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タイトル:特許公報(B1)_プロピルバルビツール酸重合触媒を含む歯科材料
出願番号:2014255044
年次:2015
IPC分類:A61K 6/083,C08F 4/40,C08F 4/42


特許情報キャッシュ

定金祐司 繁澤麻紗子 門林勇生 JP 5736086 特許公報(B1) 20150424 2014255044 20141217 プロピルバルビツール酸重合触媒を含む歯科材料 株式会社松風 390011143 定金祐司 繁澤麻紗子 門林勇生 20150617 A61K 6/083 20060101AFI20150528BHJP C08F 4/40 20060101ALI20150528BHJP C08F 4/42 20060101ALI20150528BHJP JPA61K6/083 530C08F4/40C08F4/42 A61K 6/00− 6/10 C08F 4/00− 4/58 C08F 4/72− 4/82 CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN) JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII) 特開2006−124412(JP,A) 特開平11−228330(JP,A) 特開2000−007518(JP,A) 特開平11−071220(JP,A) 特開2005−255654(JP,A) 5 10 20141217 石井 裕美子口腔内環境下で硬化性及び耐変色性に優れた重合触媒に関する。更に、前記重合触媒を含む歯科材料に関する。従来から歯科分野で利用されている常温重合触媒はBPO 、アミン系の触媒であり、酸性化合物との共存下では硬化性が悪く、経時的に変化しやすいことから、他の触媒が求められていた。そこで、バルビツール酸化合物とハロゲンイオン形成化合物との組み合わせが開発された。現在知られているバルビツール酸化合物とハロゲンイオン形成化合物との組み合わせでは、変色性は改善されたものの、BPO 、アミン系の触媒に比べ硬化性については解決されておらず、硬化性に優れた重合触媒が求められていた。特に、口腔内環境下においては、40〜50kgもの咬合圧が常に掛かっている状況で、歯科材料は使用されている。口腔内は、通常は37℃の恒温状態であり、常に咬合圧がかかっている為、樹脂に対して、大きな負荷がかかっている。その為、口腔内に装着された歯科材料は、物性の低下が発生し、歯科材料として初期の性能を維持することができなかった。特許文献1、2に「n−シクロヘキシル5エチルピリミジントリオン」の触媒について樹脂を硬化させる記載があるが、「n−シクロヘキシル5プロピルバルビツール酸」の記載も無く、本発明の効果も得られない。また、特許文献3、4に「n−シクロヘキシル5プロピルバルビツール酸」の触媒について樹脂を硬化させる記載があるが、「トリオクチルメチルアンモニウムクロライド」との組み合わせが好ましいことが記載されておらず、本発明の効果も得られない。特開2010‐229165特開2010‐215824特開平11‐228330特開2000‐007518BPO、アミン系の触媒に見られる変色性を克服しつつ、バルビツール酸化合物とハロゲンイオン形成化合物との組み合わせでは改善されなかった硬化性を改善できる重合触媒が求められていた。特に、口腔内の環境下で使用しても物性が低下しない重合触媒が求められ、前記重合触媒を用いて物性が低下しない歯科材料も求められていた。本発明は、歯科材料に用いられる重合触媒であって、1-シクロヘキシル-5-プロピルバルビツール酸及びトリオクチルメチルアンモニウムクロライドを含む歯科材料用重合触媒である。更に、前記歯科材料用重合触媒として、有機金属化合物を含むことが好ましい。また、本発明は、前記歯科材料用重合触媒を用いた歯科材料である。歯科材料にフィラーを含むことが好ましく、その配合量は重合性単量体100重量部に対して、1〜2000重量部配合することが好ましい。これらの重合触媒で硬化された歯科材料は好ましい硬化特性を発揮することができる。1-シクロヘキシル-プロピルバルビツール酸、トリオクチルメチルアンモニウムクロライドの重合触媒を配合して硬化させることで、耐変色性に優れ、口腔内環境下でも物性が低下しないことを見出した。1-シクロヘキシル-プロピルバルビツール酸、トリオクチルメチルアンモニウムクロライド、有機金属化合物の重合触媒を配合して硬化させることで、更に耐変色性に優れ、口腔内環境下でも物性が低下しないことを見出した。1-シクロヘキシル-プロピルバルビツール酸、トリオクチルメチルアンモニウムクロライドの重合触媒を歯科材料に、応用することで優れた硬化特性を示す。特に、曲げ強度、圧縮強度の低下が軽減されることを見出した。1-シクロヘキシル-プロピルバルビツール酸、トリオクチルメチルアンモニウムクロライド、有機金属化合物の重合触媒を歯科材料に、応用することで更に優れた硬化特性を示す。特に、曲げ強度、圧縮強度の低下が更に軽減されることを見出した。1-シクロヘキシル-プロピルバルビツール酸の配合量は重合性単量体100重量部に対し0.1〜10重量部が好ましい。更に0.5〜5重量部、更には1〜3.0重量部の配合量を含むことが好ましい。配合量が0.1重量部未満であると反応性に乏しく硬化性の歯科材料を得ることが出来ない。また配合量が10重量部を超えると硬化時間は一定であるにも拘わらず重合反応時の発熱量が著しく多くなる。トリオクチルメチルアンモニウムクロライドの配合量は重合性単量体100重量部に対し0.1〜10重量部が好ましい。更に0.5〜5重量部、更には1〜3.0重量部の配合量を含むことが好ましい。配合量が0.1重量部未満であると反応性に乏しく硬化性の歯科材料を得ることが出来ない。また配合量が10重量部を超えると硬化時間は一定であるにも拘わらず重合反応時の発熱量が著しく多くなる。有機金属化合物としては、銅(II)アセチルアセナート、アセチルアセトン銅、4−シクロヘキシル酪酸銅、酢酸第二銅、オレイン酸銅、グルコン酸銅、アセチルアセトンマンガン、ナフテン酸マンガン、オクチル酸マンガン、アセチルアセトンコバルト(III)、ナフテン酸コバルト、アセチルアセトンリチウム、酢酸リチウム、アセチルアセトン亜鉛、ナフテン酸亜鉛、アセチルアセトンニッケル、酢酸ニッケル、アセチルアセトンアルミニウム、アセチルアセトンカルシウム、アセチルアセトンクロム(III)、アセチルアセトン鉄(III)、ナフテン酸ナトリウム、レアアースオクトエートが有り、これ等は1種または2種以上を混合して使用してもよい。また、特に好ましいのは銅(II)アセチルアセナート、アセチルアセトン銅と、4−シクロヘキシル酪酸銅である。これらの有機金属化合物の配合量は重合性単量体100重量部に対し0.001〜1重量部であり、好ましくは0.001〜0.2重量部が好ましい。配合量が0.001重量部未満であると反応性に乏しく硬化性の歯科材料を得ることが出来ない。また配合量が1重量部を超えると有機金属化合物特有の変色が著しく、0.2重量部を超えると変色が見られる。例えばアセチルアセトン銅の場合には青色、アセチルアセトン鉄(III)の場合には赤褐色といった色を呈する。本発明の重合触媒を応用した歯科材料とは、最終的に口腔内で使用される歯科治療材料のことであり、歯科医師が治療に用る材料や歯科技工士が治療の為に作製する樹脂系材料のことである。具体的には、コンポジットレジン、接着剤、樹脂セメント、床用レジン、前装冠、矯正材料、人工歯、シーラー、仮封材、仮着材、暫間義歯などである。本発明の重合触媒を応用した歯科材料に用いられる重合性単量体は、重合性基を持った重合性単量体であれば特に限定されない。具体的には一般に歯科材料に用いられる公知の単官能性および/または多官能性の重合性単量体を使用することができる。好ましい重合性単量体としては、アクリロイル基および/またはメタクリロイル基を有する重合性単量体である。次に具体的な重合性単量体の名称を説明する。酸性基を有しない重合性単量体類の例としては、単官能性単量体(未架橋性モノマー):メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類;γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン等のシラン化合物類;2−(N,N−ジメチルアミノ)エチル(メタ)アクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミド等の窒素含有化合物等、芳香族系二官能性単量体(架橋性モノマー):2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシジエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシテトラエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシペンタエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシジプロポキシフェニル)プロパン、2(4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシフェニル)−2(4−(メタ)アクリロイルオキシジエトキシフェニル)プロパン、2(4−(メタ)アクリロイルオキシジエトキシフェニル)−2(4−(メタ)アクリロイルオキシトリエトキシフェニル)プロパン、2(4−(メタ)アクリロイルオキシジプロポキシフェニル)−2(4−(メタ)アクリロイルオキシトリエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシジプロポキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシイソプロポキシフェニル)プロパン等、脂肪族系二官能性単量体(架橋性モノマー):2−ヒドロキシ−3−アクリロイルオキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート等、三官能性単量体(架橋性モノマー):トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等、四官能性単量体(架橋性モノマー):ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート等が挙げられる。ウレタン系重合性単量体の例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート;3−クロロ−2−ハイドロキシプロピル(メタ)アクリレートのような水酸基を有する重合性単量体とメチルシクロヘキサンジイソシアネート、メチレンビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジイソシアネートメチルメチルベンゼン、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネートのようなジイソシアネート化合物との付加物から誘導される二官能性または三官能性以上のウレタン結合を有するジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。本発明の重合触媒を応用した歯科材料に用いられる重合性単量体は、目的に応じて、上記(メタ)アクリレート系重合性単量体以外の重合性単量体、例えば分子内に少なくとも1個以上の重合性基を有する単量体、オリゴマーまたはポリマーを用いてもよい。(メタ)アクリレート系重合性単量体以外の重合性単量体は、酸性基やフルオロ基等の置換基を同一分子内に有していてもよい。本発明において、重合性単量体は、単一成分であってもよいし、複数の重合性単量体からなる重合性単量体の混合物であってもよい。また、重合性単量体の粘性が室温で極めて高い場合、または固体である場合は、当該重合性単量体を低粘度の重合性単量体と組み合わせ、重合性単量体の混合物として使用するのが好ましい。前記の組み合わせにおいて、重合性単量体は、2種類または3種類以上を用いてもよい。本発明の重合触媒を応用した歯科材料に用いられる重合性単量体は、単官能性重合性単量体のみを含んでいてもよく、多官能性重合性単量体をさらに含んでいてもよい。好ましい重合性単量体は、二官能性重合性単量体の芳香族化合物および二官能性重合性単量体の脂肪族化合物を含む。より好ましくは、2,2−ビス(4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル)プロパン(Bis−GMA)およびトリエチレングリコールジメタクリレート(TEGDMA)を含む。本発明において、重合性単量体は、歯質または卑金属接着性を、本発明の重合触媒を応用した歯科材料に付与するために、重合性単量体の一部または全部としてリン酸基、カルボン酸基、ホスホン酸基、スルホン酸基等の酸基を分子内に含有した重合性単量体を含んでよい。また、貴金属接着を向上させるために、本発明にかかる重合性単量体は、硫黄原子を分子内に含有した重合性単量体を含んでよい。これらのリン酸基、カルボン酸基、ホスホン酸基、スルホン酸基等の酸基を分子内に含有若しくは硫黄原子を分子内に含有した重合性単量体は重合性単量体100%中、0.5〜20%配合することが好ましい。カルボン酸基を分子内に含有した重合性単量体としては、カルボン酸基含有重合性単量体:(メタ)アクリル酸、1,4−ジ(メタ)アクリロイルオキシエチルピロメリット酸、6−(メタ)アクリロイルオキシナフタレン−1,2,6−トリカルボン酸、N−(メタ)アクリロイル−p−アミノ安息香酸、N−(メタ)アクリロイル−5−アミノサリチル酸、4−(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメリット酸およびその無水物、4−(メタ)アクリロイルオキシブチルトリメリット酸およびその無水物、2−(メタ)アクリロイルオキシ安息香酸、β−(メタ)アクリロイルオキシエチルハイドロジェンサクシネート、β−(メタ)アクリロイルオキシエチルハイドロジェンマレエート、11−(メタ)アクリロイルオキシ−1,1−ウンデカンジカルボン酸、p−ビニル安息香酸等;リン酸基を分子内に含有した重合性単量体としては、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルジハイドロジェンフォスフェート、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルジハイドロジェンフォスフェート、10−(メタ)アクリロイルオキシデシルジハイドロジェンフォスフェート、ビス(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)ハイドロジェンフォスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニルハイドロジェンフォスフェート等;スルホン酸基を分子内に含有した重合性単量体としては、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、4−(メタ)アクリロイルオキシベンゼンスルホン酸、3−(メタ)アクリロイルオキシプロパンスルホン酸等;硫黄原子を分子内に含有した重合性単量体としては、トリアジンチオール基を有する(メタ)アクリレート、メルカプト基を有する(メタ)アクリレート、ポリスルフィド基を有する(メタ)アクリレート、チオリン酸基を有する(メタ)アクリレート、ジスルフィド環式基を有する(メタ)アクリレート、メルカプトジアチアゾール基を有する(メタ)アクリレート、チオウラシル基を有する(メタ)アクリレート、チイラン基を有する(メタ)アクリレート等が挙げられる。これら重合性単量体は、単独でまたは2種以上を混合して使用してもよい。本発明の重合触媒を応用した歯科材料に配合されるフィラーは特に限定されず、公知のフィラー、例えば無機フィラーおよび/または有機フィラーおよび/または有機−無機複合フィラー等が何等制限なく用いることができる。これらシラン処理前のフィラーの形状は球状、塊状、針状、板状、破砕状、鱗片状等の任意の粒子形状でよく特に限定されない。よりペーストの安定性を得るためにには、フィラーは球状であることが好ましい。フィラーの球状を示す円形度は、0.7〜1.0の範囲であり、より好ましくは0.9〜1.0の範囲、さらに好ましくは0.95〜1.00の範囲にある。円形度の算出方法は光学顕微鏡または走査型電子顕微鏡(以下、SEMという)の撮影像を画像解析装置で処理することにより求めることができる。画像処理するサンプル数はフィラー50個以上とし、フィラーの面積とフィラーの周囲長から算出する。算出する計算式は円形度e=(4・π・S)/(L2)であり、画像処理で得られたフィラーの面積S、およびィラーの周囲長Lから算出する。無機フィラーとして具体的に例示すれば、石英、無定形シリカ、アルミニウムシリケート、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ジルコニウム、種々のガラス類(溶融法によるガラス、ゾルーゲル法による合成ガラス、気相反応により生成したガラスなどを含む)、炭酸カルシウム、タルク、カオリン、クレー、雲母、硫酸アルミニウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、リン酸カルシウム、ヒドロキシアパタイト、チッ化ケイ素、チッ化アルミニウム、チッ化チタン、炭化ケイ素、炭化ホウ素、水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム、ゼオライト等が挙げられる。これらの中でもナトリウム、ストロンチウム、バリウム、ランタン等の重金属および/またはフッ素を含むアルミノシリケートガラス、ボロシリケート、アルミノボレート、ボロアルミノシリケートガラス等が好ましい。これら無機フィラーの平均粒径は特に制限はないが、0.5〜10μmの範囲が好ましく、より好ましくは0.7〜5μmの範囲である。また、気相法により生成したアエロジルまたはゾル−ゲル反応等の溶液中から生成したシリカ−ジルコニア酸化物粒子等の超微粒子無機フィラーも用いることができる。また、それらの超微粒子を凝集させた凝集性無機フィラー等を用いても何等問題はない。ここで、凝集性無機フィラーが複合材料混練時に解砕され平均粒径が1nm〜300nmとなる場合は超微粒子無機フィラーに分類され、平均粒径が1nm〜300nmに解砕されない場合は無機フィラーに分類される。超微粒子無機フィラーは、限定するものではないが、コロイダルシリカ(商品名:アエロジルR972、アエロジル200、アエロジル380、アエロジル50、日本アエロジル社製、5〜50nm)が好ましい。また、有機フィラーとしては重合性基を有する単量体を重合することによって得ることができ、その種類は特に限定されない。有機フィラーを具体的に例示すると、ポリメチルメタクリレート、スチレン、α−メチルスチレン、ハロゲン化スチレン、ジビニルベンゼン等の不飽和芳香族類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等の不飽和エステル類;アクリロニトリル等の不飽和ニトリル類;ブタジエン、イソプレン等の重合性基を有する単量体を単独でまたは複数で(共)重合させたものが挙げられる。特に好ましくは、歯科分野で既に公知である前述の重合性基を有する単量体を重合させたものである。有機フィラーの製造方法においても特に制限はなく、重合性基を有する単量体の乳化重合、懸濁重合および分散重合等のいずれの方法でもよく、また、予め生成した重合体バルクを粉砕する方法でも行なう事ができる。また、有機重合体中に無機粒子を含有した有機−無機複合フィラーを用いることもできる。有機重合体中に含有させる無機粒子としては、特に制限はなく公知のものが使用でき、例えば前述した無機フィラー等が挙げられる。有機−無機複合フィラーの製造方法においても、特に制限はなく、いずれの方法を採用することもできる。例えば、無機粒子の表面を有機物でのマイクロカプセル化やグラフト化する方法および無機粒子の表面に重合性官能基や重合性開始基を導入後ラジカル重合させる方法、予め生成した無機粒子を含む重合体バルクを粉砕する方法等が挙げられる。有機フィラーまたは有機−無機複合フィラーの平均粒径は1〜100μmの範囲が好ましい。より好ましくは3〜50μm、さらに好ましくは5〜30μmである。これらの無機、有機および有機−無機複合フィラーはそれぞれ単独で、または数種を組み合わせて用いることもできる。無機、有機および有機−無機複合フィラー等のフィラーは公知の方法により、その粒子表面を表面処理して用いることができる。例えば界面活性剤、脂肪酸、有機酸、無機酸、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤、ポリシロキサン等が挙げられる。これらの表面処理法は樹脂成分とフィラー表面の濡れ性を向上させ、複合材料に優れた諸特性を付与する点で好ましく、その要求特性に応じて適宜表面処理を選択することができる。また、それらフィラーを多機能化する目的でフィラー表面を特殊な表面処理剤および/または特殊な表面処理法により表面処理を行っても何等制限はない。フィラーの配合量は、歯科材料の種類にもよるが、重合性単量体100重量部に対して、1〜2000重量部配合することが好ましい。本発明の性能を評価する試験方法以下の通りである。(曲げ試験方法)評価目的:歯科材料試験体の曲げ強度を評価する。評価方法:配合表に従い調製した歯科材料をステンレス製金型に充填した後、1時間放置し硬化させた。硬化後、金型から硬化物を取り出した後、バリ等除き、試験体(25×2×2mm:直方体型)とした。その試験体を37℃、24時間水中に浸漬した後に曲げ試験を行った。本試験体を初期試験体とした。また、本試験体を25×2mmの面に対して、10kgの加重を加えた状態で、37℃、30日間水中に浸漬した後に曲げ試験を行った。本試験体を30日加重試験体とした。曲げ試験は、インストロン万能試験機(インストロン5567,インストロン社製)を用い支点間距離20mm,クロスヘッドスピード1mm/minにて行った。なお、試験は試験体数10個で行い、その平均値をもって評価した。(圧縮試験方法)評価目的:歯科材料試験体の圧縮強度を評価する。評価方法:配合表に従い調製した歯科材料をステンレス製金型に充填した後、1時間放置し硬化させた。硬化後、金型から硬化物を取り出した後、バリ等除き、試験体(直径3mm、高さ6mm:円柱体型)とした。その試験体を37℃、24時間水中に浸漬した後に圧縮試験を行った。本試験体を初期試験体とした。また、本試験体を直径3mmの面に対して、10kgの加重を掛けた状態で、37℃、30日間水中に浸漬した後に圧縮試験を行った。本試験体を30日加重試験体とした。圧縮試験はインストロン万能試験機(インストロン5567、インストロン社)を用い、クロスヘッドスピード1mm/minにて行った。なお、試験は試験体数10個で行い、その平均値をもって評価した。(変色性試験)配合表に従い調製した歯科材料を直径8mmの貫通孔を有する厚さ3mmのポリアセタール製型に、填入した後、貫通孔の両端をポリプロピレンフィルムで圧接し、5時間放置し、硬化体(試験片)を6個作製した。得られた試験片についてはその表面をバフ研磨を行い、水中24時間保存後の試料を初期浸漬体とした。その後、初期浸漬体の内5個を、80℃で7日間水中に浸漬した。浸漬後、水洗、乾燥した処理試験片として、初期浸漬体と変色度合を相対評価した。評価基準は以下の通りである。処理試験片を5個作製し、3人で最も多い評価を試験結果とした。A:評価した処理試験片の変色度合が、初期浸漬体とほぼ同程度である。B:評価した処理試験片の変色度合が、初期浸漬体の変色度合と比べて、極僅かに変色した。C:評価した処理試験片の変色度合が、初期浸漬体の変色度合と比べて、少し変色した。D:評価した処理試験片の変色度合が、初期浸漬体の変色度合と比べて、明らかに変色した。本発明の実施例及び比較例に示す化合物およびその略称を以下に示す。1-シクロヘキシル-5-プロピルバルビツール酸(実施例):CPBA1-シクロヘキシル-5-メチルバルビツール酸(比較例):CMBA重合性単量体:メチルメタクリレート:MMA重合性単量体:2−エトキシエチルメタクリレート:2EEMA重合性単量体(架橋性):2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシフェニル)プロパン:BMFP重合性単量体(架橋性):2−ヒドロキシ−3−アクリロイルオキシプロピルメタクリレート:HAPM有機金属化合物:銅(II)アセチルアセナート:CAA 有機金属化合物:アセチルアセトンリチウム: AAL有機ハロゲン化合物:トリオクチルメチルアンモニウムクロライド:TOMAC有機ハロゲン化合物:ジラウリルジメチルアンモニウムクロライド:DLDMAC本発明の実施例及び比較例に用いた歯科材料を構成する各化合物の配合量と試験結果を以下の表1に示す。実施例について、曲げ試験の初期値から30日荷重試験後の差が、最大で5.5MPaしか低下しておらず、圧縮試験の初期値から30日荷重試験後の差が、最大で5.8MPaしか低下していない。比較例は曲げ試験の初期値から30日荷重試験後の差が、最小で20.3MPaも低下しており、圧縮試験の初期値から30日荷重試験後の差が、最大で28MPaも低下している。明らかに比較例に比べ、実施例の方が強度の低下が見られない。本発明は歯科材料に用いることができ、産業上利用できる発明である。歯科材料に用いられる重合触媒であって、1-シクロヘキシル-5-プロピルバルビツール酸、トリオクチルメチルアンモニウムクロライド、有機金属化合物を含む歯科材料用重合触媒。歯科材料に用いられる重合触媒であって、1-シクロヘキシル-5-プロピルバルビツール酸 0.1〜10重量部、トリオクチルメチルアンモニウムクロライド0.1〜10重量部、有機金属化合物0.001〜1重量部を含む請求項1記載の歯科材料用重合触媒。歯科材料であって、重合性単量体、1-シクロヘキシル-5-プロピルバルビツール酸、トリオクチルメチルアンモニウムクロライド、有機金属化合物を含む歯科材料。歯科材料であって、重合性単量体100重量部に対して、1-シクロヘキシル-5-プロピルバルビツール酸0.1〜10重量部、トリオクチルメチルアンモニウムクロライド0.1〜10重量部、有機金属化合物0.001〜1重量部を含む請求項3記載の歯科材料。請求項4記載の歯科材料にフィラーを含む歯科材料。口腔内環境下で保存安定性に重合触媒に関する。更に、本重合触媒により硬化した歯科材料に関する。【解決手段】 歯科材料に用いられる重合触媒に、1-シクロヘキシル-5-プロピルバルビツール酸を用いることで解決した。より詳しくは、歯科材料であって、重合性単量体100重量部に対して、1-シクロヘキシル-5-プロピルバルビツール酸0.1〜10重量部、有機金属化合物0.001〜1重量部、トリオクチルメチルアンモニウムクロライド0.1〜10重量部を配合することにより達成する。【選択図】なし


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