| タイトル: | 公開特許公報(A)_全果りんご及び・又はリンゴ搾汁残渣からのセラミドおよび又はペクチンの抽出方法 |
| 出願番号: | 2014156471 |
| 年次: | 2015 |
| IPC分類: | C07C 231/24,A23L 1/212,A23L 1/30,C08B 37/06,C07C 233/18 |
境 健治 田中 清人 柿並 寛子 伊徳 行 片山 寿伸 山野 豊 市田 淳治 長田 恭一 JP 2015057378 公開特許公報(A) 20150326 2014156471 20140731 全果りんご及び・又はリンゴ搾汁残渣からのセラミドおよび又はペクチンの抽出方法 つがるりんごセラミド株式会社 513203141 飯田 伸行 100079980 飯田 和彦 100167139 境 健治 田中 清人 柿並 寛子 伊徳 行 片山 寿伸 山野 豊 市田 淳治 長田 恭一 JP 2013166275 20130809 C07C 231/24 20060101AFI20150227BHJP A23L 1/212 20060101ALI20150227BHJP A23L 1/30 20060101ALI20150227BHJP C08B 37/06 20060101ALI20150227BHJP C07C 233/18 20060101ALI20150227BHJP JPC07C231/24A23L1/212 AA23L1/30 BC08B37/06C07C233/18 11 7 OL 19 4B016 4B018 4C090 4H006 4B016LC07 4B016LG01 4B016LK03 4B018MD08 4B018MD52 4B018ME02 4B018MF01 4C090AA04 4C090BA50 4C090BC10 4C090CA09 4C090DA27 4H006AA02 4H006AD16 4H006BB14 4H006BD35 4H006BD41 4H006BD53 4H006BN10 4H006BV22 本願発明は、全果りんご及び又は、リンゴ搾汁残渣から有用成分であるセラミド、および又は、ペクチンをそれぞれ抽出する方法を提供する。更には、それらに関連し、抽出の処理に利用したエタノールを再生又は再利用する方法を提供するものである。 本明細書において「全果りんご」とは、完熟、未熟の段階いかんを問わず市場に流通する生食用、加工用 のりんご並びに、リンゴ搾汁処理等の加工に至らない段階での収穫後のリンゴとしての形態を維持するリンゴ収穫物の全てをいう。すなわち、「全果りんご」には、落果、未完熟、選果過程による排除などのように、リンゴ自体としての形態を備えた収穫物リンゴのあらゆる状態のものを含む。言い換えれば、「全果りんご」とは、収穫後に形状を変化させるような別段の加工を施していないりんご全体を指す。 一般に、りんご果実には、品種・種類を問わずペクチンをはじめとする食物繊維などの有用成分が豊富に含まれるほか、セラミド、ポリフェノール、カリウムなどの各種有用成分も含まれており、これらの成分のはたらきによる種々の健康維持効果や健康増進効果が報告されている。 ところで、りんご果実からのりんご果汁生産の際には、大量のりんご搾汁残渣(滓)が発生する結果、その(残渣の)複合成分によって周辺に及ぼす汚臭・腐敗臭などの大気汚染や環境公害問題などが従来多々問題とされてきた。特に、夏季・温暖期にはこれら残渣成分の腐敗進行速度も早い等のために、公害予防の観点からも、りんご廃棄物への対処が問題とされた。又、それらのりんご廃棄物の活用、特に、全果りんご又は、りんご搾汁残渣に含まれる未利用有用成分の抽出方法の開発が要請されている。特開2005−60323号公報特開2011−109956号公報 本発明に関し、以下の先行文献を報告する。 特許文献1は、アレルゲンを含まず、他成分との混合性能のよいりんごセラミドの提供に関する。しかし、特許文献1は、本発明とは着想を異にし、しかも「全果りんご」についてもりんごペクチンの抽出に関しても何ら開示し又は、示唆するところが無い。 特許文献2は、砂糖を製造する際のエタノールの使用に関するが、これをもってもりんご由来のペクチン・セラミドの抽出・精製に関して開示し又は、示唆するものではない。 [非特許文献1]「農産物およびその加工副産物における機能性脂質セラミドの含量」(北海道農業研究センター畑作研究部流通システム研究チーム) 1.非特許文献1には、農産物およびその加工副産物におけるセラミドの含量の抽出方法に関しての開示がなされている。(以下に抜粋する。)[非特許文献1]「農産物およびその加工副産物における機能性脂質セラミドの含量」(北海道農業研究センター畑作研究部流通システム研究チームによる) すなわち、非特許文献1においては、概要、以下の各事項の報告がなされている。 糖脂質の一種であるセラミドは、肌の保湿・美白効果があることから健康食品および化粧品原料に利用されている。「・・中略・・・より低コストで製造するのに適した原料を探すため、各種の農産物およびその加工副産物におけるセラミドの含量を調べた。・」 2. 試験方法(農産物およびその加工副産物におけるセラミドの含量について) 以下に非特許文献1の試験方法について説明する。 (1) セラミドの抽出・定量化 乾燥・粉砕した各種試料からクロロホルム-メタノール混液で抽出したセラミド画分を薄層クロマトグラフィーで展開し、標準物質とのスポットの濃さからセラミドおよびステロール配糖体の濃度を推定した。 (2) セラミドの構成成分の分析 セラミドの構成スフィンゴイド塩基および構成脂肪酸は、ガスクロマトグラフィー/マススペクトロメトリーで分析した。 (3) 上記の試験成績は、添付図1の「 農産物およびその加工副産物におけるセラミドの含量」においてグラフ表示されている。 (試験結果及び考察)(1) 図1に示す供試試料には、いずれもセラミドが存在する。その含量は0.01〜0.94 mg/gで分布しており、その中でもリンゴの搾汁残渣が、もっとも高濃度のセラミドを含む。図1において注目すべきは、セラミド含量が、0.5 mg/g以上に達するものは、ひまわり根を除けば、りんご皮およびりんご搾汁残渣のみであり、特にりんご搾汁残渣のセラミド含量0.94は、他の対象試料のほぼ2倍以上にあたる高濃度である。(2) 現行の一般的なセラミド製造工程では、植物体中のステロール配糖体が、セラミドの高純度精製を困難にしており、供試試料においては0.01〜0.87 mg/g含まれている。 (3) リンゴ搾汁残渣のセラミド/ステロール配糖体比は1.09で、セラミドに対するステロール配糖体の割合がもっとも少ないため、セラミドの高純度精製が容易である。(他の試料のセラミド/ステロール配糖体比は0.02〜0.06程度である)。(4) リンゴ搾汁残渣の主要な構成セラミド種は、脂肪酸としては2-ヒドロキシパルミチン酸およびスフィンゴイド塩基としては4-ヒドロキシ-シス-8-スフィンゲニンで、既往の植物セラミドと類似した組成をもつため、同様の機能性が期待できる。なお、非特許文献1におけるりんごセラミドの化学構造を添付の図2に示す。 (考察)添付の図1に示す非特許文献1によれば、同文献中で供試された資料中では、リンゴの搾汁残渣が、他の供試農産物に比して相対的に最も大なるセラミド含量を有することを実証するものである。 本発明は、全果りんご及び・又は、りんご搾汁残渣から有用成分であるセラミド、および又はペクチンをそれぞれ抽出する方法を提供することを目的とする。更には、それらに関連し、処理したエタノールを再生し、又は再利用する方法を提供することを目的とする。 本発明は、全果りんご及び・又はリンゴ搾汁残渣から有用成分であるセラミド、および又はペクチンをそれぞれ抽出する方法を提供する。さらには、それらに関連し、抽出に使用したエタノールを回収し再生し、又は再利用する方法を提供する。 より詳細には以下の通りとなる。 本発明によるセラミド及び又はペクチンを抽出する方法及びエタノールを回収し再生・再利用する方法は、 (a) 全果りんご及び又はリンゴ搾汁残渣を水処理、乾燥処理(共通工程1)、エタノール処理・乾燥処理を経てセラミドを含むエタノール処理液とペクチンを含むエタノール処理残渣を回収し、エタノール処理残渣を乾燥させてエタノール処理残渣乾燥物を得る工程(共通工程2)(図7)と、 (b) エタノール処理液からセラミドを精製する工程(セラミド工程)(セラミド工程は、濃縮処理・エタノール回収処理・精製処理からなる。)と、 (c) エタノール処理残渣乾燥物からペクチンを抽出、精製する工程(ペクチン工程1,2)(塩酸処理、濃縮処理、ペクチン分離、乾燥処理からなる)と、 (d) 工程(b)並びに工程(c)に使用したエタノールを回収し、再生及び又は再利用する工程(エタノール工程)とからなる。 以下、工程(a)は(共通工程1,2:図3,4、5)、工程(b)は、セラミド工程:図3,5)、工程(c)はペクチン工程(ペクチン工程1およびペクチン工程2:図4,5))、工程(d)は、エタノール工程と称する(図6、7)。 全果りんごについては、共通工程1以下の水処理その他の工程に先立ち、破砕処理や磨砕処理(破砕処理や磨砕処理のみならず解砕処理を行う場合もある。)などにより、その後の共通工程1、2以下の処理の効率を上げる。そのためには、全果りんごを破砕処理、磨砕処理などのりんご単体の砕片(細分化)処理後に「搾汁残渣」との混合操作等を行い、「全果りんご」と「搾汁残渣」との平均水分率をほぼ等しくなるように処置することも可能である。すなわち、全果りんごは、搾汁処理の前段階の状態で有り、他方、「搾汁残渣」は搾汁処理後の状態を言う。 搾汁残渣については、搾汁工程により個体りんごの細分化(砕片化)は終了しているから、直接(そのままで)共通工程1以下(水処理その他)の工程に付する。(セラミド工程とペクチン工程の順序について) 本発明において、セラミド工程と、ペクチン工程(以下、ペクチン工程1、ペクチン工程2を順に行う工程を併せてペクチン工程とする)については、セラミド工程、次にペクチン工程としての順序による方法を開示した。即ち、前記共通工程2を経た時点で、セラミド工程に必要なエタノール処理液と、ペクチン工程に必要なエタノール処理残渣乾燥物とがそれぞれ同時に別個に得られる。 なお、共通工程1.2は、セラミド工程、ペクチン工程双方の前処理としての共通工程としての意味も有する。更に、共通工程2の結果としてエタノール処理液と、エタノール処理残渣乾燥物とがそれぞれ得られるが、その後につづくセラミド工程と、ペクチン工程とは、互いに別個独立に進行する。その結果、セラミド工程からは、セラミドが成果物として得られ、ペクチン工程からはペクチンが成果物として得られる(図7)。 言い換えれば、エタノール処理液とエタノール処理残渣乾燥物が、この段階で同時に別個に得られる(図7)。その後はセラミド工程またはペクチン工程のどちらかの工程を先に単独で実施し、もう片方を後から単独で実施しても良い。また、前記したように、共通工程2を経た段階で、これらの処理液と処理残渣乾燥物が同時に得られることから(図7)、その後にセラミド工程とペクチン工程とを相互に独立に実施することも、同時並列的(同時並行的)に実施することも可能である。あるいは、このことは、セラミド工程と、ペクチン工程(以下、ペクチン工程1、ペクチン工程2を順次に行う工程を併せてペクチン工程とする)については、相互に独立に又は、段階的、個別的に実施可能ということでもある。これを、セラミド工程とペクチン工程との同時並列性又は順序可逆性という。 本明細書において「全果りんご」とは、市場に流通する生食用、加工用 のりんごに加えて、リンゴ搾汁処理等の加工に至らない段階での収穫後のリンゴとしての形態を維持するリンゴ収穫物の全てをいう。すなわち、「全果りんご」には、落果、未完熟、選果過程による排除りんごのように、リンゴ自体としての形態を備えた収穫物リンゴのあらゆる状態のものをいう。 本明細書において「りんご搾汁残渣」とは、バラ科(Rosaceae)、ナシ亜科(Maloideae)等のリンゴ属(Malus)に属する落葉高木樹の果実を、当業者に公知の方法、例えば、破砕、磨砕及び圧搾による搾汁工程により液部を分離した固形部、または単に破砕、磨砕したものを指す。具体的には、一例としては、りんご果実をハンマークラッシャー等により5〜30mm程度の大きさに破砕し、5kg/cm2〜20kg/cm2程度の圧力で搾汁する。ただし、品種によりりんご果実の状態は大きく異なるため、この工程は後の工程が効率的に行うことが出来るように破砕や圧搾することを目的とし、破砕や圧搾の程度については特に限定条件はない。又、破砕処理や磨砕処理のみならず解砕処理を行う場合もある。 以上の他、本発明において「りんご搾汁残渣」とは、りんご搾汁工場での搾汁処理により得られる「搾汁残渣」を含むが、その他には、カットりんご生成過程でのカット残りとなる皮や芯なども含め、搾汁工場、ジュース工場、加工工場その他での種々の加工過程で発生する、いわゆる「りんご加工副産物」をも含む。 尚、本願発明における「セラミド」とは、単にスフィンゴシンと脂肪酸がアミド結合した化合物としてのセラミドのことではなく、それにグルコースまたはガラクトースが結合した「セレブロシド」のことを言う。りんご等の植物由来のセラミドと呼ばれるものは、このセレブロシドの状態で存在するが、一般的にセラミドという呼称が定着しているため本願においてもそれを踏襲する。すなわち、本願発明において述べる「セラミド」とは、スフィンゴシンと脂肪酸が、アミド結合した化合物としてのセラミドに、グルコースまたはガラクトースが結合したセレブロシドのことを言う。 本発明による全果りんご及び・又は、りんご搾汁残渣からのセラミドとペクチンの抽出方法は、従来、多くは産業廃棄物とされた全果りんご及び・又は、りんご搾汁残渣から食品原料や化粧品原料等に利用可能なセラミドとペクチンとを抽出(以下同様)するための方法を提供するものである。その効果は、概ね以下のようである。(効果1)本発明によって、全果りんご又は、りんご搾汁残渣に含まれる未利用有用成分としてのセラミドやペクチンが得られる。特に、本発明の全工程の序盤(すなわち、工程の初期・図3、図4)にあたり、水処理(共通工程1:水処理及び乾燥処理)とエタノール処理(共通工程2:エタノール処理及び乾燥処理)という共通の工程を採用することにより、全果りんご又は、りんご搾汁残渣に含まれる水溶性成分の効果的な除去が可能となる。(効果2) 本発明においては、前記したセラミド工程と、ペクチン工程との同時並列性又は順序可逆性([0013]、[0014])により、セラミドまたはペクチンをそれぞれ単独で抽出することも可能である。更には、前記同時並列性又は順序可逆性([0013][0014])により、工程や方法の重複を避け、結果的に二重投資を避け、より効率的かつ省スペース的に、これらのりんご由来の有用成分を抽出・精製することが可能となる。(効果3)本発明においては、全果リンゴと搾汁残渣とを共に処理可能であり、これら二つの異なる処理対象に対する設備の重複防止と全体の処理時間の短縮を図ることができる。 共通工程1における、水処理による全果りんご及び・又はりんご搾汁残渣からの水溶性成分の除去効果は、以下の表1に示す通りである。表1水処理によるりんご搾汁残渣からの水溶性成分の除去効果(水処理の効果A)(表1のデータ取得条件)ここで、表1のデータ取得条件は、以下の通りである。りんご搾汁残渣を33.0kgずつ2組用意し、一組を乾燥温度80℃に設定した温風式乾燥機に入れて乾燥させる(水処理なし)。もう一組の搾汁残渣は、容量200Lの容器に入れ、水100Lを加える。水を加えた後、全体が均一な状態になるように30分間撹拌する。撹拌後、網目の径の大きさが180μm程度の濾過用ザルでろ過して搾汁残渣を分離する。分離した搾汁残渣を前記の容器に移し、加水→撹拌→ろ過を同様にさらに3回程度繰り返す。最後のろ過により分離した搾汁残渣を乾燥温度80℃に設定した温風式乾燥機にかけて乾燥させる(水処理あり)。乾燥所要時間は、いずれも16時間程度で、乾燥終了後、前記乾燥機から取り出して搾汁残渣を秤量する。この結果得られた乾燥後の搾汁残渣の重量は表1の通りである。表1によれば、水処理なしの場合、乾燥後の残渣重量は6.0kgであるのに対し、水処理ありの場合の乾燥後の残渣重量は3.6kgとなった。これは、水処理による乾燥後の残渣重量を相対的には約40%ほど軽減したことを意味する。ここでいう「水溶性成分」とは、スクロース、フルクトース、グルコース、リンゴ酸等の成分を指し本発明が目指す目的物質であるセラミド、ペクチン以外の成分である。なお、ここでいう「水溶性成分」には、「水溶性食物繊維」は含まれない。ところで、全果リンゴを粉砕、磨砕または解砕処理することにより、次の共通工程1における水処理以下が、より容易かつ円滑に行われる。すなわち、全果リンゴを粉砕、磨砕または解砕処理することにより、全果リンゴは、りんご搾汁残渣とほぼ同様の状態になる。この結果、全果リンゴは、りんご搾汁残渣と混合しても単独でも共通工程1以下の本発明プロセスの対象となり得る。言い換えれば、「搾汁残渣」は、搾汁処理後のりんご残渣であり、「全果りんご」は、搾汁処理前の個体としてのりんごを言う。 (水処理の有無と回収エタノールの濃度との関係) 本発明に関し、水処理の有無と回収エタノールの濃度との関係は、以下の表2に示す通りとなる。 表2 水処理の有無と回収エタノールの濃度(水処理の効果B) (表2のデータ取得条件) 表2のデータ取得条件は、以下の通りである。 まず、水処理を施して乾燥させた搾汁残渣と水処理を施さずに乾燥させたりんご搾汁残渣とをそれぞれ500gずつ準備する。容量5Lのビーカー2個に各りんご搾汁残渣をそれぞれ注入し、濃度99.5%のエタノールをそれぞれ2.5Lずつ加える。全体が均一な状態になるように24時間撹拌する。撹拌後、ろ紙を用いた吸引ろ過で搾汁残渣と前記エタノール溶液とを分離する。エタノール溶液をロータリーエバポレーターにより体積が10分の1になるまで濃縮して、濃縮液と同時に回収エタノールを得た。この回収エタノールの比重をガラス製の浮きばかりで計測し、得られた比重の値と比重とエタノール濃度の相関表を用いて、回収エタノールのエタノール濃度を求める。それぞれの回収エタノールのエタノール濃度は表2の通りである。 表2によれば、水処理ありの結果としても、回収エタノールの濃度低下がほぼ起こらないことが示されている。すなわち、水処理ありの場合は、回収エタノールの濃度が99.5%から99.0%にしか低下しない。 すなわち、水処理を施したものは、水処理を施さないものに比べて、回収されるエタノールの濃度低下が起きにくい。これは、水処理によって、水分を保持しやすい成分(表1でいう「水溶性成分」)が取り除かれたことにより乾燥効率が向上し、残留する水分が減少していることを示す(水処理の効果A)。 よって、水処理ありの場合は、その結果として回収されるエタノールの濃度低下が起きにくい。その意味としては、回収されたエタノールの濃度は、エタノール処理に使用する前のエタノール濃度(99.5%)とほぼ同等の濃度(99.0%)であるため、回収されたエタノールの再度の利用が(水処理なしの場合に比べて)より容易になることを意味する。表2における93.0%と99.0%の違いがその点を明示する(水処理の効果B)。 (本発明の請求項別の効果) 請求項1によれば、全果りんご及び・又はりんご搾汁残渣からのセラミドの抽出が可能となる。 請求項2によれば、全果りんご及び・又はりんご搾汁残渣からのセラミドの抽出にあたり使用したエタノールを再生した後に再利用が可能となる。 請求項3によれば、全果りんご及び・又はりんご搾汁残渣からのセラミドの抽出にあたり使用したエタノールの再利用が可能となる。 請求項4によれば、全果りんご及び・又はりんご搾汁残渣からのペクチンの抽出が可能となる。 請求項5によれば、全果りんご及び・又はりんご搾汁残渣からのペクチンの抽出にあたり使用したエタノールを再生した後に再利用が可能となる。 請求項6によれば、全果りんご及び・又はりんご搾汁残渣からのペクチンの抽出にあたり使用したエタノールの再利用が可能となる。 請求項7によれば、全果りんご及び・又はりんご搾汁残渣からのセラミドおよびペクチンの抽出・精製が相互に独立に行うことが可能となる。 請求項8によれば、全果りんご及び・またはりんご搾汁残渣からのセラミドおよびペクチンの抽出・精製が同時並行的に行うことが可能となる。 請求項9によれば、全果りんごとりんご搾汁残渣を混ぜたものからのセラミドおよびペクチンの抽出・精製が、個別的、段階的に行うことが可能となる。 請求項10によれば、全果りんごとりんご搾汁残渣を混ぜたものからのセラミドおよびペクチンの抽出・精製が、同時並行的に行うことが可能となる。請求項11によれば、新規エタノール、再生エタノール、再利用エタノールのうち二種以上を、混合使用することができる。農産物およびその加工副産物における機能性脂質セラミドの含量を示す。りんごセラミドの化学構造を示す。全果りんご及び・又はりんご搾汁残渣からセラミドを抽出する工程を示す。全果りんご及び・又はりんご搾汁残渣からペクチンを抽出する工程を示す。全果りんご及び・又はりんご搾汁残渣からセラミドとペクチンを抽出する工程を示す。使用済みエタノールを再生又は再利用可能にする工程を示す。本発明によるセラミド・ペクチン抽出フロー全体の概要を示す。全果りんご及びりんご搾汁残渣からのセラミドとペクチンの抽出全体における物質収支を示す 本発明を実施するための形態は、以下の各方法のそれぞれ、又はその全体の組み合わせからなる。 1.全果りんご及び・又は、りんご搾汁残渣に対する水処理による共通工程1(水処理・乾燥処理)と、エタノール処理による共通工程2(エタノール処理・乾燥処理)と、セラミド工程(濃縮処理、エタノール回収処理、精製処理)と、からなるセラミドを抽出し精製することを特徴とする全果りんご及び・又はりんご搾汁残渣からのセラミドの抽出方法。 2.前記セラミドの抽出精製に使用したエタノールを回収し再生させて再利用可能な状態にしてから再利用するようにしたこと(エタノールの回収・濃度確認・再生・濃度確認・再利用)からなるセラミドの抽出方法。 3.前記セラミドの抽出精製に使用したエタノールを回収し再利用するようにしたこと(エタノールの回収・濃度確認・再利用)からなるセラミドの抽出方法。 4.全果りんご及び・又はりんご搾汁残渣に対する水処理による共通工程1(水処理・乾燥処理)と、エタノール処理による共通工程2(エタノール処理・乾燥処理)と、塩酸処理によるペクチン工程1と、濃縮処理以下によるペクチン工程2(濃縮処理・ペクチン分離・乾燥処理)と、からなるペクチンを抽出・精製することを特徴とする全果りんご及び・またはりんご搾汁残渣からのペクチンの抽出方法。 5.前記ペクチンの抽出・精製に使用したエタノールを回収し、再生させて再利用可能な状態にしてから再利用するようにしたこと(エタノールの回収・濃度確認・再生・濃度確認・再利用)からなるペクチンの抽出方法。 6.前記ペクチンの抽出・精製に使用したエタノールを回収し、再利用するようにしたこと(エタノールの回収・濃度確認・再利用)からなるペクチンの抽出方法。 7.全果りんご及び・又はりんご搾汁残渣に対する共通工程1と、共通工程2と、セラミド工程(濃縮処理、エタノール回収処理、精製処理)と、塩酸処理によるペクチン工程1と、濃縮処理・ペクチン分離・乾燥処理によるペクチン工程2と、からなる工程において、全果りんご及び・又はりんご搾汁残渣からセラミドとペクチンとを抽出・精製することを相互に独立に行うことを特徴とする、全果りんご及び・又はりんご搾汁残渣からのセラミドとペクチンとの抽出方法。 8.全果りんご及び・又はりんご搾汁残渣に対する共通工程1と、共通工程2と、セラミド工程(濃縮処理、エタノール回収処理、精製処理)と、塩酸処理によるペクチン工程1と、濃縮処理・ペクチン分離・乾燥処理によるペクチン工程2と、からなる工程において、全果りんご及び・または、りんご搾汁残渣からセラミドとペクチンとを抽出・精製することを同時並行的に行うことを特徴とする、全果りんご及び・又はりんご搾汁残渣からのセラミドとペクチンとの抽出方法。9.全果りんごと搾汁残渣とを混合して、共通工程1に供給するとともに、共通工程1と、共通工程2と、セラミド工程と、ペクチン工程1と、ペクチン工程2とからなる工程において、全果りんご及び・またはりんご搾汁残渣からセラミドとペクチンとを抽出・精製することを個別的、段階的に行うことを特徴とする、全果りんご及び・またはりんご搾汁残渣からのセラミドとペクチンとの抽出方法。10.全果りんごと搾汁残渣とを混合して、共通工程1に供給するとともに、共通工程1と、共通工程2と、セラミド工程と、ペクチン工程1と、ペクチン工程2とからなる工程において、全果りんご及び・またはりんご搾汁残渣からセラミドとペクチンとを抽出・精製することを同時並行的に行うことを特徴とする、全果りんご及び・またはりんご搾汁残渣からのセラミドとペクチンとの抽出方法。11.全果りんご及び・または、りんご搾汁残渣からのセラミド及び又はペクチンの抽出方法において、使用するエタノールを新規エタノール、再生エタノール、再利用エタノールの二種以上を混合使用することを特徴とするエタノールの使用方法。以下に、本発明の各工程乃至構成要素ごとの内容について、セラミドおよびペクチンの抽出方法に関する実施例1として図3ないし図7に即して順を追って説明する。 共通工程1は、水処理と乾燥処理とからなる。又、最終的に得られる成果物としてのセラミドおよびペクチンの純度が低くても良ければ水処理を省略することも可能である。 (共通工程1) (図3、図4、図5、図7) 共通工程1−1(水処理・乾燥処理) 全果りんご及び・又は、りんご搾汁残渣:(対)水との重量:容量の比が、ほぼ1:(対)4となるようにする。例えば、りんご搾汁残渣1kgに対して水4Lを加え更に5分間程度攪拌する。この攪拌処理に使用する水は、水道水、地下水など工業用に利用可能なものであれば良い。また、攪拌方法は、羽根付き攪拌機などの撹拌手段を使用する。水とりんご搾汁残渣が、よく混ざり合うように攪拌出来るのであれば他の公知の撹拌方法によることも可能である。 攪拌終了後は、濾過用ザルやフィルター等の濾過手段を用いて濾過を行う。濾過手段としての濾過用ザルやフィルターの孔径は、平均的に200μm以下が望ましいが、搾汁残渣の水が切れるものであればよい。 この、水を加えての攪拌と濾過の操作を交互に(又は攪拌と濾過の1セット)数回程度好ましくは4回程度繰り返し、よく水分を切った後に搾汁残渣を乾燥処理工程に移行する。 共通工程1−2(乾燥処理) 水処理によって得られたりんご搾汁残渣を、よく水分を切った上で温風式乾燥機などの乾燥手段により搾汁残渣の含有水分量が10%程度以下になるまで乾燥させる。 ここで、搾汁残渣の含有水分量が、10%程度以下になるまで良く乾燥させることにより、次の共通工程2で行うエタノール処理の際に、含有水分によるエタノールの濃度低下を防ぐことも出来る。 なお、「全果りんご」の水処理については、目的外の成分(すなわち、水溶性成分)の除去という作業目的は、搾汁残渣と共通するから「搾汁残渣」との混合状態での水処理であっても特に不都合はない。なぜなら、本発明においては、「全果りんご」からも「搾汁残渣」からも、水処理によって目的外の成分(すなわち、水溶性成分)を除去することにより目的とするセラミド成分とペクチン成分との抽出の効率化がなされるからである。(共通工程2) (図3、図4、図5、図7) 共通工程2は、エタノール処理(2−1)と乾燥処理(2−2)からなる。 (共通工程 2−1 エタノール処理) 水処理乾燥物に対しエタノールを、水処理乾燥物:エタノールの重量:容量の比が、ほぼ1:4となるように設定する。例えば、水処理乾燥物1kgに対してエタノール4Lを加え2時間程度にわたり攪拌処理する。この処理に使用するエタノールの濃度は、80容量%以上が望ましい。80容量%以上が望ましい理由は、エタノールの濃度が80容量%よりも低いとセラミドがエタノールに溶けにくくなり、抽出の効率が悪くなるからである。攪拌方法は、共通工程1と同様、羽根付き攪拌機等の撹拌手段により行う。 攪拌処理終了後は、濾過用ザルやフィルター等の濾過手段を用いて濾過処理を行う。この場合、濾過用ザルやフィルター等の濾過手段の孔径は、200μm以下が望ましい。孔径200μm以下でないと充分な濾過の効果が得られないからである。この場合、搾汁残渣とエタノールの分離は、遠心濾過等の公知の方法によることも可能である。 (共通工程2−2 乾燥処理)エタノール処理によって得られた処理残渣を温風式乾燥機等の乾燥手段を用いて処理残渣の含有水分量10%程度以下になるまで乾燥させる。なお、エタノールは比較的揮発しやすいため、乾燥の環境等によっては自然乾燥による乾燥処理も選択して良い。(セラミド工程) (図3、図5、図7) セラミド工程は、濃縮処理・エタノール回収処理と精製処理とからなる。(セラミド工程)−(濃縮処理・エタノール回収処理) エタノール処理液を濃縮しながら処理に使用したエタノールを回収する。濃縮方法は、ロータリーエバポレーターなどの濃縮手段による。エタノール処理液からエタノールを取り除いて濃縮し、取り除かれたエタノールを、前記ロータリーエバポレーター等の回収手段で回収してもよい。濃縮の条件は、常圧下または減圧下にて沸点以下の温度での加熱によることが望ましい。減圧に必要な装置は、循環式アスピレーターなどの減圧手段による。必要な減圧度(0.1気圧程度)、または真空度を維持できるものであれば他の減圧方法によることも可能である。(セラミド工程)−(精製処理) 濃縮したエタノール処理液を精製してセラミドを得る。精製方法は、活性白土や活性炭、シリカゲル、アルミナ、珪藻土、合成吸着剤、イオン交換樹脂などを用いたクロマトグラフィーやセラミド以外の成分を吸着、分解、沈殿、濾過、溶解、蒸留などにより取り除く方法による。 セラミドとセラミド以外の成分、あるいは、セラミドを含む画分とセラミドを含まない画分(画分:複数の成分が混合された物質を分離させて、その混合物質を構成する成分に分ける事)に分けるためには、前記精製方法に用いた活性白土や活性炭、シリカゲル、アルミナ、珪藻土、合成吸着剤、イオン交換樹脂などを適宜併用することにより分離する。 (ペクチン工程) (図4、図5、図7) ペクチン工程1は、塩酸処理からなる。(図4、図5、図7) (ペクチン工程1) (塩酸処理) エタノール処理後に乾燥させて得られたエタノール処理残渣乾燥物に対し、エタノール処理残渣乾燥物:塩酸を、重量:容量の比がほぼ1:90となるようにする。例えば、エタノール処理残渣乾燥物1kgに対して塩酸90Lを加えて温度75℃から85℃程度に加熱しながら30分間程度撹拌する。この処理に用いる塩酸の濃度は、0.01規定から0.2規定が望ましい。撹拌方法は、共通工程1と同様、羽根付き攪拌機等の撹拌手段により行う。撹拌終了後は、濾過用ザルやフィルター等の濾過手段を用いて濾過を行う。ここで濾過用ザルやフィルター等の濾過手段の孔径は、200μm以下が望ましい。 濾過手段としては、エタノール処理残渣乾燥物と塩酸が分離できるものであれば遠心ろ過等の手段による濾過方法でもよい。 (ペクチン工程2) ペクチン工程2は濃縮処理、ペクチン分離、乾燥処理からなる(図4、図5、図7)。 (濃縮処理) 塩酸処理液を濃縮する。濃縮方法はセラミド工程と同様、ロータリーエバポレーター等の濃縮手段により行う。(ペクチン分離) 濃縮した塩酸処理液に対してエタノールを容量比で1:2から1:5程度となるように加え30分間程度にわたり撹拌してゲル状のペクチンを沈殿させる。これに用いるエタノールの濃度は、80容量%以上が望ましい。撹拌方法は、共通工程1と同様、羽根付き攪拌機等の撹拌手段により行う。 撹拌終了後は、濾過用ザルやフィルター等の濾過手段を用いて、沈殿したゲル状のペクチンを分離する。濾過用ザルやフィルター等の濾過手段の孔径は、200μm以下が望ましいが、液体部分と沈殿したゲル状のペクチンが分離できる機能を有するものであればこれに限らない。 得られたゲル状のペクチンに前記と同程度の量、すなわち、前記の濃縮した塩酸処理液に加えたエタノールの数値である容量比で1:2から1:5程度となる量のエタノールを加え、5分間程度撹拌する。撹拌終了後は濾過用ザルやフィルター等の濾過手段を用いて沈殿したゲル状のペクチンを分離する。これに用いるエタノール、撹拌方法、濾過方法は前記各項の方法による。 (乾燥処理) 塩酸処理液から分離したゲル状のペクチンを凍結乾燥機や噴霧乾燥機等の乾燥手段を用いて含有水分量10%程度以下になるように乾燥させる。乾燥して得られたペクチンを粉砕、篩い分けしても良い。(エタノール工程) (図6、図7) 共通工程2で一度使用したエタノールをセラミド工程で回収し、ペクチン工程2で使用したエタノールを回収し、再利用するためには、エタノールの濃度が80容量%以上である必要がある。なお、80容量%未満の場合は、エタノールを再生して濃度を高める必要がある以下において、エタノール再生の手順を説明する(以下主に図6 エタノール再生処理フローを参照する)。(エタノールの再生) 前記ペクチン工程2において、一度使用して回収したエタノールは、使用した工程中で水分が混入することにより濃度が低下する。このため、一度使用して回収したエタノールを再利用するにあたり、エタノール濃度を確認の上で、エタノールの濃度が、80容量%未満に低下してしまっている場合は、蒸留などの方法によりその濃度を80容量%以上に高める。以下、この「エタノールを80容量%以上に濃度を高め、再利用可能な状態にすること」を「エタノールの再生」という。回収した後に再生させて再利用可能な状態にしたエタノールを「再生エタノール」(B)と定義する。これに対して、回収した後に再生させずにそのまま再利用できるエタノールを「再利用エタノール」(C)とする。 すなわち、本明細書では「エタノールの再生」とは、「エタノール濃度を80容量%以上に高め、再利用可能な状態にすること。」をいう。以上を踏まえ、セラミド工程、ペクチン工程2で回収したエタノールの処理工程は、「エタノール濃度の確認」を経て「再生」させて再利用可能な状態にしてから再利用するか(2段階)、「エタノール濃度の確認」を経てそのまま「再利用」するか(1段階)のいずれかの方法により構成される。 前記ペクチン工程2において、一度使用して回収したエタノールは、使用した工程中で水分が混入することにより濃度が低下する。このため、一度使用して回収したエタノールを回収し、再利用するにあたり、エタノール濃度を確認の上で、エタノールの濃度が80容量%未満に低下してしまっている場合は、蒸留などの方法によりその濃度を80容量%以上に高める。以下、この「エタノールを80容量%以上に濃度を高め、再利用可能な状態にすること」を「エタノールの再生」という。(エタノール濃度の確認) 新規利用以外のエタノール処理工程では、まず、エタノール濃度の確認を行う。濃度の確認方法は、密度から換算する方法、沸点から換算する方法など、公知の方法による。 それによりエタノール濃度が80容量%以上の場合は、すぐにそのまま再利用に進む。濃度80容量%未満の場合は、再利用の前にエタノール再生処理を施した後に再利用を行う。(エタノール再生処理)(エタノール濃度が80容量%未満と確認された場合、図6) エタノール濃度が80容量%未満であったエタノールは、蒸留により濃度を80容量%以上に高める。蒸留の条件は、例えば常圧下にて蒸留を50℃〜150℃で行う。 その他、減圧蒸留など類似の方法によることも可能である。また、蒸留する所要時間はエタノール蒸発量を確認しながら適宜調整する。蒸留後は、再びエタノール濃度の確認を行い、まだ80容量%以上でなければ再度蒸留処理を行う。エタノール濃度が、80容量%以上であることが確認できた場合は次の再利用工程に進む。(エタノール再利用処理)(エタノール濃度が80容量%以上と確認された場合 (以下、主に図6 エタノール再利用フローを参照する)。 エタノール濃度が80容量%以上であることが確認されたエタノールは、共通工程2またはペクチン工程2のエタノールを使用する工程中でそのまま再利用される(図6)。 なお、本明細書では、エタノール再生処理と、エタノール再利用を総称して「エタノール工程」という。(エタノールの混合使用)(図6、図7) エタノール濃度が80容量%以上であることが確認されたエタノールは、新規エタノールA、再生エタノールB、再利用エタノールCの別を問わず、混合して共通工程2とペクチン工程2に使用することも可能である。なお、エタノール濃度の確認手段については、図6に図示した他は、必ずしもすべてを図示してはいないが、[0041]、[0042]で述べたような各種の確認方法によることができる。 (混合型水処理)(図3、図4、図5) 以下に本発明の別の実施例を説明する。 この実施例2は、全果りんごとりんご搾汁残渣とを混合注入して共通工程1以下にかける。このことを、本明細書では(混合型水処理)と称する。全果りんごもりんご搾汁残渣も、もともとは果物としての(単一体としての)りんごに由来するものであるから、相互に排除するもので無く、処理効率も良い。(共通工程1) (図3〜図5、図7) リンゴ果汁製造の際に発生する搾汁残渣30kgに水120Lを加え、ハンドミキサーで30分間撹拌した。撹拌後、孔径180μmの篩でろ過して搾汁残渣と水分を分離した。この搾汁残渣を80℃で16時間乾燥させて3.3kgの搾汁残渣乾燥物を得た。(共通工程2) (図3〜図5、図7) 搾汁残渣乾燥物1kgにエタノール16Lを加え、撹拌機で2時間撹拌した。撹拌後、孔径180μmの篩でろ過してエタノール処理液13.3Lを得た。篩に残った固形物を乾燥させてエタノール処理残渣乾燥物0.88kgを得た。(セラミド工程)(図3、図5、図7) エタノール処理液をロータリーエバポレーターで濃縮して、濃縮液と0.75Lの回収エタノール(1)を得た。この濃縮液を精製してセラミドを含む画分6.3gを得た。(ペクチン工程1)(図4、図5、図7) エタノール処理残渣乾燥物1kgに0.05規定の塩酸90Lを加え、加熱しながら撹拌し、液温が80℃まで上昇したら液温を維持したまま30分間撹拌した。撹拌後、孔径180μmの篩でろ過して塩酸処理液64.8Lを得た。(ペクチン工程2)(図4、図5、図7) 塩酸抽出液1Lをロータリーエバポレーターで減圧濃縮して0.17Lの濃縮液を得た。この濃縮液にエタノール0.34Lを加えて撹拌すると沈殿物が生じたので、孔径180μmの篩で沈殿物を分離した。このとき、沈殿物と共に0.38Lの回収エタノール(2)を得た。この沈殿物にエタノール0.3Lを加えて5分ほど撹拌し、孔径180μmの篩で再度沈殿物を分離した。この沈殿物を凍結乾燥法で乾燥させてペクチン2.3gを得た。(エタノール処理工程)(図6、図7) 回収エタノール(2)のエタノール濃度を振動密度計で測定すると72容量%だった。エタノール濃度が80容量%未満だったので、回収エタノール(2)をエタノール回収装置(KNK社製、GAIA 6M−18)で再生させた。回収エタノール(2)210Lをエタノール回収装置にセットして、加熱温度130℃、大気圧下、加熱時間8時間の設定で装置を稼動させた。その結果、6.3Lの再生エタノールが得られた。再生エタノールのエタノール濃度を振動密度計で測定すると84容量%だった。 (分離型水処理)(図3、図4、図5) 本発明の別の実施例としては、全果りんごを破砕処理や磨砕処理した後に、水処理をするにあたり(共通工程1の中で)、りんご搾汁残渣の水処理とは分離して(全果りんごを破砕処理や磨砕処理したもののみで)行うこともできる(分離型水処理)。この分離型水処理の意図するところは、りんご個体における水溶性成分の割合の相対的に大なる全果りんごと、搾汁工程を経た結果として、残渣物における水溶性成分の割合の相対的に小なるりんご搾汁残渣とを互いに別個の単位ないしグループで水処理する結果、実施例2のように両者を混合して共通工程にかけ、水処理することに比べて、より一層水処理の速度や効率を上げることが果たされるからである。 (図6、図7) 本発明の更に別の実施例としては、以下の通りとなる。全果りんご及び・または、りんご搾汁残渣からのセラミド及び又はペクチンの抽出方法において、使用するエタノールを新規エタノール(A)、再生エタノール(B)、再利用エタノール(C)の二種以上を混合使用することを特徴とするエタノールの使用方法。新規エタノールは、未使用のエタノール(A)(図7)からなり本発明に使用される。(エタノール再生処理及び再利用のフローの説明)図6によれば、エタノール再生処理のフローは次の通りとなる。セラミド工程から回収により得られたエタノールも、ペクチン工程から回収により得られたエタノールも濃度確認がなされる。確認後、濃度が80容量%以上であったエタノールは、そのまま再利用可能な再利用エタノール(C)として共通工程2及び、またはペクチン工程に供給される(再利用可能エタノール)。一方、濃度確認の結果、濃度が80容量%未満であったエタノールは、エタノール再生処理を施され、再確認により再生エタノール(B)(濃度が80容量%以上のエタノール)となった後に共通工程2及び、またはペクチン工程に供給される(再生エタノール)。再生処理後に濃度80容量%以上が確認された再生エタノールもまた再利用可能エタノール(C)となる(図6、図7)。 (物質収支 図8) 本発明に関し、図8のセラミド・ペクチンの抽出における物質収支について説明する。 「全果りんご」と「搾汁残渣」併せて1,000kgを共通工程1に供給し、水処理乾燥物109kgを得た。これに新規エタノール1,744Lを加えて共通工程2に供給した。 この結果、エタノール処理液1,453L及びエタノール処理残渣乾燥物96.2kgをそれぞれ得た。そこで、エタノール処理液1,453Lをセラミド工程に委ねたところ、成果物としてセラミド8.9kg及び回収エタノール(1)1,090Lが得られた。回収エタノール(1)は、エタノール濃度確認の結果、80容量%以上であったので再利用エタノールとして使用できる。一方、エタノール処理残渣乾燥物96.2kgには,0.05規定の塩酸8,658Lを加えてペクチン工程1にあてたところ塩酸処理液6,251Lを回収した。この塩酸処理液6,251Lに新規エタノール(A)の2,138Lを加えてペクチン工程2に送り込んだ結果、成果物としてのペクチン14kg及び回収エタノール(2)2,364Lが得られた。回収エタノール(2)は塩酸処理液に由来する水分と新規エタノールが混ざったものであるため、加えた新規エタノールの量よりも多く回収される。この回収エタノール(2)2,364Lは、図6のエタノール再生処理フローにかけることにより再生エタノール1,545Lを得ることができた。以下、同様の処理手順を踏まえて更に、エタノールの濃度確認を行いつつ、エタノールの濃度80容量%以上を確保することにより再々エタノール回収も可能である。 (産業上の利用可能性 1) 本発明は、いずれも「全果りんご」及び又は、リンゴ搾汁残渣から、有用成分であるセラミド、ペクチンをそれぞれ抽出する方法を提供する。更には、本発明は、リンゴ搾汁残渣から、セラミド、ペクチンをそれぞれ連続的または順次抽出する方法を提供する。また、これに関連し、利用したエタノールという資源を単に廃棄することなく、その再生、又は再利用を可能にするものである。従って、本発明は、産業上の利用性を有する。 又、本発明は、リンゴ搾汁残渣のみならず、前記定義からも明らかのように、「全果りんご」そのものも対象に含むから、落果、未完熟、選果過程による排除などのように、リンゴ自体としての形態を備えた収穫物リンゴのあらゆる状態のりんごからりんご由来のセラミド、ペクチンを抽出することを目的とし実現した。この結果、リンゴ収穫物の形を変えた保存性及び流通性を高めることとなり、ひいては、関連の産業・事業の雇用創出、産業基盤の拡充を可能とする。(産業上の利用可能性2)「全果りんご」としては落果や未熟果等は、栽培農家(一次産業)から回収され、生食用その他の選果過程では「全果りんご」は、選果場などの選果(流通)過程から発生することが一般的である。これに対しりんご搾汁残渣や、カットりんご生成過程でのカット残りとなる皮や芯なども含めたりんご加工副産物は、搾汁工場、ジュース工場、加工工場等での種々の加工過程で発生し、各産業階層において発生する。これらの「りんご加工副産物」も本発明では、りんご搾汁残渣としての「利用可能な資源」として含めて扱うことが出来る。更には、これら「全果りんご」、と「りんご搾汁残渣」を混合使用することも可能である。品種を問わず、りんご一次栽培農家、二次流通業者、三次搾汁工場等の各段階における従来未利用や産業廃棄物状態であった「全果りんご」や「りんご加工副産物」等を含むりんご「搾汁残渣」の単独でまたは複合した形での利用促進が図れるとの観点からは、本発明の産業上の利用可能性が期待可能である。 全果りんご及び・または、りんご搾汁残渣に対する共通工程1と、共通工程2と、セラミド工程と、からなるセラミドを抽出し精製することを特徴とする全果りんご及び・または、りんご搾汁残渣からのセラミドの抽出方法。 前記セラミドの抽出・精製に使用したエタノールを回収し、再生した後に再利用することからなる請求項1によるセラミドの抽出方法。 前記セラミドの抽出・精製に使用したエタノールを回収し、再利用することからなる請求項1によるセラミドの抽出方法。 全果りんご及び・または、りんご搾汁残渣に対する共通工程1と、共通工程2と、ペクチン工程1と、ペクチン工程2とからなるペクチンを抽出し精製することを特徴とする全果りんご及び・または、りんご搾汁残渣からのペクチンの抽出方法。 前記ペクチンの抽出・精製に使用したエタノールを回収し、再生した後に再利用することからなる請求項4によるペクチンの抽出方法。 前記ペクチンの抽出・精製に使用したエタノールを回収し、再利用することからなる請求項4によるペクチンの抽出方法。 全果りんご及び・または、りんご搾汁残渣に対する共通工程1と、共通工程2と、セラミド工程と、ペクチン工程1と、ペクチン工程2とから成る工程において、全果りんご及び・または、りんご搾汁残渣からセラミドとペクチンとをそれぞれ抽出し精製することを相互に独立に行うことを特徴とする、全果りんご及び・または、りんご搾汁残渣からのセラミドとペクチンの抽出方法。 全果りんご及び・または、りんご搾汁残渣に対する共通工程1と、共通工程2と、セラミド工程と、ペクチン工程1と、ペクチン工程2とからなる工程において、全果りんご及び・または、りんご搾汁残渣からセラミドとペクチンとを抽出・精製することを同時並行的に行うことを特徴とする、全果りんご及び・または、りんご搾汁残渣からのセラミドとペクチンの抽出方法。 全果りんごとりんご搾汁残渣とを混合して、共通工程1に供給するとともに、共通工程1と、共通工程2と、セラミド工程と、ペクチン工程1と、ペクチン工程2とからなる工程において、全果りんご及び・または、りんご搾汁残渣からセラミドとペクチンとを抽出・精製することを個別的、段階的に行うことを特徴とする、全果りんご及び・または、りんご搾汁残渣からのセラミドとペクチンとの抽出方法。 全果りんごとりんご搾汁残渣とを混合して、共通工程1に供給するとともに、共通工程1と、共通工程2と、セラミド工程と、ペクチン工程1と、ペクチン工程2とからなる工程において、全果りんご及び・または、りんご搾汁残渣からセラミドとペクチンとを抽出・精製することを同時並行的に行うことを特徴とする、全果りんご及び・または、りんご搾汁残渣からのセラミドとペクチンとの抽出方法。 全果りんご及び・または、りんご搾汁残渣からのセラミド及び又はペクチンの抽出方法において、使用するエタノールを新規エタノール、再生エタノール、再利用エタノールの二種以上を混合使用することを特徴とするエタノールの使用方法。 【課題】全果りんご及び・又は、りんご搾汁残渣から有用成分であるセラミド、及び/又はペクチンをそれぞれ抽出する方法。更には、それらに関連し、処理したエタノールを再生し、又は再利用する方法を提供。【解決手段】全果りんご及び・又は、りんご搾汁残渣に対する共通工程1と、共通工程2と、セラミド工程或いはペンクチン工程1,ペクチン工程2とからなるセラミド或いはペンクチンを抽出する方法。及び、前記セラミド或いはペクチンの抽出・精製に使用したエタノールを回収し、再利用する方法、或いは、再生した後に再利用する方法。【選択図】図7