タイトル: | 公表特許公報(A)_血小板溶解物の組成物、用途および調製 |
出願番号: | 2014518918 |
年次: | 2014 |
IPC分類: | A61K 35/14,A61P 27/02,A61P 17/02,A61L 15/16 |
コプランド,イアン ビー ガリポー,ジャック JP 2014522833 公表特許公報(A) 20140908 2014518918 20120626 血小板溶解物の組成物、用途および調製 エモリー ユニバーシティ 509304896 チルドレン’ズ ヘルスケア オブ アトランタ,インコーポレイテッド 513325225 Children’s Healthcare of Atlanta,Inc. 特許業務法人北青山インターナショナル 110001302 コプランド,イアン ビー ガリポー,ジャック US 61/501,411 20110627 US 61/547,897 20111017 A61K 35/14 20060101AFI20140812BHJP A61P 27/02 20060101ALI20140812BHJP A61P 17/02 20060101ALI20140812BHJP A61L 15/16 20060101ALI20140812BHJP JPA61K35/14 ZA61P27/02A61P17/02A61L15/01 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC,VN,ZA US2012044211 20120626 WO2013003356 20130103 21 20140127 4C081 4C087 4C081AA01 4C081AA12 4C081BA01 4C081CA11 4C081CD34 4C081CE01 4C081DA05 4C087AA01 4C087AA02 4C087AA05 4C087BB38 4C087DA21 4C087DA23 4C087NA06 4C087ZA33 4C087ZA89関連出願の相互参照 本出願は、2011年6月27日に出願された米国仮特許出願第61/501,411号明細書および2011年10月17日に出願された米国仮特許出願第61/547,897号明細書に基づく優先権を主張するものであり、この両者の内容全体を参照によって本願明細書に組み込むものとする。 本開示は、ある実施形態において、フィブリノゲンおよび寒冷沈降物を枯渇させた血小板溶解物を含む組成物について記載する。さらなる実施形態では、組成物は細胞培養培地成分をさらに含む。本開示は、(a)血小板を溶解して溶解物を用意するステップ、(b)細胞片を除去するステップ、および(c)塩化カルシウムなどの金属塩を添加して除去可能な塊体を形成することによってフィブリノゲンを枯渇させるステップを含む、組成物の調製方法も提供する。さらに、本開示は、前記方法を使用して生成される生成物についても記載する。 再生医療とは、自らを治癒する身体能力を高めるために多くの技術が使用される広範な分野である。かかる技術の1つには細胞治療がある。細胞治療に使用されてきた種々の細胞型には、胚細胞、新生児細胞、体細胞、異種細胞および人工多能性細胞が含まれるがこれらに限定されない。とりわけ間葉系幹細胞(MSC)は、骨、軟骨および腱などの骨格組織の再生、さらには神経変性の治療および造血細胞移植の支援でも治療有効性を示している。たとえば、Doucet et al.,J Cell Phys,(2005),205:228−236およびLange et al.,J Cell Physiol,(2007),213:18−26を参照されたい。 過去の努力では、ウシ胎仔血清(FBS)を含有する成長培地を使用してドナー細胞をex vivoで増殖してきた。培養培地中にFBSが存在すると、レシピエントに移植する前にドナー細胞を洗浄しても、FBSに対する抗体が生成し、その結果、アルツス(arthus)様の反応が発生していた。Selvaggi et al.,Blood,(1997),89(3):776−9。動物のプリオンの感染、ウイルス感染および人獣共通感染症の感染に関する懸念もFBSの使用を取り巻いている。成長培地中のFBSを使用すると、これに関連する障害が起こりうるため、細胞の機能を維持することができる非異種の成長添加剤に特に関心が生じている。 MSCをex vivoで増殖させようとする試みにおいて、FBSの代替物として自家および同種のヒト血清の両方が試験された。同種血清では、細胞成長の停止およびMSCの死滅という結果になった。Shahdadfar et al.,Stem Cells,(2005)23(9):1357−66.自家血清はMSCを効果的に増殖させるが、コストおよび血清の利用可能性などの実用的な懸念のため、この手法はやや非実用的である。たとえば、Kobayashi et al.,J Bone Joint Surg Br,(2005),87(10):1426−33を参照されたい。過去の研究では、ヒト血小板から放出される成長因子が、MSCを含むいくつかの細胞型の成長を効果的に増進することが示されている。それゆえ、最近の試みは、細胞培養添加剤としてFBSの代わりに血小板溶解物を使用することに焦点が当てられている。 血小板は、複数の成長因子、たとえば複数の血小板由来成長因子(PDGF)、インスリン様成長因子1(IGF−1)および形質転換成長因子ベータ(TGF−β)を放出することができる。Sanchez et al.,Int J Oral Maxillofac Implants,(2003),18(1):93−103。細胞培養培地にこれらの成長因子を添加するという目的には、血小板溶解物の方が、血小板粘着法および血小板凝集法の両者より優れていることが示された。Doucet et al.,J Cell Phys,(2005),205:228−236。 細胞成長を増進させるにもかかわらず、未加工の血小板溶解物を使用することにはそれなりの一連の障害がある。ex vivoの細胞治療の臨床用途では、最近までFBSが細胞培養成長添加剤として使用されてきているが、臨床用途で血小板溶解物を使用することについての検討が依然としてなされている。この検討には、細胞片、凝固因子および寒冷沈降物の存在、ならびに血小板溶解物の存在下で培養した細胞の免疫抑制の特性が含まれている。さらに、細胞培養物中に未加工の血小板溶解物を使用すると、フィブリノゲンがフィブリンに転換する。一般的には、ヘパリンを細胞培養物に直接添加してこの転換を防止する。たとえば、Schallmoser et al.,Tissue Eng Part C Methods,(2008),14(3):185−96を参照されたい。このようにヘパリンを使用しても、培地中に大きな線維の鎖状体(fibrous strands)が形成し、MSC単層に付着する場合がある。この場合、患者にこの線維の鎖状体を注入するリスクがあり、ことによると微小血管または大血管の閉塞が発生する。したがって、線維の鎖状体の生成を減少させる改良型の方法を見出す必要性がある。 酵素前駆体プロトロンビンは肝臓で産生される。プロトロンビンは第Xa因子によって、2つの部位で酵素により開裂し、トロンビンを生成する。続いて、トロンビンはフィブリノゲンをフィブリンに転換することによって凝固を媒介する。フィブリンはトランスグルタミナーゼ第XIII因子で架橋され、血餅を形成することができる。フィブリンは、上記のように患者に移植された場合に危険な、線維の鎖状体中に癒着することがある。ヘパリンを使用すると、トロンビンおよび第Xa因子の両者に対してアンチトロンビンへの親和性を高め、場合によっては凝固カスケードを中断することができる。 本開示は、ある実施形態において、フィブリノゲンおよび寒冷沈降物を枯渇させた血小板溶解物を含む組成物について記載する。さらなる実施形態では、組成物は細胞培養培地成分をさらに含む。本開示は、(a)血小板を溶解して溶解物を用意するステップ、(b)細胞片を除去するステップ、および(c)塩化カルシウムなどの金属塩を添加して除去可能な塊体を形成することによってフィブリノゲンを枯渇させるステップを含む、組成物の調製方法も提供する。さらに、本開示は、前記方法を使用して生成される生成物についても記載する。 ある実施形態において、血小板溶解物の組成物はフィブリノゲンが実質的に枯渇している。いくつかの実施形態では、組成物のフィブリノゲン濃度は約2μg/mL以下または約4μg/mL以下である。いくつかの実施形態では、組成物のPDGF−BB濃度は約15、30または40ng/mLより高い。いくつかの実施形態では、組成物はクエン酸デキストロース(ACD:acid citrate dextrose)を含有しないか、または酸性シトラートなどの、カルシウムをキレートする抗凝固剤をあまり多くは含有しない。いくつかの実施形態では、組成物は細胞片を実質的に含まない。いくつかの実施形態では、組成物は寒冷沈降物を実質的に含まない。いくつかの実施形態では、組成物はトロンビンが実質的に枯渇している。 いくつかの実施形態において、本開示は、前記組成物を含む細胞培養培地を使用して細胞を培養する方法に関する。標準的な細胞培養培地はアミノ酸ならびに任意選択でインスリン、ホルモン、抗生物質および糖類を含有する。いくつかの実施形態では、培養される細胞は、体細胞、新生児細胞、胚細胞、異種細胞または多能性細胞である。いくつかの実施形態では、培養される細胞はMSCである。 いくつかの実施形態において、本開示は、齧歯類、ブタ、霊長目、ヒト霊長目および非ヒト霊長目から選択される種に由来する細胞を増幅させることに関する。 いくつかの実施形態において、本開示は、(a)血小板を溶解して溶解物を用意するステップ、(b)細胞片を除去するステップ、および(c)フィブリノゲンを実質的に枯渇させるステップを含む、組成物の調製方法に関する。ある実施形態では、方法は(d)カルシウムをキレートする抗凝固剤、たとえばACDを除去し、組成物にカルシウムを再び増加させる(recalcification)ステップをさらに含む。いくつかの実施形態では、細胞片は、フィブリノゲンを枯渇させる前、フィブリノゲンを枯渇させた後、またはフィブリノゲンを枯渇させる前後の両方で除去される。いくつかの実施形態では、細胞片を除去する前、細胞片を除去した後、細胞片の除去が未完了のとき、フィブリノゲンを枯渇させる前、フィブリノゲンを枯渇させた後、またはフィブリノゲンの枯渇が完了する前に、多くの血小板溶解物が貯留される。いくつかの実施形態では、貯留は濾過の前または後のいずれかに行われる。いくつかの実施形態では、血小板は1回または複数回融解することによって溶解される。いくつかの実施形態では、二価の金属塩、標準的にはカルシウム塩などの金属塩が、個別のまたは貯留された溶解物のいずれかに添加される。いくつかの実施形態では、ヘパリンが、個別のまたは貯留された溶解物に添加される。いくつかの実施形態では、貯留された溶解物は可視の血餅が出現するまで観察される。いくつかの実施形態では、前記可視の血餅は、たとえば遠心分離によって除去される。 いくつかの実施形態において、本開示は、本明細書で開示する方法によって生成される生成物に関する。いくつかの実施形態では、生成物は滅菌であるか、細菌をほぼ含まず、たとえばマイコプラズマ陰性である。いくつかの実施形態では、生成物のフィブリノゲン濃度は2、3、4、5、10、20または50μg/mL未満である。いくつかの実施形態では、生成物のPDGF−BB濃度は1、5、10、15または40ng/mLより高い。 ある実施形態において、開示は、フィブリノゲンを枯渇させた血小板溶解物または成分を含む有効量の医薬組成物を、これを必要とする対象に投与するステップを含む、本明細書で提供する疾患または状態を処置または防止する方法に関する。 いくつかの実施形態において、本開示は、局所用剤としての用途および/または眼科用の細胞生成物の生成に関する。ある実施形態において、本開示は、本明細書に開示する組成物を含む有効量の医薬組成物を、これを必要とする対象に投与するステップを含む、眼の疾患または状態を処置または防止する方法に関する。ある実施形態では、対象がこれを必要とする理由は、以下の診断を受けているか、リスクを負っているか、症状を呈しているからである。強膜炎、角膜炎、角膜潰瘍もしくは擦過傷、角膜血管新生、フックスジストロフィー、角結膜炎、虹彩炎、ぶどう膜炎、白内障、脈絡網膜の炎症、後部毛様体炎、脈絡網膜瘢痕、脈絡網膜変性、クロリオダル(chroriodal)ジストロフィー、脈絡膜出血もしくは破裂、脈絡膜剥離、網膜剥離、網膜分離症、高血圧性網膜症、糖尿病網膜症、加齢黄斑変性、黄斑変性、網膜色素変性、黄斑浮腫、緑内障、飛蚊症、視神経症、視神経乳頭ドルーゼン、弱視、暗点、夜盲症、充血眼、眼球乾燥症または失明。 ある実施形態において、本開示は、本明細書で開示する血小板溶解物成分を含む有効量の組成物を、これを必要とする対象に投与するステップを含む、眼の疾患または状態を処置または防止する方法に関する。 ある実施形態において、組成物は、本明細書で開示する組成物を含む溶液を対象の眼に滴下することによって投与される。ある実施形態において、組成物は、たとえば、外眼部の細胞を通して眼房水または硝子体液中に挿入される、注射器または細いカテーテルもしくはタブなど他の移送器具によって、眼内に投与される。 ある実施形態において、本開示は、免疫抑制の単球を産生するために、フィブリノゲンを枯渇させた血小板溶解物を使用することを企図する。 ある実施形態において、本開示は、骨芽細胞、脂肪細胞および軟骨細胞、筋細胞ならびに神経細胞をin vivoで産生するために、本明細書において生成し開示する間葉系幹/間質細胞を使用することを企図する。 ある実施形態において、本開示は、凍結融解プロセスによって生成した血小板溶解物と比較して、フィブリノゲンの量を減少させた血小板溶解物成分を含む組成物において、たとえば当該組成物はフィブリノゲンが実質的に枯渇しているが、血小板溶解物成分はPDGFが実質的には枯渇されていない組成物に関する。ある実施形態では、組成物はフィブリノゲン濃度が2または4μg/mL未満で、PDGF−BB濃度が15ng/mLより高い水性溶液である。ある実施形態では、本開示は、本明細書で開示する血小板溶解物の組成物から凍結乾燥で水を除去するプロセスによって作製される組成物に関する。 ある実施形態において、本開示は、細胞が、本明細書で開示する血小板溶解物成分を含む培地中で培養される、細胞の培養方法を企図する。ある実施形態では、細胞は、前駆細胞または幹細胞、たとえば多能性幹細胞(pluripotent stem cell)、多分化能幹細胞(multipotent stem cell)、体細胞の幹細胞、間葉系幹/間質細胞、脂肪由来の幹/間質細胞、内皮幹細胞、歯髄幹細胞、胚性幹細胞、骨髄もしくは造血幹細胞、羊膜幹細胞、リンパ球系もしくは骨髄系幹細胞である。 ある実施形態において、本開示は、本明細書で開示する血小板溶解物の組成物または成分を含む組成物を、創傷に適用するステップを含む、創傷処置または創傷閉鎖方法を企図する。ある実施形態において、本開示は、本明細書で開示する血小板溶解物の組成物または成分を含む創傷被覆材を企図する。創傷被覆材の例には、包帯、ガーゼ、接着剤、たとえばシアノアクリラート接着剤、または縫合剤が含まれる。ある実施形態では、創傷被覆材は、抗生物質をさらに含む。図1は、グラフによるデータであり、フィブリノゲンが減少しても、FD−PLおよびphPLは、ELISAで測定すると、PDGF、TGF−β、EGFおよびBDNFのような望ましい成長因子を同様のレベルで含有していることを示す。図2は、7日間保管した後の顕微鏡分析であり、FD−PL(上)は細片を実質的に含まないが、phPL(下)は、種々のサイズの粒子を含有することを示す。図3は、MSCをFBS、phPLおよびFD−PL中でex vivo増幅させるデータであり、MSCをFD−PL中で培養すると、FBSおよびphPLの両者と比較して倍の時間を大いに短縮することができることを示す。図4は、FD−PL(GMP)およびphPL(RG)中で培養した場合の、IDO誘導に基づくMSCのINF−γ反応性を示すデータであり、FD−PLで増幅したMSCにはより優れた免疫抑制の潜在能力があることを示す。図5は、FD−PL(上)、phPL(中)および血清(下)の顕微鏡分析(右は左の拡大画像)であり、FD−PLはCD11bおよびCD33陽性の単球集団の結合および増幅を促進する能力があることを示す。図6は、phPL(左)、FD−PL(中)および血清(右)を使用してヒト角膜上皮細胞(HCEC)を培養する場合の増殖(上)および生存率(下)のデータを示す。ヘパリンおよび金属塩の使用による、血小板溶解物からのフィブリノゲンの枯渇 血小板(platelet)すなわち血小板(thrombocyte)は、前駆体である巨核球の断片に由来するDNAを含有する、核をもたない細胞である。血小板は哺乳動物の血液中を循環し、止血に関与して、血餅を形成する。血小板フェレーシスとは、血小板を採取する方法のことである。血小板は、全血から、または血小板を分離して血液の他の部分をドナーに戻すデバイスによって、貯留することができる。血清は、通常、「ソフトスピン」と呼ばれる大きな遠心分離機の中に入れられる。この設定では、血小板は血漿中に浮遊したままである。多血小板血漿(PRP)をRBCから除去し、次いで、より高速の設定で遠心分離して、血漿から血小板を収集する。回収した血小板は、通常冷却して細胞の劣化を遅延させる。 本明細書で使用する場合、用語、用語「血小板溶解物」は血小板溶解の生成物を意味する。血小板溶解物には、溶解した血小板が含有される任意の培地を含めることもできる。凍結融解は、本開示における細胞を溶解する典型的な方法であるが、唯一の方法というわけではない。力学的溶解は、標準的には剪断力の使用によるものであり、溶解物を生成するために企図される別の方法である。溶解緩衝液は、標準的には細胞を低張液中に入れることによって作用するものであり、さらに別の選択肢である。溶解プロセスは、これらの方法の組合せからなるものとしてもよい。 ある実施形態において、本開示は、ヘパリンおよびカルシウム塩を血小板溶解物に直接添加してフィブリノゲンを枯渇させ、溶解物のカルシウムを再び増加させ、シトラートを中和する方法に関する。別の実施形態では、得られた溶解物を細胞培養培地と組み合わせる。過去には、血小板溶解物を添加する前に、ヘパリンが細胞培養培地に直接添加されていたが、この従来の方法を使用することでフィブリノゲンが枯渇するという証拠は示されていなかった。たとえば、Schallmoser et al.,Tissue Eng Part C Methods,(2008),14(3):185−96を参照されたい。 いくつかの実施形態において、本開示は、補体が実質的に枯渇している血小板溶解物の組成物に関する。補体の枯渇は、本明細書に記載するとおり、複数の方法で実現することができる。この枯渇ゆえの1つの用途は、ヒト血小板溶解物が非ヒト細胞に対してもちうる、補体の媒介によるいかなる免疫反応のリスクも最小限に抑えながら、実施形態を非ヒト細胞で使用することができる、ということである。 通常、クエン酸デキストロース(ACD)は抗凝固剤として使用される。たとえば、米国公開特許出願第12/441,870号明細書(ACDは「重要な血液抗凝固剤」と記載されている)を参照されたい。カルシウムの有効性を減少させることによって、ACDは、これが依拠するカルシウムの凝固機序を取り去る。たとえば、Reich−Slotky et al.J Clin Apher,(2009),24(6):265−8を参照されたい。正常な細胞活動で使用するためのカルシウムもACDによって減少するため、潜在的毒性を示す。本開示ではヘパリンが抗凝固剤として使用され、これにより、潜在的に毒性の、ACDのカルシウム枯渇による影響を回避する。カルシウム塩、理想的にはCaCl2などの塩を添加すると、シトラート毒性をさらに中和し、血小板溶解物のカルシウムを再び増加させる。いくつかの実施形態では、CaCl2は、緩衝液、たとえばPlasmalyte A中に溶解される。いくつかの実施形態では、CaCl2は、約pH7.4の滅菌の等張電解質溶液中に溶解される。ある実施形態では、ACD(カルシウムをキレートする抗凝固剤)の除去は、本明細書で開示する方法の一部である。カルシウムキレート剤は細胞培養物に有害であり、カルシウムを適切に供給すると、最適な機能が得られる。さらに、ヘパリンが誘導する成長因子の安定化および生成物の清澄性は、本開示で具現化される成果である。ある実施形態では、本明細書で開示する方法は、ACDの使用を必要としない。 フィブリノゲンを枯渇させた血小板溶解物(FD−PLまたはマルチプレートFD)は、未加工の血小板溶解物と比較して優っている。利点には、以下の発見が含まれるが、これらに限定されない。マルチプレートFDは、MSCを増幅させることにおいて未加工の血小板溶解物およびFBSより優れている、マルチプレートFDは非異種である(すなわち人獣共通感染症またはプリオンの感染のリスクがない)、マルチプレートFDは培養培地中にヘパリンを追加する必要性がない、マルチプレートFDは、線維の鎖状体が培地中に形成してMSC単層に付着するリスクを回避する(すなわち微小血管または大血管の閉塞のリスクを低減する)、マルチプレートFDは、自己免疫および同種免疫治療用のMSCの作製において、安定性に関して未加工の血小板溶解物より優れている、マルチプレートFDは、ウシ胎仔血清を使用する際にみられる免疫抑制特性を保持し、複数の系列および種由来の細胞を増幅するため、未加工の血小板溶解物より用途が広い。 本開示に記載する実施形態は、再生医療、免疫治療、生物活性因子の放出、がん、および他の関連分野の臨床処置に適用することができる。血小板溶解物中のタンパク質含有量の分析 RayBio(登録商標)Human Cytokine Antibody Array C Series4000を使用して、約174のタンパク質の相対的発現レベルを比較した。タンパク質は、4つの溶液(ヒト血清、乏血小板血漿、未処理の血小板溶解物(phPL)およびフィブリノゲンを枯渇させた血小板溶解物(FD−PL))のうち少なくとも1つに検出された。116のタンパク質のうち、87をFD−PL中に検出することができ、一方phPL中には113のタンパク質が検出可能であった。血清中には67が検出され、PPP中には60のタンパク質が検出された。すべての試料中で最も豊富なタンパク質は、主として、MSP−α、ACRP30、アンギオゲンニン(ANGIOGENNIN)およびRANTESであった。マクロファージ刺激タンパク質(MSP−α鎖)は、別名HGF様タンパク質(幹細胞成長因子様タンパク質)およびMST1(マクロファージ刺激1)である。これは70kDaのジスルフィド結合したヘテロ二量体(47および22kDaのサブユニット)であり、活性化すると、CD136を介してシグナル伝達する。30kDaの脂肪細胞補体関連タンパク質(ACRP30)は、アディポネクチンと構造的に同一であり、強力なインスリンエンハンサーである。アンギオゲニン(Angiogenin)も、肝臓によって産生される豊富な血漿タンパク質であり、血管新生および抗炎症の両特性を有することが示されている。RantesすなわちCCL5は、主として走化性サイトカインとしての活性で知られているが、直接的な抗ウイルス剤として宿主防御における潜在的な役割をもちうる。各々またはこれらのタンパク質は正常な血漿の成分と考えることができるため、これらのレベルが、試験した種々の溶液間で類似していても驚くことではなかった。したがって、比率分析を、血清対PPP、FD−PL対PPP、およびphPL対PPP間で実施して、血小板の脱顆粒/凝固または溶解によってどの因子が放出または枯渇されるのかを判定した。6のタンパク質がFD−PL中で相対的タンパク質発現の増加を示したが、37のタンパク質が低減した。特に注目されるのは、phPLと比較した際のFD−PL中のレプチン、PDGF−AAおよびPDGF−ABのレベルの増加、ならびにいくつかのMMP、炎症性ケモカインの減少であった。 別の分析では、正常なヒト血清、乏血小板血漿、未処理の血小板溶解物(phPL)およびフィブリノゲンを枯渇させた血小板溶解物(FD−PL)にトリプシン消化を施し、質量分析法を使用してタンパク質発現を分析した。アポリポタンパク質が、検出されたタンパク質のうち最も出現度が高いファミリーであり(N=3)、これに続くのが補体カスケードの構成員であった(N=6)。ELISAデータを確認すると、MS−分析は、血小板溶解物の作製プロトコールがフィブリノゲンを枯渇させることを示していた。FD−PL中で、フィブリノゲンレベルはphPLと比較して少なくとも10倍低減しており、phPLのフィブリノゲンレベルは乏血小板血漿より血清でのレベルに類似している。作製プロトコールは、補体4、補体C1s副成分、および補体因子Bも選択的に枯渇させるが、これらはphPLおよびPPPには保持されている。血清およびPPPの両者と比較して、血小板溶解物(phPLおよびFD−PL)は、検出可能なレベルの、アクチン、フィラミン、タリンおよびザイキシンのような、いくつかの細胞骨格タンパク質および細胞骨格関連のタンパク質を含有する。PLは両者とも検出可能なレベルのチモシンβ4を含有し、FD−PLはphPLの約2倍の量のThB4を有する。さらに、FD−PLは、ヘモペキシン、アポリポタンパク質CIII、アポリポタンパク質AI、α−2−マクログロブリンおよびα−1B−糖タンパク質を含む因子が枯渇されているが、α−2−HS−糖タンパク質、アポリプロタンパク質(Apoliproprotein)L1、クラスタリン/アポリポタンパク質Jおよび血小板塩基性タンパク質については増強されている。 補体およびMMPの枯渇に加えて、フィブロゲン(Fibrogen)およびフィブリンの枯渇は、FD−PLの生成物の安全性を高める。フィブリノゲンはフィブリンに転換される。フィブリンは炎症を誘発すると報告されている。Rowland et al.,Curr Eye Res.1985,4(5):537−53を参照されたい。フィブリンは、CECにIL−8を産生させることができる。Ramsby et al.,Invest Ophthalmol Vis Sci.1994,35(12):3980−90およびDrew et al.,Invest Ophthalmol Vis Sci.2000,41(1):67−72)を参照されたい。さらに、フィブリノゲンはTLR4によって単球に直接シグナル伝達して、MCP−1、MIP−1α、MIP−1βおよびMIP−2を増加させることができる。Smiley et al.,J Immunol.2001,167(5):2887−94およびSitrin et al.,J Immunol 161:1462–1470,1998を参照されたい。このため、好中球の表面のCD11b/CD18のα−サブユニットに結合し、これによりErkシグナル伝達経路が活性化されることによって、好中球の炎症反応が長引く可能性がある。Rubel et al.J Immunol 166:2002–2010,2001を参照されたい。最後に、吸着したフィブリノゲンは、多くの移植された材料に対する急性炎症反応の原因となる血漿の主要な成分であることが示されている。Tang et al.,J Exp Med 178:2147–2156,1993を参照されたい。したがって、本発明者らの血小板溶解物からフィブリノゲンを枯渇させると、この生成物が、培養において細胞(TLR4を発現するMSCのような)に悪影響を及ぼす可能性が減り、この生成物を患者に直接局所適用するためのより優れた安全性プロファイルを産み出す。治療の適応症 ある実施形態において、本開示は、本明細書に含まれるフィブリノゲンを枯渇させた血小板ライステート(lystate)の組成物を、直接、または凍結乾燥すなわちフリーズドライなどのプロセスによって水を枯渇させて使用して、細胞培養物に添加することができる無水生成物および薬学的に許容される添加剤を提供すること、および本明細書で提供される治療適用に使用することができることを企図している。 ドライアイは、造血幹細胞移植後の慢性移植片対宿主病に伴う主要な合併症である。Pezzotta et al.,Bone Marrow Transplant,2012,doi:10.1038/bmt.2012.64では、自家血小板溶解物を眼のGvHDの処置に使用することができると報告された。ある実施形態において、本開示は、有効量の、本明細書で開示するフィブリノゲンを枯渇させた血小板溶解物の組成物を対象の眼に投与することを含むドライアイの処置に関する。 Sandri et al.,Int J Pharm,2012,426(1−2):1−6では、血小板溶解物を含有する点眼剤が角膜潰瘍の処置に有用であると報告された。ある実施形態において、本開示は、有効量の、本明細書で開示するフィブリノゲンを枯渇させた血小板溶解物の組成物を対象の眼に投与することを含む、角膜の疾患または状態の処置に関する。 FD−PLおよびphPLには複数の類似点があるが、本発明者らの作製手順により、FD−PLを特異な生成物にする、複数のタンパク質の選択的な枯渇および蓄積がある。特に注目されるのは、FD−PLは、TB4(血管新生、生存促進および抗炎症特性を有し、現在、眼の組織再生の臨床評価がなされている因子)の量を増加させたという事実である。 Ranzato et al.,J Cell Mol Med,2009,13(8B):2030−8では、血小板溶解物がヒト線維芽細胞の引っ掻き創傷閉鎖を促進すると報告された。ある実施形態において、本開示は、創傷治癒用途用の、フィブリノゲンを枯渇させた血小板溶解物の組成物または成分の使用に関する。ある実施形態において、本開示は、フィブリノゲンを枯渇させた血小板溶解物成分を含む組成物を、対象に、または対象の創傷のある部位に、投与または適用するステップを含む、創傷を処置する方法に関する。医薬組成物は、フィブリノゲンを枯渇させた血小板溶解物の組成物を含有するローションもしくは油または水性溶液の形態とすることができる。用語 本明細書で使用する場合、用語「細胞培養培地」とは、哺乳動物の細胞のin vitro増殖を助けることができる任意の培地を意味する。標準的には、これは、アミノ酸、1種または複数種の抗生物質、ビタミン、塩およびグルコースを含有する約pH7.4の等張液を含む。これらの基準のいくつかまたはすべてを含有する培地の例には、DMEMおよびRPMIが含まれるが、これらに限定されない。 本明細書で使用する場合、用語「ヘパリン」とは、抗凝固特性を有する任意の種々の硫酸化多糖類、断片および誘導体を意味する。標準的には、ヘパリン類組成物は、分子量約3kDa〜約30kDaの範囲の混合物である。ヘパリンは、酵素阻害剤アンチトロンビン(AT)に結合する。結合すると、ATは構造変化を起こし、活性化する。活性化したATは、トロンビンおよび他のプロテアーゼを不活化することができる。これはトロンビンがフィブリノゲンをフィブリンに転換するのを防止し、それにより、凝固プロセスを中断する。 本明細書で使用する場合、用語「MSC」とは、間葉系幹細胞、または間葉系間質細胞として知られているものを意味する。ヒトMCSは、CD29、CD44、CD45、CD51、CD71、CD73、CD90、CD105、CD106およびCD166を含む表面マーカーによって、通常、確認される。MSCは、骨髄、脂肪組織または血液など、身体内の複数の部位から得ることができる多能性細胞である。MSCは、本開示に記載する実施形態を使用して増殖されることになる典型的な細胞型であるが、唯一の型というわけではない。 本明細書で使用する場合、用語「PDGF」とは血小板由来成長因子を意味する。ヒト血小板溶解物中には、複数の型のPDGF(Gen Bank Accession AAA60552.1)があり、PDGF−AB、PDGF−AAおよびPDGF−BB(Gen Bank Accession CAA45383.1)が含まれる。3つのPDGFアイソフォームのすべてがPDGFRαに結合するが、PDGF−ABおよびPDGF−BBはPDGFRβに結合する。PDGFRは両者ともチロシンキナーゼ受容体である。PDGFRは、PDGFが結合するとリン酸化する。次にこれがキナーゼ触媒活性を刺激し、さらにはSH2を含有する下流のシグナル伝達分子との結合部位を形成する。Heldin et al.,Mechanism of action and in vivo role of platelet−derived growth factor,Physiol Rev,(1999),Oct;79(4):1283−316を参照されたい。PDGFがPDGFRに結合すると、多くの生物学的効果を誘導することができる。PDGFは、多種多様な生物学的機能を有する。PDGFは胚発生に不可欠であり、中枢神経系の発育に関与し、間質液圧を維持し、血管系に血管新生効果を有し、創傷治癒の速度を速めることが指摘されている。PDGFは、in vitroでは、ヒト血小板溶解物の成分として、細胞、とりわけMSCを増殖させるために、FBSの実現可能な代替物であると指摘されている。たとえば、Horn et al.,Impact of individual platelet lysates on isolation and growth of human mesenchymal stromal cells,Cytotherapy,(2010),12(7):888−98を参照されたい。十分な配列相同性および機能的属性があれば、PDGFという用語は、いかなる特定の配列にも限定されるものではない。実施例1:回収およびフィブリノゲンの枯渇のためのPLの作製 カルシウムキレート剤として作用する体積約10%のシトラートを血小板フェレーシス生成物(phPL)に添加して、患者に注入する前に、不注意による生成物の凝固を防止する。カルシウムを再び増加させるステップをphPLの作製プロセスに挿入することを試験して、より安全で均一な生成物が生成されるかどうかを評価した。このため、複数の濃度の塩化カルシウムおよび複数のインキュベーション時間を評価した。 この試験中に以下の条件を評価した。 1.PL+5mM CaCl2、室温(1 12時間) 2.PL+5mM CaCl2、37C(1〜12時間) 3.PL+10mM CaCl2、室温(1〜12時間) 4.PL+10mM CaCl2、37C(1〜12時間) 5.PL+16mM CaCl2、室温(1〜12時間) 6.PL+16mM CaCl2、37C(1〜12時間) 7.PL+20mM CaCl2、室温(1〜12時間) 8.PL+20mM CaCl2、37C(1〜12時間) この試験で得たデータは、5mMのCaCl2はいずれの温度でも血餅を形成することができないことを示すものであった。12時間、10mMのCaCl2、37Cでは血餅を形成することができたが、この血餅はほぼ完全に凝固しており、上清をほとんど回収できなかった。これより高濃度のCaCl2でも、1時間より長くインキュベートした場合に、概して完全に硬質の血餅が形成された。次の実験では、CaCl2濃度を6〜10mMの間で評価した。凝固が発生した場合、概して速やかに発生し、完全に凝固した。さらに、血餅の形成を開始するのにどの濃度のCaCl2が必要であるかについては、バッチ間でばらつきがあった。 このプロセスをさらに改良するために、1)ヘパリンを濃度2U/mLで添加して凝固の進行を制御し、2)CaCl2をplasmalyte対水中に溶解して安定性を高め、3)凍結融解を2回実施して血小板膜溶解を増加させ、4)室温または37で1時間、次いで4Cで終夜、血餅を形成させた。未改変のphPLを細胞培養培地に入れて希釈すると、基本培地中に存在するカルシウムはシトラートのキレート能力を封じるのに十分であり、このため遊離のフィブリノゲンがフィブリンに転換し、続いて融合して血餅を形成することができる。 最初の実験の群5〜8を使用した。すべての群に、ある程度の血餅の形成が見られ、4℃で終夜溶液をインキュベートすると血餅が安定化した。最初の実験と比較すると、施した改変により、翌日溶液を回転させ、溶液の大部分(すなわち70〜80%)を回収することができた。これに対してCaCl2濃度がより高い最初の実験では、回収率はほぼ20%であった。ヘパリンを溶液に添加したことによって、残余のフィブリノゲンの一部が残っていたが、これは続くゲル形成を発生させるには十分ではなかった。凍結融解を2回行った結果、PDGF−BBのような成長因子を放出したことが明らかになった。これらの実験に基づいて、2回の凍結融解手順に続いて、2U/mLのヘパリンの存在下での20mMのCaCl2の適正を再評価した。次いで精度を確立するため、このプロセスを、複数の作製ランで予め形成した。FD−PLの生成物については確実に生成することができ、これにより、フィブリノゲンの含有量は4ug/ml未満でバッチ間のばらつきは約12%となった。未加工のphPLのフィブリノゲンの含有量は通常で60μg/mLであった。特に注目されるのは、フィブリノゲンが減少しても、FD−PLおよびphPLは、ELISAで測定すると、PDGF、TGF−β、EGFおよびBDNFのような望ましい成長因子を同様のレベルで含有しているという事実である。図1を参照されたい。 凍結ヒト血小板フェレーシス生成物からのFD−PL(マルチプレートFD)の標準的なGMP調製を以下に示す。約5人のヒトドナーによる再検査済み期限切れ血小板フェレーシス生成物をフリーザーから取り出し、4℃で終夜融解した。次に、試料をcGMPのクラス10,000のクリーンルームに移して−20℃で再凍結した。各試料から小アリコートを微生物学的試験用に取り出した。次いで、汚染のない試料とアリコートを4℃で終夜融解した。次にCOBE細胞処理装置を使用し、試料を4000rpmで15分間遠心分離して細胞片を小球状にした。次いで、各試料の上清を40μmフィルターに通過させ、次いで一緒に貯留した。次いで、この貯留した試料の濾液を250mLの遠心分離管に入れ、4℃にて3000gで15分間遠心分離して残余の細片をいずれも小球状にした。次いで、得られた貯留試料の上清に、日付に基づく8桁のIDを付与した(たとえば2010年12月13日=13122011)。次いで、16〜20mMのCaCl2(Plasmalyte Aに溶解した)を添加してカルシウムを再び増加させ、試料中のシトラート含有物を中和した。次いで、1.5〜2.5Units/mLのヘパリン(1000units/mLストック)を試料に添加してこのプロセスを調整した。試料を可視の血餅が出現するまで37℃+/−2℃で2〜4時間保持した。次いで、試料を血餅のサイズが安定化するまで4℃で16〜24時間置いた。試料を15分間3000gで遠心分離した。次いで、試料を0.2um濾過に通して浄化した。次いで、試料を4℃または−80±10℃もの低温のいずれかで凍結して保管した。凍結した場合、貯留試料の小アリコートを、マイコプラズマ滅菌試験およびフィブリノゲン/PDGFの定量用に取り出した。マイコプラズマ検出が陰性、フィブリノゲン濃度が2μg/mL未満、PDGF−BB濃度が15ng/mLより高かった場合に、試料を認可した。実施例2:フィブリノゲンレベルの最適な低減は、生化学的因子または成長因子、サイトカインまたはケモカインを実質的には変化させない。 融解した血小板単位を40μmのPALL輸血フィルター(PALL BIOMEDICAL,INC、プエルトリコ、Fajardo)に個別に通過させて濾過し、回収袋に貯留した。貯留した濾過済みの溶解物を、ラベルをつけた250mlの円錐管(Corning(登録商標)、米国、マサチューセッツ州、Lowell)に均等に小分けし、室温にて20分間4600rpmで回転させた。回転した溶解物を再濾過し(40μm)、ラベルをつけた新たな250mL円錐管に小分けし、0.2μmで漸次濾過した(未改変のPL)。次いで、未改変の血小板溶解物のアリコートを種々の濃度のCaCl2と組み合わせ、特定の温度で時間を変えてインキュベートした。好ましい製剤は、血小板単位を2回凍結融解し、次いで2U/mlのヘパリンスルファートと組み合わせて20mMのCaC12でカルシウムを再び増加させ、次いで37℃+/−2℃で2時間インキュベートして、血餅を形成させるものであることがわかった。この後、4℃で16時間インキュベートして血餅のサイズを安定化させた。この手順によってフィブリノゲンを150倍より多く低減することができ、バッチ間のばらつきは約10%であった。生化学的見地では、CaCl2をマルチプレートFDに添加すると、容量オスモル濃度ならびにカルシウム濃度および塩化物濃度が、未加工の血小板溶解物より高くなるが、他の多くの因子、すなわち、Na、K、グルコース、総タンパクおよびアルブミンのレベルは未改変のPLとマルチプレートFDとで大して差異はなかった。 血小板溶解物は、通常の血小板脱顆粒放出生成物のみならず、通常は放出されない細胞内の成分も含有するという点で、血清および血漿の両者とは異なる。さらに、血小板溶解物は、通常の血漿または血清と比較して、多分に高濃度の血小板を含有し、したがって、放出因子の濃度はかなり高いものとなる。乏血小板血漿(PPP)中に行き渡っているサイトカインおよび成長因子の大まかな概観を得るために、血清および血小板溶解物ならびにマルチプレートFDを、タンパク質アレイスクリーニング技術で使用した。この技術はサンドイッチ免疫測定法の原理に基づいている。抗体パネル(捕捉体)を膜表面の特定の点位置に固定した。生体試料とともにアレイ膜をインキュベートすると、対応する抗体によりサイトカインが捕捉される。結合したサイトカインは、ビオチン化抗体カクテルで検出される。次いで、シグナル伝達が化学発光を使用して可視化される。RayBio(登録商標)Human Cytokine Antibody Array C4000を使用すると、174のサイトカインを同時に検出することができた。作製プロトコールに従って、α−MEM培地中で希釈した、PPP、血清または血小板溶解物およびマルチプレートFDについて、膜を同等の量の総タンパクとともにインキュベートした。 これらのアレイを使用すると、いくつかのタンパク質が群間で同様に発現したが、場合により、血小板溶解物およびマルチプレートFDは、いくつかのタンパク質について他より高発現を示した。特に注目されるのは、血清およびPPPに対してPLに見られた、高レベルのタンパク質、たとえば3つのすべてのPDGFアイソフォーム、EGFおよびBDNF、ならびにプロテアーゼ阻害剤、たとえばTIMP−1およびPAI−1である。アレイのデータを確認し、PDGF−BB、EGF、BNDF、TGF−b1およびVEGFのレベルを、PPP、血清、血小板溶解物およびマルチプレートFDにおいて分析した。PPPおよび血清の両者と比較して、マルチプレートFDおよび血小板溶解物phPLは、各サイトカインについて濃度が高かった。平均すると(N=3バッチ)、EGF、PDGF−BB、TGF−b1またはBDNFのレベルには、マルチプレートFDとPLとの間で統計的な差異がなかったが、PDGF−BBおよびTGF−b1のレベルに関するバッチ間のばらつきでは、PLと比較してマルチプレートFDの方が低かった。血小板溶解物からフィブリノゲンを枯渇させると、精度に関してより信頼度の高い生成物が得られる。実施例3:マルチプレートFDは、未加工の血小板溶解物(phPL)より安定性が高い。 MSCにphPLを成長添加剤として使用する計画が報告されている。しかし、phPLを成長添加剤として使用する培養物は、フィブリンのゲル形成を防止するためにヘパリン(通例2U/ml)を添加することを含む。フィブリノゲンを枯渇させていない血小板溶解物(phPL)を処理した際に、溶液を作製して0.2μmで濾過すると、目視では透明で、目立った細片を含有しないが、凍結して再融解または4℃で保管すると、新たな沈殿物がこのphPL中に形成することが観察された。これが経時で蓄積して溶液を混濁し、これは遠心分離だけでは除去することができず、通常、再濾過が必要になる。したがって、FD−PLが類似の沈殿物を蓄積しやすいのかどうかについてよりよく理解するために、phPLおよびFD−PLを同一の血小板フェレーシスの貯留物から作製した。生成物を、使用するまで−30℃で凍結した。次いで、phPLおよびFD−PLのアリコートを4℃で終夜融解し、3000xgで10分間遠心分離して寒冷沈降物を除去し、0.2μmで濾過し、その直後、または4℃で24時間もしくは7日間保管後に粒子分析を実施した。 phPLおよびFD−PLについて、Beckmann Coulter Canto IIフローサイトメーターを使用して粒子分析を実施し、前方および側方散乱信号を使用して粒子径、存在量および粒度を推定した。FSCおよびSSCのレーザー出力を対数目盛で設定し、すべての径の粒子が確実に記録されるように設定した。粒子の相対的定量化を得るために、データ取得収集を、各試料につき厳密に15秒間に設定した。濾過直後は、phPLおよびFD–PLは両者とも、検出された細片は少量であり、FD−PLでは経時で目立った変化はなかった。逆に、濾過の24時間後でさえ、phPLは粒子数および粒子径の増加を示し、見た目には7日間継続した。顕微鏡分析により、7日間でFD−PLは細片を実質的に含まなかったが、phPLは種々の径の粒子を含有するという同様の観察結果を示すことができた。図2を参照されたい。開示する作製プロセスを使用すると、含有する細片が著しく少なく、安定性がより高い血小板溶解物の生成物を生成することができる。 未加工のものおよびマルチプレートFDを、同一の5人のドナーによる血小板フェレーシス生成物の貯留物から作製した後、アリコートを−80℃で1か月凍結した。次に、アリコートを4℃で終夜融解し、3000xgで回転して寒冷沈降物を除去し、次いで0.2mmで漸次濾過した。濾過後、無希釈のまたは希釈した(Plasmalyte A中20%)血小板溶解物およびマルチプレートを、フローサイトメトリーで細片について直ちに分析し、その後4℃で保管し、引き続き4日間毎日分析した。濾過直後には、血小板溶解物およびマルチプレートFDの両者とも、無希釈のおよび希釈した試料の両者に類似の量の細片があるが、24時間後までに、マルチプレートFDと比較して、血小板溶解物には細片形成の著しい進行性の蓄積があった。フローサイトメトリー分析と一致して、細片の蓄積を可視化すると、マルチプレートFDには、細片の蓄積が血小板溶解物より劇的に少なく、著しく小さいことが示されている。血小板溶解物では、細片は経時で凝集するようであり、3日目までにこの凝集体は5〜10μmの範囲の径に到達する可能性があるが、一方、細片は凝集しないようであり、概して2μm未満である。実施例4:マルチプレートFDは、FBSおよび未加工の血小板溶解物よりMSC増殖速度が速く、免疫表現型および免疫抑制特性を維持する。 自家および同種MSCは、虚血および免疫調節異常の両方に関与する状態を処置することが報告されている。ex vivoの細胞操作の大部分は、MSCを接着培養物中で増殖させるためにウシ胎仔血清(FBS)に依拠してきた。FBSは異種であるため、これに曝露された細胞は、免疫原性をもつようになる可能性があり、FBSで培養された細胞を反復投与すると、患者に有害反応が生じる可能性があると報告されている。このため、MSCは、ヒト血清および多血小板血漿を含む、ヒト由来のFBSの代替物中で培養されている。FBSをヒト血小板由来成長因子(ヒト血小板溶解物、hPLの形態で)に置換すると、MSCの成長を促進することができると報告されている。 成長添加剤としての機能がFD−PL中に保持されているかどうかを評価するために、一連のin vitro実験を実施して、FD−PLの生成物をphPLと比較した。間葉系の系列、内皮および上皮の系列からの初代細胞を試験した。間葉系細胞を健常な志願者の骨髄から単離し、継代まで増幅させた。継代後、2つの間葉系間質細胞の調製物を、FBS、phPLまたはFD−PLを伴う培地を含有する組織培養フラスコ中に1000細胞/cm2で播種した。次いで、MSCを3日間成長させ、収集し、細胞数を計数した。次いで、集団倍加時間(Population doubling time)を計算した。phPLおよびFD−PLの両者とも、倍加時間を著しく短縮することができた。互いを直接比較すると、FD−PL中で増幅されたMSCは、phPL中のMSCと比較して倍加時間がより短かった(図3)。表現型の上では、FBS、phPLまたはFD−PLの中で成長させたMSCはすべて、CD44、CD90、CD73、HLA−I、CD105を含むMSCの典型的なマーカーを発現し、CD45もCD11bもCD34もCD19も発現しなかった。これらの実験は、MSCの成長は、FBSおよびphPLの両者と比較して、FD−PL中でより速く、これはMSCの免疫表現型に悪影響を及ぼすものではないことを示している。 MSCはin vitroでT細胞を活性化および増殖させると報告されている。MSCがT細胞の増殖に影響を及ぼすとされている1つの機序は、インドールアミン2,3−ジオキシゲナーゼ(IDO)によるものである。IDOは、必須アミノ酸L−トリプトファンの分解を触媒してN−ホルミルキヌレニンにする免疫調節酵素である。IDOは、キヌレニン経路によるトリプトファン異化の最初の酵素であり律速酵素である。局所的にトリプトファンが枯渇するとT細胞の成長が阻止されることが示されている。刺激を与えないMSCはIDOを発現しないが、IDOの遺伝子発現は、INF−γのような炎症性サイトカインによって急激に増加する。IDO発現を上方制御するMSCの能力は、T細胞の増殖を抑制するMSCの能力と相互に関連している。 phPLまたはFD−PLの中で成長させたMSCが、炎症性刺激に対してIDOを上方制御する能力に影響を及ぼすかどうかを評価するために、骨髄由来のMSC集団をphPLまたはFD−PL中で2継代(すなわち2週間)増殖させた。各集団を6ウェルプレートに密度100,000細胞/ウェルで播種し、終夜置いた。翌日、MSCを、それぞれの培地中で4時間、5ng/mlのINF−γで刺激するか、または刺激しないまま放置のいずれかとした。細胞を洗浄し、b−メルカプトエタノールを伴うRLT緩衝液に溶解し、RNAを抽出するまで−80℃で保管した。DNAを含まない全RNAを抽出し、記載したとおり逆転写した。リアルタイムqPCRアッセイを、ABI7500 Fast Real−Time PCRシステムサーマルサイクラーおよびSYBR Green Mastermix(Applied Biosystems)で、ヒトプライマー配列(5’3’順方向、逆方向)を使用して、IDOおよびb−アクチン(ハウスキーピング遺伝子)について、2通り実施した。リアルタイムPCR分析では、phPLまたはFD−PLのいずれかの中で成長させた刺激を与えないMSCにはIDOの遺伝子発現量があまりないが、両方の培地中のMSCにおいてIDOの発現を増加させるのに十分なINF−γでの4時間の刺激が示された。図4を参照されたい。実施例5:FD−PLはex vivoでT細胞の増殖を抑制する。 ConAは、T細胞に結合し、非特異的に活性化するレクチンである。PHAおよびPMAは、細胞中の多くの増殖シグナル伝達経路を活性化することができるホルボールエステル化合物である。T細胞に特異的なCD3/CD28刺激プロトコールを利用した。蛍光マーカーCFSEで標識した末梢血単核細胞(PBMC)のCD3/CD28刺激を使用すると、フローサイトメトリーを使用して、シグナル強度の相対的な減少を基に、T細胞の増殖を追跡することができ、次いで、活性化したT細胞の増殖に処置が影響を及ぼすかどうかを評価することができる。 MSCを使用してまたは使用せずにPBMC増殖アッセイを実施した際、PBMC単独を、FBSを伴う10%RPMI中で培養し、CD3/CD28ビーズで刺激した場合、T細胞は活発に増殖したが、FBSをFD−PLで置換した場合、刺激したPBMCは増殖しないことが観察された。3つの個々の実験の分析から、血清と比較して、FD−PLは、刺激したPBMCにおけるT細胞の増殖反応を、FBSと比較して4.7倍抑制することができたことがわかる。 PBMC応答細胞はリンパ球および単球(通常4:1の比率で)を含むリンパ骨髄系細胞の異種混合物を代表するため、次の一連の実験を実施して、FD−PLがT細胞または単球に直接作用したのかどうかを判定した。免疫磁気分離法を使用して、負の選択を実施し、高純度のT細胞および単球の集団を取り出し、未分画のPBMCと比較した。PBMC単独を血清中で刺激した場合、T細胞は活発に増殖したが、phPL中では増殖は鈍かった。驚いたことに、T細胞単独を刺激した場合、血清およびphPLの両培養物中で増殖が発生した。したがって、FD−PLはT細胞の増殖を直接的に抑制してはいないということが示されている。この仮説を確認するため、加減実験を実施し、T細胞に特定の濃度の単球を添加すると、phPLの条件で、T細胞増殖を用量依存的に低減することができることが示された。次に、血清、phPLまたはFD−PL(10%濃度)の中で3日間培養した未標識のPBMCを使用して一連の実験を実施すると、FD−PLのみが、CD14陰性でCD11bおよびCD33陽性の単球集団の付着および増幅を促進することができ、血清またはphPLを使用してもこれを容易に生成することができないことがわかった。図5を参照されたい。したがって、FD−PLは、単球に対する独自の作用によって、in vitroで活発な抗炎症特性を有する。実施例6:FD−PLは、多くの細胞型をex vivoで培養するための用途がより広い。 Life technologies製の凍結した初代ヒト角膜上皮細胞(HCEC)をその最適化した培地および成長添加剤カクテルで1継代増幅させた。継代して、HCECを種々の条件に置き、血清、phPLまたはFD−PLが、最適化した成長添加剤カクテルと置換することができるかどうかを判定した。HCECを6ウェルプレートに50,000細胞/ウェルで播種し、培地には以下を含めた。 a)最適培地+最適成長因子カクテル、 b)最適培地+同種血清、1、5および10%濃度にて、 c)最適培地+同種phPL、1、5および10%濃度にて、 d)最適培地+同種FD−PL、1、5および10%濃度にて。 3日培養した後、HCECを回収して、各条件について細胞数および生存率を分析した。図6を参照されたい。その結果、FD−PLの濃度を高めるとHCECの生存率が高まり、濃度を高めると用量依存性の増殖反応を生じさせうることが示された。HCECの増殖反応は5%濃度で最大であり、市販の成長因子カクテルと同等であった。逆に、血清および未処理のPLは両者とも、濃度を高めると生存率が低減し、濃度に関わらず、市販の成長因子カクテルに匹敵する増殖反応を生じさせることができなかった。したがって、FD−PLは、血清またはphPLと比較して、上皮細胞において、毒性プロファイルおよび機能的利用を向上させることを示した。 MSCを、10%(v/v)FBS、未改変の血小板溶解物、またはFD−PLを含有する培地中で培養した。2units/mLのヘパリンを未加工の血小板溶解物を含有する培地に添加して、フィブリノゲンがフィブリンに転換するのを防止した。未加工の血小板溶解物およびFD−PLの両群におけるMSCの増殖は、FBS群におけるMSCの増殖より優れていた。72時間後。 種々の細胞型を、FD−PLまたはphPLを含有する培地中で培養した。FD−PLおよびphPLの両者とも、ヒト、ブタおよび霊長目由来のMSCを成長させることができた。FD−PLは、未分画の末梢血単核細胞から免疫抑制単球由来の細胞をex vivoで生成することにおいても、血清およびphPLより優れていた。FD−PLは、4T1、NIH3T3細胞、ヒト角膜上皮細胞およびヒト内皮細胞を増殖させることもできたが、一方、phPLは、これらの細胞の増幅または生存を促進しなかった。 凍結融解プロセスによって生成される血小板溶解物と比較して、減量したフィブリノゲンを伴う血小板溶解物成分を含むことを特徴とする組成物。 請求項1に記載の組成物において、前記組成物はフィブリノゲンが実質的に枯渇していることを特徴とする組成物。 請求項1に記載の組成物において、前記血小板溶解物の成分はPDGFが実質的には枯渇していないことを特徴とする組成物。 請求項1に記載の組成物において、前記組成物が、フィブリノゲン濃度50μg/mL未満の水性溶液であることを特徴とする組成物。 請求項4に記載の組成物において、フィブリノゲン濃度が4μg/mL未満であることを特徴とする組成物。 請求項4に記載の組成物において、PDGF−BB濃度が15ng/mLより高いことを特徴とする組成物。 請求項4に記載の組成物から水を除去するプロセスによって作製されることを特徴とする組成物。 細胞の培養方法において、細胞が請求項1に記載の培地中で培養されることを特徴とする方法。 請求項8に記載の方法において、前記細胞が前駆細胞または幹細胞であることを特徴とする方法。 請求項9に記載の方法において、前記幹細胞が、多能性幹細胞、多分化能幹細胞、体細胞の幹細胞、間葉系幹細胞、脂肪由来の幹細胞、内皮幹細胞、歯髄幹細胞、胚性幹細胞、骨髄または造血幹細胞、羊膜幹細胞、リンパ球系または骨髄系幹細胞であることを特徴とする方法。 請求項1に記載の組成物を含む有効量の医薬組成物を、これを必要とする対象に投与するステップを含むことを特徴とする、眼の疾患または状態を処置または防止する方法。 請求項1に記載の組成物を含む組成物を、創傷に適用するステップを含むことを特徴とする、創傷処置または創傷閉鎖方法。 請求項1に記載の組成物を含むことを特徴とする創傷被覆材。 請求項13に記載の創傷被覆材において、包帯、ガーゼ、シアノアクリラート接着剤または縫合剤から選択されることを特徴とする創傷被覆材。 請求項13に記載の創傷被覆材において、抗生物質をさらに含むことを特徴とする創傷被覆材。 本開示は、ある実施形態において、フィブリノゲンを枯渇させた血小板溶解物を含む組成物について記載する。さらなる実施形態では、組成物は細胞培養培地成分をさらに含む。本開示は、(a)血小板を溶解して溶解物を用意するステップ、(b)細胞片を除去するステップ、および(c)塩化カルシウムなどの金属塩を添加して除去可能な塊体を形成することによってフィブリノゲンを枯渇させるステップを含む、組成物の調製方法も提供する。さらに、本開示は、前記方法を使用して生成される生成物についても記載する。【選択図】図1