生命科学関連特許情報

タイトル:公表特許公報(A)_医薬組成物のマクロファージ活性化因子
出願番号:2014503275
年次:2014
IPC分類:A61K 38/00,C07K 14/47,C12P 21/06,A61K 38/46,A61P 35/00,A61P 31/18


特許情報キャッシュ

山本 信人 JP 2014511857 公表特許公報(A) 20140519 2014503275 20120405 医薬組成物のマクロファージ活性化因子 エフラナット リミテッド 513250824 高岡 亮一 100114775 小田 直 100121511 高橋 香元 100191086 山本 信人 US 61/472,642 20110407 A61K 38/00 20060101AFI20140422BHJP C07K 14/47 20060101ALI20140422BHJP C12P 21/06 20060101ALI20140422BHJP A61K 38/46 20060101ALI20140422BHJP A61P 35/00 20060101ALI20140422BHJP A61P 31/18 20060101ALI20140422BHJP JPA61K37/02C07K14/47C12P21/06A61K37/54A61P35/00A61P31/18 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC,VN IL2012000159 20120405 WO2012137199 20121011 20 20131204 4B064 4C084 4H045 4B064AG01 4B064CA21 4B064CB05 4B064CC01 4B064CC24 4B064CE04 4B064CE06 4B064DA01 4C084AA02 4C084AA03 4C084BA01 4C084BA34 4C084BA44 4C084DA02 4C084DC50 4C084MA02 4C084MA66 4C084NA05 4C084NA14 4C084ZB261 4C084ZC551 4H045AA10 4H045BA10 4H045BA53 4H045CA40 4H045EA20 4H045FA70 4H045FA74 4H045GA10 4H045HA05 本発明は、Gcタンパク質由来のマクロファージ活性化因子(GcMAF)を含む医薬組成物及びその生成方法、特に、グリコシダーゼ酵素を実質的に含まないGcMAF組成物に関する。 炎症により、免疫反応工程が進行し、マクロファージの活性化が生じる。炎症由来のマクロファージの活性化には、Bリンパ球およびTリンパ球並びに血清ビタミンD結合タンパク質(DBP)の関与が必要となる。 ヒトビタミンD結合タンパク質は、「グループスペシフィックコンポーネント」または「Gcタンパク質」とも称し、遺伝子多型を示す進化的に保存された糖タンパク質である。ヒトビタミンD結合タンパク質は、約52,000の相対分子量を有し、通常、ヒト血漿タンパク質の約0.5%を占める血漿タンパク質である。Gcタンパク質の多型は、主要な2つの表現型Gc1およびGc2を明らかにする、ゲル電気泳動分析により実証することができる(Hirschfeldら、1960. Nature 185:931)。Gc1遺伝子及びGc2遺伝子のヌクレオチド全体をコードする配列、及び予測されるアミノ酸配列は、報告されている(Cookeら、1985. J. Clin. Invest. 76:2420; Yangら、1985. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 82:7994)。Gc1は、Gc1f及びGc1sサブタイプに分けることができ、それらは、1つのアミノ酸残基の種類により、電気泳動で、2つのバンド(「fast」及び「slow」)となる。 Gc1タンパク質は、ヒトGcタンパク質の主要なサブタイプである。Gc1タンパク質は、ガラクトース末端及びシアル酸末端(Gc1fの場合)、またはガラクトース末端及びマンノース末端(Gc1sの場合)で、コアタンパク質に結合しているN−アセチルガラクトサミン(GalNAc)を含有する分岐型三糖類を運ぶ。Gc2は、末端ガラクトース分子に連結するコアGalNAcの単純なグリコシル化パターンを有する。Gc1fオリゴ糖を、炎症刺激B細胞の膜性β−ガラクトシダーゼで加水分解し、マクロファージ活性化前駆因子を得、続いて、T細胞のシアリダーゼ(ノイラミニダーゼとも称する)で加水分解しマクロファージ活性化因子(MAF)を得る(Yamamotoら1991. Proc. Nail. Acad. Sci. USA 88:8539−8543; Yamamoto and Kumashiro 1993. Immunol, 151:2794−2902; Naraparaju and Yamamoto 1994. Immunol. Lets 43:143−148)。マウスDBPは、ガラクトース末端を有するN−アセチルガラクトサミンを含有する二糖類を運ぶ。該二糖類のB細胞のβ−ガラクトシダーゼのみによる加水分解は、有用なMAFを産する。そのため、マウスDBP及びヒトGcタンパク質は、MAFの前駆体である。 本発明の発明者による米国特許第5,177,002号は、グリコシダーゼを有するグリコシル化ビタミンD結合タンパク質を処理することにより、有用なマクロファージ活性化因子をin vitroで生成する工程を開示する。Gcタンパク質 Gc1及びGc2、並びにGc1サブタイプ Gc1f及びGc1sの表現型は、特にGc分子のポリペプチド部位に結合するオリゴ糖の相違で表現される。マクロファージ活性化因子は、β−ガラクトシダーゼとシアリダーゼ(ノイラミニダーゼとも称する)との組み合わせ、またはβ−ガラクトシダーゼとα−マンノシダーゼとの組み合わせを用いてインキュベートすることにより、Gc1fタンパク質またはGc1sタンパク質より効率的に生成される。Gc1sが、α−マンノースの代わりに、シアル酸(N−アセチル−D−ノイラミン酸、または「NeuNAc」)を含有するGc1s変異体、Gc1s*を少なくとも部分的に含む場合、Gc1s/Gc1s*混合物を処理するために利用する酵素の混合物は、シアリダーゼも含む。β−ガラクトシダーゼのみでのGc2タンパク質の処理は、マクロファージ活性化因子を効率的に得る。従って、特許第5,177,002号は、無処置のB細胞及びT細胞なしで、Gcタンパク質をマクロファージ活性化因子へin vitroにおいて効率的に変換させ、GcMAFと称するかなり有用な因子を得ることを開示する。 従来の治療様式に耐性のある制御不能な転移の進行は、癌による死の主な原因である。転移は、初期腫瘍に既に存在する悪性細胞の無作為な蔓延から生じる。それら転移は、その発端のクローンであり得り、異なる転移は、異なる前駆細胞に由来し得る。さらに、転移細胞は、良性の非転移細胞と比較して、突然変異率の増加を示し得り、これにより、複数の転移が、同一の治療様式に対し異なる感受性を示し得るという臨床所見が説明される。よって、播種性転移の好結果な療法は、腫瘍性異質と抵抗性の発展の問題を回避する必要がある。 適切に活性化されたマクロファージは、これらの厳しい基準を満たすことができる。マクロファージは、免疫調節剤を含有するリン脂質小胞(リポソーム)との相互作用によって殺腫瘍性となるように活性化され得る。殺腫瘍性マクロファージは、無傷の非腫瘍細胞を残して、in vitro及びin vivoで新生物細胞を認識して破壊することができる。マクロファージが腫瘍形成細胞と正常細胞とを区別する正確な機構(複数可)は不明であるが、そのような免疫原性、転移能、および細胞毒性薬に対する感受性などの腫瘍細胞の特徴とは無関係である。さらに、腫瘍細胞のマクロファージの破壊は、明らかに腫瘍細胞の抵抗性の発達に関連していない。免疫反応を細菌およびウイルスの侵入に基づき形成するため、活性化されたマクロファージが不可欠である。活性化の機構が3つの反応(殺腫瘍性、殺菌性、殺ウイルス)に同一であるため、マクロファージの活性化は、腫瘍、細菌およびウイルス攻撃に対する、宿主の免疫反応にまたがる用途を有する。 研究により、GcMAFは、マウスモデルでのエールリッヒ腹水腫瘍の治療の殺腫瘍の役割を有することが示されている(Yamamotoら、1997. Cancer Res. 57:2187−2192; Kogaら、1999. Proc Soc Exp Biol Med. 220:20−26)。マウスモデルの扁平上皮癌において、免疫療法のアジュバンドとしてのGcMAFの光線力学療法への投与は、マウスにおいて、腫瘍治癒も対する相乗効果を示した(Korbelikら、1997.Br J Cancer 75:202−207)。両腫瘍モデルにおいて、GcMAFは、マクロファージを活性化させ、腫瘍細胞を直接攻撃することによってその効果を誘発したと仮定された。さらに、その事実は、GcMAFが、抗血管新生メカニズムを介して部分的には抗腫瘍形成的であることが示唆された(Kiskerら、2003. Neoplasia 5(1):32−40)。全てのモデルにおいて、抗腫瘍形成療法としてGcMAFの高い効力が観察された。 米国特許出願第2011/0123591号は、体外のシステムを使用して、マクロファージの活性化により、哺乳動物での殺腫瘍、殺菌または殺ウイルス応答を誘導する方法を開示する。システムは、GcMAFと、またはGcのタンパク質前駆体からの内因性GcMAFを生じさせる1つまたは複数の酵素と、哺乳動物の血液の白血球画分を接触させるための手段を含む。あるいは、システムは、哺乳動物の血漿と接触した不活性媒体に固定されるα−N−アセチルガラクトサミニダーゼ(ナガラーゼ)結合リガンドを含み、そのため、ナガラーゼのレベルを低下させる。 MAFの前駆体、グリコシル化Gcタンパク質は、血液源から精製することができる。あるいは、マクロファージの活性化に関与するGcタンパク質またはその小ドメインは、例えば、本発明の発明者による、米国特許第6,410,269号に記載される組換え法を採用して生成され得る。それは、Gcタンパク質ソースとは無関係に、上述のマクロファージ活性化因子を得るため、部分的に脱グリコキシル化されるべきである。米国特許第5,177,002号は、グリコシダーゼを有する最終調製物の汚染を避けるため、固定化酵素の使用、及びカットオフフィルターに反応混合物を追加させることを開示する。特に、好ましい実施形態である、活性化アガロースビーズを用いた固定化手段を選択するための特定のガイドラインを提供しない。 今日、GcMAFの使用は、上述の手順に従って生成された組成物のタンパク質汚染に明らかに起因している有害な副作用を避けるため、ex vivoでの治療または筋肉内投与に限定されている。 免疫不全疾患(AIDSなど)、様々な種類の癌、ウイルス感染症、大理石骨病の有用な療法としてのGcMAFの能力は確立されており、静脈内投与に適したタンパク質汚染のないGcMAF組成物を有する点で非常に有利であろう。 本発明は、マクロファージ活性化因子(GcMAF)組成物由来の治療用Gc−タンパク質、及びその生成方法に関する。 本発明の教示は、Gcタンパク質のマクロファージ活性化因子への変換に使用されるグリコシダーゼ酵素の残基を含有することが発見され、そのため、医薬的に投与される際、特に静脈内に投与される際、悪影響を及ぼし得るといった、以前に開示されたGcMAF組成物の欠点を解消する。 本発明の一部は、Gcタンパク質ソースと、ポリガラクトース系樹脂(例えば、セファロースビーズ)に固定されたβ−ガラクトシダーゼとを接触させ、有害量のβ−ガラクトシダーゼを含有したことにより、GcMAF調整物を得たという予期せぬ発見に基づく。特定の理論または作用機構に拘束されることを望むものではないが、GcMAF組成物に存在するグリコシダーゼ残渣の存在は、GcMAF組成物に結合するグリコシダーゼ酵素による固体担体の分解現象に起因し得る。 したがって、一態様によると、本発明は、グリコシダーゼ酵素を実質的に含まない、Gcタンパク質由来のマクロファージ活性化因子(GcMAF)を含む組成物を提供する。 本明細書で使用される場合、用語「グリコシダーゼ酵素を実質的に含まない」は、組成物のタンパク質総含有量に対し、グリコシダーゼ酵素を3%未満、一般的には、該組成物のタンパク質総含有量に対し、2%または1%未満、より一般的には、0.5%または0.2%未満含有する組成物に関する。 特定の実施形態によれば、GcMAFは、アミノ酸残基に連結するN−アセチルガラクトサミンを有する、ビタミンD結合タンパク質(Gcタンパク質)またはその活性化断片を含む。 用語「ビタミンD結合タンパク質」及び「Gcタンパク質」は、本明細書中では同じ意味で使用され、Gc2、Gc1、並びにGc1f、Gc1s及びGc1s*のサブタイプを含む、糖タンパク質及びその遺伝的変異体の多様な形態のすべてに関する。本明細書で使用される場合、用語「その活性断片」は、N−マクロファージの活性化が可能な、アミノ酸残基に連結するアセチルガラクトサミン基末端を有するGcタンパク質のいずれかの部分に関する。 特定の実施形態によれば、Gcタンパク質断片は、成熟Gcタンパク質の多様な形態すべてのアミノ酸400〜435に対応するアミノ酸配列を含む。他の実施形態によれば、Gc断片は、成熟タンパク質のアミノ酸375〜458に対応するGcタンパク質ドメインIIIである。 特定の実施形態によれば、Gcタンパク質は、配列番号1〜3(それぞれ、Gc1f、Gc1s及びGc2)からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。それら実施形態によれば、N−アセチルガラクトサミン基は、成熟Gcタンパク質の418位のアミノ酸 スレオニン、または420位のアミノ酸 スレオニンに連結する。 他の実施形態によれば、成熟Gcタンパク質のアミノ酸375〜458に対応する、Gc断片ドメインIIIは、配列番号4または配列番号5のいずれかで示されるアミノ酸配列を含有する。本実施形態によれば、N−アセチルガラクトサミンは、44位にあるアミノ酸 スレオニン、または46位にあるアミノ酸 スレオニンに連結する。 特定の実施形態によれば、単離されたビタミンD結合タンパク質またはその任意の部分は、ヒト血液血清から精製される。他の実施形態によれば、単離されたビタミンD結合タンパク質またはそのマクロファージの活性化に関与する小ドメインを、組換えシステムを採用するクローン化ポリヌクレオチドから生成することができる。 組成物媒体からの、Gcタンパク質をマクロファージ活性化因子に変換するグリコシダーゼ酵素の除去は、アフィニティークロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、及びゲル濾過を含むがこれらに限定されない、当業者にとって既知の方法により行われ得る。特定の一般的な実施形態によれば、酵素は、固相、特に酵素基質を含まない固相に固定される。 固体担体に酵素を固定することは、所望のタンパク質(複数可)からの酵素の単純な分離を含み、複数の利点を有する。本発明は、今回、酵素基質を含まない固相の使用により、反応媒体への可溶性酵素の拡散を防ぎ、最終組成物からの不要な酵素の除去を容易にすることを開示する。 従って、別の態様によると、本発明は、グリコシダーゼ酵素を実質的に含まないGcMAF組成物を生成する工程であって、(a)Gcタンパク質またはその活性化断片をin vitroにおいて、グリコシダーゼ酵素 β−ガラクトシダーゼと、または少なくとも1つの別のグリコシダーゼ酵素と組み合わせてβ−ガラクトシダーゼと接触させ(ここで、グリコシダーゼ酵素はそれぞれ、該酵素基質を含まない固相に固定される)、Gcマクロファージ活性化因子(GcMAF)を得ることと、(b)GcMAF組成物から固定された酵素を除去し、その結果、グリコシダーゼ酵素を実質的に腹満しGcMAF組成物を得ることと、を含む工程を提供する。 特定の実施形態によれば、別のグリコシダーゼ酵素は、マンノシダーゼ及びシアリダーゼからなる群より選択される。 複数の実施形態によれば、Gcタンパク質は、Gc1fであり、β−ガラクトシダーゼ及びシアリダーゼ(ノイラミニダーゼ)と接触する。 特定の実施形態によれば、工程は、組成物を含有するGcMAFにイオン交換クロマトグラフィーを施すことをさらに含む。一般的な実施形態によれば、クロマトグラフィーは、例えば、Q−sepharoseカラムを使用するアニオン交換クロマトグラフィーである。別の実施形態によれば、工程は、GcMAF組成物に、例えば、phenyl sepharoseカラムを使用する疎水性相互作用クロマトグラフィーを施すことをさらに含む。他の実施形態によれば、工程は、イオン交換クロマトグラフィーと疎水性相互作用クロマトグラフィーとの組み合わせをさらに含む。 特定の実施形態によれば、β−ガラクトシダーゼは、アクリルビーズを含む固相に固定される。特定の実施形態によれば、固相は、親水性アクリルビーズである。 特定の実施形態によれば、Gcタンパク質の表現型Gc1、サブタイプGc1fは、固定されたβ−ガラクトシダーゼ及び固定されたシアリダーゼと接触し、マクロファージ活性化因子を提供する。他の実施形態によれば、Gcタンパク質の表現型Gc1、サブタイプGc1sは、固定されたβ−ガラクトシダーゼ及び少なくとも1つの固定された別のグリコシダーゼと適宜接触する。特定の一般的な実施形態によれば、Gcタンパク質の表現型Gc1、サブタイプGc1sは、それぞれ酵素基質を含まない固相に固定されたβ−ガラクトシダーゼと、マンノシダーゼと、シアリダーゼとの組み合わせと接触し、α−マンノースの代わりにシアル酸を含有するGc1s変異体(h Gc1s*)の変換を保証する。別の実施形態によれば、Gcタンパク質の表現型Gc2は、固定されたβ−ガラクトシダーゼのみと接触し、マクロファージ活性化因子を形成する。 別の態様によると、本発明は、本明細書において前述した工程に従い調製されるマクロファージ活性化因子を提供する。特定の実施形態において、マクロファージ活性化因子は、グリコシダーゼ酵素を実質的に含まない。 別の態様によると、本発明は、本発明の治療上有効量のマクロファージ活性化因子を含み、さらに、医薬的に許容可能な希釈剤または担体を含む医薬組成物を提供する。好ましい実施形態としては、医薬組成物は、静脈内投与用に製剤化される。 また別の態様によると、本発明は、本発明のマクロファージ活性化因子を含む医薬組成物を個体に投与することを含む、個体の必要に応じて、個体のマクロファージ活性化を誘導する方法を提供する。 また別の態様によると、本発明は、本発明のGcMAFを含む治療上有効量の医薬組成物を患者の必要に応じて患者に投与することを含む、癌またはHIV感染患者を治療する方法を提供する。 特定の実施形態によれば、GcMAFは、用量 100〜500ng/注入で投与される。 特定の実施形態によれば、癌は、α−N−アセチルガラクトサミニダーゼ(ナガラーゼ)の増加に関連する。他の実施形態によれば、癌は、乳癌、前立腺癌、結腸直腸癌、肝臓癌、肺癌、頭部/頸部癌、脳癌、腎臓癌、膀胱癌、胃癌、子宮癌、卵巣癌、皮膚癌、線維肉腫、中皮腫、白血病及び黒色腫からなる群より選択される。 本発明の他の目的、特徴、及び利点は、以下の記載及び図面から明らかとなるであろう。 本発明は、Gcタンパク質由来のマクロファージ活性化因子を含む治療用組成物を提供する。本発明の組成物は、酵素を汚染することなく、静脈内投与に適しているという点で従来既知の組成物を越える利点を有する。 Gcタンパク質(ビタミンD結合タンパク質とも称する)は、ポリヌクレオチドに結合する特定のオリゴ糖を有するポリペプチドを含む血清因子である。特定のグリコシダーゼ酵素を有する特定のオリゴ糖の段階的除去により、Gcタンパク質は、より有用なマクロファージ活性化因子(MAF)に変換され、この内容は、本発明の発明者による、米国特許第5,177,002号に記載され、その全体は参考として本明細書に組み込まれる。 ヒトGcタンパク質は、当業者にとって既知である任意の方法により、血液血清から精製することができる。特定の実施形態によれば、本発明の工程で使用する高純度なGcタンパク質は、Linkらの手順(1986. Anal. Biochem. 157:262)に従い、25−ヒドロキシビタミン D3−Sepharoseアフィニティークロマトグラフィーを使用して、血液血清から単離される。Gcタンパク質は、またアクチンへのGcタンパク質の結合特異性の利点がある、Haddadらの手順(1984. Biochem. J. 218:805)に従い、アクチン−アガロースアフィニティークロマトグラフィーでも生成され得る。 あるいは、Gcタンパク質は、ヒトGcタンパク質またはGcタンパク質小ドメイン(ドメインIII)をコードするクローン化cDNAから得ることができる。Gcタンパク質及びGcドメインIIIのクローニング及び発現は、本発明の発明者による、米国特許第6,410,269号に記載され、その全体が本明細書に参考として組み込まれる。該明細書に記載される方法は、ヒトGcタンパク質をコードする完全な長さのcDNAを単離するための、バクテリオファージλgt11(Clontech、カリフォルニア州パロアルト)のヒト肝臓 cDNAライブラリー、及びタンパク質発現のための昆虫細胞におけるバキュロウイルス発現システムの使用を採用する。しかし、当分野で既知な任意の方法/システムは、細菌細胞システム、昆虫細胞システム、及び哺乳動物細胞システムを含む、Gcタンパク質をコードするcDNAまたはその活性部位の発現に使用することができるということは、明示的に理解されるべきである。特定の実施形態によれば、発現は、真核生物細胞において行われ、Gcタンパク質またはその活性ドメインは、適正にグリコシル化される。当分野で既知な任意のこのような細胞システムは、例えば、チャイニーズハムスターの卵巣(CHO)細胞、BHK細胞、ヒト胚腎臓HEK293細胞、及びサッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)に使用され得る。従って、pCI−NEO、pWE3、pcDNA3.1及びpCM182を含む任意の真核生物の発現ベクターを使用することができるが、これに限定されるものではない。選択した細胞システムへのベクターの注入は、増幅の有無に関わらず、例えば、エレクトロポレーション、トランスフェクションなどの脂質、または当業者に既知な化学的方法によって行うことができる。トランスフェクションは、一時的または安定した発現を生じ得り、両形態は、所望のGcタンパク質またはその一部を得るのに十分である。その後、本発明の教示に係る活性MAFの前駆体である発現タンパク質は、細胞から抽出、または当分野において既知な任意の方法で増殖培地から収集され得る。 本明細書で使用される場合、用語「Gcタンパク質」または「ビタミンD結合タンパク質」は、TGc2、Gc1、及びサブタイプGc1f、Gc1s、及びGc1s*を含むすべての遺伝子型、並びに活性変異体及びその断片に関する。本明細書で使用される場合、「活性」Gcタンパク質またはその断片は、マクロファージを活性化させることが可能なGcタンパク質、特に、アミノ酸残基と連結するN−アセチルガラクトサミン基を有するGcタンパク質またはその断片に関する。 特定の実施形態によれば、Gcタンパク質は、配列番号1〜3(それぞれGc1f、Gc1s及びGc2)からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。該実施形態によれば、N−アセチルガラクトサミン基は、成熟Gcタンパク質の418位のアミノ酸 スレオニン、または420位のアミノ酸 スレオニンに連結する。 特定の実施形態によれば、Gcタンパク質断片は、全ての成熟Gcタンパク質の多様型のアミノ酸400〜435に対応するアミノ酸配列を含む。他の実施形態によれば、Gc断片は、成熟タンパク質のアミノ酸375〜458に対応するGcタンパク質 ドメインIIIである。 他の実施形態によれば、成熟Gcタンパク質のアミノ酸375〜458に対応するGc断片ドメインIIIは、配列番号4または5のいずれかで示されるアミノ酸配列を含有する。該実施形態によれば、N−アセチルガラクトサミンは、44位のアミノ酸 スレオニン、または46位のアミノ酸 スレオニンに連結する。 マクロファージは、活性化されると、癌細胞及びHIV感染細胞を除去する能力を有する。酵素 α−N−アセチルガラクトサミニダーゼ(ナガラーゼ)によるGcMAFの脱グリコシル化は、マクロファージの活性化を妨げ、そのため、細胞免疫反応を抑制する。HIV感染患者においては、抗原掲示欠損が免疫不全の因子であることが示唆されている。HIV患者の血漿におけるナガラーゼの上昇は、その患者において、マクロファージの活性化が阻害され得ることを示唆する。さらに、ナガラーゼは、感染の初期の融合を促進するエンベロープタンパク質の固有成分であることが示されている。全身性エリテマトーデスを有する患者におけるナガラーゼの血漿濃度も上昇することが分かった。狼瘡において、自己抗体は、病原性免疫複合体を形成し、組織に蓄積されている。マクロファージの活性化が中断された場合、マクロファージによるそれら複合体の排除は阻害される。癌細胞は、ナガラーゼを生成することが示されており、血清中の濃度が上昇することは、黒色腫、前立腺癌、結腸直腸癌、及び転移性乳癌に罹患している多くの癌患者で報告されている。従って、そのような患者へ外因性GcMAFを投与することは、ナガラーゼ濃度の上昇による活性マクロファージの不足を解消し得る。実際、GcMAFは、マクロファージ、または癌の破骨細胞、HIV感染患者及び骨粗鬆症患者に直接作用し、活性化させることが示されており、予備臨床試験は、様々な種類のヒトの癌で治療効果を示した(例えば、 Pacini S.ら、2012. Anticancer Res.;32(1):45−52; Gregory KJら、2010. PLoS One. 2010 5(10):e13428)。 医薬的な使用に適するよう、特に、静脈内投与用に製剤化する際、GcMAF組成物は、ヒトにとって毒性がなく、高い許容性を有するといった細やかな要求を満たすべきである。 従って、Gcタンパク質またはそのドメインIIIを活性MAFに変換するために必要なグリコシダーゼ酵素、同様に他の潜在的な汚染物質は、MAF組成物から除去されるべきである。 一態様によると、本発明は、Gcタンパク質由来のマクロファージ活性化因子(GcMAF)を含む組成物であって、グリコシダーゼ酵素を実質的に含まない組成物を提供する。 別の態様によると、本発明は、グリコシダーゼ酵素を実質的に含まないGcMAF組成物を生成する工程であって、工程は、(a)Gcタンパク質またはその活性断片を、グリコシダーゼ酵素 β−ガラクトシダーゼと、または少なくとも1つの別のグリコシダーゼ酵素と組み合わせたβ−ガラクトシダーゼとin vitroで接触させ(ここで、グリコシダーゼ酵素は、それぞれ該酵素基質を含まない固相で固定される)、Gcマクロファージ活性化因子(GcMAF)を得ることと、(b)GcMAF組成物から固定した酵素を除去し、その結果、グリコシダーゼ酵素を実質的に含まないGcMAF組成物を得ること、とを含む工程を提供する。 グリコシダーゼ酵素の除去は、当分野で既知な任意の方法により行われ得る。本発明の特定の一般的な実施形態によれば、Gcタンパク質またはその一部は、酵素基質を含まない固相に固定される酵素と接触する。ガラクトースを含まない固相でβ−ガラクトシダーゼを固定することは特に重要である。本発明は、今回、Gcタンパク質をMAFに活性化するために必要なインキュベーションの間、β−ガラクトシダーゼをsepharose固相から放出することを開示する。従って、以下に開示される工程において、固定したβ−ガラクトシダーゼは組成物から除去するが、可溶性酵素またはその残渣はまだ、組成物を汚染する可能性がある。 特定の実施形態によれば、GcMAFを含む本発明の組成物は、該組成物のタンパク質総含有量のうちグリコシダーゼ酵素を3%未満含む。他の実施形態によれば、組成物は、該組成物のタンパク質総含有量は、2%未満、一般的には1%未満、より一般的には0.5%または0.2%未満である。それぞれの能力を本発明の個々の実施形態に示す。本明細書で使用される場合、用語「総タンパク質含有の総タンパク質の割合(%)」は、タンパク質総含有量のうちグリコシダーゼ酵素の重量/重量パーセントに関する。 特定の実施形態によれば、本発明の教示に従い、ガラクトシダーゼ基質を含まないβ−ガラクトシダーゼの固定固相は、酵素を抱合することが可能なアクリルビーズで構成される。複数の市販されている樹脂は、ガラクトシダーゼ酵素を固定するために使用され得り、Profinity epoxide(BioRad)、Fractogel(登録商標)エポキシ(Merck)、及びEupergit(登録商標)(BioChemika,Sigma)を含むがこれらに限定されるものではない。 β−ガラクトシダーゼに加え、Gcタンパク質の表現型に応じて、少なくとも1つの別のグリコシダーゼ酵素が使用され得る。Gc1fタンパク質の活性化には、β−ガラクトシダーゼ及びシアリダーゼが、Gc1fをGcMAFに変換するために使用される。Gc1sタンパク質の活性化には、β−ガラクトシダーゼ及びマンノシダーゼが、Gc1sをGcMAFに変換するために使用される。β−ガラクトシダーゼに関しては、使用される別の酵素は、それぞれ、固相に固定され得る。本発明の教示に係る最終組成物中にマンノシダーゼ及び/またはシアリダーゼが存在することを避けるため、酵素 マンノシダーゼ及びシアリダーゼは、それぞれ、酵素基質を含まない基質に固定される。 特定の実施形態によれば、マンノシダーゼまたはシアリダーゼは、アガロースを主としたビーズに固定される。 あるいはさらに、溶解しているかまたは固定されているかいずれかのグリコシダーゼ酵素は、複数のクロマトグラフィー技術及び/または濾過及び/または沈殿及び/または遠心分離によりGcMAF組成物から除去され、所望のGcMAFタンパク質から酵素を分離する。 一般的なクロマトグラフィー技術は、大きさ(サイズ排除、また、ゲルろ過とも称する)による、交換(イオン交換クロマトグラフィー)による、疎水性(疎水性相互作用クロマトグラフィー及び逆相クロマトグラフィー)による、及び生体認識(アフィニティークロマトグラフィー)による分離を含む。 特定の実施形態によれば、工程は、組成物を含有するGcMAFにイオン交換クロマトグラフィーを施すことをさらに含む。一般的な実施形態によれば、クロマトグラフィーは、アニオン交換クロマトグラフィーである。DEAE−Sephadex、QAE−Sephadex、DEAE−Sephacel、DEAE−cellulose、DEAE−Sepharose、及びQ−sepharoseなどを含む様々な種類のアニオン交換クロマト樹脂を使用することができる。 本発明は、今回、GcMAF組成物をアニオン交換カラムにかけることによりさらに、非活性体から活性GcMAFを分離することができることを開示する。従って、本発明は、様々なソースからの活性GcMAFの高収量での単離及び精製を成し遂げる手段を提供する。 特定の実施形態によれば、アニオン交換樹脂は、Q−Sepharoseである。様々な状態が該特定のステップで使用され得る。特定の実施形態によれば、アニオン交換樹脂は、まず、pH4.5〜9.5、及び12.0mS/cm未満の導電性を有するバッファ溶液で平衡化される。樹脂の平衡化後、GcMAFを含有する分画を、希釈により、12mS/cm未満のイオン強度に調整し、アニオン交換樹脂上に載せる。これらpH及び導電性の条件は、アニオン交換媒体を洗浄しても、GcMAFがカラム上に保持されることを可能にする。洗浄バッファの導電性(pH範囲4.5〜9.5における)は、洗浄する間上昇する。この上昇により、適切な状態が提供され、GcMAFが通過画分に処分されることがなく、GcMAFを最大の収量で得る。 その後、GcMAFは、カラムから溶出される。特定の実施形態によれば、溶出は、pH4.5〜9.5及び3mS/cm超の導電性を有するバッファ溶液で行われる。 他の実施形態によれば、工程は、GcMAF組成物に、例えば、phenyl sepharoseカラムの疎水性相互作用クロマトグラフィーを施すことをさらに含む。 特定の実施形態によれば、疎水性相互作用樹脂は、phenyl−Sepharoseである。様々な状態が、該特定のステップで使用され得る。特定の実施形態によれば、疎水性相互作用樹脂は、まず、pH4.5〜9.5及び15.0mS/cm超の導電性を有するバッファ溶液で平衡化される。樹脂の平衡化後、GcMAFを含有する分画は、希釈により、15.0mS/cm超のイオン強度に調整され、疎水性相互作用樹脂上に載せられる。pH及び導電性のそれら条件により、疎水性相互作用媒体を洗浄しても、GcMAFをカラム上に保持することが可能となる。洗浄バッファの導電性(pH4.5〜9.5における)は、洗浄の間、減少する。この現象により、適切な状態が提供され、通過分画にGcMAFが処分されることなく、最大収量のGcMAFを得る。 その後、GcMAFは、カラムから溶出される。特定の実施形態によれば、溶出は、pH4.5〜9.5及び25mS/cm未満の導電性を有するバッファ溶液で行われる。 生成物は、治療目的で、特に静脈内投与によりヒトに投与されるべきであり、本発明の組成物の無菌性は、大きな懸念事項である。血清ソース物質は、一般的に、ウイルスの混入の有無を検査され、混入したドナー分画の除去に最大の注意が払われるが、さらに、工程の最終生成物がウイルスに完成していないことを保証する必要がある。 従って、本発明の工程は、ウイルス除去及び/またはウイルス不活性化ステップをさらに含み得る。ウイルスの低減は、ナノ濾過、溶媒/界面活性剤処理、例えば、ヨウ化SEPHADEXTM(PCT出願国際公開97/48422号及び国際公開第97/48482号に開示される)などのヨウ化イオン交換マトリックス物質を用いた処理のようなヨウ素不活性化、病原体不活性化化合物を用いた処理、熱不活性化、ガンマ線放射、または他の適切で任意な殺ウイルス工程を含む様々な工程によって成し遂げることができる。 脂質コーティングされたウイルスは、非イオン性生体適合溶媒及び洗浄剤を用いて処理されることにより、効果的に不活性化される。溶媒−洗浄剤を適用することによるウイルス不活性化の方法は、例えば、欧州特許第0131740号に記載される。しかし、非脂質コーディングウイルスは、溶媒−洗浄剤処理により不活性化することができない。従って、例えば、サイズ排除(ナノ濾過)によるウイルスの除去のような非常に小さな大きさの孔のフィルターを通す組成物の濾過のような物理的な手段による排除を含む、他の不活性化方法論がそれら不活性化に使用されるべきである。 グリコシダーゼ酵素の活性GcMAFからの分離及びウイルス除去に続いて、溶液には、透析濾過、限外濾過、凍結乾燥など、またはその組み合わせなどのような従来の手段により、その水含有量を減らし、イオン性組成物を交換する処理をし得る。 特定の実施形態によれば、精製されたGcMAFを含む組成物は、5〜50kDaのMWCOを用いる限外濾過によりPBSバッファで透析される。その後、GcMAFタンパク質は、PBSでその最終濃度まで希釈され、0.1または0.2μmの膜を通し濾過され、無菌GcMAF組成物を得る。 別の態様によると、本発明は、本発明の治療上有効量のマクロファージ活性化因子を含み、医薬的に許容可能な希釈剤または担体をさらに含む医薬組成物を提供する。好ましい実施形態によれば、医薬組成物は、静脈内投与用に製剤化される。 本明細書で使用される場合、用語「治療上有効量」は、一定の時間投与されることにより、生体の病状を治療する点で効果的なタンパク質またはタンパク質製剤、または組成物の量に関する。 本発明の医薬組成物は、例えば、従来の混合、溶解、造粒、粉砕、粉砕、糖衣錠製造、研和、乳化、カプセル化、封入または凍結乾燥プロセスによる当分野で周知の工程により製造され得る。医薬組成物は、化合物の生体への投与を容易にすることを目的とする。 従って、本発明に係る使用のための医薬組成物は、医薬的に使用することのできる活性化合物の組成物への処理を容易にする、賦形剤及び補助剤を含む1つまたは複数の許容可能な希釈剤または担体を使用する従来の手段で製剤化され得る。適切な製剤化は、選択される投与経路に依存する。一般的な実施形態において、本発明の医薬組成物は、静脈内投与用に製剤化される。 静脈内投与のために、本発明の化合物物は、水溶液で、好ましくは、ハンクス溶液、リンゲル溶液、または生理食塩水バッファのような生理学的に適合するバッファで製剤化され得る。水性注入懸濁液は、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトール又はデキストランなどの懸濁液の粘度を高める物質を含有し得る。任意に、懸濁液は、化合物の安定性及び溶解性を増大させ、組成物を高濃度溶液にすることが可能な適切な安定剤及び薬剤をも含み得る。 あるいは、活性成分は、使用前に、例えば、滅菌水、パイロジェンフリー水などの適切なビヒクルで再構成する粉末形態であり得る。 本発明の内容での使用に適した医薬組成物は、意図した目的を達成するのに有効な量の活性成分を含有する組成物を含む。より詳細には、治療上有効な量は、被験者の疾患の症状を予防、軽減、または改善するのに有効な化合物の量を意味する。 治療上有効な量の決定は、当業者であれば十分に行うことができる。特定の実施形態によれば、GcMAFは、用量100〜−500ng/注入で投与される。当業者は、治療される個体の特徴(年齢、体重、大きさなど)も含め、治療される特定の疾患及び段階に関連したパラメータに応じて投与の体制を決定することができる。 本明細書に記載の化合物の毒性及び治療効果は、例えば、IC50(50%のマクロファージの活性化を提供するための濃度)及びLD50(試験動物の50%が死に至る致死量)を本発明に係るGcMAF化合物用に決定することにより、細胞培養または実験動物で標準的な医薬的手段により決定され得る。それら細胞培養アッセイ及び動物の研究から得られたデータは、ヒトで使用する場合の用量範囲の算出に使用され得る。用量は、採用される剤形及び利用する投与経路に大きく依存し得る。正確な製剤化、投与経路及び用量は、患者の状態を鑑みて、医師個人により選択され得る(例えば、Finglら、1975、″The Pharmacological Basis of Therapeutics″の1ページ、チャプター1参照)。 治療すべき症状の重症度及び応答性に応じて、投薬を決定することができる。特定の実施形態において、本発明のGcMAFを含む医薬組成物は、1週間に1度、数週間静脈内投与により投与される。投薬は、また、数日から数週間かけての治療工程で、または治療の効果が出る、または疾患の状態の軽減が達成されるまで、徐放性組成物の単回投与でもあり得る。 投与される組成物の量は、もちろん、被験者、苦痛の重篤度、投与様式、処方する医師の判断などに依存するであろう。 以下の実施例を、より完全に、本発明の複数の実施形態を説明するために提示する。しかし、決して、これらを本発明の広い範囲を限定するものとして解釈するべきではない。当業者は、本発明の範囲から逸脱することなく多くの変更および本明細書に開示された原理の変形例を考案することができる。 実施例 実施例1:GcMAF生成 ステップ1:硫酸アンモニウムを用いた濃縮−生成 健康なドナーから血液を得た。各血液試料のGcタンパク質型をPCR反応の特定のプライマーを使用して、さらに質量分析により決定した。型の決定は、BioGlobe GmbH(ドイツ、ハンブルグ)により、Abbasら、2008(Cancer Epidemiol Biomarkers Prev 17:1339−1343)に記載される方法に基づき、行った。Gc1f対立遺伝子のホモ接合性ドナーの試料をさらなる処理のため採取した。2009年に調査した50の試料のうち1つ、及び2010年に調査した105の試料のうち7つがGc1fのホモ接合性であると同定された。 血清分画を血液試料から単離して、Gcタンパク質を血清から70%硫酸アンモニウム(AS)により沈殿させた。遠心分離後、沈殿したタンパク質をPBSで溶解し、pH約7.0〜7.6の同一のバッファに透析した。 ステップ2:捕捉−ビタミンD−sepharoseアフィニティーカラム タンパク質をTESTバッファ(トリス、EDTA、生理食塩水、トリトン、pH 7.4)で予め平衡化した25−OH−ビタミンDアフィニティーカラムに載せた。TESTバッファで洗浄後、タンパク質を6M GuHClにより溶出した。280nmでのピーク吸光度を有する分画を溜め、pH7.0のリン酸バッファで透析した。 ステップ3:精製−ヒドロキシアパタイトカラム タンパク質を、pH7.0を有するリン酸バッファで予め平衡化したヒドロキシアパタイトカラムに載せた。同一のバッファで洗浄後、タンパク質を10〜200mMのリン酸で線上段階的に溶出した。タンパク質を含有する分画を溜めた。 ステップ4:Gc活性化(GcMAFの調整) Gc1f型のみを含む溜めたタンパク質分画をアクリルビーズ(Profinity Epoxide,BioRad)に抱合されるβ−ガラクトシダーゼで、穏やかに混合しながら37℃でpH7.4のPBSで1時間処理した。アクリルビーズに抱合される酵素を、遠心分離により除去し、タンパク質分画を収集した。次に、タンパク質分画を、穏やかに混合しながら、37℃、pH5.0の0.1M NaAc、2mM CaCl2で、アガロースを包含するノイラミニダーゼで処理し、抱合した酵素は、遠心分離により除去した。現在GcMAFを含有するタンパク質分画を収集し、0.22μmのフィルターを通して濾過し、4℃で保存した。タンパク質型は、ELISA及びBradfordアッセイによるその量により確認した。 ステップ5:最終精製 GcMAFをイオン交換(IEX)カラム(Q sepharoseなど)及び疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)カラム(phenyl sepharoseなど)上で処理し、残留汚染酵素及び非活性Gc酵素を除去した。その後、組成物は、グリコシダーゼ活性及び/または特定の抗体を使用してグリコシダーゼの有無を計測することにより、実質的にグリコシダーゼ酵素を含まないことを検査した。 ステップ6:製剤化 精製されたタンパク質を、10kDa〜50kDaのMWCOでの限外濾過によりPBSに対して透析した。その後、タンパク質をPBSでその最終濃度まで希釈し、滅菌のため、0.2μmミリポアフィルターを通して濾過した。 特定の実施形態の上述の記載は、過度な実験をすることなく、一般的な概念から逸脱することなく、現在の知識を適用することにより、このような特定の実施形態を他の人が容易に、改変及び/または様々な用途に適用させることができる本発明の一般的な性質を完全に明らかにするであろう。従って、そのような適用及び改変は、開示される実施形態の均等物の意味及び範囲内に包含されるべきであり、包含されることが意図されている。本明細書で採用される表現及び用語が、説明を目的としており、これらに限定されないことを理解すべきである。様々に開示される機能を実行する手段、物質、及びステップは、本発明から逸脱することなく、別の様々な形態をとることができる。 Gcタンパク質由来のマクロファージ活性化因子(GcMAF)を含む組成物であって、 前記組成物は、グリコシダーゼ酵素を実質的に含まない、組成物。 前記組成物のタンパク質総含有量のうちグリコシダーゼ酵素を3%未満含む、請求項1に記載の組成物。 前記組成物のタンパク質総含有量のうちグリコシダーゼ酵素を1%未満含む、請求項2に記載の組成物。 前記GcMAFは、アミノ酸残基と連結するN−アセチルガラクトサミン基を有する、ビタミンD結合タンパク質(Gcタンパク質)またはその断片を含む、請求項1に記載の組成物。 前記GcMAFは、配列番号1〜3のいずれか1つに示されるアミノ酸配列を含む、請求項4に記載の組成物。 前記N−アセチルガラクトサミン基は、418位及び420位からなる群より選択される位置で、アミノ酸 スレオニンと連結する、請求項5に記載の組成物。 前記Gcタンパク質断片は、Gcタンパク質のアミノ酸400〜435に対応するアミノ酸配列を含む、請求項4に記載の組成物。 前記Gc断片は、配列番号4または配列番号5に示されるアミノ酸配列を含む、請求項5に記載の組成物。 前記N−アセチルガラクトサミン基は、44位および46位からなる群より選択される位置で、アミノ酸 スレオニンと連結する、請求項8に記載の組成物。 前記Gcタンパク質またはその断片は、血液血清から精製される、請求項1〜9のうちいずれか1項に記載の組成物。 前記Gcタンパク質及びその断片は、クローン化されたポリヌクレオチドから生成される、請求項1〜9のうちいずれか1項に記載の組成物。 実質的にグリコシダーゼ酵素を含まないGcMAF組成物を生成する工程であって、 前記工程は、 (a)Gcタンパク質またはその活性化断片を、グリコシダーゼ酵素 β−ガラクトシダーゼと、または少なくとも1つの別のグリコシターゼ酵素と組み合わせたβ−ガラクトシダーゼと、in vitroにて接触させ(ここで、グリコシダーゼ酵素はそれぞれ、前記酵素基質を含まない固相に固定される)、Gcマクロファージ活性化因子(GcMAF)を得ること、及び (b)前記固定酵素を、GcMAFから除去し、その結果、グリコシターゼ酵素を実質的に含まないGcMAF組成物を得ることを含む、工程。 前記別のグリコシダーゼ酵素は、マンノシダーゼ及びシアリダーゼからなる群より選択される、請求項12に記載の工程。 前記GcMAFは、アミノ酸残基と連結するN−アセチルガラクトサミンを有するGcタンパク質、またはその断片を含む、請求項12に記載の工程。 前記Gcタンパク質は、配列番号1〜3のうずれか1つで示されるアミノ酸配列、またはその断片を含む、請求項12に記載の工程。 前記N−アセチルガラクトサミン基は、418位及び420位からなる群より選択される位置でアミノ酸 スレオニンと連結する、請求項15に記載の工程。 前記Gcタンパク質断片は、前記Gcタンパク質のアミノ酸400〜435に対応するアミノ酸配列を含む、請求項14に記載の工程。 前記Gcタンパク質断片は、配列番号4または配列番号5で示されるアミノ酸配列を含有する、請求項17に記載の工程。 前記N−アセチルガラクトサミン基は、44位及び46位からなる群から選択される位置で、アミノ酸 スレオニンと連結する、請求項18に記載の工程。 前記Gcタンパク質またはその断片は、血液血清から精製される、請求項12〜19のいずれか1項に記載の工程。 前記Gcタンパク質またはその断片は、クローン化したポリヌクレオチドから生成される、請求項12〜19のいずれか1項に記載の工程。 組成物を含有する前記GcMAFにイオン交換クロマトグラフィーを施すことをさらに含む、請求項12に記載の工程。 組成物を含有する前記GcMAFにアニオン交換クロマトグラフィーを施すことを含む、請求項22に記載の工程。 組成物を含有する前記GcMAFに疎水性相互作用クロマトグラフィーを施すことをさらに含む、請求項12に記載の工程。 組成物を含有する前記GcMAFにイオン交換クロマトグラフィー及び疎水性相互作用クロマトグラフィーを組み合わせて施すことをさらに含む、請求項12に記載の工程。 前記β−ガラクトシダーゼは、アクリルビーズを含む固相で固定される、請求項12に記載の方法。 請求項12〜26のいずれか1項に記載の方法により、生成されるGcMAFを含む組成物であって、 前記組成物は、グリコシダーゼ酵素を実質的に含まない、組成物。 前記組成物の組成物タンパク質総含有量のうちグリコシダーゼ酵素を3%未満含む、請求項27に記載の組成物。 前記組成物のタンパク質総含有量のうちグリコシダーゼ酵素を1%未満含む、請求項27に記載の組成物。 請求項1に記載のマクロファージ活性化因子を含む治療有効量の組成物を含み、 治療上許容可能な希釈剤または担体をさらに含む、医薬組成物。 請求項27に記載のマクロファージ活性化因子を含む治療有効量の組成物を含み、 治療上許容可能な希釈剤または担体をさらに含む、医薬組成物。 静脈内投与用に製剤化される、請求項30または31に記載の医薬組成物。 請求項32に記載の前記医薬組成物を個体に投与することを含む、マクロファージの活性化を前記個体の必要に応じて、誘導する方法。 請求項32に記載の治療上有効量の医薬組成物を、患者の必要に応じて、前記患者に投与することを含む、癌治療方法。 請求項32に記載の治療上有効量の医薬組成物を、患者の必要に応じて、前記患者に投与することを含む、HIV感染患者治療方法。 前記癌または前記HIVは、α−N−アセチルガラクトサミニダーゼ(ナガラーゼ)の段階の上昇に関連する、請求項34または35に記載の方法。 前記癌は、乳癌、前立腺癌、結腸直腸癌、肝臓癌、肺癌、頭部/頸部癌、脳癌、腎臓癌、膀胱癌、胃癌、子宮癌、卵巣癌、皮膚癌、線維肉腫、中皮腫、白血病及び黒色腫からなる群より選択される、請求項34に記載の方法。 本発明は、マクロファージ活性化因子(MAF)を含む医薬組成物、及びその生成方法に関し、特にグリコシダーゼ酵素を実質的に含まないMAF組成物に関する。本発明の組成物及びそれを含む医薬組成物は、特に、静脈内投与に適している。従って、一態様によると、本発明は、Gcタンパク質由来のマクロファージ活性化因子(GcMAF)を含み、グリコシダーゼ酵素を実質的に含まない組成物を提供する。配列表


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