生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B1)_スクラブ剤およびその使用方法
出願番号:2015010093
年次:2015
IPC分類:A61K 8/19,A61Q 19/10,C01B 31/14


特許情報キャッシュ

外山 富孝 佐橋 晃周 伊藤 崇充 外山 雄大 JP 5776053 特許公報(B1) 20150717 2015010093 20150122 スクラブ剤およびその使用方法 株式会社エム・イ−・ティ− 303043759 特許業務法人あいち国際特許事務所 110000648 外山 富孝 佐橋 晃周 伊藤 崇充 外山 雄大 20150909 A61K 8/19 20060101AFI20150820BHJP A61Q 19/10 20060101ALI20150820BHJP C01B 31/14 20060101ALI20150820BHJP JPA61K8/19A61Q19/10C01B31/14 A61K 8/00〜 8/99 A61Q 1/00〜90/00 C01B 31/00〜31/36 特開2000−233916(JP,A) 特開2002−212020(JP,A) 特開2002−212060(JP,A) 特開2013−237595(JP,A) 特開2006−083052(JP,A) 6 13 20150206 井上 能宏 本発明は、スクラブ剤およびその使用方法に関する。 従来、顔や体等における皮膚をケアするため、フェイスウォッシュやボディウォッシュ等のスキンケア用品が使用されている。この種のスキンケア用品には、通常、古い皮膚細胞を除去するため、スクラブ剤が含まれている。スクラブ剤としては、近年、マイクロビーズと呼ばれる、微細な球形のプラスチック粒子が多用されている。 なお、先行する特許文献1には、椰子殻を原料とする活性炭を含む皮膚の洗浄剤が開示されている。特開2001−233722号公報 しかしながら、従来技術は、以下の点で問題がある。すなわち、スクラブ剤として多用されるマイクロビーズは、細かいうえに水に浮く。そのため、マイクロビーズは、下水処理施設で下水汚泥中に捕捉されることなく、処理済み液の放流を通じて河川や湖沼、海等の自然環境中に放出される。自然環境中に放出されたマイクロビーズは、環境中に存在する様々な化学汚染物質を吸着する。化学汚染物質を吸着したマイクロビーズは、水生生物によって食べ物と間違えられ、水生生物の体内に取り込まれる。このようにして、マイクロビーズは、食物連鎖に入り込みやすいという問題がある。また、椰子殻等を原料とする活性炭をスクラブ剤として用いた場合には、表面凹凸が大きく球状でないため、必要な皮膚細胞まで除去されるおそれがある。 本発明は、上記背景に鑑みてなされたものであり、古い皮膚細胞を除去しやすく、食物連鎖に入り込み難いスクラブ剤、また、その使用方法を提供しようとするものである。 本発明の一態様は、球状、かつ、粒径がメジアン径で100〜800μmの範囲内、ピーク細孔直径が0.7nm〜1.2nmの範囲内、ミクロ孔細孔容積が0.5cm3/g以上である活性炭を有しており、 該活性炭は、下記条件(1)を満たしていることを特徴とするスクラブ剤にある。 条件(1):温度20℃の純水100gが水深5cmで入れられたビーカーの水面上に上記活性炭の試料1gを散布し、上記ビーカーを真空デシケーター内に載置して真空ポンプを用いて20分間真空引きした後、上記ビーカー内の純水を撹拌子を用いて回転数100rpmで1分間撹拌し、そのまま上記ビーカーを30分間静置した場合に、上記試料の95質量%以上が上記ビーカーの底に沈殿する。 本発明の他の態様は、上記スクラブ剤を用い、該スクラブ剤が有する上記活性炭を皮膚表面上で回転させる手順を含むことを特徴とするスクラブ剤の使用方法にある。 上記スクラブ剤は、球状、かつ、粒径が特定の範囲内にある活性炭を有している。そのため、上記スクラブ剤が有する活性炭を皮膚表面上で回転させることにより、比較的簡単に古い皮膚細胞が除去される。この際、上記活性炭は球状であるため、過剰に皮膚細胞が除去されるのを抑制することができる。また、上記スクラブ剤において、活性炭のピーク細孔直径は、0.7nm〜1.2nmの範囲内にあり、活性炭のミクロ孔細孔容積は、0.5cm3/g以上である。そのため、上記スクラブ剤は、スクラブ機能のみならず、皮脂吸着能にも優れる。したがって、上記スクラブ剤によれば、古い皮膚細胞を除去しながら、同時に、皮脂を吸着によって除去することができる。 また、上記スクラブ剤は、活性炭が特定の条件(1)を満たしている。そのため、上記スクラブ剤が水とともに下水に流された場合、活性炭は、下水処理施設において処理済み液(上澄み液)ではなく、沈殿により下水汚泥中に入り込む。そのため、上記スクラブ剤によれば、スクラブ機能を有する活性炭が、河川や湖沼、海等への処理済み液の放流を通じて自然環境中に放出されるのを抑制することができる。それ故、上記スクラブ剤は、食物連鎖に入り込み難い。 上記スクラブ剤の使用方法は、上記スクラブ剤が有する活性炭を皮膚表面上で回転させる手順を含んでいる。そのため、上記スクラブ剤の使用方法によれば、上記活性炭により比較的簡単に古い皮膚細胞を除去することができる。また、古い皮膚細胞を除去しながら、同時に、皮脂を吸着によって除去することもできる。また、使用後にスクラブ剤が水とともに下水に流された場合でも、活性炭は、下水処理施設において沈殿により下水汚泥中に捕捉され、上述のように自然環境中に放出され難い。そのため、上記スクラブ剤の使用方法によれば、スクラブ剤が食物連鎖に入り込み難いため、自然環境に優しいスキンケアを行うことができる。 よって、本発明によれば、古い皮膚細胞を除去しやすく、食物連鎖に入り込み難いスクラブ剤およびその使用方法を提供することができる。実施例1のスクラブ剤を模式的に示した説明図である。実施例2のスクラブ剤を模式的に示した説明図である。実験例における、各活性炭、炭化物Cの微分細孔容積分布である。実験例における、オレイン酸の吸着試験で観察された振とう後の各試料瓶の状態を示す写真である。 上記スクラブ剤において、活性炭は、球状の形状を呈している。球状とは、真球のみならず、球と同等の形状、つまり、球と似た形状までをも含む意味である。活性炭が球状であるという規定は、活性炭が皮膚表面上で滑らかに転がることによって古い皮膚細胞をスクラブ作用によって除去し、必要な皮膚細胞を傷つけ難くする意義がある。 活性炭は、粒径がメジアン径で100〜800μmの範囲内にある。活性炭の粒径がメジアン径で100μm未満になると、人の毛穴に入り込む活性炭が増加し、活性炭が皮膚表面上で滑らかに転がり難くなるおそれがある。また、その結果、上記スクラブ剤の使用感も乏しくなる。また、後述するように、例えば、上記スクラブ剤が活性炭単体からなる場合に、活性炭が飛散しやすくなる。このような不都合をより少なくする観点から、活性炭の粒径は、メジアン径で、好ましくは、110μm以上、より好ましくは120μm以上、さらに好ましくは150μm以上、さらにより好ましくは180μm以上、さらにより一層好ましくは200μm以上とすることができる。一方、活性炭の粒径がメジアン径で800μmを超えると、上記スクラブ剤の使用者が使用時に違和感や痛感を感じやすくなるおそれがある。このような不都合をより少なくする観点から、活性炭の粒径は、メジアン径で、好ましくは750μm以下、より好ましくは700μm以下、さらに好ましくは650μm以下、さらにより好ましくは600μm以下、さらにより一層好ましくは550μm以下、もっとも好ましくは500μm以下とすることができる。 活性炭のメジアン径は、レーザー回折・散乱式の粒度分布測定装置(堀場製作所社製、「LA−700」)により測定される体積基準の累積度数分布が50%を示すときの粒子径(直径)d50をいう。なお、上記粒度分布測定装置が入手不可能になった場合にはこれと同等の測定を行うことが可能な粒度分布測定装置が用いられる。 ここで、活性炭は、下記条件(1)を満たす。 条件(1):温度20℃の純水100gが水深5cmで入れられたビーカーの水面上に活性炭の試料1gを散布し、ビーカーを真空デシケーター内に載置して真空ポンプを用いて20分間真空引きした後、ビーカー内の純水を撹拌子を用いて回転数100rpmで1分間撹拌し、そのままビーカーを30分間静置した場合に、試料の95質量%以上がビーカーの底に沈殿する。 上記スクラブ剤において、活性炭が条件(1)を満たすことは、スクラブ剤が有する活性炭のほとんどが水に沈むことにより、下水処理施設において下水汚泥中に活性炭が回収されるようにする意義がある。比重が1よりも小さい活性炭はもちろんのこと、比重が1よりも大きい活性炭であっても、活性炭の粒内に閉気孔が多く存在する場合には、水に浮いてしまう場合がある。したがって、比重の大小では、スクラブ剤が有する活性炭のほとんどが水に沈むか否かを正確に判断することができない。これに対して、条件(1)を満たす活性炭は、活性炭粒子のほとんどが水に沈むため、例え活性炭表面に開口する細孔に空気が満たされていたとしても、下水を流れるうちに、あるいは、下水処理施設における撹拌等によって、細孔から空気が抜け、水に沈んで下水汚泥中に回収されるようになる。 条件(1)では、ビーカーの水面上に活性炭の試料が散布され、このビーカーが真空デシケーター内に載置されて真空ポンプを用いて真空引きされる。そのため、試料の活性炭における細孔内に入り込んだ空気は確実に脱気される。つまり、細孔内に入り込んだ空気の影響を除去した状態で、スクラブ剤が有する活性炭のほとんどが水に沈むか否かを正確に判断することができる。なお、到達圧力は、10〜50Paとする。また、試料の5質量%未満の範囲内であれば、ビーカーの底に沈殿することなく、水に浮く活性炭が含まれていてもよい。 上記スクラブ剤において、活性炭のピーク細孔直径は、活性炭の微分細孔容積分布が最大値を示すときの細孔直径である。 活性炭のピーク細孔直径は、皮脂吸着能を向上させる等の観点から、好ましくは0.75nm以上、より好ましくは0.8nm以上、さらに好ましくは0.85nm以上、さらにより好ましくは0.9nm以上とすることができる。活性炭のピーク細孔直径は、活性炭の機械的強度を確保する等の観点から、好ましくは1.18nm以下、より好ましくは1.15nm以下、さらに好ましくは1.13nm以下とすることができる。 活性炭の微分細孔容積分布およびミクロ孔細孔容積は、前処理装置(日本ベル社製、「BELSORP−VACII」)を用い、300℃、10−2kPa以下で2時間保持するという条件にて前処理を実施した後、自動比表面積/細孔分布測定装置(日本ベル社製、「BELSORP−miniII」)を用い、定温(77K)下での圧力と窒素ガスの吸着量との変化を表す吸着等温線を作成し、MP法により算出することによって得られる。 上記スクラブ剤において、活性炭の比表面積は、1000m2/g以上とすることができる。この場合には、スクラブ機能のみならず、皮脂吸着能にも優れたスクラブ剤が得られる。したがって、このスクラブ剤によれば、古い皮膚細胞を除去しながら、同時に、皮脂を吸着によって除去することができる。 活性炭の比表面積は、皮脂吸着能を向上させる等の観点から、好ましくは1100m2/g以上、より好ましくは1200m2/g以上、さらに好ましくは1300m2/g以上、さらにより好ましくは1400m2/g以上とすることができる。なお、皮脂の吸着サイトが増大する観点から、活性炭の比表面積は、大きいほどよい。しかし、活性炭の比表面積を過度に大きくすると、活性炭の収率が低下し、経済性が悪くなる。また、活性炭の機械的強度も低下する傾向がある。そのため、活性炭の比表面積は、2400m2/g以下とするのが好ましい。 活性炭の比表面積は、前処理装置(日本ベル社製、「BELSORP−VACII」)を用い、300℃、10−2kPa以下で2時間保持するという条件にて前処理を実施した後、自動比表面積/細孔分布測定装置(日本ベル社製、「BELSORP−miniII」)を用い、定温(77K)下での圧力と窒素ガスの吸着量との変化を表す吸着等温線を作成し、ISO9277に準拠してBET法により算出することによって得られる。なお、上記において、自動比表面積/細孔分布測定装置が入手不可能になった場合にはこれと同等の測定を行うことが可能な自動比表面積/細孔分布測定装置が用いられる。 上記スクラブ剤は、界面活性剤を含まない構成とすることができる。界面活性剤は、活性炭の細孔に吸着されやすい。そのため、界面活性剤が過剰に含まれる場合には、活性炭の細孔が界面活性剤に占められ、その分、活性炭の皮脂吸着能が低下するおそれがある。上記スクラブ剤が界面活性剤を含まない構成である場合には、上記スクラブ剤が単体で使用される際に、活性炭の皮脂吸着能が阻害されないため、活性炭が備える皮脂の吸着機能を最大限に発揮させやすくなる。なお、上記にいう界面活性剤とは、人の皮脂を乳化して水に溶かす役割を有するものをいう。この種の界面活性剤としては、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、オレイン酸PEG−20グリセル等を例示することができる。 上記スクラブ剤は、例えば、活性炭単体より構成されることができる。この場合には、活性炭が備える、古い皮膚細胞を除去するスクラブ機能と皮脂の吸着機能とを最大限発揮させやすい。 上記スクラブ剤は、活性炭以外にも、活性炭を分散させるためのベースを有する構成とすることもできる。この場合には、上記スクラブ剤が手に載せられた場合に、ベースによって活性炭が手に保持されやすくなる。そのため、この場合には、取扱い性や使用感の向上に有利なスクラブ剤が得られる。ベースは、液体であってもよいし、ペースト状等、半固形状であってもよい。ベースとしては、具体的には、例えば、水、カルボキシメチルセルロースゲル、通常のスキンケア用品に適用されるもの等を例示することができる。ベースとしては、界面活性剤を含んでいないものを好適に用いることができる。この場合には、活性炭が備える、古い皮膚細胞を除去するスクラブ機能と皮脂の吸着機能とを最大限発揮させやすい。 ベースが水である場合には、ベースによる皮膚への刺激が少なく、自然環境への負荷の少ない水系のスクラブ剤が得られる。 上記スクラブ剤は、例えば、次のように製造することができる。球状の樹脂原料粉末を、炭化炉内で炭化処理することにより、球状の炭化物粉末を得る。球状の樹脂原料粉末としては、例えば、球状のフェノール樹脂粉末などを用いることができる。なお、球状の樹脂原料粉末のメジアン径d50は、140〜1100μm程度とすることができる。また、炭化条件としては、例えば、窒素雰囲気下、温度850℃にて30分間保持するという条件を例示することができる。次いで、得られた炭化物粉末を、賦活炉内で賦活処理する。賦活条件としては、例えば、炉内に水蒸気を流入させ、温度850℃にて5〜24時間保持するという条件を例示することができる。また、賦活処理して得られた活性炭は、必要に応じて、所定の粒径となるように分級することができる。これにより、上記スクラブ剤に適用可能な活性炭粉末が得られる。 上記スクラブ剤の使用方法は、上記スクラブ剤が有する活性炭を皮膚表面上で回転させる手順を含む。上記スクラブ剤の使用方法は、具体的には、例えば、手の平に載せたスクラブ剤を所定の皮膚表面に当接させ、手の平と所定の皮膚表面とにより活性炭を挟持し、この状態のまま手を動かすことにより、活性炭を皮膚表面上で転がすことができる。 なお、上述した各構成は、上述した各作用効果等を得るなどのために必要に応じて任意に組み合わせることができる。 以下、実施例のスクラブ剤について、図面を用いて説明する。なお、同一部材については同一の符号を用いて説明する。(実施例1) 実施例1のスクラブ剤について、図1を用いて説明する。図1に示されるように、本例のスクラブ剤1は、活性炭10を有している。本例では、スクラブ剤1は、活性炭10単体より構成される。 ここで、活性炭10は、球状、かつ、粒径がメジアン径で100〜800μmの範囲内にある。また、活性炭10のピーク細孔直径は、0.7nm〜1.2nmの範囲内にあり、活性炭10のミクロ孔細孔容積は、0.5cm3/g以上である。また、活性炭10は、下記条件(1)を満たしている。 条件(1):温度20℃の純水100gが水深5cmで入れられたビーカーの水面上に活性炭10の試料1gを散布し、ビーカーを真空デシケーター内に載置して真空ポンプを用いて20分間真空引きした後、ビーカー内の純水を撹拌子を用いて回転数100rpmで1分間撹拌し、そのままビーカーを30分間静置した場合に、試料の95質量%以上がビーカーの底に沈殿する。 本例では、活性炭10の比表面積は1000m2/g以上である。 次に、本例のスクラブ剤の作用効果について説明する。 本例のスクラブ剤1は、球状、かつ、粒径が特定の範囲内にある活性炭10を有している。そのため、本例のスクラブ剤1が有する活性炭10を皮膚表面上で回転させることにより、比較的簡単に古い皮膚細胞が除去される。この際、活性炭10は球状であるため、過剰に皮膚細胞が除去されるのを抑制することができる。 また、本例のスクラブ剤1は、活性炭10が特定の条件(1)を満たしている。そのため、本例のスクラブ剤1が水とともに下水に流された場合、活性炭10は、下水処理施設において処理済み液(上澄み液)ではなく、沈殿により下水汚泥中に入り込む。そのため、本例のスクラブ剤1によれば、スクラブ機能を有する活性炭10が、河川や湖沼、海等への処理済み液の放流を通じて自然環境中に放出されるのを抑制することができる。それ故、本例のスクラブ剤1は、食物連鎖に入り込み難い。 また、本例のスクラブ剤1は、活性炭10のピーク細孔直径、ミクロ孔細孔容積、比表面積が上述した範囲内にある。そのため、本例のスクラブ剤1は、スクラブ機能のみならず、皮脂吸着能にも優れる。 また、本例のスクラブ剤1は、活性炭10単体より構成される。そのため、本例のスクラブ剤1は、活性炭10が備える、古い皮膚細胞を除去するスクラブ機能と皮脂の吸着機能とを最大限発揮させやすい。また、本例では、粉末状のスクラブ剤1が得られる。(実施例2) 実施例2のスクラブ剤について、図2を用いて説明する。本例のスクラブ剤1は、活性炭10と、活性炭10を分散させるためのベース11とを有している点で、実施例1のスクラブ剤1と異なっている。本例では、ベース11は、具体的には、水である。その他の構成は、実施例1と同様である。 本例のスクラブ剤1も、実施例1のスクラブ剤1と同様に、古い皮膚細胞を除去しやすく、食物連鎖に入り込み難い。また、スクラブ機能のみならず、皮脂吸着能にも優れる。 さらに、本例のスクラブ剤1は、活性炭10以外にも、活性炭10を分散させるためのベース11を有している。そのため、本例のスクラブ剤1は、当該スクラブ剤1が手に載せられた場合に、ベース11によって活性炭10が手に保持されやすくなる。そのため、本例のスクラブ剤1は、取扱い性や使用感の向上に有利である。また、本例では、ベース11が水であるため、ベース11による皮膚への刺激が少なく、自然環境への負荷も少ない水系のスクラブ剤1が得られる。(実験例) 以下、実験例を用いてより具体的に説明する。<活性炭AC1、AC2、AC3の作製> 粒径がメジアン径で250μmである球状のフェノール樹脂粉末を、活性炭製造装置(エム・イー・ティー社製)の炭化炉内で、窒素雰囲気下、昇温速度3℃/分にて850℃まで昇温し、30分間保持することにより、炭化処理し、球状の炭化物粉末を得た。次いで、得られた球状の炭化物粉末を、上記活性炭製造装置の賦活炉内で、昇温速度3℃/分にて850℃まで昇温した後、12g/分の水蒸気を流入させ、5時間、10時間、または、24時間保持することにより、賦活処理した。これにより、上記保持時間に対応して収率がそれぞれ31.1%、25%、7%である球状の活性炭粉末AC3、AC2、AC1を得た。なお、上記収率は、絶乾状態での原料の質量に対する、得られた活性炭の質量の比率(%)のことである。<炭化物Cの作製> 上記活性炭の作製の途中にて得られた球状の炭化物粉末を炭化物Cとした。<杉炭化物BCの作製> 杉破砕物を120℃で含水率12質量%以下になるまで乾燥した。次いで、乾燥された杉粉砕物を、バイオマスペレット製造装置(アースエンジニアリング社製、「EF−BS−150」)を用いて、ペレット化し、杉ペレットを得た。次いで、得られた杉ペレットを、上記活性炭製造装置の炭化炉内で、窒素雰囲気下、昇温速度3℃/分にて850℃まで昇温し、30分間保持することにより、炭化処理した。次いで、得られた杉炭化物を、乳鉢にて粉砕し、非球状で粒状の杉炭化物BCを得た。<粒径の測定の作製> レーザー回折・散乱式の粒度分布測定装置(堀場製作所社製、「LA−700」)を用い、各活性炭、炭化物C、杉炭化物BCのメジアン径d50をそれぞれ測定した。また、体積基準の累積度数分布が、90%を示すときの粒子径(直径)d90も併せて測定した。<条件(1)を満たすか否かに関する確認試験> 温度20℃の純水100gが水深5cmで入れられたビーカーを準備した。次いで、このビーカーの水面上に、測定対象の活性炭の試料1gを散布し、9Lの真空デシケーター内に載置した。次いで、真空ポンプ(アルバック機工社製、「DA−5S」)を用いて20分間真空引きすることにより、水面上に浮かぶ活性炭の細孔内の空気を脱気した。なお、到達圧力は、33.3Paとした。次いで、真空解放後、真空デシケーターからビーカーを取り出した。次いで、ビーカー内の純水を撹拌子を用いて回転数100rpmで1分間撹拌し、そのままビーカーを30分間静置した。そして、試料の95質量%以上がビーカーの底に沈殿した場合を、条件(1)を満たすとし、それ以外を条件(1)を満たさないとした。なお、炭化物C、杉炭化物BCは、活性炭ではないため、本確認試験は省略した。<各活性炭、炭化物Cの微分細孔容積分布> 各活性炭、炭化物Cについて、前処理装置(日本ベル社製、「BELSORP−VACII」)を用い、300℃、10−2kPa以下で2時間保持するという条件にて前処理を実施した。そして、自動比表面積/細孔分布測定装置(日本ベル社製、「BELSORP−miniII」)を用い、定温(77K)下での圧力と窒素ガスの吸着量との変化を表す吸着等温線を作成した。その後、MP法により微分細孔容積分布およびミクロ孔細孔容積を求めた。図3に、各活性炭、炭化物Cの微分細孔容積分布を示す。なお、杉炭化物BCは、ミクロ孔細孔がほぼない状態であるため、解析不能であった。<各活性炭、炭化物C、杉炭化物BCの比表面積> 各活性炭、炭化物C、杉炭化物BCについて、前処理装置(日本ベル社製、「BELSORP−VACII」)を用い、300℃、10−2kPa以下で2時間保持するという条件にて前処理を実施した。そして、自動比表面積/細孔分布測定装置(日本ベル社製、「BELSORP−miniII」)を用い、定温(77K)下での圧力と窒素ガスの吸着量との変化を表す吸着等温線を作成した。その後、ISO9277に準拠してBET法により比表面積を求めた。<試料1〜試料5のスクラブ剤> 活性炭AC1を試料1のスクラブ剤とした。活性炭AC2を試料2のスクラブ剤とした。活性炭AC3を試料3のスクラブ剤とした。炭化物Cを試料4のスクラブ剤とした。杉炭化物BCを試料5のスクラブ剤とした。なお、試料4および試料5のスクラブ剤は、参考例である。<オレイン酸の吸着試験> 試料1〜試料5のスクラブ剤について、オレイン酸の吸着率を測定した。なお、オレイン酸は、皮脂を模擬したものである。つまり、本試験により、試料1〜試料5のスクラブ剤の皮脂吸着性能を確認することができる。 質量比で1000ppmのオレイン酸を含む水溶液を調製し、十分に撹拌した。次いで、試料瓶に、上記水溶液:50g、試料のスクラブ剤:絶乾重量1gをこの順に入れて密閉した。次いで、振とう機(TAITEC社製、「RECIPRO SHAKER NR−1」)を用い、温度:35℃、振とう速度:150回往復/分、振とう時間:24時間という条件で、上記密閉後の試料瓶を振とうさせた。次いで、振とう後の試料瓶の透明性を目視にて確認した。図4に、振とう後の各試料瓶の状態を示す。次いで、試料瓶内の液を濾過し、試料のスクラブ剤を取り出し、温度25℃で1日静置し、乾燥させた。次いで、乾燥後の試料のスクラブ剤を、熱重量分析計(RIGAKU社製、「THERMO PLUS TG8120」)を用いて分析した。この際の分析条件は、窒素雰囲気下、昇温速度2℃/分、105℃で2時間保持した後、以降650℃まで加熱するという条件とした。次いで、以下の計算式よりオレイン酸の吸着率(%)を算出した。 オレイン酸の吸着率(%)=(600℃のときの重量減少量−105℃のときの重量減少量)×100/(試料のスクラブ剤の絶乾重量) 上記結果をまとめて表1に示す。 試料1〜試料3のスクラブ剤は、球状、かつ、粒径が特定の範囲内にある活性炭を有している。また、試料1〜試料3のスクラブ剤は、試料4、試料5のスクラブ剤に比べ、オレイン酸の吸着率が大きい。そのため、試料1〜試料3のスクラブ剤は、古い皮膚細胞を活性炭のスクラブ機能により除去しながら、同時に、皮脂を吸着により除去することができるといえる。なお、図4に示されるように、試料1のスクラブ剤の入った試料瓶は、透明であり、試料3のスクラブ剤の入った試料瓶は、僅かに白濁が見られたものの、ほとんど透明であった。これに対し、試料4、試料5のスクラブ剤の入った試料瓶は、試料瓶の奥側が十分確認できないほど白濁していた。これは、オレイン酸を十分に吸着できなかったためである。上記結果は、オレイン酸の吸着率の測定結果とも合致している。 また、試料1〜試料3のスクラブ剤は、活性炭が条件(1)を満たしている。そのため、各スクラブ剤が水とともに下水に流された場合、各活性炭は、下水処理施設において処理済み液(上澄み液)ではなく、沈殿により下水汚泥中に入り込むことができる。そのため、上記スクラブ剤は、スクラブ機能を有する活性炭が、河川や湖沼、海等への処理済み液の放流を通じて自然環境中に放出されるのを抑制することができる。それ故、上記スクラブ剤は、食物連鎖に入り込み難いといえる。なお、従来、スクラブ剤として用いられているマイクロビーズは、水に浮くことが明らかであるから、条件(1)を満たさないのは明らかである。また、マイクロビーズ自体に皮脂吸着能がないことも明らかである。 以上、本発明の実施例について詳細に説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を損なわない範囲内で種々の変更が可能である。 1 スクラブ剤 10 活性炭 11 ベース 球状、かつ、粒径がメジアン径で100〜800μmの範囲内、ピーク細孔直径が0.7nm〜1.2nmの範囲内、ミクロ孔細孔容積が0.5cm3/g以上である活性炭を有しており、 該活性炭は、下記条件(1)を満たしていることを特徴とするスクラブ剤。 条件(1):温度20℃の純水100gが水深5cmで入れられたビーカーの水面上に上記活性炭の試料1gを散布し、上記ビーカーを真空デシケーター内に載置して真空ポンプを用いて20分間真空引きした後、上記ビーカー内の純水を撹拌子を用いて回転数100rpmで1分間撹拌し、そのまま上記ビーカーを30分間静置した場合に、上記試料の95質量%以上が上記ビーカーの底に沈殿する。 上記活性炭の比表面積は、1000m2/g以上であることを特徴とする請求項1に記載のスクラブ剤。 上記活性炭単体より構成されることを特徴とする請求項1または2に記載のスクラブ剤。 上記活性炭を分散させるためのベースを有していることを特徴とする請求項1または2に記載のスクラブ剤。 界面活性剤を含んでいないことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のスクラブ剤。 請求項1〜5のいずれか1項に記載のスクラブ剤を用い、該スクラブ剤が有する上記活性炭を皮膚表面上で回転させる手順を含むことを特徴とするスクラブ剤の使用方法。【課題】古い皮膚細胞を除去しやすく、食物連鎖に入り込み難いスクラブ剤、その使用方法を提供する。【解決手段】スクラブ剤1は、球状、かつ、粒径がメジアン径で100〜800μmの範囲内にある活性炭10を有している。活性炭10は、次の条件(1)を満たしている。条件(1):温度20℃の純水100gが水深5cmで入れられたビーカーの水面上に活性炭の試料1gを散布し、ビーカーを真空デシケーター内に載置して真空ポンプを用いて20分間真空引きした後、ビーカー内の純水を撹拌子を用いて回転数100rpmで1分間撹拌し、そのままビーカーを30分間静置した場合に、試料の95質量%以上がビーカーの底に沈殿する。【選択図】図1


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