生命科学関連特許情報

タイトル:公表特許公報(A)_新たに分離したバチルス・リケニフォルミス及びこれを利用したプロバイオティクス
出願番号:2015504500
年次:2015
IPC分類:C12N 1/20,A23L 1/30,A23K 1/18,A23K 1/16


特許情報キャッシュ

ペク,セウン ヒー ヤン,スィ ヨン ウー,ソ ヒュン ソ,ヒョ シル JP 2015517807 公表特許公報(A) 20150625 2015504500 20130404 新たに分離したバチルス・リケニフォルミス及びこれを利用したプロバイオティクス シージェー チェイルジェダン コーポレーション 508075890 稲岡 耕作 100087701 川崎 実夫 100101328 京村 順二 100149766 ペク,セウン ヒー ヤン,スィ ヨン ウー,ソ ヒュン ソ,ヒョ シル KR 10-2012-0035434 20120405 C12N 1/20 20060101AFI20150529BHJP A23L 1/30 20060101ALI20150529BHJP A23K 1/18 20060101ALI20150529BHJP A23K 1/16 20060101ALI20150529BHJP JPC12N1/20 AC12N1/20 EA23L1/30 ZA23K1/18 102A23K1/16 304B AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC,VN KR2013002829 20130404 WO2013151364 20131010 25 20141003 2B005 2B150 4B018 4B065 2B005GA01 2B005GA06 2B005MB02 2B150AA07 2B150AC02 2B150DD12 2B150DD22 4B018LB10 4B018MD80 4B018MD90 4B018ME02 4B065AA15X 4B065AC08 4B065AC14 4B065AC20 4B065BA21 4B065CA31 4B065CA33 4B065CA43 4B065CA56 本発明は、新たなプロバイオティクス及びその用途に関するものである。 養殖業は多くの国で主要な経済的手段であり、養殖魚類の疾病発生は経済的発展に大きく影響を及ぶ(非特許文献1)。 一般的に、養殖魚類に発病する疾病と水質改善のために抗生剤、抗菌剤、化工薬品を使用するが、これらの過度な使用により耐性菌の増加と体内残留をはじめ、周辺の水質汚染のどの問題が発生し、その使用を制限している現状である。また、水産食品の抗生剤使用有無に関する消費者の関心が高まることに従い、抗生剤の使用を根源的に遮断するため、有機酸、生菌剤、非特異免疫増強剤、天然物質などの代替物質が開発が盛んに行われている(魚類疾病の診断と治療対策、海洋水産部、2001)。 養殖においてのプロバイオティクスは、飼料に添加したり、水に付随的に投与している。最近、海老などの養魚において、プロバイオティクスを与えることで病原性への免疫力増強と水質改善による疾病改善効果に関する研究が盛んに行われている(非特許文献2)。 プロバイオティクスは、抗生物質を意味する抗生剤(antibiotics)と反対の語源的意味を有するものであり、腸内微生物の均衡に役立つ微生物製剤、又は微生物成分と定義され、ラクトバチルス菌とビフィズス菌などの乳酸菌と称される菌種が代表的である。 プロバイオティクス として使用されているバチルスはグラム陽性の桿菌であり、内生胞子を形成し、プロバイオティクスとして用いられる菌の中で独特な形態を有する。バチルスは、内生胞子を形成しないラクトバチルスより耐熱性が優秀である。また、胃壁の低いpHにも生存するため、投与したほとんどの菌が小腸まで達することができる(非特許文献3)。 水質改善の目的で用いられている物質と微生物に関する先行技術を調べると、特許文献1には亜硝酸塩−酸化バクテリアを利用し水生環境で亜硝酸塩の蓄積を予防・緩和する方法が開示されている。前記亜硝酸塩−酸化バクテリアはニトロコッカス(Nitrococcus)とニトロスピラ(Nitrospira)である。また、特許文献2には、従属栄養アンモニア酸化バクテリアを利用して廃水から炭素と窒素汚染物質を除去する方法を開示し、前記文献で開示された栄養アンモニア酸化バクテリアは、バチルス・シュードファーマスNH−2(Bacillus pseudofimus NH-2)、アルスロバクター・グロビフォルミスWR−2(Arthrobacter globiformis ER-2)を意味する。上記の文献で開示されたニトロコッカスとニトロスピラはGRAS菌株ではないためプロバイオティクスとして使用できず、古細菌に属するため生産が非常に難しいので、産業上の利用が不可能である。また、GRAS菌株と知られているバチルス・シュードファーマスWR−2はプロバイオティクスとして登録されてない菌株である。 本発明者らは、韓国の伝統的発酵食品であるテンジャンから、消化酵素活性を有してアンモニアと亜硝酸を酸化させる菌株を分離し、当該菌株の形態学的、生化学的、遺伝的特性を確認し、本発明を完成した。韓国特許出願公開第2007−0036016号明細書韓国特許出願公開第2010−0040960号明細書Jose Luis Balcazar et al., Veter. Microbio. 114 (206): 173-186Jiqiu Li et al. Aquaculture 291 (2009) 35-40Barbosa, T. M. et al., Appl. Environ. Microbiol. 71 (2005) 968-978; Spinosa, M. R. et al. Res. Microbiol. 151 (2000) 361-368 本発明の目的は、消化酵素の生産、アンモニアと亜硝酸の酸化能力を有する、新たなバチルス・リケニフォルミスCJMPB283を提供することである。 本発明の他の目的は、前記バチルス・リケニフォルミスCJMPB283の培養液、その濃縮液及びその乾燥物からなる群より選択される培養物を提供することである。 本発明の他の目的は、前記バチルス・リケニフォルミスCJMPB283、又は培養物を含むプロバイオティクス製剤を提供することである。本発明の他の目的は、前記プロバイオティクス製剤を含む飼料添加剤を提供することである。 本発明の他の目的は、バチルス・リケニフォルミスCJMPB283、その培養液、その濃縮液、又はその乾燥物を含む水産養殖用の水質改善剤を提供することである。 本発明のさらに他の目的は、養殖場の養殖前又は養殖段階において、前記水質改善剤を撒布し前記養殖場の水質改善方法を提供することである。 本発明のある実施様態において、消化酵素を生産し、アンモニアと亜硝酸の酸化能力を有する新たなバチルス・リケニフォルミスCJMPB283が提供される。 具体的に、本発明のバチルス・リケニフォルミスCJMPB283は、韓国の伝統食品であるテンジャンから分離して得られたものである。本発明の菌株の形態学的特徴は、グラム陽性桿菌であり(図6)、配列番号1の16s rDNA塩基配列を有する。前記塩基配列の分析結果、バチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)と97%の相同性を有していた。よって、本発明者らは、新たに分離したバチルス・リケニフォルミスCJMPB283を2012年3月22日に、韓国微生物保存センター(Korean Culture Center of Microorganisms、ソウル市西大門区弘濟1洞361−221)に寄託番号KCCM11270Pとして寄託した。 具体的に、塩漬(メジュを食塩液に漬けること)して40日目の韓国の伝統食品であるメジュから菌株を採取し、BHI(Brain heart infusion)固体培地から分離した。分離菌株は、アミラーゼ、セルラーゼ、プロテアーゼなどの有用な消化酵素活性が優秀であり、アンモニアと亜硝酸を酸化させる特徴を有した。また、通性嫌気と嫌気的条件での生長が可能であり、10%塩化ナトリウムに対する耐塩性があるため、様々な水質環境で生長が可能である。また、ヒラメの稚魚を対照として水質浄化能力を評価した結果、ヒラメの飼育水槽内のアンモニア制御効率が優秀であり、低い斃死率を示した。 また他の実施様態において、本発明の新たに分離した菌株の培養液、その濃縮液、及びその乾燥物からなる群より選択される培養物が提供される。 本発明の新たに分離した菌株は、通常的なバチルス菌株の培養方法により培養することができる。培地は、天然培地、又は合成培地を用いることができる。培地の炭素原は、例えば、グルコース、スクロース、デキストリン、グリセロール、デンプンなどがあり、窒素原としてペプトン、肉類抽出物、酵母抽出物、乾燥された酵母、大豆、アンモニウム塩、硝酸塩、及びその他の有機・無機窒素含有化合物などがあるが、これらの成分に限らない。培地に含まれる無機塩は、マグネシウム、マンガン、カルシウム、鉄、カルシウムなどがあるが、これらの成分に限らない。前記炭素原、窒素原、及び無機塩の成分以外に、アミノ酸、ビタミン、核酸、及びそれに関わる化合物が培地に添加され得る。本発明の新たに分離した菌株は、20〜40℃の温度条件範囲で12時間〜4日間培養することができる。 具体的に、新たに分離した菌株の培養液は菌体を含む培養原液であることもできるし、前記培養原液から培養上澄液を除去した液、及び/又は、それの濃縮液であり得る。前記培養液の組成には通常のバチルス培養に必要な成分だけでなく、バチルスの生長に上昇的に作用する成分をされに含むこともでき、それによる組成は当該技術分野において通常の知識を有する者により容易に選択できる。 また、菌株の状態は、液状状態、又は乾燥状態であり得る。乾燥方法は、通風乾燥、自然乾燥、噴霧乾燥、凍結乾燥ができるが、これらに限らない。 また他の実施様態において、本発明の新たに分離した菌株、又は培養物を有効成分として含むプロバイオティクス製剤が提供される。 プロバイオティクスは、腸内の消化管の壁に定着し、有害菌の定着と病原菌の増殖を抑制する。また、プロバイオティクスが生産する有益な消化酵素は栄養素の吸収と利用を容易にすることで飼料要求率を改善する。 本発明のプロバイオティクス製剤は、5×104ないし5×1010CFU/mlのバチルス・リケニフォルミスCJMPB283を含み、好ましくは1×106ないし1×109CFU/mlのバチルス・リケニフォルミスCJMPB283を含む。 本発明の前記プロバイオティクス製剤は薬学的に許容される担体をさらに含むことができ、前記担体と共に製剤化されて、食品及び飼料添加剤として提供できる。 本発明において用語“薬学的に許容される担体”は、生物体を刺激せず投与化合物の生物学的活性・特性を阻害しない担体、又は希釈剤をいう。 液状溶液として製剤化されるプロバイオティクス製剤に許容できる薬学的担体として、滅菌と生体に適合するものは、食塩水、滅菌水、緩衝食塩水、アルブミン注射溶液、デキストロース溶液、マルトデキストリン溶液、グリセロール、及びこれらの成分の一つ以上を混合して用いることができ、必要に応じて抗酸化剤、緩衝液、静菌剤などの他の通常の添加剤を添加することができる。また、希釈剤、分散剤、界面活性剤、結合剤、及び潤滑剤を付加的に添加し、水溶液、懸濁液、乳濁液などの注射用剤形、丸薬、カプセル、顆粒、又は錠剤に製剤化することができる。また、プロバイオティクス製剤の品質低下を防止するため添加する決着剤、乳化剤、保存剤、効用増大のため飼料に添加するアミノ酸剤、ビタミン剤、酵素剤、香味剤、非タンパク質態窒素化合物、ケイ酸塩剤、緩衝剤、抽出剤、オリゴ糖などがある。その他、飼料混合剤などをさらに含むこともできるが、これらに限定されない。 本発明のプロバイオティクス製剤を有効成分として含む経口投与用剤形は、例えば、錠剤、トローチ、ローゼンジ、水溶性又は油性懸濁液、調剤粉末、又は顆粒、エマルション、ハード又はソフトカプセル、シロップ、又はエリキシル剤に製剤化することができる。錠剤、及びカプセルなどの剤形として製剤化するために、ラクトース、サッカロース、ソルビトール、マンニトール、澱粉、アミロペクチン、セルロース、又はゼラチンなどの結合剤、ジカルシウムホスフェートなどの賦形剤、トウモロコシ澱粉、又はサツマイモ澱粉などの崩壊剤、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ナトリウムステアリルフマラート、又はポリエチレングリコールワックスなどの潤滑剤を含むことができ、カプセル剤形の場合上述した物質以外にも脂肪油などの液体担体をさらに含むことができる。 さらに他の実施様態において、本発明は前記プロバイオティクス製剤を有効成分として含む水産養殖用の飼料添加剤に関するものである。 通常的に、バチルス種は、内生胞子を形成し熱に非常に安定的特徴を有する。したがって、新たに分離した前記バチルス・リケニフォルミスCJMPB283は、飼料添加剤形態に別に製造して飼料に混合するか、飼料製造のときに直接添加して製造することができる。本発明の飼料内のバチルス・リケニフォルミスCJMPB283は、液状、又は乾燥状態であることができ、好ましくは乾燥された粉末形態である。乾燥方法は、通風乾燥、自然乾燥、噴霧乾燥、凍結乾燥ができるが、これらに限定されない。本発明のバチルス・リケニフォルミスCJMPB283は粉末形態で、飼料重量の0.05ないし10重量%、好ましくは0.1ないし1重量%の成分比で混合できる。また、前記水産養殖用の飼料添加剤は、本発明のバチルス・リケニフォルミスCJMPB283の他に飼料の保存性を高められる通常の添加剤をさらに含むことができる。 本発明の飼料には、植物性として、穀物類、根果類、食品加工副産物類、藻類、繊維質類、油脂類、澱粉類、フクベ類、穀物副産物類など、動物性としてタンパク質類、無機物類、油脂類、鉱物性類、油脂類、単細胞タンパク質、動物性プランクトン類、魚粉などがあり、これらに限定されない。 本発明における水産養殖用の飼料添加剤は、浸漬、噴霧、又は混合して、前記水産養殖用飼料に添加して利用することができる。本発明の飼料添加剤が添加された飼料が使用できる魚種は、魚類、甲殻類などがあり、より具体的に、ヒラメ、鯛、海老、ティラピア、サケ、ウナギ、マスなどの養殖魚類が含まれるが、これらに限定されない。 本発明の飼料添加剤を含む水産養殖用飼料の配合方法は、前記飼料添加剤を動物飼料に乾燥重量を基準として0.05ないし0.5重量%混合する。 また他の実施様態において、前記バチルス・リケニフォルミスCJMPB283を有効成分として含む水産養殖用の水質改善剤;及び養殖場で養殖前、又は養殖段階で前記水質改善剤を撒布し、前記養殖場の水質を改善する方法に関するものである。 本発明の新たに分離したバチルス・リケニフォルミスCJMPB283は、水産養殖環境内に存在するアンモニアと亜硝酸の含量を減少させるこちに利用できる。 本発明の水質改善剤が利用できる養殖場の魚種は、魚類、甲殻類などがあり、より具体的に、ヒラメ、鯛、海老、ティラピア、サケ、ウナギ、マスなどの養殖魚類が含まれるが、これらに限定されない。 本発明の水質改善剤は新たに分離したバチルス・リケニフォルミスCJMPB283を水質改善剤の形態として別に製造したり、前記菌株、及び/又は、プロバイオティクス製剤を直接撒布したりすることもできる。本発明の水質改善剤内のバチルス・リケニフォルミスCJMPB283は、液状、又は乾燥状態であることができ、好ましくは乾燥された粉末形態である。乾燥方法は、通風乾燥、自然乾燥、噴霧乾燥、凍結乾燥ができるが、これらに限定されない。本発明のバチルス・リケニフォルミスCJMPB283は粉末形態で、飼料重量の0.05ないし10重量%、好ましくは0.1ないし1重量%の成分比で混合できる。 水質改善剤において許容される担体は、滅菌と生体に適合するものは、食塩水、滅菌水、緩衝食塩水、アルブミン注射溶液、デキストロース溶液、マルトデキストリン溶液、グリセロール、及びこれらの成分から一つの成分以上を混合して使用でき、必要に応じて、抗酸化剤、緩衝液、静菌剤など通常の添加剤を添加することができる。また、希釈剤、分散剤、界面活性剤、結合剤、潤滑剤を付加的に添加し、水溶液、懸濁液、乳濁液などの注射用剤形、丸薬、カプセル、顆粒、又は錠剤に製剤化することができる。 本発明において、新たに分離したバチルス・リケニフォルミスCJMPB283は、アミラーゼ、セルラーゼ、プロテアーゼなどの消化酵素の活性が優秀で、アンモニア、及び亜硝酸に対する酸化能が優秀であり、養魚と海老の養殖段階で水質を改善できる効用を有する。 したがって、新たに分離したバチルス・リケニフォルミスCJMPB283は、プロバイオティクスとして利用可能であるだけでなく、水質改善剤として利用できる。アンモニア含有培地において、本発明の1次選抜された菌株のアンモニア消耗量を定量評価した図である。本発明の1次選抜菌株の亜硝酸含有培地での亜硝酸消耗量を定量評価した図である。本発明の2次選抜菌株の通性嫌気と嫌気的条件での生長性を評価した図である。本発明の2次選抜菌株の耐塩性を評価した図である。本発明の2次選抜菌株のヒラメ稚魚水槽において、水質改善評価によるアンモニア低減効果を評価した図である。本発明の最終選抜菌株であるバチルス・リケニフォルミスCJMPB283菌株を電子顕微鏡で撮影した写真である。 下記において、実施例により本発明をより詳細に説明する。しかし、これらの実施例は本発明を例示的に説明するもので、本発明の範囲がこれらの実施例に限られることではない。 実施例1:アンモニアと亜硝酸の酸化菌株を分離 (1)試料の用意と菌株の分離 韓国の伝統食品であるテンジャン、メジュ、醤油などから名品醤類由来菌株を用意した。用意した試料を3%塩化ナトリウムが添加されたBHI個体培地(Difco、USA)に塗抹した後、37℃の条件で24時間培養した。各試料から分離された菌株は、コロニー観察によりグループ化して菌株を分離した。選別されたコロニーは3回にわたって新しい培地に移して培養する方法により分離し、純粋培養した菌を20%グリセロールが添加された培地に入れ、−70℃以下で保存した。 (2)アンモニアと亜硝酸の酸化の評価 水質汚染の主要原因であるアンモニアと亜硝酸を酸化させる微生物を1次選抜するため、アンモニアと亜硝酸に対する酸化評価を行った。 アンモニア酸化の評価をするため、アンモニアが添加されたイオン培地((NH4)2SO44.95g/L、 K2HPO4 8.82g/L、MgSO4(1M溶液)1.1ml/L、CaCl2(1M溶液) 0.3ml/L、FeSO4(30mM溶液) 0.5ml/L、CuSO4(50mM溶液) 0.04ml/L、NaH2PO40.7g/L、5%(W/V) Na2CO3 anhydrous 12ml/L)と、亜硝酸が添加されたイオン培地(CaCl20.01g/L、MgSO4・7H2O 0.1g/L、EDTA 1.4mg/L、FeSO4・7H2O 5mg/L、H2SO4 0.5 μl/L、Na2MoO4・2H2O 0.05mg/L、MnCl2・4H2O 0.1mg/L、CoCl2・6H2O 0.001mg/L、ZnSO4・7H2O 0.05mg/L、CuSO4・5H2O 0.01mg/L、NaNO20.21g/L、K2HPO4 0.3mg/L)を製造した。前記製造された二つの培地5mlに選抜菌株を0.01%接種した後、30℃で14日間培養した。培養液を遠心分離して培養上澄液を1mlずつ各々採取した後、亜硝酸が存在するとき色反応を表す指示薬(sulanilic acid、N、N-Dimethyl-1-naphylamine)を100μlずつ添加した。指示薬が添加された培養上澄液を、25℃で10分間反応した後に色変化有無を観察した。亜硝酸の存在や生成があった場合は培養液の色が濃い紫色に変わり、亜硝酸が存在しないか消耗された場合は培養液の色変化が観察されなかった。 約1000種くらいの分離菌株を評価した結果、表1に示したとおり、アンモニアと亜硝酸の両方を酸化させる菌株7種、アンモニア分解の優秀な菌株2種、亜硝酸分解菌株1種を1次選抜した。 実施例2:アンモニアと亜硝酸酸化のin vitro評価 (1)1次選抜菌株のアンモニア定量評価 1次選抜菌株のアンモニア酸化による低減効果を評価するため、前記選抜菌株10種に対し、アンモニアの添加培地でのアンモニア消耗量を定量した。 1次選抜された10種の菌株をBHI液体培地に0.1%ずつ接種した後、37℃、200rpmで15時間培養し、菌株を活性化させた。アンモニア含有培地((NH4)2SO40.5g/L、NaH2PO4 13.5g/L、K2HPO4 0.7g/L、MgSO4・7H2O 0.1g/L、CaCl2・2H2O 0.18g/L、NaHCO3 0.5g/L、FeCl3・6H2O 0.014g/L、glucose 0.5g/L)に、活性化された菌を1%接種し、37℃、200rpmで培養した。培養過程中、6時間、12時間、24時間、36時間の培養液を採取して遠心分離した後、培養上澄液だけを回収した。回収された培養上澄液においてのアンモニア残余量を定量した。 その結果、図1のとおり、アンモニア含有培地で選抜菌株10種すべて培養上澄液内のアンモニア含量が減少したことを確認でき、特に283番、296番、303番、396番の菌株は培養初期である6時間目からアンモニアの含量が急激に減っていくことを確認した。アンモニアの酸化により亜硝酸が生成されたかを確認するため、亜硝酸が存在するとき色反応を表す指示薬を添加して色反応を観察した結果、アンモニアを含む初期培地からは色変化観察されなく、培養が終了したとき採取した各サンプルでは、培養上澄液の色が全て濃い紫色に変わった。これによって、1次選抜菌株は全てアンモニアを亜硝酸に酸化させることをわかった。 (2)1次選抜菌株における亜硝酸の定量評価 1次選抜菌株の亜硝酸酸化による低減効果を評価するため、前記選抜菌株10種に対して、亜硝酸が添加が培地から定量して亜硝酸の消耗量を定量した。 1次選抜された10種の菌株をBHI液体培地に0.1%ずつ接種した後、37℃、200rpmで15時間培養して菌株を活性化させた。亜硝酸含有培地(NaNO20.5g/L、 NaH2PO4 13.5g/L、 K2HPO4 0.7g/L、 MgSO4・7H2O 0.1g/L、 CaCl2・2H2O 0.18g/L、 NaHCO3 0.5g/L、 FeCl3・6H2O 0.014g/L、 glucose 0.5g/L)に活性化された菌を1%接種し、37℃、200rpmで培養した。培養過程中、6時間、9時間、12時間、24時間、30時間の培養液を採取して遠心分離した後、培養上澄液だけを回収した。回収された培養上澄液の亜硝酸の残余量を定量した。 その結果、図2に示したとおり、亜硝酸含有培地で選抜菌株10種は全て培養上澄液内の亜硝酸含量が減少されたことを確認でき、特に102番、109番、251番、253番、268番の菌株は培養初期の6時間目から亜硝酸の含量が急激に減っていくことを確認した。亜硝酸の酸化有無をするため、亜硝酸が存在するとき色反応を表す指示薬を添加して色反応を観察した結果、亜硝酸を含有する初期培地では濃い紫色が観察され、培養が終了して採取した各サンプルでは培養上澄液の変色がなかった。即ち、次選抜菌株が亜硝酸を酸化させることにより、亜硝酸が酸化されて存在しないことを分かった。 (3)生長性の評価 水質環境は、好気、通性嫌気、嫌気的条件が共存し、特に嫌気的条件でアンモニアが硝酸に酸化するアナモックス(Anammox、嫌気的条件でアンモニアが硝酸に酸化する過程)が行われるため選抜菌株が多様な条件で生長することは重要な因子の一つである。そして、1次選抜菌株10種に対し、通性嫌気と嫌気条件においての生長性を評価した。 1次選抜菌株10種をBHI液体培地に0.1%ずつ接種した後、37℃の通性嫌気、嫌気的条件で24時間培養を行った。選抜菌株の大部分は通性嫌気、嫌気的条件で全て生長することを確認し、特に253番と368番の菌株が嫌気的条件における生長性が優秀であり、283番の菌株は通性嫌気的条件における生長性が最も優秀であった(図3)。そして、通性嫌気と嫌気的条件においての生長性が優秀であった253番、268番、283番の菌株を2次選抜した。 (4)耐塩性の評価 淡水条件と海水条件における菌株の活性を評価するため、塩化ナトリウムが添加された培地で2次選抜された菌株の生長性評価を行った。 塩化ナトリウムが0%、3%、5%、10%添加されたBHI液体培地に、選抜された候補菌株3種を0.1%ずつ接種し、37℃、200rpmで培養した。培養過程中、8時間、10時間、22時間目の各サンプルを採取し、吸光度を測定した。 その結果、図4に示したとおり、菌株3種全て3%塩化ナトリウム添加培地で菌が増殖することを確認し、283番の菌株は5%の塩化ナトリウム添加培地で他の菌株より生長性が優秀であった。したがって、2次選抜された3種の菌株、即ち、253、268、283は、淡水条件だけでなく、海水条件でもその適用が可能であることを確認した。 実施例3:in vivo評価と最終菌株選抜 2次選抜された菌株3種に対する水質浄化能力をヒラメ稚魚をに評価した。ヒラメ稚魚に市販飼料を満腹で供給した後、実験水槽(64L)でランダムに配置した。実験魚を鉢した後、全ての実験飼育水槽の飼育水を綺麗に換水し、0時間、24時間、48時間、72時間、92時間、120時間目に各々50mlずつ飼育水をサンプリングした。2次選抜菌株の投与の24時間の間隔で約3mlに1x105CFU菌数になるよう希釈した後、水槽に5日間投与した。対照区の場合は同量の海水を投与した。サンプルを採取してアンモニアの濃度を分析し、分析して残った海水サンプルは−20℃で保管した後、亜硝酸塩と硝酸塩の分析に用いた。水質分析は、アンモニア、亜硝酸塩、硝酸塩の3つの項目を分析した。これらの分析は水質分析器(RQflex 10、Merck、ドイツ)を利用し、キットの試薬と各々反応した後分析した。 実験結果、72時間目からアンモニアの除去効果が表れ(図5)、120時間目はもっと大きな差を見せた。140時間後には全体水槽でアンモニア毒性による斃死が起こり始めた。2次選抜された菌株3種中、253番と283番の菌株が対照区に比べて有意的に高いアンモニア除去効果を示し、斃死率も対照区より低い斃死率を示し、飼育水(ヒラメ(魚)を飼育する際用いる水)内のアンモニアと亜硝酸の酸化菌株の添加はヒラメの生存率を高めることがわかった。したがって、ヒラメ飼育において、アンモニア除去効果が優秀で、通性嫌気と嫌気条件における生長性が優秀であった283番菌株を最終選抜した。 実施例4:選抜菌株の同定と生理・生化学的特性の調査 (1)形態学的、生化学的特性の調査 最終選抜された菌株の種定のため、1次的に形態学的、生化学的調査を行った。形態的特徴において、グラム染色結果グラム陽性であり、電子顕微鏡撮影の結果桿菌であることを確認した(図6)。生化学的特性を分析するためAPI50 CHB system(Biomerieux、フランス)で菌株の糖発酵パターンを分析した(表2)。(1)菌株の同定 正確な菌株同定をするため、DNA塩基配列による分子系統分類学的方法を行った。塩基配列分析はPCR premix(バイオニア、韓国)とユニバーサルプライマー27F(5’AGAGTTTGATCMTGGCTCAG3’:配列番号2)、及び1492R(5’GGYTACCTTGTTACGACTT 3’:配列番号3)を用いて、16s rDNAの遺伝子を増幅した。遺伝子増幅の際、総反応液は20μlに合わせて、94℃で1分、56℃で1分、72℃で1分を30回繰り返し、増幅されたDNA塩基配列を分析した。分離菌株の分析された16s rDNAの塩基配列は配列番号1に示す。前記分析結果、バチルス・リケニフォルミスと96%の相同性を有する微生物として同定された。よって、選抜された前記菌株をバチルス・リケニフォルミスCJMPB283に命名し、前述の方法により同定された本発明の新たな微生物は、2012年3月22日、韓国微生物保存センターに、"Bacillus licheniformis CJMPB283"として寄託された(寄託番号KCCM11270P)。 実施例5:バチルス・リケニフォルミスCJMPB283菌株のプロバイオティクス特性を分析 (1)分離菌株の消化酵素活性 1)助酵素液の採取 前記分離した菌株をBHI液体培地で、24時間培養した後、培養液を酵素活性の分析のための助酵素液にして、下記の通り各酵素別に各々の基質が入っている培地を用いて基質分解の程度を判定した。 2)プロテアーゼ(Protease)活性 脱脂粉乳(skim milk、Sigma、USA)を2%添加したYM(Difco、USA)培地を製造した。上記で採取した助酵素液2μlを基質培地に分株し、37℃で15時間反応した後、透明環(clear zone)形成の程度により酵素活性能力を測定した。 3)セルラーゼ(Cellulase)活性 1%CMC(carboxyl methyl cellulose)基質が添加されたYM培地を製造した。上記で採取した助酵素液を2μlずつ基質培地に分株し、37℃で15時間反応した後、0.2%のコンゴーレッド(Congo red)水溶液で30分間染色し、1M NaCl水溶液で脱色した。助酵素液周囲の基質が分解されて生じる透明環(clear zone)の形成程度により酵素の活性能力を測定した。 4)アミラーゼ(Amylase)活性 1%の可溶性デンプン(soluble starch)基質が添加されたYM培地を製造した。上記で採取した助酵素液を3μlずつ基質培地に分株したし、37℃で15時間反応した。I2とKIが各々0.1%、2%添加された水溶液で染色した後、助酵素液周囲の基質が分解されて生じる透明環(clear zone)の形成程度により酵素の活性能力を測定した。 最終選抜された前記菌株バチルス・リケニフォルミスCJMPB283は、表3に示したとおり、プロテアーゼ、アミラーゼ、セルラーゼに対する消化酵素活性を有した。特に、プロテアーゼに対する活性が優秀であった。 (2)内生胞子の形成能 バチルスは、必須栄養源の中で一つ以上の栄養源が枯渇するなどのストレスを受けると生存のため内生胞子を形成する。内生胞子は、紫外線、高温、低温、乾燥、及び高圧などの極限環境に抵抗性を有するため、内生胞子の形成はバチルスの生存率を維持することにおいて非常に重要である。よって、バチルス・リケニフォルミスCJMPB283を長時間培養し、内生胞子の形成能を確認した。 BHI液体培地に菌を0.1%接種し、37℃、200rpmで24時間、48時間培養した。各時間帯別に培養液をBHI固体培地に塗抹して総菌数を測定し、95℃で10分間熱処理した培養液をBHIアガー(Agar)培地に塗抹して、内生胞子の数を測定した。 上記表4に示した通り、バチルス・リケニフォルミスCJMPB283を24時間培養したとき約24.5%が内生胞子を形成し、48時間培養したときには100%が内生胞子を形成した。本発明のバチルス・リケニフォルミスCJMPB283は、48時間以上培養するとき、高い内生胞子形成能を有し、プロバイオティクスとして使用したら、高い生存率の特性を維持することができる。 本発明新たに分離したバチルス・リケニフォルミスCJMPB283は、アミラーゼ、セルラーゼ、プロテアーゼなどの消化酵素生産が優秀で、アンモニアと亜硝酸に対する酸化効果が優秀であり、養魚と海老の養殖段階で、プロバイオティクスと水質改善の効果がある。したがって、新たに分離したバチルス・リケニフォルミスCJMPB283は、プロバイオティクスとして利用できるだけでなく、水質改善剤としても利用できる。 消化酵素を生産し、アンモニアと亜硝酸の酸化能力を有する、バチルス・リケニフォルミスCJMPB283(Bacillus licheniformis CJMPB283;寄託番号KCCM11270P)。 バチルス・リケニフォルミスCJMPB283(寄託番号KCCM11270P)の培養液、その濃縮液、及びその乾燥物からなる群より選択された少なくとも一つの、バチルス・リケニフォルミスCJMPB283の培養物。 請求項1に記載のバチルス・リケニフォルミスCJMPB283(寄託番号KCCM11270P)、又は請求項2に記載の培養物を含む、プロバイオティクス製剤。 請求項3に記載のプロバイオティクス製剤を含む、水産養殖用の飼料添加剤。 バチルス・リケニフォルミスCJMPB283(bacillus licheniformis CJMPB283;寄託番号KCCM11270P)、その培養液、その濃縮液、又はその乾燥物を含む、水産養殖用の水質改善剤。 養殖場において養殖前、又は養殖段階中に、請求項5に記載の水質改善剤を撒布する、前記養殖場の水質改善方法。 本発明は、消化酵素を生産し、アンモニアと亜硝酸の酸化能力を有する新たなバチルス・リケニフォルミスCJMPB283(Bacillus licheniformis CJMPB283;寄託番号KCCM11270P)及びその用途に関するものである。【選択図】図5 配列表20141009A16333全文3 消化酵素を生産し、アンモニアと亜硝酸の酸化能力を有する、バチルス・リケニフォルミスCJMPB283(Bacillus licheniformis CJMPB283)。 バチルス・リケニフォルミスCJMPB283の培養液、その濃縮液、及びその乾燥物からなる群より選択された少なくとも一つの、バチルス・リケニフォルミスCJMPB283の培養物。 請求項1に記載のバチルス・リケニフォルミスCJMPB283、又は請求項2に記載の培養物を含む、プロバイオティクス製剤。 請求項3に記載のプロバイオティクス製剤を含む、水産養殖用の飼料添加剤。 バチルス・リケニフォルミスCJMPB283(bacillus licheniformis CJMPB283)、その培養液、その濃縮液、又はその乾燥物を含む、水産養殖用の水質改善剤。 養殖場において養殖前、又は養殖段階中に、請求項5に記載の水質改善剤を撒布する、前記養殖場の水質改善方法。A1633000023 養殖業は多くの国で主要な経済的手段であり、養殖魚類の疾病発生は経済的発展に大きく影響を及ぼす(非特許文献1)。A1633000033 一般的に、養殖魚類に発病する疾病と水質改善のために抗生剤、抗菌剤、化工薬品を使用するが、これらの過度な使用により耐性菌の増加と体内残留をはじめ、周辺の水質汚染のどの問題が発生し、その使用を制限している現状である。また、水産食品の抗生剤使用有無に関する消費者の関心が高まることに従い、抗生剤の使用を根源的に遮断するため、有機酸、生菌剤、非特異免疫増強剤、天然物質などの代替物質の開発が盛んに行われている(魚類疾病の診断と治療対策、海洋水産部、2001)。A1633000073 水質改善の目的で用いられている物質と微生物に関する先行技術を調べると、特許文献1には亜硝酸塩−酸化バクテリアを利用し水生環境で亜硝酸塩の蓄積を予防・緩和する方法が開示されている。前記亜硝酸塩−酸化バクテリアはニトロコッカス(Nitrococcus)とニトロスピラ(Nitrospira)である。また、特許文献2には、従属栄養アンモニア酸化バクテリアを利用して廃水から炭素と窒素汚染物質を除去する方法を開示し、前記文献で開示された栄養アンモニア酸化バクテリアは、バチルス・シュードファーマスNH−2(Bacillus pseudofimus NH-2)、アルスロバクター・グロビフォルミスWR−2(Arthrobacter globiformis ER-2)を意味する。上記の文献で開示されたニトロコッカスとニトロスピラはGRAS菌株ではないためプロバイオティクスとして使用できず、古細菌に属するため生産が非常に難しいので、産業上の利用が不可能である。また、GRAS菌株と知られているバチルス・シュードファーマスNH−2はプロバイオティクスとして登録されてない菌株である。A1633000083 本発明者らは、韓国の伝統的発酵食品であるテンジャンから、消化酵素活性を有してアンモニアと亜硝酸を酸化させる菌株を分離し、当該菌株の形態学的、生化学的、遺伝的特性を確認し、本発明を完成させた。A1633000203 本発明の新たに分離した菌株は、通常的なバチルス菌株の培養方法により培養することができる。培地は、天然培地、又は合成培地を用いることができる。培地の炭素原は、例えば、グルコース、スクロース、デキストリン、グリセロール、デンプンなどがあり、窒素原としてペプトン、肉類抽出物、酵母抽出物、乾燥された酵母、大豆、アンモニウム塩、硝酸塩、及びその他の有機・無機窒素含有化合物などがあるが、これらの成分に限らない。培地に含まれる無機塩は、マグネシウム、マンガン、カルシウム、鉄、燐などがあるが、これらの成分に限らない。前記炭素原、窒素原、及び無機塩の成分以外に、アミノ酸、ビタミン、核酸、及びそれに関わる化合物が培地に添加され得る。本発明の新たに分離した菌株は、20〜40℃の温度条件範囲で12時間〜4日間培養することができる。A1633000213 具体的に、新たに分離した菌株の培養液は菌体を含む培養原液であることもできるし、前記培養原液から培養上澄液を除去した液、及び/又は、それの濃縮液であり得る。前記培養液の組成には通常のバチルス培養に必要な成分だけでなく、バチルスの生長に上昇的に作用する成分をさらに含むこともでき、それによる組成は当該技術分野において通常の知識を有する者により容易に選択できる。A1633000313 通常的に、バチルス種は、内生胞子を形成し熱に非常に安定的特徴を有する。したがって、新たに分離した前記バチルス・リケニフォルミスCJMPB283は、飼料添加剤形態に別に製造して飼料に混合するか、飼料製造のときに直接添加して製造することができる。本発明の飼料内のバチルス・リケニフォルミスCJMPB283は、液状、又は乾燥状態であることができ、好ましくは乾燥された粉末形態である。乾燥方法は、通風乾燥、自然乾燥、噴霧乾燥、凍結乾燥ができるが、これらに限定されない。本発明のバチルス・リケニフォルミスCJMPB283は粉末形態で、飼料重量の0.05ないし10重量%、好ましくは0.1ないし1重量%の成分比で混合できる。また、前記水産養殖用の飼料添加剤は、本発明の他に飼料の保存性を高められる通常の添加剤をさらに含むことができる。A1633000323 本発明の飼料には、植物性として、穀物類、根果類、食品加工副産物類、藻類、繊維質類、油脂類、澱粉類、フクベ類、穀物副産物類など、動物性としてタンパク質類、無機物類、油脂類、鉱物性類、単細胞タンパク質、動物性プランクトン類、魚粉などがあり、これらに限定されない。A1633000343 本発明の飼料添加剤を含む水産養殖用飼料の配合組成物は、前記飼料添加剤を動物飼料に乾燥重量を基準として0.05ないし0.5重量%混合する。A1633000363 本発明の新たに分離したバチルス・リケニフォルミスCJMPB283は、水産養殖環境内に存在するアンモニアと亜硝酸の含量を減少させることに利用できる。A1633000443 実施例1:アンモニアと亜硝酸の酸化菌株を分離 (1)試料の用意と菌株の分離 韓国の伝統食品であるテンジャン、メジュ、醤油などから名品醤類由来菌株を用意した。用意した試料を3%塩化ナトリウムが添加されたBHI個体培地(Difco、USA)に塗抹した後、37℃の条件で24時間培養した。各試料から分離された菌株は、コロニー観察によりグループ化して菌株を分離した。選別されたコロニーは3回にわたって新しい培地に移して培養する方法により再分離し、純粋培養した菌を20%グリセロールが添加された培地に入れ、−70℃以下で保存した。A1633000513 その結果、図1のとおり、アンモニア含有培地で選抜菌株10種すべて培養上澄液内のアンモニア含量が減少したことを確認でき、特に283番、296番、303番、396番の菌株は培養初期である6時間目からアンモニアの含量が急激に減っていくことを確認した。アンモニアの酸化により亜硝酸が生成されたかを確認するため、亜硝酸が存在するとき色反応を表す指示薬を添加して色反応を観察した結果、アンモニアを含む初期培地からは色変化観察されず、培養が終了したとき採取した各サンプルでは、培養上澄液の色が全て濃い紫色に変わった。これによって、1次選抜菌株は全てアンモニアを亜硝酸に酸化させることがわかった。A1633000523 (2)1次選抜菌株における亜硝酸の定量評価 1次選抜菌株の亜硝酸酸化による低減効果を評価するため、前記選抜菌株10種に対して、亜硝酸が添加された培地から定量して亜硝酸の消耗量を定量した。A1633000543 その結果、図2に示したとおり、亜硝酸含有培地で選抜菌株10種は全て培養上澄液内の亜硝酸含量が減少したことを確認でき、特に102番、109番、251番、253番、268番の菌株は培養初期の6時間目から亜硝酸の含量が急激に減っていくことを確認した。亜硝酸の酸化有無をするため、亜硝酸が存在するとき色反応を表す指示薬を添加して色反応を観察した結果、亜硝酸を含有する初期培地では濃い紫色が観察され、培養が終了して採取した各サンプルでは培養上澄液の変色がなかった。即ち、次選抜菌株が亜硝酸を酸化させることにより、亜硝酸が酸化されて存在しないことが分かった。A1633000553 (3)生長性の評価 水質環境は、好気、通性嫌気、嫌気的条件が共存し、特に嫌気的条件でアンモニアが硝酸に酸化するアナモックス(Anammox、嫌気的条件でアンモニアが硝酸に酸化する過程)が行われるため選抜菌株が多様な条件で生長することは重要なのである。そして、1次選抜菌株10種に対し、通性嫌気と嫌気条件においての生長性を評価した。A1633000563 1次選抜菌株10種をBHI液体培地に0.1%ずつ接種した後、37℃の通性嫌気、嫌気的条件で24時間培養を行った。選抜菌株の大部分は通性嫌気、嫌気的条件で全て生長することを確認し、特に253番と268番の菌株が嫌気的条件における生長性が優秀であり、283番の菌株は通性嫌気的条件における生長性が最も優秀であった(図3)。そして、通性嫌気と嫌気的条件においての生長性が優秀であった253番、268番、283番の菌株を2次選抜した。A1633000603 実施例3:in vivo評価と最終菌株選抜 2次選抜された菌株3種に対する水質浄化能力をヒラメ稚魚で評価した。ヒラメ稚魚に市販飼料を満腹で供給した後、実験水槽(64L)でランダムに配置した。実験魚を鉢した後、全ての実験飼育水槽の飼育水を綺麗に換水し、0時間、24時間、48時間、72時間、92時間、120時間目に各々50mlずつ飼育水をサンプリングした。2次選抜菌株の投与の24時間の間隔で約3mlに1x105CFU菌数になるよう希釈した後、水槽に5日間投与した。対照区の場合は同量の海水を投与した。サンプルを採取してアンモニアの濃度を分析し、分析して残った海水サンプルは−20℃で保管した後、亜硝酸塩と硝酸塩の分析に用いた。水質分析は、アンモニア、亜硝酸塩、硝酸塩の3つの項目を分析した。これらの分析は水質分析器(RQflex 10、Merck、ドイツ)を利用し、キットの試薬と各々反応した後分析した。A1633000623 実施例4:選抜菌株の同定と形態学的・生化学的特性の調査 (1)形態学的、生化学的特性の調査 最終選抜された菌株の種定のため、1次的に形態学的、生化学的調査を行った。形態的特徴において、グラム染色結果グラム陽性であり、電子顕微鏡撮影の結果桿菌であることを確認した(図6)。生化学的特性を分析するためAPI50 CHB system(Biomerieux、フランス)で菌株の糖発酵パターンを分析した(表2)。A1633000643(2)菌株の同定 正確な菌株同定をするため、DNA塩基配列による分子系統分類学的方法を行った。塩基配列分析はPCR premix(バイオニア、韓国)とユニバーサルプライマー27F(5’AGAGTTTGATCMTGGCTCAG3’:配列番号2)、及び1492R(5’GGYTACCTTGTTACGACTT 3’:配列番号3)を用いて、16s rDNAの遺伝子を増幅した。遺伝子増幅の際、総反応液は20μlに合わせて、94℃で1分、56℃で1分、72℃で1分を30回繰り返し、増幅されたDNA塩基配列を分析した。分離菌株の分析された16s rDNAの塩基配列は配列番号1に示す。前記分析結果、バチルス・リケニフォルミスと96%の相同性を有する微生物として同定された。よって、選抜された前記菌株をバチルス・リケニフォルミスCJMPB283に命名し、前述の方法により同定された本発明の新たな微生物は、2012年3月22日、韓国微生物保存センターに、"Bacillus licheniformis CJMPB283"として寄託された(寄託番号KCCM11270P)。A1633000683 4)アミラーゼ(Amylase)活性 1%の可溶性デンプン(soluble starch)基質が添加されたYM培地を製造した。上記で採取した助酵素液を3μlずつ基質培地に分株し、37℃で15時間反応した。I2とKIが各々0.1%、2%添加された水溶液で染色した後、助酵素液周囲の基質が分解されて生じる透明環(clear zone)の形成程度により酵素の活性能力を測定した。


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