生命科学関連特許情報

タイトル:公表特許公報(A)_アセチルコリンエステラーゼ阻害剤の治療効果を増強する抗コネキシン剤の使用
出願番号:2014532635
年次:2014
IPC分類:A61K 31/196,A61K 31/445,A61P 43/00,A61P 25/28,A61P 25/16


特許情報キャッシュ

ムートン,フランク シャルベリア,マシュー JP 2014532635 公表特許公報(A) 20141208 2014537665 20121031 アセチルコリンエステラーゼ阻害剤の治療効果を増強する抗コネキシン剤の使用 コミッサリア ア レネルジ アトミック エ オー エネルジス アルテルナティヴス 511152500 COMMISSARIAT A L‘ENERGIE ATOMIQUE ET AUX ENERGIES ALTERNATIVES 伊東 忠重 100107766 伊東 忠彦 100070150 大貫 進介 100091214 ムートン,フランク シャルベリア,マシュー EP 11306407.5 20111031 A61K 31/196 20060101AFI20141111BHJP A61K 31/445 20060101ALI20141111BHJP A61P 43/00 20060101ALI20141111BHJP A61P 25/28 20060101ALI20141111BHJP A61P 25/16 20060101ALI20141111BHJP JPA61K31/196A61K31/445A61P43/00 105A61P25/28A61P25/16A61P43/00 111A61P43/00 121 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC EP2012071631 20121031 WO2013064579 20130510 25 20140425 4C086 4C206 4C086AA01 4C086AA02 4C086BC21 4C086MA02 4C086MA04 4C086MA10 4C086NA05 4C086ZA15 4C086ZA16 4C086ZC20 4C086ZC52 4C086ZC75 4C206AA01 4C206AA02 4C206FA33 4C206MA02 4C206MA04 4C206MA12 4C206NA05 4C206ZA15 4C206ZA16 4C206ZC41 4C206ZC52 4C206ZC75 本発明は、アセチルコリンエステラーゼ阻害剤を使用する神経学的及び神経心理学的治療処置の改善に関する。より詳細には、本発明は、ここではコネキシン(connexin)遮断剤と呼ばれる一定の分子により、アセチルコリンエステラーゼ阻害剤の効果を増強可能にする。 認知障害は、主として学習、記憶、知覚及び問題解決に悪影響を及ぼし、記憶消失、痴呆及びせん妄を包含する精神的健康障害の一カテゴリーである。障害の様々なタイプにおいて原因は様々であるが、多くは脳の記憶部分に対するダメージを含む。処置は、その障害がどのように引き起こされたかに依存する。薬物治療及療法がもっともふつうの処置である。しかしながら、障害のいくつかのタイプ(例えば記憶消失のあるタイプ)に関して、処置は症状を抑制するが、現在のところ治療法はない。 アセチルコリン(Ach)の代謝酵素、主としてアセチルコリンエステラーゼ酵素(AChE)の阻害によりのアセチルコリン(Ach)の作用を増加する場合、認知機能の増強が生じる。従って、認知機能を回復するためコリン作用を増加する戦略は、主要な且つ永続的な治療戦術であった。 アセチルコリンが分解し、そうすると脳内のアセチルコリンの濃度が増加する(コリン作動性ニューロンの死によって引き起こされるAChの損失を、それにより無くそうとする)のであるが、そのアセチルコリンが分解する割合を減らすため、今日では、数種のアセチルコリンエステラーゼ阻害剤(ChEI,もしくはAChEIもしくはアンチコリンエステラーゼ剤)が見られてきた。 アセチルコリンエステラーゼ阻害剤は、ムスカリン受容体及びニコチン受容体におけるAChの利用度を増やすことにより、ニューロンの伝達を増強する。ある研究者たちの知見によれば、これらChEIは向精神性効果を有し、認知障害の患者における神経精神病学的及び行動の障害を制御することにおいて重要な役割を演じるかもしれない。これらの薬剤は、コリン作動性システム異常及び神経精神病学的症状(例えば視覚的幻覚)を有する他の障害の処置にも貢献するかもしれない。 ドネペジル(Donepezil)はよく知られたAChEIである。非常に多くの認知障害(レビー小体型認知症,脳血管性認知症,睡眠時無呼吸,軽度認知障害,統合失調症,CADASIL症候群,注意欠陥障害,冠状動脈バイパス術後の認知障害,多発性硬化症に関連した認知障害,及びダウン症候群)を治療するのに、ドネペジルが提案されてきた。軽度のものから中程度のアルツハイマー病を治療するのに、ドネペジルは承認されてきた。 アルツハイマー病(AD)は、脳細胞(ニューロン)が劣化し、認知機能、主として記憶、判断及び推論、運動協調性、及びパターン認識の喪失をもたらす不可逆性、進行性の障害である。その病気の進行期では、全ての記憶及び精神機能が失われるかもしれない。神経細胞の死は、何年もの期間にわたり次第に起こる。神経細胞の死は、老齢に伴う精神退行(知的能力の消失)である老人性痴呆と関連している。現在、アメリカ合衆国ではADを患う人々が530万おり、これらの半分以上はおそらく中程度もしくは重度の病状を有するものと分類されよう。ADのこれらの進行期は、数年の期間にわたり続き、しばしば患者及び介護者双方にとって困難な期間である。30年以上前から認識されている、ADの病態生理学の重要な要素は、コリン作動性システムの退化である。ADが進行するにつれコリン作用が消失することを示した初期の組織学的研究は、ポジトロンイメージングテクニック(PET)及び磁気共鳴画像法(MRI)を包含する進んだ撮像テクニックを使用する、調査研究のいくつかの最新の系統によりサポートされる。ADで見られるコリン作動性の異常は、その疾患の原因とは見なされないが、コリン作動性の関与は重要である。なぜなら、コリン作動性の関与は普遍的であり、認識障害と相互に関連しており、そして現在承認された治療選択を有すると言える数少ない病態生理学的現象の一つであるからである。 しかしながら、これまで承認されてきたアセチルコリンエステラーゼ阻害剤 (及び特にドネペジル)は、認知機能の限られた改善しかもたらさないし、その誘導された認知増加(たとえあったにしても)は数か月しか持たないので、治療に関してあまり有望ではなかった。 したがって、認知障害を患う全ての患者、とりわけアルツハイマー病を患い進行期にある患者にとって、認知症状の損失をより効率的且つより永続的に減らすこと及び/又は弱めることを可能にする新規の治療の差し迫った必要が存在する。 本発明は、従来の治療よりも記憶消失について改善した効果を示す新規治療プロダクトを開示することにより、この必要を満たす。図の説明:図1は、1mg/kgメクロフェナム酸(MFA)と関連させた、もしくは関連させない0,lmg/kgもしくは0,3mg/kgドネペジル(DZP)を腹腔内投与後の成体マウス(4乃至5月齢マウス、最初の6個のカラム)及び老齢のマウス(17乃至18月齢マウス、最後の6個のカラム)のθ−海馬分析を表す。図2は、NaCl(賦形剤)を、又は0,1mg/kg,0,3mg/kgもしくはlmg/kg ドネペジルのみ(DZP)を、又はlmg/kgメクロフェナム酸のみ(MFA)を、又はMFAとDZPとの組み合わせ(最後のカラム)を腹腔内投与後の老齢マウス(17乃至18月齢マウス)の総交替(total alternation)を表す。交替(alternation)をT型迷路装置で記録した。図3は、NaCl(賦形剤)を、ドネペジルのみ(0,1mg/kg)を、MFAのみ(lmg/kg)を、及びドネペジルとMFAとの組み合わせ(カラムの最後のグループ)を腹腔内投与後、2つの連続した試行のブロックによる「老齢」マウスの交替を表す。本発明の説明: 本発明者は、以下においてメクロフェナム酸(MFA)のアセチルコリンエステラーゼ阻害剤(例えばドネペジル)との提携は、驚くべきことにアセチルコリンエステラーゼ阻害剤のみの高投与量と比較して、質的に優れた前臨床的利益をもたらすことを論証する。 メクロフェナム酸は、非ステロイド抗炎症作用を有する「コネキシン遮断」剤として記載されてきた。 本発明の文脈において、「コネキシン遮断」剤は、直接及び/又は間接的にコネキシンの機能活性、及びより一般的には細胞間結合の何れのタイプを阻害できる、及び/又はコネキシンタイプタンパク質を含むいずれかの細胞活性を直接及び/又は間接的に機能的に阻害できる化学分子、タンパク質、タンパク質断片もしくは核酸(例えばRNAi)である。このような薬剤は、「抗コネキシン分子」とも呼ぶことができる。 コネキシンを介してギャップ結合をブロックする様々な分子が知られている。中でも、フェナメート類(fenamates)は、以下の化合物を包含する: メクロフェナム酸,メフェナム酸,フルフェナム酸,ニフルム酸及びトルフェナム酸。これらの化合物は全て非ステロイド性抗炎症作用を有するが、ギャップ結合をブロックするこれらの能力は、この非ステロイド性抗炎症作用のせいではない。むしろそれどころかフェナメート類はコネキシンとのもしくはタンパク質膜界面との直接的相互作用を確立し、それはコネキシンの立体構造、従ってコネキシンの機能的役割に影響を及ぼすかもしれないことが実際に示唆された。(Harks EG, The Journal of Pharmacology and Experimental Therapeutics 2001 Sep, 298(3): 1033−41)。 2−[(2,6−ジ−クロロ−3−フェニル)アミノ]安息香酸(慣用名メクロフェナム酸(MFA)として知られる)は、フェナメートクラスの非ステロイド抗炎症剤及び末梢性鎮痛薬,ギャップ結合を可逆的にブロックするのに最も効果的なものの一つであるとして水溶性遮断剤のなかに記載される、プロスタグランジン阻害剤である。加えて、メクロフェナム酸はコネキシンのタイプに対して特異的ではなく、従って多数の脳コネキシンをブロックするのに効果的である(Pan F, Vis Neurosciences 2007, Jul−Aug; 24(4): 609−18)。 グリチルレチン酸誘導体は、18−β−グリチルレチン酸(BGA)(「エノキソロン」ともしても知られる),18−α−グリチルレチン酸及びカルベノキソロンを意味し、これらは11−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ酵素を阻害するトリテルペノイドサポニンである。その上さらに、これらの化合物はギャップ結合を非常に効果的に阻害することができる(Pan F, Vis Neurosciences 2007, Jul−Aug; 24(4): 609−18)。 キニーネファミリーの一員、例えばメフロキン(LARIAM),キニーネ及びキニジンも、ギャップ結合に対して強い拮抗剤力を有する(Snnivas M, PNAS 2001, 98: 10942−10947; Pan F, Vis Neurosciences 2007, Jul−Aug; 24(4):609−18)。 いくつかの麻酔剤(例えばハロタン、エンフルラン及びイソフルラン)は、急速且つ可逆性のギャップ結合遮断効果を有する(Burt JM, et al, Circ Research. 1989; 65: 829−37)。 その上さらに、オレアミド(cis−9−オクタデセンアミド),オレイン酸の第1のアミドも、コネキシン分子43及び32に対して阻害作用を有する(Guan X. et al,J. Cell Biol 1997; 139: 1785−92)。 加えて、シクロデキストリン(α−シクロデキストリン(α−CD),β−シクロデキストリン(β−CD)及びγ−シクロデキストリン(γ−CD))(これらはα−D−グルコピラノースの天然環状オリゴ糖である)は、抗コネキシン特性を有することが証明された(Locke D. et al,J. Biol Chem 2004; 279: 22883−92)。 親油性の薬剤及び脂肪酸(例えばオレイン酸、パルミトレイン酸、デカン酸及びミリストレイン酸)、PKC阻害剤スタウロスポリン,強心配糖体(例えばストロファンチジン及びウアバイン)、デルタ−9−テトラヒドロカンナビノール、ホウ酸2−アミノエトキシジフェニル 酢酸及びプロピオン酸、12−O−テトラデカノイルホルボール−13−アセタート(TPA)、2,3−ブタンジオン モノオキシム、カルバコール、ノルアドレナリン、FGF−2、アンジオテンシンII、心房性ナトリウム利尿因子ANF、VEGF、1−オレイル−2−アセチル−sn−グリセロール、11,12−エポキシエイコサトリエン酸、リドカイン、トナベルサート(tonabersat)、Nexagon(登録商標)及びPeptagon(登録商標)(CoDa Therapeuticsより)も、心臓血管系のギャップ結合を強くアンカップリングするものとして提案されてきた(Dhein S., Cardiovascular Research, 2004 (62) 287−298)。 最後に、ホウ酸2−アミノエトキシジフェニル(2−APB)はギャップ結合遮断剤として最近確認された化合物である(Bai D,J Pharmacol Exp Ther, 2006 Dec; 319(3): 1452−8)。他方において、このイノシトール 1,4,5−トリホスファートレセプターのこのモジュレータは、特定のコネキシン(例えばコネキシン26,30,36,40,45及び50)をかなり特異的に標的とする(Bai D,J Pharmacol Exp Ther, 2006 Dec; 319(3): 1452−8)。 同様に、他の分子が細胞外コネキシン領域をブロックするのに最近提案された。ギャップ結合の機能にとってある領域は重要である。それは、特に細胞外コネキシン領域に対する抗体を有する(Hofer A et al, Glia 1998; 24: 141−54; Meyer RA, J. CellBwl 1992; 119: 179−89)もしくはコネキシンの細胞外ループE1及びE2により保存された特異的配列を模倣する小ペプチド(Dahl G. et al, Biophys J, 1994; 67: 1816−22)を有する;特に、細胞外配列に対応するそのペプチドは、コネキシンのEl(Gap26)の保存パターンQPG及びSHVR、並びにE2(Gap27)の保存パターンSRPTEKを含み、ギャップ結合をブロックするのにもっと効果的である(Chaytor A T et al, J. Physiol 1997; 503: 99−110). その上さらに、官能性(functional)ギャップ結合の形成を、コネキシンリン酸化により調節可能である。実際に6量体サブユニットのあるタンパク質領域のリン酸化は、リン酸化部位によっては、チャネルを閉じることにより、もしくは膜における存在を減らすことにより(サブユニットのトラフィック及び半減期の変更)、ギャップ結合の官能性(functionality)の阻害をもたらす(Scemes E, Glia 2008 Jan 15, 56(2): 145−53; Postma FR, J CellBiol 1998 Mar 9, 140(5) : 1199−209; Shaw RM, Cell 2007, February 9, 128(3): 547−60; Fabnzi GM, Brain 2007 Feb, 130 (Pt2): 394−403)。 このように、コネキシンのリン酸化レベルを介し、分子は間接的ギャップ結合遮断効果を有し得る。これらは特にリゾホスファチジン酸、トロンビン及び神経ペプチド(例えばエンドセリン)である(Postma FR,J Cell Biol 1998 Mar 9, 140(5): 1199−209)。本発明の好ましい実施形態において、コネキシン遮断剤はコネキシン及びギャップ結合に対して間接効果を有し、該コネキシン遮断剤はリゾホスファチジン酸、トロンビン及び神経ペプチド(例えばエンドセリン)からなるグループから選択される。 本発明の文脈において、コネキシン遮断剤は有利には以下のものから選択される: 長鎖アルコール(例えば、ヘプタノール及びオクタノール)、フェナメート類(例えば、メクロフェナム酸、メフェナム酸、フルフェナム酸、ニフルム酸、トルフェナム酸)、アリールアミノベンゾアート、アミノスルフォナート(例えばタウリン)、グリチルレチン酸誘導体(例えば18−β−グリチルレチン酸、18−α−グリチルレチン酸及びカルベノキソロン)、オレアミド(例えば、cis−9−オクタデセンアミド)、もしくはテトラアルキルアンモニウムイオン及びポリアミン(例えばスペルミン及びスペルミジン)、キニーネ誘導体(例えばメフロキン、キニーネ、キニジン)、2−ABP、麻酔剤(ハロタン、エンフルランもしくはイソフルラン)、シクロデキストリン(α−シクロデキストリン(α−CD)、β−シクロデキストリン(β−CD)、及びγ−シクロデキストリン(γ−CD))、コネキシンの細胞外領域もしくはこの特定の領域を模倣する保存されたパターンを有するペプチドに対する抗体(特にGap26及びGap27)、オレイン酸、 パルミトレイン酸、デカン酸、ミリストレイン酸、スタウロスポリン、ストロファンチジン、ウアバイン(ouabin)、デルタ−9−テトラヒドロカンナビノール、ホウ酸2−アミノエトキシジフェニル 酢酸、プロピオン酸、12−O−テトラデカノイルホルボール−13−アセタート(TPA)、2,3ブタンジオンモノオキシム、カルバコール、ノルアドレナリン、FGF−2、アンジオテンシンII、心房性ナトリウム利尿因子ANF、VEGF、1−オレイル−2−アセチル−グリセロール、11,12−エポキシエイコサトリエン酸、リドカイン、トナベルサート(SB−220453,(cis−(−)−6−アセチル−4S−(3−クロロ−4−フルオロベンゾイルアミノ)−3,4−ジヒドロ−2,2−ジメチル−2H−1−ベンゾピラノ−3S−オール),Nexagon(登録商標)及びPeptagon(登録商標)(CoDa Therapeuticsより)。これらの多様な分子は以下の論文に具体的に記載される: Srivinas M, Connexins: A Guide, Humana Press 2009, Chapter 8, pages 207−224; Srinivas M, Molecular Pharmacology 2003 Jun, 63(6): 1389−97; Harks EG, The Journal of Pharmacology and Experimental Therapeutics 2001 Sep, 298(3): 1033−41;及びSalameh A, Biochimica et Biophysica Acta 1719 (2005) 36−58; Dhein S., Cardiovascular Research, 2004 (62) 287−298。 これらの化合物は例として提示され、本発明はコネキシンもしくはギャップ結合を直接もしくは間接的に官能性遮断する特性を有する分子に関する。 さらに、前記抗炎症分子は、プロスタグランジン合成酵素に対するこれらの作用により、直接コネキシンの構造的修飾を生成可能であることに注意すべきである(コネキシン発現レベルのもしくはそのリン酸化の調節は、特にPI3及びPKAを介して,Cox,NO及びPG合成酵素、抗炎症剤の標的に依存して行われる)。結合内のコネキシンの存在の減少という意味において、この修飾は、コネキシンの直接的遮断と同様に、コネキシンの機能活性の減少を間接的に引き起こす。その結果、これらの分子の使用は、所望の効果(コネキシンの遮断)を生み出すことになり、低投与量での向精神薬との組み合わせた使用に対して障害とはならない(Yao J, Monoka T & Oite T.: Kidney Int. 2000; 57: 1915−26. Yao J, Hiramatsu N, Zhu Y, et al.: J Am Soc Nephrol. 2005; 16: 58−67; Figueroa XF, Alvina K, Martinez AD, et al.: Microvasc Res. 2004; 68: 247−57 Alldredge BT.: J Clin Pathol. May 12 2008; Lai−Cheong JE, Arita K & McGrath JA.: J Invest Dermatol. 2007; 127: 2713−25,及びGiepmans BN.: Cardiovasc Res. 2004; 62: 233−45)。 しかしながら、本発明に伴う低投与量において、メクロフェナム酸のような抗コネキシン剤は、Cox,NO及びPG合成酵素について全く効果がなく、これらの酵素とは無関係である抗コネキシン活性のみを示す。 直接もしくは間接抗コネキシン活性を有する全ての抗炎症分子が、本発明に包含される。 よって本発明は、同時の、別個のもしくは連続的な使用のためのコンビネーションプロダクトとして、認知障害を患う患者を治療するための医薬として、少なくとも1個のコネキシン遮断剤及びアセチルコリンエステラーゼ阻害剤を有する新規のコンビネーションプロダクトに関する。 コネキシン遮断剤は、認知障害を患う患者を治療するために医師により処方されたアセチルコリンエステラーゼの治療効果を有利に改善可能である。 前記コネキシン遮断剤は上に記載された。好ましい実施形態において、コネキシン遮断剤は以下のものを包含するグループから選択される: メクロフェナム酸、メフェナム酸、フルフェナム酸、ニフルム酸、トルフェナム酸、「エノキソロン」ともしても知られる18−β−グリチルレチン酸、18−α−グリチルレチン酸、カルベノキソロン酸、メフロキン、キニーネ、キニジン、オレアミド(cis−9−オクタデセンアミド)、オレイン酸、パルミトレイン酸、デカン酸、ミリストレイン酸、スタウロスポリン、シクロデキストリン(α−シクロデキストリン(α−CD)、β−シクロデキストリン(β−CD)、及びγ−シクロデキストリン(γ−CD))、トナベルサート(SB−220453,(cis−(−)−6−アセチル−4S−(3−クロロ−4−フルオロベンゾイルアミノ)−3,4−ジヒドロ−2,2−ジメチル−2H−1−ベンゾピラノ−3S−オール)、Nexagon(登録商標)及びPeptagon(登録商標)(CoDa Therapeuticsより)。 より好ましい実施形態において、コネキシン遮断剤は、メクロフェナム酸、メフロキン、18−β−グリチルレチン酸及びカルベノキソロンからなるグループから選択される。 かなり好ましい実施形態において、前記コネキシン遮断剤はメクロフェナム酸(MFA)である。 「アセチルコリンエステラーゼ阻害剤」(しばしば「AChEI」と表記)もしくは「抗コリンエステラーゼ」は、コリンエステラーゼがアセチルコリンを分解するのを阻害する化学化合物であり、神経伝達物質アセチルコリンの作用のレベル及び期間を両方とも増やす。これらは毒液及び毒物として天然に存在し、重症筋無力症、緑内障、アルツハイマー病、レビー小体型認知症を治療するのに、もしくは抗コリン作動性中毒に対する解毒剤として医薬的に使用される。 本発明のコンビネーションプロダクトは、活性成分としてコリン作動物質(これはアセチルコリン作動因子ではなく、アセチルコリンエステラーゼ阻害剤である)及びコネキシン遮断剤を含む点が、先行技術と異なる。好ましい実施形態において、本発明のコンビネーションプロダクトは、単独の活性成分として前記アセチルコリンエステラーゼ阻害剤及び前記コネキシン遮断剤を含有する。特に、コンビネーションプロダクトは好ましくはケトン体前駆体(例えば5乃至12炭素鎖を有する中間鎖トリグリセリド)の有効量を含まない。好ましい実施形態において、コンビネーションプロダクトは、ホスホジエステラーゼ7阻害剤(PDE7)の有効量を含まない。別の好ましい実施形態において、コンビネーションプロダクトは、アキソマドール(axomadol)の有効量を含まない。別の好ましい実施形態において、コンビネーションプロダクトは、ブプロピオンの有効量を含まない。 しかしながら、2つの有効成分に加えて、組成物はいずれの賦形剤、安定剤、アジュバント及び当該技術でよく使われる同様のものを有する。医薬的許容可能な賦形剤の例は以下のものを包含する(ただしこれらに限定されない): 水;水性賦形剤、例えば(ただしこれらに限定されない)塩化ナトリウム溶液、リンゲル溶液、デキトロース溶液、デキストロース及び塩化ナトリウム溶液、及び乳酸リンゲル溶液;水−混和性賦形剤、例えば(ただしこれらに限定されない)エチルアルコール、ポリエチレングリコール、及びポリプロピレングリコール;非水性賦形剤、例えば(ただしこれらに限定されない)コーン油、綿実油、ピーナツ油、ゴマ油、オレイン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、及び安息香酸ベンジル。当業者は、どの賦形剤が使用できるかをよく知っている。 好ましい実施形態によれば、この組成物は(口腔もしくは舌下投与を包含する)経口投与用に製剤化される。他の興味ある剤型は、(腹腔内(i.p)、静脈内(i.v.)、皮下(s.c)、筋肉内(i.m.)、経皮(transcutaneous)、経皮(trans dermal)、くも膜下腔内及び頭蓋内投与を包含する)剤型を包含する。さらに他の剤型は、硬膜外、鼻腔内、眼の盲嚢及び直腸ルート投与、並びに肺吸入による投与を包含する。当業者は、組成物の各種類においてどの賦形剤ができるかよく知っている。 カプセル、錠剤、シロップ、クリーム及び軟膏、坐薬又は2つの活性成分を収容及び分配可能ないずれの容器を包含する(ただしこれらに限定されない)種々の投与手段が、上記組成物の剤型化に使用可能である。当業者は、各場合においてどの賦形剤を使用できるかよく知っている。 好ましい実施形態において、前記アセチルコリンエステラーゼ阻害剤は池のものから選択される: アセフェート、アジンフォス−メチル、ベンスリド、カズサホス、クロルエトキシホス、クオルフェンビンホス、クロルピリホス、クロルピリホス−メチル、クマホス、シクロサリン、デメトン、デメトン−S−メチル、ダイアジノン、ジクロルボス、ジクロトホス、ジイソプロピルフルオロホスファート(グチオン)、ジイソプロピルホスファート、ジメトエート、ジオキサチオン、ジスルホトン、EA−3148、エコチオファート、エチオン、エトプロップ、フェナミホス、フェニトロチオン、フェンチオン、ホスチアゼート、イソフルオロフェート(Isofluorophate)、イソキサチオン、マラオクソン、マラチオン、メタミドホス、メチダチオン、メトリホナート、メビンホス、モノクロトホス、ナレド、ノヴィチョーク剤、オメトエート、オキシデメトン−メチル、パラオクソン、パラチオン、パラチオン−メチル、ホレート、ホサロン、ホスメット、ホステブピリム、ホキシム、ピリミホス−メチル、サリン、ソマン、タブン、テメホス、テルブホス、テトラクロルビンホス、トリブホス、トリクロルホン、デメカリウム、オンキダール、以下のものから選択されるアセチルコリンエステラーゼ阻害剤: アルジカルブ、ベンジオカルブ、ブフェンカルブ、カルバリル、カルベンダジム、カルベタミド、カルボフラン、クロルブファム、クロロプロファム、エチエノカルブ、エチオフェンカルブ、フェノブカルブ、フェノキシカルブ、フォルメタネート、フラダン、ラドスチギル、メチオカルブ、メトミル、ミオチン、オキサミル、フェンメディファム、ピンミカルブ、ピリミカルブ、プロパモカルブ、プロファム、プロポキスル、ガンスチグミン、ネオスチグミン、フェンセリン及びそのエナンチオマーPosiphen、フィゾスチグミン、ピリドスチグミン、リバスチグミン、エプタスチグミン(ヘプチルフィゾスチグミン)、アコチアミド、アンベノニウム、ドネペジル、エドロホニウム、ガランタミン、その誘導体SPH 1371,SPH 1373,SPH 1375及びSPH 1286((−)N−(3−ピペリジノプロピル)−N−デメチルガランタミン)、フペルジンA、そのプロドラッグZT 1((5R,9R)−5−(r−クロロ−2−ヒドロキシ−3−メトキシベンジリデン−アミノ)−11−エチリデン−7−メチル−1,2,5,6,9,10−ヘキサヒドロ−5,9−メタノシクロオクタ[b]ピリジン−2−オン)、ミナプリン、タクリン、トルセリン(3,4,8b−トリメチル−2,3a−ジヒドロ−1H−ピロロ[2,3−b]インドール−7−イル)N−(2−メチルフェニル)カルバマート)、ザナペジル、ER 127528 (l−(3−フルオロベンジル)−4−[(2−フルオロ−5,6−ジメトキシ−1−インダノン−2−イル)メチル]ピペリジン塩酸塩)、チアトルセリン(thiatolserine)、RS 1259 (N,N−ジメチルカルバミン酸4−[l(S)−(メチルアミノ)−3−(4 ニトロフェノキシ)プロピル]フェニルエステルヘミフマラート)、イピダクリン(NIK−247)、ベルナクリン(9−アミノ−l,2,3,4−テトラヒドロ−l−アクリジノール)、ジフロシロン(2,2,2−トリフルオロ−l−[3−(トリ−メチルシリル)フェニル]エタノン),T82 (2−[2−(l−ベンジルピペリジン−4−イル)エチル]−2,3−ジヒドロ−9−メトキシ−lH−ピロロ[3,4−b]キノリン−1−オンヘミフマラート), CI1002 (もしくは PD142676、1,3−ジクロロ−6,7,8,9,10,12−ヘキサヒドロアゼピノ[2,1−b]−キナゾリン)、CHF2060 (N−ヘプチルカルバミン酸 2,4a,9−トリメチル−2,3,4,4a,9,9a−ヘキサヒドロ−1,2−オキサジノ[6,5−b]インドール−6−イルエステル−L−タルトラート)、MF268 (N−[8−(cis−2,6−ジメチルモルホリン−4−イル)オクチル]カルバミン酸(3aS,8aR)−l,3a,8−トリメチル−l,2,3,3a,8,8a−ヘキサヒドロピロロ[2,3−b]インドール−5−イルエステルL−ビタルトラート水和物)、TV3326(N−プロパギル−3R−アミノインダン−5−イル−エチルメチルカルバマート)、ラトレピルジン(Dimebolin)、(−)−12−アミノ−3−クロロ−9−エチル−6,7,10,11−テトラヒドロ−7,11−メタノシクロオクタ[b]キノリン塩酸塩(フペルジンX)、3−(2−[1−(l,3−ジオキソラン−2−イルメチル)ピペリジン−4−イル]エチル)−3,4−ジヒドロ−2H−l,3−ベンズオキサジン−2,4−ジオン塩酸塩(E2030)及びこれらの医薬的に許容可能な塩。 前記アセチルコリンエステラーゼ阻害剤は、可逆性もしくは不可逆性効果を有し得る。 より好ましい実施形態において、前記アセチルコリンエステラーゼ阻害剤は、以下のものから選択される不可逆性アセチルコリンエステラーゼ阻害剤である: アセフェート、アジンフォス−メチル、ベンスリド、カズサホス、クロルエトキシホス、クオルフェンビンホス、クロルピリホス、クロルピリホス−メチル、クマホス、シクロサリン、デメトン、デメトン−S−メチル、ダイアジノン、ジクロルボス、ジクロトホス、ジイソプロピルフルオロホスファート(グチオン)、ジイソプロピルホスファート、ジメトエート、ジオキサチオン、ジスルホトン、EA−3148、エコチオファート、エチオン、エトプロップ、フェナミホス、フェニトロチオン、フェンチオン、ホスチアゼート、イソフルオロフェート(Isofluorophate)、イソキサチオン、マラオクソン、マラチオン、メタミドホス、メチダチオン、メトリホナート、メビンホス、モノクロトホス、ナレド、ノヴィチョーク剤、オメトエート、オキシデメトン−メチル、パラオクソン、パラチオン、パラチオン−メチル、ホレート、ホサロン、ホスメット、ホステブピリム、ホキシム、ピリミホス−メチル、サリン、ソマン、タブン、テメホス、テルブホス、テトラクロルビンホス、トリブホス、トリクロルホン、デメカリウム、オンキダール及びこれらの医薬的に許容可能な塩。 より好ましい実施形態において、前記アセチルコリンエステラーゼ阻害剤は以下のものから選択される可逆性アセチルコリンエステラーゼ阻害剤である: 以下のものから選択されるアセチルコリンエステラーゼ阻害剤: アルジカルブ、ベンジオカルブ、ブフェンカルブ、カルバリル、カルベンダジム、カルベタミド、カルボフラン、クロルブファム、クロロプロファム、エチエノカルブ、エチオフェンカルブ、フェノブカルブ、フェノキシカルブ、フォルメタネート、フラダン、ラドスチギル、メチオカルブ、メトミル、ミオチン、オキサミル、フェンメディファム、ピンミカルブ、ピリミカルブ、プロパモカルブ、プロファム、プロポキスル、ガンスチグミン、ネオスチグミン、フェンセリン及びそのエナンチオマーPosiphen、フィゾスチグミン、ピリドスチグミン、リバスチグミン、エプタスチグミン(ヘプチルフィゾスチグミン)、アコチアミド、アンベノニウム、ドネペジル、エドロホニウム、ガランタミン、その誘導体SPH 1371,SPH 1373,SPH 1375及びSPH 1286((−)N−(3−ピペリジノプロピル)−N−デメチルガランタミン)、フペルジンA、そのプロドラッグZT 1((5R,9R)−5−(r−クロロ−2−ヒドロキシ−3−メトキシベンジリデン−アミノ)−11−エチリデン−7−メチル−1,2,5,6,9,10−ヘキサヒドロ−5,9−メタノシクロオクタ[b]ピリジン−2−オン)、ミナプリン、タクリン、トルセリン(3,4,8b−トリメチル−2,3a−ジヒドロ−1H−ピロロ[2,3−b]インドール−7−イル)N−(2−メチルフェニル)カルバマート)、(−)−12−アミノ−3−クロロ−9−エチル−6,7,10,11−テトラヒドロ−7,11−メタノシクロオクタ[b]キノリン塩酸塩(フペルジンX)、ザナペジル及びこれらの医薬的に許容可能な塩。 別の好ましい実施形態において、前記アセチルコリンエステラーゼ阻害剤は以下のものから選択される: ER 127528 (l−(3−フルオロベンジル)−4−[(2−フルオロ−5,6−ジメトキシ−1−インダノン−2−イル)メチル]ピペリジン塩酸塩)、チアトルセリン(thiatolserine)、 RS 1259 (N,N−ジメチルカルバミン酸4−[l(S)−(メチルアミノ)−3−(4 ニトロフェノキシ)プロピル]フェニルエステルヘミフマラート)、イピダクリン(NIK−247)、ベルナクリン(9−アミノ−l,2,3,4−テトラヒドロ−l−アクリジノール)、エプタスチグミン(ヘプチルフィゾスチグミン)、ジフロシロン(2,2,2−トリフルオロ−l−[3−(トリ−メチルシリル)フェニル]エタノン),T82 (2−[2−(l−ベンジルピペリジン−4−イル)エチル]−2,3−ジヒドロ−9−メトキシ−lH−ピロロ[3,4−b]キノリン−1−オンヘミフマラート), CI1002 (もしくは PD142676、1,3−ジクロロ−6,7,8,9,10,12−ヘキサヒドロアゼピノ[2,1−b]−キナゾリン)、CHF2060 (N−ヘプチルカルバミン酸 2,4a,9−トリメチル−2,3,4,4a,9,9a−ヘキサヒドロ−1,2−オキサジノ[6,5−b]インドール−6−イルエステル−L−タルトラート)、MF268 (N−[8−(cis−2,6−ジメチルモルホリン−4−イル)オクチル]カルバミン酸(3aS,8aR)−l,3a,8−トリメチル−l,2,3,3a,8,8a−ヘキサヒドロピロロ[2,3−b]インドール−5−イルエステルL−ビタルトラート水和物)、TV3326(N−プロパギル−3R−アミノインダン−5−イル−エチルメチルカルバマート)及びラトレピルジン(Dimebolin)及びこれらの医薬的に許容可能な塩。 かなり好ましい実施形態において、前記アセチルコリンエステラーゼ阻害剤はドネペジル,可逆性のアセチルコリンエステラーゼ阻害剤,もしくはその医薬的に許容可能な塩である。 「医薬的に許容可能な塩」とは、例えばアミンのような塩基性残基への鉱酸もしくは有機酸添加により得られる塩;カルボン酸のような酸性残基へのアルカリもしくは有機添加及び前述の塩の1個以上を有する組み合わせ意味する。医薬的に許容可能な塩は、例えば非毒性有機もしくは有機酸からなる親化合物の非毒性塩及び第四アンモニウム塩を包含する。例えば、非毒性酸塩は、無機酸(例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸、硝酸、その他)から誘導されるものを包含する。他の許容可能な無機塩は、金属塩(例えばナトリウム塩、カリウム塩、セシウム塩、等);及びアルカリ土類金属塩(例えばカルシウム塩、マグネシウム塩、等)及び前述の塩の1個以上の組み合わせを包含する。医薬的に許容可能な有機塩は、有機酸(例えば酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、ステアリン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、パモ酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フェニル酢酸、グルタミン酸、安息香酸、サリチル酸、メシル酸、エシル酸、ベシル酸、スルファニル酸、2−アセトキシ安息香酸、フマル酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、シュウ酸、イセチオン酸、HOOC−(CH2)n―COOH(式中、nは0乃至4である),等)から作成される塩;有機アミン塩(例えばトリエチルアミン塩、ピリジン塩、ピコリン塩、エタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩、ジシクロヘキシルアミン塩、Ν,Ν’−ジベンジルエチレンジアミン塩、等);及びアミノ酸塩(例えばアルギン酸塩、アスパラギン酸塩、グルタミン酸塩、等);及び前述の塩1個以上を有する組み合わせを包含する。ドネペジルの特定の塩はWO2006/030249に開示される。 ドネペジル(2,3−ジヒドロ−5,6−ジメトキシ−2−[[1−(フェニルメチル)−4−ピペリジニル]メチル]−lH−インデン−l−オン)は、軽度のものから中程度のアルツハイマー病の患者の管理に必要とされるピペリジン系の可逆性非競合的ChEIである。予備的観察は、アルツハイマー型の認知症(DAT)、レビー小体型認知症の患者及びパーキンソン病を患う患者の精神病症状の回復におけるドネペジルの価値を示唆してきた(Bergman et al, Clin. Neuropharmacol. 2002; 25(2):107−110, Birks J., Cochrane Database Syst Rev. 2006, (1):CD001190, Johanssen P. et al, CNS drugs 2006; 20(4):311−25, Gauthier S. et al, Curr. Med. Res. Opinion2002; 18(6):347−54)。ドネペジルは多数の他の認知障害を治療するのに提案されてきた(脳血管性認知症,睡眠時無呼吸,軽度認知障害,統合失調症,CADASIL症候群,注意欠陥障害,冠状動脈バイパス術後の認知障害,多発性硬化症に関連した認知障害,及びダウン症候群)。 いくつかの臨床研究は決定的であったにも関わらず、ドネペジルの効果は未だに論議されている。なぜなら治療効果が低く、必ずしも明白ではないからである。このコリン作動物質薬の臨床的有用性は、その改善の大きさは限定されたものとして認識される病気の進行期における患者に関して特に不確かである(Nieoullon A., Psychol. Neuropsychiatr. Vieil. 2010; 8(2):123−31)。より重要なのは、幾人かの患者はこれらの治療に対して反応しないことである。 本発明は特に、少なくとも1個のコネキシン遮断剤及びアセチルコリンエステラーゼ阻害剤(AChEI)を含有する治療的物質のコンビネーションプロダクトを標的とするものであって、前記コネキシン遮断剤はメクロフェナム酸であり、前記アセチルコリンエステラーゼ阻害剤(AChEI)はドネペジルもしくはその医薬的な塩である。 より詳細には、本発明は、別個のもしくは連続的な使用のためのコンビネーションプロダクトとして、認知障害を患う患者を治療するための医薬として、少なくとも1個のコネキシン遮断剤及びアセチルコリンエステラーゼ阻害剤(AChEI)を含有する治療的物質のコンビネーションプロダクトを標的とするものであって、前記コネキシン遮断剤はメクロフェナム酸であり、前記アセチルコリンエステラーゼ阻害剤(AChEI)はドネペジルもしくはその医薬的な塩である。 このコンビネーションプロダクトは、例えば同一の容器内もしくは2つの異なる容器内いずれかにおいてMFA及びドネペジルもしくはその医薬的な塩を収容するキットである。 本発明のコンビネーションプロダクトは好ましくは、1μg/kg/日乃至lmg/kg/日のドネペジル又はその医薬的な塩を含有する。好ましい実施形態において、本発明のコンビネーションプロダクトは、100μg/kg/日乃至1mg/kg/日、及びさらに好ましくは250μg/kg/日乃至lmg/kg/日のドネペジルもしくはその医薬的な塩を含有する。これら高投与量において、MFAとの組み合わせは、ドネペジルの効果を時間的に引き延ばすこと、及びこのような高投与量を使用する場合しばしば起こる副作用を回避することを可能にする。 好ましい実施形態において、本発明のコンビネーションプロダクトは、lμg/kg/日乃至100μg/kg/日、より好ましくは10μg/kg/日乃至100μg/kg/日、さらに好ましくは10μg/kg/日乃至40μg/kg/日のドネペジルもしくはその医薬的な塩を含有する。これら低投与量において、MFAとの組み合わせは、副作用を起こすことなくドネペジルの十分な効果を得ることを可能にする。 MFAの抗炎症効果は、約5mg/kg/日投与におけるin vivoで観察される(Wagner C. et al, Am. J. Physiol Regul. Integr. Comp. Physiol. 293 2007; R1781−6を参照)。しかしながら、本発明のコンビネーションプロダクトを使用する場合、MFA量はもっと低く、典型的には0,5μg/kg/日乃至0,5mg/kg/日、より好ましくは25μg/kg/日乃至0,5mg/kg/日、及びさらに好ましくは125μg/kg/日乃至0,5mg/kg/日を含んだ。 このコンビネーションプロダクトは、きわめて低投与量で使用されるMFAのおかげで、Αβタンパク質の蓄積(Αβ38,Αβ40もしくはΑβ42)に影響を及ぼさないこと、及びシクロオキシゲナーゼ(COX)経路を伴わないことにおいて先行技術と異なる。従って、本発明のコンビネーションにおけるMFAの使用は、より高投与量で(典型的には5mg/kgより上、Wagner C. et al, Am. J. Physiol. Regul. Integr. Comp. Physiol. 293 2007; R1781−6を参照)観察される「非ステロイド抗炎症薬」(NSAID)として記載されたその役割とは全くの無関係である。 重要なのは、特に低投与量で投与されたものはドネペジルの有効性を高め、予期せぬ相乗効果をもたらすこと、即ちこの低投与量においてそれ自体に効果はないにも関わらず、実際にMFAは、ドネペジルの最大効果と考えられたもの以上に、ドネペジルの効果を増強すること(Bontempi B., et al, Neuropsjchopharmacology 28 2003;1235−46)を本発明者が証明したことである。また、MFAはドネペジルの効果を促進することが、30分の後処理をするやいなや観察される一方で、単独で投与された場合、3日間の後処理前に予期されない(例えばJoo Y. et al, Molecular Pharmacology 2006; 69:76−84を参照)。 ここで使用される用語「認知障害」は、思考、学習もしくは記憶に関連する精神活動の欠乏により特徴づけられるいずれの状態を意味する。このような障害の例は、認知不能症、記憶消失、失語症、失行、せん妄、認知症及び学習障害を包含する。場合によって、認知障害の原因は未知ないし不確かかもしれない。他の場合において、認知障害は、ニューロンもしくはニューロン間でのシグナルの伝達に関わる他の構造のへのダメージもしくはそれらの消失により特徴づけられる他の事情と関連しているかもしれない(即ち、認知障害は前記他の事情により引き起こされる、もしくは前記他の事情の存在下において生じるかもしれない)。従って、認知障害は神経変性疾患(例えばアルツハイマー病、大脳皮質基底核変性症、クロイツフェルト・ヤコブ病、前頭側頭葉変性症、ハンチントン病、多発性硬化症、正常圧水頭症、器質性脳症候群、パーキンソン病、ピック病、進行性核上性麻痺、老人性痴呆(アルツハイマー型))に関連しているかもしれない。認知障害は、脳への外傷、例えば慢性硬膜下血腫、震盪、脳出血により起きるものに関連し、もしくは脳に対する他の損傷、例えば感染(例えば脳炎、髄膜炎、敗血症)もしくは薬物中毒もしくは乱用に関連しているかもしれない。認知障害は、ダウン症及び脆弱X症候群に関連しているかもしれない。 認知障害は、精神疾患、例えば軽度認知障害、冠状動脈バイパス術後の認知障害、CADASIL症候群,不安障害、解離性障害、気分障害、統合失調症、及び身体表現性及び虚偽性障害を包含する、中枢神経系の正常な機能を損なう他の事情とも関連しているかもしれない。認知障害は、末梢神経系の事情、例えば慢性疼痛及び神経因性疼痛とも関連しているかもしれない。 認知症の例は以下の通りである: AIDS認知症複合、ビンスワンガー病、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症、多発脳梗塞性認知症、ピック病、意味性認知症、老人性痴呆、認知症における睡眠時無呼吸、及び脳血管性認知症。学習障害の例は以下の通りである: アスペルガー症候群、注意欠陥障害、注意欠陥多動性障害、自閉症、小児期崩壊性障害及びレット症候群。最後に、失語症の例は、進行性非流暢性失語である。 好ましい実施形態において、本発明のコンビネーションプロダクトは、以下のものから選択される特定の認知障害の治療を可能にする: アルツハイマー病、パーキンソン病、脳血管性認知症及び老人性痴呆。 他の態様によれば、本発明は、認知障害を患う患者において、このコンビネーションプロダクトの同時の、別個のもしくは連続的な使用にも関わる。 同時使用の場合、2つの治療成分は同時に患者に投与される。本発明のこの実施形態によれば、2個の成分を混合物の形態で一緒にパッケージ、もしくは別々にパッケージでき、次いで患者に一緒に投与される前に自発的に混合される。 より一般的には、2個の成分は同時に、ただし別々に投与される。前記2個の成分は例えば、時間間隔を置いて投与される。前記時間間隔は典型的には数分乃至数時間、好ましくは1分乃至5時間、より好ましくは1分乃至2時間である。 特に、2個の成分の投与経路は異なってよい。異なる個所で投与を実施可能でもある。別の実施形態において、2個の成分は連続的に、もしくは時間間隔を置いて、例えば同じ日内に、又は数時間乃至数週間もしくは数か月の間隔を置いて投与される。 本発明は、認知障害を患う患者を治療するため、アセチルコリンエステラーゼ阻害剤の前に、同時に、もしくは後で投与されることを意図した薬物を調製するための、少なくとも1個のコネキシン遮断剤、例えばMFAの使用をも伴う。 別の態様によれば、本発明は、認知障害を患う患者においてアセチルコリンエステラーゼ阻害剤、例えばドネペジルの効果を高めるため、少なくとも1個のコネキシン遮断剤、例えばMFAの使用を含む。 本発明はまた、認知障害を患う患者においてアセチルコリンエステラーゼ阻害剤、例えばドネペジルの効果を高めるため、少なくとも1個のコネキシン遮断剤、例えばMFAの使用を標的とする。 従って別の態様によれば、本発明は、認知障害を患う患者においてアセチルコリンエステラーゼ阻害剤、例えばドネペジルの効果を高めるのに使用するため、コネキシン遮断剤、例えばMFAを包含する。アセチルコリンエステラーゼ阻害剤、コネキシン遮断剤及び認知障害に関わる全ての実施形態は、ここに包含される。 本発明はまた、認知障害を患う患者においてアセチルコリンエステラーゼ阻害剤、例えばドネペジルの効果を高めるための方法を標的とし、前記方法は少なくとも1個のコネキシン遮断剤、例えばMFAを使用する。 この場合における用語「効果を高める(potentiate)」は、抗コネキシン剤の前に、同時に、もしくは後で投与されるコリン作動物質の効果を顕著に高めることを意味する。特に、コリン作動物質の抗コネキシン剤とのコンビネーションは、前記コリン作動物質の治療効果を、例えばその濃度を考慮しても、コリン作動物質単独により得られるものよりも高い程度まで増強すること可能にする。例えばコリン作動物質単独の効果と比較して、少なくとも約25%まで、好ましくは少なくとも約40%まで、及びより好ましくは少なくとも約50%まで効果を増強する場合、コリン作動物質の効果の「顕著な増加」が得られる。前記効果は、例えばEEGプロファイルもしくは以下の実験部分に記載された実験動物内の賦形剤と比較して交替(alternation)の百分率を分析することにより測定可能である。 この増強された効果(potentiation)はまた、前記コリン作動物質が使用される投与量を減らすこと、したがって前記コリン作動物質の潜在的な有害な効果を制限すること、及び/又は不全及び離脱症状の効果を減らすことを可能にする。 従って本発明はまた、前記コリン作動物質の投与量を減らすため、及び/又は前記コリン作動物質の副作用を制限するため、及び/又は不全及び離脱症状の効果を減らすため、少なくとも1個のコネキシン遮断剤の使用に関わる。 典型的には、ドネペジルは、成人1日当たり5mg乃至10mg(これは100μg/kg/日乃至200μg/kg/日を意味する)の投与量で使用される。上に開示のように、本発明のコンビネーションは、典型的には100μg/kg/日未満まで及び好ましくは50μg/kg/日まで(例えば,ドネペジルの投与量は1μg/kg/日乃至100μg/kg/日、好ましくは10μg/kg/日乃至100μg/kg/日、及びさらに好ましくは10μg/kg/日乃至40μg/kg/日であってよい)前記投与量を減らすこと、もしくは副作用を誘導することなしに長期にわたりドネペジルの効果を最大化すること(ドネペジルを高投与量、即ち100μg/kg/日乃至lmg/kg/日、好ましくは100μg/kg/日乃至200μg/kg/日、もしくは250μg/kg/日乃至1mg/kg/日で使用する場合)のいずれかを可能にする。 最後の態様によると、本発明は認知障害を患う患者を治療する方法であって、前記患者に対して:a)少なくとも1個のアセチルコリンエステラーゼ阻害剤、及びb)少なくとも1個のコネキシン遮断剤を投与することを包含する方法を記載する。当該方法において前記プロダクトa)及びb)は、同時に、別個にもしくは長期にわたり広がって投与される。 この方法の全ての実施形態は上に記載した通りである。1.材料及び方法: 1.1.マウスにおける脳波記録: WO2010/029131に先に記載されたように、海馬の脳波活性(EEG)の分析によりドネペジルの電気生理学的な効果を評価した。簡単に言うと、アッセイは以下のようである。電極のプレインプラント: イソフルラン麻酔下、雄C57bl/6マウス2グループ(4乃至5月齢が7匹及び17乃至18月齢が7匹)に両側海馬バイポーラ電極をプレインプラントした。記録前に、回復に2週間かかった。注入: 処置ごとに7匹のマウスの循環組み合わせにより、様々な腹腔内処置を行った(ドネペジル 0.1及び0.3mg/kg、メクロフェナム酸1mg/kg、ドネペジル0.1mg/kg+MFA 1mg/kg)。MFA投与量1mg/kgは、げっ歯類における脳波シグナルに影響しないと先に記載された。EEG測定: (先にインプラントし、飼いならしてある)目を覚ましたマウスの様々なバッチについて、注入後2時間記録することによりEEG測定を行った。フーリエ変換(FFT)によりスペクトル分析を行い、各周波数(Hertz)及び各秒について相対パワーを算出させる。次いでFFTデータを分によって平均し、厳格に同じ実験条件で前日に実施したコントロール溶媒記録に対して繰り返す。次いで、2個の海馬電極のスペクトルパワーを3乃至12ヘルツで平均し、時間で表わす。 第1日に、「成体」及び「老齢」マウス(n=7)に塩水を腹腔内投与し、θ海馬活性を連続2時間測定した。第2日に、ドネペジルを単独もしくはMFAとの組み合わせで注入し、θ海馬活性を第1日に測定されたそれと関連させる。結果は図1に示す(*: p<0,05 (一元配置 ANOVA))。1.2. 作業記憶の行動試験、マウスにおけるT型迷路プロトコル: 交互の連続したテストが、マウスの空間的作業記憶を評価するのに広く使われる(Beracochea D.J. and Jaffard R., ehav. Neurosci. 101 (1987) 187−97)。自発的な交替は、T型迷路装置の到達のコンパートメントに入るために彼らの選択肢を交替するというげっ歯類の先天的な傾向である。与えられた試行Nの間に交替するため、動物は試験N−lで選択的に行った選択肢を思い出さないといけない。そうすると交替の低下は忘却現象を反映することになる。交替の応答はパフォーマンス測定である。連続的な交替は、干渉に対する感受性、忘却における主な要因をより詳細に評価する。 実験をT型迷路(50cmx10cmx25cm)において行った。全ての対象(C57bl/6 雄マウス、17乃至18月齢、n=9)を、試行と試行の間に90秒の間隔で分割された7連続試行に付した。1試行を開始するため、ステムへのドアが開かれる前90秒間、マウスをスタートボックスに置いた。対象がゴールアームの1つに進入したとき、そのアームへのドアは閉じられた。選択されたアーム並びにドアを開いてから選択されたアームの末端に到達するまでにかかった時間(課題達成時間)が登録された。選択されたアームにおける30秒の監禁期間の後、動物を除去し、新しい試行のためにスタートボックスに置いた。嗅覚による検出を避けるため、各試験と試験との間に、ユニットを水とアルコールで清掃した。交替応答は、対象が、直前の試行において訪れたのとは反対側のアームに進入した各時間とみなされた。6連続試行を考慮して交替率を算出し、(2連続試行において対象が同じアームに戻らなかった場合に、得られた)最大交替率100%に対する百分率で表した。 17乃至18月齢のC57BL/6 マウス(「老齢」マウス)に、T型迷路実験の30分前、NaCl(賦形剤)ドネペジル(DZP)、メクロフェナム酸 (MFA)もしくは後者2つ化合物の組み合わせを腹腔内注入した。 (NaCl,ドネペジル,MFA)処理から30分後、「老齢」マウスをT型迷路内に置く。交替の百分率を、7連続試行について測定した。50%はランダムな交替に対応する。結果を、図2及び3に示す(**: p<0.01; *: p<0.05 (ANOVA))。1.3.統計的分析: SigmaPlotソフトウェア(Systat Software Inc)により統計的分析を確立した。2.実験結果:2.1. 脳波検査によるドネペジル増強作用の研究: 脳波検査(EEG)で測定されたCNSにおける高められた電気的活性は、ある状況によっては向精神薬の治療効果を反映することが知られているので(Galderisi S. et al, Methods Find. Exp. Clin. Pharmacol. 24 Suppl D (2002) 79)、図1に示すようにドネペジル/MFAコンビネーションの効果を、2時間のθ−海馬活性及び2グループのマウス(「成体」及び「老齢」)について評価した。図1: 以下のことが観察された:・4乃至5月齢マウスはドネペジル0.1mg/kg及び0.3mg/kgの投与に対して有意に応答しない一方、17乃至18月齢マウスの記録は、2時間の記録中0.3mg/kgにおいてドネペジルの効果を示す。これは、「成体」及び「老齢」マウスとの間での記載されたドネペジルに対する異なる応答と一致する(Tranche C. et al, Behav. Brain. Res. 2010; 215:255−260)。・メクロフェナム酸は、1時間目及び2時間目の間ドネペジルの薬理的効果を顕著に増強する。従って、MFAはそれ自体に何の効果を有しないが、ドネペジルとの組み合わせ処理はドネペジル単独よりもより強力であったことを、EEGは示した。ANOVAにより明らかなように、MFA+ドネペジルは、賦形剤及びドネペジル(0.1及び0.3mg/kg)処理したマウス(グループ当たりn=7; p=0.034)と比較してシータ周波数を50%以上まで増加させた。2.2. 行動解析によるドネペジル増強の研究: ドネペジルは、T型迷路装置内のマウスのパフォーマンスを改善するものとして記載された好記憶性(promnesiant)分子である(Spowart−Manning L., Behav. Brain. Res. 151 (2004) 37−46)。 図2から以下のことが推論可能である:・ドネペジルは、0.3及び1mg/kgにおいて顕著な好記憶性(promnesiant)効果を有する。当該効果は先のテストにおいてなされた選択についての記憶を思い出すことによる交替の増加により同定された。この分子は、0.1mg/kgにおいて有意な好記憶性効果を有しない。・メクロフェナム酸は1mg/kgにおいて有意な好記憶性効果を有しない。・ ドネペジルは0.1mg/kgにおいてメクロフェナム酸により増強される。 マウスの交替をも2試行のブロックにより分析した(ブロック1: 試行2及び3/ブロック2: 試行4及び5/ブロック3: 試行6及び7)。結果を図3に示す:・メクロフェナム酸は試行の3個のブロックにおいて有意な効果を示さない。・コントロールマウスのパフォーマンス(賦形剤「vehicle」)は第3のブロックにおいて劣化しおり、記憶干渉の効果を反映している。・ドネペジルは0.1mg/kgにおいて試行の第3ブロック内の干渉現象を部分的に相殺する。・メクロフェナム酸は第3ブロック内でドネペジルの効果を主として増強し、干渉現象を減らすことにより記憶の呼び出しを増強する。 より正確には、メクロフェナム酸とのコンビネーションは、ドネペジル単独について、及びより少ないドネペジル投与量について観察された最大効果よりも(0.lmg/kg、図2の最後のカラムを参照)高い効果(ほぼ85%)に到達することを可能にする。換言すると、老齢によって誘発された障害(グループ当たりn=9; p<0.01)を逆行させるのに、0.lmg/kgにおけるMFA+ドネペジルの組み合わせた治療は、ドネペジル単独の最高投与量(即ち、0.3及び1mg/kg)よりもより効率的であることが示された。 また、メクロフェナム酸とのコンビネーションは、ドネペジルにより誘導される記憶干渉抵抗よりも高い記憶干渉抵抗を得ることを可能にする。このドネペジル効果の改善は今まで観察されたことがない。 これらの結果は驚くべきものである。実際のところ、文献(例えば投与量0,2mg/kg s.c.についてBontempi B. et al(Neuropsychopharmacology 2003;28;1235−12460)を参照)もしくは上に示した実験(0,3mg/kg i.p.)で見られるように、ドネペジルは0,2乃至0,3mg/kgにおいてその最大効率を示す(図2参照: ドネペジル単独0.3mg/kg及びlmg/kgについて約75%が得られた).ドネペジル単独では、より高い投与量においても、これよりも高い効率は達成できなかった。全体的な結論:以下の表1は、脳波検査(EEG)及び行動テスト(SA課題)の結果である。 EEG結果は、賦形剤を注入されたマウスと比較した各グループの海馬シータリズムの相対パワーとして表される。SA課題結果は、7試行にわたり賦形剤と比較した抗体の平均百分率として表される。*: p<0.05; **: p<0.01。 ドネペジルの電気生理学的効果及び好記憶性機能がメクロフェナム酸により大きく増強されること、驚くべきことにメクロフェナム酸はドネペジルの最大薬理的効果を与えることが初めて示された。 さらに、メクロフェナム酸はドネペジルの薬理的プロファイルを修正するのであって、記憶についてのドネペジルの効果の時間的発展及び強度を修正する。 緊急治療の間、MFAはここで使用される前臨床モデルに対してそれ自体の効果を有しないこと、それゆえMFAの機能はΑβ蓄積とは無関係と考えられることに注意することが重要である。・ΑβとNSAID作用との間の独立性: ここで使用される前臨床モデル(中年野生型17乃至18月齢マウス)は、Αβ蓄積により特徴づけられない認知障害の病理学モデルである。実際に、24月齢を超える野生型マウスにおいてさえΑβ蓄積はない(Walther T. et al, PLoS One 2009; e4590におけるfigure 2を参照)が、17乃至18月齢において認知機能低下が示されている(Beracochea D. et al, Psychopharmacology (Berl) 193 2007; 63−73を参照)。加えて、1mg/kg単独において、MFAの有意な認知性効果は見られない(本願の図2及び図3)が、このような投与量はドネペジルを増強する。 その抗Cox作用のため、MFAは5mg/kgより上の投与量で投与される(Wagner C. et al, Am. J. Physiol. Regul. Integr. Comp. Physiol. 293 2007; R1781−6を参照)。しかしながら、本発明においてMFAは、そのNSAID作用について公表されているものよりも低い投与量で使用された。 この点が、先行技術文献、例えばMc Gleenon et al, British Journal of Clinical Pharmacology, 1999; 48, 471−480,及びGasparini L. et al, Journal of Neurochemistry 2004; 91, 521−536との主な違いを構成している。なぜならこの後の方の文献は、Αβ投与量が抗Cox投与量と同様であると明記しているからである。従って、ドネペジルに対するMFAの増強効果は、そのポテンシャル抗Αβ1−40もしくは抗Αβ1−42効果とは無関係である。・本発明は、アルツハイマー病を特異的に標的にしているのではなく、全ての認知障害を標的にしている。 本発明は、広く全ての認知障害を取り扱う。このような障害は、多くの認知症(アルツハイマー病、レビー小体型認知症、パーキンソン病に関連する認知症、老人性痴呆、脳血管性認知症、水頭症、コルサコフ症候群、クロイツフェルト・ヤコブ病、等)において見られる特異的認知機能、例えば注意、記憶、言語の改変により限定される。従って、本発明はΑβ蓄積を有する疾病を特異的に標的にするのではなく、その病因とは無関係に認知障害の全てのタイプを標的にする(実際のところ、コリン作動性システムのようなΑβとは無関係のメカニズムを標的とする場合にもドネペジルは記載される)。・低投与量で、上に例示された前臨床モデルに投与されたMFAはドネペジルを増強し、それは予期せぬ効果である。 この効果は付加的な効果ではなく、予期されない相乗効果である。実際のところ、MFAはテストされた投与量においてそれ自身の効果は有しないのであり、ドネペジルの最大効果以上にドネペジルが増強される(Bontempi B., et al,Neuropsjchopharmacology 28 2003;1235−46)(とりわけヒト認知症において改変されている記憶干渉に対する抵抗に関して(Hanseeuw B.J., et al, Brain Cogn. 72 325−31))。 本発明のコンビネーションの作用の動態は新規で予期せぬものである。実際のところ、ドネペジルの効率の増強が、30分の後処理をするやいなや観察される一方で、先行技術文献(例えばJoo Y. et al, Molecular Pharmacology 2006; 69:76−84)に記載された効果は3日間の処理の後に見られるにすぎない。 少なくとも1個のコネキシン遮断剤及び1個のアセチルコリンエステラーゼ阻害剤(AChEI)を含有する治療物質コンビネーションプロダクトであって、 前記コネキシン遮断剤はメクロフェナム酸であり、 前記アセチルコリンエステラーゼ阻害剤(AChEI)はドネペジルもしくはその医薬的な塩である、コンビネーションプロダクト。 0.5g/kg/日乃至0.5mg/kg/日のメクロフェナム酸を含有する、請求項1に記載のコンビネーションプロダクト。 1μg/kg/日乃至lmg/kg/日のドネペジル又はその医薬的な塩を含有する、請求項1又は2に記載のコンビネーションプロダクト。 同時の、別個のもしくは連続的な使用のためのコンビネーションプロダクトとしての、認知障害を患う患者を治療するための医薬としての、少なくとも1個のコネキシン遮断剤及び1個のアセチルコリンエステラーゼ阻害剤(AChEI)を含有する治療物質コンビネーションプロダクトであって、 前記コネキシン遮断剤はメクロフェナム酸であり、 前記アセチルコリンエステラーゼ阻害剤(AChEI)はドネペジルもしくはその医薬的な塩である、コンビネーションプロダクト。 前記認知障害は、アルツハイマー病、パーキンソン病、脳血管性認知症及び老人性痴呆から選択される、請求項4に記載の使用のためのコンビネーションプロダクト。 0.5g/kg/日乃至0.5mg/kg/日のメクロフェナム酸を含有する、請求項4又は5に記載の使用のためのコンビネーションプロダクト。 1μg/kg/日乃至lmg/kg/日のドネペジル又はその医薬的な塩を含有する、請求項4乃至6のいずれか一項に記載の使用のためのコンビネーションプロダクト。 認知障害を患う患者においてドネペジルもしくはその医薬的な塩の効果を増強する使用のためのコネキシン遮断剤であって、 前記コネキシン遮断剤はメクロフェナム酸である、コネキシン遮断剤。 前記認知障害は、アルツハイマー病、パーキンソン病、脳血管性認知症及び老人性痴呆から選択される、請求項8に記載の使用のためのコネキシン遮断剤。 メクロフェナム酸を0.5g/kg/日乃至0.5mg/kg/日に含まれる投与量で使用する、請求項8又は9に記載の使用のためのコネキシン遮断剤。 ドネペジル又はその医薬的な塩を1μg/kg/日乃至lmg/kg/日に含まれる投与量で使用する、請求項8乃至10のいずれか一項に記載の使用のためのコネキシン遮断剤。 本発明は、アセチルコリンエステラーゼ阻害剤を使用する神経学的及び神経心理学的治療処置の改善に関する。より詳細には、本発明は、ここではコネキシン遮断剤と呼ばれる一定の分子により、可逆的アセチルコリンエステラーゼ阻害剤 ドネペジルの効果を増強可能にする。前記コネキシン遮断剤は好ましくはメクロフェナム酸である。


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