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タイトル:公開特許公報(A)_アルデヒドタグ、部位特異的タンパク質修飾におけるその使用
出願番号:2014133074
年次:2014
IPC分類:C12N 15/09,C07K 7/06


特許情報キャッシュ

カッリコ,イサーク,エス. カールソン,ブライアン,エル. ベルトッジ,キャロリン ウー,ペン JP 2014221056 公開特許公報(A) 20141127 2014133074 20140627 アルデヒドタグ、部位特異的タンパク質修飾におけるその使用 ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ カリフォルニア 506115514 内田 直人 100149294 カッリコ,イサーク,エス. カールソン,ブライアン,エル. ベルトッジ,キャロリン ウー,ペン US 60/846,644 20060921 C12N 15/09 20060101AFI20141031BHJP C07K 7/06 20060101ALI20141031BHJP JPC12N15/00 AC07K7/06 1 1A 2009529235 20070919 OL 79 4B024 4H045 4B024AA11 4H045AA20 4H045AA30 4H045BA13 4H045EA50 4H045FA74 関連出願の相互参照 本出願は、2006年9月21日に出願された米国仮出願第60/846,644号の優先権を主張するものであり、この出願は参照によってその全容が本明細書に組み込まれている。 政府の権利 本発明は、国立衛生研究所によって授与された連邦補助金no.R01−AI051622で、政府の支援によってなされた。合衆国政府は、本発明において確かな権利を有するものとする。 タンパク質の部位特異的標識は、生化学および細胞ネットワークを詳細に分析するためのツールとして重要である。この必要性に取り組むために様々な技術が開発されてきている。タンパク質の局在化および追跡に使用される1つのこのような技術は、緑色蛍光タンパク質(GFP)などの蛍光タンパク質を用いた標識である。しかしながら、これらの蛍光タンパク質の大きさは、標的の輸送、局在化およびタンパク質−タンパク質相互作用に干渉する可能性がある(Lisenbeeら、Traffic 2003、4、(7)、491〜501)。 その結果、多くのグループが、より小さな融合体を使用して特異的な二次標識試薬を誘導することに着目している。Roger Tsienおよび共同研究者によって開発されたFlAsHは、明確に配列したテトラシステインモチーフとバイアルセニル(biarsenyl)−フルオロフォアの間の相互作用を利用する(Chenら、Science 1998、281、(5374)、269〜272)。最少8アミノ酸配列とバイ−アルセニカル(bi−arsenical)プローブの間のピコモルの親和性にもかかわらず(Adamsら、J.Amer.Chem.Soc.2002、124、(21)、6063〜6076)、天然システインモチーフによるバックグラウンドは依然として問題である(Stroffekovaら、Pflugers Archiv−Eur.J.Physiol.2001、442、(6)、859〜866)。 特異性を増大させるために、酵素による二次標識に依存するペプチド標的モチーフが探索されてきている。1つのこのような戦略は、O6−アルキルグアニン−DNAトランスフェラーゼ(hAGT)との融合に依存し、これによって広く様々な小分子と内部システインを連結することが可能である。hAGTの融合は広く様々な小分子プローブの非常に特異的な、共有結合を可能にするが、それは207のアミノ酸の融合を利用するものである(Georgeら、J.Amer.Chem.Soc.2004、126、(29)、8896〜8897;Guignetら、Nature Biotechnol 2004、22、(4)、440〜444)。別の手法では、約80のアミノ酸アシル担体タンパク質とのタンパク質融合体を、酵素ホスホパンテテイントランスフェラーゼを使用してCoA由来のプローブで特異的に標識することができる。あるいは、ビオチンリガーゼを使用して、ビオチンまたはケトン含有ビオチンイソスターを15アミノ酸受容体ペプチドに移動させている。ケトンイソスターの付加は、ヒドラゾンとオキシムの複合体の形成を可能にする。 タンパク質の部位特異的修飾のための新しい手法に関する必要性が存在する。 Adamsら、2002 J.Amer.Chem.Soc.2002、124、(21)、6063〜6076;Banghartら、2004 Nat.Neurosci.7(12):1381〜6.Epub 2004 Nov 21;Berteauら、2006 J Biol Chem.281(32):22464〜70(Epub 2006 Jun 9);Chenら、2005 Nature Methods 2005、2、(2)、99〜104;Cosmaら、2003 Cell 113、(4)、445〜56;Dierksら、1997 Proc Natl Acad Sci USA 94、(22)、11963〜8;Dierksら、2003 Cell 113、(4)、435〜44;Dierksら、2005 Cell 121、(4)、541〜52;Georgeら、2004 J.Amer.Chem.Soc.126、(29)、8896〜8897;Griffinら、1998 Science 281、(5374)、269〜272;Guignetら、2004 Nature Biotechnol.22、(4)、440〜444;Landgrebeら、2003 Gene 316:47〜56;Lemieux(1998)Trends Biotechnol 16、506〜13;Lisenbeeら、2003 Traffic 4、(7)、491〜501;Mariappanら、2005 J.Biol.Chem.280(15):15173〜9(Epub 2005 Feb 11);Mougousら、2004 Nat.Struc.Mol.Biol.11、721〜729;Preusserら、2005 J.Biol.Chem.280(15):14900〜10(Epub 2005 Jan 18);Roeserら、2006 Proc Natl Acad Sci USA 103(1):81〜6(Epub 2005 Dec 20);Rushら、(Jan 5 2006)Org Lett.8(1):131〜4;Sardielloら、2005 Human Mol.Genet.14、3203〜3217;Schirmerら、1998 Chemistry & Biology 5、R181〜R186;Schmidtら、1995 Cell 82、(2)、271〜8;Stroffekovaら、2001 Archiv−Europ.J.Physiol.442、(6)、859〜866;Szameitら、1999 J Biol Chem 274、(22)、15375〜81;Yin、Jら、2005 Proc.Natl.Acad.Sci.USA 102、15815〜15820(2005);US20050026234;US20030186229;および米国特許第6,900,304号。 本発明は、アルデヒドタグの取り込みによるタンパク質の部位特異的修飾のための組成物および方法を特徴とする。ホルミルグリシン生成酵素(FGE)の作用によるアルデヒドタグのスルファターゼモチーフにおける酵素修飾は、ホルミルグリシン(FGly)残基を生成する。FGly残基のアルデヒド部分は、対象とする部分とポリペプチドの部位特異的結合用の化学的ハンドルとして利用することができる。 したがって、本開示は、 ポリペプチドを修飾するための方法であって、 変換型スルファターゼモチーフを含むポリペプチドを、対象とする部分を含む反応パートナーと接触させることを含み、変換型スルファターゼモチーフが X1(FGly)X2Z2X3R (I)[上式で FGlyがホルミルグリシン残基であり、 Z2がプロリンまたはアラニン残基であり、 X1が存在するかまたは存在せず、存在するときは任意のアミノ酸であり、ただし異種スルファターゼモチーフがポリペプチドのN末端に存在するとき、X1が存在し、 X2とX3がそれぞれ独立に任意のアミノ酸である]を含み、 前記接触が、反応パートナーの対象とする部分をポリペプチドのFGlyと結合するのに十分な条件下で起こり、それによって修飾型ポリペプチドが生成される方法を提供する。 スルファターゼモチーフは、異種スルファターゼモチーフでよい。さらに、FGly残基はポリペプチドの内部配列に位置する、および/またはポリペプチドの末端ループ、C末端、またはN末端に位置する可能性がある。FGly残基がフォールディング時にポリペプチドの溶媒接触可能領域に存在する状況を特に対象とする。FGly残基がグリコシル化部位などのポリペプチドの翻訳後修飾部位に存在する状況をさらに対象とする。これらの翻訳後修飾部位は親ポリペプチドに固有のものでもよく、あるいは1つまたは複数の非天然翻訳後修飾部位を含むようにポリペプチドを工学的に作製することもでき、異種スルファターゼモチーフは前記1つまたは複数の非天然翻訳後修飾部位に位置する。 存在するときにはX1が、L、M、V、SまたはTであるスルファターゼモチーフを特に対象とする。特に対象とするさらなるスルファターゼモチーフは、X2およびX3がそれぞれ独立に脂肪族アミノ酸、極性、非荷電アミノ酸、またはイオウ含有アミノ酸(すなわち、芳香族アミノ酸または荷電アミノ酸以外)であり、および特定の実施形態では、それぞれ独立にS、T、A、V、GまたはCであるスルファターゼモチーフである。 本開示は、ポリペプチド中でホルミルグリシンを生成するための方法であって、異種スルファターゼモチーフを含むポリペプチドをホルミルグリシン生成酵素(FGE)と接触させることを含み、 異種スルファターゼモチーフが、式 X1Z1X2Z2X3R (I)[上式で Z1がシステインまたはセリンであり、 Z2がプロリンまたはアラニン残基であり、 X1が存在するかまたは存在しない可能性があり、存在するときは任意のアミノ酸であり、ただし異種スルファターゼモチーフがポリペプチドのN末端に存在するとき、X1が存在し、 X2とX3が独立に任意のアミノ酸である]を含み、 前記接触が、ポリペプチド中でZ1をホルミルグリシン(FGly)残基に変換するのに十分な条件下で起こり、変換型アルデヒドタグ化ポリペプチドを生成する方法も提供する。 この方法で使用するポリペプチドは、以下の:異種スルファターゼモチーフが16アミノ酸残基長未満である、異種スルファターゼモチーフがポリペプチドのN末端に位置する、異種スルファターゼモチーフがポリペプチドに固有のアミノ酸配列の内部部位に位置する、異種スルファターゼモチーフがポリペプチドの末端ループに位置する、異種スルファターゼモチーフがポリペプチドの翻訳後修飾部位に位置する、ポリペプチドが完全長ポリペプチドである、ポリペプチドがプレプロラクチンポリペプチド、プロラクチンポリペプチド、またはグルタチオン−S−トランスフェラーゼポリペプチド以外であるという性質の少なくとも1つを有し得る。 異種スルファターゼモチーフは16アミノ酸残基長未満でよく、ポリペプチドのC末端に位置してよい。異種スルファターゼモチーフはポリペプチドの末端ループ中の内部部位に存在してよく、かつ/または細胞外ループまたは細胞内ループ内の内部部位に存在してよい。異種スルファターゼモチーフは内部部位またはN末端に存在してよく、かつ/またはポリペプチドがフォールディングするときに溶媒接触可能であり得る。異種スルファターゼモチーフは、グリコシル化部位などの翻訳後修飾部位に存在してよい。これらの翻訳後修飾部位は親標的ポリペプチドに固有のものでよく、あるいは1つまたは複数の非天然翻訳後修飾部位を含むように標的ポリペプチドを工学的に作製することができ、異種スルファターゼモチーフは前記1つまたは複数の非天然翻訳後修飾部位に位置する。 存在するときにはX1が、脂肪族アミノ酸、イオウ含有アミノ酸、または極性、非荷電アミノ酸(すなわち、芳香族アミノ酸または荷電アミノ酸以外)であり、特定の実施形態ではL、M、V、SまたはTであり得るスルファターゼモチーフを特に対象とする。特に対象とするさらなるスルファターゼモチーフは、X2およびX3がそれぞれ独立に脂肪族アミノ酸、極性、非荷電アミノ酸、またはイオウ含有アミノ酸(すなわち、芳香族アミノ酸または荷電アミノ酸以外)であり、特定の実施形態では、それぞれ独立にS、T、A、V、GまたはCであるスルファターゼモチーフである。対象とする一実施形態では、FGEを含有する細胞中でポリペプチドが発現される。 さらなる実施形態では、その方法は、変換型アルデヒドタグ化ポリペプチドを、対象とする部分を含む反応パートナーと接触させることをさらに含み、前記接触は、異種スルファターゼモチーフのFGly残基と共有結合した対象とする部分を有する修飾型アルデヒドタグ化ポリペプチドの反応生成物が生成するのに十分な条件下で起こる。対象とする部分は、例えば水溶性ポリマー、検出可能な標識、薬剤、または膜中もしくは表面上におけるポリペプチドの固定化用部分であり得る。 本開示は、本明細書に記載する方法によって生成される変換型アルデヒドタグ化ポリペプチド、および本明細書に記載する方法によって生成される修飾型アルデヒドタグ化ポリペプチドも提供する。 本開示は、ホルミルグリシン生成酵素(FGE)を有する異種スルファターゼモチーフを含むポリペプチドであって、異種スルファターゼモチーフが、 X1(FGly)X2Z2X3R (I)[上式で FGlyがホルミルグリシン残基であり、 Z2がプロリンまたはアラニン残基であり、 X1が存在するかまたは存在しない可能性があり、存在するときは任意のアミノ酸であり、ただし異種スルファターゼモチーフがアルデヒドタグ化ポリペプチドのN末端に存在するとき、X1が存在し、 X2が任意のアミノ酸である]を含むポリペプチドをさらに提供する。 この方法で使用するポリペプチドは、以下の:異種スルファターゼモチーフが16アミノ酸残基長未満である、異種スルファターゼモチーフがポリペプチドのN末端に位置する、異種スルファターゼモチーフがポリペプチドに固有のアミノ酸配列の内部部位に位置する、異種スルファターゼモチーフがポリペプチドの末端ループに位置する、異種スルファターゼモチーフがポリペプチドの翻訳後修飾部位に位置する、ポリペプチドが完全長ポリペプチドである、またはポリペプチドがプレプロラクチンポリペプチド、プロラクチンポリペプチド、またはグルタチオン−S−トランスフェラーゼポリペプチド以外であるという性質の少なくとも1つを有する可能性がある。 このようなポリペプチドの異種スルファターゼモチーフは16アミノ酸残基長未満でよく、ポリペプチドのC末端に位置してよい。異種スルファターゼモチーフは、ポリペプチドの末端ループ中に存在してよい。ポリペプチドは、細胞外ループまたは細胞内ループ内の内部部位に存在する異種スルファターゼモチーフを有する膜貫通型タンパク質でよい。ポリペプチドの異種スルファターゼモチーフは、ポリペプチドの内部部位またはN末端に存在してよく、ポリペプチドがフォールディングするときに溶媒接触可能である。さらに、異種スルファターゼモチーフは、グリコシル化部位などの翻訳後修飾部位に存在してよい。翻訳後修飾部位は親標的ポリペプチドに固有のものでよく、あるいは1つまたは複数の非天然翻訳後修飾部位を含むように標的ポリペプチドを工学的に作製することができ、異種スルファターゼモチーフは前記1つまたは複数の非天然翻訳後修飾部位に位置する。存在するときにはX1が、通常は脂肪族アミノ酸、イオウ含有アミノ酸、または極性、非荷電アミノ酸(すなわち、芳香族アミノ酸または荷電アミノ酸以外)であるが、特定の実施形態ではL、M、V、SまたはTであるスルファターゼモチーフを特に対象とする。特に対象とするさらなるスルファターゼモチーフは、X2およびX3がそれぞれ独立に脂肪族アミノ酸、極性、非荷電アミノ酸、またはイオウ含有アミノ酸(すなわち、芳香族アミノ酸または荷電アミノ酸以外)であり、および特定の実施形態では、それぞれ独立にS、T、A、V、GまたはCであるスルファターゼモチーフである。 本開示は、このようなポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む核酸分子、ならびにこのような核酸分子を含むベクターおよび組換え宿主細胞も企図する。 本開示は、対象とする部分と共有結合したホルミルグリシン残基を含む修飾型ポリペプチドであって、 式X1(FGly’)X2Z2X3R (I)[上式で FGly’が異種の共有結合部分を有するホルミルグリシン残基であり、 Z2がプロリンまたはアラニン残基であり、 X1が存在するかまたは存在しない可能性があり、存在するときは任意のアミノ酸、通常は脂肪族アミノ酸、イオウ含有アミノ酸、または極性、非荷電アミノ酸(すなわち、芳香族アミノ酸または荷電アミノ酸以外)であり、ただし異種スルファターゼモチーフがポリペプチドのN末端に存在するとき、X1が存在し、 X2が任意のアミノ酸である]の修飾型スルファターゼモチーフを含む、修飾型ポリペプチドも提供する。 このような修飾型ポリペプチドの部分は、水溶性ポリマー、検出可能な標識、薬剤、または膜中もしくは表面上におけるポリペプチドの固定化用部分でよい。このような修飾型ポリペプチドの修飾型スルファターゼモチーフは、修飾型ポリペプチド中、修飾型ポリペプチドの親の翻訳後修飾部位に位置してよい。翻訳後修飾部位は、例えばグリコシル化部位でよい。翻訳後修飾部位は親標的ポリペプチドに固有のものでよく、あるいは1つまたは複数の非天然翻訳後修飾部位を含むように標的ポリペプチドを工学的に作製することができ、異種スルファターゼモチーフは前記1つまたは複数の非天然翻訳後修飾部位に位置する。 本開示は、アルデヒドタグコード配列を含む第1の核酸、およびアルデヒドタグコード配列の5’または3’に位置する制限部位であって、対象とするポリペプチドをコードする第2の核酸の挿入をもたらす制限部位を含む発現カセットと、発現カセットと作動可能に連結して、制限部位への対象とするポリペプチドをコードする第2の核酸の挿入によって生成するアルデヒドタグ化ポリペプチドの発現をもたらすプロモーターとを含む組換え核酸も提供する。 本開示は、ヒト型結核菌のホルミルグリシン生成酵素(FGE)も同定し(MtbFGE)、したがってその使用法、ならびに単離ヒト型結核菌のホルミルグリシン生成酵素(FGE)と、 式X1Z1X2Z2X3R (I)[上式で Z1がシステインまたはセリンであり、 Z2がプロリンまたはアラニン残基であり、 X1が存在するかまたは存在せず、存在するときは任意のアミノ酸であり、ただし異種スルファターゼモチーフがポリペプチドのN末端に存在するとき、X1が存在し、 X2とX3がそれぞれ独立に任意のアミノ酸である]の異種スルファターゼモチーフを含むポリペプチドとを含む反応混合物を包含する。 本開示は、本明細書に記載する異種スルファターゼモチーフおよびFGEを有するポリペプチドの反応混合物も提供し、この反応混合物は、ポリペプチドの異種スルファターゼモチーフがFGly残基を含有する変換型アルデヒドタグ化ポリペプチドをさらに含むことができる。本開示は、FGE、およびポリペプチドの異種スルファターゼモチーフがFGly残基を含有する変換型アルデヒドタグ化ポリペプチドを含む組成物も提供する。関連の実施形態では、このような反応混合物は、対象とする部分とポリペプチドのFGly残基の結合を容易にするための試薬をさらに含むことができる。 本発明の他の特徴およびその関連する開示を以下に示し、それらは、本開示を読んだ後で当業者には容易に明らかとなるであろう。 添付の図面と併せて読むと、以下の詳細な説明から本発明は最もよく理解される。慣行に従い、図面の様々な特徴は正確な縮尺ではないことを強調する。反対に、様々な特徴の寸法は明確性のために任意に拡大または縮小する。図面中に含まれるのは、以下の図である。本発明の方法および組成物の代表的概要を示している概略図である。この実施例では、代表的スルファターゼモチーフ(「LCTPSR」)は、対象とするタンパク質をコードする核酸を含有する構築体中に位置する。多様な生物において見られる様々なスルファターゼ由来の、スルファターゼモチーフの配列アラインメントを示している概略図である。そのコンセンサス配列は、この試験で使用した2つのアルデヒドタグの配列を含有する。保存残基は強調表示する。13残基のスルファターゼのコンセンサスモチーフ(ald13−Stf0)を有するマイコバクテリアのスルホトランスフェラーゼ由来のトリプシンペプチドにおけるFGlyの存在を確認する、質量スペクトル分析を示している一組のグラフである。ald13−Stf0由来のトリプシンペプチドにおけるFGlyの存在を確認する質量スペクトル。(パネルa)FGlyを取り込んだトリプシン断片の質量スペクトル(M+2/2)。理論値:378.2066m/z 実測値:378.2065。(パネルb)メトキシルアミンを用いた処理後のFGlyを取り込んだトリプシン断片のM+2/2FT−ICRスペクトル。理論値:392.7198m/z 実測値:392.7201.(パネルc)FGlyを取り込んだトリプシン断片のMALDI−TOF/TOFによる配列決定。FGly生成の定量化およびアルデヒドタグ化構築体の選択的蛍光標識の結果を示す図である。(パネルa)ald6−Stf0トリプシン消化物への合成PL(FGly)TPSRの標準添加。(パネルb)ald6−Stf0トリプシン消化物への合成PLCTPSRの標準添加。(パネルc)蛍光ゲルスキャナーで直接画像化したアミノオキシ−AlexaFluor647を有するald13−Stf0、ald6−Stf0およびald6−MBPの選択的蛍光標識。(パネルd)タンパク質充填はSypto Ruby染色によって評価した。アルデヒドタグ化タンパク質の選択的修飾を示している一組の画像である。(パネルa)ald6−MBPのスイッチアッセイ。レーン1:ビオチンヒドラジドとインキュベートしたタンパク質。レーン2:ビオチンヒドラジドとインキュベートし、かつ後にメトキシルアミンで修飾したタンパク質。レーン3:ビオチンヒドラジドとインキュベートし、かつ後にアミノオキシFLAGで修飾したタンパク質。タンパク質充填(底部ボックス)はポンソー染色によって評価した。(パネルb)5,000DaのアミノオキシPEG(レーン1)、10,000DaのアミノオキシPEG(レーン2)および20,000DaのアミノオキシPEG(レーン3)を用いたald6−Stf0のペグ化。ペグ鎖の電荷不足のため、ペグ化タンパク質は、同等分子量の非ペグ化タンパク質よりゆっくりと移動する。CHO(チャイニーズハムスター卵巣)およびHEK(ヒト胎児腎臓)細胞における、アルデヒドタグ化合成光異性化可能なアゾベンゼン制御型K+(SPARK)チャンネルタンパク質の生成を示している一組のゲル画像である。(パネルa)ポンソーSを使用してタンパク質に関して染色したSDS−PAGEゲル。(パネルb)抗myc抗体の結合の検出。(パネルc)抗FLAG抗体の結合の検出。Vはサンプルがベクターのみの陰性対照であることを示し、P、C、およびIは代表的な6残基アルデヒドタグを挿入するための3つの戦略、すなわち細胞外ループの1つの内部のアルデヒドタグの付加(I)、ループからの6残基の欠失およびアルデヒドタグとの置換(C)、またはループからの3残基の欠失および次いで6残基タグの付加(P)を表す。(+)は陽性対照サンプルを指し、これは17kDaのmycタグタンパク質を含有するCHO細胞溶解物である。ヒドラゾン、オキシムおよびセミカルバゾン結合の生成を示す図である。RおよびR’は、本明細書に開示するアルデヒドタグ化ポリペプチド中に現れる適切な置換基を指す。R”は、反応生成物中のアルデヒドタグ化ポリペプチドに移動する試薬の置換基を指す。ホルミルグリシン生成酵素(FGE)および提案したスルファターゼの機構によるスルファターゼの活性化を示す図である。(パネルa)活性部位のシステインを2ホルミルグリシル残基(FGly)に酸化することによって、FGEはスルファターゼを活性化する。以前に決定されたスルファターゼの結晶構造は、活性部位のFGlyは水和されることを示し、硫酸エステルの切断はトランスエステル化−脱離機構によって仲介されることを示唆する6。(パネルb)スルファターゼモチーフはスルファターゼのN末端の方に位置し、FGEによる修飾に適したシステイン(*)を標的化する。枠で囲んだ残基は完全に一致した残基を示し、下線を引いた残基は保存残基を示し、ドット(・)を有する残基は類似の残基を示す。in vitroおよびin vivoでのMtbFGE(Rv0712)の機能を示している結果を示す図である。(パネルa)スルファターゼモチーフに似ている合成ペプチドを組換えMtbFGEで処理し、結果として生じたFGlyへのシステインの酸化は質量分析によってモニタリングした。Cys2635erFGE突然変異体はペプチド基質において不活性であった。m/z1427および1445におけるイオンは、それぞれ修飾および非修飾ペプチドのナトリウム付加物である。(パネルb)ビオチンヒドラジドを用いた処理によって、FGly含有ペプチドはビオチンを有するヒドラゾン付加物を形成し、+240Daの質量シフトをもたらす。(パネルc)MtbH37Rvの野生型(WT)、Δfge、および相補型(Δfge+fge)菌株由来の溶解物は、スルファターゼ/ホスファターゼ阻害剤がある状態およびない状態で蛍光発生基質4−メチルウンベリフェリル硫酸(4MUS)を使用して、スルファターゼ活性に関して試験した。カサガイのスルファターゼを陽性対照として使用した。(パネルd)MtbH37RvのWT、Δfge、およびΔfge+fge菌株由来の溶解物は、スルファターゼ/ホスファターゼ阻害剤がある状態およびない状態で蛍光発生基質4−メチルウンベリフェリル硫酸を使用して、ホスファターゼ活性に関して試験した。組換えMtbホスファターゼPtpAは、陽性対照として使用した。MtbΔfge突然変異体のサザンブロット分析の結果を示す図である。ゲノムDNAはFspIまたはNcoIで消化し、アガロースゲル電気泳動によって分離し、ナイロンブロットに移した。ブロットは474bpのジゴキシゲニン標識DNA断片でプローブ処理し、野生型の4.8kbのFspI断片および5.7kbのNcoI断片、ならびに突然変異体の5.5kbのFspI断片および5.1kbのNcoI断片を同定した。組換えRv2407、Rv3406およびRv3762cは4MUSアッセイにおいて活性を示さないことを例示するデータを示す図である。カサガイのスルファターゼを陽性対照として使用した。StrepFGEの構造を示している概略図である。(パネルa)StrepFGEおよびヒトFGEの立体的な重ね合わせ。StrepFGEの二次構造要素を示す。Ca2+イオンは球体として表す。全体の標準偏差は0.65Åである。(パネルb)StrepFGEの考えられるCa2+結合部位とヒトFGEの第2のCa2+結合部位周辺の残基との比較。適切な配位構造は、StrepFGEにおけるGlu66Alaの突然変異によって失われる。(パネルc)StrepFGEの推定外部位の表面表示。グレースケールで表した表面は、(アミノ酸配列アラインメントに基づいた)すべての既知のFGEと推定FGEの間の残基の保存に従い着色し、白色は非保存残基を表し、ライトブルーはわずかに保存された残基を表し、ミディアムブルーは保存残基を表し、およびダークブルーは同一残基を表す。6残基のペプチド基質は、ヒトFGE−ペプチド複合体構造24(PDBエントリー2AIK)からモデル化する。仮想の拡大ペプチド基質をリボンとして表す。(パネルd、e)活性部位のシステイン272および277は、一部分のジスルフィド結合中に存在するようである。Cys272は2つの代替の立体配座中に示される。Cys272とSer269の間の電子密度は、水分子(d)または部分占有されたヒドロペルオキシド(パネルe)としてモデル化することができる。モノマーDを示す。除外電子密度は1σに合わせる。StrepFGEおよびMtbFGEのICP−AES分析を示している表である。MtbおよびStrepFGEの活性は分子酸素に依存するが、金属補因子とは無関係であることを示しているデータを示す図である。(a)スルファターゼモチーフに似ている合成ペプチド(質量=1421.7Da)は、FGEの基質として使用した。FGlyへのシステインの変換は18Daの消失をもたらし、これは質量分析によって検出した。(b、g)金属キレート剤EDTAは活性に対してまったく影響がなかった。(c、h、i)MtbおよびStrepFGEにおける活性部位のシステインの消失は活性を無効にした。(d)MtbFGEにおける活性部位のSer260の消失は活性を著しく低下させた。(e)MtbFGEは分子酸素の不在下では不活性であった。(f)WTStrepFGEは合成ペプチドを酸化することができた。(j)StrepFGEにおける活性部位のTrp234は触媒活性に必要ではない。m/z1427におけるイオンは、FGly含有生成ペプチドのナトリウム付加物である。StrepFGEにおける活性部位のシステイン272および277が、一部分のジスルフィド結合に関与することを示しているデータを示す図である。(a)StrepFGEはNBDで標識し、付加物は質量分析によって検出した。NBD修飾型StrepFGEの2つの集団を観察した。1つの集団は、ジスルフィド結合したCys272およびCys277に対応する1つのNBD付加物を有していた(b参照)。その他の集団は、Cys272およびCys277チオールに対応する3つのNDB付加物を有していた(c参照)。多数の荷電状態が両方の集団に関して示される。それぞれのイオンピークの上の数字は、それぞれの集団に帰属するNBD付加物の数を示す。(b〜d)トリプシン溶解後に質量分析を使用して、NDB付加物をそれぞれの表面露出チオールにマッピングした。示すのは、ジスルフィド結合したCys272およびCys277(b、計算質量=1,471.58;実測質量=1,471.58)、Cys272とCys277の両方におけるNBD付加物(c、計算質量=1,799.58;実測質量=1,799.61)、およびCys30lにおけるNBD付加物(d、計算質量=1486.52;実測質量=1,486.54)に対応する+2の荷電状態のイオンである。(e)Cys301は遊離チオールとして観察されなかった(示した+2の荷電状態のイオンの予想位置)。Cys301は、標識有効性を評価するための内部対照として働いた追加的な表面露出チオールであった。StrepFGEのCys277Serの亜集団が、還元型Cys272残基を含有しないことを示しているデータを示す図である。(a)StrepFGEのCys277SerはNBDで標識し、付加物は質量分析によって検出した。NBD修飾型StrepFGEのCys277Serの2つの集団を観察した。1つの集団は、Cys301に1つのNBD付加物を有する遊離チオールとしてのCys272に対応する(bおよびd参照)。その他の集団は、Cys272とCys301の両方にNDB付加物を有していた(cおよびd参照)。多数の荷電状態が両方の集団に関して示される。それぞれのイオンピークの上の数字は、それぞれの集団に帰属するNBD付加物の数を示す。(b〜d)トリプシン溶解後に質量分析を使用して、NDB付加物をそれぞれの表面露出チオールにマッピングした。示すのは、遊離チオールとしてのCys272(b、計算質量=1,457.61;実測質量=1,457.60)、NBD付加物を有するCys272(c、計算質量=1,620.62;実測質量=1,620.60)、およびNBD付加物を有するCys301(d、計算質量=1,486.54;実測質量=1486.54)に対応する+2の荷電状態のイオンである。(e)Cys30lは遊離チオールとして観察されなかった(示した+2の荷電状態のイオンの予想位置)。Cys301は、標識有効性を評価するための内部対照として働いた追加的な表面露出チオールであった。StrepFGEがCys272の安定した、共有結合修飾を示唆する質量異常を示さないことを示しているデータを示す図である。ヒス6−タグはStrepFGEから切断し、酵素の質量は質量分析によって決定した。それぞれのイオンピークの上の数字は、荷電状態を表す。抗体の概略を含めた組換えIgGFcの部位特異的標識の概略、および13量体アルデヒドタグを用いたN末端タグ化状態(N−Ald13−Fc)またはC末端タグ化状態(C−Ald13−Fc)のいずれかである(LCTPSRAALLTGR)、あるいは対照タグでN末端またはC末端修飾した(LATPSRAALLTGR)、Fc断片の修飾の結果を示す図である。6量体アルデヒドタグを使用したIgGFc断片の部位特異的標識の概略を示す図であり、6量体アルデヒドタグを用いたN末端タグ化状態(N−Ald6−Fc)またはC末端タグ化状態(C−Ald6−Fc)のいずれかである(LCTPSR)、あるいは対照タグでN末端またはC末端修飾した(LATPSR)、Fc断片の修飾の結果を含む図である。N末端タグ化IgGFc由来のホルミルグリシン(FGly)含有ペプチドの同定の結果を示す図であり、N末端タグ化IgGFc断片のトリプシン断片におけるFGlyの存在を確認する、質量スペクトル分析を示す一組のグラフを含む図である。(パネルa)FGlyを取り込んだトリプシン断片の質量スペクトル。理論値:429.7268m/z;実測値:429.7321m/z。(パネルb)2−ヨードアセトアミドを用いた処理後の、FGlyを取り込んだN末端タグ化IgGFc断片のトリプシン断片の質量スペクトル。理論値:467.2375m/z 実測値:467.2410m/z。C末端タグ化IgGFc由来のホルミルグリシン(FGly)含有ペプチドの同定の結果を示す図であり、C末端タグ化IgGFc断片のトリプシン断片におけるFGlyの存在を確認する、質量スペクトル分析を示す一組のグラフを含む図である。(パネルa)FGlyを取り込んだトリプシン断片の質量スペクトル。理論値:508.7613m/z;実測値:508.7755m/z。(パネルb)2−ヨードアセトアミドを用いた処理後の、FGlyを取り込んだC末端タグ化IgGFc断片のトリプシン断片の質量スペクトル。理論値:546.2721;m/z 実測値:546.2811m/z。細胞表面タンパク質の部位特異的標識に関する図であり、(LCTPSRAALTGRの13量体アルデヒドタグを使用して)アルデヒドタグ化細胞表面タンパク質を構築するために使用したpDisplay(商標)ベクターの概略、および対照(LATPSRAALLTGR;C−>A−TMと呼ぶ)と比較した、13量体を用いてタグ化した表面タンパク質(Ald13−TM)の増大した平均蛍光を示すグラフを与える図である。His6−Ald13−AcGFPによって例示されるサイトゾルタンパク質の部位特異的標識に関する図であり、ヒスタグおよび13量体アルデヒドタグを含有する緑色蛍光タンパク質(GFP)融合タンパク質(His6−Ald13−AcGFPまたはAld−AcGFPと呼ぶ)、または対照タグ(LATPSRAALLTGR)を含有するGFP融合タンパク質(C−>A−AcGFPと呼ぶ)の修飾の結果を与える図である。アルデヒドタグ法を使用するインターフェロンβ(IFN−β)の部位特異的グリコシル化を説明する概略を示す図である。 本発明を記載する前に、本発明は記載した特定の実施形態に限られず、当然ながら変わる可能性があることを理解されたい。本明細書で使用する術語は単に特定の実施形態を記載する目的であり、限定することを意図するものではないことも理解されたい、何故なら本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるからである。 ある範囲の値を与える場合、その範囲の上限と下限の間で、文脈が明らかに他のことを示さない限り、下限の単位の10分の1までのそれぞれの介在値も、明確に開示されることを理解されたい。表示範囲内の任意の表示値または介在値とその表示範囲内の任意の他の表示値または介在値の間の、それぞれのさらに小さな範囲が本発明内に包含される。これらのさらに小さな範囲の上限と下限は、独立にその範囲に含める、あるいはその範囲から除外することができ、かつ小さな範囲に限界の一方が含まれ、両方とも含まれずまたは両方とも含まれるそれぞれの範囲も、表示範囲内の任意の明確に除外される限界に従い本発明内に包含される。表示範囲が限界の一方または両方を含む場合、これらの含まれる限界の一方または両方を除外した範囲も本発明内に含まれる。 他に定義しない限り、本明細書で使用するすべての技術および科学用語は、本発明が属する分野の当業者によって一般的に理解されているのと同じ意味を有する。本明細書に記載するものと同様または均等である任意の方法および物質を、本発明を実施または試験する際に使用することができるが、いくつかの考えられる代表的な方法および物質をここで記載する。本明細書で述べるすべての刊行物は、それに関して刊行物が引用される方法および/または物質を開示および記載するように、参照によって本明細書に組み込まれる。本開示は矛盾が存在する程度で組み込んだ刊行物の任意の開示に優先することを理解されたい。 本明細書および添付の特許請求の範囲中で使用する単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈が明らかに他のことを示さない限り、複数形の指示語を含むことに留意しなければならない。したがって、例えば、「1つのアルデヒドタグ」に対する言及は複数のこのようなタグを含み、および「そのポリペプチド」に対する言及は、当業者に知られている1つまたは複数のポリペプチドおよびその均等物などに対する言及を含む。 任意選択である可能性がある任意の要素を除外するために、特許請求の範囲が作成され得ることにさらに留意されたい。このように、本記載は特許請求する要素の列挙、または「消極的」限定の使用に関して「単に」、「のみ」などの排他的術語を使用するための根拠として使用するものとする。 本明細書で論じる刊行物は、本出願の出願日前のそれらの開示のために示すにすぎない。本発明に先行発明によるこのような刊行物に先行する権利がないことを承認するとして解釈されるものは本明細書には存在しない。さらに、与えられる公開日は実際の公開日と異なる可能性があり、これらは独力で確認する必要があり得る。 定義 用語「ポリペプチド」、「ペプチド」および「タンパク質」は本明細書で互換的に使用され、任意の長さのポリマー形のアミノ酸を指す。他のことを明らかに示さない限り、「ポリペプチド」、「ペプチド」および「タンパク質」は、遺伝的にコードされたアミノ酸および非コードアミノ酸、化学的または生化学的に修飾または誘導体化されたアミノ酸、および修飾ペプチド骨格を有するポリペプチドを含むことができる。この用語は、異種アミノ酸配列を有する融合タンパク質、異種および相同リーダー配列を有する融合体、(例えば、組換え細菌宿主細胞における生成を容易にするために)少なくとも1つのN末端メチオニン残基を含むタンパク質、免疫学的タグ化タンパク質などだけには限られないが、これらを含めた融合タンパク質を含む。 「標的ポリペプチド」は、本明細書において、本明細書に記載するアルデヒドタグの使用によって修飾されるポリペプチドを指すのに使用される。 「天然アミノ酸配列」または「親アミノ酸配列」は、標的ポリペプチドの文脈で本明細書において互換的に使用され、異種アルデヒドタグを封入するための修飾前の標的ポリペプチドのアミノ酸配列を指す。 「アルデヒドタグ」または「ald−タグ」とは、2−ホルミルグリシン残基(本明細書では「FGly」と呼ぶ)を含有させるためのホルミルグリシン生成酵素(FGE)の作用によって変換され得る、あるいは変換されている、スルファターゼモチーフ由来のアミノ酸配列を含有するアミノ酸配列を意味する。これは技術的には正しくないが、FGEによって生成するFGly残基は、文献中では「ホルミルグリシン」と呼ばれることが多い。別の言い方をすれば、用語「アルデヒドタグ」は、本明細書において、「非変換型」スルファターゼモチーフ(すなわち、システインまたはセリン残基がFGEによってFGlyに変換されていないが、変換される可能性があるスルファターゼモチーフ)を含むアミノ酸配列、および「変換型」スルファターゼモチーフ(すなわち、システインまたはセリン残基がFGEの作用によってFGlyに変換されているスルファターゼモチーフ)を含むアミノ酸配列を指すのに使用される。 スルファターゼモチーフに対するホルミルグリシン生成酵素(FGE)の作用の文脈で使用する「変換」によって、ホルミルグリシン(FGly)残基に対する、スルファターゼモチーフにおけるシステインまたはセリン残基の生化学的修飾を指す(例えば、FGlyへのCys、またはFGlyへのSer)。 「修飾」は、一部分の付加、除去、または改変を包含する。変換型スルファターゼモチーフを有するポリペプチドの文脈で使用するように、「修飾」は、FGlyのアルデヒド部分と反応パートナーの反応による、ポリペプチドのアルデヒドタグのFGly残基の化学的または生化学的修飾を指すことを意味する。前に論じたように、用語「変換」は、FGEによって仲介されるアルデヒドタグのFGly残基の生化学的修飾の型を指す。 ポリペプチド、ペプチドまたはタンパク質のアミノ酸配列に関して使用する「遺伝的にコード可能な」によって、アミノ酸配列が、そのアミノ酸配列をコードする核酸の転写および翻訳による生成が可能であるアミノ酸残基から構成されることを意味し、この場合転写および/または翻訳は細胞で、または無細胞のin vitro転写/翻訳系で起こる可能性がある。 用語「制御配列」は、個々の発現系、例えば哺乳動物細胞、細菌細胞、無細胞合成系などにおいて作動可能に連結したコード配列の発現を容易にするDNA配列を指す。原核生物系に適した制御配列は、例えばプロモーター、場合によってはオペレーター配列、およびリボソーム結合部位を含む。真核細胞系はプロモーター、ポリアデニル化シグナル、およびエンハンサーを利用することができる。 核酸は、それが他の核酸配列と機能的関係に置かれているとき「作動可能に連結している」。例えば、プレ配列または分泌リーダーのDNAは、それがポリペプチドの分泌に関与するプレタンパク質として発現される場合、ポリペプチドのDNAと作動可能に連結しており、プロモーターまたはエンハンサーは、それが配列の転写に影響を与える場合、コード配列と作動可能に連結しており、またはリボソーム結合部位は、それが翻訳の開始を容易にするように位置する場合、コード配列と作動可能に連結している。一般に、「作動可能に連結している」は、連結しているDNA配列は隣接しており、および分泌リーダーの場合、隣接しておりリーディングフレーム内に存在することを意味する。連結はライゲーションによって、または増幅反応によって実施される。合成オリゴヌクレオチドアダプターまたはリンカーは、従来の習慣に従い配列を連結させるために使用することが可能である。 本明細書で使用する用語「発現カセット」は、(例えば、対象とする構築体へのライゲーションと適合性がある制限部位の使用によって、あるいは対象とする構築体または宿主細胞ゲノムへの相同的組換えによって)核酸に挿入することができる、核酸、通常DNAのセグメントを指す。一般に、核酸セグメントは、対象とするポリペプチド(例えば、対象とする標的ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドと作動可能に連結することができるアルデヒドタグ)をコードするポリヌクレオチドを含み、カセットおよび制限部位を設計して、転写および翻訳に適したリーディングフレーム中のカセットの挿入を容易にする。発現カセットは、宿主細胞中での対象とするポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの発現を容易にするエレメントも含むことができる。これらのエレメントは、プロモーター、最少プロモーター、エンハンサー、応答エレメント、ターミネーター配列、ポリアデニル化シグナルなどだけには限られないが、これらを含むことができる。 本明細書で使用する用語「単離した」は、その化合物が本来存在する環境と異なる環境に存在する、対象とする化合物を記載することを意味する。「単離した」は、対象とする化合物が実質的に増大したサンプルおよび/または対象とする化合物が部分的または実質的に精製されたサンプル内に存在する化合物を含むことを意味する。 本明細書で使用する用語「実質的に精製された」は、その本来の環境から除去され、それが本来結合している他の構成要素から少なくとも60%遊離、通常75%遊離、および最も通常は90%遊離した化合物を指す。 用語「生理的条件」は、生存細胞と適合性がある条件、例えば生存細胞と適合性がある温度、pH、塩分などの主に水の条件を包含することを意味する。 「異種」とは、本来は通常見られない関係で第1の物体と第2の物体が与えられることを意味する。例えば、「異種」スルファターゼモチーフまたは「異種」ald−タグを包含するタンパク質は、そのアミノ酸配列内のその位置にスルファターゼモチーフを通常含有しないタンパク質である(例えば、1つの天然スルファターゼモチーフを有するタンパク質は「異種」である第2のスルファターゼモチーフを含むことができ、スルファターゼモチーフを含むさらなるタンパク質を修飾してスルファターゼモチーフの位置を変え、位置を変えたスルファターゼモチーフをタンパク質と「異種」にすることができる)。いくつかの実施形態では、異種スルファターゼモチーフは、天然スルファターゼモチーフを含まないポリペプチド中に存在する。 「反応パートナー」とは、他の反応パートナーと特異的に反応して反応生成物を生成する、分子または分子部分を意味する。代表的な反応パートナーには、スルファターゼモチーフのシステインまたはセリンとホルミルグリシン生成酵素(FGE)があり、これらは反応してモチーフ中にシステインまたはセリンの代わりにFGlyを含有する変換型アルデヒドタグの反応生成物を形成する。他の代表的な反応パートナーには、変換型アルデヒドタグのホルミルグリシン(FGly)残基のアルデヒドと対象とする部分を含む反応パートナー試薬があり、これらは反応してFGly残基においてアルデヒドタグ化ポリペプチドと結合した対象とする部分を有する修飾型アルデヒドタグ化ポリペプチドの反応生成物を形成する。 「N末端」は、遊離アミン基を有するポリペプチドの末端アミノ酸残基を指し、非N末端アミノ酸残基中のアミン基はポリペプチドの共有結合骨格の一部分を通常形成する。 「C末端」は、遊離カルボキシル基を有するポリペプチドの末端アミノ酸残基を指し、非C末端アミノ酸残基中のカルボキシル基はポリペプチドの共有結合骨格の一部分を通常形成する。 「N末端」とは、C末端よりN末端に近いポリペプチドの領域を意味する。 「C末端」とは、N末端よりC末端に近いポリペプチドの領域を意味する。 ポリペプチドまたはポリペプチドのアミノ酸配列に関して使用する「内部部位」によって、N末端またはC末端に存在しないポリペプチドの領域を意味し、かつポリペプチドのN末端とC末端領域の両方を含む。 序論 本発明は、本明細書で「アルデヒドタグ」または「ald−タグ」と呼ぶペプチドタグとして使用するための、本来存在する、遺伝的にコード可能なスルファターゼモチーフを利用して、ポリペプチドの部位特異的修飾を誘導する。スルファターゼの活性部位に見られるモチーフに基づくアルデヒドタグのスルファターゼモチーフは、(例えば、細胞中でのアルデヒドタグ含有タンパク質の翻訳時に)in vivoまたは(例えば、無細胞系中でアルデヒドタグ含有タンパク質とFGEを接触させることによって)in vitroのいずれかでのホルミルグリシン生成酵素(FGE)の作用によって、ホルミルグリシン(FGly)に変換(酸化)される可能性があるセリンまたはシステイン残基を含有する。得られたFGly残基のアルデヒド部分を「化学的ハンドル」として使用して、タンパク質の部位特異的化学修飾を容易にすることができる。 図1Aは、本発明の代表的な方法および組成物を示す概略図である。この実施例では、代表的スルファターゼモチーフ(「LCTPSR」)は、対象とするタンパク質をコードする核酸を含有する構築体中に位置する。この実施例では、スルファターゼモチーフは発現後にコードタンパク質のN末端に位置するが、しかしながら、以下により詳細に記載するように、スルファターゼモチーフはポリペプチドの1つまたは複数の望ましい部位に挿入することができる(例えば、コードポリペプチドのN末端、C末端および/または内部部位においてモチーフを与えるために)。図1A中に例示するスルファターゼモチーフは、以下により詳細に記載するようにスルファターゼモチーフの属内に存在する。図1Bは、多様な生物において見られる様々なスルファターゼ由来の、スルファターゼモチーフの配列アラインメントの概略図である。そのコンセンサス配列は、この試験で使用した2つのアルデヒドタグの配列を含有する。保存残基は強調表示する。 細胞中での発現および/または適切な酵素(例えば、AtsB型またはSUMF1型FGE)への露出によって、スルファターゼモチーフのコードシステインはホルミルグリシン(FGly)に変換される。FGly残基のアルデヒドを様々な適用例、例えば対象とする部分との共有結合用、タンパク質固定などの適用例に「化学的ハンドル」として使用することができる。図1A中では、代表的な部分は、スルファターゼ部分の修飾システイン残基と結合した検出可能な標識である。 本明細書に開示する、修飾される標的タンパク質内のアルデヒドタグの配置とアルデヒドタグ仲介型修飾の両方を、広く様々なタンパク質に関して一般化することが可能である。スルファターゼモチーフの変換を容易にしてFGly残基を生成するFGEの能力は、タンパク質内のモチーフの位置とは無関係である。FGEは配列状況非依存的と構造状況非依存的の両方の形式でスルファターゼモチーフのシステイン/セリンを変換することができるので、アルデヒドタグは修飾される標的ポリペプチド内の任意の望ましい部位に配置することが可能である、ただしスルファターゼモチーフは酵素変換時にFGEに接触可能であるものとする。さらに、アルデヒドの特有の反応性は、組換えタンパク質のバイオオルソゴナル(bioorthongonal)および化学選択的な修飾を可能にし、したがって生理的条件下および高選択的方法で実施することができるタンパク質の化学修飾のための部位特異的手段をもたらす。 本開示から理解されるように、アルデヒドタグの適用例は多数存在し、いくつかの利点を与えることができる。例えば、アルデヒドタグは、タンパク質の共有結合修飾を可能にする従来のペプチドタグのすべてではないが大部分より小さく、したがって標的ポリペプチドのアミノ酸配列に対する最少の変化が必要とされる。第2に、アルデヒドタグは十分特徴付けられた第2の標識化学物質を利用する。第3に、アルデヒドタグは可逆性を示し、かつ異なる安定性の共有結合を介して一部分の結合をもたらす反応パートナーの選択によって、アルデヒドタグで結合した部分の連続的修飾および置換を可能にする。さらに、アルデヒドタグは大部分の細胞系に既に存在する生合成機構を使用して形成され、親アミノ酸配列内の標的または配置の性質とは無関係なので、アルデヒドタグを使用して、容易に利用可能な発現系を使用する多数のポリペプチドの修飾を容易にすることができる。 変換型アルデヒドタグのアルデヒド部分は、蛍光またはエピトープ標識を使用する可視化(例えば、アルデヒド反応基を備える金粒子を使用する電子顕微鏡法)、タンパク質固定(例えば、タンパク質マイクロアレイ生成)、タンパク質の動力学および局在性の試験および適用例、および対象とする部分(例えば、親タンパク質の治療指数を改善する部分(例えば、PEG)、(例えば、作用部位に対する生物学的利用能を高めるための)標的部分、および生物活性部分(例えば、治療部分)とタンパク質の結合だけには限られないがこれらを含めた、様々な用途に使用することができる。 特に興味深いのは、PEGなどの水溶性ポリマーの部位特異的結合を容易にするためのアルデヒドタグの使用である。タンパク質結合化学における進展にもかかわらず、タンパク質の制御された、部位特異的修飾はいまだ課題である。多くの従来のペグ化法は、例えば標的残基としてのリシンまたはシステインとの反応によってPEG部分を結合させる。タンパク質中の多数の標的残基の存在が原因で、このような従来のシステムは多数の部位におけるペグ化をもたらし、異なる薬物動態を有する別個のタンパク質−PEG複合体の集合を生成する可能性がある。対照的に、標的残基としてのアルデヒドタグのFGly残基の使用は、ポリマー共有結合に特有の部位を与え、したがって生成する修飾産物の特異性と均質性の両方を増大させる。これらおよび他の特徴および利点は、本開示を読むことによって当業者には容易に明らかである。 本発明を実施するための方法および組成物を、ここでより詳細に記載する。 アルデヒドタグ 一般に、アルデヒドタグは、ホルミルグリシン生成酵素(FGE)の作用により変換されてホルミルグリシン(FGly)を含有し得る、(「スルファターゼドメイン」とも呼ばれる)スルファターゼモチーフ由来の任意のアミノ酸配列に基づくものであってよい。FGEの作用はFGEがスルファターゼモチーフにおいて作用する点で配列特異的に誘導されるが、このスルファターゼモチーフは標的ポリペプチドの任意の領域内に位置する可能性がある。したがって、スルファターゼモチーフのFGE仲介型の変換は部位特異的であるが(すなわち、FGEがスルファターゼモチーフのアミノ酸配列において作用する点で)、スルファターゼモチーフに作用するFGEの能力は配列状況非依存的である(すなわち、スルファターゼモチーフのシステイン/セリンを変換するFGEの能力は、スルファターゼモチーフが標的ポリペプチド中に存在する配列の状況と無関係である)。 代表的なアルデヒドタグ アルデヒドタグの最小スルファターゼモチーフは、通常約5または6アミノ酸残基長、通常せいぜい6アミノ酸残基長である。一般に、標的ポリペプチドの天然アミノ酸配列の修飾の程度を最小にして、(例えば、NまたはC末端に)挿入、欠失、置換(交換)、または付加されるアミノ酸残基の数を最小にすることが通常は望ましい。標的ポリペプチドのアミノ酸配列の修飾の程度を最小にすることは、このような修飾が標的ポリペプチドの機能および/または構造に対して有し得る修飾の影響を最小にするために通常望ましい。したがって、特に興味深いアルデヒドタグは、標的ポリペプチドのアミノ酸配列の16、15、14、13、12、11、10、9、8、または7個未満のアミノ酸残基の修飾(挿入、付加、欠失、置換/交換)を必要とするアルデヒドタグを含む。 特に興味深いアルデヒドタグは最小スルファターゼモチーフに基づくアルデヒドタグであることに留意すべきであるが、さらに長いアルデヒドタグが本開示によって企図されかつ包含され、本発明の組成物および方法において用途を見出すことができることは容易に理解される。したがってアルデヒドタグは5または6残基の最小スルファターゼモチーフを含むことができ、あるいはさらに長い可能性があり、かつモチーフのNおよび/またはC末端側においてさらなるアミノ酸残基に隣接し得る最小スルファターゼモチーフを含むことができる。例えば5または6アミノ酸残基、および5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20個を超える、あるいはそれを超えるアミノ酸残基のさらに長いアミノ酸配列の、アルデヒドタグが企図される。 一般に、本明細書に記載するアルデヒドタグにおいて有用なスルファターゼモチーフは、式: X1Z1X2Z2X3R (I)[上式で Z1がシステインまたはセリンであり(これは(C/S)によって表すこともできる)、 Z2がプロリンまたはアラニン残基のいずれかであり(これは(P/A)によって表すこともできる)、 X1が存在するかまたは存在せず、存在するときは任意のアミノ酸であってよいが、通常は脂肪族アミノ酸、イオウ含有アミノ酸、または極性、非荷電アミノ酸(すなわち、芳香族アミノ酸または荷電アミノ酸以外)であり、通常はL、M、V、SまたはTであり、さらに通常はL、M、SまたはVであり、ただしスルファターゼモチーフが標的ポリペプチドのN末端に存在するとき、X1が存在し、 X2とX3が独立に任意のアミノ酸であってよいが、通常は脂肪族アミノ酸、極性、非荷電アミノ酸、またはイオウ含有アミノ酸(すなわち、芳香族アミノ酸または荷電アミノ酸以外)であり、通常はS、T、A、V、GまたはCであり、さらに通常はS、T、A、VまたはGである]のモチーフである。 スルファターゼモチーフに対するFGEの作用後、Z1が酸化されてホルミルグリシン(FGly)残基が生成することに留意すべきである。さらに、FGE仲介の変換および対象とする部分を含む反応パートナーとの反応の両方の後、前式中のZ1に位置するFGlyは対象とする部分(例えば検出可能な標識、水溶性ポリマーなど)と共有結合する。 アルデヒドタグが標的ポリペプチドのN末端以外の位置に存在するに存在する場合、前式のX1は標的ポリペプチドの天然アミノ酸配列のアミノ酸残基によって与えられ得る。したがって、いくつかの実施形態では、かつ標的ポリペプチドのN末端以外の位置に存在するとき、スルファターゼモチーフは、 式(C/S)X1(P/A)X2R (II)[上式でX1とX2が独立に任意のアミノ酸であってよいが、通常は脂肪族アミノ酸、極性、非荷電アミノ酸、またはイオウ含有アミノ酸(すなわち、芳香族アミノ酸または荷電アミノ酸以外)であり、通常はS、T、A、V、GまたはCであり、さらに通常はS、T、A、またはVである]のモチーフである。 前に示したように、スルファターゼモチーフは、例えばアルデヒドタグがスルファターゼモチーフと「補助モチーフ」の両方を含むように、配列のN末端とC末端の片方または両方に追加的な残基を含むことができる。一実施形態では、スルファターゼモチーフは、C末端に補助モチーフ(すなわち、前式中のアルギニン残基の後)、AALLTGR、SQLLTGR、AAFMTGR、AAFLTGR、SAFLTGR、ASILTGK、VSFLTGR、ASLLTGL、ASILITG、VSFLTGR、SAIMTGR、SAIVTGR、TNLWRG、TNLWRGQ、TNLCAAS、VSLWTGK、SMLLTG、SMLLTGN、SMLLTGT、ASFMAGQ、またはASLLTGL、(例えば、Dierksら、(1999)EMBO J 18(8):2084〜2091を参照)、またはGSLFTGRのアミノ酸配列の隣接残基の1、2、3、4、5、6、もしくは全7個を含む。しかしながら、以下の実施例中で述べるように、本発明者は、このような追加的なC末端アミノ酸残基はアルデヒドタグのスルファターゼモチーフのFGE仲介の変換に必要とされず、したがって単なる任意選択であり、かつ本明細書に記載するアルデヒドタグから明確に除外することができることを発見している。いくつかの実施形態では、アルデヒドタグは、ホスホン酸モノエステル加水分解酵素における天然アミノ酸配列として存在し得る、アミノ酸配列CGPSR(M/A)SまたはCGPSR(M/A)は含まない。 アルデヒドタグのスルファターゼモチーフは一般に、選択したFGE、例えばアルデヒドタグ化ポリペプチドが発現される宿主細胞中に存在するFGE、または無細胞のin vitro法においてアルデヒドタグ化ポリペプチドと接触させるFGEによる変換が可能であるように選択する。 アルデヒドタグ化標的ポリペプチドにおけるFGlyの生成を与えるのに適した反応パートナーを与えるアルデヒドタグおよびFGEの選択は、当技術分野で入手可能な情報に照らして容易に実施することができる。一般に、真核生物のFGEによる変換の影響を受けやすいスルファターゼモチーフは、システインおよびプロリン(すなわち、Z1およびZ2における、それぞれ前の式I(例えば、X1CX2PX3R);前の式II中のCX1PX2R中のシステインおよびプロリン)を含み、「SUMF1型」FGEによって修飾される(Cosmaら、Cell 2003、113、(4)、445〜56;Dierksら、Cell 2003、113、(4)、435〜44)。原核生物のFGEによる変換の影響を受けやすいスルファターゼモチーフは、システインまたはセリン、およびプロリンのいずれかをスルファターゼモチーフ中に含有し(すなわち、それぞれZ1におけるシステインまたはセリン、およびZ2におけるプロリン、前の式I中(例えば、X1(C/S)X2PX3R;(C/S)X1PX2R、前の式II中)、それぞれ「SUMF1型」FGEまたは「AtsB型」FGEのいずれかによって修飾される(Szameitら、J Biol Chem 1999、274、(22)、15375〜81)。原核生物のFGEによる変換の影響を受けやすい他のスルファターゼモチーフは、システインまたはセリンのいずれか、およびプロリンまたはアラニンのいずれかをスルファターゼモチーフ中に含み(すなわち、それぞれZ1におけるシステインまたはセリン、およびZ2におけるプロリンまたはアラニン、前の式I中(例えば、X1CX2PX3R;X1SX2PX2R;X1CX2AX3R;X1SX2AX3R);CX1PX2R;SX1PX2R;CX1AX2R;SX1AX2R、前の式II中)、修飾の影響を受けやすく、例えばフィルミクテス網(例えば、クロストリジウムパーフリンジェンス)のFGEによって修飾することができる(Berteauら、J.Biol.Chem..2006;281:22464〜22470を参照)。 したがって、例えば、FGEが真核生物のFGE(例えば、ヒトのFGEを含めた哺乳動物のFGE)である場合、スルファターゼモチーフは通常、式 X1CX2PX3R[上式で X1が存在するかまたは存在しない可能性があり、存在するときは任意のアミノ酸であってよいが、通常は脂肪族アミノ酸、イオウ含有アミノ酸、または極性、非荷電アミノ酸(すなわち、芳香族アミノ酸または荷電アミノ酸以外)であり、通常はL、M、SまたはVであり、ただしスルファターゼモチーフが標的ポリペプチドのN末端に存在するとき、X1が存在し、 X2とX3が独立に任意のアミノ酸であってよいが、通常は脂肪族アミノ酸、イオウ含有アミノ酸、または極性、非荷電アミノ酸、(すなわち、芳香族アミノ酸または荷電アミノ酸以外)であり、通常はS、T、A、V、GまたはCであり、さらに通常はS、T、A、VまたはGである]のモチーフである。 スルファターゼモチーフの具体例には、LCTPSR、MCTPSR、VCTPSR、LCSPSR、LCAPSR LCVPSR、およびLCGPSRがある。他の具体的なスルファターゼモチーフは、本明細書で提供する開示から容易に明らかである。 以下により詳細に記載するように、変換型アルデヒドタグ化ポリペプチドは対象とする部分を含む反応パートナーと反応させて、対象とする部分と変換型アルデヒドタグ化ポリペプチドのFGly残基の結合、および修飾型ポリペプチドの生成をもたらす。修飾型アルデヒドタグを有する修飾型ポリペプチドは、式: X1(FGly’)X2Z2X3R(I)[上式で FGly’が共有結合部分を有するホルミルグリシン残基であり、 Z2がプロリンまたはアラニン残基のいずれかであり(これは(P/A)によって表すこともできる)、 X1が存在するかまたは存在しない可能性があり、存在するときは任意のアミノ酸であってよいが、通常は脂肪族アミノ酸、イオウ含有アミノ酸、または極性、非荷電アミノ酸(すなわち、芳香族アミノ酸または荷電アミノ酸以外)であり、通常はL、M、V、SまたはTであり、さらに通常はL、M、SまたはVであり、ただしスルファターゼモチーフが標的ポリペプチドのN末端に存在するとき、X1が存在し、 X2とX3が独立に任意のアミノ酸であってよいが、通常は脂肪族アミノ酸、イオウ含有アミノ酸、または極性、非荷電アミノ酸、(すなわち、芳香族アミノ酸または荷電アミノ酸以外)であり、通常はS、T、A、V、GまたはCであり、さらに通常はS、T、A、VまたはGである]の修飾型スルファターゼモチーフを含むことによって一般に記載される。 変換型スルファターゼモチーフの具体例には、L(FGly)TPSR、M(FGly)TPSR、V(FGly)TPSR、L(FGly)SPSR、L(FGly)APSR L(FGly)VPSR、およびL(FGly)GPSRがある。 以下により詳細に記載するように、対象とする部分は、水溶性ポリマー、検出可能な標識、薬剤、または膜中または表面上におけるポリペプチドの固定化用部分などの様々な部分のいずれかであってよい。アルデヒドタグ化ポリペプチドの前述の考察から明らかであるように、修飾型ポリペプチドの修飾型スルファターゼモチーフは、ポリペプチドの任意の望ましい部位に位置することができる。したがって、本開示は例えば、修飾型ポリペプチドの親の翻訳後修飾部位に位置する修飾型スルファターゼモチーフを有する修飾型ポリペプチドを与える(すなわち、標的ポリペプチドを修飾して翻訳後修飾部位にアルデヒドタグを与える場合、後に生成する修飾型ポリペプチドは、親ポリペプチド中のこの翻訳後修飾部位に対応する位置に一部分を含む)。例えば、したがって、親標的ポリペプチド中でグリコシル化が通常起こり得る部位に対応する部位に共有結合、水溶性ポリマーを有するように、修飾型ポリペプチドを生成することができる。したがって、糖残基は本来存在する親ポリペプチド中に位置し得るので、例えば、同じまたはほぼ同じ位置に位置するPEG部分を有するペグ化ポリペプチドを生成することができる。同様に、1つまたは複数の非天然翻訳後修飾部位を含むように親標的ポリペプチドを工学的に作製する場合、修飾型ポリペプチドは、親ポリペプチド中のこれらの非天然翻訳後修飾部位に対応する修飾型ポリペプチドの1つまたは複数の部位に、共有結合した水溶性ポリマーを含有することができる。 アルデヒドタグを含めるための標的ポリペプチドの修飾 アルデヒドタグは、アルデヒドタグの部位がFGEによる変換およびFGlyにおける後の修飾に関して接触可能である、または(例えば、タンパク質の変性によって)接触可能になり得るという条件で、標的ポリペプチドの変換および/または修飾をもたらすことが望ましい標的ポリペプチド内の任意の位置に位置してよい。1つまたは複数のアルデヒドタグを含むように、標的ポリペプチドを修飾することができる。標的ポリペプチド中に存在することができるアルデヒドタグの数は、選択する標的ポリペプチドと共に変わり、1、2、3、4、5個、あるいはそれより多くのアルデヒドタグを含むことができる。 いくつかの実施形態では、(例えば、無細胞環境、通常は無細胞の生理的環境中の)フォールディングおよび/または(例えば、膜貫通タンパク質などのポリペプチドと結合した細胞膜に関して)細胞膜中または上に存在するときのその構造を考慮して、標的ポリペプチド中に(複数の)アルデヒドタグを配置することが望ましい。例えば、フォールディング状態の標的ポリペプチド中の溶媒接触可能部位にアルデヒドタグを配置することができる。フォールディング状態の非変換型アルデヒドタグ化ポリペプチド中の溶媒接触可能なアルデヒドタグは、したがってFGlyへのセリンまたはシステインの変換に関してFGEと接触可能である。同様に、変換型アルデヒドタグ化ポリペプチドの溶媒接触可能なアルデヒドタグは、修飾型アルデヒドタグ化ポリペプチドを与えるための対象とする部分との結合に関して反応パートナー試薬と接触可能である。アルデヒドタグを溶媒接触可能部位に配置する場合、反応パートナーとの反応による対象とする部分を用いたin vitroでのFGE仲介型変換および修飾は、タンパク質の変性を必要とせずに実施することができる。溶媒接触可能部位は、(例えば、標的ポリペプチドの膜貫通領域以外の)宿主細胞中で発現されるとき細胞外または細胞内の細胞表面に露出する標的ポリペプチド領域も含むことができる。 したがって、例えば溶媒接触可能なN末端、溶媒接触可能なN末端領域、溶媒接触可能なC末端、溶媒接触可能なC末端領域、および/またはループ構造(例えば、細胞外ループ構造および/または細胞内ループ構造)から独立に選択される部位に、あるいはより多くのアルデヒドタグを与えることができる。いくつかの実施形態では、ポリペプチドのC末端以外の部位にアルデヒドタグを配置する。他の実施形態では、アルデヒドタグを配置するポリペプチドは完全長ポリペプチドである。 他の実施形態では、アルデヒドタグ部位は、天然標的ポリペプチド中の翻訳後修飾された部位に位置する。例えば、天然標的ポリペプチド中のグリコシル化(例えば、N−グリコシル化、O−グリコシル化)、リン酸化、硫化、ユビキチン化、アシル化、メチル化、プレニル化、ヒドロキシル化、カルボキシル化状態などの部位にアルデヒドタグを導入することができる。様々な翻訳後修飾された部位のコンセンサス配列、およびポリペプチド中の翻訳後修飾された部位を同定するための方法は、当技術分野でよく知られている。翻訳後修飾部位は本来存在し得る、あるいはポリペプチドのこのような部位を(例えば、組換え技法により)(例えば、EPOの高度にグリコシル化した変異体のグリコシル化部位中と同様に)そのポリペプチドに固有でない翻訳後修飾部位を含むように工学的に作製できることは理解される。後者の実施形態では、非天然翻訳後修飾部位を有し対象とする生物活性を示すことが実証されているポリペプチドを特に対象とする。 本開示は本明細書において、アルデヒドタグを含めるための標的ポリペプチドの修飾に適した部位を同定するための方法も提供する。例えば、1つまたは複数のアルデヒドタグ化標的ポリペプチド構築体を生成することができ、構築体はFGEを発現する細胞中で発現され、あるいは(以下により詳細に記載するように)細胞からの単離後にFGEに曝される。次いでアルデヒドタグ化ポリペプチドは、アルデヒドタグが接触可能である場合検出可能な部分とアルデヒドタグのFGlyの結合をもたらす、反応パートナーと接触させることが可能である。検出可能な部分の存在または不在を次いで決定する。検出可能な部分が検出される場合、したがってポリペプチド中のアルデヒドタグの配置は成功である。このようにして、標的ポリペプチドのコード配列中の異なる部位に位置するアルデヒドタグを有する構築体のライブラリーを生成およびスクリーニングして、アルデヒドタグの最適位置の確認を容易にすることができる。追加的あるいは代替的に、アルデヒドタグ化ポリペプチドは、標的ポリペプチドと通常関係がある生物活性、および/または(例えば、天然標的ポリペプチド中の細胞外の細胞表面に通常存在するエピトープがアルデヒドタグ化ポリペプチド中にも存在するかどうか評価するために)評価するアルデヒドタグ化ポリペプチドの構造に関して試験することができる。 (例えば、天然アミノ酸配列内に5または6アミノ酸残基の挿入を与えるための)挿入によって、または(例えば、標的ポリペプチドのN−またはC−末端での)付加によって、アルデヒドタグを標的ポリペプチド中にもたらすことができる。アルデヒドタグの隣接アミノ酸配列と天然アミノ酸残基の完全または部分的置換によって、アルデヒドタグを与えることもできる。例えば、天然アミノ酸配列の1、2、3、4、または5(または1、2、3、4、5、または6)個のアミノ酸残基とアルデヒドタグの対応するアミノ酸残基の置換によって、5(または6)アミノ酸残基の異種アルデヒドタグを標的ポリペプチド中に与えることができる。一般に多くの適用例においてそれほど興味がないことかもしれないが、2つ以上のアルデヒドタグを有する標的ポリペプチドを修飾して、タグのFGlyにおいて同じ部分または異なる部分の結合をもたらすことができる。 1つまたは複数のアルデヒドタグを封入するための標的ポリペプチドの修飾は、組換え分子遺伝学的技法を使用して実施して、望ましいアルデヒドタグ化標的ポリペプチドをコードする核酸を生成することができる。このような方法は当技術分野でよく知られており、クローニング法、部位特異的突然変異誘発法などを含む(例えば、Sambrookら、「Molecular Cloning:A Laboratory Manual」中(Cold Spring Harbor Laboratory Press 1989);「Current Protocols in Molecular Biology」(Ausubelら編;Greene Publishing Associates,Inc.、およびJohn Wiley & Sons,Inc.1990および増補)を参照)。あるいは、非組換え技法を使用して、例えば天然の化学的連結または非天然の化学的連結を使用してアルデヒドタグを付加して、例えば標的ポリペプチドのC末端にアルデヒドタグを付加することができる(例えば、米国特許第6,184,344号、米国特許第6,307,018号、米国特許第6,451,543号、米国特許第6,570,040号、US2006/0173159、US2006/0149039を参照)。Rushら、(2006年1月5日)Org Lett.8(1):131〜4も参照。 標的ポリペプチド 任意の広く様々なポリペプチドを修飾して、ポリペプチドの修飾を容易にするためのアルデヒドタグを封入することができる。アルデヒドタグベースの修飾に適したポリペプチドは、天然に存在するアミノ酸配列、N末端メチオニンを有する天然アミノ酸配列、天然に存在するポリペプチドの断片、および非天然ポリペプチドおよびその断片を有する両方のタンパク質を含む。いくつかの実施形態では、標的ポリペプチドは、スルファターゼまたはその断片以外、レポータータンパク質以外、あるいはプレプロラクチンまたはプロラクチン以外のポリペプチドである。 以下は、本明細書に記載するアルデヒドタグベースの方法を使用して修飾するのに興味深い、ポリペプチドの代表的なクラスおよび型である。 治療用ポリペプチド 一実施形態では、タンパク質修飾のアルデヒドタグベースの方法を、治療利点をもたらす可能性があるポリペプチド、特に一部分との結合が例えば血清中半減期の増大、不都合な免疫応答の低下、追加的または代替的な生物活性または機能など、あるいは他の利点または不都合な副作用の減少の1つまたは複数をもたらす可能性があるポリペプチドの修飾に施用する。治療用ポリペプチドがワクチンの抗原である場合、修飾はポリペプチドの高い免疫原性をもたらすことができる。 治療用タンパク質のクラスの例には、サイトカイン、ケモカイン、増殖因子、ホルモン、抗体、および抗原であるタンパク質がある。さらなる例には、エリスロポエチン(EPO、例えば天然EPO;合成EPO(例えば、US2003/0191291を参照)、ヒト成長ホルモン(hGH)、ウシ成長ホルモン(bGH)、卵胞刺激ホルモン(FSH)、インターフェロン(例えば、IFN−γ、IFN−β、IFN−α、IFN−ω、コンセンサスインターフェロンなど)、インシュリン、インシュリン様増殖因子(例えば、IGF−I、IGF−II)、血液因子(例えば、因子VIII、因子IX、因子X、組織プラスミノゲン活性化因子(TPA)など)、コロニー刺激因子(例えば、顆粒球−CSF(G−CSF)、マクロファージ−CSF(M−CSF)、顆粒球−マクロファージ−CSF(GM−CSF)、など)、形質転換増殖因子(例えば、TGF−β、TGF−α)、インターロイキン(例えばIL−1、IL−2、IL−3、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−8、IL−12など)、表皮細胞増殖因子(EGF)、血小板由来増殖因子(PDGF)、線維芽細胞増殖因子(FGF、例えばaFGF、bFGF)、グリア細胞系由来増殖因子(GDNF)、神経増殖因子(NGF)、RANTESなどがある。 さらなる例には、抗体、例えば、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、ヒト化抗体、抗原結合断片(例えば、F(ab)’、Fab、Fv)、単鎖抗体などがある。腫瘍抗原、免疫細胞抗原(例えば、CD4、CD8など)、微生物、特に病原性微生物の抗原(例えば、細菌、ウイルス、真菌、または寄生虫抗原)などと特異的に結合する抗体を特に対象とする。 本明細書に記載する方法および組成物を施用して、天然または工学的に作製したグリコシル化部位において、例えばインターフェロン(例えば、IFN−γ、IFN−α、IFN−β、IFN−ω;IFN−τ);インシュリン(例えば、ノボリン、ヒュームリン、ヒューマログ、ランタス、ウルトラレンテなど);エリスロポエチン(例えば、PROCRIT(登録商標)、EPREX(登録商標)、またはEPOGEN(登録商標)(エポエチン−α);ARANESP(登録商標)(ダルブエポエチン−α);NEORECORMON(登録商標)、EPOGIN(登録商標)(エポエチン−β);など);モノクローナル抗体の抗原結合断片を含めた、抗体(例えば、モノクローナル抗体)(例えば、RITUXAN(登録商標)(リツキシマブ);REMICADE(登録商標)(インフリキシマブ);HERCEPTIN(登録商標)(トラスツズマブ);HUMIRA(商標)(アダリムマブ);XOLAIR(登録商標)(オマリズマブ);BEXXAR(登録商標)(トシツモマブ);RAPTIVAT(商標)(エファリズマブ);ERBITUX(商標)(セツキシマブ);など);血液因子(例えば、ACTIVASE(登録商標)(アルテプラーゼ)組織プラスミノゲン活性化因子;NOVOSEVEN(登録商標)(組換えヒト因子VIIa);因子VIIa;因子VIII(例えば、KOGENATE(登録商標));因子IX;β−グロビン;ヘモグロビン;など);コロニー刺激因子(例えば、NEUPOGEN(登録商標)(フィルグラスチム;G−CSF);ニューラスタ(ペグフィルグラスチム);顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)、顆粒球−単球コロニー刺激因子、マクロファージコロニー刺激因子、巨核球コロニー刺激因子;など);成長ホルモン(例えば、ソマトトロピン、例えば、GENOTROPIN(登録商標)、NUTROPIN(登録商標)、NORDITROPIN(登録商標)、SAIZEN(登録商標)、SEROSTIM(登録商標)、HUMATROPE(登録商標)など;ヒト成長ホルモン;など);インターロイキン(例えばIL−1、IL−2、例えば、Proleukin(登録商標);IL−3、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−8、IL−9などを含む);増殖因子(例えば、REGRANEX(登録商標)(ベクラペルミン;PDGF);FIBLAST(登録商標)(トラフェルミン;bFGF);STEMGEN(登録商標)(アンセスチム;幹細胞因子);ケラチノサイト増殖因子;および酸性線維芽細胞増殖因子、幹細胞因子、塩基性線維芽細胞増殖因子、肝細胞増殖因子;など);可溶性受容体(例えば、ENBREL(登録商標)(エタネルセプト)などのTNF−α−結合可溶性受容体;可溶性VEGF受容体;可溶性インターロイキン受容体、可溶性γ/δT細胞受容体など);酵素(例えば、α−グルコシダーゼ;CERAZYME(登録商標)(イミグルカラーゼ、β−グルコセレブロシダーゼ、CEREDASE(登録商標)(アルグルセラーゼ;);酵素活性化因子(例えば、組織プラスミノゲン活性化因子);ケモカイン(例えば、IP−10;Mig;Groα/IL−8、RANTES;MIP−1α;MIP−1β;MCP−1;PF−4など);血管形成剤(例えば、血管内皮増殖因子(VEGF);血管形成阻害剤(例えば、可溶性VEGF受容体);タンパク質ワクチン;例えばブラジキニン、コレシストキニン、ガスチン、セクレチン、オキシトシン、ゴナドトロピン放出ホルモン、β−エンドルフィン、エンケファリン、サブスタンスP、ソマトスタアチン、ガラニン、成長ホルモン放出ホルモン、ボンベシン、ワルファリン、ダイノルフィン、ニューロテンシン、モチリン、チロトロピン、ニューロペプチドY、黄体形成ホルモン、カルシトニン、インシュリン、グルカゴン、バソプレシン、アンギオテンシンII、チロトロピン放出ホルモン、血管作動性腸管ペプチド、睡眠誘発ペプチドなどの神経活性ペプチド;例えば血栓溶解剤、心房性ナトリウム利尿ペプチド、骨形態形成タンパク質、トロンボポイエチン、リラクシン、グリア細胞繊維性酸性タンパク質、卵胞刺激ホルモン、ヒトα1アンチトリプシン、白血病抑制因子、形質転換増殖因子、組織因子、インシュリン様増殖因子、黄体形成ホルモン、卵胞刺激ホルモン、マクロファージ活性化因子、腫瘍壊死因子、好中球走化因子、神経増殖因子、メタロプロテイナーゼの組織阻害剤;血管作動性腸管ペプチド、アンギオゲニン、アンギオトロピン、フィブリン;ヒルジン;白血病抑制因子;IL−1受容体アンタゴニスト(例えば、Kineret(登録商標)(アナキンラ))などの他のタンパク質などの治療用タンパク質の過剰にグリコシル化された形などで見られる、一成分(例えば、水溶性ポリマー)を与えることができる。前述の治療用タンパク質の天然型も本発明における標的ポリペプチドとして興味深いことは、容易に理解される。 修飾型標的ポリペプチドの生物活性は、当技術分野で知られている方法に従いアッセイすることができる。対応する親タンパク質の少なくとも1つの望ましい薬理活性を保持する修飾型アルデヒドタグ化ポリペプチドを対象とする。個々の治療タンパク質に関する有用なアッセイの例には、GMCSF(Eaves、A.C.およびEaves C.J.、Erythropoiesis in culture.In:Mccullock E A(edt)Cell culture techniques−−Clinics in hematology。W B Saunders、Eastbourne、pp371〜91(1984);Metcalf、D.、International Journal of Cell Cloning 10:116〜25(1992);Testa、N.Gら、Assays for hematopoietic growth factors.In:Balkwill F R(edt)Cytokines A practical Approach、pp229〜44;IRL Press Oxford 1991)EPO(バイオアッセイ:Kitamuraら、J.Cell.Physiol.140 p323(1989));Hirudin(血小板凝集アッセイ:Blood Coagul Fibrinolysis 7(2):259〜61(1996));IFNα(抗ウイルスアッセイ:Rubinsteinら、J.Virol.37(2):755〜8(1981);抗増殖アッセイ:Gao Yら、Mol Cell Biol.19(11):7305〜13(1999);およびバイオアッセイ:Czarnieckiら、J.Virol.49 p490(1984));GCSF(バイオアッセイ:Shirafujiら、Exp.Hematol.17 p116(1989);ネズミNFS−60細胞の増殖(Weinsteinら、Proc Natl Acad Sci 83:5010〜4(1986));インシュリン(3H−グルコースの取り込みアッセイ:Steppanら、Nature 409(6818):307〜12(2001));hGH(Ba/F3−hGHR増殖アッセイ:J Clin Endocrinol Metab 85(11):4274〜9(2000);成長ホルモンの国際標準:Horm Res、51 Suppl 1:7〜12(1999));因子X(因子Xの活性アッセイ:Van Wijkら、Thromb Res 22:681〜686(1981));因子VII(プロトロンビンの凝固時間を使用する凝固アッセイ:Belaaouajら、J.Biol.Chem.275:27123〜8(2000);Diaz−Collierら、Thromb Haemost 71.339〜46(1994))があるが、これらだけには限られない。 免疫原性組成物 本明細書に開示するアルデヒドタグベースの技術は、免疫原性組成物(例えば、治療用ワクチン)の構成要素の生成においても用途が見出される。例えば、アルデヒドタグを使用して、ポリペプチド抗原の血清中半減期を増大させる部分、ポリペプチドの免疫原性を増大させる部分、または非アミノ酸抗原とポリペプチド担体を連結させる部分の結合を容易にすることができる。この点において、アルデヒドタグを使用して、微生物抗原(例えば、細菌、ウイルス、真菌、または寄生虫抗原)、腫瘍抗原、および対象における免疫応答を誘導するための対象への投与に関して興味深い他の抗原の修飾を容易にすることができる。リサーチツールとして有用であり得る抗体を誘導する際に有用な抗原の修飾も興味深い。 (複数の)アルデヒドタグを使用した修飾に関するさらなる代表的な対象とするポリペプチドには、(例えば、薬剤スクリーニングアッセイなどにおけるリサーチツールとして)アッセイにおける検出または機能のモニタリングに関して興味深いポリペプチドがある。この型の代表的なポリペプチドには、受容体(例えば、Gタンパク質結合受容体(GPCR、オーファンGPCR含む))、受容体リガンド(天然に存在するリガンドおよび合成リガンドを含む)、タンパク質チャンネル(例えば、イオンチャンネル(例えば、カリウムチャンネル、カルシウムチャンネル、ナトリウムチャンネルなど)、および他のポリペプチドがある。一実施形態では、特にポリペプチドが膜中に存在する間にこのような修飾が実施される場合、膜貫通ポリペプチド)などの細胞表面結合ポリペプチドの修飾を特に対象とする。生理的条件下でのアルデヒドタグ化ポリペプチドの修飾に関する方法は、以下でさらに記載する。 ホルミルグリシン生成酵素(FGE) スルファターゼモチーフ中のシステインまたはセリンをFGlyに酸化する酵素は、本明細書ではホルミルグリシン生成酵素(FGE)と呼ぶ。前に論じたように、「FGE」を本明細書で使用して、FGlyへのスルファターゼモチーフのシステイン(C)の変換を仲介するFGly生成酵素、およびFGlyへのスルファターゼモチーフのセリン(S)の変換を仲介するFGly生成酵素を指す。一般に文献は、スルファターゼモチーフにおけるCをFGlyに変換するFGly生成酵素をFGEと呼び、かつスルファターゼモチーフにおけるSをFGlyに変換する酵素をAts−B様と呼ぶことに留意すべきである。しかしながら、本開示の目的のために、「FGE」は一般的に使用して両方の型のFGly生成酵素を指し、適切なFGEは適切なスルファターゼモチーフを含有する(すなわち、C含有またはS含有)標的反応パートナーにしたがって選択されることを理解されたい。 活性部位にFGlyを有するスルファターゼの偏在的存在によって明らかなように、真核生物と原核生物の両方を含めた広く様々な細胞型においてFGEは見られる。少なくとも2つの形のFGEが存在する。真核生物のスルファターゼはシステインをそれらのスルファターゼモチーフ中に含有し、「SUMF1型」FGEによって修飾される(Cosmaら、Cell 2003、113、(4)、445〜56;Dierksら、Cell 2003、113、(4)、435〜44)。FGly生成酵素(FGE)はSUMF1遺伝子によってコードされている。原核生物のスルファターゼは、システインまたはセリンのいずれかをそれらのスルファターゼモチーフ中に含有することができ、「SUMF1型」FGEまたは「AtsB型」FGEのいずれかによってそれぞれ修飾される(Szameitら、J Biol Chem 1999、274、(22)、15375〜81)。真核生物では、この修飾は小胞体(ER)において同時翻訳的または翻訳直後に起こると考えられる(Dierksら、Proc Natl Acad Sci USA 1997、94(22):11963〜8)。理論に縛られずに、原核生物ではSUMF1型FGEはサイトゾル中で機能し、AtsB型FGEは細胞膜付近または細胞膜で機能すると考えられる。SUMF2FGEも脊椎動物および棘皮動物門を含めた新口動物において記載されている(例えば、Pepeら、(2003)Cell 113、445〜456、Dierksら、(2003)Cell 113、435〜444;Cosmaら、(2004)Hum.Mutat.23、576〜581を参照)。 一般に、標的ポリペプチドのアルデヒドタグのスルファターゼモチーフにおけるFGlyへのシステインまたはセリンの変換を容易にするために使用したFGEは、アルデヒドタグ中に存在するスルファターゼモチーフにしたがって選択される。FGEはアルデヒドタグ化ポリペプチドが発現される宿主細胞に固有である可能性があり、あるいは宿主細胞を遺伝的に改変して適切なFGEを発現させることが可能である。いくつかの実施形態では、ヒトFGEと適合性があるスルファターゼモチーフを使用すること(例えばSUMF1型FGE、例えば、Cosmaら、Cell 113、445〜56(2003);Dierksら、Cell 113、435〜44(2003)を参照)、およびFGEを発現するヒト細胞中または宿主細胞、通常は哺乳動物細胞中でアルデヒドタグ化タンパク質を発現させること、遺伝的に改変してヒトFGEを発現させることが望ましい可能性がある。 一般に、本明細書で開示する方法中で使用するためのFGEは天然に存在する供給源から得ることができ、あるいは合成によって生成することができる。例えば、適切なFGEは、FGEを本来生成する、あるいは遺伝的に改変されてFGEをコードする組換え遺伝子を発現する生物学的供給源に由来してよい。いくつかのFGEをコードする核酸は当技術分野で知られており、かつ容易に入手可能である(例えば、Preusserら、2005 J.Biol.Chem.280(15):14900〜10(Epub 2005年1月18日);Fangら、2004 J Biol Chem.79(15):14570〜8(Epub 2004年1月28月);Landgrebeら、Gene.2003年10月16日;316:47〜56;Dierksら、1998 FEES Lett.423(1):61〜5;Dierksら、Cell.2003年5月16日;113(4):435〜44;Cosmaら、(2003年5月16日)Cell 113(4):445〜56;Baenziger(2003年5月16日)Cell 113(4):421〜2(総説);Dierksら、Cell.2005年5月20日;121(4):541〜52;Roeserら、(2006年1月3日)Proc Natl Acad Sci USA 103(1):81〜6;Sardielloら、(2005年11月1日)Hum Mol Genet.14(21):3203〜17;WO2004/072275;およびGenBankアクセッション番号NM_182760を参照。したがって本開示は、タグ化標的ポリペプチドのアルデヒドタグと共に使用するのに適したFGEを発現するように遺伝的に改変した、組換え宿主細胞をここに提供する。 一実施形態では、ヒト型結核菌(Mtb)から得たFGEを本明細書で開示する方法中で使用する。代表的なMtbFGEは、以下の実施例中に詳細に記載する。代表的なMtbFGEは、GenBankアクセッション番号NP_215226(gi:15607852)で与えられるアミノ酸配列を有するMtbFGEである: したがってMtbFGE、およびMtbFGEをコードする核酸は、本発明の方法における使用が企図される。さらに、MtbFGEを同定および特徴付けするために使用する方法は、本明細書に開示する方法において有用な他のFGEの同定および特徴付けに適用可能である。 本明細書および当技術分野で与える広範囲のアミノ酸配列情報およびFGEの特徴付けを与えると、FGEは、知られているFGE(例えば、本来存在するFGE)と配列同一性を共有し、およびスルファターゼモチーフのセリンまたはシステインの特異的修飾において機能を維持する、本来存在するFGE、および修飾型FGEを含むことは、当業者には容易に明らかであろう。 一般に、対象とするFGEは、当技術分野で利用可能な配列比較アルゴリズムの使用または目視検査により測定して、親FGEのヌクレオチド配列またはアミノ酸配列との最大対応性に関して比較しアラインメントをとるとき、少なくとも60%、通常75%、通常80%、さらに通常は90%〜95%のヌクレオチドまたはアミノ酸残基の同一性を有するFGEを含む。通常、列挙した配列同一性は、少なくとも約50残基長である配列の領域、さらに通常は少なくとも約100残基の領域、さらに通常は少なくとも約150残基から完全長までのコード領域またはタンパク質にわたって存在する、ただし比較の領域は酵素活性に必要とされるFGEの活性部位を含むものとする。 配列比較用に、典型的には1つの配列が、試験配列と比較する参照配列として働く。配列比較アルゴリズムを使用するとき、試験配列および参照配列はコンピュータへのインプット情報であり、必要な場合、連続的一致を指定し、かつ配列アルゴリズムプログラムのパラメータを指定する。配列比較アルゴリズムは、指定したプログラムのパラメータに基づいて、参照配列と比較した(複数の)試験配列に関する配列同一性の割合を次いで計算する。 比較用の配列の最適アラインメントは、例えばSmith & Waterman、Adv.Appl.Math.2:482(1981)の局所相同性アルゴリズムによって、Needleman & Wunsch、J.Mol.Biol.48:443(1970)の相同性アラインメントアルゴリズムによって、Pearson & Lipman、Proc.Nat’l.Acad.Sci.USA 85:2444(1988)の類似性検索法によって、コンピュータによるこれらのアルゴリズムの実行(GAP、BESTFIT、FASTA、およびTFASTA、Wisconsin Genetics Software Package、Genetics Computer Group、575 Science Dr.、Madison、WI中)によって、または目視検査によって(Current Protocols in Molecular Biology、F.M.Ausubelら編、Current Protocols、Greene Publishing Associates,Inc.とJohn Wiley & Sons,Inc.のジョイントベンチャー(1995年増補)(Ausubel)を概略的に参照)実施することができる。 配列同一性の割合および配列類似性を決定するのに適したアルゴリズムの例は、それぞれAltschulら、(1990)J.Mol.Biol.215:403〜410およびAltschulら(1977)Nucleic Acids Res.25:3389〜3402中に記載されている、BLASTおよびBLAST2.0アルゴリズムである。BLAST分析を実施するためのソフトウェアは、National Center for Biotechnology Informationを通じて公に入手可能である(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/)。このアルゴリズムは、データベース配列中の同じ長さのワードでアラインメントをとるとき、ある正の値の閾値スコアTに適合するかあるいはそれを満たすかのいずれかである、検索配列中の長さWの短いワードを同定することによって、高スコアの配列対(HSP)を最初に同定することを含む。Tは近隣ワードのスコア閾値と呼ぶ(Altschulら、上記)。 これらの初期近隣ワードヒットは、それらを含有するさらに長いHSPを発見するための検索を開始するためのシーズとして働く。次いで、累積アラインメントスコアを増大させることが可能である限り、ワードヒットを各配列に沿って両方向に延長させる。累積スコアは、ヌクレオチド配列に関して、パラメータM(一組の適合残基に関して報酬スコア;常に>0)およびN(不適合残基に関してペナルティースコア;常に<0)を使用して計算する。アミノ酸配列に関しては、スコアリングマトリクスを使用して累積スコアを計算する。累積アラインメントスコアがその最大獲得値から量Xまで低下するとき、1つまたは複数の負のスコアの残基アラインメントの蓄積が原因で累積スコアがゼロ以下になるとき、あるいはいずれかの配列の末端に達するとき、各方向におけるワードヒットの延長は止まる。BLASTアルゴリズムのパラメータW、T、およびXは、アラインメントの感度およびスピードを決定する。BLASTNプログラムは(ヌクレオチド配列に関して)、デフォルトとして11のワード長(W)、10の期待値(E)、M=5、N=4、および両鎖の比較値を使用する。アミノ酸配列に関しては、BLASTNプログラムは、デフォルトとして3のワード長(W)、10の期待値(E)、およびBLOSUM62スコアリングマトリクスを使用する(Henikoff & Henikoff、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:10915(1989)を参照)。 配列同一性の割合を計算すること以外に、BLASTアルゴリズムは、2配列間の類似性の統計分析も行う(例えば、Karlin & Altschul、Proc.Nat’l.Acad.Sci.USA 90:5873〜5787(1993)を参照)。BLASTアルゴリズムによって与えられる類似性の1つの測定値は最少合計確率(P(N))であり、これは2つのヌクレオチドまたはアミノ酸配列間の適合性が偶然生じ得る確率の指標を与える。例えば、試験核酸と参照核酸の比較における最少合計確率が約0.1未満、さらに通常は約0.01未満、および最も通常は約0.001未満である場合、核酸は参照配列と類似していると考えられる。 同一ではない残基の位置は保存的アミノ酸置換によって異なる可能性があり、これは前に論じたアラインメントの分析から容易に明らかである。保存的アミノ酸置換は、類似の側鎖を有する残基の互換性を指す。例えば、群内の他の残基と交換可能である残基を定義し保存的アミノ酸置換を構成するアミノ酸群には、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、プロリン、およびイソロイシンである脂肪族側鎖を有するアミノ酸の群(「脂肪族アミノ酸」)、セリン、およびスレオニンである脂肪族ヒドロキシル側鎖を有するアミノ酸の群(「脂肪族、ヒドロキシルアミノ酸」、これらは「極性、非荷電アミノ酸」の中にも包含される)、アスパラギンおよびグルタミンであるアミド含有側鎖を有するアミノ酸の群(「アミド含有アミノ酸」、これらは「極性、非荷電アミノ酸」の中にも包含される)、フェニルアラニン、チロシン、およびトリプトファンである芳香族側鎖を有するアミノ酸の群(「芳香族アミノ酸」)、(生理的pHで)リシン、アルギニン、およびヒスチジンである塩基性側鎖を有するアミノ酸の群(「塩基性アミノ酸」)、システインおよびメチオニンであるイオウ含有側鎖を有するアミノ酸の群(「イオウ含有アミノ酸」)、セリン、スレオニン、アスパラギン、およびグルタミンを含む(生理的pHで)極性かつ非荷電であるアミノ酸の群(「極性、非荷電アミノ酸」)、およびアスパラギン酸、グルタミン酸、ヒスチジン、リシン、およびアルギニンである(生理的pHで)荷電側鎖を有するアミノ酸の群(「荷電アミノ酸」)がある。保存的アミノ酸置換の群は、バリン−ロイシン−イソロイシン、フェニルアラニン−チロシン、リシン−アルギニン、アラニン−バリン、およびアスパラギン−グルタミンによって例示される。 無細胞の方法を使用してスルファターゼモチーフ含有ポリペプチドを変換する場合、単離FGEを使用することができる。任意の好都合なタンパク質精製手順を使用してFGEを単離することができる、例えば、Guide to Protein Purification、(Deuthser編)(Academic Press、1990)を参照。例えば、溶解物は望ましいFGEを生成する細胞から調製することができ、HPLC、排除クロマトグラフィー、ゲル電気泳動、親和性クロマトグラフィーなどを使用して精製することができる。 アルデヒドタグ化ポリペプチドを生成するための発現ベクターおよび宿主細胞 本開示は、アルデヒドタグおよびアルデヒドタグ化ポリペプチドをコードする核酸、ならびに核酸を含有する構築体および宿主細胞を提供する。このような核酸は、アルデヒドタグおよびアルデヒドタグ化ポリペプチドをコードするオープンリーディングフレームを有するDNAの配列を含み、および大部分の実施形態において、適切な条件下で発現させることが可能である。「核酸」はDNA、cDNA、mRNA、およびこのような核酸を含むベクターを含有する。 アルデヒドタグ、およびアルデヒドタグ化ポリペプチドをコードする核酸を本明細書で提供する。このような核酸は、アルデヒドタグコード配列およびアルデヒドタグ化ポリペプチドのcDNAの挿入によって修飾されるゲノムDNAを含む。本明細書で使用する用語「cDNA」は、(スプライス変異体を含めた)天然成熟mRNA種において見られる配列エレメントの配置を共有するすべての核酸を含むものとし、この場合配列エレメントはエクソンおよび3’および5’非コード領域である。通常mRNA種は隣接エクソン、および存在するときは介在するイントロンを有し、これらは核RNAスプライシングによって除去して、本発明に従いタンパク質をコードする隣接オープンリーディングフレームを作成する。 用語「遺伝子」は、ポリペプチド(例えば、アルデヒドタグ化ポリペプチド)、および場合によっては任意のイントロンをコードするオープンリーディングフレームを有する核酸を意図し、コード領域を越えて約20kbまでの、ただしおそらくさらに一方向に、発現の制御に関与する隣接5’および3’非コードヌクレオチド配列(例えば、転写および/または翻訳のレギュレーター、例えば、プロモーター、エンハンサー、翻訳制御シグナルなど)をさらに含むことができ、この隣接5’および3’非コードヌクレオチド配列はコード配列に対して内生的または異種である可能性がある。転写領域の5’末端または3’末端のいずれかに、約1kb、ただしおそらくそれより大きい隣接ゲノムDNAを含めた、例えばプロモーター、エンハンサーなどの転写および翻訳制御配列が含まれる可能性がある。 本明細書で企図する核酸は、(構築体とも呼ばれる)ベクターの一部分として提供することができ、広く様々なそれらは当技術分野で知られており、本明細書で詳しく述べる必要はない。代表的なベクターには、プラスミド、コスミド、ウイルスベクター(例えば、レトロウイルスベクター)、非ウイルスベクター、人口染色体(YAC、BACなど)、小染色体などがあるが、これらだけには限られない。 ベクターの選択は、増殖が望ましい細胞の型、および増殖の目的などの様々な要因に依存するはずである。特定のベクターは、多量の望ましいDNA配列を増殖および作成するのに有用である。他のベクターは、培養中の細胞における発現に適している。さらに他のベクターは、全動物中の細胞における移動および発現に適している。適切なベクターの選択は十分当技術分野の技術内にある。多くのこのようなベクターは市販されている。 構築体を調製するために、典型的にはベクター中の切断された制限酵素部位へのDNAリガーゼ結合によって、ポリヌクレオチドをベクターに挿入する。あるいは、望ましいヌクレオチド配列は相同的組換えまたは部位特異的組換えによって挿入することができる。典型的には相同的組換えは、望ましいヌクレオチド配列の側面上のベクターと相同領域を結合させることによって実施されるが、一方で部位特異的組換えは、部位特異的組換えを容易にする配列(例えば、cre−lox、att部位など)の使用によって実施することができる。このような配列を含有する核酸は、例えばオリゴヌクレオチドの連結によって、または相同領域と望ましいヌクレオチド配列の一部分の両方を含むプライマーを使用するポリメラーゼ連鎖反応によって付加することができる。 ベクターは宿主細胞における染色体外の維持をもたらすことができ、あるいは宿主細胞ゲノム中への組込みをもたらすことができる。ベクターは、例えばShort Protocols in Molecular Biology、(1999)F.Ausubelら編、Wiley & Sonsを含めた、当業者によく知られている多くの刊行物中に十分記載されている。ベクターは対象とするポリペプチド(例えば、アルデヒドタグ化ポリペプチド、FGEなど)をコードする核酸の発現をもたらすことができ、対象の核酸の増幅をもたらすことができ、あるいは両方が可能である。 使用することができる代表的なベクターには、組換えバクテリオファージDNA、プラスミドDNAまたはコスミドDNA由来のベクターがあるが、これらだけには限られない。例えば、pBR322、pUC19/18、pUC118、119およびM13mp系のベクターなどのプラスミドベクターを使用することができる。バクテリオファージベクターは、λgt10、λgt11、λgt18−23、λZAP/RおよびEMBL系のバクテリオファージベクターを含むことができる。利用することができるコスミドベクターには、pJB8、pCV103、pCV107、pCV108、pTM、pMCS、pNNL、pHSG274、COS202、COS203、pWE15、pWE16およびカロミド9系のベクターがあるが、これらだけには限られない。あるいは、ヘルペスウイルス、レトロウイルス、ワクシニアウイルス、ポックスウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、またはウシパピローマウイルスなどのウイルス由来のベクターだけには限られないがこれらを含めた、組換えウイルスベクターを工学的に作製することができる。 対象とするポリペプチドの発現用に、発現カセットを利用することができる。したがって本発明は、対象核酸を含む組換え発現ベクターを提供する。発現ベクターは転写および翻訳制御配列を与え、かつ誘導的または構成的発現をもたらすことができ、この場合コード領域は転写開始領域、および転写および翻訳停止領域の転写制御下で作動可能に連結している。これらの制御領域はポリペプチド(例えば、標的ポリペプチドまたはFGE)をコードする遺伝子に固有である可能性があり、あるいは外来供給源に由来する可能性がある。一般に、転写および翻訳制御配列は、プロモーター配列、リボソーム結合部位、転写開始および停止配列、翻訳開始および停止配列、およびエンハンサーまたはアクチベーター配列だけには限られないが、これらを含むことができる。構成的および誘導的プロモーター以外に、強力なプロモーター(例えば、T7、CMVなど)は、特に高い発現レベルがin vivo(細胞系)またはin vitro発現系において望まれる場合、本明細書に記載する構築体において用途が見出される。さらなる代表的なプロモーターには、マウス乳癌ウイルス(MMTV)プロモーター、ラウス肉腫ウイルス(RSV)プロモーター、アデノウイルスプロモーター、ヒトCMVの前初期遺伝子由来のプロモーター(Boshartら、Cell 41:521〜530、1985)、およびRSVの長末端反復配列(LTR)由来のプロモーター(Gormanら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 79:6777〜6781、1982)がある。プロモーターは例えばレトロウイルスの5’UTRによって与えられる可能性もある。 発現ベクターは一般に、対象とするタンパク質をコードする核酸配列の挿入をもたらすために、プロモーター配列の近くに位置する好都合な制限部位を有する。ベクターを含む細胞の選択を容易にするために、発現宿主中で作用し得る選択可能なマーカーが存在してよい。さらに、発現構築体は追加的なエレメントを含むことができる。例えば、発現ベクターは1つまたは2つの複製系を有することができ、したがって発現ベクターは生物中に、例えば発現用に哺乳動物または昆虫細胞中に、およびクローニングおよび増幅用に原核生物宿主中に維持することができる。さらに発現構築体は、形質転換宿主細胞の選択を可能にするための選択可能なマーカー遺伝子を含有することができる。選択遺伝子は当技術分野ではよく知られており、使用する宿主細胞と共に変化する。 アルデヒドタグカセットも本明細書において提供し、これはアルデヒドタグをコードする核酸、および標的ポリペプチドをコードする核酸をインフレームで挿入するためのタグコード配列と隣接した適切な制限部位を含む。このような発現構築体は、標的ポリペプチドのN末端またはC末端にアルデヒドタグの付加をもたらすことができる。アルデヒドタグカセットはプロモーター配列と作動可能に連結させて、生成するアルデヒドタグ化ポリペプチドの発現をもたらすことが可能であり、1つまたは複数の選択可能なマーカーをさらに含むことができる。 本開示は、(例えば、N末端、C末端に位置するアルデヒドタグを有する)アルデヒドタグ化ポリペプチドを生成するための発現カセットも提供する。このような発現カセットは、アルデヒドタグコード配列を含む第1の核酸、および対象とするポリペプチドをコードする第2の核酸を挿入するための少なくとも1つの制限部位を一般に含む。制限部位は、アルデヒドタグコード配列の5’および/または3’に位置してよい。アルデヒドタグコード配列とインフレームでポリペプチドコード配列を挿入することによって、本明細書に記載するアルデヒドタグ化ポリペプチドである融合タンパク質をコードする組換え核酸の生成をもたらす。このような発現カセットを含む構築体は、生成するアルデヒドタグ化ポリペプチドの発現をもたらすための、発現カセットと作動可能に連結したプロモーターも一般に含む。発現構築体の他の構成要素は、選択可能なマーカーおよび他の適切なエレメントを含むことができる。 アルデヒドタグ化ポリペプチドをコードする発現構築体は、増幅法(例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR))を使用して作成することも可能であり、この場合少なくとも1つの増幅プライマー(すなわち、少なくとも1つの順方向または逆方向プライマー)はアルデヒドタグをコードする核酸配列を含む。例えば、アルデヒドタグコード配列を有する増幅プライマーを、対象とする標的ポリペプチドをコードする核酸の増幅をもたらすように設計する。アルデヒドタグ含有順方向プライマーからのポリメラーゼ仲介型合成から生じる伸長産物は、アルデヒドタグ化標的ポリペプチドから構成される融合タンパク質をコードする核酸増幅産物を生成する。次いで増幅産物を選択した発現構築体中に挿入して、アルデヒドタグ化ポリペプチド発現構築体を与える。 宿主細胞 任意のいくつかの適切な宿主細胞を、アルデヒドタグ化ポリペプチドの生成において使用することができる。アルデヒドタグ化ポリペプチドの生成に使用する宿主細胞はFGE仲介の変換を場合によってはもたらすことができ、したがって生成したポリペプチドは、発現およびFGEによる翻訳後修飾後にFGly含有アルデヒドタグを含有する。あるいは宿主細胞は、(例えば、アルデヒドタグの変換を容易にするFGEの発現の欠如のため)非変換型アルデヒドタグ化ポリペプチドの生成をもたらす可能性がある。 一般に、本明細書に記載するポリペプチドは、発現の目的に応じて、従来の方法に従い原核生物または真核生物中で発現させることが可能である。したがって、本発明は宿主細胞、例えばアルデヒドタグ化ポリペプチドをコードする核酸を含む、遺伝的に改変された宿主細胞をさらに提供する。宿主細胞は、宿主細胞に対して内因性または異種であってよい組換えFGEを、場合によってはさらに含むことができる。 非変換または(宿主細胞が適切なFGEを発現する場合)変換アルデヒドタグ化ポリペプチドを生成するため(大量生産含む)、あるいは(例えば、無細胞の方法中で使用するための)FGEを生成するための宿主細胞は、任意の様々な利用可能な宿主細胞から選択することができる。代表的な宿主細胞には、細菌(例えば、大腸菌菌株、バシラス種(例えば、B.subtilis)など)酵母または真菌(例えば、S.cerevisiae、ピキア種など)などの、原核または真核単細胞生物の宿主細胞があり、かつ他のこのような宿主細胞を使用することができる。昆虫、脊椎動物、特に哺乳動物などの高等生物に本来由来する代表的な宿主細胞(例えば、CHO、HEKなど)を、発現宿主細胞として使用することができる。 対象とする具体的な発現系には細菌、酵母、昆虫細胞および哺乳動物細胞由来の発現系がある。これらのカテゴリーの各々由来の代表的な系を以下に示す。 細菌。細菌における発現系には、Changら、Nature(1978)275:615;Goeddelら、Nature(1979)281:544;Goeddelら、Nucleic Acids Res.(1980)8:4057;EP0036,776;米国特許第4,551,433号;DeBoerら、Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)(1983)80:21〜25;およびSiebenlistら、Cell(1980)20:269中に記載された発現系がある。 酵母。酵母における発現系には、Hinnenら、Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)(1978)75:1929;Itoら、J.Bacteriol.(1983)153:163;Kurtzら、Mol.Cell.Biol.(1986)6:142;Kunzeら、J.Basic Microbial.(1985).25:141;Gleesonら、J.Gen.Microbiol.(1986)132:3459;Roggenkampら、Mol.Gen.Genet.(1986)202:302;Dasら、J.Bacteriol.(1984)158:1165;De Louvencourtら、J.Bacteriol.(1983)154:737;Van den Bergら、Bio/Technology(1990)8:135;Kunzeら、J.Basic Microbiol.(1985)25:141;Creggら、Mol.Cell.Biol.(1985)5:3376;米国特許第4,837,148号および同4,929,555号;Beach and Nurse、Nature(1981)300:706;Davidowら、Curr.Genet.(1985)10:380;Gaillardinら、Curt.Genet.(1985)10:49;Ballanceら、Biochem.Biophys.Res.Commun.(1983)112:284〜289;Tilburnら、Gene(1983)26:205〜221;Yeltonら、Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)(1984)81:1470〜1474;Kelly and Hynes、EMBO J.(1985)4:475479;EP0244,234;およびWO91/00357中に記載された発現系がある。 昆虫細胞。昆虫における異種遺伝子の発現は、米国特許第4,745,051号;Friesenら、「The Regulation of Baculovirus Gene Expression」、in:The Molecular Biology Of Baculoviruses(1986)(W.Doerfler編);EP0127,839;EP0155,476;およびVlakら、J.Gen.Virol.(1988)69:765〜776;Millerら、Ann.Rev.Microbiol.(1988)42:177;Carbonellら、Gene(1988)73:409;Maedaら、Nature(1985)315:592〜594;Lebacq−Verheydenら、Mol.Cell.Biol.(1988)8:3129;Smithら、Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)(1985)82:8844;Miyajimaら、Gene(1987)58:273;およびMartinら、DNA(1988)7:99中に記載されたのと同様に実施される。多数のバキュロウイルス菌株および変異体、および宿主由来の対応する許容昆虫宿主細胞は、Luckowら、Bio/Technology(1988)6:47〜55、Millerら、Generic Engineering(1986)8:277〜279、およびMaedaら、Nature(1985)315:592〜594中に記載されている。 哺乳動物細胞。哺乳動物の発現は、Dijkemaら、EMBO J.(1985)4:761、Gormanら、Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)(1982)79:6777、Boshartら、Cell(1985)41:521および米国特許第4,399,216号中に記載されたのと同様に実施される。哺乳動物の発現の他の特徴は、Ham and Wallace、Meth.Enz.(1979)58:44、Barnes and Sato、Anal.Biochem.(1980)102:255、米国特許第4,767,704号、同4,657,866号、同4,927,762号、同4,560,655号、WO90/103430、WO87/00195、およびU.S.RE30,985中に記載されたのと同様に助長される。 任意の前述の宿主細胞、または他の適切な宿主細胞または生物を使用して、本発明のポリヌクレオチドまたは核酸を複製および/または発現するとき、得られる複製核酸、RNA、発現タンパク質またはポリペプチドは、宿主細胞または生物の生成物として本発明の範囲内にある。 当技術分野で知られている任意の適切な手段によって生成物を回収することができる。さらに、任意の好都合なタンパク質精製手順を利用することができ、適切なタンパク質精製法はGuide to Protein Purification、(Deuthser編)(Academic Press、1990)中に記載されている。例えば、溶解物は対象とするポリペプチドを発現する発現ベクターを含む細胞から調製することができ、およびHPLC、排除クロマトグラフィー、ゲル電気泳動、親和性クロマトグラフィーなどを使用して精製することができる。 ポリペプチドの修飾用部分 アルデヒドタグ化FGly含有ポリペプチドに修飾を施して、広く様々な部分の結合を与えることができる。代表的な対象とする分子には、検出可能な標識、小分子、ペプチドなどがあるが、必ずしもこれらに限られない。 対象とする部分は、タグ化ポリペプチドの変換型アルデヒドタグのFGly残基のアルデヒドとの反応用の、反応パートナーの構成要素として与えられる。タグ化ポリペプチドの修飾の方法は従来の化学プロセスと適合性があるので、本発明の方法は広範囲の市販の試薬を利用して、アルデヒドタグ化ポリペプチドのFGly残基と対象とする部分の結合を実施することができる。例えば、いくつかの対象とする部分のアミノオキシ、ヒドラジド、ヒドラジン、またはチオセミカルバジド誘導体は適切な反応パートナーであり、かつ容易に入手可能であり、あるいは標準的な化学法を使用して生成することができる。 例えば、アミノオキシ−PEGは標準的なプロトコルを使用してモノアミノ−PEGおよびアミノオキシグリシンから生成することができる。アミノオキシ−PEGは次いで変換型アルデヒドタグ化ポリペプチドと反応させて、PEG部分の結合を与えることができる。変換型アルデヒドタグ化ポリペプチドへのビオチン部分の送達は、アミノオキシビオチン、ビオチンヒドラジドまたは2,4ジニトロフェニルヒドラジンを使用して実施することができる。 本開示を与えることにより、当業者は任意の様々な部分を容易に適合させて、本明細書で企図するアルデヒドタグ化ポリペプチドとの結合用の反応パートナーを与えることが可能である。当業者は、pHおよび立体障害(すなわち、対象とする反応パートナーとの反応に対するアルデヒドタグの接触可能性)などの要因が重要であることを理解している。最適な結合条件を与えるための修飾反応条件は十分に当業者の技術範囲内にあり、かつ当技術分野では通常のことである。一般に、7未満のpH、約5.5、約6、約6.5のpHで結合反応を実施することが通常は望ましく、通常約5.5が最適である。生存細胞内または生存細胞上に存在するアルデヒドタグ化ポリペプチドを用いて結合を実施する場合、生理的に適合性があるように条件を選択する。例えば、反応を引き起こすのに十分な時間、ただしアルデヒドタグを有する細胞によって許容される期間内で(例えば、約30分〜1時間)、pHを一時的に低下させることが可能である。細胞表面上のアルデヒドタグ化ポリペプチドの修飾を実施するための生理的条件は、細胞表面アジドを有する細胞の修飾におけるケトン−アジド反応中で使用される条件と同様である可能性がある(例えば、米国特許第6,570,040号を参照)。 一般に、1つまたは複数の部分は1つまたは複数の広く様々な機能または特徴を与えることができる。代表的な部分には、検出可能な標識(例えば、色素標識(例えば、発色団、フルオロフォア)、生物物理的プローブ(スピン標識、NMRプローブ)、FRET型標識(例えば、フルオロフォア/消光剤対の少なくとも1つのメンバーを含めた、FRET対の少なくとも1つのメンバー)、BRET型標識(例えば、BRET対の少なくとも1つのメンバー)、免疫検出可能なタグ(例えば、FLAG、His(6)など)、位置特定タグ(例えば、組織または分子細胞レベルでタグ化ポリペプチドの結合(例えば、組織型、または個々の細胞膜との結合)を同定するため)など);光活性型動的部分(例えば、アゾベンゼン仲介型気孔閉鎖、アゾベンゼン仲介型構造変化、光崩壊性認識モチーフ);水溶性ポリマー(例えば、ペグ化);精製タグ(例えば、親和性クロマトグラフィーによる単離を容易にするため(例えば、FLAGエピトープの結合));膜局在ドメイン(例えば、脂質またはGPI型アンカー);固定化タグ(例えば、選択的結合を含めた、表面へのポリペプチドの結合を容易にするため);、薬剤(例えば、例えば抗体と薬剤の結合による薬剤標的化を容易にするため);標的送達部分、(例えば、標的受容体との結合用リガンド(例えば、ウイルス結合、リポソーム上に存在する標的タンパク質の結合などを容易にするため))などがある。 具体的な、非限定的実施例を以下に示す。 検出可能な標識 本発明の組成物および方法を使用して、検出可能な標識をアルデヒドタグ化ポリペプチドに送達することができる。代表的な検出可能な標識には、蛍光性分子(例えば、自己蛍光性分子、試薬などとの接触によって蛍光を発する分子)、放射性標識(例えば、111In、125I、131I、212B、90Y、186Rhなど);ビオチン(例えば、ビオチンとアビジンの反応によって検出される);蛍光タグ;造影試薬などがあるが、必ずしもこれらに限られない。検出可能な標識は、抗体結合によって、例えば検出可能に標識した抗体の結合によって、またはサンドウィッチ型アッセイによる結合抗体の検出によって検出することができるペプチドまたはポリペプチドも含む。 支持体と標的分子の結合 本発明の方法は、アルデヒドタグ化ポリペプチドと、(例えば、アッセイを容易にするための)固体基質とポリペプチドの結合を容易にするための部分、または簡単な分離を容易にするための部分(例えば、磁気ビーズと結合した抗体によって認識されるハプテン)の結合をもたらすことができる。一実施形態では、本発明の方法を使用して、明確な配向でタンパク質とアレイ(例えば、チップ)の結合をもたらす。例えば、選択部位に(例えば、N末端またはその近辺に)アルデヒドタグを有するポリペプチドを作成することができ、本発明の方法および組成物を使用して一部分を変換型アルデヒドタグに送達する。したがってこの部分は、ポリペプチドを支持体(例えば、固形または半固形支持体、特に高スループットアッセイにおけるマイクロチップとして使用するのに適した支持体)に加えるための結合部位として使用することができる。 標的部位に送達するための分子の結合 アルデヒドタグ化ポリペプチドの反応パートナーは、小分子薬剤、毒素、または細胞に送達するための他の分子を含むことができ、薬理活性をもたらすことができ、あるいは他の分子の送達用の標的として働くことができる。 結合パートナーの対の1つ(例えば、リガンド、受容体のリガンド結合部分、リガンドの受容体結合部分など)を含む反応パートナーの使用も企図する。例えば反応パートナーは、ウイルス受容体として働き、かつウイルスエンベロープタンパク質またはウイルスカプシドタンパク質との結合によって、修飾型アルデヒドタグ化タンパク質が発現される細胞表面とウイルスの結合を容易にするポリペプチドを含むことができる。あるいは反応パートナーは、修飾型アルデヒドタグ化ポリペプチドを発現する宿主細胞の検出および/または分離を容易にするための、抗体(例えば、モノクローナル抗体)と特異的に結合する抗原を含む。 水溶性ポリマー 特に興味深い部分は水溶性ポリマーである。「水溶性ポリマー」は、水溶性であり通常は実質的に非免疫原性であり、かつ通常は約1,000ダルトンを超える原子分子量を有するポリマーを指す。本明細書に記載する方法および組成物を使用して、1つまたは複数の水溶性ポリマーとアルデヒドタグ化ポリペプチドを結合させることが可能である。ポリペプチド、特に薬剤として活性がある(治療用)ポリペプチドの水溶性ポリマー(例えば、PEG)の結合は望ましい可能性がある、何故ならこのような修飾は、タンパク質分解安定性の増大および/または腎クリアランスの低下の結果として血清中半減期を増大させることによって、治療指数を増大させる可能性があるからである。さらに、1つまたは複数のポリマーの結合(例えば、ペグ化)はタンパク質製剤の免疫原性を低下させる可能性がある。 いくつかの実施形態では、水溶性ポリマーは、約10,000Daを超える、約20,000〜500,000Daを超える、約40,000Da〜300,000Da、約50,000Da〜70,000Daを超える、通常は約60,000Daを超える有効な流体力学的分子量を有する。「有効な流体力学的分子量」によって、水性サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によって決定したポリマー鎖の有効な水溶媒和したサイズを意図する。水溶性ポリマーがエチレンオキシド反復単位などのポリアルキレンオキシド反復単位を有するポリマー鎖を含有するとき、それぞれの鎖は約200Daと約80,000Daの間、または約1,500Daと約42,000Daの間の原子分子量を有する可能性があり、2,000〜約20,000Daが特に興味深い。具体的に言及しない限り、分子量は原子分子量を指すものとする。線状、分岐状、および末端荷電水溶性ポリマー(例えば、PEG)が特に興味深い。 アルデヒドタグ化ポリペプチドと結合する部分として有用なポリマーは、広範囲の分子量、およびポリマーサブユニットを有することができる。これらのサブユニットは、生物学的ポリマー、合成ポリマー、またはこれらの組合せを含むことができる。このような水溶性ポリマーの例には、硫酸デキストラン、P−アミノ架橋デキストリン、およびカルボキシメチルデキストリンを含めたデキストランおよびデキストラン誘導体、メチルセルロースおよびカルボキシメチルセルロースを含めたセルロースおよびセルロース誘導体、デンプンおよびデキストリン、およびデンプンの誘導体およびヒドロイルアクト(hydroylactes)、ポリエチレングリコール、メトキシポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールホモポリマー、ポリプロピレングリコールホモポリマー、エチレングリコールとプロピレングリコールのコポリマーを含めたポリアルキレングリコールおよびその誘導体があり、前記ホモポリマーおよびコポリマーは非置換状態である、またはアルキル基、ヘパリンおよびヘパリンの断片、ポリビニルアルコールおよびポリビニルエチルエーテル、ポリビニルピロリドン、アスパルトアミド、およびポリオキシエチル化ポリオール、およびデキストランおよびデキストラン誘導体、デキストリンおよびデキストリン誘導体で一末端において置換されている。具体的に列挙した水溶性ポリマーの様々な誘導体も企図されることは理解される。 前に記載したポリマーなどの水溶性ポリマー、特にポリエチレングリコール「PEG」などのポリアルキレンオキシドベースのポリマーはよく知られている(例えば、「Poly(ethylene glycol)Chemistry:Biotechnical and Biomedical Applications」、J.M.Harris編、Plenum Press、ニューヨーク、N.Y.(1992);および「Poly(ethylene glycol)Chemistry and Biological Applications」、J.M.Harris and S.Zalipsky編、ACS(1997);および国際特許出願:WO90/13540、WO92/00748、WO92/16555、WO94/04193、WO94/14758、WO94/17039、WO94/18247、WO94/28937、WO95/11924、WO96/00080、WO96/23794、WO98/07713、WO98/41562、WO98/48837、WO99/30727、WO99/32134、WO99/33483、WO99/53951、WO01/26692、WO95/13312、WO96/21469、WO97/03106、WO99/45964、および米国特許第4,179,337号、同5,075,046号、同5,089,261号、同5,100,992号、同5,134,192号、同5,166,309号、同5,171,264号、同5,213,891号、同5,219,564号、同5,275,838号、同5,281,698号、同5,298,643号、同5,312,808号、同5,321,095号、同5,324,844号、同5,349,001号、同5,352,756号、同5,405,877号、同5,455,027号、同5,446,090号、同5,470,829号、同5,478,805号、同5,567,422号、同5,605,976号、同5,612,460号、同5,614,549号、同5,618,528号、同5,672,662号、同5,637,749号、同5,643,575号、同5,650,388号、同5,681,567号、同5,686,110号、同5,730,990号、同5,739,208号、同5,756,593号、同5,808,096号、同5,824,778号、同5,824,784号、同5,840,900号、同5,874,500号、同5,880,131号、同5,900,461号、同5,902,588号、同5,919,442号、同5,919,455号、同5,932,462号、同5,965,119号、同5,965,566号、同5,985,263号、同5,990,237号、同6,011,042号、同6,013,283号、同6,077,939号、同6,113,906号、同6,127,355号、同6,177,087号、同6,180,095号、同6,194,580号、同6,214,966号を参照)。 代表的な対象とするポリマーには、式−(CH2−CH2−O)−のエチレンオキシド反復単位を含むポリアルキレンオキシドおよびポリアミドアルキレンオキシドを含めた、ポリアルキレンオキシド、ポリアミドアルキレンオキシド、またはその誘導体を含有するポリマーがある。さらなる代表的な対象とするポリマーには、式−[C(O)−X−C(O)−NH−Y−NH]n−または−[NH−Y−NH−C(O)−X−C(O)]n−の約1,000ダルトンを超える分子量を有するポリアミドがあり、前式でXおよびYは、同じであるか異なってよい、かつ分岐状または線状であってよい二価ラジカルであり、nは2〜100、通常2〜50の個別の整数であり、XおよびYの片方または両方は、線状または分岐状であってよい、生体適合性の実質的に非抗原性の水溶性反復単位を含む。さらなる代表的な水溶性反復単位は、式−(CH2−CH2−O)−または−(CH2−CH2−O)−のエチレンオキシドを含む。このような水溶性反復単位の数は著しく変わる可能性があり、このような単位の通常の数は2〜500、2〜400、2〜300、2〜200、2〜100、および最も通常は2〜50である。代表的な実施形態は、XおよびYの片方または両方が、n1が1〜6、1〜5、1〜4および最も通常は1〜3であり、かつn2が2〜50、2〜25、2〜15、2〜10、2〜8、および最も通常は2〜5である、−((CH2)n1−(CH2−CH2−O)n2−(CH2)−または−((CH2)n1−(O−CH2−CH2)n2−(CH2)n−1−)から選択される実施形態である。さらなる代表的な実施形態は、Xが−(CH2−CH2)−であり、かつYが−(CH2−(CH2−CH2−O)3−CH2−CH2−CH2)−または−(CH2−CH2−CH2−(O−CH2−CH2)3−CH2)−である実施形態である。 ポリマーは、1つまたは複数のスペーサーまたはリンカーを含むことができる。代表的なスペーサーまたはリンカーには、水溶性ポリマーにおいて利用される1つまたは複数の反復単位、ジアミノおよびまたは二酸単位を含む線状または分岐状部分、天然または非天然アミノ酸またはその誘導体、ならびに例えば18個までの炭素原子またはさらに追加的なポリマー鎖を含有し得る、アルキル、アリール、ヘテロアルキル、ヘテロアリール、アルコキシなどを含めた脂肪族部分がある。 ポリマー部分、または存在するときポリマー部分の1つまたは複数のスペーサーまたはリンカーは、生体安定性または生分解性であるポリマー鎖または単位を含むことができる。例えば、反復結合を有するポリマーは、結合の不安定性に応じて生理的条件下で様々な程度の安定性を有する。このような結合を有するポリマーは、低分子量類似体の既知の加水分解率、例えば低安定性〜高安定性、例えばポリウレタン(−NH−C(O)−O−)>ポリオルトエステル(−O−C((OR)(R’))−O−)>ポリアミド(−C(O)−NH−)に基づいた、生理的条件下でのそれらの相対的な加水分解率によって分類することができる。同様に、水溶性ポリマーと標的分子を結合させる結合系は、例えば低安定性〜高安定性、カーボネート(−O−C(O)−O−)>エステル(−C(O)−O)>ウレタン(−NH−C(O)−O−)>オルトエステル(−O−C((OR)(R’))−O−)>アミド(−C(O)−NH−)で、生体安定性または生分解性である可能性がある。一般に、硫酸基の不安定性に応じて、硫化多糖の使用を避けることが望ましい可能性がある。さらに、ポリカーボネートおよびポリエステルを使用することは、それほど望ましくない可能性がある。これらの結合は例証として与えられ、本明細書で開示する修飾型アルデヒドタグ化ポリペプチド中で有用な水溶性ポリマーのポリマー鎖または結合系において利用可能な、結合の型を限定することを意図するものではない。 アルデヒドタグを変換および修飾するための方法 細胞系(in vivo)または無細胞の方法(in vitro)によって実施されるアルデヒドタグ化ポリペプチド中に存在するアルデヒドタグの変換。同様に、アルデヒドタグ化ポリペプチドの変換型アルデヒドタグの修飾は、細胞系(in vivo)または無細胞の方法(in vitro)によって実施することができる。これらは以下により詳細に記載する。 「In vivo」の宿主細胞の変換および修飾 アルデヒドタグ化ポリペプチドのアルデヒドタグの変換は、適切なFGEを含む細胞中でのアルデヒドタグ化ポリペプチドの発現によって実施することができる。この実施形態では、アルデヒドタグのシステインまたはセリンの変換は、宿主細胞中での翻訳中または翻訳後に起こる。この実施形態では、宿主細胞のFGEは宿主細胞に対して内因性であってよく、あるいは宿主細胞は、宿主細胞に対して異種である適切なFGEの組換え体であってよい。FGEの発現はFGE遺伝子に対して内因性である発現系によってもたらすことができ(例えば、宿主細胞の天然FGE遺伝子中に存在するプロモーターおよび他の制御エレメントによって発現がもたらされる)、あるいはFGEコード配列が異種プロモーターと作動可能に連結して構成的または誘導的発現をもたらす組換え発現系からもたらすことができる。高レベルのFGE発現をもたらすための強力なプロモーターの使用は、いくつかの実施形態において特に興味深い可能性がある。 アルデヒドタグを含有する標的ポリペプチドの性質に応じて、変換後に、変換型アルデヒドタグ化ポリペプチドは宿主細胞中の細胞内に保たれるか、分泌されるか、または宿主細胞の細胞外膜と結合する。アルデヒドタグ化ポリペプチドのアルデヒドタグが細胞表面に存在する場合、変換型アルデヒドタグの修飾は、反応パートナーを使用して、生理的条件下で反応パートナーの一部分と表面接触可能なアルデヒドタグのFGly残基を結合させることによって実施することができる。反応パートナーの一部分とアルデヒドタグ化ポリペプチドの結合を実施するために使用するのに適した条件は、Mahalら、(1997年5月16日)Science 276(5315):1125〜8中に記載された条件と同様である。 「In vitro」(無細胞)の変換および修飾 アルデヒドタグ化ポリペプチドのアルデヒドタグのin vitro(無細胞)の変換は、アルデヒドタグのスルファターゼモチーフのシステインまたはセリンをFGlyに転換するのに適した条件下で、アルデヒドタグ化ポリペプチドとFGEを接触させることによって実施することができる。例えば、アルデヒドタグ化ポリペプチドをコードする核酸は、適切なFGEの存在下でin vitro転写/翻訳系において発現させて、変換型アルデヒドタグ化ポリペプチドの生成をもたらすことが可能である。 あるいは、単離非変換型アルデヒドタグ化ポリペプチドは、適切なFGEを欠く宿主細胞における組換え生成後に、または合成生成によって単離することができる。したがって単離アルデヒドタグ化ポリペプチドは、アルデヒドタグ変換をもたらすための条件下で適切なFGEと接触させる。この実施形態では、単離ポリペプチドにおけるアルデヒドタグが容易に溶媒接触可能でない可能性がある場合、当技術分野で知られている方法によって(例えば、熱、pHの調整、カオトロピック剤(例えば、尿素など)、有機溶媒(例えば、炭化水素:オクタン、ベンゼン、クロロホルム)などを使用して)、アルデヒドタグ化ポリペプチドをアンフォールディング状態にすることが可能であり、変性したタンパク質は適切なFGEと接触させる。次いで変換型アルデヒドタグ化ポリペプチドを、適切な条件下でリフォールディング状態にすることが可能である。 変換型アルデヒドタグの修飾に関して、修飾は通常in vitroで実施する。変換型アルデヒドタグ化ポリペプチドは、生成源(例えば、組換え宿主細胞生成、合成生成)から単離し、反応パートナーの一部分とアルデヒドタグのFGlyの結合をもたらすのに適した条件下で反応パートナーと接触させる。アルデヒドタグが溶媒接触可能でない場合、アルデヒドタグ化ポリペプチドは、反応パートナーとの反応前に、当技術分野で知られている方法によってアンフォールディング状態にすることが可能である。 アルデヒドタグと結合した変更可能な部分 いくつかの実施形態では、アルデヒドタグのFGly残基における結合部分の除去および異なる部分との置換を容易にするような形式で、アルデヒドタグ化ポリペプチドを修飾することができる。本発明のこの態様は、異なる反応パートナーと形成される結合体の相対的な熱力学的安定性を利用する。 例えば、図6中に示すように、アルデヒドはヒドラジドおよびアミノオキシ部分と容易に反応して、それぞれヒドラゾンおよびオキシムを生成する。これらの結合体の両方は生理的条件下で強固であるが、オキシムはより熱力学的に安定している。さらに、チオセミカルバジドもアルデヒドと容易に反応してチオセミカルバゾン結合体を形成し、これらはオキシムより熱力学的安定性が低い。これらの熱力学的安定性の違いは、低安定性のヒドラゾン結合体をより安定したオキシム結合体に変更するため、および低安定性のオキシム結合体をより安定したセミカルバゾン結合体に変更するために利用することができる。以下の実施例中に示すように、アルデヒドタグのこの特徴は、順々に(すなわち連続的に)2つの試薬を用いて標的タンパク質を修飾することを可能にする。 修飾型アルデヒドタグ化ポリペプチド アルデヒドタグ化ポリペプチドと対象とする部分を含む反応パートナーの反応によって生成する反応生成物は、一般に部位特異的な形式で(すなわち、FGly残基で)修飾され、実質的に均質な集団の修飾型アルデヒドタグ化ポリペプチドが得られる。異種集団のこのような反応生成物は、望ましい場合、異なる部分を含む2つ以上の反応パートナーを使用することによって生成することができる。 例えば、標的ポリペプチドをペグ化によって修飾する場合、方法を適合させて、ペグ化ポリペプチドの均質な集団(その中でポリペプチドは同じPEG部分で修飾されている)またはペグ化ポリペプチドの異種集団(その中で組成物中のポリペプチドは異なる型のPEG分子で修飾されている)の生成をもたらすことが可能である。 キットおよびシステム 本発明の組成物を容易にする、および望ましい場合は標準化するキットおよびシステム、およびその使用を提供する。本明細書で企図するキットは、標的ポリペプチドに挿入するためのアルデヒドタグをコードする1つまたは複数の構築体、(例えば、アルデヒドタグとのN末端またはC末端融合体として標的ポリペプチドのコード配列の挿入をもたらすための発現カセットとして)宿主細胞中での発現用のアルデヒドタグ化ポリペプチドをコードする構築体、キットのアルデヒドタグと適合性がある内因性、組換え、または異種であってよいFGEを生成する宿主細胞、対象とするアルデヒドタグ化ポリペプチドを発現するように遺伝的に改変されており、タグ化ポリペプチドのアルデヒドタグの変換と適合性がある内因性、組換え、または異種であってよいFGEをさらに発現することができる宿主細胞、およびタグ化ポリペプチドの変換型アルデヒドタグの化学修飾用の反応パートナーを含むことができる。 さらにキットは、キットの構成要素、特にキット中に含まれる本発明の組成物を使用するための説明書を含むことができる。 以下の実施例は、本発明の作成および使用の仕方の完全な開示および記載を当業者に提供するために示すものであり、本発明者がその発明とみなすものの範囲を限定することを目的とするものでもなく、以下の実験がすべてまたは唯一の実施した実験であることを表すことを目的とするものではない。使用する数値(例えば量、温度など)に関する精度を確実にするための努力を施してきているが、ある程度の実験誤差および偏差は考慮すべきである。他に示さない限り、部は重量部であり、分子量は重量平均分子量であり、温度は摂氏温度であり、かつ圧力は大気圧またはほぼ大気圧である。 方法および材料: 以下の材料および方法を、以下に述べる実施例1〜6中で使用した。 プラスミド構築。以下のオリゴヌクレオチドを以下の実施例中で使用した: aアルデヒドコード塩基に下線を引く。b部位特異的突然変異誘発プライマー。適切な場合、それぞれのタンパク質の開始コドンの最初から番号処理する。一対の相補的プライマーをそれぞれの突然変異体に使用した。逆相補配列は示さない。 構築体のスルファターゼモチーフは以下に与える: ald13−Stf0: LCTPSRGSLFTGR−(マイコバクテリアスルホトランスフェラーゼ) ald13−Stf0(C5A):LATPSRGSLFTGR−(マイコバクテリアスルホトランスフェラーゼ) ald6−Stf0: LCTPSR−(マイコバクテリアスルホトランスフェラーゼ) ald6−MBP: LCTPSR−(マルトース結合タンパク質) ald6−hGH: LCTPSR−(ヒト成長ホルモン) ald13−Stf0をコードする核酸を、アニーリングしたオリゴヌクレオチドをNcoIとNdeI制限部位の間の前に構築したpET28−Stf0ベクター19に連結させることによって構築した。stf0停止コドンをQuikchange(商標)(Stratagene)突然変異誘発法によって除去してC末端His6タグを得た。ald6Stf0をQUICKCHANGE(商標)(Stratagene)を使用して構築して、13アミノ酸のアルデヒドタグの最後の7残基をコードするヌクレオチドを排除した。ald6−MBPをコードする遺伝子は、アニーリングしたオリゴヌクレオチドをXhoIとHindIII制限部位の間のpMALc−Hベクター19に連結させることによって構築した。hGH(ヒト成長ホルモン1転写産物変異体1、残基29〜217をコードする)をコードする遺伝子は、6アミノ酸のアルデヒドタグをコードしNcoIとNotI制限部位の間のpET28bに連結した5’プライマーを使用して、pCMV−SPORT6.l.ccdb(Open Biosystems)から増幅した。ヒト型結核菌のFGE(Rv0712、残基2〜299をコードする)をコードする遺伝子は、FGE14を含有する前に調製したpET14bプラスミドから増幅し、NcoIとNotI制限部位の間のpBAD/myc−hisA(Invitrogen)に連結させた。FGE遺伝子はQuikChangePCR突然変異誘発キット(Stratagene)を使用して開始コドンとインフレームで配置した。ald−Stf0、ald−MBP、およびald−hGHのCys→Ala突然変異体は、Quikchange(商標)突然変異誘発法を使用して生成した。DNAの塩基配列決定を実施して、それぞれの遺伝子産物の忠実性を確認した。タンパク質コードプラスミドはBL21(DE3)大腸菌細胞(Invitrogen)に形質転換した。 タンパク質の発現および精製。アルデヒドタグ化タンパク質コードプラスミドのみを有するBL21(DE3)大腸菌細胞のクローン集団を、OD600=0.5まで37℃で振とうしながらカナマイシンと共にLB培地中でインキュベートし、その時点で温度は18℃まで低下させ100μMのIPTGを加えた。アルデヒドタグ化タンパク質コードプラスミドおよびFGEコードプラスミドを有するBL21(DE3)大腸菌細胞は、OD600=0.5まで37℃で振とうしながらカナマイシンおよびアンピシリンと共にLB培地中でインキュベートし、その時点でFGEの発現を0.02%アラビノースで誘導した。30分後、温度は18℃まで低下させ、100μMのIPTGを加えてアルデヒドタグ化タンパク質の発現を誘導した。12〜16時間後、細胞を採取し、培養物1リットル当たり20mlの溶解バッファー(50mMのトリス、500mMのNaCl、10%のグリセロール、20mMのイミダゾール、1mMのDTT、1mMのTCEP、1mMのメチオニン、pH7.5、ald6−hGH用、または50mMのNaH2PO4、300mMのNaCl、10mMのイミダゾール、pH7.4、ald−Stf0およびald6−MBP用)に再懸濁させ、超音波処理によって溶かした。 細胞溶解物はDNase(10μg/ml)で処理し、遠心分離によって除去し、1mlのHisTrapカラム(GE Healthcare)にかけた。カラムは35mMのイミダゾールを含む溶解バッファーで洗浄し、His6タグ化タンパク質は250mMのイミダゾールを含む溶解バッファーを使用して溶出させた。ald6−hGHはSephadex16/60S300カラム(GE Healthcare)でさらに精製した。 トリプシンによる消化および標準添加アッセイ。10μgのタンパク質を、50mMのNH4HCO3pH8中において16時間37℃で0.4μgのトリプシン(Promega)を用いて消化した。欠損切断部位を含有するペプチドは、同一条件下で消化の3時間後にMALDI−TOF質量分析によって検出されなかったので、このプロトコルは完全な消化に十分であると考えた。標準添加アッセイは、1回分当たり約0.6μgのタンパク質消化産物を用いて水中で実施した。システインまたはアルデヒド(FGly)のいずれかを含有する合成ペプチドを等モル量加え、次に100mMのDTTを加えた。この溶液は、質量分析による分析(Agilent MSD)の前に1時間室温でインキュベートした。対照の1回分はランダムに選択した1回分の間で加え、残留シグナルは検出しなかった。システインの酸化は観察しなかった。 小分子の標識。蛍光標識反応を、2時間37℃において標識バッファー(100mMのMES pH5.5、1%のSDS)中で10μgの標的タンパク質および300μMのアミノオキシ色素(Alexa Fluor 647 C5−アミノオキシアセトアミド、Invitrogen)を用いて実施した。166mMのメトキシルアミンを対照反応に加えた。反応混合物はSDS−PAGEによって分離し、蛍光はTyphoon9410スキャナー(GE Healthcare)を使用して検出した。タンパク質充填はSypro Ruby(Sigma)染色によって決定した。37℃において2時間標識バッファー中で、30μMのビオチンヒドラジド(Sigma)と共に10μgの標的タンパク質をインキュベートすることによってビオチン化をもたらした。ビオチンヒドラジドの後の置換は、2時間37℃において166mMのメトキシルアミンまたは1mMのアミノオキシFLAGのいずれかを加えることによってもたらした。α−ビオチンのウェスタンブロットは標準プロトコルを使用して実施した。α−FLAGブロットは、膜を剥離しα−FLAGM2(Sigma)で再度プローブ処理することによって得た。アミノオキシ−FLAGは、標準的なFMOCベースの固相ペプチド合成プロトコルを使用して合成した。C末端に加えた最終残基は(t−Boc−アミノオキシ)酢酸であり、次に標準条件下で切断した。 ペグ化。アミノオキシ−PEGは、標準プロトコルを使用してモノアミノ−PEGおよびアミノオキシグリシンから作成した。より具体的には、標準ペプチド結合条件を使用してアミノPEG(Shearwater Polymers)を活性化(t−Boc−アミノオキシ)酢酸に加えることによって、アミノオキシPEGを生成した。簡単に言うと、アミド結合の形成は、アセトニトリル中で(t−Boc−アミノオキシ)酢酸(5当量)の予め形成させた8−ヒドロキシベンゾトリアゾールエステルにアミノPEGを加えることによって実施した。エーテルからの沈殿、次に粉砕によって産物の精製をもたらした。脱保護は室温で3時間トリフルオロ酢酸水溶液(95%TFA、5%H2O)を用いた処理によって実施した。エーテルへの沈殿および粉砕は、1HNMRによって判断して純産物をもたらした。カップリング溶液(49.95%のCH3CN、49.95%のH2O、0.1%のTFA)中での10μgの標的タンパク質と10mMのアミノオキシPEGの1時間のインキュベーション、次に凍結乾燥によって、アルデヒドタグ化タンパク質との結合をもたらした。 カップリング溶液(49.95%のCH3CN、49.95%のH2O、0.1%のTFA)中での10μgの標的タンパク質と10mMのアミノオキシPEGの1時間のインキュベーション、次に凍結乾燥によって、アルデヒドタグ化タンパク質との結合をもたらした。反応混合物は水に再懸濁させ、SDS−PAGEによって分離し、Sypro Orange(Invitrogen)で染色し、およびTyphoon9410スキャナー(GE Healthcare)を使用して検出した。実施例1:大腸菌において発現されるタンパク質中のスルファターゼモチーフの部位特異的修飾 N末端またはC末端いずれかのアルデヒドタグを有するタンパク質構築体を、大腸菌において発現させた。3つのタンパク質標的、C末端タグ化マルトース結合タンパク質(MBP)、N末端タグ化ヒト成長ホルモン(hGH);およびN末端タグ化マイコバクテリアスルホトランスフェラーゼ(Stf0)を調査した。さらに、アルデヒドタグの2つの変異体、スルファターゼのコンセンサスモチーフ全体を含んでいた13残基のタグ(ald13−Stf0)、およびスルファターゼのコンセンサスモチーフを含有するさらに短い配列を含んでいた6残基のタグ(ald6−Stf0)を試験した: LCTPSRGSLFTGR−Stf0 (ald13−Stf0) LCTPSR−Stf0 (ald6−Stf0) FGlyの効率のよい形成を確実にするために、タグ化タンパク質はヒト型結核菌(Mtb)由来の原核生物のFGEと同時に発現させた(以下の実施例中に記載する)。 13残基のスルファターゼのコンセンサスモチーフを含有するペプチド(ald13−Stf0)のトリプシンによる消化は、FGlyの直接的な質量スペクトルによる同定を可能にした(図2)。FGly含有ペプチドは容易に同定することができたが、システイン含有ペプチドは観察されず、アルデヒドタグの効率のよい酸化が示された。実施例2:6残基のスルファターゼのコンセンサスモチーフを含有するペプチドは高い変換率を示す CysからFGlyへの変換の程度を定量化するために、標準添加アッセイを実施した。標的タンパク質由来のトリプシン誘導型ペプチド内のシステインとFGlyの相対レベルを、合成ペプチドを様々な濃度でトリプシン消化産物に入れることによって作成した標準添加曲線と比較した(図3、パネルa)。 予想外に、6残基のスルファターゼのコンセンサスモチーフを含有するStf0ペプチド(ald6−Stf0)は、保存型13アミノ酸配列を含有するStf0ペプチド(ald13−Stf0)の変換よりわずかに高い変換を示し、それぞれ92±3%および86±5%の変換レベルであった。この結果は、遠位スレオニン−グリシン−アルギニン(TGR)配列は効率のよいシステイン酸化に重要であることを示した以前のスルファターゼ試験(Dierksら、(1999)EMBO J.18(8);2084〜91)と対照的である。6残基のスルファターゼのコンセンサスモチーフを含むhGHペプチド(ald6−Stf0)は、99±5%で有意に高い変換を示した。実施例3:FGEによるスルファターゼモチーフの変換は主要配列の状況と無関係であり、したがってポリペプチド内のN末端またはC末端のいずれかの位置におけるアルデヒドタグの配置を可能にする 以前のスルファターゼ試験は、(以下で下線を引いた)13残基のスルファターゼのコンセンサスモチーフにおける遠位スレオニン−グリシン−アルギニン(TGR)配列は、高レベルのシステイン酸化に重要であることを示している: LCTPSRGSLFTGR FGlyの形成は共翻訳によって起こると考えられるので(Dierksら、Proc Natl Acad Sci USA.1997 Oct 28;94(22):11963〜8)、C末端構築体はアルデヒドタグの接触不能性により低度のFGly形成を経る可能性があると考えた。マルトース結合タンパク質および6残基のスルファターゼのコンセンサスモチーフを含有するC末端タグ化ポリペプチド(ald6−MBP)を作成することによって、これを試験した: LCTPSR−(マルトース結合タンパク質) 驚くことに、C末端タグ化ald6−MBPも99±2%でほぼ定量的な変換を示した。このスルファターゼモチーフはスルファターゼの内部中に本来見られることを考慮すると、これらの結果は、アルデヒドの形成はタグの主要配列の位置に関して制限されないことを示す。実施例4:アルデヒドタグ化タンパク質の選択的蛍光標識 FGly導入によってもたらされる特異性を示すために、一団のアルデヒドタグタンパク質を、ALEXA FLUOR(登録商標)647アミノオキシアセトアミド色素(Invitrogen)で標識した: aldE3−StfO(C5A):LATPSRGSLFTGR−(マイコバクテリアスルホトランスフェラーゼ) aid13−StfO: LCTPSRGSLFTGR−(マイコバクテリアスルホトランスフェラーゼ) ald6−StfO: LCTPSR−(マイコバクテリアスルホトランスフェラーゼ) ald6−MBP: LCTPSR−(マルトース結合タンパク質) アルデヒドタグタンパク質は確かな蛍光標識を示した(図3、パネルb):ald13−Stf0(−)、ald6−Stf0(−)、およびald6−MBP(−))。対照的に、アルデヒドタグモチーフ中の重要なシステインがアラニンに突然変異した対照タンパク質は、少量のバックグラウンド標識のみを示した(図3、パネルcおよびd:ald13−Stf0(C5A)(−))。過剰のメトキシルアミン、競合求核剤と共にインキュベートしたアルデヒドタグ化タンパク質は、標識を示さなかった(図3、パネルcおよびd:ald13−Stf0(C5A)(+)、ald13−Stf0(+)、ald6−Stf0(+)、およびald6−MBP(+))。興味深いことに、大腸菌のゲノムは注釈のFGEを含まないが、外来性FGEを含まない発現されたアルデヒドタグ化タンパク質は、低い強度ではあったが蛍光標識を依然として示した。これは大腸菌が、スルファターゼモチーフを酸化することができる1つまたは複数の酵素を本来発現するに違いないことを示す。実施例5:アルデヒドタグタンパク質の修飾は「変更可能な」部分を与えることができる アルデヒドはヒドラジドおよびアミノオキシ部分と容易に反応して、それぞれヒドラゾンおよびオキシムを生成する。これらの結合体の両方は生理的条件下で強固であるが、オキシムはより熱力学的に安定している。この違いは、低安定性のヒドラゾン結合体をより安定したオキシム結合体に変更するために利用することができる。精製タグの結合、次に結合フロオロフォアを与えるための結合した精製タグの置換によって例示されるように、アルデヒドタグのこの特徴は、順々に(すなわち連続的に)2つの試薬を用いて標的タンパク質を修飾することを可能にする。 この技法の実現可能性を評価するために、マルトース結合タンパク質および6残基のスルファターゼのコンセンサスモチーフを含有するポリペプチド(ald6−MBP)を、ビオチンヒドラジドを用いて最初に標識し、その後メトキシルアミンまたはアミノオキシエピトープタグ(アミノオキシ−FLAG)と共にインキュベートした。ビオチンヒドラジドを用いた標識は、ウェスタンブロットにおいてα−ビオチンによる確かなシグナルをもたらした(図4、パネルa、レーン1)。メトキシルアミンまたはアミノオキシ−FLAGとの後のインキュベーションは、α−ビオチンシグナルの完全な消失(図4、パネルa、レーン2)または確かなα−FLAGシグナル(図4、パネルa、レーン3)をそれぞれもたらした。 アミノオキシ−FLAG標識タンパク質をその後メトキシルアミンに曝すと、おそらく結合体の同等の安定性による、シグナルのごく一部分の消失を観察した(データ示さず)。これらの結果は、アルデヒドタグ化タンパク質への連続的な結合は、結合化学の安定性に基づいてプログラムされている可能性があることを示す。実施例6:治療標的タンパク質においてPEG−タンパク質結合体を生成するための部位特異的ペグ化の作成 部位特異的ペグ化を仲介する際のアルデヒドタグの使用を例示するために、アルデヒドタグを使用して、ポリエチレングリコール(PEG)鎖と組換えによって発現したald6−Stf0を部位特異的に結合させた。ald6−Stf0は組換えによって発現させ、様々な鎖の長さを有する一連のアミノオキシ−PEGを用いてそれを修飾した。Stf0−PEG結合体のSDS−PAGE分析は、添付のPEG分子の分子量および帯電と一致する明確な質量シフトを示した(図4,パネルb)。これらの結果は、元のシステインまたはリシンの数とは無関係に、部位特異的PEG−タンパク質結合体を得ることの容易さを示す。 前述の事項は、例えば治療用タンパク質の部位特異的ペグ化を仲介するための、アルデヒドタグの適用例に関する原理の証拠を与える。医薬品タンパク質のペグ化は望ましい、何故ならそれは、タンパク質分解安定性の増大および腎クリアランスの低下によって、治療指数を増大させる可能性があるからである。さらに、ペグ化を利用してタンパク質製剤の免疫原性を低下させることができる。タンパク質結合化学の進展にもかかわらず、タンパク質の部位特異的修飾は依然として問題がある。システインまたはリシン残基の誘導体化は、タンパク質をペグ化するための現在最も利用されている方法であるが、この非特異的な標識法は多数の部位のペグ化をもたらし、異なる薬物動態を有する別個のタンパク質−PEG結合体の望ましくない集合を作成する。本明細書に記載するアルデヒドタグ技術を使用して、これらなどの必要性に対処することができる。実施例7:哺乳動物細胞において発現されるポリペプチドの細胞表面接触可能な残基を修飾するためのアルデヒドタグの使用 細胞膜に不可欠なタンパク質へのFGlyの導入を示すために、アルデヒドタグ合成光異性化可能なアゾベンゼン制御型K+(SPARK)チャンネルタンパク質を生成した。光活性化K+イオンチャンネルであるSPARKチャンネルタンパク質は、ニューロン活動の非侵襲性制御のために開発された(Banghartら、Nat.Neurosci.2004)。 前に記載した6残基のアルデヒドタグ(ald6(LCTPSR))を、SPARKチャンネルタンパク質をコードする構築体中に導入した。3つの戦略:1)タンパク質の細胞外ループの1つの内部のアルデヒドタグの6残基のスルファターゼのコンセンサスモチーフの付加(図5中では「I」と呼ぶ)、2)ループからの6残基の欠失および次いで6残基タグのアルデヒドタグとこれらの残基の置換(図5中では「C」と呼ぶ)、および3)ループからの3残基の欠失および次いで6残基のアルデヒドタグの付加(図5中では「P」と呼ぶ)を使用した。ベクターのみの陰性対照も実施した(図5中で「V」)。 組換え、アルデヒドタグ化SPARKチャンネルの3つの変異体のそれぞれをコードするプラスミドを、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞およびヒト胎児腎臓(HEK)細胞にトランスフェクトした。CHO細胞とHEK細胞の両方が内因性FGEを発現する。しかしながら、アルデヒドタグのCysの変換を増大させるために、アルデヒドタグ化SPARKをコードするプラスミドを、ヒトFGEをコードするpcDNA3.1構築体とコトランスフェクトした。使用したヒトFGEは以下のアミノ酸配列を有する: 1日後、細胞を溶かし、ウェスタンブロットによって(SPARKチャンネルタンパク質中に存在し、したがって成功したトランスフェクションおよび翻訳を示す)mycエピトープの存在に関して、およびアミノオキシ−FLAGを使用する反応によってアルデヒドの存在に関して、溶解物をプローブ処理し、次に抗FLAG抗体を用いてプローブ処理した。ポンソーブロットは、ブロット上での同じ細胞型由来のサンプルの等しい充填を示した。 図5中に示すように、SPARK細胞外ループの6残基の欠失および6残基のアルデヒドタグとの置換に関する戦略は成功した(図5、パネルc中の抗FLAGブロット上の矢印を参照)。この結果は、哺乳動物細胞中でのアルデヒドタグ化タンパク質の細胞表面残基を修飾する能力を示す。 細胞の表面上のアルデヒドタグ化SPARKのFLAGの存在は、フローサイトメトリーを使用して確認することができる。実施例8:Fc抗体断片を修飾するためのアルデヒドタグの使用 アルデヒドタグの適用例をさらに示すために、N末端またはC末端のいずれかにアルデヒドタグを含むように可溶性IgGFc断片を修飾した。簡単に言うと、13残基のアルデヒドタグ(ald13)(LCTPSRAALLTGR)を導入して、市販のpFuse−Fcベクター(Invitrogen)中にコードされる可溶性IgGFc断片のN末端またはC末端のいずれかにアルデヒドタグを配置した。アルデヒドタグのCysの変換を増大させるために、Fcコード構築体およびヒトFGEをコードするpcDNA3.1構築体とCHO細胞をコトランスフェクトした。 Fc断片は細胞上清から単離し、その中でCysがFGlyに変換されたアルデヒドタグ化IgGFc断片の検出は、単離したタンパク質とアミノオキシ−FLAG(DYKDDDDK)プローブ(FLAG−ONH2)を反応させ、次にSDS−PAGEおよびウェスタンブロット分析によって実施した。FLAG−ONH2プローブと反応しなかったタンパク質は、追加的な対照として働いた。 アルデヒドタグ12量体を含有するFc融合体は、N末端(N−Fc−Ald13)またはC末端(C−Fc−Ald13)のいずれかに存在したとき確かな標識を与えたが、重要なシステインがアラニンに突然変異している(CからAに突然変異している)対照タンパク質は、検出可能なシグナルは与えなかった(図17)。 6量体アルデヒドタグはタンパク質の修飾を仲介するのに十分であるかどうか評価するために、C末端に6量体アルデヒドタグ(Fc−Ald)または対照タグ(Fc−C−>A)を有するIgGFc断片を、pFuse−Fcベクターを使用して作成した。アルデヒドタグ化IgGFc断片は、単離したタンパク質とアミノオキシ−FLAGプローブ(FLAG−ONH2)を反応させ、次にSDS−PAGEおよびウェスタンブロット分析によって検出した。FLAG−ONH2プローブと反応しなかったタンパク質は、追加的な対照として働いた。図18中に示すように、6量体アルデヒドタグはFc−Aldの確かな標識を容易にしたが、一方修飾して対照タグを封入したFc断片では、検出可能な標識は観察されなかった。N末端に6量体アルデヒドタグ配置を有するIgGFc断片をコードする構築体は、同様の結果をもたらした(データ示さず)。 Fc断片のホルミルグリシン(FGly)による修飾を確認するために、N末端またはC末端タグ化ald13−Fc断片にトリプシンによる消化を施して、FGlyの直接的な質量スペクトルによる同定を可能にした。図19および20中に示すように、FGly含有ペプチドおよびシステイン含有ペプチドは、N末端とC末端の両方が修飾されたFc断片から容易に同定することができた。 アルデヒドタグ化Fcの特異的標識は、アミノオキシ−FLAGプローブを無血清培地に直接さらすことによっても認められた(データ示さず)。実施例9:アルデヒドタグ化タンパク質におけるFGlyへのCysの変換の効率 CysからFGlyへの変換の程度を定量化するために、トリプシンにより消化された標的タンパク質の変換効率を分析するためのアッセイを開発した。システインを含有する非修飾ペプチドの量は、合成ペプチドを様々な濃度でトリプシン消化産物に入れることによって作成した標準曲線から決定した。FGly含有ペプチドの量は、全タンパク質の量からシステイン含有ペプチドの量を引くことによって計算し、BCAタンパク質アッセイを使用して決定した。 このアッセイを前の実施例中に記載したN末端およびC末端タグFc断片に施すと、外因性ヒトFGE(hFGE)の存在下では、CysからFGlyへの変換の効率はN末端タグald13−Fcに関して86±1%、およびC末端タグald13−Fcに関して58±2%であったことが分かった。対照的に、外因性hFGEの不在下では、変換の効率は、N末端およびC末端タグFc断片に関してそれぞれわずか約25%と約23%であった。6量体アルデヒドタグを含むC末端修飾Fc断片は、外因性hFGEの存在下で約92%の変換効率を示した。実施例10:細胞表面タンパク質のアルデヒドタグ仲介型修飾 この実施例は、アルデヒドタグを使用して、同じ手法を使用した生存HEK細胞における、細胞表面タンパク質、血小板由来増殖因子受容体(PDGFR)膜貫通ドメイン(InvitrogenからのpDisplayベクターによってコードされる)の部位特異的修飾を容易にすることができることを示す。 13量体アルデヒドタグ(LCTPSRAALLTGR)または対照タグ(LATPSRAALLTGR)を、BglII部位とSalI部位の間のpDisplay(商標)発現構築体(Invitrogen;図21)中に導入した。生成した融合タンパク質は、ここではAldl3−TM(13量体アルデヒドタグを含む)およびC−>A−TM(対照タグを含む)と呼ぶ。この発現構築体およびヒトFGE(hFGE)を発現する構築体を、HEK293−T細胞に一時的にトランスフェクトして発現をもたらした。 細胞の標識はオキシアミノビオチンと反応させることによって実施し、ストレプトアビジンAlexfluro488結合体によってプローブ処理した。次いで細胞はフローサイトメトリーによる分析に施した。 図21中に示すように、Ald13−TM表面タンパク質を発現する細胞の平均蛍光は、C−>A−TM対照を発現する細胞(平均蛍光約3.31)より有意に高かった(平均蛍光約24.42)。実施例11:サイトゾルタンパク質を標識するためのアルデヒドタグ修飾 サイトゾルタンパク質の特異的標識におけるアルデヒドタグの使用を示すために、アルデヒドタグ化または対照タグ化したオワンクラゲ由来の緑色蛍光タンパク質(AcGFP)をコードする構築体を作製した。市販のpAcGFP1−N1ベクター(Clontech)を使用して、ヒスタグ(His6によって表される6個のヒスチジン残基)次にAcGFPのN末端に位置する13量体アルデヒドタグ(LCTPSRAALLTGR)または対照タグ(LATPSRAALLTGR)から構成されるAcGFP融合タンパク質をコードする発現構築体を、KpnI制限部位とXmaI制限部位の間にヒスタグおよび13量体アルデヒドタグコード配列を挿入することによって作成した。 ストレプトミセスコエリカラー(Streptomyces coelicolor)由来の細菌のFGE相同体(StrepFGE)は、アルデヒドタグ化GFP(Ald−AcGFP)または対照タグ化GFP(C−>A−AcGFP)をコードするプラスミドとHEK細胞のコトランスフェクション用に、哺乳動物発現ベクター(pcDNA3.1、Invitrogen)にクローニングした。StrepFGEの発現を欠く細胞は、さらなる対照として使用した。 FGlyを含有していたアルデヒドタグ化AcGFPの検出は、単離したタンパク質とアミノオキシ−FLAG(DYKDDDDK)プローブ(FLAG−ONH2)を反応させ、次にSDS−PAGEおよびウェスタンブロット分析によって実施した。FLAG−ONH2プローブと反応しなかったタンパク質は、追加的な対照として働いた。 サイトゾルFGE相同体の存在下では、コンセンサス配列内のシステイン残基はホルミルグリシン(FGly)に効率よく変換され(図22)、一方対照タグ化AcGFPは検出可能な標識を示さず、検出可能なFGlyを示さなかった。さらに、StrepFGEを発現しなかったHEK細胞において生成されたAld−GFPも、強いシグナルを生成した(図22)。これは、HEK細胞を溶かし、したがってこれらの細胞のERからhFGEを遊離させることが可能であり、したがってhFGEとアルデヒドタグの間の接触が可能であり、アルデヒドへのシステイン変換をもたらす、使用するタンパク質単離の方法が原因である可能性がある。実施例12:IFN−βのアルデヒドタグ修飾 アルデヒドタグを使用して、様々なタンパク質の修飾を容易にすることができる。修飾に関する代表的な対象とするタンパク質はインターフェロンβ(IFN−β)を含む。IFN−βは、5つのα−二重らせん構造(A〜E)および残基Asn−80に存在する1つのグリコシル化部位から構成される。IFN−βを修飾して、タンパク質のグリコシル化部位および/または他の溶媒接触可能部位における修飾をもたらすことができる。例えば、グリコシル化を容易にするIFN−βのアミノ酸配列を修飾して、アルデヒドタグを与えることができる。例えば、組換え技法を使用して、IFN−βのループ中に存在するIFN−βの配列DSSSTGWNEは、アルデヒドタグ含有配列GSLCTPSRGと置換することができる。したがってアルデヒドタグを利用して、図23中に例示するように、対象とする部分を結合させることが可能である。実施例13〜14:ヒト型結核菌由来のFGEの同定および特徴付け 以下の実施例では、ヒト型結核菌(Mtb)において原核生物のFGEを機能的に同定する。前に論じたように、スルファターゼは、新規の同時翻訳または翻訳後誘導型補因子を利用して触媒作用を容易にし、活性部位FGly残基を含有する酵素の広範囲のファミリーのメンバーである。FGly残基はゲム−ジオールへの水和を経ると考えられ、その後ヒドロキシル基の1つが触媒的求核剤として作用して、硫酸エステルの切断を開始する(図7、パネルa)。FGly残基はスルファターゼコンセンサス配列内に位置し、これはスルファターゼファミリーの酵素を定義し、ライフサイクルのすべてのドメインを通じて高度に保存される(図7、パネルb)。FGlyは真核生物スルファターゼではシステイン残基から形成されるが、原核生物スルファターゼでは、システイン(コアモチーフCXPXR内)またはセリン(SXPXR)のいずれかがFGlyに酸化され得る。Mtbなどのいくつかの原核生物はシステイン型スルファターゼのみをコードし、一方他の種は、セリン型スルファターゼのみまたは両方の組合せを有する。 実施例8〜9は、Mtb由来の原核生物のFGEの特徴付けを記載し、Strep由来のオルソログの構造を解明した。我々の試験は、FGE活性化スルファターゼはMtb溶解物における全スルファターゼ活性の約半分を占めることを示し、この生物がいまだ同定されていないFGE非依存性スルファターゼを有することを示唆する。Mtb(および他の原核生物)由来のスルファターゼの完全なレパートリーを定義することは重大な将来の目標であり、この生物のライフサイクルおよび発病におけるこれらの酵素の役割を定義するための基盤を与える。 方法および材料 以下の方法および材料を、ヒト型結核菌(Mtb)におけるFGEの同定、およびFGE欠損Mtb菌株の生成に関する実施例中で使用した。 タンパク質発現ベクターの調製。以下の表は、以下の実施例中で使用したオリゴヌクレオチドを列挙する。MtbFGEをコードする遺伝子(Rv0712、残基2〜299をコードする)はMtbH37RvゲノムDNAから増幅し、NdeIおよびXhoI制限部位を使用したpET14b(Novagen)にクローニングした。StrepFGEをコードする遺伝子(SCO7548、残基2〜314をコードする)はStrepA3(2)ゲノムDNAから増幅し、pET151/D−TOPO(Invitrogen)にクローニングした。オープンリーディングフレームRv2407(残基2〜273をコードする)、Rv3406(残基2〜295をコードする)、およびRv3762c(残基2〜626をコードする)は、MtbH37RvゲノムDNAから増幅した。Rv2407はBamHIおよびPstI制限部位を使用してpMAL−C2X(New England Biolabs)と連結させ、Rv3406とRv3762cの両方は、NdeIおよびXhoI制限部位を使用してpET28b(Novagen)と連結させた。DNAの塩基配列決定を実施して、それぞれの遺伝子産物の忠実性を確認した。タンパク質コードプラスミドはBL21(DE3)細胞(Invitrogen)に形質転換した。 aそれぞれのFGEの開始コドンの最初から番号処理する。一対の相補的プライマーをそれぞれの突然変異体に使用した。逆相補配列は示さず、配列に対する変化に下線を引く。 部位特異的突然変異誘発。MtbFGEおよびStrepFGEにおける部位特異的突然変異を、QuikChangePCR突然変異誘発キット(Stratagene)を使用してもたらした。pET14bMtbFGEおよびpET151StrepFGEプラスミドおよび前の表からの適切なオリゴヌクレオチドを、突然変異誘発反応において使用した。突然変異はDNAの塩基配列決定によって確認し、プラスミドは以下に記載するようにタンパク質発現用にBL21(DE3)細胞に形質転換した。 タンパク質の発現および精製。His6タグ化タンパク質コードプラスミドを有するBL21(DE3)細胞のクローン集団を、OD600=0.5まで37℃で振とうしながらアンピシリンまたはカナマイシンと共にLB培地中でインキュベートし、その時点で温度は18℃まで低下させ250μMのIPTGを加えた。12〜16時間後、細胞を採取し、培養物1リットル当たり20mlの溶解バッファー(50mMのトリス、500mMのNaCl、10%のグリセロール、20mMのイミダゾール、1mMのDTT、1mMのTCEP、1mMのメチオニン、pH7.5)に再懸濁させ、超音波処理によって溶かした。細胞溶解物はDNase(10μg/ml)で処理し、遠心分離によって除去し、1mlのHisTrapカラム(GE Healthcare)に施した。カラムは35mMのイミダゾールを含む溶解バッファーで洗浄し、His6タグタンパク質は250mMのイミダゾールを含む溶解バッファーを使用して溶出させた。溶出体積は必要な場合2ml未満に濃縮し、Sephadex16/60S300カラム(GE Healthcare)でさらに精製した。精製した組換えタンパク質は後に約20mg/mlに濃縮した。 MtbおよびStrepFGEの同一性および純度は、エレクトロスプレーイオン化質量分析(Bruker/Agilent Esquire)によって評価した。Rv2407はHis6タグ化形で溶けず、代わりにマルトース結合タンパク質(MBP)と融合した。MBP−Rv2407生成細胞に関する増殖および溶解条件は、溶解バッファー中のイミダゾールの不在以外は前と同じであった。除去した溶解物は溶解バッファー中でアミロース樹脂(New England Biolabs)に施し、さらなる溶解バッファー中で洗浄し、MBP−Rv2407は10mMのマルトースを含む溶解バッファー中で溶出させ、およびその後濃縮した。それぞれ因子Xa(New England Biolabs)およびアミロース樹脂を使用して、Rv2407からMBPを切断および除去した。 StrepFGEの結晶化。Mtb、マイコバクテリウムスメグマティス(Mycobacterium smegmatis)およびトリ型結核菌由来のFGE相同体を結晶化するための試みは、タンパク質の不安定性のため成功しなかった。StrepFGEは10mMのトリスpH7.5、150mMのNaCl、および1mMのTCEPに透析した。His6タグ化StrepFGEの結晶は、室温(RT)で1μlの透析タンパク質と1μlの結晶化溶液(100mMのトリスpH8.0、2.4Mのギ酸アンモニウム、0.3%のβ−オクチルグルコシド、3.2%の2−ブタノール)を混合することによって蒸気拡散を使用して得た。結晶は2週間の間増大し、その後20%グリセロールを含む結晶化溶液からなる抗凍結剤に移した。 StrepFGE構造の決定。ADSC Quantum−Q315CCD検出器を使用してAdvanced Light Sourceにおいて、ビームライン8.2.2でデータを収集した。回折データはHKL2000(Otwinowskiら、(1997)Methods Enzymol:Macromol Crystallogr Part A 276、307〜326)を使用して処理した。PHASER(Storoniら、(2004)Acta Crystallogr D Biol Crystallogr 60、432〜8)において検索モデルとしてヒトFGE(PDBエントリー1Y1E)を使用して、分子置換によって初期段階を決定した。非対称ユニットは、スペース群P3121中に5つのStrepFGEモノマーを含んでいた。モデル改善の初期段階は、ねじれ角動力学を用いたシミュレーテッドアニーリングおよびCNSを使用した拘束B因子の改善(Brungerら、(1998)Acta Crystallogr D Biol Crystallogr 54、905〜21)、次にO(Jonesら、(1991)Acta Crystallogr A 47(Pt2)、110〜9)を使用した手作業によるモデルの改築のサイクルを含んでいた。改善の最終サイクルは、5TLS群(非対称ユニット中の各FGEモノマーに対応する)を使用してREFMAC5(Murshudov(1997)Acta Crystallogr D Biol Crystallogr 53、240〜55)で実施されたのと同様に、TLS(Winnら、(2001)Acta Crystallogr D Biol Crystallogr 57、122〜33)拘束によって実施した。水分子にARP/WARP(Lamzinら、(1993)Acts Crystallogr D Biol Crystallogr 49、129〜47)を加えた。最終モデルは、モノマーA中に残基18〜305、モノマーB中に残基19〜306、モノマーC中に残基20〜306、モノマーD中に残基19〜305、およびモノマーE中に残基19〜307を含んでいた。最終RworkおよびRfree値は、それぞれ19.5%および23.3%であった。データ収集および処理の統計値は、以下の表中に要約する。すべての数字はPyMOL(www.pymol.org)で得た。 a括弧内の値は最高分解能範囲に対応する。 bRsym=100*ΣhΣ|li(h)−<l(h)>|/、ΣhΣiΣli(h)、前式でli(h)は反射hのi番目の測定値であり、<l(h)>は反射強度の平均値である。 cRwork=100*Σ||Fobs|−|Fcalc||/|Fobs|、前式でFobsおよびFcalcは、それぞれデータおよびモデルからの構造増幅係数である。Rfreeは改善を通じて得たRworkおよび5%の反射率である。 d数字は、それぞれ好ましい、許容される、大いに許容されるおよび許容されない領域中のアミノ酸残基の割合に対応する。PROCHECK39を使用して計算した。 e結晶充填接触(モノマーAおよびC中のTyr219)または水素結合相互作用(モノマーA〜E中のAsn232)により立体化学的に制約された立体配座において7個の残基を観察した。 FGE活性アッセイ。MtbおよびStrep由来の野生型および突然変異FGEを、前に記載したように精製した。ペプチド基質は標準的なFmoc固相合成法によって合成し、これは13残基の配列LCSPSRGSLFTGR、スルファターゼコンセンサスモチーフからなっていた。N末端をアセチル化し、C末端はアミド化し、配列は質量分析法によって確認した。アッセイ条件は、Dierksら、in studies of human FGE(Dierksら、(2003)Cell 113、435〜4)によって以前に報告された条件と同様であった。嫌気性実験は、酸素捕捉ガスマニホルドを使用して溶液を嫌気性にし、嫌気性グローブボックス中で基質と酵素を混合することにより反応を開始したこと以外、同じ形式で実施した。EDTAは100mMの濃度で適切な反応に加えた。FGly形成の確認は、室温で30分間1μlの脱塩生成物および1μlの5mMのビオチンヒドラジド(Sigma)をインキュベートすることによって実施した。サンプルはマトリクス溶液(10mg/mlのα−シアノ−4−ヒドロキシ−桂皮酸および2mMのクエン酸アンモニウム)と1:1(v/v)で混合し、マトリクス支援レーザー脱離/イオン化飛行時間型質量分析(Applied Biosystems Voyager DE Pro)によって分析した。 金属の検出。多元素の標準溶液をCa、Cu、Fe、Mn、Mg、およびZnのICP標準(Sigma)の適切な希釈によって調製した。MtbおよびStrepFGEの金属含有量は、Perkin Elmer Optima 3000DVを使用してICP−AESによって分析した。StrepFGE中のFe、CuおよびZnの不在を、Advanced Light Sourceでビームライン8.3.1において確認した。これらの金属の吸収端は、二結晶モノクロメーターおよびビームラインのx線蛍光検出器を使用して調べた。 MtbFGE欠損菌株の生成。FGEコードオープンリーディングフレームRv0712の無印の、インフレーム遺伝子欠失を、対立遺伝子の置換(Parishら、(2000)Microbiology 146(Pt8)、1969〜75)を使用してMtbH37Rvにおいて作成した。Rv0712の2kb領域上流を増幅し、HindIII制限部位とXbaI制限部位の間のマイコバクテリア送達ベクターp2NILX中に挿入した。p2NILXはpNIL(Parishら、(2000)Microbiology 146(Pt8)、1969〜75)に由来し、KpnI制限部位とNotI制限部位の間にXbaI制限部位を加えることによって修飾する。Rv0712の2kb領域下流を増幅し、XbaI制限部位とPacI制限部位の間のp2NILX中に挿入した。選択マーカーlacZおよびsacBはpGOAL17から消化し、PacI制限部位を使用してp2NILXに連結させた。以前に記載されたように(Hatfull、G.F.& Jacobs、W.R.J.(編)Molecular Genetics of Mycobacteria(ASM Press、ワシントンD.C.、2000))、完全送達ベクターはUV光で処理し(120mJ cm−2)、エレクトロコンピテントMtbH37Rvにエレクトロポレーションした。突然変異体の選択は以前に記載されたように実施し(Parishら、(2000)Microbiology 146(Pt8)、1969〜75)、遺伝子型はサザン分析によって確認した(図9)。グルタミンシンターゼプロモーターの制御下において、完全Rv0712オープンリーディングフレームを含む組込みベクターpMV306.kanでΔfge菌株を形質転換することによって、相補型菌株を生成した。 スルファターゼ/ホスファターゼアッセイ。OD600=1.0まで37℃で、ADC(Becton Dickinson)を補充した7H9培地中でMtbH37Rv菌株を増殖させた。細胞は0.1mmのジルコニアビーズ(FastPrep、MP Biomedicals)を使用した機械的破壊によって溶解し、粗製溶解物は遠心分離によって除去し、0.22μmの膜を介して濾過した。除去した溶解物サンプルは全体のタンパク質濃度に関して標準化し(Biorad AC/DCタンパク質アッセイキット)、50μgの溶解タンパク質を、バッファー(50mMのトリスpH7.5、500mMのNaCl、100μMのMgCl2、100μMのMnCl2、100μMのCaCl2)、プロテアーゼ阻害剤(プロテアーゼ阻害剤カクテルセットIII、EMD Bioscience)、および8mMの4−メチルウンベリフェリル硫酸(4MUS)に加えた。カサガイのスルファターゼ(Sigma)は、1μg/mlの最終濃度で陽性対照として使用した。反応は37℃で3時間インキュベートし、4体積の0.5MのNa2CO3/NaHCO3pH10.5を加えることによって停止した。それぞれ360nmおよび460nmの励起波長および発光波長を使用して、蛍光光度計(Gemini XL、Molecular Devices)を使用してスルファターゼ活性を測定した。スルファターゼ/ホスファターゼ阻害剤は製造者の説明書に従い使用し、マイクロシスチン、カンタリジン、p−ブロモテトラミゾール、バナジウム酸ナトリウム、モリブデン酸ナトリウム、酒石酸ナトリウム、およびイミダゾール(ホスファターゼ阻害剤カクテル1および2、Sigma)を含んでいた。組換えRv2407、Rv3406およびRv3762cのスルファターゼ活性は、1mMのα−ケトグルタレート、200μMのアスコルベートおよび100μMのFeCl2をバッファーに加えることによって、前に述べたのと同じ条件を使用して測定した。ホスファターゼ活性は、4−メチルウンベリフェリルリン酸を4MUSに置き換えたこと以外は、前に記載したのと同様にモニタリングした。 NBD標識。His6タグ化StrepFGEを1:50(w/w)TEVプロテアーゼで処理し、NBD標識および質量分光分析前にN末端His6タグを除去した。StrepFGE(45μM)は、室温で30分間、バッファー(25mMのリン酸カリウムpH7.0、150mMのNaCl)および1mMの4−クロロ−7−ニトロベンズ−2−オキサ−1,3−ジアゾール(NBD−Cl、Invitrogen)中でインキュベートした(Ellisら、(1997)Biochemistry 36、15013〜8)。サンプルはC18逆相クロマトグラフィーによって脱塩し、タンパク質−NBD付加物は、質量分析法(Bruker/Agilent Esquire)によって検出した。NBD付加物のマッピングは、NBD反応StrepFGEを1:50(w/w)トリプシンで消化し、C18逆相クロマトグラフィーによって脱塩し、およびエレクトロスプレーイオン化フーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴質量分析法(Bruker9.4T ApexIII)を使用して生成したペプチド断片を分析することによって実施した。実施例13:ヒト型結核菌のFGEの同定およびクローニング ヒト型結核菌(Mtb)H37RvオープンリーディングフレームRv0712は、BLAST分析(Altschulら、(1997)Nucleic Acids Res 25、3389〜402)によって、ヒトFGESUMF1(Cosmaら、(2003)Cell 113、445〜56(2003);Dierksら、(2003)Cell 113、435〜44)と30%を超えて同一であることが確認された。質量分析によって決定したように、組換えRv0712はスルファターゼモチーフを含む合成ペプチドを修飾することができた(図8、パネルa)。基質内のFGlyの存在は、ビオチンヒドラジドで修飾ペプチドを処理することによって確認し、これはヒドラゾン形成によってペプチドと共有結合付加物を形成した(図8、パネルb)。これらのデータを一緒にして、MtbのFGEとしてRv0712を示す。 ヒトゲノムと同様に、MtbゲノムはFGEのただ1つの機能的コピーをコードしているようである。したがって、MtbにおけるRv0712の破壊はスルファターゼ欠損菌株をもたらすと予想した。Rv0712は相同的組換えを使用してMtbH37Rvにおいて破壊し、サザン分析によって確認した(図9)。ΔfgeMtbは生命力があり、in vitroで明らかな増殖欠陥は示さなかった。 Δfge菌株のスルファターゼ活性を、野生型(WT)H37Rvの活性、およびFGE発現が相補性によって修復されたΔfge突然変異体の活性と比較した。粗製溶解物をこの3つのMtb菌株から生成し、全体的なスルファターゼ活性は、一般的基質4−メチルウンベリフェリル硫酸(4MUS)を使用して決定した。Δfge菌株は、相当な、ただし驚くほど不完全なスルファターゼ活性の消失を示した(図8、パネルc)。残留スルファターゼ活性は4MUSに作用するホスファターゼから生じたと考えることは可能であったかもしれないが、広範囲のスルファターゼ/ホスファターゼ阻害剤のカクテルの存在下でスルファターゼ活性をモニタリングしたとき、Δfgeは影響を受けなかった。実際、野生型および相補型Δfge由来の溶解物における活性は、阻害剤カクテルの存在下で約40%低下し、阻害剤の不在下でのΔfgeのスルファターゼ活性と一致した(図8、パネルc)。これらの施用した阻害剤はFGE活性化スルファターゼを阻害することが知られているので、(Stankiewiczら、(1988)Biochemistry 27、206〜12)、これらのデータはMtbがFGE非依存性スルファターゼを有することを示唆する。 雑多のホスファターゼが残留スルファターゼ活性を担っていたわけではないことをさらに検証するために、それぞれの菌株由来の粗製溶解物のホスファターゼ活性を、4−メチルウンベリフェリルリン酸を使用してモニタリングした。全3個の菌株が阻害剤の不在下で同じレベルのホスファターゼ活性を示したが、阻害剤の存在下ではすべての菌株において活性は無効であった(図8、パネルd)。これらのデータは、ホスファターゼはΔfge菌株において観察した残留4MUSの加水分解活性の原因ではないこと、およびFGE活性化スルファターゼはMtb溶解物における全スルファターゼ活性の約40%を担うことをさらに示す。 MtbゲノムをFGE非依存性スルファターゼ活性の考えられる供給源に関して検索した。大部分の既知または推定の原核生物スルファターゼは、真核生物スルファターゼと相同であり、スルファターゼモチーフを含む。しかしながら、いくつかの原核生物は、FGlyを必要とせずおそらく異なる機構によって作用するFGE非依存性スルファターゼも有する。これらの酵素は広範囲のスルファターゼ/ホスファターゼ阻害剤に感受性がない可能性がある。FGE非依存性スルファターゼはFGE活性化スルファターゼと相同ではなく、2つの酵素ファミリー、メタロ−β−ラクタマーゼおよびFe(II)α−ケトグルタレート依存性ジオキシゲナーゼ18〜20の1つに分類されている。他の原核生物由来の既知のFGE非依存性スルファターゼとの配列類似性に基づくと、MtbはオープンリーディングフレームRv2407、Rv3406およびRv3762cによってコードされる少なくとも3つの推定FGE非依存性スルファターゼを有する。組換え型のRv2407、Rv3406およびRv3762cは大腸菌において発現されたが、精製タンパク質は4MUSアッセイにおいて活性を示さず、これらの推定スルファターゼはおそらくΔfgeMtbにおける残留スルファターゼ活性を担っていないことが示される(図10)。FGE非依存性スルファターゼ間の配列類似性の欠如を考慮すると、MtbはBLAST分析によって検出不能な他のスルファターゼを有する可能性がある。実施例14:MTBFGEの構造 原核生物FGEの特有の酵素機構および基質結合特性をさらに理解するために、ストレプトミセスコエリカラー(Streptomyces coelicolor)(Strep)由来のMtbFGEオルソログの構造を、2.1Åの分解能まで決定した。細菌FGEの全体的なトポロジーは、近年決定されたヒトFGEの構造と著しく類似している(Dierksら、(2005)Cell 121、541〜52)。(図11A)。ヒトFGEと同様に、StrepFGEは低い二次構造含有率を有し、16%のα−らせんおよび12%のβ−シートを含む。いずれも新規の「FGEフォールディング」を共有するが、配位構造および融合結合プラズマ原子発光分析(ICP−AES)により決定したように、StrepFGE変異体はただ1つのCa2+イオンを含む(図12)。ヒト変異体は2つのCa2+イオンによって安定化し、この違いは明らかに適切な配位環境を破壊するStrepFGEにおけるGlu66Ala置換によるものである(図3、パネルb)。ICP−AESデータはMtbFGEが2つのCa2+イオンを欠くことを示し(図12)、FGEフォールディングは二価カチオンによる安定化を必要としないことを示唆する。 原核生物FGEとヒトFGEの活性部位は著しく類似している。いずれも長さ約20Å、幅12Å、および深さ10Åであり、スルファターゼモチーフを画定する13個のアミノ酸のわずか6個を収容し得る。スルファターゼモチーフがコアコンセンサス配列(CXPXR)を越えて他の8残基のペプチド基質のC末端に延長することを考慮すると(図7、パネルb)、トロンビンおよびボツリヌス神経毒素などの他のタンパク質と同様に、FGEは基質認識に役立つ二次結合領域が発達していると考えられる(Hagemanら、(1974)Arch Biochem Biophys 164:707〜15;Breidenbachら、(2004)Nature 432:925〜9)。実際、Strep、Mtb、ヒトおよび他の推定FGEの間の保存残基をStrepFGE分子の表面にマッピングすると、スルファターゼモチーフのC末端部分がおそらく結合し得る高保存領域を観察する(図11C)。 FGEは、その活性部位内の2つの保存システイン残基を使用して、アルデヒドへのチオールの酸化を触媒すると考えられている(Dierksら、(2005)Cell 121、541〜52;Roeserら、(2006)Proc Natl Acad Sci USA 103、81〜6)。Mtb(Cys263およびCys268)およびStrepFGE(Cys272およびCys277)におけるこれらのシステインは基質の代謝回転に必要とされる、何故ならセリン突然変異体は、in vitroでFGlyを生成することができなかったからである(図8、パネルa、図13、パネルc、h、i)。興味深いことに、これらの残基の酸化状態は非対称ユニット内の5個のモノマー間で異なる。省略マップは、Cys272およびCys277が、非対称ユニット内の5個のStrepFGEモノマーの3個中の一部分のジスルフィドに関与していたことを示した(図11Dおよび11E、およびデータ示さず)。これらの一部分のジスルフィドの生化学的確認は、チオール標識試薬4−クロロ−7−ニトロベンズ−2−オキサ−1,3−ジアゾール(NBD)で天然StrepFGEの3個の溶媒露出システインを処理することによって得た。1個または3個のNBD付加物を伴うStrepFGEに対応する2つの別個の集団は、完全タンパク質の質量分析によって検出し(図14)、この2つの隣接システインの約三分の一がジスルフィド結合で連結していることを確認した。 2つの活性部位のシステイン以外に、StrepおよびMtbFGEは触媒作用のための分子酸素も必要とする、何故なら嫌気環境で実施した反応においてFGly形成は観察されなかったからである(図13、パネルe、およびデータ示さず)。オキシゲナーゼファミリーのメンバーとして、FGEはFeまたはCuなどの遷移金属、あるいは分子酸素の活性化用のFADHなどの有機補因子を含有すると予想することができる。しかしながら、ICP−AESおよびx線吸収端スキャニングによる分析は、活性MtbおよびStrepFGEはすべての酸化還元活性金属を欠くことを示した(図12およびデータ示さず)。さらに、これらのFGEはin vitroアッセイで機能するために金属の添加を必要とせず、EDTAの存在下で機能することができる(図13、パネルb、g)。同様に、UV可視吸収分光法は、色素体の有機補因子の存在を明らかにしなかった(データ示さず)。StrepFGEに関する電子密度情報と一緒にして、これらのデータは、ヒトFGEと同様に原核生物FGEは、触媒作用のために外因性補因子を使用しないことを示す。 分子酸素を活性化する代替手段として、FGEは他の補因子のないオキシゲナーゼと同様に機能することができ、従来の残基を独自に利用することができる25。StrepFGEの触媒システイン対からの反応距離内の絶対的に保存された残基には、Trp234およびSer269がある。Roeserらは、触媒抗体によるO2還元の提案された機構26と同様に、Trp234が機能して分子酸素を活性化することができると理論立てしている(Roeserら、(2006)Proc Natl Acad Sci USA 103:81〜6)。しかしながら、PheへのTrp234の突然変異は活性を無効にせず(図13、パネルj)、分子酸素の活性化は他の経路によって達成されるに違いないことが示された。MtbFGEにおけるSer269Alaの同等の突然変異(Ser260Ala)によって活性は大幅に低下したが(図13、パネルd)、この残基がFGEの触媒サイクルにおいてどのように役割を果たしているかは現在知られていない。 興味深いことに、Cys272自体が分子酸素の活性化と関係がある可能性がある。StrepFGEの非対称ユニット内の全5個のモデル化Cys272残基は、その代替的な、非ジスルフィド結合立体配座から広がる余剰の電子密度を有する。省略マップは、この余剰の密度は部分占有がある1つの水分子またはヒドロペルオキシド部分としてモデル化することができたことを示す(図13、パネルd、e)。Cys277SerStrepFGE突然変異体を使用したNBD標識実験は、Cys272は酵素分子の亜集団における反応チオールではないことを示し(図15)、余剰の密度はヒドロペルオキシドなどのCys272と共有結合した部分に対応することを示唆する。ヒトFGEの以前に公開された構造も、この余剰の密度は結合水分子と組合せたヒドロペルオキシドまたはシステインスルフェン酸であり得ることを示唆している21。しかしながら、後者はStrepFGEにおいて観察した電子密度とあまり適合しない。さらに、StrepFGEをNBD−塩化物で処理したとき、スルフェン酸は検出されなかった(図15および図14)。部分占有でモデル化したヒドロペルオキシドの存在を、StrepFGEの観察した電子密度に基づいて除外することはできない。しかしながら、完全StrepおよびMtbFGEの質量スペクトル分析は質量異常を明らかにせず(図16およびデータ示さず)、Cys272が修飾される場合、その修飾は一時的または酸不安定であることを示唆した。実施形態1. ポリペプチドを修飾するための方法であって、 変換型スルファターゼモチーフを含むポリペプチドを、対象とする部分を含む反応パートナーと接触させること を含み、変換型スルファターゼモチーフが X1(FGly)X2Z2X3R (I)[上式で FGlyがホルミルグリシン残基であり、 Z2がプロリンまたはアラニン残基であり、 X1が存在するかまたは存在せず、存在するときは任意のアミノ酸であり、ただし異種スルファターゼモチーフがポリペプチドのN末端に存在するとき、X1が存在し、 X2とX3がそれぞれ独立に任意のアミノ酸である]を含み、 前記接触が、反応パートナーの対象とする部分をポリペプチドのFGlyと結合するのに十分な条件下で起こり、それによって修飾型ポリペプチドが生成される方法。2. スルファターゼモチーフが異種スルファターゼモチーフである、実施形態1に記載の方法。3. FGly残基がポリペプチドの内部配列に位置する、実施形態1に記載の方法。4. FGly残基がポリペプチドの末端ループ、C末端、またはN末端に位置する、実施形態1に記載の方法。5. FGly残基がフォールディング時にポリペプチドの溶媒接触可能領域に存在する、実施形態1に記載の方法。6. FGly残基がポリペプチドの翻訳後修飾部位に存在する、実施形態1に記載の方法。7. 翻訳後修飾部位がグリコシル化部位である、実施形態6に記載の方法。8. 1つまたは複数の非天然翻訳後修飾部位を含むように標的ポリペプチドを工学的に作製し、異種スルファターゼモチーフが前記1つまたは複数の非天然翻訳後修飾部位に位置する、実施形態7に記載の方法。9. 存在するときにはX1、X2、およびX3がそれぞれ独立に脂肪族アミノ酸、イオウ含有アミノ酸、または極性、非荷電アミノ酸である、実施形態1に記載の方法。10. 存在するときにはX1が、L、M、V、SまたはTである、実施形態1に記載の方法。11. X2およびX3がそれぞれ独立にS、T、A、V、GまたはCである、実施形態1に記載の方法。12. ポリペプチド中でホルミルグリシンを生成するための方法であって、 異種スルファターゼモチーフを含むポリペプチドをホルミルグリシン生成酵素(FGE)と接触させることを含み、異種スルファターゼモチーフが、式: X1Z1X2Z2X3R (I)[上式で Z1がシステインまたはセリンであり、 Z2がプロリンまたはアラニン残基であり、 X1が存在するかまたは存在せず、かつ存在するときは任意のアミノ酸であり、ただし異種スルファターゼモチーフがポリペプチドのN末端に存在するとき、X1が存在し、 X2とX3がそれぞれ独立に任意のアミノ酸である]を含み、かつ ポリペプチドが以下の性質: 異種スルファターゼモチーフが16アミノ酸残基長未満である、 異種スルファターゼモチーフがポリペプチドのN末端に位置する、 異種スルファターゼモチーフがポリペプチドに固有のアミノ酸配列の内部部位に位置する、 異種スルファターゼモチーフがポリペプチドの末端ループに位置する、 異種スルファターゼモチーフがポリペプチドの翻訳後修飾部位に位置する、 ポリペプチドが完全長ポリペプチドである、 ポリペプチドがプレプロラクチンポリペプチド、プロラクチンポリペプチド、またはグルタチオン−S−トランスフェラーゼポリペプチド以外である の少なくとも1つを有し、 前記接触が、ポリペプチド中でZ1をホルミルグリシン(FGly)残基に変換するのに十分な条件下で起こり、変換型アルデヒドタグ化ポリペプチドを生成する方法。13. 異種スルファターゼモチーフが16アミノ酸残基長未満であり、ポリペプチドのC末端に位置する、実施形態12に記載の方法。14. 異種スルファターゼモチーフがポリペプチドの末端ループ中の内部部位に存在する、実施形態12に記載の方法。15. ポリペプチドが膜貫通型タンパク質であり、異種スルファターゼモチーフが細胞外ループまたは細胞内ループ内の内部部位に存在する、実施形態12に記載の方法。16. 異種スルファターゼモチーフが内部部位またはN末端に存在し、ポリペプチドがフォールディングするときに溶媒接触可能である、実施形態12に記載の方法。17. 異種スルファターゼモチーフが、グリコシル化部位である翻訳後修飾部位に存在する、実施形態12に記載の方法。18. 1つまたは複数の非天然翻訳後修飾部位を含むように標的ポリペプチドを工学的に作製し、異種スルファターゼモチーフが前記1つまたは複数の非天然翻訳後修飾部位に位置する、実施形態17に記載の方法。19. 存在するときにはX1、X2、およびX3がそれぞれ独立に脂肪族アミノ酸、イオウ含有アミノ酸、または極性、非荷電アミノ酸である、実施形態1に記載の方法。20. 存在するときにはX1が、L、M、V、SまたはTである、実施形態12に記載の方法。21. X2およびX3がそれぞれ独立にS、T、A、V、GまたはCである、実施形態12に記載の方法。22. FGEを含有する細胞中でポリペプチドが発現される、実施形態12に記載の方法。23. 変換型アルデヒドタグ化ポリペプチドを、対象とする部分を含む反応パートナーと接触させることをさらに含み、 前記接触が、異種スルファターゼモチーフのFGly残基と共有結合した対象とする部分を有する修飾型アルデヒドタグ化ポリペプチドの反応生成物が生成するのに十分な条件下で起こる、実施形態12に記載の方法。24. 対象とする部分が水溶性ポリマー、検出可能な標識、薬剤、または膜中もしくは表面上におけるポリペプチドの固定化用部分である、実施形態23に記載の方法。25. 実施形態12に記載の方法によって生成される変換型アルデヒドタグ化ポリペプチド。26. 実施形態1に記載の方法によって生成される修飾型アルデヒドタグ化ポリペプチド。27.ホルミルグリシン生成酵素(FGE)を有する異種スルファターゼモチーフを含むポリペプチドであって、異種スルファターゼモチーフが、式: X1(FGly)X2Z2X3R (I)[上式で FGlyがホルミルグリシン残基であり、 Z2がプロリンまたはアラニン残基であり、 X1が存在するかまたは存在せず、存在するときは任意のアミノ酸であり、ただし異種スルファターゼモチーフがアルデヒドタグ化ポリペプチドのN末端に存在するとき、X1が存在し、 X2とX3がそれぞれ独立に任意のアミノ酸である]を含み、 以下の性質: 異種スルファターゼモチーフが16アミノ酸残基長未満である、 異種スルファターゼモチーフがポリペプチドのN末端に位置する、 異種スルファターゼモチーフがポリペプチドに固有のアミノ酸配列の内部部位に位置する、 異種スルファターゼモチーフがポリペプチドの末端ループに位置する、 異種スルファターゼモチーフがポリペプチドの翻訳後修飾部位に位置する、 ポリペプチドが完全長ポリペプチドである、または ポリペプチドがプレプロラクチンポリペプチド、プロラクチンポリペプチド、またはグルタチオン−S−トランスフェラーゼポリペプチド以外である の少なくとも1つを有するポリペプチド。28. 異種スルファターゼモチーフが16アミノ酸残基長未満であり、ポリペプチドのC末端に位置する、実施形態27に記載のポリペプチド。29. 異種スルファターゼモチーフがポリペプチドの末端ループ中に存在する、実施形態27に記載のポリペプチド。30. ポリペプチドが膜貫通型タンパク質であり、異種スルファターゼモチーフが細胞外ループまたは細胞内ループ内の内部部位に存在する、実施形態27に記載のポリペプチド。31. 異種スルファターゼモチーフがポリペプチドの内部部位またはN末端に存在し、ポリペプチドがフォールディングするときに溶媒接触可能である、実施形態27に記載のポリペプチド。32. 異種スルファターゼモチーフが、グリコシル化部位である翻訳後修飾部位に存在する、実施形態27に記載のポリペプチド。33 ポリペプチドを工学処理して1つまたは複数の非天然翻訳後修飾部位を封入し、かつ異種スルファターゼモチーフが前記1つまたは複数の非天然翻訳後修飾部位に位置する、実施形態32に記載のポリペプチド。34. 存在するときにはX1が、L、M、V、SまたはTである、実施形態27に記載のポリペプチド。35. X2およびX3がそれぞれ独立にS、T、A、V、GまたはCであるが、 通常は脂肪族アミノ酸、イオウ含有アミノ酸、または極性、非荷電アミノ酸(すなわち、芳香族アミノ酸または荷電アミノ酸以外)である、実施形態27に記載のポリペプチド。36. 実施形態27に記載のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む核酸分子。37. 実施形態36に記載の核酸分子を含有するベクター。38. 実施形態36に記載の核酸分子を含有する組換え宿主細胞。39. 対象とする部分と共有結合したホルミルグリシン残基を含む修飾型ポリペプチドであって、式X1(FGly’)X2Z2X3R(I)の修飾型スルファターゼモチーフ[上式で FGly’が異種の共有結合部分を有するホルミルグリシン残基であり、 Z2がプロリンまたはアラニン残基であり、 X1が存在するかまたは存在せず、存在するときは任意のアミノ酸であり、ただし異種スルファターゼモチーフがポリペプチドのN末端に存在するとき、X1が存在し、 X2とX3がそれぞれ独立に任意のアミノ酸である]を含む、修飾型ポリペプチド。40. 前記部分が水溶性ポリマー、検出可能な標識、薬剤、または膜中もしくは表面上におけるポリペプチドの固定化用部分である、実施形態39に記載の修飾型ポリペプチド。41. 修飾型スルファターゼモチーフが修飾型ポリペプチド中、修飾型ポリペプチドの親の翻訳後修飾部位に位置する、実施形態39に記載の修飾型ポリペプチド。42. 翻訳後修飾部位がグリコシル化部位である、実施形態39に記載の修飾型ポリペプチド。43. 親ポリペプチドを工学処理して1つまたは複数の非天然翻訳後修飾部位を封入し、かつ修飾型スルファターゼモチーフが前記1つまたは複数の非天然翻訳後修飾部位に位置する、実施形態42に記載の修飾型ポリペプチド。44. アルデヒドタグコード配列を含む第1の核酸、および アルデヒドタグコード配列の5’または3’に位置する制限部位であって、対象とするポリペプチドをコードする第2の核酸の挿入をもたらす制限部位 を含む発現カセットと、 発現カセットと作動可能に連結して、制限部位への対象とするポリペプチドをコードする第2の核酸の挿入によって生成するアルデヒドタグ化ポリペプチドの発現をもたらすプロモーターとを含む組換え核酸。45. 単離ヒト型結核菌のホルミルグリシン生成酵素(FGE)と、式: X1Z1X2Z2X3R (I)[上式で Z1がシステインまたはセリンであり、 Z2がプロリンまたはアラニン残基であり、 X1が存在するかまたは存在せず、存在するときは任意のアミノ酸であり、ただし異種スルファターゼモチーフがポリペプチドのN末端に存在するとき、X1が存在し、 X2とX3がそれぞれ独立に任意のアミノ酸である]の異種スルファターゼモチーフを含むポリペプチドとを含む反応混合物。 ポリペプチドを修飾するための方法であって、 変換型スルファターゼモチーフを含むポリペプチドを、対象とする部分を含む反応パートナーと接触させること を含み、変換型スルファターゼモチーフが X1(FGly)X2Z2X3R (I)[上式で FGlyがホルミルグリシン残基であり、 Z2がプロリンまたはアラニン残基であり、 X1が存在するかまたは存在せず、存在するときは任意のアミノ酸であり、ただし異種スルファターゼモチーフがポリペプチドのN末端に存在するとき、X1が存在し、 X2とX3がそれぞれ独立に任意のアミノ酸である]を含み、 前記接触が、反応パートナーの対象とする部分をポリペプチドのFGlyと結合するのに十分な条件下で起こり、それによって修飾型ポリペプチドが生成される方法。 【課題】アルデヒドタグの取り込みによるタンパク質の部位特異的修飾のための組成物及び方法の提供。【解決手段】ポリペプチドを修飾するための方法であって、変換型スルファターゼモチーフを含むポリペプチドを、対象とする部分を含む反応パートナーと接触させることを含み、変換型スルファターゼモチーフがX1(FGly)X2Z2X3R(I)を含み、前記接触が、反応パートナーの対象とする部分をポリペプチドのFGlyと結合するのに十分な条件下で起こり、それによって修飾型ポリペプチドが生成される方法。【選択図】図1A配列表


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