生命科学関連特許情報

タイトル:公表特許公報(A)_CDK8/CDK19選択的阻害剤、ならびに癌のための抗転移および化学防御の方法におけるそれらの使用
出願番号:2014555805
年次:2015
IPC分類:A61K 45/00,A61K 31/517,A61K 31/5377,C07D 403/12,C07D 239/94,A61P 43/00,A61P 25/28,A61P 9/10,A61P 35/00,A61P 31/12,A61P 13/12,A61P 31/18


特許情報キャッシュ

ロビンソン,イゴール,ビー. ポーター,ドナルド,シー. ウェントランド,マーク,ピー. JP 2015506376 公表特許公報(A) 20150302 2014555805 20130201 CDK8/CDK19選択的阻害剤、ならびに癌のための抗転移および化学防御の方法におけるそれらの使用 セネックス バイオテクノロジー インク. 514197854 SENEX BIOTECHNOLOGY INC. 葛和 清司 100102842 ロビンソン,イゴール,ビー. ポーター,ドナルド,シー. ウェントランド,マーク,ピー. US 61/673,419 20120719 US 61/594,023 20120202 A61K 45/00 20060101AFI20150203BHJP A61K 31/517 20060101ALI20150203BHJP A61K 31/5377 20060101ALI20150203BHJP C07D 403/12 20060101ALI20150203BHJP C07D 239/94 20060101ALI20150203BHJP A61P 43/00 20060101ALI20150203BHJP A61P 25/28 20060101ALI20150203BHJP A61P 9/10 20060101ALI20150203BHJP A61P 35/00 20060101ALI20150203BHJP A61P 31/12 20060101ALI20150203BHJP A61P 13/12 20060101ALI20150203BHJP A61P 31/18 20060101ALI20150203BHJP JPA61K45/00A61K31/517A61K31/5377C07D403/12C07D239/94A61P43/00 111A61P25/28A61P9/10A61P35/00A61P31/12A61P13/12A61P31/18 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC US2013024515 20130201 WO2013116786 20130808 48 20141003 4C063 4C084 4C086 4C063AA01 4C063BB09 4C063CC31 4C063DD03 4C063EE01 4C084AA19 4C084MA02 4C084MA52 4C084NA05 4C084ZB262 4C084ZC412 4C086AA01 4C086AA02 4C086AA03 4C086BC45 4C086GA07 4C086GA12 4C086MA01 4C086MA02 4C086MA04 4C086MA52 4C086NA14 4C086ZA81 4C086ZB26 4C086ZB33発明の背景発明の分野 本発明は、癌の処置および予防に関する。関連技術の要約 CDK8は、その緊密に関連するアイソフォームであるCDK19と並んで、発癌性の転写調節キナーゼである(1−3)。より知られているCDKファミリーのメンバー(CDK1、CDK2およびCDK4/6など)とは対照的に、CDK8は、細胞周期の進行において何らの役割も果たさない。胚性幹細胞におけるCDK8のノックアウトは、多能性幹細胞の形質におけるその必須の役割(6)に起因して、胚の発達を妨げる(5)が、CDK8の枯渇は、正常な細胞の成長を阻害しない(5、7)。CDK8の癌における役割は、発癌に関与する幾つかの転写プログラムの調節因子としてのその独自の機能に起因する(1)。CDK8は、メラノーマ(8)および大腸癌(7)における癌遺伝子として同定されており、CDK8遺伝子は、後者の癌の約50%において増幅されている。より高いCDK8の発現は、大腸癌のより悪性の進行と関連付けられている(9)。既知の癌に関連するCDK8の活性として、Wnt/β−カテニン経路(7、11)、増殖因子に誘導される転写(12)およびTGFβシグナル伝達(13)の正の調節が挙げられる。CDK8は、また胚性幹細胞の多能性形質を維持することが知られており、癌幹細胞の形質と関連付けられている(6)。DNA傷害性の化学療法薬は、内皮細胞において、および他の癌関連間質エレメントにおいて、転写因子NFκBの活性化因子であるTNFαを誘導する(14)。間質由来のTNFαは、腫瘍細胞に対して作用し、ここでそれは、関連する腫瘍促進性のサイトカインCXCL1およびCXCL2のNFκBにより媒介される産生を誘導する。CXCL1/2は、骨髄細胞表面上のCXCR2受容体に結合することにより、骨髄細胞を腫瘍へと誘引する。骨髄細胞は、次いで、慢性炎症および癌に関連する小さなカルシウム結合タンパク質S100A8およびA9を分泌する。S100A8/9は、腫瘍細胞に対して作用し、それらの転移および化学療法からの生き残りの両方を促進する(15)。PCT/US12/55064は、CDK8/19阻害剤が、複数の腫瘍を支持するタンパク質および炎症性サイトカインの産生を媒介する転写因子NFκBの誘導を阻害すること、ならびに、CDK8/19阻害剤は特に、NFκBにより媒介されるCXCL1およびCXCL2の誘導を阻害することを教示する。米国特許公開20120071477は、CDK8/19阻害剤はまた、正常な線維芽細胞において、DNA傷害によるパラ分泌の腫瘍促進性の活性の誘導を妨げ、HIVの複製およびβ−カテニンシグナル伝達を阻害することを教示する。 米国特許出願20040180844および20040180848は、CDK8および特定の他の遺伝子を標的とするsiRNAによるトランスフェクションが、肺癌細胞株において毒性を誘導するという知見に基づいて、「癌細胞を殺傷する方法であって、前記癌細胞を、CDK8、STK33、PRKCM、PRKACA、ACVR1B、CDK5R1、CDC42BPB、MPP6およびCDC42BPAからなる群より選択される遺伝子の阻害剤と接触させることを含む、前記方法」を請求する。しかし、この観察は、同じ遺伝子の阻害が、一般的に生物に対して毒性であり得ることは示さず、癌の処置においてCDK8を阻害することについての機構的な根拠は提示しない。 米国特許公開20120071477は、CDK8およびそのアイソフォームであるCDK19の選択的阻害剤を開示する。CDK8を選択的に阻害するための、より可溶性が高く、より強力な化合物および方法についての必要性が存在する。また、CDK8阻害剤のさらなる用途を提供するために、癌におけるCDK8の役割をよりよく理解する必要性が存在する。発明の簡単な要旨 本発明は、中枢神経系の変性疾患(アルツハイマー病および他の認知症を含む)、癌、ウイルス性疾患、アテローム性動脈硬化症、関節炎および慢性腎疾患を処置するための、化合物、医薬処方物および方法を提供する。さらに、本発明者らは、驚くべきことに、CDK8/19阻害剤は、癌の発生を予防し(化学防御)、外科手術、化学療法または放射線を通した腫瘍減量術の後でこれらの剤を投与することにより、癌の再発および転移を予防することを発見した。 本発明は、腫瘍細胞を動物に注射することに先立つCDK8/19阻害剤による当該動物の処置が、阻害剤による処置の後で発症する腫瘍の増殖速度を低下させるという、驚くべき発見を提供する。この驚くべき効果は、正常組織においてはCDK8により調節される、腫瘍の増殖を支持する遺伝子の発現の阻害に起因し得る。癌の処置の成績のためのCDK8発現の重要性は、本願において、CDK8およびその結合パートナーであるサイクリンC(CCNC)の高発現と、乳癌患者における、およびその処置がDNA傷害性白金化合物を含んでいた卵巣癌患者における低い生存率との間の著しい関連により、さらに示される。これらの知見は、CDK8/19を特異的に阻害する低分子化合物の投与は、かかる化合物が、腫瘍の大部分が患者において存在しないときに投与された場合であってすら、例えば化学防御に関して、または腫瘍減量術の後でのアジュバントもしくは抗再発/抗転移治療として、癌患者の寿命の延長のために有益である筈であることを示す。 これらの知見は、癌におけるCDK8発現の測定が、一般的にリスクが高い癌患者、DNA傷害性化学療法剤により処置された場合にリスクが高い癌患者、および、CDK8/19を特異的に阻害する低分子化合物による処置から利益を受ける可能性が最も高い癌患者を同定するための診断の手法を提供することを、さらに示す。一部の態様において、癌患者は、乳癌または卵巣癌患者である。 第1の側面において、本発明は、サイクリン依存性キナーゼ8および19(CDK8/CDK19)を特異的に阻害するための、可溶性および/または効力が増大した新たな化合物を提供する。初めに、本発明者らは、出願番号PCT/US06/01046においてより詳細に記載されるハイスループットスクリーニング系を用いて、市販の多様な化合物のコレクションから100,000を超える薬物様低分子を、CDK結合タンパク質p21による転写の誘導を妨げる能力についてスクリーニングした。このスクリーニングを通して、本発明者らは、活性な化合物のセットを同定した(米国特許出願公開第20080033000号を参照)。これらは、一連の構造的に関連した化合物を含み、これらは、p21による転写の誘導を阻害し、正常細胞において殆どまたは全く細胞毒性を示さず、かつ、CDKIの細胞周期阻害機能に干渉しない。本発明者らは、次いで、CDK8/CDK19を選択的に阻害する化合物のサブセットを発見した。これらは、かかる選択性を示す初めての化合物であった。 上記の結果に基づいて、本発明者らは、それらの先に同定した化合物の利益を保持しつつ、さらに高い可溶性および/または効力を提供する新たな化合物の開発に着手した。 第2の側面において、本発明は、線維芽細胞による腫瘍促進性の分泌因子の産生を阻害する方法を提供し、該方法は、線維芽細胞を、CDK8/19を特異的に阻害する低分子化合物と接触させることを含む。 第3の側面において、本発明による化合物および方法は、アルツハイマー病、アテローム性動脈硬化症、アミロイドーシス、関節炎、慢性腎疾患、ウイルス性疾患および癌を含むがこれらに限定されないCDKIにより媒介される疾患を処置するために有用である。したがって、本発明は、CDKIにより媒介される疾患を有する哺乳動物を処置するかまたは治療的に処置するための方法を提供し、該方法は、哺乳動物にCDK8/19を特異的に阻害する低分子化合物の治療有効量を投与することを含む。 第4の側面において、本発明は、それが特定の他のCDKを阻害するよりも著しい程度までCDK8を阻害する化合物を提供する。 第5の側面において、本発明は、β−カテニンを発現する腫瘍を有する哺乳動物を処置するための方法を提供し、該方法は、哺乳動物に、本発明の第1の側面によるCDK8/19を特異的に阻害する新規の低分子化合物を投与することを含む。 第6の側面において、本発明は、癌を発症するリスクがある患者を化学防御するための方法を提供し、該方法は、患者にCDK8/19を特異的に阻害する低分子化合物を投与することを含む。 第7の側面において、本発明は、腫瘍についての減量(debulking)処置を受けた癌患者における癌の再発または転移を予防するための方法を提供し、該方法は、患者に、減量術の後で、CDK8/19を特異的に阻害する低分子化合物を投与することを含む。一部の態様において、患者は、卵巣癌または乳癌患者である。 第8の側面において、本発明は、癌患者を処置するための方法を提供し、該方法は、患者に、DNA傷害剤の有効量を、CDK8/CDK19を特異的に阻害する低分子化合物と組み合わせて投与することを含む。一部の態様において、癌患者は、乳癌または卵巣癌患者である。 第9の側面において、本発明は、外科手術と組み合わせて与えられたアジュバント治療の患者における効力を改善するための方法を提供する。該方法は、CDK8/19を特異的に阻害する低分子化合物を、アジュバント治療と組み合わせて投与することを含む。 第10の側面において、本発明は、患者において乳癌を処置するための方法を提供し、該方法は、患者に、CDK8/19を特異的に阻害する低分子化合物を投与することを含む。 第11の側面において、本発明は、癌患者がDNA傷害剤により処置されるために好適であるか否かを決定するための方法を提供し、該方法は、CDK8が患者において過剰発現されるか否かを決定することを含む。一部の態様において、癌患者は、卵巣癌または乳癌患者である。 第12の側面において、本発明は、癌患者における腫瘍の再発または転移の可能性を決定するための方法を提供し、該方法は、患者からの腫瘍から試料を得ること、および当該腫瘍試料においてCDK8が過剰発現されるか否かを決定することを含む。一部の態様において、癌患者は、乳癌または卵巣癌患者である。 第13の側面において、本発明は、癌患者がアジュバント治療から利益を受けるか否かの可能性を決定するための方法を提供し、該方法は、患者からの腫瘍試料においてCDK8が過剰発現されるか否かを決定することを含む。図1は、表1において列記される化合物の構造を示す。図1は、表1において列記される化合物の構造を示す。図1は、表1において列記される化合物の構造を示す。図2は、SNX2-1-165のための合成スキームを示す。図3は、SNX2-1-165(Senexin B)についての代表的なin vitroでのCDK8キナーゼ活性阻害アッセイを示す。図4は、HT1080 p21-9細胞におけるp21誘導性IPTGの存在下におけるCMV-GFP発現の阻害についての細胞ベースのアッセイにおける、CDK8に対するSenexin Bの効果を示す(上の曲線)。下の曲線は、IPTGの添加なしでの測定を示す。図5は、CDK8、CDK19および対照CDK(CDK9)についてのSNX2-1-165についてのKdの決定を示し、各々のアッセイは2連で(in duplicate)行った。図6は、SNX2-1-165キナーゼ阻害の選択性のKinomeScan分析の結果を、キナーゼファミリーの進化樹状図の形態において示し、ここで、キナーゼの阻害を赤丸で示し、そのサイズは阻害の大きさを表わす。図7Aは、40mg/kgにおけるi.p.注射の後での、ラット血漿におけるSenexin Bの薬物動態学的(PK)プロフィールを示す。図7Bは、100mg/kgにおいて経管栄養によりマウスに投与された場合の、マウス血漿におけるSenexin BのPKプロフィールを示す。図8は、5回の毎日のSNX2-1-165(40mg/kg)またはキャリアのみのi.p.注射により処置し、次いでs.c.で1×106細胞のヒトA549肺癌細胞株を注射したCB-17 SCIDマウスにおける、腫瘍容積の平均値および標準偏差を、経時的にプロットする。図9Aは、最後のSenexin B処置の後で6〜8週齢のメスヌードマウスの脂肪パッドにおいて同所的に注射した、MDA-MB-468トリプルネガティブ乳癌(TNBC)細胞の生着に対する、25mg/kgの日用量のSenexin B(i.p.)による5日間の前処置の効果を示す。図9Bは、MDA-MB-468注射の前(3日間にわたり)および注射の後の両方にマウスを処置(毎日の40mg/kgのSenexin Bによるi.p.注射)した場合の結果を示す。図10は、HCT116大腸癌細胞におけるβ−カテニン依存性TOPFLASHプロモーターからのルシフェラーゼ発現に対する、異なる濃度のSenexin Bの効果を示す。図11は、遺伝子発現のメタ分析のためのウェブベースのプログラムを用いて作製した、CDK8およびCDK8関連遺伝子の発現と、無再発生存(RFS)との間の相関についてのカプラン・マイヤー(KM)プロットを示す。図12は、CDK8、CDK19およびCCNCの高発現が、卵巣癌患者(特にタキソールで処置された患者の間ではなく白金化合物で処置された患者の間の)低い生存率と有意に相関することを示すKMプロットを示す。図13Aは、10×の対物レンズにおいて撮影した、浸潤性の乳管内乳癌の切片の代表的な染色の例を示す。図13Bは、CDK8が、浸潤性乳管癌(IDC)において、正常(NBT)もしくは過形成性(H)の胸部組織または小葉内癌(ILC)と比較して上昇していることを示す。図14は、MDA-MB-468およびMDA-MB-157などの特定の乳癌細胞株は、SNX2-1-165により用量依存的な増殖阻害を示したが、他のものはこれを示さなかったことを示す。図15Aは、TNBC株であるMDA-MB-231を用いた研究の結果を示し、これは、メスSCIDマウス中に同所的に注射され、腫瘍を形成させ、次いで、7〜10日間の間隔を空けて、以下の3ラウンドにより処置した:ビヒクル、ドキソルビシン、Senexin B、またはドキソルビシン+Senexin。図15Bは、MDA-MB-468 TNBC異種移植片モデルを用いた研究の結果を示し、ここで、メスヌードマウスに、MDA-MB-468細胞を播種し、触知可能な腫瘍を形成させ、次いで、毎日i.p.で、ビヒクルのみ、Senexin B、またはSenexin Bと組み合わせたドキソルビシンにより処置した。図16Aは、10×および40×の対物レンズにより撮影した4つの腫瘍のH&E染色の例を示し、これは、非浸潤性増殖および浸潤性増殖の2つの症例を説明する。図16Bは、図15Bにおける実験からの、ビヒクルのみ、Senexin Bのみ、ドキソルビシンのみ、またはドキソルビシンおよびSenexin Bで処置されたマウスの群における、浸潤性および非浸潤性の増殖の症例の分布を示す。好ましい態様の詳細な説明 本発明は、サイクリン依存性キナーゼ阻害剤(CDKI)経路の阻害に関する。ことさらには、本発明は、老化関連疾患および癌における研究および介入のためにCDKI経路を阻害するための方法に関する。 本発明は、アルツハイマー病および他の認知症、ならびに癌およびウイルス性疾患を含む中枢神経系の変性疾患を処置するための、新たな化合物、医薬処方物および方法を提供する。 本発明は、CDKI経路を阻害するための化合物および方法を提供し、これは、多様な年齢関連疾患の化学防御および治療において、多様な臨床的適用を有し得る。本発明によるCDKI経路阻害剤は、正常細胞において殆どまたは全く細胞毒性を示さない。これらの分子は、CDKIの細胞周期阻害機能に干渉しない。それらはまた、CDKIが抑制された細胞による抗アポトーシス因子の分泌を阻害する。これらの化合物は、先に記載されたものよりも高い可溶性および/または効力により、CDK8およびCDK19を選択的に阻害する。 多様な側面において、本発明は、癌の処置に関する。本発明者らは、驚くべきことに、CDK8/19阻害剤が、癌の出現を予防し(化学防御)、外科手術、化学療法または放射線を通した腫瘍減量術の後でこれらの剤を投与することにより、癌の再発または転移を予防することを発見した。本発明は、腫瘍細胞を動物に注射することに先立つCDK8/19阻害剤による当該動物の処置が、阻害剤による処置の後で発症する腫瘍の増殖の速度を低下させるという、驚くべき発見を提供する。この驚くべき効果は、正常組織においてはCDK8/19により調節される、腫瘍の増殖を支持する遺伝子の発現の阻害に起因し得る。本発明はまた、CDK8/19阻害剤による腫瘍を有する動物の処置が、腫瘍の浸潤性の増殖を阻害するという、驚くべき発見を提供する。癌の処置の成績のためのCDK8発現の重要性は、本願において、CDK8、CDK19およびその結合パートナーであるサイクリンC(CCNC)の高発現と、乳癌患者における、およびその処置がDNA傷害性白金化合物を含んでいた卵巣癌患者における、腫瘍の再発を予防するためのアジュバント治療の失敗との間の著しい関連により、ならびに、アジュバント治療に関わらず、CDK8の高発現と乳癌患者の低い無再発生存率との間の相関により、さらに示される。これらの知見は、CDK8/19阻害剤の投与は、かかる阻害剤が、腫瘍の大部分が患者において存在しないときに投与された場合であってすら、例えば化学防御に関して、または腫瘍減量術の後でのアジュバントもしくは抗再発/抗転移治療として、癌患者の寿命の延長のために有益である筈であることを示す。 これらの知見は、癌におけるCDK8発現の測定が、一般的にリスクが高い癌患者、DNA傷害性化学療法薬または放射線により処置された場合にリスクが高い癌患者、および、アジュバント治療から利益を受ける可能性が最も高い患者、ならびに、CDK8阻害剤を含む処置から利益を受ける可能性が最も高い患者を同定するための診断の手法を提供することを、さらに示す。一部の態様において、癌は乳癌または卵巣癌である。最後に、これらの知見は、癌患者における腫瘍の再発または転移の可能性を決定するための方法を提供し、該方法は、患者からの腫瘍から試料を得ること、および当該腫瘍試料においてCDK8が過剰発現しているか否かを決定することを含む。 本発明の目的のために、「CDK8/19を特異的に阻害する低分子化合物」とは、CDK8およびCDK19の1または2以上を、それが他のCDKを阻害するよりも高い程度まで阻害する、低分子化合物である。一部の態様において、かかる化合物は、さらに、CDK9よりも高い程度までCDK8/19を阻害する。好ましい態様において、かかるより高い程度は、CDK9よりも少なくとも2倍高い程度である。「低分子化合物」は、約800ダルトン以下の式量を有する分子である。他に明示的に記述される場合を除き、本発明において有用である化合物において含まれるのは、同時継続の米国特許公開20120071477および本明細書において記載される化合物である。用語「SNX-2-165」および「Senexin B」は、同じ分子を記載し、本明細書において交換可能に用いられる。用語「試料においてCDK8が過剰発現されるか否かを決定すること」および類似の用語は、患者からの組織(例えば腫瘍試料)または体液におけるCDK8の発現を測定し、それを、幾つかの他のヒト個体からの正常および/もしくは腫瘍組織の試料、ならびに/または患者からの非疾患(例えば非癌)試料からの、CDK8のmRNAまたはタンパク質の平均レベルを代表する標準的と比較することを意味する。「アジュバント治療」とは、外科手術と組み合わせて与えられる放射線療法および/または全身治療(化学療法、免疫治療、生物反応修飾物質、ホルモン治療など、およびそれらの組み合わせ)である(例えば、乳癌のための非限定的例として、emedicine.medscape.com/article/1946040-overviewを参照)。 第1の側面において、本発明は、CDK8/CDK19を特異的に阻害し、可溶性および/または効力が改善された、新規の低分子化合物を提供する。一部の態様において、低分子化合物は、構造式IまたはII:を有し、式中、各々のBは、独立して水素またはであり、ただし、少なくとも1つのBは水素であり、1つより多くのBが水素とはならず;Dは、−NH、−N−低級アルキル、またはOから選択され;nは0〜2である。 一部の態様において、低級アルキルは、メチルである。一部の態様において、nは0または1である。一部の態様において、nは1である。 「低級アルキル」は、1〜6個の炭素原子のアルキルラジカルを意味し、これは、直鎖状であっても分枝状であってもよい。幾つかの好ましい低級アルキルラジカルは、1〜3個の炭素原子のものである。一部の態様において、CDK8およびCDK19を特異的に阻害する低分子化合物は、SNX2-1-162、SNX2-1-163、SNX2-1-164、SNX2-1-165、SNX2-1-166およびSNX2-1-167からなる群より選択される。一部の態様において、CDK8およびCDK19を特異的に阻害する低分子化合物は、SNX2-1-165である。一部の態様において、CDK8およびCDK19を特異的に阻害する低分子化合物は、図1において示される構造の群より選択される。 第2の側面において、本発明は、線維芽細胞による腫瘍促進性の分泌因子の産生を阻害する方法を提供し、該方法は、線維芽細胞を、CDK8/19を特異的に阻害する低分子化合物と接触させることを含む。 ある態様において、線維芽細胞は、ヒトを含む哺乳動物におけるものである。CDK8を特異的に阻害する化合物が、線維芽細胞による腫瘍促進性の分泌因子の産生を阻害することは、先に示されている(米国特許公開第20120071477号を参照)。 本発明の第3の側面において、本発明は、CDKIにより媒介される疾患を有する哺乳動物を処置するかまたは治療的に処置するための方法を提供し、該方法は、哺乳動物に、CDK8/19を特異的に阻害する低分子化合物の有効量または治療有効量を投与することを含む。 CDKIにより媒介される好ましい疾患として、限定することなく、アルツハイマー病、他の認知症、アミロイドーシス、アテローム性動脈硬化症、腎疾患、ウイルス性疾患および癌が挙げられる。ある態様において、ウイルス疾患は、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染である。CDK8を特異的に阻害する化合物は、HIV-1の複製を阻害することが、先に示されている(米国特許公開第20120071477号を参照)。好ましい哺乳動物として、ヒトが挙げられる。 第4の側面において、本発明は、それらが特定の他のCDKを阻害するよりも著しい程度までCDK8およびCDK19を阻害する、低分子化合物を提供する。一部の態様において、かかる化合物はさらに、CDK9よりも著しい程度まで、CDK8およびCDK19を阻害する。好ましい態様において、かかるより著しい程度は、CDK9よりも少なくとも2倍である。阻害の程度は、本明細書における例において教示されるアッセイ(本明細書において利用されるサービスのプロバイダにより使用されるアッセイ条件を含む)により測定される。これらのアッセイの結果は、本明細書において対照の%(POC)として一般的に表わされ、対照は、化合物が存在しないものとする。あるいは、結果は、IC50として表わされる場合がある。 第5の側面において、本発明は、β−カテニンを発現する腫瘍を有する哺乳動物を処置するかまたは治療的に処置するための方法を提供し、該方法は、哺乳動物に、CDK8/19を特異的に阻害する新規の低分子化合物の有効量または治療有効量を投与することを含む。一部の態様において、新規の低分子化合物は、構造式IまたはII:を有し、式中、各々のBは、独立して水素またはであり、ただし、少なくとも1つのBは水素であり、1つより多くのBが水素とはならず;Dは、−NH、−N−低級アルキル、またはOから選択され;nは0〜2である。 一部の態様において、低級アルキルは、メチルである。一部の態様において、nは0または1である。一部の態様において、nは1である。 一部の態様において、新規の低分子化合物は、SNX2-1-162、SNX2-1-163、SNX2-1-164、SNX2-1-165、SNX2-1-166およびSNX2-1-167からなる群より選択される。一部の態様において、低分子化合物は、SNX2-1-165である。一部の態様において、低分子化合物は、図1において示される構造の群より選択される。 CDK8/19を特異的に阻害する化合物は、β−カテニンを発現する腫瘍細胞の増殖を阻害することが、先に示されている(米国特許公開第20120071477号を参照)。好ましい哺乳動物として、ヒトが挙げられる。 第6の側面において、本発明は、癌を発症するリスクがある患者を化学防御するための方法を提供し、該方法は、患者にCDK8/19を特異的に阻害する低分子化合物を投与することを含む。癌についてのリスクがある患者は、癌が発症する可能性があることを示唆する家族性遺伝子プロフィールを有する個体を含む。それはまた、発癌性化学物質またはウイルスまたは放射線などの、発癌剤に暴露された個体を含む。 第7の側面において、本発明は、腫瘍のための減量処置を受けた癌患者における癌の転移または再発を予防するための方法を提供し、該方法は、患者に、腫瘍の減量術の後で、CDK8/19を特異的に阻害する低分子化合物を投与することを含む。一部の態様において、癌患者は、乳癌または卵巣癌患者である。 減量術は、外科手術、化学療法および放射線などの原発腫瘍を処置するために用いられる手法の任意のものを含む。減量術にもかかわらず、常に、癌の再発をもたらす原発腫瘍の転移または不完全な除去のリスクが存在する。CDK8/19を特異的に阻害する低分子化合物の投与は、したがって、任意の型の癌の減量術に対する、有用なアジュバント治療である。 第8の側面において、本発明は、癌患者をCDK8/19を特異的に阻害する低分子化合物と組み合わせて、DNA傷害剤で処置するための方法を提供する。一部の態様において、癌患者は、乳癌または卵巣癌患者である。本発明の目的のために、DNA傷害剤は、DNAの傷害を誘導する放射線および任意の化学療法剤、例えばドキソルビシンまたは白金に基づく薬物を含む。「〜と組み合わせて」とは、一般に、患者を処置する経過において、本発明による特異的CDK8/19阻害剤およびDNA傷害剤を投与することを意味する。かかる投与は、任意の順序において行ってよく、同時投与、ならびに数秒間から数日間離して時間的に間隔を空けた順序を含む。かかる組み合わせ処置はまた、本発明による化合物、および/または独立してDNA傷害剤の、1回より多くの投与を含んでもよい。本発明による化合物および/または他方の剤の投与は、同じ経路によるものであっても異なる経路によるものであってもよい。 第9の側面において、本発明は、外科手術と組み合わせて与えられたアジュバント治療の患者における効力を改善するための方法を提供する。該方法は、CDK8/19を特異的に阻害する低分子化合物を、アジュバント治療と組み合わせて投与することを含む。「〜と組み合わせて」とは、一般に、患者を処置する経過において、本発明による特異的CDK8/19阻害剤およびDNA傷害剤を投与することを意味する。かかる投与は、任意の順序において行ってよく、同時投与、ならびに数秒間から数時間離して時間的に間隔を空けた順序を含む。かかる組み合わせ処置はまた、本発明による化合物、および/または独立してDNA傷害剤の、1回より多くの投与を含んでもよい。本発明による化合物および/または他方の剤の投与は、同じ経路によるものであっても異なる経路によるものであってもよい。 第10の側面において、本発明は、患者において乳癌を処置するための方法を提供し、該方法は、患者に、CDK8/19の特異的阻害剤を投与することを含む。 本発明の第2から第10の側面の方法の各々の一部の態様において、低分子化合物は、構造式IまたはII:を有し、式中、各々のBは、独立して水素またはであり、ただし、少なくとも1つのBは水素であり、1つより多くのBが水素とはならず;Dは、−NH、−N−低級アルキル、またはOから選択され;nは0〜2である。 一部の態様において、低級アルキルは、メチルである。一部の態様において、nは0または1である。一部の態様において、nは1である。 「低級アルキル」とは、1〜6個の炭素原子のアルキルラジカルを意味し、これは直鎖状であっても分枝状であってもよい。幾つかの好ましい低級アルキルラジカルは、1〜3個の炭素原子のものである。一部の態様において、CDK8およびCDK19を特異的に阻害する低分子化合物は、SNX2-1-162、SNX2-1-163、SNX2-1-164、SNX2-1-165、SNX2-1-166およびSNX2-1-167からなる群より選択される。一部の態様において、CDK8およびCDK19を特異的に阻害する低分子化合物は、SNX2-1-165である。一部の態様において、CDK8およびCDK19を特異的に阻害する低分子化合物は、図1において示される構造の群より選択される。 本発明による処置または予防の方法の各々の一部の態様において、低分子化合物は経口で投与される。 第11の側面において、本発明は、癌患者が、DNA傷害剤により処置されるために好適であるか否かを決定するための方法を提供し、該方法は、患者からの腫瘍試料においてCDK8が過剰発現されるか否かを決定することを含む。処置に先立ってCDK8レベルを決定することは、これらの剤のいずれかの使用が適切であるか否か、または代替的な治療的アプローチが用いられるべきであるか否かに関しての、有用な情報を提供する筈である。患者がDNA傷害剤による処置のために好適ではないと決定される場合、患者を、CDK8/19を特異的に阻害する低分子化合物と組み合わせて、DNA傷害剤により処置することができる。 第12の側面において、本発明は、癌患者における腫瘍の再発または転移の可能性を決定するための方法を提供し、該方法は、患者からの腫瘍試料においてCDK8が過剰発現されるか否かを決定することを含む。一部の態様において、癌患者は、乳癌または卵巣癌患者である。患者から外科的に取り除かれた腫瘍の試料が、上昇したCDK8発現を有することが見出された場合、患者がより頻繁な癌の再発についての追跡試験を有する必要がある、および/または、患者が本発明の第7の側面による追跡処置を必要とする場合がある。 第13の側面において、本発明は、癌患者がアジュバント治療から利益を受けるか否かの可能性を決定するための方法を提供し、該方法は、患者からの腫瘍試料においてCDK8が過剰発現されるか否かを決定することを含む。患者が、標準的なアジュバント治療から利益を受ける可能性が低いと決定される場合、患者を、CDK8/19を特異的に阻害する低分子化合物と組み合わせて、アジュバント治療により処置することができる。 本発明の第11、第12および第13の側面の代替的な態様において、腫瘍試料においてCDK8が過剰発現されるか否かを決定する代わりに、またはこれに加えて、腫瘍においてCCNC、CDK19、CXCL1およびCXCL2の1または2以上が過剰発現されるか否かを決定することが可能である。医薬処方物および投与 本発明による方法において、上記の化合物を医薬処方物中に組み込むことができる。かかる処方物は、化合物を含み、これは、薬学的に受容可能な希釈剤(限定されないが水を含む)、キャリアまたは賦形剤中で、遊離の酸、塩またはプロドラッグの形態であってよい。かかる処方物は、当該分野において周知であり、例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences、第18版、A. Gennaro編、Mack Publishing Co.、Easton, Pa.(1990年)において記載されている。キャリアの特徴は、投与の経路に依存する。本明細書において用いられる場合、用語「薬学的に受容可能な」とは、細胞、培養細胞、組織または生物などの生物系に適合性であって、活性成分の生物学的活性の有効性に干渉しない、非毒性の材料を意味する。したがって、本発明による組成物は、阻害剤に加えて、希釈剤、充填剤、塩、緩衝剤、安定化剤、可溶化剤、および当該分野において周知の他の材料を含んでもよい。本明細書において用いられる場合、用語、薬学的に受容可能な塩とは、上で同定された化合物の所望の生物学的活性を保持し、最小限の毒物学的効果を示すかまたはこれを示さない塩を指す。かかる塩の例として、限定されないが、無機酸(例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、硝酸など)により形成される塩、ならびに、酢酸、シュウ酸、酒石酸、コハク酸、リンゴ酸、アスコルビン酸、安息香酸、タンニン酸、パルモ酸(palmoic acid)、アルギン酸、ポリグルタミン酸、ナフタレンスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸およびポリガラクツロン酸などの有機酸により形成される塩が挙げられる。化合物はまた、当業者に公知の薬学的に受容可能な四級塩として投与されてもよく、これは特に、式−−NR+Z−−の四級アンモニウム塩を含み、式中、Rは、水素、アルキルまたはベンジルであり、Zは、塩素、臭素、ヨウ素、−−O−アルキル、トルエンスルホン酸、メチルスルホン酸、スルホン酸、リン酸またはカルボン酸(安息香酸、コハク酸、酢酸、グリコール酸、マレイン酸、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸、アスコルビン酸、安息香酸、桂皮酸(cinnamoate)、マンデル酸(mandeloate)、ベンジル酸(benzyloate)およびジフェニル酢酸など)を含む対イオンである。活性化合物は、処置される患者において重篤な毒性効果を引き起こすことなく患者に治療有効量を送達するために十分な量において、薬学的に受容可能なキャリアまたは希釈剤中に含まれる。「治療有効量」とは、疾患の兆候または症状を緩和するかまたは取り除くために十分な量である。薬学的に受容可能な誘導体の有効な投与量の範囲は、送達されるべき親化合物の重量に基づいて計算することができる。誘導体がそれ自体において活性を示す場合、有効な投与量は、誘導体の重量に基づいて上記のように概算しても、当業者に公知の他の手段により概算してもよい。限定することなく、アルツハイマー病などの老年認知症を含むある適用において、70kgの患者についての有効な用量の範囲は、患者1人当たり1日当たり約50mgから、患者1人当たり1日当たり約10gまで、または最大耐容用量である。ある好ましい態様において、用量の範囲は、患者1人当たり1日当たり約200mg〜患者1人当たり1日当たり約10gである。ある好ましい態様において、用量の範囲は、患者1人当たり1日当たり約200mg〜患者1人当たり1日当たり約5gである。各々の患者における用量は、特定の薬物の投与に対する臨床的応答に依存して調整することができる。本発明による方法における医薬処方物の投与は、任意の医学的に受容される経路によるものであってよく、限定することなく、非経口、経口、舌下、経皮、局所、鼻内、気管内、または直腸内を含む。ある好ましい態様において、本発明の組成物は、非経口で、例えば、病院のセッティングにおいて静脈内で投与される。ある他の好ましい態様において、投与は、好ましくは、経口経路によるものであってよい。 以下の例は、本発明のある好ましい態様をさらに説明することを意図し、本発明の範囲を限定することは意図しない。例1CDK8/CDK19阻害剤の合成 SNX-2-1-165は、図2において示されるスキームに従って合成した。全ての他の化合物は、同様の手順を用いて合成した。例2CDKI経路阻害についての試験 以下に記載される化合物を、表1において示し、本発明による幾つかの新規化合物の構造を、図1において示す。化合物SNX2-1-102、SNX2-1-108およびSNX2-1-145は、米国特許出願第12/956,420号において開示され、他の化合物は、新たに合成した。全ての化合物を、本発明者らの先の特許出願PCT/US06/01046において記載した細胞アッセイにおいて、CDKI経路を阻害する能力について試験した。このアッセイは、イソプロピル−β−チオ−ガラクトシド(IPTG)誘導性プロモーターからCDKI p21を発現するヒトHT1080線維肉腫細胞における、サイトメガロウイルス(CMV)プロモーターからの緑色蛍光タンパク質(GFP)発現の誘導に基づく。CDKI経路阻害剤としての化合物の活性は、p21誘導性IPTGの添加によるCMVプロモーターの刺激を妨げるその能力により測定する。CMVプロモーター活性は、細胞DNAをHoechst 33342で染色することにより決定される相対的細胞数に対するGFP蛍光の比により測定する。このアッセイにおいてIC50<10μMを示す化合物のみを、表1および図1において含める。例3可溶性および活性試験 化合物をまた、20%プロピレングリコール中、および水中での可溶性について、以下のとおり試験した。化合物(乾燥粉末)を、20%プロピレングリコール中に、1mMの濃度において、40℃の温度において、ときどきボルテックスしながら溶解した。30分後、溶液を10,000×gで5分間遠心分離した。清澄化した上清の連続希釈物を調製し、OD読み取りを通して同じ化合物の1μMの標準溶液に相対的に化合物の濃度を測定するために用いた。測定の結果を、20%プロピレングリコール中での当該化合物の1mMにおける%溶解度として表わした。水溶性を決定するために、化合物(乾燥粉末)を、初めに、水中に、100mMの濃度において、40℃の温度において、ときどきボルテックスしながら溶解した。30分後、溶液を、10,000×gで5分間遠心分離し、不溶性ペレットの形成をモニタリングした。その後のステップにおいて、遠心分離の後でペレットが観察されなくなるまで(これは、化合物の完全な溶解を示す)、化合物をより低い濃度において溶解することを試みた。異なる化合物についての20%プロピレングリコールおよび水への可溶性の測定の結果を、表1において列記する。 新しい化合物の第1のセットを、SNX2-1-145から誘導した。活性試験は、これらの化合物のいずれについてもSNX2-1-145に対して主要な効力の増大は示さなかったが、可溶性試験は、幾つかの新しい化合物は、水中においてSNX2-1-145よりもはるかに可溶性が高い一方で、同様の活性を維持していることを示し、このことは、これらの化合物の側鎖が、より可溶性が高いSNX2クラスの化合物を作る可能性があることを示していた。次のステージにおいて、本発明者らは、初期の化合物のうち、最も強力なもののうちの2つであるSNX2-1-102およびSNX2-1-108の誘導体のセットを合成し、それらのファルマコフォアを、新しい可溶性の誘導体のうちの2つ、SNX2-1-151およびSNX2-1-153の側鎖と組み合わせた。 これらの新しい誘導体を試験した後で、本発明者らは、高い活性および可溶性(表1)の両方を示した幾つかのもの(SNX2-1-162〜SNX2-1-167)を同定した。これらの化合物のうちの最も強力なものであるSNX2-1-165は、先に開発されたSNX2クラスの化合物のいずれよりも活性が高かった。例4SNX2-1-165についての活性アッセイ 図3は、ProQinaseアッセイキットを用いて決定されるSNX2-1-165(Senexin B)によるCDK8キナーゼ活性の阻害を示し、異なるアッセイにおいて、24〜50nMの範囲のIC50値を提供する。SNX2-1-165は、20%プロピレングリコール中で1mMにおいて、完全に可溶性であり、水中で50mMの濃度において、完全に可溶性であった。次に、CDK8に対するSenexin Bの効果を、細胞ベースのアッセイ(HT1080細胞におけるIPTG誘導性p21によるCMV-GFP発現の誘導の阻害)において試験した。結果を図4において示す。Senexin Bは、いずれのアッセイにおいてもCDK8を強力に阻害した。例5CDK8/CDK19についてのSNX2-1-165の選択性 図5は、CDK8、CDK19および対照CDK(CDK9)についてのSNX2-1-165のKd判定を示し、各々のアッセイは2連(in duplicate)で行った。Kd値は、CDK8については140nM、CDK19については80nMであり、一方、CDK9は有意には阻害しなかった。CDK8およびCDK19についてのSNX2-1-165の選択性を、Ambit Biosciences(San Diego, CA)の一部門であるKinomeScanのサービスを用いて試験した。これは、単一の濃度(2,000nM;これは、Kdよりも1桁高い)の化合物が、>450種のキナーゼのATPポケットの結合を阻害する活性を測定する(16)。この分析の結果を、図6において、キナーゼファミリーの進化樹状図の形態において表わし、ここで、キナーゼの阻害を赤丸により表わし、そのサイズは阻害の大きさを表わす。最も強い阻害は、CDK19(98.6%阻害)およびCDK8(97.8%阻害)について観察された;図6において示される唯一の他の阻害されたキナーゼは、MAP4K2(69%阻害)である。YSK4(59%阻害)を別として、全パネル中の他のキナーゼで、2,000nMのSNX2-1-165により50%より高く阻害されたものはなかった。したがって、SNX2-1-165は、高度に強力かつ高度に選択的な、CDK8/19の阻害剤である。例6Senexin Bは、マウスおよびラットにおいて非毒性かつ生体利用可能である 図7Aは、40mg/kgにおけるi.p.注射後のラット血漿中のSenexin Bの薬物動態学的(PK)プロフィールを示す;14.1mg*hr/mlの曲線下の面積(AUC)は、最近承認されたベムラフェニブなどの他の抗癌薬についての値と類似した。経管栄養により100mg/kgにおいてマウスに投与した場合、Senexin Bは、約50μMまでのピーク血漿濃度をもたらし、このことは、この化合物が経口で利用可能であることを示す(図7B)。 SNX2-1-165を用いる動物毒性研究は、Taconic Farms, Inc.(Hudson, NY)によるサービスとして行った。12日間の研究において、2群の8個体のBalb/cマウスの各々に、SNX2-1-165を水性のキャリア(10mMのクエン酸、pH6、150mMのNaCl)中で40mg/kgにおいて、またはキャリア単独で、5日間の用量によりi.p.注射を行い、その後2日間の休止期間を置き、さらに5日間の用量を行った。研究の終了時におけるSenexin B処置マウスの体重増加は、キャリア処置マウスと区別できなかった。臓器(脳、腎臓、胸腺、脾臓、肺および肝臓)のうちで、脾臓のみが、約20%の重量の減少の効果を示した。血液カウントは、対照マウスと比較して、約25%のリンパ球の減少のみを示し、他の細胞型の変化は示さなかった。この治療用量以上の(supra-therapeutic)用量の耐容性のプロフィールは、Senexin Bが、典型的な抗癌薬よりもはるかに広範な治療指数を有することを示唆する。例7動物のSNX2-1-165処置は、その後の腫瘍の増殖を阻害する。 本研究において、CB-17 SCIDマウス(8週齢)に、5回の1日1回のSNX2-1-165(40mg/kg)またはキャリアのみのi.p.注射を、群あたり10個体のマウスに行った。マウスに、次いで、s.c.で、1×106細胞のヒトA549肺癌細胞株を注射した;午前中に処置の最後の用量を投与した同じ日の午後に、腫瘍細胞を注射した。腫瘍注射の後の第7日から開始して、マウスを腫瘍形成について、週2回、3〜4日間の間隔で、腫瘍注射の後の第24日までモニタリングした;ノギス測定を介して腫瘍容積を計算した。研究の終了時において、両方の群中の全てのマウスが、測定可能な腫瘍を発症した。図8は、両方の群における腫瘍容積の平均値および標準偏差を経時的にプロットする;図8中の表は、2群の間の腫瘍容積の差についてのp値を示す(スチューデントt検定)。図8は、CDK8/19阻害剤SNX2-1-165による前処置の、その後のマウスにおけるA549ヒト肺異種移植腫瘍の増殖に対する効果を示す。各点は、10個体のマウスの群内における腫瘍容積の平均値および標準偏差を表わす。著しいことに、SNX2-1-165により前処置されたマウスは、対照群よりも有意により遅い腫瘍の増殖を示し、第21日および24日においてp<0.007に達した。したがって、無腫瘍の動物のCDK8/19阻害剤による前処置は、その後の腫瘍の増殖を阻害する。 次に、本発明者らは、6〜8週齢のメスヌードマウス(群あたり4個体)の脂肪パッドにおいて、最後のSenexin B処置の後で同所的に注射したMDA-MB-468トリプルネガティブ乳癌(TNBC)細胞の生着に対する、25mg/kgの日用量のSenexin B(i.p.)による5日間の前処置の効果を試験した。触知可能な腫瘍の出現を、毎日スコアづけした。図9Aにおいて示すとおり、Senexin B前処置されたマウスは、注射部位において、対照と比較して有意により遅い触知可能な腫瘍の出現を示した。図9Bにおいて示される実験において、マウスを、MDA-MB-468注射の前(3日間)と注射の後の両方において、処置した(40mg/kgのSenexin Bによる毎日のi.p.注射)。腫瘍容積のノギス測定は、Senexin Bの毎日の投与が、腫瘍増殖の強力かつ持続的な阻害をもたらすことを示した(図9B)。例8発癌性β−カテニン活性に対するSenexin Bの効果 異なる濃度のSenexin Bの、HCT116大腸癌細胞におけるβ−カテニン依存性TOPFLASHプロモーターからのルシフェラーゼ発現に対する効果を、米国特許公開20120071477においてSenexin A(SNX2-1-53)について記載されるように測定した。Senexin Bは、発癌性β−カテニン活性の濃度依存的阻害を示す(図10)。例9無再発の乳癌からの生存に対するCDK8発現の効果 乳癌におけるCDK8発現の影響を試験するために、乳癌についての複数の研究からのマイクロアレイ遺伝子発現データを用いて予後に対する遺伝子の効果を評価するオンラインの生存分析ツール(http://kmplot.com/analysis/)(10)を用いた。図11は、CDK8およびCDK8に関連する遺伝子の発現と無再発生存(RFS)との間の相関についてのカプラン・マイヤー(KM)プロットを示す。これは、遺伝子発現のメタ分析のためのウェブベースのプログラム(10)を用いて作成した。2,896人の乳癌患者からのAffymetrixマイクロアレイデータ;試験した各々の遺伝子についてJetSetの最良のプローブセットを選択した。これらの患者のうちで、995人は、試料採取の後で、アジュバント全身治療を受けなかったことが知られており(未処置)、1,465人は、全身治療を受けた(処置)。CDK8の高発現(2,896人の患者の間の中央値により定義されるもの)は、全乳癌患者において、低い無再発生存との著しい相関を示した(p=2.6×10−15)。この相関は、未処置の患者の間では、はるかにより弱い(p=0.0055)が、処置された患者の間では、はるかにより強力であり(p=0)、このことは、CDK8発現の負の予後的影響が、処置に対して非依存的な腫瘍の進行に対してよりも、処置の応答に対して、より高い程度で関連づけられることを示している。同様に、CCNC(サイクリンC、CDK8の結合パートナー)、CDK19(別名CDC2L6、CDK8のアイソフォーム)およびMED13(メディエーター複合体のCDKモジュールにおいてCDK8/CCNCと相互作用するタンパク質(2))の中央値より高い発現がまた、全患者の間で有意な相関を示し、未処置の患者の間では相関を示さず、処置された患者の間では非常に強力な相関を示し(図11)、このことは、これらの遺伝子の発現の負の予後的影響は、腫瘍の進行よりも寧ろ処置応答に対して関連付けられることを示した。対照的に、メディエーターのCDKモジュールの別のサブユニットであるMED12は、逆の相関を示し、MED12の中央値以下の発現が、より短いRFSと強力に関連づけられた。また、CDK8およびこの分析における他の遺伝子とは対照的に、MED12は、処置された患者と未処置の患者との間で、類似の相関を示し(図11)、このことは、MED12発現の正の予後的影響が、処置応答よりも寧ろ腫瘍の進行に対して関連付けられることを示した。このMED12発現の正の影響は、MED12が、TGFβシグナル伝達の負の調節因子として作用することを報告した最近の研究(17)を考慮して説明することができる。これは前記メディエーターにおけるその役割に対して非依存的な活性である。 これらの相関は、CDK8、CCNC、CDK18およびMED13の高発現が、乳癌におけるアジュバント治療の失敗と関連していること、ならびに、その腫瘍がこれらの遺伝子の低発現を示す患者が特にアジュバント治療から利益を受ける可能性があることを示す。さらに、CDK8の高発現およびMED12の低発現は、乳癌において処置に対して非依存的な有害な進行と関連している。CDK8発現について観察された著しい臨床的相関はまた、標準的な治療と組み合わせたCDK8の薬理学的阻害が、患者の無疾患寿命の増大を劇的にもたらし得ることを示唆する。例10高いCDK8、CDK19およびCCNCの発現は、DNA傷害性の化学療法薬に対する腫瘍の耐性と関連する 米国特許出願公開第20080033000号において記載されるように、DNA傷害性抗癌剤(ドキソルビシンまたは電離放射線など)は、腫瘍促進性のパラ分泌活性の産生を誘導する。この敵対的な傷害性応答は、選択的CDK8/19阻害剤により阻害される。これらの知見は、高レベルのCDK8を発現している腫瘍は、CDK8により媒介されるかかるパラ分泌活性の誘導に起因して、DNA傷害剤に対して耐性であり得ることを示唆した。上述のオンライン生存分析ツール(http://kmplot.com/analysis/)は、乳癌のみならず、1,107症例の卵巣癌からのマイクロアレイ遺伝子発現データを含み、後者の症例において、腫瘍試料は、患者が受けた処置の型(白金化合物またはタキサン)により層別化されていた。CDK8、CDK19およびCCNCの高発現は、卵巣癌患者の間で低い生存率と有意に相関し、この相関は、DNA傷害性の白金化合物により処置された1,000人の患者の間でさらに強力となった。著しいことに、遺伝子発現の、低い生存率との相関は、微小管阻害性の薬物であるタキソールにより処置された529人の患者の間では失われた(図12)。したがって、CDK8、CDK19およびCCNCの発現は、臨床的な癌のDNA傷害性化学療法における失敗と強力に関連している。その腫瘍が高レベルのCDK8、CDK19またはCCNCを発現する患者は、DNA傷害性化学療法薬による処置から利益を受ける可能性が低いであろう。低いCDK8発現は、全身的に処置された患者の間で、約10年長い無再発生存と関連している。したがって、DNA傷害誘導性のパラ分泌活性におけるCDK8の役割は、CDK8阻害剤がDNA傷害性の薬物と有利に組み合わされ得ることを示す。例11乳癌試料の免疫組織化学染色 また、CDK8のタンパク質発現を、乳癌の臨床試料において、US Biomaxからの市販の乳癌組織アレイを用いて分析した。これは、顕微鏡スライド上のホルマリン固定された胸部生検のパラフィン包埋連続切片を含む。洗浄、エピトープ暴露、およびペルオキシダーゼブロッキングのステップの後で、スライドを一晩4℃でCDK8に対する抗体(ヤギポリクローナル、1:250希釈;Santa Cruz SC1521)と共に、Antibody Amplifier(ProHisto, LLC)を用いてインキュベートした。1:2000希釈されたポリマーベースのロバ抗ヤギ二次抗体(SC-2020, Santa Cruz)中での1.5時間にわたるインキュベーションにより、抗体結合領域を検出した。DABおよびメチルグリーンによるカウンター染色を用いて、発色性検出を達成した。図13Aは、10倍対物レンズにおいて撮影した浸潤性乳管内乳癌の切片(US Biomax BR1003)の代表的な染色の例を示す。この分析は、最も強力なCDK8染色が、間質細胞ではなく腫瘍と関連していることを示す。乳癌の異なるステージにおけるCDK8タンパク質発現の免疫組織化学(IHC)分析は、CDK8が、浸潤性乳管癌において、正常または過形成性の胸部組織または小葉内癌と比較して、上昇していることを示す(図13B)。例12乳癌細胞におけるCDK8阻害剤単独の効果 乳癌におけるCDK8の重要な役割を示す臨床的相関と共に、選択的CDK8/19阻害剤であるSNX2-1-165が、細胞培養における異なる乳癌細胞株の増殖を阻害するか否かを試験した。細胞を、96ウェルプレート中に、1,500細胞/ウェルにおいて播種し、キャリアまたは段階的に増加する濃度のSNX2-1-165に対して(4連(in quadruplicates)で)5日間暴露した;MTTアッセイにより細胞の生存を測定した。図14において示すとおり、MDA-MB-468およびMDA-MB-157などの特定の乳癌細胞株は、SNX2-1-165により用量依存的な増殖の阻害を示したが、一方、4T1などの特定の他のものは、最高濃度のCDK8/19阻害剤を例外として、これを示さなかった。これらの結果は、乳癌におけるCDK8、CDK19およびCCNCの発現と低い生存率との相関と共に、乳癌の治療のためのCDK8/19阻害剤の有用性を示す。例13Senexin Bはトリプルネガティブ乳癌(TNBC)異種移植腫瘍の増殖を阻害し、TNBC異種移植片をドキソルビシンに対して感作する 図15Aは、メスSCIDマウスに同所的に注射したTNBC株であるMDA-MB-231を用いた研究の結果を示し、腫瘍が形成された後で、マウスを、4つのコホート(n=10)に無作為化し、7〜10日間の間隔を開けて、3ラウンドの以下により処置した:ビヒクル(5回の日用量)、1mg/kgのドキソルビシン(単用量)、40mg/kgのSenexin B(5回の日用量)、またはドキソルビシン(単用量)+Senexin B(5回の日用量)。Senexin Bは、ここでは、36日間の処置期間のうち15日目にのみ投与したが、Senexin B単独により処置した群では、ドキソルビシン単独で処置した群と類似の腫瘍の増殖の減少を示した。これは、実験の終了時において腫瘍の重量の分布により示された(図15A)。著しいことに、ドキソルビシン処置されたマウスは、対照マウスよりも約15%低い体重を有したが、一方、Senexin B処置されたマウスは、対照との有意な体重の差異は示さず、このことは、両方の薬物の類似の腫瘍阻害効果にもかかわらず、毒性がないことを示す。Senexin Bおよびドキソルビシンと組み合わせた処置は、相加的効果を示した(図15A)。 図15Bは、MDA-MB-468 TNBC異種移植片モデルを用いた研究の結果を示す。メスヌードマウスにMDA-MB-468細胞を播種し、触知可能な腫瘍が形成された後で、マウスを4群に無作為化し、毎日i.p.で、ビヒクル単独で(n=12)、40mg/kgのSenexin B、2週間空けた2回の4mg/kgのドキソルビシンによる注射、または、Senexin Bと組み合わせたドキソルビシンで(後の群のそれぞれについてはn=8)処置した。図15Bは、各々の群における30日間の処置の後での腫瘍容積の分布(ノギス測定)を示す。Senexin Bおよびドキソルビシンのいずれも、腫瘍増殖を有意に遅延させ、二つの処置の組み合わせは、各々の個々のレジメンと比較して有意な改善をもたらした(図15B)。例14Senexin B処置はMDA-MB-468 TNBC腫瘍浸潤を阻害する 図15Bにおいて示す実験の終了時において、マウスを犠牲死させ、腫瘍を取り除き、ホルマリン固定し、薄切してH&E染色の後で組織学的分析のために処理した。この分析は、腫瘍のうちの幾つかは、筋肉層中への浸潤的な増殖を示し、他のものは浸潤せず、腫瘍組織領域と正常組織領域との間に明確な分離を残すことを示した。図16Aは、10×および40×の対物レンズで撮影した4つの腫瘍のH&E染色の例を示し、非浸潤性増殖の2症例および浸潤性増殖の2症例を説明する。図16Bは、ビヒクルのみ、Senexin Bのみ、ドキソルビシンのみ、またはドキソルビシンおよびSenexin Bで処置されたマウスの群における、浸潤性および非浸潤性の増殖の症例の分布を示す。ビヒクルのみまたはドキソルビシンのみで処置された腫瘍の大多数は浸潤性の増殖を示したが、単独またはドキソルビシンと組み合わせたSenexin Bで処置された腫瘍のほぼ全てが、非浸潤性であった。Senexin Bのこの効果は、有意性が高く、このことは、CDK8阻害剤が抗浸潤性を有すること、およびしたがって抗転移性であることを示している。 CDK8およびCDK19を特異的に阻害する低分子化合物であり、ただし、該低分子化合物は、コルチスタチンAまたはUS20080033000もしくはUS20120071477において開示される低分子化合物ではない。 構造式IまたはII:式中、各々のBは、独立して、水素またはであり、ただし、少なくとも1つのBは水素であり、1つより多くのBが水素とはならず;Dは、−NH、−N−低級アルキル、またはOから選択され;nは0〜2であるを有する、請求項1に記載の低分子化合物。 低級アルキルがメチルである、請求項1に記載の低分子化合物。 nが0または1である、請求項1に記載の低分子化合物。 nが1である、請求項1に記載の低分子化合物。 SNX2-1-162、SNX2-1-163、SNX2-1-164、SNX2-1-165、SNX2-1-166およびSNX2-1-167からなる群より選択される、請求項1に記載の低分子化合物。 低分子化合物SNX2-1-165。 図1において示される構造の群より選択される、請求項1に記載の低分子化合物。 請求項1〜8のいずれか1項に記載の化合物および生理学的に受容可能なキャリアまたは希釈剤を含む、医薬処方物。 CDKIにより媒介される疾患を有する哺乳動物を治療的に処置するための方法であって、該哺乳動物に請求項9に記載の医薬処方物の治療有効量を投与することを含む、前記方法。 CDKIにより媒介される疾患が、アルツハイマー病、他の認知症、アミロイドーシス、アテローム性動脈硬化症、腎疾患、ウイルス性疾患および癌から選択される、請求項10に記載の方法。 疾患が癌またはHIV感染である、請求項11に記載の方法。 β−カテニンを発現する腫瘍を有する患者において癌を処置するための方法であって、該患者に請求項2〜8のいずれか1項に記載の低分子化合物を投与することを含む、前記方法。 癌を発症するリスクがある患者を化学防御するための方法であって、該患者にCDK8/19の特異的阻害剤を投与することを含む、前記方法。 腫瘍についての減量処置を受けた癌患者において癌の再発または転移を予防するための方法であって、該患者に減量術の後でCDK8/19を特異的に阻害する低分子化合物を投与することを含む、前記方法。 患者が卵巣癌または乳癌患者である、請求項15に記載の方法。 患者にCDK8/19を特異的に阻害する低分子化合物を投与することを含む、腫瘍浸潤を予防するための方法。 癌患者を処置するための方法であって、該患者に、CDK8/19を特異的に阻害する低分子化合物を、DNA傷害剤と組み合わせて投与することを含む、前記方法。 患者が卵巣癌または乳癌患者である、請求項18に記載の方法。 患者における線維芽細胞および間質細胞の1または2以上による腫瘍促進因子の分泌を阻害するための方法であって、ここで該分泌はDNA傷害剤により誘導され、前記方法は、前記患者にCDK8/19を特異的に阻害する低分子化合物を投与することを含む、前記方法。 外科手術と組み合わせて患者に与えられたアジュバント治療の効力を改善するための方法であって、CDK8/19を特異的に阻害する低分子化合物を、前記アジュバント治療と組み合わせて投与することを含む、前記方法。 患者において乳癌を処置するための方法であって、該患者にCDK8/19を特異的に阻害する低分子化合物を投与することを含む、前記方法。 請求項10〜21のいずれか1項に記載の方法であって、低分子化合物が、構造式IまたはII:式中、各々のBは、独立して水素またはであり、ただし、少なくとも1つのBは水素であり、1つより多くのBが水素とはならず;Dは、−NH、−N−低級アルキル、またはOから選択され;nは0〜2であるを有する、前記方法。 低級アルキルがメチルである、請求項23に記載の方法。 nが0または1である、請求項23に記載の方法。 CDK8/19を特異的に阻害する低分子化合物が、SNX2-1-162、SNX2-1-163、SNX2-1-164、SNX2-1-165、SNX2-1-166およびSNX2-1-167からなる群より選択される、請求項21に記載の方法。 CDK8/19を特異的に阻害する低分子化合物がSNX2-1-165である、請求項25に記載の方法。 CDK8/19を特異的に阻害する低分子化合物が、図1において示される化合物から選択される、請求項10〜21のいずれか1項に記載の方法。 CDK8/19の特異的阻害剤が経口で投与される、請求項22に記載の方法。 CDK8/19の特異的阻害剤が経口で投与される、請求項28に記載の方法。 癌患者がDNA傷害剤により処置されるために好適であるか否かを決定するための方法であって、該患者からの腫瘍試料においてCDK8、CCNCおよびCDK19の1または2以上が過剰発現されるか否かを決定することを含む、前記方法。 腫瘍試料においてCDK8が過剰発現されるか否かが決定される、請求項31に記載の方法。 患者が卵巣癌または乳癌患者である、請求項31に記載の方法。 癌患者における腫瘍の再発または転移の可能性を決定するための方法であって、該患者からの腫瘍試料においてCDK8、CCNCおよびCDK19の1または2以上が過剰発現されるか否かを決定することを含む、前記方法。 腫瘍試料においてCDK8が過剰発現されるか否かが決定される、請求項34に記載の方法。 患者が卵巣癌または乳癌患者である、請求項34に記載の方法。 外科的癌患者がアジュバント治療から利益を受けるか否かを決定するための方法であって、該患者からの腫瘍試料においてCDK8、CCNCおよびCDK19の1または2以上が過剰発現されるか否かを決定することを含む、前記方法。 腫瘍試料においてCDK8が過剰発現されるか否かが決定される、請求項37に記載の方法。 患者が卵巣癌または乳癌患者である、請求項34に記載の方法。 本発明は、サイクリン依存性キナーゼ阻害剤(CDKI)経路を阻害するための化合物および方法に関する。ことさらには、本発明は、老化関連および他のCDKI関連疾患における研究および介入のための、CDKI経路を阻害するための化合物および方法に関する。本発明は、可溶性および/または効力が改善された新たな化合物、ならびにそれらの使用のための方法を提供する。多様な側面において、本発明は、癌の処置に関する。本発明は、腫瘍の再発または転移の化学防御および予防のための方法を提供する。本発明はさらに、特定の癌の型のための処置のための診断技術を提供する。本発明は、CDK8/19の特異的阻害剤、および/または患者におけるCDK8レベルの測定を利用する。


ページのトップへ戻る

生命科学データベース横断検索へ戻る