タイトル: | 特許公報(B1)_皮下注射用剤 |
出願番号: | 2015129289 |
年次: | 2015 |
IPC分類: | A61L 27/00,A61K 33/42,A61K 47/38,A61K 9/08,A61P 17/00,A61P 43/00 |
金内 厚 JP 5797864 特許公報(B1) 20150828 2015129289 20150626 皮下注射用剤 ジーンメディカル株式会社 514318079 伊藤 温 100105315 井上 貴夫 100199299 金内 厚 20151021 A61L 27/00 20060101AFI20151001BHJP A61K 33/42 20060101ALI20151001BHJP A61K 47/38 20060101ALI20151001BHJP A61K 9/08 20060101ALI20151001BHJP A61P 17/00 20060101ALI20151001BHJP A61P 43/00 20060101ALI20151001BHJP JPA61L27/00 JA61K33/42A61K47/38A61K9/08A61P17/00A61P43/00 111 A61L 27/00 A61K 33/42 国際公開第2010/137122(WO,A1) 特表2003−507351(JP,A) Carbohydrate Polymers,2012年,Vol.89,p.1123-1130 10 17 20150630 深草 亜子 本発明は、皮下注射用剤に関する。 美容医療の分野においては、美容向上の手段として、ハイドロキシアパタイトを含有する充填剤(フィラー)を皮下に注射することが行われている。ハイドロキシアパタイトは、生体親和性を始めとする各種効能を備えており、皮下注射においても優れた美容向上効果が期待される材料である。 例えば、特許文献1には、粒径80〜200μmのカルシウムハイドロキシアパタイトを含む粒子を用いる生体材料用組成物が開示されている。特許第3559565号 しかしながら、前記特許文献1に記載された剤においては、流動特性が必ずしも良好ではなかった。その結果、注射針として針径が太い針(内径0.21mm以上)を選択する必要があり、注射時に痛みを伴う等の問題があった。 また、前記特許文献に記載されたカルシウムハイドロキシアパタイト粒子の粒径では、マクロファージが異物として認識するために、炎症が生じる等の問題があった。 そこで、本発明は、流動特性に優れ、特に内径0.20mm以下であるような細い注射針においても使用可能であり、注射時の痛み、炎症の生じにくい皮下注射用剤を提供することを課題とする。 さらに、熱滅菌時に、ハイドロキシアパタイト粒子の再凝集が生じるという問題があった。再凝集が生じると皮下注射用剤の流動特性が低下する。そこで、本発明は、熱滅菌時に再凝集の生じにくい皮下注射用剤を提供することを課題とする。 本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた。その結果、特定のハイドロキシアパタイト粒子を特定量含む剤とすることにより、剤の流動特性を著しく改善可能なこと、及び、熱滅菌時にハイドロキシアパタイトの再凝集が生じにくいことを見出し、本発明を完成させた。即ち、本発明は以下の通りである。 本発明(1)は、皮下注射用剤において、 焼成ハイドロキシアパタイト粒子を含有するハイドロゲルを有し、 前記焼成ハイドロキシアパタイト粒子の含有率が、前記剤の全質量を基準として、1〜60質量%であり、 前記焼成ハイドロキシアパタイト粒子の平均粒径が15μm以下であり、前記焼成ハイドロキシアパタイト粒子の4%以上が5μm以上30μm以下の粒径である剤である。 本発明(2)は、前記焼成ハイドロキシアパタイト粒子が、コラーゲン産生増進用であることを特徴とする、前記発明(1)の剤である。 本発明(3)は、前記ハイドロゲルが、カルボキシメチルセルロースゲルである、前記発明(1)又は(2)の剤である。 本発明(4)は、前記ハイドロゲルの粘度が、50〜15000mPa・sである、前記発明(1)〜(3)のいずれかの剤である。 本発明(5)は、前記剤が、0.20mm以下の内径を有する中空針を通過する、前記発明(1)〜(4)のいずれかの剤である。 本発明(6)は、皮下注射用剤の製造方法において、 焼成ハイドロキシアパタイト粒子とハイドロゲルとを混合する工程を有し、 前記焼成ハイドロキシアパタイト粒子の含有率が、前記剤の全質量を基準として、1〜60質量%であり、 前記剤中の焼成ハイドロキシアパタイト粒子の平均粒径が15μm以下であり、前記焼成ハイドロキシアパタイト粒子の4%以上が5μm以上30μm以下の粒径である製造方法である。 本発明(7)は、前記焼成ハイドロキシアパタイト粒子が、コラーゲン産生増進用であることを特徴とする、前記発明(6)の製造方法である。 本発明(8)は、前記ハイドロゲルが、カルボキシメチルセルロースゲルである、前記発明(6)又は(7)の製造方法である。 本発明(9)は、前記ハイドロゲルの粘度が、50〜15000mPa・sである、前記発明(6)〜(8)のいずれかの製造方法である。 本発明(10)は、前記剤が、0.20mm以下の内径を有する中空針を通過する、前記発明(6)〜(9)のいずれかの製造方法である。 本発明によれば、ハイドロキシアパタイト粒子の再凝集が生じにくく、流動特性に優れ、特に内径0.20mm以下であるような細い注射針においても使用可能であり、注射時の痛み、炎症の生じにくい皮下注射用剤を提供することが可能となる。図1は、実施例に係る、フィラーの粒度分布を測定した結果を示す図である。 本発明の好適な実施形態に係る皮下注射用剤に関して、以下の順番で説明する。(1)皮下注射用剤の組成(2)皮下注射用剤の製造方法(3)皮下注射用剤の作用(4)皮下注射用剤の使用方法(5)皮下注射用剤の物性≪組成≫ 以下、本実施形態に係る皮下注射用剤の成分及びその配合量に関して詳述する。<成分> 本実施形態に係る皮下注射用剤は、ハイドロキシアパタイト粒子とハイドロゲルとを含み、更にその他の成分を含んでいてもよい。尚、ハイドロキシアパタイト粒子凝集体は、ハイドロキシアパタイト粒子の凝集体である。(ハイドロキシアパタイト粒子) 先ず、本実施形態に係るハイドロキシアパタイト(水酸化燐灰石)粒子に関し、組成、機能及び特性、入手方法、焼成、粒径に関して説明する。尚、ここで示すハイドロキシアパタイト粒子の物性(特に粒径)は、皮下注射用剤中に含まれるハイドロキシアパタイト粒子の物性を示すものである(皮下注射用剤中に含まれるハイドロキシアパタイト粒子の物性と、皮下注射用剤の構成原料であるハイドロキシアパタイト粒子の物性とは、製造段階による形態変化等が生じる場合もあるため、必ずしも同一とは限らない)。・組成 ハイドロキシアパタイト(HAp:Hydroxyapatite)は、化学式Ca10(PO4)6(OH)2で示される塩基性リン酸カルシウムで、天然には歯や骨の主成分として、また鉱石として存在する。・機能及び特性 ハイドロキシアパタイト粒子は、高い生体親和性を示す。特に皮下注射用剤として使用した場合には、ナノ粒子としてフィラー中に存在するハイドロキシアパタイト粒子が、繊維芽細胞を刺激することでコラーゲン産生を増進する。また、マイクロ粒子としてフィラー中に存在するハイドロキシアパタイト粒子は、スペーサーとして物理的に機能する。・焼成 本実施形態に係るハイドロキシアパタイト粒子としては、焼成ハイドロキシアパタイト粒子(以下、特に断らない限り、「ハイドロキシアパタイト粒子」とある場合には、「焼成ハイドロキシアパタイト粒子」を意味する。)を用いる。ハイドロキシアパタイト粒子を焼成(例えば、800℃で1時間)することにより、粒子の結晶性が高くなり、且つ複数の一次粒子の凝集体が熱により融着して、より強固で安定な粒子となる。特に、分散焼成法により焼成することが好適であり、融着防止剤を用いて焼成することにより凝集しにくくかつ結晶性の高いアパタイトナノ粒子を得ることができる。このように、本発明でいう「ハイドロキシアパタイト粒子」とは、特に断らない限り、一次粒子サイズの焼成ハイドロキシアパタイト粒子のみならず、複数の一次粒子が融着した凝集体も含む概念である。 このような焼成アパタイト粒子を用いることで、線維芽細胞を刺激して、コラーゲン産生を増進する効果の高いフィラーを得ることができる。すなわち、ハイドロキシアパタイト粒子を焼成ハイドロキシアパタイトとすることにより、未焼成のものと比較して、コラーゲン産生促進作用が顕著に向上するという効果を奏する。更に、焼成ハイドロキシアパタイトは、非晶質のハイドロキシアパタイトと比べて、結晶性が高く、生体において溶解性が低い。従って、生体内で長期間、生体活性を維持することができるため、コラーゲン産生促進効果が長期間発揮され易くなる。 焼成ハイドロキシアパタイト粒子は、非晶質のハイドロキシアパタイトを焼成させることにより得られる。具体的には、例えば、分散焼成法で焼成させることにより、焼成ハイドロキシアパタイトを得ることができる。また、ハイドロキシアパタイト粒子の結晶性の高い、高結晶性ハイドロキシアパタイト粒子を用いることが好適である。 焼成温度の下限値としては、500℃以上がより好ましい。焼成温度が500℃よりも低いと、焼成が十分でない場合がある。一方、焼成温度の上限値としては、1800℃以下がより好ましく、1250℃以下がさらに好ましく、1200℃以下が特に好ましい。焼成温度が1800℃よりも高いと、ハイドロキシアパタイトが分解する場合がある。従って、焼成温度を上記範囲内とすることにより、生体内で溶解し難い(結晶性が高い)ハイドロキシアパタイトを製造することができる。また、焼成時間としては、特に限定されるものではなく、適宜設定すればよい。尚、焼成により、粒子同士が融着してしまう場合もあるが、このような場合には、焼成後の粒子を粉砕して使用することが可能である。 ハイドロキシアパタイト粒子が焼成されているか否かは、当該粒子の結晶性の度合いにより判断することができる。ハイドロキシアパタイト粒子の結晶性の度合いは、X線回折法(XRD)により測定することができる。各結晶面を示すピークの半値幅が狭ければ狭いほど結晶性が高いといえる。具体的には、本形態における焼成ハイドロキシアパタイト粒子は、X線回折(CuKα線)における2θ=32°付近(300)面のピークの半値幅が、好適には0.8以下(より好適には、0.5以下)の高結晶性のハイドロキシアパタイト粒子である。 前述のように、融着防止剤を用いて焼成することにより凝集しにくくかつ結晶性の高いアパタイトナノ粒子を得ることができる。融着防止剤としては、ハイドロキシアパタイト粒子間の融着を防止できるものであれば特に限定されるものではないが、上記の焼成温度において、不揮発性であることが好ましい。ただし、焼成工程終了後に10%以上残存する程度の不揮発性であればよい。また、融着防止剤は、焼成工程終了後に熱により化学的に分解するものであってもよい。さらに、融着防止剤が、溶媒、特に水系溶媒に溶解する物質であることが好ましい。融着防止剤が混在するハイドロキシアパタイト粒子を水系溶媒に懸濁するだけで、融着防止剤を除去することができるからである。 このような融着防止剤の具体例としては、塩化カルシウム、酸化カルシウム、硫酸カルシウム、硝酸カルシウム、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、酢酸カルシウム、クエン酸カルシウム等のカルシウム塩(又は錯体)、塩化カリウム、酸化カリウム、硫酸カリウム、硝酸カリウム、炭酸カリウム、水酸化カリウム、リン酸カリウム等のカリウム塩、塩化ナトリウム、酸化ナトリウム、硫酸ナトリウム、硝酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、リン酸ナトリウム等のナトリウム塩等が挙げられる。・入手方法 一般的なハイドロキシアパタイト粒子の製造方法としては、例えば溶液法(湿式法)が挙げられる。これは、中性若しくはアルカリ性の水溶液中でカルシウムイオンとリン酸イオンとを反応させることにより合成する方法であり、中和反応によるものや、カルシウム塩とリン酸塩を反応させるものがある。前述のように、融着防止剤共存下で焼成することにより凝集の少ない結晶性のアパタイト粒子を得る。・粒径 本実施形態に係るハイドロキシアパタイト粒子の粒径(平均粒径)は、15μm以下であり、好適には10μm以下であり、より好適には5μm以下であり、よりいっそう好適には3μm以下であり、更に好適には1μm以下である。ハイドロキシアパタイト粒子の粒径をこのような範囲とすることで、繊維芽細胞を刺激してのコラーゲン産生増進作用を示す。また、このような範囲とすることで、生体内で異物として認識され難いサイズであることから、マクロファージの誘因が起き難いという作用を示す。ハイドロキシアパタイト粒子の粒径(平均粒径)の下限値は特に限定されないが、例えば10nm以上である。 尚、ここで示すフィラー中のハイドロキシアパタイト粒子(凝集体を含む)の平均粒径は、レーザー散乱式粒度分布測定装置(島津製作所製SALD−7500)の高濃度測定ユニットを用いて粒度分布を測定し、粒度分布測定結果より50%体積粒径(D50)を求めることによって、決定することができる。具体的には、スライドガラス(マツナミ S7213)の間に可能な限り延伸してフィラーを挟み込み、屈折率を1.65として測定する。 また、顕微鏡により撮影した画像における各粒子(例えば、50個の粒子)の粒子経を測長し、その平均径により決定する。あるいは、フィラーを水等に膨潤させてハイドロゲルを溶解させて、取り出したハイドロキシアパタイトの各粒子(例えば、50個の粒子)の粒子径を測長し、その平均径により決定することもできる。 本実施形態に係る剤中のハイドロキシアパタイト粒子の粒径に関して、実用上の問題として、ほとんどの粒子が所望範囲内にあればよく、発明の効果を阻害しない範囲内で一部の粒子が所望範囲から外れてもよい。 ここで、ハイドロキシアパタイト粒子の粒径がナノオーダーである場合に、皮下注射用剤の粘度を上昇させる場合がある。このような粘度上昇は、皮下注射用剤を皮下に留める、という点では有利であるが、粘度が高くなり過ぎると、注射針からの射出が困難になる場合がある。そのような観点からは、ハイドロキシアパタイト粒子の粒径は、好適には15nm以上であり、より好適には20nm以上であり、特に好適には100nm以上である。 このように、本実施形態に係る皮下注射用剤におけるハイドロキシアパタイト粒子は、コラーゲン産生増進作用を有する成分、粘度の向上成分等として機能し、更にはマクロファージの誘因成分となり得る。これらの機能を全て適当なものとするという点で、ハイドロキシアパタイト粒子の粒径は、10nm〜20μmであることが好適である。 しかし、前述のように、融着防止剤共存下で焼成することにより凝集の少ない結晶性のアパタイト粒子を得ることができるが、アパタイト粒子の粒度分布において、粒径の大きいアパタイト粒子が一定の割合で存在しない場合には、熱滅菌時にアパタイト粒子の再凝集が生じやすくなる。これは、熱滅菌時にフィラーの粘度が低下し液化するために、微細なアパタイト粒子がブラウン運動により再凝集するものと考えられる。 アパタイト粒子の再凝集が生じると、皮下注射用剤の流動特性が低下する。換言すれば、ゲルとアパタイト粒子の分離が生じ、アパタイト粒子が凝集することで、30Gの針を通過するのに要する力が増大する恐れがある。 このため、アパタイト粒子の4%以上が5μm以上30μm以下の粒径であることが好適であり、5%以上が5μm以上30μm以下の粒径であることがより好適である。また、アパタイト粒子の3%以上が6μm以上30μm以下の粒径であることが好適であり、4%以上が6μm以上30μm以下の粒径であることがより好適である。 粒径の大きいアパタイト粒子の割合の上限は、前述の平均粒径との関係で決定することができる。 粒度分布は、前述のように、レーザー散乱式粒度分布測定装置(島津製作所製SALD−7500)の高濃度測定ユニットを用いて測定することができる。具体的には、スライドガラス(マツナミ S7213)の間に可能な限り延伸してフィラーを挟み込み、屈折率を1.65として測定する。(ハイドロゲル) ハイドロゲルは、剤に用いることができるものであれば、特に限定されないが、例えば、カルボキシメチルセルロースゲル(CMC)、ポリビニルアルコールゲル、ポリアクリル酸ソーダゲル{例えば、Carbopol(登録商標)等}が挙げられる。原料となるセルロースの安全性、安価であることなどから、カルボキシメチルセルロースゲルが好ましい。・カルボキシメチルセルロースゲル カルボキシメチルセルロース(CMC)は、セルロースの水酸基にカルボキシメチル基が導入されたセルロースエーテルである。本形態において、CMCであれば特に限定されないが、CMCのナトリウム塩であるナトリウムカルボキシメチルセルロース(Na−CMC)が好ましい。 市販されているCMCのエーテル化度は約0.5〜1.0の範囲であるが、セルロース単位当りの3個の水酸基全部をエーテル化したエーテル化度3のCMCを製造することも可能であり、エーテル化度1.0以上のものも市販されている。CMCのエーテル化度はCMC工業会発行の灰分アルカリ法により得られる。本形態では、エーテル化度が0.5以上であることが好ましく、0.8以上であることがより好ましく、1.0以上であることがさらに好ましい。尚、エーテル化度とは、一般的に、セルロースを構成するグルコース残基中の水酸基のうち、カルボキシメチル基又はその塩で置換された水酸基の平均個数を示す。 CMCの分子量は50,000〜500,000であることが好ましい。この分子量が50,000未満では低粘度となりチクソトロピー性が劣化する。一方、分子量が500,000を越えると、高粘度化しすぎて、注射可能なアパタイトの配合量が不足する。尚、ここで示す分子量は、重量平均分子量を示し、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定することができる。 カルボキシメチルセルロースゲルの製造方法は特に限定されないが、例えば、カルボキシメチルセルロース、グリセリン及び水を配合することによって製造することができる。配合する重量比は特に限定されないが、後述のように好適な範囲の粘度があることから、カルボキシメチルセルロース:グリセリン:水=1:5〜20:30〜60であることが好ましく、1:7〜15:40〜55であることがさらに好ましい。 カルボキシメチルセルロース(CMC)ゲルはチクソトロピー性を示す物理ゲルであり、せん断応力がゼロまたは、ゼロに近い場合は、弾性体として振る舞い、せん断速度の増加に伴い、流体としての挙動を示す。このことは、シリンジの針から射出する際には、小さい力で流体として、容易に注入され、すなわち、施術が容易でかつ、施術による患者への負荷が非常に小さいといえる。しかしながら、皮下に注入後は、弾性体として形状を維持することで、皮下の特定部位に留まり、皺を伸ばす効果を有する。 ハイドロゲルの粘度は、50〜15000mPa・sであることが好ましく、55〜10000mPa・sであることがより好ましく、60〜1000mPa・sであることがよりいっそう好ましく、65〜500mPa・sであることが更に好ましく、70〜300mPa・sであることが特に好ましい。ハイドロゲルの粘度が低いと、皮下に注入後、形状を維持することができず、皮下の特定部位に留まらない。ハイドロゲルの粘度が高い場合には、十分量のハイドロキシアパタイト粒子(本形態に係る、径の小さいハイドロキシアパタイト粒子)を分散させることが困難となり、また、0.20mm以下の内径を有する中空針を通過することができない。粘度の測定は、例えば、JIS Z 8803に従い振動式粘度計を用いて測定することができ、具体的には、Viscomate MODEL VM−10Aによって測定された値である。 本形態に係る粒径の範囲のハイドロキシアパタイト粒子は、ハイドロゲルの骨格との相互作用が本形態に係る粒径の範囲を超える粒子よりも強いため、フィラーが皮下で溶解することを抑制する作用がある。(その他の成分) その他の成分としては、本形態の効果を阻害しない範囲内で、粘度調整剤(例えば、グリセリン等)や、分散剤(例えば、ポリアクリル酸等)等の公知の添加剤を適宜含んでいてもよい。<配合量> 本実施形態に係る皮下注射用剤において、ハイドロキシアパタイト粒子の含有率は、皮下注射用剤の全質量を基準として、1質量%以上であり、好適には15質量%以上であり、より好適には20質量%以上であり、更に好適には30質量%以上である。ハイドロキシアパタイト粒子の含有率をこのような範囲とすることにより、高い弾力を示すとともに、フィラーに配合されたアパタイト粒子の沈降による分離を防止できる。また、ハイドロキシアパタイト粒子の含有率が1質量%未満(特には、15質量%未満)であると、長期保管によるアパタイト粒子とゲルの分離が顕著となり得る。 ハイドロキシアパタイト粒子の含有率の上限値は特に限定されないが、皮下注射用剤の全質量を基準として、60質量%以下であり、50質量%以下が好適であり、45質量%以下が好適であり、40質量%以下が特に好適である。この上限値を超えると内径0.20mm以下(更には、内径0.18以下)という微細な針からの射出は困難となるため、施術時の患者への負荷が高くなる。 ここで、前述のように、本実施形態に係る皮下注射用剤において、粒径が小さいハイドロキシアパタイト粒子を用いる場合、皮下注射用剤の粘度が高くなる場合がある。しかしながら、例えば、コラーゲン産生増進作用及びマクロファージの誘因が起きないという作用に特に優れる100nm以下(下限値は特に限定されないが、例えば20nm)の粒径であるハイドロキシアパタイト粒子を用いる場合でも、ハイドロキシアパタイト粒子の配合量を40質量%以下(より好適には35質量%以下)とすることで、皮下注射用剤の粘度を最適なものとすることが容易となる(その結果、より細い注射針においても使用可能となる)。 また、ハイドロゲル(特にはカルボキシメチルセルロースゲル)の含有率は、特に限定されないが、皮下注射用剤の全質量を基準として、固形物換算で、好適には0.5質量%〜2.0質量%であり、より好適には0.6質量%〜1.5質量%であり、更に好適には0.7質量%〜1.0質量%である。 尚、その他の成分の含有率は、特に限定されないが、皮下注射用剤の全質量を基準として、好適には5.0量%〜10質量%であり、より好適には6.0質量%〜9.0質量%であり、更に好適には6.5質量%〜8.8質量%である。≪製造方法≫ 次に、本実施形態に係る皮下注射用剤の製造方法を説明する。 本実施形態に係る皮下注射用剤は、前記の原料を適宜配合・混合(撹拌)することによっても調整可能であり、その製造方法は特に限定されない。≪作用≫ 本実施形態に係る皮下注射用剤を皮下注入後、まず、ハイドロゲルが吸収分解される。本形態に係る焼成ハイドロキシアパタイト粒子は粒径が小さいために、焼成ハイドロキシアパタイト粒子が放出される。そして、焼成ハイドロキシアパタイト粒子による繊維芽細胞刺激によってコラーゲン産生が増進される。前述のように、生体内にて異物として認識され難いサイズであることから、マクロファージの誘因が起き難いという作用を示し、結晶性が高いことから、生体内で長期間生体活性を維持することができる。その結果、コラーゲンリッチ組織が皮下に残存する。 一方、ハイドロキシアパタイト粒子の平均粒径が本形態より大きい場合には、アパタイトは受動的に作用する。生体親和性のため、アパタイト粒子の表面が皮下で徐々にコラーゲンで覆われるとともに、異物としても認識されるサイズであるため、マクロファージによりアパタイトが貪食され、表面を覆うコラーゲン層が残存することで、しわ取り効果が持続するという機作である。≪使用方法≫ 本実施形態に係る皮下注射用剤の使用方法は、何ら限定されるものではないが、一般的な注射器のシリンジに充填した後、皮下用の注射において使用することができる。特に、0.20mm以下の内径を有する中空針を有する注射器用の注射用剤とすることができる。ここで、本実施形態に係る皮下注射用剤の具体的な使用方法として、本実施形態に係る皮下注射用剤を含有する注射器の好適な製造方法及び本実施形態に係る皮下注射用剤の適用方法に関して説明する。尚、これらはあくまで一例であり、本実施形態に係る皮下注射用剤の使用方法はこれらには何ら限定されない。<注射器の製造方法> 本実施形態に係る皮下注射用剤を含有する注射器の製造方法は、脱泡工程を含むことを特徴とする方法である。以下各々の工程に関して説明する。(脱泡工程) まず、本実施形態に係る皮下注射用剤は、脱泡工程によって、皮下注射用剤に含まれるエアが除去される。本形態に係る皮下注射用剤の特性から、遠心分離機にかける方法が皮下注射用剤の脱泡工程として好適であり、減圧下で遠心分離機にかける方法が最も好適である。より具体的には、カルボキシメチルセルロース(CMC)ゲルを主成分とする等、チクソトロピー性を有するフィラーを用いる場合、遠心分離によってフィラーにせん断力が加えられることで、フィラーを低粘度化させ、脱泡効率を上昇させることが可能となる。更に減圧下で遠心分離を行うことにより、当該脱泡原理と合わせ、脱泡効率を更に上昇させることが可能となる。 脱泡条件としては、特に限定されないが、例えば、下記レシピ例が挙げられる。・レシピ01 高粘度標準脱泡 1.3KPa 9/3 90sec (圧力 公転/自転比 時間)・レシピ02 金属系フィラー脱泡 1.3KPa 3/9 120sec 1.3KPa 7/5 90sec 1.3KPa 9/2 60sec・レシピ03 セラミック系フィラー脱泡 1.3KPa 2/5 60sec 1.3KPa 5/5 60sec このような脱泡工程を含むことにより、焼成ハイドロキシアパタイト粒子を含むハイドロゲルを有する皮下注射用剤に含まれるエアを除去できることから、皮下注射時の炎症を抑制することができる。(充填工程) 次に、脱泡工程後の皮下注射用剤をシリンジに充填し、本実施形態に係る注射器とする。(殺菌工程) 更に、本実施形態に係る皮下注射用剤は、必要に応じて、殺菌・滅菌を行ってもよい。殺菌・滅菌方法としては、例えば、高圧蒸気滅菌が挙げられる。<適用方法> 本実施形態に係る皮下注射用剤及び皮下注射用剤を含有する注射器の適用方法としては、従来の皮下注射用剤及び皮下注射用剤を含有する注射器等と同様であり、特に限定されない。≪物性≫ 本実施形態に係る皮下注射用剤によれば、カルボキシメチルセルロースゲルを主成分として、平均粒径が15μm以下の焼成ハイドロキシアパタイト粒子を用いることで、前記剤の全質量を基準として、1〜60質量%以上の焼成ハイドロキシアパタイト粒子を配合しても、内径0.20mm以下であるような細い注射針においても使用可能となる。内径0.20mmとは、内径が大きい注射針30Gに相当する。本実施形態に係る皮下注射用剤は、内径が大きい注射針32G(内径0.18mm)以下の細い注射針や、通常の注射針30G(内径0.14mm)以下の細い注射針においても使用可能であり、通常の注射針32G(内径0.12mm)以下の細い注射針においても使用可能である。<チクソトロピー性> 本実施形態に係る皮下注射用剤は、発明の効果をより高めるために、36−37℃(体温)におけるチクソトロピー指数が、0.1〜0.5であることが好適であり、0.1〜0.3であることがより好適である。チクソトロピー指数は、下記射出特性によって測定された数値である。<射出特性> シリンジに充填したフィラーの針からの射出特性を評価する方法を述べる。射出特性の評価方法には、本形態に係る流動性定量評価装置を用いる。この流動性定量評価装置によって、簡易に射出特性を評価することができる。 具体的には、注射筒に充填された粘性液体が該注射筒と結合した注射針から射出される際の射出特性を評価する粘性液体の流動性定量評価装置であって、前記粘性液体が充填された注射筒の押子に一定の負荷を与える負荷付与手段と、前記負荷付与手段により、前記注射針から前記粘性液体が射出する際に、前記負荷の時間的依存性を計測する計測手段と、前記計測手段による計測結果から、前記粘性液体が前記注射針から射出する際の流動曲線を取得する、ことを特徴とする粘性液体の流動性定量評価装置である。この流動性定量評価装置の詳細を以下に述べる。 まず、シリンジにたとえば内径0.159mmの30G長さ0.5インチの針を装着した後、シリンジを固定し、プランジャー部にたとえば瞬間的に3kgの荷重を加える。この荷重を加える手段、すなわち、粘性液体が充填された注射筒の押子に一定の負荷を与える負荷付与手段としては、特に限定されないが、例えば、シリンジポンプを用いる。 この時、針からフィラーが吐出されプランジャーに加えた荷重が、フィラーの吐出にしたがって経時的に減少する重量計の指示値を計測する。これが、負荷付与手段により、注射針から粘性液体が射出する際に、負荷の時間的依存性を計測する計測手段である。 そして、重量計の指示値、すなわち、計測手段による計測結果の時間微分より、せん断速度が求められる。このせん断速度に対して、重量計の指示値、すなわち、せん断応力をプロットすると一般にレオメーターで評価できる流動曲線を求めることができる。つまり、計測手段による計測結果から、粘性液体が注射針から射出する際の流動曲線を取得することができる。取得した流動曲線から、粘性液体の流動性を評価することができる。 流動性の評価として、せん断応力の対数とせん断速度の対数の両対数プロットの傾きと切片からゲルのチクソトロピー性とゲルネットワークの形成の平衡定数が求められる。前記両対数プロットの傾きが1に近いとき、その流体はニュートン流体(加える力に応じて抵抗が増える通常の液体)であり、1より小さい場合はチクソトロピー性(力を加えないときには固体として振るまうが、力を加えると流体的な挙動をする性質)を示し、1より大きいときはダイダランシー性(力を加えないと流体的な挙動を示すが、力に応じて固さを増す性質)を示す。 本形態に係るフィラーはチクソトロピー性を示し、シリンジ内では固体的であるが、プランジャーに力を加えると容易に針から吐出し、皮下に注入された後は、固体化して注入箇所のとどまり皺伸ばし効果を即座に発揮する。 ここで、本発明は、以下の形態(A)〜(I)であってもよい。 本形態(A)は、皮下注射用剤の製造方法において、 前記剤が、 焼成ハイドロキシアパタイト粒子を含有するハイドロゲルを有する剤であって、 前記製造方法が、 前記剤に含まれるエアを除去する脱泡工程を有する製造方法である。 本形態(B)は、 皮下注射用剤を含有する注射器の製造方法において、 前記剤が、 焼成ハイドロキシアパタイト粒子を含有するハイドロゲルを有する剤であって、 前記製造方法が、 前記剤に含まれるエアを除去する脱泡工程と、 前記脱泡工程後の前記剤をシリンジに充填する工程とを有する製造方法である。 本形態(C)は、 前記脱泡工程が、減圧下で、前記剤を遠心分離機にかけることによって脱泡を行う工程である、前記形態(A)又は(B)の製造方法である。 本形態(D)は、 前記ハイドロゲルが、カルボキシメチルセルロースゲルである、前記形態(A)〜(C)のいずれかの製造方法である。 本形態(E)は、 前記剤の粘度が、50〜15000mPa・sである、前記形態(A)〜(D)のいずれかの製造方法である。 本形態(F)は、 前記焼成ハイドロキシアパタイト粒子の平均粒径が15μm以下である、前記形態(A)〜(E)のいずれかの製造方法である。 本形態(G)は、 前記焼成ハイドロキシアパタイト粒子の90%以上が、15μm以下の粒径である、前記形態(A)〜(H)の製造方法である。 本形態(H)は、 前記焼成ハイドロキシアパタイト粒子の含有率が、前記剤の全質量を基準として、1〜60質量%である、前記形態(A)〜(G)のいずれかの製造方法である。 本形態(I)は、 前記剤が、0.20mm以下の内径を有する中空針を通過する、前記形態(A)〜(H)のいずれかの製造方法である。 一般的な美容用フィラー等においては、製造物をそのまま使用した場合、炎症が発生し得る等、安全面に問題が残る場合がある。しかしながら、上記形態(A)〜(I)によれば、炎症の生じにくい皮下注射用剤及び皮下注射用剤を含有する注射器を提供することが可能となる。≪皮下注射用剤の製造≫<原料>・CMC−Na・グリセリン・焼成ハイドロキシアパタイト凝集体・滅菌水<工程> 使用する器具の滅菌を行った。 次に、グリセリン50gをプロペラシャフト付モーターにて300rpmで撹拌した。2分超撹拌しながら、グリセリン中にCMC−Na5gを配合し、15分撹拌し溶液を得た。 得られた溶液を10分超撹拌し、得られたCMC−Naペーストを、1.5cm角にカットし204mlの滅菌水中に配合した。この滅菌水を120分撹拌し、CMC−Naハイドロゲル(粘度208mPa・s)を得た。 得られたCMC−Naハイドロゲル28.0gに、焼成ハイドロキシアパタイト凝集体12.0gを3回に別けて配合し、10分撹拌し、原料フィラーを得た。 得られた原料フィラー30.0gをプロペラ撹拌し、皮下注射用剤(HAp配合率30質量%)を得た。 ここで、使用する焼成ハイドロキシアパタイト凝集体については、粒径が40nm、200nm、3μm、7μm、25μmのものを解砕・混合し、実施例1、実施例2、比較例1及び比較例2の各々に係る皮下注射用剤における焼成ハイドロキシアパタイト凝集体を用意した。≪評価≫<粒度分布> 前記工程により調整した皮下注射用剤を、ナノ粒子径分布測定装置SALD‐7500nano(島津製作所)を用いて、皮下注射用剤におけるアパタイト粒子の粒度分布を測定した。スライドガラスの間に可能な限り延伸して皮下注射用剤を挟み込み、屈折率を1.65として測定した。結果を図1に示す。<熱滅菌時再凝集性> 次に、皮下注射用剤を120℃で熱滅菌し、再凝集性を観察した。再凝集が観察される場合を△、再凝集が観察されない場合を○とした。結果を表1に示す。<30G針通過性> さらに、再凝集の生じなかった上記皮下注射用剤(即ち、熱滅菌時再凝集性にて評価が○である皮下注射用剤)に関して、30Gの針を通過可能かの評価を行った。具体的には、皮下注射用剤を脱泡した後、注射器に充填した。次に、得られた注射器の押し出しを行い、注射器中の皮下注射用剤が30G針通過性を確認した。スムーズに通過する場合を◎、押し出しに少し抵抗がある場合を○、押し出しに強い力が必要な場合を△、押し出しが出来ない場合を×とした。結果を表1に示す。 図1及び表1において示すように、実施例に係る皮下注射用剤(焼成ハイドロキシアパタイト粒子の4%以上が5μm以上30μm以下の粒径)である場合には、再凝集が生じない。 さらに、再凝集が生じない皮下注射用剤は、内径0.12mmである注射針を通過可能であることを確認した。 また、各実施例に係る皮下注射用剤のチクソトロピー指数を、前述の方法により計測したところ、0.1〜0.3となることを確認した。即ち、実施例に係る皮下注射用剤は、細い針を通過可能であると共に、十分な時間、皮下に留まり得ることがわかる。[参考例]≪皮下注射用剤の製造≫<原料>・CMC−Na・グリセリン・焼成ハイドロキシアパタイト凝集体・滅菌水<工程> 使用する器具の滅菌を行った。 次に、グリセリン50gをプロペラシャフト付モーターにて300rpmで撹拌した。2分超撹拌しながら、グリセリン中にCMC−Na5gを配合し、15分撹拌し溶液を得た。 得られた溶液を10分超撹拌し、得られたCMC−Naペーストを、1.5cm角にカットし204mlの滅菌水中に配合した。この滅菌水を120分撹拌し、CMC−Naハイドロゲル(粘度208mPa・s)を得た。 得られたCMC−Naハイドロゲル28.0gに、焼成ハイドロキシアパタイト凝集体12.0gを3回に別けて配合し、10分撹拌し、原料フィラーを得た。 得られた原料フィラー30.0gをプロペラ撹拌し、皮下注射用剤(HAp配合率30質量%)を得た。 更に、使用する焼成ハイドロキシアパタイト凝集体を、粒径が40nm、200nm、3μm、7μm、25μmのものから選択し、カルボキシメチルセルロースゲルを、粘度が67.3mPa・s、208mPa・s、514mPa・sのものから選択し、HAp配合率を変更した以外は、上記と同様にして、皮下注射用剤を調製した。≪評価≫ 次に、上記皮下注射用剤に関して、30Gの針を通過可能かの評価を行った。具体的には、皮下注射用剤を脱泡した後、注射器に充填した。次に、得られた注射器の押し出しを行い、注射器中の皮下注射用剤が30G針通過性を確認した。スムーズに通過する場合を◎、押し出しに少し抵抗がある場合を○、押し出しに強い力が必要な場合を△、押し出しが出来ない場合、又はフィラー自体を作成できない場合を×とした。結果を表2に示す。 皮下注射用剤において、 焼成ハイドロキシアパタイト粒子を含有するハイドロゲルを有し、 前記焼成ハイドロキシアパタイト粒子の含有率が、前記剤の全質量を基準として、1〜60質量%であり、 前記焼成ハイドロキシアパタイト粒子の平均粒径が15μm以下であり、前記焼成ハイドロキシアパタイト粒子の4%以上が5μm以上30μm以下の粒径であることを特徴とする剤。 前記焼成ハイドロキシアパタイト粒子が、コラーゲン産生増進用であることを特徴とする、請求項1に記載の剤。 前記ハイドロゲルが、カルボキシメチルセルロースゲルであることを特徴とする、請求項1又は2に記載の剤。 前記ハイドロゲルの粘度が、50〜15000mPa・sであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の剤。 前記剤が、0.20mm以下の内径を有する中空針を通過することを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の剤。 皮下注射用剤の製造方法において、 焼成ハイドロキシアパタイト粒子とハイドロゲルとを混合する工程を有し、 前記焼成ハイドロキシアパタイト粒子の含有率が、前記剤の全質量を基準として、1〜60質量%であり、 前記剤中の焼成ハイドロキシアパタイト粒子の平均粒径が15μm以下であり、前記焼成ハイドロキシアパタイト粒子の4%以上が5μm以上30μm以下の粒径であることを特徴とする製造方法。 前記焼成ハイドロキシアパタイト粒子が、コラーゲン産生増進用であることを特徴とする、請求項6に記載の製造方法。 前記ハイドロゲルが、カルボキシメチルセルロースゲルであることを特徴とする、請求項6又は7に記載の製造方法。 前記ハイドロゲルの粘度が、50〜15000mPa・sであることを特徴とする、請求項6〜8のいずれかに記載の製造方法。 前記剤が、0.20mm以下の内径を有する中空針を通過することを特徴とする、請求項6〜9のいずれかに記載の製造方法。【課題】 熱滅菌時にハイドロキシアパタイトの再凝集が生じにくく、流動特性に優れ、特に内径0.20mm以下であるような細い注射針においても使用可能であり、注射時の痛み、炎症の生じにくい皮下注射用剤を提供すること。【解決手段】 皮下注射用剤において、焼成ハイドロキシアパタイト粒子を含有するハイドロゲルを有し、前記焼成ハイドロキシアパタイト粒子の含有率が、前記剤の全質量を基準として、1〜60質量%であり、前記焼成ハイドロキシアパタイト粒子の平均粒径が15μm以下であり、前記焼成ハイドロキシアパタイト粒子の4%以上が5μm以上30μm以下の粒径であることを特徴とする剤。【選択図】 なし