生命科学関連特許情報

タイトル:公表特許公報(A)_異常ヘモグロビン症の治療のための組成物および方法
出願番号:2014558896
年次:2015
IPC分類:C12N 15/09,C12N 5/10,A61K 38/43,A61K 48/00,A61P 7/00,C12N 9/16


特許情報キャッシュ

ベンダー,マイケル・エイ グラウディン,マーク・ティー ストッダード,バリー・エル タケウチ,リョウ JP 2015516146 公表特許公報(A) 20150611 2014558896 20130222 異常ヘモグロビン症の治療のための組成物および方法 フレッド ハッチンソン キャンサー リサーチ センター 506139369 小野 新次郎 100140109 小林 泰 100075270 竹内 茂雄 100101373 山本 修 100118902 中濱 明子 100135415 ベンダー,マイケル・エイ グラウディン,マーク・ティー ストッダード,バリー・エル タケウチ,リョウ US 61/603,231 20120224 C12N 15/09 20060101AFI20150515BHJP C12N 5/10 20060101ALI20150515BHJP A61K 38/43 20060101ALI20150515BHJP A61K 48/00 20060101ALI20150515BHJP A61P 7/00 20060101ALI20150515BHJP C12N 9/16 20060101ALI20150515BHJP JPC12N15/00 AC12N5/00 102A61K37/48A61K48/00A61P7/00C12N9/16 A AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC US2013027459 20130222 WO2013126794 20130829 69 20141021 4B024 4B050 4B065 4C084 4B024AA01 4B024BA11 4B024DA02 4B024EA04 4B024FA02 4B024GA11 4B024HA17 4B050CC04 4B050CC07 4B050DD07 4B050EE10 4B050LL01 4B065AA90X 4B065AA90Y 4B065AB01 4B065AC20 4B065BA02 4B065CA44 4C084AA02 4C084AA07 4C084AA13 4C084BA02 4C084BA44 4C084DC01 4C084NA14 4C084ZA512 関連出願に対するクロスリファレンス [0001]本出願は、PCT国際特許出願として2013年2月22日に出願され、そしてその開示が、全体として本明細書に援用される、2012年2月24日出願の米国仮特許出願第61/603,231号に優先権を請求する。 配列表 [0002]本出願には、「配列表54428.0006WOU1_ST25」と題され、そして2013年2月22日に作成され、そして174キロバイト(KB)のサイズを有するtxtファイルとしての電子形式の配列表が含まれる。txtファイル「配列表54428.0006WOU1_ST25」の内容は、本明細書に援用される。 開示の技術分野[0003]本開示は、一般的に、遺伝病の治療に関する。より具体的には、本開示は、グロビン遺伝子の発現を改変するための、ホーミングエンドヌクレアーゼに、そしてCas9エンドヌクレアーゼに基づく組成物および方法を含む、エンドヌクレアーゼに基づく組成物および方法を提供し、該組成物および方法は、サラセミア、鎌状赤血球症、および他の異常ヘモグロビン症の治療に有用である。 関連技術の説明[0004]異常ヘモグロビン症、例えばサラセミアおよび鎌状赤血球症は、非常に蔓延している遺伝的赤血球障害であり、世界中で、重大な健康上の負荷を引き起こしている。重度のヘモグロビン障害を有する人々が、毎年、130万人を超えて生まれる。世界中で5%の人々がキャリアーであるが、サラセミアおよび鎌状赤血球症(SCD)の臨床的に重度の型に関しては、出生率は、それぞれ、千人あたり0.44人および1.96人である。 [0005]正常状態では、哺乳動物赤血球細胞に見られるヘモグロビンは、主に、2つのα様鎖(ポリペプチド)および2つのβ様鎖のヘテロ四量体からなる。β−グロビン遺伝子座の5つの遺伝子は、染色体11上のクラスターにある。該遺伝子は、赤血球において、そして発生段階特異的方式(manor)で発現され;ε、AγおよびGγ、ならびにδおよびβ遺伝子は、主に、それぞれ胚性期、胎性期および生後期に発現される。出生時、95%のβ様鎖はγであり、残りはβである。この比は、生後1年の間に次第に逆転し、鎌状赤血球および大部分のβ−サラセミアなどのβ−グロビン遺伝子に限定された表現型が、数ヶ月齢になるまで顕在化しないのはなぜかを説明する。染色体16にあるα様遺伝子の発現は異なり;胚性ζ遺伝子は、εの発現と平行するが、対のα遺伝子は、胎性期以降に発現される。したがって、α異常は、子宮において顕在化され、潜在的に、壊滅的な結果(例えば胎児水腫)を伴う。生じるα−、β−ヘテロ四量体は、発生的に発現され;胚性:Hbガウワー1(ζ2、ε2)、Hbガウワー2(α2、ε2)およびHbポートランド(ζ2、γ2);胎性:HbF(胎性)(α2、γ2)ならびに成体:HbA2(α2、δ2)およびHbA(成体)(α2、β2)である。 [0006]β−サラセミアは、成体β−グロビン遺伝子座における異常によって引き起こされ、これは、β様グロビン鎖対α様鎖の異常な化学量論を生じ、非対α様鎖の沈降を生じる。サラセミアの重症度は、このグロビン鎖不均衡の度合いに直接関連する。細胞および膜タンパク質の酸化を含むいくつかの経路を通じて仲介される次の損傷は、結果的に、無効な赤血球形成、アポトーシス、および赤血球生存減少を生じる。β−サラセミアの原因となる200を超える突然変異が記載されてきている。 [0007]鎌状赤血球症は、ペプチドの6位のアミノ酸で、グルタミン酸のバリンによる置換を生じ、βSを生じる、β−グロビン遺伝子内の単一のヌクレオチド置換によって引き起こされる。ヘモグロビンS(α2、βS2)はこの突然変異を所持し、正常成体ヘモグロビン(HbA)と対照的に、HbSと称される。低酸素濃度の条件下で、HbSは、重合可能な点でアロステリック変化を経る。ヘモグロビンのデオキシ型は、EおよびFらせん間で、タンパク質上に疎水性パッチを曝露する。ヘモグロビンβ−鎖の6位の疎水性バリンは、他のヘモグロビンS分子の疎水性パッチと会合可能な疎水性パッチを形成し、ヘモグロビンS分子を凝集させ、そして線維性沈降物を形成し、これが次いで、赤血球細胞に鎌形を採用させ、そして血管閉塞および溶血を通じた組織損傷を生じる、多くの経路における改変を導く。 [0008]β−サラセミアおよび鎌状赤血球症(SCD)は、β−グロビン遺伝子座のそれぞれ定量的および定性的障害であるが、正常β様グロビン遺伝子の発現は、どちらの疾患も寛解させうる。サラセミアにおいて、グロビン鎖不均衡のいかなる改善も各細胞に関する選択的利点を提供し、そして臨床的利益を生じる。鎌状赤血球症において、正常または特定の突然変異β様鎖は、突然変異鎌状赤血球鎖よりもより有効にα様鎖に関して競合し、したがってHbSの量を減少させることによって、HbSの重合を遮断するヘモグロビン(例えばHbF)を形成し、そして細胞あたりの非鎌状ヘモグロビンの量を増加させることによって、臨床表現型を寛解させうる。例えば、鎌状赤血球症において、わずか8%のレベルの胎性ヘモグロビン(HbF)が、HbS重合を阻害し、これが生存増加を生じる一方、20%のHbFレベルは、ほぼ完全な表現型修正を提供する。決定的なことに、正常HbAを含有するドナー赤血球細胞の子孫は、HbSを含有する内因性由来細胞よりも、造血幹細胞移植(HSCT)後、強い選択的優位性を有する。骨髄において11%ドナー細胞を持つ患者は、35%ドナーBFUeおよび73%ドナー赤血球を有し、これは輸血非依存を生じた。したがって、比較的わずかな移植HSCにおける修正でも、臨床的利益を提供する。 [0009]サラセミアの重症型は、長期輸血を必要とし、鉄過負荷を生じる。生存は、キレート化の有効性と相関するが、コスト、副作用、およびコンプライアンスは、有効性をひどく限定する。SCDに対する唯一のFDA認可薬剤はヒドロキシ尿素であり、これは罹患率および死亡率を減弱させうる。しかしこの治療は十分に処方されず、コンプライアンスが劣っており、そして適切に健康状態を保護しない。 [0010]造血細胞移植(HCT)は、血液学的悪性腫瘍および関連障害を持つ毎年数千人の患者にとって、重要な療法的オプションである。国際血液骨髄移植研究センター(CIBMTR)によれば、2009年におよそ6万の移植が行われ、これは10年前に比較して、年間1万5千例を超える移植の増加であった。移植の有効性もまた増加し、より最近の結果は、再発リスク、非再発死亡率、および全体の死亡率の有意な減少を立証している。Gooleyら, N. Engl. J. Med. 363:2091−101(2011)。 [0011]HLAマッチした兄弟または関連しないドナーからの同種造血細胞移植(HCT)は、異常ヘモグロビン症患者のための治療法を提供するが、適切にマッチした関連または非関連ドナーを得る必要性によって限定され、そして移植片対宿主病(GVHD)および感染によって悪化する。さらに、大きな障壁は、移植失敗が高率であることであり、悪性腫瘍に対するHCTに関して観察されるよりも高い。代替アプローチには、ドナー臍帯血を用いたHCT実行が含まれ、これは、臍帯血ドナーがほぼすべての患者に対して同定可能であるためである。さらなる実験アプローチでは、患者自身の造血幹細胞(HSC)を用いて、そして内因性グロビン遺伝子の発現を誘導するか、または外因性β様グロビン遺伝子を付加することに重点が置かれる。 [0012]ドナーを見つけることが出来ない多くの患者、特に少数民族または人種が混じったバックグラウンドを持つドナーに関しては、臍帯血(CB)移植は、治癒のための最高の希望を提供しうる。ドナー幹細胞の供給源(母親または乳児へのリスクなしに、誕生時に容易に収集される)であり、CBはまた、GVHDのリスクを増加させることなく、HLAミスマッチ設定においても、容易に入手可能であり、そして安全に用いられる利点を有する。 [0013]不運なことに、多くの臍帯血単位において利用可能な細胞用量が低いことを含む、いくつかの要因が、成人およびより成長した小児において、緩慢な生着および移植関連死亡率の増加につながっている。好中球および血小板両方の造血回復の有意な遅延は、臍帯血移植(CBT)レシピエントの既知のリスク要因であり、そして単一または二重CB移植で提供される低い総有核細胞(TNC)およびCD34+細胞用量と関連する。同様に、これらの低細胞数は、高率の移植失敗と相関し、したがってすでに移植失敗の高いリスクがある異常ヘモグロビン症では特に懸念される。実際、成体単一CBTレシピエントの最近の分析によって、注入されたCD34+細胞用量は、骨髄生着の最も重要な予測因子であることが立証された。 [0014]非再発死亡率(NRM)は、マッチおよびミスマッチ非関連ドナーレシピエントに比較した際、二重CBT(dCBT)レシピエントで最高である。Brunsteinら, Blood 116:4693−9(2010)。NRMの大部分は、移植後、最初の100日以内に起こり、感染が最も一般的な死因である。重要なことに、dCBTレシピエント間のNRMに関するリスク要因の分析によって、骨髄回復(絶対好中球数(ANC)>500/mlまでの時間)が、dCBTレシピエントにおける生着までの時間中央値である26日間と等しいかまたはそれより大きい場合の、骨髄回復遅延患者では、リスクがより高いことが明らかになった。しかし、NRMに関するリスク要因の分析を、第26日の前に生着したdCBTレシピエントのみを含めるように限定すると、ドナー供給源間で相違はまったく見られなかった。 [0015]さらに、幹細胞移植の任意の所定の日数後の>100のANCは、以前、移植後100日までの死亡リスク減少に関する決定的な閾値であることが示されてきている(Offinerら, Blood 88:4058−62(1996))。したがって、CBTレシピエントで観察される骨髄回復における有意な遅延は、CBTセッティングにおいて、成功転帰に対する決定的な障壁のままである。移植に利用可能なCB前駆細胞の絶対数だけでなく、移植後のより迅速な骨髄回復を信頼可能に生じうる細胞を増加させる能力は、CBTを経る患者の全体の生存を改善するはずである。臍帯血幹細胞/前駆細胞のex vivo拡大を利用する戦略を開発して、CBTにおける造血回復および全体の生存を増進させる目的で、臍帯血移植において利用可能な細胞用量が低いことを克服する。 [0016]臍帯血(CB)移植後に生じる好中球回復の有意な遅延を克服する目的で、in vivoの迅速な再増殖を可能にする前駆細胞数増加を生じるため、造血幹細胞/前駆細胞のex vivo拡大を制御する際のNotchシグナル伝達経路の役割が調べられてきている。操作Notchリガンド(Delta1)を利用する臨床的に実行可能な方法論が開発されてきており、これは、CD34+細胞絶対数の多対数増加およびin vivoの迅速な再増殖が可能な細胞療法を生じる。 [0017]拡大され、部分的にHLAマッチした細胞の注入では、500/mlの最初の絶対好中球数(ANC)を達成するまでの時間中央値がわずか11日であり、同一であるが、2回の非操作CB単位を用いた治療を経た29人の患者の同時コホートにおいて、25日の中央値であったのに比較した際、有意な減少を生じる(p<0.0001)。治療した患者の数は少数(すなわちn=14)であったが、骨髄回復までの時間に対する有意な影響が立証され、このアプローチの安全性および臨床的実現可能性も立証された。 [0018]30年を越える、多くの実験室による資源の多大な投資にもかかわらず、異常ヘモグロビン症に対する療法措置の開発にはほとんど進歩がなく、これは大部分、薬剤化可能な同定されたターゲットが欠如し、そして挿入突然変異誘発を導かずに、非常に高レベルで持続して発現する遺伝子療法ベクターが必要であるためである。胎性ヘモグロビン(HbF)の発現増加が異常ヘモグロビン症の両方を軽減する一方、徹底的な研究によっても、この観察に基づく、実行可能な新規剤は得られてきていない。組込みレンチウイルスベクターを用いた造血幹細胞(HSC)遺伝子療法が、何人かの研究者によって追求されている。しかし、HSC遺伝子療法は、高レベルの持続性発現を必要とし、そして挿入突然変異誘発および白血病のかなりのリスクを所持する。 [0019]当該技術分野に決定的に必要であるのは、サラセミアおよび鎌状赤血球症を含む異常ヘモグロビン症の治療のために改善された有効性を示す一方、現存する療法様式の安全性の懸念を克服する、組成物および方法である。Gooleyら, N. Engl. J. Med. 363:2091−101(2011)Brunsteinら, Blood 116:4693−9(2010)Offinerら, Blood 88:4058−62(1996) [0020]本開示は、とりわけ、異常ヘモグロビン症の治療のための組成物および方法を提供することによって、当該技術分野において、これらのおよび他の関連する必要性に取り組む。本明細書に開示する組成物および方法は:(a)Bcl11aコード領域またはBcl11a遺伝子制御領域を破壊し;(b)Bcl11aが制御するHbFサイレンシング領域などのHbFサイレンシングDNA制御要素または経路を破壊し;(c)1またはそれより多いγ−グロビン遺伝子プロモーター(単数または複数)を突然変異させて、γ−グロビン遺伝子の発現増加を達成し;(d)1またはそれより多いδ−グロビン遺伝子プロモーター(単数または複数)を突然変異させて、δ−グロビン遺伝子の発現増加を達成し;そして/または(e)1またはそれより多いβ−グロビン遺伝子突然変異(単数または複数)を修正するため、1またはそれより多いホーミングエンドヌクレアーゼ(単数または複数)および/またはホーミングエンドヌクレアーゼ融合タンパク質(単数または複数)および/またはCRISPRエンドヌクレアーゼ(すなわち、1またはそれより多いRNAガイド鎖と組み合わされたCas9エンドヌクレアーゼ)および/またはCRISPRエンドヌクレアーゼ融合タンパク質(単数または複数)(すなわち、1またはそれより多いRNAガイド鎖と組み合わされたCas9エンドヌクレアーゼ融合タンパク質(単数または複数))を含む、1またはそれより多いエンドヌクレアーゼ(単数または複数)またはエンドヌクレアーゼ融合タンパク質(単数または複数)をコードする、1またはそれより多いポリヌクレオチドを使用する。 [0021]第一の態様内で、本開示は、Bcl11aコード領域またはBcl11a遺伝子制御領域内の配列のターゲティング化破壊を達成するため、1またはそれより多いエンドヌクレアーゼ(単数または複数)、例えばホーミングエンドヌクレアーゼ(HE)および/またはCRISPRエンドヌクレアーゼ(すなわち、1またはそれより多いRNAガイド鎖と組み合わされたCas9エンドヌクレアーゼ)をコードするポリヌクレオチドを含み、それによって内因性遺伝子、例えばγ−またはε−グロビン遺伝子の発現を療法レベルまで増加させる、組成物および方法を提供する。関連する側面内で、これらの態様の組成物は、1またはそれより多いTALEN、1またはそれより多いTALE−HE融合タンパク質、ならびに/あるいは1またはそれより多いTREX2タンパク質をコードするポリヌクレオチドを含む。 [0022]第二の態様内で、本開示は、β−グロビン遺伝子座内の重要な制御配列のターゲティング化破壊を達成するため、1またはそれより多いエンドヌクレアーゼ(単数または複数)、例えばホーミングエンドヌクレアーゼ(HE)またはCRISPRエンドヌクレアーゼ(すなわち、1またはそれより多いRNAガイド鎖と組み合わされたCas9エンドヌクレアーゼ)をコードするポリヌクレオチドを含み、それによって内因性遺伝子、例えばγ−またはβ−グロビン遺伝子の発現を療法レベルまで増加させる、組成物および方法を提供する。関連する側面内で、これらの態様の組成物は、1またはそれより多いTALEN、1またはそれより多いTALE−HE融合タンパク質、ならびに/あるいは1またはそれより多いTREX2タンパク質をコードするポリヌクレオチドを含む。 [0023]本態様の特定の側面内で、制御タンパク質Bcl11aに対する結合部位を含有するβ−グロビン遺伝子座(HG18におけるchr11:5212342−5215944)内の3.6kb領域(配列番号1)をターゲティングする、HEおよびCRISPRエンドヌクレアーゼを提供する。 [0024]本明細書に記載するホーミングエンドヌクレアーゼおよびCRISPRエンドヌクレアーゼは、慣用的な遺伝子ターゲティングヌクレアーゼに勝るユニークな利点を示す。これらは、遺伝子型に関わらず広く有効であるため、本明細書記載の1またはそれより多いRNAガイド鎖と組み合わせたホーミングおよびCas9エンドヌクレアーゼは、患者特異的ではなく、これらはヘテロ接合状態で臨床的利点を提供し、そしてベクター配列の挿入を回避する。 [0025]第三の態様内で、本開示は、ゲノム編集を通じて、患者ゲノム内の1またはそれより多い天然存在突然変異(単数または複数)を再現し(recapitulating)、それによって例えば遺伝性高胎児ヘモグロビン症(HPFH)の欠失型または非欠失型を含む、臨床的利点を提供するための組成物および方法を提供する。より具体的には、本開示は、ゲノム編集を通じた、サラセミアおよび/または鎌状赤血球症(SCD)突然変異の直接修正を達成するための組成物および方法を提供する。 [0026]本態様の特定の側面内で、正常または野生型ポリヌクレオチド配列(修正テンプレート)と組み合わせて、1またはそれより多いホーミングエンドヌクレアーゼ(単数または複数)を使用して、1またはそれより多い遺伝子配列、例えばβ様グロビン遺伝子(単数または複数)の編集および/または修復を可能にする。これらのホーミングエンドヌクレアーゼは、1またはそれより多い天然存在突然変異(単数または複数)を含むポリヌクレオチドの一過性発現を通じて、本明細書においてヒトβ−グロビン遺伝子座によって例示される、遺伝子座内の重要な制御配列および/またはコード配列の修飾を可能にする。関連する側面内で、これらの態様の組成物は、1またはそれより多いTALEN、1またはそれより多いTALE−HE融合タンパク質、および/または1またはそれより多いTREX2タンパク質をコードするポリヌクレオチドを含む。 [0027]より具体的には、本開示は、例えば造血幹細胞(HSC)、胚性幹(ES)細胞、および人工多能性幹細胞(iPSC)を含む幹細胞内の天然存在突然変異を生成するために使用可能である、HEおよび修正テンプレートを各々コードする、1またはそれより多いポリヌクレオチドを含む、ゲノム編集のための組成物および方法を提供する。自己HSCおよびiPSCを含む、ゲノム編集HSC、ES、およびiPSCを患者内に移植して、1またはそれより多い異常ヘモグロビン症、例えばサラセミアおよび/または鎌状赤血球症を治療してもよい。 [0028]本明細書に開示する組成物および方法は、ターゲティングテンプレート、Cas9エンドヌクレアーゼ、および/またはRNAガイド鎖を伴いまたは伴わず、外因性遺伝子の持続性発現または挿入の必要性を伴わずに、HEをコードするポリヌクレオチドの一過性発現を通じて、HSC、ES、およびiPSCの効率的な修飾を可能にして、成熟赤血球細胞において、そしてin vivoの患者細胞において、異常ヘモグロビン症の寛解を達成する。これらの療法は、導入遺伝子の組込みおよび/または持続性発現を必要としないため、現在利用可能な遺伝子療法技術と関連する安全性の懸念は取り除かれる。 [0029]第四の態様内で、本開示は、1またはそれより多いRNAガイド鎖と組み合わせた、1またはそれより多いホーミングエンドヌクレアーゼ(単数または複数)ならびに/あるいは1またはそれより多いCas9エンドヌクレアーゼ(単数または複数)の送達のための組成物および方法を提供し、これらは各々、ヒトにおいて、臨床的利益を有することが示されるターゲティング化領域において、一過性に発現されてもよい。本明細書記載のエンドヌクレアーゼコード配列は、TALエフェクターヌクレアーゼ(TALEN)コード配列と組み合わされるか、または該配列に融合されて発現されてもよい。本明細書に例示するのは、TALエフェクター−HE(TALE−HE)融合タンパク質およびこれらのTALE−HE融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドであり、これらは胎性ヘモグロビン産生に影響を及ぼす決定的なゲノム領域をターゲティングする。 [0030]これらの態様の特定の側面内で、ターゲティングテンプレートを伴うまたは伴わない1またはそれより多いHE、1またはそれより多いCas9エンドヌクレアーゼ、1またはそれより多いRNAガイド鎖、1またはそれより多いTALEN、1またはそれより多いTALE−HE融合タンパク質、ならびに/あるいは1またはそれより多いTREX2タンパク質をコードするポリヌクレオチドを、ウイルスベクター内で、プロモーター配列に機能可能であるように連結して、HE、Cas9、RNAガイド鎖、TALEN、TALE−HE融合タンパク質、および/またはTREX2タンパク質の送達および一過性発現を達成する。HE、TALEN、TALE−HE融合タンパク質、および/またはTREX2タンパク質の送達に満足できるように使用可能な適切なウイルスベクターを、球菌(cocal)偽型レンチウイルスベクター、泡沫ウイルスベクター、アデノウイルスベクター、およびアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターからなる群より選択されてもよい。 [0031]第五の態様内で、本開示は、修正細胞の効率的な生着、ならびにスクリーニングおよび臨床適用のための人工多能性幹細胞(iPSC)の使用を可能にする、ex vivo拡大修飾造血幹細胞(HSC)を含む組成物および方法を提供する。これらの態様の特定の側面内で、自己HSC、自己遺伝子修飾HSC、iPSC由来HSC、およびES細胞の効率的な拡大のための組成物および方法を提供する。臍帯血拡大方法論を使用してもよく、この方法論は、正常ドナーから得た動員末梢血CD34+細胞を用い、造血増殖因子を補った血清不含培地中で、Delta1を利用する。これらの組成物および方法は、造血幹細胞/前駆細胞の生存および増殖を増進する1またはそれより多いさらなる試薬と組み合わせて使用可能である。他の側面内で、これらの組成物および方法は、修正iPSC由来HSCを含む長期再増殖細胞の拡大増進のための内皮細胞共培養を使用してもよい。 [0032]第六の態様内で、本開示は、対症療法を提供するための組成物および方法であって、移植後好中球減少症を抑止し、そして遺伝子修正自己HSCの移植後の転帰を改善する、オフザシェルフ(off−the−shelf)細胞療法を含む。ex vivo拡大され、凍結保存された臍帯血(CB)幹細胞/前駆細胞は、例えば、自己CD34+遺伝子修正細胞を用いた、骨髄破壊的HCTを経ている、サラセミアおよび/または鎌状赤血球症患者に、対症療法の手段として、投与可能である。 図面の簡単な説明[0033]本開示の特定の側面は、以下の図を考慮するとよりよく理解されるであろう:[0034]図1は、成体赤血球組織におけるβ−グロビン様遺伝子の発現を増加させるターゲットを示す。胎性発現パターン(2つのγ遺伝子)から成体プログラム(δおよびβ)へのスイッチを制御する際に関与する因子を示す(Wilberら, Blood 117(15):3945−3953(2011)から適合)。[0035]図2は、3つの例示的なまれな切断ヌクレアーゼ技術を示す。[0036]図3は、非再発死亡リスクが、二重CBTレシピエントで最高であることを示すグラフである。二重CBT(DUCB)、マッチした非関連ドナー(MUD)、ミスマッチした非関連ドナー(MMUD)、およびマッチした関連ドナー(SIB)移植後の非再発死亡率。[0037]図4は、Delta1ext−IgGとCB前駆細胞の培養が、骨髄破壊的二重CBTセッティングにおけるより迅速な好中球回復を生じることを示す。2回の非操作単位(「慣用的」)対1回のex vivo拡大単位および1回の非操作単位(「拡大」)での二重単位CBTを受けた患者に関する≧500/μlのANCまでの時間の個々の値および中央値(実線)を提示する。[0038]図5は、疾患徴候によって毎年行われた臍帯血移植の数を示す棒グラフである。[0039]図6(配列番号1)は、HG18におけるchr11:5212342−5215944に渡る、HbFサイレンシング領域が属する3.6kb領域の配列である。図6続き。図6続き。[0040]図7(配列番号2)は、リピート要素(HG18におけるchr11:5,231,912−5,214,261)から、HbFサイレンシング領域内のBcl11a占有領域を破壊することが知られる上流フレンチHPFH破壊点に渡り、そしてGATA−1結合モチーフを含み、そしてそこから本開示の例示的なホーミングエンドヌクレアーゼ(HE)が設計された、350塩基対領域である。[0041]図8(配列番号13)は、キャップの1kb上流からポリA部位までのヒト・ベータ−グロビン遺伝子であり、HG18におけるchr11:5203272−5205877に渡る(リバース鎖)。図8続き。[0042]図9(配列番号14)は、プロモーターからイントロン2内に渡る、ヒト・ベータ−グロビンの606bp領域である(HG18におけるchr11:5204380−5204985)。この比較的小さい領域は、重症サラセミアを導く突然変異の大部分、ならびに鎌状赤血球症を引き起こす突然変異を含有する。この小さい領域は、相同組換えを容易に受け入れて、遺伝子修正を生じる。[0043]図10(配列番号24)は、ヒトBcl11a cDNA(CCDS1862.1)のcDNA配列である。図10続き。[0044]図11は、プラスミドpET−21a(+)の制限マップである。[0045]図12は、プラスミドpEndoの制限マップである(Doyonら, J. Am. Chem. Soc. 128(7):2477−2484(2006))。[0046]図13は、BCL11A遺伝子ターゲティングエンドヌクレアーゼを生成するための指向進化の模式図である。構築したライブラリーを、ターゲット部位に対するIVCにおける選択に供し、この部分をBCL11A遺伝子ターゲットで置き換えた。[0047]図14(配列番号28)は、大腸菌(E. coli)における発現のためにコドン最適化された、I−HjeMI(BCL11A遺伝子ターゲティングヌクレアーゼの親酵素)のヌクレオチド配列である。[0048]図15(配列番号29)は、哺乳動物発現のためにコドン最適化された、I−HjeMI(BCL11A遺伝子ターゲティングヌクレアーゼの親酵素)のヌクレオチド配列である。[0049]図16(配列番号30)は、ホーミングエンドヌクレアーゼI−HjeMIのアミノ酸配列である。[0050]図17(配列番号31)は、大腸菌における発現のためにコドン最適化された、ホーミングエンドヌクレアーゼI−HjeMI(IVCにおいて、および細菌において、指向進化を通じて得られた)に基づく、BCL11A遺伝子ターゲティングヌクレアーゼ(Bcl11Ahje)のヌクレオチド配列である。[0051]図18(配列番号32)は、哺乳動物発現のためにコドン最適化された、ホーミングエンドヌクレアーゼI−HjeMI(IVCにおいて、および細菌において、指向進化を通じて得られた)に基づく、BCL11A遺伝子ターゲティングヌクレアーゼのヌクレオチド配列である。[0052]図19(配列番号33)は、ホーミングエンドヌクレアーゼI−HjeMI(IVCにおいて、および細菌において、指向進化を通じて得られる)に基づく、BCL11A遺伝子ターゲティングヌクレアーゼのアミノ酸配列である。[0053]図20は、BCL11A遺伝子ターゲティングエンドヌクレアーゼおよびその親LHE I−HjeMIの間で異なるアミノ酸残基の分布を示すタンパク質モデルである。BCL11A遺伝子ターゲティングエンドヌクレアーゼの置換残基を、そのターゲット部位に結合したI−HjeMIの結晶構造上にマッピングする(PDB ID:3UVF)。D161は、変異体エンドヌクレアーゼにおいては欠失されている。[0054]図21は、2プラスミド切断アッセイにおけるBCL11A遺伝子ターゲティングエンドヌクレアーゼの活性を示す棒グラフである。[0055]図22A(配列番号34)は、大腸菌における発現のためにコドン最適化された、I−OnuIホーミングエンドヌクレアーゼ(HbFサイレンシング領域をターゲティングするホーミングエンドヌクレアーゼのための親酵素)のヌクレオチド配列である。[0056]図22B(配列番号15)は、I−OnuIホーミングエンドヌクレアーゼのアミノ酸配列である。[0057]図23は、HbFサイレンシング領域をターゲティングするI−OnuIホーミングエンドヌクレアーゼの活性を示すアガロースゲルである。[0058]図24(配列番号35)は、MegaTAL:5.5RVD+Y2 I−AniIのヌクレオチド配列である。図24続き。[0059]図25(配列番号36)は、MegaTAL:5.5RVD+Y2 I−AniIのアミノ酸配列である。[0060]図26(配列番号37)は、Cas9エンドヌクレアーゼのヌクレオチド配列である(Maliら, Science(2013)より)。図26続き。図26続き。[0061]図27(配列番号38)は、Cas9エンドヌクレアーゼとともに使用するためのRNAガイド鎖のヌクレオチド配列である(Maliら, Science(2013)より)。[0062]図28(配列番号62)は、I−CpaMIホーミングエンドヌクレアーゼのヌクレオチド配列(ORF、哺乳動物発現のためにコドン最適化)である。[0063]図29(配列番号63)は、I−CpaMIホーミングエンドヌクレアーゼのアミノ酸配列である。[0064]図30は、実施例4に記載するような内因性ヒトBCL11A遺伝子にターゲティングされた突然変異誘発の検出を示すアガロースゲルである。[0065]図31は、プラスミドpCcdB wt6の制限マップである(Doyonら, J. Am. Chem. Soc. 128(7):2477−2484(2006))。[0066]図32(配列番号64)は、BCL11A遺伝子ターゲティングヌクレアーゼをコードするプラスミド(pExodusBCL11Ahje)のヌクレオチド配列である。図32続き。[0067]図33(配列番号65)は、TREX2をコードするプラスミド(pExodus CMV.Trex2)のヌクレオチド配列である。図33続き。図33続き。[0068]図34は、プラスミドpExodusBCL11Ahjeの制限マップである。[0069]図35は、プラスミドpExodus CMV.Trex2の制限マップである。 [0070]本開示は、一般的に、異常ヘモグロビン症などの遺伝病の治療のための組成物および方法に向けられ、それは、1またはそれより多いホーミングエンドヌクレアーゼ(単数または複数)および/またはホーミングエンドヌクレアーゼ融合タンパク質(単数または複数)、ならびに/あるいは1またはそれより多いCas9エンドヌクレアーゼ(単数または複数)および/またはCas9エンドヌクレアーゼ融合タンパク質(単数または複数)を1またはそれより多いRNAガイド鎖と組み合わせたものを含む、1またはそれより多いエンドヌクレアーゼ(単数または複数)またはエンドヌクレアーゼ融合タンパク質(単数または複数)をコードするポリヌクレオチドの一過性または持続性発現によって:(a)Bcl11aコード領域を破壊し;(b)HbFサイレンシングDNA制御要素または経路、例えばBcl11a制御HbFサイレンシング領域を破壊し;(c)1またはそれより多いγ−グロビン遺伝子プロモーター(単数または複数)を突然変異させて、γ−グロビン遺伝子の発現増加を達成し;(d)1またはそれより多いδ−グロビン遺伝子プロモーター(単数または複数)を突然変異させて、δ−グロビン遺伝子の発現増加を達成し;そして/または(e)1またはそれより多いβ−グロビン遺伝子突然変異(単数または複数)を修正する。本明細書開示の組成物および方法は、β−サラセミアおよび鎌状赤血球症を含む異常ヘモグロビン症の治療に有用性を見出す。本明細書記載の組成物および方法は、場合によって、1またはそれより多いTALEN、1またはそれより多いTALE−HE融合タンパク質、および/または1またはそれより多いTREX2タンパク質をコードするポリヌクレオチドを含む。 [0071]本開示は、以下の定義を考慮するとよりよく理解されるであろう。 定義[0072]本明細書において、用語「異常ヘモグロビン症」は、異常構造、異常機能またはヘモグロビン分子の1またはそれより多いグロビン鎖の発現改変を生じる、遺伝的欠陥のクラスを指す。異常ヘモグロビン症は、遺伝性単一遺伝子障害である。一般的な異常ヘモグロビン症には、サラセミアおよび鎌状赤血球症が含まれる。 [0073]本明細書において、用語「サラセミア」は、α様対β様グロビンポリペプチド鎖の比の改変から生じ、正常なヘモグロビン四量体タンパク質の過少産生および未結合または不対αまたはβ鎖の自然増加を生じる。 [0074]本明細書において、用語「鎌状赤血球症」は、常染色体劣性遺伝子血液障害の群を指し、これはグロビン遺伝子における突然変異から生じ、そして異常で強固な鎌形をとる赤血球細胞によって特徴付けられる。これらは、ペプチドのアミノ酸6位でグルタミン酸がバリンによって置換されているβ−グロビン鎖変異体をコードするβS−遺伝子、および臨床的表現型を導くHbSの結晶化を可能にする突然変異を有する第二のβ遺伝子の存在によって定義される。用語「鎌状赤血球貧血」は、HbSを引き起こす突然変異に関してホモ接合体である患者における鎌状赤血球症の特定の型を指す。他の一般的な型の鎌状赤血球症には、HbS/β−サラセミア、HbS/HbCおよびHbS/HbDが含まれる。表1は、野生型および鎌状赤血球β−グロビン鎖の最初のアミノ酸をコードするヌクレオチド配列を開示する。 表1 [0075]本明細書において、用語「遺伝性高胎児ヘモグロビン症」または「HPFH」は、有意な胎性ヘモグロビン(ヘモグロビンF)産生が、通常の遮断点に関わらず、成体になっても十分に続く、良性状態を指す。 [0076]本明細書において、用語「グロビン」は、酸素の結合および輸送に関与するヘム含有タンパク質のファミリーを指す。 [0077]本明細書において、用語「ホーミングエンドヌクレアーゼ」または「HE」は、ゲノムにおいて1回しか生じないために十分に長く、そしてランダムであり、非常に低い確率(例えば7x1010bpごとに1回)である認識配列によって特徴付けられる、制限エンドヌクレアーゼのクラスを指す。 [0078]本明細書において、用語「転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ」または「TALエフェクターヌクレアーゼ」または「TALEN」は、TALエフェクターDNA結合ドメインをDNA切断ドメインに融合させることによって生成される人工制限エンドヌクレアーゼのクラスを指す。 [0079]本明細書において、用語「3’修復エクソヌクレアーゼ2」または「TREX2」は、典型的にはDNA複製、修復、および組換えに関与する、3’エクソヌクレアーゼ活性を有するヌクレアーゼを指す。 [0080]本明細書において、用語「Cas9エンドヌクレアーゼ」は、エンドヌクレアーゼ切断部位をターゲティングするため、RNAガイド鎖を用いるエンドヌクレアーゼを指す。用語「CRISPRエンドヌクレアーゼ」は、RNAガイド鎖と組み合わされたCas9エンドヌクレアーゼを指す。Jinekら, Science 337:816−821(2013); Congら, Science(Jan. 3, 2013)(印刷前のEpub);およびMaliら, Science(Jan. 3, 2013)(印刷前のEpub)を参照されたい。 [0081]逆に示されない限り、用語は「オープン」であると意図される(例えば用語「含む」は、「限定されないが含む」と解釈されるべきであり、用語「有する」は、「少なくとも有する」と解釈されるべきであり、用語「含まれる」は、「限定されるわけではないが含まれる」と解釈されるべきであるなど)ことが理解されるであろう。「少なくとも1つ」および「1またはそれより多い」などの句、ならびに「1つの(aまたはan)」などの用語には、単数形および複数形の両方が含まれる。 [0082]開示の特徴または側面が、マーカッシュ群に関して記載される場合、開示はまた、マーカッシュ群の任意の個々のメンバーまたはメンバーのサブグループに関して記載されるとも意図されることがさらに理解されるであろう。同様に、本明細書に開示するすべての範囲はまた、すべてのありうる下位範囲および下位範囲の組み合わせも含み、そして「の間」、「最大」、「少なくとも」、「より大きい」、「未満」等の用語には、言及される数値が範囲に含まれ、そして各個々のメンバーが含まれる。 [0083]限定されるわけではないが、米国、PCTまたは非米国の外国のいずれであってもよい、特許、特許出願、および特許公報を含む、上記または下記のいずれであってもよい、本明細書に引用するすべての参考文献、ならびにすべての技術的および/または科学的刊行物は、その全体が本明細書に援用される。 [0084]多様な態様が本明細書に開示されてきているが、当業者には他の態様が明らかであろう。本明細書に開示する多様な態様は、例示目的のためであり、そして請求項によって示される真の範囲および精神を限定することを意図しない。 高効率多重遺伝子破壊および遺伝子編集機能を達成するためのホーミングエンドヌクレアーゼ[0085]上に論じるように、そして以下に例示するように、本開示は、ヒトにおいて臨床的利益を有することが示された、ターゲティングされる細胞において一過性にまたは持続性に発現されてもよい、1またはそれより多いエンドヌクレアーゼ(単数または複数)をコードするポリヌクレオチドを含む組成物および方法であって、1またはそれより多いホーミングエンドヌクレアーゼ(単数または複数)(HE(単数または複数))、例えば1またはそれより多いI−HjeMIホーミングエンドヌクレアーゼ(単数または複数)、I−CpaMIホーミングエンドヌクレアーゼ(単数または複数)、および/またはI−OnuIホーミングエンドヌクレアーゼ(単数または複数)、ならびに/あるいは1またはそれより多いRNAガイド鎖と組み合わせた1またはそれより多いCas9エンドヌクレアーゼ(単数または複数)を含む、前記エンドヌクレアーゼをコードするポリヌクレオチドを含む組成物および方法を提供する。例示的なエンドヌクレアーゼは:(a)Bcl11aコード領域またはBcl11a遺伝子制御領域を破壊し;(b)HbFサイレンシングDNA制御要素または経路、例えばBcl11a制御HbFサイレンシング領域を破壊し;(c)1またはそれより多いγ−グロビン遺伝子プロモーター(単数または複数)を突然変異させて、γ−グロビン遺伝子の発現増加を達成し;(d)1またはそれより多いδ−グロビン遺伝子プロモーター(単数または複数)を突然変異させて、δ−グロビン遺伝子の発現増加を達成し;そして/または(e)1またはそれより多いβ−グロビン遺伝子突然変異(単数または複数)を修正することによって、胎性ヘモグロビン産生に影響を及ぼす決定的なゲノム領域をターゲティングする。本明細書開示の組成物および方法は、β−サラセミアおよび鎌状赤血球症を含む異常ヘモグロビン症の治療に有用性を見出す。 [0086]本明細書記載のエンドヌクレアーゼコード配列は、DNA結合ドメインコード配列、例えばTALエフェクター(TALE)コード配列またはヌクレアーゼコード配列、例えば3’修復エクソヌクレアーゼ2(TREX2)コード配列と組み合わされるか、またはこうした配列に融合して発現されてもよい。本明細書に例示するのは、TALE−HE融合タンパク質、および1またはそれより多いTALE−HE融合タンパク質(単数または複数)をコードするポリヌクレオチドである。 [0087]真核生物において、ターゲティング化遺伝子修飾および破壊を達成するために4つのタンパク質骨格が知られる:ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)、TALエフェクターヌクレアーゼ(TALEN)、ホーミングエンドヌクレアーゼ(HE)、およびRNAガイド鎖と組み合わせたCas9エンドヌクレアーゼ。本開示は、単独で、または組み合わせてのいずれかで、TALエフェクターヌクレアーゼ、ホーミングエンドヌクレアーゼ、および/またはCas9エンドヌクレアーゼを使用する。TALヌクレアーゼは、ジンクフィンガーヌクレアーゼよりもより単純なモジュラー設計、およびより高いDNA認識特異性を提供する一方、ホーミングエンドヌクレアーゼ、例えばLAGLIDADGホーミングエンドヌクレアーゼ(LHE)は、非常に特異的な切断プロファイル、コンパクトな構造、ならびにこれらがZFNおよびTALENのように二量体化を必要としないコンパクトな単量体タンパク質であるため、多重化組み合わせで使用可能である能力を提供する。したがって、HEおよびCRISPRエンドヌクレアーゼ(すなわち、1またはそれより多いRNAガイド鎖と組み合わされたCas9エンドヌクレアーゼ)は、遺伝子破壊を仲介する際に非常に効率的である。Stoddard、上記およびMaliら、Science(2013)、上記。 [0088]本開示の一部として、HbF機能を抑制するβ−グロビン遺伝子座内の決定的な領域が同定されてきている。この領域は、HEおよびCas9仲介切断の多数のターゲットを提供する。特異的に設計されたヌクレアーゼを、同族ターゲット部位に対する活性に関して、そして任意の緊密に関連するゲノムターゲットに対するオフ−ターゲット活性に関して、特異的に設計されたヌクレアーゼを試験してもよい。1またはそれより多いRNAガイド鎖と組み合わせて、これらのHEおよびCas9エンドヌクレアーゼを操作して、Stoddard, Structure 19:7−15(2011)およびMaliら, Science(2013)に記載される方法を用い、オフターゲットゲノム切断を回避してもよい。本明細書に開示する1またはそれより多いRNAガイド鎖と組み合わされたHEおよびCas9エンドヌクレアーゼは、γ−およびδ−プロモーターを直接ターゲティングし、そしてサラセミア突然変異ならびにHbS突然変異の大部分に渡る606bp領域(配列番号14)を置換することが可能である。 [0089]HbFサイレンシング領域またはそのサブセットに渡る大きな欠失の生成を容易にするため、1またはそれより多いRNAガイド鎖と組み合わされた1またはそれより多いHEならびに/あるいは1またはそれより多いCas9エンドヌクレアーゼを、エンドヌクレアーゼ切断部位からターゲット領域末端に渡る架橋オリゴヌクレオチドと同時形質導入してもよい。Chenら, Nat. Methods 8(9):753−5(2011)。ターゲット領域の各側に隣接する配列に結合し、そしてこれを切断する1またはそれより多いHEを使用することによって、より高い頻度のゲノム編集を達成することも可能である。同様に、HEおよび突然変異誘発オリゴヌクレオチドを用いて、プロモーター領域突然変異を導入してもよく、これがガンマまたはデルタ遺伝子の発現上昇を導く。 [0090]本明細書に開示するHEを、赤血球細胞株において、そして赤血球細胞に分化するように誘導されるヒトCD34+細胞において、まず評価して、それによってグロビン遺伝子発現を改変する能力を確認してもよい。意図される正確な適用に応じて、1、2、3、またはそれより多いHEを送達して、より大きな欠失の生成を促進してもよい。個々のHEの適切さを、さらなる培養および動物モデルアッセイにおいて評価して、多能性および拡大潜在能力を損なうことなくHSCをターゲティングする能力を確認し、そして異常ヘモグロビン症モデルにおいて臨床的利点を評価してもよい。HbFの決定的な領域におけるターゲティング化遺伝子欠失を誘導するため、1またはそれより多いHEおよび1またはそれより多いエクソヌクレアーゼ、例えばTREX2エクソヌクレアーゼまたはTALエフェクターエクソヌクレアーゼをCD34+ HSCに送達してもよい。 [0091]リピート要素の端から始まり、そしてHbFサイレンシング領域内のBcl11a占有領域を破壊することが知られる上流フレンチHPFH破壊点に渡り、そしてGATA−1結合モチーフを含む領域によって定義される350bp領域(配列番号2)中の一連のターゲットに対して、個々のヌクレアーゼを試験してもよい。最初の分析は、均一に領域全体に分布する、7つのターゲットを同定し、これらは非常に活性が高いエンドヌクレアーゼ変異体のプールが単離され、そして配列決定されているDNA配列モジュールを含む。特に、1つのターゲットは潜在的なBcl11a結合モチーフと重複し、そしてGATA−1モチーフに隣接する。2、3、またはそれより多いHEを形質導入することによって、ターゲット領域の次第に大きくなる欠失を達成してもよい。あるいは、遺伝子機能の排除を確実にするため、遺伝子の5’端に、Bcl11a遺伝子を破壊するための多数のターゲットが同定されてきている。同様に、Cas9/RNAガイドが仲介する破壊の多数の最適ターゲットが領域全体で同定されてきており、これを単独で用いるか、または組み合わせて用いて、より大きな欠失を導いてもよい。 [0092]組込みゲノムレポーターを用いて、トランスフェクションされたヒト細胞株において、個々のHEを試験してもよく、そしてさらなる選択工程をさらに使用して、Stoddard、上記に記載するようなプロトコルを用い、切断および遺伝子変換活性をさらに最適化してもよい。グロビン遺伝子座におけるターゲットに対して活性である個々のターゲティング化HEの検証および送達に、発現系におけるヌクレアーゼのベクター形成が続いてもよい。例えば、各HEを、ヌクレアーゼ、例えばTALENおよび/またはTREXエクソヌクレアーゼの共発現に連結して、形質導入細胞において、非常に増進した遺伝子破壊効率を達成してもよい。 [0093]本開示はまた、TALEおよびHE足場による隣接DNAターゲットの相乗認識を通じて、グロビン遺伝子座内などの望ましいターゲット部位に、操作されたHEの補充および活性を制限する望ましい特徴を示す、TALE−HE融合タンパク質、およびTALE−HE融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドも提供する。こうしたTALE−HE融合は、各足場の最も好ましい特性(すなわちTALEのモジュラー組み立ておよびHEのヌクレアーゼ活性)を組み合わせる一方、伝統的なTALENまたはジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)に関連する非特異的ヌクレアーゼ活性を減少させる。 [0094]同族DNAターゲット部位と複合体形成した10の別個のLAGLIDADGホーミングエンドヌクレアーゼ(LHE)に関して、高解像度結晶構造が決定されてきている。Stoddard, Structure 19:7−15(2011)およびTakeuchiら, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 108:13077−13082(2011)。これらのLHEのキメラ「ハイブリッド」が構築されてきており、集合的に、遺伝子特異的適用のため、広範囲のLHEターゲティングタンパク質を提供する。Baxterら, Nucl. Acids Res. 40(16):7985−8000(2012)。 [0095]望ましいDNA切断特異性に関してハイスループット細胞ソーティングと組み合わせて、酵母表面ディスプレイ戦略によって、適切なターゲット配列特異性を有するHEを同定してもよい。全ターゲット部位に渡って広がる接触の連続ポケットに相当する一連のタンパク質−DNA「モジュール」を、別個のライブラリーにおいて、系統的にランダム化してもよい。次いで、各モジュール内のありうるDNA変異体各々を特異的に切断可能な酵素集団に関して、各ライブラリーを系統的にソーティングして、そしてソーティングされた集団各々を、ディープ・シーケンスして、そして続く酵素組み立ておよび設計のため、アーカイブに保管してもよい。本開示の組成物および方法で適切に使用可能なHEが商業的に入手可能である(Pregenen、ワシントン州シアトル)。 [0096]特定の側面内で、本明細書に記載する組成物および方法は、例えば1またはそれより多いLHEを含む1またはそれより多いHEと、TREX2 3’エクソヌクレアーゼの同時発現を使用してもよい。現在のバージョンのZFNおよびTALENによって残される5’オーバーハングとは対照的に、HEは、ターゲティングした二重鎖破壊に3’オーバーハングを生じ、これが、HE切断後の末端プロセシング率の増進を生じる。HE/TREX2同時発現を通じて、初代細胞における二重鎖破壊部位のほぼ完全な修飾が達成可能である。HE/TREX2同時発現が破壊プロセシングに影響を及ぼす方式のため、この組み合わせは、1つの領域において、多数のターゲティング化欠失を達成し、そして破壊持続性を減少させ、そして代替端連結経路を通じて仲介される大規模転位置の潜在的可能性を減少させることによって、ヌクレアーゼ誘導性ターゲティング化遺伝子破壊の安全性を増加させる。 [0097]DNAターゲット部位に結合したTALエフェクター(PthXo1)の結晶構造が最近決定されてきている。Makら, Science 335(6069):716−9 2012; e−pub 05Jan12 PubMed PMID: 22223736。これらの結晶構造データは、DNA認識領域境界の正確な定義を可能にし、そして優れた振る舞いのTALEN−HE、または多様な複雑なゲノム操作を達成するために適用可能な他のTALEN−ヌクレアーゼ融合構築物の生成のための戦略を容易にする。 Bcl11a遺伝子発現に対するゲノム破壊[0098]鎌状赤血球マウスモデルにおけるBcl11aのノックアウトは疾患を寛解させ、この経路の臨床的関連を支持する。Xuら, Science 334:993−6(2011)。さらに、ヒトβ−グロビン遺伝子座に渡るYAC導入遺伝子を含有するマウスを用いて、HbFのBcl11a仲介サイレンシングにおける混乱をモデリングする。これらのマウスにおける内因性Bcl11a遺伝子のヘテロ接合性およびホモ接合性ノックアウトは、対照における0.24%に比較して、それぞれ、20および76%の総β様mRNAを含むγ−グロビンmRNAを生じる。Sankaranら, Nature 460:1093−7(2009)。これは、Bcl11aは可変抵抗器として作用し、HbF抑制の度合いを調節することを示唆する。これと一致して、Bcl11a中の機能突然変異の減少は、上昇したレベルのHbFならびに臨床的サラセミアおよび/または鎌状赤血球症表現型の軽減を生じる。Galanelloら, Blood 114:3935−7(2009)。 [0099]特定の態様内で、本開示は、Bcl11aまたはその重要な制御配列をコードする配列の破壊を達成するため、1またはそれより多いホーミングエンドヌクレアーゼ(HE(単数または複数))、例えば1またはそれより多いI−HjeMIホーミングエンドヌクレアーゼ(単数または複数)、I−CpaMIホーミングエンドヌクレアーゼ(単数または複数)、および/またはI−OnuIホーミングエンドヌクレアーゼ(単数または複数)、ならびに/あるいは1またはそれより多いCas9エンドヌクレアーゼ(単数または複数)を含む、1またはそれより多いエンドヌクレアーゼ(単数または複数)を含む組成物および方法を提供する。本明細書により詳細に記載し、そして例示するように、1またはそれより多いCas9エンドヌクレアーゼを含む組成物および方法は、Cas9エンドヌクレアーゼのBcl11a遺伝子配列へのターゲティングを仲介するため、1またはそれより多いBcl11a遺伝子特異的RNAガイド鎖をさらに含む。 [00100]Bcl11a遺伝子は、100kbに渡る多数のエクソンを有し、そしていくつかのスプライス変異体を生じ、これは異なる活性と関連するタンパク質を導く。本開示の一部として、多数のBcl11aスプライス変異体に転写されるいくつかのDNAターゲットが同定されてきている。すべてが、最大のHbFサイレンシング活性と関連する長鎖(L)型および極長鎖(XL)型を破壊し、一方、1つがBcl11aのすべての型を破壊する。これらのターゲットは、非常に活性が高いエンドヌクレアーゼ変異体のプールが単離され、そして配列決定されているDNA配列モジュールを含む。ヒトBcl11a cDNA配列(CCDS1862.1)は、本明細書において、配列番号24(図10)として提示される。 [00101]したがって、特定の側面内で、本開示は、療法レベルのHbFを達成するための組成物を提供し、該組成物は、1.3kb領域内のヌクレオチド配列の破壊を仲介し、それによってBcll1aの結合、および対応する抑制性複合体の形成、およびγ−グロビン発現の抑制解除が可能である。 HbFのBcl11a仲介サイレンシングを遮断するためのゲノム破壊[00102]上に要約するように、特定の態様内で、本開示は、遺伝病、例えばサラセミアおよび/または鎌状赤血球症を含む異常ヘモグロビン症を治療し、そして/または寛解させるための組成物および方法を提供する。これらの態様の特定の側面には、β−グロビン遺伝子座またはδ−グロビン遺伝子座内のHbFサイレンシング要素または経路を破壊する、1またはそれより多いホーミングエンドヌクレアーゼ(単数または複数)をコードするポリヌクレオチドの一過性発現が含まれ、それによってγ−またはδ−グロビン遺伝子などの内因性遺伝子の発現を療法レベルまで増加させる。 [00103]本明細書に開示する組成物は、β−グロビン遺伝子座内の重要な制御配列のターゲティング化破壊を達成するため、1またはそれより多いホーミングエンドヌクレアーゼ(単数または複数)(HE(単数または複数))ならびにあるいは1またはそれより多いRNAガイド鎖と組み合わせた1またはそれより多いCas9エンドヌクレアーゼ、ならびに場合によって1またはそれより多い転写活性化因子様(TAL)エフェクター(単数または複数)を含む。より具体的には、本明細書開示の組成物および方法は、β−グロビン遺伝子座内のHbFサイレンシング領域(単数または複数)へのBcl11aの結合のために必須な要素を除去することによって、γ−グロビン遺伝子発現の増加、およびその結果、HbFタンパク質産生の増加を達成する。 [00104]正常発生中、胚性β様遺伝子(ε−グロビン)の発現は、連続して、胎児においてはγ−グロビン遺伝子対、そして成体においてはδおよびβ−グロビン遺伝子に置換される。成体赤血球組織において、ジンクフィンガータンパク質Bcl11aは、β−グロビン遺伝子座内のγ−グロビンおよびδ−グロビン遺伝子間の領域に結合し、それによって、HbFの産生をサイレンシングする。HbFのBcl11a仲介サイレンシングの重要性は、ヒトCD34細胞におけるBcl11a mRNAのノックダウンによって裏付けられ、これはHbFレベルを総β様タンパク質の24〜36%まで増加させる。Sankaranら, Science 322:1839−42(2008)。HPFHの欠失型においてこの領域を除去するとともに、Bcl11aをノックダウンすると、Bcl11a仲介性HbFサイレンシングがブロックされ、そして成体赤血球組織において、γ−グロビン遺伝子発現およびHbFタンパク質産生のレベル上昇を生じる(Sankaranら, N. Engl. J. Med. 365:807−14(2011))。 [00105]HbFタンパク質レベルの上昇には、多数の機構が寄与するが、3.6kb領域がHbFサイレンシングに重要であることが示されてきている(配列番号1)。Sankaranら, N. Engl. J. Med. 365:807−14(2011)。β−グロビン遺伝子座にはBcl11a濃縮のいくつかのピークがあるが、3.6kb HbFサイレンシング領域中の単一ピークが突出しており、これはBcl11aと抑制性複合体を形成することが知られるタンパク質がこの領域に結合し(GATA−1およびHDAC−1)、そしてクロマチンに、抑制性のヒストンマーク、リジン27上のヒストンH3のトリメチル化が豊富であるためである。 [00106]特に、この3.6kb領域は、γ−遺伝子下流にBcl11a結合の単一ピークを含有する。ヘテロ接合体として20〜30%のHbFレベルを生じ、サラセミアおよびSCDを寛解させるγ−グロビンプロモーターにおける多数の点突然変異が同定されてきている。すべてγ−キャップ部位の200bp以内の3つの領域:(1)−200、SP1およびステージ特異的タンパク質複合体が結合するGCリッチ領域;(2)−175、GATA−1が結合;ならびに(3)いくつかのさらなる因子が結合する、−117のOct1およびCCAATモチーフに、これらの点突然変異がクラスター形成する。Forget, Ann. NY Acad. Sci. 850:38−44(1998)。 [00107]これらの3つの領域内の突然変異は、成体赤血球細胞において、抑制性複合体の結合を遮断する。その結果、これらの領域は、本明細書に開示する組成物および方法による、HE仲介性破壊およびターゲティング突然変異に適したターゲットである。これらの領域の破壊は、抑制性複合体の減少を導き、これは、γ−グロビン遺伝子発現レベルの上昇、ならびにβ−サラセミアおよび鎌状赤血球症を含む異常ヘモグロビン症の治療のための方法において療法的有効性を達成するのに十分なレベルへのHbFタンパク質産生の対応する増加を生じる。 [00108]Bcl11a占有の単一ピークは、3.6kb HbFサイレンシング領域内に存在する(Sankaranら, N. Engl. J. Med. 365:807−14(2011))(配列番号1)。Bcl11a占有のこの領域は、フレンチHPFHの上流破壊点によって破壊される。Sankaranら, N. Engl. J. Med. 365:807−14(2011)。本明細書に記載するのは、リピート要素の端から始まり、そしてHbFサイレンシング領域内のBcl11a占有領域を破壊することが知られる上流フレンチHPFH破壊点に渡り、そしてGATA−1結合モチーフを含む、350bp領域である(配列番号2)。上流フレンチHPFH欠失前の塩基は、HG18 chr11:5,214,023である。GATA−1モチーフは、chr11:5,214,200−5,214,206に渡る。理論によって限定されるわけではないが、GATA−1およびHDAC−1は、Bcl11aがこの350bp領域内に結合した際にBcl11aと抑制性複合体を形成し、そしてこれがγ−グロビン遺伝子の発現を阻害する抑制性複合体形成を導き、これによってHbFタンパク質の細胞レベルを減少させると考えられる。 [00109]本明細書開示の組成物および方法によって達成されるHE仲介破壊は、高い効率で起こる。当該技術分野に知られるshRNAノックダウンアプローチとは異なり、本明細書に開示するホーミングエンドヌクレアーゼによって仲介されるHbFサイレンシング領域の非常に配列特異的な破壊は、ゲノムにおける、そして他の細胞タイプにおける、特にBcl11a結合が正常発生に必要であるB細胞内での、他のBcl11a結合部位でのオフターゲット効果を回避する。 [00110]したがって、本明細書記載のホーミングエンドヌクレアーゼは、慣用的な遺伝子ターゲティングヌクレアーゼに勝るユニークな利点を示す。これらは遺伝子型に関わらず、広く有効であるため、本明細書記載のホーミングエンドヌクレアーゼは、患者特異的ではなく、そしてヘテロ接合状態で臨床的利益を提供する。 サラセミアまたは鎌状赤血球症突然変異を修正するための遺伝子修飾の再現[00111]他の態様内で、本開示は、臨床的利益を提供するため、ゲノム編集を通じて、患者ゲノム内の1またはそれより多い天然存在突然変異(単数または複数)を再現するための組成物および方法を提供する。より具体的には、本開示は、ゲノム編集を通じたサラセミアおよび/または鎌状赤血球症(SCD)突然変異の直接修正を達成するための組成物および方法を提供する。 [00112]本明細書に開示する組成物および方法は、修正テンプレートおよび患者ゲノム内の対応する突然変異配列間の相同組換え(HR)率を増進させることによって、サラセミアおよび鎌状赤血球症を含む異常ヘモグロビン症を寛解させるための遺伝子編集および修正を達成するため、修正テンプレートを使用する。本明細書に例示するのは、根底にあるβ−グロビン突然変異を修正するための組成物および方法であり、これらは、ヘテロ接合状態で臨床的利益を提供する一方、ベクター配列の挿入を回避する。これらの組成物および方法を、Bcl11a仲介遺伝子サイレンシングの破壊に関して上述した組成物および方法とは独立して、またはこれらと組み合わせて用いてもよい。 [00113]本開示は、当該技術分野において利用可能な代替プラットフォームに比較した際、HEの利点を利用したゲノム編集のためのロバストな技術セットを提供する。これらのHEをTALエフェクターモジュラーDNA結合プラットフォームと組み合わせて、さらなる療法的利益を達成することも可能である。 [00114]ゲノムを編集するための相同組換え(HR)は強力であるが、非効率的である。修飾しようとする領域に二本鎖破壊を導入すると、HR効率に非常な増加が生じる。HE、および100bp程度の小分子の隣接相同性を含む修正テンプレートをコードするポリヌクレオチドを同時に導入すると、HR頻度の増加が可能になり、それによって修正テンプレートが導入された際にゲノム編集が可能になる。 [00115]短い合成修正テンプレートを用いた細胞の形質導入はまた、定義される単一塩基対突然変異の効率的な導入のためにも使用可能である。こうしたアプローチは、典型的には、単一HEを利用する。あるいは、HEは、修正のためにターゲティングされる領域に隣接して形質導入されることも可能である。本明細書に記載するような最適化法によって、修正テンプレートを形質導入してもよい。HEの設計、形質導入、および評価を、Certoら, Nat Methods 8:671−6(2011)およびJarjourら, Nucleic Acids Res 37:6871−80(2009)に記載される方法論にしたがって、以下に詳細に論じるように、実行してもよい。 [00116]これらの態様の特定の側面内で、1またはそれより多いホーミングエンドヌクレアーゼ(単数または複数)を、正常または野生型ポリヌクレオチド配列と組み合わせて使用して、1またはそれより多いβ様グロビン遺伝子(単数または複数)の編集および/または修復を可能にする。例えば、本開示は、異常ヘモグロビン症の治療のための組成物および方法であって、1またはそれより多い天然存在突然変異(単数または複数)を含むポリヌクレオチドの一過性発現を通じて、ヒトβ−グロビン遺伝子座によって本明細書に例示する遺伝子座内の重要な制御配列および/またはコード配列の修飾を可能にする、前記組成物および方法を提供する。 [00117]より具体的には、本開示は、ゲノム編集のための組成物および方法であって、例えば造血幹細胞(HSC)、胚性幹(ES)細胞、および人工多能性幹細胞(iPSC)を含む幹細胞内の天然存在突然変異を再現する突然変異を生成するために使用可能である、前記組成物および方法を提供する。自己HSCおよびiPSCを含めて、ゲノム編集HSC、ES、およびiPSCを、患者内に移植して、1またはそれより多い異常ヘモグロビン症、例えばサラセミアおよび/または鎌状赤血球症を治療することも可能である。本明細書開示の組成物および方法は、外因性遺伝子の持続性発現または挿入の必要を伴わずに、HSC、ES、およびiPSCの効率的な修飾を可能にして、成熟赤血球細胞において、そしてin vivoの患者細胞において、異常ヘモグロビン症の寛解を達成する。 [00118]これらの療法は、導入遺伝子の組込みおよび/または持続性発現を必要としないため、現在利用可能な遺伝子療法技術に関連する安全性の懸念は取り除かれる。これらの態様の特定の側面内で、組成物および方法は、HbFのBcl11a仲介サイレンシングのターゲティング化破壊のための1またはそれより多いポリヌクレオチドを使用する。 [00119]本明細書に例示するのは、HbFの遺伝性高胎児ヘモグロビン症(HPFH)の原因である1またはそれより多いHbFサイレンシング領域(単数または複数)内の遺伝子修飾の再現を可能にする、組成物および方法である。こうした遺伝子修飾は、療法的に有効な遺伝子の発現増加を導くため、再現遺伝子修飾は、療法的有効性を達成するために、ヘテロ接合体として存在すればそれでよい。 [00120]本明細書に開示する、サラセミアおよび鎌状赤血球症を寛解させるための組成物および方法は、HbFおよび/またはHbA2および/またはHbAタンパク質産生を生じる1またはそれより多い突然変異を導入することによって、療法的有効性を達成する。本明細書に例示するのは、γ−グロビン遺伝子発現を活性化し、それによって胎性ヘモグロビンレベルを増加させる、β−グロビン遺伝子および/または領域の1またはそれより多い天然存在欠失(単数または複数)を再現するための組成物および方法である。HbFおよび/またはHbA2タンパク質産生の中程度の増加は、これらの疾患表現型を寛解させるために十分であるため、ヘテロ接合性突然変異は、実質的な療法利益を達成するために十分である。 [00121]特定の側面内で、修正テンプレートの送達を、選択可能マーカー遺伝子の送達と組み合わせて行って、それによってex vivoおよびin vivoの修正細胞の選択を可能にしてもよいが、こうしたアプローチは、選択可能マーカー遺伝子の組込みを通じた長期発現を必要とする。Beardら, J. Clin. Invest. 120:2345−54(2010)およびMunozら, Nucleic Acids Res. 39(2):729−743(2011)。 [00122]成体組織におけるβ−グロビン発現の活性化は、そのプロモーターにおけるCACCCボックスでのKLF−1の結合に依存する。δ−グロビンプロモーターは、損なわれていない(intact)CACCCボックスを欠き、KLF−1は結合せず、そして発現は2%のβ−グロビンに限定される。例えば損なわれていないCACCCボックスを導入することによって、β−グロビンプロモーターを再現するδ−プロモーターの突然変異によって、KLF−1結合が可能になり、そしてδ−グロビン発現の療法的に有効な増加が生じる。 [00123]これらの態様の特定の側面内で、非欠失HPFH γ−グロビンプロモーター突然変異を生成してもよい。有効性を達成するためには単一塩基対のみを修飾すればよい。例えば、−175T→C突然変異(配列番号21)を再現して、HbFレベルを最大にしてもよい。4つのγ−グロビン遺伝子のいずれかの突然変異が利益を提供し、したがって潜在的なターゲットを増加させるであろう。 ホーミングエンドヌクレアーゼ、Cas9エンドヌクレアーゼ、TALエフェクターヌクレアーゼ、およびTREX2エクソヌクレアーゼの送達[00124]さらなる態様内で、本開示は、本明細書記載の1またはそれより多いHE、Cas9、TALEN、および/またはTREX2ヌクレアーゼを送達するための系、特に非組込みベクター系を提供する。造血幹細胞(HSC)の療法的遺伝子編集には3つの主要な困難がある:(1)ヌクレアーゼ試薬を一過性にHSCに送達しなければならない;(2)ヌクレアーゼを受け入れる細胞において、遺伝子編集効率が高くなければならない;そして(3)療法効果に十分なレベルまで、遺伝子編集HSCを生着させなければならない。これらの困難は、多様なベクター形成アプローチを使用することによって克服可能である。 [00125]本明細書に例示するのは、HSCへの効率的な遺伝子トランスファーのための、球菌偽型レンチウイルスベクターおよび泡沫ウイルスベクターである。Trobridgeら, Mol Ther 18:725−33(2008)。あるいは、HSCへの遺伝子トランスファーに使用するために先に記載されているように、アデノウイルスベクターを修飾してもよい。Wangら, Exp. Hematol. 36:823−31(2008)およびWangら, Nat. Med. 17:96−104(2011)。これらの態様の他の側面内で、AAVに基づくベクター系もまた、HE、Cas9(および/またはRNAガイド鎖)、TALE−HE、TALEN、および/またはTREX2ヌクレアーゼの送達のために使用してもよい。 [00126]AAV6血清型組換えAAVベクターは、4.5kbペイロードを提供し、これは、小さい組換えテンプレートに加えて、プロモーター−HE−エクソヌクレアーゼまたはプロモーター−TAL−HE融合エクソヌクレアーゼカセットを送達するのに十分である。あるいは、小さいCas9ポリペプチドおよびガイドRNAを所持することも可能である。AAV6は、すべての既知のAAVキャプシドのヒトCD34+臍帯血細胞の効率的な形質導入を提供し、そしてHSCにおける有意なレベルの一過性遺伝子発現を仲介することが可能である。HSCにおいて、細胞株において、そして初代CD34+細胞において、遺伝子ノックアウトおよび組換えに基づく遺伝子編集の両方のために、自己相補的および一本鎖AAV6ベクターを使用してもよい。 [00127]ハイブリッドキャプシドを持つアデノウイルスベクターは、CD34+細胞を含む多くのタイプの造血細胞を効率的に形質導入することが可能である。造血細胞の効率的な形質導入のため、血清型35ファイバー(Ad5−F35)および血清型11ファイバー(Ad5−F11)を用い、キメラアデノウイルスベクターを用いて、形質導入改善を達成してもよい。ヘルパー依存性アデノウイルスベクターは、HSCにおける一過性遺伝子発現を伴う、最大30kbペイロードを提供し、そして該ベクターを用いて、多数のHE/エクソヌクレアーゼカセット、HE−TAL融合、ならびに非常に大きい組換えテンプレートを送達することも可能である。あるいは、小さいCas9ポリペプチドおよびガイドRNAを所持してもよい。これらの修飾キメラアデノウイルスベクターは、したがって、HSCにおける遺伝子ノックアウトおよび組換えに基づく遺伝子編集の両方のために使用可能である。 [00128]組込み不全レンチウイルスおよび泡沫ウイルスベクター(IDLVおよびIDFV)は、6kb(IDLV)から9kb(IDFV)ペイロードを提供し、そしてヒトHSCに形質導入するよく立証された能力を有する。特定の側面内で、HSCにおける遺伝子ノックアウトおよび組換えに基づく遺伝子編集のために、IDLVおよびIDFVベクターの両方を使用してもよい。代替プロモーターGFPカセットを含むIDLVは、CD34+ HSCにおいて、高効率でそして高レベルの発現を提供する。TFF精製工程を用いて、高力価ストックを達成してもよい。プロモーター/GFPカセットのセットを含むベクターを用いて、CD34+ HSCにおいて、効率がよく、そして高レベルのHE発現を提供してもよく、そしてこれを生成して、個々のHE、HE/Trex2、多重HE(すなわち同時発現される2、3、または4つのHE)、および多重HE/TREX2組み合わせを発現させてもよい。多重HE発現は、決定的な領域における多数の切断事象を可能にし、これは正確な適用に依存して、HbF脱抑制増加を生じるために望ましい可能性もある。こうした多重戦略は、自律性に機能するためにLHEで実行可能であり、そして緊密にターゲティングされる二本鎖破壊の効率的でそして同調したプロセシングを可能にする、TREX2同時発現と組み合わせて、満足できるように使用可能である。あるいは、小さいCas9ポリペプチドおよびガイドRNAを所持することも可能である。 [00129]遺伝子ターゲティングの効率、個々のターゲティング細胞、ならびに細胞集団およびその子孫におけるグロビン遺伝子発現のレベル、赤血球形成に対するおよび幹細胞機能に対する、ならびに血液学的パラメータおよび臓器機能に対するターゲティングの効果は、モデル生物において、確認可能である。 [00130]形質導入後、RNAおよびタンパク質レベルでのβ様遺伝子の修飾効率および発現の単一細胞およびバルク集団評価が続いてもよい。因子結合およびクロマチン構造における改変、ならびに形態、無効な赤血球形成の度合い、およびアポトーシスを評価してもよい。最初のスクリーニングで優れてスコアリングされた候補を、HSC多能性に対する効果に関して、ならびにin vitroおよびin vivoで疾患特異的表現型を寛解させる能力に関して、さらに評価してもよい。 [00131]単一の損なわれていないヒト染色体11を含有するマウス赤白血病細胞株(N−MEL)および臨床等級CD34+正常ヒトHSCにおいて、ターゲティングされた突然変異効率およびグロビン遺伝子発現を評価する終点を伴い、HE候補および送達系の最初のスクリーニングを行ってもよい。どちらの細胞タイプも、赤血球経路に沿った分化を誘導可能であり、この間、β様遺伝子の発現は、高いβ対□およびδ比で非常に誘導され、単一細胞および集団レベルで、グロビン遺伝子制御の効果の定量的評価が可能になる。第二のレベル評価には、形質導入されたCD34+細胞および赤血球形成の多能性の分析が含まれてもよい。適切なアッセイ系には、長期増殖潜在能力を評価するための培養、クローン分析のための骨髄および赤血球コロニーの分析、ならびにNOD SCIDガンマ(NSG)マウスへの移植後の、一次および二次レシピエントの多系列生着の評価が含まれてもよい。in vitroおよびin vivoで、同時に臨床的有効性を評価してもよい。 [00132]ネズミBcl11aのノックアウトは、ヒトβ−グロビン遺伝子座を含有するマウスにおいて、γ−グロビンの劇的な用量依存性増加を導き、そしてヒト化マウスモデルにおいて、鎌状表現型を寛解させる。どちらの系も、グロビン遺伝子発現の分析を可能にする一方、鎌状マウスは、血液学的パラメータ、肝臓および肺病理、腎臓機能ならびに脾臓サイズに対して特別の注意が払われるこれらのマウスにおいて、表現型の改善の評価を可能にする。表現型改善は、HbF含有細胞数、HbF/HbS比、および単一細胞アッセイにおける発現パターンに相関させることも可能である。 [00133]さらに、異常ヘモグロビン症患者由来のヒトCD34+ HSCに形質導入することによって、赤血球寿命および形態を評価してもよい。培養サラセミア細胞は、最小限の拡大、ヘモグロビン化の欠如、赤血球形成無効の証拠、ならびに正常に比較して増加したアポトーシスを示す。これらの特徴によって、ターゲティング後の発現レベルおよび赤血球形成の度合いの定量的評価が可能になる。低酸素条件下でのCD34+細胞の赤血球子孫の鎌状の度合いもまた評価してもよい。患者由来のCD34+細胞をNSGマウスに移植してもよく、その後、異常赤血球形成のいくつかの特徴を反復し、ターゲティング突然変異誘発の効果の評価を可能にする。 自己HSC、ES、およびiPSC由来HSCの拡大[00134]さらなる態様内で、本開示は、修正された細胞の効率的な生着、ならびにスクリーニングおよび臨床適用のための人工多能性幹細胞(iPSC)の使用を可能にするため、修飾造血幹細胞(HSC)のex vivo拡大のための組成物および方法を提供する。これらの態様の特定の側面内で、自己HSC、自己遺伝子修飾HSC、ES、およびiPSC由来HSCの効率的な拡大のための組成物および方法を提供する。正常ドナーから得られた動員末梢血CD34+を用い、造血性増殖因子を補充した血清不含培地中でDelta1を利用する臍帯血拡大方法論を使用してもよい。1またはそれより多いさらなる試薬と組み合わせてこれらの組成物および方法を用いて、造血幹細胞/前駆細胞の生存および増殖を増進してもよい。他の側面内で、これらの組成物および方法は、修正iPSC由来HSCを含む長期再増殖細胞の増進された拡大のため、内皮細胞共培養を使用してもよい。 [00135]現在開示される遺伝子修正戦略の有効な臨床橋渡しのため、本開示は、修正自己HSCの絶対数のex vivo拡大のための方法を提供する。遺伝子修正法は、より小規模で行った場合、一般的により効率的であり、そしてしばしば、修正のために限定された数のHSCしか入手可能でない。したがって、本開示によって、増大法を使用して、修正HSC、ES、および/または人工多能性幹細胞(iPSC)由来HSCの臨床的に実行可能なex vivo拡大を可能にしうることが意図される。特定の側面内で、本開示は、幹細胞の運命を決定する際のNotchシグナル伝達の役割を利用することによって、療法的適用のため、造血幹細胞/前駆細胞を拡大するための方法を提供する。Dahlbergら, Blood 117:6083−90(2010); Delaneyら, Nat Med 16:232−6(2010);およびVarnum−Finneyら, Nat Med 6:1278−81(2000)。 [00136]これらの方法は、まず、部分的にHLAマッチした新鮮な産物(培養後に採取し、そして直接注入)を用いることによって、そして/またはオフザシェルフ非HLAマッチ細胞療法として先に拡大されそして凍結保存されている産物を用いることによって、臍帯血幹細胞/前駆細胞の臨床的に適切なex vivo拡大、および臍帯血移植を受けている患者における骨髄抑制治療のための拡大された細胞療法を可能にする。 [00137]遺伝子修正自己HSCのex vivo拡大は、より多数の適切に修正された再増殖細胞の移植を可能にして、in vivoの遺伝子修正細胞の迅速な再増殖を可能にし、そしてその優勢を確実にすることによって、HSCに基づく遺伝子療法の安全性および有効性を増進させる。したがって、本開示は、第三者の非HLAマッチドナーのex vivo拡大幹細胞/前駆細胞を通じた、対症療法のための組成物および方法を提供し、これは、骨髄破壊的T細胞枯渇自己移植後に観察される感染に続く早期移植関連死亡リスクを減少させるために必須である、迅速であるが一過性の骨髄回復を提供することが可能である。Delaneyら, Nat Med 16:232−6(2010)。 [00138]分化を阻害する剤(例えばNotchリガンド)を、初期幹細胞/前駆細胞の増殖および生存を増進させる組成物および方法と組み合わせて、それによって改善されたNotch仲介性ex vivo拡大を達成してもよい。Notchリガンド、Delta1を、アリール炭化水素受容体阻害剤(SR1)(Boitanoら, Science 329:1345−8(2011))またはHoxB4(Wattsら, Blood 116:5859−66(2010)およびZhangら, PLoS Med 3:e173(2006))と組み合わせて、造血前駆体の増殖および自己再生を増殖させ、そしてアンギオポエチン様5と組み合わせてそれらの生存を増進させることによって、臍帯血幹細胞/前駆細胞の増殖増進を達成することも可能である。遺伝子療法の臨床適用に必須であるのは、長期再増殖細胞を拡大し、修正細胞移植片の寿命を保証する能力である。 [00139]Akt活性化内皮細胞を共培養系において使用して、遺伝子修正細胞の拡大を確認してもよい。Butlerら, Cell Stem Cell 6:251−64(2011)。遺伝子修正細胞の拡大は、造血前駆体におけるNotchシグナル伝達の内皮細胞誘導性活性化に応じる。臨床適用の第二の決定的な側面は、in vivoの適切な振る舞いおよび発癌潜在能力の欠如を確実にするため、その正常対応物と比較した際の派生細胞の遺伝子およびエピジェネティック的忠実度である。重要なことに、拡大臍帯血幹細胞/前駆細胞のゲノム全体の評価は、初代単離CD34+細胞に比較して、トランスクリプトーム、クロマチン構造、およびDNAメチロームの忠実度を示す。 [00140]正常CD34+細胞の拡大戦略を、異常ヘモグロビン症患者由来のCD34+細胞を利用する定義された方法と併せて使用してもよい。臍帯血拡大方法論は、正常ドナーから得た動員末梢血CD34+を用い、造血増殖因子を補った血清不含培地中で、Delta1を利用してもよい。確立されたin vitroアッセイ(免疫表現型決定、増殖等)を用いた最適化ex vivo拡大条件、およびin vivo再増殖能を、NSGマウスモデルを用いて評価してもよい。初期幹細胞/前駆細胞の増殖および生存を増進させるため、SR1(アリール炭化水素受容体阻害剤)、Hoxタンパク質、またはアンギオポエチンを含む組成物と組み合わせて、最適化条件を用いてもよい。有望な組み合わせを、前駆細胞in vitroアッセイにおいて、および免疫不全マウスモデル(NSGマウス)において評価し、そして次いで、正常個体由来のCD34+の拡大から拡張して、サラセミア(および他の異常ヘモグロビン症)の患者由来のCD34+細胞の拡大のためのこれらの方法を評価してもよい。 [00141]ゲノム全体のアプローチを用いて、生成された細胞の発癌潜在能力を評価して、正常対応物HSCと拡大された細胞の転写、遺伝子、およびエピジェネティック的忠実度を評価してもよい。in vivoの増殖後(注入後)、細胞を用いて、影響を受けた任意のクローン(単数または複数)のin vivo増殖を増進し、それによってまれな細胞の選択的拡大および検出を可能にする、機能的に有意な異常があるかどうかを決定してもよい。 遺伝子修正自己HSCの移植後、移植後好中球減少症を抑止し、そして転帰を改善するための細胞療法[00142]別の態様内で、本開示は、対症療法を提供するための組成物および方法であって、遺伝子修正自己HSCの移植後、移植後好中球減少症を抑止し、そして転帰を改善する、オフザシェルフ細胞療法を提供する。ex vivo拡大された凍結保存臍帯血(CB)幹細胞/前駆細胞を、例えば、対症療法の手段として、自己CD34+遺伝子修正細胞での骨髄破壊的HCTを経ている、サラセミアおよび/または鎌状赤血球症患者に投与してもよい。 [00143]迅速な好中球回復の提供を可能にする、前駆細胞の経済的に実行可能な「オフザシェルフ」供給源を開発することを目的とした研究において、あらかじめ拡大された凍結保存造血幹細胞/前駆細胞産物の一揃いを生成した。各々は、将来の臨床使用のために保持可能な単一CB単位に由来する。 [00144]成体に、この「オフザシェルフ」非HLAマッチ産物を投与する際の安全性は、再発性/難治性AMLに対する最初のサルベージ化学療法直後、ならびに血液学的悪性腫瘍の小児患者および成人患者における骨髄破壊的CBTセッティングにおいて、立証された。 [00145]T細胞を欠く、この拡大された細胞産物を、オフザシェルフ細胞療法として注入して、迅速であるが一時的な骨髄生着を提供し、そして自己遺伝子修正幹細胞移植を用いた骨髄破壊的HCTを受けている患者における自己造血回復を潜在的に促進し、それによって感染合併症および死亡リスクを減少させることも可能である。 [00146]決定的なのは、T細胞を欠く「オフザシェルフ」非HLAマッチ産物の安全な注入のために、HLAマッチングが必要であるかどうかの疑問である。HLAマッチングの必要がなければ、新鮮なCB単位を即時のex vivo拡大のために収集し、そして最終産物を、将来の要求に応じた使用のために凍結保存してもよい。預けられた拡大産物のすべてが、患者のHLA型、人種/民族または居住地に関わらず、任意の所定の患者に潜在的に利用可能であるため、オフザシェルフ拡大されたCB産物への患者アクセスは、劇的に増大する。 [00147]さらに、オフザシェルフであり普遍的なドナーの増大細胞療法を生成可能であれば、HCT後の重症の好中球減少症の期間を短縮するのに有望であるだけでなく、幹細胞移植以外の研究のより広い領域を増大させる可能性もあり、例えば化学療法に誘導される重症の好中球減少症、任意の後天性重症好中球減少症または偶発的放射線曝露の治療のための一時的骨髄生着を提供する方法としての可能性がある。 [00148]ex vivo拡大は、造血回復遅延を克服することによって、CBTのリスクを抑止し、そして全体の生存の有意な改善が生じるであろう。二重CBTを経ている患者において、再発のリスク減少が観察されてきており、そして非常にミスマッチした移植にもかかわらず、慢性GVHDはより低い。早期移植関連死亡リスクが、造血回復を増進するex vivo拡大臍帯血前駆細胞の注入によって減少可能であるならば、全体の生存は、慣用的に関連しないドナーで見られるものを超える可能性が高い。 [00149]さらなる態様内で、本開示は、移植後好中球減少症を抑止し、そして遺伝子修正自己HSCの移植後の転帰を改善する細胞療法を提供する。自己遺伝子修正細胞を用いた骨髄破壊的HCTを経ているサラセミア患者は、注入移植におけるCD34+細胞の限定された数に派生して、感染および死亡のリスクが増加している(これらの遺伝子修正細胞の臨床的に実行可能な数へのex vivo増加が達成されるまで)。オフザシェルフ対症療法手段として、先に拡大され、そして凍結保存された臍帯血前駆細胞産物の注入を使用して、長期移植が造血回復に寄与するまでの、早期であるが一過性の骨髄回復に寄与することによって、死亡リスクを減少させることも可能である。 [00150」骨髄破壊的HCTを受けている患者は、コンディショニング措置の直接の結果として重度の汎血球減少症を経験し、そしてすべての患者で、この期間中、感染および出血のリスクが増加している。(好中球および血小板の)造血回復までの期間は、CD34+細胞用量によって直接影響を受け、そしてしたがって、幹細胞用量が慣用的なドナー移植の1/10である臍帯血を用いて、または自己CD34濃縮低細胞用量移植を用いて、骨髄破壊的HCTを受けている患者に関しては、造血回復遅延による移植関連死亡リスクはさらにより大きい。 [00151]これらのリスクを克服し、そしてこれらのHCTアプローチの安全性を増加させるため、延長された汎血球減少症を抑止し、そしてより迅速な造血回復を促進することが可能な新規療法に関する大きな必要性がある。上に論じるように、こうした戦略が開発されてきており、ここで、骨髄再増殖臍帯血(CB)造血幹細胞/前駆細胞(HSPC)の絶対数は、NotchリガンドDelta1との培養によって増加させることも可能である。これらの部分的にHLAマッチしたex vivo拡大CB細胞を、臍帯血移植(CBT)を受けている小児または成人に注入することは、安全であることが立証されてきており、そして拡大された細胞に寄与される迅速な骨髄生着の結果として、好中球絶対数が最初に500に到達するまでの時間を、26日から11日に有意に短縮可能である。 [00152]迅速な好中球回復を提供可能な前駆細胞の経済的に実行可能な「オフザシェルフ」供給源を開発することを目的とする、より最近の研究において,本発明者らは、あらかじめ拡大された凍結保存造血幹細胞/前駆細胞産物の一揃いを生成し、各々は、単一CB単位に由来し、将来の臨床使用のために保持可能である。本発明者らは、また、ここで、再発性/難治性AMLのための最初のサルベージ化学療法直後に成人に、ならびに血液学的悪性腫瘍を持つ小児および成人患者における骨髄破壊的CBTセッティングにおいて、この「オフザシェルフ」非HLAマッチ産物を投与する際の安全性も立証した。本発明者らは、T細胞を欠く、この拡大された細胞産物を、オフザシェルフ細胞療法として注入して、迅速であるが一時的な骨髄生着を提供し、そして自己遺伝子修正幹細胞移植を用い、骨髄破壊的HCTを受けている患者における自己造血回復を潜在的に促進し、それによって感染合併症および死亡のリスクを減少させることも可能であると仮定する。 [00153]ex vivo拡大臍帯血幹細胞/前駆細胞の生成のための定義された最適な方法を用いて、一揃いの拡大されたオフザシェルフ細胞産物を使用して、自己遺伝子修正HCTにおける対症療法としてこれらの細胞を注入する際の安全性を決定してもよい。 [00154]本開示は、以下の限定されない実施例を考慮すると最適に理解されるであろう。 実施例1 in vitro区画化(IVC)を用いたI−HjeMI、I−CpaMI、およびI−OnuIに基づくBcl11a遺伝子ターゲティングホーミングエンドヌクレアーゼの選択 [00155]大腸菌における発現のためにコドン最適化されている、親LAGLIDADGホーミングエンドヌクレアーゼ(LHE)、I−HjeMIのオープンリーディングフレーム(ORF)(図14;配列番号28; Jacobyら, Nucl. Acids Res. 40(11):4954−4964(2012); Taylorら, Nucl. Acids Res. 40(Web Server issue):W110−6(2012))を、pET21−a(+)(図11; Merck KGaAのEMD Millipore(Novagen)部門)のNcoIおよびNotI制限部位の間にクローニングした。部位特異的飽和突然変異誘発をI−HjeMIのORF内に導入するため、縮重コドン5’−NNK−3’(すべての20アミノ酸をコードする)を含有するプライマーを用いて、両端に隣接断片と重複する領域のおよそ20塩基対の領域を持つ、部分的ORFを含有するDNA断片をPCR増幅した。こうしたPCRプライマーを用いて突然変異されたアミノ酸残基を表2に示す。アガロースゲルからの抽出によってPCR産物を精製し、そして続く周期のPCRにおいて、選択しようとする変異体エンドヌクレアーゼのターゲット部位2コピーを含有する配列と組み合わせた。組み立てが成功したDNA断片を再び、ゲル抽出によって精製し、そしてin vitro区画化(IVC)において、ライブラリーとして用いた。 [00156]改変された特異性を持つ変異体ヌクレアーゼ遺伝子を濃縮するため、部位特異的飽和突然変異誘発の各周期後、3周期のIVCを行った。油−界面活性剤混合物(軽油中の2% ABIL EM 90(Evonik Industries AG Personal Care、ドイツ、ノルト・ライン・ウェストファーレン州エッセン)、0.05% Triton X−100)を、飽和緩衝液(100mMグルタミン酸カリウム(pH7.5)、10mM酢酸マグネシウム(pH7.5)、1mMジチオスレイトールおよび5mg/mlウシ血清アルブミン)と徹底的に混合し、37℃で20分間インキュベーションし、そして4℃、16,000xgで15分間遠心分離した。上相の500マイクロリットルを用いて、氷上で、1,400r.p.m.で3.5分間、一定して攪拌することによって、30μlのin vitroタンパク質合成混合物(25μlのPURExpress(New England Biolabs、マサチューセッツ州イプスウィッチ)、20単位のRNアーゼ阻害剤、1mg/mlウシ血清アルブミン、および8ngのDNAライブラリー)を乳化した。エマルジョンを30℃で4時間インキュベーションし、そして次いで、75℃で15分間加熱した。4℃、16,000xgで15分間遠心分離することによって、乳化小滴を収集し、そしてフェノール/クロロホルム/イソアミルアルコールの添加によって破壊した。エタノール沈殿によって核酸を回収し、そしてRNアーゼカクテル(Life Technologies社(Invitrogen)、ニューヨーク州グランドアイランド)で処理した。QIAquick PCR精製キット(Qiagen、ドイツ・ヒルデン)を用いた精製後、DNAライブラリーを、乳化小滴中で発現されるエンドヌクレアーゼ変異体によって生成されるターゲット部位の付着端に相補的な4塩基3’オーバーハング配列を含むDNAアダプターと連結し、そして切断されたターゲット部位に連結する変異体エンドヌクレアーゼの遺伝子を濃縮するため、連結されたDNAアダプターに一方が特異的であるプライマー対を含有するPCR混合物に添加した。PCRアンプリコンをゲル精製して、そして変異体遺伝子のORFをさらにPCR増幅して、続く周期のIVCで用いるDNAライブラリーを調製した。 [00157]第二の周期のIVCにおいて、1ngの再構築ライブラリーを用いてエマルジョンを作製し、そして42℃で75分間インキュベーションした後、75℃で加熱することによって、in vitro転写/翻訳反応を停止した。DNAライブラリーを回収し、そして上述のようなDNAアダプターとの連結後のPCRによって、活性エンドヌクレアーゼ遺伝子を特異的に濃縮した。 [00158]第三の周期のIVCにおいて、0.5ngのライブラリー断片を含有するin vitroタンパク質合成混合物を、4.5% Span80/0.5% TritonX−100/軽油中で乳化した。反応を42℃で45分間行い、そして75℃で熱不活性化した。エマルジョンからの抽出後、切断されたターゲット部位と関連するエンドヌクレアーゼ遺伝子をPCR増幅し、そして続く周期の部位特異的突然変異誘発に供した。 [00159]BCL11A遺伝子ターゲットの(−)および(+)ハーフ部位を認識するI−HjeMI変異体を再設計するため、それぞれ、4周期および2周期の部位特異的飽和突然変異誘発を行った(図13)。前半のハーフ部位をターゲティングする変異体ヌクレアーゼのプールを、タンパク質−DNA界面と反対の表面上の突然変異誘発のさらなる(第五の)周期に供し、その後、3周期のIVCを行った(表2)。 表2 IVCにおける飽和突然変異誘発に供するアミノ酸位 *下線のヌクレオチドは、親LHE I−HjeMIのターゲット部位のものとは異なる。BCL11A遺伝子ターゲットの(−)および(+)ハーフ部位に関与するI−HjeMI変異体エンドヌクレアーゼのN末端およびC末端ハーフドメインをコードするDNA断片を組み立てて、そして全長BCL11A遺伝子ターゲット部位を切断するヌクレアーゼのプールを、3周期のIVCを通じて選択した(図13)。 [00160]表3は、例示的なBCL11aターゲット配列を提示し、該配列は、該配列に対する非常に活性が高いエンドヌクレアーゼ変異体(ホーミングエンドヌクレアーゼ、I−CpaMIおよびI−OnuIに基づく)のプールが単離され、そしてその配列が決定されているDNA配列モジュールを含む。 表3 実施例2 細菌における2プラスミド遺伝子除去切断アッセイを用いたBCL11A遺伝子ターゲティングI−HjeMI変異体の活性の最適化 [00161]Doyonら, J. Am. Chem. Soc. 128(7):2477−2484(2006)の方法論にしたがって、細菌細胞における2プラスミド選択系を用いて、IVCディスプレイ選択(上記実施例1に開示する)を用いた選択において得られるI−HjeMI変異体の活性を最適化した。エンドヌクレアーゼ遺伝子のORFを、pENDO(図12、Doyonら, J. Am. Chem. Soc. 128(7):2477−2484(2006))発現プラスミドのNcoIおよびNotI部位の間に挿入した。4コピーのBCL11A遺伝子ターゲットを含有するpCcdBレポータープラスミド(図31、Doyonら, J. Am. Chem. Soc. 128(7):2477−2484(2006); Takeuchiら, Nucl. Acids Res. 37(3):877−890(2009);およびTakeuchiら, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 10.1073/pnas.1107719108(2011))を宿するNovaXGF(EMD Millipore(Novagen))コンピテント細胞を、I−HjeMI変異体をコードするpEndoプラスミドのプールで形質転換した。形質転換体を2xYT培地(16g/Lトリプトン、10g/L酵母エキス、および5g/L NaCl)中、37℃で30分間増殖させ、そして次いで、100μg/mLカルベニシリンおよび0.02%L−アラビノース(I−HjeMI変異体の発現をあらかじめ誘導するため)を補充した2xYT培地で10倍希釈した。培養を30℃で15時間増殖させた後、細胞を採取し、滅菌水中に再懸濁し、そして非選択プレート(1xM9塩、1%グリセロール、0.8%トリプトン、1mM MgSO4、1mM CaCl2、2μg/mLチアミン、および100μg/mLカルベニシリン)および選択プレート(すなわち、0.02%L−アラビノースおよび0.4mM IPTGを補充して毒性CcdBタンパク質の発現を誘導した非選択プレート)の両方の上にスプレッドした。30℃で30〜40時間インキュベーションした後、選択プレート上の生存コロニーからpEndoプラスミドを抽出した。 [00162]Gene Morph IIランダム突然変異誘発キット(Agilent Technologies、カリフォルニア州サンタクララ)を用いて、エラープローンPCRを通じて、活性I−HjeMI変異体をコードするORFを増幅した。NcoI、NotI、およびDpnIでの消化後、生じた断片をpEndoベクター内に再クローニングした。プレーティングする前に30℃で4時間、変異体エンドヌクレアーゼを発現させる条件下で、プラスミドを2周期の選択に供した。重複PCRを用いて、選択した遺伝子のN末端ハーフおよびC末端ハーフドメインをシャッフルし、そして再び、pEndoベクター内にクローニングした。pEndoプラスミドおよびpCcdBレポーターの両方を所持する形質転換細胞を、0.02%L−アラビノースを含有する2xYT培地中、37℃で1時間増殖させ、そして次いで、37℃で16〜20時間、選択プレート上にスプレッドした。同じレベルのストリンジェンシーでの2周期の選択後、選択プレート上の生存コロニーから、pEndoプラスミドを抽出し、そしてプラスミド上に所持される変異体遺伝子のORFを配列決定した。 実施例32プラスミド切断アッセイにおいて試験したBCL11A遺伝子ターゲティングエンドヌクレアーゼの活性[00163]例示的なBCL11A遺伝子ターゲティングエンドヌクレアーゼ(BCL11Ahje;図17、配列番号31)、その触媒的に不活性である変異体(BCL11Ahje D18N)、およびその親LHE I−HjeMI(図14、配列番号28)の活性を、I−HjeMIのターゲット部位(I−HjeMIターゲット)またはBCL11A遺伝子ターゲット(TCCAAGTGATGTCTCGGTGGTG(配列番号39;下線ヌクレオチドは、親LHE I−HjeMIのターゲット部位のものとは異なる))のいずれかの4コピーを含有するpCcdBレポータープラスミド(Doyonら, J. Am. Chem. Soc. 128(7):2477−2484(2006))を宿する細菌細胞において測定した。pCcdBレポータープラスミドは、「細胞死制御B」(「ccdB」、IPTGの添加によって誘導可能な、細菌における毒性タンパク質)をコードする。レポータープラスミド中のターゲット部位の切断は、レポータープラスミドのRecBCD仲介性分解、およびIPTGを含有する選択培地上での対応する細胞生存を導く。選択プレート上のコロニー数を非選択プレート上のコロニー数で、割ることによって、生存率を決定した。エラーバーは、3回の独立の実験の±S.D.を指す。 実施例4内因性ヒトBCL11A遺伝子でのターゲティング化突然変異誘発の検出[00164]HEK293T細胞(1.6x105)を、トランスフェクションの24時間前に、12ウェルプレート中に植え付け、そしてBCL11A遺伝子ターゲティングヌクレアーゼおよびTREX2の発現プラスミド各0.5μgでトランスフェクションした。トランスフェクション48時間後、トランスフェクションした細胞を溶解し、そしてQuick−gDNA MiniPrepキット(Zymo Research)を用いて、ゲノムDNAを抽出した。BCL11A遺伝子ターゲットに渡るおよそ500bp断片を、以下のプライマー対を用いて、50ngの抽出ゲノムからPCR増幅した: Bcl11A_up1、5’− GCT GGA ATG GTT GCA GTA AC −3’(配列番号66); Bcl11A_down1、5’− CAA ACA GCC ATT CAC CAG TG −3’(配列番号67)。PCRアンプリコンを、組換えタンパク質を過剰発現する大腸菌から精製した0.5μMのBCL11A遺伝子ターゲティングヌクレアーゼを含みまたは含まず、1xBSA(New England Biolabs)を加えた1xNEB緩衝液4中で37℃で2時間インキュベーションした。5x停止溶液(50mM Tris−HCl(pH7.5)、5mM EDTA、0.5% SDS、25%グリセロール、0.1オレンジGおよび0.5mg/mLプロテイナーゼK)を添加することによって、反応を停止させた。室温で15分間インキュベーションした後、各試料の半分を、TAE中にエチジウムブロミドを含有する1.6%アガロースゲル上で分離した(上部パネル)。各試料の残りを、DNA Clean & Concentrator−5キット(Zymo Research)を用いて精製し、そして以下のプライマー対を用いた第二の周期のPCR中、テンプレートとして用いた: Bcl11A_up2、5’− CTG CCA GCT CTC TAA GTC TCC −3’(配列番号68); Bcl11A_down2、5’− TGC AAC ACG CAC AGA ACA CTC −3’(配列番号69)。PCR産物を再び、上述の条件下で、BCL11A遺伝子ターゲティングヌクレアーゼで消化し、そして1.6%アガロースゲル上で分析した(下部パネル)(図30を参照されたい)。 実施例5in vitro区画化を用いたI−OnuIに基づく胎性ヘモグロビンサイレンシング領域ターゲティングエンドヌクレアーゼの選択[00165]フレンチHPFH欠失において破壊される、成体赤血球細胞におけるHbFサイレンシング領域内のBcl11a占有の領域を含む350bp領域(配列番号2)全体に均一に分布する例示的なホーミングエンドヌクレアーゼ(HE)ターゲット配列を表4に提示する。これらのターゲット配列は、それに対する非常に活性が高いエンドヌクレアーゼ変異体のプールが単離され、そして配列決定されている、DNA配列モジュールを含む。 表4 [00166]表5は、Aγ−およびGγ−グロビン遺伝子の両方に関して同一であり、そして多くの非欠失HPFH突然変異を含有する、グロビン遺伝子の−100bpから210bp上流の領域を提示する。これらの突然変異を生じる遺伝子編集は、ガンマ遺伝子の抑制減少、したがって活性化を導き、そしてHbF増加を生じる。 表5 [00167]表6は、ヒト胎性グロビンサイレンシング領域に対してターゲティングされるホーミングエンドヌクレアーゼを生成するために、IVCにおける飽和突然変異誘発に供した(実施例1、上記に記載される通り)、親LHE I−OnuIホーミングエンドヌクレアーゼ(図22A、配列番号34)内のアミノ酸位を提示する。 表6ヒト胎性グロビンサイレンシング領域に対するターゲティング化ホーミングエンドヌクレアーゼを生成するIVCにおける飽和突然変異誘発に供されるアミノ酸位 *下線ヌクレオチドは、親LHE I−OnuIのターゲット部位におけるものとは異なる。 [00168]図23は、ヒト胎性グロビンサイレンシング領域由来の「ハーフターゲット」を用いた切断アッセイの結果を提示する。増幅バンドは、切断されたハーフ部位(相補的二重鎖オリゴヌクレオチドおよび対応するオーバーハングssDNAとの連結によって捕捉される)および切断されたDNA産物の生成に関与する酵素変異体の配列の両方を含有する。「ハーフ部位」エンドヌクレアーゼライブラリーの濃縮の完了に際しての最終段階には、gグロビンサイレンシング領域ターゲットの左(L)および右(R)ハーフ部位に関与する、I−OnuIホーミングエンドヌクレアーゼのN末端およびC末端ハーフドメインをコードするDNA断片の集合が含まれる。全長ヒト胎性グロビンサイレンシング領域ターゲットを切断するプールから、活性I−OnuIエンドヌクレアーゼを選択する。 実施例6遺伝子ターゲティング化エンドヌクレアーゼの特異性および活性を増加させるためのTALアンカーのN末端融合を伴うMegaTALホーミングエンドヌクレアーゼ[00169]TALアンカーのN末端融合を使用して、1またはそれより多いホーミングエンドヌクレアーゼ、例えば1またはそれより多いI−HjeMI、I−CpaMI、およびI−OnuIホーミングエンドヌクレアーゼを含む、遺伝子ターゲティング化エンドヌクレアーゼの特異性および活性を増加させてもよい。RVDプラスミドライブラリーおよびデスティネーションベクターを用いて、Cermakら, Nucl. Acids Res. 39:e82−e82(2011)に記載されるGolden Gate組み立て戦略を用いて、MegaTALを構築する(MegaTAL:5.5RVD+Y21−AniIのヌクレオチドおよびアミノ酸配列に関しては、図24、配列番号35および図25、配列番号36を参照されたい)。 [00170]プラスミドを修飾し、1.5〜10.5のTALリピートおよびその対応するRVD(ターゲット部位の5’領域における連続したDNA塩基と接触し、そしてそれによってその領域の同族DNA配列を定義する「リピート可変二残基」)を含有するTALエフェクターの組み立てを可能にする。pthX01デスティネーションベクターを修飾して、NLSのすぐ下流の赤血球凝集素(HA)タグを含ませ、そして残基154(野生型PthXo1 TALエフェクターに比較して)で始まり、そして最後の「ハーフTALリピート」配列を超えて63残基で終わるTALEN足場を生じた。 [00171]各々の特異的ヌクレオチドをターゲティングする以下のRVDを用いて、TALエフェクターを構築する:A−NI、C−HD、G−NNおよびT−NG。TALエフェクターリピートをデスティネーションベクター内にクローニングした後、個々のタンパク質リンカー(「Zn4」;VGGS)および操作したホーミングエンドヌクレアーゼ変異体を、操作したXba−IおよびSal−I制限部位の間に、FokIヌクレアーゼ触媒ドメインの代わりにクローニングする。 [00172]これは、「モデル試験ケース」MegaTALである(元来、Takeuchiら, Nucl. Acids Res. 37(3): 877−890(2009)に記載された、野生型Y2 I−AniIホーミングエンドヌクレアーゼに柔軟なリンカーを通じて融合する、単一のタンパク質鎖のN末端でのTALエフェクターの融合)。 実施例7Bcl11aが制御する胎性ヘモグロビン(HbF)サイレンシング領域を破壊するためのCas9に基づくエンドヌクレアーゼ系[00173]細菌が適応免疫のために使用するクラスター化された規則的間隔の短いパリンドロームリピート(CRISPR)系の機構が最近、理解されてきたことによって、哺乳動物細胞のゲノム編集を可能にする強力なツールの開発が導かれてきており:(a)Bcl11aコード領域を破壊し;(b)HbFサイレンシングDNA制御要素または経路、例えばBcl11a制御HbFサイレンシング領域を破壊し;(c)1またはそれより多いγ−グロビン遺伝子プロモーター(単数または複数)を突然変異させて、γ−グロビン遺伝子の発現増加を達成し;(d)1またはそれより多いδ−グロビン遺伝子プロモーター(単数または複数)を突然変異させて、δ−グロビン遺伝子の発現増加を達成し;そして/または(e)1またはそれより多いβ−グロビン遺伝子突然変異(単数または複数)を修正するため、これを本明細書に開示する異常ヘモグロビン症の治療のための組成物および方法で使用することも可能である。細菌CRISPR系は、Jinekら, Science 337:816−821(2013); Congら, Science(Jan. 3, 2013)(印刷前のEpub);およびMaliら, Science(Jan. 3, 2013)(印刷前のEpub)に記載される。 [00174]Cas9タンパク質は、その位置がRNAガイド配列によって決定される特定の部位で、二本鎖ブレイクを生成する。すべてのガイドRNAは、Cas9に結合する同じ足場配列、ならびにCas9−RNA複合体切断特異性を提供する構造G−N20−GGを有する可変ターゲティング配列を含有する。Cas9タンパク質およびガイドRNAの同時発現は、配列特異的切断がガイドRNA配列によって定義される、ヒトゲノム内の配列特異的位置での効率的な切断および破壊を生じる。Cas9および多数のターゲットに特異的なガイドRNAの同時発現は、ターゲット部位間介在領域の効率的な欠失を導く。 [00175]したがって、本開示の特定の側面内で、Cas9仲介ゲノム編集を使用して:(1)HbFサイレンシング領域内のBcl11a結合部位を破壊し、(2)Bcl11a遺伝子機能を破壊し、そして(3)全HbFサイレンシング領域を欠失させる。ターゲット領域を同定し、そして最適ガイドRNAターゲット配列の考慮に基づいて、ガイドRNAを設計し、そして生成する。本明細書に例示するのは、HbFサイレンシング領域内のBcl11a結合領域ならびに単一GATA−1結合モチーフをターゲティングするガイドRNAである。これらのガイドRNAを単独で、または組み合わせて用いて、HbFサイレンシング領域のターゲティング化破壊を達成する。占有のBcl11aピークに対応するHbFサイレンシング領域内のさらなる領域に対するガイドRNAを伴うCas9もまた、単独で、そして組み合わせて用いる。Bcl11a結合部位およびGATA−1モチーフに隣接する数対のガイドRNA、ならびに全フットプリントもまた、HbFサイレンシング領域内で欠失を生成するため、Cas9と同時発現させてもよい。 [00176]Maliら、Science(2013年1月3日)由来のヒトコドン最適化Cas9の配列を図26、配列番号37に提示する。ガイドRNAの一般的な配列(Maliら)を図27、配列番号38に提示し、その重要な配列要素を表7に提示する。ヒト胎性ヘモグロビン(HbF)サイレンシング領域のターゲット特異的結合および切断の例示的なCas9ガイドRNA配列(図6、配列番号1および図7、配列番号2)を、表8に提示する。 表7一般的Cas9ガイドRNAの配列要素 表8例示的Cas9ガイドRNAに関するターゲット特異的配列 実施例8エンドヌクレアーゼを発現するためのベクター系[00177]NSG、鎌状赤血球およびサラセミア・マウスモデルのため、移植前に、ヒトCD34細胞またはマウス骨髄有核細胞を、蛍光マーカーとともに形質導入して、フローサイトメトリーに基づく細胞の濃縮を可能にする。適切な形質導入法には、以下が含まれる: [00178]AAV6ベクター。AAV6血清型組換えAAVベクターは、小さい組換えテンプレートに加えて、プロモーター−HE−エクソヌクレアーゼまたはプロモーター−TAL−HE融合−エクソヌクレアーゼカセットを送達するのに十分な4.5kbペイロードを提供する。あるいは、これらは、Cas9およびガイドRNAを所持可能である。さらに、本発明者らは、すべての既知のAAVキャプシドのヒトCD34+臍帯血細胞の最も効率的な形質導入を提供し、そしてHSCにおける一過性遺伝子発現の有意なレベルを仲介することが可能である。 [00179]修飾アデノウイルスベクター。ハイブリッドキャプシドを含むアデノウイルスベクターは、CD34+細胞を含む多くのタイプの造血細胞を効率的に形質導入することが可能である。血清型35ファイバー(Ad5−F35)を用いたキメラベクターでの改善された形質導入はRawlings博士(SCH)によって立証され、そしてより最近のデータによって、血清型11ファイバー(Ad5−F11)が、造血細胞においてさらにより効率的でありうることが示唆されている。ヘルパー依存性アデノウイルスベクターは、HSCにおける一過性遺伝子発現とともに、最大30kbのペイロードを提供し、そしてこれを用いて、多数のHE/エクソヌクレアーゼカセット、HE−TAL融合物、ならびに非常に大きな組換えテンプレートまたはCas9発現カセットおよび多数のガイドRNAを送達することが可能である。 [00180]組込み不全レンチウイルスおよび泡沫ウイルスベクター(IDLVおよびIDFV)。これらのベクターは、6kb(IDLV)から9kb(IDFV)ペイロードを提供し、そしてヒトHSCに形質導入する、よく立証された能力を有する。IDLVおよびIDFVベクターはどちらも、HSCにおける遺伝子ノックアウトおよび組換えに基づく遺伝子編集に使用可能である。Rawlings博士(SCH)およびKiem博士(FHCRC)は、代替プロモーターGFPカセットを持つ一連のIDLVを生成し、そして評価し、そしてCD34+ HSCにおける効率的でそして高レベルの発現を提供する構築物を決定してきている。 [00181]プラスミドおよびmRNAの直接ヌクレオフェクション。Amaxaヌクレオフェクション系を用いて、N−MELおよびCD34細胞の効率的な形質導入のための条件が定義されてきている。利点には、組込みの欠如、および多数の発現プラスミドまたはRNA種を同時に形質導入する能力が含まれる。 [00182]平行して、ソーティングされた細胞およびソーティングされない細胞が別個のマウスに移植されるであろう。後者の移植は、少数の修飾細胞を含有しうるが、移植後キメラのヒト研究によって、これらの細胞が、選択的な生存長所を有し、そして末梢において濃縮されるであろうことが示唆される。それにもかかわらず、単一網状赤血球RNAおよびF細胞分析は、低存在量で存在した場合であっても、細胞における遺伝子破壊の評価を可能にするであろう。 [00183]第二のレベルの評価は、形質導入CD34+細胞の多能性および赤血球形成に重点を置くであろう。アッセイには、長期増殖潜在能力を評価するための培養、クローン分析のための骨髄および赤血球コロニーの分析、ならびにNOD Scidガンマ(NSG)マウスへの移植後の一次および二次レシピエントの多系統生着の評価が含まれるであろう。 [00184]典型的には、全身照射(NSGマウスに関して275ラドまたはC57マウスに関して1000ラド)後、尾静脈注射を通じて幹細胞を注入する。これは効率的であるが、50倍少ない細胞しか必要でないか、理想的であるか、または潜在的に限定された数のフローサイトメトリーソーティングおよび/または修飾細胞をアッセイするため、本発明者らは、マウス大腿に直接幹細胞を注射し、これは大部分の研究に関して有効である。麻酔および局所鎮痛が提供され、そして解剖学的目印を定義した後、50万〜100万の細胞を大腿骨髄空間内に直接注射した。 実施例9効率的な遺伝子ターゲティングのためのホーミングおよびCas9エンドヌクレアーゼの性質決定[00185]臨床的影響に関して、個々のターゲティング化細胞における、および細胞集団における、グロビン遺伝子発現レベル、赤血球形成および幹細胞機能に対するターゲティングの効果、ならびにモデル生物における血液学的パラメータおよび臓器機能に対する影響を評価することによって、効率的な遺伝子ターゲティングが立証される。 [00186]形質導入に続いて、RNAおよびタンパク質レベルで、すべてのβ様遺伝子の遺伝子ターゲティング効率および発現の単一細胞およびバルク集団評価を行う。因子結合およびクロマチン構造における改変を評価するとともに、細胞形態、ならびに無効な赤血球形成およびアポトーシスの度合いを評価する。最初のスクリーニングにおいて、よくスコアリングされる候補エンドヌクレアーゼを、HSC多能性に対する影響に関して、ならびにin vitroおよびin vivoでの疾患特異的表現型を寛解させる能力に関して、さらに評価する。 [00187]単一の損なわれていないヒト染色体11を含有するマウス赤白血病細胞株(N−MEL)および臨床等級CD34+正常ヒトHSCにおいて、エンドヌクレアーゼ候補および送達系の最初のスクリーニングを実行し、終点は、ターゲティング化突然変異効率およびグロビン遺伝子発現の評価である。両方の細胞タイプを、β様遺伝子の発現が低□−グロビン/□−+β−グロビンRNA比で非常に誘導される期間である赤血球経路にしたがって分化するよう誘導することも可能である。HbF特異的抗体を用いて、「F細胞」のパーセントを定量化してもよい。これらの低い比は、系が□−グロビンmRNAのわずかな増加、ならびに単一細胞および集団レベルでのHbF発現であっても検出しそして定量化するために感受性であるため、理想的である。 [00188]N−MEL細胞は、β−グロビン遺伝子座を含有する単一の損なわれていないヒト染色体11を含有するネズミ赤白血病細胞の派生物である。この赤血球細胞株は、通常、低レベルのマウスおよびヒトβ様グロビン遺伝子を発現するが、グロビン発現が非常に増加している時点に分化するよう誘導することも可能である。 [00189]Amaxaヌクレオフェクション系を用いて、N−MEL細胞に効率的に形質導入する。2μgのプラスミドDNA、キット「L」およびプログラムA20を用いて、25%の細胞が形質導入される。Bcl11a遺伝子を破壊するよう設計されたホーミングエンドヌクレアーゼを含有する、RSCS−MCS−PG−WZに基づくレンチウイルスベクターの20の感染効率(MOI)での感染は、およそ40%の形質導入されたN−MEL細胞を生じる。 [00190]Cel−1アッセイを用いて、ターゲティング化破壊の効率をアッセイする。ターゲット領域をPCRによって増幅し、熱変性させ、再アニーリングさせて、そして1塩基対と同程度に小さいミスマッチ領域から、バブルを効率的に切断する酵素Cel−1に曝露する。ターゲティングされた領域が任意の方式で突然変異されている場合、野生型および突然変異鎖のヘテロ二重鎖は切断され、そしてゲル電気泳動によって検出される。バルク集団の細胞に対してこのアッセイを用いて、突然変異効率を概算するか、またはフローサイトメトリーでソーティングした個々の細胞に対してこのアッセイを用いて、この場合、多数の細胞の分析は、突然変異頻度の正確な評価を提供する。 [00191]細胞のバルク集団由来のRNAに関してルーチンの定量的Taqman RT−PCR(qRT−PCR)アッセイを用いると、β−グロビン発現は、分化とともに、そして0.1%の□−グロビン/□−+β−グロビン比で、11倍誘導される。Bcl11aノックダウンベクターに感染した後、この比の30倍の増加が得られることが可能であり、したがって、この細胞培養系が、BCl11a仲介HbFサイレンシング経路の破壊の正確な読み取り値を提供することが立証される。 [00192]Bcl11a経路を改変すると、□−グロビンRNAの相対的な増加を導くが、グロビン遺伝子発現の減少を導く可能性があるという懸念のため、フローサイトメトリーを用いて、溶解される細胞の1000細胞プールをソーティングして、そして上記のqRT−PCRアッセイを実行してもよい。同じ数の細胞からのRNAを直接比較するため、グロビンRNA量のいかなる減少も、Ctの増加に反映され、β−および□−発現レベル両方の直接の測定値、ならびに□−グロビン/□−+β−グロビンの比を提供する。 [00193]操作後に改変された□−グロビン/□−+β−グロビン比を示す細胞の割合を決定し、そして観察される発現の変化範囲を決定するため、単一細胞アッセイを実行する。フローサイトメトリーにソーティングされた個々の細胞を、同時に数周期、□−およびβ−グロビンRNAのルーチンのRT−PCRに供し、そして試料を正確に分けることを可能にするために適切な材料が存在するようになったら、□−およびβ−グロビンを上述のようなqRT−PCRによって評価する。 [00194]最終的に、療法性であるのは、RNAではなくHbFタンパク質のレベルであり、したがって、単一細胞およびバルク細胞HbFアッセイを実行する。細胞溶解およびヘモグロビン専用カラム上での溶出後、HPLCを用いて、細胞のバルク集団をアッセイし、そしてHbAおよびHbA2に対するHbFの比を決定する。グルタルアルデヒド固定細胞を用い、界面活性剤で透過処理して、そしてHbF特異的抗体を添加した後、フローサイトメトリーで定量化して、HbFを発現している細胞の数を、形質導入前および形質導入後に比較する。 [00195]フローサイトメトリーによる単一細胞の単離後、修飾されたクローン細胞において突然変異の影響を評価する。上記アッセイを実行する。さらに、ターゲティング化突然変異が、Bcl11a抑制性複合体の結合を破壊することを示すため、細胞をホルムアルデヒド中で固定し、クロマチンを単離し、そして超音波処理によって剪断する。Bcl11a、GATA−1およびHDAC−1に対する商業的に入手可能な抗体を用いて、クロマチン免疫沈降(ChIP)を実行する。N−MEL細胞、ならびに赤血球分化CD34細胞におけるターゲット領域へのこれらのタンパク質の結合を以下に記載する。ターゲティング化破壊の後、結合の欠如を評価する。 実施例10臨床等級CD34+造血幹細胞[00196]正常ヒトドナー由来のCD34+細胞を、フィブロネクチンペプチドCH−296を含む培養プレートに接着させて、そして20のMOIで、8時間離れて2回、G−CSF、SCF、IL−3、IL−6、FLT−3、およびTPOを含有する培地中、上述のRSCS−MCS−PG−WZに基づくレンチウイルスベクターに感染させた。これは、〜80%の細胞感染を生じる。Douyのプロトコルを用いて、形質導入細胞を赤血球細胞に分化させる。Giarratanaら, Nat. Biotechnol. 23(1):69−74(2005)。上記のqRT−PCRアッセイは、4%の□−グロビン/□−+β−グロビン比を生じる。この低い比は、ゲノム編集に続く増加の高感度の検出を可能にする。 [00197]分化状態での改変を評価するため、CD34、CD71、およびグリコフォリンを含む多数の細胞表面マーカーを用いたフローサイトメトリー、ならびに細胞増殖およびライト−ギムザ染色後のサイトスピンの形態の評価を実行する。上述のようなバルク集団および単一細胞に対するCel−1アッセイによって、破壊効率を評価する。グロビン遺伝子発現およびHbFのさらなる評価を、1000細胞プールおよび個々の細胞に対するqRT−PCR、ならびにHPLCおよびF−細胞アッセイを用いて、上記のように実行する。ChIPを使用して、ターゲット領域へのBcl11a、GATA−1およびHDAC−1の結合を評価する。 [00198]ヒト細胞CD34+における臨床的有効性を評価するため、同じ方法を用いて、異常ヘモグロビン症患者由来のヒトHSCに形質導入し、そして培養する。正常細胞に関するルーチンの分析に加えて、さらなる疾患特異的評価を実行する。培養サラセミア細胞は、最小限の拡大、ヘモグロビン形成欠如、無効な赤血球形成の証拠、および正常細胞に比較して増加したアポトーシスを示す。これによって、ターゲティング後の発現および赤血球形成の改善の定量的評価が可能になる。同様に、低酸素条件下でのCD34細胞の赤血球子孫の鎌状化の度合いを評価する。異常ヘモグロビン症患者由来のこれらの形質導入CD34+細胞をNSGマウス内に移植し、その後、異常な赤血球形成のいくつかの特徴が再現され、ターゲティング化突然変異誘発の効果の評価が可能になる。 [00199]異常ヘモグロビン症のマウスモデルにおいて、in vivoで臨床的有効性を評価する。ネズミBcl11aのノックアウトは、導入遺伝子上にヒトβ−グロビン遺伝子座を含有するマウスにおいて、□−グロビンの劇的な用量非依存性増加を導き、そしてヒト化マウスモデルにおいて、鎌状表現型を寛解させる。どちらの系もグロビン遺伝子発現の分析が可能であるが、鎌状赤血球マウスでは、血液学的パラメータ、特にヘマトクリット、肝臓および肺病理、腎機能、ならびに脾臓サイズに特別に注意して、これらのマウスにおける表現型の改善の評価が可能である。これは、HbF含有細胞の数、HbF/S比および上記のものと類似の単一細胞アッセイにおける発現パターンに相関させることも可能である。 [00200]RNA分析に関して、分析のための十分なRNA含有網状赤血球を含有することから、総血液を用いる。単一細胞分析に関して、血液をチアゾールオレンジで染色し、そして赤い細胞の前方および側方散乱プロファイルを持つRNA含有細胞を収集する。赤血球寿命は、鎌状赤血球マウスにおいて有意に減少し、そして100%のRBCを伴い、NHS−ビオチンの腹腔内注射後に、寿命の改善を評価する。いくつかの時点で、1マイクロリットルの血液をストレプトアビジンFITCで染色し、そして標識RBCの残りのパーセントをフローサイトメトリーによって評価する。これを、本発明者らのBERK鎌状赤血球マウス由来のマウスで行う。Pasztyら, Science 278(5339):876−878(1997)。さらに、A25およびA85ヒトβ−グロビンYACを含有するマウスにおいて、□−グロビン/□−+β−グロビン比を評価する。Porcuら, Blood 90(11):4602−4609(1997)。 [00201]2つのサラセミアモデル、Th−3マウスヘテロ接合体(Yangら, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 92(25):11608−11612(1995))およびLCRの欠失に関してヘテロ接合体であるマウス(Benderら, Mol Cell. 5(2):387−393(2000))を評価する。各場合で、サラセミアマウスの分析の焦点は、ヘマトクリット、無効な赤血球形成評価、脾臓サイズ、鉄過負荷および臓器形態であろう。 異常ヘモグロビン症を治療するための組成物であって、ホーミングエンドヌクレアーゼ(HE)およびCRISPRエンドヌクレアーゼからなる群より選択される1またはそれより多いエンドヌクレアーゼ(単数または複数)を含み、 前記エンドヌクレアーゼ(単数または複数)が、各々、Bcl11aコード領域、Bcl11a遺伝子制御領域、成体ヒトβ−グロビン遺伝子座、胎性ヘモグロビン(HbF)サイレンシング領域、Bcl11a制御HbFサイレンシング領域、γ−グロビン遺伝子プロモーター、δ−グロビン遺伝子プロモーター、およびβ−グロビン遺伝子突然変異部位からなる群より選択されるヌクレオチド配列に結合する、前記組成物。 前記エンドヌクレアーゼが、前記Bcl11aコード領域または前記Bcl11a遺伝子制御領域に結合するHEである、請求項1の組成物。 前記HEが、I−HjeMIホーミングエンドヌクレアーゼ、I−CpaMIホーミングエンドヌクレアーゼ、およびI−OnuIホーミングエンドヌクレアーゼからなる群より選択される、請求項2の組成物。 前記HEが、I−HjeMIホーミングエンドヌクレアーゼである、請求項3の組成物。 前記I−HjeMIホーミングエンドヌクレアーゼが、配列番号28または配列番号29のヌクレオチド配列にコードされるアミノ酸配列内に、1またはそれより多いアミノ酸置換を含み、前記アミノ酸置換が、Y20、S22、T24、K26、G27、K28、T31、E33、G35、E37、S59、R61、R63、N64、E65、I66、M68、S70、R70、R72、R74、S109、N110、A121、S123、N124、N135、S137、S154、L158、N159、D162、D163、I166、I168、S168、D170、I193、L195、R202、K204、およびT206からなる群より選択される、請求項4の組成物。 前記I−HjeMIホーミングエンドヌクレアーゼが、配列番号31または配列番号32のヌクレオチド配列にコードされるアミノ酸配列を含む、請求項5の組成物。 前記I−HjeMIホーミングエンドヌクレアーゼが、配列番号33またはその変異体のアミノ酸配列を含み、前記I−HjeMIホーミングエンドヌクレアーゼが、Bcl11aコード領域に特異的に結合可能である、請求項6の組成物。 前記エンドヌクレアーゼがCRISPRエンドヌクレアーゼであり、前記CRISPRがRNAガイド鎖およびCas9エンドヌクレアーゼを含み、前記RNAガイド鎖が胎性ヘモグロビン(HbF)サイレンシング領域への前記Cas9エンドヌクレアーゼ結合を仲介する、請求項1の組成物。 前記RNAガイド鎖が、配列番号48、配列番号49、配列番号50、配列番号51、配列番号52、配列番号53、および配列番号54からなる群より選択されるヌクレオチド配列を含む、請求項8の組成物。 前記Cas9エンドヌクレアーゼが、配列番号37または機能性Cas9エンドヌクレアーゼをコードするその変異体のヌクレオチド配列にコードされる、請求項9の組成物。 前記エンドヌクレアーゼが、胎性ヘモグロビン(HbF)サイレンシング領域に特異的に結合可能なHEである、請求項1の組成物。 前記HEが、I−HjeMIホーミングエンドヌクレアーゼ、I−CpaMIホーミングエンドヌクレアーゼ、およびI−OnuIホーミングエンドヌクレアーゼからなる群より選択される、請求項11の組成物。 前記HEがI−OnuIホーミングエンドヌクレアーゼである、請求項12の組成物。 前記I−OnuIホーミングエンドヌクレアーゼが、前記胎性ヘモグロビン(HbF)サイレンシング領域に特異的に結合可能なI−OnuIホーミングエンドヌクレアーゼをコードする配列番号34のヌクレオチド配列の変異体にコードされるアミノ酸配列を含む、請求項13の組成物。 前記I−OnuIホーミングエンドヌクレアーゼが、配列番号34のヌクレオチド配列にコードされるアミノ酸配列内に1またはそれより多いアミノ酸置換を含み、前記アミノ酸置換が、L26、R28、R30、N32、S40、E42、G44、Q46、A70、S72、S78、K80、およびT82からなる群より選択される、請求項14の組成物。 前記I−OnuIホーミングエンドヌクレアーゼが、配列番号34のヌクレオチド配列にコードされるアミノ酸配列内に1またはそれより多いアミノ酸置換を含み、前記アミノ酸置換が、F182、N184、I186、S190、K191、Q197、V199、S201、K225、K227、D236、V238、およびT240からなる群より選択される、請求項15の組成物。 TALエフェクターヌクレアーゼ(TALEN)、TAL−HE、またはTREX2タンパク質をさらに含む、請求項1の組成物。 異常ヘモグロビン症の治療のための組成物であって、ホーミングエンドヌクレアーゼ(HE)およびCas9エンドヌクレアーゼからなる群より選択される1またはそれより多いエンドヌクレアーゼ(単数または複数)をコードする1またはそれより多いポリヌクレオチドを含み、 前記エンドヌクレアーゼ(単数または複数)の各々が、Bcl11aコード領域、Bcl11a遺伝子制御領域、成体ヒトβ−グロビン遺伝子座、胎性ヘモグロビン(HbF)サイレンシング領域、Bcl11a制御HbFサイレンシング領域、γ−グロビン遺伝子プロモーター、δ−グロビン遺伝子プロモーター、およびβ−グロビン遺伝子突然変異部位からなる群より選択されるヌクレオチド配列に結合する、前記組成物。 前記エンドヌクレアーゼが、前記Bcl11aコード領域または前記Bcl11a遺伝子制御領域に結合するHEである、請求項18の組成物。 前記HEが、I−HjeMIホーミングエンドヌクレアーゼ、I−CpaMIホーミングエンドヌクレアーゼ、およびI−OnuIホーミングエンドヌクレアーゼからなる群より選択される、請求項19の組成物。 前記HEがI−HjeMIホーミングエンドヌクレアーゼである、請求項20の組成物。 前記I−HjeMIホーミングエンドヌクレアーゼが、配列番号28または配列番号29のヌクレオチド配列にコードされるアミノ酸配列内に1またはそれより多いアミノ酸置換を含み、前記アミノ酸置換が、Y20、S22、T24、K26、G27、K28、T31、E33、G35、E37、S59、R61、R63、N64、E65、I66、M68、S70、R70、R72、R74、S109、N110、A121、S123、N124、N135、S137、S154、L158、N159、D162、D163、I166、I168、S168、D170、I193、L195、R202、K204、およびT206からなる群より選択される、請求項21の組成物。 前記I−HjeMIホーミングエンドヌクレアーゼが、配列番号31または配列番号32のヌクレオチド配列にコードされるアミノ酸配列を含む、請求項22の組成物。 前記I−HjeMIホーミングエンドヌクレアーゼが、配列番号33またはその変異体のアミノ酸配列を含み、前記I−HjeMIホーミングエンドヌクレアーゼが、Bcl11aコード領域に特異的に結合可能である、請求項23の組成物。 前記エンドヌクレアーゼがCRISPRエンドヌクレアーゼであり、前記CRISPRがRNAガイド鎖およびCas9エンドヌクレアーゼを含み、前記RNAガイド鎖が胎性ヘモグロビン(HbF)サイレンシング領域への前記Cas9エンドヌクレアーゼの結合を仲介する、請求項24の組成物。 前記RNAガイド鎖が、配列番号48、配列番号49、配列番号50、配列番号51、配列番号52、配列番号53、および配列番号54からなる群より選択されるヌクレオチド配列を含む、請求項25の組成物。 前記Cas9エンドヌクレアーゼが、配列番号37または機能性Cas9エンドヌクレアーゼをコードするその変異体のヌクレオチド配列にコードされる、請求項26の組成物。 前記エンドヌクレアーゼが、胎性ヘモグロビン(HbF)サイレンシング領域に特異的に結合可能なHEである、請求項18の組成物。 前記HEが、I−HjeMIホーミングエンドヌクレアーゼ、I−CpaMIホーミングエンドヌクレアーゼ、およびI−OnuIホーミングエンドヌクレアーゼからなる群より選択される、請求項28の組成物。 前記HEが、I−OnuIホーミングエンドヌクレアーゼである、請求項29の組成物。 前記I−OnuIホーミングエンドヌクレアーゼが、前記胎性ヘモグロビン(HbF)サイレンシング領域に特異的に結合可能なI−OnuIホーミングエンドヌクレアーゼをコードする配列番号34のヌクレオチド配列の変異体にコードされるアミノ酸配列を含む、請求項30の組成物。 前記I−OnuIホーミングエンドヌクレアーゼが、配列番号34のヌクレオチド配列にコードされるアミノ酸配列内に1またはそれより多いアミノ酸置換を含み、前記アミノ酸置換が、L26、R28、R30、N32、S40、E42、G44、Q46、A70、S72、S78、K80、およびT82からなる群より選択される、請求項31の組成物。 前記I−OnuIホーミングエンドヌクレアーゼが、配列番号34のヌクレオチド配列にコードされるアミノ酸配列内に1またはそれより多いアミノ酸置換を含み、前記アミノ酸置換が、F182、N184、I186、S190、K191、Q197、V199、S201、K225、K227、D236、V238、およびT240からなる群より選択される、請求項31の組成物。 TALエフェクターヌクレアーゼ(TALEN)、TALE−HE融合タンパク質、および/またはTREX2ヌクレアーゼをコードするポリヌクレオチドをさらに含む、請求項18の組成物。 ホーミングエンドヌクレアーゼ(HE)およびCRISPRエンドヌクレアーゼからなる群より選択されるエンドヌクレアーゼをコードするポリヌクレオチドであって、前記エンドヌクレアーゼが、Bcl11aコード領域、Bcl11a遺伝子制御領域、成体ヒトβ−グロビン遺伝子座、胎性ヘモグロビン(HbF)サイレンシング領域、Bcl11a制御HbFサイレンシング領域、γ−グロビン遺伝子プロモーター、δ−グロビン遺伝子プロモーター、およびβ−グロビン遺伝子突然変異部位からなる群より選択されるヌクレオチド配列に結合する、前記ポリヌクレオチド。 前記エンドヌクレアーゼが、前記Bcl11aコード領域または前記Bcl11a遺伝子制御領域に結合するHEである、請求項35のポリヌクレオチド。 前記HEが、I−HjeMIホーミングエンドヌクレアーゼ、I−CpaMIホーミングエンドヌクレアーゼ、およびI−OnuIホーミングエンドヌクレアーゼからなる群より選択される、請求項36のポリヌクレオチド。 前記HEが、I−HjeMIホーミングエンドヌクレアーゼである、請求項37のポリヌクレオチド。 前記I−HjeMIホーミングエンドヌクレアーゼが、配列番号28または配列番号29のヌクレオチド配列にコードされるアミノ酸配列内に、1またはそれより多いアミノ酸置換を含み、前記アミノ酸置換が、Y20、S22、T24、K26、G27、K28、T31、E33、G35、E37、S59、R61、R63、N64、E65、I66、M68、S70、R70、R72、R74、S109、N110、A121、S123、N124、N135、S137、S154、L158、N159、D162、D163、I166、I168、S168、D170、I193、L195、R202、K204、およびT206からなる群より選択される、請求項38のポリヌクレオチド。25. 前記I−HjeMIホーミングエンドヌクレアーゼが、配列番号31または配列番号32のヌクレオチド配列にコードされるアミノ酸配列を含む、請求項24のポリヌクレオチド。 前記I−HjeMIホーミングエンドヌクレアーゼが、配列番号33またはその変異体のアミノ酸配列を含み、前記I−HjeMIホーミングエンドヌクレアーゼが、Bcl11aコード領域に特異的に結合可能である、請求項39のポリヌクレオチド。 前記エンドヌクレアーゼが、胎性ヘモグロビン(HbF)サイレンシング領域に特異的に結合可能なHEである、請求項40のポリヌクレオチド。 前記HEが、I−HjeMIホーミングエンドヌクレアーゼ、I−CpaMIホーミングエンドヌクレアーゼ、およびI−OnuIホーミングエンドヌクレアーゼからなる群より選択される、請求項41のポリヌクレオチド。 前記HEがI−OnuIホーミングエンドヌクレアーゼである、請求項35のポリヌクレオチド。 前記I−OnuIホーミングエンドヌクレアーゼが、前記胎性ヘモグロビン(HbF)サイレンシング領域に特異的に結合可能なI−OnuIホーミングエンドヌクレアーゼをコードする配列番号34のヌクレオチド配列の変異体にコードされるアミノ酸配列を含む、請求項43のポリヌクレオチド。 前記I−OnuIホーミングエンドヌクレアーゼが、配列番号34のヌクレオチド配列にコードされるアミノ酸配列内に1またはそれより多いアミノ酸置換を含み、前記アミノ酸置換の各々が、L26、R28、R30、N32、S40、E42、G44、Q46、A70、S72、S78、K80、およびT82からなる群より選択される、請求項44のポリヌクレオチド。 前記I−OnuIホーミングエンドヌクレアーゼが、配列番号34のヌクレオチド配列にコードされるアミノ酸配列内に1またはそれより多いアミノ酸置換を含み、前記アミノ酸置換が、F182、N184、I186、S190、K191、Q197、V199、S201、K225、K227、D236、V238、およびT240からなる群より選択される、請求項45のポリヌクレオチド。 TALエフェクターヌクレアーゼ(TALEN)、TALE−HE融合タンパク質、および/またはTREX2ヌクレアーゼをコードするポリヌクレオチドをさらに含む、請求項35のポリヌクレオチド。 Cas9エンドヌクレアーゼの、Bcl11aコード領域、Bcl11a遺伝子制御領域、成体ヒトβ−グロビン遺伝子座、胎性ヘモグロビン(HbF)サイレンシング領域、Bcl11a制御HbFサイレンシング領域、γ−グロビン遺伝子プロモーター、δ−グロビン遺伝子プロモーター、およびβ−グロビン遺伝子突然変異部位への結合を仲介するRNAガイド鎖をコードするポリヌクレオチド。 前記RNAガイド鎖が、Cas9エンドヌクレアーゼの胎性ヘモグロビン(HbF)サイレンシング領域への特異的結合を仲介する、請求項48のポリヌクレオチド。 前記胎性ヘモグロビン(HbF)サイレンシング領域が、配列番号1のヌクレオチド配列を含む、請求項49のポリヌクレオチド。 前記胎性ヘモグロビン(HbF)サイレンシング領域が、配列番号2のヌクレオチド配列を含む、請求項50のポリヌクレオチド。 前記RNAガイド鎖が、配列番号48、配列番号49、配列番号50、配列番号51、配列番号52、配列番号53、および配列番号54からなる群より選択されるヌクレオチド配列を含む、請求項50または請求項51のポリヌクレオチド。 ベクター、ならびにホーミングエンドヌクレアーゼ(HE)およびCRISPRエンドヌクレアーゼからなる群より選択されるエンドヌクレアーゼをコードするポリヌクレオチドを含むベクター系であって、前記エンドヌクレアーゼが、Bcl11aコード領域、Bcl11a遺伝子制御領域、成体ヒトβ−グロビン遺伝子座、胎性ヘモグロビン(HbF)サイレンシング領域、Bcl11a制御HbFサイレンシング領域、γ−グロビン遺伝子プロモーター、δ−グロビン遺伝子プロモーター、およびβ−グロビン遺伝子突然変異部位からなる群より選択されるヌクレオチド配列に結合する、前記ベクター系。 前記ベクターが、AAV6、修飾アデノウイルスベクター、組込み不全レンチウイルスベクター(IDLV)、および組込み不全泡沫状ウイルスベクター(IDFV)からなる群より選択される、請求項53のベクター系。 前記エンドヌクレアーゼが、前記Bcl11aコード領域または前記Bcl11a遺伝子制御領域に結合するHEである、請求項53のベクター系。 前記HEが、I−HjeMIホーミングエンドヌクレアーゼ、I−CpaMIホーミングエンドヌクレアーゼ、およびI−OnuIホーミングエンドヌクレアーゼからなる群より選択される、請求項55のベクター系。 前記HEが、I−HjeMIホーミングエンドヌクレアーゼである、請求項56のベクター系。 前記I−HjeMIホーミングエンドヌクレアーゼが、配列番号28または配列番号29のヌクレオチド配列にコードされるアミノ酸配列内に、1またはそれより多いアミノ酸置換を含み、前記アミノ酸置換が、Y20、S22、T24、K26、G27、K28、T31、E33、G35、E37、S59、R61、R63、N64、E65、I66、M68、S70、R70、R72、R74、S109、N110、A121、S123、N124、N135、S137、S154、L158、N159、D162、D163、I166、I168、S168、D170、I193、L195、R202、K204、およびT206からなる群より選択される、請求項57のベクター系。25.前記I−HjeMIホーミングエンドヌクレアーゼが、配列番号31または配列番号32のヌクレオチド配列にコードされるアミノ酸配列を含む、請求項24のポリヌクレオチド。 前記I−HjeMIホーミングエンドヌクレアーゼが、配列番号31または配列番号32のヌクレオチド配列にコードされるアミノ酸配列を含む、請求項58のベクター系。 前記I−HjeMIホーミングエンドヌクレアーゼが、配列番号33またはその変異体のアミノ酸配列を含み、前記I−HjeMIホーミングエンドヌクレアーゼが、Bcl11aコード領域に特異的に結合可能である、請求項59のベクター系。 前記エンドヌクレアーゼが、胎性ヘモグロビン(HbF)サイレンシング領域に特異的に結合可能なHEである、請求項53のベクター系。 前記HEが、I−HjeMIホーミングエンドヌクレアーゼ、I−CpaMIホーミングエンドヌクレアーゼ、およびI−OnuIホーミングエンドヌクレアーゼからなる群より選択される、請求項61のベクター系。 前記HEがI−OnuIホーミングエンドヌクレアーゼである、請求項62のベクター系。 前記I−OnuIホーミングエンドヌクレアーゼが、前記胎性ヘモグロビン(HbF)サイレンシング領域に特異的に結合可能なI−OnuIホーミングエンドヌクレアーゼをコードする配列番号34のヌクレオチド配列の変異体にコードされるアミノ酸配列を含む、請求項63のベクター系。 前記I−OnuIホーミングエンドヌクレアーゼが、配列番号34のヌクレオチド配列にコードされるアミノ酸配列内に1またはそれより多いアミノ酸置換を含み、前記アミノ酸置換が、L26、R28、R30、N32、S40、E42、G44、Q46、A70、S72、S78、K80、およびT82からなる群より選択される、請求項64のベクター系。 前記I−OnuIホーミングエンドヌクレアーゼが、配列番号34のヌクレオチド配列にコードされるアミノ酸配列内に1またはそれより多いアミノ酸置換を含み、前記アミノ酸置換が、F182、N184、I186、S190、K191、Q197、V199、S201、K225、K227、D236、V238、およびT240からなる群より選択される、請求項64のベクター系。 TALエフェクターヌクレアーゼ(TALEN)、TALE−HE融合タンパク質、および/またはTREX2ヌクレアーゼをコードするヌクレオチドをさらに含む、請求項53のベクター系。 ベクター、ならびにBcl11aコード領域、Bcl11a遺伝子制御領域、成体ヒトβ−グロビン遺伝子座、胎性ヘモグロビン(HbF)サイレンシング領域、Bcl11a制御HbFサイレンシング領域、γ−グロビン遺伝子プロモーター、δ−グロビン遺伝子プロモーター、およびβ−グロビン遺伝子突然変異部位からなる群より選択されるヌクレオチド配列へのCas9エンドヌクレアーゼの結合を仲介するRNAガイド鎖をコードするポリヌクレオチドを含む、ベクター系。 成体ヒトβ−グロビン遺伝子座内の前記ヌクレオチド配列が、胎性ヘモグロビン(HbF)サイレンシング領域である、請求項68のベクター系。 前記胎性ヘモグロビン(HbF)サイレンシング領域が、配列番号1のヌクレオチド配列を含む、請求項69のベクター系。 前記胎性ヘモグロビン(HbF)サイレンシング領域が、配列番号2のヌクレオチド配列を含む、請求項69のベクター系。 前記RNAガイド鎖が、配列番号48、配列番号49、配列番号50、配列番号51、配列番号52、配列番号53、および配列番号54からなる群より選択されるヌクレオチド配列を含む、請求項70または請求項71のベクター系。 ホーミングエンドヌクレアーゼ(HE)およびCRISPRエンドヌクレアーゼからなる群より選択される1またはそれより多いエンドヌクレアーゼ(単数または複数)をコードするポリヌクレオチドを含む細胞であって、前記エンドヌクレアーゼ(単数または複数)の各々が、Bcl11aコード領域、Bcl11a遺伝子制御領域、成体ヒトβ−グロビン遺伝子座、胎性ヘモグロビン(HbF)サイレンシング領域、Bcl11a制御HbFサイレンシング領域、γ−グロビン遺伝子プロモーター、δ−グロビン遺伝子プロモーター、およびβ−グロビン遺伝子突然変異部位からなる群より選択されるヌクレオチド配列に結合する、前記細胞。 前記細胞が幹細胞である、請求項73の細胞。 前記細胞が、造血幹細胞(HSC)、人工多能性幹細胞(iPSC)、胚性幹(ES)細胞、および赤血球前駆細胞からなる群より選択される幹細胞である、請求項73の細胞。 前記細胞が、造血幹細胞(HSC)、人工多能性幹細胞(iPSC)、および赤血球前駆細胞からなる群より選択される幹細胞である、請求項73の細胞。 前記エンドヌクレアーゼが、前記Bcl11aコード領域に特異的に結合可能なHEである、請求項73の細胞。 前記HEが、I−HjeMIホーミングエンドヌクレアーゼ、I−CpaMIホーミングエンドヌクレアーゼ、およびI−OnuIホーミングエンドヌクレアーゼからなる群より選択される、請求項77の細胞。 前記HEが、I−HjeMIホーミングエンドヌクレアーゼである、請求項78の細胞。 前記I−HjeMIホーミングエンドヌクレアーゼが、配列番号28または配列番号29のヌクレオチド配列にコードされるアミノ酸配列内に、1またはそれより多いアミノ酸置換を含み、前記アミノ酸置換が、Y20、S22、T24、K26、G27、K28、T31、E33、G35、E37、S59、R61、R63、N64、E65、I66、M68、S70、R70、R72、R74、S109、N110、A121、S123、N124、N135、S137、S154、L158、N159、D162、D163、I166、I168、S168、D170、I193、L195、R202、K204、およびT206からなる群より選択される、請求項79の細胞。25。 前記I−HjeMIホーミングエンドヌクレアーゼが、配列番号31または配列番号32のヌクレオチド配列にコードされるアミノ酸配列を含む、請求項80の細胞。 前記I−HjeMIホーミングエンドヌクレアーゼが、配列番号33またはその変異体のアミノ酸配列を含み、前記I−HjeMIホーミングエンドヌクレアーゼが、Bcl11aコード領域に特異的に結合可能である、請求項81の細胞。 前記CRISPRエンドヌクレアーゼがCas9エンドヌクレアーゼおよびRNAガイド鎖を含み、前記RNAガイド鎖が胎性ヘモグロビン(HbF)サイレンシング領域への前記Cas9エンドヌクレアーゼの結合を仲介する、請求項73の細胞。 前記RNAガイド鎖が、配列番号48、配列番号49、配列番号50、配列番号51、配列番号52、配列番号53、および配列番号54からなる群より選択されるヌクレオチド配列を含む、請求項83の細胞。 前記Cas9エンドヌクレアーゼが、配列番号37または機能性Cas9エンドヌクレアーゼをコードするその変異体のヌクレオチド配列にコードされる、請求項84の細胞。 前記エンドヌクレアーゼが、胎性ヘモグロビン(HbF)サイレンシング領域に結合するHEである、請求項73の細胞。 前記HEが、I−HjeMIホーミングエンドヌクレアーゼ、I−CpaMIホーミングエンドヌクレアーゼ、およびI−OnuIホーミングエンドヌクレアーゼからなる群より選択される、請求項86の細胞。 前記HEが、I−OnuIホーミングエンドヌクレアーゼである、請求項87の細胞。 前記I−OnuIホーミングエンドヌクレアーゼが、前記胎性ヘモグロビン(HbF)サイレンシング領域に特異的に結合可能なI−OnuIホーミングエンドヌクレアーゼをコードする配列番号34のヌクレオチド配列の変異体にコードされるアミノ酸配列を含む、請求項88の細胞。 前記I−OnuIホーミングエンドヌクレアーゼが、配列番号34のヌクレオチド配列にコードされるアミノ酸配列内に1またはそれより多いアミノ酸置換を含み、前記アミノ酸置換が、L26、R28、R30、N32、S40、E42、G44、Q46、A70、S72、S78、K80、およびT82からなる群より選択される、請求項89の細胞。 前記I−OnuIホーミングエンドヌクレアーゼが、配列番号34のヌクレオチド配列にコードされるアミノ酸配列内に1またはそれより多いアミノ酸置換を含み、前記アミノ酸置換が、F182、N184、I186、S190、K191、Q197、V199、S201、K225、K227、D236、V238、およびT240からなる群より選択される、請求項89の細胞。 TALエフェクターヌクレアーゼ(TALEN)、TALE−HE融合タンパク質、および/またはTREX2ヌクレアーゼをコードするポリヌクレオチドをさらに含む、請求項73の細胞。 ゲノム編集幹細胞であって、ホーミングエンドヌクレアーゼおよび修正テンプレートの導入によって生成される、前記ゲノム編集幹細胞。 前記修正テンプレートが、グロビン遺伝子座内の重要な制御配列またはコード配列の修飾を可能にするヌクレオチド配列を含む、請求項93のゲノム編集幹細胞。 前記幹細胞が、造血幹細胞(HSC)、人工多能性幹細胞(iPSC)、胚性幹(ES)細胞、および赤血球前駆細胞からなる群より選択される、請求項93のゲノム編集幹細胞。 前記幹細胞が、造血幹細胞(HSC)、人工多能性幹細胞(iPSC)、および赤血球前駆細胞からなる群より選択される、請求項93のゲノム編集幹細胞。 サラセミアおよび鎌状赤血球症などの異常ヘモグロビン症の治療のための組成物および方法を提供する。組成物および方法には:(a)Bcl11aコード領域を破壊し;(b)Bcl11a遺伝子制御領域を破壊し;(c)成体ヒトβ−グロビン遺伝子座を修飾し;(d)HbFサイレンシングDNA制御要素または経路、例えばBcl11aが制御するHbFサイレンシング領域を破壊し;(e)1またはそれより多いγ−グロビン遺伝子プロモーター(単数または複数)を突然変異させて、γ−グロビン遺伝子の発現増加を達成し;(f)1またはそれより多いδ−グロビン遺伝子プロモーター(単数または複数)を突然変異させて、δ−グロビン遺伝子の発現増加を達成し;そして/または(g)1またはそれより多いβ−グロビン遺伝子突然変異(単数または複数)を修正するため、1またはそれより多いエンドヌクレアーゼ(単数または複数)またはエンドヌクレアーゼ融合タンパク質(単数または複数)が含まれ、1またはそれより多いホーミングエンドヌクレアーゼ(単数または複数)および/またはホーミングエンドヌクレアーゼ融合タンパク質(単数または複数)および/またはCRISPRエンドヌクレアーゼ(単数または複数)および/またはCRISPRエンドヌクレアーゼ融合タンパク質(単数または複数)が含まれる。 配列表20141104A16333全文3 ホーミングエンドヌクレアーゼ(HE)およびCRISPRエンドヌクレアーゼからなる群より選択されるエンドヌクレアーゼをコードするポリヌクレオチドであって、前記エンドヌクレアーゼが、Bcl11aコード領域、Bcl11a遺伝子制御領域、成体ヒトβ−グロビン遺伝子座、胎性ヘモグロビン(HbF)サイレンシング領域、Bcl11a制御HbFサイレンシング領域、γ−グロビン遺伝子プロモーター、δ−グロビン遺伝子プロモーター、およびβ−グロビン遺伝子突然変異部位からなる群より選択されるヌクレオチド配列に結合する、前記ポリヌクレオチド。 エンドヌクレアーゼが、(a)前記Bcl11aコード領域または前記Bcl11a遺伝子制御領域に結合するHE;(b)I−Onu1ホーミングエンドヌクレアーゼ、I−HjeMIホーミングエンドヌクレアーゼ、およびI−CpaMIホーミングエンドヌクレアーゼからなる群より選択されるHE;(c)胎性ヘモグロビン(HbF)サイレンシング領域に特異的に結合可能なHE;(d)I−Onu1ホーミングエンドヌクレアーゼ;(e)胎性ヘモグロビン(HbF)サイレンシング領域に特異的に結合可能なI−Onu1ホーミングエンドヌクレアーゼをコードする配列番号34のヌクレオチド配列の変異体にコードされるアミノ酸配列を含むI−Onu1ホーミングエンドヌクレアーゼ;(f)配列番号34のヌクレオチド配列にコードされるアミノ酸配列内に1またはそれより多いアミノ酸置換を含み、前記アミノ酸置換の各々が、L26、R28、R30、N32、S40、E42、G44、Q46、A70、S72、S78、K80、およびT82からなる群より選択される、I−Onu1ホーミングエンドヌクレアーゼ;または(g)配列番号34のヌクレオチド配列にコードされるアミノ酸配列内に1またはそれより多いアミノ酸置換を含み、前記アミノ酸置換が、F182、N184、I186、S190、K191、Q197、V199、S201、K225、K227、D236、V238、およびT240からなる群より選択される、I−Onu1ホーミングエンドヌクレアーゼである、請求項1のポリヌクレオチド。 TALエフェクターヌクレアーゼ(TALEN)、TALE−HE融合タンパク質、および/またはTREX2ヌクレアーゼをコードするポリヌクレオチドをさらに含む、請求項1または2のポリヌクレオチド。 ベクター、ならびに以下の(a)または(b)のポリヌクレオチドを含むベクター系:(a)請求項1から3のいずれかに記載のポリヌクレオチド;(b)Cas9エンドヌクレアーゼをコードするポリヌクレオチドであって、ここで、該Cas9エンドヌクレアーゼは配列番号37または機能性Cas9エンドヌクレアーゼをコードするその変異体のヌクレオチド配列、および胎性ヘモグロビン(HbF)サイレンシング領域へのCas9エンドヌクレアーゼの結合を仲介するRNAガイド鎖を含んでいてもよく、ここで、該RNAガイド鎖は配列番号48、配列番号49、配列番号50、配列番号51、配列番号52、配列番号53、および配列番号54からなる群より選択されるヌクレオチド配列を含んでいてもよい、前記Cas9エンドヌクレアーゼをコードするポリヌクレオチド。 前記ベクターが、AAV6、修飾アデノウイルスベクター、組込み不全レンチウイルスベクター(IDLV)、および組込み不全泡沫状ウイルスベクター(IDFV)からなる群より選択される、請求項4のベクター系。 請求項1から3のいずれかに記載のポリヌクレオチドによってコードされるポリペピチド。 以下の(a)、(b)または(c):(a)請求項1から3のいずれかに記載のポリヌクレオチド;(b)請求項4または5に記載のベクター系;(c)請求項6に記載のポリペプチドを含む、異常ヘモグロビン症を治療するための組成物。 請求項1から3のいずれかに記載のポリヌクレオチド、請求項4または5に記載のベクター系、または請求項6に記載のポリペプチドを含む細胞。 前記細胞が(a)幹細胞;(b)造血幹細胞(HSC)、人工多能性幹細胞(iPSC)、胚性幹(ES)細胞、および赤血球前駆細胞からなる群より選択される幹細胞;または(c)造血幹細胞(HSC)、人工多能性幹細胞(iPSC)、および赤血球前駆細胞からなる群より選択される幹細胞である、請求項8の細胞。 ゲノム編集幹細胞であって、ホーミングエンドヌクレアーゼおよび修正テンプレートの導入によって生成される、前記ゲノム編集幹細胞。 ホーミングエンドヌクレアーゼが(a)前記Bcl11aコード領域またはBcl11a遺伝子制御領域に結合するHE;(b)I−Onu1ホーミングエンドヌクレアーゼ、I−HjeMIホーミングエンドヌクレアーゼ、およびI−CpaMIホーミングエンドヌクレアーゼからなる群より選択されるHE;(c)胎性ヘモグロビン(HbF)サイレンシング領域に特異的に結合可能なHE;(d)I−Onu1ホーミングエンドヌクレアーゼ;(e)胎性ヘモグロビン(HbF)サイレンシング領域に特異的に結合可能なI−Onu1ホーミングエンドヌクレアーゼをコードする配列番号34のヌクレオチド配列の変異体にコードされるアミノ酸配列を含むI−Onu1ホーミングエンドヌクレアーゼ;(f)配列番号34のヌクレオチド配列にコードされるアミノ酸配列内に1またはそれより多いアミノ酸置換を含み、前記アミノ酸置換の各々が、L26、R28、R30、N32、S40、E42、G44、Q46、A70、S72、S78、K80、およびT82からなる群より選択される、I−Onu1ホーミングエンドヌクレアーゼ;または(g)配列番号34のヌクレオチド配列にコードされるアミノ酸配列内に1またはそれより多いアミノ酸置換を含み、前記アミノ酸置換が、F182、N184、I186、S190、K191、Q197、V199、S201、K225、K227、D236、V238、およびT240からなる群より選択される、I−Onu1ホーミングエンドヌクレアーゼである、請求項10に記載のゲノム編集幹細胞。 ホーミングエンドヌクレアーゼが、TALエフェクター(TALE)DNA結合ドメインおよび/またはTREX2ヌクレアーゼドメインに融合されている、請求項10または11に記載のゲノム編集幹細胞。 請求項10から12のいずれかに記載のゲノム編集幹細胞であって、(a)修正テンプレートが、グロビン遺伝子座内の重要な制御配列またはコード配列の修飾を可能にするヌクレオチド配列を含む;(b)幹細胞が、造血幹細胞(HSC)、人工多能性幹細胞(iPSC)、胚性幹(ES)細胞、および赤血球前駆細胞からなる群より選択される;または(c)幹細胞が、造血幹細胞(HSC)、人工多能性幹細胞(iPSC)、および赤血球前駆細胞からなる群より選択される、前記ゲノム編集幹細胞。


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