生命科学関連特許情報

タイトル:公表特許公報(A)_ピキア属酵母と様々なホップ品種群の組み合わせによるビールの風味向上
出願番号:2014525257
年次:2014
IPC分類:C12C 11/02,C12C 3/00


特許情報キャッシュ

ソフィー サレンズ ヤン ヘンドリク スウィーゲルス JP 2014525257 公表特許公報(A) 20140929 2014527691 20120903 ピキア属酵母と様々なホップ品種群の組み合わせによるビールの風味向上 セーホーエル.ハンセン アクティーゼルスカブ 503260310 青木 篤 100099759 石田 敬 100077517 福本 積 100087871 古賀 哲次 100087413 渡辺 陽一 100117019 中島 勝 100141977 武居 良太郎 100150810 ソフィー サレンズ ヤン ヘンドリク スウィーゲルス EP 11179862.5 20110902 C12C 11/02 20060101AFI20140902BHJP C12C 3/00 20060101ALI20140902BHJP JPC12C11/02C12C3/00 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC,VN EP2012067076 20120903 WO2013030398 20130307 44 20140228 本発明は、ビール醸造の分野及びビールの風味向上に関する。特に、本発明は、ホップとピキア属菌種(Pichia spp.)酵母株との相互作用があって、ビールの風味を向上させるピキア属菌種(Pichia spp.)(種)を用いたホップ添加麦汁の発酵工程を含むビールの醸造方法に関する。 各ビールが、大麦麦芽、ホップ、酵母発酵、及び他の原料に由来する多くの風味化合物を含んでいる。しかしながら、発酵中に、最も重要な風味化合物が形成されるので、酵母発酵がビール醸造工程の中核を成す。発酵とは、酵母が麦汁中の単糖をエタノールと二酸化炭素に代謝する工程である。しかしながら、これらの成分は、ビールの風味全体に対して比較的わずかにしか貢献していない。 わずかな風味揮発成分の結果としてたらされるビールの香り及び風味特性は、発酵中に酵母によって産生される。他の重要な因子はホップである。醸造に使用される2種類のホップ:ビターホップとアロマホップ、が存在する。ビターホップは、ラガービールに使用されて、更なる苦味をビールに与える。アロマホップは、特殊なビールに使用されて、風味を向上させる。 種培養の使用は酵母産業において慣例である。しかしながら、ビール産業において、特定の酵母株を使用することには2つの主な目的:生産工程の効率を改善すること及び良質な最終製品を得ること、があるので、純粋な酵母株は、醸造において望まれるすべての最適な形質を兼ね備えていないことがほとんどである(Saerens et al. 2010)。更なる、飲食料品業界におけるより最近の傾向は、ヒトの健康をサポートする飲料の製造である。例えば、醸造業は、より低いアルコール及び糖質を有するビールの製造に注目した研究に力を入れた。 良質のビールを確保するために、「悪い」風味の低減及び望ましい風味の向上が醸造業の切迫した課題である。悪い風味の低減は、「バタースコッチ」臭を有するビールの望ましくない風味化合物であるジアセチルの減産に絞られる。ビールの最も望ましい風味化合物は、エステル及び高級アルコールであり、ビールにフルーティーな香りを与える(Verstrepen et al. 2003)。ビールの最も重要な風味活性エステルは、酢酸エチル(「溶媒」様の香り)及び酢酸イソアミル(「バナナ」の香り)などの酢酸エステル、並びにヘキサン酸エチル及びオクタン酸エチルなどのエチルエステル(「リンゴ」の香り)である。最も重要な高級アルコールは、イソアミルアルコール(「バナナ」の香り)である。より健康な飲食料品を求める需要拡大のため、アルコール飲料(特にビールとワイン)中のエタノール及び炭水化物の低減は、多くの商工業の着目するところである。低アルコールビール、減アルコールビール、及びノンアルコールビールの現在の製造法、すなわち、改変された発酵又は発酵後のエタノール除去は、それぞれ麦汁のような味又は風味成分の損失のいずれかをもたらす(Zufall and Wackerbauer 2000)。アルコール不含ラガービールにおいて、エタノールの不存在(0.1%未満)は、冷接触法で製造されるビール中のあらゆる「麦汁の(worty)」異臭を増強する。 飲料の官能特性の改善と新しい飲料の開発は、バイオフレーバリング(bioflavoring)(Vanderhaegen et al. 2003)。この技術は、特別な酵母株の使用などの生物学的方法によって風味化合物及び風味前駆体の製造及び変換にある。伝統的に、醸造者は2つのタイプの醸造酵母:それぞれエールとラガーの製造のためのその利用に従って、エール酵母とラガー酵母、を区別した。エール及びラガー醸造酵母はサッカロミセス属:S.セレビシエ(S. cerevisiae)(エール酵母)及びS.パストリアヌス(S. pastorianus)(ラガー酵母)、に属す。ラガー酵母はピルスナービールの製造に使用され、それは、世界中で製造されるビールの90%を占める。他の10%は、エール酵母によって作り出される特殊なビールである。ベルギーでは(そして現在、USAでも)、他の1つの酵母種、ブレタノミセス・ブルクセレンシス(Brettanomyces bruxellensis)が、ランビックビール及びグーズビールの製造に使用される(Verachtert et al. 1989)。これは、多くの非サッカロミセス株が使用されて、自然発生的な発酵の「野生の」特徴を高めるワイン産業との大きな違いである(Domizio et al. 2011)。 これらの菌株は今日、Christian HansenやLallemandなどの会社を通してワイン産業に向けて市販されている。 国際特許出願WO2009/110807は、発酵工程における使用のための酵母株及び非サッカロミセス属酵母株の使用による発酵の製品中の風味を向上する方法に関する。WO2009/110807は、ワインの発酵に関し、ビール醸造における非サッカロミセス種の使用について言及しない。 どんな研究もビール中のエステル及び高級アルコールのレベルに対する非サッカロミセス種の効果を調べていない。また、ごく少数の研究しかビール中のホップ風味に対する酵母の影響に関して報告していない。現在までに3つの研究で、ビール中のホップテルペノイドの増強に対するサッカロミセス属(Saccharomyces)種又はブレタノミセス属(Brettanomyces)種のいずれかの影響を報告する(King and Dickinson, 2003, Daenen et al. 2007及びTakoi et al. 2010)。 国際特許出願WO2008/077986は、発酵中にモノテルペンシンターゼをコードした遺伝子を発現する、遺伝子組み換え微生物を使用することによって高い及び/又は様々な芳香族テルペン量を有するアルコール飲料を製造する工程を記載する。このWO2008/077986の中で、ピキア属は、(例えば、サッカロミセス属などの他の酵母株と一緒に)アルコール飲料を発酵させることが理論的に可能な酵母株の一覧の中で言及されている(ビールは、ワイン、カバ、シャンパン、シードル及びサケなどの他のアルコール飲料と一緒に例として言及されている)。言い換えれば、ビール造りのためのピキア属菌種(Pichia spp.)の使用は、WO2008/077986の中に正確及び明白に開示されていない。 独国特許DD288619A5は、ビール麦汁を発酵させるためのピキア属酵母の使用を記載する。ビール麦汁にはホップが加えられていない。 発酵工程において化合物の存在及び量を制御する生物学的過程の理解は非常に望ましい。特に、醸造者にとって、ビール中の酢酸エステルの量とタイプを調整できるのは非常に有益である。ビール中のホップ風味と組み合わせて、エステル及び高級アルコール、特に酢酸イソアミルの量の調整は、醸造者が、彼らの製品中のこれらの望ましい風味の量をより正確に変更することを可能にする新技術の開発を可能にするだろう。そのため、そのような技術には、大きな商品価値があるだろう。それに加えて、風味向上は、低アルコールビール、減アルコールビール又はノンアルコールビールを製造する有用な方法であり得る。低アルコールビール、減アルコールビール又はノンアルコールビールの製造に関する問題は、エタノールの除去又は麦汁の低濃度のいずれかによる麦汁のような味又は香り化合物の損失である。 これにより、ビールにおいて望ましい風味向上のための改善された工程の必要性が存在している。 本発明によって解決すべき課題は、エステルや高級アルコールなどの望ましい風味化合物の存在が高められる新しいビール醸造方法の提供に関する。 解決策は、従来の醸造酵母によるホップ添加麦汁の発酵前又は発酵と同時に、ピキア属菌種(Pichia spp.)酵母株によりホップ添加麦汁を発酵させることを含む方法を使用することによって、当業者が改善された風味プロフィールを有するビールを作り出すことができるという、発明者による驚くべき知見に基づいている。 従って、本発明の第一の態様は、以下の工程: a)麦汁を調製する工程; b)少なくとも1つのホップ品種を加えて、ホップ添加麦汁を得る工程; c)ピキア属菌種(Pichia spp.)酵母株である第一の酵母株によりホップ添加麦汁を発酵させる工程;そして d)サッカロミセス属(Saccharomyces)種とブレタノミセス属(Brettanomyces)種から成る群に属する第二の酵母株によりホップ添加麦汁を発酵させて、ビールを得る工程、を含むビール醸造方法に関する。 本発明の第二の態様は、本発明の第一の態様による方法によって得ることができるビールに関する。 本発明の第三の態様は、ビールの風味向上のためのピキア属種の使用に関する。 本発明の第四の態様は、ビール醸造のためのピキア属種の使用に関する。図1は、5日目(d5)及び13日目(d13)に採取した、20℃での連続発酵と対照発酵による発酵産物中のアセトアルデヒド濃度を示す。con=対照発酵とseq=連続発酵。図2は、5日目(d5)及び13日目(d13)に採取した、22℃での連続発酵と対照発酵による発酵産物中のアセトアルデヒド濃度を示す。con=対照発酵とseq=連続発酵。図3は、5日目(d5)及び13日目(d13)に採取した、20℃での連続発酵と対照発酵による発酵産物中の酢酸エチル濃度を示す。con=対照発酵とseq=連続発酵。図4は、5日目(d5)及び13日目(d13)に採取した、22℃での連続発酵と対照発酵による発酵産物中の酢酸エチル濃度を示す。con=対照発酵とseq=連続発酵。図5は、5日目(d5)及び13日目(d13)に採取した、20℃での連続発酵と対照発酵による発酵産物中の酢酸イソブチル濃度を示す。con=対照発酵とseq=連続発酵。図6は、5日目(d5)及び13日目(d13)に採取した、22℃での連続発酵と対照発酵による発酵産物中の酢酸イソブチル濃度を示す。con=対照発酵とseq=連続発酵。図7は、5日目(d5)及び13日目(d13)に採取した、20℃での連続発酵と対照発酵による発酵産物中の酢酸イソアミル濃度を示す。con=対照発酵とseq=連続発酵。図8は、5日目(d5)及び13日目(d13)に採取した、22℃での連続発酵と対照発酵による発酵産物中の酢酸イソアミル濃度を示す。con=対照発酵とseq=連続発酵。図9は、5日目(d5)及び13日目(d13)に採取した、20℃での連続発酵と対照発酵による発酵産物中の酢酸ヘキシル濃度を示す。con=対照発酵とseq=連続発酵。図10は、5日目(d5)及び13日目(d13)に採取した、22℃での連続発酵と対照発酵による発酵産物中の酢酸ヘキシル濃度を示す。con=対照発酵とseq=連続発酵。図11は、5日目(d5)及び13日目(d13)に採取した、20℃での連続発酵と対照発酵による発酵産物中のプロピオン酸エチル濃度を示す。con=対照発酵とseq=連続発酵。図12は、5日目(d5)及び13日目(d13)に採取した、22℃での連続発酵と対照発酵による発酵産物中のプロピオン酸エチル濃度を示す。con=対照発酵とseq=連続発酵。図13は、5日目(d5)及び13日目(d13)に採取した、20℃での連続発酵と対照発酵による発酵産物中の酪酸エチル濃度を示す。con=対照発酵とseq=連続発酵。図14は、5日目(d5)及び13日目(d13)に採取した、22℃での連続発酵と対照発酵による発酵産物中の酪酸エチル濃度を示す。con=対照発酵とseq=連続発酵。図15は、5日目(d5)及び13日目(d13)に採取した、20℃での連続発酵と対照発酵による発酵産物中の吉草酸エチル濃度を示す。con=対照発酵とseq=連続発酵。図16は、5日目(d5)及び13日目(d13)に採取した、22℃での連続発酵と対照発酵による発酵産物中の吉草酸エチル濃度を示す。con=対照発酵とseq=連続発酵。図17は、5日目(d5)及び13日目(d13)に採取した、20℃での連続発酵と対照発酵による発酵産物中のヘキサン酸エチル濃度を示す。con=対照発酵とseq=連続発酵。図18は、5日目(d5)及び13日目(d13)に採取した、22℃での連続発酵と対照発酵による発酵産物中のヘキサン酸エチル濃度を示す。con=対照発酵とseq=連続発酵。図19は、5日目(d5)及び13日目(d13)に採取した、20℃での連続発酵と対照発酵による発酵産物中のオクタン酸エチル濃度を示す。con=対照発酵とseq=連続発酵。図20は、5日目(d5)及び13日目(d13)に採取した、22℃での連続発酵と対照発酵による発酵産物中のオクタン酸エチル濃度を示す。con=対照発酵とseq=連続発酵。図21は、5日目(d5)及び13日目(d13)に採取した、20℃での連続発酵と対照発酵による発酵産物中のデカン酸エチル濃度を示す。con=対照発酵とseq=連続発酵。図22は、5日目(d5)及び13日目(d13)に採取した、22℃での連続発酵と対照発酵による発酵産物中のデカン酸エチル濃度を示す。con=対照発酵とseq=連続発酵。図23は、5日目(d5)及び13日目(d13)に採取した、20℃での連続発酵と対照発酵による発酵産物中のイソブタノール濃度を示す。con=対照発酵とseq=連続発酵。図24は、5日目(d5)及び13日目(d13)に採取した、22℃での連続発酵と対照発酵による発酵産物中のイソブタノール濃度を示す。con=対照発酵とseq=連続発酵。図25は、5日目(d5)及び13日目(d13)に採取した、20℃での連続発酵と対照発酵による発酵産物中のイソアミルアルコール濃度を示す。con=対照発酵とseq=連続発酵。図26は、5日目(d5)及び13日目(d13)に採取した、22℃での連続発酵と対照発酵による発酵産物中のイソアミルアルコール濃度を示す。con=対照発酵とseq=連続発酵。図27は、完成されたビール中のアセトアルデヒド濃度を示す。図28は、完成されたビール中の酢酸エチル濃度を示す。図29は、完成されたビール中の酢酸イソアミル濃度を示す。図30は、完成されたビール中のプロピオン酸エチル濃度を示す。図31は、完成されたビール中の酪酸エチル濃度を示す。図32は、完成されたビール中の吉草酸エチル濃度を示す。図33は、完成されたビール中のヘキサン酸エチル濃度を示す。図34は、完成されたビール中のオクタン酸エチル濃度を示す。図35は、完成されたビール中のデカン酸エチル濃度を示す。図36は、完成されたビール中のイソブタノール濃度を示す。図37は、完成されたビール中のイソアミルアルコール濃度を示す。図38は、ピキア属を用いて又は用いることなく調製したビール中のチオール3−メルカプトヘキサノールと酢酸3−メルカプトヘキシルの濃度を示す。 発明の詳細な説明 定義 「麦汁」という用語は、本明細書中では、当該技術分野における従来の意味を有し、ビール醸造の麦芽汁作製工程から抽出された甘い液体を指す。 「ビール」という用語は、本明細書中で使用される場合、少なくとも麦芽穀類(malted cereals)から調製されたもろみ(mashes)並びに非麦芽穀類から調製されたもろみ、そして、麦芽穀類と非麦芽穀類の混合物から調製されたもろみから調製されたビールを指す。「ビール」という用語はまた、添加物及びすべての予想されるアルコール度のビールによって調製されたビールも指す。 「減アルコールビール」という用語は、本明細書中では、1.2%〜4.2%アルコール含有量(ABV)のアルコール度を有するビールを指す。 「低アルコールビール」という用語は、本明細書中では、0.5%〜1.2%ABVのアルコール度を有するビールを指す。 「ノンアルコールビール」という用語は、本明細書中では、0.5%ABV未満のアルコール度を有するビールを指す。 「ホップ添加麦汁」という用語は、本明細書中では、麦汁の沸騰前又は沸騰後にホップが加えられた麦汁を指す。 「遺伝子組み換え生物」という用語は、本明細書中では、1996年にオーガニック貿易協会(Organic Trade Association)によって規定された意味を有し、自然界の条件又は過程の下では不可能な手段によって生物体の分子生物学又は細胞生理学を変更する技術を用いて作製された酵母などの微生物などの生物体を指す。「非遺伝子組み換え」という用語は、本明細書中では、異種遺伝子を含まない微生物を指す。 本文脈において、用語「突然変異体」は、例えば遺伝子工学、放射線及び/又は化学剤処理を用いた本発明の株由来の株として理解されるべきである。突然変異体は、機能的に同等の突然変異体、例えば、母株と実質的に同一の、又は(例えば、望ましいビール風味化合物の向上に関する)改善された特性を有する突然変異体である。そのような突然変異体は、本発明の一部である。特に、用語「突然変異体」は、例えばエチルメタンスルホネート(EMS)又はN−メチル−N’−ニトロ−N−ニトロソグアニジン(NTG)、UVライトのような化学的変異原との処理を含む、任意の従来使用される変異誘発処理に本発明の株をかけることによって得られる株、又は自然発生突然変異体を指す。変異体は、いくつかの突然変異誘発処理にかけられてもよかったが(1つの処理とはスクリーニング/選択工程がそのあとに続く1つの突然変異誘発工程と理解されるであろう)、しかし、現在では、20未満、10未満、又は5未満の処理(又はスクリーニング/選択工程)しか実施しないことが好ましい。現在の好ましい変異体では、母株と比較して、酵母ゲノムのヌクレオチドの5%未満、1%未満又はたった0.1%未満しか別のヌクレオチドに交換されていないか、又は欠失していない。本文脈において、用語「バリアント」は、例えば、実質的に同一の、又は(例えば、望ましいビール風味化合物の向上に関する)改善された特性を有する、本発明の株と機能的に同等の株として理解されるべきである。適当なスクリーニングを使用することで同定されうるそのようなバリアントは、本発明の一部である。用語「一つの(a)」及び「一つの(an)」及び「その(the)」の使用並びに本発明に記載する本文脈における(特に、以下の請求項の構成において)同様の指示語は、本明細書において他に示されない限り、又は文脈と明らかに矛盾しない限り、単数形又は複数形の両方をカバーすると解釈される。用語「含む(comprising)」、「有する(having)」、「含む(including)」及び「含む(containing)」は、他に注意がない限り、非制限用語(すなわち、「これだけに限定されるものではないが、含む」(including, but not limited to)」を意味)として解釈される。本明細書中の数値範囲の記載は、本明細書において他に示されない限り、その範囲内にある各々別個の値を個々に示す簡略化した方法として有用であることを単に意図し、各々別個の値は、それが個々に本明細書に記載されたように本明細書中に組み込まれる。本明細書に記載されたすべての方法は、本明細書において他に示されない限り、又は文脈と明らかに矛盾しない限り、任意の適当な順序で行われ得る。本明細書において提供される任意の、及び全ての例、又は例示のための用語(例えば、「など(such as)」)は、本発明をよりよく示すことを単に意図されたものであって、他に記載されない限り、本発明の範囲において限定を課すものではない。本明細書における如何なる用語も、本発明の実施において不可欠である、請求項に記載されていない要素を示すものとして解釈されるべきではない。本発明の実施と態様 ビールの醸造工程は、当業者にとって周知であり、以下のように概説できる:モルトは、乾燥させた、発芽穀物粒(主にオオムギ又はコムギ)から調製され、非麦芽添加物を含み得るグリストへと粉砕される。グリストは、マッシュされて(水と混ぜられて、浸される)、麦芽中の酵素でデンプンを糖に変換させる。穀物粒子と添加物は、ロータリングと呼ばれる工程において液体麦汁と分離される。モルトの作製とマッシュする工程は、麦芽抽出物に水を加えることによって省略することができる。ホップ及び/又は例えば、ハーブや糖などの他の材料の添加後に、麦汁を沸騰させ(ホップは沸騰後に加えられてもよい)、冷やされ、そして、空気にさらされる。次に、麦汁は、発酵タンクに移され、醸造酵母の添加によって発酵する。典型的に5〜10日間続く一次発酵には、更なる醸造酵母を使用する二次発酵工程がその後に続き得る。発酵後に、新鮮なビール又は「グリーン」ビールが調整され、任意に濾過及び炭酸ガス添加される。 ホップは、苦味とモルトの甘味とのバランスをとるためにモルトに加えられ、望ましい風味と香りをビールに与える。これだけに限定されるものではないが、以下の品種を含めたいくつかの品種が存在する:Ahtanum、Amarillo、Apollo、Cascade、Centennial、Chinook、Citra、Cluster、Columbus、Crystal、Eroica、Galena、Glacier、Greenburg、Horizon、Liberty、Millenium、Mount Hood、Mount Rainier、Newport、Nugget、Palisade、Santiam、Simcoe、Sterling、Summit、Tomahawk、Ultra、Vanguard、Warrior、Willamette、Zeus、Admiral、Brewer’s Gold、Bullion、Challenger、First Gold、Fuggles、Goldings、Herald、Northdown、Northern Brewer、Phoenix、Pilot、Pioneer、Progress、Target、Whitbread Golding Variety(WGV)、Hallertau、Hersbrucker、Saaz、Tettnang、Spalt、Feux−Coeur Francais、Galaxy、Green Bullet、Motueka、Nelson Sauvin、Pacific Gem、Pacific Jade、Pacifica、Pride of Ringwood、Riwaka、Southern Cross、Lublin、Magnum、Perle、Polnischer Lublin、Saphir、Satus、Select、Strisselspalt、Styrian Goldings、Tardif de Bourgogne及びTradition。これだけに限定されるものではないが、以下の品種を含めた更なる品種が存在する:Bravo、Calypso、Chelan、Comet、El Dorado、San Juan Ruby Red、Satus、Sonnet Golding、Super Galena、Tillicum、Bramling Cross、Pilgrim. Hallertauer Herkules、Hallertauer Magnum、Hallertauer Taurus、Merkur、Opal、Smaragd、Halleratau Aroma、Kohatu、Rakau、Stella、Sticklebract、Summer Saaz、Super Alpha、Super Pride、Topaz、Wai−iti、Bor、Junga、Marynka、Premiant、Sladek、Styrian Atlas、Styrian Aurora、Styrian Bobek、Styrian Celeia、Sybilla及びSorachi Ace。 本発明の発明者らは、様々なホップ品種の麦汁への添加に組み合わせられると、特定のピキア属菌種(Pichia spp.)酵母株が、ビール醸造の発酵工程で有用な有利な特性を有することを思いがけなく発見した。特に、サッカロミセス属(Saccharomyces)及びブレタノミセス属(Brettanomyces)の酵母を含めたビール醸造に慣習的に使用されている酵母株を用いたホップ添加麦汁の発酵に連続して、ホップ添加麦汁をピキア属菌種(Pichia spp.)酵母株を用いて発酵するとき、ピキア属菌種(Pichia spp.)酵母株は、ホップからの望ましい風味を向上させる。 以下の実施例に概説した発酵全体の完全な風味分析から、計測したほとんどすべての化合物が、対照発酵と比較して連続発酵において高濃度で存在していることが明らかだった。発酵開始時におけるピキア属菌種(Pichia spp.)の添加が連続発酵と対照発酵との唯一の相違点であったので、これは、ピキア属菌種(Pichia spp.)株が最終的なビールの風味プロフィールに対して多大な効果を有することを意味する。酢酸イソアミル及び酢酸イソブチル、並びにプロピオン酸エチル及び吉草酸エチルなどのすべての望ましい風味化合物に大きな増大が見られたので、これは、醸造業におけるピキア属菌種(Pichia spp.)の使用の大きな可能性を示している。特に、低アルコールビール、減アルコールビール、及びノンアルコールビールに関しては、果実風味の向上は、通常存在している麦汁風味をマスクできる。これは新興成長市場であるので、これらのビール発酵におけるピキア属菌種(Pichia spp.)の使用に関して大きな可能性が得られる。 本発明のビール醸造方法は、以下の: a)麦汁を供する工程、 b)少なくとも1つのホップ品種を加えて、ホップ添加麦汁を得る工程、 c)ピキア属菌種(Pichia spp.)酵母株である第一の酵母株によりホップ添加麦汁を発酵させる工程、及び d)サッカロミセス属(Saccharomyces)種とブレタノミセス属(Brettanomyces)種から成る群に属する第二の酵母株によりホップ添加麦汁を発酵させて、ビールを得る工程、を含む。 この方法によって、当業者は、実施例に示されているように、様々な品種のホップを加えることによって、風味化合物を高め、ビールの風味プロフィールを最適化できる。 本発明の1つの好ましい実施形態において、工程c)と工程d)は連続して実施される、すなわち、ホップ添加麦汁には最初に、発酵に好適な条件下でピキア属菌種(Pichia spp.)酵母株が植菌され、それに続いてホップ添加麦汁には、発酵に好適な条件下で第二の酵母株が植菌される。 より好ましい実施形態において、工程c)における発酵は、工程d)における第二の酵母株の植菌の前に、少なくとも12時間、例えば少なくとも24時間、例えば少なくとも36時間、例えば少なくとも48時間、例えば少なくとも60時間、例えば少なくとも72時間継続される。最も好ましい実施形態において、工程c)における発酵は、少なくとも36時間継続される。 ビールの様々な風味プロフィールが、様々な品種のホップを使用することによって達成されることは、本発明の一部である。少なくとも1品種のホップが、以下の品種から成る一覧から選択され得るが、更なる品種のホップの使用もまた、本発明の一部である:Ahtanum、Amarillo、Apollo、Cascade、Centennial、Chinook、Citra、Cluster、Columbus、Crystal、Eroica、Galena、Glacier、Greenburg、Horizon、Liberty、Millenium、Mount Hood、Mount Rainier、Newport、Nugget、Palisade、Santiam、Simcoe、Sterling、Summit、Tomahawk、Ultra、Vanguard、Warrior、Willamette、Zeus、Admiral、Brewer’s Gold、Bullion、Challenger、First Gold、Fuggles、Goldings、Herald、Northdown、Northern Brewer、Phoenix、Pilot、Pioneer、Progress、Target、Whitbread Golding Variety (WGV)、Hallertau、Hersbrucker、Saaz、Tettnang、Spalt、Feux−Coeur Francais、Galaxy、Green Bullet、Motueka、Nelson Sauvin、Pacific Gem、Pacific Jade、Pacifica、Pride of Ringwood、Riwaka、Southern Cross、Lublin、Magnum、Perle、Polnischer Lublin、Saphir、Satus、Select、Strisselspalt、Styrian Goldings、Tardif de Bourgogne及びTradition。好ましい実施形態において、少なくとも1つのホップ品種は、Saaz、Nelson Sauvin、Cascade及びAmarilloから成る群から選択される。 少なくとも1品種のホップはまた、以下の品種から成る一覧から選択される:Bravo、Calypso、Chelan、Comet、El Dorado、San Juan Ruby Red、Satus、Sonnet Golding、Super Galena、Tillicum、Bramling Cross、Pilgrim. Hallertauer Herkules、Hallertauer Magnum、Hallertauer Taurus、Merkur、Opal、Smaragd、Halleratau Aroma、Kohatu、Rakau、Stella、Sticklebract、Summer Saaz、Super Alpha、Super Pride、Topaz、Wai−iti、Bor、Junga、Marynka、Premiant、Sladek、Styrian Atlas、Styrian Aurora、Styrian Bobek、Styrian Celeia、Sybilla及びSorachi Ace。 本発明の別の好ましい実施形態において、工程c)における発酵は、約12℃〜約28℃の温度にて実施される。より好ましい実施形態において、工程c)の発酵温度は、約20℃〜約22℃である。最も好ましくは、工程c)の発酵温度は、約20℃である。 好ましくは、ピキア属菌種(Pichia spp.)酵母株は、第二の酵母株による発酵中、発酵培養物中に残されている。しかしながら、ピキア属菌種(Pichia spp.)酵母株はまた、第二の酵母株の植菌前に、当業者に知られている技術によって取り除かれてもよい。 本発明の別の実施形態において、工程c)と工程d)は、工程c)の第一の酵母株と工程d)の第二の酵母株の同時植菌によって同時に実施される。 好ましい実施形態において、工程d)における第二の発酵工程は、少なくとも12時間、例えば少なくとも24時間ほど、少なくとも48時間ほど、少なくとも72時間ほど、少なくとも96時間ほど、少なくとも120時間ほど継続される。 本発明の好ましい実施形態において、ピキア属菌種(Pichia spp.)酵母株は、非遺伝子組み換え酵母株である。 本発明の別の好ましい実施形態において、ピキア属菌種(Pichia spp.)酵母株は、ピキア・クルイベリ(Pichia kluyveri)酵母株である。 好ましくは、ピキア・クルイベリ(Pichia kluyveri)酵母株は、University of Auckland, School of Biological Sciences, Auckland 1142, New Zealandによって、National Measurement Institute, 541-65 Clarke Street, South Melbourne, Victoria 3205, Australiaにて2006年8月24日に寄託され、それぞれ受入番号V06/022711及びV06/022712が与えられた、ピキア・クルイベリ(Pichia kluyveri)PK−KR1及びPK−KR2株、並びにその変異体及びバリアントから成る群から選択される。その菌株は、国際特許出願WO2009/110807に記載されている。 本発明のさらに別の好ましい実施形態において、第二の酵母株は、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、サッカロミセス・パストリアヌス(Saccharomyces pastorianus)、及びブレタノミセス・ブルクセレンシス(Brettanomyces bruxellensis)から成る群から選択される。好ましくは、第二の酵母株は、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)酵母株である。 本発明の好ましい実施形態において、ビールは、低アルコールビール、減アルコールビール又はノンアルコールビールである。 別の好ましい実施形態において、工程c)におけるピキア属菌種(Pichia spp.)酵母株の使用は、酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、プロピオン酸エチル、吉草酸エチル、オクタン酸エチル、及びデカン酸エチルから成る群から選択される少なくとも1つの風味化合物の含有量を、少なくとも50%、例えば少なくとも100%ほど、例えば少なくとも150%ほど、例えば少なくとも200%ほど、例えば少なくとも250%ほど、例えば少なくとも300%ほど高める。 好ましくは、工程c)におけるピキア属菌種(Pichia spp.)酵母株の使用は、酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、プロピオン酸エチル、及び吉草酸エチルから成る群から選択される少なくとも1つの風味化合物の含有量を、少なくとも50%、例えば少なくとも100%ほど、例えば少なくとも150%ほど、例えば少なくとも200%ほど、例えば少なくとも250%ほど、例えば少なくとも300%ほど高める。 本発明のさらに別の好ましい実施形態において、工程c)におけるピキア属菌種(Pichia spp.)酵母の使用は、酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、プロピオン酸エチル、吉草酸エチル、オクタン酸エチル、及びデカン酸エチルから成る群から選択される少なくとも2種類以上の風味化合物の含有量を、少なくとも50%、例えば少なくとも100%ほど、例えば少なくとも150%ほど、例えば少なくとも200%ほど、例えば少なくとも250%ほど、例えば少なくとも300%ほど高める。 好ましくは、工程c)におけるピキア属菌種(Pichia spp.)酵母株の使用は、酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、プロピオン酸エチル、及び吉草酸エチルから成る群から選択される少なくとも2種類以上の風味化合物の含有量を、少なくとも50%、例えば少なくとも100%ほど、例えば少なくとも150%ほど、例えば少なくとも200%ほど、例えば少なくとも250%ほど、例えば少なくとも300%ほど高める。 別のとても好ましい実施形態において、工程c)におけるピキア属菌種(Pichia spp.)酵母株の使用は、チオールである酢酸3−メルカプトヘキシルの含有量を、少なくとも10%、例えば少なくとも20%ほど、例えば少なくとも30%ほど、例えば少なくとも40%ほど、例えば少なくとも50%ほど高める。 「少なくとも1種類の風味化合物の含有量を高める」及び「チオールである酢酸3−メルカプトヘキシルの含有量を高める」という用語は、以下で議論するように、ピキア属菌種(Pichia spp.)を使用することの特有の特性と見なされ得る。 本発明の好ましい実施形態において、工程b)における少なくとも1つのホップ品種がSaazであり、且つ、工程c)における発酵が約20℃の温度にて実施されるとき、少なくとも1つのホップ品種がCascade、Nelson Sauvin又はAmarilloであるときに比べて、工程c)におけるピキア属菌種(Pichia spp.)酵母株の使用は、デカン酸エチルのレベルを少なくとも50%高める。 本発明の別の好ましい実施形態において、工程b)における少なくとも1つのホップ品種がNelson Sauvinであり、且つ、工程c)における発酵が約20℃の温度にて実施されるとき、少なくとも1つのホップ品種がCascade又はAmarilloであるときに比べて、工程c)におけるピキア属菌種(Pichia spp.)酵母株の使用は、デカン酸エチルのレベルを少なくとも50%高める。 本発明の更なる実施形態において、工程b)における少なくとも1つのホップ品種がCascade又はNelson Sauvinであり、且つ、工程c)における発酵が約20℃の温度にて実施されるとき、少なくとも1つのホップ品種がAmarillo及びSaazであるときに比べて、工程c)におけるピキア属菌種(Pichia spp.)酵母株の使用は、吉草酸エチルのレベルを少なくとも50%高める。 よりさらなる実施形態において、工程b)における少なくとも1つのホップ品種がCascadeであり、且つ、工程c)における発酵が約20℃の温度にて実施されるとき、少なくとも1つのホップ品種がNelson Sauvin、Amarillo又はSaazであるときに比べて、工程c)におけるピキア属酵母株の使用は、ヘキサン酸エチル及びオクタン酸エチルのレベルを少なくとも50%高める。 本発明のさらに他の態様において、工程b)における少なくとも1つのホップ品種が以下の:Ahtanum、Amarillo、Apollo、Cascade、Centennial、Chinook、Citra、Cluster、Columbus、Crystal、Eroica、Galena、Glacier、Greenburg、Horizon、Liberty、Millenium、Mount Hood、Mount Rainier、Newport、Nugget、Palisade、Santiam、Simcoe、Sterling、Summit、Tomahawk、Ultra、Vanguard、Warrior、Willamette、Zeus、Admiral、Brewer’s Gold、Bullion、Challenger、First Gold、Fuggles、Goldings、Herald、Northdown、Northern Brewer、Phoenix、Pilot、Pioneer、Progress、Target、Whitbread Golding Variety (WGV)、Hallertau、Hersbrucker、Saaz、Tettnang、Spalt、Feux−Coeur Francais、Galaxy、Green Bullet、Motueka、Nelson Sauvin、Pacific Gem、Pacific Jade、Pacifica、Pride of Ringwood、Riwaka、Southern Cross、Lublin、Magnum、Perle、Polnischer Lublin、Saphir、Satus、Select、Strisselspalt、Styrian Goldings、Tardif de Bourgogne及びTraditionから成る群から選択される品種のいずれかである場合に、工程c)におけるピキア属菌種(Pichia spp.)酵母株の使用は、工程b)におけるホップ品種が以下の:Ahtanum、Amarillo、Apollo、Cascade、Centennial、Chinook、Citra、Cluster、Columbus、Crystal、Eroica、Galena、Glacier、Greenburg、Horizon、Liberty、Millenium、Mount Hood、Mount Rainier、Newport、Nugget、Palisade、Santiam、Simcoe、Sterling、Summit、Tomahawk、Ultra、Vanguard、Warrior、Willamette、Zeus、Admiral、Brewer’s Gold、Bullion、Challenger、First Gold、Fuggles、Goldings、Herald、Northdown、Northern Brewer、Phoenix、Pilot、Pioneer、Progress、Target、Whitbread Golding Variety (WGV)、Hallertau、Hersbrucker、Saaz、Tettnang、Spalt、Feux−Coeur Francais、Galaxy、Green Bullet、Motueka、Nelson Sauvin、Pacific Gem、Pacific Jade、Pacifica、Pride of Ringwood、Riwaka、Southern Cross、Lublin、Magnum、Perle、Polnischer Lublin、Saphir、Satus、Select、Strisselspalt、Styrian Goldings、Tardif de Bourgogne及びTraditionから成る群から選択されるその他の品種であるときに工程c)におけるピキア属菌種(Pichia spp.)酵母株の使用の結果としてもたらす風味プロフィールと異なった、様々な風味化合物、つまり、酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、プロピオン酸エチル、及び吉草酸エチルのレベルから成る風味プロフィールをもたらす。 本発明さらなる実施形態において、工程b)における少なくとも1つのホップ品種が以下の:Ahtanum、Amarillo、Apollo、Cascade、Centennial、Chinook、Citra、Cluster、Columbus、Crystal、Eroica、Galena、Glacier、Greenburg、Horizon、Liberty、Millenium、Mount Hood、Mount Rainier、Newport、Nugget、Palisade、Santiam、Simcoe、Sterling、Summit、Tomahawk、Ultra、Vanguard、Warrior、Willamette、Zeus、Admiral、Brewer’s Gold、Bullion、Challenger、First Gold、Fuggles、Goldings、Herald、Northdown、Northern Brewer、Phoenix、Pilot、Pioneer、Progress、Target、Whitbread Golding Variety (WGV)、Hallertau、Hersbrucker、Saaz、Tettnang、Spalt、Feux−Coeur Francais、Galaxy、Green Bullet、Motueka、Nelson Sauvin、Pacific Gem、Pacific Jade、Pacifica、Pride of Ringwood、Riwaka、Southern Cross、Lublin、Magnum、Perle、Polnischer Lublin、Saphir、Satus、Select、Strisselspalt、Styrian Goldings、Tardif de Bourgogne、Tradition、Bravo、Calypso、Chelan、Comet、El Dorado、San Juan Ruby Red、Satus、Sonnet Golding、Super Galena、Tillicum、Bramling Cross、Pilgrim. Hallertauer Herkules、Hallertauer Magnum、Hallertauer Taurus、Merkur、Opal、Smaragd、Halleratau Aroma、Kohatu、Rakau、Stella、Sticklebract、Summer Saaz、Super Alpha、Super Pride、Topaz、Wai−iti、Bor、Junga、Marynka、Premiant、Sladek、Styrian Atlas、Styrian Aurora、Styrian Bobek、Styrian Celeia、Sybilla及びSorachi Aceから成る群から選択される品種のいずれかである場合に、工程c)におけるピキア属菌種(Pichia spp.)酵母株の使用は、工程b)におけるホップ品種が以下の:Ahtanum、Amarillo、Apollo、Cascade、Centennial、Chinook、Citra、Cluster、Columbus、Crystal、Eroica、Galena、Glacier、Greenburg、Horizon、Liberty、Millenium、Mount Hood、Mount Rainier、Newport、Nugget、Palisade、Santiam、Simcoe、Sterling、Summit、Tomahawk、Ultra、Vanguard、Warrior、Willamette、Zeus、Admiral、Brewer’s Gold、Bullion、Challenger、First Gold、Fuggles、Goldings、Herald、Northdown、Northern Brewer、Phoenix、Pilot、Pioneer、Progress、Target、Whitbread Golding Variety (WGV)、Hallertau、Hersbrucker、Saaz、Tettnang、Spalt、Feux−Coeur Francais、Galaxy、Green Bullet、Motueka、Nelson Sauvin、Pacific Gem、Pacific Jade、Pacifica、Pride of Ringwood、Riwaka、Southern Cross、Lublin、Magnum、Perle、Polnischer Lublin、Saphir、Satus、Select、Strisselspalt、Styrian Goldings、Tardif de Bourgogne、Tradition、Bravo、Calypso、Chelan、Comet、El Dorado、San Juan Ruby Red、Satus、Sonnet Golding、Super Galena、Tillicum、Bramling Cross、Pilgrim. Hallertauer Herkules、Hallertauer Magnum、Hallertauer Taurus、Merkur、Opal、Smaragd、Halleratau Aroma、Kohatu、Rakau、Stella、Sticklebract、Summer Saaz、Super Alpha、Super Pride、Topaz、Wai−iti、Bor、Junga、Marynka、Premiant、Sladek、Styrian Atlas、Styrian Aurora、Styrian Bobek、Styrian Celeia、Sybilla及びSorachi Aceから成る群から選択されるその他の品種であるときに、工程c)におけるピキア属菌種(Pichia spp.)酵母株の使用の結果として生じる風味プロフィールと異なった、様々な風味化合物、つまり、酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、プロピオン酸エチル、及び吉草酸エチルのレベルから成る風味プロフィールをもたらす。 第二の態様において、本発明は、第一の態様の方法によって得ることができるビールに関する。 本発明によるビールは、検出可能な量のピキア属菌種(Pichia spp.)酵母を含んでいてもよい。あるいは、場合によっては、酵母は発酵後にビールから取り除かれる。しかしながら、実施例で本明細書中に示したように、ピキア属菌種(Pichia spp.)の使用は、従来技術とは異なった風味プロフィールをビールに与えるので、これにより、ピキア属菌種(Pichia spp.)と様々なホップ品種を使用して調製されたビールはそれ自体が新規になる。 ピキア属菌種(Pichia spp.)を用いて醸造されたビールは、様々なホップ品種が使用されると、様々な風味プロフィールを含む。例として、デカン酸エチルのレベルは、20℃にて実施される発酵において、Saazホップが使用されるとき、Cascade、Nelson Sauvin又はAmarilloが使用されるときと比較して、少なくとも50%超増強され、そして、Nelson Sauvinが使用されるとき、Cascade又はAmarilloが使用されるときと比較して、少なくとも50%増強される(図21を参照のこと)。吉草酸エチル濃度は、20℃にて実施される発酵において、Cascade又はNelson Sauvinホップが使用されるとき、Amarillo又はSaazが使用されるときと比較して、少なくとも50%増強される(図15を参照のこと)。ヘキサン酸エチル及びオクタン酸エチル濃度は、20℃にて実施される発酵において、Cascadeホップが使用されるとき、Nelson Sauvin、Amarillo又はSaazホップが使用されるときと比較して、少なくとも15%増強される(図17及び19を参照のこと)。 ピキア属菌種(Pichia spp.)を使用して醸造されたビールが、WO2009/110807においてワインについて記載されたものなどの検出可能な量のチオール(特に酢酸3−メルカプトヘキシル(3MHA)及び3−メルカプトヘキサン−1−オール(3MH))を含むこともまた、企図される。実施例1材料と方法発酵の構築 実験室レベル発酵試験を500mlの麦汁を用いて実施した。コムギ麦芽エキス(Brewferm)を用いて麦汁を調製した。麦芽エキスを、10°Pの初期糖度に達するように水と混合した。4種類の様々なホップ品種:Nelson Sauvin、Amarillo、Saaz、及びCascade、ごとに4回3リットルの麦汁を沸騰させた。ホップペレットを、密閉したコーヒーフイルターの状態で麦汁に加え、そして、これを30分間沸騰させて、ホップの風味を抽出し、ビールに苦味を加えた。ホップペレットを、23EBUに達するように加えた。沸騰させた後に、麦汁からコーヒーフイルターを取り出し、そして、麦汁を1L容のボトルに移し、そしてそれをウォーターロックによって閉じた。 ホップ品種ごとに、4つの発酵を実施した。2つの発酵温度:20℃と22℃、を使用した。発酵温度ごとに、2つの別々の植菌をおこなった:第一の瓶にはピキア・クルイベリ(Pichia kluyveri)PK−KR1(連続植菌用)を植菌し、そして、第二のボトルには、供給業者の推薦に従って市販のサッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)コムギ酵母株、Safbrew WB−06(Lesaffre)(対照発酵)を植菌した。両酵母株を、1mlあたり500万細胞ずつ植菌した。表1には、発酵構築の概要を示す。表1.発酵の構築 連続植菌のために、コムギ酵母株(Safbrew WB−06)を、2日後にピキア・クルイベリ(Pichia kluyveri)を植菌した発酵に植菌して、発酵を完成させた。すべての発酵を13日後に終了させた。5日目と13日目にサンプルを採取した。ヘッドスペースGC−FID分析 炎イオン化検出(GC−FID)と組み合わせたヘッドスペースガスクロマトグラフィーを、発酵産物中のアセトアルデヒド、酢酸エステル、エチルエステル、及び高級アルコールの計測に使用した。発酵サンプルを遠心分離し、その後、2mlをバイアル内に回収した。次に、サンプルを、ヘッドスペースサンプラーを備えた較正済みPerkin Elmer GC Systemで分析した。GCは、DB−WAXETRカラム(長さ、30m;内径、0.25mm;層の厚さ、0.5μm;Agilent Technologies, Germany)を備えていた。分割/非分割インジェクターを使用し、且つ、180℃に維持した。サンプルを、注入前にヘッドスペース自動サンプラー内で70℃にて30分間加熱した(針温度:110℃)。ヘリウムをキャリアガスとして使用した。60℃にて開始した後、2分後にオーブン温度を45℃/分にて60℃から230℃まで上げ、それを最終的に230℃にて5分間維持した。GC−プログラム中、キャリアガス(He)の一定流速(10mL/分)を維持した。FID温度はそれぞれ220℃にて一定に維持した。結果をTurbochromソフトウェアで分析した。エタノール分析 エタノールを、Boehringer MannheimのEthanol Enzymatic Bioanalysisキットで計測した。結果 ビールの風味に対する様々なホップ品種と組み合わせた連続植菌の効果を調査するために、実験室レベル発酵を、様々なホップ品種を含み、且つ、ピキア・クルイベリ(Pichia kluyveri)を植菌したコムギ麦汁で2日間実施し、その後、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)コムギビール酵母を加えた。対照として、S.セレビシエコムギビール酵母だけを用いた発酵を実施した。連続発酵と対照発酵の両方を13日後に終了した。サンプルを、5日目と13日目に採取し、それに続いて、風味化合物とエタノール濃度について分析した。 すべての発酵産物の風味分析を、材料と方法に記載したヘッドスペースGC−FIDで実施した。結果を、図1及び2(アルデヒド)、図3〜10(酢酸エステル)、図11〜16(短鎖エチルエステル)、図17〜22(中鎖エチルエステル)、並びに図23〜26(高級アルコール)に示している。 エタノール濃度を、キットで評価した(材料と方法を参照のこと)。エタノール濃度の結果を、表2に示している。表2.20℃と22℃における連続発酵と対照発酵の13日目の発酵産物のエタノール濃度結論 様々なホップ品種を用いた500mlの小規模のコムギビール発酵における、第一の酵母としてのピキア・クルイベリ(Pichia kluyveri)、そして、第二の酵母株としてのサッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)ビール酵母の連続植菌は、S.セレビシエビール酵母だけを用いた「通常の」対照ビール発酵と比較して、ホップ品種ごとに顕著な風味の相違を示した。ピキア・クルイベリ(Pichia kluyveri)とサッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)の連続植菌がビール発酵において風味向上効果を有することが示されたのは、これが最初である。そのうえ、風味プロフィールの相違は、様々なホップ品種を使用することで、計測したすべての風味化合物に見られた。 アセトアルデヒド濃度は、対照発酵と比較して、連続植菌において常に高かった(図1〜2を参照のこと)。しかしながら、発酵の終了時点では、連続発酵と対照発酵の両方で同様の値を得ている。醸造者はビール中での高濃度すぎるこの化合物を望んでいないので、連続植菌の影響は無視できる。 最も大きな風味の相違はエステルに関して見られた。我々が酢酸エステル濃度、特に望ましい果実風味化合物である酢酸イソアミルの濃度を詳しく調べると、それは、対照と比較して、連続植菌において、非常に増強された。20℃における発酵は、22℃における発酵に比べて、より有益であるように思えた。Amarilloホップの添加を伴った発酵において、濃度が最も高かった。酢酸イソブチル濃度もまた、連続発酵において大きく増強された。この場合もやはり、20℃における発酵が、22℃における発酵に比べて、この化合物の製造により好ましかった。高濃度だと不利益な化合物であるが、他の酢酸エステルで容易にマスクできる酢酸エチルもまた、対照と比較して、たった2倍の量だが連続発酵において増強された。Cascadeホップを用いた発酵では、すべての発酵から酢酸エチルをあまり生じなかった。酢酸ヘキシルは、対照発酵と比較して、すべての連続発酵においてほんの少しだけ増強された。 プロピオン酸エチル及び吉草酸エチルは対照発酵においてほぼ完全に産生されないので、短鎖エチルエステルが最も衝撃的な結果をもたらした。しかしながら、高濃度は連続発酵において達成された(最大1ppm)。酪酸エチルに関しては、連続発酵のためのSaaz及びNelson Sauvinホップの添加でしか効果が見られなかった。 ヘキサン酸エチル及びオクタン酸エチルの濃度は、Cascadeホップの添加を伴う連続発酵においてのみ上昇した。しかしながら、デカン酸エチルに関して、Saaz及びNelson Sauvinホップの添加を伴う連続発酵において、濃度が非常に高かった。対照発酵と連続発酵の相違は10倍超であった。 高級アルコールは、対照発酵と比較して、連続発酵において濃度が有意に上昇しなかった唯一の化合物である。実施例2 特に風味に関して、醸造業向けにピキア・クルイベリ(Pichia kluyveri)を使用する可能性を調査するために、大規模な醸造試験を醸造所にて実施した。材料と方法発酵方法 対照ビール及びピキア属によるビールを、醸造所において15HLの規模で作った。麦汁は、ペールエールビールに典型的なモルト品種から成り、使用したホップ品種はCascadeであった。15hlの麦汁を、ピキア・クルイベリ(Pichia kluyveri)PK−KR1を植菌するのに使用した。植菌率は、1mlあたり100〜200万細胞と算出された。毎日、細胞数の計測のためにサンプルを採取し、そして、風味分析を最終的なビールに対しておこなった(表3を参照のこと)。表3.発酵の最初の3日間の間のピキア・クルイベリ(Pichia kluyveri)PK−KR1の細胞数 3日目に、通常のビール酵母を加えた(White Labs製のLondon Ale酵母)。その酵母は、あるビールを作るのに既に使用されているので、そのため、この醸造酒(第二世代)にとって最適なはずである。醸造酒の中に空気を吹き込むのと同時に、酵母を加えた。そのため、ビール酵母を加えると同時に、醸造酒の香りに見当をつけることが可能であった。香りは(バナナ、パイナップルのように)非常にフルーティーであった。糖が酵母によって完全に同化されるまで、発酵を実施した。その後、グリーンビールを、少なくとも1週間、7〜8℃にて熟成させた。8日目に、発酵を終了し、そして、発酵温度を8℃に下げた。発酵後、まだ発酵槽内に存在している酵母によりビールを7日間熟成させた。15日目に、酵母は取り除き、そして、温度を2℃まで下げた。更に3週間後に、ビールを濾過し、低温殺菌し、そして、ボトルに詰めた。風味分析 炎イオン化検出(GC−FID)と組み合わせたヘッドスペースガスクロマトグラフィーを、発酵産物中のアセトアルデヒド、酢酸エステル、エチルエステル、及び高級アルコールの計測に使用した。発酵サンプルを遠心分離し、その後、2mlをバイアル内に回収した。次に、サンプルを、ヘッドスペースサンプラーを備えた較正済みPerkin Elmer GC Systemで分析した。GCは、DB−WAXETRカラム(長さ、30m;内径、0.25mm;層の厚さ、0.5μm;Agilent Technologies, Germany)を備えていた。分割/非分割インジェクターを使用し、且つ、180℃に維持した。サンプルを、注入前にヘッドスペース自動サンプラー内で70℃にて30分間加熱した(針温度:110℃)。ヘリウムをキャリアガスとして使用した。60℃にて開始した後、2分後にオーブン温度を45℃/分にて60℃から230℃まで上げ、それを最終的に230℃にて5分間維持した。GC−プログラム中、キャリアガス(He)の一定流速(10mL/分)を維持した。FID温度はそれぞれ220℃にて一定に維持した。結果をTurbochromソフトウェアで分析した。チオール分析 チオール分析は、Hill Laboratories、Hamilton, New Zealandによって実施された。2種類の化合物:3−メルカプトヘキサン−1−オール(ルバーブ、エキゾチックな果物)及び酢酸3−メルカプトヘキシル(パッションフルーツ)、を計測した。結果 完成製品の風味分析を、3つのサンプル:1)対照ビール=Jubilaum、2)濾過ビール、及び3)非濾過ビール、に対しておこなった(図27〜38を参照のこと)。風味分析は、ピキア・クルイベリ(Pichia kluyveri)を用いて発酵させたビールが、高濃度の風味化合物を含んでいることをはっきりと示している。特に、エステルである酢酸イソアミル(図29)、プロピオン酸エチル(図30)、吉草酸エチル(図32)、オクタン酸エチル(図34)及びデカン酸エチル(図35)は大量に増加している。これらのエステルは、ビールのフルーティーな風味に関与し、そのため、大いに重要である。これらの結果はまた、実験室規模からの規模の大きな増大である、大規模な生産規模(15HL)におけるビール製造でもビールのフルーティーさの向上を確認したことも示している。それは、醸造所が生産規模の醸造においてピキア・クルイベリ(Pichia kluyveri)を使用でき、且つ、ビールに対する酵母の効果が確なままであることを意味している。 対照ビール及びピキア属を用いたビールはまた、チオール風味化合物についても分析した。2種類の化合物:3−メルカプトヘキサノール(ルバーブ、エキゾチックな果物)及び酢酸3−メルカプトヘキシル(パッションフルーツ)、を計測した(図38を参照のこと)。ピキア・クルイベリ(Pichia kluyveri)がビールの3−メルカプトヘキサノールを酢酸3−メルカプトヘキシルに変換できること、そして、これがかなりの程度のものであることを記録したのは、これが最初である。図38から分かるように、ピキア・クルイベリ(Pichia kluyveri)は、酢酸3−メルカプトヘキシルを産生するのに3−メルカプトヘキサン−1−オールを使用し、そして、サッカロミセスビール酵母のみを使用したとき(対照ビール)に比べて、これがより大きな程度のものである。寄託物 WO2009/110807に記載のとおり、ピキア・クルイベリ(Pichia kluyveri)PK−KR1及びPK−KR2株を、University of Auckland, School of Biological Sciences, Auckland 1142, New Zealandによって、National Measurement Institute, 541-65 Clarke Street, South Melbourne, Victoria 3205, Australiaにて2006年8月24日に寄託され、それぞれ受入番号V06/022711及びV06/022712が与えられた。参考文献 a)麦汁を供する工程、b)少なくとも1つのホップ品種を加えて、ホップ添加(hopped)麦汁を得る工程、c)ピキア属菌種(Pichia spp.)酵母株である第一の酵母株によりホップ添加麦汁を発酵させる工程、及びd)サッカロミセス属(Saccharomyces)又はブレタノミセス属(Brettanomyces)に属する第二の酵母株によりホップ添加麦汁を発酵させて、ビールを得る工程、を含む、ビール醸造方法。 前記工程c)と工程d)とが連続して実施される、請求項1に記載の方法。 前記工程c)における発酵が、工程d)における発酵の開始前に、少なくとも12時間、例えば少なくとも24時間、例えば少なくとも36時間、例えば少なくとも48時間、例えば少なくとも60時間、例えば少なくとも72時間継続される、請求項2に記載の方法。 前記工程c)と工程d)とが、工程c)の第一の酵母株と工程d)の第二の酵母株の同時植菌によって同時に実施される、請求項1に記載の方法。 前記工程d)が、少なくとも24時間、例えば少なくとも36時間、例えば少なくとも48時間、例えば少なくとも72時間、例えば少なくとも96時間、例えば少なくとも120時間継続される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。 前記少なくとも1つのホップ品種が、Saaz、Nelson Sauvin、Cascade及びAmarilloから成る群から選択される、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。 前記工程c)における発酵が、約12℃〜28℃にて実施される、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。 前記工程c)における発酵が、約20℃〜22℃にて実施される、請求項7に記載の方法。 前記ピキア属菌種(Pichia spp.)酵母株が、ピキア・クルイベリ(Pichia kluyveri)株である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。 前記ピキア・クルイベリ(Pichia kluyveri)株が、University of Auckland, School of Biological Sciences、Auckland 1142, New Zealandによって、National Measurement Institute、541-65 Clarke Street, South Melbourne, Victoria 3205, Australiaにて2006年8月24日に寄託され、それぞれ受入番号V06/022711及びV06/022712であるピキア・クルイベリ(Pichia kluyveri)PK−KR1及びピキア・クルイベリ(Pichia kluyveri)PK−KR2、並びにその変異体及びバリアントから成る群から選択される、請求項9に記載の方法。 前記第二の酵母株が、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、サッカロミセス・パストリアヌス(Saccharomyces pastorianus)、及びブレタノミセス・ブルクセレンシス(Brettanomyces bruxellensis)から成る群から選択される、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。 前記ビールが、低アルコールビール、減アルコールビール又はノンアルコールビールである、請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。 前記工程c)におけるピキア属菌種(Pichia spp.)酵母株の使用が、酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、プロピオン酸エチル、吉草酸エチル、オクタン酸エチル、及びデカン酸エチルから成る群から選択される少なくとも1つの風味化合物の含有量を少なくとも50%増大する、請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。 前記工程c)におけるピキア属菌種(Pichia spp.)酵母株の使用が、チオールである酢酸3−メルカプトヘキシルの含有量を少なくとも10%増大する、請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法。 請求項1〜14のいずれか1項に記載の方法であって、工程b)における少なくとも1つのホップ品種が、以下の:Ahtanum、Amarillo、Apollo、Cascade、Centennial、Chinook、Citra、Cluster、Columbus、Crystal、Eroica、Galena、Glacier、Greenburg、Horizon、Liberty、Millenium、Mount Hood、Mount Rainier、Newport、Nugget、Palisade、Santiam、Simcoe、Sterling、Summit、Tomahawk、Ultra、Vanguard、Warrior、Willamette、Zeus、Admiral、Brewer’s Gold、Bullion、Challenger、First Gold、Fuggles、Goldings、Herald、Northdown、Northern Brewer、Phoenix、Pilot、Pioneer、Progress、Target、Whitbread Golding Variety (WGV)、Hallertau、Hersbrucker、Saaz、Tettnang、Spalt、Feux−Coeur Francais、Galaxy、Green Bullet、Motueka、Nelson Sauvin、Pacific Gem、Pacific Jade、Pacifica、Pride of Ringwood、Riwaka、Southern Cross、Lublin、Magnum、Perle、Polnischer Lublin、Saphir、Satus、Select、Strisselspalt、Styrian Goldings、Tardif de Bourgogne、Tradition、Bravo、Calypso、Chelan、Comet、El Dorado、San Juan Ruby Red、Satus、Sonnet Golding、Super Galena、Tillicum、Bramling Cross、Pilgrim. Hallertauer Herkules、Hallertauer Magnum、Hallertauer Taurus、Merkur、Opal、Smaragd、Halleratau Aroma、Kohatu、Rakau、Stella、Sticklebract、Summer Saaz、Super Alpha、Super Pride、Topaz、Wai−iti、Bor、Junga、Marynka、Premiant、Sladek、Styrian Atlas、Styrian Aurora、Styrian Bobek、Styrian Celeia、Sybilla及びSorachi Ace、から成る群から選択されるいずれかの品種である場合に、工程c)におけるピキア属菌種(Pichia spp.)酵母株の使用が、工程b)におけるホップ品種が以下の:Ahtanum、Amarillo、Apollo、Cascade、Centennial、Chinook、Citra、Cluster、Columbus、Crystal、Eroica、Galena、Glacier、Greenburg、Horizon、Liberty、Millenium、Mount Hood、Mount Rainier、Newport、Nugget、Palisade、Santiam、Simcoe、Sterling、Summit、Tomahawk、Ultra、Vanguard、Warrior、Willamette、Zeus、Admiral、Brewer’s Gold、Bullion、Challenger、First Gold、Fuggles、Goldings、Herald、Northdown、Northern Brewer、Phoenix、Pilot、Pioneer、Progress、Target、Whitbread Golding Variety (WGV)、Hallertau、Hersbrucker、Saaz、Tettnang、Spalt、Feux−Coeur Francais、Galaxy、Green Bullet、Motueka、Nelson Sauvin、Pacific Gem、Pacific Jade、Pacifica、Pride of Ringwood、Riwaka、Southern Cross、Lublin、Magnum、Perle、Polnischer Lublin、Saphir、Satus、Select、Strisselspalt、Styrian Goldings、Tardif de Bourgogne、Tradition、Bravo、Calypso、Chelan、Comet、El Dorado、San Juan Ruby Red、Satus、Sonnet Golding、Super Galena、Tillicum、Bramling Cross、Pilgrim. Hallertauer Herkules、Hallertauer Magnum、Hallertauer Taurus、Merkur、Opal、Smaragd、Halleratau Aroma、Kohatu、Rakau、Stella、Sticklebract、Summer Saaz、Super Alpha、Super Pride、Topaz、Wai−iti、Bor、Junga、Marynka、Premiant、Sladek、Styrian Atlas、Styrian Aurora、Styrian Bobek、Styrian Celeia、Sybilla及びSorachi Ace、から成る群から選択される任意の他の品種である場合の、工程c)におけるピキア属菌種(Pichia spp.)酵母株の使用に由来する風味プロフィールとは異なる、風味化合物の酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、プロピオン酸エチル、及び吉草酸エチルのレベルの風味プロフィールを生じる、方法。 ピキア属菌種(Pichia spp.)株がビール発酵工程において有用な有利な特性を有していることを、思いがけなく発見した。特に、ピキア属菌種(Pichia spp.)酵母株は、発酵工程において通常のビール酵母株と様々なホップ品種と組み合わせられると相乗効果−すなわち、発酵産物中のエステルの産生促進、を生じることができる。より詳しく述べると、酵母は、ビール中に高レベルの酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、プロピオン酸エチル、吉草酸エチル、酪酸エチル、デカン酸エチル、及びオクタン酸エチルを生じさせるのに使用できる。加えて、ピキア属菌種(Pichia spp.)株は、様々なホップ品種と様々に相互作用するので、ピキア属菌種(Pichia spp.)株とホップの様々な組み合わせを使用することによって、ビールの風味プロフィールを調整できる。本発明は、ピキア属菌種(Pichia spp.)酵母株と少なくとも1つのホップ品種を使用したビール醸造方法、そのような方法で得ることができるビール、並びに本発明によるピキア属菌種(Pichia spp.)酵母株の使用に関する。


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