タイトル: | 公開特許公報(A)_金属イオンの検出材およびその製造方法、ならびに土壌評価方法 |
出願番号: | 2014190809 |
年次: | 2015 |
IPC分類: | G01N 31/00,G01N 31/22,G01N 21/78,G01N 33/24 |
若杉 玲子 坂本 達宣 深浦 仁美 JP 2015083971 公開特許公報(A) 20150430 2014190809 20140919 金属イオンの検出材およびその製造方法、ならびに土壌評価方法 独立行政法人国立高等専門学校機構 504237050 有限会社坂本石灰工業所 392012283 加藤 久 100099508 久保山 隆 100093285 遠坂 啓太 100182567 若杉 玲子 坂本 達宣 深浦 仁美 JP 2013194646 20130919 G01N 31/00 20060101AFI20150403BHJP G01N 31/22 20060101ALI20150403BHJP G01N 21/78 20060101ALI20150403BHJP G01N 33/24 20060101ALI20150403BHJP JPG01N31/00 SG01N31/22 121PG01N31/22 124G01N21/78 ZG01N33/24 D 8 1 OL 23 2G042 2G054 2G042AA01 2G042BC06 2G042CA05 2G042CB03 2G042DA08 2G042FA01 2G042FA14 2G042FA19 2G042FB05 2G042GA05 2G042HA07 2G054AA04 2G054AB07 2G054CA10 2G054CE02 2G054EA06 2G054GA03 2G054GB04 2G054GE01 本発明は、金属イオンの有無を検出する検出材に関する。特に、土壌中の重金属(六価クロム等)のような環境汚染物質の有無を評価するための検出に適した検出材を提供するものであり、試験現場にて目視で簡易に、重金属等の有無を調査することを可能とするものである。 産業廃棄物の処理場や工場跡地などの土壌は、重金属等(クロム、ヒ素、鉛、フッ素等)による汚染が懸念される土壌となっている場合がある。このような土壌は降雨などによりその汚染物質が周辺地域へ溶出拡散したりすることで、さらに汚染地域が拡大し広範囲な環境汚染が生じるおそれがあり、その浄化が求められている。 汚染土壌の浄化を行うためには、汚染源の有無および汚染源の特定が必要であるが、そのためには、汚染が予測される広範囲な面積を対象とした土壌の採取とその分析が必要となる。例えば、六価クロムを測定する方法である環境庁告示の公定法(非特許文献1)による溶出試験は、検液を作製するための汚染土壌の風乾や振とう機による6時間連続振とうなど、煩雑で長時間を要するものであり、また、ICP−質量分析装置や原子吸光分析装置などの分析機器を必要とし、土壌中の重金属イオンの迅速な分析を行うことが困難な状態にある。 大型の装置を用いることなく簡便に環境調査を行うために、例えば特許文献1には、シリカ粒子と色素分子を複合化した水中六価クロム検知材が開示されている。特開2007−327886号公報環境省告示第一八号 一般的な金属イオン、特に重金属イオンの分析には高度な検査装置や長時間を要する問題があった。これらの解決のために、特許文献1には、シリカ粒子と色素分子を複合化した検知材が開示されているが、この検知材により測定を行ためには土壌中の成分を溶液に抽出することと、担持されている色素に併せて、強酸を加える等の作業が必要となり、検知材に加えて他の試薬等の準備が求められ簡易に使用できるものではなかった。また、土壌の汚染濃度が低い場合、相対的に溶液に抽出される汚染物質濃度も低くなるため、低濃度の検出を行うためには光度計等による分析が必要になり、現場で簡易に分析を行うには十分ではなかった。 本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、下記の発明が上記目的に合致することを見出し、本発明に至った。 すなわち、本発明は、以下の発明に係るものである。 <1> 金属イオンの有無を評価する検出材であって、基材に、発色剤と、水溶液が接触したとき酸性条件とする酸性化物質とを担持させたことを特徴とする検出材。 <2> 前記金属イオンが、環境汚染物質である前記<1>記載の検出材。 <3> 前記酸性化物質が、無機酸である前記<1>または<2>記載の検出材。 <4> 前記基材が、吸水機能を有する多孔質材料である前記<1>〜<3>のいずれかに記載の検出材。 <5> 前記基材が、シリカ粒子および多孔質ガラス粒子、ハイシリカゼオライトからなる群から選択される少なくとも1以上の基材である前記<1>〜<4>のいずれかに記載の検出材。 <6> 前記発色剤が、ジフェニルカルバジド、メチルチモールブルー四ナトリウム、Cu−1−(2−ピリジルアゾ)−2−ナフトールおよびキシレノールオレンジからなる群から選択されるいずれかの発色剤である前記<1>〜<5>のいずれかに記載の検出材。 <7> 金属イオンの有無を評価する検出材の製造方法であって、 基材に、水溶液が接触したとき酸性条件とする酸性化物質の溶液を接触させ乾燥することで酸性化物質を担持させた基材とする第一の工程と、 前記第一の工程で得られた酸性化物質を担持させた基材に、発色剤溶液を接触させ乾燥することで発色剤を担持させる第二の工程とにより検出材を製造する方法。 <8> 基材に、発色剤と、水溶液が接触したとき酸性条件となる酸性化物質とを担持させた検出材を用いて土壌中の金属イオンの有無を評価する土壌評価方法。 本発明の検出材によれば、金属イオン、例えば土壌や水中等の環境汚染物質、特に重金属類の検出を簡易におこなうことができる。特に、土壌中の重金属を測定するにあたり、特別な試薬や光度計等の装置を必要とせず、直接土壌と接触させる等の簡易な方法で低濃度の重金属の有無を確認することができる。また、本発明は、この検出材を製造する効率的な方法に関するものであり、さらには、この検出材を用いた土壌評価方法であり、この土壌評価方法は利便性に優れている。本発明の検出材と六価クロム溶液との反応を確認した結果を示す図である。本発明の検出材と六価クロム溶液との反応を確認した結果を示す図である。本発明の検出材と六価クロム溶液との反応を確認した結果を示す図である。本発明の検出材を用いて模擬汚染土壌による発色確認試験を行った結果を示す図である。本発明の検出材を用いて模擬汚染土壌による発色確認試験を行った結果を示す図である。本発明の検出材と鉛溶液との反応を確認した結果を示す図である。本発明の検出材と純水との反応を確認した結果を示す図である。本発明の検出材とカドミウム溶液との反応を確認した結果を示す図である。本発明の検出材と水銀溶液との反応を確認した結果を示す図である。 以下に本発明の実施の形態を詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、本発明はその要旨を超えない限り、以下の内容に限定されない。 本発明は、金属イオンの有無を評価する検出材であって、基材に、発色剤と、水溶液が接触したとき酸性条件とする酸性化物質とを担持させたことを特徴とする検出材に関するものである。この検出材は、担持させた発色剤によって、土壌や水中等の金属イオン(なかでも環境汚染物質)の有無を検出することに適しており、特に、担持させた発色剤が酸性条件下で反応する試薬の場合に、複雑な操作を行うことなく、この検出材によって汚染物質の有無を評価することができる。 本発明は金属イオンの有無を評価する検出材に関し、具体的には土壌や水等の自然環境中に含まれる可能性がある環境汚染物質と反応することで発色性を示す検出材である。これは、本発明の検出材に発色剤を担持させることによるが、このような発色剤を担持させた基材は、発色剤が所定の条件で対象となる汚染物質と反応することで発色し、その発色の有無によって目的とする汚染物質の有無やその程度を把握することができるものである。しかしながら、一般的にこの発色剤は、単独では結晶状の粉末、溶液等のものが多く、単独での取り扱い性が低い。または、実際の試験のための発色剤の必要量は微量であるのに対して、目視等で観察するために必要な量を、試験のたびに用いるには高価すぎたり、発色が強すぎて結果を観察しにくい場合がある。そのため、検出対象となる物質とは反応せず、その表面や内部に発色剤を分散担持させることができる基材に、目視観察等に適した量の発色剤を担持させたものを用いることが適している。[基材] 本発明の検出材に用いられる基材とは、前述のように、発色剤を、その基材の表面や内部に分散担持させることができるものである。基材としては、詳しくは後述するシリカ粒子や、多孔質ガラス粒子、ハイシリカゼオライト等を用いることができる。このとき、基材は、さらに酸性化物質を有する態様とするために、酸性溶液に浸漬させ含浸処理することができるように、耐酸性を有するものであることが好ましい。また、発色剤を担持させるとき、基材を発色剤溶液に浸漬含浸処理することができるように、基材は、発色剤溶液に用いられるような溶媒、すなわち、アルコールやアセトン等の有機溶媒に対する耐溶媒性を有することが好ましい。さらには、これらの含浸処理等を効率的に行うために加熱乾燥を行うことができるような耐熱性を有することが好ましい。 また、基材は、土壌や水中等に接触させたときその液が速やかに接触するように、吸水性の多孔質材料であることが好ましい。また、発色剤が発色したときにその色を確認しやすいような色のものを用いることが好ましく、発色剤が白以外の有色の着色を行う試薬の場合、例えば、ホワイトカーボンのような白色のものや、シリカゲルのような透明または半透明のものを用いることが好ましい。このような要件に適合し、好適に使用することができる基材として、例えば、前述のシリカ粒子や、多孔質ガラス、ハイシリカゼオライトなどが挙げられる。特に、多孔質のシリカ粒子は、耐酸性、耐溶媒性、耐熱性、発色剤の分散担持性、吸水性といった要件を満足し、本発明の基材として好適に使用することができる。 基材として好ましく用いられるシリカ粒子についてより詳述する。本発明においてシリカは、二酸化ケイ素(SiO2)や含水シリカ、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム等のケイ酸塩も含む概念であり、これらシリカの粒子が、本発明におけるシリカ粒子である。また、このシリカ粒子の粒径は適宜選択することができる。代表的なシリカ粒子としてはケイ酸ゲルを脱水乾燥したものでSiO2・nH2Oの組成式で表されるシリカゲルや、後述するケイ酸カルシウム等が挙げられる。シリカゲルは、一般に、吸湿性や細孔径、細孔容積などにより分類され、A型、B型およびC型に分けられる。本発明においては、平均細孔径が4nm以上である、いわゆるB型やC型に分類されるシリカゲル、またこれに相当するシリカ粒子を用いることが特に好ましい。このようなB型、C型のシリカ粒子は、酸性化物質溶液や発色剤溶液を吸収しやすく、かつこれらを担持しやすくなるため、本発明の基材として適している。 また、シリカ粒子としてはシリカゲルの他に、四塩化ケイ素の熱分解による乾式法や、ケイ酸ナトリウムの酸、二酸化炭素、アンモニウム塩などの複分解による沈殿生成物を得る湿式法、アルコールのような有機液体とシリカゲルをオートクレーブ中で加熱するいわゆるエアロゲル法などにより製造される、無水ケイ酸や含水ケイ酸、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム等の微粉シリカ(ホワイトカーボンともよばれる)等のシリカ粒子を用いても良い。このような微粉シリカ等のシリカ粒子においても、B型やC型に分類されるシリカゲルに相当する粒子を用いることが好ましく、この場合、本発明のシリカ粒子は好ましくは比表面積が500m2/g以下であり、より好ましくは400m2/g以下、特に好ましくは300m2/g以下であるシリカ粒子とすることができる。このようなシリカ粒子は、酸性化物質溶液や発色剤溶液を吸収しやすく、かつ担持しやすくなるため、本発明の基材として適している。[発色剤] 本発明の検出材は、発色剤を基材に担持させたものである。この発色剤とは、酸性条件下で汚染物質等の検出対象となる物質と接触することで、着色や変色する物質のことである。例えば、六価クロムの検出にはジフェニルカルバジドが広く用いられ、このジフェニルカルバジドは六価クロムと酸性環境等の所定の条件下で接触したとき、赤紫色に呈色する発色剤である。また、発色剤としては、Chromazurol S(モーダントブルー29)や、XO(キシレノールオレンジ)、MTB(メチルチモールブルー)、PAN(1−(2−ピリジルアゾ)−2−ナフトール)、Cu−PAN(Cu−EDTA(エチレンジアミン四酢酸同(II)二ナトリウム四水和物)とPANの混合物)、GTB(グリシンチモールブルー)、GCR(グリシンクレゾールレッド)、VBB(バリアミンブルーB)、Tiron(1,2−ジヒドロキシ−3,5−ベンゼンジスルホン酸2ナトリウム塩1水和物)、BG(1,4−ブタンジオール)、morin(3,5,7−トリヒドロキシ−2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−4H−1−ベンゾピラン−4−オン)、MTE(2−(5−メルキャプトテトラゾル−1−イル)エタノール)等を使用することができる。発色の有無の確認や、反応自体を阻害しない場合、複数の発色剤を同一の基材に担持させてもよい。これらの発色剤は、適宜、測定しようとする金属イオンに併せて選択され、対象となる金属イオンを例示するとAl3+、Bi3+、Cd2+、Co2+、Cu2+、Fe3+、Ga3+、Hg2+、In3+、Mn2+、Ni2+、Pb2+、Sc3+、Th4+、UO2+、VO2+、Zn2+、Zn4+、Hf4+などが挙げられる。 より具体的な組み合わせとしては、六価クロムの検出に好適な検出材用としてジフェニルカルバジドがあげられ、鉛(Pb2+)の検出に好適な検出材用としてCu−PANおよびXO、MTBがあげられ、カドミウム(Cd2+)の検出材用としてCu−PAN、MTBがあげられ、水銀(Hg2+)の検出材用としてジフェニルカルバジドが挙げられる。 本発明の検出材は、この発色剤を基材に担持させたものである。この担持は、具体的な方法を後述するような含浸法などで担持させることができる。この担持させるときの基材に対する発色剤の量は、得られる検出材が目的とする汚染物質等の濃度によって発色することを確認することができるものであればよい。このときの発色剤の担持量は、この検出材を製造する際の仕込み量としての濃度比から求められる値として管理することができる。この値は、発色剤の原料量/基材の原料量として、一般的に単位は(mg/g)で表示される。例えば、ジフェニルカルバジドを、基材に担持させる場合、土壌や水中の六価クロム濃度を測定するためには、0.1mg/g〜100mg/g程度の濃度で担持させる。この担持量が少ない場合、ジフェニルカルバジドの量が少ないことから、発色が弱く目視等での確認が困難となる。一方、過度に高濃度のジフェニルカルバジドを担持させることは、基材を用いる利点を失うものとなるばかりではなく、想定している仕込みの担持量と実際の担持量とが乖離する原因となり、評価を適切に行えなくなったり、発色が強すぎその発色の程度を確認しにくくなったり、他の反応による呈色による弊害が生じる場合がある。このジフェニルカルバジドの担持量は、1mg/g以上であることがより好ましく、2mg/g以上であることが特に好ましい。この量以上の担持をさせることで発色の有無を確認しやすくなる。一方、ジフェニルカルバジドの担持量は、100mg以下であることがより好ましく、50mg以下であることが特に好ましい。前述のように担持量を過度に多くすることによる利点は少なく、他の反応等による弊害を抑制するために適した範囲として上限値は設定される。同様に、MTBを基材に担持させる場合、土壌や水中の対象となる金属イオン検出のためには、MTB/基材として、0.01〜10mg/g担持させることが好ましく、0.2〜5.0mg/g担持させることがより好ましい。また、Cu−PANを基材に担持させる場合、土壌や水中の対象となる金属イオン検出のためには、Cu−PAN/基材として、0.1〜120mg/g担持させることが好ましく、1.1〜28.6mg/g担持させることがより好ましい。また、XOを基材に担持させる場合、土壌や水中の対象となる金属イオン検出のためには、XO/基材として、0.01〜10mg/g担持させることが好ましく、0.025〜2.5mg/g担持させることがより好ましい。[酸性化物質] 本発明の検出材は、このような発色剤の他に、検出材に水溶液が接触したときその検出材が存在する場が酸性条件となる酸性化物質を有することを特徴とする。このような構成とすることによって、酸を用いることなく、検出材周辺を発色剤が発色を示す条件にすることができ、複雑な工程を経ることなく簡易に検出材の発色を確認することができる。 本発明の検出材は、基材に酸性化物質を担持させたものである。この酸性化物質とは、水溶液に接触したときに酸性条件とするものであり、検出材に含浸させる等の方法で担持させることができる。この酸性化物質を有していることで、本発明の検出材は前述のように、検出材周辺を酸性条件とすることができ、発色試験を簡易に行うことができる検出材として利用することができるようになる。このような酸性化物質としては、無機酸や有機酸を用いることができる。特に、硫酸や塩酸、硝酸、リン酸等の無機酸は少しの量が担持されるだけで酸性条件とすることができ、さらには長期間安定しやすいものが多い点で好適に用いることができる。また、検出材としてのpHを弱酸性としたいときは、硝酸アンモニウム、塩化アンモニウム、フタル酸、クエン酸を好適に使用することができる。また、基材との相性の観点等から、適宜、有機酸を好適に用いることができ、本発明の検出材の製造において、酸性化物質の担持の工程でも有機溶媒による製造を行う場合、その有機溶媒への溶解性が優れた有機酸等を好適に用いても良い。また、使用する酸性化物質は、担持させる発色剤に応じて、その発色を確認しやすいpHとなるように担持させておくことが好ましい。例えば、Cu−PAN、XO、MTBを発色剤として用いる場合、検出材としてのpHが2〜6となるような酸性化物質(例えば、リン酸や、塩酸を希釈したものなど)を担持させておくことが好ましい。また、水銀を検出するためにジフェニルカルバジドを担持させる場合、pHが4〜6.5程度の弱酸性となるような酸性化物質を担持させておくことが好ましい。この検出材としてのpHは、検出材1gを純水5mLに浸漬させたときの、その浸漬液のpHを測定することで求めることができる。 これらの酸性化物質は、基材に発色剤を担持させるときのように、酸溶液内に基材を含浸させることで含浸処理することで担持させ検出材に有されることが好ましい。この方法は、最も簡易的に、酸性化物質を担持させる方法であり、更に、使用時にも安定した酸性状態を検出材内部および周辺に生じさせることができる。これらの酸性化物質を検出材に担持させる量は、前述の基材に発色剤を担持させた量のようにその検出材の製造工程における仕込み量から求められる値として管理してよい。その酸性化物質および発色剤にもよるが、例えば、六価クロムの検出用に発色剤としてジフェニルカルバジドを用いて、酸性化物質として硫酸を担持させる場合、硫酸(硫酸単独の重量として)の仕込み量/基材(重量)の仕込み量で求められる酸性化物質量濃度が、10〜1000mg/g程度であることが好ましい。硫酸を担持させるときの酸性化物質量濃度は、50mg/g以上であることがより好ましい。濃度が好ましい範囲の時、発色剤の発色を確認しやすい濃度となる。一方、硫酸を担持させるときの酸性化物質量濃度は、500mg/g以下であることが好ましく、350mg/g以下であることが特に好ましい。この濃度が高すぎる場合、反応異常が生じやすくなったり、得られる検出材の発色が強くなりすぎるといった問題が生じる場合がある。なお、このような担持量とすれば、検出材としてのpH2.5以下の強酸性とすることができる。[緩衝剤] 本発明の検出材は、さらに緩衝剤を担持させた検出材とすることができる。この検出剤に緩衝剤を担持させたものは、担持されている緩衝剤が水に接したとき、その緩衝作用を奏する。検出材に担持された酸性化物質と緩衝剤とを併せて検出材としてのpHが発色を確認しやすいものとなるように調製しておくことで、この緩衝剤を加えて調製された検出材としてのpHは、試験液のpHの影響を低減することができるため、発色性を安定して確認することができ優れている。この緩衝剤としては、酸性条件下で機能する緩衝液を使用することができ、具体的には、酢酸緩衝液(酢酸と 酢酸ナトリウム)や、リン酸緩衝液(リン酸とリン酸ナトリウム)、クエン酸緩衝液(クエン酸とクエン酸ナトリウム)、ホウ酸緩衝液、酒石酸緩衝液などを使用することができる。緩衝液を緩衝剤として担持させる方法の一例として、基材を緩衝液に浸漬させ、乾燥することで担持させる方法があげられる。[検出材の製造方法] 本発明の検出材は、基材に、発色剤と、水溶液が接触したとき酸性条件とする酸性化物質とを担持させることができるようないかなる方法で製造されても良い。この具体的な製造方法として、次のような方法があげられる。まず、本発明に好ましく用いられる基材として、吸水機能を有する多孔質材料が挙げられる。これを用いて検出材を製造するにあたっては、検出材に担持させる発色剤や、酸性化物質(液に溶けた状態としての酸)、必要に応じて担持させる緩衝剤等を溶解させた混合液を、基材である多孔質材料に接触や浸漬させることで、基材に混合液を含浸させ、その後、不要な水分を揮発させることで検出材を製造することができる。このとき不要な水分の除去は、常温程度における自然乾燥や、熱風乾燥等により行うことができる。また、混合液を充分に吸液する場合、乾燥を行わずにそのまま検出材として使用することもできる。 また、本発明の検出材を製造する好ましい方法の一例を以下に示す。この検出材の製造方法は、基材に、水溶液が接触したとき酸性条件とする酸性化物質の溶液を接触させ乾燥することで酸性化物質を担持させた基材とする第一の工程と、前記第一の工程で得られた酸性化物質を担持させた基材に、発色剤溶液を接触させ乾燥することで発色剤を担持させる第二の工程とにより検出材を製造する方法として達成することができる。このように、酸性化物質を担持させた基材とする工程と、その後に発色剤を担持させる工程とで得られる検出材は簡易な方法で目的とする汚染物質等の検出を行うことができ、また、この製造方法は、この検出材を効率よく製造するために適している。この方法は、検出材に担持させる成分が溶解する液体が異なるときに特に有効な方法である。ここで溶液を接触させるとは、基材全体を溶液に浸漬させることや、基材の一部を浸すことなどを指す。[第一の工程] 本発明の検出材の製造方法は、基材に、酸性化物質の溶液を接触させ乾燥することで酸性化物質を有する基材とする第一の工程を有する。この第一の工程は、例えば酸性化物質の溶液すなわち酸溶液に、基材を含浸させ、当該酸溶液を乾燥させることによることが効率的である。これは、基材として好適に使用される吸水性の多孔質材料の内部に酸性化物質の溶液が液体として効率よく分散された状態で、乾燥させることで、効率よくかつ優れた均一性で酸性化物質を担持させることによる。 さらには、酸性化物質の溶液と接触させた後に乾燥させることで余分な溶媒(水分等)を除去する。この乾燥は、自然乾燥や熱風乾燥とすることができる。ここで、一般的に酸性化物質の溶液は水溶液のため、効率よくその水を乾燥させるために、好ましくは50〜150℃、より好ましくは80〜150℃程度の加熱下で乾燥することが効率的である。一方、第二の工程で検出材(基材)に担持させる発色剤は、有機物質が多く、これらは高温での乾燥により変性、分解等し、発色性を失う場合がある。このため、担持させる発色剤によっては酸性化物物質のみを先に担持させるこの工程を第一の工程として分けることが有効である。[第二の工程] 次に本発明の検出材の製造方法は、前記第一の工程で得られた酸性化物質を有する基材に、発色剤溶液を接触させ乾燥することで発色剤を担持させる第二の工程を有する。この第二の工程によって、検出材に発色剤を担持させ、発色剤と酸性化物質とが担持された検出材を得ることができる。 第二の工程における、本発明の検出材に用いられる発色剤は通常、有機化合物であることが多く、このような発色材には前述したように耐熱性を有さない物質も多く、また、その溶液は有機溶媒の溶液として調製されることも多い。このため、第一の工程と異なる溶媒の溶液を用いる必要が生じたり、加熱処理による乾燥が適さない場合がある。 例えば、本発明の好ましい態様として、発色剤としてジフェニルカルバジドを用いることができるが、このジフェニルカルバジドは高温での熱処理を行うと、発色性を失う場合がある。さらには、ジフェニルカルバジドは、アセトンやエタノール(一般的にはアセトン単独やそれを主とする混合溶媒)といった有機溶媒の溶液として使用される。このアセトンは、非常に揮発性に優れていることから、このジフェニルカルバジドを担持させるための乾燥時に、加熱処理を行う必要性は低く、比較的低温あるいは常温付近程度の温度(10〜80℃、好ましくは10〜50℃)による乾燥でも十分に、工業的な生産を行うことができる。また、この第一の工程、第二の工程のプロセスで検出材を製造することで、第一の工程で担持させた酸性化物質の溶出も少ない。 このように、第一の工程、第二の工程を経ることで、本発明の検出材を製造する方法とすることができる。また、第一の工程、第二の工程はそれぞれの接触(含浸等)時間を1時間以上とすることもでき、これによって、基材内に十分に酸性化物質や発色剤の溶液が浸透するようにしてもよい。また、酸性化物質が有機溶媒に溶解するものの場合、第一の工程と第二の工程を兼ねた含浸工程としてもよい。このような酸性化物質としては、クエン酸やフタル酸といった有機酸等が挙げられる。[土壌評価方法] 本発明は、基材に、発色剤と、水溶液が接触したとき酸性条件となる酸性化物質とを担持させた検出材を用いて土壌中の汚染物質のような金属イオンの有無を評価する土壌評価方法として達成することができる。 この土壌評価方法は、前述のように、発色剤と酸性化物質とを担持させた検出材を用いるものである。この検出材を使用することで、他の特殊な試薬等を必要とせず、必要に応じて適宜土壌を水で湿潤させる等した状態に、検出材を直接接触させる等することで土壌中に、検出材の発色剤が反応して発色する対象となる汚染物質が存在するか否かを評価することができる。 この評価方法は、前述のように検出材を土壌に直接接触させることで行って用いてもよい。また、直接接触させず、ろ紙等の吸水性物質を介在させて行うこともでき、ろ紙等を用いる場合、測定後の検出材の回収が容易であり、また、ろ紙を介することで土壌中の水分が検出材に直接吸い上げられ、着色の有無を観察しやすくすることができる。 以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を変更しない限り以下の実施例に限定されるものではない。「基材」・ホワイトカーボン:多木化学(株)製“ゼオシール1100V”(B型に相当するシリカ粒子ホワイトカーボン、平均粒径25μm)・A型シリカ:有限会社泰斗“シリカゲル”(粒径2〜4mm)・C型シリカ:ジョンソントレーディング(株)製“JOYPET(ジョイペット)”・微粉末シリカ:富田製薬(株)製“マイコンF”(B型に相当するシリカ粒子)「酸性化物質」・硫酸:市販の95wt%硫酸(和光純薬 試薬特級)を純水で希釈し、10wt%硫酸を調製した。この10wt%硫酸を硫酸原液とし、適宜、さらなる希釈等を行い硫酸の酸性化物質溶液として使用した。・塩酸:市販の塩酸(片山化学工業 試薬一級)を、純水で10倍希釈し、塩酸の酸性化物質溶液として使用した。・酢酸:市販の酢酸(和光純薬 試薬特級)を、有機酸である酢酸の酸性化物質溶液として使用した。・リン酸:市販のリン酸(和光純薬 試薬特級)を、リン酸の酸性化物質として使用した。(「リン酸溶液」と略記。)・硝酸アンモニウム:市販の硝酸アンモニウム(ナカライテスク)を、硝酸アンモニウムの酸性化物質として使用した。・塩化アンモニウム:市販の塩化アンモニウム(ナカライテスク)を、塩化アンモニウムの酸性化物質として使用した。・クエン酸一水和物:市販のクエン酸一水和物(ナカライテスク)を、クエン酸の酸性化物質として使用した。 これらの酸性化物質のうち、固体のものを担持させるにあたっては、適宜、水溶液として使用した。「緩衝剤」・中性リン酸塩pH標準液:標準緩衝液である中性リン酸塩pH標準液(和光純薬 pH6.86)を、緩衝材として使用した。(「リン酸緩衝液」と略記。)「発色剤」・ジフェニルカルバジド(和光純薬製“1,5−ジフェニルカルボノヒドラジド(クロム(VI)測定用)”)(適宜、「DPC」と略記する。) ジフェニルカルバジドをアセトンに溶解させてジフェニルカルバジド溶液を調製した。このジフェニルカルバジドは、環境汚染物質の金属イオンである六価クロムや水銀と反応して発色する発色剤である。・メチルチモールブルー四ナトリウム(和光純薬製)(適宜、「MTB」と略記する。)・Cu−EDTA(エチレンジアミン四酢酸同(II)二ナトリウム四水和物)とPANの混合比率(Cu−EDTA:PAN)が11.1:1の混合物(同仁化学製)(適宜、「Cu−PAN」と略記する。)・キシレノールオレンジ(同仁化学製)(適宜、「XO」と略記する。)[酸性化物質の担持(第一の工程)] 酸性化物質溶液に、基材1gを含浸させて、熱風オーブン内で乾燥させた。それぞれの乾燥温度と乾燥時間を表1に示す。また、酸性化物質溶液の種類、濃度、含浸量と基材との組み合わせについて、表1にあわせて示す。[発色剤の担持(第二の工程)] 発色剤の担持(第二の工程)の基本条件として、前述の酸性化物質の担持(第一の工程)によって、酸性化物質を担持させた基材1gに対して、発色剤溶液5mLを含浸させて、常温の風通しが良いところで自然乾燥させることで検出材を得た。発色剤溶液の濃度と、酸性化物質を担持させた基材との組み合わせについて、表1に示す。なお、検出材(1)は、基本条件から発色剤溶液含浸量を2mLに変更して検出材を得た。また、検出材(3)は、基本条件から発色剤溶液含浸量を10mLに変更して検出材を得た。また、検出材(11)は、基本条件から発色剤溶液含浸量を10mLに変更して検出材を得た。 なお、酸性化物質の担持の有無の影響を比較するために、検出材(12)と(13)については、表1に示すように酸性化物質溶液による前記第一の工程を行わず、第二の工程は前述の第二の工程に準じて発色剤溶液に含浸させて得られた基材としている。[検出材(MTB)、検出材(Cu−PAN)、検出材(XO)、検出材(DPC)] 検出材(1)〜(13)とは別に、発色剤として、MTB、Cu−PAN、XO、DPCの発色剤を、基材「ホワイトカーボン(ゼオシール1100V)」に担持させた。なお、これらの発色剤を用いて検出材を製造する基本条件として、基材3gに対して、酸性化物質溶液3mL、発色剤溶液1.5mLを担持させ常温で2時間以上自然乾燥して担持させた。具体的な発色剤溶液と、酸性化物質溶液の組み合わせを表2に示す。「評価方法」[発色剤の検出対象となる環境汚染物質による発色確認] 各発色剤が、その発色剤が検出対象とする環境汚染物質と接触したときの発色の確認を、各環境汚染物質溶液毎に以下の方法で試験した。溶液による試験(六価クロム、鉛、カドミニウム、水銀)と、模擬汚染土壌(六価クロム)による試験を行った。「六価クロム溶液」 六価クロム濃度が2.5ppmと0.1ppmの六価クロム溶液を調製し、ジフェニルカルバジドを担持させた検出材0.3gに対して、1mLの六価クロム溶液を滴下し、発色の有無を確認した。 六価クロム溶液を滴下した後の状態を目視で観察した結果を、以下のように分類した。 ○:検出材自体が鮮やかにピンク色に発色し、六価クロムの存在を確認できた。 △:検出材自体の色からの判断はやや行いにくいが、六価クロムの存在を確認することができた。なお、具体的な発色状態はそれぞれの実験例の後に詳述する。 ×:検出材および溶液ともに発色せず、六価クロムの存在を確認することができなかった。「鉛」 鉛濃度を調整した10ppmの鉛溶液を調製し、検出材1gに対して、3mLの鉛溶液を滴下し、発色の有無を確認した。なお、MTBは、酸性〜中性域における反応前の液色が黄色〜緑であり、鉛と反応することで茶〜青に呈色する。Cu−PANは、pH3〜5における反応前の液色が黄色であり、鉛と反応することで橙色〜赤に呈色する。XOは、pH4〜5における反応前の液色が黄色であり、鉛と反応することで橙色〜赤に呈色する。「カドミウム」 カドミウム濃度を調整した10ppmのカドミウム溶液を調製し、検出材1gに対して、3mLのカドミウム溶液を滴下し、発色の有無を確認した。なお、MTBは、酸性〜中性域における反応前の液色が黄色〜緑であり、カドミウムと反応することで茶〜青に呈色する。Cu−PANは、pH3〜5における反応前の液色が黄色であり、カドミウムと反応することで橙色〜赤に呈色する。XOは、pH4〜5における反応前の液色が黄色であり、カドミウムと反応することで橙色〜赤に呈色する。「水銀」 水銀濃度を調整した10ppmの水銀溶液を調製し、検出材1gに対して、3mLの水銀溶液を滴下し、発色の有無を確認した。なお、水銀に反応することで、各発色剤溶液としては基本的には次の呈色を示す。Cu−PANは、pH3〜5における反応前の液色が黄色であり、水銀と反応することで橙色〜赤に呈色する。DPCは、pH4〜6.5における反応前の液色が無色〜白であり、水銀と反応することでに紫色に呈色する。[模擬汚染土壌による発色確認]・模擬汚染土壌の作製 非汚染状態の土壌100gに、六価クロム濃度1000mg/Lの六価クロム溶液7mLを添加し、1週間養生することで、六価クロム模擬汚染土壌を作成した。・検出材との接触試験 六価クロム模擬汚染土壌に、円錐状に折り曲げたろ紙(規格5C、保留粒子径1μm)を、折り曲げ後の高さの半部程度が模擬汚染土壌に埋設するように差し込み、この模擬汚染土壌に差し込んだ円錐状のろ紙に、検出材を約0.2g設置した。 試験時の模擬汚染土壌は、1週間の養生により乾燥しているため、前記の検出材投入後に、土が十分に湿潤する程度の水を散布した。模擬汚染土壌中の成分は、この水を介して、前述の円錐状のろ紙に設置された検出材に接触する。この接触後の、検出材の色の変化を目視で観察した。 このろ紙を用いることで、土自体が各検出材に染み込むことを防止し、土色となり検出材の発色の有無の判断を妨げることを防止する。よって、検出材の発色の有無を行いやすくすることができる。また、検出材の回収を容易にすることができる。[実施例1〜11、比較例1、2] 実施例1〜11および比較例1、2として、検出材(1)〜(13)を用いて、前述の六価クロム溶液による発色確認試験を行った結果を、表3に示す。また、実施例1〜6について、0.1ppm六価クロム溶液と接触させたときの観察結果を図1に示す。また、実施例7〜9について、0.1ppmおよび2.5ppmの六価クロム溶液と接触させたときの観察結果を図2に示す。また、実施例11について、0.1ppmの六価クロム溶液に接触させたとき(湿潤状態)、および液除去後の観察結果を図3に示す。 実施例1〜8にかかる検出材は、六価クロム溶液中の六価クロムと反応して、検出材自体がピンク色に発色していることを確認することができた。特に、実施例1〜8にかかる検出材は、基材の種類、酸性化物質・発色剤の担持量が好ましく、目視でも確認しやすい鮮やかな発色を確認することができた。 実施例9は、A型シリカを用いており、実施例1〜8よりもやや発色性が低いが発色を確認することができた。しかし、六価クロム濃度が低い環境では発色性が低下した。 実施例10は、酸性化物質として有機酸を用いており、検出材自体がややピンク色に着色するため、六価クロムと接触したとき発色性をやや観察しにくかったが、溶液の色等からも発色を確認することができた。 実施例11は、酸性化物質と発色剤の担持量が多く、検出材自体にやや濃い着色が生じたため、六価クロムと接触したとき発色性をやや観察しにくかったが、湿潤状態時の溶液が赤紫に着色することから発色を確認することができた。 一方、比較例1、2は、酸性化物質を担持させていないため、模擬汚染土壌等に水のみを用いて検出材に接触させても発色剤の発色は確認することができなかった。「実施例12〜15、比較例3」 前述の模擬汚染土壌による発色確認試験を行った結果を表4および図4、図5に示す。なお、六価クロムの有無の差を見る為にコントロール土壌として、六価クロムを添加していない土壌を水で湿潤させたものを用いた試験を行った。実施例12〜15において、模擬汚染土壌中に六価クロムが存在することを確認することができた。特に、検出材(1)、(2)を用いた実施例12、13においては検出材自体が直ち(5分程度)に発色するため、検出結果の確認を容易に行うことができた。検出材(9)を用いた実施例14においては、5分後の段階では六価クロムの有無の違いによる差を確認しにくいが、24時間経過後には明確な差を確認することができた(図5)。さらに、検出材(10)を用いた実施例15においては、無機酸を用いた実施例12等と比べ発色がやや弱いが六価クロムの存在を確認することができた。 一方、比較例3の検出材は酸性化物質を担持していないため発色剤が発色する環境とならず、六価クロムの存在を確認することができなかった。実施例12および実施例14、比較例3については、図4にその写真を併せて示す。[鉛(Pb)溶液との接触試験][実施例16〜25、参考例1〜3] 実施例16〜25として、検出材(MTB1)〜(MTB4)、検出材(Cu−PAN1)〜(Cu−PAN4)、検出材(XO1)〜(XO2)を用いて、前述の鉛溶液による発色確認試験を行った結果を、表5および図6に示す。なお、参考例は、環境汚染物質(各種金属)溶液に代え、純水を接触させたときの当該検出材の色の変化を示したものである。参考例1〜3については、図7に示す。[カドミウム(Cd)溶液との接触試験][実施例26〜33、参考例4〜6] 実施例26〜33として、各検出材を用いて、前述のカドミウム溶液による発色確認試験を行った結果を、表6および図8に示す。[水銀(Hg)溶液との接触試験][実施例34〜36、参考例7] 実施例34〜63として、検出材(w1)〜(w3)を用いて、前述の環境汚染物質溶液による発色確認試験を行った結果を、表7および図9に示す。 本発明の検出材は、金属イオンの検出材に関し、例えば土壌汚染物質の有無の検出などに用いることができる検出材である。また、その検出材の製造方法、および検出材を用いた土壌評価方法である。これらは、六価クロム等の土壌汚染物質として環境汚染の程度を評価する対象となる物質の検出に適しており、従来よりも広く簡易に利用されるものである。 金属イオンの有無を評価する検出材であって、基材に、発色剤と、水溶液が接触したとき酸性条件とする酸性化物質とを担持させたことを特徴とする検出材。 前記金属イオンが、環境汚染物質である請求項1記載の検出材。 前記酸性化物質が、無機酸である請求項1または2記載の検出材。 前記基材が、吸水機能を有する多孔質材料である請求項1〜3のいずれかに記載の検出材。 前記基材が、シリカ粒子、多孔質ガラス粒子およびハイシリカゼオライトからなる群から選択される少なくとも1以上の基材である請求項1〜4のいずれかに記載の検出材。 前記発色剤が、ジフェニルカルバジド、メチルチモールブルー四ナトリウム、Cu−1−(2−ピリジルアゾ)−2−ナフトールおよびキシレノールオレンジからなる群から選択されるいずれかの発色剤である請求項1〜5のいずれかに記載の検出材。 金属イオンの有無を評価する検出材の製造方法であって、 基材に、水溶液が接触したとき酸性条件とする酸性化物質の溶液を接触させ乾燥することで、酸性化物質を担持させた基材とする第一の工程と、 前記第一の工程で得られた酸性化物質を担持させた基材に、発色剤溶液を接触させ乾燥することで発色剤を担持させる第二の工程とにより検出材を製造する方法。 基材に、発色剤と、水溶液が接触したとき酸性条件となる酸性化物質とを担持させた検出材を用いて土壌中の金属イオンの有無を評価する土壌評価方法。 【課題】土壌中の環境汚染物質などの金属イオンを、強酸溶液や光度計等を用いることなく、測定現場等で簡易に測定することができる検知材を提供することを課題とする。特に、六価クロム等の重金属の評価を行うものを提供することを課題とする。【解決手段】金属イオン、特に環境汚染物質の有無を評価する検出材であって、基材に、発色剤と、水溶液が接触したとき酸性条件とする酸性化物質とを担持させたことを特徴とする検出材。特に、発色剤としてジフェニルカルバジドを用いて六価クロムを検出する検出材に関し、酸性化物質として無機酸を用いることが好ましい。【選択図】 図1