生命科学関連特許情報

タイトル:公表特許公報(A)_シアリル化オリゴ糖を提供するための方法
出願番号:2014545846
年次:2015
IPC分類:A61K 31/702,A61P 31/04,A23L 1/30,A23C 9/152,A23K 1/16,A61P 1/00,C07H 5/06


特許情報キャッシュ

サロモンス,エリック ヴィルブリンク,マールテン・ホーツェ サンデルス,ピーテル カメルリンク,ヨハンニス・パウルス ファン・ヴーレ,カタリナ・アンナ ハーヘ,ヨハネス・アドリアヌス JP 2015508388 公表特許公報(A) 20150319 2014545846 20121206 シアリル化オリゴ糖を提供するための方法 フリースランド・ブランズ・ビー・ブイ 502295618 ライクスユニヴェルシタイト・フローニンゲン 511269624 ダーリン・イングリーディエンツ・ネーデルランド・ビーブイ 514143806 DARLING INGREDIENTS NEDERLAND B.V. 特許業務法人 津国 110001508 津国 肇 100078662 柳橋 泰雄 100131808 伊藤 佐保子 100119079 三宅 俊男 100116528 柴田 明夫 100146031 小國 泰弘 100122736 田中 洋子 100122747 生川 芳徳 100132540 田中 聖 100146422 サロモンス,エリック ヴィルブリンク,マールテン・ホーツェ サンデルス,ピーテル カメルリンク,ヨハンニス・パウルス ファン・ヴーレ,カタリナ・アンナ ハーヘ,ヨハネス・アドリアヌス NL 2007931 20111207 A61K 31/702 20060101AFI20150220BHJP A61P 31/04 20060101ALI20150220BHJP A23L 1/30 20060101ALI20150220BHJP A23C 9/152 20060101ALI20150220BHJP A23K 1/16 20060101ALI20150220BHJP A61P 1/00 20060101ALI20150220BHJP C07H 5/06 20060101ALN20150220BHJP JPA61K31/702A61P31/04A23L1/30 ZA23C9/152A23K1/16 303DA61P1/00C07H5/06 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC NL2012050857 20121206 WO2013085384 20130613 31 20140804 2B150 4B001 4B018 4C057 4C086 2B150AA01 2B150AA02 2B150AA03 2B150AB10 2B150AE13 2B150AE42 2B150CE02 2B150CE04 2B150CE05 2B150CE07 2B150CE11 2B150CJ08 2B150DA41 2B150DC14 2B150DC15 2B150DH04 2B150DH14 4B001AC03 4B001EC05 4B018MD31 4B018ME14 4C057AA03 4C057BB04 4C086AA01 4C086AA02 4C086EA01 4C086MA01 4C086MA04 4C086MA52 4C086NA14 4C086ZB35 4C086ZC61 本発明は、ヒト乳オリゴ糖(HMO)の類似体、特に、末端シアル酸を含むオリゴ糖(以下:シアル酸含有オリゴ糖)、特にシアリル化ガラクトオリゴ糖(Sia−GOS)を提供するための方法に関する。また、本発明は、入手可能なシアリル化オリゴ糖、及び、特に乳児食品及び動物飼料におけるその使用に関する。 ヒト乳は、異なる生理学的機能(病原微生物についてのプレバイオティクス成分及び抗接着成分を含む)を伴う多量で多様な(>100の構造)オリゴ糖を含む。特に、シアル酸含有オリゴ糖(SOS)は、大腸菌及びサルモネラ種を含む、病原性微生物の小腸での接着を阻害することが示された。SOSはヒト乳に豊富に存在し(0.6〜3.3g/l)、授乳(初乳)の最も初期段階の牛乳中でさらに高濃度に達することができる。牛乳中には、しかし、SOSは、非常に少量しか存在しない。従って、ヒト乳と牛乳ベースの乳児用調合乳の間での大きな矛盾が、SOSの豊富さに関して存在する。 ヒト乳のシアリル化オリゴ糖において、Nアセチルノイラミン酸(Neu5Ac)は、α2−3もしくはα2−6連結を介して後から2番目のガラクトース残基に又はα2−6連結を介して内部Nアセチルグルコサミン残基に付着される(シアリルトランスフェラーゼの作用により形成される)。いくつかの病原性微生物(例えばビブリオ・コレラエ、大腸菌、ヘリコバクターピロリ、ならびにインフルエンザウイルスA及びBなど)は、標的細胞上のシアル酸を含む炭水化物受容体構造を認識する;ヒト乳中のシアリル化成分は、従って、可溶性の受容体類似体として機能し、細胞表面受容体へのこれらの病原体の付着を阻害しうる。シアル酸は、乳児の脳ガングリオシド及びシアリル糖タンパク質の合成のために用いられることが提案されている。ヒト乳が、乳児のためのシアル酸の豊かな供給源であるという事実は、産後の最初の月の間での脳ガングリオシドの迅速な形成が、乳シアリル−オリゴ糖及びシアリル複合糖の代謝利用に依存することを示唆する。 ルールとして、その目的は、乳児及び新生児用食品を可能な限りヒト乳に似せることであるため、いくらかの研究者は、そのような食品(特に、乳児用ミルク製剤を伴う)をシアル酸含有オリゴ糖で豊かにする必要性を認識した。 焦点は、主にシアリルラクトースにあった。なぜなら、これらは、他の哺乳動物種と比較し、ヒト乳中に著しく高い濃度で存在するためである。シアリルラクトースは、特定の病原性細菌について抗接着特性を有することが公知である。例えば、シアリルラクトースは、インビトロでコレラ毒素(Idota et al., Biosci. Biotech. Biochem. 59: 417-419, 1995)及びヘリコバクター・ピロリ(Simon et al., Infection and Immunity 65: 750-757, 1997)を阻害するように作用する。 その抗接着特性に照らして、シアリルラクトースは、多くの医学的状態を処置又は防止するために使用されてきた。例えば、US 5,260,280には、細菌エンテロトキシンの効果を中和する、シアル酸含有オリゴ糖を含む組成物が開示されている。US 5,514,660、US 5,753,630、及びUS 5,883,079には、シアル酸含有オリゴ糖の効果的な量を投与することにより、それぞれ、胃又は十二指腸における潰瘍を処置又は防止する、あるいはヘリコバクターピロリ感染を阻害するための方法が開示されている。US 5,620,965は、特定のオリゴ糖の効果的な量を投与することによる、胃又は十二指腸細胞への細菌ヘリコバクターピロリの結合を阻害するための組成物に関する。US 5,834,423には、ビフィズス菌の増殖を促進するシアル酸誘導体及び抗下痢剤としての特定のシアリル化オリゴ糖の効果的な量の使用が記載されている。シアリル化オリゴ糖は、3’シアリルラクトース及び6’シアリルラクトース(シアル酸=Neu5Ac)を含む。W02001060346には、相乗的に作用し、有益なビフィズス菌の成長を刺激するプレバイオティック物質(オリゴフルクトース及びシアリルラクトース)を含む栄養組成物が開示されている。WO01/60346には、栄養組成物、例えば、オリゴフルクトース及びシアリルラクトースを含む乳児用調合乳などが開示されている。EP1549151には、オリゴフルクトース、シアリルラクトース、及びプロバイオティック細菌の組み合わせによって、病原性細菌、特に腸内病原性大腸菌を伴う腸感染症が根絶され、従って、腸内病原性大腸菌に起因する下痢の予防のために使用してもよいことが記載されている。US20070104843は、特に乳児、小児、及び高齢者について意図された食品、ならびに医療又は食事目的及び他の食品適用のための食品における使用のための乳由来シアリルラクトース濃縮物に関する。それには、また、天然シアリルラクトースを含む乳産物の限外濾過、それに続く限外濾過保持液の透析濾過を含む、シアリルラクトース濃縮物を産生するためのプロセスが開示されている。WO2009/113861は、出願人の名前において、シアル酸含有オリゴ糖、特にシアリルラクトースを、乳流から、特に乳清流から単離するためのプロセスに関する。プロセスは、高含量のシアリルラクトース及び低含量のリン化合物を有する産物をもたらす。この産物は、乳児用食品を補うために高度に適切である。WO 2010/116317は、工業規模でのその使用を許す条件下でのケーニッヒス−クノール反応によるカップリングの工程を含む、シアリル−オリゴ糖の、特に6’シアリルラクトース及びその塩の合成のプロセスに関する。 Thurl et al.(British J. Nutr. 104: 1261-1271, 2010)は、授乳の最初の3ヶ月間に得られた多数のヒト乳サンプルでの乳オリゴ糖組成の詳細な研究を報告した。分析したシアリル化オリゴ糖は、3’シアリルラクトース(3’SL)、6’シアリルラクトース(6’SL)、シアリル−ラクト−N−テトラオースa−c(LSTa−c)、及びジシアリルラクト−N−テトラオース(DSLNT)であった。シアリルラクトースの他、DSLNTが最も顕著なシアリル化オリゴ糖であることが見出された。DSLNTは、産後の最大時間曲線15日を示した。Asakuma et al.(Biosci. Biotechnol. Biochem., 71: 1447-1451, 2007)は、授乳の最初の3日間でのヒト初乳のシアリル−オリゴ糖中の濃度における変化を研究した。決定した初乳シアリル−オリゴ糖の内、LSTcが最も高い濃度で存在し、DSLNT、3’SL、及び6’SLが続いた。 故に、本発明の目標は、ジシアリル化HMOの類似体として使用することができる(人工の)ジシアリル化オリゴ糖の製造のためのプロセスを提供することである。好ましくは、このプロセスを簡単にスケールアップし、工業規模でジシアリル化オリゴ糖を生成することができる。有利なことに、前記プロセスでは、食肉又は酪農産業など、他の種類の産業からの比較的安価な副産物を使用する。 驚くべきことに、上の目標は、シアル酸を用いてガラクトオリゴ糖(GOS)を修飾することにより満たすことができることが見出された。GOSは、DP2−9の範囲で、複数のガラクトース(Gal)単位を含むオリゴ糖であり、酵素βガラクトシダーゼによりラクトースから合成される。GOSは工業規模で産生され、種々の最終産物(例えば乳児用調合乳及び乳製品ベースの飲料など)での適用を有する。GOSはヒト小腸中で分解されないため、それらは大部分が無傷で結腸に達し、そこで、有益な細菌(乳酸桿菌及びビフィズス菌など)の成長を刺激するプレバイオティクスとしての役割を果たす。GOS中のGal/Gal連結型は、使用されたβガラクトシダーゼの供給源に依存し、(β1−2)、(β1−3)、(β1−4)、及び/又は(β1−6)である。バチルス・サーキュランスからのβガラクトシダーゼの場合において、Vivinal GOS(FrieslandCampina Domo)をもたらし、主要なGal/Gal連結型は(β1−4)であり、より低い程度で(β1−3)及び(β1−6)であり、直鎖及び分枝オリゴ糖の還元中に存在する(表1)。GOSのグルコース部分は、また、(α1−1β)連結を介して、追加のGal残基を用いてさらに伸長することができるGal部分と接続してもよい(Fransen et al., Carbohydr. Res. 314: 101-114, 1998)。本発明者らは、還元分枝オリゴ糖及び非還元直鎖オリゴ糖の両方が、2つの末端Gal単位、及び、故に、2つの非還元末端を持つGOS分子をもたらすことを認識したが、それらの各々は、シアル酸供与体及びトランス−シアリダーゼ(TS)酵素活性を使用し、シアル酸残基を伴い修飾することができる。 表1.バチルス・サーキュランスβガラクトシダーゼを用いて調製された、解明されたGOS構造(Yanahira et al., Biosc. Biotech. Biochem. 59: 1021-1026, 1995; Fransen et al., Carbohydr. Res. 314: 101-114, 1998; Fransen, PhD thesis Utrecht University, 1999; Coulier et al., J. Agr. Food Chem. 57: 8488-8495, 2009) したがって、一実施態様において、本発明は、シアル酸含有オリゴ糖を含む組成物を提供するための方法に関し、以下の工程: a)少なくとも2つの末端結合したβ連結ガラクトース残基を含む非消化性ガラクトオリゴ糖の供給源を提供すること; b)シアル酸供与体を提供すること; c)前記ガラクトオリゴ糖と前記シアル酸供与体を、酵素反応混合物中のトランスシアリダーゼ活性を有する酵素の存在において接触させること;及び d)前記酵素反応混合物から、乾燥物に基づくジシアリル化ガラクトオリゴ糖(ジ−Sia−GOS)の少なくとも5重量パーセントを含む分画を得ることを含む。 一実施態様において、非消化性ガラクトオリゴ糖の供給源は、βガラクトシダーゼ(EC3.2.1.23)を用いたラクトースの酵素処理により得られる。異なる供給源(例えば真菌、酵母、及び/又は細菌など)からのβガラクトシダーゼを使用し、変動する鎖長及び異なるグリコシド連結比を伴うオリゴマーの混合物をもたらしうる。例えば、57%GOS、21%ラクトース、ならびに22%グルコース及びガラクトースを含む商業的なガラクトオリゴ糖調製物Vivinal GOS(Friesland Campina Domo)を使用することができる。GOS部分は、DP>2分画中に、2つの末端ガラクトース単位を有する還元分岐及び非還元ガラクトオリゴ糖の妥当な量を含む。一実施態様において、ラクトース及びα,αトレハロース[Glc(α1−1α)Glc]の混合物を、βガラクトシダーゼを用いて処理する。 GOS出発材料を前処理し、2つの末端結合したβ連結ガラクトース残基を有するそれらの種について濃縮してもよい。例えば、DP1及び/又はDP2種は、トランス−シアリダーゼ処理の前に除去してもよい。別の実施態様において、低ラクトース含量を有するGOS出発組成物(例、Vivinal−GOS90)が適切に使用される。個々のGOS構造は、当技術分野において公知の方法により、GOS種の混合物から分離及び単離することができる。例えば、ナノ濾過は、Goulas et al.(J. Membr. Sc. 209: 321-335, 2002)において記載される通りに使用することができる。好ましい実施態様において、GOS混合物は、陽イオン交換クロマトグラフィーを使用して分画され、好ましくは、それにおいて、陽イオン交換樹脂の対イオンはカリウムである。WO2008/041843には、GOS種の混合物から種々のDP分画を単離するための方法が開示されている。 トランス−シアリダーゼ(図1)は、シアル酸(Neu5Ac又はNeu5Gc)を、種々の供与体から、端末のβ連結Gal残基を含むアクセプター基質へ効率的に転移するユニークな能力を伴う酵素である。最も良く試験されたTSは、ヒト寄生虫トリパノソーマ・クルーズ(TcTS)からのものであり、また、TS酵素は、密接に関連するトリパノソーマ種(例えばトリパノソーマ・ブルーセイ及びトリパノソーマ・コンゴレンスなど)からが公知である(Schauer and Kamerling, ChemBioChem 12: 2246-2264, 2011)。 TcTSは、以前に、(α2−3)連結シアル酸(Neu5Ac及びNeu5Gcの両方)だけを持つ供与体基質に対して活性であることが示された(Scudder et al., J. Biol. Chem. 268: 9886-9891, 1993;Agusti et al., Carbohydr. Res. 342: 2465-2469, 2007)。この酵素は保持機構を有し、形成された産物は、また、(α2−3)結合シアル酸を有することを意味する(Scudder et al., 1993)。適切なアクセプターの非存在において、TcTSはヒドロラーゼ(シアリダーゼ)として作用し、遊離シアル酸をその基質から放出する。そのシアル酸転移能力及び広い基質範囲(供与体及びアクセプターの両方)のため、TcTS酵素が、シアリル化オリゴ糖を合成するための糖鎖生物学において広く使用される(例、Neubacher et al., Org. Biomol. Chem. 3: 1551-1556, 2005)。シアル酸をアクセプター分子に転移することが可能な他の酵素は、シアリルトランスフェラーゼである。これらの酵素は、しかし、活性化したシアル酸(CMP−Neu5Ac)を要求する。ヌクレオチド糖は高価であるため、シアリルトランスフェラーゼは、糖鎖生物学における(大規模)適用のためにはあまり適切ではない。 アクセプター分子のトランス−シアリダーゼを用いた酵素的シアリル化は、当技術分野において公知である。US2007/0004656を参照のこと(トリパノソーマ・コンゴレンスから単離された新規酵素及びワクチン、医薬、食材、又は食品添加物における使用のためのシアリル化産物を産生するためのその適用を開示する)。GOSは、可能なシアル酸アクセプターのリスト中に含まれているが、ジシアリル化産物中に濃縮された分画の生成及び単離は、開示又は示唆されていない。実際には、GOSのトランスシアリル化がモノシアリル化GOS(モノ−Sia−GOS)だけでなく、しかし、また、ジシアリル化種(ジ−Sia−GOS)をもたらすとの本発明の観察は、これまで報告されていない。 本発明に従って入手可能なジ−Sia−GOS種の重合(DP)の程度は、無論、DP又は使用されるGOSアクセプター分子のDPの範囲に依存する。前記の通り、典型的なGOS調製物は、DP2〜8の間の範囲のオリゴ糖を含む。Vivinal GOSについて、混合物は、Gal(β1−x)Gal(β1−x)….Gal(β1−x)Glc(主要な量;還元線形及び分岐(DP>2)GOS成分)、x=4(主に)、3、及び6を伴う;及びGal(β1−4)Gal(β1−4)…Gal(β1−4)Glc(α1−1β)Gal(4−1β)…Gal(4−1β)Gal(少量;非還元GOS成分)としておおまかに記載される(表1)。 一実施態様において、本発明の方法は、乾燥物に基づく、ジ−Sia−GOSの少なくとも5重量パーセント、好ましくは少なくとも7、10、12、18、20、22、25、27、又は30重量%を含む分画の単離を含み、それにおいて、ジ−Sia−GOSは、DP5からDP11、好ましくはDP6からDP8の範囲内の重合の程度(DP)を有する。 表1に基づいて形成することができる例示的なジシアリル化GOS構造は、以下を含む: 使用されるトランスシアリダーゼの酵素特異性の観点から、用語「シアル酸供与体」は、1つ又は複数の(α2−3)シアリル化グリカン(糖タンパク質、糖ペプチド、糖脂質)又は合成シアル酸グリコシド(例、2’−(4メチルウンベリフェリル)−α−N−アセチルノイラミン酸(4MU−Neu5Ac)を有する任意の化合物を指す(Schauer and Kamerling, ChemBioChem 12: 2246-2264, 2011)。これらは、(α2−3)連結Nアセチルノイラミン酸(Sia=Neu5Ac)供与体及び(α2−3)連結Nアセチルノイラミン酸/Nグリコリルノイラミン酸(Sia=Neu5Ac/Neu5Gc)供与体を含む。ヒト適用のために、好ましくは、シアル酸供与体は(α2−3)連結Neu5Acを含むが、しかし、飼料適用のために、シアル酸供与体は(α2−3)連結Neu5Ac/Neu5Gcを含んでもよい。異なる供与体の組み合わせも使用することができる。 一実施態様の工程b)において、シアル酸供与体は、好ましくは、オリゴ糖、多糖、ポリシアル酸、糖タンパク質に結合したシアル酸より選択される天然化合物である。例えば、シアル酸供与体は、全動物の血漿又は血漿由来の糖タンパク質(屠殺場での典型的な産物である)、及び酪農産業からの乳糖タンパク質、又は糖脂質より選択される。乳糖タンパク質は、牛乳中の多種類において生じる。N及びO連結炭水化物鎖は、頻繁に、シアル酸(Sia)ファミリーのメンバーで終結する。例えば、シアル酸供与体は、グリコシル化された乳清タンパク質及びカゼイン、ならびにそのフラグメントからなる群より選択される。 本発明における使用のための高度に有利なシアル酸供与体は、κカゼインからのグリコマクロペプチド(GMP)であり、それは、酪農産業における副産物として産生される。GMPは、Oグリカンを用いて修飾され、Neu5Ac(α2−3)Gal(β1及びNeu5Ac(α2−6)GalNAc(α1単位の両方を含む(van Halbeek et al., Biochim. Biophys. Acta 623: 295-300, 1980)。本発明の方法における(α2−3)連結Nアセチルノイラミン酸(Sia=Neu5Ac)供与体としてGMPを用いて、結果として得られたジ−Sia−GOSでは、とりわけ、乳児用栄養機能性食品においてその方法を見出すであろう。 別の好ましい実施態様において、シアル酸供与体は、グリコシル化された動物性粘液タンパク質、及びそのフラグメントからなる群より選択される。動物性ムチンは、比較的高い炭水化物含量を伴う糖タンパク質である。O連結炭水化物鎖は、頻繁に、シアル酸(Sia)ファミリーのメンバーで終結し、それらの内、Nアセチルノイラミン酸(Neu5Ac)及びNグリコリルノイラミン酸(Neu5Gc)が最も重要なものである。異なるムチンが、異なるシアリル化パターンを有することができる。特に興味深いのは、シアル酸含有材料としての、豚及び牛の小腸ムチン糖タンパク質(屠殺場での典型的な副産物)である。例えば、文献に従い、ブタ小腸ムチン糖タンパク質(PSMG)のシアリル化パターンは、Neu5Ac(α2−3)Gal(β1−、Neu5Gc(α2−3)Gal(β1−、Neu5Ac(α2−6)GalNAc(α1−、及びNeu5Gc(α2−6)GalNAc(α1単位)を含む(Hansson et al., Carbohydr. Res. 221: 179-189, 1991)。(α2−3)連結Nアセチルノイラミン酸/Nグリコリルノイラミン酸(Sia=Neu5Ac/Neu5Gc)供与体としてPSMGを用いて、結果として得られたジ−Sia−GOSでは、とりわけ、動物飼料産業においてその方法を見出すであろう。例えば、シアル酸供与体は、産生プロセスにおいてムチンから得られ、それにより、豚腸を、ケーシングの産生のために清浄し(胎児糞尿の除去、ムチンの押圧、大網膜の押圧、ケーシングのさらなる処理)、シアル酸含有ムチンバイオポリマーの濃縮及び/又はさらなる精製/酵素分解が続く。 このように、一実施態様において、本発明は、機能性食品を向上するための、屠殺場及び酪農産業からの比較的安価な副産物から得られるシアル酸供与体を使用した酵素的なトランスグリコシル化を含む。 一実施態様において、本明細書において開示する方法の工程c)では、トリパノソーマ属、好ましくはトリパノソーマ・クルーズ又はトリパノソーマ・コンゴレンスの微生物からの遺伝子産物によりコードされるトランス−シアリダーゼ活性を有する酵素が使用される。好ましくは、前記酵素を、宿主細胞(例、大腸菌などの細菌宿主細胞)中で組換え的に産生する。 インキュベーション条件は、酵素源に依存して変動しうる。TcTSを使用した一実施態様において、酵素反応混合物のpHは、4と6の間、好ましくは4.8と5.8の間の範囲である。好ましい緩衝液は、クエン酸Na、Pipes、及びTris HCl、ならびにそれらの混合物を含む。一実施態様においては、酵素インキュベーションは、クエン酸Na、Pipes、及びTris−HCl(各々25mM)pH5.5の混合物中で実施される。水溶液中で酵素反応を行うことも可能である。例えば、水中でのGMP及びGOSを用いたTcTSのインキュベーションは、pH5.0でのクエン酸Naについて観察されたのと同じ高い変換を与えた。酵素は、タンパク質成分、例えば、ウシ血清アルブミンにより安定化されうるが、しかし、糖タンパク質供与体を使用した場合において、これは必要ではない。 供与体からアクセプターへのシアル酸転移は完全ではないであろうため、GOS、シアリル化GOS、シアル酸供与体、及びアシアロ−供与体の混合物を、理論的には形成することができる。例えば、Vivinal GOSがGOSの供給源として適用される場合において、産物の混合物は、GOS、シアリル化GOS、ラクトース、ガラクトース、グルコース、及びシアリルラクトース(ラクトースもシアル酸のためのアクセプターである)を含むであろう。GMPの場合において、SiaはNeu5Acを表し、PSMGの場合において、Neu5Ac/Neu5Gcを表す。この混合物は、ジシアリル化GOS中に濃縮された分画を単離する工程に先立ち、遠心濾過(スピンフィルター)を介して、高分子糖タンパク質/酵素分画及び低分子量炭水化物分画中に分離してもよい。原則として、Neu5Ac/Neu5Gc混合物を、レクチン又は抗体クロマトグラフィーを介して、そのNeu5Ac及びNeu5Gc成分中に分離することができる。 本発明の方法の工程d)は、前記酵素反応混合物から、乾燥物に基づく、ジシアリル化ガラクトオリゴ糖の少なくとも5重量パーセントを含む分画を単離することを含む。ジシアリル化オリゴ糖は、生理学的pHで1分子当たり2つの負電荷を有するため、それらは、適切には、分離すべき成分間の電荷における差に基づく分離技術、例えば、好ましくは、陰イオン交換クロマトグラフィーなどを使用して単離される。例示的な陰イオン交換樹脂は、Resource Qを含む。例えば、GOS DP5と人工供与体としてのTcTS及び4MU−Neu5Acとの21時間のインキュベーション後、混合物を、中性GOS DP5、モノ−Sia−GOS DP5(DP5の還元線形及び分岐ならびに非還元GOS成分のモノシアリル化)、遊離Sia、及びジ−Sia−GOS DP5分画(DP5の還元分枝及び非還元GOS成分のジシアリル化)において分離することができる(脱塩後のMALDI−TOF−MS及びNMR分光法によりチェックされる通り)。 他の適切な分離技術は、分離すべき成分間のサイズにおける差に基づき、好ましくはサイズ排除クロマトグラフィーである。 用いられる分離手順及び意図される適用に依存し、ジ−Sia−GOS濃縮分画は、さらなる清浄処理(例、陰イオン交換クロマトグラフィーを使用した場合における脱塩手順)に供してもよい。 さらなる実施態様は、本発明に従った方法により入手可能なジシアリル化ガラクトオリゴ糖の少なくとも5重量パーセントを含む組成物に関する。組成物は、好ましくは、ジシアリル化ガラクトオリゴ糖の少なくとも7、10、12、18、20、22、25、27重量%、より好ましくは少なくとも30重量%を含む。一実施態様において、組成物は、モノ−シアリル化オリゴ糖の80重量%未満、好ましくは60重量%未満を含む。ジ−シアリル化とモノ−シアリル化オリゴ糖の重量比は、例えば、1:20〜100:1の間、より好ましくは1:10〜9:1の間である。別の好ましい実施態様において、組成物は、モノ−シアリル化オリゴ糖を本質的に欠く。組成物は、好ましくは、(活性)酵素を含まない。 また、提供されるのは、活性成分としての、例えば、栄養的、医薬的、又は栄養補助食品添加物としてのジシアリル化ガラクトオリゴ糖中に濃縮された組成物の使用である。 一実施態様において、本発明は、本明細書に記載する通りに入手可能なジシアリル化ガラクトオリゴ糖中に濃縮された組成物を含む栄養産物を提供する。ジ−Sia−GOS種の他、食品産物は、他のオリゴ糖、特に、プレバイオティックオリゴ糖及びオリゴ糖の混合物を含みうる。プロバイオティクスの添加も想定される。 栄養産物は、ヒト又は動物の目的のためでありうる。ヒト適用のために、高濃度のNeu5Gcの存在を防止すべきである。なぜなら、Neu5Gcはヒトにおいて生じない又はほとんど生じないからである。故に、ヒト産物における使用のために、(α2−3)連結Nアセチルノイラミン酸(Sia=Neu5Ac)供与体を、シアル酸供与体、例えばGMPとして使用することが好ましい。シアル酸供与体を、(α2−3)連結Nアセチルノイラミン酸/Nグリコリルノイラミン酸(Sia=Neu5Ac/Neu5Gc)、例えばPSMGと使用する場合において、Neu5Gc含有GOS種を、例えば、レクチンクロマトグラフィーにより除去すべきである。特定の局面において、栄養産物は乳児用調合乳である。例えば、ジ−Sia−GOS(それにおいてSiaはNeu5Acである)中に濃縮された分画を、ヒト乳の組成により密接に似せるために、サプリメントとして、従来の乳児用調合乳に加え、それにより調合乳の有益な特性を増強する。本発明のジ−Sia−GOS濃縮物を用いて、乳児用調合乳を、ヒト乳と一致させた濃度において、ジシアリル化オリゴ糖を用いて濃縮することができ、即ち、ジシアリル化オリゴ糖の濃度は、種々の授乳段階のヒト乳の濃度と一致する200〜500mg/lに増加させることができる。無論、濃縮物を、また、適切に使用し、100〜1500mg/lまでのオリゴ糖結合シアル酸の全濃度をもたらす。しかし、本発明の範囲は、ヒト乳組成物における大きな変動に起因し、及び、また、他の(食品)適用が、他のオリゴ糖結合(ジ)シアル酸濃度を要求しうるとの事実に起因し、濃縮のこの範囲に限定されない。本発明において、シアリル化オリゴ糖の濃度は、UV検出システム及びResource Qカラムを備えた高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を使用して測定されており、しかし、許容可能な精度を伴う最先端技術を用いてもよい。 本発明のジ−Sia−GOS分画は、そのようなものとして使用することができる、あるいは、例えば、逆浸透、結晶化、親和性クロマトグラフィー、又はそれらの組み合わせによりさらに処理し、水及び/又は塩を除去することができる、あるいは、それは、単独で又は1つもしくは複数の担体と一緒に乾燥させることができる。任意の担体を使用することができ、例えば、油、脂肪、乳清、脱ミネラル乳清、乳清タンパク質濃縮物、乳清タンパク質単離物、他の乳清分画、乳清又は乳透過物もしくは濃縮物、スキムミルク、全乳、半スキムミルク、ミルク分画、マルトデキストリン、スクロース、ラクトース、天然及びプレゼラチン化デンプン、グルコースシロップ、カゼイン、及びカゼイン分画などである。 本発明のジ−Sia−GOS分画は、その乾燥した濃縮物を含み、任意の栄養組成物(例えば乳児栄養、タンパク質バー、スポーツ栄養、ドリンク、健康補助食品、医療目的及び臨床栄養のための食品など)中で使用することができる。乳児栄養は、乳児用調合乳、後続の調合乳、乳児穀物産物又は成長乳、即ち、1〜3歳の小児のための適切な改変乳又は粉乳に制限することができるが、しかし、されない。 そのような調合乳は、早期産児への投与のために特に適切である。なぜなら、ジ−Sia−GOS濃縮分画は、原生動物、例えば赤痢アメーバ(アメーバ症の原因となる寄生虫)などを含む、有害な微生物による感染症と闘うために有用でありうる。一実施態様において、ジ−Sia−GOS分画を使用し、ヒト腸上皮細胞への微生物病原体の接着を阻害することにより、身体を感染から保護する。例えば、それを使用し、寄生虫のGal/GalNAc−レクチン(接着性及び細胞傷害性を媒介する主要な病原性タンパク質)との相互作用を通じて、宿主細胞への赤痢アメーバの結合を遮断する。故に、また、包含されるのは、乳児用調合乳を提供するための方法であって、乾燥物に基づく、ジシアリルガラクトオリゴ糖の少なくとも50重量パーセントを含む分画を単離すること、ならびに、前記分画を、タンパク質源、脂肪源、炭水化物源、及び他の従来の成分(例えばビタミン及びミネラルなど)と一緒に、乳児用調合乳中に調合することを含む。治療的又は予防的に効果的な量は、種々の因子(例えば、処置される被験者の年齢及び体重、防止又は処置される疾患、投与形態の型など)に依存する。 本発明は、また、本明細書において開示される通り、ジ−Sia−GOS分画を含む組成物の医学的使用に関する。例えば、それは、被験者、好ましくはヒト被験者、より好ましくは早産児における壊死性腸炎(NEC)を処置又は防止する方法において適切に使用される。NECは、主に病気の又は未熟な新生児の腸における深刻な細菌感染症である。それは、腸組織の死(壊死)を起こし、血液中毒(敗血症)に進行しうる。それは、特に極低出生体重児の間で高い死亡率を有する。これらの乳児のおよそ20〜40パーセントが死亡する。NECは、800g未満(2lbを下回る)の体重の新生児の約10%において発生する。壊死性腸炎は、ほとんど常に、人生の最初の月に生じる。経管栄養を要求する乳児は、障害についての増加リスクを有しうる。故に、壊死性腸炎についてのリスクが、本明細書において提供する通り、ジ−Sia−GOS含有調合乳を含む経腸栄養を使用することにより減弱されうる。 動物適用について、高濃度のNeu5Gcの存在は問題を形成しない。それは利点にさえなりうる。なぜなら、それは、特にNeu5Gc含有化合物が、子豚及び仔牛において下痢に至る、特定の感染症に対する戦いにおいて効果的であることが報告されているからである。故に、動物飼料産物における使用のために、それは(α2−3)連結Nアセチルノイラミン酸及びNグリコリルノイラミン酸(Sia=Neu5Ac/Neu5Gc)(例えばPSMGなど)を含む供与体を使用することが好ましい。本明細書において提供するのは、ジ−Sia−GOS中に濃縮された組成物を含む動物用飼料産物であり、それにおいて、Siaは、Neu5Ac及び/又はNeu5Gc、好ましくはNeu5Ac及びNeu5Gcである。飼料産物は、好ましくは、子豚及び仔牛用に配合されており、動物性能、肉質、及び動物の健康を増強させるための1つ又は複数のさらなる有益な成分を含みうる。トリパノソーマのトランス−シアリダーゼにより触媒される、Neu5Ac(α2−3)Gal−OR1とNeu5Ac(α2−3)Gal−OR2の間での(α2−3)連結Nアセチルノイラミン酸の可逆的トランスグリコシル化。Bio−Gel P2上での、異なるDPの8分画中へのVivinal−GOSの分離。脱塩水を、溶出液として、流速1ml/分で、40℃で使用した。モノシアリル化GOS DP5(15〜18分)及びジシアリル化GOS DP5(20〜23分)の形成を示す、t(0)(点線)での及びインキュベーションの21時間後(実線)の4MU−Neu5Acを伴うGOS DP5のTcTSインキュベーションのHPAEC−PADプロファイル。NaCl勾配を使用し、214nmでモニターされた、Resource Q上でのシアリル化GOS DP5の分離。Vivinal−GOS DP5の500MHz 1H NMRスペクトル。モノ−Sia−GOS DP5の500MHz 1H NMRスペクトル。ジ−Sia−GOS DP5の500MHz 1H NMRスペクトル。実施例のセクション実施例1:トリパノソーマ・クルーズのトランス−シアリダーゼ(TcTS)の異種発現及び精製 N末端6×Hisタグを含むTcTSのDNAクローンを、A.C.C. Frasch教授(ブエノスアイレス、アルゼンチン)から得た。タンパク質を発現するために、文献(Paris et al., Glycobiology 11: 305-311, 2001)に記載されている通りの成長及び誘導条件をわずかに変更した。コンストラクトpTrcTS611/2を、大腸菌TOP10又はBL21(DE3)中に形質転換し、培養物を、アンピシリン(100μg/ml)及びインデューサーとしての0.1mMイソプロピルβ−D−1−チオガラクトピラノシド(IPTG)を用いて補った、テリフィックブロス培地中に接種した。培地に、Luria Bertani寒天プレートからの新鮮なコロニーから直接的に接種し、次に、30℃で24時間にわたり(OD600=0.6)撹拌(200rpm)を伴いインキュベートした。細胞を回収した後、ペレットを溶解緩衝液(細菌タンパク質抽出試薬/B−PER)中に再懸濁し、製造者のプロトコールに従って室温で溶解させた。細胞細片を、30分にわたる40,000gでの超遠心分離により除去し、上清を、重力流Ni2+ニトリロ三酢酸(NTA)カラム親和性クロマトグラフィーに供した。組換えTcTSを、100mMイミダゾールを使用してカラムから溶出し、完全に純粋ではない酵素調製物をもたらした(SDS−PAGE)。しかし、酵素が、精製形態において不安定になることが公知であるため(Turnbull et al., Tetrahedron 58: 3207-3216, 2002)、さらなる精製工程は省いた。実施例2:TcTS調製物の活性テスト及び動態試験 部分的に精製されたTcTS(2mU/ml)を用いた活性アッセイを、商業的な合成シアル酸モデル供与体としての1mM 2’−(4メチルウンベリフェリ)−α−N−アセチルノイラミン酸(4MU−Neu5Ac)及びアクセプターとしてのラクトースを用いて行い、産物Neu5Ac(α2−3)ラクトース(3’シアリルラクトース、3’SL)のその後の形成を伴った。10倍過剰のラクトースの存在において、4MU−Neu5AcのNeu5Ac単位の80%近くが、ラクトースに移された。 供与体としての部分的に精製されたTcTS、4MU−Neu5Ac、又は工業的に入手可能なκカゼイン由来グリコマクロペプチド(GMP)及びアクセプターとしてのラクトースを用いた動態実験において、3’SLの形成を、パルスアンペロメトリック検出を用いた高pH陰イオン交換クロマトグラフィー(HPAEC−PAD)を使用し、15及び30分のインキュベーション後に定量的に決定した。両方の供与体について、転移反応のための至適温度(5℃の増分を伴う、15〜50℃の範囲の一連の温度から推測)が、25℃であると判明したが、それは、文献(Scudder et al., J. Biol. Chem. 268: 9886-9891, 1993)において報告された至適温度と同様である。 TcTSの熱安定性(5℃の間隔を伴う、15〜50℃の範囲において推定)(30分間の処理;25℃で決定した残存活性)に関し、酵素は、25℃まで完全な活性を保持し、次に、着実に減少した。50℃でのインキュベーション後、最初の活性の6%だけが残った。 供与体として4MU−Neu5Acを使用する場合、タンパク質(BSA)の添加は、TcTS活性に対する安定化効果を有し;GMPを使用した場合、BSAの添加は必要ではない。 転移反応のための至適pHが、50mMクエン酸ナトリウム緩衝液(pH4.5、5.0、5.5)、Pipes緩衝液(pH6.0、6.5、7.0、7.5)、及びTris−HCl緩衝液(pH8.0、8.5、9.0)中で、BSAの存在において、TcTS、4MU−Neu5Ac、及びラクトース(25℃)のインキュベーションから推定される通り、pH5.0であることが判明した。緩衝液の型に非依存的な決定は、pH4.5〜9.0の範囲の、25mMクエン酸ナトリウム、Pipes、及びTri−HClを含む混合緩衝液を使用したインキュベーションから推定された通り、至適pH5.5に至った。 シアル酸供与体基質4MU−Neu5Ac及びGMPについてのTcTSの親和性を、これらの基質の適切な範囲及びアクセプターとしてのラクトースの固定濃度を用いたインキュベーション(4.5mU/ml)を実施することによりテストした。4MU−Neu5Acについて、インキュベーション混合物は、0.1、0.25、0.5、1.0、2.5、5.0、及び10.0mMの4MU−Neu5Acならびに1mMのラクトースを含んだ;Kmが1.65mM及びVmaxが1.5U/mgであることが見出された。GMPについて、インキュベーション混合物は、0.01、0.025、0.05、0.075、0.1、0.25、0.5、1.0、2.5、及び5.0mMのGMPならびに5mMのラクトースを含んだ。Kmが0.18mM及びVmaxが3.0U/mgであることが見出された。実施例3:供与体GMPのシアル酸仕様の分析 GMP(MW=10kDa)の軽度の酸加水分解では、0.1M HClを使用し(1時間;80℃)、HPAEC−PADによる放出シアル酸の定量分析が続き、4.4%のシアル酸含量をもたらし、99%Neu5Ac及び1%Neu5Gcから構築された。 文献から、GMPのOグリカンは、(α2−3)及び/又は(α2−6)連結シアル酸の両方を伴うオリゴ糖のアレイを含むことが公知である(van Halbeek et al., Biochim. Biophys. Acta 623: 295-300, 1980)。これら2つの連結位置の内、(α2−3)連結シアル酸だけが、TcTSについての効果的な供与体として作用する(Schauer and Kamerling, ChemBioChem 12: 2246-2264, 2011)。(α2−3)連結Neu5Acの量は、サルモネラ・チフィリウムからの(α2−3)特異的シアリダーゼとのインキュベーション、それに続くHPAEC−PAD分析により決定された通り、72%であることが判明した。 GMP(シアル酸含量:4.4%;1mM全シアル酸(α2−3)−及び(α2−6)−連結)及び10mMラクトースを用いたTcTS(8mU/ml)インキュベーションは、3’SLへの全Neu5Acの60%前後の転移をもたらした(HPAEC−PAD)(t=0時間:0% 3’SL、0%遊離Neu5Ac;t=1時間:42% 3’SL、0%遊離Neu5Ac;t=2 時間:53% 3’SL、0%遊離Neu5Ac;t=4時間:58% 3’SL、0%遊離Neu5Ac;t=24時間:51% 3’SL、5%遊離Neu5Ac)。連結特異性を考慮に入れて、3’SLへの(α2−3)連結Neu5Acの実際の変換効率は、t=4時間で81%である。実施例4:アクセプターVivinal−GOS及び供与体としての4MU−Neu5Acを用いて得られたシアリル化産物の評価 商業的に入手可能なVivinal−GOSは、異なる重合の程度(DP)を伴う57%ガラクトオリゴ糖(GOS)の混合物(即ち、57%GOS、21%ラクトース、及び22%ガラクトース+グルコース)であり、Bio−Gel P2上でDP分画2〜8に分離された(図2)。分画をMALDI−TOF−MS分析によりチェックし、別々のGOS DPプールを実証し、隣接DPの低汚染を伴った。 組換えTcTSインキュベーション(2mU/ml)を、アクセプター基質(3μmol)としてのGOS DP2〜GOS DP6及び供与体基質(6μmol)としての4MU−Neu5Acを用いて行った。還元線形オリゴ糖の他、DP3〜DP6の部分は、2つの末端結合β連結ガラクトース(Gal)残基を含む、還元分枝及び非還元線形オリゴ糖である(表1)。HPAEC−PADにより実証された通り、全ての場合において、産物形成を観察することができ、GOS基質の減少を伴った。より高いDPのシアリル化GOS産物は、出発材料の他、2つの荷電プール(主要なモノシアリル化プール及び微量のジシアリル化プール)からなる。典型的な例として、図3中に、GOS DP5についての結果を描写する。クロマトグラムは、15と20分の間の保持時間を伴う主要な荷電プール、及び20と22分の間の保持時間を伴う微量の荷電プールを示す。これらのプールのさらなる構造解析は、モノシアリル化GOS DP5(モノ−Sia−GOS DP5)及びジシアリル化GOS DP5(ジ−Sia−GOS DP5)(Sia=Neu5Ac)の発生を実証した。実施例5:Vivinal−GOS DP5及び4MU−Neu5AcのTcTS触媒インキュベーション(1H NMR分光法による分析) 1H NMR分析のために、TcTS(2mU/ml)を、Vivinal−GOS DP5(1μmol)及び4MU−Neu5Ac(2μmol)を用いて、16時間にわたり25℃及びpH5でインキュベートした。一荷電及び二荷電分画を、陰イオン交換クロマトグラフィーを介して収集し(図4)、その一定分量を、HPAEC−PADにより、検証のために分析した。 図5、6、及び7は、GOS DP5、モノ−Sia−GOS DP5、及びジ−Sia−GOS DP5(Sia=Neu5Ac)の1H NMRスペクトルをそれぞれ提示する。より初期の試験において(Fransen et al., Carbohydr. Res. 314: 101-114, 1998)、GOS DP5の主要成分は、以下の構造を含むことが示されている(4置換Gal残基が6置換のものより優位である): しかし、実施例10において示す通り、また、還元分岐構造が生じる(GOS DP3及びDP4における還元分岐構造の発生については、実施例8及び9を参照のこと)。 シアリル化GOS DP5プローブのスペクトルは、(α2−3)連結Neu5Acの存在だけを反映する。Gal H−3及びH−4ならびにNeu5Ac H−3e及びH−3axシグナルの表面比率に基づき、モノ−Sia−GOS DP5及びジ−Sia−GOS DP5プールの割り当てを行うことができた。Resource Q上でのUV応答に基づき、モノ−Sia−GOS DP5及びジ−Sia−GOS DP5のモル比は約8.5:1である。実施例6:供与体PSMGのシアル酸仕様の分析 小腸をケーシング材料から回収し、44〜48℃の水中での押圧及び洗浄により浄化した。 粘液は、その後、設置された装置に応じて、増加する圧力で、2又は3工程で小腸から押し出される。洗浄プロセスの最終工程は、粘膜を除去することである。 これらの押圧工程から得られた粘液を収集し、メタ重亜硫酸ナトリウム水溶液を加える。 工業的に入手可能なブタ小腸ムチン糖タンパク質(PSMG)材料(MW=1.7×103kDa)の軽度の酸加水分解では、0.1M HClを使用し(1時間;80℃)、HPAEC−PADによる放出シアル酸の定量分析が続き、1.4%のシアル酸含量をもたらし、72%Neu5Ac及び28%Neu5Gcから構築された。 文献から、PSMGのOグリカンは、(α2−3)及び/又は(α2−6)連結シアル酸の両方を伴うオリゴ糖のアレイを含むことが公知である(Hansson et al., Carbohydr.Res.221: 179-189, 1991)。これら2つの連結位置の内、(α2−3)連結シアル酸だけが、TcTSについての効果的な供与体として作用する。PSMG(0.5mM全Neu5Ac、(α2−3)−及び(α2−6)連結)及び10mMラクトースを用いたTcTS(2〜8mU/ml)インキュベーションは、24時間後、3’Neu5Acラクトースへの全Neu5Acの10%までの転移をもたらした(HPAEC−PAD)。同様のレベルのNeu5Gcをラクトースに転移し、3’Neu5Gcラクトースをもたらした。部分的に精製されたPSMGを用いると、セファロースCL−4Bクロマトグラフィーを介して得られ、カットオフ値50kDaを伴うスピンフィルターで濃縮し、又はエタノール沈殿PSMG、ラクトースへの全Neu5Acの転移は、約20%まで増加し、全Neu5Gcの約15%まで増加させることができる。連結特異性を考慮に入れて、3’SL(Neu5Ac)への(α2−3)連結Neu5Acの実際の変換効率は45%である。実施例7:供与体としてのGMP、アクセプターとしてのVivinal−GOS、及び生体触媒としてのTcTSを使用した、グラムスケールでのSia−GOS(Sia=Neu5Ac)の産生 pTrcTS611/2を持つ大腸菌TOP10細胞を、0.1mMのIPTG及び100μg/mlのアンピシリンを含むテリフィックブロス培地(50ml)中に接種し、20時間にわたり30℃で、ロータリーシェーカー上で培養した。細胞を遠心分離により回収し、細菌タンパク質抽出試薬(B-PER, Thermo scientific)を使用して化学的に溶解した。TcTSタンパク質を、Hisタグ付き固定化金属親和性クロマトグラフィー(溶出液、100mMイミダゾール)を使用して精製した。10の異なる50mlの培養物から得られた精製タンパク質分画をプールし、イミダゾールを除去し、その後、洗浄し、Amicon 50kDaスピンフィルターを使用して濃縮した。洗浄したタンパク質を、最終的に、15%グリセロールを含む50mM Tris−HCl(pH8)中で緩衝化した。 時間中での至適なシアル酸転移を決定するために、テスト実験において、TcTSを種々の濃度のGMP結合Neu5Ac(供与体;商業的なGMP産物(シアル酸含量:4.0%;10%(w/w)NaClを含む)及びラクトース(アクセプター)に加えた(最終濃2mU/ml)。過剰の供与体基質は、アクセプターの高い変換を導いた。テストされた条件下での48時間以上にわたるインキュベーションは、産物の加水分解(TcTS酵素の副反応)を導いた。典型的には、Neu5Ac:ラクトースのmM比率=5:1は、24時間後に82%3’SL(Neu5Ac)、48時間後に100%、及び70時間後に76%をもたらした;Neu5Ac:ラクトースのmM比率=5:2は、24時間後に56%3’SL(Neu5Ac)、48時間後に75%、及び70時間後に61%を与えた。 50mMクエン酸ナトリウム(pH5)中に、5mM(α2−3)連結Neu5Ac(〜46g/l GMP)、2mMGOS(Vivinal−GOS)、及び2mU/ml TcTSを含む800mlの反応混合物を48にわたり25℃でインキュベートした。使用前に、比較的高い量のNaClを含む粗GMPを、3kDaのカットオフ値を伴うポリエーテルスルホン膜フィルターを介して脱塩した。熱不活化工程(60℃で20分間)後、部分的に脱シアリル化された出発GMPを、濾過工程(3kDa膜フィルター)を介して除去した。穏やかな酸加水分解(Neu5Acの放出)前後での全透過物の定性分析では、GOS含量を定量的に測定するためのAOAC方法(アスペルギルス・オリゼからのβガラクトシダーゼを用いる)を使用し、48%非シアリル化GOS及び52%シアリル化GOSが存在することを示した。全透過液を凍結乾燥し、Bio−Gel P−2上で、溶出液として脱塩水を使用したゲル濾過により脱塩した。HPAEC−PADによりチェックされた通り、最初に溶出する分画は、モノ−Sia−GOS及びジ−Sia−GOS(Sia=Neu5Ac)の混合物を含み、NaClが本質的になく、遊離Neu5Ac及び非シアリル化GOSの減少DPが続いた。MALDI−TOF−MS分析は、GOSからGOS DP7まで得られたシアリル化GOS生成物を示した。実施例8:Vivinal GOS DP3及びGMPのTcTS触媒インキュベーション GOS DP3(3mM)とGMP(シアル酸含量:4.0%;6mM(α2−3)連結Neu5Ac)のTcTS(2.5mU/ml)触媒インキュベーションを、23時間にわたり25℃及びpH5で行った。後処理後、オリゴ糖産物を、Resource Q上での陰イオン交換クロマトグラフィーに供し、214nmでの検出を伴い、モル比88:12でモノ−Sia−GOS DP3及びジ−Sia−GOS DP3分画をもたらした。検証は、MALDI−TOF−MS及び1H NMR分光法により行った。「分岐還元」及び「非分岐非還元」形態上に焦点を伴う、NaBH4還元工程の使用、それに続くHPAEC−PAD及びMALDI−TOF−MSによる、ジ−Sia−GOS DP3分画のさらなる分析では、ジ−Sia−GOS DP3の大部分が分岐構造でなることが示された。実施例9:Vivinal GOS DP4及びGMPのTcTS触媒インキュベーション GOS DP4(3mM)とGMP(シアル酸含量:4.0%;6mM(α2−3)連結Neu5Ac)のTcTS(2.5mU/ml)触媒インキュベーションを、23時間にわたり25℃及びpH5で行った。後処理後、オリゴ糖産物を、Resource Q上での陰イオン交換クロマトグラフィーに供し、214nmでの検出を伴い、モル比91:9でモノ−Sia−GOSのDP4及びジ−Sia−GOS DP4分画をもたらした。検証は、MALDI−TOF−MS及び1H NMR分光法により行った。「分岐還元」及び「非分岐非還元」形態上に焦点を伴い、NaBH4還元工程の使用、それに続くHPAEC−PAD及びMALDI−TOF−MSによる、ジ−Sia−GOSのDP4分画のさらなる分析では、ジ−Sia−GOS DP4の大部分が分岐構造でなることが示された。実施例10:Vivinal GOS DP5及びGMPのTcTS触媒インキュベーション GOS DP5(3mM)とGMP(シアル酸含量:4.0%;6mM(α2−3)連結Neu5Ac)のTcTS(2.5mU/ml)触媒インキュベーションを、23時間にわたり25℃及びpH5で行った。後処理後、オリゴ糖産物を、Resource Q上での陰イオン交換クロマトグラフィーに供し、214nmでの検出を伴い、モル比88:12でモノ−Sia−GOSのDP5及びジ−Sia−GOS DP5分画をもたらした。検証は、MALDI−TOF−MS及び1H NMR分光法により行った。「分岐還元」及び「非分岐非還元」形態上に焦点を伴い、NaBH4還元工程の使用、それに続くHPAEC−PAD及びMALDI−TOF−MSによる、ジ−Sia−GOSのDP5分画のさらなる分析では、ジ−Sia−GOS DP5の大部分が分岐構造でなることが示された。実施例11:Vivinal GOS DP6−8及びGMPのTcTS触媒インキュベーション Vivinal GOS DP6、DP7、及びDP8とTcTS及びGMPの個々のインキュベーションが、実施例8〜10に記載されるプロトコールに従い、モノ−Sia−GOS DP6及びジ−Sia−GOS DP6分画をモル比87:13で、モノ−Sia−GOS DP7及びジ−Sia−GOS DP7分画をモル比84:16で、ならびにモノ−Sia−GOS DP8及びジ−Sia−GOS DP8分画をモル比81:19でもたらした。実施例12:Vivinal GOS DP3及びDP4ならびにPSMGのTcTS触媒インキュベーション GOS DP3(3mM)又はGOS DP4(3mM)とエタノール沈殿PSMG(2mM)のTcTS(3mU/ml)触媒インキュベーションを、23時間にわたり25℃及びpH5で行った。後処理後、オリゴ糖産物をMALDI−TOF−MS分析に供した、各々の場合において、Neu5Ac及びNeu5Gcシアリル化を示す。実施例13:乳児用の栄養調合乳 表2は、乳児の免疫系を支持又は増強するための、本発明に従った3つの例示的な栄養調合乳(例、0〜6ヶ月の間の年齢群のための乳児用調合乳)の組成(100ml当たり)を示す。実施例14:動物飼料調合乳 動物飼料は、とりわけ、ジシアロ成分が補われた基礎飼料で構成される。実施例15:インビボでの病原体接着に対するDi−Sia−GOS濃縮分画の効果 壊死性腸炎(NEC)の新生仔ラットモデルを使用し、動物の臨床的挙動及び腸の巨視的外観により、ジ−Sia−GOS濃縮分画の保護効果を客観的に評価することができる。 材料及び方法:新生仔ラットが期日に出産され、以下のいずれかのコントロール群に割り当てられる:(A)母乳及び無ストレス因子からなる(NEC群へ)、(B)それにおいて、NECは、強制経口摂食+低酸素+経口リポ多糖(1日1回4mg/kg/日、生後2日間)によって誘導される(又は治療NEC群へ)、(C)それにおいて、NECは、強制経口摂食+低酸素+経口リポ多糖(1日1回4mg/kg/日、生後2日間)+ジ−Sia−GOSにより誘導される。臨床状態を、臨床疾患スコアを使用し、4日目に評価する(一般的な外観、触れに対する応答、自然活動、体色、各変数について0−3)。新生仔ラットを4つの異なる時間点で屠殺する:1日目、2日目、3日目、4日目。屠殺時、腸の肉眼的評価を、色(0〜2)、一貫性(0〜2)、及び拡張の程度(0〜2)に基づく点数化システムを使用して実施する。切除腸は、ヘマトキシリン/エオシンで染色し、コンサルタント組織病理学者を含む2人の独立した盲検化採点者により顕微鏡的に評価された。組織学的結果を使用し、巨視的な腸評価を検証することができる。結果を、ANOVA及び線形回帰分析により比較した。 シアル酸含有オリゴ糖を含む組成物を提供するための方法であって、以下の工程: a)少なくとも2つの末端結合したβ連結ガラクトース残基を含む非消化性ガラクトオリゴ糖(GOS)の供給源を提供すること; b)(α2−3)シアリル化Oグリカンを有するシアル酸供与体を提供すること; c)前記GOSと前記シアル酸供与体を、酵素反応混合物中のトランスシアリダーゼ活性を有する酵素の存在において接触させること;及び d)前記酵素反応混合物から、乾燥物に基づくジシアリル化ガラクトオリゴ糖(ジ−Sia−GOS)の少なくとも5重量パーセントを含む分画を得ることを含む、方法。 ガラクトオリゴ糖の供給源が、βガラクトシダーゼ(EC3.2.1.23)を用いたラクトースの又はラクトース及びトレハロースの混合物の酵素処理により得られる、請求項1記載の方法。 ジ−Sia−GOSが、DP4からDP10、好ましくはDP5からDP8の範囲内の重合の程度(DP)を有する、請求項1又は2記載の方法。 シアル酸供与体が、天然化合物、好ましくは、オリゴ糖、多糖、ポリシアル酸、糖タンパク質、及び糖脂質に結合したシアル酸より選択される、請求項1〜3のいずれか一項記載の方法。 シアル酸供与体が、グリコシル化された乳清タンパク質及びカゼイン、ならびにそのフラグメント、好ましくは、κカゼインからのグリコマクロペプチド(GMP)からなる群より選択される、請求項4記載の方法。 シアル酸供与体が、グリコシル化粘液タンパク質、及びそのフラグメント、好ましくは、ブタ小腸糖タンパク質(PSMG)からなる群より選択される、請求項4記載の方法。 シアル酸供与体がムチンから得られ、場合により、Sia含有ムチンポリマーの濃縮が続く、請求項6記載の方法。 トランス−シアリダーゼ活性を有する酵素が、トリパノソーマ属、好ましくはトリパノソーマ・クルーズ又はトリパノソーマ・コンゴレンスの微生物からの遺伝子産物によりコードされる、請求項1〜7のいずれか一項記載の方法。 酵素を組換え的に産生する、請求項1〜8のいずれか一項記載の方法。 酵素反応混合物のpHが、4と6の間、好ましくは4.8と5.8の間の範囲である、請求項1〜9のいずれか一項記載の方法。 工程d)が、分離すべき成分間の電荷における差に基づく分離技術、好ましくは陰イオン交換クロマトグラフィーを含む、請求項1〜10のいずれか一項記載の方法。 工程d)が、分離すべき成分間のサイズにおける差に基づく分離技術、好ましくはサイズ排除クロマトグラフィーを含む、請求項1〜11のいずれか一項記載の方法。 請求項1〜12のいずれか一項記載の方法により入手可能な、少なくとも5重量%のジシアリル化ガラクトオリゴ糖を含む組成物。 少なくとも7重量%、好ましくは少なくとも10重量%のジシアリル化ガラクトオリゴ糖を含む、請求項13記載の組成物。 以下からなる群より選択される1つ又は複数のジ−Sia−GOS種を含む、請求項13又は14記載の組成物。 栄養的、医薬的、又は栄養補助食品添加物としての使用のための、請求項13〜15のいずれか一項記載の組成物。 好ましくは、産物が乳児用調合乳である、請求項13〜15のいずれか一項記載の組成物を含む栄養産物。 好ましくは、飼料産物が子豚又は仔牛用に調合される、請求項13〜15のいずれか一項記載の組成物を含む動物飼料産物。 請求項1〜12記載の方法に従い、乾燥物に基づくジシアリル化ガラクトオリゴ糖(ジ−Sia−GOS)の少なくとも5重量パーセントを含む分画を単離すること、及び、前記分画を、タンパク質源、脂肪源、及び炭水化物源と一緒に乳児用調合乳中に調合することを含む、乳児用調合乳を提供するための方法。 それを必要とする被験者、好ましくはヒト被験者、より好ましくは早産児において病原体による感染を処置又は防止する方法における使用のための、請求項13〜15のいずれか一項記載の組成物。 病原体が、細菌又は原生動物、好ましくは赤痢アメーバである、請求項20記載の組成物。 アメーバ症又は壊死性腸炎(NEC)を処置又は防止するための、請求項20記載の組成物。 本発明は、ヒト乳オリゴ糖(HMO)の類似体、特に、末端シアル酸を含むオリゴ糖を提供するための方法に関する。この方法は、以下の工程を含む:a)少なくとも2つの末端結合したβ連結ガラクトース残基を含む非消化性ガラクトオリゴ糖(GOS)の供給源を提供すること;b)(α2−3)シアリル化Oグリカンを有するシアル酸供与体を提供すること;c)前記GOSと前記シアル酸供与体を、酵素反応混合物中のトランスシアリダーゼ活性を有する酵素の存在において接触させること;及びd)前記酵素反応混合物から、乾燥物に基づくジシアリル化ガラクトオリゴ糖(ジ−Sia−GOS)の少なくとも20重量パーセントを含む分画を単離すること。


ページのトップへ戻る

生命科学データベース横断検索へ戻る