生命科学関連特許情報

タイトル:公表特許公報(A)_糖蜜製造時におけるアクリルアミドの生成量を低減する方法
出願番号:2014521355
年次:2014
IPC分類:C13B 20/00,C07H 3/06,C07H 3/02,C07H 3/04


特許情報キャッシュ

ファガン、スコット グルゼダ、アマンダ トポール、マイケル グラント JP 2014521355 公表特許公報(A) 20140828 2014524154 20120806 糖蜜製造時におけるアクリルアミドの生成量を低減する方法 フリト−レイ ノース アメリカ インコーポレイテッド 500208519 FRITO−LAY NORTH AMERICA,INC. 恩田 誠 100105957 恩田 博宣 100068755 本田 淳 100142907 ファガン、スコット グルゼダ、アマンダ トポール、マイケル グラント US 13/204,514 20110805 C13B 20/00 20110101AFI20140801BHJP C07H 3/06 20060101ALI20140801BHJP C07H 3/02 20060101ALI20140801BHJP C07H 3/04 20060101ALI20140801BHJP JPC13B20/00C07H3/06C07H3/02C07H3/04 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC,VN US2012049729 20120806 WO2013022828 20130214 11 20140131 4C057 4C057AA05 4C057AA30 4C057BB04 本発明は、糖蜜の生産におけるアクリルアミドの量を低減する方法に関し、アクリルアミドの水準が著しく低減した糖蜜の生産を許容する。本発明は、特に、添加したアスパラギナーゼの有効性及び効率性を最大限に活用する段階である糖蜜製造工程時において、糖蜜分画にアスパラギナーゼ酵素を添加することに関する。 化学物質のアクリルアミドは、水処理剤、原油回収増進剤、製紙、凝集剤、増粘剤、鉱石処理、及びパーマネントプレス布に関する工業用途において、その重合体の形態で長年にわたり使用されてきた。アクリルアミドは、白色結晶性固体であり、無臭であり、水溶性が高い(30℃で2155g/L)という性質を有する。アクリルアミドの別名として、2−プロペンアミド、エチレンカルボキサミド、アクリル酸アミド、ビニルアミド、及びプロペン酸アミドがある。アクリルアミドは、分子量は71.08であり、融点は84.5℃であり、沸点は3.3Pa(25mmHg)で125℃である。 最近では、幅広い種類の食品がアクリルアミドの単量体の存在について陽性を示している。アクリルアミドは特に、高温で加熱又は加工される炭水化物食品において主だって見受けられる。アクリルアミドについて陽性を示した食品の例として、コーヒー、シリアル、クッキー、ポテトチップス、クラッカー、フライドポテト、食パンやロールパン、及び肉のフライがある。一般的に、非加熱の食品や茹でた食品では検出不可能な水準であるのに比べて、タンパク質の豊富な加熱食品ではアクリルアミドの含有量は比較的低いことが分かっている一方で、炭水化物の豊富な食品ではアクリルアミドの含有量は比較的高いことが分かっている。様々な同様の加工食品中に見受けられるアクリルアミドについて報告された水準には、ポテトチップスで330〜2,300(μg/kg)の範囲、フライドポテトで300〜1100(μg/kg)の範囲、コーンチップスで120〜180(μg/kg)の範囲が含まれている。そして、種々の朝食用シリアルでは検出不可能な水準から最高1400(μg/kg)までの範囲の水準が含まれている。 アクリルアミドがヒトに有害であるとは判断されていないが、特に高い水準で、食品中にアクリルアミドが存在することは好ましくない。こうした点から、加熱又は熱により加工される食品の最終製品中のアクリルアミドの水準を低減する一つ又はそれ以上の方法を開発することが望ましい。理想としては、最終製品の品質及び特性に悪影響を及ぼすことなく、こうした工程が最終製品中のアクリルアミドを実質的に低減又は除去するべきである。さらに、この方法は、実施が容易であるべきであり、好ましくは全工程にかかる費用をほとんど又はまったく増大させないようにすべきである。 本願発明の方法では、糖蜜製造工程又は精糖工程時において、添加したアスパラギナーゼの効率性及び有効性が最大になる時点でサトウキビ汁にアスパラギナーゼを添加する。添加したアスパラギナーゼは、糖蜜及び糖内におけるアクリルアミドの生成を所望の水準にまで低減する一方で、最終製品の品質及び特性に及ぼす影響は最小限である。サトウキビから糖蜜を生産する一つの方法におけるブロック図である。粗糖を精糖する一つの方法におけるブロック図である。 現在、アクリルアミドは、アミノ酸及び還元糖の存在下で生成されると考えられている。たとえば、生野菜に通常見受けられるアミノ酸である遊離アスパラギン及び遊離還元糖の反応が揚げた食品に見受けられるアクリルアミドの大きな要因であると考えられている。 アスパラギン以外のアミノ酸からのアクリルアミドの生成は可能であるものの、確実性がいかなる程度であるかは未だ確認されていない。たとえば、グルタミン、メチオニン、システイン、及びアスパラギン酸を前駆体とする試験からいくらかのアクリルアミドの生成が報告されている。これらの知見は、原料のアミノ酸内にアスパラギン不純物が存在する可能性があることから、確認が困難である。それにも拘わらず、アスパラギンは、アクリルアミドの生成において一番の原因であるアミノ酸の前駆体として認定されている。 食品中のアクリルアミドは最近になって発見された現象であるため、その正確な生成機構は確認されていない。しかし、アクリルアミドの生成において最も可能性の高い経路には、メイラード反応が関与すると現在では考えられている。メイラード反応は、食品加工における重要な化学反応の一つとして食品化学において長年にわたり認識されているとともに、食品の風味、色味、及び栄養価に影響を与え得る。メイラード反応は、熱量、水分、還元糖、及びアミノ酸を必要とする。 メイラード反応は、非常に多くの中間体を伴う複雑な一連の反応を含むが、一般的には三つの段階を含む反応として説明することができる。メイラード反応の第一段階は、遊離アミノ酸やタンパク質由来の遊離アミノ基及びグルコースのような還元糖の結合に関与するアマドリ転移生成物又はヘインズ転移生成物を生成することである。メイラード反応の第二段階は、デオキシオソン、分裂、又はストレッカー分解を含む様々な代替経路を経由してアマドリ転移生成物又はヘインズ転移生成物を分解することを含む。脱水、脱離、環化、分裂、及び断片化を含む複雑な一連の反応の結果、風味の中間体及び風味化合物のプールが生成される。メイラード反応の第三段階は、褐色の窒素含有重合体及び窒素含有共重合体の生成を特徴とする。 さらに、アスパラギンは、メイラード反応に関与すると考えられるアミノ酸の一つであり、アクリルアミドの生成における前駆体であると考えられる。アスパラギナーゼ酵素は、アスパラギンをアスパラギン酸及びアンモニアに分解する。アスパラギナーゼ及びアスパラギンの反応は食品加工時において行われるメイラード反応の前に開始し得ることから、アスパラギンを含有する食品にアスパラギナーゼを添加する場合にはアクリルアミドの生成量が低減することが分かっている。しかし、出願人は、糖蜜の生産時における糖蜜へのアスパラギナーゼの添加は、アスパラギナーゼがアクリルアミドの生成量の低減に効率的かつ有効であることを保証するために、種々の重要な要因を考慮すべき点を見出した。 なお、本発明そのものだけでなく、好ましい利用態様も、これに関するさらなる目的及び利点も、添付図面と併せて読み取る場合には、例示した実施形態における以下の詳細な説明の参照により最もよく理解されることになる。 図1は、糖蜜製造に利用される一つの方法における一般的な加工工程を表すブロック図である。その加工は、最初にサトウキビから抽出されるサトウキビ汁を用いる。糖蜜は、テンサイのような他の糖源から生産することもできるが、出願人は本明細書において、最初にサトウキビ汁を用いる伝統的に最も幅広く利用されている加工工程に着目する。サトウキビ汁は、葉を剥いてすり潰すか、粉砕するか、その他では粉末状にしたサトウキビから抽出102される。絞り汁の抽出を促進するために、この加工工程において水が加えられる。 こうして絞り汁は、濾過により清澄104されて、複数回の蒸発濃縮及び低減処理工程106によって、その絞り汁は煮沸され、濃縮されてシロップになる。清澄工程104において絞り汁は、約95℃から100℃に加熱され、約6.5から7.5のpHに上昇させるために石灰又は他の食品用成分が添加される。コロイド固体及び浮遊固体である石灰、泥、及びバガス片が沈殿する結果、明るい色の透明な液体になる。蒸発濃縮工程では、得られた液体を水の沸点よりも高温になるまで加熱し、約60から70ブリックスのシロップを生産する。複数回の蒸発濃縮工程後には、糖がシロップ中に晶出しはじめる。行われる工程の回数は、単位操作における温度や圧力及びサトウキビ汁の含水量を含むいくつかの要素に起因する。粗糖結晶110は、真空晶出工程108においてシロップから分離され、この残ったシロップが糖蜜112の一種である。より低温での利用を可能にするために真空下で晶出工程108を行うことは、ショ糖の分解を最小限にする。 図2は、図1に表される工程の生産物である粗糖110を精糖するために利用される一つの方法における一般的な加工工程表すブロック図である。粗糖結晶110は、混合及びアフィネーション工程202において「母液」とともに混ぜられ、この「母液」には前の工程で粗糖結晶から分離した糖蜜の一部が通常使用される。混合工程202では、混合物は80℃から100℃の間の湯とともに噴霧され、シロップを生産するために遠心分離器で回転させる。遠心分離器から排出される軽い分画はさらに製糖された液糖であり、重い分画は主に転化糖、灰、及び好ましくない有機物を有する廃液流である。こうして混合液糖の液流は、融解(又は溶解)工程204に移行する。融解工程において、68から73ブリックスの「融解液」を生産するために水が加えられる。こうして融解混合物は、任意に清澄206される。清澄工程には、たとえばリン酸及び水酸化カルシウムをシロップとともに混ぜることによって、結合させてリン酸カルシウムを沈殿させる工程を含んでいてもよい。リン酸カルシウムの粒子は、不純物の一部を捕捉又は吸収する。また、清澄工程は活性炭又は骨炭を通過させることでシロップを濾過する工程も、含んでいても良い。 精糖において最後の工程は、真空晶出工程208である。この工程は通常、ショ糖の分解を減少させるために糖混合物を低圧力及び低温下で機械的に撹拌及び煮沸する四つの段階を有する工程である。この真空晶出工程における生産物は、図1に表される工程の生産物である糖及び糖蜜よりも明るい色の精糖の液流210及び糖蜜の液流212である。精糖をさらに精製するために、精糖に図2の工程を始めから終わりまで重ねて行い、前回の繰り返しにより生産した精糖及び糖蜜の液流よりも明るい色を現す精糖及び糖蜜の液流を連続的に生産してもよい。 出発原料である汁を製造するために利用される砂糖の植物原料は、アスパラギン及び還元糖を通常含有するため、このことは加熱時にアクリルアミドを生成する可能性があるということを示す。実際に出願人は、市販の糖蜜を評価したところ、いくつかの糖蜜は著しい量のアクリルアミドを含有することが分かった。 市販の糖蜜は、明るい黄金色から暗褐色にわたって様々な色の種類が売られており、米国では口語で廃糖蜜と呼ばれるものである。図1の工程により生産される糖蜜は、一般的に最も暗い色であるため、「コーヒー」糖蜜と呼ばれる。出願人は、本明細書において、一般的により暗い色の糖蜜がより高水準のアクリルアミドを含有する点を見出した。出願人は、この理論に限定されないが、同一又は類似の出発原料であると仮定して、暗い色の糖蜜は、明るい色の糖蜜と比べて、高温で加熱調理される又は含水量が低い状態で長時間加熱調理されるシロップから生産されると理論づけている。さらに、出願人は、図1に現される糖蜜製造工程の間にアスパラギンが急速にアクリルアミドに変化しはじめる時点が存在することを見出した。この時点はおそらく、シロップの含水量が充分に低く低下し、シロップの温度が充分に高く上昇し、メイラード反応によりメイラード反応に特徴的な褐色の生成物が生じはじめるときである複数段階の蒸発濃縮工程106の間に発生する。 また、出願人は、図2に表される精糖工程の間にアクリルアミドが生成され得ることを究明した。融解工程204の間の温度は一般的に高温で行われるため、精糖の間に生成されるアクリルアミドの大部分は、おそらくこの融解工程の間に発生する。 アスパラギナーゼは、理論上では図1の糖蜜製造工程又は図2の精糖工程の間におけるいずれかの段階で添加することが考えられる。しかし、サトウキビ汁は希薄溶液として糖蜜製造工程が開始され、清澄されて数回の蒸発濃縮工程を経て濃縮される。そのため、仮にアスパラギナーゼをあまりに早く添加する場合には、その大部分が機能する機会を得る前に糖蜜製造工程における各工程からの廃液流とともに流されることになり、このことがアスパラギナーゼの効果を弱め、効率を悪くする。糖蜜製造工程においてアスパラギナーゼの添加が早い段階であればあるほど、より多量のアスパラギナーゼを使用しなければならないため、コストを著しく上昇させ、糖蜜の味に悪影響を及ぼす可能性がある。しかし、仮にアスパラギナーゼをあまりに遅く添加する場合には、相当量のアスパラギンがすでにアクリルアミドに変換されていることになるため、この場合にもアスパラギナーゼの効果はなくなる。そのうえ、アスパラギナーゼ及びアスパラギンの反応は、約43.3℃(110°F)から48.9℃(120°F)の温度で最も効率的になり、アスパラギナーゼ酵素が変性しはじめるため約60.0℃(140°F)より高温でほとんど完全に停止する。そのため、仮に糖蜜製造工程における高温工程にごく近接してアスパラギナーゼを添加する場合には、高温によりアスパラギナーゼが変性することになることから、アクリルアミドの生成の低減に効果的ではない。 出願人は、いくつかの市販品である糖及び糖蜜のアスパラギン及びアクリルアミドの水準を測定した。turbinado,demerara,raw及びmuscovadoの四つの異なる種類の未精製の黒砂糖において、アスパラギンの水準は乾量基準で11.38ppmから2,169.39ppmの範囲を示し、アクリルアミドの水準は12.41ppbから1,561.10ppbの範囲を示した。精糖した白砂糖は、乾量基準で1.9ppmのアスパラギンを含有し、検出不可能な水準のアクリルアミドを含有していた。 明るい色から暗い色まで様々である糖蜜製品を二つの異なる製造会社から取得するとともに、アスパラギン及びアクリルアミドの含有量を分析した。その結果を以下の表に示す。表1:製造会社Aの糖蜜中のアクリルアミド及びアスパラギンの水準表2:製造会社Bの糖蜜中のアクリルアミド及びアスパラギンの水準 表から読み取れるように、より暗い色の糖蜜は、概してより高い水準のアクリルアミドを含有する。しかし、ごく僅かのアスパラギンを含有する最も暗い色の市販の糖蜜を除き、アスパラギン含有量は、概してより暗い色の糖蜜においてより高い。出願人は、最も暗い色の糖蜜において、アクリルアミドの反応がアクリルアミドを生成するために急激にアスパラギンを消費しはじめる転換点を越えたと本明細書において理論づけた。 また、サトウキビ汁のサンプルについても、アクリルアミド及びアスパラギンの含有量を分析したところ、検出不可能な水準のアクリルアミドを含有し、乾量基準で23.26ppmのアスパラギンを含有することが分かった。シロップ状に煮詰めるために一度加熱されたサトウキビ汁であるサトウキビのシロップのサンプルは、約122.62ppbのアクリルアミドを含有し、30.54ppmのアスパラギンを含有することが分かった。 前述の資料から、糖蜜及び未精製の糖は、著しい水準のアスパラギン及びアクリルアミドの両方とともに図1の糖蜜製造工程において排出されることが読み取れる。さらに、複数段階の蒸発濃縮工程106において排出されるサトウキビのシロップも、著しい水準のアクリルアミド及びアスパラギンを含有している。そのため、糖蜜中のアクリルアミドの生成を低減するためには、複数段階の蒸発濃縮工程106の前のある時点に干渉することが重要である。蒸発濃縮工程の間における温度が少なくとも約99.4℃(212°F)であり、アスパラギナーゼが60.0℃(140°F)以上で変性することから、この間にアスパラギナーゼを添加することは不可能である。さらに、回収される糖液は、糖蜜製造工程の開始時に希釈される。したがって、最初の粉砕工程で生産されるサトウキビ汁液にアスパラギナーゼを添加することが経済的であると考えられる。 本発明の実施形態の一つでは、清澄工程104の後で蒸発濃縮工程106の前にアスパラギナーゼをサトウキビ汁に添加する。換言すれば、蒸発濃縮工程の直前にアスパラギナーゼをサトウキビ汁に添加する。この時点において、サトウキビ汁は、アスパラギナーゼの効果がなくなる温度よりも高温に加熱される前における最大濃度になる。そのため、最小量のアスパラギナーゼがアスパラギンを失活させるために必要とされ、これにより効率的かつ効果的にアクリルアミドの生成が低減される。 図1に表される工程で排出される粗糖及び糖蜜は、アクリルアミド及びアスパラギンの両方を含有しているため、図2の精糖工程におけるアクリルアミドの生成を低減するためにアスパラギナーゼを添加することもできる。融解工程204は通常、精糖工程において唯一の高温を伴う工程であるため、出願人は、精糖工程におけるアクリルアミドの生成の大部分は融解工程の間に発生すると考えている。そのため、本発明の他の実施形態において、混合及びアフィネーション工程202の間、又はその直後にアスパラギナーゼを添加することもできる。換言すれば、実施形態の一つでは、融解工程の直前にアスパラギナーゼを粗糖液に添加する。 出願人は、本明細書において、それぞれアスパラギナーゼを加えてアスパラギン含有量を経時的に測定した廃糖蜜、turbinado糖、及びサトウキビ原料糖の三つの個別の液体を扱っている。湿潤基準(U/g)における原料糖1グラム(g)当たり1酵素ユニット(U)のアスパラギナーゼ量で、アスパラギナーゼをこれらの液体に添加する。室温下及び廃糖蜜に適した5.5からサトウキビ原料糖に適した6.8のpHの範囲で、アスパラギナーゼを添加する。出願人は、試験の始めには三つの溶液が20,100及び175ppmのアスパラギンであったにも拘わらず、アスパラギナーゼによって、三つの溶液すべてにおいて約5分から10分の接触時間の後におけるアスパラギンの低減量がアスパラギン含有量の約85%になり、最大でアスパラギン含有量の90%になることを見出した。さらに、約100分の接触時間の後には、三つの溶液すべてが5から10ppmの間のアスパラギンまで低減された。このように、糖及び糖蜜の生産物中に存在するアスパラギンのほとんどを失活させるためにアスパラギナーゼを1U/g添加する場合には、比較的短い接触時間が必要であり、約90分よりも長ければよりよいが、長い接触時間により存在するアスパラギンのすべてを実質的に失活させることになる。 出願人は、約0.1U/g未満の水準でアスパラギナーゼを添加することは精糖工程におけるアクリルアミドの生成の低減に効果的ではないことを見出した。高濃度のアスパラギナーゼを添加する場合に比べて、低濃度のアスパラギナーゼがより長い接触時間を必要とすることを理解した上で、アクリルアミドの生成を効果的に低減するためには、最低でも0.25U/gのアスパラギナーゼを添加する必要がある。長い接触時間により、精糖工程の費用が増大し、機能する機会を得る前に酵素が変性するおそれが大きくなる。また、出願人は、1000U/gの水準でアスパラギナーゼを添加する場合には、急速にアスパラギンの水準が低減するものの、1U/g添加時と同程度にアスパラギンが低減することを見出した。工業的に実施可能で効率的な工程では、約1U/gから4U/gの間の水準でアスパラギンを添加する。このような水準で、アスパラギンは適正な時間で許容水準に低減される。 実施形態の一つでは、図1の糖蜜製造工程における清澄工程で排出される液流にアスパラギナーゼを直接添加する。この実施形態では、蒸発濃縮器に移送する際にアスパラギナーゼを汁中のアスパラギンと反応させるとともに、この反応の間は約60.0℃(140°F)未満の蒸発濃縮器内で行う。他の実施形態では、清澄工程で排出される液流は図示しない貯蔵タンクに移送され、アスパラギナーゼと混合させる。好ましくは、貯蔵タンクは、アスパラギナーゼ・サトウキビ汁混合液の温度を約37.8℃(100°F)から約54.4℃(130°F)の温度に維持し、最も好ましくは約43.3℃(110°F)から48.9℃(120°F)の温度に維持する。貯蔵タンク内において所定時間経過した後には、アスパラギナーゼ処理汁を蒸発濃縮器に移送し、従来どおりの糖蜜製造工程が継続される。貯蔵タンクは、連続式、半連続式、又は回分式のいずれかとすることができる。 他の実施形態では、図2の精糖工程の間において混合工程を抜けた後であって融解工程204に入る前に、混合糖液にアスパラギナーゼを添加する。このアスパラギナーゼの添加は、上述の糖蜜製造における実施形態と同様に直接又はインラインで行われる。他の実施形態では、上述の糖蜜製造における実施形態に記載したように、貯蔵タンク内の混合糖液にアスパラギナーゼを添加する。 本発明における上述の実施形態を個別に実施してもよく、また各実施形態を互いに組み合わせたり、他のアクリルアミドを低減する方法と組み合わせて実施してもよい。実施形態の組み合わせは、糖蜜中のアクリルアミドの発生を単一の実施形態により達成可能な水準よりもさらに低減するために利用することができ、またこの実施形態の組み合わせは、糖蜜の味や食感に必要以上の変化を与えることなく、低い水準のアクリルアミドを得るために利用することができる。 いくつかの実施形態を参照して詳細に示すとともに本発明を説明したが、本発明の主旨や特許請求の範囲を逸脱しなければ、他の種々のアスパラギナーゼを利用する加熱加工食品中のアクリルアミドの低減方法を行うことができる点は、当業者にとって理解することができる。 102…抽出、104…清澄、106…蒸発濃縮及び低減処理、108…真空晶出、110…粗糖、112…糖蜜、202…混合及びアフィネーション、204…融解、206…清澄、208…真空晶出、210…精糖、212…糖蜜。 糖蜜製造時におけるアクリルアミドの生成量を低減する方法において、 処理糖液を製造するために清澄糖液にアスパラギナーゼを添加する工程と、 処理液糖を生産するために前記処理糖液から水分量を蒸発させる工程と、 前記液糖を粗糖分画及び糖蜜分画に分離する工程とを備える方法。 前記添加工程に先だって、糖液を製造するために原料糖を水とともに粉砕する工程と、前記清澄糖液を生産するために前記糖液を清澄する工程とをさらに備える請求項1に記載の方法。 前記処理糖液を約37.8℃(100°F)から54.4℃(130°F)の温度に少なくとも5分間は維持することをさらに備える請求項1に記載の方法。 前記処理糖液を約43.3℃(110°F)から48.9℃(120°F)の温度に少なくとも5分間は維持することをさらに備える請求項1に記載の方法。 前記添加工程は、貯蔵タンク内で行われる請求項1に記載の方法。 前記添加工程は、湿潤基準における糖1グラム当たり約1から4酵素単位のアスパラギナーゼ量で、前記アスパラギナーゼを前記清澄糖液に添加することをさらに備える請求項1に記載の方法。 精糖時におけるアクリルアミドの生成量を低減する方法において、 混合原料糖液にアスパラギナーゼを添加する工程と、 融解糖液を生産するために前記原料糖液を融解する工程と、 清澄糖液を生産するために前記融解糖液を任意に清澄する工程と、 前記融解糖液又は前記清澄糖液を精糖分画及び糖蜜分画に分離する工程とを備える方法。 前記添加工程は、貯蔵タンク内で行われる請求項7に記載の方法。 前記添加工程の後に、前記糖液を約37.8℃(100°F)から54.4℃(130°F)の温度に少なくとも5分間は維持することをさらに備える請求項7に記載の方法。 前記添加工程の後に、前記糖液を約43.3℃(110°F)から48.9℃(120°F)の温度に少なくとも5分間は維持することをさらに備える請求項7に記載の方法。 前記添加工程は、湿潤基準における糖1グラム当たり約1から4酵素単位のアスパラギナーゼ量で、前記アスパラギナーゼを前記清澄糖液に添加することをさらに備える請求項7に記載の方法。 本願発明の方法では、糖蜜製造工程又は精糖工程時において、添加したアスパラギナーゼの効率性及び有効性が最大になる時点でサトウキビ汁にアスパラギナーゼを添加する。添加したアスパラギナーゼは、糖蜜及び糖内におけるアクリルアミドの生成を所望の水準にまで低減する一方で、最終製品の品質及び特性に及ぼす影響は最小限である。


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