生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_イヌの炎症を診断、抑制および予防し、炎症状態を緩和するための方法
出願番号:2014246789
年次:2015
IPC分類:C12Q 1/68,G01N 33/68,A61K 31/202,A61K 31/205,A61K 31/355,A61K 31/375,A61P 19/02,G01N 33/50


特許情報キャッシュ

フランツ,ノーラン・ゼブロン JP 2015096071 公開特許公報(A) 20150521 2014246789 20141205 イヌの炎症を診断、抑制および予防し、炎症状態を緩和するための方法 ヒルズ・ペット・ニュートリシャン・インコーポレーテッド 502329223 小野 新次郎 100140109 小林 泰 100075270 竹内 茂雄 100101373 山本 修 100118902 辻本 典子 100162455 フランツ,ノーラン・ゼブロン US 61/334,084 20100512 C12Q 1/68 20060101AFI20150424BHJP G01N 33/68 20060101ALI20150424BHJP A61K 31/202 20060101ALI20150424BHJP A61K 31/205 20060101ALI20150424BHJP A61K 31/355 20060101ALI20150424BHJP A61K 31/375 20060101ALI20150424BHJP A61P 19/02 20060101ALI20150424BHJP G01N 33/50 20060101ALI20150424BHJP JPC12Q1/68 AG01N33/68A61K31/202A61K31/205A61K31/355A61K31/375A61P19/02G01N33/50 P 7 2013510177 20110505 OL 10 [0001] 本発明は、イヌの炎症を診断、抑制および予防し、炎症状態、特に関節炎および関節痛を緩和する方法であって、炎症バイオマーカーを測定することを含み、その際、バイオマーカーの血中レベルの上昇を炎症の軽減と相関させ、血中レベルの低下を組織におけるレベルの上昇と相関させる方法に関する。本発明はさらに、炎症を治療または抑制する方法であって、増加したレベルのDHA、EPA、ビタミンC、ビタミンE、および/またはL−カルニチンのうち1種類以上を含む食餌を与えることを含む方法を提供する。 [0002] 変性性関節疾患は、比較的頻繁に骨関節炎と関連し、イヌの最も一般的な筋骨格疾患のひとつである。生化学的には、骨関節炎は滑膜関節にある関節軟骨の合成と分解の均衡の喪失である。これには、しばしば滑膜に関わる炎症を含めることができる。炎症サイクルは関節表面をさらに分解し、その結果、痛みおよび跛行が生じる。関節炎はイヌの跛行の最も一般的な原因であり、その発病率は1歳を超えるイヌの20%が罹患すると報告されている。関節炎は異常な負荷、外傷、感染症/炎症、および十字靭帯破断の結果として起きる可能性がある。素因には、年齢、品種、体格、肥満症および遺伝性が含まれる。イヌの関節炎において軟骨代謝関連遺伝子の発現がどのように変化しているかを理解することは、関節炎状態を治療し、および/または管理を補助するのに有用な見通しを提供する可能性がある。 [0003] 骨関節炎は、1以上の関節の軟骨、骨、および軟組織の進行性炎症および劣化により引き起こされる慢性変性性関節疾患である。リウマチ性関節炎は、関節に炎症および損傷を引き起こす自己免疫状態である。両方とも慢性炎症状態である。関節に対する損傷は進行性でありかつ大部分は不可逆性であるので、炎症プロセスを事前に確認して対処することが望ましい。残念ながら血中のバイオマーカー発現と組織における発現の相関性を求めるのは困難であることが証明されており、このためこの疾患が重篤な痛みおよび不可逆的な組織損傷を生じる前に診断するのは難しい。 [0004] 意外にも、本発明者らはイヌにおいて組織と比較した血中の多数の炎症バイオマーカーの発現の逆相関性を見出した。組織レベルおよび関連炎症が軽減した時点で、バイオマーカーの血中レベルはより高い。この逆相関性は予想外であり、初期の炎症の存在を評価するための新しい方法を提供する。 [0005] したがって本発明は、第1態様において、イヌの炎症状態を検出する方法であって、1種類以上の炎症バイオマーカーの血中レベルを測定することを含み、その際、血中での発現の増大を組織における炎症の治癒および軽減と相関させる方法を提供する。 [0006] 他の態様において、本発明は、イヌの炎症を抑制および/または予防し、あるいは炎症状態、特に関節炎および関節痛を緩和する方法であって、血中の炎症マーカーのより低いレベルを測定することによりその状態を確認し、そして増加したレベルのDHA、EPA、ビタミンC、ビタミンE、および/またはL−カルニチンのうち1種類以上を含む食餌を、たとえば2週間の期間与えることを含む方法を提供する。 [0007] 本発明の方法に使用するための食餌には、たとえば増加したレベルのDHA、EPA、ビタミンC、ビタミンE、および/またはL−カルニチンのうち1種類以上を含む、たとえば乾燥重量基準で0.25〜5%の量のDHA+EPAを含むイヌ用食餌、たとえば乾燥重量基準で DHA+EPA:0.5〜2.5% ビタミンC:75〜1000mg/kg ビタミンE:250〜1000mg/kg L−カルニチン:100〜1000mg/kgを含む食餌、たとえばほぼ実施例1の被験食の栄養素組成をもつ食餌、たとえば乾燥重量基準でほぼ表1に示す量+/−10%の成分を含む食餌が含まれる。 [0008] 組織において減少した際に血中で増加する炎症バイオマーカーには、たとえば下記のものから選択される1種類以上のバイオマーカーが含まれる:IL−6、ADAMTS−4、IFNG、HAS2、BGN、SOX−9、ADAMTS−5、MMP3、ACP5、IL1A、TNC、HAS3、COMP、IGF−1、GHR、Xaa−プロペプチダーゼ、RANKL、SMAD7、PGE2、TLR9、PLOD1、およびSCL2A9。 実施例1−食餌が関節炎のイヌの炎症バイオマーカーに及ぼす効果 [0009] 骨関節炎(OA)を伴うイヌに与えた場合に被験食が全血中の選択した関節炎関連遺伝子に及ぼす効果を評価するために試験を実施した。跛行および少なくとも1つの関節にOAに一致するX線像の変化を伴う31匹のビーグル犬(初期体重13.5±1.27kg、年齢11.0±2.23歳)を試験に含めた。すべてのイヌに対照である維持食を28日間与えた後、増加したレベルのEPAおよびDHA、ビタミンCおよびE、ならびにL−カルニチンを含有する被験食を与えた。対照食の最終日および被験食摂取14日後に全血試料を採集した。被験食を14日間摂取した後、これらのイヌに改善された整形学的検査スコアが認められた。被験配合物を14日間摂取した後、OAイヌは健康な高齢のイヌと比較してOAにおいてダウンレギュレートされることが先に立証された22の遺伝子(IL−6、ADAMTS−4、IFNG、HAS2、BGN、SOX−9、ADAMTS−5、MMP3、ACP5、IL1A、TNC、HAS3、COMP、IGF−1、GHR、Xaa−プロペプチダーゼ、RANKL、SMAD7、PGE2、TLR9、PLOD1、およびSCL2A9)の発現が増大し、アップレギュレートされることが先に示されたANXA1の発現が低下していた。まとめると、骨関節炎を伴うイヌに被験配合物を与えると、先に健康な高齢のイヌと比較して骨関節炎のイヌの血中にみられた遺伝子発現パターンが14日後に復帰していた。 [0010] この試験は、ゲノム全血Nanostring遺伝子分析を用いて、骨関節炎のイヌが被験食を摂取した後の選択した遺伝子における変化を先の文献に基づき同定する。 [0011] 種々の程度の骨関節炎のX線撮影証拠および跛行歴をもつ31匹の去勢/卵巣切除したビーグル犬(初期体重13.5±1.27kg、年齢11.0±2.23歳)をこの試験のために同定した。理学的検査および血清化学プロフィールにより、すべてのイヌが他の点では健康であるとみなされた。すべてのイヌがイヌジステンパー、アデノウイルス、パルボウイルス、ボルデテラ(bordetella)、および狂犬病に対して免疫化されており、理学的検査、完全血球計数、血清生化学分析、尿分析、および寄生虫に関する検便の結果に基づいて、慢性全身性疾患を伴うものはなかった。イヌは、相互交流、飼育者との毎日の交流や遊びの時間、毎日の屋外での駆け足や運動の機会、および玩具の利用によって、豊かな行動を経験していた。試料採集前に、すべてのイヌに基礎的な維持用対照食を28日間与えた。血液を採取してPAXgeneチューブに集め、評価するまで−80℃で保存した。分析のための遺伝子は公開された文献に基づいて選択され、イヌについての配列を入手できるものであった。Nanostring法(発現分析)を用いて89の選択した遺伝子につきデータを作製した。 [0012] 全試料中で最も安定な遺伝子を基準として遺伝子を標準化した。P<0.05(偽所見率調整Q=0.1による)および少なくとも1.25の変化倍率をもつ遺伝子を、2グループ間で差があるとみなした。アップレギュレートされた遺伝子を正の変化倍率として示す。ダウンレギュレートされた遺伝子を負の変化倍率として示す。 [0013] Nanostring法を用いた全血遺伝子発現プロフィールの分析により、選択した遺伝子のうち23において骨関節炎のイヌと正常な高齢のイヌとの間に差がみられた。これらの遺伝子は大部分が、イヌの骨関節炎軟膏組織において以前に報告されたものと反対方向に発現している。しかし、骨関節炎のイヌが被験配合物を摂取した後、この遺伝子発現パターンは健康なイヌとより類似するように復帰した。このデータは、改善された整形学的スコアおよび軟骨バイオマーカーを含めて、測定した臨床応答を裏付ける。 [0014] この試験の結果は、正常な高齢のイヌと比較して骨関節炎のイヌにおいて差があると認められた選択した遺伝子が被験配合物の摂取後に完全復帰したことを示した。遺伝子発現の変化のほか、整形学的スコアおよび軟骨バイオマーカーの改善がみられた。これらは、OAを伴うイヌにおける治療食の有効性を示す有用なマーカーとなりうる。 イヌの炎症状態を検出する方法であって、1種類以上の炎症バイオマーカーの血中レベルを測定することを含み、その際、血中での発現の増大を組織における炎症の軽減と相関させる方法。 測定するバイオマーカーが、IL−6、ADAMTS−4、IFNG、HAS2、BGN、SOX−9、ADAMTS−5、MMP3、ACP5、IL1A、TNC、HAS3、COMP、IGF−1、GHR、Xaa−プロペプチダーゼ、RANKL、SMAD7、PGE2、TLR9、PLOD1、およびSCL2A9のうち1種類以上から選択される、請求項1に記載の方法。 さらに、ANXA1の血中レベルを測定することを含み、その際、ANXA1レベルのレベル低下を組織における炎症の軽減と相関させる、請求項1または2に記載の方法。 標準食と比較して増加したレベルのDHA、EPA、ビタミンC、ビタミンE、および/またはL−カルニチンのうち1種類以上を含む食餌を与えることにより炎症状態を治療または抑制することを含む、請求項1、2または3に記載の方法。 前記の食餌を少なくとも2週間の期間与える、請求項4に記載の方法。 食餌が、乾燥重量基準で0.25〜5%の量のDHA+EPAを含む、請求項4または5に記載の方法。 食餌が、乾燥重量基準で DHA+EPA:0.5〜2.5% ビタミンC:75〜1000mg/kg ビタミンE:250〜1000mg/kg L−カルニチン:100〜1000mg/kgを含む、請求項4に記載の方法。 食餌がほぼ実施例1の被験食の栄養素組成を有する、請求項4に記載の方法。 抑制または治療される状態が骨関節炎である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。 【課題】イヌの炎症状態、特に関節炎および関節痛を診断する方法を提供する。【解決手段】炎症バイオマーカーを測定することを含み、その際、バイオマーカーの血中レベルの上昇を炎症の軽減と相関させ、血中レベルの低下を組織におけるレベルの上昇と相関させる方法。さらに、炎症を治療または抑制する方法であって、増加したレベルのDHA、EPA、ビタミンC、ビタミンE、および/またはL−カルニチンのうち1種類以上を含む食餌を与えることを含む方法。【選択図】なし20141225A16333全文3 乾燥重量基準で タンパク質:18〜22%; 脂肪:14.4〜17.6%; 炭水化物:45.9〜56.1%; 粗繊維:8.1〜9.9%; L-カルニチン:315.9〜386.1mg/kg; ビタミンC:202.5〜247.5ppm; ビタミンE:526.5〜643.5ppm; DHA:0.27〜0.33%;および EPA:0.45〜0.55%;を含む食餌をイヌに与えることにより、イヌの炎症状態を治療または抑制する方法。 抑制または治療される状態が骨関節炎である、請求項1に記載の方法。 1種類以上の炎症バイオマーカーの血中レベルを測定することにより炎症状態を検出し、その際、血中での発現の増大を組織における炎症の軽減と相関させる、請求項1または請求項2に記載の方法。 測定するバイオマーカーが、IL−6、ADAMTS−4、IFNG、HAS2、BGN、SOX−9、ADAMTS−5、MMP3、ACP5、IL1A、TNC、HAS3、COMP、IGF−1、GHR、Xaa−プロペプチダーゼ、RANKL、SMAD7、PGE2、TLR9、PLOD1、およびSCL2A9のうち1種類以上から選択される、請求項3に記載の方法。 さらに、ANXA1の血中レベルを測定することを含み、その際、ANXA1レベルのレベル低下を組織における炎症の軽減と相関させる、請求項3または4に記載の方法。 前記の食餌を少なくとも2週間の期間与える、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。 イヌの炎症状態を治療または抑制する際に使用するための、請求項1〜6のいずれか1項に記載の組成物。


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