タイトル: | 公表特許公報(A)_細胞培養物のフィードバック制御を伴わない予めプログラムされた連続供給 |
出願番号: | 2014526265 |
年次: | 2014 |
IPC分類: | C12N 5/10,C12M 3/00,C12M 1/36 |
リン,ヘンリー ベゼア,ジェレミー JP 2014526265 公表特許公報(A) 20141006 2014530890 20120914 細胞培養物のフィードバック制御を伴わない予めプログラムされた連続供給 アムジエン・インコーポレーテツド 500049716 特許業務法人川口國際特許事務所 110001173 リン,ヘンリー ベゼア,ジェレミー US 61/535,809 20110916 C12N 5/10 20060101AFI20140909BHJP C12M 3/00 20060101ALN20140909BHJP C12M 1/36 20060101ALN20140909BHJP JPC12N5/00 102C12M3/00 ZC12M1/36 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC US2012055552 20120914 WO2013040444 20130321 35 20140410 4B029 4B065 4B029AA02 4B029BB11 4B029CC01 4B029DA01 4B065AA90X 4B065AA91X 4B065AB01 4B065AB05 4B065AC14 4B065BB15 4B065BD36 4B065CA24 4B065CA25 4B065CA44 本願は、2011年9月16日に出願された米国特許仮出願第61/535,809号の利益を主張し、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。 本開示は、連続的であり、かつ強化された細胞成長およびタンパク質発現を提供するが、細胞培養物の変化する必要性に適合するためのフィードバック制御に依存しない、細胞培養物に供給する方法に関する。 哺乳類の細胞培養物は、組換え治療用タンパク質を製造するために製薬およびバイオテクノロジー業界で広く使用されている。細胞培養物の収率を改善する必要性は、タンパク質治療薬の市場の拡大、および生産効率を改善し、製造される商品のコストを削減するための継続的な努力により、過去十年で大幅に増加した。チャイニーズハムスターの卵巣(CHO)細胞は、モノクローナル抗体、抗原、および他の特殊化されたタンパク質様式等の治療用タンパク質の生成に一般に使用されている。 哺乳類細胞を使用するタンパク質の生成は、典型的に、細胞の成長、代謝、および所望のタンパク質生成物の合成を支持する栄養補充物が生成を通して細胞に供給されるプロセスである流加プロセスを伴う。細胞培養物流加供給プロセスの現在の業界基準はボーラス供給である。ボーラス供給プロセスでは、栄養素が、細胞培養物生成を通して様々な時点で、断続的な個別添加で細胞に提供される。ボーラス供給プロセスは、一般的に採用されている理由の一つである手動供給作業の実用性によって制限されるため、そのアプローチにおいて非常に単純である。 しかしながら、ボーラス供給はいくつかの欠点があり、一番の欠点は、細胞が実際に必要な正確な栄養素の量を提供できないことである。換言すると、ボーラス供給は、細胞培養物の特定の必要性に合わせられず、そのため、いくつかの栄養素は細胞培養物が必要とするより多くの量で提供され、一方で、他の栄養素は細胞が必要とする栄養素を下回るレベルで提供される場合がある。よって、ボーラス供給アプローチは、方法は単純であるが、過剰供給をもたらす可能性があり、その結果、細胞成長または生合成を補助しない乳酸塩等の廃棄副産物の蓄積をもたらし、細胞の成長を実質的に阻害し得る代謝過剰をもたらす。 製造シナリオにおけるボーラス供給プロセスの別の欠点は、ボーラス供給プロセスが細胞培養物の性能において相違をもたらす可能性がある固有の変動原因を有することである。そのような原因の一つは、必要とされる供給日に供給作業を実施するタイミングにおける変動性である。ボーラス供給に関連するまた別の変動原因は、栄養素流がバイオリアクター内に投与される速度である。供給が実施される時間および細胞が供給される速度の変化は、個別に、または合わせて、実行ごとの所与の細胞培養物の特性および生成に影響を及ぼし得る。ボーラス供給に関連するさらに別の欠点は、典型的に、オペレータによって実施される必要がある手動作業である。自動化の欠如は、人材および財源を消費し得、また別の変動原因、すなわち、オペレータ間での一貫性の欠如による製造プロセスに導入されるわずかの相違、またはオペレータが同じであっても、制御不可能なオペレータによってもたらされる変化を意味する。 ボーラス供給の欠点は、連続供給プロセスの使用を通して克服することができる。連続供給プロセスは、大量の1回のボーラス添加ではなく、少量の栄養素を経時的に培養物に連続的に供給することにより、細胞の必要性により合うように設計することができる。そうすることで、栄養素の濃度が制御され、細胞成長により最適なレベルで維持され、それによって過剰供給を阻止し、不要な廃棄生成物の発生を最小にし、かつ中断されない疑似定常レベルを維持する。ボーラス供給作業に関連する供給のタイミングおよび速度の変動は、連続供給プロセスでは自動制御されるため、連続供給作業を採用することにより、これらの変動を排除することもできる。オペレータの介入も、連続供給プロトコルを使用することによって排除される。 他の者は、このアプローチの異なる形態を示しているが、そのようなアプローチは尚オペレータのミスの可能性をもたらす。例えば、HuおよびEuropa(米国特許第6,156,570号)は、生産能を改善した連続供給戦略を示した。しかしながら、哺乳類細胞培養物のこの連続供給戦略は、変動を供給プロセスにもたらし得る、器具フィードバック制御に依存する。 要約すると、これらの方法全てに共通する欠点は、プロセスを管理するために、それら全てがある種の機器によって得られるフィードバックに依存するという事実である。したがって、必要なものは、所与の細胞培養物の具体的な必要性に合わせることができ、自動化することができ、かつ細胞培養物に送達される栄養素を制御するために機器媒介フィードバックに依存しない、細胞培養物に供給する方法である。米国特許第6156570号明細書 フィードバック制御を採用しない哺乳類細胞培養物に連続的に供給する方法が提供される。一実施形態では、本方法は、(a)哺乳類細胞および培地を含む哺乳類細胞培養物を含む槽を提供することと、(b)栄養素の消費速度(K1)、成長速度(K21)、および細胞培養物の成長速度(K22)の好ましい値を決定することと、(c)細胞培養物に連続供給流を付与するように適合される装置であって、流速Fで培養物に連続的に供給するように適合されるコントローラモジュールを備える、装置を提供することであって、Fが、K1exp(K21t2+K22t)として定義され、tが、供給流がバイオリアクターに添加される時間から供給流が停止される時間までの持続時間であり、K1、K21、およびK22が、(b)で決定された値である、装置を提供することと、(d)細胞培養物の連続供給を開始するために、コントローラモジュールを起動させることと、を含む。一実地形態では、K1、K21、およびK22は、経験的に決定される。別の実施形態では、K1、K21、およびK22はモデル化される。さらなる実施形態では、コントローラモジュールはコンピュータを備える。さらに別の実施形態では、供給流は、複数の栄養素を含む。さらなる実施形態では、細胞培養物の浸透圧は、方法を通して一定のままである。別の実施形態では、培養物に供給される栄養素はグルコースである。他の実施形態では、哺乳類細胞培養物はCHO細胞培養物である。さらなる実施形態では、コントローラモジュールは、細胞培養物中の予め選択された乳酸塩レベルに応答して起動され、一方で、別の実施形態では、コントローラモジュールは、細胞培養物中の予め選択されたグルコースレベルに応答して起動される。また別の実施形態では、コントローラモジュールは、アスパラギンまたはグルタミン等のアミノ酸の予め選択されたレベルに応答して起動される。またさらなる実施形態では、供給流は、二つ以上の栄養素を含む。細胞系1の細胞培養物の栄養素要件と比較した、供給関数の適合の気密性を示すプロットである。細胞系1について試験されたグルコース連続供給速度および容量蓄積傾向を示すプロットである。白の形状はグルコース流速であり、左側のY軸上に示され、塗りつぶされた形状は、供給された累積グルコース容量であり、右側のY軸に示される。白の三角(Δ)および塗りつぶされた三角(▲)は、それぞれ、K1=0.0504、K21=−0.00015、K22=0.0331の連続グルコース流速および容量蓄積であり、一方、白のひし形(◇)および塗りつぶされた(◆)は、それぞれ、K1=0.04、K21=−0.00015、K22=0.0348の連続グルコース流速および容量であり、白の四角形(□)および塗りつぶされた四角形(■)は、それぞれ、K1=0.062、K21=−0.00015、K22=0.0288の連続グルコース流速および容量である。細胞系1について試験された供給流速度および容量蓄積傾向を示すプロットである。白の形状は供給流速であり、左側のY軸上に示され、塗りつぶされた形状は、供給された累積供給容量であり、右側のY軸に示される。白のひし形(◇)および塗りつぶされたひし形(◆)は、それぞれ、K1=0.59499、K21=−0.00015、K22=0.0348の連続供給流速および容量を表し、一方、白の三角(Δ)および塗りつぶされた三角(▲)は、それぞれ、K1=0.96678、K21=−0.00015、K22=0.0288の連続供給流速および容量を表し、白の丸(○)および塗りつぶされた丸(●)は、それぞれ、2.875ml/時間の一定の供給流速およびその累積容量を表し、塗りつぶされた四角形(■)は、制御ボーラス供給の累積容量傾向を表す。細胞系1を伴う実験に関する一連のプロットであり、より具体的には、図4aは、残留グルコースを示すプロットであり、図4bは、浸透圧を示すプロットであり、図4cは、細胞生存能を示すプロットであり、図4dは、積算生細胞密度を示すプロットである。白の丸(○)は、ボーラスグルコースおよび供給の対照を表し、白の四角形(□)は、ボーラス供給を伴う連続グルコース(K1=0.04、K21=−0.00015、K22=0.0348)を表し、星形(*)は、ボーラス供給を伴う連続グルコース(K1=0.062、K21=−0.00015、K22=0.0288)を表し、塗りつぶされた三角(▲)は、連続供給(K1=0.59499、K21=−0.00015、K22=0.0348)を伴う連続グルコース(K1=0.0504、K21=−0.00015、K22=0.0331)を表し、塗りつぶされたひし形(◆)は、一定供給(2.875ml/時間)を伴う連続グルコース(K1=0.0504、K21=−0.00015、K22=0.0331)を表し、塗りつぶされた丸(●)は、連続供給(K1=0.96678、K21=0.−00015、K22=0.0288)を伴う連続グルコース(K1=0.0504,K21=−0.00015、K22=0.0331)を表す。細胞系2を伴う実験に関する一連のプロットであり、より具体的には、図5aは、残留グルコースを示すプロットであり、図5bは、積算生細胞密度を示すプロットであり、図5cは、力価を示すプロットである。星形(*)は、ボーラスグルコースおよび供給の対照を表し、白のひし形(◇)は、ボーラス供給を伴う連続グルコース(K1=0.105、K21=−0.000051、K22=0.0155)を表し、白の三角(Δ)は、ボーラス供給を伴う連続グルコース(K1=0.069、K21=−0.000048、K22=0.018)を表し、塗りつぶされた三角(▲)は、連続供給(K1=1.1320、K21=−0.000051、K22=0.0155)を伴う連続グルコース(K1=0.105、K21=−0.000051、K22=0.0155)を表し、塗りつぶされたひし形(◆)は、連続供給(K1=0.8965、K21=−0.000051、K22=0.0155)を伴う連続グルコース(K1=0.105、K21=−0.000051、K22=0.0155)を表し、塗りつぶされた丸(●)は、連続供給(K1=1.9056、K21=−0.00006、K22=0.0092)を伴う連続グルコース(K1=0.105、K21=−0.000051、K22=0.0155)であり、塗りつぶされた四角形(■)は、連続供給(K1=2.3821、K21=−0.00006、K22=0.0092)を伴う連続グルコース(K1=0.105、K21=−0.000051、K22=0.0155)である。細胞系2を伴う実験に関する一連のプロットであり、より具体的には、図6aは、力価を示すプロットであり、図6bは、容量生産能を示すプロットであり、図6cは、生存能を示すプロットであり、図6dは、積算生細胞密度を示すプロットである。白のひし形(◇)は、ボーラスグルコースおよび供給(総供給量600mL)の対照を表し、白の三角(Δ)は、ボーラス供給(総供給量600mL)を伴う連続グルコース(K1=0.215、K21=−0.000003、K22=0.003)を表し、塗りつぶされた三角(▲)は、連続供給(K1=1.8744、K21=−0.000003、K22=0.003)(総供給量540mL)を伴う連続グルコース(K1=0.215、K21=−0.000003、K22=0.003)を表し、塗りつぶされたひし形(◆)は、連続供給(K1=2.0827、K21=−0.000003、K22=0.003)(総供給量600mL)を伴う連続グルコース(K1=0.215、K21=−0.000003、K22=0.003)を表す。細胞系2を伴う実験に関する一連のプロットであり、より具体的には、図7aは、力価を示すプロットであり、図7bは、容量生産能を示すプロットであり、図7cは、生存能を示すプロットであり、図7dは、積算生細胞密度を示すプロットである。白の三角(Δ)は、ボーラスグルコースおよび供給(総供給量600mL)の対照を表し、白の丸(○)は、連続供給(K1=2.6503、K21=−0.000003、K22=0.003)(総供給量600mL)を伴うボーラスグルコースを表し、白の四角形(□)は、連続供給(K1=2.2910、K21=−0.000003、K22=0.003)(総供給量660mL)を伴うボーラスグルコースを表す。細胞系3を伴う実験に関する一連のプロットであり、より具体的には、図8aは、力価を示すプロットであり、図8bは、特定の生産能を示すプロットである。白の三角(Δ)は、ボーラスグルコースおよび供給の対照を表し、白のひし形(◇)は、対照供給と同じ容量の総量300mLの4日目〜8日目に連続供給(K1=2.7233、K21=−0.000003、K22=0.003)を伴うボーラスグルコースを表す。 本明細書に特に定義されない限り、本願に関連して使用される科学用語および技術用語は、当業者に一般に理解される意味を有するものとする。さらに、文脈上特に必要な場合以外は、単数用語は複数を含むものとし、複数用語は単数を含むものとする。 一般的に、本明細書に記載される細胞および組織培養、分子生物学、免疫学、微生物学、遺伝学、ならびにタンパク質および核酸化学、ならびにハイブリダイゼーションに関連して使用される命名法およびそれらの技法は、当該技術分野において周知であり、一般に使用されるものである。本願の方法および技法は、一般的に、当該技術分野において周知の従来の方法に従い、かつ特に記載されない限り、本明細書を通して引用され、論じられる様々な一般的およびより特定の参考文献に記載されるように実施される。例えば、Sambrook et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,3rd ed.,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.(2001)および続版、Ausubel et al.,Current Protocols in Molecular Biology,Greene Publishing Associates(1992)、ならびにHarlow&Lane,Antibodies: A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.(1988)を参照し、これらは参照により本明細書に組み込まれる。酵素反応および精製技法は、当該技術分野において一般に達成される製造者の仕様または本明細書に記載されるように実施される。本明細書に記載される分析化学、合成有機化学、ならびに薬および製薬化学に関連し、それらの実験手順および技法に使用される用語は、当該技術分野において周知であり、一般に使用されるものである。標準的な技法は、化学合成、化学分析、薬学的組成物、製剤、および送達、ならびに患者の治療に使用され得る。 本開示は、本明細書に記載される特定の方法、プロトコル、および試薬等に制限されず、そのようなものは変動し得ることを理解するべきである。本明細書で使用される用語は、単に特定の実施形態を説明する目的のためであり、本開示の範囲を制限することを意図しない。 操作例以外、または特に指示される場合、本明細書で使用される成分の量または反応条件を表す全ての数字は、全ての場合において、用語「約」で修飾されるものと理解するべきである。パーセンテージに関連して使用されるとき、用語「約」は、±5%、例えば、1%、2%、3%、または4%を意味し得る。 プロセスを制御するために機器のフィードバックに依存しない連続供給方法の必要性を満たすために、そのような供給方法が提供される。一態様では、開示される方法は、細胞培養物の細胞成長および基質消費のモデルに基づく。開示される方法は、比基質消費速度および比成長速度を示す三つのパラメータを備える供給速度関数を提供する。三つ全てのパラメータは、所与の細胞に対して最適化され、全てのCHO細胞系に対して最適化され得る。最適化された関数は、所望のプロファイルに適合するように細胞培養物供給を制御するための連続供給アルゴリズムにおいて使用される。そのような供給戦略は、予めプログラムされ、全タンパク質生成プログラム中、フィードバックを伴わずに制御され得る。よって、機器または他の測定形態からの入力は、供給を制御または調節するために必要ではない。それは、グルコース供給および混合物供給等の全ての種類の栄養素供給に適用することができる。本明細書に示されるように、開示される連続供給方法は、所与の細胞培養物の細胞生存能、細胞密度、および生産能を改善することができる。供給速度関数は、制限された炭素供給を達成するようにも調整することができ、それによって、乳酸塩およびアンモニウム等の副産物廃棄物を減少させることができる。開示された連続供給方法は、強化された細胞培養性能、良好な実行一貫性、供給作業変動の排除、および手動供給作業の必要性の排除を含む多くの点においてボーラス供給より優れている。この連続供給戦略は、従来のボーラス供給に対して改善された、実行可能な代替物であり、一般に採用される従来のボーラス供給アプローチに関連する変動を低減または排除する。 一態様では、本開示は、所望の分子を発現する培養物等、細胞培養物に連続供給する方法を提供する。一実施形態では、本方法は、成長する細胞培養物に提供される栄養素の速度および容量を管理する供給関数を提供する。供給関数は、本明細書に示されるように得ることができる。供給関数に現れる個々の変数は、全て所与の培養物に関して測定され得る。 概して、所与の培養物に関する供給関数の展開は、所与の細胞培養物の成長要件および基質消費特性に一致し、それらを満たすように決定される、栄養素消費および成長パラメータ(K1、K21、およびK22)を説明する三つのパラメータを組み込む。供給関数における別の変数は、供給される容量の総量を指定し、細胞培養物の成長要件および基質消費特性に一致し、それらを満たすようにも決定され得る供給の持続期間(t)である。これらのパラメータを決定し、それらを供給関数に組み込み、供給関数を適切なハードウェアと関連付けることにより、ボーラス供給に対して性能を改善する完全に自動可能な連続供給方法が達成される。 開示される方法は、あらゆる長さのタンパク質(例えば、治療用タンパク質)、抗体、ペプチボディ、ヘミボディ、一つ以上の天然に存在しないまたはコードされたアミノ酸を含む分子(抗体または治療用タンパク質等)、ペプチド、Fc融合タンパク質、SCFv、単鎖抗体等のあらゆるタンパク質系分子の製造に適用され得る。 開示される方法は、卓上規模(例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、または50リットルの培養物)から小規模製造(例えば、約100、200、300、400、500、1000、1500、または2000リットルの培養物)まで、所望のいずれの規模で採用することもできる。特に望ましい形態では、開示される方法は、工業規模(例えば、約5000、7500、10000、または15,000リットル)で適用され得る。コスト節約を含む開示される方法の利点は、工業規模で最も顕著であるが、方法が適用される製造規模に関係なく明らかである。 細胞成長を補助するあらゆる培地が、開示される発明の細胞培養物および方法において採用することができる。一実施形態では、培地は血清を含み得、一方、別の実施形態では、培地は無血清であり得る。様々な実施形態では、培地は、一つ以上のアミノ酸で補足され得る。一実施形態では、培地は、既知組成培地である。定義 慣習に従い、本明細書で使用される、「a」および「an」は、特に記載されない限り、「一つ以上」を意味する。 用語「ポリペプチド」または「タンパク質」はアミノ酸残基を含むポリマーを指すように、本明細書において互換的に使用される。本用語は、一つ以上のアミノ酸残基が対応する天然に存在するアミノ酸の類似体または摸倣物であるアミノ酸ポリマー、ならびに天然に存在するアミノ酸ポリマーにも適用される。本用語は、例えば、炭水化物残基を付加して、糖タンパク質を形成するか、またはリン酸化により修飾されたアミノ酸ポリマーも包含し得る。ポリペプチドおよびタンパク質は、天然に生じる、および非組換え細胞によって生成されるか、またはポリペプチドおよびタンパク質は、遺伝的に操作された、または組換え細胞によって生成され得る。ポリペプチドおよびタンパク質は、未変性タンパク質のアミノ酸配列を有する分子、または未変性配列の一つ以上のアミノ酸からの欠失、アミノ酸への付加、および/またはアミノ酸の置換を有する分子(天然に存在しないアミノ酸との置換を含む)を含み得る。供給関数の導出 提供されるフィードバックを伴わない制御供給方法の構成要素は、例えば、培養物を、例えば関心のタンパク質の発現の目的のために成長させる、固有の成長要件および関心の哺乳類細胞培養物(例えばCHO、NS0、BHK21、PER.C6、またはHEK293細胞培養物)の性質に合わせた供給関数である。供給関数は、成長、生合成の促進および副産物の形成の減少を目的とする培養物の栄養素要件プロファイル(複数可)を組み込む。一態様では、供給関数は、細胞培養物成長プロファイルの過程にわたるいずれかの時間点での培養物の最適な栄養素要件(複数可)の式であると考えられ得る。時間の関数としての培養物の栄養要件(複数可)の式(即ち供給関数)を有することにより、あらゆるフィードバック制御の必要性は、そのような手段が提供するであろうデータは既に既知であり、供給関数に組み込まれているため、排除される。供給関数は、細胞培養物成長の完全に自動化された作業も可能にし、供給式が細胞培養物を含むバイオリアクター内に栄養素流(複数可)を制御するように一旦位置付けられ、開始シグナルが提供されると、全細胞成長プロセスは、供給関数によって制御され、さらなる介入を必要としない。 供給関数は、基質の入口流速(F)、バイオリアクター中の初期の栄養素濃度(Si)、栄養素ストック濃度(So)、栄養素収率に対する最大細胞密度比成長速度(μ)、細胞密度(X)、およびバイオリアクターの容量(V)を含む、複数の変数を考慮する。これらの変数の全ては、特定の培養物の各パラメータを測定し、計算することによって容易に決定することができる。基質の入口流速(F)は、基質がバイオリアクターに投与される供給速度である。初期バイオリアクター栄養素濃度(Si)は、連続供給が開始される時間の基質の濃度である。これは、オフラインの栄養素分析器を使用して、培地サンプルにより測定され得る。栄養素ストック濃度(So)は、連続供給が行われる液体リザーバの基質の濃度である。栄養素収率に対する最大細胞密度は、総細胞密度のピーク点をその時点で消費された総基質で割ったものである。細胞密度(X)は、細胞計数器によって測定された培養物中の生細胞密度である。比成長速度(μ)は、所与の時間点での細胞成長速度をその時点の生細胞密度で割ったものとして示される。μは、関係を用いて計算することができ、式中、X2およびX1は、それぞれ、最終および初期の生細胞密度であり、t2およびt1は、それぞれ、終了時間および開始時間である。バイオリアクターの容量(V)は、バイオリアクター中の任意の所与の時間での総培養物容量からなる。一実施形態では、供給関数は、の形式をとり、下に示されるように導かれる。 バイオリアクター中の所与の栄養素の質量平衡は、方程式(1)によって示され、式中、Fは、栄養素の入口流速であり、Siは、バイオリアクター中の初期の栄養素濃度であり、Soは、栄養素ストック濃度であり、は、栄養素収率に対する最大細胞密度であり、μは、比成長速度であり、Xは、細胞密度であり、Vは、バイオリアクターの容量である。 連続供給と組み合わせた定常栄養素濃度と仮定すると、方程式は、方程式(2)に単純化され、式中、比栄養素消費および細胞成長は、XV=XiVieutによって示され、XiおよびViは、それぞれ、供給開始時の初期の細胞密度およびバイオリアクター容量である。方程式(2)は、下の方程式(3)に単純化され、式中である。 しかしながら、細胞は定常期に入り、その後迅速に死滅期に入るため、方程式(3)は、対数期を超えた細胞培養物成長には適用されない。したがって、細胞が一旦死滅期に入ると、供給を減少させる関数が必要である。開示される方法の開発において実施された実験では、比成長速度(μ)が全生産の範囲にわたってプロットされるとき、比成長速度μは、CHO細胞に関して、経時的に減少することが観察された。これは、研究された複数の細胞系のそれぞれに関して一貫性があることが分かった。μ対時間への線形傾向の適合は、良好な適合を示し、よってμは線形方程式によって表すことができ、式中、K21は常に負であり、K22は常に正であり、|K22| >> |K21|である。方程式(6)を方程式(3)に代入することにより、供給関数を生成する。 方程式(7)は、全ての連続供給設計および実験の基礎を形成する。方程式(7)は、供給プロファイルに曲率を与え、よって傾向は、ただ指数関数的に増加しない。項K21は常に負であるため、時間が増加するにつれて、全K21t2+K22t項は負になり得、供給傾向は減少する。K1は、値が大きくなると、全供給傾向の規模を増幅する。 方程式(4)のK1に関して、q8は、全生成にわたって一定値であると仮定される。q8は、グルコースに関して等、比基質消費である。比成長速度(μ)を基質収率に対する最大細胞密度で割ることによって計算される。これらの項は上述される。定数q8は、複数の細胞系のグルコースに関して研究され、q8が一定のままであるという仮定は、細胞がピーク細胞密度に達した後、例えば7日目後、一般的に真実であると分かることが観察された。よって、q8が一定のままであるという仮定は、供給関数を単純化し、最適化に関して既に三つのK変数が存在することを考えると、この仮定は、一般的に、供給関数に大きな影響を与えない。 q8が一定のままであるという仮定は有効であり、供給関数の導出を単純化するが、この仮定は、いくつかの場合において、より正確な供給関数を容易にし得る変数も取り除く。したがって、q8に対するより正確な適合が生み出されされ得ることが考えられる。q8のより正確な適合値は、さらにより大きな自由度の供給関数を導くために、方程式(7)のK1に代入され得る。これらのさらなる自由度を追加することにより、さらに高い分解供給関数を得ることが可能であり得る。そのようなより正確に適合された供給関数は、開示される方法の態様を形成する。容量方程式の導出 本明細書に示される、所与の細胞培養物の固有の必要性に適合される供給関数が提供される。供給関数は、細胞培養物の栄養素の必要性を示すが、所与の培養物に添加される濃縮された栄養素ストックの総容量を示す項を明確に提供しない。この量は、次のように供給関数自体から導くことができる。 供給関数から供給される濃縮された栄養素ストックの総容量を計算する能力が、プロセス展開用途において、開示される方法の使用に考慮される。特定の栄養素、例えば細胞培養物に供給される供給関数によって示される栄養素を含む溶液の液体容量の情報は、所望の供給容量の設計、適合容量データからK値を生成する能力、およびコントローラ上の容量使用を追跡する能力を容易にする。よって、供給関数によってもたらされる容量の計算は、連続供給の用途に関する有用なパラメータである。容量方程式は、方程式(8)に示される供給関数を積分することによって導かれる。式中 マクローリン級数は、正確さのために級数の最初の五つの積分された項を使用して、容量方程式を生成するための積分の指数項を近似するために使用される。式中 最後の容量方程式は、方程式(12)に示され、級数の五つ全ての項が使用される。自動化された連続供給方法 多くのタンパク質生成プロセスにおいて、オペレータは、所与の細胞培養物の局所環境、健康、細胞密度、およびタンパク質生成についてのデータを取得するバイオリアクターに関連するフィードバック機器を監視することが要求される。このデータは、バイオリアクター内の好ましい条件の設定を維持するために、データに応じて成長条件を調節するオペレータにフィードバックされる。 開示される方法の利点の一つは、完全に自動化された様式で本方法を実行する能力であり、よって、細胞培養物についてのデータを取得するための専用オペレータおよび専用器具の必要性を排除する。これは、強化された効率、人材および材料資源に関するコスト節約、ならびにオペレータの先入観またはエラーの機会の最小化、およびフィードバック器具(例えば、アミノ酸、ビタミン類、および炭素源に関するHPLC、グルコースおよび乳酸塩分析器(Nova ProfilerおよびYSI Instruments)、細胞計数器(CedexおよびVi−Cell)、バイオリアクター原位置プローブ(例えば、pH、溶存酸素、濁度、電気容量、およびNIRプローブ)、浸透圧計、および他の器具の故障に関する生成問題の完全な排除につながる。 多くの場合、細胞培養物成長は、オペレータが継続して監視し、供給材料含量に対して調節を行い、フィードバック器具からの培養物の状態について得られたデータに応じて成長する培養物に容量が提供される、進化し続ける実証的作業として扱われる。これは、開示される方法を実践するとき、本方法が特定の細胞培養物に合わせられ、所与の細胞培養物の多くの独特の性質を説明し、所与の細胞培養物の要件が全て開示される方法において説明されるため、不要である。 開示される方法は、関心のタンパク質の強化された生成を提供することもできる。本方法は、特定の細胞培養物に関して最適化された供給関数を含むため、培養物を、細胞培養物の健康および生産能を最大にし、その結果細胞のタンパク質生成を最大にする条件下で継続的に成長させる。よって、所与の細胞培養物の最大タンパク質生成を提供することにより、本方法が付与する別の利点は、コストおよび資源の節約である。 一実施形態では、方法は、次のように実施される:最初に、細胞および培地を含む細胞培養物を含む槽が提供される。記述されるように、開示される方法は、所望のいずれかの規模で実施することができるため、提供される槽は、よっていずれの規模のものであってもよく、清潔で減菌でなければならない。例えば、小規模で作業するとき、槽は、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、または50リットルのバイオリアクターを備えることができ、大規模で作業するとき、槽は、100、200、300、400、500、1000、1500、または2000リットルのバイオリアクターを備えることができ、または工業規模で作業されるとき、槽は、5000、7500、10,000、または15,000リットルのバイオリアクターを備えることができる。本方法に採用されるいずれの槽も、バイオリアクターとして機能するように適合される可撓性のプラスチック構造(例えば、減菌プラスチック製袋)、または剛性の使い捨てプラスチックフラスコもしくはタンク等の、使い捨て槽も含み得る。 提供される槽は、減菌され、適切な培地で充填され、そして細胞を含む細胞培養物が導入される。細胞は、関心のタンパク質を発現するように適合され得るが、発現するように適合される必要はない、つまり、本方法は、関心の特定のタンパク質を発現するように適合されない細胞培養物を含むいずれの細胞培養物上、またはタンパク質生成以外の目的のために試験される、もしくは研究される培養物上で実施され得る。細胞は、CHO細胞等の哺乳類細胞を含み得、関心のタンパク質を発現するように操作され得るが、本方法は、内因性タンパク質の生成を最適化するためにも実施され得る。様々な実施形態では、細胞は、あらゆる哺乳類細胞等のあらゆる真核生物細胞であり得、特定の例としては、細胞は、CHO、NS0、BHK21、PER.C6、またはHEK293細胞である。細胞は、抗体またはFc融合タンパク質を含む、Fc含有分子等の異種タンパク質を発現することができる。抗体が発現されるとき、抗体は、マウスおよびヒトを含む、任意の種に由来し得、ヒト抗体またはヒト化抗体であり得る。 導入された細胞培養物は、任意の数の細胞を含むことができる。いくつかの用途では、本方法は、凍結スラントから直接取られた細胞の成長を強化するために採用され得、一方、他の用途では、細胞は、槽に導入される前に所望の量に拡張され得る。 細胞が成長する培地は、任意の組成のものであってよく、好ましくは、提供されるどの細胞培養物の成長も支持するように適合される。本方法に採用され得る培地の例としては、血清で補足されたMEM、DMEM、およびF12、またはMCDB302等の完全な既知組成培地が挙げられる。例えば、採用することができるさらなる代表的な培地レシピに関しては、Freshney,Culture of Animal Cells,5th Edition,Wiley−Liss(2005)を参照。本方法は、ペプトンおよび酵母抽出物を使用する複合培地にも適用され得る。 本方法を継続すると、次に、細胞培養物の基質消費速度(K1)、成長速度(K21)、および成長速度(K22)の好ましい値が決定される。供給関数を使用するために、理論計算を使用することにより、パラメータK1、K21、およびK22が最初に決定され得る。つまり、これらの値は、比成長速度、基質収率に対する最大細胞密度、および比基質消費速度等の細胞の既知の性質の外挿に基づき決定され得る。これらの性質は、関心の細胞系に対して行われる、または関連する文献の再考察から既知の、前の細胞培養物実験において決定され得る。これらの値は、性能を最適化するために、これらのパラメータのさらなる実験展開の開始点として機能することができる。 いくつかの場合では、理論的に計算されたK値は、満足のいくように予測され、供給関数に直接組み込むことができる。他の場合では、計算値を最適化するために、一つ以上の試験培養物、およびそれから導かれた成長時間、培地成分、栄養素要件、供給開始時間等に関する経験的データを使用して、理論的に計算されたK値を改良することが望ましい場合がある。 K21およびK22の初期の理論値を計算するために、関心の所与の細胞培養物の比成長速度(μ)を、試験培養物を用いて決定するか、または既知の成長速度から抽出し、生成時間の経過にわたってプロットした。次に、線形方程式を生成するために、プロットの線形回帰適合を実施し、式中、K21は勾配値によって表され、K22は線形適合のy切片値によって表される。次に、K21およびK22に関して決定された値は、供給関数に代入し戻され、変数K1のみを残し、tが提供される。 K1は、方程式(4)を使用して、理論的に計算され得る。 k1の計算に現れるパラメータq8は、比栄養素消費速度であり、方程式に基づく細胞培養物データから計算される。 q8は、グルコースの場合と同じように、一定であると仮定される。XiおよびViは、それぞれ、初期の細胞密度および初期の槽容量である。Soは、供給される基質、例えば、グルコースのストック濃度である。Siは、槽内の初期の栄養素濃度である。全てのこれらの値が利用可能であれば、K1は容易に計算することができ、供給関数に代入し戻されることができる。 K1を決定した後、供給関数Fの三つ全てのパラメータK1、K21、およびK22は、既知値となる。供給速度は、時間の関数として生成の経過にわたって変化するが、供給関数は、これらの過渡変化を説明し、よって、培養物が栄養素を必要とする正確な時間に培養物によって要求される正確な栄養素を提供する。次に、関数は、供給プロセスを開始、制御、および停止させるために使用され得るコントローラモジュールに入力され得る。 本方法を継続すると、細胞培養物に連続供給流を付与するように適合される装置が提供され、本装置は、流速Fで、培養物に連続的に供給するように適合されるコントローラモジュールを備え、Fは、K1exp(K21t2+K22t)として定義され、tは、回分供給流がバイオリアクターに添加される供給プロトコルの開始から供給の最後までの時間であり、K1、K21、およびK22は、上述の通りに決定された値である。 本明細書に記載されるように、K1、K21、およびK22を決定することにより、次に、細胞培養物に連続供給流を付与するように適合される装置が提供され、本装置は、供給関数に従い、Fの流速で、培養物に連続的に供給するように適合されるコントローラモジュールを備える。そのような装置は、制御された速度で、リザーバからバイオリアクターに液体供給流を移行する手段、および供給プロファイルに従い、リザーバからバイオリアクターに供給流の流れを開始し、維持することができるコントローラモジュールを備える。そのような装置の例としては、Delta Vコントローラモジュール(Emerson,St Louis,MO)、コントローラで制御されたポンプ(例えば、Applikon Biotechnology,Foster City,CA、Cole−Parmer,Vernon Hills,IL、Watson−Marlow,Wilmington,MA、およびSciLog,Middleton,WI等の供給業者から入手可能なもの)を挙げることができる。ポンプは、細胞培養物適合性である管類(例えば、Cole−Parmer,Vernon Hills,ILから入手可能な管類等)によって接続され、一端が供給液体槽であり、もう一端がバイオリアクターである。 特定の一実施形態では、三つのK値および供給時間tは、Delta Vコントローラモジュール(Emerson,St Louis,MO)等のコントローラモジュールにプログラムされた連続供給関数に入力される。コントローラモジュールは、供給関数Fによって決定される供給量をバイオリアクターに連続的に送達するために、供給槽に接続されるポンプ(例えば、Applikonバイオリアクター一体型ポンプ、Applikon Biotechnology,Foster City,CA)を制御する。培養物の特定の要件により、バイオリアクターに送達される供給流の容量および量は、速度が供給関数Fに従い変化すると変化する。コントローラモジュールは、供給式Fに記載される、任意の所与の時間点で、培養物に提供される供給ストックの容量を制御する。 供給送達を容易にするために採用されるあらゆる機器(例えば、ポンプ(複数可)および管類)は、正確なポンプ較正値を確立するために、ポンプ出力および測定された流速を使用して、供給式を使用する前に較正され得る。この値は、供給関数Fによって示される流速をポンプによって移行された容量の量に変換するために、制御装置によって使用され得る。本明細書に提供される実施例に記載される、この送達システムは、2Lのバイオリアクターに使用された。500L、2000L、および15,000L等のより大きい規模に関して、送達システムは、必要ないが、好ましくは、質量流量制御装置または重量尺度入力のいずれかを採用する。両方とも大規模での供給用に確立され、実績のある機器である。 本方法の後続のステップでは、コントローラモジュールは、細胞培養物の連続供給を開始するために起動される。コントローラモジュール上でプログラムが開始されるとき、供給は、供給関数のパラメータtによって示される時間の長さの間、供給関数によって決定される既定の供給時間にわたって常に変化する供給速度(すなわち、リザーバから槽内への栄養素の流量)で、既定の時間点で始まる。 コントローラモジュールが培養物の連続供給を起動するトリガー時間点または条件は、タンパク質生成プロセスの性質および目標に依存する。いくつかの場合では、培養物は一定量の初期栄養素が提供され、初期供給ストックからの残留栄養素がある最小標的レベルに達するときの後の時間点で、連続供給が開始される。他の場合では、培養物は初期栄養素が提供されず、栄養素は、供給関数によって要求される、本方法の開始時に提供される。 連続供給が開始され得るトリガー条件のさらなる例としては、培養物が指定された生細胞密度(VCD)に達する点、または培養物が指定された残留副産物レベルに達する点が挙げられる。これらのトリガー条件のうちの一つ以上が一旦確立されると(本方法を開始する前に試験培養物を使用して識別され得る)、観察されたトリガー条件は、連続供給を開始するための時間基準に変換され得る。つまり、試験培養物は、初期の供給ストックを提供され、どの時間点で特定のトリガー条件に達するかを決定するために、培養物が成長するときに研究され、コントローラモジュールは、その時間点で供給関数を起動させるように設定され得る。 監視され得る残留栄養素の具体的な例の一つはグルコースである。初期グルコースレベルがもはや細胞成長に十分でないレベルに低下する時間点は、コントローラモジュールが連続供給を開始するトリガー条件または時間点として機能することができる。 別の例では、生細胞密度が、トリガー条件として使用され得る。特定の例の一つでは、生細胞密度標的は、細胞がちょうど対数期に入る点に対応する、約5×106細胞/mLである。 さらに別の例では、副産物蓄積レベルがトリガー条件として使用され得る。特定の例の一つでは、副産物である乳酸塩の約0.5g/Lを超える蓄積レベルは、トリガー条件として機能することができ、これを満たすとき、過剰供給を阻止することによって低乳酸塩を維持するために、連続供給を開始する。供給関数の最適化 本明細書に記述される、K1、K21、およびK22の理論値は、初期値を提供するために計算され得るが、開示される方法の別の態様では、計算値が任意に最適化され得る。K1、K21、およびK22値を最適化するために、「実験の設計」(DOE)アプローチが、K1、K21、およびK22の三つのパラメータのそれぞれの所与の範囲を評価するために適用され得る。範囲は、供給関数において、K1、K21およびK22の理論値が使用された初期培養物で観察された性能に基づき決定される。最適化プロセスで試験された範囲は、供給することが望まれる基質容量の総量によっても導かれる(方程式12を使用して、上述のように決定され得る)。 最適化され得る、供給関数に現れる第四のパラメータは、総供給時間(t)である。供給関数のtが一旦総実行時間に達すると、供給は停止するべきである。総実行時間は、培養物が供給される必要がある持続期間との、培養物に供給される総基質容量の平衡を保つために使用される。例えば、少ない総供給を使用するが、より長い時間範囲にわたって培養物に供給することが望ましい場合、供給関数において、tは増加し得、K1は減少し得る。 一実施形態では、経験的方法は、K1、K21、およびK22値を計算するために採用され得る。理論的ではなく、経験的に初期のK1、K21、およびK22値を得る利点は、経験的アプローチが、本方法が採用されるとき、強化された性能およびタンパク質生成をもたらす、より正確な値を生成することができる点である。 別の態様では、K1、K21およびK22をより良く決定するために、実際のボーラス供給生産データに基づくデータを使用して、培養物の容量基質消費速度(g/時間)が最初に計算される。容量基質消費速度は、本方法に使用される細胞を含む試験培養を実行し、標準的な細胞培養物栄養素分析器(例えば、Nova Profiler、またはモデルYSI7100、YSI1500、YSI5300、YSI2300、およびYSI2700分析器ユニットを含むYSI Instrumentsによって製造されたもの等の分析器)を使用して、基質消費を監視することによって決定される。次に、培養物によって要求される基質の量を送達することが要求される基質供給速度に変換するために、槽の容量および基質ストック濃度の既知の性質に基づき決定される希釈係数が基質消費速度に適用される。計算された基質供給速度は、次に、生成時間の経過にわたってプロットされる。次に、供給関数は、このプロットに最適に適合するように使用される。このプロセスは、K1、K21、およびK22の最適適合値を生成する。任意に、これらの値は、次に、DOEアプローチまたは単純な単一係数アプローチを使用して、性能をさらに最適化するための開始点として使用され得る。さらなる最適化アプローチ 連続供給関数は、細胞培養物系内の特定の栄養素の質量平衡に基づき導かれ得る。このアプローチでは、細胞成長モデルは、供給関数の値を求めるためにこの導出に取り入れられる。一例では、線形比成長速度モデルが、そのような導出に使用され得る。これは、供給関数を提供する。この供給関数は、細胞培養物の栄養素、例えば、グルコース、アミノ酸等の連続供給を実施するために使用される。この方程式において、Fは栄養素流速であり、tは培養の経過時間であり、K1は基質消費を表すパラメータであり、K21およびK22は両方とも培養物の成長プロファイルを表す。 しかしながら、これは、連続供給関数が生成され得る唯一の方法ではない。別のアプローチでは、上述の線形比成長速度モデルを使用するのではなく、培養物の比成長速度を表すために、代わりにS字状モデルが使用され得る。S字状比成長速度モデルは、線形比成長速度モデルを使用して生成されるものとは異なる供給関数を生成する。このS字状に導かれた供給関数は、その定義されたパラメータが全ての細胞系に関して最適化される限り、線形的に導かれた供給関数と等しく機能する。 供給関数を導くまた別の例では、比成長速度をモデル化するために線形またはS字状方程式形態を使用するのではなく、成長プロファイルに一致する経験的供給関数を生成するために、代わりに細胞成長曲線がモデル化され得る。そのような供給関数は、適合度により、二次以上の多項式であろう。よって、供給関数は、比成長速度をモデル化するために、線形またはS字状関数を使用して最適化されるか、または完全に新しい供給関数が、成長または栄養素曲線に対する多項適合に基づき導かれ得、どの関数を使用するかの選択は、展開用途の方程式の単純さ、供給プロファイルを操作するための強化された自由度の必要性、または実際の細胞成長または栄養消費プロファイルに直接適合する改善された正確さを含む、任意の数の因子を考慮することに基づき得る。複数の栄養素を含む供給のための供給関数 上記の開示は、一態様では、単一栄養素を含む供給関数、またはそのうちの一つのみが供給関数において説明される栄養素の混合物を含む供給流を目的とした。しかしながら、開示される方法は、単一の栄養素に制限されず、複数の栄養素流または複数の栄養素を含む供給ストックに適用することができる。開示される方法は、二つ以上の栄養素を収容する供給関数を組み込むように容易に適合され得るが、混合基質供給を使用する連続供給を実施するとき、異なるアプローチが取られる。 複数の栄養素を含む供給流が採用されるとき、全混合物の特定のK1、K21、およびK22値を計算することは困難である。単一供給流中の複数の栄養素を示すアプローチの一つは、混合栄養素供給流の初期のK1、K21、およびK22値を生成するために必要とされるデータを生成するために、追跡する供給中の単一基質を選択することである。例えば、グルコースおよび他の栄養素を含む供給流を使用するとき、複合供給流のグルコース成分のみが監視されるよう選択され得る。この流れのグルコース成分の代謝から得たデータ(例えば、時間の関数としての消費速度)は、K1、K21、およびK22を生成するために使用され得る。一般に、高度に利用される、または細胞成長、生存能、および生成に必須である基質を追跡することが好ましい。 初期K値は、次に、全供給混合物に関して最適化される。供給物は、様々な濃度で複数の基質を含むため、最適な性能を達成するために、経験的試験が好ましい。複数の基質に関して供給関数を最適化することに加えて、成長培地は、連続供給速度に最適に適合する栄養素濃度を調節するように開発され得る。実施例 行われた実験および達成された結果を含む次の実施例は、単に図示の目的であり、限定するものと解釈されない。材料および方法細胞系 それぞれ異なるモノクローナル抗体をコードする細胞系1、細胞系2、および細胞系3の三つの細胞系を研究した。解凍し、100μg/LのIGF−1(SAFC Biosciences,Lenexa,KS)、および500nMのMTX(Bedford Laboratories,Beford,OH)で補足した後、3〜4日のスケジュールで、細胞を振とうフラスコ(Corning,NY)中で継代した。継代条件は、Thermo Electron Corporation,Waltham,MAの振とう器プラットフォームを使用して、36℃、5%CO2、ならびに125mLおよび500mLのフラスコに関しては160rpm、そして3Lのフラスコに関しては90rpmであった。 細胞系3の細胞は、0.75e6細胞/mLで、N−l槽を播種するために使用された。N生成槽は、連続供給を試験する細胞系1および最初の細胞系2の実験に関しては、1.0e6細胞/mLで播種された。後の細胞系2および細胞系3の実験は、1.4e6細胞/mLで播種された。生成持続時間は、結果および考察のセクションで記載されるように、異なる細胞系により変動した。 ボーラス供給戦略は、細胞系間で変動する。供給容量および供給日は、下の結果および考察のセクションでより詳細に記載される。ボーラスグルコース供給は、2日目に開始され、6g/Lまで毎日供給された。分析技法 VCDおよび生存能はCEDEX器具(Innovatis,Germany)で測定され、代謝物はNOVA BioProfile100+(NOVA Biomedical,MA)で測定された。pHおよびガスはBioprofile pHox(NOVA Biomedical,MA)で分析され、浸透圧は浸透圧計(Advanced Instruments,Norwood,MA)で分析された。 力価は逆相HPLC分析によって測定された。分析は親和性クロマトグラフィーを利用し、プロテインAは、カラム支持体上に固定された。中性pHモノクローナル抗体(mAb)分子はFc領域を通してプロテインAに結合され、一方、宿主細胞タンパク質、条件培地成分、および緩衝液は、通過画分のカラムから溶出された。捕捉mAbは、酸性pHで溶出され、280nmのUV吸光度によって検出された。較正曲線は、線形回帰分析を使用して、汎用mAb基準および対応するピーク面積から導かれた。次に、試験サンプル中のmAbの濃度は、較正曲線、ならびに汎用mAb基準および試験されたmAbからの吸光係数の割合から計算された。結果および考察連続供給方法とボーラス供給方法の比較 連続供給関数を試験し、ボーラス供給を使用する細胞培養物の機能と比較して、細胞培養物がどのように機能するかを研究するために、第一のモデル細胞系として、細胞系1を使用した。目的の一つは、細胞培養物流加の実行可能な代替えとしての連続供給モデルの用途を示すためである。連続的にグルコースを供給し、所定の範囲内の濃度を維持するために供給関数を使用する能力は、別の目的であり、手動のボーラスグルコース供給に対する改善である。 細胞系1に関して試験されたボーラスプロセスは、13日の生成プロセスであった。ボーラスグルコースは、毎日、最大6g/Lまで添加された。ボーラス供給は、それぞれ138mLの容量で、5、7、9日目に添加され、合計414mLの供給であった。 供給関数を適用するために、K値が決定される必要がある。理論的アプローチを使用して、K1値は、比グルコース消費速度、ならびに供給開始時の初期グルコース、生細胞密度、および培養物容量レベルを使用して、方程式(4)によって近似され得る。K21値およびK22値は、線形線を細胞系の比成長速度の時間的経過に適合することによって近似され得、K21は勾配であり、K22はy切片である。 K1、K21、およびK22を決定する理論的アプローチは、最初はその容易さおよび単純さが好まれたが、最終的には、より正確なK値を提供する経験的アプローチを探求することが決定された。経験的アプローチを使用することにより、K値は、ボーラス供給の実行から生成された実際のグルコース消費容量データに一致するよう供給関数Fを適合することにより決定された。図1は、供給関数容量方程式がどのように経験的グルコース容量消費データ曲線に密接に適合するかの一例をグラフにより図示する。このデータ一式に関して、適合度は、K1=0.04、K21=−0.00015、およびK22=0.0348のK値を生成した。よって、このK値一式は、試験の一条件として使用された。同様に、異なるK値一式も、供給関数容量方程式を他のボーラス供給実行のグルコースデータに適合することによって生成された。 グルコース消費容量曲線に最も適合するいくつかのK値一式は、評価のために選択された。図2は、細胞系1に関して試験された三つの連続グルコース供給関数を示す。それぞれの供給関数のK値は、説明文に記載される。供給関数のそれぞれは、異なる流速プロファイルを生成し、異なる総グルコース容量が添加される。これらは、どれが生成を通して範囲内に一貫してグルコース濃度を最良に維持するかを見るために、経験的に試験された。 三つの異なる連続栄養素混合物供給プロファイルは、上述の連続グルコース供給(K1=0.0504、K21=−0.00015、K22=0.0331)のうちの一つとも組み合わせて試験された。一つは、細胞培養物の性能に対する線形容量送達プロファイルを評価する、2.875mL/時間の一定の連続供給速度であった。他の二つの連続供給は、本来指数関数的である供給関数を利用した(図3)。これら二つの連続供給実行のK定数は、単純に、図1に記載される他の二つの連続グルコース供給実行の同じK21値およびK22値を使用することによって導かれ、5〜9日目の範囲にわたって供給される414mLの総容量に一致するようにK1を逆算する。試験されたこれらのK定数は、供給関数のK値を評価するための単なる開始点として機能する。これらの連続供給実行は、図3に示される、標準ボーラス供給実行と比較された。ボーラス供給は、それぞれ、138mLで三回行った。四つ全ての供給戦略は、生成の最後で、414mLの同じ総容量を送達するように設計された。したがって、細胞培養の性能におけるいずれの相違は、単に異なる供給戦略の傾向に起因し、供給された容量に起因しないだろう。要約すると、一つはグルコース、もう一つは栄養素混合物の、二つの連続供給流を使用する実行があった。条件の一つは、供給関数を使用する連続グルコース供給と対の一定の流速の栄養素混合物の連続供給であった。他の二つは、上記の一定流と同じ連続グルコース供給と対の二つの異なる連続栄養素混合物供給であった。四つ目は、標準的なボーラスグルコースとボーラス栄養素の混合物供給実行であった。 図4は、細胞株2に適用される連続供給モデルの結果を示す。図4aのデータは、連続グルコース供給が一貫して所定のグルコース濃度の既定範囲内の残留グルコース濃度を良好に維持することができることを示す。塗りつぶされた丸(●)によって表される実行は、二重連続グルコース(K1=0.0504、K21=−0.00015、K22=0.0331)および供給(K1=0.96678、K21=−0.00015、K22=0.0288)の実行である。この実行のグルコース濃度範囲は2〜4g/Lに維持された。白の丸(○)で表されるボーラスグルコースは、毎日6g/Lまでの手動供給の結果として、予測され、典型的に観察された振動パターンを示した。他の連続グルコース実行は、経時的により高いグルコースを蓄積するか、または低いグルコースで終了した。図4aに示される結果は、生成を通して望ましい一定のグルコースレベルを達成するために、供給関数が経験的に最適化され得ることを示す。要約すると、連続グルコース供給は自動化方式で設定範囲内に培養物中のグルコース濃度を維持し、一方、ボーラスグルコースは振動挙動を引き起こし、望ましい安定した一定のプロファイルではなかったことが観察された。 図4bは、連続供給実行がボーラス供給実行より低い浸透圧を維持したことを示す。これは、連続グルコース供給が、毎日固定量までの単純なボーラス供給よりも、細胞が必要とする量で培養物に供給されるように設計されたという事実による可能性がある。連続供給はまた、栄養素レベルを細胞の取り込みに良好に一致させることによって浸透圧を低下させた可能性がある。細胞はより効率的に栄養素を代謝し、典型的にボーラス供給の場合において観察されるような環境の急激な変化を受けない。 図4cは、連続供給細胞の細胞生存能が、ボーラス供給アプローチを使用して供給された細胞と同等であることを示す。細胞の生存能は二つのアプローチ間で同等であるが、図4dは、連続グルコースを伴う連続供給を適用するとき、細胞密度(IVCD)が大幅に改善されることを示す。この効果は、同じ連続グルコース(K1=0.0504、K21=−0.00015、k22=0.0331)と組み合わせた、連続供給K定数(K1=0.96678、K21=−0.00015、K22=0.0288)、および(K1=0.59499、K21=−0.00015、K22=0.0348)の二つの異なる一式を使用した、塗りつぶされた三角(▲)および塗りつぶされた丸(●)の両方の実行に関して観察された。一定供給速度および他の二つの実行と同じ連続グルコースを使用した、塗りつぶされたひし形(◆)によって表される連続供給実行は、ボーラス供給実行(白の丸(○))と同じIVCDを生成したのみであった。この観察は、供給関数の指数関数的プロファイルが細胞成長を改善するための栄養素送達において一定供給およびボーラス供給の両方よりも優れていることを示唆する。塗りつぶされた三角(▲)および塗りつぶされた丸(●)のこれらの実行の力価も、実行の中で最も高く、対照ボーラス供給実行(白の丸(○))より約7%高かった。供給関数のK定数のさらなる最適化により、連続供給の力価がボーラス供給に対して改善され得ることが可能である。これらの実行の乳酸塩およびアンモニウムの両方のプロファイルは、非常に類似することに留意する。細胞系2に適用される連続供給方法 細胞系2も、連続供給関数を使用して試験された。細胞系1の研究で行われたように、連続グルコース供給のK値は、ボーラス供給実行から生成された実際のグルコース消費データに一致するように供給関数を適合することによって決定された。連続供給のK値は、連続グルコースからのK21およびK22の変動に基づいても導かれ、K1は、設定時間内で送達される総容量を使用して逆算された。対照プロセスは16日間である。ボーラスグルコースは、毎日、最大6g/Lまで添加された。ボーラス供給は、それぞれ108mLで5、7、9、11、および13日目に添加され、供給は合計540mLであった。換言すれば、二重連続供給実行において、連続グルコース供給のK値は同じに保たれ、連続栄養素混合物供給のK値のみが変動した。 図5は、細胞系2に適用される連続供給方法の結果を示す。試験された連続グルコースの二つの変動は、(K1=0.105、K21=−0.000051、K22=0.0155)および(K1=0.069、K21=−0.000048、K22=0.018)であった。(K1=0.105、K21=−0.000051、K22=0.0155)は、全ての二重連続グルコースおよび供給実行に使用された。図5aは、経験的展開により、3〜6g/Lの特定の範囲内にグルコース濃度を一貫して維持することが可能であることを示す。この範囲を達成する実行は、連続供給(k1=2.3821、k21=−0.00006、k22=0.0092)を伴う、連続グルコース(K1=0.105、K21=−0.000051、K22=0.0155)を使用する塗りつぶされた四角形(■)である。 図5bは、連続グルコースの細胞密度(IVCD)およびボーラス供給実行(白のひし形(◇))、ならびに二重連続グルコースおよび連続供給実行(塗りつぶされた四角形(■))は、ボーラス供給対照実行(*)に対して大幅に改善されたことを示す。 図5cは、540mLの同じ量の供給容量が供給されても、異なる連続供給関数が、いくつかの力価は低く、他は高い、幅広い力価の変動を生成する可能性があることを示す。ボーラス供給に対して改善された力価を示した実行は、ボーラス供給(白のひし形(◇)を伴う連続グルコース供給(K1=0.105、K21=−0.000051、K22=0.0155)であった。この実行の力価は、5.5g/Lの対照ボーラス供給に対して6g/Lであった。細胞生存能も変動し、いくつかの連続供給プロファイルはボーラス供給に一致し、いくつかは低かった。このデータは、異なる連続供給のK値の応答の範囲を示し、K値の範囲での最適化の可能性を図示する。細胞系2を使用した連続供給方法における高容量の試験 別の実験では、ボーラス供給プロセスは、4および5日目に84mL、7、9、11、および13日目に108mLに変更され、供給の合計は600mLであった。この修正により供給日が一日さらに追加され、前の条件より供給が60mL多い。K値は、図5に示されるデータに基づき、連続グルコースおよび連続供給の方程式用にさらに改良された。グルコースのK値は、細胞系2の修正されたグルコース消費データに良好に適合する(K1=0.215、K21=−0.000003、K22=0.003)に変更された。この研究では、図6に示されるように、条件は四つであった。第1の条件(白のひし形(◇))は、対象ボーラスグルコースおよび供給である。第2の条件(白の三角(Δ))は、ボーラス供給と併用して連続グルコース(K1=0.215、K21=−0.000003、K22=0.003)を使用する。第3の条件(塗りつぶされた三角(▲))は、連続供給(K1=1.8744、K21=−0.000003、K22=0.003)と併用して、同じ連続グルコースK値を使用する。第4の条件(塗りつぶされたひし形(◆))は、連続供給(K1=2.0827、K21=−0.000003、K22=0.003)と併用して、同じ連続グルコースK値を使用する。ボーラス供給条件および第四の条件の連続供給は全て、合計600mLの同じ供給量を送達する。第三の条件の連続供給は、比較のため、前の合計の540mLを送達するように設定された。第三および第四の条件における容量の相違にも関わらず、連続供給傾向曲線は、両方の関数が同じK21値およびK22値を共有するため、同じであることが予測された。K21値およびK22値は同じままであったが、より高い規模の供給速度を命令するK1値は高い。この場合、供給曲線全体が、低いK1供給曲線より上に推移する。全ての実行は、4日目から13日まで同じ時間枠内で供給送達された。 この研究では、連続グルコースの残留グルコース濃度は、白の三角(Δ)の実行に関して、3〜5g/Lの厳密な範囲内に制御された。二重連続グルコースおよび供給の残留グルコースは変動が多いが、その変動は、ボーラスグルコース供給(1〜6g/Lの範囲を有した)よりもまだ小さいため、尚許容可能であった。 図6aは、連続供給と併用して連続グルコースを使用することにより、力価が改善されることを示す。両方の連続供給条件は約8.4g/Lの力価に達し、これは、いずれの細胞系2プロセスで観察された最も高い力価である。ボーラス供給実行の力価傾向は、早ければ11日目で連続供給実行に後れを取った。容量生産能も連続供給実行において高かった。 図6cは、細胞生存能がボーラス供給実行に対して連続供給実行で高いことを示す。この研究では、600mLのより高い連続供給容量は、細胞生存能に関して540mLの供給容量よりも良好であった。また、生成の終了時、細胞生存能に関して、ボーラス供給よりも9%高かった。同じような改善は、図6dに示されるように、600mLの供給を送達する連続供給を使用するIVCDに関しても観察された。生成の終了時、この連続供給は、540mLの連続供給の187×106細胞日/mL、およびボーラス供給対照の170×106細胞日/mLに対して214×106細胞日/mLに達した。これは、IVCDにおいて、最良の連続供給のボーラス供給に対して約26%の改善である。 連続供給容量の継続実験では、600mLの対照ボーラス供給と平行して、連続供給の二つのさらなる変形が試験された。第一の条件(白の丸(○))は、5日目から開始され、13日目まで継続される(K1=2.6503、K21=−0.000003、K22=0.003)の連続供給を利用した。連続供給は前の4日目より一日遅く開始されたため、K1は前の連続供給の2.0827より高かったが、総供給量は、尚600mLであった。K21値およびK22値は、尚前の連続供給と同じであった。この条件は、同じ総容量を維持しながら、連続供給開始の遅れを試験する。第二の条件では、(K1=2.2910、K21=−0.000003、K22=0.003)の連続供給が試験され、これは4日目から13日目まで適用された。これは、対照ボーラス供給と同じ開始時間および終了時間である。より高い660mLの総容量を試験するために、K1は2.0827から2.2910に増加された。これらの二つの連続供給条件に関して、両方ともボーラスグルコースと併用された。目的は、連続グルコースなしでの連続供給単独での効果を理解するためであった。 図7aおよび7bは、力価および容量生産能が連続供給条件の両方でわずかに改善されたことを示す。図7cは、生存能が連続供給条件で大幅に改善されたことを示す。これは、図6の条件で前に観察された。図7dは、図5に見られる大幅な改善とは対照的に、IVCDが連続供給条件でわずかに改善したのみであったことを示す。細胞系3における連続供給方法の試験 細胞系3は、連続供給関数を使用して試験された。対照ボーラス供給プロセスは、4日目に84mL、6日目に108mL、および8日目に108mLを供給し、総量は300mLである。プロセス全体は12日であった。ボーラスグルコースと併用される連続供給条件の一つが試験された。何も展開させることなく、細胞系2を使用する前の研究からの同じ−0.000003のK21および0.003のK22が使用された。4日目から開始して8日目まで合計300mLを供給するために、K1は2.7233であると計算された。 細胞系3のデータは、連続供給がボーラス供給に対して4.2g/Lから4.5g/Lの力価に改善されたことを示した(図8a)。比生産能qpも、連続供給で8日目から12日目まで高かった(図8b)。細胞生存能、IVCD、乳酸塩、およびアンモニウムのプロファイルにおいて、有意差はなかった。結果は、細胞系3の力価が大幅に改善されることを示す。結論 細胞系1、2、および3の研究は、ボーラス供給の代わりに良好に適用され得る細胞培養の新規および有効なフィードバックを伴わないプログラムされた連続供給モデルを示す。三つの異なる細胞系が試験され、ボーラス供給と比較して、様々な利益が観察された。細胞系1に関して、浸透圧プロファイルは低く、IVCDは高いことが示された。細胞系2に関して、力価、容量生産能、細胞生存能、およびIVCDが全て連続供給で改善され得ることを示した。細胞系3に関して、力価および比生産能が連続供給で改善され得ることを示した。 細胞培養物の性能の改善に加えて、連続供給方法が生成を通して望ましい範囲内に一貫してグルコースを維持するためにも使用され得ることを示した。これは、手動ボーラス供給の必要性を排除し、その結果、人の介入の必要性を排除し、資源を節約するため、望ましく、有益である。連続供給方法は、実行前に予めプログラム化され、オペレータの介入が排除されるため、本プロセスは、十分に展開された強固なK値を有する実行間で一貫性がある。良好な二重連続グルコースおよび供給実行の例は、細胞培養物供給の完全な自動化が有効であることを示す。 これらの研究の結果は、開示される連続供給方法が細胞培養物の成長およびタンパク質生成の性能を強化し、本方法が従来のボーラス供給戦略に取って代わり得ることを示す。 本明細書に引用される各参考文献は、教示する全ておよび全ての目的において、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。 本開示は、本開示の個々の態様の図示を目的とする、本明細書に記載される特定の実施形態による範囲に限定されず、機能的に等価な方法および構成要素は本開示の態様を形成する。実に、本明細書に示され、記載されるものに加えて、開示の様々な修正は、前述の説明および添付の図面から当業者には明らかとなるであろう。そのような修正は、付属の特許請求の範囲内に入るものとする。 フィードバック制御を採用しないで、哺乳類細胞培養物に連続的に供給する方法であって、 (a)哺乳類細胞および培地を含む哺乳類細胞培養物を含む槽を提供すること、 (b)栄養素の消費速度(K1)、前記細胞培養物の成長速度(K21)および成長速度(K22)の好ましい値を決定すること、 (c)前記細胞培養物に連続供給流を付与するように適合される装置であって、流速Fで前記培養物に連続的に供給するように適合されるコントローラモジュールを備える装置を提供すること、ここで、 Fは、K1exp(K21t2+K22t)として定義され、 tは、前記供給流がバイオリアクターに添加される時間から前記供給流が停止される時間までの持続時間であり、 K1、K21、およびK22は、(b)で決定された値である、および (d)前記細胞培養物の連続供給を開始するために、前記コントローラモジュールを起動させること、を含む、方法。 K1、K21、およびK22が、経験的に決定される、請求項1に記載の方法。 K1、K21、およびK22が、モデル化される、請求項1に記載の方法。 コントローラモジュールが、コンピュータを備える、請求項1に記載の方法。 供給流が、複数の栄養素を含む、請求項1に記載の方法。 請求項1に記載の方法であって、細胞培養物の浸透圧が、前記方法を通して一定のままである、方法。 栄養素が、グルコースである、請求項1に記載の方法。 哺乳類細胞培養物が、CHO細胞培養物である、請求項1に記載の方法。 コントローラモジュールが、予め選択された細胞培養物中の乳酸レベルに応答して起動される、請求項1に記載の方法。 コントローラモジュールが、予め選択された細胞培養物中のグルコースレベルに応答して起動される、請求項1に記載の方法。 コントローラモジュールが、予め選択されたアミノ酸のレベルに応答して起動される、請求項1に記載の方法。 アミノ酸が、アスパラギンである、請求項11に記載の方法。 アミノ酸が、グルタミンである、請求項11に記載の方法。 供給流が、二つ以上の栄養素を含む、請求項1に記載の方法。 細胞培養物の成長および維持に使用するための、バイオリアクターにおける基質の質量平衡に基づく、フィードバックを伴わない予めプログラムされた連続供給法が提供される。開示される方法は、器具、プローブ、またはオペレータのフィードバックに依存しない。本方法は、ボーラス供給の効率的かつ有効な代替手段を提供する。【選択図】なし