タイトル: | 公開特許公報(A)_アルカリ金属で変性したバナジウム−リン−酸化物(VPO)触媒 |
出願番号: | 2015055550 |
年次: | 2015 |
IPC分類: | B01J 27/199,C07D 307/60,C07B 61/00 |
トーマス・コッター アンドレアス・ライツマン ゲルハルト・メストル ガブリエーレ・ドーナバウアー ズーザンネ・レーラー JP 2015196158 公開特許公報(A) 20151109 2015055550 20150319 アルカリ金属で変性したバナジウム−リン−酸化物(VPO)触媒 クラリアント・インターナシヨナル・リミテツド 596081005 江崎 光史 100069556 鍛冶澤 實 100111486 上西 克礼 100139527 虎山 一郎 100164781 トーマス・コッター アンドレアス・ライツマン ゲルハルト・メストル ガブリエーレ・ドーナバウアー ズーザンネ・レーラー DE 10 2014 004 786.5 20140402 B01J 27/199 20060101AFI20151013BHJP C07D 307/60 20060101ALI20151013BHJP C07B 61/00 20060101ALN20151013BHJP JPB01J27/199 ZC07D307/60 BC07B61/00 300 15 OL 9 4C037 4G169 4H039 4C037KB02 4C037KB12 4C037KB13 4G169AA08 4G169BB06A 4G169BB06B 4G169BC01A 4G169BC02A 4G169BC02B 4G169BC03A 4G169BC05A 4G169BC06A 4G169BC25A 4G169BC54A 4G169BC54B 4G169BC59A 4G169BC59B 4G169BD07A 4G169BD07B 4G169CB14 4G169FB30 4G169FB70 4H039CA42 4H039CC10 4H039CC30 4H039CG10 4H039CH20 本発明は、バナジウム−リン−酸化物(VPO触媒)及びアルカリ金属を含む触媒であって、バナジウム−リン−酸化物中のアルカリ金属の重量割合が、バナジウム−リン−酸化物の総重量に対し10〜400ppmの範囲である触媒、それの製造方法、並びに炭化水素の気相酸化のための、特にマレイン酸無水物の製造のための前記触媒の使用に関する。 マレイン酸無水物は、経済的に重要な意味を持つ化学的中間生成物である。これは、例えば、アルキド樹脂及びポリエステル樹脂の製造において、単独でまたは他の酸と組み合わせて使用されている。更に、これは、化学合成のための多方面で使用可能な中間生成物でもあり、例えばγ−ブチロラクトン、テトラヒドロフラン及び1,4−ブタンジオールの合成のための中間生成物であり、これらは、それら自体が溶剤として使用されるか、または例えばポリテトラヒドロフランやポリビニルピロリドンなどのポリマーに二次加工できる。 マレイン酸無水物の製造は、一般的に、バナジウム−リン−酸化物触媒(VPO触媒)の存在下に、分子状酸素をまたは分子状酸素含有ガスを用いて、気相中で炭化水素を部分的に酸化することによって行われる。一般的に、その酸化触媒は、バナジウム及びリンの混合酸化物を含み、この際、+3.8〜+4.8の価数のバナジウムを含むこのような酸化触媒が、少なくとも四つの炭素原子を持つ飽和炭化水素からのマレイン酸無水物の製造に特に適していることが分かっている。固定床反応器や、流動床反応器が使用される。 工業的に使用される全てのVPO触媒は、バナジウム−リン−酸化物、特にピロリン酸バナジウム類から製造されている。これのためには、通常は、五酸化バナジウム(V2O5)の還元、その後のリン酸(H3PO4)との反応が、有機アルコール性溶媒中で行われている。 現在最も性能の良いVPO触媒は、固定床反応器中で、3〜6メートルの長さにわたって390〜420℃の温度範囲及び1800〜2000h−1の空間速度(1.8〜2%C4)でのマレイン酸無水物の製造において、83〜86%の転化率を与える。これらの条件下に達成される選択性は、通常、73〜77%の範囲であり、そのため、約62〜65モル%(約105〜110重量%に相当)の総収率を達成できる。四年間の期待寿命にわたって、この触媒は、通常、触媒1キログラムあたり4000キログラムのマレイン酸無水物への転化を達成する。 VPO触媒は、n−ブタンからマレイン酸無水物への反応では僅かな固有活性しか持たない。それ故、十分な変換のためには、多量の触媒が必要となる。更に、VPO触媒では、本質的にそれらの原料のコストが高いという理由から、これらは一般に最も高価な非貴金属系触媒に数えられるという事情がある。その結果、このような触媒の触媒性能(活性及び選択性)または寿命をも改善することは重要な目的である。DE102005056866A1 それ故、本発明の課題は、改善された触媒性能、すなわち改善された転化率及び選択性を有する、炭化水素の気相酸化のための、特にマレイン酸無水物の製造のためのVPO触媒を提供することであった。 この課題は、バナジウム−リン−酸化物及びアルカリ金属を含む触媒であって、バナジウム−リン−酸化物中のアルカリ金属の重量割合が、バナジウム−リン−酸化物の総重量に対し10〜400ppm(パーツ・パー・ミリオン)の範囲である触媒によって解消される。 本出願の発明者は、驚くべきことに、バナジウム−リン−酸化物中の少量のアルカリ金属が、炭化水素の酸化のための触媒として使用した時の転化率及び選択性、特に選択性を著しく向上させることを確認した。しかし、更により少含有率のアルカリ金属は、性能向上に対し作用を持たない。アルカリ金属の含有率が高すぎる場合には、触媒の性能を再び強く低下させる触媒の被毒が起こるようである。 「バナジウム−リン−酸化物」という用語は、本出願においては、バナジウム、リン、場合によっては及び周期律表の他の元素でできた任意の混合酸化物を包含すると理解される。 ppmでの記載の量は、本出願においては、重量ppmと解され、すなわち、1ppmの割合とは、バナジウム−リン−酸化物の重量の1/1000000(100万分の1)の割合を意味する。 本発明の他の実施形態の一つでは、触媒が、バナジウム−リン−酸化物からなることが好ましい。 本発明の他の実施形態の一つでは、本発明の触媒において、アルカリ金属の割合が、20〜350ppmの範囲、より好ましくは50〜320ppmの範囲、最も好ましくは80〜300ppmの範囲であることが好ましい。 アルカリ金属は、バナジウム−リン−酸化物中に均一に分布していることが好ましく、すなわち、バナジウム−リン−酸化物は、アルカリ金属、バナジウム及びリンの混合酸化物として存在していることが好ましく、この際、この混合酸化物は、上記の元素の他に、他の原子を含んでいてもよい。 アルカリ金属という用語は、Li、Na、K、Rb、Csまたはこれらの混合物からなる群から選択される金属と解される。アルカリ金属が、Na、K、Rb、Csまたはこれらの混合物である場合により好ましい。更により好ましくは、アルカリ金属はNa、Kまたはこれらの混合物である。 他の実施形態の一つでは、本発明の触媒は、モリブデン及び/またはビスマスを、好ましくは酸化された形で、含むことができる。しかし、モリブデン及び/またはビスマスが、触媒活性バナジウム−リン−酸化物の一部であること、また同様にこれらが酸化された形で存在することが好ましく、すなわちバナジウム−リン−酸化物が、モリブデンまたはビスマスでドープされた形で存在することが好ましい。この場合、ドープされたバナジウム−リン−酸化物は、モリブデン及び/またはビスマスを、ドープされたバナジウム−リン−酸化物の総重量に対し好ましくは0.10〜0.90重量%のモリブデンまたは0.10〜1.5重量%のビスマスの範囲の量で、より好ましくは0.20〜0.60重量%のモリブデンまたは0.5〜1.3重量%のビスマスの範囲の量で含む。 さらに別の実施形態では、本発明の触媒中のバナジウム−リン−酸化物は、Zn及び/またはNiを含まない。 本発明によるVPO触媒は、固定床反応器中でも、流動床反応器中でも使用することができる。実施形態の一つでは、該VPO触媒は、固定床反応器に適した成形物として形成される。このためには、本発明によるVPO触媒は、当業者には周知の装置、例えばタブレットプレス機または押出機を用いた圧縮下に成形し、次いで安定した成形物へとか焼することができる。適当な成形物としては、例えば球体、タブレット、円筒形、環形や、またはDE102005056866A1(特許文献1)に開示の成形物も考慮される。 別の言い方をすれば、すなわち、本発明は、バナジウム源とアルカリ金属源をまたはアルカリ金属含有バナジウム源をリン源と反応させる本発明による触媒の製造方法であって、この際、アルカリ金属の割合は、バナジウム−リン−酸化物が、バナジウム−リン−酸化物の総重量に対して、好ましくは10〜400ppm、より好ましくは20〜350ppm、更により好ましくは50〜320ppm、最も好ましくは80〜300ppmのアルカリ金属の重量割合を有する前記方法にも関する。 本発明による触媒のバナジウム−リン−酸化物中のアルカリ金属の含有率は、本発明の方法では、合成に必要な源の秤量分などを介して簡単に制御することができる。この場合、使用されるアルカリ金属源とバナジウム源に関してまたは使用されるアルカリ金属含有バナジウム源に関して、これらが定量的に反応して最終生成物になるということが前提である。その他では、最終含有率は、元素分析(AASまたはICP)を介しても求めることができる。 この場合、バナジウム−リン−酸化物の合成は、通常の方法において行うことができる。バナジウム源としては、好ましくは、高価数のバナジウム化合物、例えば五酸化バナジウム(V2O5)が、リン源としては、好ましくはリン酸(H3PO4)が使用される。このためには、第一のステップにおいて、高価数のバナジウム化合物を還元し、それから得られた化合物を、第二のステップにおいてリン源と、好ましくは有機アルコール性溶媒中で反応させることが好ましい。アルカリ金属源をバナジウム源及びリン源と反応させる実施形態では、アルカリ金属源を、バナジウム源の還元の時またはその後のリン源との反応ステップの間のいずれかで添加することが好ましい。 上記第一ステップにおける高価数バナジウム化合物の還元のためには、脂肪族または芳香族アルコールを還元剤として使用することができる。これの例は:メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、2−ブタノール及びベンジルアルコールである。 アルカリ金属源としては、例えば、無機または有機塩を使用でき、この際、無機塩が好ましい。無機塩は、好ましくは以下の化合物から選択される:炭酸塩、炭酸水素塩、リン酸塩、リン酸水素塩、リン酸二水素塩、ケイ酸塩及び硝酸塩。 更なるプロセスステップ、例えば機械的処理、乾燥、特に噴霧乾燥、スプレーコーティング、押出及びか焼が可能である。 更に本発明は、炭化水素の(気相)酸化のための本発明によるVPO触媒の使用に関する。別の言い方をすれば、本発明は、本発明によるVPO触媒の使用下で炭化水素を(気相)酸化するための方法にも関する。 更に、本発明は、少なくとも四つの炭素原子を有する炭化水素、特にn−ブタンを気相酸化することによってマレイン酸無水物を製造するための、本発明によるVPO触媒の使用に関する。 更に、本発明は、少なくとも四つの炭素原子を有する炭化水素、特にn−ブタンの気相酸化によってマレイン酸無水物を製造する方法であって、この酸化が、本発明によるVPO触媒の存在下に行われる方法に関する。この際、好ましくは固定床反応器が使用される。 炭化水素としては、通常は、少なくとも四つの炭素原子を有する脂肪族または芳香族で飽和または不飽和の炭化水素、例えば1,3−ブタジエン、1−ブテン、2−シス−ブテン、2−トランス−ブテン、n−ブタン、1,3−ペンタジエン、1,4−ペンタジエン、1−ペンテン、2−シス−ペンテン、2−トランス−ペンテン、n−ペンタン、シクロペンタジエン、ジシクロペンタジエン、シクロペンテン、シクロペンタン、ヘキセン、ヘキサン、シクロヘキサン、及び/またはベンゼンが使用される。好ましくは、1−ブテン、2−シス−ブテン、2−トランス−ブテン、n−ブタン、ベンゼンまたはこれらの混合物が使用される。n−ブタン、並びにn−ブタン含有ガス及び液体の使用が特に好ましい。 酸化剤としては、通常は、酸素含有ガス、例えば空気、合成空気、酸素が富化されたガスまたは純粋な酸素が使用される。 好ましい実施形態の一つでは、本発明による触媒は、0.5〜15体積%の炭化水素濃度及び8〜25体積%の酸素濃度を有するガスと接触させる。ガスの残りの部分は、他のガス、例えば窒素、希ガス、一酸化炭素、二酸化炭素及びこれらの混合物から組成される。好ましくは、炭化水素の総量のうちn−ブタンの割合は、90%超、特に好ましくは95%超である。 本発明による方法は、一般的に、350〜480℃の温度で行われる。好ましくは、本発明による方法は、380〜460℃の温度、特に380〜440℃で行われる。 本発明による触媒の使用によって、本発明による方法の経済性は、マレイン酸無水物の従来の製造方法と比べて向上される。 以下に、幾つかの例を記載する。これらの例は、表1と関連して本発明をより詳しく説明するものであるが、本発明の範囲に対して制限的であると理解するべきではない。 表1は、本発明による例1〜3並びに比較例1及び2について85%C4転化率でのマレイン酸無水物への選択率([%])の推移を纏めるものである。例1:本発明による触媒A(80ppm Na):半水和物(VMo0.0088OHPO4×0.5H2O)の実験室合成: ラボジャッキ上に加熱マントルを置き、そしてこの中に、2L四つ首フラスコを入れる。この四つ首フラスコの中央の開口部に、固定攪拌シールを備えた半月型攪拌棒を装備する。この攪拌棒は、攪拌連結部材を用いて攪拌装置に接続されている。右側の開口部には、温度計を装備し、左側には、還流冷却器への上昇管を装備する。中央手前の開口部は、化学品の装入のために使用され、その後、窒素洗浄がそこに接続される。装置全体に窒素を流すこともできる。このためには、最初に窒素をガス洗浄フラスコ中に、次に装置に導通し、そして上記冷却器から再びガス洗浄フラスコを通して上から導出する。 最初に、イソブタノール1069.5g及びベンジルアルコール156.0gを加える。攪拌しながら、V2O5150gの添加を行う。V2O5の添加の後、2.52gのジモリブデン酸アンモニウム(その代わりにまたは追加的に、12.18gのエチルヘキサン酸ビスマスも使用できる)及び0.0468gの炭酸ナトリウムの添加を行う。次いで、232.50gのリン酸を懸濁液に添加し、そしてN2下に還流しながら14〜18時間加熱する。濾過: 懸濁液を冷却した後、これを、四つ首フラスコからブフナー漏斗に移し、そして液体を吸引する。含湿のフィルターケーキを、プレス機中で、一晩14〜18barでプレス乾燥する。乾燥: 絞られたフィルターケーキを、回転式蒸発器の蒸発器フラスコ中に装入する。水流ジェット減圧下に、フィルターケーキを100℃で一晩乾燥する。か焼: 乾燥した粉末を、炉中の適当なか焼ポット中に入れ、そしてN2中4〜6%O2の雰囲気中で200〜300℃の温度で9時間か焼する。タブレット化: 圧密化/タブレット化の前に、か焼された触媒前駆体粉末に5重量%のグラファイトを加え、そしてドラムフープミキサーを用いて均一に混合する。この粉末を、ローラーコンパクターを用いて、190barの押し圧力、0.60mmの間隙幅及び7回転/分のローラー速度で圧密化してプレートとし、そしてこれを1mm篩に通して造粒する。 この造粒物を、ロータリータブレットプレス機を用いて、然るべき高さ、例えば5.5×5.5×2.3mmまたは4.7×4.7×1.5mm(高さ×外径×内径)及び横方向圧縮強さを有する所望のタブレット形態にプレスする。活性化/ピロリン酸塩の合成 ピロリン酸バナジウムの合成は、プログラム可能な炉中に取り付けられたレトルト中で、制御された条件下に行う。C含有率に基づいて許可された量のか焼されたタブレットを上記のレトルト中に均一に装入し、そしてこのレトルトをきつく密閉する。その後、触媒を、含湿空気−窒素混合物(60%絶対空気湿度)中で、先ず300℃で5時間、次に400℃で9時間活性化する。例2:本発明による触媒B(160ppm Na): ナトリウム含有率を160ppmとしたことだけを除き、例1と同様にして触媒Bを製造する。このためには、上記の合成を、0.0937gの炭酸ナトリウムをジモリブデン酸アンモニウムと一緒に加えるように変更する。例3:本発明による触媒C(300ppm Na): ナトリウム含有率を300ppmとしたことだけを除き、例1と同様にして触媒Cを製造する。このためには、上記の合成を、0.1756gの炭酸ナトリウムをジモリブデン酸アンモニウムと一緒に加えるように変更する。例4:比較触媒D(<10ppm Na): ナトリウム化合物を添加しないことだけを除き、例1と同様にして触媒Dを製造する。例5:比較触媒E(500ppm Na): ナトリウム含有率を500ppmとしたことだけを除き、例1と同様にして触媒Eを製造する。このためには、上記の合成を、0.2927gの炭酸ナトリウムをジモリブデン酸アンモニウムと一緒に加えるように変更する。例6:例示的触媒A〜Eの触媒性能の測定 本発明の例A〜C並びに比較例D及びEで製造された各触媒67〜69gを、不活性ステアタイトリングで、不活性材料:触媒の重量比を4:1として希釈し、そして溶融した塩で加熱された試験反応器(21mm管直径、1.2m長さ)の等温領域に加える。それぞれ、モリブデン含有触媒及び比較触媒を使用した。希釈された触媒床の温度推移を、マルチポイントタイプK熱電対を用いて検査する。これらの触媒を、次いで、空気−ブタン混合物(1.5体積%ブタン、98.5体積%空気)を用いて、1.1barの全圧で72時間の期間にわたって410℃の塩浴温度下に平衡にし(平衡化ステップ)、その後、触媒測定を行う。触媒測定は、二つの異なる塩浴温度(380℃及び410℃)で、平衡化ステップと同じ空気−ブタン混合物中で、及び1.1barの全圧及び1250、1800、2500、3500、5500L/kg/hの範囲の空間速度で行う。分析のために、赤外分光計(ブタン含有率、一酸化炭素含有率及び二酸化炭素含有率の測定のため)、並びにガスクロマトグラフィ(マレイン酸無水物含有率、アクリル酸含有率及び酢酸含有率の測定のため)を使用する。試験結果 n−ブタンからマレイン酸無水物への触媒転化における本発明の触媒A〜C並びに比較例D及びEの性能を表1に纏める。バナジウム−リン−酸化物及びアルカリ金属を含む触媒であって、バナジウム−リン−酸化物中のアルカリ金属の重量割合が、バナジウム−リン−酸化物の総重量に対し10〜400ppmの範囲である触媒。アルカリ金属の割合が、80〜300ppmの範囲である、請求項1に記載の触媒。アルカリ金属が、バナジウム−リン−酸化物中に均一に分布して存在している、請求項1または2に記載の触媒。バナジウム−リン−酸化物が、アルカリ金属、バナジウム及びリンの混合酸化物として存在する、請求項1〜3のいずれか一つに記載の触媒。アルカリ金属が、Na、K、Rb、Csまたはこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1〜4のいずれか一つに記載の触媒。アルカリ金属が、Na、Kまたはこれら両者の混合物である、請求項1〜5のいずれか一つに記載の触媒。バナジウム−リン−酸化物が、追加的にモリブデン及び/またはビスマスを含む、請求項1〜6のいずれか一つに記載の触媒。バナジウム−リン−酸化物が、Zn及び/またはNiを含まない、請求項1〜7のいずれか一つに記載の触媒。触媒が、バナジウム−リン−酸化物からなる、請求項1〜8のいずれか一つに記載の触媒。請求項1〜9のいずれか一つに記載の触媒の製造方法であって、バナジウム源とアルカリ金属源、またはアルカリ金属含有バナジウム源のいずれかを、リン源と反応させ、ここで、アルカリ金属の割合は、バナジウム−リン−酸化物がバナジウム−リン−酸化物の総重量に対して10〜400ppmの範囲のアルカリ金属の重量割合を有するように選択される、前記方法。炭化水素の(気相)酸化のための、請求項1〜9のいずれか一つに記載の触媒の使用。炭化水素が触媒上に案内される、請求項11に記載の使用。炭化水素が少なくとも4つの炭素原子を有する、請求項11または12に記載の使用。炭化水素がn−ブタンである、請求項11〜13のいずれか一つに記載の使用。(気相)酸化においてマレイン酸無水物が生ずる、請求項11〜14のいずれか一つに記載の使用。 【課題】 改善された触媒性能、すなわち改善された転化率及び選択性を有する、炭化水素の気相酸化のための、特にマレイン酸無水物の製造のためのVPO触媒を提供すること。【解決手段】 本発明は、バナジウム−リン−酸化物及びアルカリ金属を含む触媒であって、バナジウム−リン−酸化物中のアルカリ金属の重量割合が、バナジウム−リン−酸化物の総重量に対し10〜400ppmの範囲である触媒、それの製造方法、並びに炭化水素の気相酸化のための、特にマレイン酸無水物の製造のための前記触媒の使用に関する。【選択図】 なし