生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_消毒剤
出願番号:2014164872
年次:2015
IPC分類:A01N 31/02,A61P 31/02,A61P 31/12,A61P 31/04,A61K 31/194,A61K 31/045,A61K 31/133,A61K 33/42,A61K 33/14,A61K 33/18,A01N 25/00,A01P 1/00,A01N 59/26,A01N 37/36,A01N 59/08,A01N 33/08,A01N 33/04,A01N 59/12,A01N 25/02


特許情報キャッシュ

植田 知文 佐藤 隆一 梶浦 工 横田 勝弘 JP 2015071589 公開特許公報(A) 20150416 2014164872 20140813 消毒剤 吉田製薬株式会社 591040203 特許業務法人浅村特許事務所 110000855 植田 知文 佐藤 隆一 梶浦 工 横田 勝弘 JP 2013186450 20130909 A01N 31/02 20060101AFI20150320BHJP A61P 31/02 20060101ALI20150320BHJP A61P 31/12 20060101ALI20150320BHJP A61P 31/04 20060101ALI20150320BHJP A61K 31/194 20060101ALI20150320BHJP A61K 31/045 20060101ALI20150320BHJP A61K 31/133 20060101ALI20150320BHJP A61K 33/42 20060101ALI20150320BHJP A61K 33/14 20060101ALI20150320BHJP A61K 33/18 20060101ALI20150320BHJP A01N 25/00 20060101ALI20150320BHJP A01P 1/00 20060101ALI20150320BHJP A01N 59/26 20060101ALI20150320BHJP A01N 37/36 20060101ALI20150320BHJP A01N 59/08 20060101ALI20150320BHJP A01N 33/08 20060101ALI20150320BHJP A01N 33/04 20060101ALI20150320BHJP A01N 59/12 20060101ALI20150320BHJP A01N 25/02 20060101ALI20150320BHJP JPA01N31/02A61P31/02A61P31/12A61P31/04A61K31/194A61K31/045A61K31/133A61K33/42A61K33/14A61K33/18A01N25/00 101A01P1/00A01N59/26A01N37/36A01N59/08 ZA01N33/08A01N33/04A01N59/12A01N25/02 14 OL 15 4C086 4C206 4H011 4C086AA01 4C086AA02 4C086HA02 4C086HA04 4C086HA19 4C086HA24 4C086MA03 4C086MA04 4C086MA08 4C086MA63 4C086NA05 4C086ZA90 4C086ZB33 4C086ZB35 4C206CA03 4C206DA36 4C206FA02 4C206FA03 4C206MA03 4C206MA04 4C206MA83 4C206NA05 4C206ZA90 4C206ZB33 4C206ZB35 4H011AA02 4H011AA04 4H011BA02 4H011BA06 4H011BB03 4H011BB04 4H011BB06 4H011BB18 4H011BC18 4H011DA13 4H011DC05 4H011DF04 4H011DG05 本発明は、消毒剤に関する。より具体的には、ノンエンベロープウイルスに対する殺ウイルス活性が高く且つ本来的に皮膚刺激性が少ない消毒剤に関する。 アルコールを主成分とする消毒剤は、生体消毒用として汎用され、最近では、手指消毒の第一選択となり、その適用範囲も拡大しつつある(例えば、非特許文献1)。 アルコール消毒剤は、広範囲の細菌及びウイルスに有効であるが、エンテロウイルスやアデノウイルスなどのノンエンベロープウイルスに対しては、短時間の作用では十分な効果が得られない(非特許文献1〜5、特許文献1及び2)。 このようなアルコール消毒剤に伴う問題に対しては、従来、アルカリ又は酸を添加して消毒剤のpHを強アルカリ性又は強酸性にすることが行われていた(非特許文献1、3〜6、特許文献1、4)。例えば、76.9〜81.4容量%のエタノールにリン酸を添加してpHを3以下(本発明者確認)とし、保湿剤としてグリセリン、ミリスチン酸イソプロピル及びアラントインを含む速乾性の手指消毒剤が販売されている(非特許文献1及び6)。 このような強酸性又は強アルカリ性の選択は、ノンエンベロープウイルスに対する殺ウイルス効果を高める意図でなされているものであるが、皮膚に対する刺激が強いことや、金属及び繊維に対する悪影響が指摘されている(非特許文献1、特許文献1)。 これに対してpHを弱酸性から弱アルカリ性とする殺ウイルス用消毒剤も開発されている。例えば、亜鉛塩を低級アルコールに添加する消毒剤(特許文献3)、アルカリ金属の水酸化物、アンモニウム塩などのアルカリ性物質、及び塩化ベンザルコニウムなどのカチオン界面活性剤を低級アルコールに添加した消毒剤などが報告されている(特許文献2、非特許文献3)。 また、強酸又は強アルカリに伴う問題を取り扱うものではないが、乳酸及びクエン酸とともに亜鉛塩を低級アルコールに添加して即効性で持続的な消毒効果を狙った消毒剤も提案されている(特許文献1)。特許4163249特表2008−189645特表平7−504175特開昭63−14702吉田太郎 研究報告生体消毒用アルコール 感染と消毒17(2)136(2010) 第64頁から67頁佐藤隆一ら 各種アルコール系消毒薬の評価、医学と薬学別冊49巻5号、自然科学社 2003年5月 713−724隈下祐一ら ノロウイルス代替のネコカリシウイルスおよび各種微生物に有効なエタノール製剤の開発 防菌坊黴35(11)725(2007)pp.725〜732Erwin DuizerらInactivation of Caliciviruses、 Applied and Environmental Microbiology 70(8)4538-4543 (2004)J.C.Doultreeら Inactivation of feline calicivirus, a Norwalk virus surrogate、 Journal of Hospital Infection (1999)41: 51-57ウィル・ステラV製品情報[2013年6月26日確認] http://med.saraya.com/products/pdf/42427products.pdf 本発明は、このような従来のアルコール消毒剤に対し、弱酸から弱アルカリ性のpHを有し皮膚に対する刺激が少ないアルコール消毒剤としながらも、亜鉛塩などの重金属塩に寄らずにノンエンベロープウイルスに対しても短時間で十分な殺活性を発揮できる消毒剤を提供することを目的とする。 本発明者らは、上記課題を解決すべく、様々な成分の組合せについて殺ウイルス活性を試験したところ、エタノール消毒剤にリン酸等の特定の酸と共にアミン、特に第一級又は第二級アミンを添加して消毒剤のpHを弱酸性から弱アルカリ性にしたところ、予想外にも、ノンエンベロープウイルスに対して短時間の作用で比較的高い殺活性を発揮することを見出した。また、このような酸とアミンを含むアルコール消毒剤に更に塩化ナトリウムなどの塩を添加すると、殺ウイルス活性が増強されることを見出した。 本発明はこのような知見に基づき、一の実施形態において、(a)40〜90%(v/v)の低級アルコールと、(b)リン酸、リンゴ酸、又はこれら両方と、(c)炭素数5以下の第一級アルカノールアミン、炭素数5以下の第一級アルキルアミン、炭素数10以下の第二級アルカノールアミン、炭素数10以下の第二級アルキルアミン、炭素数15以下の第三級アルカノールアミン及び炭素数15以下の第三級アルキルアミンからなる群から選択される少なくとも1種のアミンと、(d)ハロゲンとアルカリ金属又はアルカリ土類金属との塩の少なくとも1種の塩と を含み、pHが4〜9である消毒剤を提供するものである。 この実施形態においては、より好ましくは、(a)40〜90%(v/v)の低級アルコールと、(b)0.1〜2%(w/v)のリン酸、リンゴ酸、又はこれら両方と、(c)0.1〜10%(w/v)の炭素数5以下の第一級アルカノールアミン、炭素数5以下の第一級アルキルアミン、炭素数10以下の第二級アルカノールアミン、炭素数10以下の第二級アルキルアミン、炭素数15以下の第三級アルカノールアミン及び炭素数15以下の第三級アルキルアミンからなる群から選択される少なくとも1種のアミンと、(d)0.1〜2%(w/v)のハロゲンとアルカリ金属又はアルカリ土類金属との塩の少なくとも1種の塩と を含み、pHが4〜9である消毒剤が提供される。 本発明はまた、他の実施の形態において、(a)40〜90%(v/v)の低級アルコールと、(b)リン酸と、(c)炭素数5以下の第一級アルカノールアミン、炭素数5以下の第一級アルキルアミン、炭素数10以下の第二級アルカノールアミン、炭素数10以下の第二級アルキルアミン、炭素数15以下の第三級アルカノールアミン及び炭素数15以下の第三級アルキルアミンからなる群から選択される少なくとも1種のアミンと、 を含み、pHが4〜9である消毒剤を提供する。 この実施の形態においても、より好ましくは、(a)40〜90%(v/v)の低級アルコールと、(b)0.1〜2%(w/v)のリン酸と、(c)0.1〜10%(w/v)の炭素数5以下の第一級アルカノールアミン、炭素数5以下の第一級アルキルアミン、炭素数10以下の第二級アルカノールアミン、炭素数10以下の第二級アルキルアミン、炭素数15以下の第三級アルカノールアミン及び炭素数15以下の第三級アルキルアミンからなる群から選択される少なくとも1種のアミンと、 を含み、pHが4〜9である消毒剤が提供される。これらの実施形態の消毒剤においても、消毒剤は、好ましくは更に、(d)ハロゲンとアルカリ金属又はアルカリ土類金属との塩の少なくとも1種を含み、このような塩は好ましくは0.1〜2%(w/v)含まれる。 本発明はまた、更に他の実施の形態において、上記本発明の消毒剤を対象に接触させることを含む消毒方法を提供する。 本発明による消毒剤は、4〜9のpHを有する。従って、強酸性又は強アルカリ性とすることで殺ウイルス活性を増強する従来のアルコール消毒剤と異なり、このようなpHに起因する皮膚刺激等の問題を直接的に解決する手段を提供する。また、本発明による消毒剤は、このようなpHを有するにも拘らず、強酸性又は強アルカリ性の従来の消毒剤と同レベルでノンエンベロープウイルスに対する殺ウイルス効果、特に、即効性を発揮することができる。 本発明の消毒剤は、低級アルコールをベースとし、特定の酸とアミンとを含み、弱酸から弱アルカリ性のpHを有するものである。以下、具体的に説明する。 本発明の消毒剤で用いる低級アルコールは、典型的には炭素数5以下のアルコールであり、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、N−プロパノール、ブタノール又はこれらの混合物を挙げることができる。中でも毒性が低く、国内で汎用されている点でエタノール及びイソプロパノールが好ましい。イソプロパノールは、エンベロープを有するウイルスに対しては、エタノールよりも短い接触時間で有効であり、逆にエンベロープを持たないウイルスに対してはエタノールの方がより短時間で有効である。 消毒剤のアルコール含有量は、広範囲の細菌及びウイルスに対する殺効果の観点から、40〜90%(v/v)が好ましく、60〜90%(v/v)がより好ましく、70〜90%(v/v)が特に好ましい。なお、アルコール濃度の調整は、通常、精製水で行えばよい。 本発明の消毒剤では、酸として、リン酸及びリンゴ酸の何れか1種又はこれらの組合せを含む。これらの酸は、後述するアミン及び任意に塩と組み合わせることで、弱酸性から弱アルカリ性の消毒剤としながらも、アルコールによるノンエンベロープウイルスに対する殺ウィルス活性を増強できる。中でも、リン酸はアルコールによる殺ウイルス活性の増強効果が大きいので、本発明の消毒剤では、酸として、リン酸又はこれとリンゴ酸の組合せを含むことが好ましく、リン酸単独を酸として含有するものが特に好ましい。 これら酸の含有量は、消毒剤のpHを弱酸から弱アルカリとするために後述するアミンの含有量に応じて調整されるが、殺ウイルス活性維持の点から消毒剤中0.1〜2%(w/v)含有することが好ましく、0.3〜1%(w/v)含有することがより好ましい。 本発明の消毒剤では、塩基として、アミンを含み、第一級アルカノールアミン、第一級アルキルアミン、第二級アルカノールアミン、第二級アルキルアミン、第三級アルカノールアミン及び第三級アルキルアミンからなる群から選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。第一級アルカノールアミンとしては、炭素数5以下のものが好ましく、例えば、モノエタノールアミン、モノn−プロパノールアミン、及びモノイソプロパノールアミン等を挙げることができる。第一級アルキルアミンとしても炭素数5以下のものが好ましく、例えば、エチルアミン、n−プロピルアミン、及びイソプロピルアミン等を挙げることができる。また、第二級アルカノールアミンとしては、炭素数10以下のものが好ましく、例えばジエタノールアミン、ジn−プロパノールアミン、及びジイソプロパノールアミン等を挙げることができ、第二級アルキルアミンとしても、炭素数10以下のものが好ましく、例えばジエチルアミン等を挙げることができる。また、第三級アルカノールアミンとしては、炭素数15以下のものが好ましく、例えばトリエタノールアミン、トリn−プロパノールアミン、及びトリイソプロパノールアミン等を挙げることができ、第三級アルキルアミンとしても、炭素数15以下のものが好ましく、例えばトリエチルアミン等を挙げることができる。これらのアミンは、他の塩基とは異なり、上述したリン酸等を含む強酸性のアルコールに添加してpHを弱酸から弱アルカリとしても、アミン添加前の強酸性のアルコールと同レベルの殺ウイルス活性を発揮することができる。また、後述する塩との組合せで殺ウイルス活性を増強することができる。 上述したアミンの中でも、殺ウイルス活性の増強効果が大きな点で、第一級アルカノールアミン、第一級アルキルアミン、第二級アルカノールアミン、又は第二級アルキルアミンが好ましく、第一級アルカノールアミン又は第一級アルキルアミンがより好ましい。 これらアミンの含有量も、消毒剤のpHを弱酸〜弱アルカリとするために酸の含有量に応じて調整されるが、殺ウイルス活性維持の点から消毒剤中0.1〜10%(w/v)含有することが好ましく、0.15〜2%(w/v)含有することがより好ましく、0.3〜1%(w/v)含有することが更に好ましい。 本発明の消毒剤においては、更に、ハロゲンとアルカリ金属又はアルカリ土類金属との塩を含むことが好ましい。このような塩は、一般的には、殺ウイルス作用へ関与するものとは理解されていないが、驚くべきことに、これらの塩を上述の酸及びアミンと組み合わせると、殺ウイルス効果が更に増強される。 このような塩としては、例えば塩化ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化カリウム、及び塩化マグネシウム等を挙げることができる。これらの塩の中でも、殺ウイルス活性の増強効果が大きな点で、塩化ナトリウム、ヨウ化ナトリウム又は塩化カリウムが好ましい。 これらの塩の含有量は、殺ウイルス活性の増強効果の点から、0.1%(w/v)以上が好ましく、アルコール溶液中の溶解性の点から、2%(w/v)以下が望ましい。また、70〜90%(v/v)の高アルコール濃度の消毒剤では、前述した点から、0.1〜0.3%(w/v)とすることが好ましい。なお、酸としてリン酸を含む消毒剤、好ましくは酸としてリン酸のみを含む消毒剤では、上述の塩なしで、十分な殺ノンエンベロープウイルス活性を発揮し得るが、殺ウイルス活性が更に増強される点で塩を含むことが好ましい。一方、酸としてリンゴ酸等のリン酸以外の酸のみを含む消毒剤では、上述の塩なしでは十分な殺ノンエンベロープウイルス活性を発揮し難い。従って、このような消毒剤では、特に塩を含有させることが好ましい。 本発明の消毒剤は、上述した酸とアミンとを組み合わせて消毒剤のpHを4〜9にすることを特徴とする。このようなpHの消毒剤では皮膚への刺激が少なく繊維や金属の影響も少ないが、ノンエンベロープウイルスに対する殺ウイルス活性が低下するといった問題が認識されていた。本発明の消毒剤は、このようなpHを有しながらも亜鉛イオンなどの重金属イオンに拠ることなくノンエンベロープウイルスに対する十分な殺ウイルス活性を有する。 ノンエンベロープウイルスに対してより高い殺ウイルス活性を付与する点では、pHを4以上8未満とすることがより好ましく、4〜6とすることが更に好ましく、4〜5.5とすることが特に好ましい。本発明においては、上述の酸とアミンの含有量を調整することでこのようなpHを達成することが好ましい。具体的には、上述の酸とアミンとの重量比(酸:アミン)を、9:2〜1:5とすることが好ましく、6:2〜1:2とすることがより好ましく、12:4〜3:4とすることが特に好ましい。 本発明の消毒剤では、添加物として、消炎剤、保湿剤、エモリエント剤、感触改善剤、増粘剤等を含んでもよい。 抗炎症剤としては、例えば、甘草エキス、グリチルレチン酸、グリチルリチン酸ジカリウム、グリチルレチン酸ステアリル、酢酸トコフェロール、アラントイン、及びアロエエキス等を挙げることができ、これら1種単独で又は2種以上含むことができる。 保湿剤としては、例えば、アミノ酸、脂肪酸エステル、ピロリドンカルボン酸、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸ナトリウム、N−ココイル−L−アルギニンエチルエステルDL−ピロリドンカルボン酸塩、尿素、ソルビトール、トレハロース、1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、及びグリセリン等を挙げることができ、これら1種単独で又は2種以上含むことができる。 エモリエント剤としては、例えば、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸イソプロピル、オレイン酸イソブチル、及びマレイン酸イソブチル等の脂肪酸エステルを挙げることができ、これら1種単独で又は2種以上含むことができる。 感触改善剤としては、例えば、ジメチルポリシロキサン、及び環状シリコーン等のシリコーン系化合物を挙げることができ、これら1種単独で又は2種以上含むことができる。 増粘剤としては、例えばヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、疎水化ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース及びカルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導体、(メタ)アクリル酸系共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、メチルビニルエーテル無水マレイン酸共重合体、ポリアクリルアミド、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、ゼラチン、アラビアゴム、トラガントゴム、ローカストビーンガム、グアガム、タマリンドガム、キサンタンガム、ジェランガム、及びカラギーナン等を挙げることができ、これら1種単独で又は2種以上含むことができる。 本発明の消毒剤は、ノロウイルス、ポリオウイルス、アデノウイルス、及びロタウイルスなどのノンエンベロープウイルスに対して高い殺ウイルス効果を有することから、このようなウイルスに対する殺ウイルス用消毒剤として好適である。特に、ノロウイルスに対しては高い殺ウイルス効果を有する。また、インフルエンザウイルス等のエンベロープウイルスにも有効であり、広範囲の細菌にも有効である。 このため、本発明の消毒剤は、一般のアルコール消毒剤の用途に加え、ノンエンベロープウイルスの感染予防も必要となる状況で好適に用いることができる。また、本発明の消毒剤は、即効性に優れ且つ皮膚への刺激が少ないという特徴を有するため、手指消毒に好適であり、典型的には日常的手洗い、衛生的手洗い、手術時手洗いなどに使用できる。また、対象物に本発明の消毒剤を塗布等により接触させてウイルスを死滅又は増殖抑制するのも典型的な適用例の1つである。 使用方法については特に制限はなく、例えば、手指又は対象物に接触させ又は塗布することにより消毒を行うことができ、ラビング法、スワブ法など通常用いられる総ての方法を適用可能である。 消毒剤の剤形についても特に制限はなく、液剤、ゲル剤、クリーム、フォームなど種々の形態とすることができ、各剤形に応じて適切な賦形剤を選択すればよい。 以下、実施例を用いて本発明をより詳細に説明するが、本発明の技術的範囲は以下の実施例に限定されるものではない。1.消毒剤の調製[実施例1] 95%エタノール83mlに、リン酸0.5g及びリンゴ酸0.07gと、ジイソプロパノールアミン0.425gと、塩化ナトリウム0.2gとを添加し、更に精製水を加えて合計量を100mlとし、攪拌混合してpH4.5の消毒剤を調製した。[実施例2〜17及び比較例1〜27] 以下の表に示す組成としたこと以外は、実施例1と同様にして消毒剤を調製した。2.ノンエンベロープウイルスに対する殺ウイルス効果試験(1)2−1.試験方法 ノンエンベロープウイルスに対する殺ウイルス効果をまず次の2つの簡易方法で評価した。[FCVに対する殺ウイルス効果による試験] ネコ腎由来株化細胞(CRFK cells) ATCC CCL−94にネコカリシウイルス(Feline Calicivirus: FCV) ATCC VR−782を感染させた。ネコカリシウイルスはノロウイルスと同じカリシウイルス科に属しており、培養細胞系が確立していないノロウイルスの代替ウイルスとして使用されている。ウイルス液0.3mLに2.7g(2.7mL相当)の薬剤を混和し、次いで30秒経過時に等量の培地で希釈することにより反応を停止した。次いでその試料を倍々希釈により希釈系列を作成し、得られた各希釈液をCRFK細胞に感染させて培養した。 薬効は、CRFK細胞の細胞変性効果を指標とし50%組織培養感染価(TCID50)の対数減少値を求めた。[MS2ファージに対する殺ファージ効果による試験] 大腸菌(ATCC15597)にMS2 バクテリオファージ(ATCC15997−B1)を感染させた。MS2ファージはノンエンベロープウイルスと薬剤抵抗性が類似しており、ウイルスに対する効果を類推する方法の1つとして使用されている。ファージ液10μLに990μLの薬剤を混和し、次いで所定時間に一部をサンプリングし、LP中和液(3%レシチン、10%ポリソルベート80)で100倍に希釈することにより、反応を停止した。その後、50μLの反応液を100μLの大腸菌培養液および2.5mLのATCC #271軟寒天培地(1%Tryptone、0.1%Yeast Extract、0.8%NaCl、0.5%Agar)と混和し、ATCC #271寒天培地上に流し込んで培養した。 薬効は、作用前のファージ数を指標とし、ファージ数の対数減少値(LRV)を求めた。2−2.試験結果 実施例1〜3及び比較例1〜7の消毒剤についてFCVに対する殺ウイルス効果を試験した結果を表7に示し、実施例4〜17、並びに比較例8〜20の消毒剤についてMS2ファージに対する殺ファージ効果を試験した結果を表8から11に示し、比較例21〜27の消毒剤についてFCVに対する殺ウイルス効果を試験した結果を表12に示す。す。EtOH:エタノールIPA:イソプロパノールPhos:リン酸LA:乳酸CA:クエン酸HCl:塩酸NaCl:塩化ナトリウムMgCl:塩化マグネシウムNa2S2O3:チオ硫酸ナトリウムNaI:ヨウ化ナトリウムKNO3:硝酸カリウムAcNa:酢酸ナトリウムTEA:トリエタノールアミンDIPA:ジイソプロパノールアミンDEA:ジエタノールアミンDEN:ジエチルアミンMEA:モノエタノールアミンAsc:アスコルビン酸MA:リンゴ酸3.ノンエンベロープウイルスに対する殺ウイルス効果試験(2) マウス単球性白血病細胞株(RAW 264.7 cells) ATCC T1B−71にマウスノロウイルス(MNV)を感染させた。ウイルス液0.3mLに2.7g(2.7mL相当)の実施例1の消毒剤を混和し、次いで30秒経過時に等量の中和剤で希釈することにより反応を停止した。次いでその試料を倍々希釈により希釈系列を作成し、得られた各希釈液をRAW 264.7細胞に感染させて培養した。 薬効は、RAW 264.7細胞の細胞変性効果を指標とし50%組織培養感染価(TCID50)の対数減少値を求めた。試験結果を以下の表13に示す。4.エンベロープウイルスに対する殺ウイルス効果の確認 イヌ腎臓尿細管上皮細胞(MDCK cells) ATCC CCL−34に鳥インフルエンザウイルス(H1N1、またはH5N1)を感染させた。ウイルス液0.3mLに2.7g(2.7mL相当)の実施例1の消毒剤を混和し、次いで30秒経過時に等量の中和剤で希釈することにより反応を停止した。次いでその試料を倍々希釈により希釈系列を作成し、得られた各希釈液をMDCK細胞に感染させて培養した。 薬効は、MDCK細胞の細胞変性効果を指標とし50%組織培養感染価(TCID50)の対数減少値を求めた。 H1N1及びH5N1に対する殺ウイルス効果の試験結果を以下の表14に示す。 実施例1の消毒剤は、消毒用エタノールと同様にエンベロープを持つインフルエンザウイルスにも高い殺ウイルス活性を有することが確認された。(a)40〜90%(v/v)の低級アルコールと、(b)リン酸、リンゴ酸、又はこれら両方と、(c)炭素数5以下の第一級アルカノールアミン、炭素数5以下の第一級アルキルアミン、炭素数10以下の第二級アルカノールアミン、炭素数10以下の第二級アルキルアミン、炭素数15以下の第三級アルカノールアミン及び炭素数15以下の第三級アルキルアミンからなる群から選択される少なくとも1種のアミンと、(d)ハロゲンとアルカリ金属又はアルカリ土類金属との塩の少なくとも1種と を含み、pHが4〜9である消毒剤。(a)40〜90%(v/v)の低級アルコールと、(b)0.1〜2%(w/v)のリン酸、リンゴ酸、又はこれら両方と、(c)0.1〜10%(w/v)の炭素数5以下の第一級アルカノールアミン、炭素数5以下の第一級アルキルアミン、炭素数10以下の第二級アルカノールアミン、炭素数10以下の第二級アルキルアミン、炭素数15以下の第三級アルカノールアミン及び炭素数15以下の第三級アルキルアミンからなる群から選択される少なくとも1種のアミンと、(d)0.1〜2%(w/v)のハロゲンとアルカリ金属又はアルカリ土類金属との塩の少なくとも1種と を含み、pHが4〜9である消毒剤。(a)40〜90%(v/v)の低級アルコールと、(b)リン酸と、(c)炭素数5以下の第一級アルカノールアミン、炭素数5以下の第一級アルキルアミン、炭素数10以下の第二級アルカノールアミン、炭素数10以下の第二級アルキルアミン、炭素数15以下の第三級アルカノールアミン及び炭素数15以下の第三級アルキルアミンからなる群から選択される少なくとも1種のアミンと、 を含み、pHが4〜9である消毒剤。(a)40〜90%(v/v)の低級アルコールと、(b)0.1〜2%(w/v)のリン酸と、(c)0.1〜10%(w/v)の炭素数5以下の第一級アルカノールアミン、炭素数5以下の第一級アルキルアミン、炭素数10以下の第二級アルカノールアミン、炭素数10以下の第二級アルキルアミン、炭素数15以下の第三級アルカノールアミン及び炭素数15以下の第三級アルキルアミンからなる群から選択される少なくとも1種のアミンと、 を含み、pHが4〜9である消毒剤。 更に、(d)ハロゲンとアルカリ金属又はアルカリ土類金属との塩の少なくとも1種を含む、請求項3又は4に記載の消毒剤。 更に、(d)0.1〜2%(w/v)のハロゲンとアルカリ金属又はアルカリ土類金属との塩の少なくとも1種を含む、請求項4に記載の消毒剤。 前記アミンが、炭素数5以下の第一級アルカノールアミン、炭素数5以下の第一級アルキルアミン、炭素数10以下の第二級アルカノールアミン、及び炭素数10以下の第二級アルキルアミンからなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1から6の何れか1項に記載の消毒剤。 リン酸を含む、請求項1又は2に記載の消毒剤。 塩化ナトリウムを含む、請求項1から8の何れか1項に記載の消毒剤。 pHが、4〜6である請求項1から9の何れか1項に記載の消毒剤。 前記リン酸及びリンゴ酸以外の酸を含まず、前記アミン以外の塩基を含まず、酸とアミンの重量比が、9:2〜1:5(酸:アミン)である、請求項1から10の何れか1項に記載の消毒剤。 殺ノンエンベロープウイルス用である請求項1から11の何れか1項に記載の消毒剤。 手指消毒用である請求項1から12の何れか1項に記載の消毒剤。 請求項1から13の何れか1項に記載の消毒剤を対象の表面に接触させることを含む、消毒方法。 【課題】弱酸から弱アルカリ性のpHを有し皮膚に対する刺激が少ないアルコール消毒剤であって、亜鉛塩などの重金属塩に拠らずにエンテロウイルスやアデノウイルス等のノンエンベロープウイルスに対しても短時間で十分な殺活性を発揮できる消毒剤の提供。【解決手段】40〜90%(v/v)の低級アルコールに、0.1〜2%(w/v)のリン酸及び/又はリンゴ酸と共に、0.1〜10%(w/v)のモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリエタノールアミン、ジエチルアミン等のアミンを添加し、更に必要により0.1〜2%(w/v)の塩化ナトリウム、ヨウ化ナトリウム等の増強剤を添加した、pHが4〜9である消毒剤。【選択図】なし


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