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タイトル:公表特許公報(A)_デオキシコール酸ナトリウムを含有しないホスファチジルコリン含有注射剤組成物及びこれの製造方法(Injectablecompositionofphosphatidylcholinedevoidofsodiumdeoxycholateandmanufacturingmethodthereof)
出願番号:2014556477
年次:2015
IPC分類:A61K 31/685,A61P 1/16,A61P 3/06,A61K 9/08,A61K 47/10,A61K 47/34


特許情報キャッシュ

リー、キ テク リー、ジョン ヒョク ソン、イルギョン JP 2015506381 公表特許公報(A) 20150302 2014556477 20130207 デオキシコール酸ナトリウムを含有しないホスファチジルコリン含有注射剤組成物及びこれの製造方法(Injectablecompositionofphosphatidylcholinedevoidofsodiumdeoxycholateandmanufacturingmethodthereof) アミ ファーム カンパニー リミテッド 514200453 渡辺 喜平 100086759 岡野 功 100109128 田中 有子 100112977 森島 なるみ 100100608 中山 真一 100142099 今井 哲也 100152803 生富 成一 100154184 平山 晃二 100123548 山崎 信一郎 100169535 リー、キ テク リー、ジョン ヒョク ソン、イルギョン KR 10-2012-0012360 20120207 A61K 31/685 20060101AFI20150203BHJP A61P 1/16 20060101ALI20150203BHJP A61P 3/06 20060101ALI20150203BHJP A61K 9/08 20060101ALI20150203BHJP A61K 47/10 20060101ALI20150203BHJP A61K 47/34 20060101ALI20150203BHJP JPA61K31/685A61P1/16A61P3/06A61K9/08A61K47/10A61K47/34 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC,VN KR2013000999 20130207 WO2013119059 20130815 14 20140909 4C076 4C086 4C076AA12 4C076BB11 4C076BB13 4C076BB15 4C076BB16 4C076CC16 4C076CC21 4C076DD09F 4C076DD37E 4C076DD37T 4C076DD38E 4C076DD38Q 4C076DD38R 4C076DD38X 4C076FF12 4C076FF15 4C076FF16 4C076FF39 4C076FF57 4C076GG45 4C076GG46 4C086AA01 4C086AA02 4C086DA41 4C086MA03 4C086MA05 4C086MA17 4C086MA66 4C086NA02 4C086NA03 4C086ZA75 4C086ZC33 本発明は、デオキシコレール酸ナトリウムを含有しないホスファチジルコリン含有注射剤組成物及びこれの製造方法に関する。より詳細には、ホスファチジルコリン;エタノール;プロピレングリコール及び/又はベンジルアルコール;ポリソルベート(polysorbate)及び/又はマクロゴール15ヒドロキシステアレート(Macrogol 15 Hydroxystearate);及び残量の水又は注射用水からなるホスファチジルコリン含有注射剤組成物及びこれの製造方法に関するものである。 ホスファチジルコリンは、頭部基にコリンを含む燐脂質の一種である。動物、植物、酵母、及びカビ類に広く存在しており、レシチンとも称される。哺乳動物の膜構成燐脂質として、主に脳髄、神経、血球、卵黄などに含まれている。植物では大豆、ヒマワリの実、小麦の胚芽などに含まれている。一般的に、グリセロールの1番位置には飽和脂肪酸、2番位置には不飽和脂肪酸が結合されているものが多い。 通常、肝細胞は要求に応じて燐脂質を合成するが、肝細胞が損傷すると、短時間のうちに、膜構造を復旧させるために必要な燐脂質の要求増加量を合成できなくなる。 一般的に、アルブミンと凝固因子の生産量が減少すると、損傷した肝臓の燐脂質合成能力は顕著に低減し、新たに燐脂質を生産するために、多くのエネルギーが消耗される。 肝疾患による燐脂質の損失は、肝細胞膜と小器官の損傷をもたらし、これは再び回復し難い。これを防ぐために、高純度のホスファチジルコリンを体外から供給し、損傷した肝細胞の膜構造にホスファチジルコリンを結合させて、膜を再生させる方法が開発された。ホスファチジルコリンの供給により、膜を通じた栄養分と電解質の交換が増加し、燐脂質依存性の酵素の活性も増加して、高エネルギーのホスファチジルコリン分子は、肝細胞と結合して、膜システムの構造的で機能的な要素を生産するのに必要な多量のエネルギーを肝臓に供給する負担を軽減させる。上記事実に基づいて、高純度のホスファチジルコリンを含有する注射剤が開発され、肝硬変による肝性昏睡補助剤として使用されている。 最近、ホスファチジルコリンが局所に蓄積された脂肪を分解する効果を有するという報告がなされ、美容目的で局所脂肪分解を行うために、ホスファチジルコリンを含有する注射剤が広く使用されている。 薬剤を注射するには、まず可溶化が必要である。可溶化させずに注射すると、単一分子に容易に分解しにくくなり、求める血中濃度が得られなくなる。さらに、可溶化していない薬剤は血管を塞いで血栓を生じることがあるため、これらを注射剤として使用することはない。静脈注射時に薬剤が可溶化されずに懸濁した沈澱を形成すると、大きい粒子が血管を塞ぐようになり、塞がれた血管周辺の組織又は血流に影響を及ぼすか、組織に損傷や刺激を与えるようになり、痒み、痛症、発赤などが発生するようになる。甚だしい場合には塞栓が生じることもある。 ホスファチジルコリンは燐脂質成分であって、水溶性の注射溶媒に容易に溶解しない特性がある。従って、これを可溶化するために、デオキシコール酸ナトリウムを添加する。 しかしながら、デオキシコール酸ナトリウムは胆汁酸の主成分であるため、小腸外の身体組織に適用する場合、安全性に問題がある。さらに、それは大腸癌の原因にもなる。このため、静脈(又は皮下)注射剤のための薬剤の可溶化剤の活性成分として使用するには不適切な点がある。 従って、デオキシコール酸ナトリウムを添加することなく、ホスファチジルコリンを溶解して、静脈(又は皮下)注射が可能な状態のホスファチジルコリン含有注射剤組成物の開発が早急に求められている。 そこで、本発明者等は、デオキシコール酸ナトリウムが添加されないながらもホスファチジルコリンが安定的に溶解されている注射剤組成物に関して研究を重ねて行く中で、一部の可溶化剤と溶解補助剤の組合せにより、ホスファチジルコリンがデオキシコール酸ナトリウム無しでも溶解することを確認して、本発明を完成した。 従って、本発明の目的は、ホスファチジルコリン2乃至10%(w/v); エタノール5乃至40%(w/v); プロピレングリコール及びベンジルアルコールからなる群より一つ以上選ばれたもの2乃至20%(w/v); ポリソルベート(polysorbate)及びマクロゴール15ヒドロキシステアレート(macrogol 15 hydroxystearate)からなる群より一つ以上選ばれたもの1乃至30%(w/v);及び 残量の水又は注射用水からなるホスファチジルコリン含有注射剤組成物を提供することである。 本発明の他の目的は、 (a)ホスファチジルコリンと、ポリソルベート及びマクロゴール15ヒドロキシステアレートからなる群より選ばれた一つ以上とをエタノールに入れて完全に溶解するまで撹拌する段階;及び (b)プロピレングリコール及びベンジルアルコールからなる群より一つ以上選ばれたものを入れて、 (c)水又は注射用水で全体の量を合わせて均質に混合する段階;を含むホスファチジルコリン含有注射剤組成物の製造方法を提供することである。 前記のような目的を達成するために、本発明は、 ホスファチジルコリン2乃至10%(w/v); エタノール5乃至40%(w/v); プロピレングリコール及びベンジルアルコールからなる群より一つ以上選ばれたもの2乃至20%(w/v); ポリソルベート及びマクロゴール15ヒドロキシステアレートからなる群より一つ以上選ばれたもの1乃至30%(w/v);及び 残量の水又は注射用水からなるホスファチジルコリン含有注射剤組成物を提供する。 本発明の他の目的を達成するために、本発明は、 (a)ホスファチジルコリンと、ポリソルベート及びマクロゴール15ヒドロキシステアレートからなる群より選ばれた一つ以上とをエタノールに入れて完全に溶解するまで撹拌する段階;及び (b)プロピレングリコール及びベンジルアルコールからなる群より一つ以上選ばれたものを入れて、 (c)水又は注射用水で全体の量を合わせて均質に混合する段階;を含むホスファチジルコリン含有注射剤組成物の製造方法を提供する。 以下、本発明を詳細に説明する。 本発明の注射剤組成物は ホスファチジルコリン2乃至10%(w/v); エタノール5乃至40%(w/v); プロピレングリコール及びベンジルアルコールからなる群より一つ以上選ばれたもの2乃至20%(w/v); ポリソルベート及びマクロゴール15ヒドロキシステアレートからなる群より一つ以上選ばれたもの1乃至30%(w/v);及び 残量の水又は注射用水からなることを特徴とする。 注射剤は、主薬とその他の添加剤を注射用蒸留水に溶解して、この溶液を細菌濾過器でろ過して無菌処理したあと、無菌状態でバイアルに充填後密封する。本発明で注射剤組成物に含まれるホスファチジルコリンは、レシチンとも称される最も代表的な燐脂肪質であり、卵黄では全体の燐脂肪質の約70%、ヒトの血清では全体の燐脂肪質の約60%を占めている。 大豆のレシチンは、普通のレシチンとは異なり、2個の脂肪酸とリノレン酸からなる成分を含むので、脂質代謝改善効果がある。本発明でホスファチジルコリンの濃度は、好ましくは、2乃至10%(w/v)である。 本発明で注射用組成物に含まれるエタノールは、鎖状の炭化水素の内、炭素数が2個のエタンから水素元素一つがヒドロキシ基に置換されたアルコールである。本発明でエタノールの濃度は、好ましくは5乃至40%(w/v)である。 本発明で注射剤組成物に含まれるプロピレングリコールは、グリセリンと類似する無色透明の液体であり、湿気を吸収する水分保有効果と若干の防腐効果があるため、品質保護維持剤として使用される。さらに、本発明で注射用組成物に含まれるベンジルアルコールは、芳香族アルコール類中の一つであり、無色透明な液体で、特有の香りと強烈な刺激的な味があって、溶解剤及び抽出剤、揮発保留剤、食品着香料などに使用される。本発明でプロピレングリコール及び/又はベンジルアルコールの濃度は、好ましくは2乃至20%(w/v)である。 本発明で注射用組成物に含まれるマクロゴール15ヒドロキシステアレートは、非イオン性界面活性剤として化学的安定性が良く、毒性が低く、水、エタノール及び2−プロパノールに良く溶ける。本発明で注射用組成物に含まれるポリソルベートは、ソルビタン脂肪酸エステルにエチレンオキシドを結合させたポリオキシエチレン高級脂肪族アルコールであり、非イオン性の界面活性剤の一種である。ポリオキシエチレン基の数及び脂肪酸の差によって、多くの種類があり、ポリソルベート20(モノラウリン酸)、40(モノパルミチン酸)、60(モノステアリン酸)、65(トリステアリン酸)、80(モノオレイン酸)がある。本発明のポリソルベートは、前記ポリソルベートの内、好ましくはポリソルベート80である。本発明でポリソルベート及び/又はマクロゴール15ヒドロキシステアレートの濃度は、好ましくは1乃至30%(w/v)である。 本発明で注射用組成物に含まれる注射用水は、固形注射剤の溶解や、水溶性注射剤を希釈するために製造された蒸留水である。具体例としては、グルコース注射、キシリトール注射、D−マンニトール注射、プロックトス注射、生理食塩水、デキストラン40注射、デキストラン70注射、アミノ酸注射、リンゲル液、ラクト酸リンゲル液などがある。 本発明の注射剤組成物は、デオキシコール酸を含有しないホスファチジルコリン含有注射剤組成物であり、大腸癌のリスクを生じない。 前記のようなホスファチジルコリン;エタノール;プロピレングリコール及び/又はベンジルアルコール;ポリソルベート及び/又はマクロゴール15ヒドロキシステアレート;及び残量の水又は注射用水からなるホスファチジルコリン含有注射剤組成物は、本発明によって初めて提供されるものである。 一方、本発明は、 (a)ホスファチジルコリンと、ポリソルベート及びマクロゴール15ヒドロキシステアレートからなる群より選ばれた一つ以上とをエタノールに入れて完全に溶解されるまで撹拌する段階;及び (b)プロピレングリコール及びベンジルアルコールからなる群より一つ以上選ばれたものを入れて、 (c)水又は注射用水で全体の量を合わせて均質に混合する段階;を含むことを特徴とする。 前記注射剤組成物の製造方法を下記に段階別に説明する。 (a)段階;ホスファチジルコリンと、ポリソルベート及びマクロゴール15ヒドロキシステアレートからなる群より選ばれた一つ以上とをエタノールに添加(さらに、混合(懸濁又はブランディング))する段階 前記(a)段階のホスファチジルコリン、ポリソルベート、マクロゴール15ヒドロキシステアレートの成分は前記の説明と同一である。好ましくは(a)段階の成分を混合したあと、混合物を透明な溶液になるまで撹拌する。 前記(a)段階は、ホスファチジルコリン2乃至10%(w/v)と、ポリソルベート及びマクロゴール15ヒドロキシステアレートからなる群より一つ以上選ばれたもの2乃至20%(w/v)とを、エタノール5乃至40%(w/v)に添加する段階を含むことができる。 (b)段階;(a)段階の混合物に、プロピレングリコール及びベンジルアルコールからなる群より一つ以上選ばれたものを添加(さらに、混合(懸濁又はブランディング))する段階 前記(b)段階のプロピレングリコール、ベンジルアルコール、注射用水の成分は、前記の説明と同一である。 前記(b)段階は、(a)段階の混合物に、プロピレングリコール及びベンジルアルコールからなる群より一つ以上選ばれたもの1乃至30%(w/v)を添加する段階を含むことができる。 (c)段階;(b)段階の混合物に、水又は注射用水を予め定められた全体の量になるまで添加(さらに、混合(懸濁又はブランディング))する段階 好ましくは(c)段階の水又は注射用水を混合した後、得られた溶液を均質化する。 本発明の一実施例では、既存のホスファチジルコリン注射剤組成物に含まれるデオキシコール酸ナトリウムが添加されなくても、ホスファチジルコリンを溶解し得る注射剤に使用可能な組成物を見出だすために、多様な静脈注射用添加剤を組み合わせて、燐脂質可溶化能力を評価した。 その結果、ポリソルベート及びマクロゴール15ヒドロキシステアレートからなら群より選ばれた一つ以上と、プロピレングリコール及びベンジルアルコールからなる群より選ばれた一つ以上が、可溶化剤に適当であることを確認した(実施例1参照)。 本発明の他の一実施例では、前記実施例(実施例1)で最も優れた組合わせの組成物構成を対象に、構成成分の濃度を変えて可溶化程度を測定した。 その結果、他の可溶化剤(PEG 400,urea.β-cyclodextrin,sorbitol,span 80,poloxamer 188,glycerolなど)は、大きい効果がないことを確認した。 従って、本発明のホスファチジルコリン;エタノール;プロピレングリコール及び/又はベンジルアルコール;ポリソルベート及び/又はマクロゴール15ヒドロキシステアレート;及び残量の水又は注射用水からなるホスファチジルコリン含有注射剤組成物は、デオキシコール酸ナトリウムが添加されなくとも、可溶化に優れた注射剤組成物として使用することができる。 本発明の注射剤組成物の投与方法は、特に制限されないが、疾患の深刻度、及び患者の年齢、性別及びその他の条件などの観点から、患者に適した方法により投与することができる。本発明の注射剤組成物の投与経路は、特に制限されないが、皮下注射、皮内注射、静脈注射、筋肉注射、腹腔注射などが好ましい。 本発明は、ホスファチジルコリン;エタノール;プロピレングリコール及び/又はベンジルアルコール;ポリソルベート及び/又はマクロゴール15ヒドロキシステアレート;及び残量の水又は注射用水からなるホスファチジルコリン含有注射剤組成物を提供する。本発明の注射剤組成物は、デオキシコール酸ナトリウムを添加しなくてもホスファチジルコリンが安定して溶解されている。このため、より安全なホスファチジルコリン含有注射剤を提供できる。図1は、ホスファチジルコリンの可溶化組成物の性状を比較したもので、バイアル瓶の番号は、実施例2の表2の実験番号に対応している。 以下、本発明を実施例により詳細に説明する。 ただし、下記実施例は、本発明を例示するのみであり、本発明の内容は下記実施例に限定されない。 <実施例1> 可溶化組成物構成成分の種類によるホスファチジルコリンの可溶化実験 従来のホスファチジルコリン注射剤組成物に含まれたデオキシコール酸ナトリウムが添加されなくとも、ホスファチジルコリンを溶解できる注射剤に使用可能な組成物を見出だすために、多様な静脈注射用添加剤を組み合わせて、燐脂質可溶化能力を評価した。 ホスファチジルコリン、ポリソルベート80及びエタノールを[表1]に記載された用量でそれぞれ投与し、遮光、密閉、30℃の条件で、300rpmで30分間撹拌した。 前記ホスファチジルコリンは、Lipoid GmbH社(ドイツ)で購入した(カタログナンバー368202,製品名はPHOSPHOLIPON)。 前記混合物にベンジルアルコールを45mg添加し、その他の添加剤として多様な可溶化剤を投与し、注射用水で全体の量を5mlにした後、遮光、密閉、30℃の条件で、300rpmで3時間撹拌して注射剤組成物を製造した。 前記製造された注射剤組成物が、沈澱、懸濁、相分離などの現象を受けていないか、及び透明であるかを目視によって確認した。対照群として、従来のデオキシコール酸ナトリウムが添加された注射剤(ホスファチジルコリン250mg、デオキシコール酸ナトリウム120mg、塩化ナトリウム12mg、ベンジルアルコール45mg、エタノール10mg及び残量の注射用水で構成された注射剤5mg)を用いた。 沈澱、懸濁、相分離などの現象がなく、対照群と同じか又はそれ以上の透明度を示す場合を(+)で表示し、可溶化が良くなされていなかったり、対照群と比べて透明度が落ちる場合を(−)で表示した。 その結果、[表1]に示した通り、PEG 400,urea.β-cyclodextrin,sorbitol,span 80,poloxamer 188,glycerolを添加した場合は、可溶化効果が弱いことを確認した。また、プロピレングリコール又はマクロゴール15ヒドロキシステアレートを添加剤として添加した場合は、対照群と類似して可溶化が良くなされ、透明な性状を示すことを確認した。従って、ホスファチジルコリン、エタノール、ベンジルアルコール、ポリソルベート、プロピレングリコール又はマクロゴール15ヒドロキシステアレート、注射用水の組合わせを、デオキシコール酸ナトリウムを含有しないホスファチジルコリン含有注射剤組成物として用いることができることを確認した。 <実施例2> 様々な濃度の可溶化組成物構成成分を用いたホスファチジルコリンの可溶化実験 前記実施例1で選ばれた構成成分を様々な組合わせ及び濃度で混合して、可溶化に最適な注射剤組成物を製造するための条件を測定した。 ホスファチジルコリン、ポリソルベート80及び/又はマクロゴール15ヒドロキシステアレート及びエタノールを[表2]に記載された用量で互いに混ぜ合わせて、その混合物を遮光、密閉、30℃の条件で300rpmで30分間撹拌した。 前記混合物にプロピレングリコール及び/又はベンジルアルコール[表2]に記載された用量でそれぞれ投与して、注射用水で全体の量を5mlにした後、遮光、密閉、30℃の条件で、300rpmで3時間撹拌して、注射剤組成物を製造した。 前記製造された注射剤組成物が、沈澱、懸濁、相分離などの現象を受けていないか、及び透明であるかを目視によって確認した。対照群として、従来のデオキシコール酸ナトリウムが添加された注射剤(ホスファチジルコリン250mg、デオキシコール酸ナトリウム120mg、塩化ナトリウム12mg、ベンジルアルコール45mg、エタノール10mg及び残量の注射用水で構成された注射剤5mg)を用いた。 沈澱、懸濁、相分離などの現象がなく、対照群と同じか又はそれ以上の透明度を示す場合を(+)で表示し、可溶化が良くなされていなかったり、対照群と比べて透明度が落ちる場合を(−)で表示した。 その結果、[表2]に示した通り、プロピレングリコールとベンジルアルコールが含まれていない場合は、可溶化効果が弱いことを確認した。また、プロピレングリコール及び/又はベンジルアルコールと、ポリソルベート及び/又はマクロゴール15ヒドロキシステアレートとを添加剤として添加した場合は、対照群と類似して可溶化が良くなされ、透明な性状を示すことを確認した。従って、ホスファチジルコリン、エタノール、プロピレングリコール及び/又はベンジルアルコール、ポリソルベート及び/又はマクロゴール15ヒドロキシステアレートの組合わせを、デオキシコール酸ナトリウムを含有しないホスファチジルコリン含有注射剤組成物として用いることができることを確認した。 以上説明した通り、本発明は、ホスファチジルコリン;エタノール;プロピレングリコール及び/又はベンジルアルコール;ポリソルベート及び/又はマクロゴール15ヒドロキシステアレート;及び残量の水又は注射用水からなるホスファチジルコリン含有注射剤組成物を提供する。本発明の注射剤組成物は、デオキシコール酸ナトリウムを添加しなくともホスファチジルコリンが安定して溶解されている。このため、本発明によれば、より安全なホスファチジルコリン含有注射剤を提供することができる。 ホスファチジルコリン2乃至10%(w/v); エタノール5乃至40%(w/v); プロピレングリコール及びベンジルアルコールからなる群より一つ以上選ばれたもの2乃至20%(w/v); ポリソルベート及びマクロゴール15ヒドロキシステアレートからなる群より一つ以上選ばれたもの1乃至30%(w/v);及び 残量の水又は注射用水からなるホスファチジルコリン含有注射剤組成物。 (a)ホスファチジルコリンと、ポリソルベート及びマクロゴール15ヒドロキシステアレートからなる群より選ばれた一つ以上とをエタノールに入れて完全に溶解するまで撹拌する段階;及び (b)プロピレングリコール及びベンジルアルコールからなる群より選ばれた一つ以上を入れて、 (c)水又は注射用水で全体の量を合わせて均質に混合する段階; を含むホスファチジルコリン含有注射剤組成物製造方法。 前記(a)段階は、ホスファチジルコリン2乃至10%(w/v)と、ポリソルベート及びマクロゴール15ヒドロキシステアレートからなる群より一つ以上選ばれたもの2乃至20%(w/v)とをエタノール5乃至40(w/v)に混合することを含む請求項2記載のホスファチジルコリン含有注射剤組成物の製造方法。 前記(b)段階は(a)段階の混合物に、プロピレングリコール及びベンジルアルコールからなる群より一つ以上選ばれたもの1乃至30%(w/v)を混合することを含む請求項2記載のホスファチジルコリン含有注射剤組成物の製造方法。 本発明は、新たなホスファチジルコリン含有注射剤組成物に関する。より詳細には、ホスファチジルコリン;エタノール;プロピレングリコール及び/又はベンジルアルコール;ポリソルベート及び/又はマクロゴール15ヒドロキシステアレート;及び残量の水又は注射用水からなるホスファチジルコリン含有注射剤組成物及びこれの製造方法に関するものである。本発明の注射剤組成物には、既存の製剤に含まれる発癌性のあることで知られるデオキシコール酸ナトリウムが含まれていないため、より安全なホスファチジルコリン含有注射剤を製造することができる。


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