生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_注射剤およびデポ形成方法
出願番号:2014262257
年次:2015
IPC分類:A61K 9/08,A61P 27/02,A61K 47/26,A61K 47/36,A61K 45/00,A61K 31/444


特許情報キャッシュ

隠樹 健二 山田 和人 宮崎 達也 岡部 高明 巾下 紗代 榎本 裕志 吉井 健太 JP 2015143217 公開特許公報(A) 20150806 2014262257 20141225 注射剤およびデポ形成方法 参天製薬株式会社 000177634 正林 真之 100106002 林 一好 100120891 新山 雄一 100131705 隠樹 健二 山田 和人 宮崎 達也 岡部 高明 巾下 紗代 榎本 裕志 吉井 健太 JP 2013266567 20131225 A61K 9/08 20060101AFI20150710BHJP A61P 27/02 20060101ALI20150710BHJP A61K 47/26 20060101ALI20150710BHJP A61K 47/36 20060101ALI20150710BHJP A61K 45/00 20060101ALI20150710BHJP A61K 31/444 20060101ALI20150710BHJP JPA61K9/08A61P27/02A61K47/26A61K47/36A61K45/00A61K31/444 6 OL 14 4C076 4C084 4C086 4C076AA11 4C076BB11 4C076BB24 4C076CC10 4C076DD67M 4C076EE30G 4C076EE58G 4C076FF17 4C076FF31 4C076FF68 4C084AA17 4C084MA05 4C084MA17 4C084MA58 4C084MA66 4C084NA10 4C084NA12 4C084ZA331 4C084ZA332 4C086AA10 4C086BC17 4C086GA08 4C086MA03 4C086MA05 4C086MA17 4C086MA58 4C086MA66 4C086NA12 4C086ZA33 本発明は、注射剤およびデポ形成方法に関する。 網膜、脈絡膜、視神経、硝子体および強膜等の後眼部における疾患には難治性疾患が多く、その効果的な薬物治療法の開発が望まれている。眼疾患に対しては、薬物を点眼投与して治療するのが一般的であるが、網膜、脈絡膜、視神経、硝子体および強膜等の後眼部へは薬物が移行しにくい。 そこで、後眼部疾患に対する薬物の投与手段として、硝子体注射、結膜下注射等の注射剤が着目されている。しかし、注射剤の投与は患者への負担が大きいため、頻回投与を回避するべく、患部での薬物濃度を長時間持続させることが望まれる。例えば特許文献1には、眼内投与用製剤を、薬物としてのスルホニルベンゾイミダゾール誘導体が徐放されるように製剤化することが開示されている。特表2009−536918号公報 本発明は、以上の実情に鑑みてなされたものであり、薬物の徐放性に優れる新規な注射剤の提供を目的とする。 (1) 薬物と、トレハロースと、ジェランガムと、を含有する注射剤。 (2) 前記注射剤の全体積に対し、前記薬物の含有量は0.0001〜50.00%(w/v)、トレハロースの含有量は0.1〜50.0%(w/v)、ジェランガムの含有量は0.01〜3.00%(w/v)である(1)記載の注射剤。 (3) 前記注射剤は、リン酸緩衝液、体液又は疑似体液に接触してデポを形成するものである(1)又は(2)記載の注射剤。 (4) 前記注射剤は、硝子体内投与用である(1)から(3)いずれか記載の注射剤。 (5) 前記注射剤は、網脈絡膜への前記薬物の供給に用いられる(1)から(4)いずれか記載の注射剤。 (6) 薬物と、トレハロースと、ジェランガムと、を含有する液状組成物を体液、疑似体液又はリン酸緩衝液に接触させることを含む、デポ形成方法。 本発明によれば、薬物に加えて、トレハロース及びジェランガムの組合せを含むことで、薬物の徐放性に優れる注射剤を提供することができる。本発明の一実施例に係る注射剤を硝子体内投与した後のデポ形成を示す図である。 以下、本発明の実施形態を説明するが、これが本発明を限定するものではない。 本発明の注射剤は、薬物と、トレハロースと、ジェランガムと、を含有する。薬物に加えて、トレハロース及びジェランガムの組合せを含むことで、薬物の徐放性に優れる注射剤を提供することができる。本発明者により、トレハロースは、薬物(特に撥水性の薬物)の濡れ性を高めること、および、注射剤を等張化することに優れているだけでなく、薬物分散性を向上させることが分かった。一方、ジェランガムは、注射剤が投与された場所で良好にデポを形成し、このデポが薬物を徐放させる役割をもつことが分かった。また、トレハロースが共存することでデポ強度が増し、より優れた薬物の徐放性が実現されると推測される。 本発明におけるトレハロースは、α,α−トレハロース、α,β−トレハロース、β,β−トレハロースの1種以上であってよく、α,α−トレハロースを含むことが好ましい。注射剤の全体積に対するトレハロースの含有量は、上記作用を十分に奏する観点で、0.1%(w/v)以上であることが好ましく、より好ましくは1.0%(w/v)以上、3.0%(w/v)以上、4.0%(w/v)以上、4.5%(w/v)以上、5.0%(w/v)以上である。上記トレハロースの含有量は、注射剤の浸透圧調整等の観点で、50.0%(w/v)以下であることが好ましく、より好ましくは20.0%(w/v)以下、10.0%(w/v)以下である。 また、上記作用に鑑み、トレハロースの含有量は、薬物の種類又はジェランガムの含有量に応じて最適化することも好ましい。 なお、本発明の注射剤は、トレハロース以外の糖類を更に含有してもよい。このような糖類としては、単糖〜六糖、これらの糖アルコール、ヒアルロン酸、マルトデキストリン、及びポリビニルピロリドンからなる群より選ばれる糖類化合物が挙げられる。 注射剤の全体積に対するジェランガムの含有量は、上記作用を十分に奏する観点で、0.01%(w/v)以上、0.03%(w/v)以上、又は0.05%(w/v)以上であることが好ましく、より好ましくは0.10%(w/v)以上、0.20%(w/v)以上、0.30%(w/v)以上、0.40%(w/v)以上である。上記ジェランガムの含有量は、注射剤の粘度調整等の観点で、3.00%(w/v)以下であることが好ましく、より好ましくは2.0%(w/v)以下、1.0%(w/v)以下である。 また、上記作用に鑑み、ジェランガムの含有量は、薬物の種類又はトレハロースの含有量に応じて最適化することも好ましい。例えば、トレハロースの含有量が20%(w/v)以上である場合には、ジェランガムの含有量は0.01%(w/v)以上0.20%(w/v)以下であってよい。この組合せは、薬物としてベタメタゾンを含む場合に特に好適であり得る。トレハロースの含有量が20%(w/v)未満である場合には、ジェランガムの含有量は0.10%(w/v)以上3.00%(w/v)以下であってよい。 本発明におけるジェランガムは、イオン応答性の脱アシル型ジェランガム、熱応答性のネイティブ型ジェランガムの1種以上であってよい。注射剤の温度調節(投与前に高温に調整してゾル化させる)を行わなくてもよい点で、脱アシル型ジェランガムがより好ましい。 薬物は、注射剤に求められる薬効に応じて適宜選択されてよく、具体的には、水に溶解する薬物であっても水に溶解しにくい薬物であってもよく、好ましい薬物としては、たとえばTafetinib、SIM−817378、ACTB−1003、Chiauranib 、CT−53608 、Cinnamon、chim4G8−SDIE、CEP−5214、IMC−1C11、CEP−7055、3−[5−[2−[N−(2−Methoxyethyl)−N−methylamino]ethoxy]−1H−indol−2−yl]quinolin−2(1H)−one、hF4−3C5 、ZK−CDK、IMC−EB10、LS−104 、CYC−116 、OSI−930 、PF−337210、JNJ−26483327、SSR−106462、R−1530、PRS−050、TG−02、SC−71710、SB−1578、AMG−191、AMG−820、Sulfatinib、Lucitanib hydrochloride、JNJ−28312141、Ilorasertib、PLX−5622、ARRY−382、TAS−115、Tanibirumab、Henatinib maleate、LY−2457546、PLX−7486、FPA−008、NVP−AEE−788、cgi−1842、RAF−265、MK−2461、SG−00529、Rebastinib tosylate、Golvatinib tartrate、Roniciclib、BVT−II、X−82、XV−615、KD−020、Lestaurtinib、Delphinidin、Semaxanib、Vatalanib succinate、OSI−632、Telatinib、Alacizumab pegol、ATN−224、Tivozanib、XL−999、Icrucumab、Foretinib、Crenolanib besylate、R−406、Brivanib、Pegdinetanib、TG−100572、Olaratumab、Fostamatinib disodium、BMS−690514、AT−9283、MGCD−265、Quizartinib、ENMD−981693、Famitinib malate、Anlotinib、Tovetumab、PLX−3397、Fruquintinib、(−)−Epigallocatechin gallate、Midostaurin、NSC−706456、Orantinib、Cediranib、Dovitinib lactate、XL−647、Motesanib diphosphate、Linifanib、Brivanib alaninate、Cediranib maleate、Apatinib、Fedratinib、Pacritinib、Ramucirumab、Intedanib、Masitinib mesylate、Elemene、Dihydroartemisinin、WS−1442、Itraconazole、Leflunomide、Dihydroartemisinin、Imatinib mesylate、Sorafenib、Sunitinib malate、Dasatinib、Pazopanib hydrochloride、Vandetanib、Axitinib、Regorafenib、Cabozantinib S−malate、Ponatinib、2−[[[2−[(ヒドロキシアセチル)アミノ]−4−ピリジニル]メチル]チオ]−N−[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]−3−ピリジンカルボキサミドなどのチロシンキナーゼ阻害剤、ハイドロコルチゾン、トリアムシノロン、フルオシノロン、デキサメタゾン、ベタメタゾンなどのステロイド、イソプロピルウノプロストンなどのプロスタグランジン、シクロスポリン、シロリムス(ラパマイシン)などの免疫抑制剤、アゼラスチンなどの抗アレルギー剤、インドメタシン、ブロムフェナク、ジクロフェナクなどの非ステロイド性抗炎症剤、パゾパニブ、SU5416、バラチニブ、ラニビズマブ、ベバシズマブなどの血管新生阻害薬、ニカルジピン、ニトレンジピンなどの循環改善薬、ビタミンEなどの抗酸化剤、アセタゾラミド、ブリンゾラミドなどの炭酸脱水酵素阻害剤、チモロール、プロスタグランジン誘導体などの眼圧下降薬、各種ビタミンA誘導体などのビジュアルサイクルモジュレーター、毛様体栄養因子(CNTF)、脳由来神経栄養因子(BDNF)などの栄養因子や神経成長因子(NGF)、幹細胞増殖因子(HGF)のような各種成長因子、ペガプタニブのようなアプタマー、各種アンチセンス核酸、siRNAのような核酸医薬、ルセンティス、IgGなどの抗体・ペプチド製剤、特開2006−96739、特開2011−37844、特開2005−232149、特開2006−273851、特開2006−306861、特開2008−266294などに記載のVEGF阻害剤、特開2007−230993、特開2008−074829、特開2008−143889、特開2008−143890、特開2008−143891、特開2009−007344、特開2009−084274などに記載のグルココルチコイド受容体結合活性を有する化合物、RU24858などの選択的グルココルチコイド受容体アゴニスト、フルオロウラシルなどの抗癌剤、トファシチニブなどのヤヌスキナーゼ阻害剤、ルボキシスタウリンメシレートなどのプロテインキナーゼ阻害剤、などが挙げられる。 注射剤の全体積に対する薬物の含有量は、0.0001%(w/v)以上であることが好ましく、より好ましくは0.05%(w/v)以上、0.10%(w/v)以上、0.30%(w/v)以上、0.50%(w/v)以上、1.0%(w/v)以上である。また、本発明の注射剤は薬物の徐放性に優れるため、比較的少量の薬物でも優れた治療/予防効果を奏することができるため、上記薬物の含有量は、50.00%(w/v)以下であることが好ましく、より好ましくは40.00%(w/v)以下、30.00%(w/v)以下、25.00%(w/v)以下である。 本発明に係る注射剤は、上記成分に加え、水等の分散媒、浸透圧調整剤、緩衝剤等を含んでもよい。 本発明に係る注射剤は、特に限定されないが、デポを形成して徐放性を発揮することができる。本発明でデポが形成される条件は、リン酸緩衝液、体液(涙液、硝子体液など)への接触であってよく、各種条件に応じた処方及び投与方法を採用すればよい。例えば体液(涙液、硝子体液など)への接触でデポを形成する注射剤は、体内や硝子体内へ注射投与すればよい。また、疑似体液、リン酸緩衝液等の各種試験液に投与することもできる。これにより、各投与箇所においてデポが形成され、薬物が徐放されることになる。 本発明に係る注射剤は、例えば硝子体内に投与すれば投与部位近傍でデポが形成されるので、眼内の患部(例えば網脈絡膜)へと薬物を効果的かつ持続的に供給することができる。 この場合、本発明の注射剤は、後眼部疾患の治療/予防に好適に使用することができる。後眼部疾患としては、種々の原因による炎症、ウイルスや細菌の感染症、網膜脈絡膜の血管新生、血管透過性亢進に起因する疾患、網膜脈絡膜の腫瘍性疾患、網膜膜脈絡膜の遺伝性疾患、緑内障に起因する視神経障害が挙げられる。さらに具体的には、眼内炎、ぶどう膜炎、サイトメガロウイルス網膜炎、加齢性黄斑変性症、糖尿病性網膜症、増殖性硝子体網膜症、網膜静脈閉塞症、網膜動脈閉塞症、網膜剥離、中心性漿液性網脈絡膜症、網膜芽細胞腫、網膜色素変性症、黄斑ジストロフィー、コロイデレミア、色盲、先天網膜分離症、緑内障に伴う視野狭窄、視野欠損等が挙げられる。ただし、本発明の注射剤は、薬物や投与方法に応じ、種々の疾患の治療/予防に使用されてよい。 本発明の注射剤は、適宜方法により製造することができる、例えば、まず、ジェランガムを溶媒に加えて基剤を調製する。溶媒は、生理的に許容される溶媒であればよく、好ましくは注射用蒸留水である。この基剤に薬物を加え、均一に分散、懸濁または溶解させて注射剤を調製する。薬物の基剤への懸濁は、固体の薬物を十分粉砕したうえで基剤に均一に分散させることで、また液状の薬物を乳化することで行えばよい。乳化方法としては、界面化学的乳化方法、機械的乳化方法、膜乳化方法等が挙げられる。 本発明は、薬物と、トレハロースと、ジェランガムと、を含有する液状組成物を体液、疑似体液又はリン酸緩衝液に接触させることを含む、デポ形成方法も包含する。 〔1〕製剤例1〜3および比較例1〜2の調製製剤例1 メスフラスコに2−[[[2−[(ヒドロキシアセチル)アミノ]−4−ピリジニル]メチル]チオ]−N−[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]−3−ピリジンカルボキサミド(以下「化合物A」とする。)0.025gを入れ、0.4%ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート(Tween20)水溶液0.5mLを加え、スターラーと超音波で分散させた。つぎに滅菌済み50%トレハロース水溶液0.8mLを加え、スターラーで撹拌後、1%脱アシル型ジェランガム水溶液2mLを加えて再度スターラーで撹拌し、さらに注射用水で5mLにメスアップして注射剤を調製した。製剤例2 メスフラスコに化合物A0.125gを入れ、0.4%ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート(Tween20)水溶液0.5mLを加え、スターラーと超音波で分散させた。つぎに50%トレハロース水溶液0.8mLを加え、スターラーで撹拌後、1%脱アシル型ジェランガム水溶液2mLを加えて再度スターラーで撹拌し、さらに注射用水で5mLにメスアップして注射剤を調製した。製剤例3 メスフラスコに化合物0.250gを入れ、0.4%ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート(Tween20)水溶液0.5mLを加え、スターラーと超音波で分散させた。つぎに滅菌済み50%トレハロース水溶液0.8mLを加え、スターラーで撹拌後、1%脱アシル型ジェランガム水溶液2mLを加えて再度スターラーで撹拌し、さらに注射用水で5mLにメスアップして注射剤を調製した。比較例1 メスフラスコに化合物A0.125gを入れ、0.4%ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート(Tween20)水溶液0.5mLを加え、スターラーと超音波で分散させた。つぎに50%トレハロース水溶液0.8mLを加え、スターラーで撹拌後、注射用水で5mLにメスアップして注射剤を調製した。比較例2 メスフラスコに化合物A0.125gを入れ、0.4%ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート(Tween20)水溶液0.5mLを加え、スターラーと超音波で分散させた。つぎに1%脱アシル型ジェランガム水溶液0.8mLを加えて再度スターラーで撹拌し、さらに注射用水で5mLにメスアップして注射剤を調製した。しかしながら、得られた注射剤は凝集物を含む不均一な懸濁液となったため、その後の溶出試験には使用できなかった。 〔2〕製剤例1〜3および比較例1〜2で得られた各注射剤の溶出試験 1%モノステアリン酸ポリエチレングリコール(MYS40)含有10mM中性リン酸緩衝液(ダルベッコPBS)50mLを入れたガラス試験管に、製剤例1〜3、比較例1で得られた各注射剤を0.02mLずつ加え、37℃にて緩やかに振とうした。溶出試験開始1日後および3日後に1mLの溶出液を回収し、マイクロプレートリーダーを用いて270nm吸光度から溶出液中の化合物Aの濃度を算出した。なお、検量線には0.000313、0.000625、0.00125、0.0025、0.005および0.01mg/mLの化合物Aを1%MYS40含有10mM中性リン酸緩衝液(ダルベッコPBS)に溶解させた溶液を用いた。これらの試験結果を表1に示す。 表1より、製剤例1〜3はいずれも、薬剤(化合物A)について良好な徐放化効果(薬物放出率)を示すのに対し、ジェランガムを含まない比較例1は薬物徐放性が良好ではなく、また、トレハロースを含まない比較例2は凝集物を含み、注射剤としては適用できない。 〔3〕製剤例4〜8の調製製剤例4 メスフラスコに化合物A50mgを入れ、50%トレハロース水溶液0.2mLに加えてスターラーおよび超音波処理にて撹拌分散した後、1%脱アシル型ジェランガム水溶液0.8mLを加え、再度撹拌分散して注射剤を調製した。製剤例5 メスフラスコに化合物A50mgを入れ、25%トレハロース水溶液0.2mLに加えてスターラーおよび超音波処理にて撹拌分散した後、1%脱アシル型ジェランガム水溶液0.8mLを加え、再度撹拌分散して注射剤を調製した。製剤例6 メスフラスコに化合物A50mgを入れ、50%トレハロース水溶液0.1mLに加えてスターラーおよび超音波処理にて撹拌分散した後、1%脱アシル型ジェランガム水溶液0.9mLを加え、再度撹拌分散して注射剤を調製した。製剤例7 メスフラスコに化合物A50mgを入れ、50%トレハロース水溶液0.1mLに加えてスターラーおよび超音波処理にて撹拌分散した後、1%脱アシル型ジェランガム水溶液0.6mLおよび注射用水0.3mLを加え、再度撹拌分散して注射剤を調製した。製剤例8 メスフラスコに化合物A50mgを入れ、50%トレハロース水溶液を0.1mLに加えてスターラーおよび超音波処理にて撹拌分散した後、1%脱アシル型ジェランガム水溶液0.4mLおよび注射用水0.5mLを加え、再度撹拌分散して注射剤を調製した。 〔4〕製剤例4〜8で得られた各注射剤の溶出試験 1%モノステアリン酸ポリエチレングリコール(MYS40)含有10mM中性リン酸緩衝液(ダルベッコPBS)50mLを入れたガラス試験管に、製剤例4〜8で得られた各注射剤を0.02mLずつ加え、37℃にて緩やかに振とうした。溶出試験開始1日後、3日後および7日後に0.18mLの溶出液を回収し、マイクロプレートリーダーを用いて270nm吸光度から溶出液中の化合物Aの濃度を算出した。なお、検量線には0.0008、0.004および0.02mg/mLの化合物Aを1%MYS40含有10mM中性リン酸緩衝液(ダルベッコPBS)に溶解させた溶液を用いた。これらの試験結果を表2に示す。 表2より、製剤例4〜8はいずれも、薬剤(化合物A)について良好な徐放化効果(薬物放出率)を示した。 〔5〕製剤例9および10の調製製剤例9 メスフラスコにシロリムス30mgを入れ、50%トレハロース水溶液0.1mLに加えてスターラーおよび超音波処理にて分散させた後、1%脱アシル型ジェランガム水溶液0.9mLを加え、再度撹拌分散して注射剤を得た。製剤例10 メスフラスコにシロリムス30mgを入れ、50%トレハロース水溶液0.6mLに加えてスターラーおよび超音波処理にて分散させた後、1%脱アシル型ジェランガム水溶液0.4mLを加え、再度撹拌分散して注射剤を得た。 〔6〕製剤例9および10で得られた各注射剤の溶出試験 0.1%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)含有中性リン酸緩衝液12mLを入れたガラス試験管に、製剤例9、10で得られた各注射剤を0.015mLずつ加え、37℃にて緩やかに振とうした。溶出試験開始1日後に溶出液を10mL回収し、UPLCを用いて溶出液中のシロリムス濃度を算出した。これらの試験結果を表3に示す。 表3より、製剤例9および10は、薬剤(シロリムス)について良好な徐放化効果(薬物放出率)を示した。 〔7〕製剤例11〜13の調製製剤例11 滅菌済みメスフラスコに化合物A0.3gを入れ、滅菌済み20%トレハロース水溶液3.75mLを加え、スターラーおよび超音波処理にて撹拌後、滅菌済み1%脱アシル型ジェランガム水溶液9mLを加えて再度スターラーで撹拌し、さらに注射用水で15mLにメスアップして注射剤を調製した。製剤例12 滅菌済みメスフラスコに化合物A0.25gを入れ、滅菌済み0.4%ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート(Tween20)水溶液0.5mLを加え、スターラーと超音波で分散させた。さらに滅菌済み50%トレハロース水溶液0.8mLを加え、スターラーで撹拌後、滅菌済み1%脱アシル型ジェランガム水溶液2mLを加えて再度スターラーで撹拌し、さらに注射用水で5mLにメスアップして注射剤を調製した。製剤例13 滅菌済みメスフラスコにシロリムス1gを入れ、滅菌済み20%トレハロース水溶液2mLを加え、スターラーおよび超音波処理にて撹拌後、滅菌済み1%脱アシル型ジェランガム水溶液3mLを加えて再度スターラーで撹拌し、さらに注射用水で5mLにメスアップして注射剤を調製した。 〔8〕in vivoにおける薬物放出特性試験 製剤例11〜13で得られた各注射剤を50μLずつ26ゲージの針を用いて日本白色ウサギの硝子体に投与した(N=4)。投与後経時的に(4週間後、12週間後、24週間後)ウサギから硝子体及び網脈絡膜を採取し、LC−MS/MSを用いて薬物濃度を測定した。これらの薬物放出特性試験の結果を表4〜6に示す。 本注射剤(製剤例11〜13)は、硝子体注射後、4週間に渡って一定以上の網脈絡膜中薬剤濃度を維持し、投与4週後では硝子体中に77%以上の薬剤が残存し、投与12週後でも硝子体中に68%以上の薬剤が残存していることから、薬物徐放効果を長期間持続することが予想される。また、製剤例11、12と製剤例13では含有する薬物が異なることから、本注射剤は種々の薬物を用いても共通する徐放効果を奏することが示唆された。 〔8〕製剤例11で得られた注射剤のデポ形成能 製剤例11の注射剤をウサギの硝子体内へ注射投与し、その4週間後に眼球を摘出し、ドライアイスで眼球を凍結し、剃刀を用いて毛様体扁平部から前眼部を除去した。さらに攝子などを用いて凍結状態で網脈絡膜と硝子体とを分離し、硝子体融解後に硝子体中のデポを撮影した。この結果を図1に示す。なお、図1中のアスタリスクは、硝子体ゲルの破砕のために用いたビーズ(直径3mm)を示す。 図1に示されるように、硝子体中にはデポが形成されており(中央やや左側に見える白色状物)、本発明の注射剤が硝子体液に接触してデポを形成することが確認された。 〔8〕製剤例14〜19の調製製剤例14 メスフラスコにベタメタゾン50mgを入れ、50%トレハロース水溶液1mLを加え、スターラーと超音波で分散させた。1%脱アシル型ジェランガム水溶液3mLを加えて再度スターラーで撹拌し、さらに注射用水で5mLにメスアップして注射剤を調製した。製剤例15〜19 製剤例14のベタメタゾン50mgに代えてジクロフェナク50mg、インドメタシン50mg、ブリンゾラミド50mg、アゼラスチン50mg、IgG(from human serum)50mgを用い、製剤例14と同様の操作を行って、製剤例15〜19の各注射剤を調製した。 製剤例14〜19の各注射剤の配合組成を表7に示す。 〔9〕デポ形成確認試験 1%モノステアリン酸ポリエチレングリコール(MYS40)含有10mM中性リン酸緩衝液(ダルベッコPBS)15mLを入れたガラス試験管に、製剤例14〜19の各注射剤を0.020mLずつ37℃にて添加した。製剤例14〜19の注射剤を入れた各試験管にはどれも、白色のデポが形成されていることを目視で確認した。 〔10〕製剤例20〜23の調製製剤例20 サンプル瓶にベタメタゾン50mgを入れ、50%トレハロース水溶液0.05mLを加え、スターラーと超音波で分散させた。1%脱アシル型ジェランガム水溶液4mLを加えて再度スターラーで撹拌し、均一になった後にメスフラスコに移し、注射用水で5mLにメスアップして注射剤を調製した。なお、調製途中で固化した場合は、適宜50℃への加温を行った。製剤例21 ベタメタゾン1.5gを50%トレハロース水溶液2mLに、メノウ乳鉢を用いて分散させた。1%脱アシル型ジェランガム水溶液0.15mLを加えてボルテックスあるいはペンシルミキサーで撹拌し、均一になった後にメスフラスコに移し、さらに50%トレハロース水溶液2mLを共洗いしながら加え、注射用水で5mLにメスアップして注射剤を調製した。製剤例22 ベタメタゾン3gを50%トレハロース水溶液5mLに、メノウ乳鉢を用いて分散させた。1%脱アシル型ジェランガム水溶液1mLを加えてボルテックスあるいはペンシルミキサーで撹拌し、均一になった後にメスフラスコに移し、注射用水で10mLにメスアップして注射剤を調製した。製剤例23 ベタメタゾン2gを50%トレハロース水溶液2mLに、メノウ乳鉢を用いて分散し、さらに1%脱アシル型ジェランガム水溶液0.5mLを加えて混合した。メスフラスコに移し、ペンシルミキサーで撹拌しながらさらに50%トレハロース水溶液2mLを共洗いしながら加え、注射用水で5mLにメスアップして注射剤を調製した。 製剤例20〜23の各注射剤の配合組成を表8に示す。 〔11〕デポ形成確認試験 ダルベッコPBS15mLを入れたガラス試験管に、製剤例20〜23の各注射剤を0.020mLずつ37℃にて添加した。製剤例20〜23の注射剤を入れた各試験管にはどれも、白色のデポが形成されていることを目視で確認した。 薬物と、トレハロースと、ジェランガムと、を含有する注射剤。 前記注射剤の全体積に対し、前記薬物の含有量は0.0001〜50.00%(w/v)、トレハロースの含有量は0.1〜50.0%(w/v)、ジェランガムの含有量は0.01〜3.00%(w/v)である請求項1記載の注射剤。 前記注射剤は、リン酸緩衝液、体液又は疑似体液に接触してデポを形成するものである請求項1又は2記載の注射剤。 前記注射剤は、硝子体内投与用である請求項1から3いずれか記載の注射剤。 前記注射剤は、網脈絡膜への前記薬物の供給に用いられる請求項1から4いずれか記載の注射剤。 薬物と、トレハロースと、ジェランガムと、を含有する液状組成物を体液、疑似体液又はリン酸緩衝液に接触させることを含む、デポ形成方法。 【課題】薬物の徐放性に優れる新規な注射剤の提供。【解決手段】例えば硝子体内に投与する為の、0.0001〜50.00%(w/v)の薬物と、0.1〜50.0%(w/v)のトレハロース、及び0.01〜3.00%のジェランガムとを含有し、リン酸緩衝液、体液(涙液、硝子体液など)、又は疑似体液に接触した際にデポを形成する注射剤。【選択図】なし


ページのトップへ戻る

生命科学データベース横断検索へ戻る