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タイトル:特許公報(B1)_レーザー印刷用複層フィルムコーティング錠剤の製造方法
出願番号:2015027068
年次:2015
IPC分類:A61K 9/44,A61K 47/38,A61K 47/32,A61K 47/34,A61K 47/02


特許情報キャッシュ

坂本 浩 谷口 俊哉 寺井 孝夫 鵜飼 大 JP 5830618 特許公報(B1) 20151030 2015027068 20150216 レーザー印刷用複層フィルムコーティング錠剤の製造方法 大原薬品工業株式会社 593030071 坂本 浩 谷口 俊哉 寺井 孝夫 鵜飼 大 JP 2015017213 20150130 20151209 A61K 9/44 20060101AFI20151119BHJP A61K 47/38 20060101ALI20151119BHJP A61K 47/32 20060101ALI20151119BHJP A61K 47/34 20060101ALI20151119BHJP A61K 47/02 20060101ALI20151119BHJP JPA61K9/44A61K47/38A61K47/32A61K47/34A61K47/02 A61K 9/00〜9/72 A61K 47/00〜47/48 JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII) 特開2010−248106(JP,A) 特開2014−047161(JP,A) 特開2013−040165(JP,A) 特開2013−155148(JP,A) 特許第5339723(JP,B2) 国際公開第2006/126561(WO,A1) 岡田弘晃他監修 製剤の達人による製剤技術の伝承 上巻 経口投与製剤の製剤設計と製造法 株式会社 じほう 平成25年5月20日 p.120-125 アムロジピン錠5mg「オーハラ」アムロジピンベシル酸塩,URL,https://www.ohara-ch.co.jp/staff/detail.php?code=99 4 11 20150223 光本 美奈子 本発明は、UVレーザー印刷に適した医薬品錠剤の製剤技術、すなわち医薬含有錠剤の製造方法に関する。 医療現場で取り扱われる錠剤は、医療過誤のリスクを低減するためにいろいろな工夫がなされている。その代表的な例は、製錠(打錠)用金型(臼・杵)に刻印用加工を施して、錠剤表面に医薬品情報を表す文字を刻印することである。最近は、錠剤表面にインクを用いたグラビアオフセット印刷やインクジェット印刷も開発され採用されており、錠剤表面の印字にはカタカナ文字等が用いられているが、インクを使用するため印刷の濃淡による不良、未乾燥に伴う他錠の汚れ、文字かすれ等の不良、さらには、インクや有機溶剤を使用するため環境面でも課題がある。また、素錠への印刷は困難であり、印刷した場合には、文字のにじみにより印字が不鮮明になる課題がある。また、医療現場では精密投与や患者の利便性を配慮して複数種の錠剤を一包化して患者に渡しているが、この際に包装は破られて錠剤表面のインク文字の鮮明さは低下する。 この様な背景から近年ではUVレーザー印刷装置が開発され、錠剤表面近傍の変色誘起物質にUVレーザー光を照射して変色させることによって鮮明な文字で製品名を印刷することが広く用いられる錠剤印字の手法となった。 従来、レーザー印刷に使用される錠剤では、変色誘起物質が錠剤中に分散されているが、波長の短いUVレーザー光が浸透する深さ(厚み)は、先行の技術研究論文(非特許文献1)に、通常使用出力の約2倍(6.5W)の過酷な条件でも、平均値で約40μmであったと報告されている。したがって、表面から40μmよりも深い錠剤内部の位置の酸化チタンはレーザー印刷の目的では存在する意味がほとんど無いと考えられる。また、変色誘起物質(酸化チタン、黄色三二酸化鉄、三二酸化鉄等)を含有する錠剤表面の被覆層(フィルムコーティング層)を厚くすると、このフィルム強度のために崩壊が遅延する問題もある。特に口腔内崩壊錠は口腔内で速やかに崩壊することが重要な目的であるため、口腔内崩壊錠を厚いフィルムコーティング層で覆うことは不都合である。よって上記の観点からは、レーザー印刷用のフィルムコーティング層は薄いことが好ましいが、その際に錠剤表面のレーザー印刷された文字が鮮明に見えることは担保しなければならない。 さらに酸化チタン等の幾つかの変色誘起物質は遮光効果が高いことから、錠剤中に光に敏感な薬物を含有する場合は遮光剤を高い割合で含むフィルムコーティング層を厚くする(即ち重量を重くする)必要性があるが、その際にも錠剤表面のレーザー印刷された文字は鮮明に見えることを担保しなければならない。 UVレーザー印刷用のフィルムコーティング錠に関しては以下に記載の文献を含む幾つかの先行技術が知られている。 特許文献1には、錠剤へのレーザー印刷方法であって、変色誘起物質を錠剤組成物に分散させる工程の記載がある。識別用の文字は、錠剤の表面に印字していなければならない。しかし、特許文献1では、酸化チタン等が、単に錠剤組成物に分散させる工程と記述されており、この状況では、組成物(錠剤)内部に分布する量が多くなり、レーザー印刷可能な表面に分布する量は相対的に少なくなる。またフィルムコーティング錠の記述もあるが、フィルムコーティング層中に変色誘起物質を配合することを示唆する記述は無い。 特許文献2及び特許文献3には、フィルムコーティング層に含まれる酸化チタンの含量の範囲を調節することによって、普通錠や口腔内速崩壊錠に文字等を鮮明にUVレーザー印刷できる技術が開示されている。しかし、其のフィルムコーティング層は非常に薄く、遮光性の観点からは問題が残っていることが考えられる。 特許文献4にも、フィルムコーティング層に含まれる酸化チタンの含量の範囲を調節することによって、普通錠や口腔内速崩壊錠に文字等を鮮明にUVレーザー印刷できる技術が開示されている。しかし、其のフィルムコーティング層の厚さを特定の範囲に保つ必要性があることを示唆する記述は特に無く、遮光性の観点からは改善すべき点が残っていることが考えられる。国際公報第2006/126561号特開2013−155148号公報特開2014−047161号公報特許5339723号公報桃井和久、他:フィルムコート錠UVレーザーマーキング装置の開発、製剤機械技術研究会誌、V0l.18,No−1,2009(P5〜P14) 本発明の課題は、上記現状に鑑み、UVレーザー光照射により鮮明さの高い文字等を印刷できる特定の厚さのフィルムコーティング層をもつ錠剤の製造方法を提供することにある。 本発明者らは、特定の範囲の厚さ(重量)をもつフィルムコーティング層をもつフィルムコーティング錠剤において、その表面のUVレーザー印刷による印字の鮮明さを高めるため、フィルムコーティング層の処方や製造方法を鋭意検討した。その結果、変色誘起物質を特定の割合で含む薄いフィルムコーティング層でフィルムコーティング錠剤表面をさらに覆うことでレーザー印刷された文字の鮮明さを格段に向上させることが可能であることを見出した。また前記のフィルムコーティング層の内側に、変色誘起物質を高い割合で含むフィルムコーティング層を所望の重量でもつ錠剤はレーザー印刷された文字の鮮明さに併せて遮光による薬物の安定性の改善の高い効果をもつことが期待される。本発明者らはこれらの知見に基づいてさらに鋭意検討を加え、本発明を完成することができた。 すなわち、本発明の具体的な構成は、下記(1)〜(5)に記述されているものである。(1)(a)最外フィルムコーティング層において其の全重量に対して変色誘起物質が0.01重量%〜6.5重量%の範囲で含まれ、(b)最外フィルムコーティング層の重量が1.0mg〜3.0mgであり、(c)変色誘起物質が酸化チタン、黄色三二酸化鉄、三二酸化鉄のいずれかから選択され、(d) フィルムコーティング層を2層以上もち、(e)錠剤表面に文字がレーザー印刷された、複層フィルムコーティング錠。(2)最外フィルムコーティング層を除いたフィルムコーティング層において、其の全重量に対して変色誘起物質でもある遮光剤を10.0重量%〜50.0重量%含む、前記(1)に記載の複層フィルムコーティング錠。(3)フィルムコーティング層の内側の素錠部分に変色誘起物質が含まれていない、前記(2)に記載の複層フィルムコーティング錠。(4)最外層のフィルムコーティング層に水溶性高分子ポリマーが含まれ、水溶性高分子ポリマーがヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルアルコール・アクリル酸・メタクリル酸メチル共重合体、ポリビニルアルコールポリエチレングリコールグラフトコポリマーのいずれかから選ばれる、前記(1)〜(3)のいずれかに記載の複層フィルムコーティング錠。(5)フィルムコーティング層を形成するためのスプレー液中に含有される変色誘起物質を均一分散させる工程を含む、前記(1)〜(4)のいずれかに記載の複層フィルムコーティング錠を製造する方法。 本発明に係る、変色誘起物質を特定の割合で含有する薄いフィルムコーティング層を最外にもつ複層フィルムコーティング錠剤は、其の錠剤表面に極めて鮮明さが改善された文字等をUVレーザー印刷することができる。 さらに、其の複層フィルムコーティング錠剤は、遮光剤の含量の割合が高いフィルムコーティング層を内側にもつため、素錠中に含まれる光に不安定な薬物の安定性を改善する効果も期待される。 また、本発明の錠剤は非常に簡便な方法で工業的に製造されることを可能とする。図1は、実施例1〜4の錠剤表面のレーザー印刷された文字と比較例1、2の錠剤表面のレーザー印刷された文字とを対比した図面代用写真である。 以下で本発明の複層フィルムコーティング錠の処方及びその製造方法を実施する形態を詳細に説明する。但し以下の実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明をこの実施形態にのみ限定する趣旨ではない。(フィルムコーティング錠及び素錠の定義) 本発明の複層フィルムコーティング錠の製造は、フィルムコーティング錠の表面(最外)に変色誘起物質を特定の範囲で含むフィルムコーティング層(最外フィルムコーティング層と呼ぶ)を形成することで製造される。本明細書において、複層フィルムコーティング錠は2種類のフィルムコーティング層又は3以上の種類のフィルムコーティング層をもつ錠剤を意味する。また、種類が異なるフィルムコーティング層とは、含有する添加物の種類又は含量の割合が異なるフィルムコーティング層を意味する。 本発明の複層フィルムコーティング錠の製造に用いられる素錠には普通錠や口腔内崩壊錠などの種類があり、其の普通錠や口腔内崩壊錠は当業者が通常用いる製造方法及び医薬添加物を使用して製造されたものである。また、変色誘起物質を素錠に含有させることは可能であるが、本発明の錠剤表面のレーザー印字の鮮明さを向上させる目的で素錠に変色誘起物質を含有させる必要はない。素錠の大きさは直径6〜9mm、好ましくは直径7〜8mmであり、その形状は丸型ないしは楕円形、好ましくは丸型である。 素錠に含有される生理活性物質は基本的にフィルムコーティング錠の製造に影響を与えないと考えられるが、本発明の錠剤に含まれることが好ましい生理活性物質はドネペジル、ロサルタン、アムロジピン、カンデサルタン、テルミサルタン、アリピプラゾール、オルメサルタン、イルベサルタン、ロスバスタチン、ラロキシフェン、シロドシン、エゼチミブ、セレコキシブ、イミダフェナシンのいずれかであり、特に光に不安定であることが公知の生理活性物質が好ましく、最も好ましくはロサルタン、バルサルタン、アムロジピンのいずれかである。(フィルムコーティング錠の製造に必要な各種の医薬添加物) 本発明の複層フィルムコーティング錠剤の製造では、下記記載の変色誘起物質及び通常使用されるコーティング剤や遮光剤等の医薬添加物を用いて適当な厚さのフィルムコーティング層を形成することが可能である。(変色誘起物質) 本発明の複層フィルムコーティング錠剤は、最外(錠剤の表面)のフィルムコーティング層(最外フィルムコーティング層)に変色誘起物質が含有される。其の変色誘起物質として、具体的には、酸化チタン、硫酸バリウム、硫酸マグネシウム、亜鉛、酸化鉄、黄色三二酸化鉄、三二酸化鉄等が挙げられるが、好ましくは酸化チタン、黄色三二酸化鉄、三二酸化鉄から選ばれる変色誘起金属酸化物であり、最も好ましくは酸化チタンである。 最外フィルムコーティング層において、其の全重量に対して含有される変色誘起物質の含量の範囲は好ましくは0.01重量%〜6.5重量%であり、より好ましくは2.0重量%〜6.0重量%であり、最も好ましくは2.0重量%〜4.0重量%である。 また、本発明の複層フィルムコーティング錠剤中の最外に位置していないフィルムコーティング層は、遮光を主目的として遮光剤を添加することが好ましく、遮光剤は変色誘起物質でもあることが好ましい。本発明のフィルムコーティング錠は、遮光を主目的としたフィルムコーティング層とレーザー印刷の鮮明さの向上を主目的とした最外のフィルムコーティング層をもつ。(コーティング剤) コーティング剤としては、水溶性の高分子ポリマー又は水不溶性の高分子ポリマーを使用することができる。水溶性の高分子ポリマーとして、具体的には、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ポリビニルアルコール・アクリル酸・メタクリル酸メチル共重合体(PVAコポリマー)、ポリビニルアルコールポリエチレングリコールグラフトコポリマー(コリコートIR)などが挙げられ、水不溶性の高分子ポリマーとしては、メタクリル酸コポリマー(オイドラギットL30D−55等)に、アクリル酸エチル・メタクリル酸メチルコポリマー分散液(オイドラギットNE30D、コリコートEMM30D)等などが具体的に挙げられる。好ましいコーティング剤は水溶性の高分子ポリマーであり、より好ましくはヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルアルコール・アクリル酸・メタクリル酸メチル共重合体であり、最も好ましくはヒドロキシプロピルメチルセルロースである。 最外のフィルムコーティング層において、其の全重量に対して含有されるコーティング剤の含量の範囲は好ましくは70.0重量%〜99.9重量%であり、より好ましくは93.0重量%〜99.9重量%である。 最外に位置していないフィルムコーティング層において、其の全重量に対して含有されるコーティング剤の含量の範囲は好ましくは50.0重量%〜94.0重量%であり、より好ましくは60.0重量%〜80.0重量%であり、さらに好ましくは65.0重量%〜75.0重量%である。(遮光剤) 遮光剤としては、酸化チタン、タルク、黄色三二酸化鉄、三二酸化鉄等を挙げる事ができ、好ましくは酸化チタン又はタルクであり、最も好ましくは酸化チタンである。 最外に位置していないフィルムコーティング層において、其の全重量に対して含有される遮光剤(好ましくは変色誘起物質でもある)の含量の範囲は好ましくは6.5重量%より多く、より好ましくは10.0重量%〜50.0重量%であり、さらに好ましくは15.0重量%〜40.0重量%であり、最も好ましくは25.0重量%〜35.0重量%である。(フィルムコーティング層の重量) 本発明の複層フィルムコーティング錠剤は、それを服用する患者の嚥下を妨げないことを目的とする観点からは、フィルムコーティング層を厚くしすぎないことが望ましい。フィルムコーティング層の厚さを調節するためには、その重量を適した範囲に保つ必要がある。 例えば最外層のフィルムコーティング層の重量としては、好ましくは0.5mg〜5.0mgであり、より好ましくは1.0mg〜3.0mgであり、最も好ましくは2.0mg〜3.0mgである。 最外層に位置していないフィルムコーティング層の重量としては、好ましくは2.0mg〜10.0mgであり、より好ましくは3.0mg〜8.0mgであり、最も好ましくは3.0〜5.0mgである。 最外層のフィルムコーティング層と最外層に位置していないフィルムコーティング層の合計重量としては、好ましくは2.5mg〜15.0mgであり、より好ましくは4.0mg〜11.0mgであり、最も好ましくは5.0〜8.0mgである。(複層フィルムコーティング錠剤の製造方法) 本発明の複層フィルムコーティング錠剤は、錠剤コーティング機に素錠又はフィルムコーティング錠を投入し、コーティング剤等を含有したスプレー液を噴霧・乾燥する通常の方法で複層のフィルムコーティング層を形成させて製造される。其のスプレー液には変色誘起物質を含有させるが、錠剤表面のレーザー印刷の鮮明さをより向上させるためには、超音波分散機や高速ホモジナイザ、湿式分散装置などを用いて変色誘起物質を均一分散・懸濁することが好ましい。(レーザー印刷方法) 本発明の複層フィルムコーティング錠剤は、その錠剤表面に文字がレーザ印刷されている。その錠剤の製造に係る、UVレーザーマーキング装置で設定するレーザー印刷条件は特に限定されず、当業者が通常行う範囲でれば適宜設定の変更は可能である。特定のレーザー印刷条件を具体的に例示すれば、錠剤のフィルムコーティング層の表面に平均出力0.1〜50W、波長200〜1100nmのUVレーザー光を照射することにより印字をすることができる。レーザー印刷された文字は医薬品情報(薬物名、含量)や製造販売会社名を表すことが好ましい。 以下、本発明について実施例を挙げて説明するが、本発明はその記載に限定されるものではない。 アムロジピンベシル酸塩5mgを含む質量180.0mg、直径8mmの素錠を錠剤コーティング機(パウレック製:DRC−200型)に投入し、ヒプロメロース(信越化学製:TC−5M)40.0gをエタノール270.0g及び精製水270.0gに溶解したのち、酸化チタン(フロイント産業製:A−HR)16.8g及びタルク(松村産業製:クラウンタルク)2.0gを均一に分散した液を噴霧して、下記Aに示す組成の被膜を施した1錠質量当たり185.88mgのフィルムコーティング錠を得た。得られた錠剤に、引き続き、ヒプロメロース(信越化学製:TC−5M)20.0gをエタノール93.6g及び精製水93.6gに溶解したのち、酸化チタン(フロイント産業製:A−HR)1.2gを均一に分散した液を噴霧して、下記Bに示す組成の被膜を施した1錠質量当たり188.0mgのフィルムコーティング錠を得た。この錠剤に、UVレーザーマーキング装置(クオリカプス製:LIS−250型)を用いて、PE=38%、発振周波数30,000Hzの条件でレーザー印刷を行い、印字を施した複層フィルムコーティング錠を得た。[被 膜 A] [成 分] [1錠当たりの被膜の質量(mg)] ヒプロメロース 4.00 酸化チタン 1.68 タルク 0.20[被 膜 B] [成 分] [1錠当たりの被膜の質量(mg)] ヒプロメロース 2.00 酸化チタン 0.12 バルサルタン80mgを含む質量180.0mg、直径8.5mmの素錠を錠剤コーティング機(パウレック製:DRC−200型)に投入し、ヒプロメロース(信越化学製:TC−5M)56.0g及びマクロゴール6000(三洋化成製)6.0gを精製水630.0gに溶解したのち、酸化チタン(フロイント産業製:A−HR)13.8g及びタルク(松村産業製:クラウンタルク)3.0gを均一に分散した液を噴霧して、下記Aに示す組成の被膜を施した1錠質量当たり187.88mgのフィルムコーティング錠を得た。得られた錠剤に、引き続き、ヒプロメロース(信越化学製:TC−5M)20.0gを精製水170.0gに溶解したのち、酸化チタン(フロイント産業製:A−HR)1.2gを均一に分散した液を噴霧して、下記Bに示す組成の被膜を施した1錠質量当たり190.0mgのフィルムコーティング錠を得た。この錠剤に、UVレーザーマーキング装置(クオリカプス製:LIS−250型)を用いて、PE=38%、発振周波数30,000Hzの条件でレーザー印刷を行い、印字を施した複層フィルムコーティング錠を得た。[被 膜 A] [成 分] [1錠当たりの被膜の質量(mg)] ヒプロメロース 5.60 マクロゴール6000 0.60 酸化チタン 1.38 タルク 0.30[被 膜 B] [成 分] [1錠当たりの被膜の質量(mg)] ヒプロメロース 2.00 酸化チタン 0.12 ロサルタンカリウム50mgを含む質量140.0mg、直径7.5mmの素錠を錠剤コーティング機(パウレック製:DRC−200型)に投入し、ヒプロメロース(信越化学製:TC−5M)19.25g及びマクロゴール6000(三洋化成製)1.25gを精製水240.0gに溶解したのち、酸化チタン(フロイント産業製:A−HR)9.5gを均一に分散した液を噴霧して、下記Aに示す組成の被膜を施した1錠143.0mgのフィルムコーティング錠を得た。得られた錠剤に、引き続き、ヒプロメロース(信越化学製:TC−5M)19.5gを精製水206.0gに溶解したのち、酸化チタン(フロイント産業製:A−HR)0.5gを均一に分散した液を噴霧して、下記Bに示す組成の被膜を施した1錠質量当たり145.0mgのフィルムコーティング錠を得た。この錠剤に、UVレーザーマーキング装置(クオリカプス製:LIS−250型)を用いて、PE=38%、発振周波数30,000Hzの条件でレーザー印刷を行い、印字を施した複層フィルムコーティング錠を得た。[被 膜 A] [成 分] [1錠当たりの被膜の質量(mg)] ヒプロメロース 1.925 マクロゴール6000 0.125 酸化チタン 0.950[被 膜 B] [成 分] [1錠当たりの被膜の質量(mg)] ヒプロメロース 1.950 酸化チタン 0.050 アムロジピンベシル酸塩10mgを含む質量250.0mg、直径8.5mmの素錠を錠剤コーティング機(パウレック製:DRC−200型)に投入し、ヒプロメロース(信越化学製:TC−5M)50.0gを精製水675.0gに溶解したのち、酸化チタン(フロイント産業製:A−HR)21.5g及びタルク(松村産業製:クラウンタルク)2.5gを均一に分散した液を噴霧して、下記Aに示す組成の被膜を施した1錠質量当たり257.4mgのフィルムコーティング錠を得た。得られた錠剤に、引き続き、ヒドロキシプロピルセルロース(日本曹達製:HPC−SSL)25.0gを精製水225.0gに溶解したのち、酸化チタン(フロイント産業製:A−HR)1.0gを均一に分散した液を噴霧して、下記Bに示す組成の被膜を施した1錠質量当たり260.0mgのフィルムコーティング錠を得た。この錠剤に、UVレーザーマーキング装置(クオリカプス製:LIS−250型)を用いて、PE=38%、発振周波数30,000Hzの条件でレーザー印刷を行い、印字を施した複層フィルムコーティング錠を得た。[被 膜 A] [成 分] [1錠当たりの被膜の質量(mg)] ヒプロメロース 5.00 酸化チタン 2.15 タルク 0.25[被 膜 B] [成 分] [1錠当たりの被膜の質量(mg)] ヒドロキシプロピルセルロース 2.50 酸化チタン 0.10〔比較例1〕 アムロジピンベシル酸塩5mgを含む質量180.0mg、直径8mmの素錠を錠剤コーティング機(パウレック製:DRC−200型)に投入し、ヒプロメロース(信越化学製:TC−5M)60.0gをエタノール363.6g及び精製水363.6gに溶解したのち、酸化チタン(フロイント産業製:A−HR)18.0g及びタルク(松村産業製:クラウンタルク)2.0gを均一に分散した液を噴霧して、下記組成の被膜を施した1錠質量当たり188.0mgのフィルムコーティング錠を得た。この錠剤に、UVレーザーマーキング装置(クオリカプス製:LIS−250型)を用いて、PE=38%、発振周波数30,000Hzの条件でレーザー印刷を行い、印字を施したフィルムコーティング錠を得た。 [成 分] [1錠当たりの被膜の質量(mg)] ヒプロメロース 6.00 酸化チタン 1.80 タルク 0.20〔比較例2〕 ドネペジル塩酸塩5mgを含む質量135.0mg、直径7mmの素錠を錠剤コーティング機(パウレック製:DRC−200型)に投入し、ヒプロメロース(信越化学製:TC−5M)40.3gを精製水365.0gに溶解したのち、酸化チタン(フロイント産業製:A−HR)2.5g及びタルク(松村産業製:クラウンタルク)2.0gを均一に分散した液を噴霧して、下記組成の被膜を施した1錠質量当たり約140mgのフィルムコーティング錠を得た。この錠剤に、UVレーザーマーキング装置(クオリカプス製:LIS−250型)を用いて、PE=38%、発振周波数30,000Hzの条件でレーザー印刷を行い、印字を施したフィルムコーティング錠を得た。 [成 分] [1錠当たりの被膜の質量(mg)] ヒプロメロース 4.03 酸化チタン 0.25 タルク 0.20(実施例及び比較例の錠剤表面のUVレーザー印字の鮮明さの評価)実施例1〜4及び比較例1、2で得られた錠剤を撮影した写真を図1に示す。図1より、実施例1〜実施例4で得られた複層フィルムコーティング錠(変色誘起物質兼遮光剤の含量割合が高いフィルムコーティング層を内側にもつ)の表面にUVレーザー印刷された文字は、其の鮮明さが高く、視認性が非常に良好であることが確認された。一方で、複層フィルムコーティング錠ではない比較例1の錠剤(変色誘起物質兼遮光剤の含量割合が高いフィルムコーティング層を最外にもつ)は、実施例1〜4と比較して、驚くべき程に著しく錠剤表面のレーザー印字の視認性が低いことが確認された。また、実施例1〜4で得られた複層フィルムコーティング錠剤は、UVレーザー印刷用の最外フィルムコーティング層の薄さに関わらず、複層フィルムコーティング錠ではない比較例2の錠剤(変色誘起物質の含量割合が実施例1〜4と同等である厚いフィルムコーティング層を最外にもつ)と同等程度にまで錠剤表面のレーザー印字の視認性が改善されることが確認された。 よって本発明の複層フィルムコーティング錠は、錠剤表面のレーザー印字の視認性を改善する上で非常に有用な効果をもつことが考えられる。 本発明に係る、変色誘起物質を特定の割合で含有する薄いフィルムコーティング層を最外にもつ複層フィルムコーティング錠剤は、素錠中に含まれる薬物の光に対する安定性を改善し、其の錠剤表面に極めて鮮明さの高い文字等をUVレーザー印刷することができる。そのため本発明によれば、錠剤表面に印刷された製品名及び薬物含量等の医療従事者による視認性が改善されて医療過誤の防止効果が期待できる高品質な錠剤を、医療現場に提供することができる。生理活性物質を含む素錠の外側に複層のフィルムコーティング層が施された錠剤であって、(a)最外フィルムコーティング層の重量が0.5mg〜5.0mgであり、(b)最外フィルムコーティング層にその全重量に対して酸化チタン、黄色三二酸化鉄、三二酸化鉄から選ばれた変色誘起物質を0.01重量%〜6.5重量%含み、(c)最外フィルムコーティング層を除いたフィルムコーティング層の重量が2.0mg〜10.0mgであり、(d)最外フィルムコーティング層を除いたフィルムコーティング層にその全重量に対して酸化チタン、黄色三二酸化鉄、三二酸化鉄から選ばれた遮光剤を15.0重量%〜50.0重量%含み、(e)錠剤表面に文字がレーザー印刷された複層フィルムコーティング錠。複層フィルムコーティング錠の素錠部分に変色誘起物質が含まれていない、請求項1に記載の複層フィルムコーティング錠。最外層のフィルムコーティング層に水溶性高分子ポリマーが含まれ、水溶性高分子ポリマーがヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルアルコール・アクリル酸・メタクリル酸メチル共重合体、ポリビニルアルコールポリエチレングリコールグラフトコポリマーのいずれかから選ばれるものである請求項1又は2に記載の複層フィルムコーティング錠。フィルムコーティング層を形成するためのスプレー液中に含有される変色誘起物質を均一分散させる工程を含む、請求項1〜3のいずれかに記載の複層フィルムコーティング錠を製造する方法。【課題】医療現場における医療過誤のリスクを低減するための、鮮明さに優れたレーザー印字が可能なUVレーザー印刷用フィルムコーティング錠剤を提供する。【解決手段】 変色誘起物質(酸化チタン等)を特定の割合で含有する薄いフィルムコーティング層を最外にもつ複層フィルムコーティング錠剤を製造して、其の錠剤表面に極めて鮮明さが改善された文字等をUVレーザー印刷する。また、前記錠剤は遮光剤の割合が高いフィルムコーティング層も内側にもつため、素錠中に含まれる光に不安定な薬物の安定性を改善する効果も期待される。【選択図】図1


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