生命科学関連特許情報

タイトル:公表特許公報(A)_血小板産生のための巨核球前駆細胞
出願番号:2014519073
年次:2014
IPC分類:C12N 5/0789,A61P 7/04,A61K 35/12,A61K 35/28


特許情報キャッシュ

カースンキー ホルジャー チャナヌクル チャナワン パヌガンティ スワプナ JP 2014523741 公表特許公報(A) 20140918 2014519073 20120706 血小板産生のための巨核球前駆細胞 セレラント セラピューティクス インコーポレイテッド 510255071 清水 初志 100102978 春名 雅夫 100102118 山口 裕孝 100160923 刑部 俊 100119507 井上 隆一 100142929 佐藤 利光 100148699 新見 浩一 100128048 小林 智彦 100129506 渡邉 伸一 100130845 大関 雅人 100114340 五十嵐 義弘 100114889 川本 和弥 100121072 カースンキー ホルジャー チャナヌクル チャナワン パヌガンティ スワプナ US 61/504,972 20110706 C12N 5/0789 20100101AFI20140822BHJP A61P 7/04 20060101ALI20140822BHJP A61K 35/12 20060101ALI20140822BHJP A61K 35/28 20060101ALI20140822BHJP JPC12N5/00 202QA61P7/04A61K35/12A61K35/28 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC,VN,ZA US2012045781 20120706 WO2013006806 20130110 36 20140214 4B065 4C087 4B065AA93X 4B065AC12 4B065AC20 4B065BA22 4B065BB34 4B065BB40 4B065BC41 4B065BD11 4B065CA44 4C087AA01 4C087AA02 4C087BB33 4C087BB44 4C087DA12 4C087NA05 4C087ZA51 4C087ZB22連邦政府による支援を受けた研究および開発の下でなされた発明の権利に関する宣言 本発明は、国立衛生研究所および国立アレルギー感染病研究所から授与された、助成金番号1RC1 AI080314-01および-01S1の下で政府の支援を受けてなされた。政府は、本発明に関して一定の権利を有する。発明の背景 血小板は、血液凝固過程に必須であり、血管からの赤血球の漏出を制限するのに必要とされる。血小板レベルが異常に低いと、出血のリスクが増大し、血小板レベルが臨界レベル未満に下がった場合に突発性の出血をもたらしうる。異常に低い血小板レベルによって定義される疾患である血小板減少症は、血小板産生の障害および/または除去速度の増加に起因しうる。 血小板輸血は、血小板減少症を処置するために用いることができ、低い血小板レベルに関連した深刻な出血の問題を減らすのに有効となりうる。MHC適合ドナー由来の血小板が、典型的に、ドナー血小板に対する有害な免疫応答を最小限に抑えるために用いられる。しかしながら、感染と血小板減少症との関連性により、好中球減少症(白血球、特に好中球の低減)が血小板減少症を悪化させ、両病態を有する患者において、より頻繁な輸血が必要とされることが示唆されている。さらに、好中球減少症を処置するためのG-CSF治療の使用は、G-CSF投与に関連して血小板破壊が加速するため、血小板減少症に対しては禁忌である。 血小板減少症に対する血小板輸血は依然として行われているが、感染および移植片拒絶に関連したリスクがある。さらに、血小板は貯蔵、例えば、凍結保存に適しておらず、したがって、十分な量で利用できないことが多い。血小板減少症はまた、トロンボポエチン(TPO)またはIL-11の投与により、適度な効果をともなって、処置されている。TPOは、巨核球からの血小板の分離(shedding)を促進せず、したがって、血小板レベルをすぐには増加させない(Ito el al. (1996) Br. J. Haematol. 94:387(非特許文献1))。IL-11 (Neumega(登録商標))は多くの異なる組織の種類に影響を及ぼし、したがって、副作用を引き起こしうる(例えば、以下のウェブサイトで入手可能な添付文書を参照のこと: labeling.pfizer.com/showlabeling.aspx?id=500(非特許文献2))。 本明細書において記述される組成物および方法は、インビボで血小板を生成するのに使用でき、簡単に貯蔵される、非免疫原性の巨核球前駆細胞(MKP)の集団を提供する。Ito el al. (1996) Br. J. Haematol. 94:387labeling.pfizer.com/showlabeling.aspx?id=500 本明細書において提供されるのは、インビボで多数の血小板を迅速に産生する巨核球前駆細胞の集団を生成するための組成物および方法である。 いくつかの態様において、本発明は、CD34+CD41+巨核球前駆細胞(MKP)を含む単離された細胞集団であって、血小板生成活性を有する細胞集団を提供する。いくつかの態様において、前記細胞はヒト細胞である。いくつかの態様において、前記細胞は二体以上の個体(複数の個体、例えば、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10体、またはそれ以上)に由来する。いくつかの態様において、前記細胞は1つまたは複数のMHC (またはHLA)遺伝子座で不一致である。 いくつかの態様において、細胞集団は少なくとも30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%またはそれ以上の割合のCD34+CD41+ MKPを含む。いくつかの態様において、CD34+CD41+ MKPの少なくとも50%は、CD184+である(例えば、55、60、70、75、80、85%またはそれ以上の割合のCD184+)。いくつかの態様において、CD34+CD41+ MKPの75%未満は、CD42a+である(例えば、60、55、50、45、40、35、30、25、20、10、5%またはそれ以下の割合未満のCD42a+)。いくつかの態様において、細胞集団は有意な数のB細胞および/またはT細胞を欠く(例えば5、4、3、2、もしくは1%未満のB細胞および/もしくはT細胞、または検出不能なレベルのB細胞および/もしくはT細胞)。いくつかの態様において、MKP細胞は細胞集団から分離され、例えば、濃縮されたMKP細胞集団が形成される。いくつかの態様において、MKP細胞は、CD34、CD41、および/またはCD184の細胞表面の発現に基づいて分離される。 いくつかの態様において、免疫不全マウスへの、前記細胞集団由来の5×106個の細胞の投与は、少なくとも106個の外因性(例えば、ヒト)血小板/血液1mlを、例えば投与から14日後にもたらす。いくつかの態様において、5×106個の細胞の投与は、免疫不全マウスへの投与から14日後に少なくとも5×106、107、2×107、5×107、7.5×107または108個の外因性(例えば、ヒト)血小板/血液1mlをもたらす。いくつかの態様において、5×106個の細胞の投与は、免疫不全マウスへの投与から6週後に(例えば、投与から7、8、9、または10週後に)少なくとも106、2×106、5×106、7.5×106、または107個の外因性(例えば、ヒト)血小板/血液1mlをもたらす。 いくつかの態様において、前記細胞集団はインビトロで、例えば、SCFもしくはSCF類似体; TPOもしくはTPO類似体; および/またはヘパリンを含む培地中で、血小板を生成することができる(例えば、Baldiuni et al. (2011) PLoSONE 6:e21015; Choi et al. (1995) Blood 85:402を参照のこと)。いくつかの態様において、105〜106個のMKP細胞を含む細胞集団は、4〜8日間の培養の後、インビトロで少なくとも104〜106個の血小板を生成することができる。 いくつかの態様において、前記細胞集団は少なくとも10%、例えば、少なくとも12%、15%、17%、20%、25%またはそれ以上の巨核球コロニー形成能を有する。いくつかの態様において、前記細胞集団は、凍結保存後に少なくとも10%の巨核球コロニー形成能を有する。いくつかの態様において、MKPは、(例えば、インビトロでのMegacult(登録商標)アッセイ法によって測定される、または免疫不全マウスへの投与後にインビボで検出される) CD34陰性CD41+CD42a+巨核球へとさらに分化する。いくつかの態様において、免疫不全マウスに投与された場合、MKPは骨髄に生着する。 いくつかの態様において、前記細胞集団は凍結保存される。いくつかの態様において、前記細胞は、凍結保存後に機能を保持している。つまり、前記細胞は、免疫不全マウスへ投与された場合に(本明細書において記述されるように)血小板を生成、もしくは骨髄に生着しうるか、または巨核球へとさらに分化しうる。いくつかの態様において、前記細胞集団は、凍結保存前の細胞集団と比べて凍結保存後に少なくとも60、70、75、80、85、90、95、100%またはそれ以上の割合の機能を保持している。 いくつかの態様において、さらに提供されるのは、上記の細胞集団と薬学的賦形剤(例えば、生理食塩溶液、緩衝生理食塩溶液など)とを含む薬学的組成物である。いくつかの態様において、薬学的組成物は、例えば投与の前に、貯蔵のために凍結保存することができる。いくつかの態様において、薬学的組成物は個体、例えば、血小板新生の個体に投与され、個体において血小板を生成する。 さらに提供されるのは、CD34+CD41+ MKPを含む上記の細胞集団を調製するための方法である。いくつかの態様において、本方法は、CD34+造血幹細胞(HSC)の、CD34+CD41+ MKPを含む細胞集団の生成を可能にする条件の下で、トロンボポエチン(TPO)またはTPO類似体とIL-1αとを含む培地中でCD34+ HSCを培養する段階であって、該MKPが血小板生成活性を有する、段階を含む。いくつかの態様において、本方法は、CD34+造血幹細胞(HSC)の、CD34+CD41+ MKPを含む細胞集団の生成を可能にする条件の下で、トロンボポエチン(TPO)またはTPO類似体; IL-1αおよび/またはIL-1β; ならびにIL-9を含む培地中でCD34+ HSCを培養する段階であって、該MKPが血小板生成活性を有する、段階を含む。いくつかの態様において、本方法は、CD34+造血幹細胞(HSC)の、CD34+CD41+ MKPを含む細胞集団の生成を可能にする条件の下で、トロンボポエチン(TPO)またはTPO類似体; IL-1αおよび/またはIL-1β; ならびにHSAを含む培地中でCD34+ HSCを培養する段階であって、該MKPが血小板生成活性を有する、段階を含む。いくつかの態様において、本方法は、CD34+造血幹細胞(HSC)の、CD34+CD41+ MKPを含む細胞集団の生成を可能にする条件の下で、トロンボポエチン(TPO)またはTPO類似体; IL-1αまたはIL-1β; IL-9; ならびにHSAを含む培地中でCD34+ HSCを培養する段階であって、該MKPが血小板生成活性を有する、段階を含む。 いくつかの態様において、TPO類似体はTPO模倣体である。いくつかの態様において、培地は、0.1〜100 nM、1〜50 nM、5〜20 nM、1〜25 nM、5〜50 nM、または約10 nMの濃度でTPOまたはTPO類似体を含む。いくつかの態様において、培地はIL-1αを含む。いくつかの態様において、培地は、1〜200 ng/ml、1〜100 ng/ml、1〜50 ng/ml、0.5〜20 ng/ml、5〜20 ng/ml、または約10 ng/mlのIL-1αおよび/またはIL-1β濃度で、IL-1αおよび/またはIL-1βを含む。いくつかの態様において、IL-9が含まれる場合、培地は、1〜200 ng/ml、1〜100 ng/ml、10〜100 ng/ml、10〜200 ng/ml、50〜100 ng/ml、または約60 ng/mlのIL-9を含む。いくつかの態様において、HSAが含まれる場合、培地は、0.1〜5%、0.2〜4%、0.5〜2%、0.25〜2.5%、0.5〜1.5%または約1% HSAを含む。 いくつかの態様において、培養する段階は撹拌状態中(例えば振盪フラスコ中)である。いくつかの態様において、培養する段階は少なくとも107個のHSC、例えば、108、109または1010個のHSCの少なくともいずれか1つで開始される。いくつかの態様において、培養する段階は静止状態中、例えばHSAの非存在下である。いくつかの態様において、培養物はフィーダー細胞を欠く。いくつかの態様において、培地は有意なまたは検出可能な血清を欠く(すなわち、血清は添加されない)。 いくつかの態様において、HSCは二体以上(複数)の個体から得られる。いくつかの態様において、HSCはヒトのものである。いくつかの態様において、HSC (およびMKP)は、1つまたは複数のMHC (またはHLA)遺伝子座で不一致である。いくつかの態様において、HSCは臍帯血から得られる。いくつかの態様において、HSCは末梢血から(例えば、動員末梢血から)得られる。いくつかの態様において、HSCは誘導多能性幹細胞から得られる。いくつかの態様において、HSCは胎盤から得られる。いくつかの態様において、HSCは供給源の組み合わせ(例えば、複数の組織または複数の個体)から得られる。 いくつかの態様において、免疫不全マウスへの、前記細胞集団由来の5×106個の細胞の投与は、投与から14日後に少なくとも106個の外因性(例えば、ヒト)血小板/血液1mlをもたらす。いくつかの態様において、5×106個の細胞の投与は、免疫不全マウスへの投与から14日後に少なくとも5×106、107、2×107、5×107、7.5×107または108個の外因性(例えば、ヒト)血小板/血液1mlをもたらす。いくつかの態様において、5×106個の細胞の投与は、免疫不全マウスへの投与から6週後に(例えば、投与から7、8、9、または10週後に)少なくとも106、2×106、5×106、7.5×106、または107個の外因性(例えば、ヒト)血小板/血液1mlをもたらす。 いくつかの態様において、培地は1〜100 nMのTPOまたはTPO類似体(例えば、1〜50、1〜20、5〜15、または約10 nMのTPOまたはTPO類似体)を含む。いくつかの態様において、培地は1〜100 ng/mlのIL-1 (例えば、1〜50、1〜20、5〜15、または約10 ng/mlのIL-1)を含む。いくつかの態様において、IL-1はIL-1α (例えば、組み換えヒトIL-1α)である。いくつかの態様において、培地は5〜15 ng/mlのIL-1αおよび5〜15 nMのTPOまたはTPO類似体を含む。いくつかの態様において、培地は血清および他の動物由来産物を欠く(例えば、血清は培地に添加されない、または培地中で検出できない)。いくつかの態様において、条件はフィーダー細胞を欠く(例えば、フィーダー細胞は添加されない、または検出不能である)。 いくつかの態様において、細胞集団は少なくとも30、40、50、60、70、80、90またはそれ以上のパーセントのCD34+CD41+ MKPを含む。いくつかの態様において、CD34+CD41+ MKPの少なくとも50%は、CD184+である(例えば、55、60、70、75、80、85%またはそれ以上の割合のCD184+)。いくつかの態様において、CD34+CD41+ MKPの75%未満は、CD42a+である(例えば、60、55、50、45、40、35、30、25、20、10、5%またはそれ以下の割合未満のCD42a+)。いくつかの態様において、細胞集団はB細胞およびT細胞を欠く(例えば、5、4、3、2、もしくは1%未満のB細胞およびT細胞、または検出不能なレベルのB細胞およびT細胞)。いくつかの態様において、本方法は細胞集団からMKPを分離する段階をさらに含む。いくつかの態様において、CD34+CD41+ MKPは分離される。いくつかの態様において、CD34+CD41+CD184+ MKPは分離される。いくつかの態様において、CD34+CD41+CD42a陰性 MKPは分離される。 いくつかの態様において、HSCは培養する段階の前に凍結保存される。いくつかの態様において、本方法は前記細胞集団を凍結保存する段階をさらに含む。いくつかの態様において、細胞は、本明細書において記述されるように、凍結保存後に機能、例えば、血小板生成活性を保持している。いくつかの態様において、細胞集団は、凍結保存前の細胞集団と比べて凍結保存後に少なくとも60、70、75、80、85、90、95、100%またはそれ以上の割合の機能を保持している。 いくつかの態様において、本方法は、MKPに血小板を生成させる段階をさらに含む。いくつかの態様において、MKPに血小板を生成させる段階は、SCFまたはSCF類似体; TPOまたはTPO類似体; およびヘパリンを含む培地中でインビトロで行われる。いくつかの態様において、MKPに血小板を生成させる段階は、MKPをレシピエントに投与して、インビボで血小板を生成する段階を含む。 さらに提供されるのは、本明細書において記述される方法にしたがって生成された細胞集団、すなわち、CD34+造血幹細胞(HSC)の、CD34+CD41+ MKPを含む細胞集団の生成を可能にする条件の下で、トロンボポエチン(TPO)またはTPO類似体とIL1-αとを含む培地中でCD34+ HSCを培養する段階であって、該MKPが血小板生成活性を有する、段階にしたがって生成された、細胞集団である。 さらに、本明細書において提供されるのは、個体、例えば、血小板新生の個体において血小板を生成するための方法である。いくつかの態様において、本方法は、CD34+造血幹細胞(HSC)の、血小板生成活性を有するCD34+CD41+巨核球前駆細胞(MKP)を含む細胞集団の生成を可能にする条件の下で、トロンボポエチン(TPO)またはTPO類似体とIL1-αとを含む培地中でCD34+ HSCを培養する段階、およびMKPを個体に投与し、それにより個体において血小板を生成する段階を含む。いくつかの態様において、体重1 kgあたり少なくとも0.2×105個の、前記細胞集団由来の細胞(例えば、少なくとも0.5×105、0.75×105、105、0.5×106、106、5×106個の細胞/体重1kg)が個体に投与される。 いくつかの態様において、HSCはヒトのものである。いくつかの態様において、HSCは複数の個体から得られる。いくつかの態様において、HSC (およびMKP)は、1つまたは複数のMHC (またはHLA)遺伝子座に不一致を有する。いくつかの態様において、HSC (およびMKP)は、レシピエント(すなわち、MKPが投与される個体)と1つまたは複数のMHC (またはHLA)遺伝子座に不一致を有する。いくつかの態様において、細胞集団は、免疫不全マウスへの、該細胞集団由来の5×106個の細胞の投与が、投与から14日後に少なくとも106個、例えば、5×106、107、5×107個、またはそれ以上の少なくともいずれか1つのヒト血小板/血液1mlをもたらすことを特徴とする。 いくつかの態様において、HSCは培養の前に凍結保存される。いくつかの態様において、細胞集団は投与の前に凍結保存される。いくつかの態様において、本方法は、投与する段階の前に細胞集団からMKPを分離する段階をさらに含む。いくつかの態様において、CD34+CD41+ MKPは分離される。いくつかの態様において、CD34+CD41+CD184+ MKPは分離される。いくつかの態様において、CD34+CD41+CD42a陰性 MKPは分離される。いくつかの態様において、MKPは、投与する段階の前に凍結保存される。巨核球系列に焦点をあてた造血系細胞の略図を示す。本方法によって生成されたMKP集団を示す。(A) 細胞は培養8日目の時点で15倍超に増殖する。(B) MKPは培養細胞の50%超を構成する。(C) 本方法によって生成されたMKPは、主にCD184+ (CXCR4)であり、CD184陰性 MKPよりもインビボで良好に生着し、多くの血小板を生成しうる。本明細書において記述されるように生成されたMKP (CLT-009と標識)を、異なる条件の下で増殖させた骨髄前駆細胞(CLT-008と標識、例えば、WO2007095594参照)と比較している。MKPは、上方のパネルに示されるように、MK促進条件によって巨核球系にいっそうコミット(commit)される。さらに、MKPは、好中球促進条件の下では好中球をあまり形成することができない。(A) 培養8日目の時点の本MKPの代表的な細胞表面染色パターン。細胞はCD41+およびCD90陰性としてCD34+ HSCから識別可能である(左パネル)。右パネルは、本CD41+ MKP上の高レベルのCD184+発現を示す。(B) Megacultアッセイ法の結果は、本MKP (T1a = TPO模倣体 + IL-1α)が骨髄前駆細胞(CLT-008と標識)よりも有意に多くの巨核球コロニーを生成することを示す。培養8日目の時点の3人の異なるヒトドナー(およびプール)由来の細胞の増殖倍率を示す。下パネルは、培養の0〜16日目の間の相対的な細胞集団を示す。MKP (CD34+CD41+)の数は、およそ8日目の時点で最大となる。該時点より前には、培養物はより高い割合の出発集団(HSC)を含み、一方、該時点より後には、MKPはより成熟した巨核球(CD34陰性CD41+CD42a+)へと分化する。本MKPは凍結保存の前および後に巨核球コロニー形成の能力があることを示す。上パネルAは、全般的な骨髄細胞の発生を促進するメチルセルロース培養の結果を示す。下パネルBは、巨核球の発生を促進するmegacult条件の結果を示す。凍結保存は巨核球のCFU (コロニー形成単位)およびBFU (芽球形成単位)をわずかに少し低減させた。GM= 顆粒球-マクロファージ; MおよびMK= 巨核球; G= 顆粒球; CFU-E= 赤血球。107個の、8日目の、凍結保存後のヒトMKPを用いた投与の後の、異種移植マウスの表示された組織における生着の時系列を示す。107個の、8日目の、凍結保存後のヒトMKPを用いた投与の後の、異種移植マウスの表示された組織における生着の時系列を示す。本MKP (凍結保存後)は異種移植マウスにおいて血小板の迅速な交換を提供できることを示す(ヒト血小板 - 真ん中の線)。ヒト血小板数は投与の直後に増加し、その数は2〜3週目あたりにピーク(およそ3×104個の血小板/血液1ul)に達する。血小板減少症の場合、血小板数のこの迅速な増加は、内因性の血小板産生が回復する時間を提供することができる。凍結保存後の、8日目の培養物は、凍結保存後の10日目の培養物よりも高い割合のMKP (CD34+CD41+)を含むことを示す。しかしながら、10日目の培養物は、より高い割合の後期MKP (CD41+CD42a+)を含む。図10に示される凍結保存後の8日目および10日目のMKPのインビボでの血小板産生を比較している。107個の8日目のMKPの投与によって、107個の10日目のMKPよりも迅速に多くの血小板が産生される。8日目のMKPからの血小板数は約2週目の時点でピーク(約2×104個/血液1ul)に達し、10日目のMKPからの血小板数は約3週目の時点でピーク(約3×103個/血液1ul)に達した。本MKPからインビボで(マウスで)生成されたヒト血小板が機能的であることを示す。(A) ヒト血液から単離された血小板は、ADP (アデノシン二リン酸)への曝露によってCD62Pの表面発現を示す。(B) 同様に、異種移植マウスから得られたヒトMKP生成血小板は、ADPへの曝露によってCD62Pの表面発現を示す。本明細書において記述されるように生成されたMKPから派生したヒト血小板が、活性化すると血小板因子4を放出することを示しており、血小板が機能的であることを実証している。さまざまな条件で培養された3人の個々のドナーから単離されたCD34+細胞の全体的な増殖倍率を示す。T1aはTPO模倣体 + IL-1aを示す。T1a9はTPO模倣体 + IL-1a + IL-9を示す。培養8日後の増殖した細胞の組成を、CD34、CD41およびCD42aの発現に関して示す。このデータから、IL-9が有能なCD34+CD41+集団を含む、全集団のサイズを増加させることが示される。10 nMのTPO模倣体、10 ng/mlのIL-1aおよび60 ng/lのIL-9を用いたCD34+ドナーのプール由来の代表的なMKP増殖培養物の8日間にわたる成長を示す。1%ヒト血清アルブミン(HSA)を表示のように加えた。培養は表示のように、静置バッグ培養または撹拌される振盪フラスコ中のどちらかで行われた。このデータから、HSAの添加が、より高い増殖倍率をもたらすことが実証される。このデータから、MKP培養細胞が撹拌に適しており、これによって生産用の培養のスケールアップが容易となることも示される。8日間の培養の後の図14に提示した培養物の表現型分析を示す。(A)は、HSAの添加が有能なCD34+CD41+細胞の相対数のわずかな低減をもたらすことを示す。(B)は、CD34+CD41+細胞の相対的減少が細胞の全体的増加によって補われるよりも多く、CD34+CD41+細胞の、より高い全収量をもたらすことを示す。さらに、CD34+CD41+細胞の数は、撹拌される振盪フラスコ中で培養された場合に維持されるかまたは増加する。10 nMのTPO模倣体、10 ng/mlのIL-1a、60 ng/mlのIL-9の存在下で、追加の1% HSA有りまたは無しで、振盪フラスコ中で培養された場合の、8日間にわたる3つの個々のMKP培養物の平均の増殖倍率を示す。細胞数はHSAの存在下でほぼ50%増加し(A)、増殖したMKPの細胞組成は維持された(B)。発明の詳細な説明I. 導入 本明細書において提供されるのは、インビボに投与された場合に著しい数の血小板を迅速に産生する巨核球前駆細胞(MKP)である。循環血小板の増加は数週間、レシピエントにおいて持続する。さらに提供されるのは、フィーダー細胞および血清の非存在下で造血幹細胞(HSC)から血小板高産生性の巨核球系細胞を生成するための方法および組成物である。本明細書において記述される巨核球前駆細胞(MKP)は、とりわけ、血小板減少症および関連する状態を処置するために用いることができる。II. 定義 他に定義されない限り、本明細書において用いられる技術用語および科学用語は、当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。例えば、Lackie, DICTIONARY OF CELL AND MOLECULAR BIOLOGY, Elsevier (4th ed. 2007); Sambrook et al., MOLECULAR CLONING, A LABORATORY MANUAL, Cold Springs Harbor Press (Cold Springs Harbor, NY 1989)を参照されたい。本明細書において記述されるものと類似のまたは同等の任意の方法、装置および材料を本発明の実施において用いることができる。以下の定義は、本明細書において頻繁に用いられる特定の用語の理解を容易にするために提供されており、本開示の範囲を限定することを意図するものではない。 「巨核球前駆細胞」または「MKP」という用語は、巨核球系に主にコミットされた前駆細胞をいう。MKPは、以下でさらに詳細に記述されるが、典型的には、CD41の表面発現によって特徴付けられる。MKPはCD34+CD41+細胞を選択することにより、骨髄から(または動員末梢血から)単離することができる。初期MKPはCD42aの表面発現をほとんどまたは全く示さないが、後期MKPは表面にCD42aを発現する。 「血小板生成活性」という用語は、細胞集団が、本明細書において記述されるようにインビボでまたはインビトロで血小板を産生できることを意味する。血小板は成熟巨核球によって直接産生されるが、成熟巨核球はその倍数性のために分裂することができない。したがって、MKPが血小板産生性の巨核球をもたらしうるならば、該MKPは血小板生成活性を有するといわれる。 「免疫不全」という用語は、一般的に、個体における免疫機能(先天性免疫もしくは適応免疫、またはその両方)を低減するように遺伝子組み換えされたまたは物理的に処理された(例えば、放射線照射された、感染させた)個体をいう。例えば、機能的B細胞およびT細胞は、遺伝的に(例えば、組み換えに必要な遺伝子をノックアウトすることによって)または電離放射線を用いて、DNA組み換えを損なうことにより大部分取り除かれうる。免疫細胞は、免疫原性攻撃により、分裂し始め、電離放射線およびDNAインターキレーターなどの数多くの作用物質に対して脆弱になることが多い。特定のウイルス、真菌、および細菌は、免疫系の細胞を選択的に標的化する(例えば、HIV)。典型的には、「免疫不全マウス」は免疫欠損の遺伝モデル、例えば、SCID、RAG欠損、NSG (NOD/SCID/Gamma、例えば、NOD.Cg-Prkdcscid Il2rgtmlWjl/SzJ)、ヌードなどをいう。 本明細書において用いられる「類似体」という用語は、所与の因子の模倣体(ペプチドもしくは小分子模倣体)、組み換えにより産生された形態、機能的断片、および変種(例えば、種相同体、対立遺伝子変種)を包含する。「トロンボポエチン類似体」(TPO類似体)という用語はしたがって、トロンボポエチン受容体に結合するTPO模倣体、組み換えTPO (例えば、rhTPO)、TPOの機能的断片、種相同体、および対立遺伝子変種を包含する。 「治療」、「処置」および「寛解」という用語は、症状の重症度の任意の低減、または治療的パラメータ(例えば、血小板数、凝固能力など)の改善をいう。本明細書において用いられる場合、「処置する」および「予防する」という用語は、絶対的用語であるとは意図されない。処置および予防は、発症の任意の遅延、症状の寛解、患者生存の改善、生存時間または生存率の増加などを指すことができる。処置および予防は、本発明なしで生じうるよりも多くの血小板が患者において見出されるように、完全(正常な血小板産生の回復)または部分的であってよい。処置の効果は、処置を受けていない個体もしくは個体のプールと比較されてもよく、または処置の前のもしくは処置中の異なる時点での同じ患者と比較されてもよい。いくつかの局面において、状態(例えば、血小板減少症)の重症度は、例えば、投与前の個体と比べて、または処置を受けていない対照個体と比べて、少なくとも10%低減される。いくつかの局面において、状態の重症度は、少なくとも25%、50%、75%、80%、もしくは90%低減され、または場合によっては、標準的な診断技法を用いてはもはや検出不能である(すなわち、血小板数は正常の範囲内である)。 細胞に言及する場合の「移植」、「輸注」、「投与」および「注射」という用語は、本明細書において用いられる場合ほぼ同義語であり、個体への細胞の投与をいう。移植は同種移植もしくは自家移植であってよく、または実施例において記述されるように、異種移植であってよい。 「有効な量」、「有効な用量」、「治療的に有効な量」などの用語は、疾患、例えば、血小板減少症を寛解するのに十分な治療剤の量をいう。例えば、所与のパラメータに対し、治療的に有効な量は、少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、40%、50%、60%、75%、80%、90%、または少なくとも100%の治療効果の増加または減少を示す。治療効力は、「倍の」増加または減少として表すこともできる。例えば、治療的に有効な量は対照と比べて少なくとも1.2倍、1.5倍、2倍、5倍、またはそれ以上の効果を有しうる。 本明細書において用いられる場合、「薬学的に許容される」という用語は、生理学的に許容されるおよび薬理学的に許容されると同義的に用いられる。薬学的組成物は、一般的に、緩衝化および貯蔵時の保存のための作用物質を含み、投与の経路に依って、適切な送達のための緩衝液および担体を含むことができる。 「用量」および「投与量」という用語は、本明細書において互換的に用いられる。用量は、各投与時に個体に与えられる活性成分の量をいう。本発明の場合、用量は、細胞の総数、体重1 kgあたりの細胞数、または細胞の濃度を指すことができる。用量は、投与の頻度; 個体のサイズおよび耐性; 状態の重症度; 副作用のリスク; 投与の経路; ならびに検出可能な部分(存在するなら)の画像診断法を含む、いくつかの要因に依って変更されるであろう。上記の要因に依ってまたは治療の進展に基づいて用量は変更されうることを、当業者は認識するであろう。「投与形態」という用語は、医薬物の特定の形式をいい、投与の経路に依存する。例えば、投与形態は液体、例えば注射用の生理食塩溶液の状態でありうる。 「対象」、「患者」、「個体」および同様の用語は、互換的に用いられ、指定されている場合を除き、哺乳類、例えばヒトおよび非ヒト霊長類、ならびにウサギ、ラット、マウス、ヤギ、ブタおよび他の哺乳類種をいう。この用語は、対象が特定の疾患と診断されたことを必ずしも示すわけではなく、典型的には、医学的管理下の個体をいう。患者は、処置、モニタリング、現行治療計画の調整または修正などを希望する個体でありうる。患者は、処置を受けていない個体、処置を現在受けている個体、外科手術を受けた個体、および処置を中断した個体を含みうる。 「細胞培養物」は、生物の体外にある細胞のインビトロ集団である。細胞培養物は、細胞バンクもしくは動物から単離された一次細胞、またはこれらの供給源の1つに由来し、かつインビトロでの長期間培養のために不死化させた二次細胞により、確立することができる。 「培養する」、「培養する段階」、「成長させる」、「成長させる段階」、「維持する」、「維持する段階」、「増殖させる」、「増殖させる段階」などの用語は、細胞培養物それ自体または培養の過程をいう場合、生存に適した条件の下、体外で(例えば、エクスビボで)細胞が維持されることを意味するように互換的に用いることができる。培養細胞は生存することが可能になり、培養する段階により細胞の成長、分化または分裂をもたらすことができる。細胞のなかには自然に老化するものもあることなどから、この用語は、培養物中の全ての細胞が生存するまたは成長するまたは分裂することを意味するものではない。細胞は、典型的には培地中で培養され、この培地は培養の経過中に交換されうる。 「培地」および「培養液」という用語は、細胞培養環境をいう。培地は、典型的には等張液であり、液状、ゲル状、または半固体状であってもよく、例えば、細胞接着または細胞支持のためのマトリックスを提供することができる。培地は、本明細書において用いられる場合、細胞の培養に必要な栄養的、化学的および構造的支持のための成分を含むことができる。 「に由来する」という用語は、細胞または生体サンプルに言及する場合、ある時点で規定の供給源から細胞またはサンプルが得られたことを示す。例えば、個体に由来する細胞は、個体から直接得られた一次細胞(すなわち、未改変)でもよく、または、例えば組み換えベクターの導入により、特定の条件下で培養することにより、もしくは不死化により、改変されてもよい。場合によっては、所与の供給源に由来する細胞は、本来の細胞がもはや存在しないように細胞分裂および/または分化を起こすが、存続する細胞は、同じ供給源に由来するものと理解される。 「外因性」という用語は、所与の細胞もしくは生物の外部が起源である分子または物質(例えば、核酸またはタンパク質)をいう。逆に、「内因性」という用語は、所与の細胞もしくは生物に生まれつき備わっている、または所与の細胞もしくは生物の内部が起源である分子または物質をいう。 「同種」とは、同じ種の成員に由来していること、同じ種の成員が起源であること、または同じ種の成員であることをいい、ここでこの成員は、遺伝的に関連しているか、または遺伝的に関連していないが遺伝的に類似している。「同種移植」とは、ドナーからレシピエントへの細胞または臓器の移入をいい、ここでレシピエントはドナーと同じ種である。 「自家」とは、同じ対象もしくは患者に由来していること、または同じ対象もしくは患者が起源であることをいう。「自家移植」とは、対象の自身の細胞または臓器の回収および再移植をいう。 「移植片対宿主応答」または「GVH」または「GVHD」は、異なるMHC (主要組織適合性遺伝子複合体)クラスのリンパ球が宿主中に導入されて、宿主に対するリンパ球の反応が生じる場合に起きる細胞性応答をいう。HLA (ヒト白血球抗原)は、ヒトにおいて見出される抗原提示MHCタンパク質のサブセットである(例えば、Bodner et al. (1992) Human Immunol. 34:4を参照のこと)。III. 細胞 「造血幹細胞」または「HSC」は、B細胞、T細胞、NK細胞、リンパ系樹状細胞、骨髄性細胞、顆粒球、マクロファージ、巨核球、および赤血球系細胞を含む、造血系の全ての細胞型に最終的に分化する能力を有する、クローン原性の、自己複製多能性細胞をいう。造血系の他の細胞と同様に、HSCは典型的には、特徴的な細胞表面マーカーの存在によって定義される。例えば、ヒトでは、HSCはCD34、CD90 (Thy1)、CD117 (c-Kit)、CD59、およびCD150の細胞表面発現によって特定することができる。ヒトHSCは典型的には、CD38を発現しない。マウスHSCはSca1、CD117 (c-Kit)、およびThy 1.1の細胞表面発現、ならびに低いまたは検出不能なCD34発現によって特定することができる。 HSCは、骨髄(BM)、胎盤、胚組織、臍帯血(UCB)から、または末梢血(PB)から得ることができる。HSCは、例えばG-CSFを投与することにより、個体の骨髄から末梢血に動員されうる(例えば、Alexander et al. (2011) Transfusion; Roncon et al. (2010) Transplant Proc 43:244を参照のこと)。適用可能な場合、対象へのサイトカインまたは薬物の事前投与により、幹細胞は骨髄から末梢血に動員されうる(例えば、Lapidot et al., Exp. Hematol. 30:973-981 (2002)を参照のこと)。動員を誘導できるサイトカインおよびケモカインには、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)、エリスロポエチン(Kiessinger et al., Exp. Hematol. 23:609-612 (1995))、幹細胞因子(SCF)、AMD3100 (AnorMed, Vancouver, Canada)、インターロイキン-8 (IL-8)、およびこれらの因子の変種(例えば、ペグフィルガストリム(pegfilgastrim)、ダルボポエチン(darbopoietin))が含まれる。G-CSFとSCFまたはGM-CSFとG-CSFのような、サイトカインおよび/またはケモカインの組み合わせは、相乗的に作用して動員を促進することができ、例えば、単一のサイトカインまたはケモカインでは効率的な動員を示さない対象に対して、末梢血中のHSCおよび前駆細胞の数を増加させるように用いられうる(Morris et al., J. Haematol. 120:413-423 (2003))。G-CSFは、例えば、フィルグラスチム; レノグラスチム; プルリポエチン(pluripoietin)、Neupogen(商標)、グラニュロカイン(granulokine)(Amgen, CA, USA)、およびグラノサイト(granocyte)(Rhone-Poulenc)として、市販されている。また、GM-CSFは、例えば、モルグラモスチン(mologramostin)およびサルグラモスチムとして、市販されている。加えて、HSCは、より分化した細胞から再プログラム化因子、例えば、OCT4、SOX2、KLF4、cMYC、LIN28、および/またはNANOGの異所性発現によって生成される誘導多能性幹細胞(iPS)より得ることができる(例えば、Kamata et al. (2010) Hum. Gene Ther. 21: 1555; Takahashi et al. (2007) Cell 131:861; Amabile & Meissner (2009) Trends Mol Med 15:59を参照のこと)。 骨髄系前駆細胞は、以下の1つまたは複数を含むことができる:骨髄系共通前駆細胞(CMP); およびコミットされた骨髄系前駆細胞; 赤血球/巨核球前駆細胞(MEP)、顆粒球/単球前駆細胞(GMP); ならびに巨核球前駆細胞(MKP)。 骨髄系共通前駆(CMP)細胞は、骨髄赤血球細胞の全ての系統をもたらしうるが、リンパ球系をもたらしえない造血前駆細胞のサブセットである。CMP細胞は、細胞表面マーカーによって特定および単離することができる。ヒトCMP細胞もマウスCMP細胞もともに、マーカーThy-1 (CD90)、IL-7R-α(CD127)について; ならびにヒトではCD2; CD3; CD4; CD7; CD8; CD10; CD11b; CD14; CD19; CD20; CD56; およびグリコホリンA (GPA)、マウスではCD2; CD3; CD4; CD8; CD19; IgM; Ter110; およびGr-1を含む系統マーカーについて陰性に染まる。CMP細胞はCD34+ CD38+である。ヒトでは、CMP細胞はまた、IL-3R-α低 CD45RA陰性と特徴付けられる。マウスCMP細胞は、Sca-1陰性、(Ly-6EおよびLy-6A)、c-kit高、ならびにFc-γ-R低である。 CMPから派生する巨核球/赤血球前駆細胞(MEP)は、コミットされた巨核球前駆細胞および赤血球前駆細胞へと分化する能力によって特徴付けられる。成熟巨核球については以下でさらに詳細に記述される。赤血球細胞は、エリスロポエチンにより調節される過程を通じて、コミットされた赤血球前駆細胞から形成され、最終的に成熟赤血球細胞へと分化する。マウスMEPは、細胞マーカーの表現型c-Kit高、1L-7R陰性、FcR低および/またはCD34低によって特徴付けることができる。マウスMEP細胞集団は、マーカーB220、Ter1119、CD4、CD8、CD3、Gr-1、およびCD90が存在しないことによっても特徴付けることができる。ヒトMEPは、細胞表面マーカーCD34+ CD38+ CD123陰性 CD45RA陰性によって特徴付けることができる。ヒトMEP細胞集団は、マーカーCD3、CD4、CD7、CD8、CD10、CD11b、CD14、CD19、CD20、CD56、およびCD235aが存在しないことによっても特徴付けることができる。 骨髄系におけるさらなる拘束性前駆細胞は、顆粒球前駆細胞、マクロファージ前駆細胞、巨核球前駆細胞および赤血球前駆細胞である。 巨核球前駆(MKP)細胞は、巨核球系に拘束される造血前駆細胞である。MKP細胞は、検出可能なレベルのマーカーCD41およびCD34を発現する。さらにMKPは、マーカーThy-1 (CD90)、IL-7R-α(CD127)の発現がないことで; および/またはマーカーの系統パネルを用いて選択することができる。ヒトMKP細胞は、典型的には、CD2、CD3、CD7、CD8、CD10、CD11b、CD14、CD19、CD20、CD56、CD45L、CD71、CD235a、およびGPAについて陰性であり、かつCD33、CD38、CD184、およびc-Kit (CD117)について陽性である。CD42aおよびCD9の発現は成熟に伴って増加し、より成熟した巨核球および血小板と関連しうる。CD34の発現は成熟に伴って減少する。マウスMKP細胞は、典型的には、CD2; CD3; CD4; CD8; CD19; IgM; Ter119; およびGr-1について陰性である。 前駆細胞の発生能は、インビトロでの培養によって検証することができる。例えば、MKPを、本明細書において記述されるように培養して、巨核球(CFU-MK)および血小板を生み出すことができる。CMPを、スチール因子(steel factor)(SCF)、flt-3リガンド(FL)、インターロイキン(IL)-3、IL-11、GM-CSF、トロンボポエチン(TPO)および/またはエリスロポエチン(EPO)の存在下で培養することができる。CMP細胞は、CFU-GEMMeg (混合された骨髄、巨核球および赤血球系統)、赤芽球バースト形成細胞(BFU-E)、CFU-巨核球(CFU-Meg)、CFU-顆粒球/マクロファージ(CFU-GM)、CFU-顆粒球(CFU-G)およびCFU-マクロファージ(CFU-M)を含む、骨髄赤血球コロニーをもたらす。 MKPが巨核球へと成熟する際に、細胞は倍数体となり、もはや分裂する能力を有さない。細胞質は拡大し、特殊化した膜のネットワーク、すなわち、分離膜系(DMS)が細胞質内に形成される。これらの変化は多数の血小板の産生を支持する。成熟巨核球は、細胞からの前血小板の伸展(proplatelet extension)、および血小板の放出(血小板新生)によって特徴付けられる。巨核球は、典型的には、2000〜12,000個の血小板を放出する。概説はReems et al. (2010) Transfusion Med. Rev. 24:33を参照されたい。 血小板は核を欠いており、インビボで約10日未満の限られた寿命を有する。血小板は巨核球系の多くの細胞表面マーカー、例えば、CD41およびCD42aを保持する。例えば血液凝固に関与する、機能的マーカーには、フォン・ヴィレブランド因子受容体(GPIb-V-IX)、フィブリノゲン受容体(GPIIb/IIIa)、およびコラーゲン受容体(GPVI)が含まれる(Nishikii et al. (2008) J. Exp. Med. 4: 1917; Kehrel et al. (1998) Blood 91:491)。CD62p (P-セレクチン)の発現は、血小板活性化を示す。IV. MKPを生成する方法 本明細書において提供されるのは、CD34+ HSCから巨核球系細胞を生成するための方法である。HSCを特定するためのおよび得るための方法が、本明細書において記述される。MKPおよび/または巨核球を生成するために用いられるHSCは、例えばレシピエントへの自家投与または同種投与のために、単一のドナーから得ることができる。ドナーはレシピエントと血縁関係があってもよく、または血縁関係がなくてもよい。HSCは複数の個体から得ることもできる。例えば、いくつかの態様において、HSCはプールされた供給源由来であり、例えば臍帯血バンク由来である。HSCは、ヒト、他の霊長類、家畜類(ヒツジ、ウシ、ウマ、ブタなど)、伴侶動物(イヌ、ネコ、ウサギなど)、マウス、またはラットから得ることができる。 驚くべきことに、本明細書において記述されるHSCは分化の前に凍結(凍結保存)されうる。生存性を維持しながら細胞を凍結融解するための方法が、当技術分野において公知である(Phelan (1998) Curr. Prot. Cell Biol 1.1.1)。典型的には、細胞は、DMSO (例えば、2〜10% DMSO)を含む培地中に約106〜108個/mLの密度で懸濁され、約-70〜-100℃で素早く凍結される。いくつかの態様において、凍結保存は、血清または他の動物タンパク質などの動物由来産物を欠く。場合によっては、凍結保存培地は、血清(例えば、FCS)または他のタンパク質(例えば、組み換えタンパク質)を含む。融解は、典型的には、サンプルが37℃に上昇するまで、培地を細胞に加えることによって、徐々に行われる。 いくつかの態様において、CD34+ HSCはヒト由来である。いくつかの態様において、CD34+ HSCは、凍結保存されたサンプル由来であり、例えば、CD34+ HSCを含む細胞の凍結保存サンプル由来である。いくつかの態様において、前記凍結保存サンプルは、二人以上のドナーから得られた細胞のプールである。 MKPを生成するための方法は、MKPを生成するのに十分な時間、トロンボポエチン(TPO)、またはTPO類似体、およびIL-1を含む培地中でCD34+ HSCの集団を培養する段階を含むことができる。 いくつかの態様において、IL-1はIL-1αである。いくつかの態様において、培地は、1〜100 ng/mlのIL-1、例えば、1〜50 ng/mlのIL-1、5〜20 ng/mlのIL-1、5〜15 ng/mlのIL-1、8〜12 ng/mlのIL-1、または約10 ng/mlのIL-1を含む。いくつかの態様において、TPO類似体はAF15705である。いくつかの態様において、培地は、1〜100 nMのAF15705に機能的に等価であるTPOまたはTPO類似体の量、例えば、1〜50 nM、5〜20 nM、5〜15 nM、8〜12 nM、または約10 nMを含む。さまざまな形態のTPOおよびTPO類似体が異なる分子量を有するので、例えば、ngまたはug/mlという用語で表すならば、機能的に等価な量は異なりうることを当業者は認識するであろう。本文脈において、機能的等価性はTPO、TPO変種またはTPO類似体の溶液においてトロンボポエチン受容体に結合する単位の数によって判定される。 いくつかの態様において、培地は、SCF、IL-6、IL-9、IL-11、およびIL-20から選択される少なくとも1つの追加の因子をさらに含む。したがって、いくつかの態様において、培地は、SCFまたはその類似体をさらに含む。いくつかの態様において、培地は、IL-3またはその類似体をさらに含む。いくつかの態様において、培地は、IL-3を欠く(すなわち、IL-3は培地に添加されず、培地は検出可能なIL-3を欠く)。いくつかの態様において、培地は、IL-6またはその類似体をさらに含む。いくつかの態様において、培地は、IL-9またはその類似体をさらに含む。いくつかの態様において、培地は、IL-11またはその類似体をさらに含む。いくつかの態様において、培地は、IL-20またはその類似体をさらに含む。前記追加の因子のうちの二つ以上を、任意の組み合わせで添加することができる(例えば、TPO + IL-1 + SCF + IL-9; TPO + IL-1 + SCF + IL-6など)。 いくつかの態様において、培地は血清もフィーダー細胞も含まず、すなわち、血清およびフィーダー細胞は培地に添加されず、該成分は培地中に有意なレベルでは存在しない。いくつかの態様において、培地は、検出可能なレベルの血清およびフィーダー細胞を欠く。いくつかの態様において、培養する段階は、少なくとも3、5、6、7、または8日間、行われる。いくつかの態様において、培養する段階は、5〜12、5〜15、8〜15、または6〜10日間、行われる。いくつかの態様において、培養する段階は6、7、8、9、10、12、または15日間、行われる。 いくつかの態様において、培養する段階は、例えば、5、6、7、8、9、または10日の培養期間の後に、総有核細胞(TNC)数の少なくとも5倍の増加をもたらす。いくつかの態様において、培養する段階は、培養期間にわたってTNC数の5〜10または5〜15倍の増加、例えば、TNC数の6、7、8、9、10、11、12、13、14、15倍の増加、またはそれ以上の倍数の増加をもたらす。 いくつかの態様において、MKPはCD41+ CD42a陰性 (初期MKP)である。いくつかの態様において、MKPはCD41+CD42a+ (後期MKP)である。いくつかの態様において、本方法は、CD41+CD42a+ MKPおよびCD41+CD42a陰性 MKPを含む複数のMKPを生成する。いくつかの態様において、培養物は少なくとも50%のMKP、例えば、少なくとも60、70、80、90、またはそれ以上のパーセントのMKPを含む。いくつかの態様において、細胞は、例えばFACS選別、抗体でコーティングされたビーズ、または他のアフィニティー法を用いて、MKPの比較的純粋な集団をもたらすようにさらに分離される。この場合、MKPは、CD34およびCD41、ならびに任意でCD42aおよびCD184の陽性選択を用いて分離することができる。いくつかの態様において、MKPは、CD34、CD41、およびCD184の発現について陽性選択される。いくつかの態様において、CD34+CD41+ MKPはCD184+である(例えば、50%超のCD184+、例えば、約50〜100%または約70〜100%のCD184+である)。 一般的な細胞培養の手法は公知であり、必要に応じて当業者により適用されうる(例えば、Freshney, Culture of Animal Cells: A manual of basic technique and specialized applications (6th ed. 2010)を参照のこと)。細胞は、典型的には、生理学的条件に近い条件で、例えば、湿度を制御し、5% CO2中、37℃前後で成長させる。培養物は細菌の、真菌の、または他の混入を回避するために無菌である。細胞は、例えば、培養の規模に依って、培養バッグ、フラスコ、プレート、またはマルチウェルプレート中で成長させることができる。培養バッグは一般に、ガス透過性であり、さまざまなサイズで利用可能である。市販の業者には、Miltenyi BiotechおよびOrigen BioMedical Incが含まれる。 いくつかの態様において、本方法は、MKPを凍結する段階(凍結乾燥する段階、凍結保存する段階など)をさらに含む。上記のように、細胞を凍結融解するための方法が、当技術分野において公知であり、試薬が市販されている(例えば、Materials and Methods、およびPhelan (1998) Curr. Prot. Cell Biol 1.1.1を参照のこと)。いくつかの態様において、凍結保存用培地は動物由来産物(例えば、血清)を欠く。いくつかの態様において、例えば、各凍結サンプルが、個体への投与時に血小板を生成できるMKPの治療的に有効な量を含むように、MKPは剤形で凍結することができる(以下の治療用途の項を参照のこと)。 本明細書で記述される方法を用いて生成されたMKPはさらに、巨核球(CD34陰性CD41+CD42a+)へと分化し、インビトロおよびインビボの両方で多数の血小板を迅速に産生しうる。いくつかの態様において、5×106個のMKPが免疫不全マウス(例えば、放射線照射されたマウスまたは遺伝的に欠損したマウス、例えば、NOD、SCID、NSG、ヌードなど)に投与された場合、MKP細胞は投与から14日後に少なくとも106個の外因性血小板/血液1ml(例えば、少なくとも2×106、5×106、107、2×107、5×107、または108個の外因性血小板/血液1ml)を産生する。いくつかの態様において、免疫不全マウスへの107個のMKPの投与は、投与から14日後に少なくとも106個の外因性血小板/血液1ml(例えば、少なくとも2×106、5×106、107、2×107、5×107、または108個の外因性血小板/血液1ml)をもたらす。いくつかの態様において、免疫不全マウスへの107個のMKPの投与は、投与から6週後に少なくとも106個(例えば、0.2、0.4、0.5、0.75、または1×107個)の外因性血小板/血液1mlをもたらす。いくつかの態様において、免疫不全マウスへの107個のMKPの投与は、投与から8週後に少なくとも106個(例えば、0.2、0.4、0.5、0.75、または1×107個)の外因性血小板/血液1mlをもたらす。 いくつかの態様において、本方法は、約10 ng/mlのIL-1α(例えば5〜15 ng/ml、8〜12 ng/mlなど)および約10 nMのTPOまたはTPO類似体(例えば、約10 nMのAF15705に機能的に等価である量のTPOまたはTPO類似体、例えば、5〜15 nM、8〜12 nMなど)を含む培地中で、少なくとも5日間、例えば7、8、または9日間CD34+ HSCを培養し、それによってMKPを生成する段階を含む。いくつかの態様において、培養する段階は、培養バッグ中である。いくつかの態様において、培養は静的である(例えば、攪拌または振盪されない)。いくつかの態様において、本方法は、MKPを凍結保存する段階をさらに含む。 本明細書において記述されるMKPおよび/または巨核球は、ドナーとレシピエントとの間でのMHCの一致を必要としない。したがって、細胞の投与は典型的には、MHCの不一致にかかわらず、GVHDをもたらさない。「移植片対宿主応答」、「移植片対宿主病」、または「GVHR」または「GVHD」は、異なるMHCクラスのリンパ球が宿主に導入される場合に起こり、結果として宿主に対するリンパ球の反応がもたらされる免疫応答をいう。 MHC (主要組織適合性遺伝子複合体)は、細胞表面上の抗原提示に関わるタンパク質複合体である。全ての有核細胞はMHCIを発現するが、MHCIIは免疫細胞のサブセットに発現する。MHC遺伝子の種々の多型形が存在しており、これらは上記のGVHDを引き起こす。最もよく研究されているMHC遺伝子は、HLA (ヒト白血球抗原)からのものであり、これらにはHLA-A、HLA-B、HLA-C、HLA-DPA1、HLA-DPA2、HLA-DQA1、HLA-DQA2、HLA-DRA1、HLA-DRB1、HLA-DRB3、HLA-DRB4およびHLA-DRB5が含まれる。これらの群の各々のなかの遺伝子は、ヒト集団において見出される多数のHLA対立遺伝子または変種に反映されているように、極めて多型性であり、個体間でのこれらの群の差異は、移植細胞に対する免疫応答の強さと関連している。単一の家族の中でさえも、細胞ドナーとレシピエントとの間で完全な一致が必要とされる場合には、組み合わせの多様性が複雑な事態をもたらすことがある。 いくつかの態様において、MKPおよび/または巨核球は、投与のための細胞(ドナー細胞)集団内で、またはドナー細胞とレシピエントとの間でMHCに少なくとも1つの不一致を含む。場合によっては、MKPおよび/または巨核球は、複数の同種ドナーから得られたHSCに由来し、その結果、MKPおよび/または巨核球は、サンプル内で不一致であり、任意の所与のレシピエントと不一致である。いくつかの態様において、MKPおよび/または巨核球は、1つのMHC遺伝子座で少なくとも部分的に不一致である。いくつかの態様において、MKPおよび/または巨核球は、混合集団であり、例えば、二体以上の個体から得られたHSCの混合物から派生する。MKPおよび/または巨核球が、二体以上のドナーから得られた細胞に由来するか、またはその細胞から派生する場合、それらは細胞の「混合物」であるまたは細胞の「混合物に由来する」といわれる。 いくつかの態様において、MKPおよび/または巨核球は、細胞集団がMHC遺伝子座で一致するように単一のドナーから得られた細胞から(またはクローン原性細胞株から)派生する。これらの一致したMKPおよび/または巨核球は、MHC遺伝子座で一致または不一致(例えば、少なくとも1つのMHC遺伝子について不一致、部分的に不一致、または完全に不一致)である個体に投与することができる。いくつかの態様において、MKPおよび/または巨核球は、細胞の最終のレシピエントから(例えば、自家移植の場合)、または同一のMHC遺伝子を有する個体から得られた細胞から派生し、その結果、ドナー細胞はレシピエントとMHC遺伝子座で一致する。 MHC不一致度の判定には、当技術分野において知られ、用いられる標準的な試験を利用できる。ヒトおよびマウスMHC遺伝子の配列は、当技術分野において公知であり、Genbankから入手可能である(例えば、NCBIウェブサイトで見出される)。MHCタイプを判定するための分子的方法では一般に、HLAタンパク質をコードする特定の遺伝子配列を検出するために、プローブおよび/またはプライマーを利用する。特異的なオリゴヌクレオチドをハイブリダイゼーションプローブとして用い、特定のHLAタイプと関連する制限酵素断片長多型(RFLP)を検出することができる(Vaughn, Methods in Molecular Biology: MHC Protocols 210:45-60 (2002))。HLA配列を(例えば、ポリメラーゼ連鎖反応またはライゲーション連鎖反応によって)増幅するためにプライマーを用いることができる。プライマーは特定のHLA配列に特異的であるようにデザインすることができ、あるいはPCR産物を直接的なDNA配列決定、制限酵素断片多型分析(RFLP)、または一連の配列特異的オリゴヌクレオチドプライマー(SSOP)を用いたハイブリダイゼーションによってさらに調べることができる(Petersdorf, et al., Blood 92:3515-20 (1998); Morishima et al ., Blood 99:4200-6 (2002); およびMiddleton and Williams, Methods in Molecular Biology: MHC Protocols 210:67-112 (2002))。 血清学的MHC試験においては、各HLA抗原タイプに対して作製された抗体をある対象(例えばドナー)由来の細胞と反応させて、該抗体と反応する特定のMHC抗原の有無を判定する。これを他の対象(例えばレシピエント)の反応性プロファイルと比較する。抗体のMHC抗原との反応は、典型的には、抗体を細胞とインキュベートし、その後、細胞溶解を誘導するために補体を加えることによって判定される(すなわち、リンパ球毒性試験)。反応物を検査し、反応物中に溶解した細胞の量にしたがって等級付けする(Mickelson and Petersdorf, Hematopoietic Cell Transplantation, Thomas et al. eds., pg 28-37, Blackwell Scientific, Maiden, Mass. (1999)。細胞に基づく他のアッセイ法には、標識抗体を用いたフローサイトメトリー法または酵素結合免疫測定法(ELISA)が含まれる。 細胞の初期集団(HSC)は、細胞を、巨核球系細胞の増殖を許容するサイトカインおよび増殖因子の混合物を有する培地と接触させることによって、エクスビボで培養される。サイトカインは、細胞により生成されるタンパク質であって、細胞が別の細胞であるかまたは該サイトカインを産生する細胞であるかにかかわらず、細胞の生理学的状態を調節するタンパク質である。リンパ球により生成されるサイトカインは、リンホカイン(IL)と記述されることが多い。また、増殖因子は、細胞により生成される化合物であって、細胞が別の細胞であるかまたは該増殖因子を産生する細胞であるかにかかわらず、細胞の増殖および分化に影響を与える化合物である。サイトカインおよび増殖因子は一般に、受容体を介して細胞に作用する。 本明細書において記述される方法の場合、サイトカインおよび増殖因子は、巨核球系、例えば、巨核球前駆細胞(MKP)の集団を増殖させるように選ばれる。細胞が巨核球系へ分化およびコミットする際、それらは自己複製能が限られているか、または全く有さない。培養条件は、他の細胞型の成長および増殖を限定または最小化しながら、巨核球へと発生する細胞の分裂を支持するように選択される。 MKPおよび/または巨核球を生成するためのサイトカインおよび増殖因子には一般に、TPO、IL-1 (IL-1α、IL-1β)、SCF、IL-3、IL-6、IL-9、IL-11、IL-20、およびそれらの類似体が選択される。サイトカインは、天然に存在する産物、組み換え産物、変種、または、例えばペプチド模倣体のような、天然に存在する形態と類似の生物学的活性を有する改変形態でありうる。サイトカインは、融合タンパク質または遺伝子操作したサイトカインから選択することもできる(例えば、Curtis et al. Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 1991 88:5809-5813; Lu et al. Exp. Hematol. 1995 23, 1130-1134; Zhao et al. Stem Cells 1994, 12:1130-1134)。典型的には、培養物中の増殖因子およびサイトカインは、培養物中の細胞と同じ種に由来する。つまり、ヒトHSCを培養する場合、サイトカインおよび/または増殖因子は、ヒト配列に由来し(例えば、組み換えにより産生されるならば)、および/またはヒト細胞と機能的に相互作用する(例えば、合成類似体の場合)。 トロンボポエチン(TPO)は、その天然に存在する形態では、グリコシル化ペプチドであるが、機能的な組み換え型および類似体が知られている。TPOは、がん原遺伝子c-mplへの結合を介してその効果を及ぼし、幹細胞の巨核球前駆細胞への分化を刺激し、巨核球分化マーカーの発現を誘導し、巨核球の増殖および倍数体化を促進し、循環中の血小板の数を増大しうる(例えば、Lok et al., Stem Cells 12:586-98 (1994)を参照のこと)。TPOは巨核球増殖分化因子(MGDF)またはc-Mplリガンドとしても公知である。トロンボポエチンについてのアミノ酸および核酸配列は公知であり、公的に入手可能である。組み換えTPO、例えばrhTPOは、臨床試験において用いられている。TPOの組み換え型および変種型は、例えば、Souryi et al., Cell 63: 1137-1147 (1990); Gurney et al., Blood 85:981-8 (1995); Wada et al., Biochem Biophys Res Commun. 213: 1091-8 (1995); Park et al., J Biol Chem. 273:256-61 (1998); およびJagerschmidt et al., Biochem. J. 333 (Pt 3):729-34 (1998)に記述されている。 TPO類似体(模倣体)には、AF15705 (非PEG化)およびGW395058 (PEG化)が含まれる(例えば、de Serres et al. (1999) Stem Cells 17:203を参照のこと)。さらなるTPO類似体には、Nplate(登録商標)「ペプチボディ(peptibody)」(ロミプロスチム, Amgen, Thousand Oaks, CA)、エルトロンボパグ(GlaxoSmithKline, Philadelphia, PA)、および米国特許第7674887号に記述されている模倣体が含まれる。 TPOおよびTPO類似体は、当技術分野において公知のようなプロトコルにしたがって投与することができる。例えば、rhTPOは、1〜3日ごとに0.1〜10 μg/kg/日の範囲の用量でボーラス注射により静脈内に投与することができる。G-CSFを投与して、骨髄回復を促進することもできる(例えば、Bone Marrow Transplantation (2001) 27:261-268を参照のこと)。 c-Kitリガンド、肥満細胞増殖因子、またはスチール因子としても公知の、SCFは、造血系の階層の複数の層に作用し、他のサイトカインと共同して細胞生存、増殖、分化、接着および機能的活性化を促進する。SCFは、骨髄細胞(例えば、肥満細胞)、多能性幹・前駆細胞、巨核球、およびリンパ球前駆細胞のサブセットに作用しうる(Broudy, Blood 90(4):1345-1364 (1997))。SCFは、その受容体であるC-KITへの結合によって、その生物学的効果を及ぼす。天然に存在するSCFは骨髄間質細胞により、膜貫通型または可溶型として合成され、その両方が生物学的に活性である。アミノ酸および核酸配列は、SCFについて公知であり、公的に入手可能である。これらには、例えば、マウス(Lyman, et al., Cell 75: 1157-67 (1993))、ラット(Martin et al., Cell 63:203-11 (1990)); およびヒト(Martin, et al.)が含まれる。組み換えSCFおよび変種は、Jones et al., J. Biol. Chem. 271:11301 (1996); Lu et al., J. Biol. Chem. 271:11309 (1996); Langley et al., Arch. Biochem. Biophys. 295:21 (1992); Lev et al., Mol Cell Biol. 13(4):2224-34 (1993); およびLangley et al., Arch. Biochem. Biophys. 311:55-61 (1994)に記述されている。 IL-1は急性炎症(例えば、内皮細胞およびリンパ球の活性化)、骨の形成およびリモデリング、インスリン分泌、ならびに発熱誘導の上方制御および下方制御に関与する。サイトカインのIL-1ファミリーは、全体構造の類似性を共有する(例えばPriestle et al., Proc Natl Acad Sci USA 86, 9667-71 (1989)を参照のこと)。IL-1αおよびβは、典型的には、マクロファージにより分泌され、前駆体タンパク質(プロ-IL-1αおよびプロ-IL-1β)の酵素的切断により得られ、IL-1受容体への結合によりその生理学的効果を及ぼす。IL-1サイトカインについてのアミノ酸およびヌクレオチド配列は公知であり、ヒトを含めて、いくつかの種について公的に入手可能である。IL-1α、およびその他のサイトカインは、例えばPierce、Biosource、およびPeprotechから市販されている。ヒトIL-1αタンパク質(前駆体および成熟型)についての配列は、SwissProtアクセッション番号P01583.1として入手可能であり、そのコード配列は、Genbankアクセッション番号AK314850.1として入手可能である。 多能性CSFとしても公知のIL-3は、リンパ球、上皮細胞、およびアストロサイトにより分泌される多系列細胞のサイトカイン/増殖因子であり、これは、さまざまなタイプの血液細胞および組織細胞のクローン増殖および分化、特に顆粒球およびマクロファージの分化および機能を刺激する。IL-3は造血コロニー刺激因子とみなされる(例えば、Wagemaker et al., Biotherapy 2(4):337-45 (1990)を参照のこと)。IL-3についてのアミノ酸およびヌクレオチド配列は公知であり、ヒトを含めて、いくつかの種について公的に入手可能である。IL-3の変種は、例えば、Lopez et al., Proc Natl Acad Sci USA 89: 11842-6 (1992); Barry et al., J Biol Chem. 269:8488-92 (1994); およびOlins et al., J Biol Chem. 270:23754-60 (1995))に記述されている。 B細胞刺激因子2 (BSF-2)およびインターフェロン-β2としても公知の、IL-6は、B細胞の免疫グロブリン分泌細胞への分化、骨髄腫/形質細胞腫の成長の誘導、および神経細胞分化の調節に関与している。IL-6受容体へのIL-6の結合は、クラスIサイトカイン受容体スーパーファミリーに共通した、タンパク質GP130を含有する多サブユニット複合体の形成を誘導する。IL-6についてのアミノ酸およびヌクレオチド配列は公知であり、ヒトを含めて、いくつかの種について公的に入手可能である。IL-6の変種は、Dagan et al., Protein Expr. Purif. 3:290-4 (1992); Zhang et al., Eur J Biochem. 207(3):903-13 (1992); およびSkelly et al., J Biotechnol. 34:79-86 (1994)に記述されている。組み換え型は、Stoyan et al., Eur J Biochem. 216:239-45 (1993); Orita et al., J Biochem (Tokyo) 15:345-50 (1994))に記述されている。このタンパク質およびその変種も市販されている。 IL-9 (MCGF、MEA、巨核芽球増殖因子としても公知)は、主にT細胞により産生され、IL-9受容体への結合により機能して、増殖を刺激し、アポトーシスを低減する(例えば、Renauld et al. (1993) Adv. Immunol. 54:79を参照のこと)。IL-6についてのアミノ酸およびヌクレオチド配列は公知であり、ヒトを含めて、いくつかの種について公的に入手可能である。このタンパク質およびその変種も市販されている(例えば、Invitrogen、eBioscience、ProSpec)。 IL-11は、構造的かつ機能的に関連したサイトカインのIL-6群に属し、これは、上記のように、膜貫通糖タンパク質gp130を用いて、その生理学的活性を及ぼす。IL-11は、脂質生成阻害因子(AGIF)およびオプレルベキンとしても公知である。IL-11は他のサイトカインおよび増殖因子と相乗的に作用して、幹細胞の増殖およびコミットされた前駆細胞への分化を刺激し、かつ巨核球形成および血小板形成を促進する。IL-11についてのアミノ酸およびヌクレオチド配列は公知であり、ヒトを含めて、いくつかの種について公的に入手可能である。IL-11の組み換え型および変種は、例えば、Miyadai et al., Biosci. Biotechnol. Biochem. 60:541-2 (1996); Tacken et al., Eur J Biochem. 265:645-55 (1999))に記述されている。 IL-20は、サイトカインのIL-10ファミリーの一員であり、主に活性化された角化細胞および単球によって産生される(Wahl et al. (2009) J. Immunol. 182:802)。IL-20受容体への結合は、STAT3シグナル伝達経路の活性化を引き起こす(Tohyama et al. (2009) Eur. J. Immunol. 39:2779)。IL-11についてのアミノ酸およびヌクレオチド配列は公知であり、ヒトを含めて、いくつかの種について公的に入手可能である。V. 処置に適している状態 本明細書において記述されるMKPおよび/または巨核球を、個体に投与して、個体における血小板の数を増加させることができる。したがって、MKPおよび/または巨核球を用いて、以下に記述される状態および疾患、ならびに血小板の数の低減によって特徴付けられるものを処置することができる。いくつかの態様において、本明細書において記述されるMKPおよび/または巨核球を、血小板減少症を有する個体に投与して、個体における血小板の数を増加させ、それにより血小板減少症を処置する。 血小板減少症という用語は、十分な血小板が存在していない、および重篤な場合には、深刻な病的状態および死亡率につながりうる、任意の疾患をいう。この状態は異常な出血を伴うことが多い。血小板減少症は、3つの主な原因にしたがって分類することができる: 骨髄における血小板の低産生、血流中の血小板の破壊増大、および脾臓または肝臓中の血小板の破壊増大。骨髄における低産生を伴う疾患には、再生不良性貧血および骨髄におけるがんが含まれる。血小板の破壊を伴う疾患には、免疫性血小板減少性紫斑病(ITP)、薬物による免疫性血小板減少症、薬物による非免疫性血小板減少症、血栓性血小板減少性紫斑病、原発性血小板血症、播種性血管内凝固症候群(DIC)、脾機能亢進症などが含まれる。 血小板減少症は、電離放射線、例えば偶発的または治療的放射線への曝露によって起こりうる。血小板数の低減は、およそ1〜10 Gyへの曝露で起こりうる。また、化学療法による血小板減少症(CIT)は、患者が骨髄抑制化学療法または骨髄機能廃絶化学療法を受けた後に起こりうる。これは多くの場合、化学療法剤の用量の低減につながり、処置成果に悪影響を与えうる。MKPは化学療法剤に特に感受性であるが、CD34+細胞および成熟巨核球(MK)はあまり影響されない。 血小板減少症の発生はまた、巨核球の発生の障害から、感染による合併症から、および移植の状況において、例えば、骨髄破壊的(myoablative)処置を受けている患者が造血幹細胞(HSC)移植を受ける場合において起こりうる。この場合、血小板減少症は、HSCの生着の遅延または低さから、および移植片対宿主病(GVHD)から生じうる。血小板減少症の管理は、いずれかの骨髄破壊的/骨髄毒性処置の後に、生命を脅かす合併症を最小限に抑えるために重大である。 骨髄破壊的治療から生じうる別の合併症は、好中球減少症、つまり白血球、特に、寿命が短く末梢血中で最も豊富な白血球である、好中球の異常に低い個数によって特徴付けられる状態である。血小板減少症も好中球減少症も、造血障害から、および、各疾患と関連した最終分化骨髄細胞を造血系が十分に補充できないことから生じる。また、どちらも、造血障害の他の原因、例えば致死量の電離放射線への意図せぬ曝露、遺伝性免疫不全、骨髄に影響を与えるウイルス感染、および代謝性疾患(例えば、ビタミン欠乏症)から発生しうる。好中球減少症に対する1つの標準的治療は、G-CSFの投与である。 血小板減少症および好中球減少症の両方を処置するための併用療法は、本明細書において記述されるMKP細胞を用いてデザインすることができる。VI. 治療用途 本明細書において記述されるMKPおよび/または巨核球は、薬学的に許容される賦形剤(例えば、生理食塩溶液、または他の等張緩衝溶液)を含む薬学的組成物の状態で投与することができる。MKPおよび/または巨核球は、典型的には、薬理学的に有効な用量で投与される。「治療的に有効な量」、「薬理学的に有効な量」または「治療的に」もしくは「薬理学的に有効な用量」という用語は、特に疾患または病気の1つまたは複数の症状または徴候の低減または除去を含めた、疾患または病気(例えば、血小板減少症)の処置のため、所望の生理学的効果、例えば、個体における血小板数の増加をもたらすのに十分な量をいう。例えば、治療的に有効な量は、対照(例えば、同じ疾患を患っているが、処置を受けていない個体、または処置前の同じ個体)と比べて、少なくとも10%、例えば、少なくとも20、30、50、75、80、100%またはそれ以上、個体における血小板レベルを増加させるのに必要な細胞数を指しうる。いくつかの態様において、MKPおよび/または巨核球は、患者生存を増加させる量で投与される。 治療効果を達成するために必要とされるMKPの量は、従来の手順にしたがって実験的に決定することができ、患者の年齢、体重および健康状態、適応症の性質および重症度に応じて大きく異なりうる。いくつかの態様において、注入されるMKPの数は、104〜109個の細胞/体重1kg、例えば、約105〜約107個の細胞/体重1kgもしくは約105個の細胞/体重1kg、または必要に応じてそれ以上の範囲である。 個体へのMKPまたは巨核球の移植は、造血細胞を投与するために当技術分野において一般的に用いられる方法、例えば、静脈内注射(ボーラスまたは点滴)によって達成される。上記のように、輸注される細胞の数については、性別、年齢、体重、病気または疾患のタイプ、疾患の病期、細胞集団中の所望される細胞の割合(例えば、細胞集団の純度)、および治療的有用性をもたらすのに必要とされる細胞数などの要素を考慮する。 細胞は1回の注射(注入)で、または治療効果をもたらすのに十分な規定の期間にわたる連続注射を通じて投与することができる。薬学的に許容される担体が、患者への細胞の注入に用いられる。担体は、典型的には、例えば、緩衝生理食塩水(例えば、リン酸緩衝生理食塩水)、非補足細胞培養培地、または当技術分野において公知の媒体を含む。 以下の本発明の議論は、例示および説明を目的とするものであり、本明細書において開示されている形態に本発明を限定することを意図するものではない。本発明の説明は、1つまたは複数の態様ならびに特定の変形および変更の説明を含むものであるが、その他の変形および変更、例えば、本開示を理解した上で当業者の技能および知識の範囲内で得ることのできる、変形および変更も本発明の範囲内である。本明細書において引用されている全ての刊行物、特許、特許出願、Genbank番号、およびウェブサイトは、全ての目的のために、その全体が参照により本明細書に組み入れられる。VII. 実施例A. 材料および方法ヒトCD34+細胞の単離 G-CSF動員末梢血を、白血球除去によって健常ドナーから収集した(例えば、Kawamoto et al. (2009) Stem Cells 27:2857を参照のこと)。Isolex Device (Baxter, Deerfield, IL)上で、抗CD34モノクローナル抗体に結合させた磁気ビーズ(Dynal, Lake Success, NY)を用いてCD34+細胞を陽性選択した。CD34+細胞が96〜98%の純度まで濃縮された。15〜20×106個の細胞/mlのアリコットを使用まで凍結保存した。CD34+細胞の増殖 ドナー由来のCD34+細胞を、融解し、記載のようにプールし、1×GlutaMAX (Invitrogen, Carlsbad, CA)を補足した無血清X-vivo 15培地(Lonza, Walkersville, MD)中に5×105個の細胞/mlで播種した。サイトカインを以下のように加えた。他に指定のない限り、10 nMの模倣体トロンボポエチン(AF15705; Cwirla et al. (1997) Science 276: 1696; Anaspec, San Jose, CA)を用いたが、組み換えヒトTPO (rhTPO)およびさまざまな他の模倣体も試験したところ、類似の結果を得た。TPO模倣体の活性範囲は、0.1〜100 nMであった。IL-1α (Peprotech, Rocky Hill, NJ)は、1〜200 ng/mlの活性範囲を試験し、典型的には10 ng/mlで用いた。IL-9は、1〜200 ng/mlの活性範囲を試験し、典型的には60 ng/mlのIL-9で用いた。HSA (精製ヒト血清アルブミンタンパク質)は、0.2〜4%の活性範囲を試験し、典型的には1%で用いた。5%の二酸化炭素を含有する湿潤雰囲気中で37℃で、培養物をインキュベートした。生存細胞を毎日カウントし、サイトカインを含む新鮮培地の添加によって細胞濃度を約5×105個の細胞/mlに再調整した。MKPの分析 CD15b、CD33、CD34、CD41、CD42a、CD90、およびCD184抗体を用いてフローサイトメトリーにより、細胞表面マーカーの発現を分析した。抗体染色の前に、細胞を、2% BSAを含有するHBSSで洗浄し、4℃で10分間、ラットおよびマウスIgG (SouthernBiotech, Birmingham, AL)でブロッキングした。細胞を以下のモノクローナル抗体とともに4℃で30分間インキュベートした: CD34-PE (Miltenyi Biotec, Auburn, CA)、CD41a-APC、CD42a-FITC、CD33-PE-Cy7 (BD Pharmingen, San Jose, CA)、CD15-ビオチンおよびストレプトアビジン-PE-TxRed (eBioscience, San Diego, CA)。細胞を染色培地で洗浄し、FACS分析をFACS Aria (BD Bioscience)で行った。コロニー形成アッセイ法 巨核球前駆細胞のコロニー形成能の定量は、Megacult-C(登録商標) (Stem Cell Technologies, Vancouver, BC)で製造業者の使用説明書にしたがって行った。以下のサイトカインを補足したMethocult(登録商標) (Stem Cell Technologies, Vancouver, BC)中でメチル・セルロースアッセイ法を行った: 10 ng/ml SCF、10 ng/ml IL-3、10 ng/ml IL-6、10 ng/ml IL-11、2 U/ml EPO、10 nM TPO模倣体、50 ng/ml GM-SCF、および10 ng/ml Flt3L。細胞を500個の細胞/プレートでプレーティングし、倒立顕微鏡を用いて播種から12〜14日後にコロニーをカウントした。MKPの凍結保存 細胞を遠心分離により収集した。Cryostor CS5凍結保存培地(Sigma-Aldrich, St. Louis, MO)を用いて、2.5×107個の細胞/mlの濃度で細胞を保存した。凍結保存培地は5% DMSOを含むが、血清などの動物由来産物を欠く。液体窒素に移す前に、細胞を24時間、Mister Frosty緩慢凍結装置中で-80℃で貯蔵した。NSGマウスにおけるMKPの移植 7〜9週齢のNSG (Nod SCIDγ)マウスをJackson Laboratory, Sacramento, CAから入手し、無菌条件下で、マイクロアイソレータ中で飼育し、加圧滅菌した食料および水を与えた。NSGマウスは、B細胞、T細胞、およびNK細胞、ならびにいくつかの先天性免疫の構成要素について欠損がある。マウスに、Faxitron CP160 (Faxitron X-Ray, Lincolnshire, IL)を用いて致死未満量の275 cGyの全身放射線照射を行った。マウスに放射線を照射した後に、飲用水に1 Lあたりスルファメトキサゾール/トリメトプリム-オーラルを800 mg/12 mg (HiTech Pharmacal, Amityville, NY)加えた。凍結保存したMKPを融解し、生存性を評価した。次いで融解した細胞を、イソフルラン(Baxter, Deerfield, IL)で麻酔したマウスへ直接注射した。前記細胞を、さらなる処理はせずに眼窩後部に注射した。NSGマウスにおけるヒト血小板の検出 末梢血(PB)を毎週、尾静脈から得た。抗凝固剤のクエン酸ナトリウム溶液40 g/L (Baxter Fenwal, Lake Zurich, IL)を1:10で含有するHBSS 90 μlに、マウス血液10 μlを加えた。直接結合させたモノクローナル抗体を用いて3色フローサイトメトリー分析を行った。用いた抗体は、マウスCD41 PE、ヒトCD41 APC、ヒトCD42a FITC (BD Pharmingen, San Jose, CA)であった。PBをこれらの抗体とともに室温で暗所中で20分間インキュベートした。FACS Calibur (Becton Dickinson, San Jose, CA)での分析の前にカウントビーズ(2.04 μm. Spherotech, Lake Forest, IL)および追加の染色培地を加えて、全血を希釈し、正確な血小板のカウントを確実にした。ADPによるヒト血小板の活性化 マウス血液20 μlを尾静脈から得た。10 μlをHBSS+10%クエン酸ナトリウム染色培地(SM) 40 μlに加えた(対照)。もう一方の血液10 μlを、SMで溶解した0.2 mM ADP (Bio/Data Corp, Horsham, PA) 40 μlに加えた。2本の試験管中の全血を室温で10分間インキュベートした。FACS Calibur (Becton Dickinson, San Jose, CA)での分析の前にCD41 PE、CD42a FITC、およびCD62P APC (BD Pharmingen, San Jose, CA)抗体を加え、室温で暗所中で20分間インキュベートした。NSGマウスにおけるヒト生着の分析 マウスを組織採取の前に二酸化炭素で安楽死させた。単一細胞懸濁液を骨髄および脾臓から調製した。マウス組織におけるヒト細胞のフローサイトメトリー検出は、FACS Aria (Becton Dickinson, San Jose, CA)で行った。以下の直接結合させた抗ヒト抗体を用いた: CD34-PE PE (Miltenyi Biotec, Auburn, CA)、CD41 APC、CD42a FITC、CD33 PECy7、CD90 PE、CD71 PE、CD 19 APC、CD20 PE、CD3 PECy7 (全てBD Pharmingen, San Jose, CA) CD15ビオチン、CD2ビオチン、ストレプトアビジン-PE-TxRed、ストレプトアビジン-PE (全てeBioscience, San Diego, CA)およびCD 184 PECy7 (Biolegend, San Diego, CA)。細胞を4℃で10分間、ラットおよびマウスIgG (Southern Biotech, Birmingham, AL)でブロッキングした。次いで細胞を、4℃で30分間インキュベートした。細胞を洗浄し、フローサイトメトリー分析をFACS Aria (Becton Dickinson, San Jose, CA)で行った。B. 実施例1: CD34+ HSCからのMKPの生成 本発明者らは、CD34+動員末梢血細胞から約40〜70%のCD34+ CD41+巨核球前駆細胞(MKP)を生成する培養条件を特定した(図1および2)。10 ng/mlのTPO模倣体AF15705および10 ng/mlのIL-1αをX-Vivo 15培地に加えた。これらの条件を図中ではT1aまたはCLT-009と呼ぶ。CD34+細胞の出発集団からの増殖倍率は、ドナーに依ってばらついたが、8日間の培養で5〜25倍の範囲であった。 本発明者らは、成長培地へのIL-3の添加がMKP上のCD184 (CXCR4)の発現を低減することを見出した。CD184は骨髄への細胞の適切なホーミングに関与しており、したがって、移植細胞の生着に関与しうる。図2Cおよび図4Aは、TPO + IL-1α中で成長させたMKPが主としてCD184陽性であることを示す。図7は、増殖したMKPが、投与により、骨髄にホーミングし、さらに成熟することを示す。C. 実施例2: MKPは巨核球系に主にコミットされている 実施例1で生成されたMKP (CLT-009と標識)のコミットメント(commitment)の段階を決定するため、本発明者らは、好中球または巨核球のいずれかの分化を促進する条件に細胞を曝露し、該細胞の発生を、より分化していない骨髄前駆細胞集団(CLT-008、例えば、WO2007095594を参照のこと)と比較した。8日目に、MKPをCryostor(商標) CS5凍結保存培地中で凍結保存した。好中球または巨核球促進性の培養の前に、CLT-008細胞も凍結保存した。 好中球分化を促進するための条件には、10 ng/ml SCF、10 nM AF15705、100 ng/ml Flt3-L、10 ng/ml IL-3、100 ng/ml G-CSF、および10% FBSが含まれた。細胞を、再構成の後、6日間培養した。巨核球分化を促進するための条件には、10 nM AF15705 + 10 ng/ml IL-1αが含まれた。この場合も先と同様に、細胞を、再構成の後、6日間培養した。 図3に示される通り、実施例1のように生成されたCLT-009細胞は、多数の巨核球(CD41+CD42a+)を産生したが、好中球(CD15+CD66b+)は比較的少数を産生した。その一方で、より分化していない骨髄前駆細胞は、巨核球と比べて多くの数の好中球を生成した(図3、右パネル)。この結果から、本MKPは巨核球系に主としてコミットされていることが示唆される。 MKPの巨核球特性のさらなる証拠を図4Aに示す。培養8日目の時点で、細胞はCD33、CD34、CD41、およびCD184について主に陽性である。後期MKPもCD41+CD42a+集団として顕著に見てとれる。GMP系のマーカーであるCD15の発現は、HSCマーカーCD90の発現と同じく、主として陰性である。 図3における結果は、巨核球成長を促進するMegacult(登録商標)アッセイ法においてさらに確認された。サイトカインを含むMegacult(登録商標)培地は、Stem Cell Technologies (Vancouver, BC)から入手した。この培地は、Isocoves MDM中に以下の成分を含む:1.1 mg/mLのコラーゲン、1%ウシ血清アルブミン、10 mg/uLのrhインスリン、200 ug/mLのヒトトランスフェリン(鉄飽和)、10-4 Mの2-メルカプトエタノール、2 mMのL-グルタミン、50 ng/mLのrhトロンボポエチン、10 ng/mLのrh IL-6、および10 ng/mLのrh IL-3。骨髄前駆細胞は比較的少ない巨核球を生成した(図4B、左)が、実施例1 (T1a)にあるように生成されたMKPは、著しい数の巨核球を生成した。D. 実施例3: 規定の無血清および無フィーダー細胞の条件でCD34+末梢血細胞から生成されたヒトMKP ヒト末梢血CD34+細胞の増殖培養を、模倣体トロンボポエチンおよびIL-1αを含有する無血清培地中で行った。図5aは、3人のヒトドナーおよびその3人のドナーのプール(プール)の成長動態を示す。この培養物は8日間の培養の後に総有核細胞(TNC)の、平均10±4.5倍の増加をもたらした。ドナーA、B、C、およびプールされたものは、それぞれ5.15、8.5、および13倍に増殖した(図5a)。図5bは、0日目〜16日目の細胞培養物の組成を示す。CD34+CD41-前駆細胞の割合は、それらが初期MKP (CD34+CD41+CD42a陰性)へと分化し始めるのにつれて減少した。初期MKPは6日目に減少し始めて、後期MKP (CD34+CD41+CD42a+)へと分化した。後期MKPはおよそ6日目から8日目まで増殖し、成熟し続けた。8日目以降にCD34の発現が減少し、細胞はMK (CD34-CD41+)へと次第に成熟した。 平均して、8日目の時点の培養物の組成は、38.5±1.81%のCD34+CD41-; 51.8±2.29%のCD34+CD41+; および8.41±2.84%のCD34-CD41+であった。一部の8日目の細胞をさらなる分析のために凍結保存し、一方、残りは15日目まで培養を続行した。図6b中のMKP成熟プロファイルは、CD34+CD41+の割合が8日目の時点で約50%であったことを示しており、本培養条件では約8日後に最も高い割合の血小板産生性MKPを得ることができることを示唆している。E. 実施例4: MKPは凍結保存後にコロニー形成能を保持する 血小板は、4℃または凍結条件(-80℃)のいずれにおいても、貯蔵中に、経時的に生存性を急速に失うことが知られている(例えば、Pence (2010) the website at healthnews.uc.edu/publications/findings/?/10843/10967 and Baldini et al. (1960) Blood 16:1669を参照のこと)。本MKP集団に対する凍結保存の影響を、もしあるならば、調べるため、インビトロでのメチルセルロース・コロニー形成能アッセイ法を上記のように行った。8日目の培養物から採取されたMKPは、約10%の骨髄コロニー形成単位を生成し、約6%の赤血球コロニー形成前駆細胞を有した(図6A、左)。凍結保存の後、MKPはコロニー形成能を失わなかった(図6A、右)。 これらの細胞から巨核球コロニー形成能を判定するため、前駆細胞定量アッセイ法をMegacult(登録商標)で行った。未凍結の8日目のMKPは、非MKコロニーはほとんどなく、およそ7.9%のBFU-MKおよび19.6%のCFU-MKを生成した。凍結保存後のMegacult(登録商標)アッセイ法により、巨核球コロニー形成能のわずかな減少が示された(図6B)。F. 実施例5: MKPは凍結保存の後でもインビボでの成熟および血小板の生成を続ける 8日目の凍結保存後MKP (107個)を上記のようにNSGマウスに注射した。図7に示されている骨髄および他の組織における細胞の生着を、投与から1時間、24時間、7日、および14日後に測定して、MKPの局在を測定した。結果から、MKPは早ければ移植後1時間で骨髄へ移動し、大部分は24時間以内に末梢血から存在しなくなることが示される。 図7は、CD34+CD41+細胞(MKP)の局在を示す。この図はまた、この細胞が成熟し続けることを示す。CD34の発現は7日目までに低減して、CD34-CD41+集団を産生する。ヒト血小板は注射から3日後に検出可能であり、血小板数は約14日目に約3×104 Plt/ulでピークに達した(図8)。ヒト血小板は注射から少なくとも8週後に観察された。G. 実施例6: 8日目の凍結保存後MKPは高い血小板数を迅速に生成する 本発明者らは、インビボで短時間で高い血小板数を生み出すMKP集団を単離しようとした。8日間または10日間上記のように培養され、凍結保存され、融解された、107個のMKPをNSGマウス(n=4)に注射した。CS5凍結保存培地を対照群に注射した。図9は、凍結保存後の、8日目のMKPおよび10日目のMKPの結果を示す。8日目のMKPは10日目のMKPよりも高い割合のCD34+CD41+細胞を有していた。10日目のMKPは、より少ないCD34+CD41+集団およびより多くのCD41+CD42a+集団を有していた(図9、右)。 血小板数を図10に示す。8日目のMKPについても10日目のMKPについても早ければ投与から3日後にヒト血小板を検出することができる。しかしながら、8日目のMKPは、より高い血小板レベル(およそ2×104 plt/ul)を生じ、これは、より早く(およそ2週目)にピークに達した。10日目のMKPは、2週目におよそ1×103 plt/ulを生じ、約3週目におよそ3×103 plt/ulでピークに達した。H. 実施例7: 本凍結保存後MKPにより生成されたヒト血小板は機能的である インビトロで血小板活性化アッセイ法を行って、異種移植NSGマウスにおいてインビボでヒトMKPから生成された血小板の機能性を判定した。正常ヒト血小板を含む、ヒト血液を異種移植NSGマウス由来の全血に対する対照として用いた。血小板を上記のようにADPに曝露した。血小板表面へのP-セレクチン(CD62P)の移動を用いて、ADP刺激に応じた血小板の活性化を検出した。図11は、新鮮に単離されたヒト全血および新鮮に単離された異種移植マウス全血の両方の由来の血小板がCD62Pを発現していたことを示し、正常な血小板活性化を示唆していた。 107個のCLT-009細胞を受けているマウスから14日目に、血液を採取した。上記のような活性化のため、血小板をADPに曝露した。血小板因子4 (PF4)の放出についてELISAにより上清を試験した。図12に示された結果は、CLT-009産物から生成されたヒト血小板が、天然に存在する血小板と同じように活性化によってPF4を放出することを明らかにしている。I. 実施例8: MKPの生成はIL-9の存在下で増大される MKPをさまざまな濃度のIL-9の存在下または非存在下でTPO模倣体およびIL-1とともに上記のように8日間培養した。図13は、60 ng/mlでのIL-9の結果を示す。IL-9は有能なCD34+CD41+集団を含む、全3人のドナーからのMKPの数を増加させた。J. 実施例9: MKPの生成はHSAの存在下で、および撹拌で増大される MKPをさまざまな濃度のHSAの存在下または非存在下でTPO模倣体、IL-1、およびIL-9とともに上記のように8日間培養した。図14は1% HSAの結果を示しており、これによってMKP細胞の増殖がさらに増大した。さらに、静置培養 vs 撹拌培養(フラスコ中)で細胞数を比較した。このデータは、HSAの存在下での撹拌がMKP細胞の増殖をかなり増大させたことを示す。撹拌は、より大容量の培養、および生産方法のスケールアップを可能にする。 図15は、図14において示された細胞集団の表現型分析を示す。(A)は、HSAがCD34+CD41+細胞の割合のわずかな低減をもたらすことを示す。(B)は、細胞の総数について説明する場合、HSAはCD34+CD41+細胞の全収量を増加させることを実証する。HSAを含有する培養物の撹拌により、(静置培養バッグと比べて)細胞数がさらに増加した。 図16は、10 nM mTPO、10 ng/ml IL-1、60 ng/ml IL-9の存在下で、追加の1% HSA有りまたは無しで培養された場合の、8日間にわたる3つの個々のMKP培養物の平均増殖倍率を示す。細胞数はHSAの存在下で顕著に増加し(A)、CD34+CD41+集団は維持された(B)。K. 要約 MKPは規定の、無血清および無フィーダー細胞の培養条件下で、エクスビボで生成することができる。記述のように培養され、かつ凍結保存された、本MKPは、インビトロでのコロニー形成能を維持しており、インビボで生着し、血小板を生成する。さらに、MKPは振盪フラスコ中で増殖させることができ、より大きな培養容量および商業規模での生産を可能にする。マウスに移植された凍結保存後MKPは、骨髄へ移動し、移植後3日以内に血小板を生成した。MKPはインビボで成熟し続け、少なくとも8週間にわたって血小板を常に生成した。移植されたヒトMKPは、ADP活性化によって評価した場合に、マウスにおいて、機能的である血小板を生成した。 本記述の培養系は規定されており、拡大縮小可能であり、臨床用途に適している。最終の集団は検出可能なレベルのリンパ系細胞を含んでおらず、したがって移植片対宿主病(GVHD)のリスクを回避する。したがって、急性放射線症候群(ARS)または化学療法による血小板減少症(CIT)を患っている患者は、本記述のMKP集団の移植から大いに恩恵を受けることができる。これらのMKPは投与から約2週間後にインビボでピークレベルの血小板を生成し、したがってこのことは、ARSまたはCITにおける血小板減少症の期間を短縮しうる。貯蔵可能な、既製のMKP産物を提供することにより、短い貯蔵時間、供給不足、および感染性疾患のリスクなどの、血小板輸血に関連した問題を克服することができる。 少なくとも40%のCD34+CD41+巨核球前駆細胞(MKP)を含む単離されたヒト細胞集団であって、該細胞集団が血小板生成活性を有し、かつ免疫不全マウスへの、該細胞集団由来の5×106個の細胞の投与が、投与から14日後に少なくとも106個のヒト血小板/血液1mlをもたらす、単離されたヒト細胞集団。 少なくとも50%のCD34+CD41+ MKPを含む、請求項1記載の単離された細胞集団。 前記CD34+CD41+ MKPの少なくとも50%がCD184+である、請求項1または2記載の単離された細胞集団。 前記CD34+CD41+ MKPの60%未満がCD42a+である、前記請求項のいずれか一項記載の単離された細胞集団。 前記CD34+CD41+ MKPの30%未満がCD42a+である、前記請求項のいずれか一項記載の単離された細胞集団。 前記細胞が複数の個体に由来する、前記請求項のいずれか一項記載の単離された細胞集団。 前記細胞が凍結保存される、前記請求項のいずれか一項記載の単離された細胞集団。 免疫不全マウスへの5×106個の前記細胞の投与が、投与から14日後に少なくとも107個のヒト血小板/血液1mlをもたらす、前記請求項のいずれか一項記載の単離された細胞集団。 免疫不全マウスへの5×106個の前記細胞の投与が、投与から14日後に少なくとも5×107個のヒト血小板/血液1mlをもたらす、前記請求項のいずれか一項記載の単離された細胞集団。 免疫不全マウスへの5×106個の前記細胞の投与が、投与から8週後に少なくとも106個のヒト血小板/血液1mlをもたらす、前記請求項のいずれか一項記載の単離された細胞集団。 前記MKPがCD34陰性CD41+CD42a+巨核球へとさらに分化する、前記請求項のいずれか一項記載の単離された細胞集団。 免疫不全マウスに投与された場合に、前記MKPが骨髄に生着する、前記請求項のいずれか一項記載の単離された細胞集団。 前記細胞が以下の段階を含む方法によって産生される、前記請求項のいずれか一項記載の単離された細胞集団: ヒトCD34+造血幹細胞(HSC)の、CD34+CD41+巨核球前駆細胞(MKP)を含む細胞集団の生成を可能にする条件の下で、トロンボポエチン(TPO)またはTPO類似体とIL-1αとを含む培地中でヒトCD34+ HSCを培養する段階。 培地がIL-9をさらに含む、請求項13記載の単離された細胞集団。 培地がHSAをさらに含む、請求項13または14記載の単離された細胞集団。 培養する段階が撹拌状態中で行われる、請求項13〜15のいずれか一項記載の単離された細胞集団。 前記請求項のいずれか一項記載の単離された細胞集団と薬学的に許容される賦形剤とを含む薬学的組成物。 凍結保存される、請求項17記載の薬学的組成物。 以下の段階を含む方法: ヒトCD34+造血幹細胞(HSC)の、CD34+CD41+巨核球前駆細胞(MKP)を含む細胞集団の生成を可能にする条件の下で、トロンボポエチン(TPO)またはTPO類似体とIL-1αとを含む培地中でヒトCD34+ HSCを培養する段階であって、免疫不全マウスへの、該細胞集団由来の5×106個の細胞の投与が、投与から14日後に少なくとも106個のヒト血小板/血液1mlをもたらす、段階 それによりMKPを含む細胞集団が形成される段階。 以下の段階を含む方法: ヒトCD34+造血幹細胞(HSC)の、CD34+CD41+巨核球前駆細胞(MKP)を含む細胞集団の生成を可能にする条件の下で、トロンボポエチン(TPO)またはTPO類似体、IL-1αまたはIL-1β、およびIL-9を含む培地中でヒトCD34+ HSCを培養する段階であって、免疫不全マウスへの、該細胞集団由来の5×106個の細胞の投与が、投与から14日後に少なくとも106個のヒト血小板/血液1mlをもたらす、段階 それによりMKPを含む細胞集団が形成される段階。 培地がHSAをさらに含む、請求項19または20記載の方法。 培養する段階が撹拌状態中で行われる、請求項19〜21のいずれか一項記載の方法。 培地が血清もフィーダー細胞も含まない、請求項19〜22のいずれか一項記載の方法。 前記HSCが複数の個体から得られる、請求項19〜23のいずれか一項記載の方法。 前記HSCが凍結保存されている、請求項24記載の方法。 前記CD34+CD41+ MKPの少なくとも50%がCD184+である、請求項19〜25のいずれか一項記載の方法。 前記CD34+CD41+ MKPの60%未満がCD42a+である、請求項19〜26のいずれか一項記載の方法。 前記CD34+CD41+ MKPの30%未満がCD42a+である、請求項27記載の方法。 培地がIL-3を含まない、請求項19〜28のいずれか一項記載の方法。 培養する段階が少なくとも5日間行われる、請求項19〜29のいずれか一項記載の方法。 培養する段階が7〜9日間行われる、請求項30記載の方法。 免疫不全マウスへの、前記細胞集団由来の5×106個の細胞の投与が、投与から14日後に少なくとも107個のヒト血小板/血液1mlをもたらす、請求項19〜31のいずれか一項記載の方法。 免疫不全マウスへの、前記細胞集団由来の5×106個の細胞の投与が、投与から14日後に少なくとも5×107個のヒト血小板/血液1mlをもたらす、請求項32記載の方法。 前記細胞集団が少なくとも40%のMKP細胞を含む、請求項19〜33のいずれか一項記載の方法。 前記細胞集団から前記MKPを分離する段階をさらに含む、請求項19〜34のいずれか一項記載の方法。 前記細胞集団を凍結保存する段階をさらに含む、請求項19〜35のいずれか一項記載の方法。 前記MKPに血小板を生成させる段階をさらに含む、請求項19〜36のいずれか一項記載の方法。 前記MKPに血小板を生成させる段階が、SCFまたはSCF類似体; TPOまたはTPO類似体; およびヘパリンを含む培地中でインビトロで行われる、請求項37記載の方法。 前記MKPに血小板を生成させる段階が、該MKPをレシピエントに投与して、インビボで血小板を生成する段階を含む、請求項37記載の方法。 前記レシピエントおよび前記MKPが1つまたは複数のMHC遺伝子座で不一致である、請求項39記載の方法。 請求項19〜36のいずれか一項記載の方法によって生成された、単離された細胞集団。 以下の段階を含む方法: 請求項17または18記載の薬学的組成物を個体に投与する段階であって、該個体において血小板を生成する、段階。 以下の段階を含む方法: ヒトCD34+造血幹細胞(HSC)の、CD34+CD41+巨核球前駆細胞(MKP)を含む細胞集団の生成を可能にする条件の下で、トロンボポエチン(TPO)またはTPO類似体とIL-1αとを含む培地中でヒトCD34+ HSCを培養する段階であって、免疫不全マウスへの、該細胞集団由来の5×106個の細胞の投与が、投与から14日後に少なくとも107個のヒト血小板/血液1mlをもたらす、段階; および 該MKPを個体に投与する段階であって、該個体において血小板を生成する、段階。 以下の段階を含む方法: ヒトCD34+造血幹細胞(HSC)の、CD34+CD41+巨核球前駆細胞(MKP)を含む細胞集団の生成を可能にする条件の下で、トロンボポエチン(TPO)またはTPO類似体、IL-1αまたはIL-1β、およびIL-9を含む培地中でヒトCD34+ HSCを培養する段階であって、免疫不全マウスへの、該細胞集団由来の5×106個の細胞の投与が、投与から14日後に少なくとも107個のヒト血小板/血液1mlをもたらす、段階; ならびに 該MKPを個体に投与する段階であって、該個体において血小板を生成する、段階。 培地がHSAをさらに含む、請求項43または44記載の方法。 培養する段階が撹拌状態中で行われる、請求項43〜45のいずれか一項記載の方法。 前記個体および前記MKPが1つまたは複数のMHC遺伝子座に不一致を有する、請求項43〜46のいずれか一項記載の方法。 前記HSCが複数の個体から得られる、請求項43〜47のいずれか一項記載の方法。 前記個体が血小板減少症である、請求項42〜48のいずれか一項記載の方法。 前記細胞集団が少なくとも40%のCD34+CD41+ MKPを含む、請求項42〜49のいずれか一項記載の方法。 体重1 kgあたり少なくとも105個の、前記細胞集団由来の細胞が前記個体に投与される、請求項42〜50のいずれか一項記載の方法。 前記細胞集団が前記個体への投与の前に凍結保存される、請求項42〜51のいずれか一項記載の方法。 前記CD34+CD41+ MKPが、前記個体への投与の前に前記細胞集団から分離される、請求項42〜52のいずれか一項記載の方法。 本開示の要約:フィーダー細胞および血清の非存在下で造血幹細胞から巨核球系細胞を生成する方法が本明細書において提供される。記載のように生成された巨核球前駆細胞(MKP)は、インビボに投与された場合に著しい数の血小板の迅速な産生をもたらす。


ページのトップへ戻る

生命科学データベース横断検索へ戻る