タイトル: | 公表特許公報(A)_マイクロRNAの調節による全身エネルギーホメオスタシスの制御 |
出願番号: | 2014530222 |
年次: | 2014 |
IPC分類: | A61K 45/00,A61K 48/00,A61K 31/7088,A61P 3/04,A61P 3/10,A61P 9/10,A61P 3/06,A61P 3/00,A61P 21/00,A61P 43/00,A61P 9/00,A61P 3/12,A61P 25/08,A61P 25/00,C12N 15/113 |
ローイ, エヴァ ヴァン オルソン, エリック グルーター, チャド JP 2014530222 公表特許公報(A) 20141117 2014534825 20121009 マイクロRNAの調節による全身エネルギーホメオスタシスの制御 ミラゲン セラピューティクス, インコーポレイテッド 514084303 ザ ボード オブ リージェンツ,ザ ユニバーシティ オブ テキサス システム 512168294 山本 秀策 100078282 森下 夏樹 100113413 飯田 貴敏 100181674 石川 大輔 100181641 山本 健策 230113332 ローイ, エヴァ ヴァン オルソン, エリック グルーター, チャド US 61/544,187 20111006 US 61/638,345 20120425 A61K 45/00 20060101AFI20141021BHJP A61K 48/00 20060101ALI20141021BHJP A61K 31/7088 20060101ALI20141021BHJP A61P 3/04 20060101ALI20141021BHJP A61P 3/10 20060101ALI20141021BHJP A61P 9/10 20060101ALI20141021BHJP A61P 3/06 20060101ALI20141021BHJP A61P 3/00 20060101ALI20141021BHJP A61P 21/00 20060101ALI20141021BHJP A61P 43/00 20060101ALI20141021BHJP A61P 9/00 20060101ALI20141021BHJP A61P 3/12 20060101ALI20141021BHJP A61P 25/08 20060101ALI20141021BHJP A61P 25/00 20060101ALI20141021BHJP C12N 15/113 20100101ALN20141021BHJP JPA61K45/00A61K48/00A61K31/7088A61P3/04A61P3/10A61P9/10A61P3/06A61P3/00A61P21/00A61P43/00A61P9/00A61P3/12A61P25/08A61P25/00C12N15/00 G AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC US2012059349 20121009 WO2013052965 20130411 75 20140515 4B024 4C084 4C086 4B024AA01 4B024CA01 4B024EA04 4B024GA11 4B024HA17 4C084AA13 4C084AA17 4C084NA14 4C084ZA451 4C084ZA701 4C084ZA941 4C084ZC211 4C084ZC331 4C084ZC351 4C084ZC411 4C084ZC521 4C086AA01 4C086AA02 4C086EA16 4C086MA01 4C086MA04 4C086NA14 4C086ZA01 4C086ZA45 4C086ZA70 4C086ZA94 4C086ZC21 4C086ZC33 4C086ZC35 4C086ZC41 4C086ZC52 関連出願 本願は、2011年10月6日に出願した米国仮出願第61/544,187号および2012年4月25日に出願した米国仮出願第61/638,345の利益を主張する。これらの出願は各々、その全体が本明細書中に参考として援用される。 政府支援についての記載 本発明は、National Institutes of Healthの助成金番号5R01HL093039の下での助成金支援によりなされた。政府は、本発明において一定の権利を有する。 本発明は、マイクロRNA(miRNA)の活性または発現を調整する作用物質を投与することによる、代謝障害の処置および予防に関する。特に、本発明は、被験体の細胞におけるmiR−208aおよび/またはmiR−208bの発現または活性を阻害することによって、代謝障害を処置または予防するための方法を提供する。そのうえ、本発明は、細胞を、miR−208aおよび/またはmiR−208bの発現または活性の修飾物質と接触させることによって、細胞における脂肪酸代謝を調節するための方法を提供する。本発明はまた、被験体の細胞におけるmiR−208aおよび/またはmiR−208bの発現または活性を阻害することによって、ミトコンドリア機能を増強するもしくは上昇させる、燃料代謝を改善する、および/またはレドックスホメオスタシスを維持するための方法をも提供する。 エネルギーホメオスタシスの維持は、エネルギー摂取およびエネルギー消費の間のバランスを必要とする。西洋社会において、過剰な摂食量は、肥満症の劇的な増加をもたらす、エネルギーバランスの変化(非特許文献1(Vanら、(2006)Nature 444、875−880))、2型糖尿病(T2D)、高血圧症、高脂血症、および心臓血管系疾患の危険性を高める多臓器障害(非特許文献2(Mathieuら、(2008)The International Journal of Biochemistry & Cell Biology 40、821−836))に至った。エネルギーをもたらす基質の代謝の障害および心筋の脂質蓄積は、肥満でインスリン抵抗性の個人において見つけられる初期の異常である(非特許文献3(Harmanceyら、(2008)Hypertension 5,181−187))。代謝的に活性な組織(たとえば脂肪、肝臓、および骨格筋)におけるミトコンドリア機能不全は、メタボリックシンドローム(MS)、インスリン抵抗性(IR)、およびT2Dを含む代謝性疾患と一般に関連する(非特許文献4(Muoio and Newgard、(2008)Nat Rev Mol Cell Biol,2008.9、193−205))。 したがって、ミトコンドリア機能の増強などによって、肥満症および関連する代謝性疾患を処置するおよび予防するための有効な療法を同定する必要性がますます大きくなっている。Vanら、(2006)Nature 444、875−880Mathieuら、(2008)The International Journal of Biochemistry & Cell Biology 40、821−836Harmanceyら、(2008)Hypertension 5,181−187Muoio and Newgard、(2008)Nat Rev Mol Cell Biol,2008.9、193−205 本発明は、miR−208阻害が、年齢誘発性の体重増加および高脂肪誘発性の体重増加を低下させ、また、糖耐性、燃料代謝、ミトコンドリア機能、およびレドックスホメオスタシスを改善するという驚くべき発見に部分的に基づく。したがって、本発明は、肥満症および糖尿病などのような代謝障害を処置または予防するための方法、および/または細胞(たとえば心および/もしくは骨格筋細胞)におけるmiR−208aおよび/もしくはmiR−208bの発現または活性を調整することによる肥満症および糖尿病などのような代謝障害を処置または予防するための方法を、その必要がある被験体において提供する。本発明はまた、細胞におけるmiR−208aおよび/またはmiR−208bの発現または活性を調整することによって、ミトコンドリア機能、レドックスホメオスタシス、および燃料代謝を増強するための方法をも、その必要がある被験体において提供する。 一実施形態において、本発明の方法が、被験体に対して、miR−208aおよび/またはmiR−208bの阻害剤(たとえばアンチセンスオリゴヌクレオチド阻害剤)を投与することを含み、miR−208aおよび/またはmiR−208bの発現または活性が、投与後に、被験体の細胞において低下する。阻害剤の投与は、その必要がある被験体において、代謝障害を処置または予防するためのものであってもよい。一実施形態において、阻害剤の投与が、その必要がある被験体において、ミトコンドリア機能を増強するためのものである。 処置されることとなる代謝障害は、メタボリックシンドローム、肥満症、真性糖尿病、糖尿病性腎症、インスリン抵抗性、アテローム性動脈硬化症、脂質蓄積障害、糖原病、中鎖アシル補酵素Aデヒドロゲナーゼ欠損症、脂質酸化、高コレステロール、または異常なグルコース取込みおよび/もしくは利用を含むことができる。これらの代謝障害から結果として生じる二次疾患または状態もまた、本発明の方法により予防するまたは処置することができる。たとえば、一実施形態において、本発明は、miR−208aおよび/またはmiR−208bの阻害剤を投与することによって、睡眠時無呼吸、癌、脳卒中、および変形性関節症などのような、肥満症から結果として生じる二次疾患または障害を予防するまたは処置する方法を提供する。ミトコンドリア機能不全による障害もまた、本明細書において開示される方法によって処置することができる。たとえば、被験体は、筋力低下、虚弱、サルコペニア、筋ジストロフィー、筋萎縮症、筋萎縮性側索硬化症、またはミトコンドリア性筋障害に罹患し得るまたはその危険性があり得る。 本発明の方法において使用するのに適したmiR−208aおよびmiR−208bの阻害剤は、アンチセンスオリゴヌクレオチドとすることができる。一実施形態において、アンチセンスオリゴヌクレオチドが、miR−208aおよび/またはmiR−208bの成熟配列に対して、少なくとも部分的に相補的である配列を含む。ある実施形態において、アンチセンスオリゴヌクレオチドが、ロックド核酸、二環式ヌクレオシド、ホスホノホルメート、2’O−アルキル修飾、およびホスホロチオエート連結などのような、1つ以上の糖または骨格修飾を含む。一実施形態において、アンチセンスオリゴヌクレオチドが、2’O−アルキル修飾または2’−フルオロ修飾などのような2’−ハロ修飾を含む。他の実施形態において、miR−208aおよび/またはmiR−208b阻害剤が、長さが約6〜約22ヌクレオチドのアンチセンスオリゴヌクレオチドである。 他の実施形態において、本発明は、細胞における脂肪酸代謝を調節するための方法であって、細胞を、miR−208aおよび/またはmiR−208bの発現または活性の修飾物質と接触させることを含む方法を提供する。修飾物質は、miR−208aおよび/またはmiR−208bの発現または活性の阻害剤またはアゴニストとすることができる。ある実施形態において、脂肪酸代謝が、阻害剤に対して曝露されない細胞と比較して、miR−208aおよび/またはmiR−208b阻害剤との接触後に、細胞において増加する。他の実施形態において、脂肪酸代謝が、アゴニストに対して曝露されない細胞と比較して、miR−208aおよび/またはmiR−208bのアゴニストとの接触後に、細胞において減少する。細胞は、インビトロまたはインビボにおけるものであってもよい。いくつかの実施形態において、細胞が、心筋細胞、骨格筋細胞、前脂肪細胞、脂肪細胞、肝細胞、または膵臓細胞である。 本発明は、エネルギーホメオスタシスに影響を与えるように、miR−208aおよびmiR−208bを含むmiR−208ファミリーmiRNAの発現(たとえば存在量)を阻害することができる化学的修飾アンチセンスオリゴヌクレオチドの使用を包含する。本発明は、アンチセンスオリゴヌクレオチドを含む医薬組成物および代謝障害などのような、エネルギーホメオスタシスに関係するまたはそれに影響を与える状態または障害を有する患者を処置するための方法をさらに提供する。 他の態様において、本発明は、本発明の方法において使用するための、本明細書において記載されるアンチセンスオリゴヌクレオチド阻害剤を含む医薬組成物および製剤を提供する。そのような製剤および組成物は、細胞の送達のための、様々な巨大分子集合体、ミセル、またはリポソーム組成物内へのアンチセンスオリゴヌクレオチドの組み込みを含んでいてもよい。ある実施形態において、組成物が、皮内、皮下、筋肉内、腹腔内、もしくは静脈内注射または標的組織(たとえば心もしくは骨格筋組織)への直接的な注射に適しているまたはそれ用に製剤される。 本発明の他の態様および実施形態は、本発明についての以下の詳細な説明から明らかになるであろう。図1は、抗miR−208a(M−10101)が、マウスにおける年齢誘発性の体重増加を低下させることを示す図である。1、2、および3日目に3×25mg/kgの抗miR−208a(M−10101)および2週間ごとに25mg/kgの維持量により処置されたマウスは、コントロール(M−10591)または食塩水注射動物と比較して、年齢に伴う体重(BW)増加における低下を示す(A)。グループはすべて、8週齢で、同等の体重でスタートしたが、食塩水およびコントロール注射動物は、年齢誘発性の体重における減少により、有意により低い心臓重量対体重(HW/BW)比を示す(B)。パネルCおよびDにおいて、異なるグループの心臓重量(HW)および心臓重量対全重量(HW/TL)もまた、それぞれ示す。図2は、抗miR−208a(M−10101)が、ラットにおける年齢誘発性の体重増加を低下させることを示す図である。11週間、2週間ごとの、抗miR−208a(M−10101)、コントロール(M−10591)、または食塩水の、オス成体ラットへの投薬は、抗miR−208aが、体重における年齢誘発性の増加を低下させることを示す。A.抗miR−208aまたはコントロール抗miR(コントロール)により、6週間処置したマウスのノーザンブロット分析。U6 RNAは、ローディングコントロールとして検出した。それぞれの処置からの5匹のマウス由来の心臓について分析した。抗miR−208a処置心臓中にmiR−208aが存在しないことに注目されたい。B.6週間の普通の固形飼料(NC)または高脂肪食(HF)の抗miR−208aおよびコントロール抗miR処置マウスからの心臓重量(n=5〜13)。C.6週間のNCの抗miR−208aおよびコントロール抗miR処置マウスについての短縮率(fractional shortening)(n=5)。D.6週間のNCの抗miR−208aおよびコントロール抗miR処置マウスについての、毎分脈拍における心拍数(n=5)。図4は、抗miR−208a(M−10101)処置マウスが、食餌誘発性の肥満症に対して抵抗性であることを示す図である。A.普通の食餌(NC)および高脂肪食(HF)の6週間後のコントロール(M−10591)および抗miR−208a(M−10101)処置マウスを比較する代表的な画像。B.普通の食餌(NC)および高脂肪食(HF)の6週間後のコントロール(M−10591)および抗miR−208a(M−10101)処置マウスを比較する成長曲線および体重における増加パーセント。C.普通の食餌(NC)および高脂肪食(HF)の6週間後のコントロール(M−10591)および抗miR−208a(M−10101)処置マウスを比較する、NMRによって測定した体組成。それぞれのバーの白色の部分は、脂肪重量を示す。D.普通の食餌(NC)および高脂肪食(HF)の6週間後のコントロール(M−10591)および抗miR−208a(M−10101)処置マウス由来の内臓白色脂肪組織(WAT)および肩甲下褐色脂肪組織(BAT)の重量。E.普通の食餌または高脂肪食のコントロールおよび抗miR−208処置マウス由来の内臓WATおよび肩甲下BATのH&E染色。スケールバー=40μm。F.6週間の高脂肪食の抗miR−208aおよびコントロール抗miR処置マウス由来の内臓WATおよび肝臓の写真。G.内臓WATの細胞サイズ(n=5)。>500個の細胞を示すそれぞれのグループにおける7〜8匹のマウス由来の200mm間隔の3枚の切片からの画像について、分析した。普通の食餌(NC)および高脂肪食(HF)の6週間後のコントロール(M−10591)および抗miR−208a(M−10101)処置マウスからの血清トリグリセリドレベル(H)および血清コレステロールレベル(I)。図4は、抗miR−208a(M−10101)処置マウスが、食餌誘発性の肥満症に対して抵抗性であることを示す図である。A.普通の食餌(NC)および高脂肪食(HF)の6週間後のコントロール(M−10591)および抗miR−208a(M−10101)処置マウスを比較する代表的な画像。B.普通の食餌(NC)および高脂肪食(HF)の6週間後のコントロール(M−10591)および抗miR−208a(M−10101)処置マウスを比較する成長曲線および体重における増加パーセント。C.普通の食餌(NC)および高脂肪食(HF)の6週間後のコントロール(M−10591)および抗miR−208a(M−10101)処置マウスを比較する、NMRによって測定した体組成。それぞれのバーの白色の部分は、脂肪重量を示す。D.普通の食餌(NC)および高脂肪食(HF)の6週間後のコントロール(M−10591)および抗miR−208a(M−10101)処置マウス由来の内臓白色脂肪組織(WAT)および肩甲下褐色脂肪組織(BAT)の重量。E.普通の食餌または高脂肪食のコントロールおよび抗miR−208処置マウス由来の内臓WATおよび肩甲下BATのH&E染色。スケールバー=40μm。F.6週間の高脂肪食の抗miR−208aおよびコントロール抗miR処置マウス由来の内臓WATおよび肝臓の写真。G.内臓WATの細胞サイズ(n=5)。>500個の細胞を示すそれぞれのグループにおける7〜8匹のマウス由来の200mm間隔の3枚の切片からの画像について、分析した。普通の食餌(NC)および高脂肪食(HF)の6週間後のコントロール(M−10591)および抗miR−208a(M−10101)処置マウスからの血清トリグリセリドレベル(H)および血清コレステロールレベル(I)。図4は、抗miR−208a(M−10101)処置マウスが、食餌誘発性の肥満症に対して抵抗性であることを示す図である。A.普通の食餌(NC)および高脂肪食(HF)の6週間後のコントロール(M−10591)および抗miR−208a(M−10101)処置マウスを比較する代表的な画像。B.普通の食餌(NC)および高脂肪食(HF)の6週間後のコントロール(M−10591)および抗miR−208a(M−10101)処置マウスを比較する成長曲線および体重における増加パーセント。C.普通の食餌(NC)および高脂肪食(HF)の6週間後のコントロール(M−10591)および抗miR−208a(M−10101)処置マウスを比較する、NMRによって測定した体組成。それぞれのバーの白色の部分は、脂肪重量を示す。D.普通の食餌(NC)および高脂肪食(HF)の6週間後のコントロール(M−10591)および抗miR−208a(M−10101)処置マウス由来の内臓白色脂肪組織(WAT)および肩甲下褐色脂肪組織(BAT)の重量。E.普通の食餌または高脂肪食のコントロールおよび抗miR−208処置マウス由来の内臓WATおよび肩甲下BATのH&E染色。スケールバー=40μm。F.6週間の高脂肪食の抗miR−208aおよびコントロール抗miR処置マウス由来の内臓WATおよび肝臓の写真。G.内臓WATの細胞サイズ(n=5)。>500個の細胞を示すそれぞれのグループにおける7〜8匹のマウス由来の200mm間隔の3枚の切片からの画像について、分析した。普通の食餌(NC)および高脂肪食(HF)の6週間後のコントロール(M−10591)および抗miR−208a(M−10101)処置マウスからの血清トリグリセリドレベル(H)および血清コレステロールレベル(I)。図5は、抗miR−208a(M−10101)処置マウスが、グルコース不耐性に対して抵抗性であることを示す図である。普通の食餌(NC)および高脂肪食(HF)の6週間後のコントロール抗miR(M−10591)および抗miR−208a(M−10101)処置マウスからのブドウ糖負荷試験(A)およびブドウ糖負荷試験についての曲線下面積(B)。普通の食餌(NC)および高脂肪食(HF)の6週間後のコントロール抗miRおよび抗miR−208a処置マウスからの空腹時インスリン(C)およびレプチン(D)レベル。図6は、普通の食餌(REG)および高脂肪食(HFD)の12週間後の食塩水、コントロール抗miR(M−10591、M−10649、M−10702、M−11182)、および抗miR−208a(M−10101、M−10673、M−10681、M−10683)処置マウスを比較する成長曲線(A)および体重における増加パーセント(B)を示す図である。図7は、miR−208a阻害が、糖耐性を増強することを示す図である。通常の固形飼料および高脂肪食(HFD)の11週間後のコントロール抗miR(M−10591)および抗miR−208a(M−10101、M−10673、M−10681、M−10683)処置マウスからのブドウ糖負荷試験。図8は、コントロール抗miR(M−10591)または4つの抗miR−208a化合物(M−10101、M−10673、M−10681、M−10683)のうちの1つを受ける肥満のマウスについての、ある期間にわたる体重(A)および体重における変化パーセント(B)を示す図である。 本発明は、代謝障害を処置または予防するための方法を、その必要がある被験体において提供する。ミトコンドリア機能、レドックスホメオスタシス、および/または燃料代謝を増強するための方法もまた、本明細書において提供される。miRNAは、肥満症、糖尿病、および他の代謝障害を含む、そのような疾患のための処置の開発のための新規な処置標的に相当する。 一実施形態において、方法が、被験体に対して、本明細書において記載されるmiR−208aおよび/またはmiR−208bの阻害剤を投与することを含み、miR−208aおよび/またはmiR−208bの発現または活性が、投与後に、被験体の細胞において低下する。本明細書において使用される場合、用語「患者」または「被験体」は、限定を伴うことなく、ヒトおよび他の霊長動物(たとえばチンパンジーおよび他の類人猿およびサル種)、飼育哺乳動物(たとえばイヌおよびネコ)、家畜(たとえばウシ、ヒツジ、ブタ、ヤギ、およびウマ)、実験動物(たとえばマウス、ラット、およびモルモットなどのようなげっ歯動物)、ならびに鳥(たとえばニワトリ、シチメンチョウおよび他のキジ目の鳥、アヒル、ガチョウ、ならびにその他同種のものなどのような飼育、野生、ならびに猟鳥)を含む、任意の脊椎動物を指す。いくつかの実施形態において、被験体が、哺乳動物である。ある実施形態において、被験体が、ヒトである。 ある実施形態において、その必要がある被験体が、代謝状態または障害と診断されている、それに罹患している、および/またはその症状を示している。他の実施形態において、被験体が、代謝状態または障害と診断されていない、それに罹患していない、および/またはその症状を示していない。代謝障害は、メタボリックシンドローム、肥満症、真性糖尿病、糖尿病性腎症、インスリン抵抗性、アテローム性動脈硬化症、異脂肪血症(混合性または糖尿病性異脂肪血症など)、高コレステロール血症、低HDLコレステロール、高LDLコレステロール、高脂血症、高トリグリセリド血症、低血糖症、高血糖症、グルコース不耐性、インスリン抵抗性、高インスリン血症、高血圧症、高リポタンパク血症、メタボリックシンドローム、症候群X、血栓障害、跛行、脳卒中および他、腎疾患、ケトアシドーシス、ネフロパチー、糖尿病性ニューロパシー、糖尿病性網膜症、脂肪症または非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)などのような非アルコール性脂肪性肝疾患、脂質蓄積障害(たとえばニーマン−ピック病、ゴーシェ病、ファーバー病、ファブリー病、ウォルマン病、およびコレステロールエステル貯蔵病)、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)、高コレステロール、または異常なグルコース取込みおよび/もしくは利用を含むが、これらに限定されない。ある実施形態において、本発明の方法により処置されることとなる代謝障害が、肥満症、高コレステロール血症、2型糖尿病、肝臓脂肪症、または高脂血症である。 他の実施形態において、被験体が、アテローム性動脈硬化症ならびにアンギナ、心臓発作、心不全、冠動脈疾患、心筋梗塞、鬱血性心不全、および/または心肥大を含むその続発症などのような心臓血管系疾患または障害と診断されていない、それに罹患していない、および/またはその症状を示していない。いくつかの実施形態において、被験体が、心臓血管系疾患または障害と診断されていない、それに罹患していない、および/またはその症状を示していないならびに代謝状態または障害と診断されている、それに罹患している、および/またはその症状を示している。 ある実施形態において、その必要がある被験体が、ミトコンドリア機能不全に関係する状態または障害と診断されている、それに罹患している、および/またはその症状を示している。他の実施形態において、被験体が、ミトコンドリア機能不全に関係する状態または障害と診断されていない、それに罹患していない、および/またはその症状を示していない。障害または状態は、筋力低下、虚弱、サルコペニア、筋ジストロフィー、筋萎縮症、筋萎縮性側索硬化症、またはミトコンドリア性筋障害を含むことができるが、これらに限定されない。ある実施形態において、その必要がある被験体が、ミトコンドリア機能不全に関係する状態または障害と診断されている、それに罹患している、および/またはその症状を示しているならびに心臓血管系疾患または障害と診断されていない、それに罹患していない、および/またはその症状を示していない。 いくつかの実施形態において、代謝障害が、糖原病(GSD)である。たとえば、本発明の方法は、miR−208aおよび/またはmiR−208b阻害剤をその必要がある被験体に対して投与することによって、被験体において、GSDの型のいずれか(たとえばGSD 0型およびGSD I型〜GSD XIII型)を処置または予防することを提供する。GSDは、フォンギールケ病、ポンペ病、コリ病またはフォーブズ病、アンダーセン病、マッカードル病、エール病、垂井病、ファンコニ・ビッケル症候群、および赤血球アルドラーゼ欠損症を含むが、これらに限定されない。他の実施形態において、代謝障害が、中鎖アシル補酵素Aデヒドロゲナーゼ(MCAD)欠損症である。MCAD欠損症を有する個人は、致命的になり得る、脂肪酸酸化における機能障害を示す。本発明の一実施形態において、脂肪酸代謝が、miR−208aおよび/またはmiR−208b阻害剤の投与後に、MCAD欠損症を有する被験体において増加する。 本発明者らは、驚いたことに、miR−208a活性の阻害が、肝臓、骨格筋、および心組織において、ミトコンドリア機能の増強をもたらすことを見出した。したがって、本発明はまた、ミトコンドリア機能またはレドックスホメオスタシスを増強するための方法をも、その必要がある被験体において提供する。一実施形態において、方法は、被験体に対して、miR−208aまたはmiR−208bの配列に対して少なくとも部分的に相補的である配列を含むアンチセンスオリゴヌクレオチドを投与することを含み、miR−208aまたはmiR−208bの発現または活性が、アンチセンスオリゴヌクレオチドの投与後に、被験体の細胞において低下する。ある実施形態において、ミトコンドリア機能またはレドックスホメオスタシスの増強を必要とする被験体が、筋力低下、虚弱、サルコペニア、筋ジストロフィー、筋萎縮症、筋萎縮性側索硬化症、またはミトコンドリア性筋障害と診断される、それに罹患する、またはその危険性がある。ミトコンドリア性筋障害は、ミトコンドリア脳筋症、乳酸アシドーシス、および脳卒中様症候群(MELAS)、赤色ぼろ線維を伴うミオクローヌスてんかん(MERRF)、カーンズ−セイヤー症候群(KSS)、または慢性進行性外眼筋麻痺(CPEO)を含むが、これらに限定されない。 関連する実施形態において、本発明は、筋萎縮症またはサルコペニアを処置するための方法を、その必要がある被験体において提供する。サルコペニアは、年齢が進むと共に、遅いが、進行性の筋肉量の損失を示し、運動の緩やかな遅れおよび体力の低下に至る、筋肉の量および質の悪化によって特徴付けられる(Ryallら、Biogerontology(2008)9:213−228)。サルコペニアは、高齢者人口において頻繁に観察される虚弱症候群(frailty syndrome)の構成要素である。一実施形態において、筋萎縮症またはサルコペニアを処置する必要がある被験体において、筋萎縮症またはサルコペニアを処置するための方法が、被験体に対して、miR−208aまたはmiR−208bの配列に対して少なくとも部分的に相補的である配列を含むアンチセンスオリゴヌクレオチドを投与することを含み、miR−208aまたはmiR−208bの発現または活性が、アンチセンスオリゴヌクレオチドの投与後に、被験体の細胞において低下する。いくつかの実施形態において、方法は、筋萎縮症を抑えるための、1つ以上の補足的な療法と組み合わせて、抗miR−208a/抗miR−208bオリゴヌクレオチドを投与することをさらに含む。そのような適した補足的な療法は、選択的アンドロゲン受容体修飾物質(たとえばオスタリン、BMS−564,929、およびLGD−4033)、アナボリックステロイド、ヒト成長ホルモン、ならびにデヒドロエピアンドロステロン(DHEA)を含むが、これらに限定されない。ある実施形態において、筋萎縮症またはサルコペニアのための処置を必要とする被験体が、高齢の患者、好ましくは高齢のヒト患者である。 本発明はまた、本明細書において記載されるmiR−208aおよび/またはmiR−208bの阻害剤をその必要がある被験体に対して投与することによって、代謝障害またはミトコンドリア機能不全から結果として生じる二次疾患または状態を予防するまたは処置するための方法をも含む。たとえば、一実施形態において、本発明は、睡眠時無呼吸を予防するまたは処置するための方法であって、その必要がある被験体に対して、miR−208aおよび/またはmiR−208bの阻害剤を投与することを含む方法を提供する。他の実施形態において、本発明は、miR−208aおよび/またはmiR−208bの阻害剤をその必要がある被験体に対して投与することによって、癌を予防するまたは処置するための方法を提供する。他の実施形態において、本発明は、miR−208aおよび/またはmiR−208bの阻害剤をその必要がある被験体に対して投与することによって、変形性関節症を予防するまたは処置するための方法を提供する。一実施形態において、本発明は、miR−208aおよび/またはmiR−208bの阻害剤をその必要がある被験体に対して投与することによって、脳卒中を予防するまたは処置するための方法を提供する。 いくつかの実施形態において、本発明の方法は、あらゆる代謝障害または代謝障害もしくはミトコンドリア機能不全から結果として生じる二次疾患もしくは状態の発症前に、予防的に使用される。これらの実施形態において、予防的処置を必要とする被験体が、代謝障害または二次疾患もしくは状態の家族歴のような因子に基づいて同定されてもよい。 ある実施形態において、代謝障害を処置または予防する必要がある被験体において、代謝障害を処置または予防するための方法が、代謝障害を処置するための1つ以上の通常療法を投与することをさらに含む。したがって、本発明において使用されるアンチセンスオリゴヌクレオチドまたはそのようなアンチセンスオリゴヌクレオチドを含有する医薬組成物もしくは製剤に加えて、他の治療剤および/または活性成分の同時投与、ならびに他の治療剤および/または活性成分を含有する組成物および医薬を含む実施形態が、本発明の範囲内に含まれる。併用療法と多くの場合呼ばれる、そのような多剤レジメンは、代謝障害の処置および/または予防において使用されてもよい。 本明細書において記載される1つ以上のアンチセンスオリゴヌクレオチドまたはそのようなアンチセンスオリゴヌクレオチドを含有する医薬組成物もしくは製剤と組み合わせて投与されてもよく、別々にまたは同じ医薬組成物中で投与される、通常療法の例は、(a)グリタゾンおよび非グリタゾンの両方を含むPPARγアゴニストおよび部分的アゴニスト(たとえばトログリタゾン、ピオグリタゾン、エングリタゾン、MCC−555、ロシグリタゾン、バラグリタゾン、ネトグリタゾン、T−131、LY−300512、およびLY−818;(b)メトホルミンおよびフェンホルミンなどのようなビグアナイド;(c)タンパク質チロシンホスファターゼ−1B(PTP−1B)阻害剤、(d)MK−0431およびLAF−237などのようなジペプチジルペプチダーゼIV(DP−IV)阻害剤;(e)インスリンまたはインスリンミメティック;(f)トルブタミドおよびグリピジドなどのようなスルホニル尿素または関連性の物質;(g)α−グルコシダーゼ阻害剤(アカルボースなど);(h)(i)HMG−CoAレダクターゼ阻害剤(ロバスタチン、シンバスタチン、ロスバスタチン、プラバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチン、リバスタチン、イタバスタチン(itavastatin)、ZD−4522、および他のスタチン)、(ii)胆汁酸捕捉剤(コレスチラミン、コレスチポール、および架橋デキストランのジアルキルアミノアルキル誘導体)、(iii)ニコチニルアルコール、ニコチン酸、またはその塩、(iv)フェノフィブリン酸誘導体(ゲムフィブロジル、クロフィブレート、フェノフィブレート、およびベザフィブレート)などのようなPPARαアゴニスト、(v)たとえばエゼチミブなどのようなコレステロール吸収阻害剤、(vi)アバシミベなどのようなアシルCoA:コレステロールアシルトランスフェラーゼ(ACAT)阻害剤、(vii)トルセトラピブなどのようなCETP阻害剤、ならびに(viii)プロブコールなどのようなフェノール酸化防止剤などのような、患者の脂質プロファイルを改善する作用物質;(i)ムラグリタザル(muraglitazar)、テサグリタザル、ファルグリタザル、およびJT−501などのようなPPARα/γデュアルアゴニスト;(j)国際公開第97/28149号パンフレットにおいて開示されるものなどのようなPPARδアゴニスト;(k)フェンフルラミン、デクスフェンフルラミン(dextenfluramine)、フェンチラミン(phentiramine)、スビトラミン(subitramine)、オーリスタット、神経ペプチドY5阻害剤、MC4Rアゴニスト、カンナビノイド受容体1アンタゴニスト/インバースアゴニスト、およびβ3アドレナリン受容体アゴニストなどのような抗肥満化合物;(l)回腸胆汁酸トランスポーター阻害剤;(m)アスピリン、非ステロイド性抗炎症薬剤、グルココルチコイド、アザルフィジン、およびシクロオキシゲナーゼ2選択的阻害剤などのような、炎症状態における使用が意図される作用物質;(n)グルカゴン受容体アンタゴニスト;(o)GLP−1またはエキセンディン、たとえばエキセニチド(exenitide)などのようなGLP−1アナログ;(p)GIP−1;ならびに(q)ヒドロキシステロールデヒドロゲナーゼ−1(HSD−1)阻害剤を含むが、これらに限定されない。 上記の通常療法のいずれかの1つ以上は、代謝障害を処置または予防するために、その必要がある被験体において、本明細書において記載される1つ以上のアンチセンスオリゴヌクレオチドまたはそのようなアンチセンスオリゴヌクレオチドを含有する医薬組成物もしくは製剤と共に同時投与することができる。併用療法の非限定的な例は、miR−208aおよび/またはmiR−208bを標的にするアンチセンスオリゴヌクレオチドの、ビグアナイド、スルホニル尿素、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤、他のPPARアゴニスト、PTP−1B阻害剤、DP−IV阻害剤、および抗肥満症化合物から選択される1つ以上の通常療法との組み合わせを含む。 本明細書において記載されるアンチセンスオリゴヌクレオチドまたはそのようなアンチセンスオリゴヌクレオチドを含有する医薬組成物もしくは製剤および通常療法は、同じ投薬形態または別々の投薬形態で投与されてもよい。別々の投薬形態で投与される場合、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、通常療法と同時にまたは連続的に(つまり、ある間隔で分けて)投与されてもよい。したがって、アンチセンスオリゴヌクレオチドの投与は、通常療法の投与前、それと同時、またはそれに続くものであってもよい。 発明者らは、代謝に対するmiR−208阻害の効果が、心組織においてなどのように、その標的MED13(別名THRAP1)の抑制解除を通して部分的に媒介されることを見出した。マウスにおけるMED13の心特異的過剰発現は、高脂肪食誘発性の肥満症に対する抵抗性を与え、全身的なインスリン感受性および糖耐性を改善するのに対して、心筋細胞においてなどのような、MED13の遺伝子の欠失は、高脂肪食に応じて肥満症を高め、メタボリックシンドロームを悪化させる(データ示さず)。したがって、本発明はまた、代謝障害を処置または予防する必要がある被験体において、代謝障害を処置または予防するための方法であって、心細胞においてなどのように、MED13発現を増強することを含む方法を包含する。たとえば、MED13をコードする発現ベクターなどのようなMED13アゴニストを投与する方法が、本明細書において提供される。MED13をコードするポリヌクレオチドは、アルファ−ミオシン重鎖などのように、心特異的プロモーターのコントロール下とすることができる。 他の実施形態において、本発明は、グルコース取込みおよび/または利用を増加させる必要がある被験体において、グルコース取込みおよび/または利用を増加させるための方法であって、被験体に対して、本明細書において記載される、miR−208aおよび/またはmiR−208b活性または発現の阻害剤を投与することを含む方法を包含する。いくつかの実施形態において、被験体が、インスリン抵抗性または真性糖尿病と診断される。一実施形態において、被験体の血中グルコースレベルが、阻害剤の投与前の、被験体の血中グルコースレベルと比較して、miR−208aおよび/またはmiR−208b阻害剤の投与後に低下する。他の実施形態において、被験体の血中グルコースレベルが、miR−208aおよび/またはmiR−208b阻害剤の投与後に、経口ブドウ糖負荷試験によって測定されるように、正常なレベルの範囲内まで低下する。たとえば、ある実施形態において、被験体の空腹時血中グルコースレベルが、約110mg/dl未満である。他の実施形態において、グルコース摂取2時間後の、被験体の血中グルコースレベルが、約140mg/dl未満である。 他の実施形態において、本発明は、コレステロールを減少させる必要がある被験体において、コレステロールを減少させるための方法であって、被験体に対して、本明細書において記載される、miR−208aおよび/またはmiR−208b活性または発現の阻害剤を投与することを含む方法を包含する。いくつかの実施形態において、被験体が、冠動脈心疾患、脳卒中、末梢血管疾患、2型糖尿病、および高血圧などのような高コレステロールと関連する疾患と診断される。一実施形態において、阻害剤の投与前の、被験体の総コレステロールおよびHDLコレステロールレベルと比較して、miR−208aおよび/またはmiR−208b阻害剤の投与後に、被験体の総コレステロールレベルが、減少するおよび/またはHDLコレステロールレベルが、増加する。他の実施形態において、被験体のコレステロールレベルが、miR−208aおよび/またはmiR−208b阻害剤の投与後に、リポタンパク質プロファイル血液検査によって測定されるように、正常なレベルの範囲内まで回復する。たとえば、ある実施形態において、被験体の総コレステロールレベルが、約200mg/dL未満まで低下する。他の実施形態において、被験体のHDLコレステロールレベルが、約40mg/dL以上まで増加する。 他の実施形態において、本発明は、肥満症を処置する必要がある被験体において、肥満症を処置するための方法であって、被験体に対して、本明細書において記載される、miR−208aおよび/またはmiR−208b活性または発現の阻害剤を投与することを含む方法を包含する。いくつかの実施形態において、被験体が、肥満症と診断される。ある実施形態において、処置を必要とする被験体が、25以上のボディマス指数を有する。他の実施形態において、処置を必要とする被験体が、30以上のボディマス指数を有する。一実施形態において、被験体のボディマス指数および/またはウエスト周囲が、阻害剤の投与前の、被験体のボディマス指数および/またはウエスト周囲と比較して、miR−208aおよび/またはmiR−208b阻害剤の投与後に低下する。他の実施形態において、被験体のボディマス指数および/またはウエスト周囲が、miR−208aおよび/またはmiR−208b阻害剤の投与後に、被験体の性別および年齢について調整された正常なレベルの範囲内まで低下する。 本発明はまた、細胞における脂肪酸代謝を調節するための方法をも提供する。グリコーゲン合成を調節することによってなどのように、グルコース代謝を調節するための方法もまた、本明細書において提供される。miR−208aおよび/またはmiR−208bの発現または活性の阻害剤などのような、miR−208aおよび/またはmiR−208bの発現または活性の修飾物質を投与することによって、ミトコンドリア機能を増強するおよびレドックスホメオスタシスを改善するための方法もまた、提供される。 一実施形態において、本明細書において開示される方法は、細胞を、miR−208aおよび/またはmiR−208bの発現または活性の修飾物質と接触させることを含む。本明細書において使用される場合、「修飾物質」は、miR−208aおよび/またはmiR−208bの発現または活性を調節する分子である。修飾物質は、miR−208aおよび/もしくはmiR−208b機能のアゴニストとすることができる(つまり、miR−208aもしくはmiR−208bの活性もしくは発現を増強することができる)またはそれらは、miR−208aおよび/もしくはmiR−208b機能の阻害剤とすることができる(つまり、miR−208aもしくはmiR−208bの活性もしくは発現を低下させることができる)。修飾物質は、タンパク質、ペプチド、ポリペプチド、ポリヌクレオチド、アンチセンスオリゴヌクレオチド、または小分子を含むことができる。miR−208aおよび/またはmiR−208bの発現または活性の修飾物質は、本明細書において記載されるようなmiR−208aおよび/またはmiR−208b阻害剤およびアゴニストを含む。 ある実施形態において、修飾物質が、miR−208aおよび/またはmiR−208bの発現または活性の阻害剤であり、脂肪酸代謝が、阻害剤に対して曝露されない細胞と比較して、miR−208aおよび/またはmiR−208b阻害剤との接触後に、細胞において増加する。他の実施形態において、修飾物質が、miR−208aおよび/またはmiR−208bの発現または活性のアゴニストであり、脂肪酸代謝が、アゴニストに対して曝露されない細胞と比較して、miR−208aおよび/またはmiR−208bのアゴニストとの接触後に、細胞において減少する。 ある実施形態において、修飾物質が、miR−208aおよび/またはmiR−208bの発現または活性の阻害剤であり、グルコース代謝が、阻害剤に対して曝露されない細胞と比較して、miR−208aおよび/またはmiR−208b阻害剤との接触後に、細胞において増加する。他の実施形態において、修飾物質が、miR−208aおよび/またはmiR−208bの発現または活性のアゴニストであり、グルコース代謝が、アゴニストに対して曝露されない細胞と比較して、miR−208aおよび/またはmiR−208bのアゴニストとの接触後に、細胞において減少する。細胞は、インビトロまたはインビボにおけるものとすることができる。いくつかの実施形態において、細胞が、心筋細胞、骨格筋細胞、前脂肪細胞、脂肪細胞、肝細胞、または膵臓細胞であるが、これらに限定されない。 いくつかの実施形態において、修飾物質が、miR−208aおよび/またはmiR−208bの発現または活性の阻害剤であり、ミトコンドリア機能が、阻害剤に対して曝露されない細胞と比較して、miR−208aおよび/またはmiR−208b阻害剤との接触後に、細胞において増加する。他の実施形態において、修飾物質が、miR−208aおよび/またはmiR−208bの発現または活性のアゴニストであり、ミトコンドリア機能が、アゴニストに対して曝露されない細胞と比較して、miR−208aおよび/またはmiR−208bのアゴニストとの接触後に、細胞において減少する。細胞は、インビトロまたはインビボにおけるものとすることができる。いくつかの実施形態において、細胞が、心筋細胞、骨格筋細胞、前脂肪細胞、脂肪細胞、肝細胞、または膵臓細胞であるが、これらに限定されない。 いくつかの実施形態において、修飾物質が、miR−208aおよび/またはmiR−208bの発現または活性の阻害剤であり、レドックスホメオスタシスが、阻害剤に対して曝露されない細胞と比較して、miR−208aおよび/またはmiR−208b阻害剤との接触後に、細胞において改善する。他の実施形態において、修飾物質が、miR−208aおよび/またはmiR−208bの発現または活性のアゴニストであり、レドックスホメオスタシスが、アゴニストに対して曝露されない細胞と比較して、miR−208aおよび/またはmiR−208bのアゴニストとの接触後に、細胞において損なわれる。細胞は、インビトロまたはインビボにおけるものとすることができる。いくつかの実施形態において、細胞が、心筋細胞、骨格筋細胞、前脂肪細胞、脂肪細胞、肝細胞、または膵臓細胞であるが、これらに限定されない。 ある特定の実施形態において、細胞が、心筋細胞である。したがって、本発明はまた、心筋細胞を、miR−208aおよび/またはmiR−208bの発現または活性の修飾物質と接触させることによって、心代謝を調節するための方法をも包含する。一実施形態において、心筋細胞を、miR−208aおよび/またはmiR−208b阻害剤と接触させることが、ストレッサーによって誘発される、酸化的代謝から解糖代謝への代謝変化を予防するまたは低下させる。他の実施形態において、心筋細胞を、miR−208aおよび/またはmiR−208b阻害剤と接触させることが、心筋細胞において、糖質代謝を低下させる。他の実施形態において、心筋細胞を、miR−208aおよび/またはmiR−208b阻害剤と接触させることが、心筋細胞において、脂肪酸代謝を増加させる。他の実施形態において、心筋細胞を、miR−208aおよび/またはmiR−208b阻害剤と接触させることが、心筋細胞において、グルコース代謝を増加させる。一実施形態において、心筋細胞を、miR−208aおよび/またはmiR−208b阻害剤と接触させることが、心筋細胞において、ミトコンドリア機能を増強する。他の実施形態において、心筋細胞を、miR−208aおよび/またはmiR−208b阻害剤と接触させることが、心筋細胞において、レドックスホメオスタシスを改善する。心筋細胞は、インビトロまたはインビボにおけるものとすることができる。 他の特定の実施形態において、細胞が、骨格筋細胞である。したがって、本発明はまた、骨格筋細胞を、miR−208aおよび/またはmiR−208bの発現または活性の修飾物質と接触させることによって、骨格筋における代謝を調節するための方法をも包含する。一実施形態において、骨格筋細胞を、miR−208aおよび/またはmiR−208b阻害剤と接触させることが、ストレッサーによって誘発される、酸化的代謝から解糖代謝への代謝変化を予防するまたは低下させる。他の実施形態において、骨格筋細胞を、miR−208aおよび/またはmiR−208b阻害剤と接触させることが、骨格筋細胞において、糖質代謝を低下させる。他の実施形態において、骨格筋細胞を、miR−208aおよび/またはmiR−208b阻害剤と接触させることが、骨格筋細胞において、脂肪酸代謝を増加させる。他の実施形態において、骨格筋細胞を、miR−208aおよび/またはmiR−208b阻害剤と接触させることが、骨格筋細胞において、グルコース代謝を増加させる。一実施形態において、骨格筋細胞を、miR−208aおよび/またはmiR−208b阻害剤と接触させることが、骨格筋細胞において、ミトコンドリア機能を増強する。他の実施形態において、骨格筋細胞を、miR−208aおよび/またはmiR−208b阻害剤と接触させることが、骨格筋細胞において、レドックスホメオスタシスを改善する。他の実施形態において、骨格筋細胞を、miR−208aおよび/またはmiR−208b阻害剤と接触させることが、骨格筋細胞において、ジペプチドのレベルを増加させる。他の実施形態において、骨格筋細胞を、miR−208aおよび/またはmiR−208b阻害剤と接触させることが、骨格筋細胞増殖を阻害する。骨格筋細胞は、インビトロまたはインビボにおけるものとすることができる。 他の特定の実施形態において、細胞が、肝臓細胞または肝細胞である。したがって、本発明はまた、肝臓細胞を、miR−208aおよび/またはmiR−208bの発現または活性の修飾物質と接触させることによって、肝臓細胞における代謝を調節するための方法をも包含する。一実施形態において、肝臓細胞を、miR−208aおよび/またはmiR−208b阻害剤と接触させることが、ストレッサーによって誘発される、酸化的代謝から解糖代謝への代謝変化を予防するまたは低下させる。他の実施形態において、肝臓細胞を、miR−208aおよび/またはmiR−208b阻害剤と接触させることが、肝臓細胞において、糖質代謝を低下させる。他の実施形態において、肝臓細胞を、miR−208aおよび/またはmiR−208b阻害剤と接触させることが、肝臓細胞において、脂肪酸代謝を増加させる。他の実施形態において、肝臓細胞を、miR−208aおよび/またはmiR−208b阻害剤と接触させることが、肝臓細胞において、グルコース代謝を増加させる。一実施形態において、肝臓細胞を、miR−208aおよび/またはmiR−208b阻害剤と接触させることが、肝臓細胞において、ミトコンドリア機能を増強する。他の実施形態において、肝臓細胞を、miR−208aおよび/またはmiR−208b阻害剤と接触させることが、肝臓細胞において、レドックスホメオスタシスを改善する。肝臓細胞は、インビトロまたはインビボにおけるものとすることができる。 本発明はまた、解糖代謝または脂肪酸代謝における欠損症と関連する障害または疾患を予防するまたは処置するための方法をも提供する。たとえば、一実施形態において、本発明は、本明細書において記載されるmiR−208aおよび/またはmiR−208bのアゴニストをその必要がある被験体に対して投与することによって、被験体において、低血糖症または高インスリン症を予防するまたは処置するための方法を提供する。低血糖症または高インスリン症を発症する危険性がある被験体は、インスリンまたはある糖尿病医薬品(たとえばクロルプロパミド、トラザミド、アセトヘキサミド、グリピジド、もしくはトルブタミド)を過剰服用している糖尿病患者、インスリン分泌腫瘍(インスリノーマ)を有する被験体、高インスリン症を引き起こす肝臓疾患または遺伝子状態と診断された患者を含む。本明細書において記載されるmiR−208aおよび/またはmiR−208bのアゴニストにより処置されてもよいまたは予防されてもよい他の障害または状態は、患者が正常な体重を維持するのに苦労しているまたは故意でない体重減少を経験する障害または状態である。たとえば、一実施形態において、本発明は、miR−208aおよび/またはmiR−208bのアゴニストをその必要がある被験体に対して投与することによって、被験体において、甲状腺機能亢進症(グレーブス病)を処置または予防するための方法を含む。 miR−208aは、その構造およびプロセシングを含めて、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる国際公開第2008/016924号パンフレットにおいて記載される。 miR−208aは、α−MHC遺伝子のイントロン内にある。詳細なイントロン位置は、特定の種および特有の転写物に依存する。たとえば、ヒトにおいて、miR−208aは、α−MHC遺伝子の28番目のイントロン内にコードされるが、マウスにおいて、それは、29番目のイントロン内にコードされる。ヒト、マウス、ラット、およびイヌ科の動物についてのmiR−208aについての配列をコードするpre−miRNAは、それぞれ、配列番号5、配列番号6、配列番号7、および配列番号8として下記に示される。成熟miR−208a配列は、配列番号9において提供される。α−MHCのように、miR−208aは、もっぱら心臓において発現される。 ゲノムは、イントロン31のβ−MHC遺伝子内にあるmiR−208bと呼ばれる、miR−208aに関係する他のマイクロRNAを含有し、β−MHCのように、miRNA 208bは、もっぱら心臓および骨格遅筋(slow skeletal muscle)(たとえばヒラメ筋)において発現される。miR−208bによって調節される遺伝子は、たとえばSp3、ミオスタチン、PURbeta、THRAP1、および骨格速筋(fast skeletal muscle)タンパク質遺伝子を含む。このmiRNAの配列は、大部分がmiR−208aとオーバーラップしており、あるmiRNAのmRNA標的を決定する領域である「シード領域」において100%の相同性を有する。pre−miR−208b配列は、いくつかの哺乳動物種(たとえばヒト、マウス、ラット、およびイヌ科の動物)にわたって保存されている。pre−miR−208b配列および成熟miR−208b配列は、下記に示される: miR−208bの構造およびプロセシングもまた、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる国際公開第2009/018492号パンフレットにおいて記載される。miR−208aおよびmiR−208bの様々な形態についての配列は、本発明に従って、相補的な阻害剤を設計するために使用されてもよい。 本明細書において開示されるリボ核酸配列はすべて、配列中のウリジン塩基をチミジン塩基と置換することによって、デオキシリボ核酸配列に変換することができることが理解される。同様に、本明細書において開示されるデオキシリボ核酸配列はすべて、配列中のチミジン塩基をウリジン塩基と置換することによって、リボ核酸配列に変換することができる。デオキシリボ核酸配列、リボ核酸配列、および本明細書において開示されるすべての配列のデオキシリボヌクレオチドおよびリボヌクレオチドの混合物を含有する配列は、本発明に含まれる。 いくつかの実施形態において、本発明の方法のいずれかにおいて使用するのに適したmiR−208aおよび/またはmiR−208bの阻害剤が、アンチセンスオリゴヌクレオチドである。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、リボヌクレオチドまたはデオキシリボヌクレオチドまたはその組み合わせを含むことができる。好ましくは、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、少なくとも1つの化学修飾(たとえば糖またはバックボーン修飾)を有する。たとえば、適したアンチセンスオリゴヌクレオチドは、1つ以上の「立体構造的に束縛された」修飾またはBSNを含有するアンチセンスオリゴヌクレオチドおよびそれらの相補的なマイクロRNA標的鎖の間で形成される複合体に対して熱的安定性の増強を与える二環式糖ヌクレオシド修飾(BSN)から構成することができる。たとえば、一実施形態において、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドが、1つ以上のロックド核酸(LNA)残基または「ロックドヌクレオチド(locked nucleotide)」を含有する。LNAは、たとえば、これらすべて、それらの全体が参照によって本明細書に組み込まれる米国特許第6,268,490号明細書、米国特許第6,316,198号明細書、米国特許第6,403,566号明細書、米国特許第6,770,748号明細書、米国特許第6,998,484号明細書、米国特許第6,670,461号明細書、および米国特許第7,034,133号明細書において記載される。LNAは、リボース糖成分の2’および4’炭素の間に、「ロックド」立体構造および/または二環式構造をもたらす、追加のブリッジを含有する修飾ヌクレオチドまたはリボヌクレオチドである。例示的な実施形態において、ロックドヌクレオチドが、たとえば、構造Aにおいて示されるように、2’〜4’メチレンブリッジを有する。一実施形態において、アンチセンスオリゴヌクレオチドが、2’−O,4’−C−メチレンリボヌクレオシドを含有し(構造A)、リボース糖成分が、「ロックド」立体構造をしている。他の実施形態において、アンチセンスオリゴヌクレオチドが、2’−O,4’−C−エチレンリボヌクレオシドなどのような2’−O,4’−C−エチレンブリッジ核酸(ENA)を含有する。その代わりにまたはそのうえ、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、少なくとも1つの2’,4’−C−ブリッジ2’デオキシリボヌクレオシド(CDNA、構造B)を含有してもよい。その代わりにまたはそのうえ、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、下記の構造Cによって示される構造を有する1つ以上のLNAを含有する。 miR−208aおよび/またはmiR−208bを標的にするアンチセンスオリゴヌクレオチドは、BSN(LNA、ENA、CDNA、およびその他同種のもの)ならびに他の修飾ヌクレオチドならびにリボヌクレオチドまたはデオキシリボヌクレオチドを含有することができる。一実施形態において、miR−208aおよび/またはmiR−208bを標的にするアンチセンスオリゴヌクレオチドが、BSN(LNA、ENA、CDNA、およびその他同種のもの)ならびに2’−O−アルキル修飾および/または2’−フルオロ修飾などのような2’ハロ修飾を含有する。他の実施形態において、miR−208aおよび/またはmiR−208bを標的にするアンチセンスオリゴヌクレオチドが、BSN(LNA、ENA、CDNA、およびその他同種のもの)または他の修飾ヌクレオチドならびにリボヌクレオチドまたはデオキシリボヌクレオチドの組み合わせを含有する。一実施形態において、miR−208aおよび/またはmiR−208bを標的にするアンチセンスオリゴヌクレオチドが、BSN(LNA、ENA、CDNA、およびその他同種のもの)ならびに2’−O−アルキル修飾および/または2’−フルオロ修飾などのような2’ハロ修飾の組み合わせを含有する。 一実施形態において、アンチセンスオリゴヌクレオチドが、2’−O,4’−C−エチレンリボヌクレオシドなどのような2’−O,4’−C−エチレンブリッジ核酸および2’−O,4’−C−メチレンリボヌクレオシドを含む。他の実施形態において、アンチセンスオリゴヌクレオチドが、2’−O,4’−C−エチレンリボヌクレオシドなどのような2’−O,4’−C−エチレンブリッジ核酸、2’−O,4’−C−メチレンリボヌクレオシド、ならびに2’−O−アルキル修飾および/または2’−フルオロ修飾などのような2’−ハロ修飾を含む。 本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドにおいて組み込むことができる他の適したロックドヌクレオチドは、両方とも、それらの全体が参照によって本明細書に組み込まれる米国特許第6,403,566号明細書および米国特許第6,833,361号明細書において記載されるものを含む。 アンチセンスオリゴヌクレオチドは、完全長または切断型miR−208aまたはmiR−208b配列に対して少なくとも部分的に相補的である配列を含んでいてもよい、またはそれから本質的になってもよい、またはそれからなってもよい。本明細書において使用される場合、miRNA配列に関しての用語「完全長」は、成熟miRNAの長さを指す。したがって、本明細書において記載される阻害剤は、切断型または完全長であってもよい、成熟miRNA配列に対してアンチセンスであってもよい、または他のポリヌクレオチド配列と一緒にこれらの配列を含んでいてもよい。ある実施形態において、本明細書において記載される特異的な化学修飾モチーフが、完全長アンチセンスmiRNA(成熟)配列を不必要にする。これらの実施形態において、アンチセンスオリゴヌクレオチドが、長さが8〜20ヌクレオチドである、または長さが10〜18ヌクレオチドである、または長さが11〜16ヌクレオチドである。いくつかの実施形態において、アンチセンスオリゴヌクレオチドが、長さが約12、約13、約14、約15、約16、約17、または約18ヌクレオチドである。切断型アンチセンスオリゴヌクレオチドは、アンチセンス阻害によって、5’−UAAGACGAGCAAAAAG−3’(配列番号7)内のmiR−208a配列またはUAAGACGAACAAAAAG−3’(配列番号8)内のmiR−208b配列を標的にする配列を有していてもよい。 アンチセンスオリゴヌクレオチドは、一般に、成熟miR−208aおよび/またはmiR−208bを標的にするように設計されたヌクレオチド配列を有する。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、これらまたは他の実施形態において、さらにまたはその代わりに、pre−miRNAまたはpri−miRNA形態を標的にするように設計されてもよい。ある実施形態において、アンチセンスオリゴヌクレオチドが、完全に相補的な(成熟)miR−208配列に比べて、1〜5(たとえば1、2、3、または4)のミスマッチを含有する配列を有するように設計されてもよい。 ある実施形態において、アンチセンスオリゴヌクレオチドが、miR−208aまたはmiR−208bのヌクレオチド配列に対して、完全に相補的であるヌクレオチド配列を含む。たとえば、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、5’−TGCTCGTCTTA−3’(配列番号1)のヌクレオチド配列を含んでいてもよいまたは5’−TGTTCGTCTTA−3’(配列番号2)のヌクレオチド配列を含んでいてもよい。特定の実施形態において、アンチセンスオリゴヌクレオチドが、ヌクレオチド配列5’−CTTTTTGCTCGTCTTA−3’(配列番号3)または’5−CCTTTTGTTCGTCTTA(配列番号4)を含むまたはそれから本質的になるまたはそれからなる。この文脈において、「から本質的になる」は、補足的なヌクレオチド(複数可)が、アンチセンスオリゴヌクレオチドの標的miRNAの阻害に実質的に影響を与えない限り、5’および3’エンドのいずれかまたは両方へのヌクレオチド(たとえば1つまたは2つ)の任意選択の追加を含む。一実施形態において、アンチセンスオリゴヌクレオチドが、表1において示される化合物10101、10673、10674、10677、10679、10707、10680、10681、または10683の構造を有する。他の実施形態において、アンチセンスオリゴヌクレオチドが、表1において示される化合物10101、10673、10681、または10683の構造を有する。ある実施形態において、アンチセンスオリゴヌクレオチドが、表1において示される化合物10101または10683の構造を有する。 アンチセンスオリゴヌクレオチドは、少なくとも3つ、少なくとも5つ、または少なくとも7つのロックドヌクレオチドを含有してもよいが、様々な実施形態において、ロックドヌクレオチドから完全に構成されるわけではない。一般に、ロックドヌクレオチドの数および位置は、アンチセンスオリゴヌクレオチドが、実施例または当業者らに知られている他の方法において記載されるように、インビトロもしくはインビボにおいて決定されるように、miR−208aおよび/またはmiR−208b活性を低下させるような数および位置である。ある実施形態において、アンチセンスオリゴヌクレオチドが、4つを超えるまたは3つを超える隣接非ロックドヌクレオチドを有する、ヌクレオチドのストレッチを含有しない。ある実施形態において、アンチセンスオリゴヌクレオチドが、2つを超える隣接非ロックドヌクレオチドを有する、ヌクレオチドのストレッチを含有しない。たとえば、アンチセンスオリゴヌクレオチドに、たった1つの隣接非ロックドヌクレオチドが存在してもよい。これらのまたは他の実施形態において、miR−208aおよび/またはmiR−208bシード領域に対して相補的な領域が、少なくとも3つまたは少なくとも4つのロックドヌクレオチドを含む。これらの実施形態は、たとえば、配列番号3または配列番号4のヌクレオチド配列を用いてもよい。 したがって、様々な実施形態において、アンチセンスオリゴヌクレオチドが、少なくとも9つのロックドヌクレオチドまたは少なくとも11個のロックドヌクレオチドを含有する。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、少なくとも3つの非ロックドヌクレオチドを含有してもよい。たとえば、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、9つのロックドヌクレオチドおよび7つの非ロックドヌクレオチドを含有してもよいまたは11個のロックドヌクレオチドおよび5つの非ロックドヌクレオチドを含有してもよい。 ロックドヌクレオチドのパターンは、少なくとも位置1、6、10、13、および15が、ロックドヌクレオチドであるようなパターンであってもよい。ある実施形態において、位置1、5、6、8、10、11、13、15、および16が、ロックドヌクレオチドであり、残りの位置が、非ロックドヌクレオチドである。他の実施形態において、位置1、3、4、5、6、8、10、13、15、および16が、ロックドヌクレオチドであり、残りの位置が、非ロックドヌクレオチドである。さらに他の実施形態において、位置1、4、5、7、9、10、12、14、および16が、ロックドヌクレオチドであり、残りの位置が、非ロックドヌクレオチドである。例示的な実施形態において、そのようなパターンが、配列番号3または配列番号4の配列を有するアンチセンスオリゴヌクレオチドで、使用を見出す。 非ロックドヌクレオチドについては、ヌクレオチドは、2’ヒドロキシルに関して2’修飾を含有してもよい。たとえば、2’修飾は、2’デオキシであってもよい。アンチセンスオリゴヌクレオチドにおける2’修飾ヌクレオチドの組み込みは、ヌクレアーゼに対するアンチセンスオリゴヌクレオチドの抵抗性および相補的なRNAとのそれらの熱的安定性の両方を増加させてもよい。2’位置での様々な修飾は、RNA標的または細胞の機構との分子の相互作用を損なうことなく、ヌクレアーゼ感受性の増加をもたらすものから、独立して選択されてもよい。そのような修飾は、インビトロまたはインビボにおけるそれらの効力の増加に基づいて選択されてもよい。 いくつかの実施形態において、2’修飾が、O−アルキル(置換されてもよい)、ハロ、およびデオキシ(H)から、独立して選択されてもよい。非ロックドヌクレオチドの実質的にすべてのまたはすべてのヌクレオチド2’位置は、ある実施形態において、たとえば、O−アルキル(たとえばO−メチル)、ハロ(たとえばフルオロ)、およびデオキシ(H)から独立して選択されるように、修飾されてもよい。たとえば、2’修飾は、それぞれ、O−メチルおよびフルオロから、独立して選択されてもよい。例示的な実施形態において、プリンヌクレオチドが、それぞれ、2’OMeを有し、ピリミジンヌクレオチドが、それぞれ、2’−Fを有する。ある実施形態において、1つ〜約5つの2’位置または約1つ〜約3つの2’位置が、未修飾のままとされる(たとえば2’ヒドロキシルとして)。 本発明に従う2’修飾はまた、小さな炭化水素置換基を含む。炭化水素置換基は、アルキル、アルケニル、アルキニル、およびアルコキシアルキルを含み、アルキル(アルコキシのアルキル部分を含む)、アルケニル、およびアルキニルは、置換されてもよいまたは非置換であってもよい。アルキル、アルケニル、およびアルキニルは、C1、C2、またはC3などのような、C1〜C10アルキル、アルケニル、またはアルキニルであってもよい。炭化水素置換基は、1つまたは2つまたは3つの非炭素原子を含んでいてもよく、これは、N、O、および/またはSから、独立して選択されてもよい。2’修飾は、O−アルキル、O−アルケニル、およびO−アルキニルのようなアルキル、アルケニル、およびアルキニルをさらに含んでいてもよい。 本発明に従う例示的な2’修飾は、2’−O−アルキル(2’OMeまたは2’OEtなどのようなC1〜3アルキル)、2’−O−メトキシエチル(2’−O−MOE)、2’−O−アミノプロピル(2’−O−AP)、2’−O−ジメチルアミノエチル(2’−O−DMAOE)、2’−O−ジメチルアミノプロピル(2’−O−DMAP)、2’−O−ジメチルアミノエチルオキシエチル(2’−O−DMAEOE)、または2’−O−N−メチルアセトアミド(2’−O−NMA)置換を含む。 ある実施形態において、アンチセンスオリゴヌクレオチドが、2’−フルオロ、2’−クロロ、2’−ブロモ、および2’−ヨードなどのような、少なくとも1つの2’−ハロ修飾(たとえば2’ヒドロキシルの代わりに)を含有する。いくつかの実施形態において、2’ハロ修飾が、フルオロである。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、1つ〜約5つの2’−ハロ修飾(たとえばフルオロ)または1つ〜約3つの2’−ハロ修飾(たとえばフルオロ)を含有してもよい。いくつかの実施形態において、アンチセンスオリゴヌクレオチドが、非ロックド位置にすべての2’−フルオロヌクレオチドをまたはすべての非ロックドピリミジンヌクレオチド上に2’−フルオロを含有する。ある実施形態において、2’−フルオロ基が、独立して、ジメチル化される、トリメチル化される、またはメチル化されない。 アンチセンスオリゴヌクレオチドは、1つ以上の2’−デオキシ修飾(たとえば、2’ヒドロキシルについてH)を有してもよく、いくつかの実施形態において、非ロックド位置に2つ〜約10個の2’−デオキシ修飾を含有するまたはすべての非ロックド位置に2’デオキシを含有する。 例示的な実施形態において、アンチセンスオリゴヌクレオチドが、非ロックド位置において、2’OMeとして修飾される2’位置を含有する。その代わりに、非ロックドプリンヌクレオチドは、2’OMeとして2’位置で修飾され、非ロックドピリミジンヌクレオチドは、2’−フルオロとして2’位置で修飾される。 ある実施形態において、アンチセンスオリゴヌクレオチドが、少なくとも1つの末端修飾または「キャップ」をさらに含む。キャップは、5’および/または3’キャップ構造であってもよい。用語「キャップ」または「エンドキャップ」は、アンチセンスオリゴヌクレオチドのいずれかの末端に化学修飾を含み(末端のリボヌクレオチドに関して)、5’エンドの最後の2つのヌクレオチドおよび3’エンドの最後の2つのヌクレオチドの間の連結に修飾を含む。本明細書において記載されるキャップ構造は、RNA標的または細胞の機構との分子の相互作用を損なうことなく、エキソヌクレアーゼに対するアンチセンスオリゴヌクレオチドの抵抗性を増加させてもよい。そのような修飾は、インビトロまたはインビボにおけるそれらの効力の増加に基づいて選択されてもよい。キャップは、5’末端(5’キャップ)もしくは3’末端(3’キャップ)に存在することができるまたは両端に存在することができる。ある実施形態において、5’−および/または3’キャップは、ホスホロチオエートモノホスフェート、脱塩基残基(成分)、ホスホロチオエート連結、4’−チオヌクレオチド、炭素環式ヌクレオチド、ホスホロジチオエート連結、逆位ヌクレオチドまたは逆位脱塩基成分(2’−3’または3’−3’)、ホスホロジチオエートモノホスフェート、ならびにメチルホスホネート成分から、独立して選択される。ホスホロチオエートまたはホスホロジチオエート連結(複数可)は、キャップ構造の一部である場合、5’エンドの2つの末端ヌクレオチドおよび3’エンドの2つの末端ヌクレオチドの間に一般に位置する。 ある実施形態において、アンチセンスオリゴヌクレオチドが、少なくとも1つの末端ホスホロチオエートモノホスフェートを有する。ホスホロチオエートモノホスフェートは、エキソヌクレアーゼの作用を阻害することによって、より高い効力を維持してもよい。ホスホロチオエートモノホスフェートは、アンチセンスオリゴヌクレオチドの5’および/または3’エンドにあってもよい。ホスホロチオエートモノホスフェートは、以下の構造によって定義され、Bが、塩基であり、Rが、上記に記載されるような2’修飾であり、 キャップ構造が、ロックドヌクレオチドの化学的性質を維持することができ、キャップ構造は、本明細書において記載されるようなロックドヌクレオチドを組み込んでもよい。 ホスホロチオエート連結は、いくつかの実施形態において、5’および3’エンド上の最後の2つのヌクレオチドの間などに(たとえばキャップ構造の一部として)またはホスホジエステル結合と交替して存在してもよい。これらのまたは他の実施形態において、アンチセンスオリゴヌクレオチドが、5’および3’エンドのいずれかまたは両方に、少なくとも1つの末端脱塩基残基を含有してもよい。脱塩基成分は、アデノシン、グアニン、シトシン、ウラシル、またはチミンなどのような、一般に認識されるプリンまたはピリミジンヌクレオチド塩基を含有しない。したがって、そのような脱塩基成分は、ヌクレオチド塩基を欠くまたは1’位置に他の非ヌクレオチド塩基化学基を有する。たとえば、脱塩基ヌクレオチドは、逆脱塩基ヌクレオチドであってもよく、たとえば、逆脱塩基ホスホラミダイトが、5’アミダイト(3’アミダイトの代わりに)を介してつながれ、5’−5’リン酸結合がもたらされる。ポリヌクレオチドの5’および3’エンドについての逆脱塩基ヌクレオシドの構造は、下記に示される。 アンチセンスオリゴヌクレオチドは、1つ以上のホスホロチオエート連結を含有してもよい。ホスホロチオエート連結は、アンチセンスオリゴヌクレオチドをヌクレアーゼ切断に対してより抵抗性にするために使用されてきた。たとえば、ポリヌクレオチドは、部分的に、ホスホロチオエート連結されてもよく、たとえば、ホスホロチオエート連結は、ホスホジエステル(phophodiester)結合と交替されてもよい。ある実施形態において、しかしながら、アンチセンスオリゴヌクレオチドが、完全にホスホロチオエート連結される。他の実施形態において、アンチセンスオリゴヌクレオチドが、1つ〜5つまたは1つ〜3つのホスフェート連結を有する。 一実施形態において、本発明は、miR−208aおよびmiR−208bを含むmiR−208ファミリーmiRNAの発現(たとえば存在量)を阻害するために、化学的修飾アンチセンスオリゴヌクレオチドを使用するための方法を提供する。本発明は、いくつかの実施形態において、心および/または骨格筋組織におけるmiR−208aおよびmiR−208bのそれぞれの発現または存在量を、特異的な方法で阻害するために、アンチセンスオリゴヌクレオチドを使用するための方法を提供する。本発明は、代謝障害などのような、miR−208ファミリーmiRNAに関するまたはそれを伴う状態または障害を有する患者を処置するための方法をさらに提供する。本発明は、miR−208aおよび/またはmiR−208bの発現または活性の修飾物質または阻害剤により、脂肪酸代謝を調節するための方法をさらに提供する。 本発明において使用されるアンチセンスオリゴヌクレオチドは、miR−208aおよび/またはmiR−208b配列に対して、少なくとも部分的に相補的である、たとえば、miR−208aおよび/またはmiR−208b配列に対して、少なくとも約75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%相補的である配列を含むことができる。いくつかの実施形態において、アンチセンスオリゴヌクレオチドが、miR−208aおよび/またはmiR−208b配列に対して、実質的に相補的とすることができる、つまり、miR−208aおよび/またはmiR−208b配列に対して、少なくとも約90%、95%、96%、97%、98%、または99%相補的とすることができる。一実施形態において、アンチセンスオリゴヌクレオチドが、miR−208aおよび/またはmiR−208b配列に対して、完全に相補的(つまり100%相補的)である配列を含む。 いくつかの実施形態において、本発明の方法において使用されるmiR−208aおよび/またはmiR−208bの阻害剤が、miR−208aまたはmiR−208bのヌクレオチド配列に対して、少なくとも部分的に相補的であるアンチセンスオリゴヌクレオチドである。他の実施形態において、本発明の方法において使用されるmiR−208aならびに/またはmiR−208bの阻害剤が、ヒトmiR−208aおよび/もしくはmiR−208b(または対応するpre−miRNAもしくはpri−miRNA)のヌクレオチド配列に対して、実質的に相補的であり、また、任意選択でホスホロチオエートバックボーンと共に、ロックドおよび非ロックドヌクレオチドの混合物を含有してもよいアンチセンスオリゴヌクレオチドである。たとえば、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、少なくとも3つ、少なくとも5つ、または少なくとも7つのロックドヌクレオチドおよび少なくとも1つの非ロックドヌクレオチドを含有してもよい。実質的に相補的なアンチセンスオリゴヌクレオチドはmiR−208aまたはmiR−208bのその標的配列に関して、1つ〜4つのミスマッチ(たとえば1つ、2つ、3つ、または4つのミスマッチ)を有してもよい。例示的な実施形態において、ロックドヌクレオチドが、2’〜4’メチレンブリッジを有してもよい。いくつかの実施形態において、1つ以上のロックドヌクレオチドを有するそのようなアンチセンスオリゴヌクレオチドが、完全なホスホロチオエートバックボーンを有する。 アンチセンスオリゴヌクレオチドは、完全長または切断型miR−208aまたはmiR−208bに対して少なくとも部分的に相補的な配列を含んでいてもよい、またはそれから本質的になってもよい、またはそれからなってもよい。これらの実施形態において、アンチセンスオリゴヌクレオチドが、長さが約6〜22ヌクレオチドである、または長さが約10〜18ヌクレオチドである、または長さが約11〜約16ヌクレオチドである。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、いくつかの実施形態において、長さが約14、15、16、または17ヌクレオチドである。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、5’−TGCTCGTCTTA−3’(配列番号1)のヌクレオチド配列を含んでいてもよいまたは5’−TGTTCGTCTTA−3’(配列番号2)のヌクレオチド配列を含んでいてもよい。特定の実施形態において、アンチセンスオリゴヌクレオチドが、ヌクレオチド配列5’−CTTTTTGCTCGTCTTA−3’(配列番号3)または5’−CCTTTTGTTCGTCTTA−3’(配列番号4)を含む、またはそれから本質的になる、またはそれからなる。 アンチセンスオリゴヌクレオチドはまた、1つ以上のホスホロチオエート連結を含有してもよい。たとえば、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、完全にホスホロチオエート連結されてもよい。 本発明の方法において使用される例示的な阻害剤は、下記の表1において列挙される化合物の構造を有するアンチセンスオリゴヌクレオチドである。miR−208aおよびmiR−208b活性を低下させるアンチセンスオリゴヌクレオチドは、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる国際出願US2011/065121号明細書(国際公開第2012/083005号パンフレットとして公開されている)において記載される。 特定の実施形態において、アンチセンスオリゴヌクレオチドが、10101、10673、10674、10677、10679、10707、10680、10681、もしくは10683または表1において記載される他のアンチセンスオリゴヌクレオチドである。 固相合成法による、修飾ポリヌクレオチドを含むアンチセンスオリゴヌクレオチドの合成は、よく知られており、New Chemical Methods for Synthesizing Polynucleotides.Caruthers MH、Beaucage SL、Efcavitch JW、Fisher EF、Matteucci MD、Stabinsky Y.Nucleic Acids Symp.Ser.1980;(7):215−23において概説される。 その代わりに、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、ペプチド核酸(PNA)を含むことができ、これは、糖リン酸バックボーンではなく、ペプチドベースのバックボーンを含有する。アンチセンスオリゴヌクレオチドに対する他の修飾糖またはホスホジエステル修飾もまた、企図される。たとえば、アンチセンスオリゴヌクレオチドが含有することができる他の化学修飾は、2’−O−アルキル(たとえば2’−O−メチル、2’−O−メトキシエチル)、2’−フルオロ、および4’チオ修飾などのような糖修飾ならびに1つ以上のホスホロチオエート、モルホリノ、またはホスホノカルボキシレート連結などのようなバックボーン修飾を含むが、これらに限定されない(たとえば、それらの全体が参照によって本明細書において組み込まれる米国特許第6,693,187号明細書および米国特許第7,067,641号明細書を参照されたい)。一実施形態において、miR−208aおよび/またはmiR−208bを標的にするアンチセンスオリゴヌクレオチドが、それぞれの塩基上に2’O−メチル糖修飾を含有し、ホスホロチオエート連結によって連結される。アンチセンスオリゴヌクレオチド、特に、より短い長さのもの(たとえば15ヌクレオチド未満)は、LNA、二環式ヌクレオシド、ホスホノホルメート、2’O−アルキル修飾、およびその他同種のものなどのような、1つ以上の親和性増強修飾を含むことができるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、適したアンチセンスオリゴヌクレオチドが、中央に少なくとも10個のデオキシリボヌクレオチドを有し、5’および3’エンドの両方に2’−O−メトキシエチル修飾リボヌクレオチドを含有する2’−O−メトキシエチル「ギャップマー(gapmer)」である。これらの「ギャップマー」は、RNA標的の、RNase H依存性の分解メカニズムを引き起こすことができる。その全体が参照によって本明細書において組み込まれる米国特許第6,838,283号明細書において記載されるものなどのような、安定性を増強し、かつ効能を改善するアンチセンスオリゴヌクレオチドの他の修飾は、当技術分野において知られており、本発明の方法において使用するのに適している。たとえば、インビボにおける送達および安定性を促進するために、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、その3’エンドで、コレステロール成分などのようなステロイド、ビタミン、脂肪酸、糖質もしくはグリコシド、ペプチド、または他の小分子リガンドに対して連結することができる。 いくつかの実施形態において、アンチセンスオリゴヌクレオチドが、アンタゴmir(antagomir)である。「アンタゴmir」は、miR−208aおよび/またはmiR−208b配列に対して、少なくとも部分的に相補的である一本鎖化学修飾リボヌクレオチドである。アンタゴmirは、2’−O−メチル糖修飾などのような、1つ以上の修飾ヌクレオチドを含んでいてもよい。いくつかの実施形態において、アンタゴmirが、修飾ヌクレオチドのみを含む。アンタゴmirはまた、部分的なまたは完全なホスホロチオエートバックボーンをもたらす、1つ以上のホスホロチオエート連結を含むことができる。インビボにおける送達および安定性を促進するために、アンタゴmirは、その3’エンドで、コレステロールまたは他の成分に対して連結することができる。miR−208aおよび/またはmiR−208bを阻害するのに適したアンタゴmirは、長さが約8〜20ヌクレオチドまたは長さが10〜18ヌクレオチドまたは長さが11〜16ヌクレオチドである。アンタゴmirは、miR−208aまたはmiR−208bの配列に対して、少なくとも約75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%相補的であり得る。いくつかの実施形態において、アンタゴmirが、miR−208aまたはmiR−208bの配列に対して、実質的に相補的であってもよい、つまり、標的ポリヌクレオチド配列に対して、少なくとも約95%、96%、97%、98%、または99%相補的であってもよい。他の実施形態において、アンタゴmirが、miR−208aまたはmiR−208bの配列に対して、100%相補的である。アンタゴmirは、miR−208aまたはmiR−208bについての前駆物質miRNA配列(pre−miRNA)またはプライマリーmiRNA(primary miRNA)配列(pri−miRNA)に対して実質的に相補的な配列を含んでいてもよい。 miR−208aおよびmiR−208bのアゴニストもまた、本明細書において提供される。miR−208aおよび/またはmiR−208bの発現または活性のアゴニストは、miR−208aおよび/またはmiR−208b配列を含むポリヌクレオチドとすることができる。たとえば、一実施形態において、miR−208aアゴニストが、配列番号5〜9などのような、miR−208a配列を含むポリヌクレオチドである。一実施形態において、アゴニストが、配列番号9などのような成熟miR−208a配列を含むポリヌクレオチドである。他の実施形態において、miR−208aアゴニストが、配列番号5などのような、miR−208aについてのpre−miRNA配列を含むポリヌクレオチドとすることができる。他の実施形態において、miR−208bアゴニストが、miR−208b配列を含むポリヌクレオチドである。一実施形態において、アゴニストが、配列番号11などのような成熟miR−208b配列を含むポリヌクレオチドである。他の実施形態において、miR−208bアゴニストが、配列番号10などのような、miR−208bについてのpre−miRNA配列を含むポリヌクレオチドとすることができる。 miR−208aおよび/またはmiR−208b配列を含むポリヌクレオチドは、長さが約18〜約2000ヌクレオチド、長さが約70〜約200ヌクレオチド、長さが約20〜約50ヌクレオチド、または長さが約18〜約25ヌクレオチドとすることができる。成熟miR−208a、成熟miR−208b、pre−miR−208a、またはpre−miR−208b配列を含むポリヌクレオチドは、一本鎖または二本鎖とすることができる。ポリヌクレオチドは、ロックド核酸、ペプチド核酸、2’−O−アルキル(たとえば2’−O−メチル、2’−O−メトキシエチル)、2’−フルオロ、および4’チオ修飾などのような糖修飾ならびに1つ以上のホスホロチオエート、モルホリノ、またはホスホノカルボキシレート連結などのようなバックボーン修飾などのような、1つ以上の化学修飾を含有することができる。一実施形態において、miR−208配列(たとえば成熟miR−208a、成熟miR−208b、pre−miR−208aまたはpr2−miR−208b)を含むポリヌクレオチドは、コレステロールなどのようなステロイド、ビタミン、脂肪酸、糖質もしくはグリコシド、ペプチド、または他の小分子リガンドに対してコンジュゲートされる。 本明細書において記載されるmiR−208aおよび/またはmiR−208bの阻害剤またはアゴニストのいずれかは、細胞に対して、miR−208aおよび/もしくはmiR−208b阻害剤もしくはアゴニストをコードする発現ベクターを送達することによってまたは阻害剤もしくはアゴニスト自体を標的細胞に対して直接送達することによって、標的細胞(たとえば心臓または骨格筋細胞)に対して送達することができる。「ベクター」は、細胞の内部に、目的の核酸を送達するために使用することができる組成物である。線状ポリヌクレオチド、イオンまたは両親媒性化合物と結合したポリヌクレオチド、プラスミド、およびウイルスを含む、ただしこれらに限定されない多数のベクターは、当技術分野において知られている。したがって、用語「ベクター」は、自己複製プラスミドまたはウイルスを含む。ウイルスベクターの例は、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、レトロウイルスベクター、およびその他同種のものを含むが、これらに限定されない。発現構築物は、生細胞中で複製することができるまたはそれは、合成的に作製することができる。本出願の目的のために、用語「発現構築物」、「発現ベクター」、および「ベクター」は、一般的で説明的な意味で本発明についての適用を示すために区別なく使用され、本発明を限定するようには意図されない。 一実施形態において、miR−208aおよび/またはmiR−208bの阻害剤またはアゴニストを発現するための発現ベクターが、アンチセンスオリゴヌクレオチドまたはアゴニストオリゴヌクレオチドをコードするポリヌクレオチドに対して作動可能に連結されたプロモーターを含む。一実施形態において、miR−208aおよび/またはmiR−208bの阻害剤を発現するための発現ベクターが、アンチセンスオリゴヌクレオチドをコードするポリヌクレオチドに対して作動可能に連結されたプロモーターを含み、発現アンチセンスオリゴヌクレオチドの配列が、miR−208aの成熟配列(たとえば配列番号9)またはmiR−208bの成熟配列(配列番号11)に対して部分的にまたは完全に相補的である。他の実施形態において、miR−208a配列を含むポリヌクレオチドを発現するための発現ベクターが、ヒトpre−miR−208a配列(たとえば配列番号5)を含むポリヌクレオチドに対して作動可能に連結されたプロモーターを含む。他の実施形態において、miR−208b配列を含むポリヌクレオチドを発現するための発現ベクターが、pre−miR−208b配列(たとえば配列番号10)を含むポリヌクレオチドに対して作動可能に連結されたプロモーターを含む。本明細書において使用される語句「作動可能に連結された」または「転写コントロール下の」は、プロモーターが、RNAポリメラーゼによる転写の開始およびポリヌクレオチドの発現をコントロールするために、ポリヌクレオチドに関して適正な位置および方向にあることを意味する。 本明細書において使用される場合、「プロモーター」は、遺伝子の特異的な転写を開始するために必要とされる、細胞の合成機構または導入された合成機構によって認識されるDNA配列を指す。適したプロモーターは、RNA pol I、pol II、pol III、ならびにウイルスプロモーター(たとえばヒトサイトメガロウイルス(CMV)前初期遺伝子プロモーター、SV40初期プロモーター、およびラウス肉腫ウイルス末端反復配列)を含むが、これらに限定されない。一実施形態において、プロモーターが、組織特異的プロモーターである。特に該当するのは、筋肉特異的なプロモーター、より詳細には、心特異的プロモーターである。これらは、ミオシン軽鎖−2プロモーター(Franzら(1994)Cardioscience,Vol.5(4):235−43;Kellyら(1995)J.Cell Biol.,Vol.129(2):383−396)、アルファアクチンプロモーター(Mossら(1996)Biol.Chem.,Vol.271(49):31688−31694)、トロポニン1プロモーター(Bhavsarら(1996)Genomics,Vol.35(1):11−23);Na+/Ca2+交換体プロモーター(Barnesら(1997)J.Biol.Chem.,Vol.272(17):11510−11517)、ジストロフィンプロモーター(Kimuraら(1997)Dev.Growth Differ.,Vol.39(3):257−265)、アルファ7インテグリンプロモーター(Ziober and Kramer(1996)J.Bio.Chem.,Vol.271(37):22915−22)、脳性ナトリウム利尿ペプチドプロモーター(LaPointeら(1996)Hypertension,Vol.27(3 Pt 2):715−22)、およびアルファB−クリスタリン/小熱ショックタンパク質プロモーター(Gopal−Srivastava(1995)J.Mol.Cell.Biol.,Vol.15(12):7081−7090)、アルファミオシン重鎖プロモーター(Yamauchi−Takiharaら(1989)Proc.Natl.Acad.Sci.USA,Vol.86(10):3504−3508)、ならびにANFプロモーター(LaPointeら(1988)J.Biol.Chem.,Vol.263(19):9075−9078)を含む。一実施形態において、組織特異的プロモーターが、脂肪細胞タンパク質2(ap2)/脂肪酸結合タンパク質4(FABP4)プロモーターまたはPPARγプロモーターなどのような脂肪細胞特異的プロモーターである。 ある実施形態において、miR−208aおよび/もしくはmiR−208b阻害剤をコードするポリヌクレオチドまたはmiR−208aもしくはmiR−208b配列をコードするポリヌクレオチドに対して作動可能に連結されるプロモーターが、誘発性プロモーターとすることができる。誘発性プロモーターは、当技術分野において知られており、テトラサイクリンプロモーター、メタロチオネインIIAプロモーター、熱ショックプロモーター、ステロイド/甲状腺ホルモン/レチノイン酸応答エレメント、アデノウイルス後期プロモーター、および誘発性マウス乳癌ウイルスLTRを含むが、これらに限定されない。 細胞に対して、発現構築物および核酸を送達するための方法は、当技術分野において知られており、たとえば、リン酸カルシウム共沈、エレクトロポレーション、マイクロインジェクション、DEAE−デキストラン、リポフェクション、ポリアミントランスフェクション試薬を用いるトランスフェクション、細胞超音波処理、高速度微粒子を使用する遺伝子銃、および受容体媒介性トランスフェクションを含むことができる。 本発明はまた、処置後に、miR−208aおよび/またはmiR−208b阻害剤を回収するまたは取り除くための方法を含む。方法は、心または骨格筋組織において、miR−208aおよび/またはmiR−208b阻害剤に対する結合部位を過剰発現させることを含んでいてもよい。結合部位領域は、好ましくは、miR−208aおよび/またはmiR−208bについてのシード領域の配列を含有する。シード領域は、塩基2〜8にわたる、miRNAの5’部分であり、これは、標的認識にとって重要である。いくつかの実施形態において、結合部位が、甲状腺ホルモン受容体結合タンパク質1(THRAPl、別名MED13)、Sox6、Sp3、ミオスタチン、PURbeta、および骨格速筋タンパク質遺伝子などのような、miR−208aおよび/またはmiR−208bの1つ以上の標的の3’UTR由来の配列を含有してもよい。 本発明の阻害剤(アンチセンスオリゴヌクレオチドなど)またはアゴニストは、様々な巨大分子集合体または組成物内に組み込まれてもよい。送達のためのそのような複合体は、患者に対する送達のために製剤される、様々なリポソーム、ナノ粒子、およびミセルを含んでいてもよい。複合体は、細胞膜透過を開始するために、1つ以上の融合性または親油性分子を含んでいてもよい。そのような分子は、たとえば、それらの全体が参照によって本明細書に組み込まれる米国特許第7,404,969号明細書および米国特許第7,202,227号明細書において記載される。その代わりに、オリゴヌクレオチド(oligonucelotide)は、参照によって本明細書に組み込まれる国際公開第2010/129672号パンフレットにおいて記載されるものなどのような、細胞の送達を支援するための親油性ペンダント基をさらに含んでいてもよい。 組成物または製剤は、本明細書において記載されるものを少なくとも含む、複数の治療用アンチセンスオリゴヌクレオチドを用いてもよい。たとえば、組成物または製剤は、本明細書において記載される、少なくとも2つ、3つ、4つ、または5つのmiRNA阻害剤またはアゴニストを用いてもよい。 本発明の阻害剤(アンチセンスオリゴヌクレオチドなど)またはアゴニストは、様々な医薬組成物として製剤されてもよい。医薬組成物は、意図される適用に適切な形態で調製されるであろう。一般に、これは、ヒトまたは動物に対して有害になり得るパイロジェンおよび他の不純物が本質的にない組成物を調製することを要するであろう。例示的な送達/製剤系は、コロイド分散系、巨大分子複合体、ナノカプセル、マイクロスフェア、ビーズ、ならびに水中油型エマルション、ミセル、混合性ミセル、およびリポソームを含む脂質ベースの系を含む。心および骨格筋組織に対して、本発明の核酸を送達するのに適した、市販で入手可能な脂肪エマルションは、Intralipid(登録商標)、Liposyn(登録商標)、Liposyn(登録商標)II、Liposyn(登録商標)III、Nutrilipid、および他の類似する脂質エマルションを含む。インビボにおいて送達ビヒクルとして使用するのに好ましいコロイド系は、リポソーム(つまり人工膜小胞)である。そのような系の調製および使用は、当技術分野においてよく知られている。例示的な製剤はまた、それらの全体が参照によって本明細書に組み込まれる米国特許第5,981,505号明細書;米国特許第6,217,900号明細書;米国特許第6,383,512号明細書;米国特許第5,783,565号明細書;米国特許第7,202,227号明細書;米国特許第6,379,965号明細書;米国特許第6,127,170号明細書;米国特許第5,837,533号明細書;米国特許第6,747,014号明細書;および国際公開第03/093449号パンフレットにおいても開示される。 医薬組成物および製剤は、送達ビヒクルを安定性にし、かつ標的細胞による取込みを可能にするために、適切な塩およびバッファーを用いてもよい。本発明の水性組成物は、薬学的に許容され得るキャリヤまたは水性媒体中に溶解されたまたは分散した阻害剤アンチセンスオリゴヌクレオチドまたはアゴニストを含む、有効量の送達ビヒクル(たとえばリポソームまたは他の複合体)を含む。語句「薬学的に許容され得る」または「薬理学的に許容され得る」は、動物またはヒトに対して投与された場合に、不利な、アレルギー性の、または他の好ましくない反応をもたらさない分子実体および組成物を指す。本明細書において使用される場合、「薬学的に許容され得るキャリヤ」は、ヒトに対する投与に適した医薬品などのような医薬品を製剤する際に使用するのに許容され得る、1つ以上の溶媒、バッファー、溶液、分散媒、コーティング、抗菌剤および抗真菌剤、等張剤および吸収遅延剤、ならびにその他同種のものを含んでいてもよい。薬学的に活性な物質のためのそのような媒体および作用物質の使用は、当技術分野においてよく知られている。補足の活性成分もまた、組成物の中に組み込むことができる。 本発明による医薬組成物の投与または送達は、標的組織がその経路を介して利用可能である限り、任意の経路を介してのものであってもよい。たとえば、投与は、皮内、皮下、筋肉内、腹腔内、もしくは静脈内注射によるまたは標的組織(たとえば心もしくは骨格筋組織)への直接的な注射によるものであってもよい。本明細書において開示されるアンチセンスオリゴヌクレオチドの安定性および/または効力は、皮下、皮内、および筋肉内を含む、好都合な投与経路を可能にする。miRNA阻害剤を含む医薬組成物はまた、心臓に対して治療剤を送達するために、カテーテル系または冠循環を隔離する系によって投与されてもよい。心臓および冠状動脈の血管に対して治療剤を送達するための様々なカテーテル系は、当技術分野において知られている。本発明において使用するのに適した、カテーテルベースの送達方法または冠状動脈の隔離方法のいくつかの非限定的な例は、すべて、それらの全体が参照によって本明細書に組み込まれる米国特許第6,416,510号明細書;米国特許第6,716,196号明細書;米国特許第6,953,466号明細書、国際公開第2005/082440号パンフレット、国際公開第2006/089340号パンフレット、米国特許出願公開第2007/0203445号明細書、米国特許出願公開第2006/0148742号明細書、および米国特許出願公開第2007/0060907号明細書において開示される。 ある実施形態において、アンチセンスオリゴヌクレオチドが、25mg/kg以下の用量または10mg/kg以下の用量または5mg/kg以下の用量で投与される。これらの実施形態において、アンチセンスオリゴヌクレオチドまたは組成物が、筋肉内もしくは皮下注射によってまたは静脈内に投与されてもよい。 組成物または製剤はまた、非経口的にまたは腹腔内に投与されてもよい。例説として、遊離塩基または薬理学的に許容され得る塩としてのコンジュゲートの溶液は、ヒドロキシプロピルセルロースなどのような界面活性剤と適切に混合された水において調製することができる。分散液はまた、グリセロール、液体ポリエチレングリコール、およびその混合物においてならびに油において調製することもできる。保存および使用の通常の条件下で、これらの調製物は、一般に、微生物の増殖を妨げるために保存剤を含有する。 注射剤の使用またはカテーテル送達に適した医薬形態は、たとえば、滅菌注射用溶液または分散液の即時調製のための滅菌水溶液または分散液および滅菌粉末を含む。一般に、これらの調製物は、滅菌されており、容易に注射可能(easy injectability)になる程度まで流動性である。調製物は、製造および保存の条件下で安定性であるべきであり、細菌および真菌などのような微生物の混入作用から保護されるべきである。適切な溶媒または分散媒は、たとえば水、エタノール、ポリオール(たとえばグリセロール、プロピレングリコール、および液体ポリエチレングリコール、ならびにその他同種のもの)、その適した混合物、ならびに植物油を含有してもよい。適切な流動性は、たとえば、レシチンなどのようなコーティングの使用によって、分散液の場合には、必要とされる粒径の維持によって、および界面活性剤の使用によって、維持することができる。微生物の作用の予防は、様々な抗菌剤および(an)抗真菌剤、たとえばパラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサール、およびその他同種のものによってもたらすことができる。多くの場合において、等張剤、たとえば糖または塩化ナトリウムを含むことが好ましいであろう。注射用の組成物の長期間の吸収は、吸収を遅延させる作用物質、たとえばモノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンの組成物中での使用によってもたらすことができる。 滅菌注射用溶液は、所望されるように、任意の他の成分(たとえば上記に列挙されるような)と共に、溶媒の中に、適切な量のコンジュゲートを組み込むことによって、調製されてもよい。一般に、分散液は、塩基性分散媒およびたとえば上記列挙される、所望の他の成分を含有する滅菌ビヒクルの中に、様々な滅菌された活性成分を組み込むことによって調製される。滅菌注射用溶液の調製のための滅菌粉末の場合には、調製の好ましい方法は、活性成分(複数可)およびそのあらかじめ滅菌ろ過された溶液由来の任意のさらなる所望の成分の粉末を産出する真空乾燥および凍結乾燥技術である。 製剤に際して、溶液は、好ましくは、投薬製剤と適合性の方式でおよび治療上有効である量で投与される。製剤は、注射用溶液、薬剤放出カプセル、およびその他同種のものなどのような、様々な投薬形態で、容易に投与されてもよい。水溶液における非経口投与について、たとえば、溶液は一般に、適切にバッファーされ、液体の希釈剤は、最初に、たとえば十分な食塩水またはグルコースにより等張にされる。そのような水溶液は、たとえば静脈内、筋肉内、皮下、および腹腔内投与のために使用されてもよい。好ましくは、滅菌水性媒体は、特に、本発明の開示を考慮して、当業者らに知られているように用いられる。例説として、一回の用量は、1mlの等張NaCl溶液中に溶解され、1000mlの皮下注入の液体に追加されてもよく、または注入について提案される部位に注射されてもよい(たとえば”Remington’s Pharmaceutical Sciences” 15th Edition、pages 1035−1038 and 1570−1580を参照されたい)。投薬におけるいくらかの変動は、処置されている被験体の状態に依存して、当然起こるであろう。投与の担当者は、いずれにしても、個々の被験体にとって適切な用量を決定するであろう。さらに、ヒト投与については、調製物は、FDA Office of Biologics基準によって要求されるような滅菌、発熱性、一般的な安全性、および純度基準を満たすべきである。 本明細書における、あらゆる図面および添付物を含む刊行物、特許、および特許出願はすべて、それぞれの個々の刊行物または特許出願が、参照によって組み込まれるように明確にかつ個々に示されたのと同じ程度まで、参照によって本明細書において組み込まれる。 本発明は、限定として解釈されるべきではない、以下のさらなる実施例によってさらに例証される。当業者らは、本開示を考慮して、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、多くの変更が、開示される特定の実施形態においてなされ、同様のまたは類似する結果をなお得ることができることを十分に理解されたい。実施例1:抗miR−208は、年齢誘発性の体重増加を阻害するマウスにおいて、miR−208阻害剤についての、治療効果の可能性を研究するうちに、発明者らは、抗miR−208により長期の研究で処置した動物が、マウスが通常示す年齢誘発性の体重増加を示さなかったが、コントロール処置(M−10591)または食塩水により処置したマウスは、増加を示したことを観察した。処置は、8週齢(20〜25グラムの体重)でスタートし、6か月までの間、継続し、この間、マウスは、抗miR−208(M−10101)、非標的コントロール(M−10591)、または同等量の食塩水を1、2、および3日目に3×25mg/kgの負荷投与量でならびに1週間おきに25mg/kgで受けた。M−10591は、線虫(C.elegans)特異的miRNAを標的にし、以下の配列を有する:TCCTAGAAAGAGTAGA(配列番号12)。M−10101のように、M−10591もまた、9つのLNA修飾ヌクレオチドを含有し、長さが16ヌクレオチドである。M−10101により処置したマウスは、コントロール処置または食塩水注射動物と比較して、有意により高い、心臓対身体重量比を示した。この差異は、心臓重量(HW)における増加によるものではなく、むしろ、研究の過程の間の体重(BW)の増加がより小さかったことによるものであった(図1)。 同等の観察は、発明者らが、2週間ごとに、25mg/kgのM−10101を、長期間、8週齢のオスウィスターラットに投薬した場合になされたが、この効果は、M−10591処置グループにおいて観察されなかった(図2)。実施例2:抗miR−208は、高脂肪食誘発性の肥満症に対する抵抗性を与える抗miR−208aオリゴヌクレオチドによる長期的な処置の効果を決定するために、6週齢オスC57Bl6マウスに、食塩水中に溶解したLNA修飾抗miR−208a(M−10101)またはC.elegans特異的miRNAに対して向けられるコントロールオリゴヌクレオチド(M−10591)の10mg/kgを皮下注射した。マウスに、3日間連続して注射し、次いで、実験の全体にわたって毎週の維持注射を与えた。抗miR−208a(M−10101)の皮下送達は、ノーザンブロット分析によって検出されるように、心臓においてmiR−208aレベルを効率的に阻害した(図3A)。抗miR−208aまたはコントロール抗miRによる、6週間のマウスの処置は、心臓重量、心筋収縮能、または心拍数に対して効果を有さなかった(図3B〜D)。 体重および代謝を調節する際のmiR−208aの役割をさらに調査するために、発明者らは、高脂肪(HF)食に応じた体重増加に対する抗miR−208aの効果について試験した。6週齢オスC57Bl6マウスに、3日間連続して、抗miR−208a(M−10101)またはコントロール抗miR(M−10591)の10mg/体重kgを皮下注射した。3日目に、マウスを、HF食(60%kcal/脂肪)または普通の固形飼料(NC;10%kcal/脂肪)下に配置した。マウスは、研究の全体にわたって、毎週、重さを量り、10mg/kgの維持量を与えた。HF食の、コントロール抗miRにより処置したマウスは、6週間以内にそれらの体重を75%増加させたのに対して、HF食の抗miR−208a処置マウスは、体重が29%しか増加しなかったことを示し(図4A〜B)、これは、普通の固形飼料で維持し、コントロール抗miRまたは抗miR−208a(それぞれ、28%および25%)により処置したマウスと同等であった。 NMR分光法により、処置グループの間の重量における差異が、図4Cのそれぞれのバーにおける白色の部分によって示される脂肪重量における差異によることが明らかにされた。これらの発見と一貫して、内臓白色脂肪ならびに白色および褐色脂肪の両方を含有する肩甲下脂肪組織は、脂肪質量および脂肪細胞サイズに基づいて、コントロール抗miR処置動物と比較して、HF食およびNCの抗miR−208a処置グループにおいて有意により小さかった(図4D〜G)。血清トリグリセリドおよびコレステロールレベルもまた、HF食の抗miR−208a処置マウスにおいて、低下した(図4Hおよび4I)。同様に、HF食餌のコントロール動物において見られた肝臓脂肪症は、抗miR−208aによる処置によって弱められた(図4F)。 HF食誘発性の肥満症は、グルコース不耐性を引き起こす。NCの抗miR−208a処置マウスは、ブドウ糖負荷試験(GTT)によって測定されるように、正常なグルコース応答を示した(図5A)。ブドウ糖負荷試験は、一晩の絶食後に実行した。ベースライン測定値は、Accu−Chek Compact Plus glucometer(Roche)を使用して得た。続いて、マウスに、1mg/gグルコースを腹腔内注射した。次いで、グルコースレベルを、グルコース注射の15、30、60、および120分後に測定した。HF食で、コントロール抗miR処置肥満マウスは、脂肪質量における増加およびグルコース不耐性を示した(図4Dおよび5A)。対照的に、抗miR−208a処置マウスは、GTTおよび計算された曲線下面積によって明らかにされるように、6週間のHF食後に、正常なグルコース応答を示した(図5Aおよび5B)。 抗miR−208a処置マウスからの空腹時インスリンレベルは、コントロール抗miR処置マウスのものよりも有意に低かった(図5C)。同様に、身体の脂質含有量を反映する脂肪細胞(adiopocyte)由来循環ホルモンであるレプチンのレベル(Frederichら、Nat.Med.,Vol.1:1311−1314、1995)は、NCおよびHF食の動物において、コントロール抗miRと比較して、抗miR−208aによって低下した(図5D)。抗miR−208aは、身体活動性または摂食量に対して効果を有しなかった(データ示さず)。これらの発見は、miR−208a阻害が、全身のインスリン感受性を改善することを示唆する。miR−208aは、心筋細胞においてのみ発現されるので(Callisら、J.Clin.Invest.,Vol.119:2772−2786、2009;van Rooijら、Science,Vol.316:575−579、2007)、抗miR−208aの有益な代謝効果は、全身的な代謝に対する心臓の影響の可能性を示唆する。 この一連の実験の結果は、抗miRの全身的な送達を通しての、心特異的である、miR−208aの薬理的な不活性化が、代謝表現型を増強することを示し、miR−208a阻害剤が、肥満症、高コレステロール血症、2型糖尿病、肝臓脂肪症、および高脂血症などのような、様々な代謝障害における治療上の有用性を有し得ることを示唆する。実施例3:抗miR−208化合物は、代謝を調節する 代謝の調節について効き目のある、miR−208aの他の化学的修飾アンチセンスオリゴヌクレオチド阻害剤を同定するために、高脂肪食のマウスに、4つの異なる抗miR−208阻害剤のうちの1つを受けさせ、これらのうち2つは、以前に、インビボにおいて標的抑制解除を示し(M−10101およびM−10683)、これらのうち2つは、以前に、インビボにおいて標的抑制解除を示さなかった(M−10673およびM−10681)。マウスの他の4つのグループに、4つのコントロールオリゴヌクレオチド(M−10591、M−10649、M−10702、およびM−11182)のうちの1つを受けさせた。6〜8週齢のC57Bl/6マウスに、60%高脂肪(HF)食または通常の固形飼料を与え、毎週、抗miRオリゴヌクレオチドの25mg/kgの皮下投与を受けさせた。処置グループを表3に列挙する: 抗miR−208a化合物はすべて、体重の低下に対する効果を有した(図6Aおよび6B)。M−10101およびM−10683は、最も効き目があり、また、これらの阻害剤を受けたマウスは、普通の食餌の食塩水処置マウスと同等の体重を示した。M−10673およびM−10681は、体重増加に対して中間の効果を有するように思われた。11週間の高脂肪食およびすべての抗miR−208a化合物による抗miR処置後に実行したブドウ糖負荷試験は、抗miR−208a化合物がすべて、糖耐性に対していくらかの効果を有し、M−10101が最も効き目があったことを示した(図7)。分子分析により、抗miR−208a化合物処置グループがすべて、心臓においてmiR−208aの強い阻害を有することおよび抗miR−208a処置グループがすべて、検証されたmiR−208a標的であるSox6の有意な抑制解除を示したことが示された(データ示さず)。 要約すると、抗miR−208a化合物はすべて、ある期間にわたって、高脂肪食誘発性の体重増加を低下させ、M−10101およびM−10683は、試験したmiR−208a阻害剤の中で最も効き目があった。これらの同じ2つの化合物は、ラット心組織において、最善の標的抑制解除を示した(データ示さず)。 次の一連の実験において、抗miR−208a化合物が既に肥満であった動物において体重を低下させることができるかどうかを決定するために、逆転研究を実行した。マウスは、マウスが約45グラムに達するまで、高脂肪食にさらした。この時点で、マウスは、毎週、25mg/kgで、4つの抗miR−208a化合物(M−10101、M−10683、M−10673、およびM−10681)のうちの1つを皮下に受けさせた。マウスは、実験の間、高脂肪食で維持した。処置グループを表4に列挙する: 毎週の体重測定値は、抗miR−208a化合物がすべて、肥満のマウスにおいて体重を低下させたことを明らかにした(図8)。M−10101は、この化合物による処置が肥満のマウスにおいて体重の約10パーセント減少をもたらしたので、最も効き目のある化合物であった。この体重減少は、マウスが高脂肪食を継続している間に起こった。反対に、コントロールオリゴ(M−10591)により処置したマウスは、高脂肪食で体重を増し続けた。3つの他の抗miR−208a化合物は、体重減少に対して中間的な効果を示したが、化合物はすべて、体重増加をさらに低下させた。 この実施例において記載される研究からのデータは、miR−208aのアンチセンスオリゴヌクレオチド阻害剤が、代謝を調節する際に重要な役割を果たし、肥満症および関連する代謝障害を予防し、処置するための有効な治療薬として果たすことができることを実証する。実施例4:抗miR−208は、肝臓のエネルギー代謝およびミトコンドリア機能を促す グループ当たり6匹のマウスを、高脂肪食(HFD)のみ(コントロール)または抗miR−208a M−10101と組み合わせたHFDにより処置した。サンプルは、最初に、盲検とし、生化学的同定およびデータキュレーション後に、サンプルを、データ分析のために「非盲検」とし、グループ1がHFD+抗miR−208aであり、グループ2がHFDのみ(コントロール)であることを明らかにした。 処置後に、プラスマ、心臓、骨格筋、肝臓、および後腹膜脂肪を、それぞれの動物から収集し、スナップ凍結し、メタボロミック分析のためにMetabolon(Durham、NC)に送った。合計60個のサンプルを、この研究において分析した。サンプルは、ある時点(1週間)の2つの別個の処置グループ[HFD+抗miR−208a(グループ1)対HFDコントロール(グループ2)]からなり、それぞれのマトリックス(プラスマ、心臓、骨格筋、肝臓、および脂肪)について6回、反復実験した。サンプルは、抽出し、GC/MSおよびLC/MS/MSプラットフォーム分析のために等分した。ソフトウェアは、代謝物質同定およびピーク面積統合による代謝物質定量化のために、標準物質の社内ライブラリーに対してイオンをマッチングするために使用した。サンプルについての代謝物質の同定および相対的なの定量化は、Metabolonの技術プラットフォームにより行い、これは、プラスマ、心臓、骨格筋、肝臓、および後腹膜脂肪において、それぞれ、合計327個、275個、260個、314個、および234個の生化学物質を検出した。生化学物質データは、Welchの2標本t検定によって分析した。Welchの2標本t検定は、その相対的レベルが様々な処置グループの間で異なった生化学物質を同定するために使用した。 品質管理のために、多くの内部標準を、質量分析計へのインジェクション前に、それぞれの実験およびプロセス標準サンプルに対して追加した。プラットフォームのばらつきについての基準は、これらの内部標準についてのメジアン相対標準偏差(median relative standard deviation)(RSD)を計算することによって決定した。表5は、内部標準についてのメジアン相対標準偏差(RSD)を示す。これらの標準物質は、器機へのインジェクションの直前にサンプルに対して追加するので、この値は、器機の変動を反映する。そのうえ、CMTRX(それぞれの実験プラスマサンプルの別々の一定分量から生成し、プールした「クライアントマトリックス(Client Matrix)」サンプル。これらのCMTRXサンプルは、プラットフォームの実行の全体にわたってインジェクトし、技術的な反復実験として役割を果たした)において一貫して測定した生化学物質についてのメジアン相対標準偏差(RSD)は、実際の実験サンプルについてのプロセス内のばらつきの合計およびこれらのサンプル内の内因性代謝物質の定量化におけるばらつきを示す(表5)。CMTRXおよび内部標準についての結果は、プラットフォームがプロセス指定条件を満たしたデータをもたらしたことを示した。 肝臓サンプルについては、同定された314個の生化学物質のうちの36個は、抗miR−208aを受けたHFDマウス対HFDコントロールの間で、有意な差異を示した。グルコース代謝およびTCAサイクルへのピルビン酸の組み込みに関与する生化学物質については、下流の代謝物質の同時の維持と共に、解糖経路の初期の中間体における増加が、それぞれの代謝物質についての相対的な倍数変化を提供する表6において示されるように見られた。 グルコース−6−リン酸(G6P)、フルクトース−6−リン酸(F6P)、フルクトース−1,6−リン酸(MS/MSフラグメンテーションおよび他の化学的性質に基づいた同定)、ならびにジヒドロキシアセトンリン酸(DHAP)はすべて、コントロールに対比して、抗miR−208aの処置により上昇したことが示された(G6PおよびF6Pは、有意性の傾向があることを示した、0.05<p<0.10)。このパターンは、抗miR処置後の肝臓グルコース代謝における増加およびトリカルボン酸(TCA、クレブス)サイクルへのピルビン酸供給の効率的な利用と一貫している。解糖最終産物である乳酸において変化がないのは、TCAサイクルのエネルギー変換に供給するためのグルコース代謝の利用の増加をさらに裏付け、HFDコントロールに対比して、酸化的グルコース代謝の維持を示す。 TCAサイクルのエネルギー変換に向かう、グルコース関連性の代謝物質の使用の増加と一貫して、TCAサイクル中間体の減少のパターンが、コントロール肝臓サンプルに対比する抗miR−208a肝臓サンプルにおいて観察された(α−ケトグルタル酸(統計的に有意、p<0.05)、スクシニルCoAおよびフマル酸(有意性の傾向がある、0.05<p<0.10)、ならびにクエン酸およびリンゴ酸を含む)(表7)。 まとめると、大多数のTCAサイクル中間体における減少は、処置なしに対比する、抗miR処置ありのHFDモデルにおける、エネルギー代謝効率の増加を示唆する。そのうえ、TCA経路エネルギー代謝は、ミトコンドリアに固有のものであるので、これらの変化は、HFDマウスモデルにおけるミトコンドリア機能における抗miR媒介性の改善を示す。HFDマウスモデルにおけるグルコース利用の増加は、特に食餌誘発性の糖代謝異常をより起こしやすいことが知られているC57Bl/6株において有利であろう(Gallou−Kabaniら、(2007)Obesity,15、p.1996−2005)。さらに、補酵素A(CoA)は、α−ケトグルタル酸のスクシニルCoAへのα−ケトグルタル酸デヒドロゲナーゼ媒介性の変換に必要とされ、CoA前駆物質パントテン酸における減少を伴うCoAの増加のパターンもまた、HFDのみに対比して、抗miR−208aにより処置した動物の肝臓において観察された。変化のこのパターンは、THRAP1(別名MED13)の抗miR依存性の解放および甲状腺受容体シグナル伝達に関係するミトコンドリアバイオゲネシスにおける続く増加を反映し得る。 分岐鎖アミノ酸(BCAA)代謝は、インスリン抵抗性および肥満症の発症において役割を果たすように思われる(Newgardら、(2009)Cell Metab.9、311−26;Altmaierら、(2008)Endocrinology,149、3478−89;Sheら、(2007)Am J Physiol Endocrinol Metab,293、E1552−63)。BCAA、イソロイシン、ロイシン、およびバリンのレベルの上昇は、BCAAの代謝に由来する様々な短鎖代謝物質と共に、インスリン抵抗性の状態の間によく観察され、インスリン感受性および/またはIRと関連した、特有のパターンの発現を示す(Newgardら、Altmaierら)。BCAAであるロイシンおよびバリンは、コントロールに対比して、抗miR−208a処置により有意に減少することが示され(p<0.05)、イソロイシンは、HFDモデルにおいて、処置による有意な減少の傾向を示した(0.05<p<0.10)(表8)。抗miR処置による相対的な減少のこのパターンはまた、いくつかのBCAA代謝物質でも観察された。 肝臓において観察されたグルコース代謝における増加およびTCAサイクル効率の改善に加えて、この器官における抗糖尿病/肥満の効能のさらなる徴候は、コントロールに対比して、抗miR−208a処置で明らかであった。グリコーゲン代謝の側面と関連する、マルトース由来の代謝物質における有意な変化は、抗miR−208aによる処置後の、肝臓グリコーゲン沈着の増加の徴候を示した。この事例において、より高次のグルコサッカリド(glucosaccharide)(つまりマルトペンタオースおよびマルトヘキサオース)は、1週間で、HFDモデルにおいて、処置に応じた、統計的に有意な上昇(p<0.05)を示した(表9)。 より短いグルコサッカリド前駆物質であるマルトース(有意)およびマルトトリオースにおける同時の減少と組み合わせて、より高次のグルコサッカリドにおいて観察される上昇は、グリコーゲン合成における中間体となり、また、グリコーゲン沈着と関連してそれらが上昇することが仮定される。肝臓グルコース代謝の上昇およびミトコンドリア機能の増強の点からの、抗miR−208a処置についての明らかな抗糖尿病/肥満の効能と共に、肝臓グリコーゲン合成の増加は、有利な抗miR−208a効果と一貫している。肝臓において増加するグリコーゲン沈着は、糖尿病/インスリン抵抗性の管理において、高血糖症を低下させるための有効なメカニズムに相当する。血漿グルコースレベルは、HFDのみに対比して、HFD+抗miR−208a後、1週間で、実質的に改変しないが(示さず、コントロールの1.09倍)、この発見は、HFDモデルが進むにつれて、抗miRが血糖コントロールに影響を与える、可能性のある作用メカニズムに対する洞察をもたらす。 この実施例は、抗miR−208aにより処置したマウス由来の肝臓が、その好ましいエネルギー源を利用し(たとえば解糖)、過剰な基質をコントロールマウスよりも最適にプロセシングする(たとえばグリコーゲン沈着)ことを実証する。さらに、徴候は、コントロールマウスと比較して、抗miR−208aにより処置したマウスのミトコンドリアが、より最適に機能しているというものである(たとえばTCAサイクル、分岐鎖アミノ酸)。これらの効果はすべて、THRAP1(MED13)に対する抗miR−208aの効果を通して、可能性として調節され得る甲状腺ホルモンシグナル伝達における改善と一貫し得る。実施例5:抗miR−208は、骨格筋燃料利用およびミトコンドリア機能の改善を促す 高脂肪食(HFD)のみまたは抗miR−208a(M−10101)と組み合わせたHFDにより処置したマウス由来の骨格筋についてのメタボロミック分析を、実施例4において記載されるように実行した。骨格筋代謝における改変は、一般にIR、T2D、およびMSなどのような代謝性疾患状態と関連する(Muoio and Newgard、(2008)Nat Rev Mol Cell Biol,9、193−205;Hulverら、(2003)Am J Physiol Endocrinol Metab,284、E741−7)。 表10は、骨格筋グルコース代謝上流中間体が、抗miR処置により上昇するが、下流のトリオースリン酸中間体が、維持されるまたはわずかに減少することを示す。 このパターンは、TCAサイクルエネルギー代謝経路に効率的に供給されるグルコースの使用の増加となおまた一貫し、HFDコントロールに対比して、抗miR療法により処置した動物由来の肝臓サンプルにおいて観察されたパターン(実施例4)に顕著に類似するパターンである。これらの差異は、統計的有意性に達しなかったが、パターンが、処置により肝臓において観察される差異を非常に厳密に反映するという事実は、HFDモデルの設定において代謝の利点をもたらすであろう、肝臓および骨格筋の両方に影響を与える、類似する作用メカニズムを裏付ける。 さらに、肝臓において観察された抗miR関連性の効果と一貫して、骨格筋サンプルは、HFDコントロールに比べて、クエン酸(統計的に有意、p<0.05)、フマル酸およびリンゴ酸(統計的に有意、p<0.05)を含む、複数のTCAサイクル中間体において、減少を示した(表11)。なおまた、TCAサイクル中間体における同様の減少は、HFDコントロールと比較した場合の、抗miR処置によるエネルギー代謝効率における相対的な増加を示唆する。処置およびコントロールグループの間の差異のこのパターンはまた、上記に提唱されるTCAサイクルのエネルギー変換に燃料供給する、グルコース関連性のトリオースリン酸中間体の効率的な使用における高度な増加をも裏付ける。肝臓および骨格筋の両方が、抗miR処置による、グルコース代謝の上昇およびTCAサイクル効率の増加を示すという複合的な観察は、ミトコンドリア機能を改善し得るまたは少なくとも維持し得る薬剤関連性の効果を示し、これは、THRAP1(MED13)の抗miR媒介性の解放およびミトコンドリアのバイオゲネシスを上昇させる甲状腺受容体シグナル伝達と一貫する。 骨格筋インスリン抵抗性における生物活性脂質の役割は、完全には理解されていないが、肥満症および栄養過多は、インスリン感受性とネガティブに関連する、脂質および脂質代謝物質の筋肉内の蓄積と関連する(Muoio and Newgard、(2008)Nat Rev Mol Cell Biol,9、193−205)。グリセロリン脂質(GPL)に由来するリゾ脂質(lysolipid)は、生物活性特性を有し、インスリンシグナル伝達カスケードにおいて複数の部位で相互作用することが知られており、インスリン抵抗性を最終的にもたらす(Wymann and Schneiter、(2008)Nat Rev Mol Cell Biol,9、162−76;Patti and Kahn、(2004)Nat Med,10、1049−50)。この実施例において、いくつかの脂質種は、表12において示されるように、HFDコントロールサンプルと比較した場合、抗miR処置動物由来の骨格筋において減少した。 GPL由来リゾ脂質は、特に、コントロールに対比して、抗miR処置により、骨格筋において一様に減少し、エタノールアミンおよびコリンコンジュゲート種の両方は、同様に影響を受けた。HFDが、おそらく、GPL由来リゾ脂質の蓄積を誘発するので、この差異は、抗miR処置が、HFDモデルにおいて、リゾ脂質における全体的な上昇をブロックすることを示唆する。観察された、減少のパターンはまた、リゾ脂質のsn−1およびsn−2変異体の間でも異なっておらず、抗miR処置が、ホスホリパーゼA1にも、A2にも、優先的に影響を与えていないことを示し、生合成の変化に対比する、HFDモデルにおける、リゾ脂質取込みにおける抗miR誘発性の変化をさらに裏付ける。 そのうえ、抗miR処置はまた、骨格筋モノおよびジアシルグリセロールならびにスフィンゴ脂質をも減少させ(表13)、これは、HFDが、脂質および脂質代謝物質の骨格筋蓄積における全体的な増加と相関するという示唆と一貫している。したがって、グルコース代謝およびTCAサイクル効率(ミトコンドリア機能)の増加に関して、抗miR処置後にリゾ脂質レベルにおいて観察される一様なパターンの変化は、骨格筋インスリン感受性の保護をもたらすための、処置上の効能を示す。 これらの結果は、HFDと同時の抗miR208a処置が、骨格筋燃料利用(解糖)およびミトコンドリア機能(TCAサイクル)の改善をもたらしたことを実証する。そのうえ、骨格筋内の(intra−skeletal muscle)脂肪沈着における減少があり得る。したがって、抗miR208aの投与は、抗−miR208aにより促進されるTHRAP1(MED13)発現による甲状腺ホルモン受容体シグナル伝達の増加を通しても媒介され得る骨格筋代謝を改善することができる。実施例6:抗miR−208は、心代謝を促す 高脂肪食(HFD)のみまたは抗miR−208a(M−10101)と組み合わせたHFDにより処置したマウス由来の心臓についてのメタボロミック分析を、実施例4において記載されるように実行した。 心筋は、複数の燃料基質、主な基質として脂肪酸およびグルコースならびにその好ましい燃料源として脂肪酸を利用する。1週間にわたる食餌投与のスタート時の、抗miR208aによるマウスの同時処置は、HFDのみと比較した場合、長鎖脂肪酸(LCFA)の上昇のパターンをもたらし(表14)、バクセン酸、エイコセン酸、ジホモリノール酸(dihomolinoleate)、およびドコサジエン酸(docosadienoate)の変化は、統計的に有意であった(p<0.05)。 この差異は、抗miR処置によるその好ましい燃料源の心取込みにおける増加を示唆する。FA酸化が圧倒されるようになり、ケトン体形成が結果として起こる病的な状態と異なり、抗miR処置による心LCFAレベルにおける増加は、コントロールと比較した場合、心ケトン体レベルにおける相対的な減少(ケトン体3−ヒドロキシ酪酸(BHBA)における抗miR依存性の減少)と相関した。これは、抗miR−208a処置による心臓における好ましいFA燃料基質のより効率的な使用を反映し得る。 ほとんどの脂質種における全体的な減少を示した骨格筋と異なり、抗miRによる処置は、リゾ脂質、モノおよびジアシルグリセロール、ならびにスフィンゴ脂質を含むLCFAに加えて、いくつかの心脂質種における全体的な増加に関係した(2−ステアロイル−GPCおよび2−ステアロイルグリセロールは統計的に有意であり(p<0.05)、1−リノレオイル−GPEは有意性の傾向を示す(0.05<p<0.1))(表15)。これらのデータは、まとめると、おそらく、THRAP1(MED13)媒介性のミトコンドリアのバイオゲネシスに伴う、HFDモデルにおける代謝効率の改善に関係する、心脂質における抗miR−208a関連性の増加を示唆するであろう。 その好ましい脂質燃料基質の取込みの増加に加えて、抗miR処置動物由来の心臓サンプルはまた、グルコース−6−リン酸、ピルビン酸、および解糖乳酸の最終産物を含む、解糖経路のいくつかの中間体における上昇をも示した(コントロールに対比して統計的に有意)(表16)。 このパターンは、乳酸の上昇を示さなかった肝臓および骨格筋で観察されたものとはわずかに異なるが、これらの差異は、心筋、骨格筋、および肝臓の間に存在する好ましい燃料源における差異ならびに心臓における代替の乳酸産生経路を考慮すれば、驚くべきことではない。まとめると、しかしながら、これらのデータは、HFDコントロールに対比する、抗miR−208a処置によるTHRAP1(MED13)誘発性のミトコンドリアのバイオゲネシスの上昇と関連する、代謝効率の改善にも関係し得る、心臓によって利用される主要な燃料源(脂質およびグルコース)の代謝における増加を裏付ける。 心グルコース代謝を肝臓と区別した他の生化学的な特色は、ホスホリラーゼ活性を介して産生され、グリコーゲン代謝物質を解糖経路に運ぶグリコーゲン分解産物グルコース−1−リン酸における有意な増加である(Salway、Metabolism at a glance.Third Edition ed.2004、Malden,MA:Blackwell Publishing.125;Stryer,L.、Biochemistry.Fourth Edition ed.1995、New York、NY:W.H.Freeman and Co.1064.)。これは、摂食状態において、グリコーゲン合成が、グリコーゲン分解にまさって、優先的に起こるであろうHFDにおいて期待されるものと対照的であり、HFDモデル心臓における、抗miRの独特の代謝の影響を示唆する。全体として、しかしながら、これらのデータは、HFDモデルの状況における、炭素処理の改善を示唆する、抗miR−208a効能と関連する、心燃料代謝における増加を示す。 両方とも、代謝効率の改善と一貫する、TCAサイクル中間体における差異を示した肝臓および骨格筋と同様に、抗miRにより処置した動物由来の心臓もまた、HFDコントロールに対比して、TCAサイクル中間体において、変化を示した。驚くほどのことではないが、他の組織に対比して、心燃料代謝において観察される差異は、肝臓または骨格筋において観察されたものに関して、心TCAサイクルの変化において観察された差異にまで及んだ(表17)。 クエン酸は、フマル酸のように、コントロールに対比して、抗miR処置動物由来の心臓組織において、有意に上昇した。トリカルボキシレートキャリヤによってミトコンドリアから搬出することができるクエン酸は、続いて、アセチル−およびマロニル−CoA中間体を介して脂肪酸合成前駆物質として使用することができる(Salway、Metabolism at a glance.Third Edition ed.2004、Malden,MA:Blackwell Publishing.125)。脂肪酸取込みは、抗miR−208a処置動物の心臓において上昇するように思われ、FA取込みにおける増加は、FA合成の必要性を補い得、クエン酸のようなFA前駆物質の蓄積がもたらされる。そのうえ、コハク酸のフマル酸への変換は、電子伝達系におけるFADH2の複合体II産生と結び付けられる。コントロールに対比する、抗miRにより処置した動物の心臓における、コハク酸における有意な減少(統計的に有意、p<0.05)およびフマル酸における調和した有意な増加(統計的に有意、p<0.05)は、より効率的な電子伝達および酸化的リン酸化、したがってミトコンドリア機能と相関する、この生化学物質のより効率的な利用を示す。脂肪酸酸化最終産物アセチルCoAおよび補酵素Aは、両方とも、表17において示されるように、コントロールと比較して、抗miR−208aにより処置した動物の心臓において増加し、これは、FA代謝およびミトコンドリア機能の増加と相関する。 M−10101によるmiR−208aの阻害が、THRAP1(MED13)、したがってTRシグナル伝達に対するmiR−208aの阻害効果を解放するとともに、酸化的リン酸化は、増加し、これは、本明細書において記載される、抗miR−208a関連性の変化と一貫する。電子伝達系の複合体IIの阻害は、活性酸素種(ROS)の増加およびオートファジー細胞死(autophagic cell death)と関連し、複合体IIの効率の改善が、抗miR−208aにより処置したHFD動物の心臓におけるレドックスバランスの改善に関係し得ることを示唆する(Chenら、(2007)J Cell Sci,120、4155−66)。実施例7:プラスマ分析は、抗miR−208が、燃料利用、脂質処理、およびミトコンドリア機能の増加を促すことを示す 高脂肪食(HFD)のみまたは抗miR−208a(M−10101)と組み合わせたHFDにより処置したマウス由来のプラスマについてのメタボロミック分析を、実施例4において記載されるように実行した。 プラスマは、血液コンパートメント内の内因性代謝および改変されたまたは宿主の全体にわたって起こるイベントから産生された代謝物質についての生化学的特色を提供する。供給源が複数である代謝物質の検出は、研究されている、定められた処置またはプロセスに関係する全身的なイベントを反映する、非常に有益なデータセットを提供する。プラスマのみにおいて検出された代謝物質の変化は、典型的に、特異的な組織または臓器系において起こっていることを正確には明らかにしないが、それらは、器官特異的な生化学的イベントに関して補足的な裏付けを提供することができる。 HFDモデルの抗miR処置から結果として生じる、FA代謝の増加についての初期のサインと一貫して、両方とも統計的に有意である(p<0.05)ヘプタン酸およびウンデカン酸ならびに両方とも有意性の傾向を示す(0.05<p<0.10)カプリル酸およびペラルゴン酸などのような、いくつかの中鎖脂肪酸(MCFA)は、未処置コントロールに対比して、抗miR−208a処置動物の血清において上昇した(表18)。 パルミトイルカルニチントランスフェラーゼI(CPT−I)を介しての、ミトコンドリアへのそれらの移行の促進するためのアシルカルニチンコンジュゲーションを典型的に必要とする長鎖脂肪酸(LCFA)と異なり、MCFAは、このコンジュゲーションステップを伴うことなく、ミトコンドリアに移動することができ、それらを、それらのLCFA対応物よりも容易に利用可能な燃料基質にする。プラスマMCFAの増加は、脂肪分解の最も初期のサインと相関すると考えられる。プラスマMCFAにおいて観察された変化は、おそらく、マウスHFDモデルにおける抗miR効能に関係する、FA可動化についての有益な生化学的傾向および代謝の増加を反映する。 特に高脂肪食物による、プラスマ胆汁酸(BA)の食後の上昇は、正常な体重の被験体において起こることが知られており、これは、複数の受容体のBA媒介性の活性化を通して、血糖コントロールおよびエネルギー代謝を改善することが示されている(Glicksmanら、(2010)Ann Clin Biochem.47,482−4)。この実施例において、HFDと関連するBAの変化を識別することは可能ではないが、HFDのみと比較した場合、1週間、HFDに抗miRを追加すると、検出されたすべての化学種について、プラスマ胆汁酸の一様の減少が引き起こされた(表19)。 BA種はすべて、グループ1(つまり抗miR−208a+HFD)において減少した。この結果は、HFDモデルにおける抗miR−208a特異的な効果に対して確信を与える。BAレベルにおける一様な減少は、栄養素のインプットの上昇を処理するための、薬剤を受けている動物の能力の増加(つまり、ミトコンドリアの代謝能力の増加)と相関し、それによって、系からFAを排除する手段としての、プラスマBAの上昇の必要性を減少させ得る。一方、上記に言及されるように、BAシグナル伝達は、血糖コントロールおよびエネルギー代謝を改善することが知られている(Glicksmanら、(2010)Ann Clin Biochem.47,482−4)。したがって、グルコース代謝の増加(肝臓、心臓、骨格筋)、肝臓グリコーゲン合成、心FA代謝の改善、および複数の組織におけるミトコンドリア機能の広範な改善に関して上記に言及される抗miR関連性の観察は、BAシグナル伝達についての必要性の減少を示し、初期のHFD表現型に関係する、損なわれた代謝の問題(または場合によっては、発症中の問題)を解決するであろう。 ミトコンドリア機能不全の特徴のうちの1つは、特に、FA基質の上昇が、FAを代謝的に効率的に処理するためのミトコンドリアの能力を圧倒する、栄養過多に直面した、FA酸化のアシルカルニチン中間体(FA−AC)における上昇である(Muoio and Newgard、(2008)Nat Rev Mol Cell Biol,9、193−205)。これまで提起された、いくつかの方面の証拠は、肝臓、骨格筋、および心臓におけるミトコンドリア機能の改善を示す(実施例4〜7)。プラスマFA−ACレベルは、HFDのみのものと比較した場合、HFD中に抗miR処置を受けている動物において減少し(表20)、HFDモデルにおけるミトコンドリア機能における薬剤関連性の改善をさらに裏付けた。 miR−208aは、THRAP1(MED13)をネガティブに調節し、可能性として、TR媒介性のミトコンドリアバイオゲネシスに対してネガティブな影響を有する。複数の組織のTCAサイクルのエネルギー変換における顕著な変化に加えた、プラスマFA−ACにおける減少の観察は、THRAP1(MED13)阻害の抗miR関連性の解放およびミトコンドリアバイオゲネシスにおける続く増加の概念を強く裏付け、これは、本明細書において記載される観察と一貫した、改善されたミトコンドリア機能の特色として現れるのであろう。 したがって、HFDの設定における、抗miR208a処置マウス由来のプラスマ内の生化学的改変は、燃料利用、脂質処理、およびミトコンドリア機能が増加していることを示唆する。これはまた、甲状腺ホルモン受容体シグナル伝達における、THRAP1(MED13)媒介性の増加とも一貫し得る。実施例8:抗miR−208は、レドックスホメオスタシスを促す グルタチオン代謝物質についてのメタボロミック分析は、実施例4において記載されるように、高脂肪食(HFD)のみまたは抗miR−208a(M−10101)と組み合わせたHFDにより処置したマウス由来の肝臓、骨格筋、および心臓について実行した。グルタチオンは、レドックスホメオスタシス、抗酸化防御、タンパク質フォールディング、および薬剤の解毒において重要な役割を果たし、還元グルタチオン(GSH)は、レドックスバランスに対して実質的な影響を課する、このトリペプチドの活性形態に相当する。グルタチオンのチオール基は、求電子体と反応して、GSH付加生成物を生成することができ、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST)は、毒素および薬剤代謝物質とGSHをコンジュゲートし、排泄のために、水溶性産物を形成する。 抗miRにより処置された動物由来の肝臓は、コントロールレベルに対比して、いくつかのグルタチオン代謝物質における上昇に加えて、有意に上昇したGSHレベルを示し、HFDのみに対比して、抗miR−208a処置による肝臓レドックスバランスの改善を示した(表21)。システイン−グルタチオン二硫化物は、包括的なメタボロミック分析において使用される酸化ストレスの一般的なバイオマーカーである。HFDのみに対する、薬剤誘発性のレドックス改善の考えと一貫して、肝臓システイン−グルタチオン二硫化物は、コントロールと比較した場合、抗miR処置で減少した。GSHレベルの上昇は、グルタチオン合成の増加を反映し得るが、グルタチオン生合成の上流の中間体は、抗miR処置によって、大部分、影響を与えられなかった(示さず)。この観察は、肝臓GSHレベルの上昇が、改変されたグルタチオン還元および/またはグルタチオン再利用と相関することを示唆する。 抗miR−208a処置とポジティブに相関した、グルタチオン代謝経路において観察されたある変化は、S−ラクトイルグルタチオンの上昇であった(HFDのみの1.88倍)。GSH再生は、トリオースリン酸中間体の分解経路を介してグルコース代謝に連結される。グルコース代謝の上流の中間体は、抗miR−208a処置動物の肝臓において上昇したが、グルコース代謝のトリオースリン酸中間体は、影響を与えられないように思われた。これは、TCAサイクルのエネルギー変換に向かう、グルコース由来のピルビン酸の効率的な利用に加えて、トリオースリン酸分解が、抗miR−208a処置により起こっているかもしれず、これは、S−ラクトイルグルタチオンからの、グルタチオンのグリオキシラーゼ(glyoxylase)媒介性の復元を介してのGSH再生に結びつくことを示唆するであろう。結果的に、グルコース代謝における抗miR媒介性の増加は、少なくとも部分的に、コントロールに対比して、抗miR−208aにより観察されたGSHにおける増加の一因となり得る。 上記の実施例5において記載されるように、骨格筋は、上流の中間体の上昇およびトリオースリン酸中間体において明らかな変化がないことを含めて、HFDのみに対比して、抗miR−208a+HFDの状況における肝臓において見出されたものに類似するパターンのグルコース代謝中間体を示した。驚くほどのことではないが、次いで、薬剤により処置された動物由来の骨格筋はまた、コントロールと比較した場合に、GSHにおける有意な増加をも示し(表22)、この増加は、S−ラクトイルグルタチオンにおける増加と相関した(HFDのみの1.67倍)。 酸化ストレスマーカーであるシステイン−グルタチオン二硫化物におけるわずかな減少を示した肝臓と異なり、抗miR−208a処置動物由来の骨格筋サンプルは、この生化学物質における変化を示さず、可能性として、HFDモデルに関係する、レドックスバランスの組織特異的な変化における差異を示した。これらのデータは、肝臓および骨格筋におけるTCAサイクルのエネルギー変換の増強およびGSH再利用の両方と調和する、グルコース代謝に対する抗miR関連性の効果をさらに裏付け、すべて、食餌誘発性の代謝の変化の初期段階における抗miR−208a効能と一貫した。 肝臓および骨格筋と異なり、心臓は、HFDコントロールに対比して、抗miR−208a処置により、GSHレベルにおいてわずかな増加を示し、S−ラクトイルグルタチオンは、検出されなかった(表23)。 上記の実施例6において記載されるように、心臓代謝は、肝臓または骨格筋における代謝と異なり、FA取込み/代謝、グルコース代謝、乳酸産生、およびTCAサイクルのエネルギー変換における差異が、観察された。S−ラクトイルグルタチオン/グルタチオンのグリオキシラーゼ再生が、トリオースリン酸分解に依存し、これは、肝臓および骨格筋において観察されたので、この経路は、心臓において観察されたGSHの上昇の一因となり得ない。しかしながら、心乳酸における顕著な増加およびピルビン酸における同時の減少もまた、上記に言及され、これは、リンゴ酸/オキサロ酢酸運搬体(shuttle)における増加と関連するように思われ、未処置HFDコントロールに対比して、薬剤により処置された動物の心臓における、改善された細胞質ゾルレドックスステータスについてのメカニズムの可能性をもたらす。 心筋は、リンゴ酸−オキサロ酢酸運搬体を含む、他の組織とそれを区別する代謝経路を取り(Strongら、(1979)Eur J Biochem,102、625−36)、リンゴ酸は、ミトコンドリアから細胞質ゾルに搬出され、オキサロ酢酸へのその変換は、ピルビン酸の乳酸への変換およびNAD+/NADHのサイクリングに結び付けられる。この運搬体は、リンゴ酸−アスパラギン酸運搬体と関連した細胞質ゾル酸化に可能性として対立することによる、心筋細胞における、レドックスホメオスタシスの調節に対する、可能性のあるメカニズムとして提唱されている(Strongら)。抗miR−208a処置を介してHFDモデルにおいてレドックスバランスを維持するための、この可能性のあるメカニズムは、下記に言及される、処置および未処置サンプルの間でグルタチオン代謝において観察された差異ならびに抗miR−208a処置により起こる還元グルタチオン(GSH)の再構成について、心臓、肝臓、および骨格筋の間で観察された機構的な差異について、少なくとも部分的に要因となり得る。 実施例4〜7において記載されるような代謝物質の分析は、1週間のHFDのコントロールに比べて、1週間、HFDと組み合わせた抗miR処置が、限られた数の有意な生化学的変化をもたらし、抗miR投与による、ある程度の有利な代謝の差異を示し得ることを示した。生化学的変化の組織特異的パターンは、HFDモデルにおける抗miR処置の主要な結果としての、肝臓および筋肉の解糖における上昇ならびに心臓における脂肪酸取込みおよび代謝の上昇に関係する、ミトコンドリア機能の改善を明らかにした。これらの結果はまた、改善されたミトコンドリア機能を示唆するプラスマバイオマーカーにおける差異によっても裏付けされた。そのうえ、抗miR−208a処置に応じて、肝臓、筋肉、および心臓におけるレドックスホメオスタシスの改善または保護は、肝臓グリコーゲン合成の増加と同様に、明らかであった。有意な変化は、後腹膜脂肪において観察されず、これは、C57Bl/6マウスモデルにおける、短時間のHFDおよび/またはHFD+抗miR−208a処置の組み合わせと一貫している。実施例9:抗miR−208は、ジペプチド蓄積を促す ジペプチドについてのメタボロミック分析は、実施例4において記載されるように、高脂肪食(HFD)のみまたは抗miR−208a(M−10101)と組み合わせたHFDにより処置したマウス由来の骨格筋について実行した。アミノ酸ジペプチドは、タンパク質合成、したがって筋肉成長のための基本単位として使用することができる。抗miRによるHFD動物の処置は、いくつかの骨格筋ジペプチドレベルにおいて、増加を引き起こした(20個のうち15個の増加が同定され、20個のうちの5つが統計的有意性、p<0.05を有し、他の3つが有意性の傾向がある)(表24)。 骨格筋ジペプチドにおける広範な増加は、おそらく、骨格筋成長の阻害を示し、ジペプチド基本単位の蓄積をもたらす。したがって、抗miR−208aは、骨格筋タンパク質合成を改変し得る。代謝障害を処置または予防する必要がある被験体において、代謝障害を処置または予防する方法であって、該被験体に対して、miR−208aおよび/またはmiR−208bの阻害剤を投与することを含み、miR−208aおよび/またはmiR−208bの発現または活性が、投与後に、該被験体の細胞において低下する、方法。前記代謝障害が、メタボリックシンドローム、肥満症、真性糖尿病、糖尿病性腎症、インスリン抵抗性、アテローム性動脈硬化症、脂質蓄積障害、糖原病、中鎖アシル補酵素Aデヒドロゲナーゼ欠損症、高コレステロール、または異常なグルコース取込みおよび/もしくは利用である、請求項1に記載の方法。前記脂質蓄積障害が、ニーマン−ピック病、ゴーシェ病、ファーバー病、ファブリー病、ウォルマン病、およびコレステロールエステル貯蔵病からなる群から選択される、請求項2に記載の方法。miR−208aおよび/またはmiR−208bの前記阻害剤が、アンチセンスオリゴヌクレオチドである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。前記アンチセンスオリゴヌクレオチドが、miR−208aおよび/またはmiR−208bの成熟配列に対して、少なくとも部分的に相補的である配列を含む、請求項4に記載の方法。前記アンチセンスオリゴヌクレオチドが、配列番号9または配列番号11に対して、少なくとも部分的に相補的である配列を含む、請求項5に記載の方法。前記アンチセンスオリゴヌクレオチドが、少なくとも1つの糖および/またはバックボーンの修飾を含む、請求項4〜6のいずれか一項に記載の方法。前記糖修飾が、ロックド核酸である、請求項7に記載の方法。前記糖修飾が、2’O−アルキル修飾である、請求項7に記載の方法。前記糖修飾が、2’−ハロ修飾である、請求項7に記載の方法。前記2’−ハロ修飾が、2’−フルオロ修飾である、請求項10に記載の方法。前記バックボーン修飾が、ホスホロチオエート連結である、請求項7に記載の方法。前記アンチセンスオリゴヌクレオチドが、長さが約6〜約22ヌクレオチドである、請求項4〜12のいずれか一項に記載の方法。前記アンチセンスオリゴヌクレオチドが、miR−208aまたはmiR−208bのヌクレオチド配列に対して、完全に相補的である配列を有する、請求項4〜13のいずれか一項に記載の方法。前記アンチセンスオリゴヌクレオチドが、配列番号3または配列番号4の配列を有する、請求項4〜14のいずれか一項に記載の方法。前記アンチセンスオリゴヌクレオチドが、化合物10101、10673、10674、10677、10679、10707、10680、10681、または10683の構造を有する、請求項15に記載の方法。前記アンチセンスオリゴヌクレオチドが、化合物10101、10673、10681、または10683の構造を有する、請求項15に記載の方法。前記被験体が、ヒトである、請求項1〜17のいずれか一項に記載の方法。前記阻害剤が、前記被験体に対して、皮内、皮下、筋肉内、腹腔内、または静脈内の投与経路によって投与される、請求項1〜19のいずれか一項に記載の方法。細胞における脂肪酸またはグルコースの代謝を調節する方法であって、前記細胞を、miR−208aおよび/またはmiR−208bの発現または活性の修飾物質と接触させることを含む、方法。前記修飾物質が、miR−208aおよび/またはmiR−208bの発現または活性の阻害剤である、請求項20に記載の方法。脂肪酸またはグルコースの代謝が、前記miR−208aおよび/またはmiR−208bの阻害剤との接触後に、前記阻害剤に対して曝露されない細胞と比較して、前記細胞において増加する、請求項21に記載の方法。miR−208aおよび/またはmiR−208bの前記阻害剤が、アンチセンスオリゴヌクレオチドである、請求項21に記載の方法。前記アンチセンスオリゴヌクレオチドが、miR−208aおよび/またはmiR−208bの成熟配列に対して、少なくとも部分的に相補的である配列を含む、請求項23に記載の方法。前記アンチセンスオリゴヌクレオチドが、少なくとも1つの糖および/またはバックボーンの修飾を含む、請求項24に記載の方法。前記糖修飾が、ロックド核酸である、請求項25に記載の方法。前記糖修飾が、2’O−アルキル修飾である、請求項25に記載の方法。前記糖修飾が、2’−ハロ修飾である、請求項25に記載の方法。前記2’−ハロ修飾が、2’−フルオロ修飾である、請求項28に記載の方法。前記バックボーン修飾が、ホスホロチオエート連結である、請求項25に記載の方法。前記アンチセンスオリゴヌクレオチドが、長さが約6〜約22ヌクレオチドである、請求項23〜30のいずれか一項に記載の方法。前記アンチセンスオリゴヌクレオチドが、miR−208aまたはmiR−208bのヌクレオチド配列に対して、完全に相補的である配列を有する、請求項23〜31のいずれか一項に記載の方法。前記アンチセンスオリゴヌクレオチドが、配列番号3または配列番号4の配列を有する、請求項23〜32のいずれか一項に記載の方法。前記アンチセンスオリゴヌクレオチドが、化合物10101、10673、10674、10677、10679、10707、10680、10681、または10683の構造を有する、請求項33に記載の方法。前記アンチセンスオリゴヌクレオチドが、化合物10101、10673、10681、または10683の構造を有する、請求項34に記載の方法。前記修飾物質が、miR−208aおよび/またはmiR−208bの発現または活性のアゴニストである、請求項20に記載の方法。脂肪酸またはグルコースの代謝が、前記miR−208aおよび/またはmiR−208bのアゴニストとの接触後に、該アゴニストに対して曝露されない細胞と比較して、前記細胞において減少する、請求項36に記載の方法。前記アゴニストが、miR−208aおよび/またはmiR−208bの成熟配列を含むポリヌクレオチドである、請求項36または37に記載の方法。前記細胞が、心筋細胞、骨格筋細胞、前脂肪細胞、脂肪細胞、または肝細胞である、請求項20〜38のいずれか一項に記載の方法。前記細胞が、インビトロまたはインビボにおけるものである、請求項20〜38のいずれか一項に記載の方法。ミトコンドリア機能またはレドックスホメオスタシスを増強する必要がある被験体において、ミトコンドリア機能またはレドックスホメオスタシスを増強する方法であって、該被験体に対して、miR−208aまたはmiR−208bの配列に対して少なくとも部分的に相補的である配列を含むアンチセンスオリゴヌクレオチドを投与することを含み、miR−208aまたはmiR−208bの発現または活性が、該アンチセンスオリゴヌクレオチドの投与後に、該被験体の細胞において低下する、方法。前記被験体が、筋力低下、虚弱、サルコペニア、筋ジストロフィー、筋萎縮症、筋萎縮性側索硬化症、またはミトコンドリア性筋障害と診断されているか、それに罹患しているか、またはその危険性がある、請求項41に記載の方法。前記ミトコンドリア性筋障害が、ミトコンドリア脳筋症、乳酸アシドーシス、および脳卒中様症候群(MELAS)、赤色ぼろ線維を伴うミオクローヌスてんかん(MERRF)、カーンズ−セイヤー症候群(KSS)、または慢性進行性外眼筋麻痺(CPEO)である、請求項42に記載の方法。前記アンチセンスオリゴヌクレオチドが、配列番号9または配列番号11に対して、少なくとも部分的に相補的である配列を含む、請求項41〜43のいずれか一項に記載の方法。前記アンチセンスオリゴヌクレオチドが、配列番号3または配列番号4の配列を含む、請求項41〜44のいずれか一項に記載の方法。前記アンチセンスオリゴヌクレオチドが、化合物10101、10673、10674、10677、10679、10707、10680、10681、または10683の構造を有する、請求項45に記載の方法。前記アンチセンスオリゴヌクレオチドが、化合物10101、10673、10681、または10683の構造を有する、請求項46に記載の方法。前記アンチセンスオリゴヌクレオチドが、少なくとも1つの糖および/またはバックボーンの修飾を含む、請求項41〜45のいずれか一項に記載の方法。前記糖修飾が、ロックド核酸である、請求項48に記載の方法。前記糖修飾が、2’O−アルキル修飾である、請求項48に記載の方法。前記糖修飾が、2’−ハロ修飾である、請求項48に記載の方法。前記2’−ハロ修飾が、2’−フルオロ修飾である、請求項51に記載の方法。前記バックボーン修飾が、ホスホロチオエート連結である、請求項48に記載の方法。前記アンチセンスオリゴヌクレオチドが、長さが約6〜約22ヌクレオチドである、請求項41〜53に記載の方法。前記アンチセンスオリゴヌクレオチドが、長さが約8〜約16ヌクレオチドである、請求項54に記載の方法。前記被験体が、ヒトである、請求項41〜55のいずれか一項に記載の方法。前記アンチセンスオリゴヌクレオチドが、前記被験体に対して、皮内、皮下、筋肉内、腹腔内、または静脈内の投与経路によって投与される、請求項41〜56のいずれか一項に記載の方法。筋萎縮症またはサルコペニアを処置する必要がある被験体において、筋萎縮症またはサルコペニアを処置する方法であって、該被験体に対して、miR−208aまたはmiR−208bの配列に対して少なくとも部分的に相補的である配列を含むアンチセンスオリゴヌクレオチドを投与することを含む、方法。前記アンチセンスオリゴヌクレオチドが、配列番号9または配列番号11に対して、少なくとも部分的に相補的である配列を含む、請求項58に記載の方法。前記アンチセンスオリゴヌクレオチドが、配列番号3または配列番号4の配列を含む、請求項58に記載の方法。前記アンチセンスオリゴヌクレオチドが、化合物10101、10673、10674、10677、10679、10707、10680、10681、または10683の構造を有する、請求項60に記載の方法。前記アンチセンスオリゴヌクレオチドが、化合物10101、10673、10681、または10683の構造を有する、請求項61に記載の方法。前記アンチセンスオリゴヌクレオチドが、少なくとも1つの糖および/またはバックボーンの修飾を含む、請求項58〜60のいずれか一項に記載の方法。前記糖修飾が、ロックド核酸である、請求項63に記載の方法。前記糖修飾が、2’O−アルキル修飾である、請求項63に記載の方法。前記糖修飾が、2’−ハロ修飾である、請求項63に記載の方法。前記2’−ハロ修飾が、2’−フルオロ修飾である、請求項66に記載の方法。前記バックボーン修飾が、ホスホロチオエート連結である、請求項63に記載の方法。前記アンチセンスオリゴヌクレオチドが、長さが約6〜約22ヌクレオチドである、請求項58〜68のいずれか一項に記載の方法。前記アンチセンスオリゴヌクレオチドが、長さが約8〜約16ヌクレオチドである、請求項69に記載の方法。前記被験体が、ヒトである、請求項58〜70のいずれか一項に記載の方法。前記被験体が、高齢者である、請求項71に記載の方法。前記アンチセンスオリゴヌクレオチドが、前記被験体に対して、皮内、皮下、筋肉内、腹腔内、または静脈内の投与経路によって投与される、請求項58〜72のいずれか一項に記載の方法。 本開示は、細胞を、miR−208aおよび/またはmiR−208bの活性または発現の修飾物質と接触させることによって、細胞における脂肪酸またはグルコースの代謝を調節する方法を提供する。本開示はまた、被験体に対して、miR−208aおよび/またはmiR−208bの活性または発現の阻害剤を投与することによって、被験体において、肥満症、糖尿病、またはメタボリックシンドロームなどのような代謝障害を処置または予防する方法を提供する。被験体に対して、miR−208aおよび/またはmiR−208bの活性または発現の阻害剤を投与することによって、被験体におけるミトコンドリア機能および/またはレドックスホメオスタシスを増強または改善する方法もまた、提供される。 配列表