生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_体内摂取用体臭改善剤、それを用いた飲食品及び体臭改善方法
出願番号:2015036164
年次:2015
IPC分類:A61K 31/045,A61K 31/085,A61K 31/341,A61P 43/00,A23G 3/34,A23G 4/00,A23L 1/30


特許情報キャッシュ

西村 かおり 秋山 朝子 石田 幸子 小林 正志 JP 2015131825 公開特許公報(A) 20150723 2015036164 20150226 体内摂取用体臭改善剤、それを用いた飲食品及び体臭改善方法 クラシエフーズ株式会社 393029974 西村 かおり 秋山 朝子 石田 幸子 小林 正志 JP 2005160568 20050531 JP 2005264762 20050913 A61K 31/045 20060101AFI20150630BHJP A61K 31/085 20060101ALI20150630BHJP A61K 31/341 20060101ALI20150630BHJP A61P 43/00 20060101ALI20150630BHJP A23G 3/34 20060101ALN20150630BHJP A23G 4/00 20060101ALN20150630BHJP A23L 1/30 20060101ALN20150630BHJP JPA61K31/045A61K31/085A61K31/341A61P43/00A23G3/00 101A23G3/30A23L1/30 Z 3 2012243250 20060531 OL 11 4B014 4B018 4C086 4C206 4B014GB07 4B014GB13 4B014GK12 4B014GL03 4B018LB01 4B018MD07 4B018MD08 4B018ME14 4C086AA01 4C086AA02 4C086BA03 4C086MA01 4C086MA04 4C086MA47 4C086MA52 4C086NA10 4C086ZA89 4C206AA01 4C206AA02 4C206CA03 4C206CA08 4C206CA09 4C206CA27 4C206KA01 4C206MA01 4C206MA04 4C206MA12 4C206MA67 4C206MA72 4C206NA10 4C206ZA89 本発明は、体臭改善物質を含有し、該物質を体表面から放出させることにより体臭を改善する体内摂取用体臭改善剤、それを用いた飲食品及び体臭改善方法に関する。 従来、体臭を抑制する方法として、香水で体臭を隠したり、また、体臭の発生源と考えられる微生物の生育を抑制したデオドランド製品や、体臭自体をシリカゲルやタルクなどの吸着体に吸着させ、体臭の拡散を抑制するデオドランド製品、微生物抑制成分や吸着体を織り込んだ衣料品を使用したりするなどの方法が取られてきた。体臭の中でも口臭を除去或いは予防する方法については、フラボノイド、パセリシードオイル、シャンピニオンエキス、各種の植物抽出物等の各種成分を配合した飲食品が、数多く開発され、使用されている。 しかしながら、口臭以外の体臭(例えば、頭臭、腋臭、足臭など)を効果的に除去するには、香水、デオドランド製品及び衣料品等を複数組合せて使用することが必要で、使用量によっては不自然で過剰な芳香になったり、頭、腋、足などの体部分の体臭のみが改善されてしまったりする上、体表面に塗布する手間がかかると言う問題点があった。また、口臭除去及び予防の飲食品は、口臭にはある程度効果があるが、その他の体臭の消臭や予防等の体臭改善には効果が無かった。 以上のような問題点を解決する手段として、近年「食べるデオドランド」、「飲むデオドランド」、「食べる香水」と呼ばれる、水性クロロフィル又はローズオットーの精油のような芳香成分を配合し、喫食するだけで体表面からほのかに芳香がし、口臭や便臭も無くなるという効果を謳ったタブレットやソフトカプセル等が発売されている。 しかし、これらは芳香成分を多量に摂取するよう設計されており、継続して摂取すると、化学物質である芳香成分により、肝臓や腎臓に悪影響があるおそれがある上に、摂取した芳香成分が体表面から放出しているかどうかを検証したデータが無く、実際は効果のない商品も多い。 また、薔薇の香りなどが強く、まさしく香水を口に入れたような異物感や舌を刺す刺激があり、咀嚼する「食品」としては不向きで、食品本来の風味を味わうことができない。 一方、近年では、アロマテラピーの考え方を取り入れた食品も多い。例えば、国際公開第03/17788号公報には、花又はハーブのフレーバーもしくはそれらの抽出物を含有する飲料が開示されている。これは、花又はハーブのフレーバーもしくは花又はハーブの抽出物を含有する飲料において、すっきり感、さっぱり感を有し、かつ全体の味がまとまっており、一度に多量に飲んでもその味が持続する飲料の技術である。 この他に、例えば、特開平5−199842号公報には、薬草成分を添加配合したチューインガムが開示されている。これは、薬草の葉や花などを乾燥するか生のままでチューインガムに配合することにより、その薬草成分に基づく味の持続性と質感及び嗜好性を向上させるチューインガムの技術である。 しかしながら、これらには、体表面から芳香成分を放出させ、体臭を改善するという概念は全くない。また、花やハーブ等の有効成分臭がそのまま付香されるので、風味設計のバリエーション化が困難である。特に、特開平5−199842号公報では、生花や乾燥した花などに含まれる芳香成分は極僅かで、体表面から放出させるのは困難である。 本発明は、体内摂取するだけで、体表面から体臭改善物質が放出し、手軽に且つ確実に体臭が改善され、体に安全であり、飲食品に応用した場合にも風味や食感への影響が低い体内摂取用体臭改善剤、これを用いた飲食品及び体臭改善方法を提供することを目的とする。 本発明者らは、市販されている「食べる香水」として、近年流行しているローズオットーの精油を含む商品に着目し、この精油の成分全てが体臭改善として有効なのではなく、この精油に含まれる芳香成分及び一般的に食品香料で使用される芳香成分のうち、体臭改善に有効な成分があるのではないかと考えた。そして、どのような種類の成分が体表面から放出するのかについて着目し検討した結果、極性化合物及びテルペン類が皮膚表面から水蒸気と共に放出しやすく、この中でも、シトロネロール、リナロール、ゲラニオール、バニリン、デカラクトン、リモネン、1,8−シネオール、テルピネン−4−オール、α−テルピネオール、オクタナール、デカナール、メントールは良好に放出し、体表面から放出していると体感できること、及びこれらを主体として設計すれば、香りの強い精油を用いなくても体臭改善に有効であり、各種風味に応用設計可能で、簡単かつ確実に体表面からの放出効果が得られることを発見し、本発明に到達した。 すなわち、上記の目的を達成するため、本発明は、体臭改善物質を含有し、該物質を体表面から放出させることにより体臭を改善する体内摂取用体臭改善剤であって、体臭改善物質として、極性化合物及びテルペン類の少なくとも一方を含有することを特徴とする体内摂取用体臭改善剤を第1の要旨とし、上記極性化合物、テルペン類がゲラニオール、テルピネン−4−オール、バニリン、リナロール、シトロネロール及びデカラクトンのうちの少なくとも一つであることを第2の要旨とする。 また、上記体内摂取用体臭改善剤を飲食品に用いることを第3の要旨とし、その飲食品を摂取することで体臭を改善する旨を表示することを第4の要旨とする。 更に、極性化合物及びテルペン類の少なくとも一方を体内摂取し、該物質を体表面から放出させることを特徴とする体臭改善方法を第5の要旨とする。 また、極性化合物及びテルペン類の少なくとも一方の体内総摂取量が0.1〜1000mg/回である体臭改善方法を第6の要旨とする。 まず、本発明の体内摂取用体臭改善剤(以下、体臭改善剤という)とは、体臭改善物質を含有し、該物質を体表面から放出させることにより体臭を改善するものである。 上記体内摂取用とは、体臭改善剤を一旦体内に取り込むことを意味する。なお、体内への摂取方法は特に問わないが、経口又は経皮摂取等が挙げられる。中でも、経口摂取の方が、摂取した体臭改善物質を体全体の表面から放出しやすい点で好ましい。 上記経口摂取としては、主として喫食することで腸から体内に取り込まれる腸管吸収による摂取や、口腔内の粘膜から吸収される舌下吸収による摂取等が挙げられる。 本発明では、上記体臭改善物質として、極性化合物及びテルペン類の少なくとも一方を含有させることが本発明の効果を得る点で重要である。 上記極性化合物とは、アルコール類、フェノール類、アルデヒド類、ケトン類、カルボン酸類、エステル類、ラクトン類、エーテル類等が挙げられ、上記テルペン類とは、好ましくはテルペン系炭化水素、更に好ましくはアルケン類等が挙げられる。中でも芳香アルデヒド類やテルペン系アルコール類が、効率良く体表面から放出する点で好ましい。なお、極性化合物のうち、ケトン類は体表面からの放出効率が低い傾向にある。 具体的成分としては、好ましくは、ゲラニオール、リナロール、シトロネロール、バニリン、デカラクトン、リモネン、1,8−シネオール、テルピネン−4−オール、α−テルピネオール、オクタナール、デカナール、メントールであることが、更に好ましくはゲラニオール、テルピネン−4−オール、バニリン、リナロール、シトロネロール、デカラクトンであることが、より好ましくは、ゲラニオール、テルピネン−4−オール、バニリンが、効率良く体表面から放出する点で好適である。これらは、単独でも、複数組合せて用いてもよい。 上記極性化合物、テルペン類の形態は、固体状及び液体状の何れでも構わないが、風味及び飲食品への応用の点で、液体が好ましい。 上記極性化合物及びテルペン類の少なくとも一方の総含有量は、体内総摂取量が、0.1〜1000mg/回となるように、更に好ましくは、0.3〜500mg/回となるように、剤形に残留する程度を考慮して適宜設定されていることが、体臭を改善する点及び風味の点で好ましい。すなわち、極性化合物とテルペン類は、それぞれ単独でも、組合せて用いてもよいが、単独の場合は単独での摂取量が、組合せて用いる場合には組合せた合計摂取量が、上記範囲であることが好ましいという意味である。 特に、ゲラニオールの体内摂取量は0.8〜20mg/回であり、バニリンの体内摂取量は9.0〜500mg/回であり、リナロールの体内摂取量は0.1〜20mg/回、テルピネン−4−オールの体内摂取量は0.5〜20mg/回であることが、十分に体表面から放出するので、摂取量を抑えることができ、風味設計の点で好適である。なお、本発明における摂取量とは、体内に取り込まれる量を意味する。 後述するように、本発明の体臭改善剤を飲食品に用いる際、その副原料として極性化合物やテルペン類を吸着しやすい成分と共に用いる場合には、極性化合物やテルペン類の総添加量を、その被吸着分を考慮して適宜増加させればよい。 本発明の体臭改善剤には、上記極性化合物、テルペン類以外に、本発明の目的を損なわない範囲で、適宜選択した副原料を用いてもよい。例えば、糖質甘味料(果糖、ブドウ糖、タガトース、アラビノース等の単糖類、乳糖、オリゴ糖、麦芽糖等の少糖類、粉末水あめ、デキストリン、トレハロース、糖アルコール等)や、非糖質甘味料(スクラロース、アセスルファムK、ステビア等)、植物性或いは動物性の油脂類、ゼラチンや大豆及び乳由来等のタンパク質、チーズ、ヨーグルト、発酵乳等の乳製品、安定剤、乳化剤、着香料、色素、酸味料、香料、風味原料(卵、コーヒー、茶類、ココア、果汁果肉、酒類)、各種栄養素(ビタミン類、ミネラル類、食物繊維等)や、消臭成分(クロロフィル、シャンピニオンエキス、植物乾留成分、キナ酸、マメ科植物香気成分、シソ科植物抽出物、オレガノ粉砕物、ミネラル含有酵母)、血行促進成分(コエンザイムQ10、カルニチン、カプサイシン等)、美肌成分(コラーゲン、ヒアルロン酸等)等が挙げられる。これらは、単独でも複数組み合わせて用いてもよい。 本発明の体臭改善剤の形態は、特に限定するものではなく、例えば液体状、粉体状、顆粒状、ペースト状、ムース状、ゼリー状、タブレット状等の種々の形態が挙げられる。好適には、体表面からの放出効果の点で、液状が好ましい。 本発明の体臭改善剤は、例えば次のように製造される。 すなわち、まず、液状の極性化合物及びテルペン類の少なくとも一方、及び必要であれば副原料を準備し、配合し、混合する。 次に、剤形が液状であれば、上述の工程のみでよいが、粉体状または顆粒状である場合には、バインダーとしてデキストリン等を適宜用い、粉体または顆粒状に成形することにより、体臭改善剤とする。 以上のようにして得られた体臭改善剤は、体の一部より体内摂取することにより、摂取後約30分〜5時間で該体臭改善剤中の極性化合物及びテルペン類の少なくとも一方が体表面から放出され、体臭が改善される。 上記体臭改善剤は、各種飲食品はもちろん、医薬品や医薬部外品にも応用することが可能である。 特に、上記体臭改善剤を飲食品に用いることにより、より手軽に体臭改善をすることができる点で好適である。 以下に、本発明の体臭改善剤を用いた飲食品について説明する。 上記飲食品とは、上記体臭改善剤を含有出来るものであれば特に限定するものではなく、例えば、飲料(スープ、コーヒー、茶類、ジュース、ココア、酒類等)や、冷菓や、菓子類(錠菓、ハードキャンディ、ソフトキャンディ、グミ、ゼリー、チューインガム、チョコレート等)や、ベーカリー食品(パン、クッキー等)や、麺類を始めとする澱粉系食品や、粉末食品や、健康食品等が挙げられる。この中でもチューインガム、ソフトキャンディは、長く口中に滞留して口腔内の粘膜から体臭改善剤中の極性化合物やテルペン類が効率よく吸収される点、極性化合物やテルペン類の放出持続性の点で好適である。 上記飲食品には、上記極性化合物、テルペン類の他に、本願の目的を損なわない範囲で、上記副原料を適宜選択して用いればよい。 次に、本発明の飲食品の一例として、例えば、チューインガムの製造例を開示する。 すなわち、ガムベース(弾性体、ワックス、油脂、乳化剤、タルク等の無機物、天然及び/又は合成樹脂等)、糖質甘味料(果糖、ブドウ糖、タガトース、アラビノース等の単糖類、乳糖、オリゴ糖、麦芽糖等の少糖類、粉末水あめ、デキストリン、トレハロース、糖アルコール等)、極性化合物及びテルペン類の少なくとも一方、及び必要に応じて副原料を適宜添加したものを、加熱混合して均質化し、冷却した後、押し出し成形等で適宜成形をすることにより、本発明の体臭改善チューインガムが得られる。なお、これら一連の工程は、極性化合物及びテルペン類の変性防止及び揮発防止の観点から、65℃以下の品温に保って製造することが好ましい。 なお、極性化合物及びテルペン類は、ガムベースに吸着される傾向があるため、液状で用いる場合は、上記成分を閉じ込めたカプセルを使用することが好ましい。カプセルが使用できない場合は、極性化合物及びテルペン類の少なくとも一方の総添加量や種類にもよるが、ガムベース量を40重量%(以下、「%」と記す)以下に抑えた配合に設計する、もしくは上記成分の添加量を約2.5〜10倍程度に増加させることが好ましい。あるいは、チューインガムを芯一鞘の2層構造にして、外層をガムベース量40%以下、内層を40%を超えるように設定し、主に外層に上記成分を添加してガムベースへの吸着を低減させるようにすると更に好ましい。 また、この他の例として、ソフトキャンディの製造例を開示する。 すなわち、糖質甘味料(果糖、ブドウ糖、タガトース、アラビノース等の単糖類、乳糖、オリゴ糖、麦芽糖等の少糖類、粉末水あめ、デキストリン、トレハロース、糖アルコール等)、ゼラチン、増粘多糖類、極性化合物及びテルペン類の少なくとも一方、及び必要に応じて副原料を混合し、加熱混合して均質化した後、適切な水分に調整し、押し出し成形等で適宜成形することにより、本発明の体臭改善ソフトキャンディが得られる。なお、これら一連の工程は、極性化合物及びテルペン類の変性防止及び揮発防止の観点から、70℃以下の品温に保って製造するのが好ましい。 なお、飲食品の種類に拘わらず、本発明の体臭改善剤を飲食品へ添加する時期は、各食品の特性、目的に応じ、製造工程の段階を適宜選択して添加させればよいが、極性化合物やテルペン類が揮発し、劣化しないよう、添加することが好ましい。 このようにして得られた飲食品には、摂取することで体臭を改善する旨の表示を設けることが好適である。摂取することで体臭を改善する旨の表示例としては、「(食後、)体から香り成分が発散する」、「体がフワリと香っていい気持ち」、「カラダ(が)香る」、「カラダのいやなにおいを抑える」等が挙げられる。 本発明の体臭改善剤及び体臭改善飲食品を用いた体臭改善方法は、適宜体臭を改善したい約30分前までに、体内摂取すればよい。なお、該剤及び該飲食品は、運動前や、暖かい飲み物と共に摂取するなどして、発汗が促進される状態にあるときに摂取すると、極性化合物、テルペン類の放出が効率よく起こる点で好適である。 以下に、本発明の実施例を用いて例示する。 <芳香成分のスクリーニング> 芳香成分のうち、ローズオットーの精油に含まれるゲラニオール、リナロール、シトロネロール、ティーツリーの精油に含まれるテルピネン−4−オール、及び、食品香料で多用されるバニリン、デカラクトン、エチルマルトールの合計7成分について、体表面からの放出しやすさについて、スクリーニングを行った。 <スクリーニング用サンプルチューインガムの調製> スクリーニング用サンプルとして、上記7成分を含有するチューインガム試料1〜5を表1の組成に従い、原料を加熱混合(40〜50℃)し、均質化した後、縦20mm×横13.5mm×厚み10.5mm、1粒当り3.1gとなるように成形した。なお、ゲラニオール、リナロール、シトロネロール、テルピネン−4−オール、バニリン、デカラクトン、エチルマルトールは、ガムベース吸着分を考慮し、1/10を体内摂取量として添加量を設定した。また、体内摂取量は、体内に取り込まれた量を意味する。 <機器分析試験> 上記チューインガムを用いて、下記のようにして機器分析を実施し、体表面から上記芳香成分が放出しているかを確認した。<体表面からの芳香成分サンプリング> <ブランクの測定> すなわち、被験者は、測定前日の入浴後より、香粧品を使用せず、また、測定試験開始前2時間程度は、香料の強い飲食品を喫食しないようにした。 次いで、被験者の手を無香料の石鹸で良く洗浄し、良く濯いだ後、清浄な状態で自然乾燥させ、フッ素系樹脂製のテドラーバッグを手全体に装着し、脱気したところで窒素ガス150mlを封入し、そのまま約30分間保持して、手表面より放出する成分を捕捉した。 その後、テドラーバッグ内のガス100mlを採取して、GERSTEL社製TENAX TA tubeに吸着させ、GC/MSで、摂取前(ブランク)のピーク測定を行った。 <芳香成分の測定> 上記ブランクを測定後、直ちに上記スクリーニング用サンプル試料1〜5を、表1に記載の極性化合物の種類と体内摂取量となるよう喫食した。なお、被験者はサンプリング終了まで白湯しか喫食しなかった。 摂取後1時間目に、被験者の手を上水道水で良く濯いだ後、清浄な状態で自然乾燥させ、フッ素系樹脂製のテドラーバッグを手全体に装着し、脱気したところで窒素ガス150mlを封入し、そのまま約30分間保持して、手表面より放出する成分を捕捉し、テドラーバッグ内のガス100mlを採取して、GERSTEL社製TANAXTA tubeに吸着させ、GC/MSで、摂取後のピーク測定を行った。上記分析結果を、表1にあわせて示す。 その結果、上記7成分のうち、ゲラニオール、リナロール、シトロネロール、テルピネン−4−オール、バニリン、デカラクトンが放出されており、特にゲラニオール、バニリン及びテルピネン−4−オールで顕著に放出していた。 また、試料1に関しては、上記測定後、継続して1時間置きに上記測定及び分析を繰り返したところ、ゲラニオール、リナロール、シトロネロールの放出が継続することが確認できた。 [実施例1〜4] 以上の結果より、特に顕著に放出されたゲラニオール、バニリン及びテルピネン−4−オールと、リナロールについて、ゲラニオール含有ローズ風味の体臭改善チューインガム試料6(実施例1)、バニリン含有バニラ風味の体臭改善チューインガム試料7(実施例2)、ゲラニオール及びリナロール含有ローズ風味の体臭改善チューインガム試料8(実施例3)、テルピネン−4−オール含有ミント風味の体臭改善チューインガム試料9(実施例4)を調製した。 <体臭改善チューインガムの調製> 表2の組成に従い、各原料を40〜50℃以下に保ちながら、保温ニーダーで加熱混合して均質化し、冷却した後、エクストルーダーを用いて押し出し成形を行い、縦20mm×横13.5mm×厚み10.5mm、1粒当り3.1gの体臭改善チューインガム試料6(実施例1)〜試料9(実施例4)、試料10(対照区)を得た。なお、ゲラニオール、リナロール、シトロネロール、テルピネン−4−オール、バニリン、デカラクトン、エチルマルトールは、ガムベース吸着分を考慮し、1/10を体内摂取量として添加量を設定した。また、体内摂取量は、体内に取り込まれる量を意味する。 上記のようにして得られた体臭改善チューインガムについて、体感試験を行った。 <ブランクの体感試験> 被験者は、測定前日の入浴後より、香粧品を使用せず、測定試験開始前2時間は、香料の強い飲食品を喫食せず、水または白湯のみ喫食した。 次に、被験者は、無香料の石鹸で、手を良く洗浄し、上水道水で良く濯いだ後、清浄な状態で30分程度自然乾燥させた。 その後、専門パネラー2名が、手表面の体臭を確認し、芳香成分が放出していないことを確認した。 <体臭改善食品の摂取> 被験者は、極性化合物又はテルペン類の体内摂取量が、表2に記載の通りとなるよう体臭改善チューインガムを摂取した。 <実施例1、2及び対照区の体感試験> 体感試験は、実施例1、2、対照区(試料10)について行った。 摂取1時間後に、被験者は、手を上水道水で良く濯いだのち、清浄な状態で30分程度自然乾燥させた。 その後、専門パネラー2名は、被験者が何れの試料を食べたか分からない(ブラインド)状態で、各被験者の手のひら面の体臭を確認し評価した。<評価方法> 各被験者の体感試験結果を、喫食前つまりブランクと比較して、極性化合物又はテルペン類の放出程度を、下記の通り点数をつけた。 3点:はっきり極性化合物又はテルペン類の香りがする。 2点:やや極性化合物又はテルペン類の香りがする。 1点:かすかに極性化合物又はテルペン類の香りがする。 0点:極性化合物又はテルペン類の香りはしない。 次に、各試料の評点を次式から求めた。 評点=(点数の合計)÷(被験者数)÷(パネラー数) 以上のようにして得られた結果を、表2にあわせて示す。 <実施例3及び4の簡易体感試験> 実施例3及び4の体臭改善チューインガムについては、評価を点数化せず、絶対評価する他は、上記体感試験と同様に実施した。 その結果、試料8(実施例3)は、対照区(試料10)と比較すると、ほのかな薔薇様の芳香が漂い、また、試料9(実施例4)では、ほのかなミント様の爽やかな芳香が漂って、本発明の効果が確実に現れていた。 また、実施例1〜4(試料6〜9)全て、チューインガムとして美味しく、それぞれ違和感のない好ましいローズ風味、バニラ風味、ミント風味を楽しめる風味及び食感であった。 [実施例5〜6] 次に、体臭改善飲食品の形態の一例として、ソフトキャンディの場合を開示する。 <体臭改善ソフトキャンディの調製> 表3の組成に従い、各原料を40℃程度で混合し、エクストルーダーで更に均質化した後、スタンピング成型して、1粒2.6gの球状のバニリン含有バニラ風味の体臭改善ソフトキャンディ試料11(実施例5)、バニリン及びリナロール含有ローズ風味の体臭改善ソフトキャンディ試料12(実施例6)を得た。なお、体内摂取量は、体内に取り込まれる量を意味する。 上記のようにして得られた体臭改善ソフトキャンディについて、簡易体感試験を行った。 <簡易体感試験> 評価を点数化せず、絶対評価する他は、上記体感試験と同様に実施した。 その結果、試料11(実施例5)は摂取前すなわちブランクと比較すると、顕著に被験者からほのかにバニリンの芳香が漂い、その後も放出が継続し、本発明の効果が得られた。それと同時に、その風味は違和感のない好ましいバニラ風味がソフトキャンディという形態と良く適合し、美味しかった。また、試料12(実施例6)も顕著に被験者からほのかにローズの芳香が漂い、その後も放出が継続し、有意に本発明の効果が得られた。更に、ソフトキャンディとしても美味しく、ローズ風味を楽しめる風味及び食感であった。 以上のように、本発明によれば、各種の香水やデオドランド剤、衣料品を用いなくても、体内摂取するだけで、常時体臭を改善することが出来る上に、香水やデオドランド剤の付け過ぎによる不自然に過剰な芳香も無く、ほのかな芳香を体表面全体に漂わせることができ、摂取した人が本来有する体臭のように違和感なく付香できる。特に、ゲラニオール、テルピネン−4−オール、バニリン、リナロール、シトロネロール及びデカラクトンは、効率良く体表面から放出される。また、本発明によれば、極性化合物やテルペン類の放出により体表面の微生物の繁殖や腐敗が抑制でき、結果的に体臭の原因となる発酵臭が防止され、防臭効果が発揮されていると推察される。更に、放出した体臭改善物質は、摂取者本人をリラックスさせ、リフレッシュさせるので、摂取者の精神状態が改善される。また、極性化合物及びテルペン類の体内総摂取量が少量でも十分効果が発揮できるので、健康への悪影響がなく、更に飲食品としても各種風味設計が可能で、食品本来の風味を損なわない上に、口中に長時間滞留させても苦痛や異物感なく味わえる。従って、様々な食品形態に加工できる。舌下吸収により摂取してから30分〜5時間で発汗により体表面から放出する芳香成分からなる体表面放出物質による体臭抑制剤であって、該体表面放出物質が、ゲラニオール、テルピネン−4−オール、バニリン、リナロール、シトロネロール及びデカラクトンのうち少なくとも一つであることを特徴とする体臭抑制剤。舌下吸収により摂取してから30分〜5時間で発汗により体表面から放出する芳香成分からなる体外放出剤であって、該芳香成分が、ゲラニオール、テルピネン−4−オール、バニリン、リナロール、シトロネロール及びデカラクトンのうち少なくとも一つであることを特徴とする体外放出剤。舌下吸収により摂取してから30分〜5時間で発汗により体表面から放出する芳香成分の体外放出方法であって、該芳香成分が、ゲラニオール、テルピネン−4−オール、バニリン、リナロール、シトロネロール及びデカラクトンのうち少なくとも一つであることを特徴とする体外放出方法。 【課題】体臭改善物質を含有し、該物質を体表面から放出させることにより体臭を改善する体内摂取用体臭改善剤、それを用いた飲食品及び体臭改善方法。【解決手段】舌下吸収により摂取してから30分〜5時間で発汗により体表面から放出する芳香成分からなる体表面放出物質による体臭抑制剤であって、該体表面放出物質が、ゲラニオール、テルピネン−4−オール、バニリン、リナロール、シトロネロール及びデカラクトンのうち少なくとも一つであることを特徴とする体臭抑制剤、体外放出剤および体外放出方法。【選択図】なし


ページのトップへ戻る

生命科学データベース横断検索へ戻る