タイトル: | 公表特許公報(A)_生体液中の乳酸の測定 |
出願番号: | 2014528086 |
年次: | 2014 |
IPC分類: | G01N 21/78,G01N 27/02 |
ブラマンティ エミーリア ズッキーニ ファブリツィオ オノール マッシモ ディ ムーロ ヴィンチェンツォ JP 2014528086 公表特許公報(A) 20141023 2014532347 20120925 生体液中の乳酸の測定 パワー フィット エッセ.エッレ.エッレ. 514076939 特許業務法人サンクレスト国際特許事務所 110000280 ブラマンティ エミーリア ズッキーニ ファブリツィオ オノール マッシモ ディ ムーロ ヴィンチェンツォ IT PI2011A000104 20110928 IT PI2012A000012 20120125 G01N 21/78 20060101AFI20140926BHJP G01N 27/02 20060101ALI20140926BHJP JPG01N21/78 ZG01N27/02 Z AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC EP2012068867 20120925 WO2013045443 20130404 29 20140527 2G054 2G060 2G054AA07 2G054BB10 2G054BB20 2G054CA21 2G054CE02 2G054EA04 2G054GA03 2G054GB01 2G054GB02 2G060AA07 2G060AE16 2G060AF06発明の範囲 本発明は、乳酸(または乳酸塩)の臨床分析キットおよび方法、詳しくは、選択的酸化剤の酸化還元反応に基づいて生体液中の乳酸(または乳酸塩)の測定方法に関する。具体的には、酸化還元反応は、生体液−酸化剤の混合物にUV光を照射することによって活性化される。技術注記 乳酸(または乳酸塩)は、乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)酵素によってピルビン酸塩から生じる嫌気性解糖(anaerobic glicolyisis)の生成物である。前記乳酸は、ヒトおよび動物の血液および生体液中に見ることができる。 健常成人男性は、通常、1日に約120gの乳酸を産生する。これらのうち、40g(33%)は、専ら嫌気性代謝を特徴とする組織(網膜および赤血球)によって産生される。残りの80g(67%)は、実際の酸素利用率に基づいて、その他の組織(ほとんどすべての筋肉)によって産生される。肝臓では、乳酸は、グルコースに再変換される(コリ回路)。心臓は、乳酸を代謝してエネルギーを生成することができる。 乳酸塩/ピルビン酸塩のモル比(L/P)は、細胞の嫌気性/好気性代謝の信頼できるマーカーである。したがって、乳酸塩濃度レベルの決定は、組織の酸素需要とその消費との間のバランスを評価するための良いアプローチであり、動物および細胞の生理学研究に有用である。 乳酸の増加(乳酸アシドーシス)は、2つの条件で起こり得る:a)低酸素症、すなわち酸素欠乏(A型乳酸アシドーシス、速い);b)高率の嫌気性解糖(B型乳酸アシドーシス、遅い)。 A型乳酸アシドーシスでは、好気性経路、すなわち、ピルビン酸塩から二酸化炭素と水とへの酸化代謝経路がいくつかの理由で遮断される。これは、先天性ミトコンドリア呼吸鎖異常、心臓血管疾患(虚血、低酸素血症、貧血)およびその他の疾患で起こる。特に、酸素欠乏(組織低酸素症)は最も一般的なものであり、呼吸器障害(低PO2)、循環障害(O2の送達不良)、およびヘモグロビン障害(種々の理由による低O2運搬能力)などの乳酸アシドーシスの難治性の原因であることが多い。 代わって、B型乳酸アシドーシスでは、嫌気性解糖経路(anaerobic glycolitic pathway)が高速で進行して低ATP濃度レベルを引き起こし、生成されたピルビン酸が蓄積し、LDHによって乳酸に還元される。これは、激しい運動中、および酸化的リン酸化(oxidative phosphorilation)を脱共役するすべての条件で起こり、乳酸塩を蓄積させる。例えば、これは、ATPが脂肪代謝から生成されるピルビン酸デヒドロゲナーゼ酵素欠損もしくはビタミンB1欠乏の場合、または肝疾患もしくは腎疾患または遺伝的もしくは薬物誘発性の糖新生異常により乳酸塩からグルコースへの変換が遅い場合に起こる。代謝性アシドーシスは、化学薬剤への曝露により薬理学的処置中にも発生し得るし、癌細胞は、好気条件下においてさえ正常細胞よりも多くの乳酸塩を産生するので、腫瘍患者でも発生し得る。 また、乳酸塩のモニタリングは、糖尿病の管理およびリハビリテーションに重要である。 筋肉では、運動中に、グルコースおよびグリコーゲンに由来するピルビン酸塩が乳酸塩に還元され、これが再酸化され、安静時にグルコースに部分的に再変換される(コリ回路)。血中乳酸塩濃度は、通常、安静時には1〜2mmol/Lであるが、激しい運動中には筋肉細胞が嫌気性代謝に切り替わるので、20mmol/L超に上昇し得る。 これが増加して嫌気性由来の補助エネルギーを提供したというのが乳酸産生の古典的な説明であった。しかしながら、現在のところ、エネルギー源としての乳酸塩形成の役割はあまり重要ではないというのが一般的な見解である。それに代わって、乳酸産生の増加は、代謝適応であり、好気性ATP産生を活性化するのに主に役立つと示唆されている[7]。さらに、乳酸は、GHおよびテストステロンなどの同化ホルモンの分泌に対する強い刺激である。前記理由により、短い休憩時間と組み合わせた高強度のトレーニングは、筋肉量を増加させるのに寄与する。しかしながら、一定レベルの乳酸塩濃度に達すると枯渇が起こり、運動能力が急速に低下する。したがって、スポーツ医学では、それは、運動選手の最大パフォーマンスレベルをモニタリングするのに用いられる。 これに基づいて、簡便、安価、高速、精密かつ正確な方法を用いて、生体液(汗、血清、血漿、唾液、尿、髄液、羊水・・・)中の乳酸塩の量を決定することが重要である。 乳酸塩およびピルビン酸塩の決定は、通常、血漿または尿中で実施され、酵素反応、特にLDHに基づくものである。前記方法は、吸収分光法または蛍光分光法を用いてNADHを決定することに基づくものである。酵素的方法の欠点は、pH>8で行なう必要性、ならびに酵素およびNADH補因子の不安定性の両方である。 代替的には、乳酸塩は、ガスクロマトグラフィー(GC)、液体クロマトグラフィー質量分析検出(LC−MS)、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によって決定される。しかしながら、GCおよびHPLC機器のコストは、典型的には高く、測定が長い。 血液分析は侵襲的な行為であり、血液のサンプリングは、厳格な衛生規則および感染リスクを考慮して、有資格者の医療スタッフによって実施されなければならない。 前記理由、ならびに特に、日々のパラメータを管理しなければならない患者、血液採取が困難な人々(血友病患者、新生児、高齢者)、身体的および生化学的な状態を推定しトレーニング方法を評価しようとする運動選手にとっての身体的および精神的な負担を避けるという理由の両方により、血液以外の媒体中の代謝産物の測定は、ますます重要になっている。 汗を分析試料として用いることは、およそ70年代に遡る。汗中に存在する代謝産物の分析は、安全かつ簡便である。嚢胞性線維症の診断では、電解質濃度の汗分析は、依然として研究の「ゴールドスタンダード」である。 汗分析の利点は、試料の採取が容易であること、感染リスクがないこと、ならびに患者および運動選手に対するストレスをほとんど伴わずにサンプリングを頻繁に繰り返すことができることである。何人かの著者は、汗および血液中の乳酸塩濃度間の良好な相関関係を示した。 現在の技術水準によれば、汗中の乳酸塩の決定は、酵素アッセイ、アンペロメトリックバイオセンサーおよび電気化学発光バイオセンサー(ECL)に基づくものである。 米国再発行特許発明第32016号明細書には、乳酸オキシダーゼ(LO)酵素を用いる高コストな侵襲的方法を用いて、血液中の乳酸塩を決定する従来技術が提案されている。LOは、乳酸塩からピルビン酸塩と過酸化水素(H2O2)とへの酸化を触媒する。乳酸の量は、ペルオキシダーゼによって触媒される副反応および比色分析を用いて検出されたH2O2の生成量に基づいて決定される。米国特許第3573171号明細書では、乳酸塩の決定は、LDHおよびグルタミン酸ピルビン酸トランスアミナーゼ、補酵素NAD+、酵素安定化剤ならびにピルビン酸イオン捕捉剤によって実施されている。 米国特許第4254222号明細書には、テトラゾリウム塩、ピリジンヌクレオチド、電子運搬体およびアッセイ(乳酸およびβヒドロキシ酪酸)で決定される酵素に特異的なデヒドロゲナーゼ酵素を用いることが記載されている。米国特許第5759796号明細書には、LO、LDHおよび西洋ワサビペルオキシダーゼを用いて、食品化学における関心対象の有機物中の乳酸を決定する方法であって、酸素選択性アンペロメトリック電極を用いて、乳酸の酸化中に生成される酸素の濃度を測定する方法が記載されている。米国特許第4467811号明細書では、LO酵素によって乳酸から生成されたH2O2のポーラログラフィーを用いて乳酸を決定しているが、米国特許第5757002号明細書では、ケモメトリック法と併用された赤外分光法を用いて乳酸が決定されている。 米国特許第7319018号明細書には、参照電極と作用電極とを含む乳酸塩用のバイオセンサーストリップが記載されている。2つの電極は、電気的に絶縁された支持基体上に配置されている。作用電極は、イモビライザLOと電子伝達体とで修飾された無機グラファイトで構成されている。グラファイト層は、作用電極の銀層上に配置されている。参照電極は、塩化銀層を参照電極の銀層上に配置することによって構成されている。米国特許出願公開第2009/0047177号明細書では、測光を用いて、生体液中の乳酸塩が測定されている。 特開2007127422号公報には、成分採取部を有する吸収パッチ上に試験材料を採取し、採取された試験材料を酵素分析試薬と反応させることによって、皮膚表面上に存在する乳酸などの成分を測定するための方法が提供されている。試薬は、乳酸デヒドロゲナーゼ、ジアホラーゼ、ニコチンアミド−アデニン−ジヌクレオチド酸化剤および発色試薬を含む。反射光測定装置を用いて、発色現像によって乳酸の量が測定されている。 米国特許出願公開第2004141960号明細書には、酵素補因子NADを含むシグナル生成溶液の反応によって生成された乳酸および/または乳酸塩を決定することによって、患者における齲蝕リスクを決定する方法が開示されている。 中国特許出願公開第101639446号明細書には、化学発光法を用いることによって、in vitroで血液中の乳酸を検出するための方法が開示されている。 これらの方法は、すべて、非常に高価な酵素試薬および複雑な実験機器を必要とする。いくつかの方法および機器は、熟練の人材を必要とする。したがって、それらの使用は、高度専門臨床検査室に限定されている。これらの方法は、運動選手のトレーニングをモニタリングするための乳酸決定に、または生体液中の乳酸塩の簡便で、かつ低コストでの在宅モニタリングには適用されていない。 本発明は、乳酸/乳酸塩濃度を簡便に測定するための方法を提供し、非医療スタッフが健康管理を容易に実施するのを有効に可能にするための非侵襲的手段を提供する。 本発明の技術的特徴は、前述の目的にしたがって、以下に報告する特許請求の範囲の内容中に明らかに見出される。発明の目的 本目標は、生体試料の提供、乳酸または乳酸塩と選択的に反応することができる選択された量の酸化剤の提供、前記生体液と前記酸化剤との混合、前記生体液と前記酸化剤との前記混合物へのUV光の照射、ならびに前記酸化剤の還元種を決定することによる前記生体液中に含まれる乳酸の量の決定を含む、生体液中の乳酸または乳酸塩の含有量の決定方法によって達成される。 前記生体液は、容器または支持体の内部で利用可能であり得、前記酸化剤は、前記容器または支持体内に入れられる。 同様に、前記生体液を紙材料もしくはポリマー材料または天然組織もしくは合成組織上に吸着させることができ、前記酸化剤を前記紙材料もしくはポリマー材料または天然組織もしくは合成組織に含浸させ、ならびに前記量の酸化剤を、紙材料もしくはポリマー材料または天然組織もしくは合成組織またはその他の使い捨て支持体に物理的に吸着もしくは担持させるか、または化学的に結合させることができ、前記生体液試料が前記支持体上に載置されうる。 前記生体液は、汗、血清、血漿、唾液、尿、脳脊髄液または羊水であり得る。 本発明の第2の実施形態は、本発明の方法による生体液中の乳酸または乳酸塩の含有量を決定することを可能にする簡便なコンポーネントキットを作ることを目的とする。 本発明のこれらのおよびその他の特徴は、請求項1〜21に記載されており、以下に説明される。 本発明が十分に理解され得るように、単なる例証として添付の線図を参照して本発明をこれから説明する。図1は、UVランプを用いて照射する前(B)および後(C)において、乳酸添加あり(B、C)または乳酸添加なし(A)の試薬溶液のUV/可視スペクトルを示す。図2は、b)タイプのUVランプ(図6を参照のこと)を用いて60秒間照射した後の、0.3mM乳酸と試薬溶液との間の反応の動態(反応時間に対する512nmの吸光度)を示す。図3は、試薬溶液と反応させ、UV照射した後に、漸増濃度の乳酸を含む溶液の512nmの吸光度値をプロットすることによって得られた検量線を示す。図4は、本発明の一実施形態による電気化学的検出器の線図を示す。図5は、試薬溶液と反応させ、UV照射した後に、漸増濃度の乳酸を含む溶液の電位値(mV)の差をプロットすることによって得られた検量線を示す。乳酸塩濃度は、1〜150mM(図5A)および0.1〜5.0mM(図5B)である。図6は、a)LED370E、b)ネイルゲル硬化用のUVランプ、c)高圧Hgランプ、d)低圧Hgランプ、e)USBランプの発光スペクトルを示す。発明の詳細な説明 溶液中のクエン酸および乳酸などのカルボン酸は、Fe3+などの酸化剤を含む溶液と混合した場合、光に曝露すると穏やかに酸化される傾向にある。本発明によれば、酸化の不可逆反応は、紫外線(UV)照射で触媒される。光化学過程は、Fe3+のFe2+への還元、二酸化炭素の発生、および酸化生成物の形成からなる。乳酸の場合、反応は、以下のとおりである: 本発明の第1の好ましい実施形態によれば、本方法は、生成されたFe2+の検出系として化合物1,10−フェナントロリン:を用いて乳酸を決定するために、本タイプの反応を用いる。 Fe2+と1,10−フェナントロリンとの反応により赤橙色の錯体が生じ、これにより、Fe2+−1,10−フェナントロリン錯体の最大吸収波長である波長範囲480〜525nm、好ましくは512nmまでの単色光線の吸収を利用して分光光度測定することが可能になる。前記吸収は、錯体濃度に正比例するので、キャリブレーションテーブルを用いることにより、生体液中の乳酸塩濃度に正比例する。 1,10−フェナントロリンの他に、Fe(II)を錯化して簡便かつ安価な方法でFe(II)の決定を可能にし得るその他の物質は、以下のとおりである: ヘキサシアノ鉄(III)またはフェリシアニド[(Fe(III)(CN)6]3−(黄色)は、Fe(II)と反応して、フェリシアン化第一鉄Fe3[(Fe(III)(CN)6]2(青色)を生じ、過剰なフェリシアニドの存在下では、緑色の溶液を生じる; α’−ジピリジル[I]は、525nmで吸収する赤色の可溶性錯体を形成する。 ジメチルグリオキシム[II]は、Fe(II)のアンモニア溶液と反応して、赤色の可溶性錯体を形成する。ニッケルは、この試みに干渉して、赤色の不溶性錯体を形成する。 本発明において記載される試薬組成物、ならびに乳酸および乳酸塩の検出方法は、従来の液体アッセイに用いることができる。すべての試薬を粉末形態で供給し、使用直前に水で再構成してもよい。本タイプの試薬組成物は、明らかに本発明に含まれる。 本発明において記載される適切な量の全アッセイ成分は、当然のことながら、乳酸または乳酸塩の定性的または半定量的アッセイをもたらすために、異なる性質の吸着材料マトリックス中に埋め込んでもよい。乳酸塩または乳酸の分析に適切な典型的な材料は、例えばポリマー、組織であり、その他の材料は、下記特許:米国特許第3092465号明細書、米国特許第3418099号明細書、米国特許第3418083号明細書、米国特許第2893843号明細書、米国特許第2893844号明細書、米国特許第2912309号明細書、米国特許第3008879号明細書、米国特許第3802842号明細書、米国特許第3798064号明細書、米国特許第3298739号明細書、米国特許第3915647号明細書、米国特許第3917453号明細書、米国特許第3933594号明細書、米国特許第3936357号明細書、米国特許第7476202B2号明細書、およびこれらの中で引用されているその他のものに記載されている。さらに、本発明において記載される試薬組成物および方法は、検体の決定が、多層要素、例えば米国特許第3992158号明細書、米国特許第7871568号明細書、およびこれらの中で引用されているその他のものに記載されているもので行われる場合に特に有用である。 本発明において記載される方法は、様々な分析手順および機器設定を用いて、生体液(汗、血清、血漿、髄液、尿、唾液、羊水など)中の乳酸または乳酸塩を決定するのに用いることができる:a)Fe(III)/1,10−フェナントロリン混合物を前記のものなどの公知の多層材料上に含浸させる。この場合、一滴の分析対象の溶液を、一滴の試薬と共にプレートウェル内に載置するか、または規定濃度の試薬を予め含浸させたろ紙またはその他の材料上に載置する。UV光を照射した後にのみ、乳酸塩によるFe(III)からFe(II)への還元、1,10−フェナントロリンとのFe(II)の錯化のために、オレンジ色の染みが形成される;b)Fe(III)/1,10−フェナントロリン混合物を、例えば、汗を予め採取された吸着材料上に添加するか、または汗採取用のその他の装置内に添加し、UV光を照射する;c)適切な濃度のFe(III)/1,10−フェナントロリン溶液およびUV光を用いた分光光度キュベットまたはELISAプレート;d)フローインジェクションシステムを用いたオンライン反応;e)Fe(III)/1,10−フェナントロリン混合物およびUV照射によるオンラインポストカラム誘導体化にカップリングされた液体クロマトグラフィー分析(HPLC)。 有利には、試薬の設定方法のこれらの好ましい実施形態は、長年にわたって安定な低コストの試薬を用いて乳酸を決定することを可能にする。 例えば、1,10−フェナントロリンのコストは、4.54ユーロ/gである。したがって、試薬(1,10−フェナントロリンおよびFe(III)溶液)10g/lのコストは、約0.002ユーロ/試験単位である。 酵素試薬のコストは、桁違いに高く、それらの安定性は6〜12ヶ月に限定される。 本発明者らは、以下にいくつかの実施例を報告するが、これらは、本発明の範囲に含まれる組成物の全可能性を網羅することを意図するものではない。 本発明者らは、乳酸−Fe(III)反応で5つのランプを試験した:a)低コストのLED370E Ultra Bright Deep Violet LED(ThorLab,Germany);b)ネイルゲル硬化用のUVランプ;c)高圧Hgランプ;d)低圧Hgランプ。e)USBランプ 図6は、a)低コストのLED370E Ultra Bright Deep Violet LED(ThorLab,Germany)(鎖線);b)ネイルゲル硬化用のUVランプ(太実線);c)高圧Hgランプ(短鎖線);d)低圧Hgランプ(細実線);e)USBランプ(二点鎖線)の発光スペクトルを示す。 表1は、ブランク測定溶液に対する3mM乳酸塩のシグナル変化として表した結果をまとめたものである(ΔはmV単位)。 最も良い結果は、高圧ランプを用いて、およびLED370Eを用いて得られた。後者の場合、焦点照射領域が狭く、1mLの試料を撹拌することによって均質化する必要性があるので、照射時間をより長くすると(60秒間に代えて120秒間)、良好な結果が得られた。この明らかな欠点は、試料の小滴を適切な装置内で照射しなければならない場合には利点である。 400〜700nmの範囲(可視)の発光スペクトルを有するUSBランプは、いかなる活性化能も示さなかった。したがって、乳酸塩/Fe(III)反応を活性化するのに最良の照射波長は、300〜400nmの範囲内である。実施例番号1.比色/分光光度分析を用いるキュベット中での試験:ヒト汗中の乳酸塩の分析。A)検量線用の標準溶液および試薬の調製。 分光光度/比色アッセイには、下記溶液が必要である:a)15mg/ml(15,000ppm、または83.3mM)1,10−フェナントロリンの標準溶液。前記溶液は、75mgの粉末を1mlのエタノールに溶解させ、4mlの水を添加することによって調製される;b)10g/l(10,000ppm、または179mM)Fe(III)の0.1M HNO3標準溶液;c)1.31M乳酸の標準溶液(100μlの乳酸(L6402 Sigma−Aldrich−Fluka)を希釈することによって得られたもの、分子量90.08、密度=1.2mg/ml(脱イオン水900μl中))。 下記組成を有する溶液を得るために、石英キュベット中で、a)およびb)の溶液を希釈し、混合する:5mM 1,10−フェナントロリン+5mM Fe(III)((d)溶液)。 このように、溶液c)の適切な希釈を実施することによって、漸増濃度の乳酸を溶液d)に添加する。b)タイプのUVランプを用いて、乳酸(例えば、0.3mM)を含む溶液d)に60秒間照射する。 図1は、b)タイプのUVランプを用いて60秒間照射する前(曲線B)および後(曲線C)における溶液d)(曲線A)および溶液d)+0.3mM乳酸のUV/可視スペクトルを示す。乳酸を含まない溶液d)は、黄色である。0.3mM乳酸を添加し、b)タイプのUVランプを用いて60秒間照射した後、前記溶液は、橙赤色になる。 図2は、b)タイプのUVランプを用いて60秒間照射した後の、0.3mM乳酸と試薬溶液(d)との間の反応動態(反応時間に対する512nmの吸光度)を示す。図2によれば、10分後の吸光度値は、最大プラトー値の90%に達することになる。したがって、検量線を実施するために、10分間の反応時間を選択した。 図3は、試薬溶液d)と反応させ、b)タイプのUVランプを用いて60秒間UV照射し、それらを調製した10分後に分析した後に、漸増濃度の乳酸を含む溶液の512nmの吸光度値をプロットすることによって得られた検量線を示す。 前記方法は、0.05〜1mM乳酸において直線的なダイナミックレンジを示す(直線部分のフィッティングパラメータは、傾き=2.21mM−1(SD=0.116)、R2=0.9864、N=6である)。定量限界(LOQ)は、0.05mMである。精度は、3.1%である(変動係数パーセント)。 提案された方法を、身体的な運動負荷を受けた運動選手の汗中の乳酸の決定に適用した。 血漿中の乳酸塩濃度は、一般に2mM未満であるが、汗中では10〜15mMの範囲またはそれ以上である。この一部は、解糖生成物として汗腺の代謝に由来するものである。その他の部分は血漿の乳酸塩に由来するものであり、したがって、身体活動の結果としての乳酸塩の変動に従う。B)試料の調製 a)各決定には、20〜500mgの汗が必要である。エクリン汗は、例えば、運動中に背下部から採取するが、身体のその他の領域で採取することもできる。具体例では、運動中に接着パッチを用いて、サンプリングのための確立された時間にわたって適所に保持されたろ紙(42Whatman ashless,n.1442070、直径70mm)上に汗を採取する。代替的には、医療行為で既に採用されているその他の方法、例えば毛細管装置によって、汗を採取することができる; b)ろ紙を用いるサンプリング方法の場合、おおよそ1:10の希釈物を得るために、1.5〜3mlの脱イオン水で汗を抽出する。毛細管を用いるのと同じように汗を採取する場合、脱イオン水で約10倍希釈しなければならない(100μl+900μlの水); c)汗の希釈溶液100μlを900μlの試薬(すなわち、5mM 1,10−フェナントロリン+5mM Fe(III)混合物、溶液d)に添加し、このようにして前記方法の直線的なダイナミックレンジ(0.05〜1mM)に含まれる濃度値を得る。 d)次いで、希釈された汗+試薬(溶液d)の混合物を分光光度分析用キュベット(容量1mL)に移し、b)タイプのUVランプを用いて60秒間照射する。10分間の反応時間の後、分光光度計または比色計で、前記溶液の512nmの吸光度を読み取る。 e)分光光度計を512nmの波長に設定し、ブランク溶液を用いて較正する(汗試料を含まない溶液(d)を添加し、b)タイプのUVランプを用いて60秒間照射し、照射から10分後に分析する)。この後、試料溶液の吸光度を測定する。 測定時間は、2分間未満である。 表2は、例として、2つのヒト汗試料中に見られる乳酸塩濃度を、クロマトグラフ法(HPLC)によって求めた乳酸塩濃度値と比較した結果を示す。希釈係数(10×10=100)を考慮して、前記値を補正した。 結果は、2つの試料1および試料2について、それぞれ88%および115%の精度を示している。現在のところ、認定された汗分析方法は報告されていないことを考慮すると、これらの精度値は良好である。実施例番号2.比色/分光光度分析を用いるキュベットでの試験:ヒト唾液中の乳酸塩の分析。A)検量線用の標準溶液および試薬の調製。 分光光度/比色アッセイには、下記溶液が必要である:a)15mg/ml(15,000ppm、または83.3mM)1,10−フェナントロリンの標準溶液。前記溶液は、75mgの粉末を1mlのエタノールに溶解させ、4mlの水を添加することによって調製される;b)10g/l(10,000ppm、または179mM)Fe(III)の0.1M HNO3標準溶液;c)1.31M乳酸の標準溶液(100μlの乳酸(L6402 Sigma−Aldrich−Fluka)を希釈することによって得られたもの、分子量90.08、密度=1.2mg/ml(脱イオン水900μl中))。 下記組成を有する溶液を得るために、石英キュベット中で、a)およびb)の溶液を希釈し、混合する:5mM 1,10−フェナントロリン+5mM Fe(III)((d)溶液)。 このように、溶液c)の適切な希釈を実施することによって、漸増濃度の乳酸を溶液d)に添加する。b)タイプのUVランプを用いて、乳酸(例えば、0.3mM)を含む溶液d)に60秒間照射する。B)試料の調製 a)各決定には、100〜200マイクロリットルの唾液が必要である。 b)100μlの唾液を900μlの試薬(すなわち、5mM 1,10−フェナントロリン+5mM Fe(III)混合物、溶液d)に添加し、このようにして前記方法の直線的なダイナミックレンジ(0.05〜1mM)に含まれる濃度値を得る。 c)次いで、唾液+試薬(溶液d)の混合物を分光光度分析用キュベット(容量1mL)に移し、b)タイプのUVランプを用いて60秒間照射する。10分間の反応時間の後、分光光度計または比色計で、前記溶液の512nmの吸光度を読み取る。 d)分光光度計を512nmの波長に設定し、ブランク溶液を用いて較正する(汗試料を含まない溶液(d)を添加し、b)タイプのUVランプを用いて60秒間照射し、照射から10分後に分析する)。この後、試料溶液の吸光度を測定する。 測定時間は、2分間未満である。 希釈補正係数(1:10)を考慮すると、唾液試料中に見られる乳酸塩濃度値は、2.1±0.07mMであった。実施例番号3.使い捨てデバイスを用いる乳酸の定性分析。 一般的なパッチから5つの正方形を切り取り、200μlの反応混合液(すなわち、5mM 1,10−フェナントロリン+5mM Fe(III)混合物、溶液d)を含浸させて乾燥した。次いで、漸増濃度の乳酸溶液(0、0.325、3.25、6.5、65mM)100μlを各正方形の上に載置し、b)タイプのUV光を用いて60秒間照射した。 より強い色は、より高濃度の乳酸を含む試料に対応している。本操作は、例えば、トレーニング時の汗中の乳酸が閾値と比較して過度なレベルであることを示すために定性的に用いることもできるし、または前記混合物を支持体に物理的に吸着させるかもしくは化学的に結合させ、携帯読取器(糖尿病患者の血中グルコース測定に用いられるものと同様のもの)用の任意の使い捨て診断試験ストリップに吸収させることができる場合はいつでも定量的に用いることもできるし、またはスキャン後に色強度に関して画像処理することによって用いることもできる。 当然のことながら、かつ有利には、本発明を実施するさらなる方法によれば、本発明において記載される乳酸塩の光化学反応に必要な適切な濃度のFe(III)溶液を吸着材料マトリックスに組み込むことにより、電気化学技術などの物理化学的技術を用いて乳酸または乳酸塩を定量的に決定するのに適切な使い捨て試験ストリップを得ることができる。 好ましい設定によれば、試薬溶液に浸漬された使い捨て電気化学ストリップ、および分析対象の生体液にUV光を適切に照射し、次いで、試料にUV光を選択時間照射するための試料ホルダを備えるように改変された市販の携帯計測器を用いて電気化学的試験に供する。 電気化学的技術は、種々の分析手順および機器設定を用いて汗、血清、血漿、尿、唾液などの生体液中の乳酸または乳酸塩を決定するのに用いられ、成功している: a)白金電極とカロメル参照電極とによって構成されるポテンシオメトリックセルでは、適切な濃度のFe(III)溶液を乳酸溶液に添加し、混合物にUV光を照射した後に測定を行なう; b)フローインジェクションシステムにおいて直列の白金微小電極と参照Ag/AgCl微小電極とによって構成されるポテンシオメトリックセル(図4)では、適切な濃度のFe(III)溶液を乳酸溶液に添加し、混合物にUV光を照射した後に測定を行う; c)適切な濃度のFe(III)溶液を含浸材料または多層材料上に担持する。この場合、乳酸塩を含む一滴の試料溶液を、試薬を予め含浸させた材料上に添加する/毛細管現象により吸収させる。実施例番号4.ポテンシオメトリックセルでの試験:ヒト汗中の乳酸塩の分析。A)検量線用の標準溶液および試薬の調製。 電位差アッセイには、下記溶液が必要である。a)10g/l(10,000ppm、または179mM)Fe(III)の0.1M HNO3標準溶液;b)3.7M乳酸の標準溶液(5gの乳酸(Carlo Erba製)を15mlの完全脱イオン水で希釈することによって得られたもの、分子量90.08、密度=1.21g/mL)。 5mM Fe(III)溶液(溶液c)を得るためには、溶液a)を適切に希釈しなければならない。 このように、溶液b)の適切な希釈によって得られた漸増濃度の乳酸を溶液c)に添加する。 c)タイプのUVランプを用いて、漸増濃度の乳酸を含む各溶液c)に60秒間照射する。 測定システムは、カロメル参照電極(Hg|Hg2Cl2|Cl−)と白金作用電極とによって構成されるポテンシオメトリックセルがデジタル電位差読取器(mV単位)に接続されたものである。 図5は、溶液c)と反応させ、c)タイプのWUVランプを用いて60秒間照射し、調製直後に分析した後に、漸増濃度の乳酸(0、0.25、0.5、1、2、3、5、10、50、100、150、200mM)を含む8つの溶液で記録された電位差(mV)の値から得られた検量線を示す。 検量線(乳酸塩濃度の対数に対する電位差)は、5〜10mMの間では直線的な不連続性を示しており、0.25〜10mM乳酸塩の間(図5B)および10〜200mM乳酸の間(図5A)では線形である。後者は、安静時および激しい運動中のヒト汗で典型的に見られる乳酸塩濃度の範囲である。例えば、ヒト血液中でより低濃度を検出するためには、図5Bの検量線を用いることが適切である。 表3は、検量線(乳酸塩濃度の対数に対する電位差)の0.25〜5および5〜10mM乳酸塩の範囲におけるデータフィッティングのパラメータをまとめたものである。 乳酸塩の定量限界(LOQ)は、0.1mMである。精度は、変動係数パーセント(CV%)として表すと2.2%である。実施例番号5.フローインジェクションシステム(FIA)と電位差検出器とによる乳酸塩の分析:ヒト汗中の乳酸塩の分析。A)検量線用の標準溶液および試薬の調製。 電位差アッセイには、下記溶液が必要である。a)10g/l(10,000ppm、または179mM)Fe(III)の0.1M HNO3標準溶液;b)3.7M乳酸の標準溶液(5gの乳酸(Carlo Erba製)を15mlの完全脱イオン水で希釈することによって得られたもの、分子量90.08、密度=1.21g/mL)。 5mM Fe(III)溶液(溶液c)を得るためには、溶液a)を適切に希釈しなければならない。 このように、溶液b)の適切な希釈によって得られた漸増濃度の乳酸を溶液c)に添加する。 c)タイプのUVランプを用いて、漸増濃度の乳酸を含む各溶液c)に60秒間照射する。 用いられた測定システムは、図5に図式化したポテンシオメトリックセルであり、液体試料のオンラインインジェクションシステム(4)と廃棄管(5)とを備え、銀参照微小電極(Ag/AgCl)(1)と白金作用微小電極(2)(それぞれモデル16−702および16−705が改造されたもの、Microelectrodes,Inc.,Bedford,NH)とによって構成されるポテンシオメトリックセルがデジタル電位差読取器(mV単位)(3)に電気的に接続されたものである。 2つの異なるFe(III)濃度レベル(1および5mM)で調製された溶液c)と反応させ、c)タイプのWUVランプを用いて60秒間照射し、調製直後に前記システムに注入した後に、漸増濃度の乳酸(0〜10mM)を含む種々の溶液で測定された電位差(mV)の値をプロットすることによって、検量線を得る。 検量線(乳酸塩濃度の対数に対する電位差)は、0.1〜5mM乳酸塩の間では線形である。表3は、データの線形フィッティングの値をまとめたものである。 乳酸塩の定量限界(LOQ)は、0.1mMである。精度は、変動係数パーセント(CV%)として表すと2.2%である。 検量線(乳酸塩濃度の対数に対する電位差)の0.1〜5mM乳酸塩の範囲におけるデータフィッティングのパラメータを表4に報告する。 提案された方法を、身体的な運動負荷を受けた運動選手の汗中の乳酸の決定に適用した。B)試料の調製 a)各決定には、20〜500mgの汗を要する。エクリン汗は、例えば、運動中に背下部から採取するが、身体のその他の領域で採取することができる。具体例では、運動中に接着パッチを用いて、サンプリングのための確立された時間にわたって適所に保持されたろ紙(42Whatman ashless,n.1442070、直径70mm)上に汗を採取する。代替的には、医療行為で既に採用されているその他の方法、例えば毛細管装置を用いて、汗を採取することができる; b)ろ紙を用いるサンプリング方法の場合、おおよそ1:10の希釈物を得るために、1.5〜3mlの脱イオン水で汗を抽出する。毛細管を用いるのと同じように汗を採取する場合、脱イオン水で約10倍希釈しなければならない(100μl+900μlの水); c)汗の希釈溶液1mlに5.6μlの試薬(すなわち、1mM Fe(III))を添加する。 d)次いで、c)タイプのWUVランプを用いて、希釈された汗+1mM Fe(III)の混合物に60秒間照射し、2つの微小電極を含むFIA装置に注入する。PCによって、電位差の値を記録する。 e)本操作では、c)タイプのWUVランプを用いて60秒間照射し、照射直後に分析されたブランク溶液(汗試料の1または5mM Fe(III)溶液を添加)の測定も必要である。測定時間は、1分間未満である。 前記機器設定は、少量の試料溶液(汗の希釈溶液0.5〜1ml)しか必要としないという利点を有する。 表5は、例として、3つのヒト汗試料中に見られる乳酸を、クロマトグラフ法(HPLC)で求めた同じ試料中の乳酸濃度値と比較した分析結果を示す。希釈係数(10×10=100)を考慮して、前記値を補正した。 結果は、83〜95%の範囲の精度を示している。実施例番号6.フローインジェクションシステム(FIA)と電位差検出器とによる乳酸塩の分析:ヒト尿中の乳酸塩の分析。A)検量線用の標準溶液および試薬の調製。 前記電位差アッセイには、実施例番号5で報告したのと同じ溶液が必要である。 検体添加技術を用いて尿を脱イオン水で1:1希釈すること、すなわち、希釈された尿試料を既知量の検体でスパイクすることによって、尿中の乳酸塩の決定を実施する。c)タイプのWUVランプを用いて60秒間UV照射した後に前記溶液を注入することによって求めた乳酸濃度の関数として電位差(mV)の値をプロットすることにより、検体添加曲線を得る。B)試料の調製 a.0〜5mMの範囲の標準溶液からの漸増濃度の乳酸塩を1mlの希釈尿(1:1)に添加する。このように、28μlの試薬溶液(すなわち、5mM Fe(III))を添加する。 b.c)タイプのWUVランプを用いて、希釈尿(乳酸塩標準溶液でスパイされたものまたはスパイクされていないもの)+5mM Fe(III)の混合物に60秒間照射し、2つの参照電極と作用電極とを備えるFIAシステムに注入する。このようにして、各溶液について、電位差の値を測定する。 添加乳酸塩濃度に対する電位差(mV)の線形プロットのx軸上のインターセプト値から、尿試料中の乳酸塩濃度を決定した(検体添加技術)。 健常ボランティアに由来する検査された尿試料では、内因性の乳酸塩濃度は、検出限界(0.03mM)未満であった(カーブフィッティングパラメータ:y軸のインターセプト=5.67±2mM;傾き=−5.3±0.7、R2=0.926)。 生体液中の乳酸または乳酸塩の含有量の決定方法であって、下記ステップ: −生体液を供給するステップ、 −乳酸または乳酸塩と選択的に反応することができる選択された量の酸化剤を供給すること、 −前記生体液と前記酸化剤とを混合するステップ; −前記生体液および前記酸化剤の前記混合物にUV光を照射するステップ; −前記酸化剤の還元種を決定することによって、前記生体液中に含まれる乳酸の量を決定するステップを含み、 前記混合物に波長範囲280〜400nmのUV光を照射することを特徴とする、方法。 −前記生体液が容器または支持体の内部で利用可能であり、 −前記酸化剤を前記容器または支持体内に入れる、請求項1に記載の方法。 前記生体液を紙材料もしくはポリマー材料または天然組織もしくは合成組織上に吸着させ、前記酸化剤を前記紙材料もしくはポリマー材料または天然組織もしくは合成組織に含浸させる、請求項2に記載の方法。 前記量の酸化剤を、紙材料もしくはポリマー材料または天然組織もしくは合成組織またはその他の使い捨て支持体に物理的に吸着もしくは担持させるか、または化学的に結合させ、前記生体液試料を前記支持体上に置く、請求項1に記載の方法。 前記生体液が、汗、血清、血漿、唾液、尿、脳脊髄液または羊水である、請求項1〜4に記載の方法。 前記生体液と前記酸化剤との前記混合物に波長範囲300〜400nmのUV光を照射する、請求項1〜5に記載の方法。 前記酸化剤の1つが、Fe(III)またはその他のレドックス対酸化金属/還元金属である、請求項1〜6に記載の方法。 前記酸化剤が、Fe(II)または前記還元金属種の錯化剤を含んでおり、前記生体液中に含まれる乳酸の量の決定が、錯化された前記酸化剤の還元種を、前記錯体の比色分析または分光光度測定または分光蛍光分析により決定することによって実施される、請求項7に記載の方法。 前記生体液中に含まれる乳酸の前記量が、前記酸化剤の前記還元種と前記錯化剤との錯体の適切な波長の吸光度を光度検出することによって実施され、好ましくは、前記錯化剤が1,10−フェナントロリン(phenantroline)であり、前記吸光度の光度検出が約512nmの波長で実施される、請求項8に記載の方法。 前記生体液中に含まれる乳酸の前記量が、前記生体液と前記酸化剤との前記混合物に埋め込まれた2つの電極間の電気化学電位をUV光照射後に測定することによって実施される、請求項1〜7に記載の方法。 前記生体液中に含まれる乳酸の前記量が、前記レドックス対に特徴的な電位値の一定差に維持され、かつ前記生体液と前記酸化剤との前記混合物に埋め込まれた2つの短絡電極間を流れる電流密度をUV光照射後に測定することによって実施される、請求項1〜7に記載の方法。 前記生体液中に含まれる乳酸の前記量が、前記レドックス対に特徴的な電位値の一定差に維持され、かつ前記生体液と前記酸化剤との前記混合物に埋め込まれた2つの短絡電極で構成されるセルのインピーダンスをUV光照射後に測定することによって実施される、請求項11に記載の方法。 生体液中の乳酸または乳酸塩の含有量を決定するためのキットであって、下記: −生体液試料を準備するための容器/支持体、 −乳酸または乳酸塩と選択的に反応することができる選択された量の酸化剤を準備するための容器/支持体、 −前記生体液と前記酸化剤とを混合するための容器/支持体; −前記生体液と前記酸化剤との混合物へのUV光照射手段を含み、 前記UV光が、280〜400nmの波長を有することを特徴とする、キット。 前記生体液試料を準備するための容器/支持体が、紙材料もしくはポリマー材料または天然組織もしくは合成組織またはその他の使い捨て支持体である、請求項13に記載のキット。 前記酸化剤を準備するための容器/支持体が、前記酸化剤を物理的に吸着もしくは担持させるか、または化学的に結合させる、紙材料もしくはポリマー材料または天然組織もしくは合成組織またはその他の使い捨て支持体である、請求項13に記載のキット。 前記UV光照射用装置が、300〜400nmの波長の放射エネルギー(radiations)を放射する、請求項13〜15に記載のキット。 前記酸化剤の1つが、Fe(III)またはその他のレドックス対酸化金属/還元金属である、請求項13〜16に記載のキット。 前記酸化剤が、Fe(II)または前記還元金属種の錯化剤を含み、前記キットが、適切なUV可視波長の吸光度の光度検出器を含み、好ましくは、前記錯化剤が1,10−フェナントロリンであり、前記吸光度の光度検出が約512nmの波長で実施される、請求項17に記載のキット。 前記支持体に埋め込まれた/接触している一対の電極と、生体液と酸化剤との前記混合物に埋め込まれた2つの電極間の電気化学電位をUV光照射後に測定するための差動ポテンショメータとをさらに含む、請求項14〜17に記載のキット。 前記支持体に埋め込まれた/接触している一対の電極と、前記レドックス対に特徴的な電位値の一定差に維持され、かつ前記生体液と前記酸化剤との前記混合物に埋め込まれた2つの短絡電極間を流れる電流密度をUV光照射後に測定するための装置とをさらに含む、請求項14〜17に記載のキット。 前記支持体に埋め込まれた/接触している一対の電極と、前記レドックス対に特徴的な電位値の一定差に維持され、かつ前記生体液と前記酸化剤との前記混合物に埋め込まれた2つの短絡電極で構成されるセルのインピーダンスをUV光照射後に測定するための装置とをさらに含む、請求項20に記載のキット。 本発明者らは、公知の手法よりも簡便かつ低コストである生体液中の乳酸または乳酸塩の決定方法を提案する。本方法は、未熟な人材によって用いられ、使い捨て試験ストリップおよび携帯測定装置で行なわれ得る。本方法は、乳酸と、UV光の照射時にFe(II)に還元されるFe(III)との光化学反応に基づく。試料中の乳酸塩の量に比例して生成されたFe(II)は、電気化学的に決定されるか、または1,10−フェナントロリンなどの有色錯化剤との反応を用いて決定され、分光光度測定によって決定される。本方法は、低コストの試薬を用いる点、ならびにそれらの短期および長期の安定性の点の両方で有利である。