タイトル: | 特許公報(B2)_脂肪滴・セルライト抑制装置 |
出願番号: | 2014505437 |
年次: | 2015 |
IPC分類: | A61N 5/04,A61N 1/30,A61K 31/375,A61P 3/04 |
山口 祐司 山口 薫 小野 智子 JP 5785657 特許公報(B2) 20150731 2014505437 20121031 脂肪滴・セルライト抑制装置 株式会社インディバ・ジャパン 503321703 鴇田 將 100088568 山口 祐司 山口 薫 小野 智子 20150930 A61N 5/04 20060101AFI20150910BHJP A61N 1/30 20060101ALI20150910BHJP A61K 31/375 20060101ALN20150910BHJP A61P 3/04 20060101ALN20150910BHJP JPA61N5/04A61N1/30A61K31/375A61P3/04 A61N 5/04 A61N 1/30 A61K 31/375 A61P 3/04 特許第4872028(JP,B2) 特許第4217984(JP,B2) 4 JP2012078153 20121031 WO2014068698 20140508 13 20140204 寺澤 忠司 本発明は高周波温熱手段とプロビタミンC剤とイオン導入手段を組み合わせることにより、脂肪滴抑制効果・セルライト抑制の大幅な向上を可能ならしめる脂肪滴・セルライト抑制装置に関する。 本発明者らは、先に、下記に記載の特許発明(特許文献1)を行った。プロビタミンC剤の標的体部への投与手段と、被施術部位に当接するためのエレクトロードと、該エレクトロードに当接する被施術対象体の背後に設置する戻し電極であるレジスティブを備え、かつ0.45MHzの高周波の下で、温度37〜41℃の範囲の温度調節部を備えるとともに1回当たりの温熱処理時間を1分〜30分に設定する温熱処理時間調節部を備え、合計で6時間〜1週間のインターバルを置いた温熱投与手段を備える脂肪滴・セルライト抑制装置である。 また、従来の携帯用イオン導入器として、下記の特許発明(特許文献2)が存在する。ポケット型に形成した携帯用イオン導入器本体を肩・腰・背中・太股の群から選ばれる一つまたはそれ以上の体部からベルトで吊るす等の体部への取付手段にて携帯型に形成し、該携帯用イオン導入器本体は断続平流の矩形波・積分波を主にしたElliptic R波形で、周波数が1500から1550Hzの投入手段を備え、前記断続平流の矩形波・積分波を主にしたElliptic R波形が一方の極性において複数回の繰り返し後、該断続平流の矩形波・積分波を主にしたElliptic R波形と同等の逆極性の波形を1回印加する関係を交互に繰返す印加手段を備えるとともに、導入側電極端子と対側電極端子を備え、該2つの電極端子を標的体部と対側体部にそれぞれ装着可能に形成したことを特徴とする携帯用イオン導入器である。特許第4872028号特許第4217984号 上記特許文献1によれば、温熱処理装置の単独使用よりも、温熱に加えて、各種プロビタミンC剤を併用したことにより、相乗効果として、脂肪滴とセルライトの抑制が顕著になることが判明した。また、温熱を一定期間のインターバルを置いて温熱処理する手段と、各温熱処理手段の適用に際して本発明で見いだした特定プロビタミンC剤を特定濃度で標的体部に投与する併用手段が脂肪滴・セルライト抑制に著効を示すことが本発明によって見いだされた点が記載されている(明細書段落0016参照)。 しかしながら、上記特許文献1のように、プロビタミンC剤と高周波温熱処理装置を併用しただけでは、ヒト皮膚3次元モデルに対するプロビタミンC剤の表皮から真皮への導入が未だ十分ではなく、また表皮から真皮への導入過程においてプロビタミンC剤から変換されたアスコルビン酸の還元力保持が未だ十分なものであるとは言えなかった。 また、上記特許文献2の発明においては、携帯用イオン導入器の電流として断続平流を用い、波形は矩形波・積分波を主にしたElliptic R波を用いてイオン導入を行っていたが、その携帯用イオン導入器で使用する電流値は0.3mAから1.0mAの範囲で行っていたに過ぎない。このため皮膚の表面に塗布したプロビタミンC剤が表皮から真皮に移行する過程において変換されるアスコルビン酸の還元力保持が未だ十分なものであるとは言えなかった。さらに、特許文献2の発明において使用した携帯用イオン導入器であるHigh Vitaliont((株)インディバ・ジャパン製)の周波数が500Hz〜1530Hzで3段階(モード1・モード2・モード3)に変更が可能な周波数で、かつ電流値は設定値1.0mAで実測値0.99mAでの設定値が被施術者の不快感のない最大の電流値であった(明細書段落0034参照)が、本発明者らは、その後の研究によって、更に5000Hzから15000Hzの範囲の高い周波数で、かつ電流値も1.2mAから2.4mAの範囲に設定しても被施術者に不快感を与えない上に、プロビタミンC剤が表皮を経由して真皮に導入されるアスコルビン酸の還元力保持が大幅に増加することも判明した。 本発明は上記従来技術の問題点に鑑み、プロビタミンC剤(以下、APSという)を被施術部位に塗布する前に、被施術部位の温熱処理による血行促進を図り、イオン導入効果を高めるための前処理段階である高周波温熱装置と、APSの被施術部位への適用と、従来の携帯用イオン導入器では採用されなかった出力電流領域及び周波数帯域の改良に伴う新型のイオン導入器との組合せによって、被施術部位に適用したAPSが表皮を経由して真皮に導入されるアスコルビン酸の還元力保持が大幅に増加することが実証された脂肪滴・セルライト抑制装置を提供することを目的とする。 また、本発明の他の目的はイオン導入器において、被施術部位に対する電流値が1.2mAから2.4mAの範囲の断続平流の矩形波・積分波を主にしたElliptic R波形で、周波数が5000Hzから15000Hzの投入手段によって、APSが表皮を経由して真皮に移行する過程においてアスコルビン酸の還元力保持が大幅に増加することが判明しただけではなく、上記電流値範囲及び周波数帯域の設定範囲において被施術者に対するピリピリ感が無く安心して施術を提供できるという脂肪滴・セルライト抑制装置を提供することを目的とする。 被施術部位に当接するためのエレクトロードと、該エレクトロードに当接する被施術対象体の背後に設置する戻し電極であるレジスティブを備え、かつ0.45MHzの高周波の下で、温度37〜41℃の範囲の温度調節部を備えるとともに1回当たりの温熱処理時間を1分〜60分に設定する温熱処理時間調節部を備えた温熱投与手段を備えた第1次脂肪滴・セルライト抑制装置と、 前記第1次脂肪滴・セルライト抑制装置の適用後に被施術部に適用するAPSと、 電流値が1.2mAから2.4mAの範囲の断続平流の矩形波・積分波を主にしたElliptic R波形で、周波数が5000Hzから15000Hzの範囲の投入手段を備え、前記断続平流の矩形波・積分波を主にしたElliptic R波形が一方の極性において複数回の繰り返し後、該断続平流の矩形波・積分波を主にしたElliptic R波形と同等の逆極性の波形を1回印加する関係を交互に繰返す印加手段を備えるとともに、導入側電極端子と対側電極端子を備え、該2つの電極端子を標的体部と対側体部にそれぞれ装着可能に形成したイオン導入器である第2次脂肪滴・セルライト抑制装置とを、組み合わせてなることを特徴とする脂肪滴・セルライト抑制装置である。 請求項1記載の脂肪滴・セルライト抑制装置におけるイオン導入器は電流値が1.2mAから2.4mAの範囲の断続平流の矩形波・積分波を主にしたElliptic R波形で、周波数を10000Hzに固定した投入手段を備えていることを特徴とする。 請求項1記載の脂肪滴・セルライト抑制装置におけるイオン導入器は電流値が2.4mAの断続平流の矩形波・積分波を主にしたElliptic R波形で、周波数を5000Hzから15000Hzの範囲の投入手段を備えていることを特徴とする。 請求項1記載の脂肪滴・セルライト抑制装置におけるイオン導入器は電流値が2.4mAの断続平流の矩形波・積分波を主にしたElliptic R波形で、周波数を10000Hzに固定した投入手段を備えていることを特徴とする。 本発明は高周波温熱装置である第1次脂肪滴・セルライト抑制装置により被施術部位の温熱処理による血行促進を図り、イオン導入効果を高めるための前処理段階である高周波温熱装置と、被施術部位に適用するAPSと、従来の携帯用イオン導入器では採用されなかった特定の出力電流領域及び特定の周波数帯域においてのイオン導入器との組合せによって、血行促進効果が図られた状態下でAPSが被施術部の表皮から真皮への移行に際して従来の携帯型イオン導入器では得られなかった電流値が1.2mAから2.4mAの範囲の断続平流の矩形波・積分波を主にしたElliptic R波形で、周波数が5000Hzから15000Hzの範囲の投入手段を備えることにより、被施術部位に塗布したAPSが表皮を経由して真皮に導入されるアスコルビン酸の還元力保持が大幅に増加することが判明した。 また、本発明は被施術部位に対する電流値が1.2mAから2.4mAの範囲の断続平流の矩形波・積分波を主にしたElliptic R波形で、周波数が5000Hzから15000Hzの投入手段を備えていても被施術者に対するピリピリ感が無く被施術者は安心して施術を受けられる。上記イオン導入器において、周波数が5000Hz未満であると、電流値を2.4mAに上げることができない。また、周波数が15000Hzを超えると、APSによるイオン導入効果が得られず、被施術者にピリピリ感を与えることになり適切でない。本発明の構成要素である高周波温熱機器(商品名:MD530インディバCRet System)である第1次脂肪滴・セルライト抑制制装置の正面図である。本発明の構成要素である高周波温熱機器(商品名:MD530インディバCRet System)である第1次脂肪滴・セルライト抑制制装置の前面に表示されるコントロール類の表示部の説明図である。キャパシティブエレクトリックトランスファーシステムにおける電流の動きを示す説明図である。本発明の構成要素であるイオン導入器(商品名:SUPER VITALIONT((株)インディバ・ジャパン製)を示す平面図である。本発明の構成要素であるイオン導入器のイオン導入の波形である。皮膚組織内のAPS量を示すグラフである。皮膚組織内のビタミンC,APS量を示すグラフである。皮膚組織内のビタミンC,APS量を示すHPLCクロマトグラムである。皮膚組織内のビタミンC,APS量を示すグラフである。皮膚組織内のビタミンC,APS量を示すグラフである。皮膚組織内のビタミンC,APS量を示すグラフである。 本発明で使用する第1次脂肪滴・セルライト抑制装置は、MD530型で、0.5MHz±5%の高周波温熱機器であり、施術箇所への循環を通じて人体細胞の深部加温を行い、後述するAPSが施術部位に対し、より効率良く投入できる要素となる。このため、前記高周波温熱機器の施術部位への適用時には、APSは適用されない。 キャパシティブ用エレクトロードとレジスティブ用エレクトロードを使用し、深部加温を行う。キャパシティブモードを採用する場合、ステンレス製のエレクトロードの円形盤の表面は人の肌に直接触れないようにプラスチックで表面をコーティングしている。エレクトロードは、細胞に高周波エネルギーを透過するコンデンサーの役割をし、施術部位を加温する。透過された高周波エネルギーは、板型戻し電極に向って透過される。他方、レジスティブモードでは、直接、施術箇所に置かれたRES用エレクトロード(ステンレス製)を通して人体細胞へ高周波電流を流す。この電流は戻し電極に電導する。高周波エネルギーが細胞内に透過されたとき、細胞が抵抗体となり組織の温度を集中的に上昇させ、深部加温が行われる。本機器では、被施術者に流れる電流の強さ、被施術者に加えられる皮相電力(キャパシティブモード)、アクティブパワー(レジスティブモード)及びエレクトロードと被施術者の抵抗を測定し、モニタリングができる。 図1はMD530の正面図で、1はLCD画面、2はキーパッド、3はキャパシティブ用出力、4は戻し電極用出力、5はレジスティブ用出力をそれぞれ示す。図2はMD530の前面に表示されるコントロール類の表示部の説明図で、6はスタンバイインジケータランプ、7はON/OFFキー、8はメニューキー、9はキャパシティブモードキー、10はレジスティブモードキー、11はリセットキー、12はスタート/ストップキー、13は時間増キー、14は時間減キー、15は出力増/減ダイヤルノブをそれぞれ示す。 キャパシティブモードの出力に対するインピーダンスは、皮膚組織上に置かれたエレクトロードのインピーダンス(1000オーム)に相応するように計算されている。この方法により多容量のエネルギーの透過を実現できる。エレクトロードを通じての組織への循環高周波エネルギーの行方は、図3に示す。MD530からのエネルギーは、金属軸Aを通してBの先端(エレクトロードの最下部)へ伝わる。そのエネルギーは,Cの絶縁体部分により組織と隔てられるため低下し、エレクトロード全表面、容量的に組織に伝達される。組織Dは、合計で1000オームとなる複数の無限大の抵抗を定着させ、そのコンデンサーの性質により第二のプレートのような働きをする。図3の点線Eが第二のプレートとして定義され、コンデンサーとしての働きがなされる。1000オーム相当の抵抗は、実際はB点とE点の間で発生し、その部分で温度上昇が起こり、その強深度は、本機器のパワー(レベル調整に対応)・エレクトロードの大きさ・施術部位の組織の特質・施術時間により決まる。特に本発明では、被施術者にとって温熱による苦痛を感じることが無く穏やかな温熱処理、すなわち37〜41℃の範囲の温度設定により温熱処理を行うことができる点にある。 本発明で採用するAPSは、アスコルビン酸−2−0−フォスフェート・アスコルビン酸−2−0−α−D−グルコシド・アスコルビン酸−2−0−フォスフェート−6−0−パルミチン酸エステル・アスコルビン酸−2−0−フォスフェート−6−0−(2−ヘキシルデカン酸)エステル・アスコルビン酸−2,3,5,6−0−(2’−ヘキシルデカン酸)テトラエステル、アスコルビン酸−6−0−パルミチン酸エステル、アスコルビン酸−6−0−ステアリン酸エステルからなる群から選ばれた一つまたは二つ以上が採用される。 本発明を構成する第2次脂肪滴・セルライト抑制装置であるイオン導入器(SUPER VITALIONTは、電流値が1.2mAから2.4mAの範囲の断続平流の矩形波・積分波を主にしたElliptic R波形で、周波数が5000Hzから15000Hzの投入手段を備え、前記断続平流の矩形波・積分波を主にしたElliptic R波形が一方の極性において複数回の繰り返し後、該断続平流の矩形波・積分波を主にしたElliptic R波形と同等の逆極性の波形を1回印加する関係を交互に繰返す印加手段を備えるとともに、導入側電極端子と対側電極端子を備え、該2つの電極端子を標的体部と対側体部にそれぞれ装着可能に形成したものである。 図4はイオン導入器(SUPER VITALIONT)の平面図である。図において、16はイオン導入器本体、17は+、−を示すPOLARITY(極性)、18はパワーで、ON又はOFFが表示される。19はタイマーで、時間設定の表示がされる。出力電流は可変で、Lowは0から1.2mAで、Highは1.3から2.4mAである。周波数は5000Hzから15000Hzであり、好ましくは10000Hzである。波形は矩形波・積分波を主にしたElliptic R波、電流は断続平流とする。極性は+・−を極性調整ボタン17で切り替えを行う。該イオン導入器内には内蔵タイマー19を有し、設定時間の確認を画面20上で行うことができる。電源は全世界対応で、電源から供給する。体の各部位、もしくは組織に貼付使用する薬剤含浸パッドを備えた導入側電極端子と対側電極端子を有する。該イオン導入器は定電流回路を採用し、抵抗値に関係なく、一定の断続平流の電流を流せるようにする。抵抗値は条件によるが、10kΩまで有効である。 本発明で言う断続平流の電流とは、例えば図5に示すように極性がマイナスの波形を7つ与えた後、極性がプラスの波形を1つ与え、以後これを繰返すような場合をいう。断続平流とすることとしたのは、皮膚に帯電するのを防止し、効率良く患部に薬剤を配送できるようにするためである。 使用方法としては、臓器・器官・組織の内部に浸透させ臨床薬理効果が発現増強される薬剤を含浸させた薬剤含浸パッドを創傷・炎症・病変部位の皮厚の薄い皮膚及び粘膜、例えば外耳、歯肉、口腔、心臓、肺・気管・鼻腔、膣・子宮・睾丸・肛門等に宛がい、その上部に上記イオン導入器の電極端子の一方を導入側電極端子として宛がう。次いで上記イオン導入器の他方の電極端子を対側電極端子として該臓器・器官・組織を挟んで導入側電極端子の反対側に宛がい、両端子を粘着テープ等で固定する。 使用方法として、上記イオン導入器によりイオン導入させる血管として、肘窩、前手根部、頚動脈、頸部及び前頸部、脇、心臓、臍、肛門、鼠頸部、大腿内側部、膝窩、足根部、内果後部及び外果後部の群れから選ばれる一つもしくはそれ以上の血管とし、その近辺の皮厚の薄い皮膚に上記と同様の方法で薬剤含浸パッド及び電極端子を宛がう。 該イオン導入器によるイオン導入に用いる薬剤としては、例えばビタミンC、APS、ビタミンE、プロビタミンE、抗がん剤、がん転移抑制剤、発がん防止剤、免疫増強剤、インスリン・ハイドロコルチゾン、プロゲステロン、エストラジオール、テストステロン等とする。 もしくは、該イオン導入器によるイオン導入に用いる薬剤として応急性・用時適用を要する薬剤、例えば避妊薬、歯科麻酔・鎮痛薬、痔治療薬、救急創傷治療薬、消炎鎮痛薬、心臓発作抑制薬、喘息発作抑制薬等を用いる。 本発明の上記イオン導入器の開発において、最良のモードを特定するためにイオン導入器の設定モードとして直流電流、断続平流のElliptic R波を採用し、周波数を5000Hzから15000Hzの範囲に特定するとともに、電流値の範囲を1.2mAから2.4mAに特定した。本例では10000Hzで試験を行った。イオン導入の薬品としてAPSを用い、イオン導入の対象としてヒト摘出皮膚小片を培養したものを用いた。 実験の結果、最も良好なAPSの導入をもたらすモードは、電流値をいろいろ振っても、総合すると周波数10000Hz、波形は矩形波・積分波を主にしたElliptic R波である。表皮/真皮ともに良好なイオン導入効果は、周波数10000Hz、波形は矩形波・積分波を主にしたElliptic R波で実測値1.2mA〜2.4mAであった。また、この設定値が被施術者の不快感のない最大の電流値であった。実施例1 上記イオン導入器によるAPSの3次元皮膚組織モデルへの浸透試験を行った。ローラー導子を使用して、イオン導入の最適出力値を決める試験である。その試験内容は次の通りである。 上記イオン導入器により、従来行なわれていない範囲の電流値で4通りの出力レベルにて試験をした。Lowの最大出力である1.2mAと、Highのランプます目3個に相当する1.5mAと、Highのランプます目8個に相当する2.0mAと、Highの最大出力である2.4mAの出力の下で行った。また、3次元皮膚組織モデルの塗布の場合と塗布しない場合について行った。通電時間は8分導入した後、1分休憩し、その後、8分再導入を行った。使用する皮膚組織は18枚重ねで、ヒト皮膚3次元組織モデル(以下、皮膚という)で行った。ガーゼに試薬を湿らせ、試薬の量は統一し、ガーゼを垂直にぶら下げて、液が滴下しない程度にたっぷり含ませるような量とした状態で皮膚にのせ、イオン導入を行った。塗布試薬は30%水溶性スキンパウダー(超純水で溶解したもの。)を使用した。イオン導入後の皮膚培養時間は1.5時間で、試薬を塗布したガーゼを外した。皮膚組織を表皮と真皮に分け、それぞれの酸化型と還元型VC量をHPLCで測定した。 試験の流れは次の通りである。1日目(2012年7月3日)(1)ヒト皮膚3次元組織モデル製品を受け入れ、6well/plateに30℃で保管した。2日目(2012年7月4日)(2)ヒト皮膚3次元組織モデルのWell底面より、メスでポリカーボネート膜ごとWell周縁に沿って組織を切り抜いた。(3)切り抜いた皮膚組織を縁取り、実験皮膚装置を作成し、培地を浸したガーゼの入った60mmディッシュに置き、37℃に設定したインキュベーターで保管した。3日目(2012年7月5日)(4)皮膚の表皮側に試薬(30%水溶性スキンパウダー/超純水)を浸したガーゼ(量は統一し、ガーゼを垂直にぶら下げて、液が滴下しない程度にたっぷり含ませるような量=0.1mL)をのせ、イオン導入処理(8分導入後、1分休憩した後、8分再導入)した。電流計で電流の流れを確認した。(5)60mmディッシュに培地(4mL)を入れ、ガーゼ4枚重ねを置き、その上に処理した組織をのせた。(6)CO2インキュベーターで1.5時間培養し、試薬を塗布したガーゼは外した。(7)1.5時間培養後、組織表面を50μM DTT/PBSで2回リンスを行い、組織のメサ部をバイオプシーパンチで切除した。表皮と真皮を分離した。24well plateを用意した。トリプシン処理を行った(5%トリプシン/0.4%EDTA/30μM DTT in PBS(−))。インキュベートした。処理時間は短いほうがいいので、剥がれ次第終了した。10分おき位に様子を見たが、10分で統一した。真皮側をピンセットでつまんではさみ、揺らして表皮と真皮の間にトリプシンを浸透させた。リンスは50μM DTT/PBS(−)で、DTT(試薬の酸化を防ぐ)を使用した。(8)薬紙の上に取り出し、水気を取り除いた。(9)真皮と表皮をそれぞれ秤量した。(10)50μM DTT/エイコムBufferが1mL入ったエッペンチューブ(18×2=36個)に組織を投入し、手術用ハサミで細断した(ハサミは毎回、超純水でよく洗って拭いた)。(11)組織サンプルを−30℃で凍結、保存した。4日目(2012年7月6日)以降は以下の通り。(12)凍結サンプルを流水で解凍した。(13)超音波ホモジナイザー(強度:50%、棒の太さ:小)を30秒×2回で皮膚組織を徹底的に破砕した。氷水の入った50mL遠沈管内にサンプル入りのエッペンチューブを入れ作業を行った。(14)遠心処理で破砕細胞片を沈殿させた(4℃、1万回転、5分)。(15)上清を摂取した。(16)ウルトラフィルターでタンパクを除去し(氷中、遮光で作業)、ユニットの下にサンプル名を記入した。サンプル注入後10mLシリンジで加圧した。(17)エッペンチューブへ回収した。(18)HPLC(ECD−1V、UV−1V)で検量した。30分×サンプル数を作成し、代表例をクロマトグラムで表示した。ろ過後のサンプル液(サンプル液はHPLC(ECD−1V、UV−1V)の設定範囲を超える場合は希釈する)で還元型VC量を測定した。ろ過後のサンプル液と50μM DTT/エイコムBufferの比は3:1であった。これにより、トータルVC量の測定を行った。(19)検量線を計った。Asc、APS、サーモスターチ試薬をエイコムBufferで溶解し、YMCフィルターでろ過したのち各濃度に希釈した。 SUPER VITALIONTイオン導入器において、1.2mA、1.5mA、2.0mA、2.4mA(最大出力)の4通りのうち、どの出力レベルが最適かについて試験した。試験条件として、ヒト皮膚3次元組織モデルの表皮に、30%水溶性スキンパウダー/超純水溶液を0.1mL塗布し、その後、上記4通りのいずれかの出力レベルで、通電時間8分導入後、1分休憩した後、8分再導入のモードで試験した。1.5時間後に皮膚を回収し、表皮と真皮に分離し、各々のAPS・総ビタミンC・還元型ビタミンCの各含量をODS逆相HPLC/クーロメトリックECD法で計測した結果、次の項目が明らかになった。(1)ODS逆相HPLC法で得られたクロマトグラムによると、表皮中のAPS含量が最大なのは、1.2mAで3070nmol/g組織だった。イオン導入器なしの場合の3.62倍だった。次いで、最大出力レベルの2.4mAで2080nmol/g組織で、イオン導入なしの場合の2.19倍だった(図6参照)。(2)表皮中の総ビタミンC含量が最大なのは、優劣順序が入れ替わり、2.4mAで、1270nmol/g組織だった。次いで、1.2mAでは、930nmol/g組織だった(図7参照)。(3)総ビタミンC量に占める還元型ビタミンC量の比率は皮膚内導入されたビタミンCの安定性に関わる指標であるが、表皮において、イオン導入なしでAPS塗布では92.0%であるのに対して、イオン導入1.2mAと2.4mAで各々87.1%と86.2%であり、APSから変換されたアスコルビン酸の還元力保持に良好な環境をイオン導入器がもたらしていると推定される(図8、9、10、11参照)。(4)上記(1)、(2)の結果は、イオン導入後1.5時間でのデータであることに鑑みて、強い出力レベルの2.4mAでは、APSが速やかに皮膚深部へ浸透して、アスコルビン酸変換を受けるため、その分、APS減少とアスコルビン酸増加が起こっていると考えられる。 本発明は、エステティック美容業界、各種医療分野あるいは医療装置、美容装置産業等に多大の貢献をすることができる。1 LCD画面2 キーパッド3 キャパシティブ用出力4 戻し電極用出力5 レジスティブ用出力6 スタンバイインジケータランプ7 ON/OFFキー8 メニューキー9 キャパシティブモードキー10 レジスティブモードキー11 リセットキー12 スタート/ストップキー13 時間増キー14 時間減キー15 出力増/減ダイヤルノブ16 イオン導入器本体17 POLARITY(極性)18 パワー19 タイマー20 画面 被施術部位に当接するためのエレクトロードと、該エレクトロードに当接する被施術対象体の背後に設置する戻し電極であるレジスティブを備え、かつ0.45MHzの高周波の下で、温度37〜41℃の範囲の温度調節部を備えるとともに1回当たりの温熱処理時間を1分〜60分に設定する温熱処理時間調節部を備えた温熱投与手段を備えた第1次脂肪滴・セルライト抑制装置と、 前記第1次脂肪滴・セルライト抑制装置の適用後に被施術部に適用するプロビタミンC剤と、 電流値が1.2mAから2.4mAの範囲の断続平流の矩形波・積分波を主にしたElliptic R波形で、周波数が5000Hzから15000Hzの範囲の投入手段を備え、前記断続平流の矩形波・積分波を主にしたElliptic R波形が一方の極性において複数回の繰り返し後、該断続平流の矩形波・積分波を主にしたElliptic R波形と同等の逆極性の波形を1回印加する関係を交互に繰返す印加手段を備えるとともに、導入側電極端子と対側電極端子を備え、該2つの電極端子を標的体部と対側体部にそれぞれ装着可能に形成したイオン導入器である第2次脂肪滴・セルライト抑制装置とを、組み合わせてなることを特徴とする脂肪滴・セルライト抑制装置。 脂肪滴・セルライト抑制装置におけるイオン導入器は、電流値が1.2mAから2.4mAの範囲の断続平流の矩形波・積分波を主にしたElliptic R波形で、周波数を10000Hzに固定した投入手段を備えていることを特徴とする請求項1記載の脂肪滴・セルライト抑制装置。 脂肪滴・セルライト抑制装置におけるイオン導入器は、電流値が2.4mAの断続平流の矩形波・積分波を主にしたElliptic R波形で、周波数を5000Hzから15000Hzの範囲の投入手段を備えていることを特徴とする請求項1記載の脂肪滴・セルライト抑制装置。 脂肪滴・セルライト抑制装置におけるイオン導入器は、電流値が2.4mAの断続平流の矩形波・積分波を主にしたElliptic R波形で、周波数を10000Hzに固定した投入手段を備えていることを特徴とする請求項1記載の脂肪滴・セルライト抑制装置。