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タイトル:公開特許公報(A)_窒化ホウ素用分散剤
出願番号:2015065242
年次:2015
IPC分類:B01F 17/42,C07C 39/17,C01B 21/064,C07C 211/63,B01F 17/16,B01F 17/40,B01F 17/38


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阪本 浩規 JP 2015199064 公開特許公報(A) 20151112 2015065242 20150326 窒化ホウ素用分散剤 大阪瓦斯株式会社 000000284 特許業務法人三枝国際特許事務所 110000796 阪本 浩規 JP 2014072582 20140331 B01F 17/42 20060101AFI20151016BHJP C07C 39/17 20060101ALI20151016BHJP C01B 21/064 20060101ALI20151016BHJP C07C 211/63 20060101ALI20151016BHJP B01F 17/16 20060101ALI20151016BHJP B01F 17/40 20060101ALI20151016BHJP B01F 17/38 20060101ALI20151016BHJP JPB01F17/42C07C39/17C01B21/064 ZC07C211/63B01F17/16B01F17/40B01F17/38 12 OL 18 4D077 4H006 4D077AB02 4D077AC05 4D077BA01 4D077BA13 4D077DC03X 4D077DC04X 4D077DC06X 4D077DC12X 4D077DC13X 4D077DC15X 4D077DC19X 4D077DC38X 4D077DC42X 4D077DC71X 4H006AA03 4H006AB68 4H006FC52 4H006FC54 4H006FE13 本発明は、窒化ホウ素用分散剤に関する。特に、窒化ホウ素を放熱材料、絶縁材料、離型剤、潤滑材料、耐熱コーティング等に使用できるように水等の溶媒に分散するための分散剤に関する。 窒化ホウ素は、熱伝導性を有しながら絶縁性であるという金属や炭素質材料とは異なる特徴を有し、且つ、潤滑性、耐食性、黒鉛を上回る熱安定性等を有するセラミックス材料である。窒化ホウ素は、このような特徴を有していることから、放熱材料、絶縁材料、離型剤、潤滑材料、耐熱コーティング等に使用される材料として注目を浴びている。 このような窒化ホウ素について、窒化ホウ素を含むコーティングの均一性を増すために、又は窒化ホウ素の表面を均一に他の物質で処理し、窒化ホウ素の熱伝導性等の特性を極力損なわずに樹脂等他材料との親和性を増すために、媒体中で窒化ホウ素を孤立分散させる試みがなされている。その方法としては、通常、窒化ホウ素の媒体中での親和性を介助する物質(分散剤)を用いる方法が採用されている。この方法としては、コスト、有毒性及び環境面の観点から水等の水性媒体の使用が好ましい。 しかしながら、窒化ホウ素は濡れ性が悪いために、水に分散させることが非常に困難である。このため、窒化ホウ素を水に分散させる場合には、分子量の大きい分散剤を用いて窒化ホウ素を水に分散させたり(例えば特許文献1)、分散剤を大量に用いて窒化ホウ素を水に分散させたりすることが行われている。これらの窒化ホウ素用分散剤としては、窒化ホウ素の特性を阻害しないか、又は除去が容易な化合物が好ましいが、従来から使用されている分散剤は、上記のとおり、窒化ホウ素の特性(熱伝導性、耐食性、熱安定性等)を阻害する(特に、熱伝導性が大きく低下する)うえに、窒化ホウ素上に付着(又は結合)した分散剤を除去しようとしても、非常に困難である。このため、水等の水性溶媒に分散させるために分散剤を使用した場合には窒化ホウ素を再利用ができない。特開平8−127793号公報 本発明は、安価な材料及び簡易なプロセスを用いて、窒化ホウ素を高濃度に孤立分散させることができ、且つ、窒化ホウ素からの除去も容易な窒化ホウ素用分散剤を提供することを目的とする。また、本発明は、この窒化ホウ素用分散剤を用いた窒化ホウ素水分散体及び窒化ホウ素組成物を提供することも目的とする。さらに、本発明は、これら窒化ホウ素水分散体及び窒化ホウ素組成物からの窒化ホウ素の再利用方法を提供することも目的とする。 本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、特定の水溶性化合物を窒化ホウ素用の分散剤として使用する場合には、窒化ホウ素を容易に水等の水生溶媒に孤立分散させることが可能であるとともに、この分散剤は窒化ホウ素から除去することが容易であり、再利用可能であることを見出した。本発明者らは、当該知見に基づきさらに研究を重ね、本発明を完成するに至った。即ち、本発明は以下の構成を包含する。 項1.フルオレン骨格を有する化合物からなる窒化ホウ素用分散剤であって、前記フルオレン骨格を有する化合物は、一般式(1):[式中、Z1及びZ2は同じか又は異なり、それぞれ芳香族炭化水素環;R1a及びR1bは同じか又は異なり、それぞれ炭化水素基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基又は置換されていてもよいアミノ基;R2a及びR2bは同じか又は異なり、それぞれアルキレン基;R3a及びR3bは同じか又は異なり、それぞれ炭化水素基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、ヒドロキシアリール基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基又は置換されていてもよいアミノ基;m1及びm2は同じか又は異なり、それぞれ0以上の整数;p1及びp2は同じか又は異なり、それぞれ1以上の整数;h1及びh2は同じか又は異なり、それぞれ0〜4の整数;j1及びj2は同じか又は異なり、それぞれ0〜4の整数である。]で示されるフルオレン化合物の有機アンモニウム塩、アルカリ金属塩、アンモニウム塩、又はアルキレンオキシド付加物である、窒化ホウ素用分散剤。 項2.前記一般式(1)において、Z1及びZ2は同じか又は異なり、それぞれベンゼン環又はナフタレン環である、項1に記載の窒化ホウ素用分散剤。 項3.前記一般式(1)において、m1及びm2がいずれも0である、項1又は2に記載の製造方法。 項4.前記フルオレン骨格を有する化合物が、前記一般式(1)で示される化合物の有機アンモニウム塩及び/又はアルカリ金属塩である、項1〜3のいずれかに記載の窒化ホウ素用分散剤。 項5.項1〜4のいずれかに記載の窒化ホウ素用分散剤、窒化ホウ素、及び水を含む溶媒を含有する窒化ホウ素水分散体。 項6.前記窒化ホウ素が、六方晶構造を有する、項5に記載の窒化ホウ素水分散体。 項7.前記溶媒中の水の含有量が70重量%以上である、項5又は6に記載の窒化ホウ素水分散体。 項8.項5〜7のいずれかに記載の窒化ホウ素水分散体の製造方法であって、(1)前記窒化ホウ素用分散剤と前記水を含む溶媒とを混合して窒化ホウ素用分散剤分散体を調製する工程、(2)前記窒化ホウ素用分散剤分散体と、前記窒化ホウ素とを混合する工程を備える、製造方法。 項9.項5〜7のいずれかに記載の窒化ホウ素水分散体の乾燥物である、窒化ホウ素組成物。 項10.前記窒化ホウ素用分散剤の含有量が、前記窒化ホウ素100重量部に対して、1重量部以上である、項9に記載の窒化ホウ素組成物。 項11.項5〜7のいずれかに記載の窒化ホウ素水分散体、又は項8に記載の製造方法により得られた窒化ホウ素水分散体から、溶媒を乾燥させることを特徴とする、窒化ホウ素及び窒化ホウ素用分散剤を含有する窒化ホウ素組成物の製造方法。 項12.項11に記載の製造方法により得られた窒化ホウ素組成物を水又は有機溶媒で洗浄して窒化ホウ素用分散剤を除去することを特徴とする、窒化ホウ素の再利用方法。 本発明によれば、安価な材料及び簡易なプロセスを用いて、窒化ホウ素を高濃度に孤立分散させることができる。 また、本発明によれば、窒化ホウ素組成物であっても、凝集を抑制しつつ得ることができる。つまり、用途に応じて、使用する形態を適宜設定することができるため、汎用性が高い。 また、本発明の分散剤は、必要に応じて、窒化ホウ素から容易に除去することができるため、窒化ホウ素を容易に再利用することができる。 1.窒化ホウ素用分散剤 本発明の窒化ホウ素用分散剤は、窒化ホウ素を水に孤立分散させるために使用される。以下、説明する。 [窒化ホウ素] 窒化ホウ素の結晶構造としては、特に制限されず、六方晶窒化ホウ素及び立方晶窒化ホウ素のいずれも採用し得るが、後者は作製条件が超高圧且つ高温であるため、前者の六方晶窒化ホウ素が好ましい。 窒化ホウ素としては、特に制限されず、粉末状、粒子状、繊維状、チューブ状、塊状のいずれも採用することができる。このような窒化ホウ素の平均粒子径は、通常5nm〜100μm、好ましくは10nm〜50μmである。窒化ホウ素の平均粒子径は、平滑性が必要な場合は平均粒子径は小さいほうが好ましく、絶縁、放熱等の目的で連続相が必要な場合は平均粒子径は大きいほうが好ましいことから、用途にあわせて適宜選択することが好ましい。なお、窒化ホウ素の平均粒子径は、電子顕微鏡観察(SEM又はTEM)により測定するものとする。 [分散剤] 本発明の窒化ホウ素用分散剤は、一般式(1):[式中、Z1及びZ2は同じか又は異なり、それぞれ芳香族炭化水素環;R1a及びR1bは同じか又は異なり、それぞれ炭化水素基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基又は置換されていてもよいアミノ基;R2a及びR2bは同じか又は異なり、それぞれアルキレン基;R3a及びR3bは同じか又は異なり、それぞれ炭化水素基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、ヒドロキシアリール基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基又は置換されていてもよいアミノ基;m1及びm2は同じか又は異なり、それぞれ0以上の整数;p1及びp2は同じか又は異なり、それぞれ1以上の整数;h1及びh2は同じか又は異なり、それぞれ0〜4の整数;j1及びj2は同じか又は異なり、それぞれ0〜4の整数である。]で示されるフルオレン化合物の有機アンモニウム塩、アルカリ金属塩、アンモニウム塩、又はアルキレンオキシド付加物(以下、「フルオレン化合物」と言うこともある)である。 この化合物は、窒化ホウ素表面に吸着して水中で窒化ホウ素を高濃度に孤立分散させることができる。また、この化合物は、公知又は市販の化合物を用いることができ、コスト及び分散性の両方で従来品より優位性がある。さらに、この化合物は、窒化ホウ素表面に残存しても窒化ホウ素の特性(熱伝導性、絶縁性、耐食性、熱安定性等)に影響を与えにくいという優位性も有する。 一般式(1)において、Z1及びZ2は、炭素数が6〜14の芳香族炭化水素環が好ましく、炭素数が6〜14の単環又は縮合環の芳香族炭化水素環がより好ましく、炭素数6〜10の単環又は二環の芳香族炭化水素環がさらに好ましい。具体的には、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、ビフェニル環、インデン環等が挙げられ、ベンゼン環、ナフタレン環がより好ましい。このうち、フルオレン化合物の水溶性を重視する場合はベンゼン環が好ましく、窒化ホウ素との親和性を重視する場合はナフタレン環が好ましい。なお、Z1及びZ2は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。 一般式(1)において、R1a及びR1bは、炭化水素基(アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基等)、アルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、置換されていてもよいアミノ基等が好ましい。 一般式(1)において、R1a及びR1bで示されるアルキル基としては、直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1〜8(特に1〜6)のアルキル基が好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基等が好ましい。 一般式(1)において、R1a及びR1bで示されるシクロアルキル基としては、炭素数5〜10(好ましくは5〜8、特に5〜6)のシクロアルキル基が好ましく、具体的には、シクロペンチル基、シクロへキシル基等が好ましい。 一般式(1)において、R1a及びR1bで示されるアリール基としては、炭素数6〜10のアリール基が好ましく、具体的には、フェニル基、アルキルフェニル基(アルキル:前述したもの;トリル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基等のメチルフェニル基等)、キシリル基等のジメチルフェニル基等)、ナフチル基等が好ましい。 一般式(1)において、R1a及びR1bで示されるアラルキル基としては、前述したアリール基と前述したアルキル基を有する炭素数7〜14のアラルキル基が好ましく、具体的には、ベンジル基、フェネチル基等が好ましい。 一般式(1)において、R1a及びR1bで示されるアルコキシ基としては、炭素数1〜8(特に1〜6)のアルコキシ基が好ましく、具体的には、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、t−ブトキシ基等が好ましい。 一般式(1)において、R1a及びR1bで示されるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。 一般式(1)において、R1a及びR1bで示される置換されていてもよいアミノ基としては、非置換アミノ基の他、上述した基(アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基及びシアノ基等)や後述する基(シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、ヒドロキシアリール基等)を置換基に有するものが好ましく、具体的には、置換アミノ基が好ましく、ジメチルアミノ基等のジアルキルアミノ基がより好ましい。 これらのなかでも、R1a及びR1bとしては、フルオレン化合物の水溶性、窒化ホウ素の分散性等の観点から、適宜設定することが好ましいが、炭化水素基、さらにはアルキル基、特には炭素数1〜6のアルキル基、さらにはメチル基等の炭素数が1〜4のアルキル基等を好適に使用し得る。 なお、j1が複数(2〜4の整数)である場合、複数の基R1aは同じでもよいし、互いに異なっていてもよい。同様に、j2が複数(2〜4の整数)である場合、複数の基R1bは同じでもよいし、互いに異なっていてもよい。 また、異なるベンゼン環に置換した基R1aと基R1bとは同じでもよいし、互いに異なっていてもよい。また、基R1a及びR1bの結合位置(置換位置)は、特に限定されず、例えば、フルオレン環の2位、7位等の少なくとも1つが挙げられる。 前記一般式(1)において、基R1a及びR1bの置換数であるj1及びj2は同じでも異なっていてもよいが、通常0〜4の整数、好ましくは0〜2の整数、より好ましくは0又は1、さらに好ましくは0である。 一般式(1)において、R2a及びR2bは、アルキレン基、特に炭素数2〜4のアルキレン基が好ましく、具体的には、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基等が挙げられる。また、アルキレン基R2a及びR2bの種類は係数m1及びm2の数によっても異なっていてもよい。なかでも、炭素数が2〜3のアルキレン基が好ましく、エチレン基及びプロピレン基がより好ましく、エチレン基がさらに好ましい。 なお、m1が複数(2以上の整数)である場合、複数の基R2aは同じでもよいし、互いに異なっていてもよい。同様に、m2が複数(2以上の整数)である場合、複数の基R2bは同じでもよいし、互いに異なっていてもよい。 また、基R2aと基R2bとは同じでもよいし、互いに異なっていてもよい。 前記一般式(1)において、OR2a及びOR2bの繰り返し数であるm1及びm2は同じでも異なっていてもよく、0以上の整数であるが、通常0〜10の整数、好ましくは0〜7の整数、より好ましくは0〜5の整数、さらに好ましくは0〜3の整数、さらに好ましくは0又は1、さらには0である。 また、前記一般式(1)において、−O−(R2aO)m1−H基及び−O−(R2bO)m2−H基の繰り返し数であるp1及びp2は同じでも異なっていてもよく、1以上の整数であるが、通常1〜4の整数、好ましくは1〜3の整数、より好ましくは1又は2、さらに好ましくは1である。 なお、前記一般式(1)において、−O−(R2aO)m1−H基及び−O−(R2bO)m2−H基の置換位置は、特に限定されず、環Z1及びZ2の適当な置換位置に置換していればよい。例えば、−O−(R2aO)m1−H基及び−O−(R2bO)m2−H基は、環Z1及びZ2がベンゼン環である場合、ベンゼン環の2〜6位に置換していればよく、4位に置換しているのが好ましい。また、−O−(R2aO)m1−H基及び−O−(R2bO)m2−H基は、環Z1及びZ2が縮合多環式炭化水素環である場合、縮合多環式炭化水素環において、フルオレンの9位に結合した炭化水素環とは別の炭化水素環(例えば、ナフタレン環の5位、6位等)に少なくとも置換している場合が多い。 一般式(1)において、R3a及びR3bは、炭化水素基(アルキル基、シクロアルキル基等、アリール基、アラルキル基等)、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、ヒドロキシアリール基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、置換されていてもよいアミノ基等が好ましい。 一般式(1)において、R3a及びR3bで示される炭化水素基(アルキル基、シクロアルキル基等、アリール基、アラルキル基等)、アルコキシ基、ハロゲン原子、及び置換されていてもよいアミノ基としては、前記例示の基を採用できる。 一般式(1)において、R3a及びR3bで示されるシクロアルコキシ基としては、炭素数5〜10のシクロアルコキシ基が好ましく、具体的には、シクロへキシルオキシ基等が好ましい。 一般式(1)において、R3a及びR3bで示されるアリールオキシ基としては、前述したアリール基を有する炭素数6〜10のアリールオキシ基が好ましく、具体的には、フェノキシ基等が好ましい。 一般式(1)において、R3a及びR3bで示されるアラルキルオキシ基としては、前述したアリール基と前述したアルキルオキシ基を有する炭素数7〜14のアラルキルオキシ基が好ましく、具体的には、ベンジルオキシ基等が好ましい。 一般式(1)において、R3a及びR3bで示されるアシル基としては、炭素数1〜6のアシル基が好ましく、具体的には、アセチル基等が好ましい。 一般式(1)において、R3a及びR3bで示されるアルコキシカルボニル基としては、炭素数1〜4のアルコキシカルボニル基が好ましく、具体的には、メトキシカルボニル基等が好ましい。 一般式(1)において、R3a及びR3bで示されるヒドロキシアリール基としては、前述したアリール基を有する炭素数6〜10のヒドロキシアリール基が好ましく、具体的には、ヒドロキシフェニル基(特に4−ヒドロキシフェニル基)、ヒドロキシC1-4アルキルフェニル基(特に4−ヒドロキシ−3−メチル基)、ヒドロキシナフチル基(特に4−ヒドロキシナフチル基)等が好ましい。 これらのなかでも、R3a及びR3bとしては、フルオレン化合物の水溶性、窒化ホウ素の分散性等の観点から、適宜設定することが好ましいが、炭化水素基、さらにはアルキル基、アリール基等、特には炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基等、さらにはメチル基等の炭素数が1〜4のアルキル基、フェニル基等の炭素数6〜8のアリール基等を好適に使用し得る。 なお、h1が複数(2以上の整数)である場合、複数の基R3aは同じでもよいし、互いに異なっていてもよい。同様に、h2が複数(2以上の整数)である場合、複数の基R3bは同じでもよいし、互いに異なっていてもよい。 また、基R3aと基R3bとは同じでもよいし、互いに異なっていてもよい。 前記一般式(1)において、基R3a及びR3bの置換数であるh1及びh2は同じでも異なっていてもよいが、通常0〜4の整数、好ましくは0〜2の整数、より好ましくは0又は1、さらに好ましくは0である。 なお、前記一般式(1)において、基R3a及びR3bの置換位置は、特に限定されず、環Z1及びZ2の適当な置換位置に置換していればよい。例えば、基R3a及びR3bは、環Z1及びZ2がベンゼン環である場合、ベンゼン環の2〜6位に置換していればよく、3位又は5位に置換しているのが好ましい。また、基R3a及びR3bは、環Z1及びZ2が縮合多環式炭化水素環である場合、縮合多環式炭化水素環において、フルオレンの9位に結合した炭化水素環とは別の炭化水素環(例えば、ナフタレン環の5位、7位、8位等)に少なくとも置換している場合が多い。 上記一般式(1)で示されるフルオレン化合物は、そのままでは水に対して難溶性である。水を主溶媒とする分散体として得やすいことから、本発明では、フルオレン化合物として、一般式(1)で示される化合物の有機アンモニウム塩、アルカリ金属塩、アンモニウム塩、又はアルキレンオキシド付加物を使用する。 上記有機アンモニウム塩としては、第四級アンモニウム塩が好適に使用され、例えば、テトラメチルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩等のテチラアルキルアンモニウム塩が好ましい。 上記アルカリ金属塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩等が挙げられ、ナトリウム塩、カリウム塩が好ましい。 上記アルキレンオキシド付加物としては、例えば、エチレンオキシド付加物等が挙げられる。 これらのなかでも、本発明で使用されるフルオレン化合物としては、フルオレン化合物の水溶性、窒化ホウ素の分散性等の観点から、有機アンモニウム塩、アルカリ金属塩、アンモニウム塩等が好ましく、有機アンモニウム塩、アルカリ金属塩等がより好ましく、テトラアルキルアンモニウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩等がさらに好ましい。 なお、上記一般式(1)で示される化合物において、−O−(R2aO)m1−H基及び−O−(R2bO)m2−H基のうち1つのみが上記塩を形成していてもよいし、全てが塩を形成していてもよい。なかでも、フルオレン化合物の水溶性、窒化ホウ素の分散性等の観点から、全てが塩を形成していることが好ましい。 つまり、好適なフルオレン化合物には、一般式(2):[式中、Z1、Z2、R1a、R1b、R2a、R2b、R3a、R3b、m1、m2、p1、p2、h1、h2、j1及びj2は前記に同じ;X1及びX2は同じか又は異なり、それぞれ有機アンモニウムカチオン、アルカリ金属カチオン、又はアンモニウムカチオンである。]で示される化合物を使用し得る。なお、一般式(2)において、有機アンモニウムカチオン、アルカリ金属カチオン、及びアンモニウムカチオンは、それぞれ有機アンモニウム塩、アルカリ金属塩、及びアンモニウム塩を形成し得るカチオンである。 代表的なフルオレン化合物には、m1及びm2が0である水溶性化合物、すなわち、9,9−ビス(ヒドロキシアリール)フルオレン類の塩として、9,9−ビス(ヒドロキシアリール)フルオレン有機アンモニウム塩、9,9−ビス(ヒドロキシアリール)フルオレンアルカリ金属塩、9,9−ビス(ヒドロキシアリール)フルオレンアンモニウム塩、9,9−ビス(ヒドロキシアリール)フルオレンアルキレンオキシド付加物等が含まれ得る。 これらの水溶性化合物を構成する9,9−ビス(ヒドロキシアリール)フルオレン類には、前記一般式(1)において、Z1及びZ2がベンゼン環であり、p1及びp2が1である9,9−ビスフェノールフルオレン類;Z1及びZ2がナフタレン環であり、p1及びp2が1である9,9−ビスナフトールフルオレン類;Z1及びZ2がベンゼン環であり、p1及びp2が2以上である9,9−ビス(ポリヒドロキシフェニル)フルオレン類等が含まれる。 具体的には、9,9−ビスフェノールフルオレン類は、R3a及びR3bが炭化水素基であり、h1及びh2が0又は1である化合物が好適に使用される。9,9−ビスフェノールフルオレン類としては、例えば、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン等の9,9−ビスフェノールフルオレン;9,9−ビス(4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−エチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(3−ヒドロキシ−6−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(2−ヒドロキシ−4−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−t−ブチルフェニル)フルオレン等の9,9−ビス(アルキルヒドロキシフェニル)フルオレン(例えば、9,9−ビス(C1-6アルキルヒドロキシフェニル)フルオレン等);9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−2,6−ジメチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)フルオレン等の9,9−ビス(ジアルキルヒドロキシフェニル)フルオレン(例えば、9,9−ビス(ジC1-6アルキルヒドロキシフェニル)フルオレン等);9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−シクロヘキシルフェニル)フルオレン等の9,9−ビス(シクロアルキルヒドロキシフェニル)フルオレン(例えば、9,9−ビス(C5-10シクロアルキルヒドロキシフェニル)フルオレン等);9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−フェニルフェニル)フルオレン等の9,9−ビス(アリールヒドロキシフェニル)フルオレン(例えば、9,9−ビス(C6-10アリールヒドロキシフェニル)フルオレン等)等が挙げられる。 また、前記9,9−ビスナフトールフルオレン類には、前記例示の9,9−ビスフェノールフルオレン類のフェニル基がナフチル基である9,9−ビスナフトールフルオレン類(例えば9,9−ビス[6−(2−ヒドロキシナフチル)]フルオレン、9,9−ビス[1−(5−ヒドロキシナフチル)]フルオレン等の9,9−ビスナフトールフルオレン等)等が含まれる。 さらに、前記9,9−ビス(ポリヒドロキシフェニル)フルオレン類には、前記9,9−ビス(ヒドロキシフェニル)フルオレン類(9,9−ビス(モノヒドロキシフェニル)フルオレン類)に対応するフルオレン類、例えば、9,9−ビス(ジヒドロキシフェニル)フルオレン(9,9−ビス(3,4−ジヒドロキシフェニル)フルオレン(ビスカテコールフルオレン)等);9,9−ビス(3,4−ジヒドロキシ−5−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(3,4−ジヒドロキシ−6−メチルフェニル)フルオレン等の9,9−ビス(アルキル−ジヒドロキシフェニル)フルオレン(例えば、9,9−ビス(C1-4アルキル−ジヒドロキシフェニル)フルオレン等)等の9,9−ビス(ジ又はトリヒドロキシフェニル)フルオレン類が含まれる。 なお、前記9,9−ビス(ヒドロキシアリール)フルオレン類には、例えば、前記フルオレン類(すなわち、9,9−ビスフェノールフルオレン類、9,9−ビスナフトールフルオレン類、9,9−ビス(ジヒドロキシフェニル)フルオレン類等)において、m及びnが1以上である化合物、例えば、9,9−ビス(4−ヒドロキシエトキシフェニル)フルオレン(ビスフェノキシエタノールフルオレン;BPEF)等の9,9−ビス[4−(ヒドロキシC2-3アルコキシ)フェニル]フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシエトキシ−3−メチルフェニル)フルオレン(ビスクレゾールエタノールフルオレン;BCEF)等の9,9−ビス(アルキルヒドロキシC2-3アルコキシフェニル)フルオレン等も含まれる。 つまり、本発明で使用されるフルオレン化合物としては、上記説明したフルオレン類の有機アンモニウム塩、アルカリ金属塩、アンモニウム塩、及びアルキレンオキシド付加物のいずれもが含まれる。なかでも、フルオレン化合物の水溶性、窒化ホウ素の分散性等の観点から、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン・2有機アンモニウム塩、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン・2アルカリ金属塩、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン・2アンモニウム塩、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン・2アルキレンオキシド付加物、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン・2有機アンモニウム塩、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン・2アルカリ金属塩、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン・2アンモニウム塩、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン・2アルキレンオキシド付加物、9,9−ビス(4−ヒドロキシナフチル)フルオレン・2有機アンモニウム塩、9,9−ビス(4−ヒドロキシナフチル)フルオレン・2アルカリ金属塩、9,9−ビス(4−ヒドロキシナフチル)フルオレン・2アンモニウム塩、9,9−ビス(4−ヒドロキシナフチル)フルオレン・2アルキレンオキシド付加物等が好ましく、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン・2有機アンモニウム塩、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン・2アルカリ金属塩、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン・2有機アンモニウム塩、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン・2アルカリ金属塩、9,9−ビス(4−ヒドロキシナフチル)フルオレン・2有機アンモニウム塩、9,9−ビス(4−ヒドロキシナフチル)フルオレン・2アルカリ金属塩等がより好ましい。 本発明の窒化ホウ素用分散剤は、上記のフルオレン化合物のみで構成されていてもよいし、本発明の効果を損なわない範囲で、他の分散剤が含まれていてもよい。このような他の分散剤としては、例えば、アクリル系分散剤(特開2008−266406)、変性セルロース系分散剤、ポリカルボン酸系分散剤(いずれも特開平8−127793)、シリコーン系材料、シランカップリング剤等が挙げられる。 これら他の分散剤を使用する場合は、窒化ホウ素の分散性等の観点から、窒化ホウ素用分散剤中の含有量が0.1〜50重量%、特に1〜30重量%となるように調整することが好ましい。 2.窒化ホウ素水分散体 本発明の窒化ホウ素水分散体は、上記の窒化ホウ素、上記の窒化ホウ素用分散剤、及び水を含む溶媒を含有する。この窒化ホウ素分散体としては、分散液として形成してもよいし、基板上に塗膜として形成してもよい。 本発明の窒化ホウ素水分散体において、窒化ホウ素の含有量は、特に制限されないが、窒化ホウ素の分散性等の観点から、0.001〜30重量%が好ましく、0.005〜20重量%がより好ましく、0.01〜10重量%がさらに好ましい。 本発明の窒化ホウ素水分散体において、窒化ホウ素分散剤の含有量は、特に制限されないが、窒化ホウ素の分散性等の観点から、0.001〜10重量%が好ましく、0.005〜8重量%がより好ましく、0.01〜5重量%がさらに好ましい。 窒化ホウ素分散体(分散液又は塗膜)を作製するために使用される溶媒としては、環境面及び除去しやすさ等の観点から、水を主溶媒として用いることが好ましい。 使用する溶媒中の水の含有量は、特に制限されないが、窒化ホウ素の分散性等の観点から、70重量%以上(70〜100重量%)が好ましく、80〜100重量%がより好ましい。 なお、本発明において、溶媒としては、水のみを使用してもよく、有機溶媒は必ずしも使用しなくてもよいが、窒化ホウ素分散剤(フルオレン化合物)の水への溶解性をより向上させるために、メタノール、エタノール、2−プロパノール、t−ブチルアルコール等のアルコール;エチレングリコール等のグリコール;グリセリン;2−メトキシエタノール等の有機溶媒を使用してもよい。 使用する溶媒中の有機溶媒の含有量は、窒化ホウ素の分散性等の観点から、30重量%以下(0〜30重量%)が好ましく、25重量%以下(0〜25重量%)がより好ましく、分散剤が溶解する限り、少ない方が好ましい。 本発明において、溶媒を使用した窒化ホウ素分散体を用いて特定の処理を行う場合、窒化ホウ素分散体中の溶媒の総量は、特に制限されないが、窒化ホウ素の分散性等の観点から、70〜99.9重量%が好ましく、80〜99.5重量%がより好ましく、90〜99重量%がさらに好ましい。 本発明の窒化ホウ素水分散体には、他の成分を含ませてもよい。これにより、このような他の成分としては、カーボンファイバー(特に繊維径500nm以下のカーボンナノファイバー)、活性炭、カーボンブラック(アセチレンブラック、オイルファーネスブラック等;特に導電性が高く、比表面積が大きいケッチェンブラック)、ガラス状カーボン、カーボンマイクロコイル、フラーレン、バイオマス系炭素材料(バガス、ソルガム、木くず、おがくず、竹、木皮、稲ワラ、籾殻、コーヒーかす、茶殻、おからかす、米糠、パルプくず等を原料としたもの;リグニンから製造したカーボンファイバー等)等が挙げられ、これらの少なくとも1種を、本発明の効果を損なわない範囲で使用してもよい。 上記本発明の窒化ホウ素水分散体の製造方法は限定的ではなく、上記各成分を混合することにより製造できるが、窒化ホウ素用分散剤と水を含む溶媒とを混合して窒化ホウ素用分散剤分散体を調製した後に、窒化ホウ素用分散剤分散体と、前記窒化ホウ素とを混合することにより製造することができる。本発明の製造方法における各成分の種類及び含有量については前記の通りである。 この際、窒化ホウ素用分散剤分散体と、前記窒化ホウ素とを混合する際、物理的分散処理を施すことが好ましい。この物理的分散処理は、例えば、超音波ホモジナイザー、ボールミル、ホモジナイザー等の公知の撹拌機により行うことができる。 この本発明の製造方法によれば、窒化ホウ素分散体には、フルオレン化合物を含んでいる。このフルオレン化合物は、窒化ホウ素表面に吸着して溶媒中で窒化ホウ素を高濃度に孤立分散させることも可能であるため、窒化ホウ素分散体においては分散剤としても機能する。また、前記フルオレン化合物は市販品を用いることができ、コスト及び分散性の両方で従来品より優位性がある。さらに、このフルオレン化合物は、窒化ホウ素表面に残存しても十分な特性(熱伝導性、絶縁性、耐食性、熱安定性等)を維持することができ、また、このフルオレン化合物を窒化ホウ素から容易に除去することができるという優位性もある。 また、本発明においては、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のプラスチック基板上に窒化ホウ素分散体を形成することも可能である。また、上記のとおり、この窒化ホウ素分散体から窒化ホウ素の分離・精製が容易であり、他材料に窒化ホウ素を均一混合することも可能であるため、窒化ホウ素を含むナノコンポジット等へ適用できる。さらに、窒化ホウ素分散体の乾燥物である窒化ホウ素組成物は、フルオレン化合物を含んでいても、有用な特性(熱伝導性、絶縁性、耐食性、熱安定性等)を維持できるうえに、残存するフルオレン化合物を容易に除去できるため、放熱材料、絶縁材料、離型剤、潤滑材料、耐熱コーティング、ガスバリア材料等のさまざまな用途に適用することができる。 3.窒化ホウ素組成物及び窒化ホウ素の再利用方法 本発明において、窒化ホウ素組成物は、上記窒化ホウ素分散体の乾燥物であり、窒化ホウ素と前記フルオレン化合物とを含んでいる。このような窒化ホウ素組成物の形状としては、特に制限はないが、塗膜、シート、塊状体等を挙げることができる。 乾燥物を得るためには、窒化ホウ素分散体の乾燥の他、基板上に窒化ホウ素分散体をスピンコートや塗布後に乾燥する方法、通常の固液分離により窒化ホウ素組成物を回収する方法等により実施することができる。この分離を行う方法としては、例えば、通常の固液分離に使用されている方法、例えば、濾紙、ガラスフィルター等を用いて濾過する方法;遠心分離後に濾過する方法;減圧濾過器を使用する方法を例示できる。次に、乾燥方法としては、特に限定されず、例えば、温風乾燥機等を用いて50〜200℃程度で1〜24時間程度乾燥させる方法を例示できる。また、エバポレータ、減圧乾燥炉、熱風乾燥炉等により乾燥し、粉砕して使用してもよい。また、スプレードライヤ等により、瞬間的に粉末化すると、粉体中の組成がより一体である優位性と、その後液中に分散させる場合も分散がより容易であるという優位性もある。さらに、フリーズドライ等により崩壊しやすい粉末を作製することも可能である。 このようにして得られる窒化ホウ素組成物は、十分な特性(熱伝導性、絶縁性、耐食性、熱安定性等)を有する。得られる窒化ホウ素組成物の組成は特に制限はないが、例えば、窒化ホウ素用分散剤の含有量を、窒化ホウ素100重量部に対して1重量部以上、好ましくは10〜100000重量部、より好ましくは100〜50000重量部とし得る。 本発明において、窒化ホウ素組成物は、窒化ホウ素表面にフルオレン化合物が残存していても十分な諸物性(熱伝導性、絶縁性、耐食性、熱安定性等)を有し得るが、必要に応じて、当該フルオレン化合物を除去することができる。具体的には、フルオレン化合物は、窒化ホウ素組成物を水、有機溶媒等で洗浄することにより除去することができる。洗浄処理は水及び有機溶媒以外にも、希酸又は希アルカリで洗浄することによっても除去できる。なお、フルオレン化合物が有機アンモニウム塩の場合は、150〜400℃、好ましくは200〜350℃の熱処理により有機アンモニウム塩が分解されるため、熱処理によってもフルオレン化合物を除去することができる。 本発明で用いるフルオレン化合物は窒化ホウ素とπ−π相互作用を利用して吸着しているため、水性媒体中でしか吸着を維持できず、また分子量が小さいため従来品と比べて吸着力も弱い。よって、本発明で用いるフルオレン化合物は窒化ホウ素組成物から除去し易いという利点がある。 窒化ホウ素用分散剤を除去するための洗浄は、窒化ホウ素組成物と洗浄液とを接触させることにより行うことができる。洗浄液としては、フルオレン化合物を溶解できるものであれば、水、各種の有機溶媒等が使用できる。有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール(IPA)等のアルコール(特に炭素数1〜6の低級アルコール)、アセトン、N−メチルピロリドン、ジメチルアセトアミド等が使用できる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組合せて用いてもよい。 これらの中でも、洗浄後に薄片状カーボン組成物から短時間で蒸発する有機溶媒が好ましい。有機溶媒としては、常圧における沸点が50〜250℃程度、特に60〜200℃程度のもの、例えば、メタノール、エタノール、アセトン、N−メチルピロリドン、ジメチルアセトアミド等が例示できる。 また、上記のように、窒化ホウ素用分散剤を除去するための洗浄を、窒化ホウ素組成物と希酸又は希アルカリとを接触させ、次いで水洗することにより行ってもよい。希酸は、0.1〜5%塩酸が好ましく、希アルカリは0.1〜3%アンモニア水が好ましい。 洗浄操作は、洗浄液と窒化ホウ素組成物とを接触させればよい。例えば、窒化ホウ素分散体から回収された窒化ホウ素組成物を、洗浄液中に室温で静かに浸漬させるのが好ましい。浸漬時間は、窒化ホウ素組成物の形状を維持するために、30分以内が好ましく、20分以内がより好ましい。 洗浄液の使用量は、洗浄を行うに有効な量であれば特に限定されず、広い範囲から適宜選択できるが、一般には、窒化ホウ素組成物100重量部に対して、洗浄液を100〜100000重量部程度、特に1000〜5000重量部程度使用すると良好な結果が得られる。 このようにして、窒化ホウ素を単離することができるため、窒化ホウ素を再利用することができる。 以下、実施例を示して本発明を具体的に説明する。但し本発明は実施例に限定されない。 実施例1 9,9−ビスフェノールフルオレン(9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン)1.0gに対して、25%テトラメチルアンモニウムヒドロキシドを10g加え、水を加えて合計100gとし、透明な溶液を得た。 この溶液に、窒化ホウ素(MARUKA製 AP−10S(平均一次粒子径3μm、平均二次粒子径3μm)0.1gを加え、超音波分散を行ったところ、均一な分散液が得られた。この分散液は1時間後も分散状態を保っていた。 実施例2 9,9−ビスナフトールフルオレン(9,9−ビス[6−(2−ヒドロキシナフチル)]フルオレン)1.0gに対して、25%テトラメチルアンモニウムヒドロキシドを10g加え、水を加えて合計80gとした。さらに、エタノールを20g加え、黄褐色を帯びた透明な溶液を得た。 この溶液に、窒化ホウ素(MARUKA製 AP−10S(平均一次粒子径3μm、平均二次粒子径3μm)0.1gを加え、超音波分散を行ったところ、均一な分散液が得られた。この分散液は1時間後も分散状態を保っていた。 実施例3 25%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド10gを1N水酸化ナトリウム水溶液10gとすること以外は、実施例1と同様に溶液を作製した。 この溶液に、窒化ホウ素(MARUKA製 AP−10S(平均一次粒子径3μm、平均二次粒子径3μm)0.1gを加え、超音波分散を行ったところ、均一な分散液が得られた。この分散液は1時間後も分散状態を保っていた。 実施例4 9,9−ビスナフトールフルオレン(9,9−ビス[6−(2−ヒドロキシナフチル)]フルオレン)1.0gに対して、25%テトラメチルアンモニウムヒドロキシドを10g加え、水を加えて合計65gとした。さらに、エタノールを35g加え、黄色を帯びた透明な溶液を得た。 この溶液に、窒化ホウ素(MARUKA製 AP−10S(平均一次粒子径3μm、平均二次粒子径3μm)0.1gを加え、超音波分散を行ったところ、均一な分散液が得られた。この分散液は1時間後も分散状態を保っていた。 実施例5 9,9−ビスナフトールフルオレン(9,9−ビス[6−(2−ヒドロキシナフチル)]フルオレン)1.0gに対して、25%テトラメチルアンモニウムヒドロキシドを10g加え、水を加えて合計70gとした。さらに、エタノールを30g加え、黄褐色を帯びた透明な溶液を得た。 この溶液に、窒化ホウ素(MARUKA製 AP−10S(平均一次粒子径3μm、平均二次粒子径3μm)0.1gを加え、超音波分散を行ったところ、均一な分散液が得られた。この分散液は1時間後も分散状態を保っていた。 実施例6 窒化ホウ素をMARUKA製 AP−170S:平均一次粒子径0.05μm、平均二次粒子径3μmとすること以外は、実施例1と同様に実験を行った。 その結果、均一な分散液が得られ、12時間後も分散状態を保っていた。 実験例7 9,9−ビスナフトールフルオレン(9,9−ビス[6−(2−ヒドロキシナフチル)]フルオレン)3gに対して、20%水酸化ナトリウム水溶液を6g加え、水を加えて合計1000gとした。黄色を帯びた透明な溶液を得た。 この溶液に、窒化ホウ素(MARUKA製 AP−10S(平均一次粒子径3μm、平均二次粒子径3μm)0.1gを加え、超音波分散を行ったところ、均一な分散液が得られた。この分散液は1時間後も分散状態を保っていた。 実験例8 9,9−ビスナフトールフルオレン(9,9−ビス[6−(2−ヒドロキシナフチル)]フルオレン)3gに対して、30%水酸化カリウム水溶液を6g加え、水を加えて合計1000gとした。黄色を帯びた透明な溶液を得た。 この溶液に、窒化ホウ素(MARUKA製 AP−10S(平均一次粒子径3μm、平均二次粒子径3μm)0.1gを加え、超音波分散を行ったところ、均一な分散液が得られた。この分散液は1時間後も分散状態を保っていた。 実験例9 9,9−ビスナフトールフルオレン(9,9−ビス[6−(2−ヒドロキシナフチル)]フルオレン)3.0gに対して、エタノールを20g、20%水酸化ナトリウム水溶液を7g加え、水を加えて合計100gとした。黄色を帯びた透明な溶液を得た。 この溶液に、窒化ホウ素(MARUKA製 AP−10S(平均一次粒子径3μm、平均二次粒子径3μm)0.1gを加え、超音波分散を行ったところ、均一な分散液が得られた。この分散液は1時間後も分散状態を保っていた。 実験例10 9,9−ビスナフトールフルオレン(9,9−ビス[6−(2−ヒドロキシナフチル)]フルオレン)2.0gに対して、水酸化ナトリウム0.8gを加え、合計20gになるまで撹拌しながら水を加えた。その結果、濃い黄色の透明な溶液を得た。 この溶液4gを10倍に希釈し、窒化ホウ素(昭和電工性UHP−2)0.1gを加えた撹拌したところ、窒化ホウ素が容易に水になじみ混合することができた。さらに超音波分散を行ったところ、分散液となった。 比較例1 窒化ホウ素(MARUKA製 AP−10S(平均一次粒子径3μm、平均二次粒子径3μm)0.1gに水100gを加え、超音波分散を行ったが、1時間後全て沈殿して分散液を維持することはできなかった。 比較例2 窒化ホウ素(MARUKA製 AP−10S(平均一次粒子径3μm、平均二次粒子径3μm)0.1gにエタノール100gを加え、超音波分散を行ったが、1時間後全て沈殿して分散液を維持することはできなかった。 比較例3 窒化ホウ素(MARUKA製 AP−10S(平均一次粒子径3μm、平均二次粒子径3μm)0.1gに水90gと25%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド10gを加え、超音波分散を行ったが、すぐに沈殿が生じ、20分後完全に沈殿したため、分散液を維持することはできなかった。 比較例4 水40gに窒化ホウ素0.1g(昭和電工(株)製UHP−2)を加えて撹拌したところ、窒化ホウ素が容易に水になじまず、液面上で膜状となった。超音波分散を行ったところ、一時的に分散したが5分後には完全に沈殿したため、分散液を維持することはできなかった。フルオレン骨格を有する化合物からなる窒化ホウ素用分散剤であって、前記フルオレン骨格を有する化合物は、一般式(1):[式中、Z1及びZ2は同じか又は異なり、それぞれ芳香族炭化水素環;R1a及びR1bは同じか又は異なり、それぞれ炭化水素基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基又は置換されていてもよいアミノ基;R2a及びR2bは同じか又は異なり、それぞれアルキレン基;R3a及びR3bは同じか又は異なり、それぞれ炭化水素基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、ヒドロキシアリール基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基又は置換されていてもよいアミノ基;m1及びm2は同じか又は異なり、それぞれ0以上の整数;p1及びp2は同じか又は異なり、それぞれ1以上の整数;h1及びh2は同じか又は異なり、それぞれ0〜4の整数;j1及びj2は同じか又は異なり、それぞれ0〜4の整数である。]で示されるフルオレン化合物の有機アンモニウム塩、アルカリ金属塩、アンモニウム塩、又はアルキレンオキシド付加物である、窒化ホウ素用分散剤。前記一般式(1)において、Z1及びZ2は同じか又は異なり、それぞれベンゼン環又はナフタレン環である、請求項1に記載の窒化ホウ素用分散剤。前記一般式(1)において、m1及びm2がいずれも0である、請求項1又は2に記載の製造方法。前記フルオレン骨格を有する化合物が、前記一般式(1)で示される化合物の有機アンモニウム塩及び/又はアルカリ金属塩である、請求項1〜3のいずれかに記載の窒化ホウ素用分散剤。請求項1〜4のいずれかに記載の窒化ホウ素用分散剤、窒化ホウ素、及び水を含む溶媒を含有する窒化ホウ素水分散体。前記窒化ホウ素が、六方晶構造を有する、請求項5に記載の窒化ホウ素水分散体。前記溶媒中の水の含有量が70重量%以上である、請求項5又は6に記載の窒化ホウ素水分散体。請求項5〜7のいずれかに記載の窒化ホウ素水分散体の製造方法であって、(1)前記窒化ホウ素用分散剤と前記水を含む溶媒とを混合して窒化ホウ素用分散剤分散体を調製する工程、(2)前記窒化ホウ素用分散剤分散体と、前記窒化ホウ素とを混合する工程を備える、製造方法。請求項5〜7のいずれかに記載の窒化ホウ素水分散体の乾燥物である、窒化ホウ素組成物。前記窒化ホウ素用分散剤の含有量が、前記窒化ホウ素100重量部に対して、1重量部以上である、請求項9に記載の窒化ホウ素組成物。請求項5〜7のいずれかに記載の窒化ホウ素水分散体、又は請求項8に記載の製造方法により得られた窒化ホウ素水分散体から、溶媒を乾燥させることを特徴とする、窒化ホウ素及び窒化ホウ素用分散剤を含有する窒化ホウ素組成物の製造方法。請求項11に記載の製造方法により得られた窒化ホウ素組成物を水又は有機溶媒で洗浄して窒化ホウ素用分散剤を除去することを特徴とする、窒化ホウ素の再利用方法。 【課題】安価な材料及び簡易なプロセスを用いて、窒化ホウ素を高濃度に孤立分散させることができ、且つ、窒化ホウ素からの除去も容易な窒化ホウ素用分散剤を提供する。また、この窒化ホウ素用分散剤を用いた窒化ホウ素水分散体及び窒化ホウ素組成物も提供する。さらに、これら窒化ホウ素水分散体及び窒化ホウ素組成物からの窒化ホウ素の再利用方法も提供する。【解決手段】特定のフルオレン骨格を有する化合物からなる窒化ホウ素用分散剤。【選択図】なし


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