タイトル: | 公開特許公報(A)_ペンタシル型ゼオライト及びその製造方法 |
出願番号: | 2014163404 |
年次: | 2015 |
IPC分類: | C01B 39/36,B01J 29/40,B01J 35/10,C07C 4/12,C07C 15/02,C07C 1/24,C07C 11/02,C07B 61/00 |
吉田 智 伊藤 雪夫 山田 秀徳 JP 2015063449 公開特許公報(A) 20150409 2014163404 20140811 ペンタシル型ゼオライト及びその製造方法 東ソー株式会社 000003300 吉田 智 伊藤 雪夫 山田 秀徳 JP 2013178999 20130830 C01B 39/36 20060101AFI20150313BHJP B01J 29/40 20060101ALI20150313BHJP B01J 35/10 20060101ALI20150313BHJP C07C 4/12 20060101ALI20150313BHJP C07C 15/02 20060101ALI20150313BHJP C07C 1/24 20060101ALI20150313BHJP C07C 11/02 20060101ALI20150313BHJP C07B 61/00 20060101ALN20150313BHJP JPC01B39/36B01J29/40 ZB01J35/10 301GC07C4/12C07C15/02C07C1/24C07C11/02C07B61/00 300 15 3 OL 25 4G073 4G169 4H006 4H039 4G073BA02 4G073BA04 4G073BA57 4G073BA63 4G073BA70 4G073BA75 4G073BA76 4G073BB06 4G073BB22 4G073BB63 4G073BD21 4G073CZ12 4G073FC04 4G073FC13 4G073FC19 4G073GA01 4G073GA03 4G073GA11 4G073GA12 4G073GA14 4G073GA40 4G073GB02 4G073GB05 4G073UA03 4G073UA06 4G169AA08 4G169AA09 4G169AA12 4G169BA07A 4G169BA07B 4G169BB10C 4G169BC01A 4G169BC02B 4G169BD07A 4G169BD07B 4G169BE28C 4G169CB25 4G169CB35 4G169CB38 4G169DA05 4G169EA02Y 4G169EC03X 4G169EC03Y 4G169EC04X 4G169EC04Y 4G169EC05X 4G169EC06X 4G169EC06Y 4G169EC07X 4G169EC25 4G169EC27 4G169FA01 4G169FB30 4G169FB36 4G169FB55 4G169FB57 4G169FB64 4G169FC03 4G169ZA10A 4G169ZA10B 4G169ZB06 4G169ZC02 4G169ZC04 4G169ZC05 4G169ZC06 4G169ZC07 4G169ZC08 4G169ZC10 4H006AA02 4H006AC26 4H006BA35 4H006BA71 4H006DA46 4H039CA29 4H039CA41 4H039CG10 4H039CG50 本発明は、ペンタシル型ゼオライトに関する。より詳しくは、触媒活性の高いペンタシル型ゼオライトに関する。 触媒としての高活性、高収率、及び高寿命、更には、吸着剤又はイオン交換体としての高い吸着やイオン交換速度が期待できるため、BET比表面積が大きいペンタシル型ゼオライトが検討されている。BET比表面積の大きいペンタシル型ゼオライトとして、微結晶のペンタシル型ゼオライト、又は、薄層状のペンタシル型ゼオライトが検討されている。 微結晶のペンタシル型ゼオライトとして、SiO2/Al2O3モル比が350の出発混合物から得られた、BET比表面積が412.5m2/g、アンモニア−TPD法による酸量が0.24mmol/gのZSM−5が報告されている(特許文献1)。また、特許文献2ではSiO2/Al2O3モル比が15であり、BET比表面積が415m2/gである微結晶のペンタシル型ゼオライトが報告されている。 他方、薄層状のペンタシル型ゼオライトとして、2個のアンモニウム官能基を有する有機界面活性剤を用いて合成された、SiO2/Al2O3モル比が96、BET比表面積が520m2/g、及びアンモニア−TPD法による固体酸量が0.31mmol/gの多層ラメラ体からなるMFI型ゼオライトが報告されている(非特許文献1)。 また非特許文献1には、SiO2/Al2O3モル比が106、BET比表面積が710m2/g、及びアンモニア−TPD法による固体酸量が0.33mmol/gの単層ラメラ体からなるMFI型ゼオライトが報告されている。 さらに、テトラブチルホスホニウムヒドロキシドを含みSiO2/Al2O3モル比が150以上である出発混合物から得られた薄層状のペンタシル型ゼオライトが開示されている(非特許文献2)。当該ペンタシル型ゼオライトは、層厚が2nm程の薄層状のペンタシル型ゼオライトが直行した繰返し構造を有する形態であった。特開昭60−251121号公報特表2002−535222号公報Nature,Vol.461,p.246(2009)Science,Vol.336,p.1684(2012) 特許文献1乃至2のペンタシル型ゼオライトは、いずれもBET比表面積を高くするために微粒子化、すなわち、三次元的に粒子径を小さくしていた。しかしながら、三次元的な微粒子化では、粒子が強固な凝集を起すなど粒子が不安定になるため、BET比表面積を420m2/g以上とすることは困難であった。一方、微結晶のペンタシル型ゼオライトと比較して、薄層状のペンタシル型ゼオライトは、より高いBET比表面積を有する。非特許文献1のペンタシル型ゼオライトはBET比表面積が高いが、適度なSiO2/Al2O3モル比を有しながらも、酸量が低いものであった。さらに、非特許文献2のペンタシル型ゼオライトは、高いSiO2/Al2O3モル比を有しているため酸量が低い。なおかつ、非特許文献2の製造方法では、低いSiO2/Al2O3モル比のペンタシル型ゼオライトが得られなかった。 本発明は、従来よりも高いBET比表面積及び高い酸量を兼ね備えたペンタシル型ゼオライト、及びその製造方法を提供することを目的とする。 本発明は、従来よりも高いBET比表面積及び高い酸量を兼ね備えたペンタシル型ゼオライトについて検討を重ねた。その結果、従来の薄層状のペンタシル型ゼオライトを得るための構造指向剤と比べて安価な構造指向剤を用い、なおかつ、特定の組成の原料混合物を結晶化させることにより、高い酸量を有し、なおかつ、薄層状のペンタシル型ゼオライトが得られることを見出した。さらに、この様な薄層状のペンタシル型ゼオライトは、従来のペンタシル型ゼオライトよりも優れた芳香族炭化水素の製造触媒となることを見出した。 すなわち、本発明の要旨は以下のとおりである。[1] BET比表面積が450m2/g以上であり、なおかつ、アンモニア−TPD法による酸量が0.38mmol/g以上であることを特徴とするペンタシル型ゼオライト。[2] 細孔容積が0.60mL/g以下であることを特徴とする上記[1]に記載のペンタシル型ゼオライト。[3] アルミナに対するシリカのモル比が150未満であることを特徴とする上記[1]又は[2]に記載のペンタシル型ゼオライト。[4] 結晶中の4配位のアルミニウムと6配位のアルミニウムとの合計に対する4配位のアルミニウムのモル比が90%以上であることを特徴とする上記[1]乃至[3]のいずれかに記載のペンタシル型ゼオライト。[5] アルミニウムに対するアルカリ金属のモル比が0.5以下であることを特徴とする上記[1]乃至[4]のいずれかに記載のペンタシル型ゼオライト。[6] 一次粒子が規則的な凝集をしていないことを特徴とする上記[1]乃至[5]のいずれか一項に記載のペンタシル型ゼオライト。[7] 二次粒子の凝集径が0.3〜50μmであることを特徴とする上記[1]乃至[6]のいずれかに記載のペンタシル型ゼオライト。[8] リンを含有することを特徴とする上記[1]乃至[7]のいずれかに記載のペンタシル型ゼオライト。[9] シリコン及びアルミニウムに対するリンのモル比が0.0005以上であることを特徴とする上記[8]に記載のペンタシル型ゼオライト。[10] アンモニア−TPD法による酸量が0.45mmol/g以上である上記[1]乃至[9]のいずれかに記載のペンタシル型ゼオライト。[11] テトラブチルホスホニウムカチオン、シリカ源、アルミナ源、アルカリ金属源及び水を含有する混合物を結晶化させる結晶化工程を有するペンタシル型ゼオライトの製造方法であって、前記混合物中のシリカに対するアルカリ金属源のモル比が0.04を超え0.10未満であることを特徴とする上記[1]乃至[10]のいずれかに記載のペンタシル型ゼオライトの製造方法。[12] 前記混合物中のシリカに対するテトラブチルスルホニウムカチオンのモル比が0.04以上、0.3以下であることを特徴とする上記[11]に記載の製造方法。[13] 前記混合物が、以下のモル組成を有することを特徴とする上記[11]又は[12]に記載の製造方法。 SiO2/Al2O3 40以上、200以下 TBP/SiO2 0.04以上、0.3以下 SO4/SiO2 0以上、0.1以下 OH/SiO2 0.05以上、0.5以下 H2O/SiO2 5以上、40以下 M/SiO2 0.04を超え、0.1未満 (TBPはテトラブチルホスホニウムカチオン、及び、Mはアルカリ金属である)[14] 上記[1]乃至[10]のいずれかに記載のペンタシル型ゼオライトを含む触媒。[15] 上記[1]乃至[10]のいずれかに記載のペンタシル型ゼオライトを含む触媒を使用することを特徴とする芳香族炭化水素の製造方法。 以下、本発明のペンタシル型ゼオライトについて説明する。 本発明は、ペンタシル型ゼオライトに係る。ペンタシル型ゼオライトとは、酸素5員環の組合せを含むゼオライトである。ペンタシル型ゼオライトとして、国際ゼオライト学会(以下、「IZA」とする。)が規定する構造コードでMFI、MEL及びこれらの連晶体の群からなる少なくとも1種を挙げることができる。より具体的なペンタシル型ゼオライトとして、ZSM−5、シリカライト−1、ZSM−11、シリカライト−2、及びこれらの連晶体の群から選ばれる少なくとも1種を挙げることができる。本発明のペンタシル型ゼオライトはペンタシル型アルミノシリケートであり、好ましいペンタシル型ゼオライトとして、ZSM−5及びZSM−5を含む連晶体の少なくともいずれか、更にはZSM−5を挙げることができる。 ペンタシル型ゼオライトの結晶相は、Collection of simulated XRD powder patterns for zeolites,Fifth revised edition,p.483(2007)に記載の粉末X線回折(以下、「XRD」とする。)パターン、又はIZAの構造委員会のホームページ(http://www.iza−struture.org/databases/)のDisorder in Zeolite FrameworksのThe Pentasil Familyに記載のXRDパターンの少なくともいずれかと比較することで、これを同定することができる。 本発明のペンタシル型ゼオライトのBET比表面積は450m2/g以上であり、500m2/g以上であることが好ましく、510m2/g以上であることがより好ましい。後述の酸量を有し、なおかつ、BET比表面積が450m2/g以上であることで本発明のペンタシル型ゼオライトが、高い触媒活性、高い芳香族炭化水素選択性、及び高いコーキング耐性を有する触媒となる。BET比表面積は高いほど好ましい。通常、ペンタシル型ゼオライトのBET比表面積は800m2/g以下、更には700m2/g以下、また更には600m2/g以下である。 本発明において、BET比表面積は、JIS8830(ガス吸着による粉体(固体)の比表面積測定方法)に準じた測定方法によって測定できる。当該測定は吸着ガスとして窒素を使用し、1点法(相対圧:p/p0=0.30)でBET比表面積を求められる。 本発明のペンタシル型ゼオライトは、アンモニア−TPD法による酸量(以下、単に「酸量」ともいう。)が0.38mmol/g以上であり、0.4mmol/g以上であることが好ましく、0.42mmol/g以上がより好ましく、0.45mmol/g以上が更に好ましく、0.50mmol/g以上が更により好ましい。上述のBET比表面積と合わせ、この範囲の酸量を有することで本発明のペンタシル型ゼオライトが高い触媒活性を有し、特に高い芳香族炭化水素選択性を有する。酸量が高いほど芳香族炭化水素の選択性が高くなる傾向があるが、本発明のペンタシル型ゼオライトの酸量は1.0mmol/g以下、更には0.6mmol/g以下であることが例示できる。 本発明において、酸量は「アンモニア昇温脱離法による固体酸性質測定,触媒, vol.42,p.218(2000)」に準じたアンモニア−TPD法により測定される値である。すなわち、本発明における酸量は、アンモニアを室温で飽和吸着させたペンタシル型ゼオライトから100〜700℃で脱離するアンモニア量を測定することにより得られる値であることが好ましい。具体的には、室温で試料にアンモニアを飽和吸着させ、100℃に加熱して測定雰囲気中に残存するアンモニアの除去を行った後、昇温速度10℃/分で700℃までの昇温過程で測定されるアンモニア量をもって固体酸量とする。アンモニア量の測定はTCD検出器を使用すればよい。 本発明のペンタシル型ゼオライトは、細孔容積が0.60mL/g以下、更には0.55mL/g以下、また更には0.50mL/g以下であることが好ましい。細孔容積がこの範囲であることで、本発明のペンタシル型ゼオライトの充填性が高くなりやすい。これに加え、本発明のペンタシル型ゼオライトの粉末や、これを成型した成形体の強度が高くなるなど、操作性(ハンドリング)が容易になりやすい。 本発明において、細孔容積は相対圧法により得られる窒素の吸着等温線から求める値であることが好ましい。より好ましくは、77K、相対圧p/p0が0.96の窒素吸着量に換算係数(0・00156)を乗算した値をもって、細孔容積を求めることができる。 本発明のペンタシル型ゼオライトはメソ細孔を有する。メソ細孔は、ペンタシル型ゼオライトの結晶中に存在する細孔の細孔径と比べ、より大きい細孔径を有する。メソ細孔を有することで、本発明のペンタシル型ゼオライトの触媒活性が高くなる。本発明のペンタシル型ゼオライトのメソ細孔容積は0.5mL/g以下、更には0.4mL/g以下である。通常、メソ細孔容積は0.05mL/g以上、更には0.1mL/g以上、また更には0.15mL/g以上である。ここで、メソ細孔とはIUPACで規定される、細孔直径2〜50nmを有する細孔である。本発明において、メソ細孔は、相対圧法により得られる窒素の脱離等温線から求められる値であることが好ましい。本発明におけるメソ細孔容積は、77K、圧力範囲が相対圧p/p0で0.38以上、0.96以下の窒素の脱離等温線から、BJH法により求められる値であることがより好ましい。 本発明のペンタシル型ゼオライトは上述の酸量を有する。そのため、本発明のペンタシル型ゼオライトのアルミナに対するシリカのモル比(以下、「SiO2/Al2O3比」とする。)は150未満となる。SiO2/Al2O3比が低くなるほど酸量が高くなる傾向にある。本発明のペンタシル型ゼオライトのSiO2/Al2O3比は110未満であり、100未満、更には95以下、また更には90以下であることが好ましい。 ペンタシル型ゼオライトの結晶中のアルミニウム(Al)は、そのほとんどが4配位のアルミニウム(以下、「4配位Al」とする。)又は6配位のアルミニウム(以下、「6配位Al」とする。)である。4配位Alが多いほどB酸点(Bronsted acid)が多くなる。そのため、本発明のペンタシル型ゼオライトは、4配位Alが多いことが好ましい。本発明のペンタシル型ゼオライトは、4配位Alと6配位Alとの合計に対する4配位Alのモル比(以下、「4配位Al比」とする。)は90%以上、更には95%以上であることが好ましい。4配位Al比は結晶中のアルミニウムにおける4配位Alの割合であるため、その値は100%以下となる。ここで、本発明において4配位Al比は以下の式から求まる値である。 4配位Al比(%)= 4配位Al/(4配位Al+6配位Al)×100 上記式において4配位Alは27Al−NMRにおける55±5ppmに頂点を有するピークの面積、及び、6配位Alは27Al−NMRにおける0±5ppmに頂点を有するピークの面積である。 本発明のペンタシル型ゼオライトは、その原料由来のリンを含有してもよい。そのため、本発明のペンタシル型ゼオライトのシリコン及びアルミニウムに対するリンのモル比(以下、「P/(Si+Al)比」とする。)は0.0005以上、更には0.001以上、また更には0.002以上である。本発明のペンタシル型ゼオライトのP/(Si+Al)比は、0.05以下、更には0.045以下を挙げることができる。P/(Si+Al)比が0.01以下であることで、芳香族炭化水素選択性がより高くなる傾向がある。 また、本発明のペンタシル型ゼオライトはアルカリ金属を含有してもよい。アルカリ金属を含有する場合、本発明のペンタシル型ゼオライトのアルミニウムに対するアルカリ金属のモル比(以下、「M/Al比」とする。)は0.5以下、更には0.4以下、また更には0.35以下、また更には0.2以下を挙げることができる。アルカリ金属は、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、及びセシウムの群からなる少なくとも1種が例示できる。アルカリ金属はナトリウム又はカリウムの少なくともいずれかであることが好ましい。 本発明のペンタシル型ゼオライトは一次粒子の形状が、例えば、薄層状であり、その厚みは10nm以下である。 さらに、本発明のペンタシル型ゼオライトは、この様な薄層状の一次粒子が凝集して凝集径0.3〜50μmの二次粒子を形成している。本発明のペンタシル型ゼオライトの二次粒子は、一次粒子がランダムに凝集、すなわち、一次粒子が規則性を持たずに凝集している。このような一次粒子の規則性を持たない凝集により、本発明のペンタシル型ゼオライトは、一次粒子間に規則的ではないメソ細孔を有する二次粒子となる。これによりメソ細孔間における芳香族炭化水素などの拡散がしやすくなると考えられる。 本発明のペンタシル型ゼオライトの一次粒子が規則的な凝集をしていないことは、そのXRDパターンによって確認することができる。すなわち、規則的な一次粒子の凝集は、そのXRDパターンにおいてd=2.9〜8.8nmの間のピークとして確認することができる。したがって、本発明のペンタシル型ゼオライトは、そのXRDパターンにおいてd=2.9〜8.8nmの間のXRDピークを実質的に有さない。なお、d=2.9〜8.8nmは、CuKα線を線源とするXRDパターンの回折角2θ=1.0〜3.0に相当する。 なお、メソポーラスシリカなど、シリカが規則的に配置されたシリカ源からなる混合物を結晶化して得られたペンタシル型ゼオライトや、SDAとして複数個のアンモニウム官能基を有する有機界面活性剤を含む混合物を結晶化して得られたペンタシル型ゼオライトは、一次粒子が規則的に配列しやすい。このようなペンタシル型ゼオライトは、そのXRDパターンにおいてd=2.9〜8.8nmの間のXRDピークを有する。 本発明のペンタシル型ゼオライトは触媒、更には炭化水素の合成触媒として使用することができる。例えば、炭素数2から4のアルケンの合成触媒や、芳香族炭化水素の合成触媒として使用することができる。更に、本発明のペンタシル型ゼオライトは単環芳香族炭化水素の合成触媒として使用することが好ましい。単環芳香族炭化水素とは、縮合ベンゼン環以外のベンゼン環を含む炭化水素である。好ましい単環芳香族炭化水素として、ベンゼン又はアルキルベンゼンの少なくともいずれかからなる芳香族炭化水素、更にはベンゼン又はアルキルベンゼンの少なくともいずれかからなる芳香族炭化水素であって、炭素数が6から9であるもの挙げることができる。なお、アルキルベンゼンとは、アルキル基又はシクロアルキル基の少なくともいずれかを有するベンゼン環からなる炭化水素である。より好ましい単環芳香族炭化水素として、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、スチレン、ブチルベンゼン及びインダンの群から選ばれる少なくとも1種以上を挙げることができる。 本発明のペンタシル型ゼオライトを触媒として使用する場合、これと原料化合物とを任意の方法によって接触させればよい。 本発明のペンタシル型ゼオライトを炭素数2から4のアルケンの合成触媒として使用する場合、原料化合物として、メタノール、エタノール、ジメチルエーテル、エチレン、及び炭素数4以上のアルケンの群から選ばれる少なくとも1種を挙げることができる。 本発明のペンタシル型ゼオライトを芳香族炭化水素の合成触媒として使用する場合、原料化合物としてアルカン、アルケン、アルコール、軽油及び分解ガソリンの群から選ばれる少なくとも1種を挙げることができる。アルカンとしてメタン、エタン、プロパン、ブタン、及びペンタンの群から選ばれる少なくとも1種を挙げることができる。アルケンとしてエチレン、プロピレン、ブテン、及びペンテンの群から選ばれる少なくとも1種を挙げることができる。アルコールとしてメタノール、又はエタノールの少なくともいずれかを挙げることができる。軽油として、分解軽油(Light cycle oil)、粗軽油、 軽質軽油、及び水素化分解軽油の群から選ばれる少なくとも1種を挙げることができる。分解経由、粗軽油、 軽質軽油、及び水素化分解軽油はテトラリンを含んでいてもよい。 例えば、分解軽油を原料化合物として芳香族炭化水の合成を行う場合、本発明のペンタシル型ゼオライトに、気化させた分解軽油を接触させることで触媒反応が生じる。これにより、芳香族炭化水素を得ることができる。触媒反応の条件として、温度=300〜600℃、圧力=0.1〜10MPa、及び、重量毎時空間速度(WHSV)=0.001〜0.1/時が例示できる。 次に、本発明のペンタシル型ゼオライトの製造方法について説明する。 高い酸量を有するペンタシル型ゼオライトは、その結晶化挙動の制御が困難である。そのため、従来のペンタシル型ゼオライトの製造方法では、高いBET比表面積及び高い酸量を兼備したペンタシル型ゼオライトは得られていなかった。これに対し、本発明の製造方法では、原料となる混合物において、アルカリ金属がペンタシル型ゼオライトの結晶化挙動に大きく影響することを見出した。さらには、原料中のアルカリ金属に着目し、テトラブチルスルホニウムカチオンとアルカリ金属の共存下でアルカリ金属量を制御することによって、高いBET比表面積及び高い酸量を兼備するペンタシル型ゼオライトが得られる製造方法を、本発明者らは見出した。 すなわち、本発明は、テトラブチルホスホニウムカチオン、シリカ源、アルミナ源、アルカリ金属源及び水を含有する混合物を結晶化させる結晶化工程を有するペンタシル型ゼオライトの製造方法であって、前記混合物中のシリカに対するアルカリ金属のモル比が0.04を超え0.10未満であることを特徴とするペンタシル型ゼオライトの製造方法である。 本発明の結晶化工程では、テトラブチルスルホニウムカチオン(以下、「TPB」とする。)、シリカ源、アルミナ源、アルカリ金属源及び水を含有する混合物(以下、「原料混合物」とする。)を結晶化させてペンタシル型ゼオライトを得る。TBPは構造指向剤として機能する。TBPを含有する原料混合物を結晶化することで、ペンタシル型ゼオライトの一次粒子が薄層状になる。これにより、大きいBET比表面積を有したペンタシル型ゼオライトを得ることができる。 構造指向剤としての効果を十分に得るために、原料混合物中のシリカに対するTBPのモル比(以下、「TBP/SiO2比」とする。)が0.04以上、0.3以下、更には0.1以上、0.25以下であることが好ましい。 さらに、TBPは燃焼熱が小さい。そのため、結晶化工程で得られたペンタシル型ゼオライトからTBPを焼成により除去する場合であっても、ゼオライト骨格への熱的負荷、特にTBP燃焼に伴う4配位Alから6配位Alへの変化、いわゆる脱アルミニウム(de−alumination)が生じにくい。これにより、本発明の製造方法により得られるペンタシル型ゼオライトの酸量がより高くなりやすい。更にTBPには、複数個のアンモニウム官能基を有する有機界面活性剤のようにメソ細孔を大きくする作用がないため、細孔容積が大きくなり過ぎない。適度な細孔容積を有するペンタシル型ゼオライトを得るための構造指向剤としても、TBPは好ましい。 TBPは、TBPを含む化合物(以下、「TBP源」とする。)として原料混合物に含まれていることが好ましい。好ましいTBP源として、テトラブチルホスホニウムヒドロキシド(以下、「TBPOH」とする。)、テトラブチルホスホニウムクロリド(以下、「TBPCl」とする。)、及びテトラブチルホスホニウムブロミド(以下、「TBPBr」とする。)の群から選ばれる少なくとも1つを挙げることができ、さらに好ましくはTBPOHを挙げることができる。 本発明の結晶化工程では、TBP以外の構造指向剤、例えば、テトラプロピルアンモニウムカチオン(以下、「TPA」とする。)、テトラブチルアンモニウムカチオン(以下、「TBA」とする。)、及びその他複数個のアンモニウム官能基を有する有機界面活性剤のいずれか1種以上は含む必要はなく、これを含まないことが好ましい。 本発明の結晶化工程では、原料混合物中のアルカリ金属源を制御することで、BET比表面積のみならず、酸量も高い薄層状のペンタシル型ゼオライトが得られる。原料混合物中のシリカに対するアルカリ金属のモル比(以下、「M/SiO2比」とする。ここでMはアルカリ金属。)は0.04を超え、0.1未満である。M/SiO2比が0.04以下であると、本発明の酸量を有するペンタシル型ゼオライトが得られにくくなる。一方、酸量の高いペンタシル型ゼオライトと異なり、酸量の低いペンタシル型ゼオライトは結晶化が容易である。そのため、M/SiO2比が0.04以下の原料混合物を結晶化してペンタシル型ゼオライトが得られた場合であっても、そのアルミナに対するシリカのモル比(SiO2/Al2O3比)が150以上と高く、酸量の低いペンタシル型ゼオライトである。また、混合物のM/SiO2比が0.1以上であると、BET比表面積の低いペンタシル型ゼオライトしか得られない。得られるペンタシル型ゼオライトのBET比表面積及び酸量がより高くなるため、原料混合物中のM/SiO2比は0.045以上、更には0.05以上であることが好ましい。M/SiO2比は0.8以下、更には0.65以下であればよい。 原料混合物中のアルカリ金属は、結晶化したペンタシル型ゼオライトの一次粒子を三次元的に成長させやすい。しかしながら、本発明の結晶化工程では、M/SiO2比が0.045以上、0.8以下、また更には0.045以上、0.65以下であることで、ペンタシル型ゼオライトの一次粒子の三次元的な成長が抑制され、薄層状のペンタシル型ゼオライトとなる。 アルカリ金属は、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、及びセシウムの群から選ばれる少なくとも1種が例示できる。アルカリ金属は、好ましくはナトリウム又はカリウムの少なくともいずれか1種以上、更に好ましくはナトリウムである。 アルカリ金属源は、アルカリ金属を含む化合物であり、アルカリ金属を含む水酸化物、塩化物、臭化物、硫化物、及び珪酸塩の群から選ばれる少なくとも1種、更にはアルカリ金属を含む水酸化物を例示することができる。さらに、アルカリ金属がナトリウムである場合、ナトリウム源はナトリウム(Na)を含む化合物であり、当該ナトリウム(Na)を含む化合物は、水酸化ナトリウム、塩化ナトリウム、臭化ナトリウム、硫酸ナトリウム、ケイ酸ソーダ、アルミン酸ソーダ、及び、他の成分のカウンターカチオンとして含まれるナトリウムの群から選ばれる少なくとも1種が例示できる。アルカリ金属がカリウムである場合、カリウム源はカリウム(K)を含む化合物であり、当該カリウム(K)を含む化合物は、水酸化カリウム、塩化カリウム、臭化カリウム、硫酸カリウム、ケイ酸カリウム、アルミン酸カリウム、及び、他の成分のカウンターカチオンとして含まれるカリウムの群から選ばれる少なくとも1種が例示できる。 原料混合物は、TBP及びアルカリ金属源に加え、シリカ源、アルミナ源、及び水を含む。これらを含む原料混合物が結晶化することで、本発明のペンタシル型ゼオライトが得られる。そのため、原料混合物はTBP源、アルカリ金属源、シリカ源、アルミナ源、及び水を含んでいればよく、付加成分を含まないことが好ましい。付加成分として、メタノール、エタノール及びプロパノールの群から選ばれる少なくとも1種のアルコール、を挙げることができる。 シリカ源はケイ素(Si)を含む化合物であり、テトラエトキシラン、シリカゾル、ヒュームドシリカ、沈降法シリカ、無定形ケイ酸、及び無定形アルミノケイ酸塩の群から選ばれる少なくとも1種を挙げることができる。工業的な製造に適しているため、シリカ源はシリカゾル、ヒュームドシリカ、沈降法シリカ、無定形ケイ酸、及び無定形アルミノケイ酸塩の群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。さらに、シリカ源は、メソポーラスシリカ以外のシリカであることが好ましい。メソポーラスシリカとして、例えば、MCM−41、MCM−48、FSM−16及びSBA−15の群から選ばれる少なくとも1種を挙げることができる。 アルミナ源はアルミニウム(Al)を含む化合物であり、アルミニウムイソプロポキシド、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、水酸化アルミニウム、擬ベーマイト、アルミナゾル、及び無定形アルミノケイ酸塩の群から選ばれる少なくとも1種が例示できる。工業的な製造に適しているため、アルミナ源は硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、水酸化アルミニウム、擬ベーマイト、アルミナゾル、及び無定形アルミノケイ酸塩の群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。 原料混合物の組成は、TBPを含有し、なおかつ、上記のM/SiO2比を満たせは、他の組成は任意の組成とすることができる。原料混合物の好ましい組成として、 SiO2/Al2O3 40以上、200以下 TBP/SiO2 0.04以上、0.3以下 SO4/SiO2 0以上、0.1以下 OH/SiO2 0.05以上、0.5以下 H2O/SiO2 5以上、40以下 M/SiO2 0.04を超え、0.1未満を挙げることができ、更には、 SiO2/Al2O3 50以上、150以下、更には60以上、150以下 TBP/SiO2 0.1以上、0.25以下 SO4/SiO2 0.02以上、0.05以下 OH/SiO2 0.15以上、0.2以下 H2O/SiO2 5以上、15以下 M/SiO2 0.04を超え、0.1未満、 更には0.05以上、0.8以下を挙げることができる。なお、上記の組成は各成分のモル組成である。 結晶化工程では原料混合物を結晶化させる。これにより、原料混合物がペンタシル型ゼオライトに転化する。原料混合物が結晶化すれば、条件は任意であるが、温度として40℃以上、200℃以下、更には90℃以上、140℃以下の任意の時間で原料混合物を処理することを挙げることができる。処理時間は結晶化に十分な時間、例えば、24時間以上、240時間以下、更には50時間以上、90時間以下を挙げることができる。 本発明の製造方法では、結晶化工程の後、洗浄工程、乾燥工程、及びTBP除去工程を有していてもよい。 洗浄工程において、結晶化工程において得られたペンタシル型ゼオライトを固液分離し、これを固相として得る。洗浄方法は任意であり、結晶化物を純水で洗浄すればよい。 乾燥工程では、ペンタシル型ゼオライトを乾燥する。乾燥方法は、大気中、100〜200℃で処理することが挙げられる。 TBP除去工程では、TBPを除去する。結晶化工程では、ペンタシル型ゼオライトは、TBPを含有した状態で得られる。このようなTBPを含有したペンタシル型ゼオライト(以下、「TBP含有ペンタシル型ゼオライト」とする。)から、適宜、TBPを除去することができる。TBPの除去方法は、焼成、又は分解が例示できる。焼成によりTBPを除去する場合、含酸素ガス流通下で、400〜800℃、更には500〜700℃、0.5〜12時間処理することが挙げられる。 TBP除去工程においては、焼成又は分解によるTBP除去後のペンタシル型ゼオライトを再洗浄してもよい。これにより、残存したPやNaの低減若しくは除去ができる。再洗浄の方法として、水、塩化アンモニウム水溶液、希塩酸、希硫酸、及び希硝酸の群から選ばれる少なくとも1種と、TBP除去後のペンタシル型ゼオライトを混合することが挙げられる。混合後のペンタシル型ゼオライトは、例えば、純水による洗浄等、任意の方法で洗浄すればよい。 本発明のペンタシル型ゼオライトは、BET比表面積が大きく、固体酸量が大きい。そのため、触媒として用いるときの高活性、高収率、高寿命、また吸着剤・イオン交換体として用いるときの高い吸着・イオン交換速度を期待できる。 さらに、本発明のペンタシル型ゼオライトは適度な細孔容積を有するため、操作性(ハンドリング)に優れ、また、充填性が高い触媒とすることができる。 本発明のペンタシル型ゼオライトは、高い収率及び高い選択性を有する芳香族炭化水素の合成触媒、更には単環芳香族炭化水素の合成触媒として使用することができる。さらに、本発明のペンタシル型ゼオライトはエタノール、エチレン、メタノール、ジメチルエーテルなどの炭素数が1〜5の低級炭化水素から、プロピレン等の炭素数が2〜4のアルケンを製造する触媒、流動接触分解でのプロピレン増産用のアディティブ用の触媒、ナフサの接触分解用の触媒などとして利用した場合、高活性、高収率、高寿命な触媒となることが期待できる。実施例1で得られた結晶化後のペンタシル型ゼオライトの粉末X線回折図実施例1で得られた結晶化後のペンタシル型ゼオライトの走査型電子顕微鏡観察図(図中スケールは300nm)実施例4で得られた結晶化後のペンタシル型ゼオライトの透過型電子顕微鏡観察図実施例5で得られた本実施例のペンタシル型ゼオライトの粉末X線回折図実施例5で得られた本実施例のペンタシル型ゼオライトの27Al−NMRスペクトル 以下、実施例により本発明を具体的に説明する。しかしながら、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。 なお、実施例、比較例における各測定方法は、以下の通りである。 (結晶構造の同定) 一般的なX線回折装置(商品名:MXP−3、マックサイエンス社製)を使用し、試料の粉末X線回折測定をした。測定条件は以下のとおりとした。 線源 : CuKα線(λ=1.5405Å) 測定モード : ステップスキャン スキャン条件: 毎秒0.02° 発散スリット: 1.0deg 散乱スリット: 1.0deg 受光スリット: 0.3mm 計測時間 : 1秒 測定範囲 : 2θ=3°〜43° 得られたXRDパターンと、Collection of simulated XRD powder patterns for zeolites,Fifth revised edition,p.483(2007)に記載のXRDパターンとを比較することで、試料を同定した。 (メソ細孔の測定) 一般的なX線回折装置(商品名:MXP−3、マックサイエンス社製)を使用し、試料の粉末X線回折測定によるメソ細孔の状態を測定した。測定条件は以下のとおりとした。 線源 : CuKα線(λ=1.5405Å) 測定モード : ステップスキャン スキャン条件: 毎秒0.02° 発散スリット: 0.5deg 散乱スリット: 0.5deg 受光スリット: 0.15mm 計測時間 : 0.2秒又は5.0秒 測定範囲 : 2θ=1°〜3°又は1.26°〜3° 得られたXRDパターンにおけるピークの有無からメソ細孔の状態を確認した。 (形態観察) 試料の形態観察は、走査型電子顕微鏡(以下、「SEM」とする)観察、または透過型電子顕微鏡(以下、「TEM」とする)観察により行った。SEM観察は、電解放出形走査型電子顕微鏡(商品名:S−4500、日立製作所製)を用いた。TEM観察は、透過型電子顕微鏡(商品名:JEM−2000FXII、日本電子製)を用いた。 (組成分析) 組成分析は誘導結合プラズマ発光分析法(ICP法)により行った。試料をフッ酸と硝酸の混合溶液に溶解させ、測定溶液を調製した。一般的な誘導結合プラズマ発光分析装置(商品名:OPTIMA3000DV、PERKIN ELMER製)を用いて、得られた測定溶液を測定して試料の組成を分析した。 (BET比表面積) JIS8830に準じた測定により、試料のBET比表面積を求めた。測定には、一般的な比表面積測定装置(商品名:フローソーブIII、島津製作所製)を用いた。前処理として試料を400℃で2時間保持した。前処理後の試料についてBET比表面積を測定した。測定条件は以下のとおりである。 処理ガス :窒素を30体積%、ヘリウムを70体積%含む混合ガス (相対圧p/p0=0.3に相当) 測定方法 :1点法。 (細孔容積) 全細孔容積の測定は窒素吸着等温線測定により行った。測定には、一般的な吸着量測定装置(商品名:ベルソープ28SA、日本ベル製)を用いた。前処理として試料を350℃で2時間保持した。前処理後の試料について窒素の吸着等温線を測定した。測定条件は以下のとおりである。 処理ガス :窒素ガス 処理温度 :液体窒素温度 測定圧力 :10−4kPa〜100kPa (相対圧p/p0=10−6〜1.0) 得られた吸着等温線の、相対圧p/p0=10−6〜9.6×10−1に相当する窒素吸着容量から、試料の全細孔容積を求めた。 (メソ細孔容積の測定) メソ細孔容積の測定は窒素吸着等温線測定により行った。測定には一般的な吸着量測定装置(商品名:ベルソープ28SA、日本ベル製)を用いた。前処理として試料を350℃で2時間保持した。前処理後の試料について窒素の脱離等温線を測定した。測定条件は以下のとおりである。 処理ガス :窒素ガス 処理温度 :液体窒素温度 測定圧力 :100kPa〜10−4kPa (相対圧p/p0=1.0〜10−6) 得られた吸着等温線から、相対圧p/p0=9.6×10−1〜1.0×10−6に相当する窒素の脱離容量から、BJH法により試料のメソ細孔容積を求めた。 (Al状態の分析) 27Al−NMRにより、4配位Al比を求めた。測定には、一般的な核磁気共鳴分光装置(商品名:VNMRS−400、Varian製)を用いた。前処理として試料を相対湿度80%の状態で一晩保持した。前処理後の試料を用い、以下の条件で27Al−NMR測定を行い、NMRパターンを得た。 回転周波数 :15kHz 試料管状態 :回転 得られたNMRパターンは、バックグランド処理した後、55±5ppmに頂点を有するピークの面積を4配位Al、及び、0±5ppmに頂点を有するピークの面積を6配位Alとみなし、以下の式から4配位Al比を求めた。 4配位Al比(%)= 4配位Al/(4配位Al+6配位Al)×100 (固体酸量の測定) アンモニア−TPD法により、試料の固体酸量の測定を行った。 試料0.1gを500℃のヘリウム流通下に静置してこれを前処理とした。1時間の前処理後の試料について、室温で、10体積%のアンモニア及び90体積%のヘリウムを含む混合ガスを流通させて、試料にアンモニアを飽和吸着させた。混合ガスを1時間流通した後、混合ガスに代え、ヘリウムガスを流通しながら試料を100℃まで昇温した。昇温後、100℃、1時間、ヘリウムガスを流通させることで雰囲気中に残存するアンモニアを除去した。 残存アンモニアの除去後、流速50mL/分のヘリウム流通下、昇温速度10℃/分で700℃まで昇温し、TCD検出器を使用して、当該昇温過程で測定されたアンモニア量をもって、試料に吸着されたアンモニア量とした。試料の単位質量あたりの吸着アンモニア量を固体酸量(mmol/g)とした。 実施例1 ケイ酸ソーダ水溶液、及び、硫酸を混合し粒状無定形ケイ酸を得た。得られた粒状無定形ケイ酸、硫酸アルミニウム、40%TBPOH水溶液、水酸化ナトリウム、及び純水を混合し、以下の組成からなる原料混合物を得た。 SiO2/Al2O3 =100 TBP/SiO2 =0.20 Na/SiO2 =0.05 SO4/SiO2 =0.03 OH/SiO2 =0.19 H2O/SiO2 =10 得られた原料混合物をステンレス製の反応容器に充填し、これを密閉した。その後、当該反応容器を55回転/分で公転させながら130℃まで加熱した。加熱後、公転を維持しながら130℃で72時間保持することで原料混合物を結晶化させ、結晶化スラリーを得た。 結晶化スラリーを冷却、ろ過、洗浄、及び110℃で乾燥して結晶化物を得た。 結晶化物はペンタシル型ゼオライトであり、ペンタシル構造以外の構造を含んでいなかった。また、当該ペンタシル型ゼオライトは、薄層状の結晶(一次粒子)が凝集した凝集体からなる二次粒子を形成していた。当該二次粒子の粒子径は0.4μmであった。また、XRDパターンにおいては、2θ=1.0〜3.0の間に実質的にピークを有さなかった(なお、他の実施例において得られた結晶化物のXRDパターンにおいても同様であった)。 結晶化物の結晶相の同定を行ったXRDパターンを図1に、SEM観察図を図2に示す。 得られたペンタシル型ゼオライトを、空気中、550℃で焼成して、本実施例のペンタシル型ゼオライトとした。本実施例のペンタシル型ゼオライトは細孔容積が0.47mL/gであった。評価結果を表1に示す。 実施例2 実施例1と同様な方法で、結晶化、冷却、ろ過、洗浄、乾燥、及び焼成することでペンタシル型ゼオライトを得た。得られたペンタシル型ゼオライトと2Lの純水とを70℃で混合後、ろ過、乾燥して本実施例のペンタシル型ゼオライトとした。本実施例のペンタシル型ゼオライトは細孔容積が0.47mL/gであった。評価結果を表1に示す。 実施例3 SiO2/Al2O3=100となるようにケイ酸ソーダ水溶液と、硫酸アルミニウム水溶液とを混合し、得られた混合物を脱水、及び洗浄して粒状無定形アルミノケイ酸塩(SiO2/Al2O3=100)を得た。 得られた粒状無定形アルミノケイ酸塩、40%TBPOH水溶液、水酸化ナトリウム、硫酸、及び純水を混合し、以下の組成からなる原料混合物を得た。 SiO2/Al2O3 =100 TBP/SiO2 =0.20 Na/SiO2 =0.05 SO4/SiO2 =0.03 OH/SiO2 =0.19 H2O/SiO2 =10 この原料混合物を実施例1と同様な方法で結晶化、冷却、ろ過、洗浄、及び乾燥して結晶化物を得た。結晶化物はペンタシル型ゼオライトであり、それ以外の構造を含んでいなかった。 得られたペンタシル型ゼオライトを、空気中、550℃で焼成することで、本実施例のペンタシル型ゼオライトとした。本実施例のペンタシル型ゼオライトは細孔容積が0.45mL/gであった。評価結果を表1に示す。 実施例4 実施例1と同様な方法により無定形ケイ酸を得た。得られた粒状無定形ケイ酸、硫酸アルミニウム、40%TBPOH水溶液、水酸化ナトリウム、及び純水を混合し、以下の組成からなる原料混合物を得た。 SiO2/Al2O3 =80 TBP/SiO2 =0.20 Na/SiO2 =0.05 SO4/SiO2 =0.04 OH/SiO2 =0.18 H2O/SiO2 =10 この原料混合物を実施例1と同様な方法で結晶化、冷却、ろ過、洗浄、及び乾燥して結晶化物を得た。結晶化物はペンタシル構造を有するゼオライトであり、それ以外の構造を含んでいなかった。結晶化物のTEM観察図を図3に示す。 得られたゼオライトを、空気中、550℃で焼成することで、本実施例のペンタシル型ゼオライトとした。本実施例のペンタシル型ゼオライトの細孔容積は0.46mL/g、及び、メソ細孔容積は0.37mL/gであった。本実施例のペンタシル型ゼオライトの評価結果を表1に示す。 実施例5 実施例4と同様な方法で、結晶化、冷却、ろ過、洗浄、乾燥、及び焼成することでペンタシル型ゼオライトを得た。得られたペンタシル型ゼオライトと2Lの純水とを70℃で混合後、ろ過、乾燥して本実施例のペンタシル型ゼオライトとした。 本実施例のペンタシル型ゼオライトの細孔容積は0.44mL/gであった。評価結果を表1に、結晶相の同定の結果を図4に、及び、27Al−NMRスペクトルを図5に示す。 本実施例のペンタシル型ゼオライトはペンタシル型ゼオライトであり、さらに、規則的な一次粒子の凝集は確認されなかった。また、4配位Al比は97%であり、結晶中のアルミニウムのほとんどが4配位Alであること、更には、SDAの除去などの後工程を経た後においても、ペンタシル型ゼオライトの結晶中のアルミニウムの脱離がほとんど生じていないことが確認できた。 実施例6 実施例1と同様な方法により無定形ケイ酸を得た。得られた粒状無定形ケイ酸、硫酸アルミニウム、40%TBPOH水溶液、水酸化ナトリウム、及び純水を混合し、以下の組成からなる原料混合物を得た。 SiO2/Al2O3 =100 TBP/SiO2 =0.20 Na/SiO2 =0.06 SO4/SiO2 =0.03 OH/SiO2 =0.20 H2O/SiO2 =10 この原料混合物を実施例1と同様な方法で結晶化、冷却、ろ過、洗浄、及び乾燥して結晶化物を得た。結晶化物はペンタシル構造を有するゼオライトであり、それ以外の構造を含んでいなかった。 得られたゼオライトを、空気中、550℃で焼成することで、本実施例のペンタシル型ゼオライトとした。本実施例のペンタシル型ゼオライトの細孔容積は0.44mL/gであった。評価結果を表1に示す。 実施例7 SiO2/Al2O3=56となるようにケイ酸ソーダ水溶液と、硫酸アルミニウム水溶液とを混合し、得られた混合物を脱水、及び洗浄して粒状無定形アルミノケイ酸塩(SiO2/Al2O3=56)を得た。当該粒状無定形アルミノケイ酸塩を10%KCl水溶液に添加、混合することで、粒状無定形アルミノケイ酸塩中のナトリウムをカリウムにイオン交換した。 イオン交換後の粒状無定形アルミノケイ酸塩、40%TBPOH水溶液、水酸化カリウム、及び純水を混合し、以下の組成からなる原料混合物を得た。 SiO2/Al2O3 =56 TBP/SiO2 =0.14 K/SiO2 =0.06 SO4/SiO2 =0 OH/SiO2 =0.20 H2O/SiO2 =10 この原料混合物を、反応温度を120℃、時間を160時間としたこと以外は実施例1と同様な方法で結晶化した後、冷却、ろ過、洗浄、及び乾燥して結晶化物を得た。結晶化物はペンタシル型ゼオライトであり、それ以外の構造を含んでいなかった。 得られたペンタシル型ゼオライトを、空気中、550℃で焼成した。焼成後のペンタシル型ゼオライトは、2Lの純水とを70℃で混合した後、ろ過、乾燥して本実施例のペンタシル型ゼオライトとした。本実施例のペンタシル型ゼオライトの細孔容積は0.39mL/g、及び、メソ細孔容積は0.18mL/gであった。本実施例のペンタシル型ゼオライトの評価結果を表1に示す。 比較例1 非特許文献2に準じて、ペンタシル型ゼオライトを合成した。すなわち、テトラエトキシシラン(東京化成)、硫酸アルミニウム、40%TBPOH水溶液、水酸化ナトリウム、及び純水を混合し、以下の組成からなる原料混合物を得た。 SiO2/Al2O3 =200 TBP/SiO2 =0.30 Na/SiO2 =0.01 SO4/SiO2 =0.015 OH/SiO2 =0.28 H2O/SiO2 =10 C2H5OH/SiO2 =4 得られた原料混合物を、ステンレス製の反応容器に充填し、これを密閉した。その後、当該反応容器を静置したまま115℃となるまで加熱した。加熱後、115℃で静置させたまま72時間保持することで原料混合物を結晶化させ、結晶化スラリーを得た。 実施例1と同様な方法で、得られた結晶化スラリーを冷却、ろ過、洗浄、及び乾燥して結晶化物を得た。結晶化物はペンタシル型ゼオライトであり、それ以外の構造を含んでいなかった。 当該ペンタシル型ゼオライトを、空気中、550℃で焼成することで、本比較例のペンタシル型ゼオライトとした。本比較例のペンタシル型ゼオライトの評価結果を表1に示す。 本比較例のペンタシル型ゼオライトは200nm以下の凝集粒径からなる二次粒子であった。そのため、実施例のペンタシル型ゼオライトと比べ、ろ過、洗浄に要する時間が長時間であり、操作性に乏しかった。 比較例2 以下の組成としたこと以外は比較例1と同様な方法により、原料混合物を得た。 SiO2/Al2O3 =100 TBP/SiO2 =0.30 Na/SiO2 =0.015 SO4/SiO2 =0.03 OH/SiO2 =0.26 H2O/SiO2 =10 得られた原料混合物を、比較例1と同様な方法で加熱、冷却、ろ過、洗浄、及び乾燥して粉末状物質を得た。得られた粉末状物質のXRDパターンはブロードな成分のみで明瞭なピークを示さなかった。得られた粉末状物質はアモルファスであることが確認された。 比較例3 実施例1と同様な方法により粒状無定形アルミノケイ酸塩を得た。得られた粒状無定形ケイ酸、硫酸アルミニウム、40%TBPOH水溶液、水酸化ナトリウム、及び純水を混合し、以下の組成からなる原料混合物を得た。 SiO2/Al2O3 =100 TBP/SiO2 =0.20 Na/SiO2 =0.04 SO4/SiO2 =0.03 OH/SiO2 =0.18 H2O/SiO2 =10 この原料混合物を実施例1と同様な方法で結晶化、冷却、ろ過、洗浄、及び乾燥して粉末状物質を得た。粉末状物質のXRDパターンはブロードなXRDピークのみであった。これより得られた粉末状物質はアモルファスであることが確認された。 比較例4 実施例1と同様な方法により無定形ケイ酸を得た。得られた粒状無定形ケイ酸、硫酸アルミニウム、40%TBPOH水溶液、水酸化ナトリウム、及び純水を混合し、以下の組成からなる原料混合物を得た。 SiO2/Al2O3 =100 TBP/SiO2 =0.20 Na/SiO2 =0.04 SO4/SiO2 =0.03 OH/SiO2 =0.18 H2O/SiO2 =10 公転を維持しながら130℃で120時間保持したこと以外は実施例1と同様な方法で結晶化、冷却、ろ過、洗浄、及び乾燥して粉末状物質を得た。粉末状物質のXRDパターンはブロードなXRDピークのみであった。これより得られた粉末状物質はアモルファスであることが確認された。 比較例5 実施例3と同様な方法により粒状無定形アルミノケイ酸塩(SiO2/Al2O3=100)を得た。 得られた粒状無定形アルミノケイ酸塩、40%TBPOH水溶液、水酸化ナトリウム、及び純水を混合し、以下の組成からなる原料混合物を得た。 SiO2/Al2O3 =100 TBP/SiO2 =0.20 Na/SiO2 =0.10 SO4/SiO2 =0 OH/SiO2 =0.30 H2O/SiO2 =10 この原料混合物を実施例1と同様な方法で結晶化、冷却、ろ過、洗浄、及び乾燥して結晶化物を得た。結晶化物はペンタシル型ゼオライトであり、それ以外の構造を含んでいなかった。 本比較例のペンタシル型ゼオライトの評価結果を表1に示す。 比較例6 実施例3と同様な方法により粒状無定形アルミノケイ酸塩を得た。得られた粒状無定形アルミノケイ酸塩はSiO2/Al2O3=100であった。 得られた粒状無定形アルミノケイ酸塩、50%テトラプロピルアンモニウムブロミド水溶液、水酸化ナトリウム、及び純水を混合し、以下の組成からなる原料混合物を得た。 SiO2/Al2O3 =100 TPA/SiO2 =0.05 Na/SiO2 =0.17 Br/SiO2 =0.05 OH/SiO2 =0.17 H2O/SiO2 =10 この原料混合物を180℃,24時間,静置で結晶化させた。結晶化後、実施例1と同様な方法で冷却、ろ過、洗浄、及び乾燥して結晶化物を得た。結晶化物はペンタシル型ゼオライトであり、それ以外の構造を含んでいなかった。得られたペンタシル型ゼオライトを、空気中、550℃で焼成し、更に2Lの10%塩化アンモニウムを70℃で混合後、ろ過、乾燥、更に500℃で焼成して本実施例のペンタシル型ゼオライトとした。本比較例のペンタシル型ゼオライトの評価結果を表1に示す。 比較例7 実施例1と同様な方法により無定形ケイ酸を得た。得られた粒状無定形ケイ酸、硫酸アルミニウム、40%TBPOH水溶液、水酸化ナトリウム、及び純水を混合し、以下の組成からなる原料混合物を得た。 SiO2/Al2O3 =200 TBP/SiO2 =0.20 Na/SiO2 =0.05 SO4/SiO2 =0.015 OH/SiO2 =0.22 H2O/SiO2 =10 得られた原料混合物を、ステンレス製の反応容器に充填し、これを密閉した。その後、当該反応容器を静置したまま130℃となるまで加熱した。加熱後、130℃で静置させたまま72時間保持することで原料混合物を結晶化させ、結晶化スラリーを得た。 実施例1と同様な方法で、得られた結晶化スラリーを冷却、ろ過、洗浄、及び乾燥して結晶化物を得た。結晶化物はペンタシル型ゼオライトであり、それ以外の構造を含んでいなかった。 得られたペンタシル型ゼオライトと2Lの純水とを70℃で混合後、ろ過、乾燥して本比較例のペンタシル型ゼオライトとした。 これらの実施例で得られたペンタシル型ゼオライトは、BET比表面積が450m2/g以上、更には500m2/g以上と高く、なおかつ、酸量が0.4mmol/g以上であり、高いBET比表面積及び酸量を兼備していた。(触媒反応評価) 実施例5、比較例6及び7のペンタシル型ゼオライトを用い、芳香族炭化水素の合成触媒として評価した。結果を表2に示した。 前処理として、粉末状の試料を400kgf/cm2で1分間加圧して凝集体とした。得られた凝集体を粉砕して直径1mmのペレットとし、これを評価触媒とした。 評価触媒に流通するテトラリンが一定となるように、評価触媒に原料ガスを流通させることでテトラリンを、炭素数6から9の単環芳香族炭化水素(以下、「C6−9」とする。)に転換した。評価条件を以下に示す。 原料ガス :テトラリン キャリアガス :窒素 評価触媒の重量 :1.0g 原料ガス流量 :テトラリン重量/触媒重量=0.0354/時 触媒反応温度 :450℃ 圧力 :0.1MPa 原料ガス及び評価触媒流通後のガス(以下、「反応ガス1」とする。)を、水素炎検出器(FID)を備えたガスクロマトグラフィー(装置名:GC−14A、島津製作所製)で分析した。得られた分析結果より、以下の式(1)からテトラリンの転化率を求め、また、以下の式(2)から単環芳香族炭化水素の収率を求めた。 TC={1−(ET/IT)}×100 (1) 式(1)において、TCはテトラリンの転化率(%)、ITは原料ガス中のテトラリン炭素数(mol/分)、及び、ETは反応ガス1中のテトラリン炭素数(mol/分)である。 CA=EA/IT×100 (2) 式(2)において、CAは炭素数6から9の単環芳香族炭化水素(以下、「C6−9」とする。)の収率、EAは反応ガス1中のC6−9の炭素数(mol/分)、及び、ITは原料ガス中のテトラリン炭素数(mol/分)である。 実施例のペンタシル型ゼオライトは、テトラリンの転化率が、比較例6及び7よりも高く、本発明のペンタシル型ゼオライトは、より効率よくテトラリンをC6−9に転化することが確認できた。さらに、実施例のペンタシル型ゼオライトはC6−9の収率も高く、目的とする芳香族炭化水素が、より効率よく得られることが確認できた。 さらに、実施例のペンタシル型ゼオライトはいずれも細孔容積は0.60mL/g以下、更には0.50mL/g以下あり、適度な細孔容積を有していた。触媒評価の際に触媒が崩れるなどの現象は観察されず、本発明のペンタシル型ゼオライトは、ハンドリングが容易であることが確認できた。(触媒反応評価−2) 実施例5のペンタシル型ゼオライトを用い、炭素数2から4のアルケン(以下、「C2−4」とする。)の合成触媒として評価した。結果を表3に示した。 前処理として、粉末状の試料を400kgf/cm2で1分間加圧して凝集体とした。得られた凝集体を粉砕して直径1mmのペレットとし、これを評価触媒とした。 評価触媒に流通するエタノールが一定となるように、評価触媒に原料ガスを流通させることでエタノールをC2−4に転換した。評価条件を以下に示す。 原料ガス :エタノール キャリアガス :窒素 評価触媒の重量 :1.0g 原料ガス流量 :エタノール重量/触媒重量=4/時 触媒反応温度 :400℃ 圧力 :0.1MPa 原料ガス及び評価触媒流通20分後のガス(以下、「反応ガス2」とする。)を、水素炎検出器(FID)を備えたガスクロマトグラフィー(装置名:GC−14A、島津製作所製)で分析した。得られた分析結果より、以下の式(3)からエタノールの転化率を求め、また、以下の式(4)からC2−4の収率を求めた。 EtC={1−(EEt/IEt)}×100 (3) 式(3)において、EtCはエタノールの転化率(%)、IEtは原料ガス中のエタノール炭素数(mol/分)、及び、EEtは反応ガス2中のエタノール炭素数(mol/分)である。 CO=EO/IEt×100 (4) 式(4)において、COはC2−4の収率、EOは反応ガス2中のC2−4の炭素数(mol/分)、及び、IEtは原料ガス中のエタノール炭素数(mol/分)である。 表3より、実施例5のペンタシル型ゼオライトは、エタノールの転化率が100%であり、高いエタノール転化率を示すことが確認できた。さらに、C2−4の収率は97%であり、エタノールのほとんどがC2−4に転換していることが確認できた。この結果より、本発明のペンタシル型ゼオライトは、芳香族炭化水素の合成触媒のみならず、エタノールの転化触媒、更には、エタノールからの低級アルケンの合成触媒となることが確認できた。 本発明のペンタシル型ゼオライトは、触媒、吸着剤・イオン交換体などとして用いることができる。本発明のペンタシル型ゼオライトは、特に、芳香族炭化水素の製造に用いる、芳香族炭化水素の製造触媒や、芳香族炭化水素の選択触媒として使用することができる。更には、炭素数が2から4のアルケンの合成触媒、例えば、バイオエタノールを含むエタノールなどのアルコールを原料とするプロピレンの製造用触媒や、ジメチルエーテルやエチレンを原料とするプロピレンの製造用触媒として使用することができる。更には、流動接触分解によるプロピレン増産用のアディティブ用の触媒、ナフサの接触分解用の触媒、バイオマスの接触熱分解により液体燃料を製造するための触媒などとして使用することができる。○ :4配位Al◎ :6配位Al△ :ノイズ BET比表面積が450m2/g以上であり、なおかつ、アンモニア−TPD法による酸量が0.38mmol/g以上であることを特徴とするペンタシル型ゼオライト。 細孔容積が0.60mL/g以下であることを特徴とする請求項1に記載のペンタシル型ゼオライト。 アルミナに対するシリカのモル比が150未満であることを特徴とする請求項1又は2に記載のペンタシル型ゼオライト。 結晶中の4配位のアルミニウムと6配位のアルミニウムとの合計に対する4配位のアルミニウムのモル比が90%以上であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のペンタシル型ゼオライト。 アルミニウムに対するアルカリ金属のモル比が0.5以下であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のペンタシル型ゼオライト。 一次粒子が規則的な凝集をしていないことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載のペンタシル型ゼオライト。 二次粒子の凝集径が0.3〜50μmであることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載のペンタシル型ゼオライト。 リンを含有することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載のペンタシル型ゼオライト。 シリコン及びアルミニウムに対するリンのモル比が0.0005以上であることを特徴とする請求項8に記載のペンタシル型ゼオライト。 アンモニア−TPD法による酸量が0.45mmol/g以上である請求項1乃至9のいずれか一項に記載のペンタシル型ゼオライト。 テトラブチルホスホニウムカチオン、シリカ源、アルミナ源、アルカリ金属源及び水を含有する混合物を結晶化させる結晶化工程を有するペンタシル型ゼオライトの製造方法であって、前記混合物中のシリカに対するアルカリ金属源のモル比が0.04を超え0.10未満であることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか一項に記載のペンタシル型ゼオライトの製造方法。 前記混合物中のシリカに対するテトラブチルスルホニウムカチオンのモル比が0.04以上、0.3以下であることを特徴とする請求項11に記載の製造方法。 前記混合物が、以下のモル組成を有することを特徴とする請求項11又は12に記載の製造方法。 SiO2/Al2O3 40以上、200以下 TBP/SiO2 0.04以上、0.3以下 SO4/SiO2 0以上、0.1以下 OH/SiO2 0.05以上、0.5以下 H2O/SiO2 5以上、40以下 M/SiO2 0.04を超え、0.1未満 (TBPはテトラブチルホスホニウムカチオン、及び、Mはアルカリ金属である) 請求項1乃至10のいずれか一項に記載のペンタシル型ゼオライトを含む触媒。 請求項1乃至10のいずれか一項に記載のペンタシル型ゼオライトを含む触媒を使用することを特徴とする芳香族炭化水素の製造方法。 【課題】 従来よりも高いBET比表面積及び高い酸量を兼ね備えたペンタシル型ゼオライト、及びその製造方法を提供することを目的とする。【解決手段】 BET比表面積が450m2/g以上であり、なおかつ、アンモニア−TPD法による酸量が0.38mmol/g以上であることを特徴とするペンタシル型ゼオライト。このようなペンタシル型ゼオライトは、テトラブチルホスホニウムカチオン、シリカ源、アルミナ源、アルカリ金属源及び水を含有する混合物を結晶化させる結晶化工程を有するペンタシル型ゼオライトの製造方法であって、前記混合物中のシリカに対するアルカリ金属のモル比が0.04を超え0.10未満であることを特徴とする製造方法により得ることができる。【選択図】 図3