タイトル: | 公開特許公報(A)_ロキソプロフェンを配合する外用剤組成物 |
出願番号: | 2014222155 |
年次: | 2015 |
IPC分類: | A61K 31/192,A61K 36/18,A61K 36/48,A61P 29/00,A61P 43/00 |
鳥住 保博 JP 2015110557 公開特許公報(A) 20150618 2014222155 20141031 ロキソプロフェンを配合する外用剤組成物 第一三共ヘルスケア株式会社 306014736 竹元 利泰 100161160 石橋 公樹 100146581 児玉 博宣 100164460 鳥住 保博 JP 2013227844 20131101 A61K 31/192 20060101AFI20150522BHJP A61K 36/18 20060101ALI20150522BHJP A61K 36/48 20060101ALI20150522BHJP A61P 29/00 20060101ALI20150522BHJP A61P 43/00 20060101ALI20150522BHJP JPA61K31/192A61K35/78 CA61K35/78 JA61P29/00A61P43/00 121 4 OL 8 4C088 4C206 4C088AB14 4C088AB60 4C088MA02 4C088MA63 4C088NA05 4C088ZA08 4C088ZB11 4C088ZC75 4C206AA01 4C206AA02 4C206DA23 4C206MA02 4C206MA03 4C206MA04 4C206MA83 4C206NA05 4C206ZA08 4C206ZB11 4C206ZC75 本発明は、ロキソプロフェンのもつ優れた鎮痛消炎作用を減弱することなく、打撲・捻挫・激しいスポーツの後・腱鞘炎・所謂テニス肘や加齢などにおける、筋肉痛・腰痛・関節痛・肩痛等の症状を改善する外用剤組成物に関する。より詳しくは、ロキソプロフェンに特定の生薬又はそれらの抽出物を含有させることによって、消炎作用を更に向上させた外用消炎鎮痛剤に関する。 プロピオン酸系非ステロイド性解熱鎮痛消炎剤(NSAID)であるロキソプロフェンは、他のNSAIDと同様にプロスタグランジン生合成の抑制作用に基づく解熱・鎮痛・消炎作用を有する。なお、ロキソプロフェンは経口投与後に胃粘膜刺激作用の弱い未変化体のまま消化管から吸収され、体内で活性体となるプロドラッグであるため、活性体よりも胃粘膜障害は少ないという特徴を有することでも知られている(例えば、非特許文献1参照)。 近年、ロキソプロフェンは外用消炎鎮痛剤としてもパップ剤、テープ剤及びゲル剤が臨床に供されている(例えば、非特許文献2参照)。なお、ロキソプロフェンは、皮膚においてもケトン還元酵素によってトランス−OH体(活性体)に変換されることが知られている(例えば、特許文献1参照)。 生薬のサンシシ(山梔子)は、漢方処方用薬として、消炎排膿、皮膚疾患、尿路疾患、精神神経症を目的とした処方に配合されている(例えば、非特許文献3参照)。また、サンシシ粉末をオウバク末などと酢で練って打撲傷などに外用することも知られている(非特許文献4参照)。 生薬のカンゾウ(甘草)は、漢方処方用薬として、健胃、鎮痛・鎮痙、去痰などを目的に最も繁用される漢薬で、そのエキスに消化性潰瘍抑制作用、亜硫酸ガスによる咳嗽抑制作用、抗炎症作用、抗アレルギー作用が認められている(例えば、非特許文献3参照)、カンゾウ末のみを配合したパップ剤に鎮痛・消炎効果があることも開示されている(非特許文献5参照)。 本研究の比較例で使用した生薬のアルニカを、チンキ剤にしたアルニカチンキに消炎作用があることが記載されている(非特許文献4参照)。 これまでに、フェルビナクとサンシシ又はアルニカチンキとの組み合わせが知られており、当該併用でSOD活性が増強することが開示されている(特許文献2参照)。また、サリチル酸グリコールとアルニカチンキを含有する消炎鎮痛剤も開示されている(特許文献3参照)。しかし、ロキソプロフェンにサンシシ又はカンゾウを配合した外用剤組成物は知られていない。特開2008−074873公報特開2007−291069公報特開平11−180887公報薬理と治療 Vol.16 No.2 1988 p.611-619JAPIC 医療用医薬品集2013 丸善 2012医療における漢方・生薬学 廣川書店 2003廣川 薬用植物大辞典 廣川書店 1991家庭薬研究 13 1994 p.57−60 本発明の課題は、外用ロキソプロフェンの鎮痛消炎作用を更に向上させ得る併用成分を選定することである。 長年にわたる研究の結果、ロキソプロフェンに、特定の生薬又はそれらの抽出物を含有させることによって、ロキソプロフェンの消炎作用が顕著に持続することを見出し、本発明を完成するに至った。 すなわち、本発明は、(1)ロキソプロフェンと、サンシシ又はその抽出物、及び/又は、カンゾウ又はその抽出物とを含有する外用剤組成物であり、好適には、(2)皮膚に適用するための、請求項1に記載の外用剤組成物、(3)鎮痛消炎剤である、請求項1又は2に記載の外用剤組成物、又は(4)消炎剤である、請求項1又は2に記載の外用剤組成物である。 本発明の、ロキソプロフェンにサンシシ及び/又はカンゾウを含有する外用剤組成物は、ロキソプロフェンの消炎作用が顕著に増強乃至持続するため、臨床上極めて有用である。 本発明のロキソプロフェンは、ロキソプロフェンナトリウム水和物として第16改正日本薬局方に掲載されている。サンシシ、サンシシ末、カンゾウ、カンゾウ末、及び、カンゾウ粗エキスも第16改正日本薬局方に収載されている。 本発明の外用剤組成物において含有される、ロキソプロフェンの重量%は通常、0.1〜30%であり、好ましくは、0.5〜10%である。これを1日1〜数回塗布乃至貼付する。サンシシ又はその抽出物や、カンゾウ又はその抽出物の添加量は特に限定されないが、好適には0.1〜30%であり、より好ましくは、0.5〜10%である。 本発明の外用消炎鎮痛剤組成物の具体的な剤形としては、例えば、液剤、クリーム剤、軟膏剤、ゲル剤、貼付剤(テープ剤、パップ剤)、エアゾール剤等をあげることができ、各剤形に適した添加剤や基材を適宜使用し、日本薬局方などに記載される通常の方法に従い、製造することができる。 上記各剤形において、その剤形に応じ、通常使用される基剤又は各種添加剤を使用することもできる。例えば、液剤の場合、エタノール、プロパノール、イソプロパノール等の低級アルコール;水;プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ブチレングリコール、グリセリン、ヒマシ油等を溶剤として、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、トリエタノールアミン等をpH調整剤として、カルボキシビニルポリマー、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸等の高分子を粘性付与剤として、使用することができ、クリーム剤の場合、ワセリン等の炭化水素類;エステル類;トリグリセライド類;セタノール、ステアリルアルコール等の高級アルコール類等を油相成分として、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、セチル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸ナトリウム、ジオクチルソジウムスルホサクシネート等のアニオン界面活性剤;塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム等のカチオン界面活性剤;ショ糖脂肪酸エステル、ステアリン酸ポリオキシル40、モノステアリン酸エチレングリコール、セスキオレイン酸ソルビタン、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリソルベート、モノステアリン酸グリセリン等のノニオン界面活性剤等を界面活性剤として、グリセリン、プロピレングリコール、ソルビトール等を保湿剤として使用することができ、軟膏剤の場合、ワセリン、流動パラフィン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス等の炭化水素類;プラスチベース;精製ラノリン、ラノリンアルコール、水添ラノリン等のラノリン類;動植物油;天然ワックス;ロウ等を軟膏基剤として使用することができ、ゲル剤の場合、ステアリン酸アルミニウム、脂肪酸デキストランエステル等を油性ゲル基剤として、カルボキシビニルポリマー、ベントナイト等を水性ゲル基剤として使用することができ、貼付剤の場合、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウム、ゼラチン、ペクチン、ポリビニルピロリドン、ビニルアセテート共重合体、ポリエチレンオキサイド、メチルビニルエーテル・無水マレイン酸共重合体、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、キサンタンガム、アラビアガム、トラガントガムなどが、保湿剤としてはグリセリン、ソルビトール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等を粘着性高分子として、硫酸アルミニウムカリウム、ケイ酸アルミン酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化アルミナマグネシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、合成ヒドロタルサイト、ジヒドロキシアルミニウムアミノアセテート、トリグリシジルイソシアネート、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジグルシジルエーテル、トリグリセリンジグリシジルエーテル等を硬化剤として、カオリン、無水ケイ酸、酸化亜鉛、酸化チタン等を無機粉体として、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリコールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンフィトステロール、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル等を界面活性剤として使用することができ、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体、ポリイソブチレン、ポリアクリル酸部分中和物等を粘着剤として使用することができ、エアゾール剤の場合、塩化フッ化炭素類;塩化フッ化炭化水素類;液化石油ガス類;ジメチルエーテル類を液化ガス噴射剤として、窒素ガス、二酸化炭素ガス、亜酸化窒素ガスを圧縮ガス噴射剤として、使用することができる。 以下に、試験例及び製剤例をあげて本発明を更に具体的に説明する。(製剤例1)液剤(表1)100g中(g) a b c―――――――――――――――――――――――――――――――ロキソプロフェンナトリウム 1 1 1サンシシ乾燥エキス 1 0 1カンゾウエキス 0 1 1エタノール 5 10 20精製水 残部 残部 残部――――――――――――――――――――――――――――――― 上記成分および分量をとり、日局製剤総則「外用液剤」の項に準じて液剤を製造する。(製剤例2)ゲル剤(表2)100g中(g) a b c―――――――――――――――――――――――――――――――ロキソプロフェンナトリウム 1 1 1サンシシ乾燥エキス 1 0 1カンゾウエキス 0 1 1カルボキシビニルポリマー 2 2 2ヒプロメロース 1.5 1.5 1.5エタノール 5 5 5精製水 残部 残部 残部――――――――――――――――――――――――――――――― 上記成分および分量をとり、日局製剤総則「ゲル剤」の項に準じてゲル剤を製造する。(試験例)消炎効果試験(1)被検物質 ロキソプロフェンナトリウム・2水和物は第一三共製のものを、サンシシ乾燥エキス、カンゾウエキス末、及び、アルニカチンキは日本粉末薬品製のものをそれぞれ使用した。各被験物質は、溶媒として5%エタノールを用い、1%濃度となるように調製し、2剤併用の場合には各薬剤がそれぞれ1%となるように調製した。(2)使用動物 Wistar今道雄性ラット5週齢(動物繁殖研究所)を5日間の検疫及び2日間の馴化後に使用した。動物は温度20−26℃、湿度30−80%、照明時間8−20時に制御されたラット飼育室内で5匹/ケージにて飼育した。マウス・ラット用固形試料(フナバシファーム製、F-2)およびフィルターを通した水道水を自由に摂取させ、1週間予備飼育した後、毛並、体重増加などの一般症状の良好な動物を選別して供試した。(3)試験方法 試験前日夕刻より絶食(飲水は自由)させ、試験当日の朝より絶水し試験終了まで継続した。試験当日、動物の個体識別のための標識を行った後、動物用天秤を用いて体重を測定後、ラットの右後肢体積を、足容積測定装置(Volume Meter TK-105、室町機械製)を用いて測定して投与前値とした。溶媒として5%エタノールを用いて1%濃度のカラゲニン(シグマアルドリッチジャパン製)溶液に調製したものを、被験物質塗布直前にラットの右後肢皮下に0.1mL投与して炎症浮腫を惹起させた。 カラゲニン皮下投与(起炎)直後に、各被験物質をラットの右後肢に0.1mL塗布した。塗布後、動物を速やかに補綴器具で補綴し、塗布部分を動物が舐めることを回避した。 カラゲニン皮下投与3時間および5時間後に右後肢容積を測定し、各固体の浮腫強度を次式により算出した(N=5)。 対照群(5%エタノール媒体のみ投与)の平均浮腫強度に対する被験物質投与群のそれより、浮腫抑制率(%)を次式より求めた。(4)試験結果 試験は2回に分けて行った。第1回目の試験で得られた、カラゲニン投与3時間および5時間後における各被験物質群の浮腫抑制比の結果を表3に示す(N=5)。ここで、ロキソプロフェンはロキソプロフェンナトリウム、サンシシはサンシシ乾燥エキスである。(表3) 浮腫抑制率(%)被験物質(濃度%) 3時間後 5時間後―――――――――――――――――――――――――――――――――――ロキソプロフェン(1) 16.2 12.0サンシシ(1) 6.7 2.5ロキソプロフェン(1)+サンシシ(1) 29.1 23.5――――――――――――――――――――――――――――――――――― 表3より、起炎後3時間後において、ロキソプロフェン及びサンシシの各単剤で、いずれも浮腫抑制作用が認められた。5時間後においてはいずれの場合も減弱してくる。 一方、ロキソプロフェンにサンシシを併用した場合には、相乗的な抗浮腫作用の増強と持続時間の延長が発現するという意外な事実が判明した。 1週間後に第2回目の試験を実施した。得られたカラゲニン投与3時間および5時間後における各被験物質群の浮腫抑制比の結果を表4に示す(N=5)。ここで、ロキソプロフェンはロキソプロフェンナトリウム、カンゾウはカンゾウエキス末、アルニカはアルニカチンキである。(表4) 浮腫抑制率(%)被験物質(濃度%) 3時間後 5時間後―――――――――――――――――――――――――――――――――――ロキソプロフェン(1) 30.8 12.3カンゾウ(1) 3.8 −7.5ロキソプロフェン(1)+カンゾウ(1) 47.9 35.2アルニカ(1) 22.5 11.3ロキソプロフェン(1)+アルニカ(1) 40.0 24.6――――――――――――――――――――――――――――――――――― 表4より、起炎後3時間後において、ロキソプロフェン、カンゾウ及びアルニカの各単剤で、いずれも浮腫抑制作用が認められた。しかし、5時間後においてはいずれの場合も減弱するが、カンゾウ単剤では浮腫抑制作用はわずかな悪化が認められる。 一方、ロキソプロフェンにカンゾウを併用した場合には、相乗的な抗浮腫作用の増強と持続時間の延長が発現するという意外な事実が判明した。 なお、ロキソプロフェンにアルニカを併用した場合には、抗浮腫作用は相加作用以下の効果しか得られていない。 本発明の、ロキソプロフェンとサンシシ及び/又はカンゾウを含有する外用鎮痛消炎剤は、ロキソプロフェンの消炎作用の増大とともに、顕著な消炎作用の持続性がもたらされるため、極めて有用である。ロキソプロフェンと、サンシシ又はその抽出物、及び/又は、カンゾウ又はその抽出物とを含有する外用剤組成物。皮膚に適用するための、請求項1に記載の外用剤組成物。鎮痛消炎剤である、請求項1又は2に記載の外用剤組成物。消炎剤である、請求項1又は2に記載の外用剤組成物。 【課題】本発明の課題は、外用ロキソプロフェンの鎮痛消炎作用を更に向上させ得る併用成分を提供することである。【解決手段】ロキソプロフェンと、サンシシ又はその抽出物、及び/又は、カンゾウ又はその抽出物とを含有する外用剤組成物。【選択図】なし