タイトル: | 公表特許公報(A)_インフルエンザワクチン |
出願番号: | 2015500844 |
年次: | 2015 |
IPC分類: | A61K 39/145,A61K 39/39,A61P 31/16,A61P 37/04,A61P 43/00 |
イニス,ブルース,ラモント ロイ−ガンタ,スミタ JP 2015510904 公表特許公報(A) 20150413 2015500844 20130313 インフルエンザワクチン グラクソスミスクライン バイオロジカルズ ソシエテ アノニム 305060279 平木 祐輔 100091096 藤田 節 100118773 新井 栄一 100122389 田中 夏夫 100111741 菊田 尚子 100169971 江島 孝毅 100182992 イニス,ブルース,ラモント ロイ−ガンタ,スミタ GB 1205189.2 20120323 A61K 39/145 20060101AFI20150317BHJP A61K 39/39 20060101ALI20150317BHJP A61P 31/16 20060101ALI20150317BHJP A61P 37/04 20060101ALI20150317BHJP A61P 43/00 20060101ALI20150317BHJP JPA61K39/145A61K39/39A61P31/16A61P37/04A61P43/00 105 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC EP2013055104 20130313 WO2013139655 20130926 34 20141118 4C085 4C085AA03 4C085AA04 4C085AA38 4C085BA55 4C085CC08 4C085DD24 4C085DD86 4C085EE01 4C085EE03 4C085EE06 4C085FF12 4C085GG03 本発明は、特に、ワクチン組成物中には含まれないインフルエンザウイルス株に対する交差防御免疫応答を誘導し、持続的な方法で、好ましくは少なくとも数ヶ月間にわたってこれらの応答を維持するための、インフルエンザ疾患に対して免疫するためのインフルエンザワクチン組成物およびワクチン接種スキームに関する。 インフルエンザウイルスは、ヒトおよび家畜の両方が罹患する、世界に存在する最も遍在するウイルスの1つである。インフルエンザは、有意である経済的な負担、罹患およびさらには死亡をもたらす。インフルエンザウイルスには3つの型:A、BおよびCが存在する。 インフルエンザウイルスは、基本的には、脂質二重層構造および外部糖タンパク質を含むウイルスエンベロープにより取り囲まれた、核タンパク質と会合した内部ヌクレオキャプシドまたはリボ核酸(RNA)のコアからなるエンベロープウイルスである。ウイルスエンベロープの内部層は、主にマトリックスタンパク質から構成され、外部層の多くは宿主由来の脂質材料から構成される。インフルエンザウイルスは、2つの表面抗原、糖タンパク質ノイラミニダーゼ(NA)およびヘマグルチニン(HA)を含み、粒子の表面にスパイクとして出現する。それは、インフルエンザサブタイプの抗原特異性を決定するこれらの表面タンパク質、特に、HAである。 ウイルス株は、起源となる宿主の種、単離された地域および年、製造番号に従って、およびインフルエンザAについては、HAおよびNAのサブタイプの血清学的特性により分類される。インフルエンザAウイルスについては、16種のHAサブタイプ(H1〜H16)および9種のNAサブタイプ(N1〜N9)が同定されている(Webster RGら、「Evolution and ecology of influenza A viruses」、Microbiol.Rev. 1992;56:152-179; Fouchier RAら、「Characterization of a Novel Influenza A Virus Hemagglutinin Subtype (H16) Obtained from Black-Headed Gulls」、J.Virol. 2005; 79: 2814-2822)。全てのHAおよびNAサブタイプのウイルスが水鳥から回収されたが、3つのHAサブタイプ(H1、H2およびH3)および2つのNAサブタイプ(N1およびN2)のみが、1918年以来、ヒト集団において安定な系列を確立している。インフルエンザBウイルスについては、HAの1つのサブタイプおよびNAの1つのサブタイプのみが認識されている。 インフルエンザA型ウイルスは、継続的に進化し、抗原性変化を受ける(Wiley D, Skehel J.「The structure and the function of the hemagglutinin membrane glycoprotein of influenza virus」、Ann. Rev. Biochem. 1987; 56: 365-394)。ウイルスRNAポリメラーゼによる有効な校正の欠如は、表面糖タンパク質におけるアミノ酸置換をもたらし得る高い転写エラー率をもたらす。これは「抗原ドリフト」と呼ばれる。断片化したウイルスゲノムは、第2の型の抗原変異を可能にする。2つのインフルエンザウイルスが同時に宿主細胞に感染した場合、「抗原シフト」と呼ばれる遺伝子再集合が新しい表面または内部タンパク質を有する新規ウイルスを生成し得る。抗原シフトの結果生じるインフルエンザウイルス株は、特に、パンデミックを引き起こし得る。 ワクチン接種は、インフルエンザの流行を制御する際に重要な役割を果たす。現在利用可能なインフルエンザワクチンは、不活化または弱毒化生インフルエンザワクチンである。不活化インフルエンザワクチンは、3つの可能な形態の抗原調製物:不活化全ウイルス、精製されたウイルス粒子が洗剤もしくは脂質エンベロープを可溶化するための他の試薬で破壊されたサブビリオン(いわゆる「スプリット(成分)」ワクチン)または精製されたHAおよびNA(サブユニットワクチン)から構成される。これらの不活化ワクチンは通常、筋肉内(i.m.)、皮下(s.c.)、または鼻内(i.n.)投与される。 あらゆる種類の、パンデミック間使用(季節性とも呼ばれる)のためのインフルエンザワクチンは通常、三価ワクチンである。それらは一般に、2つのインフルエンザA型ウイルス株と、1つのインフルエンザB型ウイルス株とから誘導される抗原を含有する。多くの場合、標準的な0.5mlの注射用量は、一元放射免疫拡散法(SRD)により測定された場合、それぞれの株に由来する(少なくとも)15μgのHAを含有する(J.M. Woodら、「An improved single radial immunodiffusion technique for the assay of influenza haemagglutinin antigen: adaptation for potency determination of inactivated whole virus and subunit vaccines」、J.Biol. Stand. 5(1977) 237-247; J.M. Woodら、「International collaborative study of single radial diffusion and immunoelectrophoresis techniques for the assay of haemagglutinin antigen of influenza virus」、J.Biol. Stand. 9(1981) 317-330)。通常、これらのワクチンは、アジュバント化されていない。 パンデミックの宣言の前またはその時にパンデミック株に対して免疫学的にナイーブな集団をプライミングするためのパンデミック前または備蓄ワクチンとして用いることができる交差防御能力を有する新しいワクチンが、最近開発された。そのようなワクチンは、サブビリオン抗原に対する免疫応答を増強するための強力なアジュバントと共に製剤化される。例えば、WO2008/009309またはLeroux-Roelsら(Plos ONE, 2008. 3(2): 1-5)は、水中油乳濁液を含むアジュバントと組合わせた、パンデミックと関連するインフルエンザ抗原を含むワクチンを開示する。特に、クレード1のH5N1インフルエンザウイルス株を含む水中油アジュバント化免疫原性組成物を用いるワクチン接種が、クレード2のH5N1インフルエンザウイルス株に対して交差反応性をもたらすことが観察された。別の研究は、水中油乳濁液でアジュバント化されたパンデミックワクチンの投与、次いで、次の季節の三価ワクチンの投与を報告した(Gilcaら、Vaccine. 2011, 30(1): 35-41)。 別の研究は、MF59でアジュバント化されたH5N3インフルエンザワクチンの2回投与が、プライミングされた集団におけるインフルエンザH5N1に対する免疫を強化していると報告した(Stephensonら、Vaccine 2003, 21, 1687-1693)。さらなる研究は、特定の水中油乳濁液アジュバント化インフルエンザH5N3ワクチンの3回の投与後に得られるH5N1ウイルスに対する交差反応性抗体応答を報告した(Stephensonら、J.Infect. Diseases 2005, 191, 1210-1215)。 しかしながら、より広い交差防御、特に、異なるサブタイプのインフルエンザウイルス、および異なる型のインフルエンザウイルス、場合により複数の異なる株に関する交差防御、ならびに長時間持続するより広い交差防御を提供することができるワクチン組成物およびワクチン接種戦略が依然として必要である。国際公開第2008/009309号パンフレットWebster RGら、Microbiol.Rev. 1992;56:152-179;Fouchier RAら、J.Virol. 2005; 79: 2814-2822Wiley D, Skehel J.、Ann. Rev. Biochem. 1987; 56: 365-394J.M. Woodら、、J.Biol. Stand. 5(1977) 237-247;J.M. Woodら、J.Biol. Stand. 9(1981) 317-330Leroux-Roelsら(Plos ONE, 2008. 3(2): 1-5Gilcaら、Vaccine. 2011, 30(1): 35-41Stephensonら、J.Infect. Diseases 2005, 191, 1210-1215 本発明の第1の態様において、前記第1のインフルエンザウイルス株とは異なる型または異なるサブタイプに由来する少なくとも1つの第2のインフルエンザウイルス株に対する免疫応答を誘導する際に使用するための第1のインフルエンザウイルス株に由来する抗原または抗原調製物と、水中油乳濁液アジュバントとを含む免疫原性組成物が提供される。 本発明の第2の態様において、少なくとも1つのインフルエンザウイルス株に由来する抗原または抗原調製物と、水中油乳濁液アジュバントとを含む第1の免疫原性組成物を以前にワクチン接種された小児被験者における1回投与スキームによる使用のための少なくとも1つのインフルエンザウイルス株に由来する抗原または抗原調製物を含む第2の免疫原性組成物が提供される。 第3の態様において、第2のインフルエンザウイルス株が第1のインフルエンザウイルス株とは異なるサブタイプまたは異なる型に由来する第2のインフルエンザウイルス株により引き起こされる疾患の治療または予防における使用のための、第1のインフルエンザウイルス株に由来する抗原または抗原調製物と、水中油乳濁液アジュバントとを含む免疫原性組成物が提供される。 第4の態様において、水中油乳濁液アジュバントと一緒に少なくとも1つのインフルエンザウイルス株に由来する抗原または抗原調製物を含む第1の免疫原性組成物を最初に投与し、少なくとも1つのインフルエンザウイルス株に由来する抗原または抗原調製物を含む第2の免疫原性組成物を投与する、インフルエンザ疾患に対する予防および/または治療の方法が提供される。前臨床初回-追加ワクチン接種マウスモデルにおけるH1N1プライミングを示す図である。Pandemrix(商標)を用いるプライミング、次いで、Fluarix(商標)のブーストにより、Fluarix(商標)の1回投与と比較して、A/H3N2/ビクトリアおよびB/ブリスベン(およびA/H1N1/カリフォルニア)に対するより高いHI力価が得られた。実施例3を参照されたい。条件あたりN=12匹のマウス。GMT=幾何平均力価。 本発明者らは、水中油乳濁液アジュバントと一緒に、第1のインフルエンザウイルス株に由来するインフルエンザ抗原を含む免疫原性組成物をワクチン接種された被験者の集団が、第2の免疫原性組成物のみをワクチン接種された被験者の集団において得られるものと比較して、同じインフルエンザウイルス株に由来するインフルエンザ抗原を含む第2の免疫原性組成物を用いるワクチン接種に応答する改善された免疫応答を示すことを観察した。さらに、本発明者らは、そのような事前のワクチン接種により、第2の免疫原性組成物のみをワクチン接種された被験者の集団において得られるものと比較して、異なるサブタイプまたは異なる型のものである第2のインフルエンザウイルス株に由来するインフルエンザ抗原を含む第2の免疫原性組成物を用いるワクチン接種に応答する改善された免疫応答が達成されることを発見した。これは、水中油乳濁液アジュバントと共にアジュバント化されたインフルエンザ製剤を有利に用いて、交差反応性免疫応答、すなわち、変異株またはある範囲の関連株に対する検出可能な免疫(体液性および/または細胞性)を誘導することができることを示す。また、それらを有利に用いて、クロスプライミング戦略を誘導する、すなわち、同じインフルエンザウイルス株および/または異なる株を用いるワクチン再接種(1回投与)時の応答を容易にする「プライミングされた」免疫記憶を誘導することもできる。 特に、本発明者らは、驚くべきことに、水中油乳濁液アジュバントと一緒にA型インフルエンザウイルス株を含む免疫原性組成物を用いる事前ワクチン接種が、B型インフルエンザウイルス株を含む免疫原性組成物を用いるワクチン接種に応答する改善された免疫応答をもたらすことを観察したが、これは、クロスプライミング戦略が密接に関連するインフルエンザウイルス株に限定されないことを示している。 従って、本発明の課題は、インフルエンザ疾患に対する予防および/または治療の方法であって、水中油乳濁液アジュバントと一緒に、少なくとも1つのインフルエンザウイルス株に由来する抗原または抗原調製物を含む第1の免疫原性組成物を、好適には1回投与スキームに従って最初に投与した後、あるインフルエンザウイルス株に由来する抗原または抗原調製物を含む第2の免疫原性組成物を、好適には1回投与スキームに従って投与する、前記方法を提供することである。一実施形態においては、第1の免疫原性組成物と第2の免疫原性組成物の少なくともインフルエンザウイルス株は、異なる型または異なるサブタイプのものである。好適には、第1の免疫原性組成物を、パンデミックの宣言時に投与し、第2の免疫原性組成物を、その後に投与する。あるいは、第1の免疫原性組成物の投与は、パンデミック前戦略の一部であり、プライミング戦略として、パンデミックの宣言の前に行われ、かくして、免疫系をプライミングした後、さらなる/追加の免疫原性組成物の投与を行うことができる。典型的には、第2の免疫原性組成物は、第1の免疫原性組成物の少なくとも4ヶ月後、好適には、6または8〜14ヶ月後、好適には、約10〜12ヶ月後、例えば、12ヶ月後、またはさらにより長い期間の後に投与される。好適には、1年後またはさらに1年を超えた後の第2の免疫原性組成物の投与は、抗体および/または細胞免疫応答を強化することができる。パンデミックの最初のアウトブレイクの数ヶ月後に、さらなる感染の波が生じることがあるため、これは特に重要である。必要に応じて、第2の免疫原性組成物の投与を、1回を超えて、例えば、2回行うことができる。一実施形態においては、水中油乳濁液アジュバントと一緒に、少なくとも1つのインフルエンザウイルス株に由来する抗原または抗原調製物を含む第1の免疫原性組成物を最初に投与し、あるインフルエンザウイルス株に由来する抗原または抗原調製物を含む第2の免疫原性組成物を、1年後などの、少なくとも6ヶ月後に投与する、インフルエンザ疾患に対する予防および/または治療の方法が提供される。 驚くべきことに、被験者の集団が、水中油乳濁液アジュバントと一緒に第1のインフルエンザウイルス株に由来するインフルエンザ抗原を含む第1の免疫原性組成物を用いて最初にワクチン接種された場合に達成される改善された免疫応答は、第1の免疫原性組成物の1回だけの投与および第2のインフルエンザウイルス株から誘導されるインフルエンザ抗原を含む第2の免疫原性組成物の1回だけの投与の後に観察された。 本発明者らはさらに、本発明における使用のための免疫原性組成物が、第1の免疫原性組成物中に存在するインフルエンザウイルス株に対してだけでなく、異なる型または異なるサブタイプのインフルエンザウイルス株に対しても、長時間にわたって有意なレベルの免疫応答を誘導するだけでなく、維持することもできることを観察した。従って、本発明による使用のための免疫原性組成物は、第1の免疫原性組成物中に含まれる株と(i)同一である、(ii)異なる型のものである、または(iii)異なるサブタイプのものであるインフルエンザウイルス株により引き起こされるインフルエンザ疾患に対する持続的免疫応答を確保することができる。特に、持続性とは、ワクチン接種の少なくとも3ヶ月後、好適には、少なくとも6ヶ月後、より好適には、少なくとも12ヶ月後にも規制基準を満たすことができる抗体応答を意味する。特に、本発明による使用のための特許請求された組成物は、少なくとも3ヶ月後に、ワクチン中に存在するインフルエンザウイルス株について、防御率(表1を参照)により測定した場合、50%を超える、好適には、60%を超える個人、70%を超える個人、好適には、80%を超える個人または好適には、90%を超える個人において防御レベルの抗体を誘導することができる。特定の態様においては、ワクチン組成物のインフルエンザウイルス株に対して、ワクチン接種の少なくとも6ヶ月後に、90%を超える防御レベルの抗体が得られる。 従って、特に、免疫原性組成物中には含まれないインフルエンザウイルス株に対する交差防御免疫応答を誘導し、持続的な方法で、好適には、少なくとも数ヶ月間にわたってこれらの応答を維持するための、インフルエンザ疾患に対して免疫するためのワクチンなどのインフルエンザ免疫原性組成物、およびワクチン接種スキームを提供することも本発明の課題である。インフルエンザウイルス株および抗原 一実施形態においては、本発明による使用のためのインフルエンザウイルスまたはその抗原調製物は、スプリットインフルエンザウイルス(インフルエンザウイルス成分)またはそのスプリットウイルス(ウイルス成分)抗原調製物であってもよい。代替的な実施形態においては、インフルエンザ調製物は、不活化全ウイルスまたは組換えおよび/もしくは精製HAおよびNA(サブユニットワクチン)、またはインフルエンザビロソームなどの、別の型の不活化インフルエンザ抗原を含有してもよい。さらなる実施形態においては、インフルエンザウイルスは、弱毒化生インフルエンザ調製物であってもよい。 本発明による使用のためのスプリットインフルエンザウイルスまたはそのスプリットウイルス抗原調製物は、好適には、ウイルス粒子が洗剤または脂質エンベロープを可溶化する他の試薬で破壊された不活化ウイルス調製物である。スプリットウイルスまたはそのスプリットウイルス抗原調製物は、好適には、溶解濃度の有機溶媒または洗剤を用いる、感染性であるか、または不活化された全インフルエンザウイルスの断片化、次いで、可溶化剤の全部または多くおよびウイルス脂質材料のいくらか、または多くの除去により調製される。スプリットウイルス抗原調製物とは、スプリットウイルス成分の多くの抗原特性を保持しながら、スプリットウイルスと比較してある程度の精製を受けたスプリットウイルス調製物を意味する。例えば、卵中で産生させる場合、スプリットウイルスを卵含有タンパク質から枯渇させるか、または細胞培養物中で産生させる場合、スプリットウイルスを宿主細胞夾雑物から枯渇させることができる。スプリットウイルス抗原調製物は、1つを超えるウイルス株のスプリットウイルス抗原成分を含んでもよい。スプリットウイルスを含むワクチン(「インフルエンザスプリットワクチン」と呼ばれる)またはスプリットウイルス抗原調製物は一般に、残留マトリックスタンパク質および核タンパク質および時には、脂質、ならびに膜エンベロープタンパク質を含有する。そのようなスプリットウイルスワクチンは、通常、それらが全ウイルス中に生じるものと同じ比率である必要はないが、多くまたは全部のウイルス構造タンパク質を含有するであろう。 あるいは、インフルエンザウイルスは、全ウイルスワクチンの形態にあってもよい。それはスプリットウイルスワクチンをインフルエンザウイルスの新しい株について上手く製造することができるかどうかの不確実性を回避するため、これはパンデミックの状況についてスプリットウイルスワクチンよりも有利であることを示してもよい。いくつかの株については、スプリットウイルスを製造するために用いられる従来の洗剤は、ウイルスを損傷し、それを不安定にすることがある。全ウイルス手法に関するより高い程度の確実性に加えて、好適なスプリットワクチンを調製するのに必要な追加の精製ステップの間に、かなりの量の抗原が失われるため、スプリットウイルスについてよりも高いワクチン製造能力もある。 別の実施形態においては、インフルエンザウイルス調製物は、精製サブユニットインフルエンザワクチンの形態にある。サブユニットインフルエンザワクチンは一般に、2つの主要なエンベロープタンパク質、HAおよびNAを含み、特に、若いワクチン被接種者においては一般に反応性が低いため、全ビリオンワクチンよりもさらなる利点を有し得る。サブユニットワクチンを、組換え的に産生するか、または破壊されたウイルス粒子から精製することができる。 別の実施形態においては、インフルエンザウイルス調製物は、ビロソームの形態にある。ビロソームは、機能的ウイルスエンベロープ糖タンパク質HAおよびNAを、ビロソームのリン脂質二重膜中に挿入される真正のコンフォメーションに保持する、球状の単層ベシクルである。 前記インフルエンザウイルスまたはその抗原調製物は、卵由来または細胞培養物由来であってもよい。それらはまた、昆虫細胞、植物、酵母もしくは細菌などの他の系中で生産する、および/または組換え生産することもできる。 例えば、本発明によるインフルエンザウイルス抗原またはその抗原調製物を、卵中でインフルエンザウイルスを増殖させ、収穫された尿膜腔液を精製することによる、従来の孵化鶏卵法から誘導することができる。卵であれば急いで多数蓄積することができる。あるいは、それらを、ウイルスを増殖させるか、または組換えインフルエンザウイルス表面抗原を発現させるために組織培養を用いる新しい生成方法のいずれかから誘導することができる。ウイルスを増殖させるための好適な細胞基質としては、例えば、MDCKなどのイヌ腎臓細胞もしくはMDCKのクローンに由来する細胞、MDCK様細胞、Vero細胞を含むAGMK細胞などのサル腎臓細胞、好適なブタ細胞系、またはワクチン目的のためのインフルエンザウイルスの製造にとって好適な任意の他の哺乳動物細胞型が挙げられる。好適な細胞基質としては、ヒト細胞、例えば、MRC-5またはPer-C6細胞も挙げられる。好適な細胞基質は、細胞系に限定されない;例えば、ニワトリ胚線維芽細胞などの一次細胞およびEB66細胞などの鳥細胞系も含まれる。 インフルエンザウイルス抗原またはその抗原調製物を、任意数の商業的に適用可能なプロセス、例えば、参照により本明細書に組込まれる特許DD300833およびDD211444に記載されたスプリットフループロセスにより製造することができる。伝統的に、スプリットフルーは、トリ-n-ブチルホスフェート、またはTween(商標)と組合わせたジエチルエーテル(「Tween-エーテル」スプリッティングとして知られる)などの溶媒/洗剤処理を用いて製造されたが、このプロセスは、いくつかの製造施設においては依然として用いられている。現在用いられている他のスプリッティング剤としては、洗剤またはタンパク質分解酵素または胆汁酸塩、例えば、参照により本明細書に組込まれる特許DD155875に記載されたデオキシコール酸ナトリウムが挙げられる。スプリッティング剤として用いることができる洗剤としては、カチオン性洗剤、例えば、セチルトリメチルアンモニウムブロミド(CTAB)、他のイオン性洗剤、例えば、ラウリル硫酸塩、タウロデオキシコール酸塩、または非イオン性洗剤、例えば、Triton X-100(例えば、Linaら、2000, Biologicals 28, 95-103に記載のプロセス)およびTriton N-101を含む上記のものなど、または任意の2つ以上の洗剤の組合せが挙げられる。 スプリットワクチンのための調製プロセスは、いくつかの異なる濾過および/または他の分離ステップ、例えば、様々な組合せの超遠心分離、限外濾過、ゾーン遠心分離およびクロマトグラフィー(例えば、イオン交換)ステップ、ならびに場合により、スプリッティングの前または後に実行してもよい、例えば、熱、ホルムアルデヒドまたはβ-プロピオラクトンまたは紫外線を用いる不活化ステップを含んでもよい。スプリッティングプロセスを、バッチ、連続または半連続プロセスとして実行してもよい。スプリット免疫原性組成物のための好適なスプリッティングおよび精製プロセスは、WO02/097072に記載されている。 本発明による好適なスプリットフルーワクチン抗原調製物は、製造プロセスから残存する残留量のTween 80および/またはTriton X-100を含むが、これらのものを、スプリット抗原の調製後に添加するか、またはその濃度を調整することができる。ワクチン用量中のこれらの非イオン性界面活性剤の最終濃度の好適な範囲は、 Tween 80:0.01〜1%、好適には、約0.1%(v/v) Triton X-100:0.001〜0.1(%w/v)、好適には、0.005〜0.02%(w/v)である。 特定の実施形態においては、Tween 80の最終濃度は、0.045%〜0.09%w/vの範囲である。別の特定の実施形態においては、抗原は、0.045%〜0.2%(w/v)の範囲のTween 80濃度を有し、アジュバント(または対照製剤中ではバッファー)を用いる最終製剤化の際に2倍希釈する必要がある、2倍濃縮混合物として提供される。 別の特定の実施形態においては、Triton X-100の最終濃度は、0.005%〜0.017%w/vの範囲である。別の特定の実施形態においては、抗原は、0.005%〜0.034%(w/v)の範囲のTriton X-100濃度を有し、アジュバント(または対照製剤中ではバッファー)を用いる最終製剤化の際に2倍希釈する必要がある、2倍濃縮混合物として提供される。 一実施形態においては、本発明によるインフルエンザ調製物は、低レベルの保存剤、特に、チオメルサールの存在下で、または好適には、チオメルサールの非存在下で調製される。 以前に記載のように、インフルエンザウイルスを、3つの型:A、BおよびCに分類することができる。従って、本発明の意味においては、用語「インフルエンザ型」は、A型、B型またはC型と理解されるべきである。 A型インフルエンザウイルスを、そのHA(16種のサブタイプ、H1〜H16)およびNAタンパク質(9種のサブタイプ、N1〜N9)に基づいて、異なるサブタイプにさらに分類することができるが、B型インフルエンザウイルスは、ただ1つのHAおよびNAサブタイプから作られることが知られている。従って、本発明の意味においては、用語「インフルエンザサブタイプ」は、所与のHサブタイプおよび所与のNサブタイプを有するA型インフルエンザウイルス株と理解されるべきであり、用語「異なるサブタイプ」とは、同じHサブタイプおよび/または同じNサブタイプを共有しないインフルエンザウイルス株を指す。 一実施形態においては、本発明による使用のための免疫原性組成物は、第1のインフルエンザウイルス株に由来する抗原または抗原調製物を含み、第1のインフルエンザウイルス株のH(HAサブタイプ)とは異なるH(HA)サブタイプを有する少なくとも1つの第2のインフルエンザウイルス株に対する免疫応答を誘導するために用いられる。 特定の実施形態においては、本発明による使用のための免疫原性組成物は、第1のインフルエンザウイルス株に由来する抗原または抗原調製物を含み、第1のインフルエンザウイルス株と同じN(NA)サブタイプを有するが、そのH(HAサブタイプ)とは異なるH(HA)サブタイプを有する少なくとも1つの第2のインフルエンザウイルス株に対する免疫応答を誘導するために用いられる。 以前に記載のように、インフルエンザAウイルスは、継続的に進化し、抗原変化を受ける。ウイルスRNAポリメラーゼによる有効な校正の欠如は、HAおよびNAタンパク質などの表面糖タンパク質におけるアミノ酸置換をもたらし得る高い転写エラー率をもたらす。これは「抗原ドリフト」と呼ばれる。断片化したウイルスゲノムは、第2の型の抗原変異を可能にする。2つのインフルエンザウイルスが同時に宿主細胞に感染した場合、「抗原シフト」と呼ばれる遺伝子再集合が新しい表面または内部タンパク質を有する新規ウイルスを生成し得る。「ドリフト」と「シフト」の両方のこれらの抗原変化は、予測不可能であり、それらが最終的には新しいインフルエンザウイルス株の出現をもたらし、ウイルスが免疫系を逃れてほとんど毎年、周知の流行を引き起こすことを可能にするため、免疫学的な観点から劇的な影響を有し得る。これらの遺伝子改変は両方とも、ヒトにおけるパンデミックの原因となる新しいウイルス変異体を引き起こしてきた。 従って、本発明の意味において、用語「変異株」は、参照株に関して同一ではないが、抗原ドリフトまたは抗原シフトを受けた株と理解されるべきである。 本発明における使用のための水中油乳濁液アジュバントを含む免疫原性組成物は、任意の型(A型、B型、C型)および任意のサブタイプ(H1〜H16およびN1〜N9)のインフルエンザウイルスに由来するインフルエンザ抗原を含んでもよい。好適には、本発明による使用のための免疫原性組成物中に含まれるインフルエンザウイルスは、パンデミック株に由来する。パンデミック株とは、大多数のヒト集団が免疫を有さない新しいインフルエンザウイルスを意味する。本明細書を通じて、パンデミック株とは、パンデミックインフルエンザA型ウイルス株などの、インフルエンザ疾患のアウトブレイクと関連するか、または関連すると疑われるインフルエンザウイルス株を指す。好適なパンデミック株は、限定されるものではないが、H5N1、H9N2、H7N7、H2N2、H7N1およびH1N1である。ヒトにおける他の好適なパンデミック株は、H7N3(カナダにおいて2例報告されている)、H10N7(エジプトにおいて2例報告されている)およびH5N2(日本において1例報告されている)である。あるいは、本発明による使用のための水中油乳濁液アジュバントを含む免疫原性組成物中に含まれるインフルエンザウイルスは、古典株、すなわち、非パンデミック株に由来するものであってもよい。 一実施形態においては、本発明による使用のための免疫原性組成物は、H1、例えば、H1N1、H2、H5、例えば、H5N1、H7またはH9などのA型インフルエンザウイルスを含み、異なるサブタイプ、例えば、H3の少なくとも1つのインフルエンザウイルスに対する免疫応答を誘導するために用いられる。代替的な実施形態においては、本発明による使用のための免疫原性組成物は、H1、例えば、H1N1、H2、H5、例えば、H5N1、H7またはH9などのA型インフルエンザウイルスを含み、少なくとも1つのB型インフルエンザウイルスに対する免疫応答を誘導するために用いられる。 一実施形態においては、本発明による使用のための免疫原性水中油乳濁液アジュバント化組成物は一価である、すなわち、1つのインフルエンザウイルス株のみを含む。特定の実施形態においては、本発明による使用のための一価免疫原性水中油乳濁液アジュバント化組成物は、パンデミックインフルエンザウイルス株またはパンデミックと関連する可能性を有する株を含む。代替的な実施形態においては、本発明による使用のための免疫原性水中油乳濁液アジュバント化組成物は多価である、すなわち、複数のインフルエンザウイルス株を含む。例えば、前記組成物は、好適には、二価、三価、または四価である。 一実施形態においては、本発明による使用のための免疫原性水中油乳濁液アジュバント化組成物は、場合により、免疫原性水中油乳濁液アジュバント化組成物中に含まれるインフルエンザウイルス株とは異なるサブタイプまたは型に由来する複数の株などの、複数のインフルエンザウイルス株に対する免疫応答を誘導するために用いられる。 特定の実施形態においては、本発明による使用のための免疫原性水中油乳濁液アジュバント化組成物は、A/H1N1株、A/H3N2株、ヤマガタ(Yagamata)系列のB株およびビクトリア系列のB株のうちの1つ、2つ、3つまたは全部に対する免疫応答を誘導するために用いられる。 一実施形態においては、本発明による使用のためのインフルエンザウイルスまたは抗原調製物および水中油乳濁液アジュバントは、同じ容器中に含まれる。それを、「1バイアル手法」と呼ぶ。別の実施形態においては、本発明による使用のためのインフルエンザウイルスまたは抗原調製物および水中油乳濁液アジュバントは、2成分ワクチンである、すなわち、抗原調製物とアジュバントが、被験者への投与前の混合のために異なる容器中に存在する。水中油乳濁液アジュバント 本発明のアジュバント組成物は、水中油乳濁液アジュバントを含有し、好適には、前記乳濁液は、全容量の0.5〜20%の量の、強度で少なくとも70%が1μm未満の直径を有する油滴を有する代謝性油を含む。 用語「代謝性油」の意味は、当業界で周知である。代謝性とは、「代謝により変換され得る」と定義することができる(Dorland's Illustrated Medical Dictionary, W.B. Sanders Company、第25版(1974))。油は、任意の植物油、魚油、動物油または合成油であってもよく、レシピエントに対して毒性ではなく、代謝により変換され得る。ナッツ、種子、および穀物が植物油の一般的な供給源である。合成油も本発明の一部であり、NEOBEE(登録商標)その他などの市販の油を含んでもよい。特に好適な代謝性油は、スクアレンである。スクアレン(2,6,10,15,19,23-ヘキサメチル-2,6,10,14,18,22-テトラコサヘキサエン)は、サメの肝油中に大量に、オリーブ油、小麦胚芽油、米ぬか油、および酵母中に少量に見出される不飽和油であり、本発明における使用にとって特に好適な油である。スクアレンは、それがコレステロールの生合成における中間体であるという事実のため、代謝性油である(Merck index、第10版、登録番号8619)。 水中油乳濁液自体は当業界で周知であり、アジュバント組成物として有用であると提唱されている(EP399843; WO95/17210)。 好適には、代謝性油は、免疫原性組成物の全容量の0.5%〜20%(最終濃度)の量、好適には、全容量の1.0%〜10%の量、好適には、全容量の2.0%〜6.0%の量で存在する。 特定の実施形態においては、代謝性油は、免疫原性組成物の全容量の約0.5%、1%、3.5%または5%の最終量で存在する。別の特定の実施形態においては、代謝性油は、免疫原性組成物の全容量の0.5%、1%、3.57%または5%の最終量で存在する。好適な量のスクアレンは、ワクチン用量あたり約10.7mg、好適には、ワクチン用量あたり10.4〜11.0mgである。 好適には、本発明の水中油乳濁液系は、μm以下の範囲の小さい油滴サイズを有する。好適には、液滴サイズは、120〜750nmの範囲、好適には、直径120〜600nmのサイズにあるであろう。典型的には、水中油乳濁液は、強度で少なくとも70%が直径500nm未満であり、特に強度で少なくとも80%が直径300nm未満であり、好適には、強度で少なくとも90%が直径120〜200nmの範囲にある油滴を含有する。 本発明による油滴サイズ、すなわち、直径は、強度で与えられる。強度で油滴サイズの直径を決定するためのいくつかの方法が存在する。強度は、サイズ測定装置の使用により、好適には、Malvern Zetasizer 4000または好適にはMalvern Zetasizer 3000HSなどの動的光散乱により測定される。詳細な手順は、実施例II.2に与えられる。第1の可能性は、動的光散乱によりz平均直径ZADを決定することである(PCS-光子相関分光法);この方法はさらに、多分散性指数(PDI)を与え、ZADとPDIの両方はキュムラントアルゴリズムを用いて算出される。これらの値は、粒子屈折率の知識を必要としない。第2の手段は、別のアルゴリズム、ContinもしくはNNLS、または自動的な「Malvern」のもの(サイズ測定装置により提供されるデフォルトアルゴリズム)により全粒径分布を決定することにより、油滴の直径を算出することである。大体の場合、複雑な組成物の粒子屈折率は不明であるため、強度分布のみを考慮に入れ、必要に応じて、強度はこの分布を起源とするものを意味する。 本発明による水中油乳濁液は、ステロールまたはトコフェロール、例えば、アルファトコフェロールを含んでもよい。ステロールは当業界で周知であり、例えば、コレステロールが周知であり、例えば、動物脂肪中に見出される天然ステロールとして、Merck Index、第11版、page 341に開示されている。他の好適なステロールとしては、β-シトステロール、スチグマステロール、エルゴステロールおよびエルゴカルシフェロールが挙げられる。前記ステロールは、好適には、免疫原性組成物の全容量の0.01%〜5%(w/v)の量、好適には、0.1%〜5%(w/v)の量で存在する。好適には、ステロールがコレステロールである場合、それは免疫原性組成物の全容量の0.02%〜0.2%(w/v)の量で、典型的には、0.5mlのワクチン用量中に0.02%(w/v)の量で、または0.5mlのワクチン用量中に0.07%(w/v)の量で、または0.7mlのワクチン用量中に0.1%(w/v)の量で存在する。 好適には、アルファ-トコフェロールまたはその誘導体、例えば、コハク酸アルファ-トコフェロールが存在する。好適には、アルファ-トコフェロールは、免疫原性組成物の全容量の0.2%〜5.0%(v/v)の量で、好適には、0.5mlのワクチン用量中に2.5%(v/v)の量で、または0.5mlのワクチン用量中に0.5%(v/v)の量で、または0.7mlのワクチン用量中に1.7〜1.9%(v/v)、好適には、1.8%の量で存在する。明確化のために、v/vで与えられる濃度は、以下の変換係数を適用することにより、w/vでの濃度に変換することができる:5%(v/v)のアルファ-トコフェロール濃度は、4.8%(w/v)のアルファ-トコフェロール濃度と等価である。好適な量のアルファ-トコフェロールは、ワクチン用量あたり約11.9mgであり、好適には、ワクチン用量あたり11.6〜12.2mgである。 水中油乳濁液は、乳化剤を含んでもよい。乳化剤は、免疫原性組成物の0.01〜5.0重量%(w/w)の量で存在してもよく、好適には、0.1〜2.0重量%(w/w)の量で存在してもよい。好適な濃度は、全組成物の0.5〜1.5重量%(w/w)である。 乳化剤は、好適には、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート(Tween 80)であってもよい。特定の実施形態においては、0.5mlのワクチン用量は、1%(w/w)のTween 80を含有し、0.7mlのワクチン用量は0.7%(w/w)のTween 80を含有する。別の特定の実施形態においては、Tween 80の濃度は、0.2%(w/w)である。ポリソルベート80の好適な量は、ワクチン用量あたり約4.9mgであり、好適には、ワクチン用量あたり4.6〜5.2mgである。 好適には、ワクチン用量は、ワクチン用量あたり約11.9mgの量のアルファ-トコフェロール、ワクチンあたり10.7mgの量のスクアレン、およびワクチン用量あたり約4.9mgの量のポリソルベート80を含む。 水中油乳濁液アジュバントを、他のアジュバントまたは免疫刺激剤と共に用いることができ、従って、本発明の重要な実施形態は、スクアレンまたは別の代謝性油、トコフェロール、例えば、アルファトコフェロール、およびTween 80を含む水中油製剤である。また、水中油乳濁液は、span 85および/またはレシチンを含有してもよい。典型的には、水中油は、免疫原性組成物の全容量の2〜10%のスクアレン、2〜10%のアルファトコフェロールおよび0.3〜3%のTween 80を含み、WO95/17210に記載の手順に従って製造することができる。好適には、スクアレン:アルファトコフェロールの比は1以下であり、その理由は、これがより安定な乳濁液を提供するからである。span 85(ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート)も、例えば、1%のレベルで存在してもよい。本発明における使用のための水中油乳濁液アジュバントの好適な例は、EP0399843Bに与えられ、詳述されており、MF59としても知られる。ワクチン接種する集団 本発明の免疫原性組成物をワクチン接種するための標的集団は、全集団、例えば、健康な若い成人(例えば、18〜60歳)、高齢者(典型的には、60歳を超える年齢)または幼児/子供である。標的集団は、特に、免疫不全であってもよい。免疫不全のヒトは一般に、健康な成人と比較して、抗原、特に、インフルエンザ抗原に対してよく応答することができない。 本発明による一態様においては、標的集団は、ナイーブである(パンデミック株に関してなど)か、またはインフルエンザ感染もしくはワクチン接種に対して以前に応答できなかった、インフルエンザに対してプライミングされていない集団である。好適には、標的集団は、好適には少なくとも60歳、または65歳以上の高齢者、医療機関で働く人々などのそれより若いハイリスクの成人(すなわち、18〜60歳)、または心血管および肺疾患、もしくは糖尿病などの危険因子を有する若い成人である。別の標的集団は、比較的高いインフルエンザに関連する入院率を経験する6ヶ月以上の全子供である。特に、本発明は、6ヶ月〜3歳、または3歳〜8歳、例えば、4歳〜8歳、または9歳〜17歳の子供における小児科的使用にとって好適である。従って、本発明の一実施形態においては、6ヶ月〜3歳、または4歳〜8歳、または9歳〜17歳の被験者における、第1のインフルエンザウイルス株とは異なる型またはサブタイプのものである、少なくとも1つの第2のインフルエンザウイルス株に対する免疫応答を誘導する際の使用のための、第1のインフルエンザウイルス株に由来する抗原または抗原調製物と、水中油乳濁液アジュバントとを含む免疫原性組成物が提供される。特定の実施形態においては、3歳以上の被験者における、第1のインフルエンザウイルス株とは異なる型またはサブタイプのものである、少なくとも1つの第2のインフルエンザウイルス株に対する免疫応答を誘導する際の使用のための、第1のインフルエンザウイルス株に由来する抗原または抗原調製物と、水中油乳濁液アジュバントとを含む免疫原性組成物が提供される。ワクチン再接種およびワクチン再接種のために用いられる組成物 本発明のある態様は、水中油乳濁液アジュバントと共に製剤化された免疫原性インフルエンザ組成物を以前にワクチン接種されたヒトのワクチン再接種のためのインフルエンザ免疫原性組成物、ならびにインフルエンザ疾患に対する予防および/または治療の方法であって、水中油乳濁液アジュバントと一緒に、少なくとも1つのインフルエンザウイルス株に由来する抗原または抗原調製物を含む第1の免疫原性組成物を最初に投与し、少なくとも1つのインフルエンザウイルス株に由来する抗原または抗原調製物を含む第2の免疫原性組成物を投与する前記方法を提供する。本発明の意味においては、用語「第2の免疫原性組成物の投与」および「ワクチン再接種」は、同義語と考えられるべきであり、互換的な方法で用いられる。 典型的には、ワクチン再接種は、1回目のワクチン接種の少なくとも6ヶ月後、好適には、14ヶ月後、好適には、約10〜12ヶ月後に行われる。 ワクチン再接種のための免疫原性組成物は、不活化された、組換えの、または弱毒化された生の、いずれかの型の抗原調製物を含有してもよい。それは、1回目のワクチン接種に用いられた免疫原性組成物と同じ型の抗原調製物、すなわち、スプリットインフルエンザウイルスまたはそのスプリットインフルエンザウイルス抗原調製物、全ビリオン、精製HAおよびNA(サブユニット)ワクチンまたはビロソームを含有してもよい。あるいは、第2の組成物は、1回目のワクチン接種に用いられたものとは別の型のインフルエンザ抗原、すなわち、スプリットインフルエンザウイルスまたはそのスプリットインフルエンザウイルス抗原調製物、全ビリオン、精製HAおよびNA(サブユニット)ワクチンまたはビロソームを含有してもよい。好適には、スプリットウイルスまたは全ビリオンワクチンが用いられる。 第2の免疫原性組成物は、アジュバント化されていてもよく、またはアジュバント化されていなくてもよい。一実施形態においては、第2の免疫原性組成物はアジュバント化されず、筋肉内投与されるFluarix(商標)/α-Rix(登録商標)/Influsplit(登録商標)などの、適切なインフルエンザ季節のWHO推奨株から調製された3つの不活化スプリットビリオン抗原を含有する古典的インフルエンザワクチンである。 別の実施形態においては、第2の免疫原性組成物は、アジュバント化される、例えば、上記のアジュバントのいずれか、例えば、水中油アジュバントでアジュバント化される。好適には、第2の免疫原性組成物は、水中油乳濁液アジュバント、特に、代謝性油、場合により、ステロールまたはトコフェロール、例えば、アルファトコフェロール、および乳化剤を含む水中油乳濁液アジュバントを含む。具体的には、前記水中油乳濁液アジュバントは、全容量の0.5%〜20%の量の少なくとも1つの代謝性油を含み、強度で少なくとも70%が1μm未満の直径を有する油滴を有する。あるいは、第2の免疫原性組成物は、ミョウバンアジュバント、水酸化アルミニウムまたはリン酸アルミニウムまたはその両方の混合物を含む。 一実施形態においては、1回目のワクチン接種は、以前に記載されたパンデミックインフルエンザ組成物、好適には、スプリットインフルエンザ組成物を用いて行われ、ワクチン再接種は以下のように行われる。 本発明による実施形態においては、第2の免疫原性組成物は、パンデミックと関連するか、またはパンデミックと関連する可能性を有するインフルエンザウイルス株を含む一価インフルエンザ組成物である。好適な株は、限定されるものではないが、H5N1、H9N2、H7N7、H2N2、H7N1およびH1N1である。前記株は、1回目のワクチン接種に用いられた組成物中に存在するものと同じであるか、またはその1つであってもよい。代替的な実施形態においては、前記株は、変異株、すなわち、1回目のワクチン接種に用いられた組成物中に存在する株のドリフト株またはシフト株であってもよい。 別の特定の実施形態においては、ワクチン再接種のための第2の免疫原性組成物は、多価インフルエンザワクチンである。特に、追加接種用組成物が二価、三価または四価ワクチンなどの多価ワクチンである場合、少なくとも1つの株がパンデミックと関連するか、またはパンデミックと関連する可能性を有する。特定の実施形態においては、第2の免疫原性組成物中の2つ以上の株が、パンデミック株である。別の特定の実施形態においては、第2の免疫原性組成物中の少なくとも1つのパンデミック株が、1回目のワクチン接種に用いられた組成物中に存在するものと同じ型のものであるか、またはその1つである。代替的な実施形態においては、少なくとも1つの株は、変異株、すなわち、1回目のワクチン接種に用いられた組成物中に存在する少なくとも1つのパンデミック株のドリフト株またはシフト株であってもよい。 好適には、第2の免疫原性組成物は、用いられる場合、次のインフルエンザの季節に、例えば、第1の免疫原性組成物の約1年後に与えられる。第2の免疫原性組成物を、その後毎年(3回目、4回目、5回目のワクチン接種など)与えてもよい。第2の免疫原性組成物は、1回目のワクチン接種に用いられた組成物と同じであってもよい。好適には、第2の免疫原性組成物は、1回目のワクチン接種に用いられたインフルエンザウイルスの変異株であるインフルエンザウイルスまたはその抗原調製物を含有する。特に、インフルエンザウイルス株または抗原調製物は、それらがワクチン再接種の年に循環しているインフルエンザウイルス株に適合するように、世界保健機関により配布された参考材料に従って選択される。好適には、1回目のワクチン接種はパンデミックの宣言時に行われ、ワクチン再接種はその後に行われる。好適には、ワクチン再接種は、1回目のワクチン接種(例えば、H5N1ベトナム)に用いられたものと同じサブタイプのものであるインフルエンザウイルス株(例えば、H5N1ベトナム)を含むワクチンを用いて行われる。特定の実施形態においては、ワクチン再接種は、同じサブタイプのドリフト株、例えば、H5N1インドネシアを用いて行われる。別の実施形態においては、ワクチン再接種に用いられる前記インフルエンザウイルス株はシフト株である、すなわち、1回目のワクチン接種に用いられたものとは異なる、例えば、それは、H5N2(H5N1と同じHAサブタイプであるが、異なるNAサブタイプである)またはH7N1(H5N1と異なるHAサブタイプであるが、同じNAサブタイプである)などの、異なるHAまたはNAサブタイプを有する。 好適には、ワクチン再接種は、以下のうちのいずれか、好適には、2つまたは全部を誘導する:非アジュバント化インフルエンザウイルスまたはその抗原調製物を用いる1回目のワクチン接種後に誘導される同等の応答と比較した、(i)インフルエンザウイルスもしくはその抗原調製物に対する改善されたCD4応答、または(ii)改善されたB細胞記憶応答または(iii)改善された体液性応答。好適には、本明細書に定義されたアジュバント化インフルエンザウイルスまたはその抗原調製物を用いるワクチン再接種後に誘導される免疫応答は、非アジュバント化組成物を用いるワクチン再接種後に誘導される対応する応答よりも高い。好適には、非アジュバント化された、好適には、スプリットインフルエンザウイルスを用いるワクチン再接種後に誘導される免疫応答は、非アジュバント化された、好適には、スプリットインフルエンザ組成物を用いて1回目にワクチン接種された集団における対応する応答よりも、アジュバント化された、好適には、スプリットインフルエンザ組成物を用いて1回目にワクチン接種された集団において高い。 本発明のアジュバント化組成物は、対照ワクチンにより付与される防御と比較して、ドリフト株(次のインフルエンザの季節に由来するインフルエンザウイルス株)に対するより良好な交差反応性を誘導することができる。前記交差反応性は、非アジュバント化性剤を用いて得られるものと比較してより高い持続性を示した。ドリフト株に対する交差反応性を増強する際のアジュバントの効果は、パンデミック状況においては重要である。 さらなる実施形態において、本発明は、1回目のワクチン接種を、パンデミックを引き起こす可能性があるインフルエンザウイルス株を含有するインフルエンザ組成物、好適には、スプリットインフルエンザ組成物を用いて行い、ワクチン再接種を、パンデミック株または古典株である少なくとも1つの循環株、場合により1回目のワクチン接種に用いられた株とは異なるサブタイプまたは型の株を含む、一価または多価の組成物を用いて行うワクチン接種レジメンに関する。ワクチン接種手段 本発明の組成物を、皮内、粘膜、例えば、鼻内、経口、筋肉内または皮下などの、任意の好適な送達経路により投与することができる。他の送達経路は、当業界で周知である。 筋肉内送達経路は、アジュバント化インフルエンザ組成物にとって特に好適である。本発明による組成物を、パンデミックワクチンにとって特に好適な、単回用量容器、またはあるいは、複数回用量容器中に提供することができる。この例においては、チオメルサールなどの抗微生物保存剤が、使用中の汚染を防ぐために存在してもよい。好適には、5μg/0.5ml用量(すなわち、10μg/ml)または10μg/0.5ml用量(すなわち、20μg/ml)のチオメルサール濃度が存在する。無針液体ジェット注入デバイス、例えば、Biojector 2000(Bioject, Portland, OR)などの好適なIM送達デバイスを用いることができる。あるいは、エピネフリンの家での送達に用いられるものなどのペン型注射器デバイスを用いて、ワクチンの自己投与を可能にすることができる。そのような送達デバイスの使用は、パンデミックの間に必要とされるものなどの大規模免疫化キャンペーンに適している。 皮内送達は、別の好適な経路である。例えば、短針デバイスなどの任意の好適なデバイスを、皮内送達のために用いることができる。そのようなデバイスは当業界で周知である。また、皮内ワクチンを、参照により本明細書に組込まれるWO99/34850およびEP1092444に記載のものなどの、皮膚への針の有効な貫通長さを制限するデバイス、およびその機能的等価物によって投与することもできる。また、液体ジェット注入器を介して、または角質層を貫通し、真皮に届くジェットをもたらす針を介して、液体ワクチンを真皮に送達するジェット注入デバイスも好適である。また、皮膚の外側層から真皮に向かって粉末形態のワクチンを加速するための圧縮ガスを用いる弾道粉末/粒子送達デバイスも好適である。さらに、皮内投与の古典的なマントゥー法において従来の注射筒を用いることができる。 別の好適な投与経路は、皮下経路である。例えば、古典的な針などの任意の好適なデバイスを、皮下送達のために用いることができる。好適には、無針ジェット注入器サービスが用いられる。そのようなデバイスは当業界で周知である。好適には、前記デバイスを、液体ワクチン製剤で予備充填する。 あるいは、ワクチンを鼻内投与する。典型的には、ワクチンは、好適には、肺に吸入されることなく、鼻咽頭領域に局所投与される。ワクチンを肺に進入させることなく、または実質的に進入させることなく、鼻咽頭領域にワクチン製剤を送達する鼻内送達デバイスを用いることが望ましい。 本発明によるワクチンの鼻内投与のための好適なデバイスは、スプレーデバイスである。好適な市販の鼻スプレーデバイスとしては、Accuspray(商標)(Becton Dickinson)が挙げられる。ネブライザーは、肺に容易に吸入され、従って、鼻粘膜に効率的に到達しない非常に微細なスプレーを生成する。従って、ネブライザーは好ましくない。 鼻内使用のための好適なスプレーデバイスは、デバイスの性能が使用者により印加される圧力に依存しないデバイスである。これらのデバイスは、圧力閾値デバイスとして知られる。閾値圧力が印加された場合にのみ、液体がノズルから放出される。これらのデバイスにより、規則的な液滴サイズを有するスプレーを達成することが容易になる。本発明と共に使用するのに好適な圧力閾値デバイスは、当業界で公知であり、例えば、参照により本明細書に組込まれるWO91/13281およびEP311863BおよびEP516636に記載されている。そのようなデバイスは、Pfeiffer GmbHから市販されており、Bommer,R. Pharmaceutical Technology Europe, Sept 1999にも記載されている。 好適な鼻内デバイスは、1〜200μm、好適には、10〜120μmの範囲の液滴(液体として水を用いて測定)を生成する。10μm以下では、吸入の危険があり、従って、10μm以下の液滴が約5%以下であるのが望ましい。120μmを超える液滴は、より小さい液滴ほど拡散せず、従って、120μmを超える液滴が約5%以下であるのが望ましい。 あるいは、表皮または経皮ワクチン接種経路も、本発明において意図される。 本発明の一態様においては、1回目の投与のためのアジュバント化免疫原性組成物を筋肉内投与し、アジュバント化されていてもよい追加接種用組成物を、異なる経路、例えば、皮内、皮下または鼻内経路により投与することができる。特定の実施形態においては、1回目の投与のための組成物は、パンデミックインフルエンザウイルス株について15μgの量のHAを含有し、追加接種用組成物は、標準的な15μgの量、好適には、投与経路に応じて、より少量で投与してもよい少量のHA、すなわち、15μg未満を含有してもよい。ワクチン接種レジメン、投薬および有効性基準 好適には、本発明による使用のための免疫原性組成物は、多くの場合、標準的な0.5mlの注射用量であり、一元放射免疫拡散法(SRD)(J.M. Woodら、J.Biol.Stand. 5(1977)237-247;J.M. Woodら、J.Biol.Stand. 9(1981)317-330)により測定した場合、インフルエンザウイルス株に由来する15μg以下のヘマグルチニン抗原成分を含有する。好適には、ワクチン用量は、0.5ml〜1ml、特に、標準的な0.5ml、または0.7mlのワクチン用量である。用量のわずかな適合化を、元のバルクサンプル中のHA濃度に応じて、およびまた、鼻内もしくは皮内経路により投与されるより小さい用量を用いる送達経路に応じて、日常的に行うことができる。 好適には、本発明による使用のための前記免疫原性組成物は、少量のHA抗原、例えば、インフルエンザウイルス株あたり1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14μgのいずれかのHA、または株あたり15μgを超えないHAを含有する。前記少量のHA量は、以下に詳述される、国際的な、例えば、EUまたはFDAの有効性基準を満たすワクチンを製剤化することができるという条件で、実際に実現可能である程度に低いものであってもよい(表1および記載の特定のパラメータを参照されたい)。好適な少量のHAは、インフルエンザウイルス株あたり1〜7.5μgのHA、好適には、インフルエンザウイルス株あたり3.75もしくは3.8μgなどの3.5〜5μgのHA、典型的には、インフルエンザウイルス株あたり約5μgのHAである。別の好適な量のHAは、インフルエンザウイルス株あたり0.1〜5μgのHA、好適には、インフルエンザウイルス株あたり1.0〜2μgのHA、例えば、インフルエンザウイルス株あたり1.9μgのHAである。 有利には、本発明によるワクチン用量、特に、低いHA量のワクチンを、一般的には、用量あたり約0.5、0.7または1mlである従来の注入スプリットフルーワクチンよりも小さい用量で提供することができる。本発明による低容量の用量は、好適には、用量あたり500μl未満、典型的には、300μl未満であり、好適には、約200μl以下である。 かくして、本発明の一態様による好適な低容量ワクチン用量は、低容量中に低抗原用量を含む用量、例えば、約200μlの容量中の約15μgもしくは約7.5μgのHAまたは約3.0μgのHA(株あたり)である。 本発明のインフルエンザ薬剤は、好適には、ワクチンに関する特定の国際基準を満たす。インフルエンザワクチンの有効性を測定するために、標準が国際的に適用される。インフルエンザワクチンの毎年のライセンシング手順に関する臨床試験のために、European Agency for the Evaluation of Medicinal Products for human use (CHMP/BWP/214/96, Committee for Proprietary Medicinal Products (CPMP). Note for harmonization of requirements for influenza vaccines, 1997. CHMP/BWP/214/96 circular N 96-0666:1-22)の基準に従って、血清変数を評価する(表1)。これらの要件は、成人集団(18〜60歳)と高齢者集団(60歳を超える)について異なる(表1)。パンデミック間インフルエンザワクチンについては、少なくとも1つの評価(血清変換係数、血清変換率、血清保護率)が、ワクチンに含まれる全てのインフルエンザ株について、欧州の要件を満たすべきである。1:40以上の力価の割合は保護と最良に相関すると期待されるため、最も関連すると見なされる(Beyer Wら、1998 Clin Drug Invest.;15:1-12)。 「Guideline on dossier structure and content for pandemic influenza vaccine marketing authorisation application」(CHMP/VEG/4717/03, April 5th 2004)で特定されたように、非循環株に由来するインフルエンザワクチンに関する特定の基準の非存在下では、パンデミック候補ワクチンは(少なくとも)ワクチンの2回投与の後、プライミングされていない成人または高齢被験者において存在するワクチンのための現在の基準の3つ全部を満たすために十分な免疫応答を惹起することができるべきである。 本発明による使用のための組成物は、好適には、組成物中に含まれるインフルエンザウイルス株に関する少なくとも1つのそのような基準(1つの基準は認可を得るのに十分である)を満たす、好適には、表1に記載の防御に関する少なくとも2つ、または典型的には、3つ全部の基準を満たす。 *血清変換率は、防御ワクチン接種後力価が1:40以上である各群における被験者の割合と定義される。血清変換率は簡単に言えば、ワクチン接種前のHI力価が1:10未満であり、ワクチン接種後に1:40以上である被験者の%である。しかしながら、初期力価が1:10以上である場合、ワクチン接種後の抗体量の少なくとも4倍の増加がなければならない。 **変換係数は、各ワクチン株に関する、ワクチン接種後の血清HI幾何平均力価(GMT)の倍数増加と定義される。 ***防御率は、ワクチン接種前に血清陰性であり、1:40以上の(防御)ワクチン接種後HI力価を有するか、またはワクチン接種前に血清陽性であり、ワクチン接種後に力価が有意な4倍の増加を示す被験者の割合と定義される;それは通常、防御を示すものと受け入れられている。 70%の血清防御率は、欧州の健康規制当局(CHMP-Committee for Medicinal Products for Human Use)により定義され、毎年の季節性インフルエンザワクチンについて通常満たす必要があり、CHMPもパンデミック候補ワクチンが満たすことを期待している3つの基準の1つである。しかしながら、数学的モデリングにより、ある特定のドリフト株に対してわずかに30%しか有効でないワクチンも、パンデミックの規模を軽減するのを助けるのに有用であり得ることが示された(Fergusonら、Nature 2006)。 FDAは、Clinical Data Needed to Support the Licensure of Pandemic Influenza Vaccinesに関するドラフトガイダンス(Office of Communication, Training and Manufactureres Assistance (HFM-40), 1401 Rockville Pike, Suite 200N, Rockville, MD 20852-1448から、または1-800-835-4709もしくは301-827-1800に電話することにより、またはhttp://www/fda.gov/cber/guidelines.htmでインターネットから入手可能)を公開しており、提唱された基準もCHMP基準に基づくものである。適切な評価項目は同様に、1)1:40以上のHI抗体力価を達成する被験者のパーセント、および2)ワクチン接種後のHI抗体力価の4倍の上昇と定義される、血清変換率を含む。幾何平均力価(GMT)が結果に含まれるべきである。これらのデータおよびこれらの評価の点推定の95%信頼区間(CI)を提供するべきである。 従って、本発明の一態様においては、意図される免疫原性組成物の投与により誘導される前記免疫応答または防御が、インフルエンザワクチンの有効性に関する3つのEU規制基準の全部を満たす、特許請求される組成物、方法または使用が提供される。好適には、以下の基準の少なくとも1つ、好適には2つ、または3つが、前記組成物のインフルエンザウイルス株について満たされる: - 成人集団(18〜60歳)において、および/または好適には、高齢者集団(60歳を超える)においても、50%を超える、60%を超える、70%を超える、好適には80%または90%を超える血清変換率; - 成人集団(18〜60歳)において、および/または好適には、高齢者集団(60歳を超える)においても、75%を超える、80%を超える、85%を超える、好適には、90%を超える防御率; - 成人集団(18〜60歳)において、および/または好適には、高齢者集団(60歳を超える)においても、4.0を超える、5.0を超える、6.0を超える、7.0を超える、8.0を超える、9.0を超える、または10以上の変換係数。 特定の実施形態においては、本発明による使用のための組成物は、成人集団において、60%を超える、または70%を超える、または好適には80%を超える血清変換率と、75%を超える、好適には80%を超える防御率の両方を満たす。別の特定の実施形態においては、本発明による組成物は、成人集団において、5.0を超える、または7.0を超える、または好適には10.0を超える変換係数と、60%を超える、または70%を超える、または好適には80%を超える血清変換率の両方を満たす。別の特定の実施形態においては、本発明による組成物は、成人集団において、5.0を超える、または7.0を超える、または好適には10.0を超える変換係数と、75%を超える、好適には80%を超える防御率の両方を満たす。さらに別の特定の実施形態においては、本発明による組成物は、10.0以上の変換係数と、80%以上の血清変換率と、80%以上の防御率との両方を満たす。 別の実施形態においては、本発明による使用のための組成物は、ドリフト株に対する少なくとも30%、好適には、ドリフト株に対する少なくとも40%、または50%を超える、または60%を超える血清防御率を満たす。好適には、血清防御率は、ドリフト株に対して70%を超える、または好適には80%を超える。 好適には、そのような基準のいずれか、または全部はまた、子供および免疫不全集団などの他の集団についても満たされる。 好適には、上記応答は、1回の投与、または典型的には、2回の投与の後に得られる。免疫応答がアジュバント化ワクチンのたった1回の投与の後に得られる本発明による使用のための組成物が特に有利である。従って、本発明の一態様において、1回投与ワクチン接種が、インフルエンザワクチンのための少なくとも1つ、好適には2つまたは3つの国際規制要件を満たす免疫応答を生成する、インフルエンザに対する1回投与のワクチン接種のための、場合によりパンデミック株に由来する非生インフルエンザウイルス抗原調製物、特に、スプリットインフルエンザウイルス調製物の使用が提供される。特定の実施形態においては、前記免疫応答は、交差反応性抗体応答または交差反応性CD4 T細胞応答またはその両方である。特定の実施形態においては、ヒト患者は、ワクチン接種株に対して免疫学的にナイーブである(すなわち、予め存在する免疫を有さない)。具体的には、本発明による使用のための組成物は、低いHA抗原量を含有する。 ワクチン再接種のための組成物については、それが多価組成物である場合、全ての株について、特に、新しいワクチンについて、少なくとも2つまたは3つ全部の基準を満たす必要がある。いくつかの環境下では、2つの基準でも十分であり得る。例えば、全ての株によって3つの基準のうちの2つを満たすことが許容されるが、第3の基準はいくつかの株であるが、全部ではない(例えば、3つの株のうちの2つ)株によって満たされる。 特許出願および付与された特許を含む、本出願における全ての参考文献の教示は、参照により完全に本明細書に組込まれる。本出願が優先権を主張する任意の特許出願は、刊行物および参考文献について本明細書に記載される様式でその全体が参照により本明細書に組込まれる。 疑いを避けるために、本明細書の用語「含む(comprising)」、「含む(comprise)」および「含む(comprises)」は、場合により、全ての例において、それぞれ、用語「からなる(consisting of)」、「からなる(consist of)」、および「からなる(consists of)」と置換可能であることが本発明者らによって意図される。 本発明を、以下の非限定的な実施例を参照することによりさらに説明する。ヒトにおける免疫応答を評価するためのアッセイ1.1 血球凝集抑制アッセイ WHO Collaborating Centre for influenza, Centres for Disease Control, Atlanta, USA(1991)により記載された方法を用いてHI抗体を測定することにより、免疫応答を決定した。抗体力価の測定を、適切な抗原の4血球凝集抑制単位(4HIU)および赤血球懸濁液を用いる標準化され、包括的に検証される微小方法を用いて、解凍された凍結血清サンプルに対して行った。非特異的血清阻害剤を、受容体破壊酵素、次いで、熱不活化により除去した。得られた血清を、HI抗体レベルについて評価した。1:10の初期希釈率から出発して、希釈系列(2の係数による)を1:20480の最終希釈率まで調製した。滴定エンドポイントは、血球凝集の完全な阻害(100%)を示した最も高い希釈段階とした。全てのアッセイを2回実施した。1.2 中和抗体アッセイ 中和抗体の測定を、解凍された凍結血清サンプルに対して行った。血清中に含まれる抗体によるウイルス中和は、マイクロ中和アッセイにおいて決定される。血清を、56℃で30minの熱不活化後に用いる。それぞれの血清を、3回試験する。標準量のウイルスを、血清の連続希釈液と混合し、インキュベートして抗体をウイルスに結合させる。次いで、規定量のMadin-Darbyイヌ腎臓(MDCK)細胞を含有する細胞懸濁液をウイルスと抗血清との混合物に添加し、37℃でインキュベートする。インキュベーション期間の後、ウイルス複製を、ニワトリ赤血球の凝集により可視化する。血清の50%中和力価を、ReedおよびMuench(Am.J;Hyg.1938, 27:493-497)の方法により算出する。1.3 統計方法1.3.1 HIN1に対するHI抗体に関する体液性免疫応答について(TIV群の全被験者における)、以下のパラメータを95%CIと共に算出する: 観察される変数:・0日目および28日目のH1N1 HI抗体力価。 誘導される変数:・0日目および28日目のGMTおよび血清陽性率・0日目および28日目の血清防御率(SPR)・28日目の血清変換率(SCR)・28日目の平均幾何増加(MGI)。 SPRは、通常は防御を示すものと受け入れられる1:40以上の血清HI力価を有するワクチン被接種者の割合と定義される。 HI抗体応答に関するSCRは、1:10未満のワクチン接種前(0日目)力価および1:40以上のワクチン接種後力価を有するか、または1:10以上のワクチン接種前力価およびワクチン接種後力価の少なくとも4倍の増加を有するワクチン被接種者の割合と定義される。 MGIは、ワクチン接種後のHI力価の逆数とワクチン接種前(0日目)のHI力価の逆数との被験者内の比の幾何平均と定義される。 GMTは、幾何平均力価に関する。1.3.2 応答型局所および全身有害事象:・それぞれのワクチン接種後7日以内(0日目〜6日目)のそれぞれの応答型局所および全身AE(任意のグレードおよびグレード3)の発生、強度および持続期間。 非応答型有害事象:・Medical Dictionary for Regulatory Activities(MedDRA)分類による、それぞれのワクチン接種後28日以内(0日目〜27日目)の非応答型AEの発生、強度およびワクチン接種との関係。特定の対象となるMAE/AESI/pIMD/SAE:およびAE。・特定の対象となるMAE、AESI/pIMD、SAEおよびAEの発生ならびに全試験期間における追加のワクチン接種との関係。 全被験者における、および年齢層あたりの全TIV株に対するHI抗体に関する体液性免疫応答について、以下のパラメータを95%CIと共に算出する: 観察される変数:・0日目、28日目*、および6ヶ月目**のHI抗体。 誘導される変数:・0日目、28日目*、および6ヶ月目**のGMTおよび血清陽性率;・28日目*、および6ヶ月目**のSCR;・0日目、28日目*、および6ヶ月目**のSPR;・28日目*、および6ヶ月目**のMGI。 全TIV株に対する中和抗体に関する体液性免疫応答について、以下のパラメータを95%CIと共に算出する(被験者のサブセットにおける): 観察される変数:・0日目、28日目*、および6ヶ月目**の血清中和抗体力価。 誘導される変数:・血清中和抗体力価および血清陽性率のGMT;・SCR。 *TIV群のみ **対照群におけるH1N1のみ。免疫原性試験2.1 統計方法 試験1:GSK BiologicalのH1N1ワクチン(Pandemrix(商標))を以前にワクチン接種された子供(6ヶ月〜9歳未満)におけるGSK Biologicalの季節性(2010-2011)インフルエンザワクチンFluarix(商標)の免疫原性および安全性を評価するための第IV相、非盲検、無作為化、多国間試験。Pandemrix(商標)は、スクアレン、DL-アルファ-トコフェロールおよびポリソルベート80から構成される水中油乳濁液アジュバントAS03を含有する。 試験2:GSK BiologicalのH1N1ワクチン(Pandemrix(商標))を以前にワクチン接種された若者(10歳〜17歳)におけるGSK Biologicalの季節性(2010-2011)インフルエンザワクチンFluarix(商標)の免疫原性および安全性を評価するための第IV相、非盲検、無作為化、1施設試験。 血球凝集抑制および微小中和試験により検出されるワクチン株相同免疫応答は、0日目、28日目および6ヶ月目に測定された、体液性免疫応答(すなわち、抗ヘマグルチニン、中和)である。2.2 試験設計 試験1:2回の0.25mL用量のH1N1アジュバント化ワクチン(Pandemrix(商標))をワクチン接種された時に6ヶ月〜9歳の年齢であった154人の被験者を登録した。 登録者を、以下のように階層化した:・Pandemrix(商標)を用いる1回目のワクチン接種の時点で6〜11ヶ月齢・Pandemrix(商標)を用いる1回目のワクチン接種の時点で12〜35ヶ月齢・Pandemrix(商標)を用いる1回目のワクチン接種の時点で3〜9歳の年齢。 試験2:1回用量のH1N1アジュバント化ワクチン(Pandemrix(商標))をワクチン接種された時に10〜17歳の年齢であった77人を登録した。 Fluarix(商標)ワクチンを、0日目および28日目に利き腕ではない方の腕の三角筋領域に投与した(適用可能な場合)。 ・用量:全被験者:0.5mL。 ・投与回数:プライミングされた被験者は、ワクチン接種歴に基づいて、季節性インフルエンザワクチンを以前にワクチン接種された被験者である: 9歳以上の子供および9歳未満のプライミングされた子供:1回投与。 6ヶ月〜9歳未満のプライミングされていない子供:少なくとも4週間の間隔で2回投与。 非インフルエンザワクチン対照として、A型肝炎ワクチン(Havrix(商標))の第1の用量を投与し、6ヶ月での訪問時に試験設定の外部で与えられたワクチン接種経過を完了するための第2の用量を投与した。 治療群: TIV群:アジュバント化H1N1ワクチンを以前にワクチン接種された被験者は、1回用量のTIVワクチンFluarix(商標)を受けた(SmPCに従う)。 対照群:アジュバント化H1N1ワクチンを以前にワクチン接種された被験者は、1回の第1の用量のHavrix(6ヶ月時に、試験設定の外部で、SmPCあたり推奨されるように2回用量を与えられる)を受けた。 ・15歳未満の被験者はHavrix Junior(720 ELISA単位/0.5ml用量)を受けた。 ・15歳を超える被験者はHavrix(1440 ELISA単位/1ml用量)を受ける。 血液サンプリングスケジュール: TIV群:0日目、28日目および6ヶ月目の血液サンプル。 対照群:0日目および6ヶ月目の血液サンプル。2.3 試験の目的 試験1:2回用量のH1N1アジュバント化ワクチン(Pandemrix(商標))を以前にワクチン接種された被験者において、第1の用量の三価不活化インフルエンザウイルス(TIV)ワクチン(Fluarix(商標))を用いるワクチン接種の28日後にH1N1株に対するHI免疫応答を評価するため。 試験2:TIV群における1回用量のH1N1アジュバント化ワクチン(Pandemrix(商標))を以前にワクチン接種された被験者において、TIVワクチン(Fluarix(商標))を用いるワクチン接種の28日後にH1N1株に対するHI免疫応答を評価するため。 ・それぞれのインフルエンザワクチン接種後の安全性および反応性を評価するため。 ・TIV群における、全体の、および年齢層あたりの第1の用量のTIVワクチンの28日後の、3つのTIV株に対するHI(全被験者における)および中和抗体(被験者のサブセットにおける)に関するワクチン免疫応答を評価するため。 ・両試験群における年齢層あたりの3つのTIV株に対するHI(全被験者における)および中和抗体(被験者のサブセットにおける)に関するワクチン接種前の時点での免疫状態を評価するため。 ・TIV群におけるHI(全被験者における)および中和抗体(被験者のサブセットにおける)に関する1回目のTIVワクチン投与の6ヶ月後の3つのTIV株に対する抗体の持続性を評価するため。 ・対照群におけるH1N1株に対するHI(全被験者における)および中和抗体(被験者のサブセットにおける)に関する6ヶ月の時点での免疫応答の持続性を評価するため。2.4 試験集団結果 試験1:被験者数: 計画:360人の被験者、各群180人 登録:162人の被験者、TIV群に81人および対照群に80人、およびいずれの群にも割り当てられなかった被験者1人(無作為化の前に中止したため)。 6ヶ月まで完了:144人の被験者、TIV群の68人および対照群の76人。 6ヶ月まで安全:154人の被験者を、全ワクチン接種コホート(TVC)に含有させた(TIV群に77人および対照群に77人)。 6ヶ月まで免疫原性:126人の被験者を、6ヶ月での持続性のためにプロトコールに従う(ATP)コホートに含有させた(TIV群に56人および対照群に70人)。 試験2:被験者数: 計画:120人の被験者、各群60人 登録:77人の被験者、TIV群に38人および対照群に39人。 6ヶ月で完了:75人の被験者、TIV群に36人および対照群に39人。 安全性:77人の被験者を、全ワクチン接種コホートに含有させた(TIV群に38人および対照群に39人)。 免疫原性:72人の被験者を、抗体持続性の分析のためにプロトコールに従う(ATP)コホートに含有させた(TIV群に35人および対照群に37人)。2.5 安全性に関する結論 GSK BiologicalのH1N1ワクチンPandemrix(商標)を以前にワクチン接種された子供および若者におけるインフルエンザワクチンFluarix(商標)の投与は、安全性を気にすることなく臨床的に許容される有害事象のプロファイルを惹起した。2.6 免疫原性に関する結果 Pandemrix(商標)を以前にワクチン接種されたことがある子供および若者へのFluarix(商標)ワクチンの投与は、Fluarix(商標)ワクチンに含まれるそれぞれの株(A/カリフォルニア[H1N1]v様、B/ブリスベンおよびA/ビクトリア)に関して6ヶ月でHI応答の持続性をもたらした。前臨床マウスモデルにおけるH1N1プライミングの確認3.1 試験設計および方法 実施例2に記載のヒト試験において観察されたプライミング効果を確認するために、表3に示される試験設計に従って、前臨床マウスモデルを用いた。6〜8週齢のメスのBALB/cマウス(Charles River Canada)を、麻酔なしに0日目および28日目または91日目に後ろ肢に筋肉内で免疫した(注入あたり50μLのワクチンまたはPBS)。動物を最初に0.375μg(1/10の完全ヒト用量(FHD))または0.075μgのHA(1/50のFHD)のPandemrix(商標)(1群〜8群)で免疫した後、1.5μg(1/10のFHD)または0.3μgのHA(1/50のFHD)のFluarix(商標)(1群〜8群)で免疫した。対照動物を、1.5μgのHA(1/10のFHD)のFluarix(商標)またはPBSで2回免疫した(それぞれ、9群および10群)。マウスを、プライミング後28日間ならびにブースト後21および49日間育種して、実施例1に記載の血球凝集抑制(HI)アッセイを用いて血清HI抗体応答を測定した。3.2 結果 実施例2に記載の臨床観察は、免疫原性のマウスモデルにおいて再現できた。具体的には、Pandemrix(商標)を用いるプライミング、次いで、Fluarix(商標)によるブーストにより、Fluarix(商標)の1回投与と比較して、A/H3N2/ビクトリアおよびB/ブリスベン(およびA/H1N1/カリフォルニア)に対するより高いHI力価が得られた(図1)。この結果は、初回-追加スケジュール(28または91日間隔)とは無関係であった。力価は、追加接種後、少なくとも49日目まで持続した。Pandemrix(商標)を用いるプライミング、次いで、Fluarix(商標)によるブーストにより、Fluarix(商標)による初回-追加接種と比較して、A/H1N1/カリフォルニアに対するより高いHI力価が得られた。Pandemrix(商標)を用いるプライミング、次いで、Fluarix(商標)によるブーストにより、Fluarix(商標)による初回-追加接種と比較して、A/H3N2/ビクトリアおよびB/ブリスベンに対する同等のHI力価が得られた。 第1のインフルエンザウイルス株とは異なる型または異なるサブタイプに由来する少なくとも1つの第2のインフルエンザウイルス株に対する免疫応答を誘導する際に使用するための、前記第1のインフルエンザウイルス株に由来する抗原または抗原調製物と、水中油乳濁液アジュバントとを含む免疫原性組成物。 前記第1のインフルエンザウイルス株が、H1、例えば、H1N1、H2、H5、例えば、H5N1、H7またはH9などのA型のものである、請求項1に記載の使用のための免疫原性組成物。 前記第1のインフルエンザウイルス株がB型のものである、請求項1に記載の使用のための免疫原性組成物。 前記組成物が複数のインフルエンザウイルス株に由来する抗原または抗原調製物を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の使用のための免疫原性組成物。 前記第2のインフルエンザウイルス株がA型またはB型のものである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の使用のための免疫原性組成物。 前記使用が、場合により、前記第1のインフルエンザウイルス株とは異なるサブタイプまたは異なる型に由来する複数のインフルエンザウイルス株を含む、複数のインフルエンザウイルス株に対する免疫応答を誘導するためのものである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の使用のための免疫原性組成物。 前記使用が、A/H1N1株、A/H3N2株、ヤマガタ系列のB株およびビクトリア系列のB株のうちの1つ、2つ、3つまたは全部に対する免疫応答を誘導するためのものである、請求項1〜6のいずれか一項に記載の使用のための免疫原性組成物。 誘導された免疫応答が少なくとも6ヶ月間持続する、請求項1〜7のいずれか一項に記載の使用のための免疫原性組成物。 前記抗原が、ヘマグルチニンであり、場合により、3.75〜10マイクログラム/用量などの15マイクログラム未満の量である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の使用のための免疫原性組成物。 前記抗原または抗原調製物が、細胞培養物から誘導されるか、または孵化鶏卵中で産生される、請求項1〜9のいずれか一項に記載の使用のための免疫原性組成物。 前記抗原または抗原調製物が、精製された全インフルエンザウイルス、非生インフルエンザウイルス、例えば、スプリットインフルエンザウイルスまたはサブユニットインフルエンザウイルスである、請求項1〜10のいずれか一項に記載の使用のための免疫原性組成物。 前記組成物が、一価のものであり、場合により、パンデミックと関連するか、またはパンデミックと関連する可能性がある株を含む、請求項1〜3および5〜11のいずれか一項に記載の使用のための免疫原性組成物。 前記組成物が、多価のものであり、場合により、パンデミックと関連するか、またはパンデミックと関連する可能性がある株を含む、請求項1〜11のいずれか一項に記載の使用のための免疫原性組成物。 前記水中油乳濁液が、スクアレンなどの代謝性油、およびポリソルベート80などの乳化剤を含む、請求項1〜13のいずれか一項に記載の使用のための免疫原性組成物。 前記水中油乳濁液がアルファ-トコフェロールをさらに含む、請求項14に記載の使用のための免疫原性組成物。 前記使用が、小児または青年被験者、例えば、6ヶ月〜3歳、または4歳〜8歳、または9歳〜17歳の被験者などのヒト被験者のためのものである、請求項1〜15のいずれか一項に記載の使用のための免疫原性組成物。 前記使用が3歳以上の年齢である被験者のためのものである、請求項16に記載の使用のための免疫原性組成物。 前記免疫原性組成物が非経口的に、例えば、筋肉内的に投与される、請求項1〜17のいずれか一項に記載の使用のための免疫原性組成物。 前記免疫原性組成物が、場合により21〜28日の間隔で、1回または2回投与スキームに従って投与される、請求項1〜18のいずれか一項に記載の使用のための免疫原性組成物。 前記免疫応答が、交差反応性CD4ヘルパーT細胞応答および/または交差反応性体液性免疫応答を含む、請求項1〜19のいずれか一項に記載の使用のための免疫原性組成物。 少なくとも1つのインフルエンザウイルス株に由来する抗原または抗原調製物と、水中油乳濁液アジュバントとを含む第1の免疫原性組成物を以前にワクチン接種された小児被験者における1回投与スキームによる使用のための少なくとも1つのインフルエンザウイルス株に由来する抗原または抗原調製物を含む第2の免疫原性組成物。 第2の免疫原性組成物の少なくともインフルエンザウイルス株が、第1の免疫原性組成物の少なくともインフルエンザウイルス株とは異なる型またはサブタイプのものである、請求項21に記載の第2の免疫原性組成物および第1の免疫原性組成物。 前記組成物がアジュバント化されていない、請求項21または22に記載の使用のための第2の免疫原性組成物。 前記組成物が異なるサブタイプの2つのA型インフルエンザウイルス株および1つのB型インフルエンザウイルス株を含む三価組成物である、請求項21〜23のいずれか一項に記載の使用のための第2の免疫原性組成物。 小児被験者が6ヶ月〜3歳、または4歳〜8歳の年齢である、請求項21〜24のいずれか一項に記載の使用のための第2の免疫原性組成物。 小児被験者が3歳以上の年齢である、請求項25に記載の使用のための第2の免疫原性組成物。 前記小児被験者が第2の免疫原性組成物を投与される1年前に第1の免疫原性組成物をワクチン接種されている、請求項21〜26のいずれか一項に記載の使用のための第2の免疫原性組成物。 第2のインフルエンザウイルス株が前記第1のインフルエンザウイルス株とは異なるサブタイプまたは異なる型に由来する前記第2のインフルエンザウイルス株により引き起こされる疾患の治療または予防における使用のための第1のインフルエンザウイルス株に由来する抗原または抗原調製物と、水中油乳濁液アジュバントとを含む免疫原性組成物。 請求項2〜20に記載の1つ以上の特徴を有する、請求項28に記載の免疫原性組成物。 水中油乳濁液アジュバントと一緒に少なくとも1つのインフルエンザウイルス株に由来する抗原または抗原調製物を含む第1の免疫原性組成物の投与、次いで、少なくとも1つのインフルエンザウイルス株に由来する抗原または抗原調製物を含む第2の免疫原性組成物の投与を含み、第1の免疫原性組成物の投与が、第2の免疫原性組成物中に含まれるが第1の免疫原性組成物中には存在しないインフルエンザウイルス株に対する免疫応答を誘導する、インフルエンザ疾患に対する予防および/または治療の方法。 第1の免疫原性組成物と第2の免疫原性組成物の少なくともインフルエンザウイルス株が、異なる型またはサブタイプのものである、請求項30に記載の方法。 第1の免疫原性組成物の少なくともインフルエンザウイルス株がA型のものであり、第2の免疫原性組成物の少なくともインフルエンザウイルス株がB型のものである、請求項31に記載の方法。 第2の免疫原性組成物がプライミング組成物中に含まれるA型インフルエンザウイルス株とは異なるサブタイプのA型インフルエンザウイルス株をさらに含む、請求項32に記載の方法。 第2の免疫原性組成物がプライミング組成物の1年後に投与される、請求項30〜33のいずれか一項に記載の方法。 第1の免疫原性組成物が1回投与スキームに従って投与される、請求項30〜34のいずれか一項に記載の方法。 第2の免疫原性組成物が1回投与スキームに従って投与される、請求項30〜35のいずれか一項に記載の方法。 本発明は、インフルエンザ疾患に対して免疫するためのインフルエンザワクチン組成物およびワクチン接種スキームに関し、特に、本発明は、第2のインフルエンザウイルス株が第1のインフルエンザウイルス株とは異なる型または異なるサブタイプに由来する、少なくとも1つの第2のインフルエンザウイルス株に対する免疫応答を誘導する際に使用するための、第1のインフルエンザウイルス株に由来する抗原または抗原調製物と、水中油乳濁液アジュバントとを含む免疫原性組成物に関する。【選択図】なし