム、ガスリフト発酵槽、スタティックミキサーまたは気−液接触に適した他の容器もしくは他のデバイスが挙げられる。いくつかの実施形態において、バイオリアクタは、第一の増殖リアクタと第二の発酵リアクタを含んでもよい。このようにして、バイオリアクタまたは発酵反応への基質の添加について言及する際、必要に応じて、これらのリアクタのいずれかまたは両方への添加を含むものと理解されるべきである。 核酸「構築物」または「ベクター」という用語および類似の用語は、概して、遺伝物質を細胞に移入する媒体として使用するのに適したいずれもの核酸(DNA、cDNAおよびRNAを含む)を含むと解釈されるべきである。これらの用語は、プラスミド、ウイルス(バクテリオファージを含む)、コスミドおよび人工染色体を含むと解釈されるべきである。構築物またはベクターとしては、1つまたはそれ以上の調節因子、複製起点、マルチクローニング部位および/または選択マーカーが挙げられる。特定の一実施形態において、構築物またはベクターは、該構築物またはベクターによってコードされた1つまたはそれ以上の遺伝子を発現させるように適合されている。核酸構築物またはベクターは、裸の核酸を含み、ならびに細胞への送達を容易にするために1つまたはそれ以上の薬剤と調合された核酸(例えば、リポソームにコンジュゲートした核酸、核酸が含有される生物)も含む。ベクターは、核酸のクローニングまたは発現、および組換え微生物を生産するために微生物の形質転換に使用されてもよい。ベクターは、本発明の1つまたはそれ以上のアルコール脱水素酵素をコードする1つまたはそれ以上の核酸を含んでもよい。 「外因性核酸」は、それらが導入される微生物の外部を起源とする核酸である。外因性核酸は、いずれもの適切な供給源から得ることが可能であり、限定されないが、それらを導入しようとする微生物、それらを導入しようとする生物とは異なる微生物株もしくは種が挙げられ、またはそれらは、人工的に作出されたものでもよくまたは組換えによって作出されたものでもよい。別の実施形態において、外因性核酸は、それらを導入しようとする微生物中に天然には存在しない核酸配列を表し、微生物中に天然には存在しない生成物の発現を可能にする。外因性核酸は、それを導入しようとする微生物のゲノムに組み込まれるように適合されていてもよく、または染色体外の状態のままにするように適合されていてもよい。 「親微生物」は、本発明の微生物を作製するために用いられる微生物である。親微生物は、天然に存在している微生物(すなわち野生型微生物)、またはこれまでに修飾されているが、本発明の主題の1つもしくはそれ以上の酵素を発現もしくは過剰発現しない微生物であってよい。したがって、本発明の微生物は、親微生物において本発明の1つまたはそれ以上のアルコール脱水素酵素を発現するように修飾されている。 本発明のアルコール脱水素酵素は、本明細書において、別の基質と比較して1つの基質に対する「特異性が増加」していると言及される。これは、アルコール脱水素酵素が、野生型アルコール脱水素酵素と比較して、別の基質と比べて1つの基質に対する特異性が増加していることを意味することが意図される。これはいくつかの実施形態において当てはまる場合もあるが、本発明のアルコール脱水素酵素が、野生型アルコール脱水素酵素と比較して特定の基質に対するより高い特異性を有することを必然的に推定するものと解釈されるべきではない。さらに、これはいくつかの実施形態において当てはまる場合もあるが、この用語は、本発明のアルコール脱水素酵素が、別の基質と比較して特定の基質に対する絶対的な特異性を有し、別の基質と比較して特定の基質に対して少なくとも優先性を含むことを意味すると解釈されるべきではない。 「特異性の増加」、「よい高い特異性」または類似の用語は、NADHまたはNADPH補因子に関連して使用するとき、反応中に補因子がアルコール脱水素酵素に結合する親和性の程度を指す。これは当てはまる場合もあるが、アルコール脱水素酵素および補因子が、絶対的な特異性を有し、特定のアルコール脱水素酵素と別の補因子と比較した1つの補因子の間の結合に対する少なくとも優先性を含むことを意味すると解釈されるべきではない。 本明細書において、「イソプロパノール、2,3−ブタンジオール、エタノールおよび2−ブタノールを含む1つまたはそれを超える生成物」の生産について言及される。しかしながら、追加の生成物もまた作製されてもよいことは認識されるべきである。 また、本明細書において、「アセトイン、MEK、アセトアルデヒドおよびアセトンを含む1つまたはそれ以上の生成物」の生産について言及され得る。本発明の変異型アルコール脱水素酵素の特異性が別の基質と比較して特定の基質に対して低減される場合のある種の実施形態において、これらの生成物はまた、本明細書において「基質」と呼ばれるが、一方、それは減少したレベルで下流生成物に変換され、または実質的に変換がおこらず、増加したレベルのアセトイン、MEK、アセトアルデヒドおよび/またはアセトンが蓄積されるのを可能にする。例として、一実施形態において、本発明のアルコール脱水素酵素は、基質としてアセトインを使用する能力が実質的になく、そのため、アセトインは蓄積されてもよい。 さらに、いくつかの実施形態において、イソプロパノール、2,3−ブタンジオール、エタノールおよび2−ブタノールの1つまたはそれ以上を含む、本明細書において言及される1つまたはそれ以上の生成物は、同じ発酵反応において、別々の発酵反応において、または化学合成によって、下流生成物にさらに変換される中間体または前駆体として使用されてもよいことは認識されるべきである。この場合において、特定の微生物における1つもしくはそれ以上の生成物の生産を検出できない場合があり、または小さなレベルの生産だけを検出することができる場合がある。しかしながら、1つまたはそれ以上の生成物の生産は、1つまたはそれ以上の下流生成物の生産に基づいて推定することができる。 本発明のある種の実施形態において、本発明のアルコール脱水素酵素は、「基質としてアセトインを使用する能力が実質的にない」。このことは、これが好ましい場合もあるが、酵素が、基質としてアセトインを使用する能力が絶対的にないことを必ずしも含意しない。一実施形態において、この語句は、約1%以下の野生型酵素の活性の寛容、または0.1秒−1mM−1未満のkcat/KMの酵素効率を含むと解釈されるべきである。酵素 本発明者らは、C.オートエタノゲナム(C. autoethanogenum)由来のアルコール脱水素酵素(配列番号36)の変異が、他の基質と比較して様々な基質に対する特異性を増加することを実証し、ある種の実施形態において、補因子特異性が改変または最適化され得ることを実証しているが、一方、本発明者らは、本発明が、他の生物由来の他のアルコール脱水素酵素に幅広く適用可能であり;具体的には、第一級または第二級アルコールに対する活性を有し、基質としてNADHまたはNADPH(EC1.1.1.1またはEC1.1.1.2)を使用する任意のアルコール脱水素酵素に幅広く適用可能であることを企図している。 典型的には、本発明が適用可能であるアルコール脱水素酵素の群は、配列番号36のアルコール脱水素酵素に対して少なくとも約65%の配列同一性を有し、より具体的には少なくとも約70%、75%、80%、85%、90%、95%または99%の配列同一性を有する。 例として、本発明は、以下のアルコール脱水素酵素:C.オートエタノゲナム(C. autoethanogenum)の第一級:第二級アルコール脱水素酵素(配列番号36)、C.ルジュングダーリイ(C. ljungdahlii)の第一級:第二級アルコール脱水素酵素(YP_003780646.1)、C.ベイジェリンキ(C. beijerinckii)の第一級:第二級アルコール脱水素酵素(P25984.2)、サーモアナエロバクター・エタノリカス(Thermoanaerobacter ethanolicus)の第一級:第二級アルコール脱水素酵素(ABC50090.1)またはサーモアナエロビウム・ブロッキ(Thermoanaerobium brockii)の第一級:第二級アルコール脱水素酵素(P14941.1)に適用することができる。 本発明のアルコール脱水素酵素は、対応する野生型アルコール脱水素酵素と比較して、少なくとも1つの変異を含む。一実施形態において、少なくとも1つの変異は、配列番号36のアルコール脱水素酵素配列の位置Gly198、Ser199、Arg200、Pro201およびTyr218に対応するアミノ酸のうちの1つまたは組み合わせでのアミノ酸置換である。一実施形態において、アルコール脱水素酵素は、配列番号36のアルコール脱水素酵素配列の位置Ser199に対応する位置でのアミノ酸置換である、少なくとも1つの変異を含む。当業者は、代替のアルコール脱水素酵素における関連する位置(配列番号36のADHの位置198、199、201および218に対応する)を、当該技術分野において公知の標準的な手法に従って、その配列を配列番号36のアルコール脱水素酵素の配列と整列させることによって、容易に認識する。 一実施形態において、アルコール脱水素酵素は、対応する野生型アルコール脱水素酵素と比較して、以下の変異:Gly198Asp、Gly198Ile、Gly198Leu、Gly198Val、Ser199Asp、Ser199Glu、Ser199Leu、Ser199Val、Arg200Glu、Pro201Asp、Pro201Glu、Tyr218AlaおよびTyr218Pheの1つまたはそれ以上を含む。 本発明者らはまた、対応する野生型アルコール脱水素酵素と比較して、以下の変異:Tyr218Gly、Tyr218SerおよびTyr218Valの1つを含む、本発明のアルコール脱水素酵素を想定する。これらの変異は、本明細書において後述する実施例の部に例示されたTyr218AlaおよびTyr218Phe置換にサイズにおいてすべて近い置換を表す。 一実施形態において、アルコール脱水素酵素は、Ser199Asp置換を含む。一実施形態において、アルコール脱水素酵素は、Ser199Glu置換を含む。 一実施形態において、アルコール脱水素酵素は、以下の置換:Gly198Asp、Ser199Val、Pro201Gluの組み合わせを含む。一実施形態において、アルコール脱水素酵素は、以下の置換:Gly198Asp、Ser199LeuおよびPro201Gluの組み合わせを含む。別の実施形態において、アルコール脱水素酵素は、以下の置換:Gly198Asp、Ser199Val、Pro201GluおよびTyr218Alaの組み合わせを含む。別の実施形態において、アルコール脱水素酵素は、以下の置換:Gly198Asp、Ser199Val、Pro201GluおよびTyr218Pheの組み合わせを含む。別の実施形態において、アルコール脱水素酵素は、以下の置換:Gly198Asp、Ser199Val、Pro201GluおよびTyr218Glyの組み合わせを含む。別の実施形態において、アルコール脱水素酵素は、以下の置換:Gly198Asp、Ser199Val、Pro201GluおよびTyr218Serの組み合わせを含む。別の実施形態において、アルコール脱水素酵素は、以下の置換:Gly198Asp、Ser199Val、Pro201GluおよびTyr218Valの組み合わせを含む。 一実施形態において、アルコール脱水素酵素は、Ser199Asp置換を含み、1)MEKおよび/またはアセトインと比較してアセトンに対する基質特異性が増加している。一実施形態において、アルコール脱水素酵素は、Ser199Asp置換を含み、MEKおよびアセトインと比較してアセトンに対する基質特異性が増加している。 一実施形態において、アルコール脱水素酵素は、Ser199Glu置換を含み、1)MEK、アセトアルデヒドおよび/もしくはアセトインと比較してアセトンに対する基質特異性が増加し;ならびに/または2)アセトアルデヒドおよび/もしくはアセトインと比較してMEKに対する基質特異性が増加している。一実施形態において、アルコール脱水素酵素は、Ser199Glu置換を含み、1)MEKおよびアセトアルデヒドおよびアセトインと比較してアセトンに対する基質特異性が増加している。別の実施形態において、アルコール脱水素酵素は、Ser199Glu置換を含み、アセトアルデヒドおよびアセトインと比較してMEKに対する基質特異性が増加している。一実施形態において、アルコール脱水素酵素は、Ser199Glu置換を含み、1)MEKおよびアセトアルデヒドおよびアセトインと比較してアセトンに対する基質特異性が増加し;ならびに2)アセトアルデヒドおよびアセトインと比較してMEKに対する基質特異性が増加している。 別の実施形態において、アルコール脱水素酵素は、以下の置換:Gly198Asp、Ser199ValおよびPro201Gluの組み合わせを含み、1)MEKと比較してアセトンに対する基質特異性が増加し;ならびに/または2)MEK、アセトンおよび/もしくはアセトインと比較してアセトアルデヒドに対する基質特異性が増加し;ならびに/または3)アセトンおよび/もしくはMEKと比較してアセトインに対する基質特異性が増加している。一実施形態において、置換のこの組み合わせを含むアルコール脱水素酵素は、MEKおよびアセトンおよびアセトインと比較してアセトアルデヒドに対する基質特異性が増加している。一実施形態において、置換のこの組み合わせを含むアルコール脱水素酵素は、アセトンおよびMEKと比較してアセトインに対する基質特異性が増加している。別の実施形態において、置換のこの組み合わせを含むアルコール脱水素酵素は、1)MEKと比較してアセトンに対する基質特異性が増加し;ならびに2)MEKおよびアセトンおよびアセトインと比較してアセトアルデヒドに対する基質特異性が増加し;ならびに3)アセトンおよびMEKと比較してアセトインに対する基質特異性が増加している。 別の実施形態において、アルコール脱水素酵素は、以下の置換:Gly198Asp、Ser199Val、Pro201GluおよびTyr218Alaの組み合わせを含み、1)MEK、アセトアルデヒドおよび/もしくはアセトインと比較してアセトンに対する基質特異性が増加し;ならびに/または2)アセトアルデヒドおよび/もしくはアセトインと比較してMEKに対する基質特異性が増加し;ならびに/または3)アセトアルデヒドと比較してアセトインに対する基質特異性が増加している。一実施形態において、置換のこの組み合わせを含むアルコール脱水素酵素は、MEKおよびアセトアルデヒドおよびアセトインと比較してアセトンに対する基質特異性が増加している。一実施形態において、置換のこの組み合わせを含むアルコール脱水素酵素は、アセトアルデヒドおよびアセトインと比較してMEKに対する基質特異性が増加している。別の実施形態において、置換のこの組み合わせを含むアルコール脱水素酵素は、1)MEKおよびアセトアルデヒドおよびアセトインと比較してアセトンに対する基質特異性が増加し;ならびに2)アセトアルデヒドおよびアセトインと比較してMEKに対する基質特異性が増加し;ならびに3)アセトアルデヒドと比較してアセトインに対する基質特異性が増加している。 別の実施形態において、アルコール脱水素酵素は、以下の置換:Gly198Asp、Ser199Val、Pro201GluおよびTyr218Pheの組み合わせを含み、1)MEK、アセトアルデヒドおよび/もしくはアセトインと比較してアセトンに対する基質特異性が増加し;ならびに/またはアセトアルデヒドおよび/もしくはアセトインと比較してMEKに対する基質特異性が増加し;ならびに/または3)アセトインと比較してアセトアルデヒドに対する基質特異性が増加している。一実施形態において、置換のこの組み合わせを含むアルコール脱水素酵素は、MEKおよびアセトアルデヒドおよびアセトインと比較してアセトンに対する基質特異性が増加している。一実施形態において、置換のこの組み合わせを含むアルコール脱水素酵素は、アセトアルデヒドおよびアセトインと比較してMEKに対する基質特異性が増加している。別の実施形態において、置換のこの組み合わせを含むアルコール脱水素酵素は、1)MEK、アセトアルデヒドおよびアセトインと比較してアセトンに対する基質特異性が増加し;ならびに2)アセトアルデヒドおよびアセトインと比較してMEKに対する基質特異性が増加し;ならびに3)アセトインと比較してアセトアルデヒドに対する基質特異性が増加している。一実施形態において、置換のこの組み合わせを含むアルコール脱水素酵素は、基質としてアセトインを使用する能力が実質的にない。 別の実施形態において、アルコール脱水素酵素は、以下の置換:Gly198Asp、Ser199Val、Pro201GluおよびTyr218Alaの組み合わせを含み、補因子としてNADHを使用することができる。一実施形態において、アルコール脱水素酵素は、これらの置換のすべてを含み、1)MEK、アセトアルデヒドおよびアセトインと比較してアセトンに対する基質特異性が増加し;ならびに2)アセトアルデヒドおよびアセトインと比較してMEKに対する基質特異性が増加し;ならびに3)アセトアルデヒドと比較してアセトインに対する基質特異性が増加し;ならびに4)補因子としてNADHを使用することができる。 別の実施形態において、アルコール脱水素酵素は、以下の置換:Gly198Asp、Ser199Val、Pro201GluおよびTyr218Pheの組み合わせを含み、補因子としてNADHを使用することができる。一実施形態において、アルコール脱水素酵素は、これらの置換のすべてを含み、1)MEK、アセトアルデヒドおよびアセトインと比較してアセトンに対する基質特異性が増加し;ならびに2)アセトアルデヒドおよびアセトインと比較してMEKに対する基質特異性が増加し;ならびに3)アセトインと比較してアセトアルデヒドに対する基質特異性が増加し;ならびに5)補因子としてNADHを使用することができる。 一実施形態において、アルコール脱水素酵素は、配列番号38に示される配列を有する。一実施形態において、アルコール脱水素酵素は、配列番号42に示される配列を有する。一実施形態において、アルコール脱水素酵素は、配列番号50に示される配列を有する。 一実施形態において、アルコール脱水素酵素は、配列番号44に示される配列を有する。一実施形態において、アルコール脱水素酵素は、配列番号46に示される配列を有する。一実施形態において、アルコール脱水素酵素は、配列番号48に示される配列を有する。一実施形態において、アルコール脱水素酵素は、配列番号52に示される配列を有する。一実施形態において、アルコール脱水素酵素は、配列番号54に示される配列を有する。一実施形態において、アルコール脱水素酵素は、配列番号63に示される配列を有する。一実施形態において、アルコール脱水素酵素は、配列番号64に示される配列を有する。一実施形態において、アルコール脱水素酵素は、配列番号65に示される配列を有する。 本発明のアルコール脱水素酵素は、当該技術分野において公知の任意の適切な手段、例えば、本明細書において後述する、部位特異的突然変異誘発技法、ランダム突然変異誘発技法、組換え法および化学合成などによって作製されてもよい。 いくつかの場合において、本発明の変異型アルコール脱水素酵素は、自然には不溶性であってもよい。これらの酵素は、標準的な技法を用いて可溶性にすることができる。例として、1つまたはそれ以上のシャペロンの共発現を伴う技法を使用してもよい。特定の一実施形態において、GroELおよび/またはGroESのシャペロンの共発現が用いられる。特定の一実施形態において、プラスミドpGro7(Takara Bio, Inc; clontech.com/takara/NZ/Products/Protein_Research/Protein_Folding_and_Expression/Chaperone_Plasmid_Set)を使用することができる。このプラスミドは、GroEL/ESシャペロンタンパク質のアラビノース誘導性発現を容易にする。例示的な技法はまた、本明細書において後述する実施例2に提供される。 本発明のアルコール脱水素酵素(dehyrogenase)が適切な機能を有するかどうかは、あらゆる公知の方法を用いて評価することができる。しかしながら、例として、本明細書において後述する実施例に概説されている方法を用いてもよい。あるいは、Ismailら[Purification and characterization of a primary-secondary alcohol dehydrogenase from two strains of Clostridium beijerinckii. J Bacteriol 1993, 175: 5097-5105]またはKhorkinら[NADP-dependent bacterial alcohol dehydrogenases: crystal structure, cofactor-binding and cofactor specificity of the ADHs of Clostridium beijerinckii and Thermoanaerobacter brockii. J Mol Biol. 1998, 22: 278(5): 967-981]において概説されている方法は、酵素活性を評価するために使用されてもよい。 補因子特異性は、標準的な方法を用いて評価することができる。しかしながら、例として、本明細書において後述する「実施例」の部に記載されている方法を用いてもよい。核酸 本発明が新規なアルコール脱水素酵素に関する限りにおいて、本発明はまた、アルコール脱水素酵素をコードする核酸およびこのような核酸を含む核酸ベクターを提供する。 当業者は、酵素のアミノ酸配列および遺伝子コードの縮重を考慮して、本発明のアルコール脱水素酵素をコードする核酸の配列を容易に認識する。しかしながら、単なる一例として、一実施形態において、核酸は、配列番号37の配列を有する。他の実施形態において、核酸は、配列番号41または配列番号49の配列を有する。さらに他の実施形態において、核酸は、配列番号39、配列番号43、配列番号45、配列番号47、配列番号51、配列番号53、配列番号67、配列番号68、配列番号69または配列番号70の配列を有する。 本発明のアルコール脱水素酵素をコードする核酸は、任意の特定の微生物について最適化されたコドンであってもよいことが認識されるべきである。 本発明の核酸、アルコール脱水素酵素および微生物が、組換え技術を用いて作製され、使用されることができる程度に、本発明はまた、本発明の1つまたはそれ以上のアルコール脱水素酵素をコードする1つまたはそれ以上の核酸を含む核酸ベクターを提供する。 本発明の核酸は、微生物の形質転換の際に染色体外のままでもよく、または微生物のゲノムへの組み込みのために適合されてもよい。したがって、本発明の核酸は、染色体外構築物の組み込み(例えば、宿主ゲノムへの相同組換えおよび標的化組み込みを可能にする領域)または染色体外構築物の安定な発現および複製(例えば、複製起点、プロモータおよび他の調節配列)を支援するよう適合された追加のヌクレオチド配列を含んでもよい。 一実施形態において、本発明の1つまたはそれ以上のアルコール脱水素酵素をコードする核酸は、該核酸によってコードされた1つまたはそれ以上の酵素の発現を促進するように適合されたプロモータを含む。一実施形態において、プロモータは、好ましくは、適切な発酵条件下で非常に活性である構成的プロモータである。誘導性プロモータを使用することもできる。好ましい実施形態において、プロモータは、Wood−Ljungdahl遺伝子クラスタまたはアラビノース誘導性pBADプロモータを含む群から選択される。適切な発酵条件下での発現、好ましくは高レベルの発現を導くことができる他のプロモータは、例示された実施形態の代用として効果的であることは当業者に認識される。 本発明の発現構築物/ベクターを含む核酸および核酸構築物は、当該技術分野において標準的なあらゆる技法を用いて構築することができる。例えば、化学合成、部位特異的突然変異誘発または組換え技法を用いてもよい。このような技法は、例えば、Sambrookら(Molecular Cloning: A laboratory manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY, 1989)に記載されている。さらなる例示的な技法は、本明細書において後述する実施例の部に記載されている。本質的に、個々の遺伝子および調節因子は、該遺伝子が発現し、所望のタンパク質を形成することができるように互いに作動可能に連結される。本発明における使用に適したベクターは、当業者に認識される。しかしながら、例として、以下のベクター:pBADまたはpMTL80000ベクター、および本明細書において後述する実施例の部において例示されるプラスミドが、好適であり得る。 本発明はまた、本明細書に記載されている核酸のいずれか1つまたはそれ以上を含む、宿主生物、特に微生物を提供し、例えば、ウイルス、細菌および酵母が挙げられる。微生物 本発明はまた、基質の発酵によって、イソプロパノール、MEK、2,3−ブタンジオールおよび2−ブタノールの1つまたはそれ以上、ならびに場合により1つまたはそれ以上の他の生成物を生産することができ、本発明の少なくとも1つの核酸を含む微生物を提供する。 本発明の微生物は、親微生物に由来するアルコール脱水素酵素遺伝子に所望の変異(単数または複数)を導入するために、当該技術分野において公知のあらゆる技法、例えば、部位特異的突然変異誘発技法などを用いて、または親微生物に本発明の1つまたはそれ以上のアルコール脱水素酵素をコードする1つまたはそれ以上の核酸を導入するために、他の組換え技術を用いて、親微生物から調製されてもよい。 一実施形態において、1つまたはそれ以上のアルコール脱水素酵素をコードする1つまたはそれ以上の外因性核酸が親微生物に導入され、親微生物に由来する1つまたはそれ以上のアルコール脱水素酵素遺伝子を置換する。別の実施形態において、本発明の1つまたはそれ以上のアルコール脱水素酵素をコードする1つまたはそれ以上の外因性核酸が親微生物に導入され、親微生物に由来するアルコール脱水素酵素遺伝子に補足的である。他の実施形態において、1つまたはそれ以上の外因性核酸が親微生物に導入され、親微生物に由来する1つまたはそれ以上のアルコール脱水素酵素遺伝子に1つまたはそれ以上の所望の変異を導入する。別の実施形態において、1つまたはそれ以上のアルコール脱水素酵素をコードする1つまたはそれ以上の外因性核酸が親微生物に導入され、1つまたはそれ以上の変異が親微生物に由来する1つまたはそれ以上のアルコール脱水素酵素遺伝子に導入され、その発現および活性を低減させまたはノックアウトする。 一実施形態において、本発明の微生物は、組換え技術を用いて親微生物から調製される。例えば、親微生物は、本発明のアルコール脱水素酵素をコードする1つもしくはそれ以上の外因性核酸、または親微生物における天然のアルコール脱水素酵素遺伝子に所望の変異を導入するように適合された1つもしくはそれ以上の核酸を用いて形質転換される。外因性核酸は、親微生物の形質転換の際に染色体外のままでもよく、または親微生物のゲノムに組み込まれてもよい(一実施形態において、天然のアルコール脱水素酵素遺伝子を置換し、または変異を天然のアルコール脱水素酵素遺伝子に導入する)。したがって、それらは、本明細書において上述されるように、染色体外構築物の組み込み(例えば、宿主ゲノムへの相同組換えおよび標的化組み込みを可能にする領域)または染色体外構築物の発現および複製(例えば、複製起点、プロモータおよび他の調節因子または配列)を支援するよう適合された追加のヌクレオチド配列を含んでもよい。 単なる一例として、微生物の形質転換(形質導入またはトランスフェクションを含む)は、エレクトロポレーション、超音波処理、ポリエチレングリコールを媒介した形質転換、化学的または天然のコンピーテンスまたはコンジュゲーションによって達成することができる。好適な形質転換技法は、例えば、Sambrook J, Fritsch EF, Maniatis T: Molecular Cloning: A laboratory Manual, Cold Spring Harbour Laboratory Press, Cold Spring Harbour, 1989に記載されている。 1つまたはそれ以上の外因性核酸は、裸の核酸として親微生物に送達されてもよく、または形質転換プロセスを容易にするために1つまたはそれ以上の薬剤と調合されてもよい(例えば、リポソームにコンジュゲートした核酸、核酸が含有される生物)。適切であるように、1つまたはそれ以上の核酸は、DNA、RNAまたはそれらの組み合わせであってもよい。制限阻害剤は、ある種の実施形態において使用することができる;例えば、Murray, N.E. et al. (2000) Microbial. Molec. Biol. Rev. 64, 412を参照されたい。) 一実施形態において、親微生物は、細菌、古細菌および真菌である。 一実施形態において、親微生物は、クロストリジウム属(Clostridium)、アセトバクテリウム属(Acetobacterium)、ムーレラ属(Moorella)、ブチリバクテリウム属(Butyribacterium)、ブラウティア属(Blautia)、オキソバクター属(Oxobacter)、サーモアナエロバクター属(Thermoanaerobacter)、エシェリキア属(Escherichia)、クレブシエラ属(Klebsiella)、ザイモモナス属(Zymomonas)、シトロバクター属(Citrobacter)、エンテロバクター属(Enterobacter)、サルモネラ属(Salmonella)、セラチア属(Serratia)、ラクトバチルス属(Lactobacillus)、ラクトコッカス属(Lactococcus)、エンテロコッカス属(Enterococcus)、ペディオコッカス属(Pediococcus)、ストレプトコッカス属(Streptococcus)、サッカロミセス属(Saccharomyces)、ピキア属(Pichia)、カンジダ属(Candida)、ハンゼヌラ属(Hansenula)、ヤロウィア属(Yarrowia)、ロドトルラ属(Rhodotorula)、リゾプス属(Rhizopus)、トリコスポロン属(Trichosporon)、リポミセス属(Lipomyces)、アスペルギルス属(Aspergillus)、トリコデルマ属(Trichoderma)、エクソフィラ属(Exophila)、ムコール属(Mucor)、クラドスポリウム属(Cladosporium)、ファネロカエテ属(Phanerochaete)、クラディオフィラロフォラ属(Cladiophilalophora)、ペシロミセス属(Paecilomyces)、スケドスポリウム属(Scedosporium)、オフィストマ属(Ophistoma)、バチルス属(Bacillus)、オリゴトロファ属(Oligotropha)、シュードモナス属(Pseudomonas)、カルボフィラス属(Carbophilus)、ヒドロゲノファーガ属(Hydrogenophaga)、マイコバクテリウム属(Mycobacterium)、ザバルジニア属(Zavarzinia)、カプラビダス属(Cupravidus)、セネコシスティス属(Senechocystis)、クロロフレクサス属(Chloroflexus)、メチロモナス属(Methylomonas)、メチロバクター属(Methylobacter)、メチロコッカス属(Methylococcus)、メチロミクロビウム属(Methylomicrobium)、メチロスフェラ属(Methylosphera)、メチロカルダム属(Methylocaldum)、メチロシスティス属(Methylocystis)、メチロサイナス属(Methylosinus)、メタノバクテリウム属(Methanobacterium)、メタノコッカス属(Methanococcus)、メタノゲニウム属(Methanogenium)、メタノサルシナ属(Methanosarcina)、メタノシェラ属(Methanoshera)、メタノサーモバクター属(Methanothermobacter)、メタノトリックス属(Methanotrix)、コリネバクテリウム属(Corynebacterium)、アシネトバクター属(Acinetobacter)、アクチノミセス属(Actinomyces)、バクテリオデス属(Bacteriodes)、バークホルデリア属(Burkholderia)、ブレビバクテリウム属(Brevibacterium)、ピロコッカス属(Pyrococcus)、ゲオバクター属(Geobacter)、ゲオバチルス属(Geobacillus)、パエニバチルス属(Paenibacillus)、マイコバクテリウム属(Mycobacterium)、ロドシュードモナス属(Rhodopseudomonas)、サーマトガ属(Thermatoga)、サーモアナエロバクター属(Thermoanaerobacter)、ストレプトミセス属(Streptomyces)、ロドバクター属(Rhodobacter)、ロドコッカス属(Rhodococcus)、ペプトコッカス属(Peptococcus)、ビフィドバクテリウム属(Bifidobacterium)、プロピオニバクテリウム属(Propionibacterium)、フゾバクテリウム属(Fusobacterium)、カンピロバクター属(Campylobacter)、ベイヨネラ属(Veillonella)、アクインコラ属(Aquincola)、アルスロバクター属(Arthrobacter)、モラクセラ属(Moraxella)およびサイクロバクター属(Psychrobacter)から選ばれる。 一実施形態において、親微生物は、カルボキシド栄養性アセトゲン微生物の群、ABE微生物の群、腸内細菌の群、ラクトバチルスの群、真菌および酵母の群、好気性カルボキシドトローフの群、好気性CO2固定生物の群、メチロトローフの群およびメタノゲンの群から選ばれる。 一実施形態において、親微生物は、カルボキシド栄養性アセトゲン細菌の群から選択される。ある種の実施形態において、微生物は、クロストリジウム・オートエタノゲナム(Clostridium autoethanogenum)、クロストリジウム・ルジュングダーリイ(Clostridium ljungdahlii)、クロストリジウム・ラグスダレイ(Clostridium ragsdalei)、クロストリジウム・カルボキシディボランス(Clostridium carboxidivorans)、クロストリジウム・ドラケイ(Clostridium drakei)、クロストリジウム・スカトロゲネス(Clostridium scatologenes)、クロストリジウム・コスカチイ(Clostridium coskatii)、クロストリジウム・アセチカム(Clostridium aceticum)、クロストリジウム・マグナム(Clostridium magnum)、クロストリジウム属種(Clostridium sp.)、ブチリバクテリウム・リモサム(Butyribacterium limosum)、ブチリバクテリウム・メチロトロフィカム(Butyribacterium methylotrophicum)、アセトバクテリウム・ウッディ(Acetobacterium woodii)、アルカリバクラム・バッチィ(Alkalibaculum bacchii)、ブラウティア・プロダクタ(Blautia producta)、ユーバクテリウム・リモサム(Eubacterium limosum)、ムーレラ・サーモアセチカ(Moorella thermoacetica)、ムーレラ・サーマウトトロフィカ(Moorella thermautotrophica)、オキソバクター・フェニジイ(Oxobacter pfennigii)およびサーモアナエロバクター・キウヴィ(Thermoanaerobacter kiuvi)を含む群から選択される。 これらのカルボキシド栄養性アセトゲンは、アセチル−CoA、酢酸塩および他の生成物を形成する嫌気的条件下で、エネルギー源として一酸化炭素(CO)および/または水素(H2)とともに、一酸化炭素(CO)および二酸化炭素(CO2)などのガス状一炭素(C1)供給源を利用し、化学独立栄養的に増殖するそれらの能力によって定義される。カルボキシド栄養性アセトゲンは、同じモードの発酵であるWood−Ljungdahlまたは還元アセチル−CoA経路を共有し、一酸化炭素脱水素酵素(CODH)、ヒドロゲナーゼ、ギ酸脱水素酵素、ホルミル−テトラヒドロ葉酸シンテターゼ、メチレン−テトラヒドロ葉酸脱水素酵素、ホルミル−テトラヒドロ葉酸シクロヒドロラーゼ、メチレン−テトラヒドロ葉酸還元酵素および一酸化炭素脱水素酵素/アセチル−CoAシンターゼ(CODH/ACS)からなる酵素セットの存在によって定義され、これらの組み合わせは、特徴的であり、この種の細菌に固有である(Drake, Kusel, Matthies, Wood, & Ljungdahl, 2006)。基質をバイオマス、二次代謝物およびピルビン酸塩に変換し、それらから生成物が(アセチル−CoAを介してまたは直接的に)形成される糖発酵細菌の化学従属栄養的増殖とは対照的に、アセトゲンにおいて基質は、アセチル−CoAに直接的に導かれ、それから生成物、バイオマスおよび二次代謝物が形成される。 一実施形態において、微生物は、種C.オートエタノゲナム(C. autoethanogenum)、C.ルジュングダーリイ(C. ljungdahlii)および「C.ラグスダレイ(C. ragsdalei)」ならびに関連する単離株を含むカルボキシド栄養性クロストリジウムのクラスタから選択される。これらには、限定されないが、株C.オートエタノゲナム(C. autoethanogenum)JAI−1T(DSM10061)(Abrini, Naveau, & Nyns, 1994)、C.オートエタノゲナム(C. autoethanogenum)LBS1560(DSM19630)(WO/2009/064200)、C.オートエタノゲナム(C. autoethanogenum)LBS1561(DSM23693)、C.ルジュングダーリイ(C. ljungdahlii)PETCT(DSM13528=ATCC55383)(Tanner, Miller, & Yang, 1993)、C.ルジュングダーリイ(C. ljungdahlii)ERI−2(ATCC55380)(米国特許第5,593,886号)、C.ルジュングダーリイ(C. ljungdahlii)C−01(ATCC55988)(米国特許第6,368,819号)、C.ルジュングダーリイ(C. ljungdahlii)0−52(ATCC55989)(米国特許第6,368,819号)または「C.ラグスダレイ(C. ragsdalei)P11T」(ATCC BAA−622)(WO2008/028055)および関連する単離株、例えば、「C.コスカチイ(C. coskatii)(米国特許出願公開第2011/0229947号)、「クロストリジウム属種(Clostridium sp.)MT351」(Tyurin & Kiriukhin, 2012)およびその変異株、例えば、C.ルジュングダーリイ(C. ljungdahlii)OTA−1(Tirado-Acevedo O. Production of Bioethanol from Synthesis Gas Using Clostridium ljungdahlii. PhD thesis, North Carolina State University, 2010)または「クロストリジウム属種(Clostridium sp.)MT896」(Berzin, Kiriukhin, & Tyurin, 2012)が含まれる。 これらの株は、クロストリジウムのrRNAクラスタI(Collins et al., 1994)内のサブクラスタを形成し、16S rRNA遺伝子レベルについて少なくとも99%の同一性を有するが、DNA−DNA再会合およびDNAフィンガープリント実験によって決定された異なる種である(WO2008/028055、米国特許出願公開第2011/0229947号)。 このクラスタの株は、共通の特徴によって定義され、類似した遺伝子型と表現型の両方を有し、それらはすべて、エネルギー保存および発酵代謝の同じモードを共有している。このクラスタの株はシトクロムを欠損し、Rnf複合体を介してエネルギーを保存する。 このクラスタのすべての株は、約4.2Mbp(Kopke et al., 2010)のゲノムサイズと約32%モルのGC組成(Abrini et al., 1994; Kopke et al., 2010; Tanner et al., 1993)(WO2008/028055;米国特許出願公開第2011/0229947号)を有し、Wood−Ljungdahl経路の酵素(一酸化炭素脱水素酵素、ホルミル−テトラヒドロ葉酸シンテターゼ、メチレン−テトラヒドロ葉酸脱水素酵素、ホルミル−テトラヒドロ葉酸シクロヒドロラーゼ、メチレン−テトラヒドロ葉酸還元酵素および一酸化炭素脱水素酵素/アセチル−CoAシンターゼ)、ヒドロゲナーゼ、ギ酸脱水素酵素、Rnf複合体(rnfCDGEAB)、ピルビン酸塩:フェレドキシン酸化還元酵素、アルデヒド:フェレドキシン酸化還元酵素(Kopke et al., 2010, 2011)をコードする本質的な主要な遺伝子オペロンを保存した。Wood−Ljungdahl経路遺伝子の組織化および数は、ガス取り込みに関与し、核酸配列とアミノ酸配列における差異にもかかわらず、すべての種において同じであることが見出されている(Kopke et al., 2011)。 株はすべて、類似した形態とサイズを有し(対数増殖細胞は0.5〜0.7×3〜5μmの間である)、中等温度好性であり(最適な増殖温度は30〜37℃の間である)、厳密に嫌気性である(Abrini et al., 1994; Tanner et al., 1993)(WO2008/028055)。さらに、それらはすべて、同じ主要な系統発生学的な形質を共有し、例えば、同じpH範囲(pH4〜7.5、最適な初期pHは5.5〜6である)、類似した増殖速度を有するCO含有ガス上での強力な独立栄養的増殖、およびある種の条件下で形成される少量の2,3−ブタンジオールと乳酸を含む主な発酵最終生成物としてエタノールおよび酢酸を伴う代謝プロファイルが挙げられる(Abrini et al., 1994; Kopke et al., 2011; Tanner et al., 1993)(WOは、様々な糖(例えば、ラムノース、アラビノース)、酸(例えば、グルコン酸、クエン酸)、アミノ酸(例えば、アルギニン、ヒスチジン)または他の基質(例えば、ベタイン、ブタノール)の基質利用を弁別する)。これらの種のいくつかは、ある種のビタミン(例えば、チアミン、ビオチン)に対して栄養要求性であり、一方、他はそうでないことが見出された。カルボン酸のそれらの対応するアルコールへの還元は、これらの生物の範囲で示されている(Perez, Richter, Loftus, & Angenent, 2012)。 したがって、記載された形質は、C.オートエタノゲナム(C. autoethanogenum)またはC.ルジュングダーリイ(C. ljungdahlii)のような1つの生物に特異的でないが、むしろ、カルボキシド栄養性のエタノール合成クロストリジウムに一般的な形質である。このようにして、本発明は、これらの株全体で作用することが期待され得るが、性能において相違する場合がある。 一実施形態において、親株は、その単一炭素源およびエネルギー源としてCOを使用する。 ある種の実施形態において、親微生物は、クロストリジウム・オートエタノゲナム(Clostridium autoethanogenum)、クロストリジウム・ルジュングダーリイ(Clostridium ljungdahlii)およびクロストリジウム・ラグスダレイ(Clostridium ragsdalei)を含む群から選択される。一実施形態において、群はまたクロストリジウム・コスカチイ(Clostridium coskatii)を含む。特定の一実施形態において、微生物は、クロストリジウム・オートエタノゲナム(Clostridium autoethanogenum)DSM10061またはDSM23693である。特定の別の実施形態において、微生物は、クロストリジウム・ルジュングダーリイ(Clostridium ljungdahlii)DSM13528(またはATCC55383)である。 一実施形態において、親微生物は、ABE発酵微生物である。「ABE発酵微生物」または「ABE微生物」は、溶媒であるブタノール、およびエタノール、およびアセトンまたはイソプロパノールを生産することができるグラム陽性クロストリジウム生物である。この群の属には、クロストリジウム・アセトブチリカム(Clostridium acetobutylicum)、クロストリジウム・ベイジェリンキ(Clostridium beijerinckii)、クロストリジウム・サッカロブチリカム(Clostridium saccharobutylicum)およびクロストリジウム・サッカロペルブチルアセトニカム(Clostridium saccharoperbutylacetonicum)が含まれる。これらの生物は、すべて胞子形成し、グラム陽性であり、クロストリジウムのrRNAクラスタI内である。この群は、詳細には、Keisら(Keis, Shaheen, & Jones, 2001)によって記載されている。 特定の一実施形態において、ABE微生物は、クロストリジウム・アセトブチリカム(Clostridium acetobutylicum)、クロストリジウム・ベイジェリンキ(Clostridium beijerinckii)、クロストリジウム・サッカロブチリカム(Clostridium saccharobutylicum)、クロストリジウム・サッカロペルブチルアセトニカム(Clostridium saccharoperbutylacetonicum)を含む群から選択される。 一実施形態において、親微生物は、クロストリジウム・アセトブチリカム(Clostridium acetobutylicum)またはクロストリジウム・ベイジェリンキ(Clostridium beijerinckii)である。特定の一実施形態において、微生物は、クロストリジウム・アセトブチリカム(Clostridium acetobutylicum)ATCC824(DSM792)またはEA2018(CCTCC M94061)である。特定の別の実施形態において、微生物は、クロストリジウム・ベイジェリンキ(Clostridium beijerinckii)NCIMB8052(ATCC51743)およびNRRL B−593(DSM6423)である。 一実施形態において、親微生物は腸内細菌である。腸内細菌は、糖類を発酵させ、乳酸、および/またはエタノール、および/またはアセトイン、および/または2,3−ブタンジオール、および/または他の生成物を生産することができる腸内細菌科(Enterobacteriacea)の目に属する棒状のグラム陰性細菌である。 特定の一実施形態において、腸内細菌は、エシェリキア属(Escherichia)、クレブシエラ属(Klebsiella)、ザイモモナス属(Zymomonas)、シトロバクター属(Citrobacter)、エンテロバクター属(Enterobacter)、サルモネラ属(Salmonella)、セラチア属(Serratia)を含む群から選択される。一実施形態において、親微生物は、大腸菌(Eschericia coli)、ザイモノナス・モビリス(Zymononas mobilis)、クレブシエラ・ニューモニア(Klebsiella pneumonia)、クレブシエラ・オクストカ(Klebsiella oxtoca)、エンテロバクター・クロアカ(Enterobacter cloacae)またはセラチア・マルセッセンス(Serratia marcescens)である。 一実施形態において、親微生物はラクトバチルスである。ラクトバチルスは、糖類を発酵させ、乳酸、および/または2,3−ブタンジオール、および/またはMEK、および/または2−ブタノール、および/または他の生成物を生産することができるラクトバチルス(Lactobacillales)の目から選択されるグラム陽性乳酸細菌である。 特定の一実施形態において、ラクトバチルスは、ラクトバチルス属(Lactobacillus)、ラクトコッカス属(Lactococcus)、エンテロコッカス属(Enterococcus)、ペディオコッカス属(Pediococcus)、ストレプトコッカス属(Streptococcus)を含む群から選択される。一実施形態において、親微生物は、ラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis)、エンテロコッカス・フェカリス(Enterococcus faecalis)、ラクトコッカス・ラクティス(Lactococcus lactis)である。 一実施形態において、親微生物は、真菌または酵母である。真菌は真核微生物であり、酵母はその特定のサブセットであり、これらは、糖類を発酵させ、エタノールおよび/またはアセトイン、および/または他の生成物とすることができる。 特定の一実施形態において、真菌は、アスペルギルス属(Aspergillus)、トリコデルマ属(Trichoderma)、エクソフィラ属(Exophila)、ムコール属(Mucor)、クラドスポリウム属(Cladosporium)、ファネロカエテ属(Phanerochaete)、クラディオフィラロフォラ属(Cladiophilalophora)、ペシロミセス属(Paecilomyces)、スケドスポリウム属(Scedosporium)、オフィストマ属(Ophistoma)を含む群から選択される。一実施形態において、親微生物は、アスパルギルス・ニガー(Aspargillus niger)またはトリクデルマ・レゼイ(Trichderma resei)である。 特定の一実施形態において、酵母は、サッカロミセス属(Saccharomyces)、ピキア属(Pichia)、カンジダ属(Candida)、ハンゼヌラ属(Hansenula)、ヤロウィア属(Yarrowia)、ロドトルラ属(Rhodotorula)、リゾプス属(Rhizopus)、トリコスポロン属(Trichosporon)、リポミセス属(Lipomyces)を含む群から、およびアスペルギルス属(Aspergillus)、トリコデルマ属(Trichoderma)、エクソフィラ属(Exophila)、ムコール属(Mucor)、クラドスポリウム属(Cladosporium)、ファネロカエテ属(Phanerochaete)、クラディオフィラロフォラ属(Cladiophilalophora)、ペシロミセス属(Paecilomyces)、スケドスポリウム属(Scedosporium)、オフィストマ属(Ophistoma)を含む群から選択される。一実施形態において、親微生物は、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、カンジジア・トロピカリス(Candidia tropicalis)、カンジジア・アルビカンス(Candidia albicans)またはヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)である。一実施形態において、親微生物は、アスパルギルス・ニガー(Aspargillus niger)またはトリクデルマ・レゼイ(Trichderma resei)である。 一実施形態において、親微生物は、好気性カルボキシドトローフである。好気性カルボキシドトローフは、天然において遍在することが見出され得る細菌であり、様々な環境、ならびにヒトから単離されている細菌である(King and Weber, 2007)。分類レベルでは、この生理学的な群は、非常に多様であり、α−プロテオバクテリア、ファーミキューテスまたは放線菌などの様々な門で構成されている(King and Weber, 2007)。すべてのこれらの生物は、空気の存在下においてCOレベル>1%で増殖することが示された(King and Weber, 2007)。典型的なガス混合物は、50%COおよび50%空気からなる(Cypionka et al., 1980)。 特定の実施形態において、親微生物は、バチルス属(Bacillus)、オリゴトロファ属(Oligotropha)、シュードモナス属(Pseudomonas)、カルボフィラス属(Carbophilus)、ヒドロゲノファーガ属(Hydrogenophaga)、マイコバクテリウム属(Mycobacterium)、ザバルジニア属(Zavarzinia)を含む群から選択される。一実施形態において、親微生物は、オリゴトロファ・カルボキシドボランス(Oligotropha carboxydovorans)、カルボフィラス・カルボキシダス(Carbophilus carboxidus)、ヒドロゲノファーガ・シュードフラバ(Hydrogenophaga pseudoflava)、マイコバクテリウム属種(Mycobacterium sp.)、シュードモナス・カルボキシドヒドロゲナ(Pseudomonas carboxydohydrogena)、シュードモナス属種(Pseudomonas sp.)、ザバルジニア・コンプランソリス(Zavarzinia compransoris)またはバチルス・シュレゲリ(Bacillus schlegelii)である。 一実施形態において、親微生物は、好気性CO2固定生物である。好気性CO2固定微生物は、H2を用いてまたは酸素の存在下で光合成を介してCO2を固定することができる細菌である。好気性CO2固定微生物は、カプラビダス属(Cupravidus)、セネコシスティス属(Senechocystis)、クロロフレクサス属(Chloroflexus)を含む群から選択される。一実施形態において、親微生物は、カプラビダス・ネカトール(Cupravidus necator)、セネコシスティス属種(Senechocystis sp.)またはクロロフレクサス・アウランチカス(Chloroflexus auranticus)である。 一実施形態において、親微生物はメチロトローフである。メチロトローフ微生物は、メタンとして還元した一炭素基質または増殖のための炭素源としてメタノールを使用することができる。メチロトローフ(methylotrop)は、メチロモナス属(Methylomonas)、メチロバクター属(Methylobacter)、メチロコッカス属(Methylococcus)、メチロミクロビウム属(Methylomicrobium)、メチロスフェラ属(Methylosphera)、メチロカルダム属(Methylocaldum)、メチロシスティス属(Methylocystis)、メチロサイナス属(Methylosinus)を含む群から選択される。一実施形態において、親微生物は、メチロコッカス・カプスラタス(Methylococcus capsulatus)またはメチロサイナス・トリコスポリウム(Methylosinus trichosporium)である。 一実施形態において、親微生物はメタノゲンである。メタノゲンは、CO2をメタンに還元することができる古細菌(Archeae)である。メタノゲンは、メタノバクテリウム属(Methanobacterium)、メタノコッカス属(Methanococcus)、メタノゲニウム属(Methanogenium)、メタノサルシナ属(Methanosarcina)、メタノシェラ属(Methanoshera)、メタノサーモバクター属(Methanothermobacter)、メタノトリックス属(Methanotrix)を含む群から選択される。一実施形態において、親微生物は、メタノサーモバクター・マルブルゲンシス(Methanothermobacter marburgensis)またはメタノサルシナ・バケリ(Methanosarcina bakeri)である。方法 本発明は、本発明の組換え微生物を用いた基質の微生物発酵によって、イソプロパノール、エタノール、2,3−ブタンジオールおよび/または2−ブタノールならびに場合により1つまたはそれ以上の他の生成物を生産するための方法を提供する。 別の実施形態において、本発明は、アセトイン、MEK、アセトアルデヒドおよびアセトンの1つまたはそれ以上、ならびに場合により1つまたはそれ以上の他の生成物を生産するための方法を提供する。 一実施形態において、基質は、1つまたはそれ以上の炭水化物を含む基質である。別の実施形態において、基質は、CO、CO2およびH2の1つまたは組み合わせを含む基質である。ある種の実施形態において、1つまたはそれ以上の炭水化物と、CO、CO2およびH2の1つまたはそれ以上を含む基質の両方を含む、混合された基質を用いてもよい。 一実施形態において、本方法は、 (a)本発明の1つまたはそれ以上の微生物の培養物を含有するバイオリアクタに基質を供給する工程;および (b)イソプロパノール、2,3−ブタンジオール、エタノールおよび2−ブタノールの1つまたはそれ以上、ならびに場合により1つまたはそれ以上の他の生成物を生産するために、バイオリアクタ中で培養物を発酵させる工程を含む。 好ましくは、1つまたはそれ以上の生成物はイソプロパノールを含む。 一実施形態において、本方法は、 (c)本発明の1つまたはそれ以上の微生物の培養物を含有するバイオリアクタに基質を供給する工程;および (d)アセトイン、MEK、アセトアルデヒドおよびアセトンの1つまたはそれ以上、ならびに場合により1つまたはそれ以上の他の生成物を生産するために、バイオリアクタ中で培養物を発酵させる工程を含む。 本方法は、1つまたはそれ以上の生成物を回収する工程をさらに含んでもよい。ある種の実施形態において、1つまたはそれ以上の生成物は、1つまたはそれ以上の下流生成物の生産における中間体である。この実施形態において、1つまたはそれ以上の生成物を回収することができ、次に、例えば、別個の発酵または化学合成反応において基質として使用することができる。別の実施形態において、1つまたはそれ以上の生成物は回収されず、同じ発酵プロセスにおいて1つまたはそれ以上の下流生成物に変換される。 微生物の増殖および基質から1つまたはそれ以上の生成物(単数または複数)への変換が生じるためには、基質に加えて、好適な液体栄養培地がバイオリアクタに供給される必要があることは認識される。基質および培地は、連続的なバッチまたはバッチ供給方式でバイオリアクタに供給されてもよい。栄養培地は、使用される微生物の増殖を可能にするのに十分なビタミンおよびミネラルを含有する。発酵に適した培地は当該技術分野において公知である。しかしながら、例として、1つまたはそれ以上の炭水化物を含む基質の発酵のために、ルリアブロス(LB)、酵母エキスペプトンデキストロース(YEPD)または強化型クロストリジウム培地(RCM)を使用することができる。さらに、COを用いた発酵に適した嫌気性培地は当該技術分野において公知であるが、例として、好適な培地は、Biebel (2001)によって記載されている。本発明の一実施形態において、培地は、本明細書において後述する実施例の部に記載されている通りである。 発酵は、望ましくは、基質から1つまたはそれ以上の生成物(単数または複数)ならびに場合により1つまたはそれ以上の他の生成物(単数または複数)への発酵が生じるための適切な条件下で実施されるべきである。考慮すべき反応条件には、基質の制限にならないことを確実にするために、圧力、温度、ガス流量、液体流量、培地pH、培地酸化還元電位、撹拌速度(連続撹拌槽型リアクタを使用する場合)、接種レベル、最大基質濃度、および生産阻害を避けるために最大生成物濃度が挙げられる。 上述のように、発酵は、適切な培地および発酵条件を用いて行われる。一実施形態において、ガス状基質が使用される場合、最大ガス基質濃度は、液相中のCO(および/またはCO2および/またはH2)の制限にならないことを確実にするように考慮される。 さらに、多くの場合、基質流(またはガス状基質中のCO(および/またはCO2および/またはH2)部分圧)のCO(および/またはCO2および/またはH2)濃度を増加させ、したがって、CO(および/またはCO2および/またはH2)が基質である場合には発酵反応の効率を増加させることが望ましい。増加した圧力で動作することにより、気相から液相へのCO(および/またはCO2および/またはH2)移動速度の有意な増加が可能となり、この場合、それは、1つまたはそれ以上の生成物の生産のための炭素源として微生物によって取り込まれ得る。次に、これは、バイオリアクタが、大気圧というよりはむしろ高圧で維持されている場合、保持時間(流入するガス流量で割ったバイオリアクタ内の液体体積として定義される)が低下し得ることを意味する。最適な反応条件は、部分的には、使用される本発明の特定の微生物に依存する。しかしながら、一般的には、発酵は、周囲圧力よりも高い圧力で行うことが好ましい。また、所定のCO(および/またはCO2および/またはH2)から1つまたはそれ以上の生成物(単数または複数)への変換速度は、部分的には、基質の保持時間の関数であり、次に、所望の保持時間の到達が、バイオリアクタの必要体積を決定するため、加圧されたシステムの使用は、必要とされるバイオリアクタの体積を大いに減少させ、結果として、発酵装置の資本コストを減少させることができる。米国特許第5,593,886号に示されている例に従って、リアクタ体積は、リアクタ動作圧の増加に線形比例して減少し得て、すなわち、10気圧で動作されるバイオリアクタは、1気圧で動作されるバイオリアクタの体積のわずかに10分の1を必要とする。 例として、高圧でガスからエタノールへの発酵を行う利益が記載されている。例えば、WO02/08438は、30psigおよび75psigの圧力下で行われたガスからエタノールへの発酵について記載し、エタノール生産性はそれぞれ150g/l/日および369g/l/日であった。しかしながら、類似の培地を用いて行われた例示的な発酵および大気圧での流入ガス組成は、10〜20分の1のエタノール/リットル/日を生産することが見出された。 また、CO(および/またはCO2および/またはH2)を含有するガス状基質の導入速度は、液相中のCO(および/またはCO2および/またはH2)濃度の制限にならないことを確実にするようなものであることが望ましい。これは、CO(および/またはCO2および/またはH2)を制限した条件の結果が、培養によって生成物(単数または複数)を消費することであり得るためである。 発酵反応に供給するために使用されるガス流の組成は、その反応の効率および/またはコストに有意な影響を与えることができる。例えば、O2は、嫌気的発酵プロセスの効率を低下させ得る。発酵前または発酵後の発酵プロセスの段階における望ましくないまたは不必要なガスの処理は、このような段階に負担を増加させる可能性がある(例えば、ガス流をバイオリアクタに流入させる前に圧縮する場合、不必要なエネルギーが、発酵において必要とされないガスを圧縮するために使用され得る)。したがって、望ましくない成分を除去し、望ましい成分の濃度を増加させるために、基質流、特に、産業供給源に由来する基質流を処理することが望ましい場合がある。 ある種の実施形態において、本発明の微生物の培養物は、水性培養培地中に維持される。好ましくは、水性培養培地は、最小の嫌気性微生物増殖培地である。好適な培地は、当該技術分野において公知であり、例えば、米国特許第5,173,429号および第5,593,886号およびWO02/08438に記載され、本明細書において後述する実施例の部に記載されている通りである。 COを含む基質の発酵を含む本発明の実施形態において、発酵は、本発明の組換え微生物を用いて1つまたはそれ以上の生成物を生産するために、バイオリアクタ中で基質を嫌気的に発酵させる工程を含む。 この実施形態の方法は、産業プロセスから全大気中炭素排出量を減少させるために使用されてもよい。 一実施形態において、本方法は、 (a)本発明の1つまたはそれ以上の微生物の培養物を含有するバイオリアクタにCOを含む基質を供給する工程;および (b)イソプロパノール、2,3−ブタンジオール、エタノールおよび2−ブタノールの1つまたはそれ以上、ならびに場合により1つまたはそれ以上の他の生成物を生産するために、バイオリアクタ中で培養物を嫌気的に発酵させる工程を含む。 別の実施形態において、上記の工程(b)における1つまたはそれ以上の生成物は、アセトイン、MEK、アセトアルデヒドおよびアセトン、ならびに場合により1つまたはそれ以上の他の生成物である。 一実施形態において、本方法は、 ガスが大気中に放出される前に、産業プロセスの結果として生産されるCO含有ガスを捕捉する工程; 本発明の1つまたはそれ以上の微生物を含有する培養物によって、イソプロパノール、2,3−ブタンジオール、エタノールおよび2−ブタノールの1つまたはそれ以上、ならびに場合により1つまたはそれ以上の他の生成物を生産するために、CO含有ガスの嫌気的発酵を行う工程を含む。 別の実施形態において、上記の工程(b)における1つまたはそれ以上の生成物は、アセトイン、MEK、アセトアルデヒドおよびアセトン、ならびに場合により1つまたはそれ以上の他の生成物である。 本発明の一実施形態において、微生物によって発酵されたガス状基質は、COを含有するガス状基質である。ガス状基質は、産業プロセスの副生成物として、または自動車の排出ガスなどのいくつかの他の供給源から得られるCOを含有する廃棄ガスであってもよい。ある種の実施形態において、産業プロセスは、鉄金属生成物製造、例えば、製鋼、非鉄生成物製造、石油精製プロセス、石炭のガス化、電力生産、カーボンブラック生産、アンモニア生産、メタノール生産およびコークス製造からなる群から選択される。これらの実施形態において、CO含有ガスは、大気中に排出される前に、任意の便利な方法を用いて、産業プロセスから捕捉されてもよい。COは、合成ガス(一酸化炭素と水素を含むガス)の成分であり得る。産業プロセスから生産されたCOは、通常、放出し燃焼させてCO2を生産させ、したがって、本発明は、CO2温室ガス排出量の減少、およびバイオ燃料として使用するためのブタノールの生産において特に利用性を有する。また、ガス状のCO含有基質の組成に依存して、発酵に導入する前に、ダスト粒子などのいずれもの望ましくない不純物を除去するために該基質を処理することが望ましい場合もある。例えば、ガス状基質は、公知の方法を用いてろ過または浄化されてもよい。 当業者は、1つまたはそれ以上の炭水化物を含む基質を用いた発酵における使用の様々な方法を容易に認識する。しかしながら、例として、Vogel, H. C., & Todaro, C. C. (2007). Fermentation and Biochemical Engineering Handbook: Principles, process design and equipment (ISBN: 0-8155-1407-7); Vogel, H. C., & Todaro, C. C. (1996). Fermentation and Biochemical Engineering Handbook (ISBN: 978-0-8155-1407-7); Ezeji TC, Qureshi N, Blaschek HP (2005) Industrial relevant fermentations. in Handbook on Clostridia, ed Durre P (CRC Press, Boca Raton, FL), pp 799-814に記載されている方法を用いてもよい。生成物の回収 イソプロパノール、2,3−ブタンジオール、エタノール、2−ブタノール、アセトイン、MEK、アセトアルデヒドおよび/もしくはアセトン、またはこれらの生成物のいずれか1つもしくはそれ以上およびアセトンならびに場合により1つまたはそれ以上の他の生成物を含有する混合された流れは、当該技術分野において公知の方法、例えば、分別蒸留または蒸発、パーベーパレーション、ガスストリッピングおよび抽出発酵、例えば、液−液抽出などによって、発酵ブロスから回収され得る。 本発明のある種の好ましい実施形態において、1つまたはそれ以上の生成物は、バイオリアクタからブロスの一部を連続的に取り出し、(好都合にはろ過によって)ブロスから微生物細胞を分離し、1つまたはそれ以上の生成物をブロスから回収することによって、発酵ブロスから回収される。アルコールは、好都合には、例えば、蒸留によって回収することができる。アセトンは、例えば、蒸留によって回収することができる。生産される任意の酸は、例えば、活性炭上に吸着させることによって回収することができる。分離された微生物細胞は、好ましくは、発酵バイオリアクタに戻される。また、任意のアルコール(単数または複数)および酸(単数または複数)が除去された後に残っている無細胞透過物が、好ましくは発酵バイオリアクタに戻される。追加の栄養素(例えば、ビタミンB群など)は、バイオリアクタに戻される前に、栄養培地を補充するために無細胞透過物に添加されてもよい。 また、ブロスのpHが、活性炭への酢酸の吸着を増加させるために、上述されるように調整された場合、pHは、バイオリアクタに戻される前に、発酵バイオリアクタ中のブロスと類似したpHに再調整すべきである。 実施例C.オートエタノゲナム(C. autoethanogenum)の野生型アルコール脱水素酵素の特徴付けと単一アミノ酸置換による基質特異性の範囲 C.ルジュングダーリイ(C. ljungdahlii)(Kopke, et al., 2010)を含むクロストリジウム属(Clostridium)のいくつかの種は、唯一の炭素源としてCOを利用することが示されており、最終生成物としてエタノールを伴う。細菌は、COを固定し、それをWood−Ljungdahl経路を介してアセチル−CoAに変換することができる。次に、アセチルCoAのアセチル部分は、様々な代謝経路に使用され得る。ここで特に興味深いのは、カルボニル基が、アルコール脱水素酵素(ADH)酵素によって、その対応するアルコールに還元され得ることである(Kopke, et al., 2010)。これは、商業的に価値のあるバイオ燃料およびバイオケミカルにCOを変換するための経路を提供する。 C.オートエタノゲナム(C. autoethanogenum)DSM10061株のゲノム配列決定は、C.ベイジェリンキ(C. beijerinckii)由来の以前に特徴付けられた酵素に対して86%同一であるADHを同定した。この株由来のADHは、その基質としてアセトアルデヒドを利用し、最終生成物としてエタノールを生産することができる。また、イソプロパノールへのアセトンの還元を触媒することができる。 イソプロパノールは、脱水され、一般に使用されているプラスチックであるポリプロピレンに重合され得るプロピレンを形成し得るため、エタノールよりも経済的に価値のある最終生成物である(Inokuma et al., 2010)。また、プロピレンへの微生物ルートは、ほとんどのプロピレンが現在由来する石油の需要を減少させる。 突然変異誘発研究は、ADH酵素を介して、イソプロパノール生産の効率を改善する目的で完了した。5つの変異体を構築し、試験した:Ser199Asp、Ser199Glu、Arg200Gln、Arg200Gluおよび二重変異体Ser199Glu/Arg200Gln。材料微生物および増殖条件 大腸菌(E. coli)DH5α−EをInvitrogenから入手した。この株の遺伝子型は、F−80ΔlacZM15(lacZYA−argF)U169 recA1 endA1 hsdR17(rk−,mk+)gal−phoA supE44−thi−1 gyrA96 relA1である。 大腸菌(E. coli)LMG194をInvitrogenから入手した。この株の遺伝子型は、F−ΔlacX74 galE thi rpsL ΔphoA(PvuII)Δara714 leu::Tn10である。 大腸菌(E. coli)MC1061をコリ・ジェネティック・ストック・センター(Coli Genetic Stock Centre)から入手した。この株の遺伝子型は、araD139 Δ(araA−leu)7697Δ(lac)X74 galK16 galE15(GalS)ラムダ−el4− mcrA0 relA1 rpsL150(strR)spoT1 mcrB1 hsdR2である。 クロストリジウム・オートエタノゲナム(Clostridium autoethanogenum)DSM10061をDSMZ(微生物および細胞培養物のドイツコレクション(The German Collection of Microorganisms and Cell Cultures)、Inhoffenstraβe 7 B、38124 Braunschweig、Germany)から入手した。 C.アセトブチリカム(C. acetobutylicum)ATCC824およびC.ベイジェリンキ(C. beijerinckii)NCIMB8052をDavid Jones教授(University of Otago)から入手し、さらに、それぞれATCC824/DSM792およびATCC51743の受託番号で公共株コレクションDSMZおよびATCCから入手することができる。 すべての大腸菌(E. coli)株は、アンピシリン(100μg/mL)またはカルベニシリン(50μg/mL)のいずれかが補足されたLuria Burtani培地を用いて、好気的条件下で培養した。[098]固体培地は1.5%寒天を含有した。すべての株は、特に注記がない限り、37℃にて増殖させた。 SOC培地(20g/Lトリプトン、5g/L酵母エキス、10mM NaCl、2.5mM KClおよび20mMグルコース)をエレクトロポレーション後の大腸菌(E. coli)の回収に使用した。 標準的な嫌気性技法を用いて、クロストリジウム・オートエタノゲナム(Clostridium autoethanogenum)をpH5.6のPETC培地(表1)中で増殖させ、C.アセトブチリカム(C. acetobutylicum)およびC.ベイジェリンキ(C. beijerinckii)をRCM培地(表2)中で増殖させた[Hungate RE: A roll tube method for cultivation of strict anaerobes, in Norris JR and Ribbons DW (eds.), Methods in Microbiology, vol. 3B. Academic Press, New York, 1969: 117-132; Wolfe RS: Microbial formation of methane. Adv Microb Physiol 1971, 6: 107-146]。ADH遺伝子およびタンパク質 C.オートエタノゲナム(C. autoethanogenum)DSM10061の野生型ADHのアミノ酸配列および核酸配列をそれぞれ配列番号36および配列番号35に示す。プライマープラスミド pMTL85147−ThlA−CtfAB−Adc−Adh(図8)をC.オートエタノゲナム(C. autoethanogenum)DSM10061 ADH遺伝子の増幅のために使用した。 プラスミドpMTL85147−ThlA−CtfAB−Adc−Adhは、標準的な組換えDNA技法および分子クローニング技法を用いて構築されている[Sambrook J, Fritsch EF, Maniatis T: Molecular Cloning: A laboratory Manual, Cold Spring Harbour Labrotary Press, Cold Spring Harbour, 1989; Ausubel FM, Brent R, Kingston RE, Moore DD, Seidman JG, Smith JA, Struhl K: Current protocols in molecular biology. John Wiley & Sons, Ltd., Hoboken, 1987]。ThlA遺伝子(NC_003030.1;GI:1119056)は、C.アセトブイリカム(C. acetobuylicum)のゲノムDNAから増幅され、遺伝子adc−ctfAB−adc(NC_009617;領域:4,400,524−4,402,656;GI:5294994、GI:5294995およびGI:5294996を含む)は、C.ベイジェリンキ(C. beijerinckii)から増幅され、adh遺伝子(図5)とWood−Ljungdahlプロモータ領域(配列番号39)は、C.オートエタノゲナム(C. autoethanogenum)DSM10061から増幅された。増幅のために使用したオリゴヌクレオチド配列を表4に示す。その後、増幅したすべての断片は、制限部位NotI、NdeI、EcoRI、KpnI、BamHI、SalI、XhoIを用いて、プラスミドpMTL85141(FJ797651.1;Nigel Minton、University of Nottingham、UK)[Heap JT, Pennington OJ, Cartman ST, Minton NP. A modular system for Clostridium shuttle plasmids. J Microbiol Methods. 2009, 78: 79-85]にクローニングされた。最終のプラスミドを配列番号40に示し、変異がないことを確実にするために配列決定された。 クロストリジウム・アセトブチリカム(Clostridium acetobutylicum)ATCC824、C.ベイジェリンキ(C. beijerinckii)NCIMB8052およびC.オートエタノゲナム(C. autoethanogenum)DSM10061からのゲノムDNAは、BertramおよびDurre(Conjugal transfer and expression of streptococcal transposons in Clostridium acetobutylicum. Arch Microbiol 1989, 151: 551-557)による変法を用いて単離された。100mlの一晩培養物を収集し(6,000×g、15分間、4℃)、リン酸カリウム緩衝液(10mM、pH7.5)で洗浄し、1.9ml STE緩衝液(50mM、Tris−HCl、1mM EDTA、200mMスクロース、pH8.0)中に懸濁させた。300μlリゾチーム(約100,000U)を添加し、混合物を37℃にて30分間インキュベートし、続いて280μlの10%(w/v)SDS溶液を添加し、さらに10分間インキュベートした。RNAは、240μl EDTA溶液(0.5M、pH8)、20μl Tris−HCl(1M、pH7.5)および10μl RNaseAを添加することによって、室温で消化された。次に、100μl プロテイナーゼK(0.5U)を添加し、1〜3時間、37℃にてタンパク質分解を行った。最後に、600μl過塩素酸ナトリウム(5M)を添加し、続いて、フェノール−クロロホルム抽出およびイソプロパノール沈殿を行った。DNA量と質を分光光度的に調べた。 発現ベクターpBAD(KpnI)−WpiMetCをInvitrogenから入手した。本研究で使用したプラスミドは、ヘキサヒスチジン(His6)タグをコードする断片、TEVプロテアーゼ切断部位(所望により精製後、ADHからHis6を除去するため)および無関係な細菌(ボルバキア・ピピエンティス(Wolbachia pipientis))由来のMetC酵素をコードする遺伝子を挿入することによって、予め修飾されている。方法野生型ADHの増幅: 野生型ADH C.オートエタノゲナム(C. autoethanogenum)DSM10061は、プライマーADH_TEV_KpnI_forおよびADH_HindIII_Reverseを用いて、プラスミドpMTL85147−ThlA−CtfAB−Adc−Adh(LZ)の50ng/μlの作業ストックから増幅された。 50μLのPCR混合物を以下のように作製した。 以下のサイクル条件を用いた。 生成物は、サイクルピュアキット(Omega Bio−Tek)を用いてクリーンアップした。ベクターおよびインサートの消化: pBAD骨格は、以下の処方により、酵素KpnI−HFおよびHindIIIを用いてpBAD(KpnI)−WpiMetCを消化することによって調製した。 増幅されたADH遺伝子を同じようにしてKpnI−HFおよびHindIIIを用いて消化した。 両方の消化を37℃にて16時間行った。消化された生成物は、SYBRsafe(Invitrogen)で染色された1%アガロースゲル上で分離された。消化されたベクターおよびインサートに対応するバンドを切り出し、DNAをゲルクリーンアップキット(Omega Bio−Tek)を用いて回収した。pBAD(KpnI)−ADHの構築 ADHおよびpBAD消化物から精製されたDNAは、以下の反応において、対照ライゲーションと一緒にライゲートされ、これは、ベクターと比較して3倍モル過剰のインサートを含有していた。 反応物は、16℃にて2時間インキュベートした。ライゲーション混合物の2μLアリコートを用いて、大腸菌(E. coli)MC1061細胞の50μLアリコートをエレクトロポレーションによって形質転換した。SOC中で37℃にて1時間の回復後、アリコートをLB−アンピシリンプレート上に広げ、37℃にて一晩インキュベートした。6コロニーを拾い上げ、pBAD_forおよびADH_HindIII_revプライマーを用いたPCRによって、ADHインサートの存在についてスクリーニングした。フリーザーストックは成功したクローンで作製され、700μlの培養物と300μlの滅菌50%(v/v)グリセロールを含んでいた。ADH遺伝子の配列をDNA配列決定によって検証した。ADHの部位特異的突然変異誘発 重複伸長PCRによって5つすべての変異を構築するプロトコールは同じであったが、各々の変異はその対応する突然変異誘発プライマーを用いて構築したことを除く。したがって、1変異のみを生じさせるプロトコールが提供されている。Ser199Asp一次生成物の作製: 部位特異的突然変異誘発における最初の工程は、2つの重なった一次生成物の作製であった。これらのためのPCR反応は以下の通りである。一次生成物1.0:一次生成物1.1: サイクル条件は以下の通りであった。 生成物は、Omegaサイクルピュアキットを用いてクリーンアップした。Ser199Asp二次生成物の作製: 部位特異的突然変異誘発における次の工程は、外側プライマーを使用した重複伸長PCR(Ho SN, Hunt HD, Horton RM, Pullen JK, Pease LR. (1989) Site-directed mutagenesis by overlap extension using the polymerase chain reaction. Gene, 77, 51-59)を用いて、2つの一次生成物を、導入された変異を有する完全な遺伝子を含有した全長の二次生成物に再結合することであった。2つの一次生成物は、それらが等しいモル濃度であるように混合される。以下のPCR処方を用いた。 サイクル条件は、野生型ADHの増幅と同じであった。pBAD(KpnI)−ADH(Ser199Asp)の構築: 5つのADH変異体(すなわち、変異:Ser199Asp;Ser199Glu;Arg200Gln;Arg200GluおよびSer199Glu/Arg200Glnを有するもの)の各々をクローニングするための消化およびライゲーションプロトコールは、pBAD(KpnI)−ADHを構築するために使用したものと同じであった。各々の変異の存在をDNA配列決定によって確認した。ADH酵素の発現および精製 発現および精製プロトコールは、特に注記のない限り、すべての変異体および野生型で同じであった。野生型ADHの発現および精製のためのプロトコールを以下に示す。可溶性発現についての試験: フリーザーストックからの5mLのLB−アンピシリン一晩培養物を37℃にて増殖させ、翌朝、これを用いて、100mLのLB−アンピシリンを接種した。培養物は、OD600が0.8に到達するまで、37℃にてインキュベートされた。この時点で、20%アラビノースの1mLを添加し、発現の残りについて、培養物を28℃にてインキュベートした。500μLの試料をt=0h、2h、4hおよび16h(すなわち、一晩)で採取した。各々の試料について、細胞をペレットにし、上清をデカントした。次に、ペレットをHEPES緩衝液(50mM Na−HEPESおよび0.2mM DTT、pH8.0)中に再懸濁し、各々0.2μLのベンゾナーゼ(Merck、25単位/μL)とrリゾチーム(Merck、30kU/μL)を添加した。混合物を室温にて15分間インキュベートし、次に、凍結(−80℃にて)し、3回融解した。この時点で、「全タンパク質」試料として各々の混合物から10μLを採取した。残りの試料は、13000rpmで1分間遠心分離し、上清を除去し、氷上に置いた。上清の10μLのアリコートを「可溶性タンパク質」試料として各々の混合物から採取した。各々10μLの全および可溶性タンパク質試料に、10μLのSDS緩衝液を添加し、全混合物を98℃にて5分間加熱した。15μLの各々のアリコートは、12%分離ゲルおよび4%スタッキングゲルを用いたSDS−PAGEゲルにロードした。ゲルを200Vにて40分間泳動した。ゲルを一晩クーマシーブルーを用いて染色し、次に、脱染色した。 発現の終了時に、100mLの培養物の残りを50mLチューブ中でペレットにし、−80℃にて凍結保存した。タンパク質精製: 野生型および変異型ADH酵素はすべて、それらのN末端でHis6タグを有するため、それらはすべて、固定化された金属アフィニティークロマトグラフィーを用いて精製することができた。上記の凍結細胞ペレット(100mLの培養物由来)は、0.5μl rリゾチーム(30kU/μl)、0.5μlベンゾナーゼ(25U/μl)および50μlプロテアーゼ阻害剤カクテル(Sigma)を含む、10mL氷冷分解(ice−coldlysis)緩衝液(50mMリン酸カリウム、300mM NaCl、pH7.0)中に再懸濁された。氷上で30分間のインキュベーション後、細胞を超音波処理によって溶解し、不溶性の残骸をペレットにし、上清を0.2ミクロンフィルタを用いて清澄化した。清澄化した上清は、溶解緩衝液で十分に洗浄したTalon樹脂(Clontech)に添加された。500μLのベッド体積は、野生型ADHを精製するために使用し、200μLのベッド体積は、各々の変異体を精製するために使用された。タンパク質を1時間、4℃にてTalon樹脂に結合させ、次に、溶解緩衝液で数回洗浄した。タンパク質は、150mMのイミダゾールが補足された溶解緩衝液を用いてカラムから溶出し、溶出液を500μL画分に集めた。精製プロセス中の様々な段階で採取されたアリコート、および全溶出画分をSDS pageゲル上で泳動し、タンパク質の存在を確認し、精製の成功を決定した。タンパク質は、Amicon Ultra−4遠心分離フィルタユニット(Millipore)を用いて、保存緩衝液(50mMリン酸カリウム、150mM NaCl、10%v/vグリセロール、pH7.0)に交換された。 野生型タンパク質は、大腸菌(E. coli)で発現させたとき、非常に可溶性であり、容易に精製することができた(図1)。Ser199AspおよびArg200Gln変異タンパク質もまた、非常に可溶性であった(図2)。他の2つの点変異体(Ser199GluおよびArg200Glu)の溶解度は、より変動的であった(結果を示さず)。幾分驚くべきことに、二重変異体(Ser199Glu+Arg200Gln)はSer199Gluより可溶性であった(結果を示さず)。 Ser199Asp変異体の配列は配列番号37(核酸)および配列番号38(アミノ酸)に示されている。活性アッセイ すべての活性アッセイは、石英キュベットを用いたCary100 UV/vis分光光度計を用いて行われた。アッセイに使用されたすべての化学物質は、Sigma−Aldrichから調達された。 特に注記がない限り、アッセイは、補因子(NADPH/NADH)濃度が0.2mMであり、基質(アセトアルデヒド、アセチル−CoA、アセトン、DL−アセトイン、MEK)濃度が3mMであり、ADH濃度が30nMであった。アッセイは、1mM DTTを含む50mM Tris−HCl緩衝液(pH7.5)中で行われた。すべてのアッセイは、新たに調製した基質および補因子を用いて、3重にして行った。 第一に、C.オートエタノゲナム(C. autoethanogenum)の野生型酵素を測定し、酵素は、厳密にNADPH依存性であり、C.ベイジェリンキ(C. beijerinckii)のアルコール脱水素酵素について記載されているように(Ismaiel, Zhu, Colby, & Chen, 1993)、NADH(図11)を用いてほとんど何ら検出できる活性はなかったことが示された。 その後、C.オートエタノゲナム(C. autoethanogenum)DSM10061の精製された野生型酵素のための動力学(図12)は、置換を有する変異型酵素を計測するためのベースラインとして決定された(図9)。活性は、いくつかの発酵経路において重要であるケトン類(アセトン、MEK、アセトイン)およびアルデヒド類(アセトアルデヒド)を用いて検出することができた(図14)。 その後、作製された変異型アルコール脱水素酵素をアッセイし、野生型酵素と比較した。可溶性タンパク質が存在しなかったため、Ser199Glu変異体をアッセイすることができなかった。粗細胞溶解物のアッセイはADH活性を示さなかった。可溶性であるが、Arg200Gln変異体もまた、検出可能な活性を示さなかった。当然のことながら、これらの2つのSer199Glu+Arg200Glnを組み合わせた変異体も不活性であった。残りの3つのタンパク質のうち、Arg200Gluの活性は、基質濃度を5倍(15mMまで)増加させ、酵素濃度を6倍(180nMまで)増加させた場合にのみ測定可能であった。 一方、Ser199Asp変異体は、アセトンを用いた野生型とほぼ同じ活性であった(図3)。最も興味深いことに、Ser199Asp変異体は、アセトンに対してより特異的である(図4)。これは、野生型ADHをSer199Asp変異体で置換することは、イソプロパノール生産の増加をもたらす可能性があることを示す。実施例2に記載したように、この変異体は、さらなる置換のための基礎であった。複数のアミノ酸置換による基質および補因子特異性の変化 実施例1からの結果に基づいて、本発明者らは、1〜4つのアミノ酸置換を有するさらに8つのアルコール脱水素酵素変異体を作製し、その活性を研究した。材料プライマープラスミド 変異体7に関する遺伝子配列をDNA2.0によって合成した。配列は、大腸菌(E. coli)におけるタンパク質の発現のためにコドン最適化された。合成された遺伝子はプラスミドpJ201に与えられた。この配列は、発現ベクターpBAD(KpnI)−ADHに変異体7のADH遺伝子をサブクローニングするためのHindIIIおよびKpnI制限部位を含んだ。方法変異体7のための発現プラスミドの構築 pBAD骨格は、制限酵素KpnI−HFおよびHindIII−HFを用いてpBAD(KpnI)−ADHを消化することによって調製された。 変異体7の遺伝子は、同様に、制限酵素Kpn−HFおよびHindIII−HFを用いて、pJ201ベクターから消化された。 消化された生成物は、SYBRsafe(Invitrogen)で染色された1%アガロースゲル上で分離された。消化されたベクターおよびインサートに対応するバンドを切り出し、DNAをゲルクリーンアップキット(Omega Bio−Tek)を用いて回収した。 精製されたインサートおよびベクターDNAは、製造者の標準プロトコールに従って、T4 DNAリガーゼ(NEB)を用いて、3:1のモル比のインサート:ベクターでライゲートされた。 ライゲーション混合物を用いて、エレクトロポレーションによって大腸菌(E. coli)MC1061細胞を形質転換した。形質転換された細胞のアリコートをLB−アンピシリン上に広げ、37℃にて一晩インキュベートした。単一コロニーを拾い上げた。得られた発現プラスミドを精製し、変異体7の遺伝子の配列をDNA配列決定によって確認した。フリーザーストックは成功したクローンで作製された。ADHのQuikchange突然変異誘発 変異体8、9、10、11および12を構築するために使用した鋳型DNAは、pBAD(KpnI)−変異体7ADHであった。変異体13を構築するために使用した鋳型DNAは、pBAD(KpnI)−ADHであった。異なる鋳型DNAおよび対応する突然変異誘発プライマーは別にして、変異体8〜13を構築するためのプロトコールは同じであった。各々の変異体は、標準的な推奨されるプロトコールを用いて、StratageneからのQuikchange II部位特異的突然変異誘発キットを用いて構築された。各々の変異体を構築するために使用されるフォワードおよびリバースプライマーを表5に列挙している。 Quikchange突然変異誘発反応の生成物を用いて、熱ショックによって化学的にコンピテントな大腸菌(E. coli)XL1−ブルー細胞を形質転換した。単一のコロニーを拾い上げた。得られた発現プラスミドを精製し、各々の変異遺伝子の配列をDNA配列決定によって確認した。フリーザーストックは各々の成功したクローンで作製された。タンパク質発現および精製 変異体2、7、10、11用の発現ベクターを用いて、プラスミドpGro7(Takara Bio,Inc.)で予め形質転換された大腸菌(E. coli)LMG194を形質転換した。このプラスミドは、GroEL/ESシャペロンタンパク質のアラビノース誘導性発現を容易にする。変異体13用の発現ベクターを用いて、大腸菌(E. coli)LMG194を形質転換した。 各々のADH変異体の発現は、0.2%(w/v)の最終濃度までL−アラビノースを添加することによって、中間対数期培養物(OD600が約0.5である)において誘導された。培養物を28℃にてさらに5時間インキュベートした。細胞を遠心分離によって収集し、ペレットを−80℃にて保存した。各々のペレットを10mLの溶解緩衝液(50mMリン酸カリウム、300mM NaCl、pH7.0)中に再懸濁した。プロテアーゼ阻害剤カクテル(150μL)、ベンゾナーゼヌクレアーゼ(37.5U)およびリゾチーム(0.2mg.mL−1、最終濃度)を添加した。4℃にて20分間のインキュベーション後、細胞を氷上で超音波処理によって溶解し、溶解物を遠心分離(21,000g、4℃、30分間)によって清澄化した。清澄化した溶解物は、500μLのTalon金属アフィニティー樹脂(50%w/vのスラリー)とともに混合され、混合物を穏やかに4℃にて1時間撹拌し、His6タグ化されたADHタンパク質を樹脂に結合させた。重力流カラムに移す前に、樹脂を溶解緩衝液で複数回洗浄した。変異体7、8、9、10および12を精製するため、5mM ATP/MgCl2は、シャペロンタンパク質の除去を容易にするために、この洗浄工程に含まれた。5mMイミダゾールおよび10mMイミダゾールをそれぞれ含有する、10ベッド体積の溶解緩衝液でさらに洗浄後、各々の精製されたタンパク質は、5ベッド体積の溶出緩衝液(50mMリン酸カリウム、300mM NaCl、150mMイミダゾール、pH7.0)を用いて溶出された。Amicon Ultra遠心分離フィルタユニット(10kDa分子量カットオフ;Merck Millipore、Billerica、MA)を用いて、精製されたタンパク質を保存緩衝液(50mMリン酸カリウム、150mM NaCl、10%(v/v)グリセロール、pH7.5)に交換した。凝集体は、無菌の0.22μmフィルタ(Millex−GV;Millipore)を通してろ過することによって除去された。各々のタンパク質は、SDS−PAGEによって>95%純度となるように判断された。ADH濃度は、A280((Pace, Vajdos et al. 1995に従って計算される吸光係数を用いて)を測定することによって定量された。精製されたタンパク質のアリコートを−80℃にて保存した。活性アッセイによって、これらの保存条件は、凍結/融解サイクルと組み合わせて、活性のいずれの喪失をももたらさなかったことを検証した。 図5に示すように、変異体2、7および11はすべて、pGro7プラスミドを用いて大腸菌(E. coli)で発現させたとき、非常に可溶性であった。変異体10に関する得られた可溶性タンパク質は、他のバリアントよりも低かった。変異体8、9および12は、pGro7と共発現された場合でさえ、完全に不溶性であった。変異体13は非常に可溶性であり、野生型ADHタンパク質と同じ条件で、大量に生産することができた。活性アッセイ 野生型および変異型ADH活性は、以前に記載された方法(Ismaiel, Zhu et al. 1993)に基づいて、分光光度アッセイを用いて測定された。活性は、NADPHまたはNADHの酸化に伴って、340nmでの吸光度の減少を監視することによって定量された(ε340=6,220M−1.cm−1)。定常状態の速度論的パラメータは、Peltier温度制御装置を備えたCary100 UV−Vis分光光度計を用いて25℃にて測定された。標準的なアッセイ混合物は、0.2mMで存在する補因子(NADPHまたはNADH)のいずれかとともに、50mM Tris−HCl、1mM DTT、pH7.5を含有した。初期反応速度は、5mMの基質濃度を用いて測定された。測定は、3重にして行われ、バックグラウンドについて補正された。補因子NADHとNADPHおよび基質アセトン、アセトイン、MEKは、Sigma−Aldrichから調達された。D−アセトインは、商業的供給源が存在しないため、以下に説明するように精製された。 全体的に、変異体11は、補因子としてNADHを用いて、最も高い活性を有する(図6)。変異体11の補因子の使用が、(野生型ADHと比較して)完全にスイッチした;変異体11は、NADPHを用いて、検出可能な活性を有していなかった。 変異体11は、4つの変異(G198D、S199V、P201E、Y218A)を有している。4つすべての変異は、補因子の使用における観察されたスイッチに必要とされる。Y218A変異の追加は、NADHを用いた活性に必要であったが、この変異単独(すなわち、変異体13)は補因子の優先性に影響を及ぼさなかった。これは、図14に示されるように、イソプロパノール、2,3−ブタンジオール、2−ブタノールおよびエタノールへの発酵経路に重要な利点を有し得た。 図7に示されるように、いくつかの変異体はまた、より大きな基質(アセトインおよびMEK)またはより小さな基質(アセトアルデヒド)のいずれかと比較してアセトンに対してより特異的である。すべての変異体(2、7、10および11)は、MEKと比較してアセトンに対する基質特異性が増加している。変異体2、10および11は、アセトアルデヒドと比較しておよびアセトインと比較してアセトンに対する基質特異性が増加している。 図8に示されるように、いくつかの変異体はまた、より大きな基質(アセトイン)またはより小さな基質(アセトアルデヒド)のいずれかと比較してMEKに対してより特異的である。変異体2、10および11は、アセトアルデヒドと比較しておよびアセトインと比較してMEKに対する基質特異性が増加している。 図9に示されるように、いくつかの変異体はまた、より大きな基質(アセトン、アセトインおよびMEK)と比較してアセトアルデヒドに対してより特異的である。変異体7は、アセトンと比較しておよびMEKと比較してアセトアルデヒドに対する基質特異性が増加している。変異体2、7および10は、アセトインと比較してアセトアルデヒドに対する基質特異性が増加している。 図10に示されるように、いくつかの変異体はまた、より小さな基質(アセトン、アセトインおよびMEK)と比較してアセトインに対してより特異的である。変異体7は、アセトンと比較しておよびMEKと比較してアセトインに対する基質特異性が増加している。変異体7および11は、アセトアルデヒドと比較してアセトインに対する基質特異性が増加している。変異体10はアセトインを用いた活性を喪失したが、他の基質アセトン、MEKおよびアセトアルデヒドを用いた活性をなおも有していた。 要約すると、結果は、図7〜10に示されるように、以下を示す:−変異体2は、1)MEK、アセトアルデヒドおよびアセトインと比較してアセトンに対する基質特異性が増加し、2)アセトアルデヒドおよびアセトインと比較してMEKに対する基質特異性が増加している;−変異体7は、1)MEKと比較してアセトンに対する基質特異性が増加し、2)MEK、アセトンおよびアセトインと比較してアセトアルデヒドに対する基質特異性が増加し、3)アセトンおよびMEKと比較してアセトインに対する基質特異性が増加している;−変異体11は、1)MEK、アセトアルデヒドおよびアセトインと比較してアセトンに対する基質特異性が増加し、2)アセトアルデヒドおよびアセトインと比較してMEKに対する基質特異性が増加し、3)アセトアルデヒドと比較してアセトインに対する基質特異性が増加している;ならびに−変異体10は、1)MEK、アセトアルデヒドおよびアセトインと比較してアセトンに対する基質特異性が増加し、2)アセトアルデヒドおよびアセトインと比較してMEKに対する基質特異性が増加し、3)アセトインと比較してアセトアルデヒドに対する基質特異性が増加している。これは、図14に示される、イソプロパノール、2,3−ブタンジオール、2−ブタノールおよびエタノールへの発酵経路に重要な利点を有し得た。D−アセトインの精製 D−アセトイン(または(S)−アセトイン)のエナンチオ選択的合成::D−アセトインは、D−(−)−2,3−ブタンジオールの位置選択的に制御されたモノ酸化を介して記載されるように(D'Accoloti et al. 1993 J. Org. Chem. 58: 3600-1)合成された。必要なジメチルジオキシラン(DMDO)−アセトン溶液は、以前に報告された手法の変法に従って新たに調製され、その後、ヨードメトリーによって滴定された。 DMDO−アセトン溶液の作製:1000mLの三口丸底フラスコにガスアダプタおよび二重蒸留ヘッドを取り付け、そこに真空適合のレシーバを接続した。最終的な連結部を栓で止め、試薬の添加が意図された。丸底フラスコを受入端に固定し、アセトン−ドライアイス浴において−78℃に冷却した。真空に直列に、塩分のある氷を用いて−20℃に冷却したBuchi(登録商標)コールドフィンガーコンデンサがあり、続いて、−196℃の液体窒素のコールドフィンガートラップに接続した。 反応容器に、大きな楕円形撹拌棒、水(220mL)、アセトン(160mL)および炭酸水素ナトリウム(120.063g)を充填した。激しい撹拌を0℃にて、窒素でパージしながら開始し、3分間の間隔で5回に分けて、固体オキソン(250.047g)の添加中に継続した。強力な泡立ちが発生し、したがって、オキソンの添加速度を制御して、これを管理した。オキソンの第二の部分を添加した後、白色スラリー上の無色溶液がピンク色になった。オキソンの完全な添加の際に15分間、撹拌を続けた。泡立ちの沈降時に、わずかな真空(900mbar)を適用し、泡立ちを監視しながら、約450mbarに徐々に増加させた。真空の漸進的適用中に、淡黄色の溶液を冷却したレシーバに集めた。約100mLのDMDO−アセトン溶液を集めると、飽和Na2S2O3溶液を用いて反応を停止させ、生成物を室温にした。 DMDOのヨウ素滴定:アセトン(1.00mL)中のDMDOの新たに蒸留した溶液を酢酸−アセトン溶液(2mL、3:2)にピペットで移した。次に、飽和した水性ヨウ化カリウム溶液(2.0mL)をドライアイスとともに添加し、溶液を脱気した。これを室温で10分間、暗所にて保存しながら混合した。混合物を水(5mL)で希釈し、終点指標として1%デンプン溶液を用いて、水性Na2S2O3(0.00099モル/L)溶液に対して滴定し、29.9mMの濃度を得た。次に、フラスコを密封し、−18℃にて保存した。 (R,R)−2,3−ブタンジオールのDMDO酸化。D−(−)−2,3−ブタンジオールの(R)−3−ヒドロキシブタノンへのモノ酸化は、文献(D'Accoloti et al. 1993 J. Org. Chem. 58: 3600-1)に報告された方法に従って行われた。最適化されたアルコール脱水素酵素を用いたカルボキシドトローフにおけるエタノールと比較した2,3−ブタンジオールの優先的生産 カルボキシド栄養性生物であるC.オートエタノゲナム(C. autoethanogenum)は、COからエタノールと2,3−ブタンジオールの両方を生産することが示された(Kopke et al., 2011)(図14)。実施例1において実証されているように、アルコール脱水素酵素は、エタノールと2,3−ブタンジオール経路、アセトアルデヒドのエタノールへの反応、それぞれアセトインの2,3−ブタンジオールへの反応、の両方における最終工程を触媒するC.オートエタノゲナム(C. autoethanogenum)中に存在する(図14)。アセトアルデヒドを用いたこの野生型酵素の活性は、アセトインとより高く(図12)、これは、C.オートエタノゲナム(C. autoethanogenum)DSM10061(Kopke et al., 2011)を用いた発酵における2,3−ブタンジオールと比較して支配的な生成物であるエタノールをもたらす。実施例2において、アミノ酸置換G198E、S199V、P201Eを有するアルコール脱水素酵素変異体(変異体7)を作製し、これは、アセトアルデヒドと比較してアセトインに対する基質特異性が改善されている(図7)。野生型酵素と比較して、アセトアルデヒドと比べてアセトインを優先的に使用するこの酵素を用いて、野生型株と比較して、エタノール生産と比べて2,3−ブタンジオール生産を増加させることができる。 変異型アルコール脱水素酵素の遺伝子(配列番号41)は、部位NdeIおよびEcoRIを用いて、フェレドキシンプロモータを有するpMTL85353シャトルベクター(Heap, Pennington, Cartman, & Minton, 2009)にクローニングされる。次に、構築物は、記載されているように(米国特許出願公開第2012/0252083号、WO/2012/115527)、メチル化され、エレクトロポレーションによってC.オートエタノゲナム(C. autoethanogenum)に形質転換される。チアンフェニコール耐性コロニーを拾い上げ、5mLの液体培地中で増殖させる。形質転換された培養物をPCRによって検証し、発酵実験を行う。代謝最終産物とC.オートエタノゲナム(C. autoethanogenum)の野生型を比較すると、変異型アルコール脱水素酵素を有する株は、2,3−ブタンジオール:エタノール比が増加している。 これと同様に、C.ルジュングダーリイ(C. ljungdahlii)などの他のアセトゲン株は、同じプラスミドを用いて、アルコール脱水素酵素変異体で修飾することができる。エレクトロポレーションは、C.ルジュングダーリイ(C. ljungdahlii)(Kopke et al. 2010, Poc. Nat. Acad. Sci. U.S.A. 107: 13087-92;(Leang, Ueki, & Lovley, 2011)PCT/NZ2011/000203;WO2012/053905)、アセトバクテリウム・ウッディ(Acetobacterium woodii)(Straetz et al., 1994, Appl. Environ. Microbiol. 60:1033-37)およびムーレラ・サーモアセチカ(Moorella thermoacetica)(Kita et al., 2012)などのいくつかのカルボキシド栄養性アセトゲンについて記載されている。C.オートエタノゲナム(C. autoethanogenum)、C.ルジュングダーリイ(C. ljungdahlii)および他のアセトゲン株は、エタノールおよび2,3−ブタンジオールを生産することができる(Kopke et al., 2011)。変異型アルコール脱水素酵素を発現させることによって、この比率は、2,3−ブタンジオールを選択して改善させることができる。最適化されたアルコール脱水素酵素を用いたカルボキシドトローフにおける2,3−ブタンジオールと比較したエタノールの優先的生産 実施例3に記載したように、C.オートエタノゲナム(C. autoethanogenum)は、COからエタノールと2,3−ブタンジオールの両方を生産することができる(図14)。しかしながら、いくつかのプロセスについて、プロセスのコスト(例えば、分離)を低く維持するために、単一生成物のみを生産することが有利であり得る。典型的には、これは、複数の経路のうちの1つの経路において、酵素を不活性化することによって達成することができる。しかしながら、複数の経路において反応を触媒する多機能酵素の場合には、この戦略を適用することができず、それは、アセトアルデヒドからエタノールへの還元とアセトインから2,3−ブタンジオールへの還元の両方を触媒するC.オートエタノゲナム(C. autoethanogenum)のアルコール脱水素酵素に関して当てはまる。本発明は、例えば、減少したレベルでまたは2,3−ブタンジオールなしに、エタノール生産を達成するための代替の手段を与える。実施例2において、アミノ酸置換G198D、S199V、P201E、Y218Fを有するアルコール脱水素酵素変異体(変異体10)を作製し、これは、アセトインを減少させる能力を喪失したが、アセトアルデヒドを用いた活性をなおも有する(図7)。この変異型アルコール脱水素酵素の遺伝子(配列番号47)は、二重相同クロスオーバー組み込み(野生型を変異型アルコール脱水素酵素で置換する)を可能にするために、アルコール脱水素酵素の隣接領域とともにベクターにクローニングされる。SecAdh遺伝子の1kbの5’(配列番号55)と3’(配列番号56)相同性アームは、C.オートエタノゲナム(C. autoethanogenum)DSM23693ゲノムDNAを用いてPCR増幅される。プライマーSec5f(attcatcctgcaggACAGTTAAAAAGCATATCTAACAGT(配列番号57))/Sec5r(gactgcggccgcTAAATATATAAGCAAATGTTGTGCC(配列番号58))およびSec3f(atatgctagCGTATTTTTAATTGCGAACTTAAGA(配列番号59))/Sec3r(gactggcgcgcCAGTTAAAGTTAGACATCCGATTAT(配列番号60))を用いて、それぞれ5’および3’相同性アームを増幅する。2つのPCR産物は、pMTL85151−SecAdh−KOを得るために、SbfI/NotIとNheI/AscI部位の間で、pMTL85151プラスミドにクローニングされる。ベクターは上記のように形質転換される。チアンフェニコールプレート上で選択後、形質転換体は、相同性アームに隣接するプライマーSecOf(TTGGAATTTTAGCTGTAGATAACAA(配列番号61))およびSecOr(TAAGTGATTTTCAATGGACTTTACT(配列番号62))を用いて、野生型アルコール脱水素酵素を変異型アルコール脱水素酵素にスワップアウトするためにスクリーニングされる。配列決定のコンホメーション後、発酵実験を行い、減少した2,3−ブタンジオール生産でまたは2,3−ブタンジオール生産なしでのエタノール生産を確認する。C.オートエタノゲナム(C. autoethanogenum)において、ある種の条件下で2,3−ブタンジオール生産の完全な除去についてノックアウトされ得る、ブタンジオールへの活性を有する第二の酵素が存在する。 これと同様に、C.ルジュングダーリイ(C. ljungdahlii)およびC.ラグスダレイ(C. ragsdalei)などの他のアセトゲン2,3−ブタンジオール生産株は、同じプラスミドを用いて、アルコール脱水素酵素変異体で修飾することができる。エレクトロポレーションおよび二重相同クロスオーバーのための方法は、C.ルジュングダーリイ(C. ljungdahlii)について記載されている(Kopke et al. 2010, Poc. Nat. Acad. Sci. U.S.A. 107: 13087-92;(Leang et al., 2011)。最適化されたアルコール脱水素酵素を用いたカルボキシドトローフにおけるイソプロパノールの生産 C.オートエタノゲナム(C. autoethanogenum)は、野生型アルコール脱水素酵素に依存して、アセトン生合成遺伝子を導入することによって、COからのイソプロパノール生産のために修飾されている(米国特許出願公開第2012/0252083号、WO/2012/115527)。この生産を改善するために、実施例2において作製された、置換G198D、SI99V、P201E、Y218Aを有する非常にアセトンに特異的な変異型アルコール脱水素酵素(変異体11)を導入することができる。変異型アルコール脱水素酵素遺伝子(配列番号53)は、SalI/XhoI制限部位によって、アセトン生合成プラスミド(配列番号40)にクローニングされる。次に、プラスミドは、上述されるC.オートエタノゲナム(C. autoethanogenum)に形質転換される。形質転換された培養物を用いた発酵実験は、すべてのアセトンをイソプロパノールに変換するイソプロパノール生産の増加を示す。アセトンに対する特異性の増加に加えて、生物は、イソプロパノール合成のためにNADPHおよびNADHを使用し、両方のプールにタッピングして入れておく。 これと同様に、C.ルジュングダーリイ(C. ljungdahlii)などの他のアセトゲン株は、同じプラスミドを用いて、アルコール脱水素酵素変異体で修飾することができる。エレクトロポレーションは、C.ルジュングダーリイ(C. ljungdahlii)(Kopke et al. 2010, Poc. Nat. Acad. Sci. U.S.A. 107: 13087-92;(Leang et al., 2011)PCT/NZ2011/000203;WO2012/053905)、アセトバクテリウム・ウッディ(Acetobacterium woodii)(Straetz et al., 1994, Appl. Environ. Microbiol. 60:1033-37)またはムーレラ・サーモアセチカ(Moorella thermoacetica)(Kita et al., 2012)などのいくつかのカルボキシド栄養性アセトゲンについて記載されている。C.オートエタノゲナム(C. autoethanogenum)、C.ルジュングダーリイ(C. ljungdahlii)および他のアセトゲン株は、エタノールおよび2,3−ブタンジオールを生産することができる(Kopke et al., 2011)。変異型アルコール脱水素酵素を発現させることによって、この比率は、2,3−ブタンジオールを選択して改善させることができる。最適化されたアルコール脱水素酵素を用いたABE生物におけるイソプロパノールの生産 C.アセトブチリカム(C. acetobutylicum)は、C.ベイジェリンキ(C. beijerinckii)由来の第二級アルコール脱水素酵素を用いたイソプロパノール生産のために代謝的に遺伝子操作され得ることが示されているが、報告された結果は、イソプロパノールに至るまで変換しなかった残留アセトンを有する低イソプロパノールレベルのみを示す[Lee et al, 2012: Metabolic engineering of Clostridium acetobutylicum ATCC824 for isopropanol-butanol-ethanol fermentation, Appl. Environ. Microbiol. 78: 1416-1423]。このプロセスを改善するために、最適化されたアルコール脱水素酵素は、この制限を克服するために必要とされる。 実施例2において、アセトインに対して高い特異性を有し、NADHも使用することができる、置換G198D、S199V、P201E、Y218Aを有する、最適化された変異型アルコール脱水素酵素(変異体11)を作製し、これは、C.アセトブチリカム(C. acetobutylicum)におけるNADPHよりも豊富である。変異型アルコール脱水素酵素遺伝子(配列番号53)は、部位NdeIおよびEcoRIを用いて、強力なC.アセトブチリカム(C. acetobutylicum)チオラーゼプロモータを有するpMTL85354シャトルベクター(Heap et al., 2009)にクローニングされる。次に、プラスミドは、枯草菌(Bacillus subtilis)ファージメチルトランスフェラーゼを使用してインビボでメチル化され、記載されるように(Mermelstein & Papoutsakis, 1993)C.アセトブチリカム(C. acetobutylicum)に形質転換される。形質転換された培養物を用いて行った発酵において、すべてのアセトインは、高い特異性でイソプロパノールに変換される。最適化されたアルコール脱水素酵素を用いた大腸菌(E.coli)におけるイソプロパノールの生産 大腸菌(E. coli)は、いくつかの研究においてイソプロパノール生産のための標的となっている[Hanai T et al (2007) Engineered synthetic pathway for isopropanol production in Escherichia coli. Applied and environmental microbiology 73:7814-8; Inokuma K et al (2010) Improvement of isopropanol production by metabolically engineered Escherichia coli using gas stripping. Journal of bioscience and bioengineering 110:696-701; Jojima T et al (2008) Production of isopropanol by metabolically engineered Escherichia coli. Applied microbiology and biotechnology 77:1219-24]。しかしながら、すべての研究は、C.ベイジェリンキ(C. beijerinckii)由来の全く同じ最適化されていないアルコール脱水素酵素を用い、酵素の低特異性およびNADPH依存性に起因してイソプロパノール生産が制限される。これは、すべての研究において、イソプロパノールに十分に効果的に還元されないため、アセトンが副生成物として蓄積することから明らかになる。大腸菌(E. coli)において、NADHプールのプールは、NADPHプールよりも数倍大きい(Bennett & San, 2009)。 実施例2において、アセトインに対して高い特異性を有し、NADHも使用することができる、置換G198D、S199V、P201E、Y218Aを有する、最適化された変異型アルコール脱水素酵素(変異体11)を作製した。大腸菌(E.coli)は、当該技術分野において使用される標準的な技法を用いて、この変異型アルコール脱水素酵素を含むように遺伝子操作することができる。組換え大腸菌(E.coli)は、野生型生物と比較してイソプロパノール生産が増加する。最適化されたアルコール脱水素酵素を用いた酵母S.セレビシエ(S. cerevisiae)における2−ブタノールの生産 酵母サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)のいくつかの株は、エタノールと並んで高レベルのアセトイン(Romano, Suzzi, Mortimer, & Polsinelli, 1995)を生産することができる。D−アセトイン(または(S)−アセトイン)は、実施例1に記載されているC.オートエタノゲナム(C. autoethanogenum)のアルコール脱水素酵素の作用によって、メソ−2,3−ブタンジオールに変換され得る。メソ−2,3−ブタンジオールのMEKへの変換は、例えば、A.アエロゲネス(A. aerogenes)(Toraya T, Shirakashi T, Kosuga T, 1976)またはクレブシエラ・ニューモニア(Klebsiella pneumonia)(Bachovchin, Eagar, Moore, & Richards, 1977)のジオール脱水酵素とともに記載されている。次に、MEKは、再度、実施例1に記載されているC.オートエタノゲナム(C. autoethanogenum)のアルコール脱水素酵素を用いて、2−ブタノールに変換され得る(図14)。しかしながら、アルコール脱水素酵素はまたエタノールに対する活性を有するため、アセトアルデヒドからエタノールへのわずかに低い活性を有するが、アセトインから2,3−ブタンジオールおよびMEKから2−ブタノールへの相対的に高い活性を有する酵素を有することが望ましい。実施例2の変異体11は、正確にこれらの特性を有し、酵母において有利である補因子としてNADHを使用する。 変異体11についてのコドン最適化遺伝子(配列番号50)とクレブシエラ・ニューモニア(Klebsiella pneumonia)由来のジオール脱水酵素についてのコドン最適化遺伝子(YP_002236782;YP_002236783;YP_002236784)は、誘導性酵母プロモータGAL1/10下で、記載されるように(Steen et al., 2008)適切なベクターにクローニングされる。すべてのS.セレビシエ(S. cerevisiae)株の形質転換は、記載されるように(Gietz RW: RA Guide to Yeast Genetics and Molecular and Cell Biology. Part B. San Diego, CA: Academic Press Inc; 2002:87-96)酢酸リチウム法を用いて行われる。形質転換の成功と検証後、豊富なYPD培地における30℃でのS.セレビシエ(S. cerevisiae)を用いた発酵が行われ、生成物として2−ブタノールと低レベルのエタノールを伴う。 本発明は、本明細書において、読者が過度の実験を行うことなく本発明を実施できるように、ある種の好ましい実施形態を参照しながら説明されている。しかしながら、当業者であれば、構成要素およびパラメータの多くは、本発明の範囲から逸脱することなく、ある程度変更または改変してもよく、または公知の同等物に置換してもよいことは、容易に認識される。このような改変および同等物は、個々に明示されたかのように本明細書に組み込まれることは認識されるべきである。発明の名称、見出し等は、読者がこの文書を理解しやすくするために提供されたものであり、本発明の範囲を制限するものと解釈されるべきではない。 上記および下記で引用されたすべての出願、特許および刊行物の全開示は、存在する場合、参照により本明細書に組み込まれる。しかしながら、本明細書におけるあらゆる出願、特許および刊行物への言及は、それらが有効な従来技術を構成するか、または世界中のどこの国でも共通する一般的な知見の一部を形成することへの承認、またはあらゆる形態の示唆ではなく、そのように解釈されるべきでもない。 本明細書および以下に記載されるすべての請求項の全体において、文脈上他の意味に解すべき場合を除いて、「を含む(comprise)」、「を含んでいる(comprising)」などの単語は、排他的な意味ではなく、包括的な意味で、すなわち、「に限定されないが含む」という意味で解釈されることとする。(参考文献) 本明細書には配列表が添付され、配列表には以下の配列が列挙されている: 配列番号1〜34:本明細書において、前述の表3、4および5に記載されている。 配列番号35:本発明者らによって研究された野生型ADHの核酸配列。 配列番号36:本発明者らによって研究された野生型ADHのアミノ酸配列。 配列番号37:本発明者らによって作製された置換Ser199Aspを含む変異型ADHの核酸配列。 配列番号38:本発明者らによって作製された置換Ser199Aspを含む変異型ADHのアミノ酸配列。 配列番号39:Wood Ljungdahlプロモータ領域の核酸配列。 配列番号40:本明細書にさらに記載されるプラスミドpMTL85147−ThlA−CtfAB−Adc−Adhのヌクレオチド配列。 配列番号41:本明細書においてさらに後述される変異体7の核酸配列(コドン最適化されている)。 配列番号42:本明細書においてさらに後述される変異体7のアミノ酸配列。 配列番号43:本明細書においてさらに後述される変異体8の核酸配列(コドン最適化されている)。 配列番号44:本明細書においてさらに後述される変異体8のアミノ酸配列。 配列番号45:本明細書においてさらに後述される変異体9の核酸配列(コドン最適化されている)。 配列番号46:本明細書においてさらに後述される変異体9のアミノ酸配列。 配列番号47:本明細書においてさらに後述される変異体10の核酸配列(コドン最適化されている)。 配列番号48:本明細書においてさらに後述される変異体10のアミノ酸配列。 配列番号49:本明細書においてさらに後述される変異体11の核酸配列(コドン最適化されている)。 配列番号50:本明細書においてさらに後述される変異体11のアミノ酸配列。 配列番号51:本明細書においてさらに後述される変異体12の核酸配列(コドン最適化されている)。 配列番号52:本明細書においてさらに後述される変異体12のアミノ酸配列。 配列番号53:本明細書においてさらに後述される変異体13の核酸配列(コドン最適化されている)。 配列番号54:本明細書においてさらに後述される変異体13のアミノ酸配列。 配列番号55:C.オートエタノゲナム(C. autoethanogenum)アルコール脱水素酵素遺伝子の5’相同性アームのヌクレオチド配列。 配列番号56:C.オートエタノゲナム(C. autoethanogenum)アルコール脱水素酵素遺伝子の3’相同性アームのヌクレオチド配列。 配列番号57:プライマーSec5f。 配列番号58:プライマーSec5r。 配列番号59:プライマーSec3f。 配列番号60:プライマーSec3r。 配列番号61:プライマーSecOf。 配列番号62:プライマーSecOr。 配列番号63:以下の置換:Gly198Asp、Ser199Val、Pro201GluおよびTyr218Glyを有するアルコール脱水素酵素のアミノ酸配列。 配列番号64:以下の置換:Gly198Asp、Ser199Val、Pro201GluおよびTyr218Serを有するアルコール脱水素酵素のアミノ酸配列。 配列番号65:以下の置換:Gly198Asp、Ser199Val、Pro201GluおよびTyr218Valを有するアルコール脱水素酵素のアミノ酸配列。 配列番号66:以下の置換:Ser199Gluを有するアルコール脱水素酵素のアミノ酸配列。 配列番号67:以下の置換:Gly198Asp、Ser199Val、Pro201GluおよびTyr218Glyを有するアルコール脱水素酵素の核酸配列。 配列番号68:以下の置換:Gly198Asp、Ser199Val、Pro201GluおよびTyr218Serを有するアルコール脱水素酵素の核酸配列。 配列番号69:以下の置換:Gly198Asp、Ser199Val、Pro201GluおよびTyr218Valを有するアルコール脱水素酵素の核酸配列。 配列番号70:以下の置換:Ser199Gluを有するアルコール脱水素酵素の核酸配列(コドン最適化されている)。 本発明の一態様において、少なくとも1つの第二の基質と比較して、少なくとも1つの第一の基質に対する特異性が増加しているアルコール脱水素酵素が提供され、ここで、少なくとも1つの第一の基質と少なくとも1つの第二の基質が以下: 第一の基質がアセトンであり、第二の基質がMEKである; 第一の基質がアセトンであり、第二の基質がアセトアルデヒドである; 第一の基質がアセトンであり、第二の基質がアセトインである; 第一の基質がMEKであり、第二の基質がアセトアルデヒドである; 第一の基質がMEKであり、第二の基質がアセトインである; 第一の基質がアセトインであり、第二の基質がアセトンである; 第一の基質がアセトインであり、第二の基質がMEKである; 第一の基質がアセトインであり、第二の基質がアセトアルデヒドである; 第一の基質がアセトアルデヒドであり、第二の基質がアセトンである; 第一の基質がアセトアルデヒドであり、第二の基質がアセトインである;および 第一の基質がアセトアルデヒドであり、第二の基質がMEKであるからなる群から選択され; ここで、アルコール脱水素酵素は、対応する野生型アルコール脱水素酵素と比較して、少なくとも1つまたはそれ以上の変異を含むアルコール脱水素酵素。 補因子としてNADHを使用する、またはNADPH補因子と比較してNADH補因子に対する特異性が増加しているアルコール脱水素酵素であって、対応する野生型アルコール脱水素酵素と比較して、少なくとも1つまたはそれ以上の変異を含むアルコール脱水素酵素。 以下の位置:Gly198、Ser199、Arg200、Pro201、Tyr218の1つまたはそれ以上でのアミノ酸置換を含む、請求項1から2に記載のアルコール脱水素酵素。 アミノ酸置換が、Gly198Asp、Gly198Ile、Gly198Leu、Gly198Val、Ser199Asp、Ser199Glu、Ser199Leu、Ser199Val、Arg200Glu、Pro201Asp、Pro201Glu、Tyr218Ala、Tyr218Phe、Tyr218Gly、Tyr218SerおよびTyr218Valの1つまたはそれ以上から選ばれる、請求項3に記載のアルコール脱水素酵素。 Ser199Asp置換; Ser199Glu置換; 置換Gly198Asp、Ser199ValおよびPro201Gluの組み合わせ; 置換Gly198Asp、Ser199Val、Pro201GluおよびTyr218Alaの組み合わせ; 置換Gly198Asp、Ser199Val、Pro201GluおよびTyr218Pheの組み合わせ; 置換Gly198Asp、Ser199Val、Pro201GluおよびTyr218Valの組み合わせ; 置換Gly198Asp、Ser199Val、Pro201GluおよびTyr218Glyの組み合わせ;または 置換Gly198Asp、Ser199Val、Pro201GluおよびTyr218Serの組み合わせを含む、請求項4に記載のアルコール脱水素酵素。 配列番号38、配列番号42、配列番号48、配列番号50、配列番号63、配列番号64または配列番号65の配列を含む、請求項5に記載のアルコール脱水素酵素。 請求項1から6のいずれか1項に記載のアルコール脱水素酵素をコードする核酸。 配列番号37、配列番号41、配列番号47、配列番号49、配列番号67、配列番号68、配列番号69または配列番号70の配列を含む、請求項7に記載の核酸。 請求項7に記載の核酸を含む核酸ベクター。 請求項7または9に記載の核酸を含む宿主細胞。 発酵によって、イソプロパノール;2,3−ブタンジオール;エタノール;2−ブタノールから選ばれる1つまたはそれ以上の生成物;および場合により1つまたはそれ以上の他の生成物を生産することができる、請求項7または9に記載の1つまたはそれ以上の核酸を含む組換え微生物。 発酵によって、アセトイン;MEK;アセトアルデヒド;アセトンから選ばれる1つまたはそれ以上の生成物;および場合により1つまたはそれ以上の他の生成物を生産することができる、請求項7または9に記載の1つまたはそれ以上の核酸を含む組換え微生物。 細菌、古細菌および真菌を含む群から選ばれる、請求項12に記載の組換え微生物。 クロストリジウム・オートエタノゲナム(Clostridium autoethanogenum)、クロストリジウム・ルジュングダーリイ(Clostridium ljungdahlii)、クロストリジウム・ラグスダレイ(Clostridium ragsdalei)、クロストリジウム・カルボキシディボランス(Clostridium carboxidivorans)、クロストリジウム・ドラケイ(Clostridium drakei)、クロストリジウム・スカトロゲネス(Clostridium scatologenes)、クロストリジウム・コスカチイ(Clostridium coskatii)、クロストリジウム・アセチカム(Clostridium aceticum)、クロストリジウム・マグナム(Clostridium magnum)、クロストリジウム属種(Clostridium sp.)、ブチリバクテリウム・リモサム(Butyribacterium limosum)、ブチリバクテリウム・メチロトロフィカム(Butyribacterium methylotrophicum)、アセトバクテリウム・ウッディ(Acetobacterium woodii)、アルカリバクラム・バッチィ(Alkalibaculum bacchii)、ブラウティア・プロダクタ(Blautia producta)、ユーバクテリウム・リモサム(Eubacterium limosum)、ムーレラ・サーモアセチカ(Moorella thermoacetica)、ムーレラ・サーマウトトロフィカ(Moorella thermautotrophica)、オキソバクター・フェニジイ(Oxobacter pfennigii)およびサーモアナエロバクター・キウヴィ(Thermoanaerobacter kiuvi)を含む群から選択されるカルボキシド栄養性アセトゲンである、請求項13に記載の組換え微生物。 クロストリジウム・アセトブチリカム(Clostridium acetobutylicum)、クロストリジウム・ベイジェリンキ(Clostridium beijerinckii)、クロストリジウム・サッカロブチリカム(Clostridium saccharobutylicum)、クロストリジウム・サッカロペルブチルアセトニカム(Clostridium saccharoperbutylacetonicum)を含む群から選択されるABE発酵微生物である、請求項13に記載の組換え微生物。 大腸菌(E. coli)、クレブシエラ・ニューモニア(Klebsiella pneumonia)、クレブシエラ・オキシトカ(Klebsiella oxytoca)、バチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)、枯草菌(Bacillus subtilis)、ラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis)およびサッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)を含む群から選択される組換え微生物。 請求項11から16のいずれか1項に記載の微生物を用いた基質の微生物発酵によって、イソプロパノール、2,3−ブタンジオール、エタノール、2−ブタノール、アセトイン、MEK、アセトアルデヒドおよびアセトンの1つまたはそれ以上、ならびに場合により1つまたはそれ以上の他の生成物を生産するための方法。 少なくとも、 (a)本発明の1つまたはそれ以上の微生物の培養物を含有するバイオリアクタに基質を供給する工程;および (b)1つまたはそれ以上の生成物を生産するために、バイオリアクタ中で培養物を発酵させる工程を含む、請求項17に記載の方法。 基質が、CO、CO2およびH2の1つもしくはそれ以上を含む基質、ならびに/または1つもしくはそれ以上の炭水化物を含む基質から選ばれる、請求項17または18に記載の方法。 基質がCOを含む基質を含み、方法が (a)ガスが大気中に放出される前に、産業プロセスの結果として生産されるCO含有ガスを捕捉する工程; (b)培養物によって1つまたはそれ以上の生成物を生産するために、CO含有ガスの嫌気的発酵を行う工程であって、培養物が、1つまたはそれ以上のカルボキシド栄養性アセトゲン微生物を含む工程を含む、請求項19に記載の方法。 本発明は、変異型アルコール脱水素酵素、該酵素を含む微生物、および微生物発酵によって1つまたはそれ以上の生成物を生産するための方法に関する。 配列表


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