タイトル: | 公開特許公報(A)_メトトレキサートをオロチン酸誘導体として投与することでその副作用と毒性を下げる組成物及び方法 |
出願番号: | 2014123539 |
年次: | 2014 |
IPC分類: | C07D 475/08,A61K 31/519,A61P 35/00,A61P 19/02,A61P 29/00,A61P 17/06,A61P 25/00 |
ラシダ エイ. カルマリ JP 2014196324 公開特許公報(A) 20141016 2014123539 20140616 メトトレキサートをオロチン酸誘導体として投与することでその副作用と毒性を下げる組成物及び方法 サヴィファーム インコーポレイテッド 512029054 辻居 幸一 100092093 熊倉 禎男 100082005 箱田 篤 100084663 浅井 賢治 100093300 山崎 一夫 100119013 市川 さつき 100123777 星野 貴光 100136249 ラシダ エイ. カルマリ US 11/655,801 20070118 C07D 475/08 20060101AFI20140919BHJP A61K 31/519 20060101ALI20140919BHJP A61P 35/00 20060101ALI20140919BHJP A61P 19/02 20060101ALI20140919BHJP A61P 29/00 20060101ALI20140919BHJP A61P 17/06 20060101ALI20140919BHJP A61P 25/00 20060101ALI20140919BHJP JPC07D475/08A61K31/519A61P35/00A61P19/02A61P29/00 101A61P17/06A61P25/00 5 1 2009546443 20080118 OL 17 4C086 4C086AA01 4C086AA02 4C086AA03 4C086AA04 4C086GA14 4C086MA01 4C086MA04 4C086MA52 4C086NA05 4C086NA10 4C086NA11 4C086ZA01 4C086ZA89 4C086ZA96 4C086ZB15 4C086ZB26 本発明は、医薬品のオロチン酸誘導体に関し、特に、メトトレキサートを該メトトレキサートのオロチン酸誘導体に変換することにより、生物学的利用能と薬物クリアランスを向上させ、その結果、癌患者、並びに関節リウマチ、乾癬、全身性ループス及び多発性硬化症等の非感染且つ非腫瘍性疾患において、毒性を軽減することに関する。 尚、本発明は、米国特許出願番号第11/448,703号(出願日:2006年6月7日)の一部継続出願であり、この全体を参照することにより本出願に組み込むものとする。 本発明は、生物学的利用能が低く、非癌組織で副作用として毒性や薬物有害反応を引き起こすとして知られているメトトレキサート及び関連医薬品を、それらのオロチン酸誘導体を生成することによって、化学的に再構築する分野に関する。より詳細には、急速な細胞増殖の特性を有する非悪性疾患において抗癌剤として使用されている葉酸拮抗薬、メトトレキサート、トリメトレキサート及びラルチトレキセドの誘導体に関する。 ファーバー(Farber)が、急性白血病の子供達に葉酸拮抗剤であるアミノプテリンを使用した後に臨床的寛解があったことを初めて示してから58年の間、メトトレキサートは、悪性疾患及び自己免疫疾患の両方を有する何百万もの患者を治療するのに使用されてきた。現在、メトトレキサートは、最も広範囲に処方されている疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARD)であり、関節リウマチを有する少なくとも500,000人の患者に世界的規模で用いられている。メトトレキサートは、関節リウマチを有する患者に対し、現在使用されている生物学的製剤全てを含めた分よりも多くの患者に処方されている。メトトレキサートは、その他のDMARDと併用して用いると明らかに追加的な治癒的有用性が得られるとして、最もよく報告される薬物である。低用量のメトトレキサートを経口投与することにより、最小限の毒性で多発性硬化症を治療してきた。しかしながら、経口投与される際、メトトレキサートの血清濃度は、その経口生物学的利用能が低いために十分なものではない。重度の器官関連毒性への懸念があるために、臨床医を非常に脅かしてきた肝毒性の監視に関するガイドライン作成が進められることとなり、またその早期使用が限定されてきた。さらに、メトトレキサート関連肺疾患が、殆どの場合には空咳を伴い、頻繁に呼吸困難及び発熱を伴う亜急性症候群であるという認識によって、この薬物を使用する多くの患者において早期認識、及び持続性肺後遺症の回避が可能であった。胃腸、骨髄及びその他の毒性(1980年代以前はかなり頻繁にメトトレキサートの使用が制限されていた)の多くが葉酸補充を行うことで回避できることが認識され、臨床医及び患者の両方に対しこの潜在的な代謝拮抗剤を処方する際の安全基準がもたらされた。 しかしながら、メトトレキサートの使用に関連する様々な問題点や複雑性に関する全体的な高度知識は、未だに若干低い。薬物相互作用によって副作用の危険性が増大している可能性がある患者には、多くの臨床医が葉酸を用いる一方、その他の多様な薬物と併用してメトトレキサートを使用する臨床医も存在する。最大週間用量、高齢者への使用、血液検査の監視、及び「断念」する時期と、メトトレキサートと併用して処方する他の薬物の追加、に関連する知識及び処方パターンは、大抵の場合、特異的且つ厳密な化学的裏づけがないまま続けられる。 食品医薬品局は、メトトレキサートを低用量使用することを、1960年に乾癬治療に対し、そして1988年には関節リウマチ治療に対して承認した。現在、メトトレキサートはリウマチ学者によって世界的規模で処方されており、非常に効果的で、効き目が速く、最適な有効性−毒性比率を備える第2選択抗リウマチ剤であることが証明されてきた。 それにもかかわらず、メトトレキサートの使用を中止する主な理由は、効力が無いためではなく、毒性があるためである。その明確且つ長期的な有効性のために、現在、この毒性を減少又は予防する戦略において多くの努力がなされている。関節リウマチ患者の約30%が、その毒性のためにメトトレキサートの治療を中止することになる。したがって、本発明は、メトトレキサートの毒性を減少させるための2つの解決策、1)メトトレキサートの経口生物学的利用能を向上させることによりメトトレキサートの有効薬量を減らすこと、及び2)メトトレキサートのクリアランスを向上させること、を提供する。(副作用) メトトレキサートの副作用は、非常によく起こるものである。重症度により変わるが、殆どの副作用は穏やかで可逆性であり、保存療法を実施できる。吐き気、アミノ基転移酵素の変化、及び口内炎等の副作用は、頻繁に直面し且つ用量依存性であるが、その一方、間質性肺炎及び肝細胞変化等の副作用は、そうとはいえない。しかしながら、関節リウマチを有する患者の30%は、その毒性によりメトトレキサートの治療を1年以内に中止することになる。毒性の決定要因として知られているものはほんの僅かであり、例えば加齢や腎機能の低下である。その他の重大な問題は、副作用の危険性は最初の6ヶ月間が僅かに高いものの、全ての有害影響の危険性は永続的であり、即ち長期間の監視が必要となることである。メトトレキサートの副作用の少なくとも一部は、特に高い代謝回転を有する組織において、その葉酸拮抗作用及びその細胞増殖阻害効果に直接的に関与しているようにみうけられる。メトトレキサートは、5mg/週〜15mg/週の用量で処方され、最大用量は25〜30mg/週である。メトトレキサートの低い生物学的利用能が、これら効果に関与している。したがって、本発明は、メトトレキサートの生物学的利用能を、メトトレキサートをオロチン酸塩形態に転換することによって向上させ、その毒性を減少させるという戦略を提供する。米国特許第5,698,556号米国特許第5,958,928号 メトトレキサートは、治療上の有用性があるために、様々な研究者がメトトレキサートの構造を変化させ、より潜在性がある誘導体を合成しようと試みている。特許文献1Carcy L. Chanと、特許文献2Masahiko Miharaが発行された。メトトレキサートは、還元葉酸担体を介して細胞内に入る。この還元葉酸担体とは、自然に生じる還元葉酸をも輸送するものである。メトトレキサートの流出は、流入とは異なり、エネルギー依存性の機構によって起こる。メトトレキサート、葉酸、及び5−CHO-FH4を細胞外へ輸送する多剤耐性関連タンパク質が同定されてきた。多剤耐性関連タンパク質を抑制することにより、細胞内にメトトレキサートが大幅に蓄積することになる。本発明は、メトトレキサートの流出及びクリアランスを、メトトレキサートをオロチン酸塩形態に転換しクリアランスを改善することによって、向上させるという戦略を提供する。より効果的で毒性の低い薬物は、広範囲に模索されており、これが本発明の基本的な目的である。上述文献の関連内容は、参照することにより本明細書に具体的に組み込むものとする。 本発明は、メトトレキサート又はトリメトレキサートのオロチン酸誘導体の組成物を提供することにより、従来技術に備わる欠点を克服することを目的とする。この組成物は、医薬品の非誘導形態と比較して、増大した生物学的利用能及び腎クリアランスを示すものである。 本発明は、副作用として組織毒性を引き起こすとして知られている現在の医薬品を、それらのオロチン酸誘導体を生成することによって、化学的に再構築する分野に関する。より詳細には、抗癌剤又は疾患修飾性抗リウマチ剤として使用されるメトトレキサートのオロチン酸誘導体に関する。 上述した従来技術を考慮し、本発明者は、オロチン酸メトトレキサートやオロチン酸トリメトレキサートとして例示される葉酸拮抗薬のオロチン酸誘導体を考案した。該オロチン酸誘導体は、それらの生物学的利用能及び腎クリアランスを向上させる化学有機質部分を含む。 本発明はまた、具体的には、メトトレキサート、オロチン酸及び水酸化ナトリウム、水酸化物(又はその他任意のアルカリ、例えば水酸化カリウム又は水酸化アルミニウム)から、オロチン酸メトトレキサート及び関連誘導体を調製する工程を提供する。本工程は、a)水酸化ナトリウムをオロチン酸と反応させ、オロチン酸ナトリウムを抽出し、抽出されたオロチン酸ナトリウムをメトトレキサートと反応させることにより、オロチン酸メトトレキサートナトリウムを形成する工程を備える。 本発明のその他の目的は、メトトレキサートの生物学的利用能を、ヒト及びその他の哺乳類にオロチン酸メトトレキサートとして投与した時に増大させることである。 本発明のその他の目的は、メトトレキサートをオロチン酸形態で投与した時に、多剤耐性を軽減することである。 本発明は、メトトレキサート及びトリメトレキサートの毒性を、オロチン酸塩として投与した時に軽減するために用いられることも可能である。 本発明は、メトトレキサート又はトリメトレキサートの初回通過におけるクリアランスを、オロチン酸塩として投与された時に、除去器官を介して向上させるために用いられることも可能である。 さらに、本発明は、メトトレキサート又はトリメトレキサートをオロチン酸塩として投与した時に、薬物相互作用及び副作用を軽減するために用いられることも可能である。 本発明のその他の目的は、ヒトの腫瘍、特に原発性又は転移性腫瘍、増殖性造血障害、及び白血病を、オロチン酸メトトレキサートナトリウムを用いて治療するための組成物を提供することである。この組成物は、薬物毒性の感受性標的対象である非癌組織における薬物濃度を、メトトレキサートを投与する場合と比較して10%〜100%減少させることにより、薬物毒性の二次的影響を軽減する。 本発明の好適な実施形態は、関節リウマチ、乾癬、多発性硬化症などを含む抗炎症性疾患の治療に用いられるオロチン酸メトトレキサートの組成物を含む。オロチン酸メトトレキサートの構造式を示す。オロチン酸メトトレキサートの合成を示す。オロチン酸メトトレキサートを示す質量分析図である。オロチン酸メトトレキサートを示すNMR(核磁気共鳴分析)図である。メトトレキサート又はオロチン酸メトトレキサートを用いて処置する際のSC (皮下)Du-145前立腺腫瘍の応答性を示す図である。 癌患者の治療に用いられる薬物治療は、多数の臓器や臓器系を損傷することがある。これらの中で最も頻繁に損傷を受けるのは、急速な細胞代謝回転を有する組織であり、例えば、造血系、消化管及び尿生殖器管が挙げられる。一部の薬物は薬物自身が毒性を有しているが、毒性は薬物がその他の薬物と併用して使用された場合に増強されることがあり、この組み合わせは、各成分の毒性の合計よりも強い毒性となることもある。末端器官の毒性を許容可能な濃度に維持する一方、薬物の抗腫瘍潜在性を最大限に得ることが必要であるため、有毒な薬物で治療を受けた患者の評価は、個人別に行われる必要がある。 本発明の目的は、化学療法剤が投与された時に、肝組織における薬物の蓄積を防ぐ及び/又は薬物の速度を速めることにより肝臓内の薬物濃度を下げ、薬物が引き起こす最初の肝臓発作の規模や発生を軽減し、これにより、フリーラジカルの遊離を減少させることである。 殆どの製薬会社では、コンビナトリアルケミストリー、ナノテクノロジー、高速アナログ合成、自動合成オープンアクセス液体クロマトグラフィー質量分析、及び高速自動化高性能液体クロマトグラフィー等の多くの技術が、現在医薬品化学に影響を及ぼしている一方で、それらの主な効果は、合成操作のサイクル時間を短縮することである。特に、経口投与される化合物の場合、新発見したリード分子に組み込むことが最も困難な特性の1つは、好適な薬物動態プロファイルである。「非常に経験のある医薬品化学者であれば、標的受容体に対する有効性が低くても本質的に薬物動態学的特性に優れた構造系列から開始し、その後、標的に対する有効性を向上させることに取り掛かることを、他の方法で作業するよりも好むであろう。」(「Organic Chemistry in Drug Discovery, Drug Discovery」 Science 303:1810-1813 (2004))(メトトレキサートをオロチン酸形態で使用した時の経口生物学的利用能の向上) 本発明は、一般的には、消化管から吸収されにくい医薬品の経口生物学的利用能を向上させる方法、及びこれら薬物を経口投与することにより患者の治療を改善する方法に関する。特に、本発明は、吸収されにくいメトトレキサート又はトリメトレキサートをオロチン酸塩に転換することにより、薬物の経口生物学的利用能を高めることに関する。したがって、薬物のオロチン酸塩は、低用量の投与により高用量の効果的な利益をもたらすことができる一方、低用量であるために薬物の毒作用を低減することができる。さらに、医薬品のオロチン酸塩は、クリアランスがより優れている。即ち、初回通過代謝を回避する薬物の比率が増大することにより肝障害を引き起こす潜在性が低減される。したがって、医薬品のオロチン酸塩の特に有用な製剤は、低用量で速い発現及び持続的作用を提供し、持続的な送達によって生じる薬物相互作用及び副作用を低減することが可能である。本発明は、イオン中心を有する水不溶性薬物のオロチン酸塩を合成する方法を提供し、薬物の経口生物学的利用能及び有効性を向上させる。 優れた生物学的利用能とは、薬物が口から体循環に到達可能であることを意味するため、経口経路を介した薬物吸収は、製薬業界では熱心に研究される議題である。経口吸収は、薬物特性及び消化管生理機能の両方の影響を受け、これらは、投薬形態からの薬物溶出、薬物が水溶性環境及び膜に相互作用する態様、膜を介した浸透、腸、肝臓及び肺等の初回通過器官による不可逆的除去を含むものである。難溶解性を示す医薬品は、低い生物学的利用能又は不規則な吸収作用を示し、不規則性の程度は、用量濃度、患者の食事状態、及び薬物の物理化学的特性等の要因によって影響される。 小腸は広い表面積を有するため、薬物吸収の殆どは小腸で生じる。小腸の表面積が広いのは、絨毛及び微絨毛の存在により吸収領域の多様性が増大するからである。十二指腸及び空腸は、回腸と比較して、これら領域における絨毛及び微絨毛の濃度が最も高いために最大表面積を有する。腸循環は、腸が前面又は門脈組織であり、これら組織が肝臓への基質の流れを制御しているという点において独特である。腸静脈血は、肝臓への血液供給の約75%を占める。したがって、腸で殆ど除去される薬物では、肝臓、腎臓又は肺における薬物代謝への負担が減少することになる。反対に、腸による抽出が低い薬物では、基質が次の器官、肝臓及び肺に到達して除去されることが可能となる。したがって、腸に入る薬物の濃度及び腸流量により薬物送達速度が変わり、肝臓初回通過代謝を介した腸クリアランス率に影響を与える。 本明細書において「薬物の生物学的利用能」とは、時間経過に伴い全身で利用可能な薬物量を意味する。本発明は医薬品の薬物生物学的利用能を、医薬品をオロチン酸塩に変換することにより向上させる。これは、薬物の親水性及び親油性特性を変えることにより、薬物が膜を良好に透過し且つ血流の灌流量が吸収に対する全体の律速過程となることで達成されてもよい。あるいは、薬物の腸内における生体内変換を抑制すること、及び/又は腸内における能動逆輸送(active back transport)を抑制することで達成されてもよい。この能動逆輸送は、薬物が腸膜を通して血流に入る総輸送量を減少させるものである。いずれの場合も、薬物生物学的利用能の向上に関与する組成物は、医薬品のオロチン酸塩である。この理由は直ちに明らかとなるものではないが、不水溶性医薬品をオロチン酸塩に変換することによって、治療が必要な哺乳類に対し十分量経口投与された医薬品の生物学的利用能を増大させる方法が得られることが見出され、また、オロチン酸薬物において時間に対して積分した全身性薬物濃度は、オロチン酸塩に変換されていない薬物よりも高いものであった。 経時的な全身性薬物濃度の積分変化は、曲線下面積(AUC)又はCmaxで表され、いずれのパラメーターも当技術分野では良く知られている。AUCは、薬物の血清又は血漿濃度を、時間横軸(X軸)に対する薬物縦軸(Y軸)でプロットした曲線下面積として決定される。一般的に、AUC値は、経時的な薬物濃度を質量‐時間/容積の単位で示したものである。薬物のオロチン酸塩の効果を測定する際、投与された活性薬物の量及び形状は、オロチン酸塩として薬物を投与する時も薬物のみを投与する時も、同じでなければならない。 本発明が提供する方法において、組成物は、医薬品のオロチン酸塩の生物学的利用能を、医薬品投与時と比べ、AUCで測定した場合に少なくとも25%増大させるものである。また、本発明が提供する方法において、組成物は、医薬品オロチン酸塩の生物学的利用能を、医薬品投与時と比べ、AUCで測定した場合に少なくとも50%増大させるものである。さらに、本発明が提供する方法において、組成物は、医薬品オロチン酸塩の生物学的利用能を、医薬品投与時と比べ、AUCで測定した場合に少なくとも100%増大させるものである。 本発明は、医薬品オロチン酸塩の生物学的利用能を、医薬品投与時と比べ、Cmaxで測定した場合に少なくとも50%増大させる組成物を提供する。本発明は、また、医薬品オロチン酸塩の生物学的利用能を、医薬品投与時と比べ、Cmaxで測定した場合に少なくとも100%増大させる組成物を提供する。本発明は、さらに、医薬品オロチン酸塩の生物学的利用能を、医薬品投与時と比べ、Cmaxで測定した場合に少なくとも200%増大させる組成物を提供する。全身性薬物濃度は標準的な生化学的薬物測定技術(Simmonsら, Anal Lett. 39: 2009-2021(1997))を用いて測定する。(オロチン酸誘導体として用いられる薬物の特性) 本明細書で用いられる「薬物」の用語は、疾病の治療又は予防に使用することを目的とした化学薬品と定義する。薬物は、合成及び天然の生物に影響を与える物質や、認可されている調合剤を含む。例えば、調合剤としては、「The Physician desk Reference 第56版, 101-133頁(又は更新版)」に記載されているもの等が挙げられる。これらの文献は、参照することにより本発明に組み込むこととする。「薬物」の用語には、発見されていない又は利用不可能であるが、適する特性を有する化合物も含まれる。本発明は、荷電、非荷電、親水性、両性イオン又は疎水性の成分からなる薬物に使用可能であるとともに、これら物性のいずれの組合せも利用可能である。疎水性薬物とは、薬物が非イオン化形態である場合に、水よりも脂質又は脂肪において溶解性が大きい薬物と定義する。より好適な疎水性薬物類としては、水よりもオクタノール中でより可溶な薬物が挙げられる。 化合物又は数多くの類の化合物に属する薬物は、オロチン酸誘導体に変換され、オロチン酸誘導体として経口投与可能である。この化合物又は薬物としては、例えば、アセトアニリド、アクチノマイシンD、アドリアマイシン、アミノアクリジン、アミノイミダゾール、アミノキノリン、アニリド、アントラサイクリン、抗生剤、アンチエストロゲン、ベンザゼピン、ベンズヒドリル化合物、ベンゾジアゼピン、ベンゾフラン、カンナビノイド、セファロスポリン、シスプラチン、コルヒチン、環状ペプチド、シクロホスファミド、ダウノルビシン、ジベンザゼピン、ジギタリス配糖体、ジヒドロピリジン、ドキソルビシン、エピフォドフィロトキシン、エピルビシン、エルゴリン、麦角アルカロイド、エトポシド、5‐フルオロウラシル、イダルビシン、イフォスアミド、イミダゾール、インターロイキン‐2、インターフェロン・アルファ・イソキノリン、マクロライド、メルファラン、メトトレキサート、マイトマイシン‐C、ミトキサントロン、ナフタレン、ナイトロジェン・マスタード、オピオイド、オキサジン、オキサゾール、パクリタクセル、フェノチアジン、フェニルアルカミン、フェニルピペリジン、ピペラジン、ピペリジン、多環芳香族炭化水素、ピリジン、ピリジン、ピリミジン、ピロリジン、ピロリジノン、キナゾリン、キノリン、キニーネ、ラウオルファ・アルカロイド、レチノイド、サリチル酸塩、ステロイド、スチルベン、スルホン、スルホニル尿素、タモキシフェン、タキソール、タキソテール、THP‐アドリアマイシン、トラスツズマブ、トリアゾール、トロパン、ビンブラスチン、ビンクリスチン又はビンカアルカロイドの類が挙げられるが、限定されるものではない。 化学療法剤の「副作用」「毒性」又は「薬物有害反応」は、化学療法剤投与後の急性期において、及び癌が治癒して無症状の組織損傷を有する患者において、見られるものである。薬物が放出された組織において、重症で障害を引き起こし且つ不可逆的な副作用が見られることがよくある。臨床医は、化学療法薬による潜在的な組織/器官の合併症について配慮し、療法を開始する前に基礎組織検査を適切に実施する必要がある。 薬物の「クリアランス」は、血液が抽出器官へ灌流することによりおこる。「抽出」とは、器官に存在する薬物を不可逆的に除去(排出)する割合、又は異なった化学形態に変換(代謝)する割合を指す。従って、クリアランス(CL)は、器官を通過する血流量と器官によって抽出される薬物の割合の積により計算される。 薬物のクリアランスは、通常は、肝臓及び腎臓でおこり、遊離型でタンパク質結合していない薬物だけが、クリアランスに応じると推測されている。肝クリアランス、即ち肝細胞膜の脂質コアを介した受動拡散は、親油性薬物で行われる。この受動拡散は、特に、分子量400を超えるイオン化分子(陰イオン性及び陽イオン性)の場合、類洞の担体システムにより増加する。同様に、細管上の他の輸送体は、薬物又は薬物代謝産物を胆汁に運搬する。このシステムは、肝臓による取り込み、及び胆管による排出という2つの異なる過程を有する。素早く膜通過するサイズが小さい親油性薬物である場合、肝臓の取り込みはクリアランスの主要要因とはならない一方、多数の水素結合を有する高分子量化合物(500を超える)である場合、肝臓の取り込みが主なクリアランス過程となる。これは、たとえ、肝臓の取り込みの後に代謝が起こる場合でも同様である。 本発明は、非癌又は通常組織において、医薬品のオロチン酸誘導体のクリアランスを増大させる方法を提供し、薬理学的研究により測定されるクリアランスを、医薬品投与時と比べ、少なくとも25%増加させるものとする。本発明は、また、非癌又は通常組織において、医薬品のオロチン酸誘導体のクリアランスを増大させる方法を提供し、薬物動態学的研究により測定されるクリアランスを、医薬品投与時と比べ、少なくとも50%増加させるものとする。本発明はさらに、非癌又は通常組織において、医薬品のオロチン酸誘導体のクリアランスを増大させる方法を提供し、薬理学的研究により測定されるクリアランスを、医薬品投与時と比べ、少なくとも100%増加させるものとする。 本発明は、非癌又は通常組織において、医薬品のオロチン酸誘導体のクリアランスを増大させる組成物を提供し、この組成物は、薬理学的研究により測定されるクリアランスを、医薬品投与時と比べ、少なくとも50%増加させるものとする。また、非癌又は通常組織において、医薬品のオロチン酸塩のクリアランスを増大させる組成物を提供し、この組成物は、薬物動態学的研究により測定されるクリアランスを、医薬品投与時と比べ、少なくとも100%増加させるものとする。本発明は、さらに、非癌又は通常組織において、医薬品のオロチン酸誘導体のクリアランスを増大させる組成物を提供し、この組成物は、薬物動態学的研究により測定されるクリアランスを、医薬品投与時と比べ、少なくとも100%増加させるものとする。 吸収又は流出は、受動拡散、能動輸送又は促進能動輸送の3つのいずれかの方法により生じる。受動拡散では、単に分子濃度が膜両側で浸透圧平衡に達するまで、分子が粘膜関門を通過する。能動輸送では、分子は粘膜を通過し、能動的にくみ出される。促進能動輸送では、担体(一般的にはタンパク質)が、分子を膜輸送して吸収させるために必要である。 下記に示す経口投与による薬物の「生物学的利用能」は、薬物の活性成分若しくは代謝産物が全身循環に入る範囲又は速度である。全身循環に入った結果、薬物は薬物作用部位にアクセス可能となる。薬物の生理学的特性によって薬物の吸収特性は左右される。しかしながら、剤形の特性は、ある程度は薬物構造及び製造に左右されるものの、薬物の生物学的利用能の大部分を決定することが可能である。任意薬物の製剤間の生物学的利用能の違いは、臨床的有意性を有する場合もある。臨床判断をする際、製剤間の同等性という概念は重要である。 「化学的同等性」とは、同じ化合物を等量含むとともに、現行の公定基準を満たしている製剤を意味する。しかしながら、製剤内の不活性成分は異なる可能性がある。 「生物学的同等性」とは、同一人物に等用量・等用法で投与する際、血中及び組織中での薬物濃度が同等である化学的同等物を意味する。 「治療学的同等性」とは、同一人物に等用量・等用法で投与する際、実質的に同等の治療効果又は毒性を与える製剤を意味する。生物学的に同等な製剤は治療学的に同等であることが予測される。治療学的同等性は、生物学的利用能が異なっていても、実現する場合もある。例えば、治療指数(最大耐用量と最小有効量の比)が広い場合が挙げられる。 「吸収」速度は重要である。なぜなら、薬物が完全に吸収される場合であっても、各薬物が投与後非常にゆっくり吸収されることにより、薬物が治療域の血中濃度に十分速く到達しない可能性があるからである。あるいは、投与後の吸収が速すぎるために、高い薬物濃度による毒性が生じ、治療域に達しない可能性があるからである。 薬物の「クリアランス」は、血液が抽出器官へ灌流することによりおこる。「抽出」とは、器官に存在する薬物を不可逆的に除去(排出)する割合、又は異なった化学形態に変換(代謝)する割合を指す。従って、クリアランス(CL)は、器官を通過する血流量と器官によって抽出される薬物の割合の積により計算される。図2は肝及び腎クリアランスの相互作用を示す概略図である。 薬物のクリアランスは、通常は、肝臓及び腎臓でおこり、遊離型でタンパク質結合していない薬物だけが、クリアランスに応じると推測されている。肝クリアランス、即ち肝細胞膜の脂質コアを介した受動拡散は、親油性薬物で行われる。この受動拡散は、特に、分子量400を超えるイオン化分子(陰イオン性及び陽イオン性)の場合、類洞の担体システムにより増加する。同様に、細管上における他の輸送体は、薬物又は薬物代謝産物を胆汁に運搬する。このシステムは、肝臓による取り込み、及び胆管による排出という2つの異なる過程を有する。素早く膜通過するサイズが小さい親油性薬物である場合、肝臓の取り込みはクリアランスの主要要因とはならない一方、多数の水素結合を有する高分子量化合物(500を超える)である場合、肝臓の取り込みが主なクリアランス過程となる。これは、たとえ、肝臓の取り込みの後に代謝が起こる場合でも同様である。 本発明はメトトレキサートのオロチン酸塩のクリアランスを増大させる方法を提供し、薬物動態研究により測定するクリアランスを、医薬品投与時と比べ、少なくとも25%増加させるものとする。本発明は、また、メトトレキサートのオロチン酸塩のクリアランスを増大させる方法を提供し、薬物動態研究により測定するクリアランスを、医薬品投与時と比べ、少なくとも50%増加させるものとする。本発明は、さらに、メトトレキサートのオロチン酸塩のクリアランスを増大させる方法を提供し、薬物動態研究により測定するクリアランスを、医薬品投与時と比べ、少なくとも100%増加させるものとする。 本発明はメトトレキサートのオロチン酸塩のクリアランスを増大させる組成物を提供し、該組成物は、薬物動態研究により測定するクリアランスを、医薬品投与時と比べ、少なくとも50%増加させるものとする。また、メトトレキサートのオロチン酸塩のクリアランスを増大させる組成物を提供し、該組成物は、薬物動態研究により測定するクリアランスを、医薬品投与時と比べ、少なくとも100%増加させるものとする。さらに、メトトレキサートのオロチン酸塩のクリアランスを増大させる組成物を提供し、該組成物は、薬物動態研究により測定するクリアランスを、医薬品投与時と比べ、少なくとも200%増加させるものとする。(生物学的利用能が低い要因) 薬物が速やかに溶解し小腸膜を容易に通過する場合、薬物は完全に吸収される傾向にあるが、経口投与される薬物は必ずしも完全に吸収されない。大静脈に到達する前に、薬物は消化器官を通って移動し、腸壁及び肝臓等の薬物が通常代謝される部位を通過する必要がある。従って、薬物は、全身循環中に測定が可能となる前に、初回通過代謝中に代謝される可能性がある。多くの薬物は、初回通過代謝が高いため経口による生物学的利用能が低い。 生物学的利用能が低いことは、水にあまり溶解せず且つ吸収が遅い薬物が経口投与される場合に最も多くおこる。吸収が遅い場合又は不完全である場合は、吸収が速く且つ完全である場合に比べ、より多くの要因が薬物の生物学的利用能に影響を与える。即ち、遅い又は不完全な吸収によって、治療応答性が変化することになる。また、消化管の吸収が遅いことにより、化学療法による急性及び遅発性の吐き気並びに嘔吐が増大することになる。 消化管における時間が不十分であることは、生物学的利用能が低いことへの共通要因である。摂取した薬物は、わずか1日から2日で消化管全体に、そして、わずか2時間から4時間ほどで小腸に至る。薬物が速やかに溶解しない又は上皮膜を通過できない場合(例えば、高イオン化した場合又は極性の場合)には、吸収部位での時間が不十分になることがある。そのような場合、生物学的利用能は非常に変わりやすく、低くなる傾向にある。年齢、性別、活動性、遺伝的表現型、ストレス、疾病又は消化管手術歴が薬物の生物学的利用能に影響を及ぼす可能性がある。 吸収に競合する反応は生物学的利用能を低下させる可能性がある。この反応には、複合体形成、胃酸又は消化酵素による加水分解、腸壁内での抱合、他の薬物吸収、並びに管腔微生物叢が含まれる。 血漿濃度−時間データによる生物学的利用能の測定には、通常はピーク最大濃度、血漿中薬物ピーク最大濃度に達する時間、及び血漿中濃度時間曲線下面積(AUC)の決定が関与する。そして、血漿薬物濃度は、吸収の増加に伴い増加する。薬物除去率が吸収率と等しくなる時にピークに達する。AUCは最も信頼できる生物学的利用能の測定方法である。AUCは、全身循環に到達する不変薬物の総量に正比例する。 製剤は、吸収の程度と速度において、それらの血漿中濃度曲線が実質的に重なり合わさる場合、生物学的に同等であると考えられる。類似したAUCを持つが異なった形状の血漿中濃度曲線を有する製剤は、吸収の程度は同等であるが、吸収の速度−時間プロファイルが異なる。 吸収は、受動拡散、能動輸送又は促進能動輸送の3つのいずれかの方法により生じる。受動拡散では、単に分子濃度が膜両側で浸透圧平衡に達するまで、分子が粘膜関門を通過する。能動輸送では、分子は粘膜を通過し、能動的にくみ出される。促進能動輸送では、担体(一般的にはタンパク質)が、分子を膜輸送して吸収させるために必要である。(メトトレキサート) メトトレキサートは、その一般名としては、メトトレキサートNSC−740として知られており、商業名としては、MEXATE、FOLEX,RHEUMATREXとして知られている。これは、錠剤、粉末及び溶液形態で利用できる。メトトレキサートナトリウム錠剤は、100ボトルに2.5mgのメトトレキサートを含む。注射用メトトレキサートナトリウムは、凍結乾燥され且つ防腐剤を含まない状態で、粉末形態で20mg、50mg及び1gバイアルにおいて利用できる。任意の無菌性且つ防腐剤を含まない流体、例えば水や0.9%の生理食塩水で戻すこともできる。注射用メトトレキサートナトリウムは、防腐剤保護された状態で、1mLあたり25mgを含み、2mL(50mg)と10mL(250mg)バイアルにおいて利用できる。 本発明は、各製剤において、メトトレキサートナトリウムの当量をオロチン酸塩形態で提供し、必要に応じてさらに投与量を提供する。オロチン酸メトトレキサートは、経口、静脈内、動脈内、又は髄腔内投与によって投与されてもよい。(薬物をオロチン酸誘導体に変換することにより、薬物の副作用を減少させる方法) 標準濃度では、メトトレキサートは、葉酸輸送体を介した促進輸送によって細胞内に入る。高濃度では、メトトレキサートは、受動拡散を介して細胞内に入る。メトトレキサートの経口吸収は、速いが低く且つ予測不可能であり、投与量が多くなるにつれて、また食物存在下では減少する傾向がある。メトトレキサートは身体組織に広範囲に分布し、約50%が血漿プロテインに結合する。血漿からメトトレキサートを除去することは、年齢及び用量に依存し、半減期が0.75から2.0時間であり、β半減期が3.5から10.0時間であり、γ半減期が27時間であることが示されてきた。殆どのメトトレキサート(50〜80%)は、最初の12時間に尿中で変化せずに除去される。メトトレキサートのクリアランスは、クレアチンのクリアランスと近似しているため、腎臓機能障害を有する患者に使用するには注意が必要である。メトトレキサートの使用に関与する欠点と困難性の幾らかは、本発明によって、即ちメトトレキサートナトリウムをオロチン酸メトトレキサートナトリウムへと構造的に変化させることによって、解決された。 本発明は、医薬品をオロチン酸塩に変換させることで、消化管であまり吸収されない医薬品の経口生物学的利用能を増大させるオロチン酸メトトレキサート及びこの方法について述べる。本発明は、オロチン酸誘導体として投与された時のメトトレキサートのクリアランスが、薬物の医薬品形態と比べて、増大している点についても述べている。このようにして、薬物投与時、及び原発性癌又は疾病が治癒した後の長期間にわたって、メトトレキサートの毒性の潜在性を減少させることになる。したがって、医薬品のオロチン酸誘導体の特に有用な製剤は、効き目が素早く低用量で作用が持続し、薬物間の相互作用及び副作用を減少させることができる。全ての引用文献は、本明細書に完全に組み込むこととする。 オロチン酸は遊離型ピリミジンであり、これは、主要ピリミジンヌクレオチドであるウリジル酸塩(UPP)合成に重要である。ピリミジンは細胞内制御及び代謝の中心的役割を担っている。ピリミジンは、DNA/RNA生合成の基質であり、特定のアミノ酸生合成制御因子、並びに、リン脂質、糖脂質、糖及び多糖の生合成の補助因子である。従来のデノボのピリミジン生合成経路は、UMP合成で終了する(Biochemistry, Lubert Stryer編集, W.H. Freeman & Co NY編集, 第4版, 739-762 (1995))。また、5‐フルオロウラシルは、ラットの肝臓通常細胞で、酸の溶解画分、RNA及びDNAへの取り込みを測定した結果、肝臓に対して有毒であることが報告されている。オロチン酸の投与は、肝臓及び小腸のRNAへの取り込みを減少させるため、肝臓において5‐FUによる毒性を減少させることが示唆されている(El Hag IAら, In vivo 1: 309-312 (1987))。本発明は、薬物のオロチン酸誘導体を提供し、このオロチン酸誘導体は、溶解することで荷電分子及び遊離型オロチン酸として薬物を放出し、次々に薬物誘導型の肝臓、心臓又はその他の組織における毒性を減少させる。 本発明は、医薬品のオロチン酸誘導体の有効性を、メトトレキサートの生物学的利用能とクリアランスの改善により測定した場合に増大させる方法及び組成物を提供する。この薬物とは、毒性を引き起こす、又は薬物の組織蓄積のために長期間毒性を引き起こす可能性があるとして、公知のものである。(実施例)(実施例1 オロチン酸メトトレキサートナトリウムの化学合成) 図2はオロチン酸メトトレキサートナトリウムの合成を図示する。オロチン酸(1.74g)を、水(100mL)中で水酸化ナトリウム(0.45g)を用いて処理した。混合物を暖め、1時間攪拌し、冷蔵庫内で一晩保存した。溶液にエタノール(30mL)を加え、濾過により沈殿物を採取し、無色固形物であるオロチン酸ナトリウムを得た。これを、一晩真空乾燥して次の工程に使用した(1.51g)。 上述の工程により製造されたオロチン酸ナトリウム(0.43G)及びメトトレキサート(1000g、1eq)を水(60ml)中に懸濁し、アルゴン雰囲気下、50℃で4時間攪拌した。溶液を冷蔵庫中で一晩冷却し、濾過により沈殿物を採取した。固形物を24時間真空乾燥し、無色の固形物であるオロチン酸メトトレキサートナトリウムを得た(J-1220-10-I、1.27g)。質量分析(図3)及び核磁気共鳴(図4)により、この構造が、オロチン酸メトトレキサートナトリウムであることが示された。(実施例2 メトトレキサート及びオロチン酸メトトレキサートを用いて処置する際の皮下(SC)DU−145前立腺腫瘍の応答性) 本実験の目的は、雄性胸腺欠損NCr‐nu/nuマウスに皮下(SC)移植されたDU=145ヒト前立腺腫瘍異種移植片に対し、メトトレキサート(MTX)及びそのオロチン酸誘導体(オロチン酸MTX)の抗腫瘍有効性を評価することであった。 製剤―MTXの2.7mg/mL溶液(Sigma-Aldrich社製、カタログ番号M9929、ロット番号114K1572は、15日及び19日目に使用。カタログ番号A6770、ロット番号21H0324は、19日、23日、及び35日目に使用。)を、処置日は毎日、新たに注射用蒸留水(WFI)中の2%重炭酸ナトリウム中に調製した。2.7mL溶液をWFI中の重炭酸ナトリウムで希釈して、1.8及び1.2mg/mLとした。 実施例1に記載する如く、オロチン酸MTX(ロット番号J1220−B−I)をMTX(ロット番号114K1572)から合成した。オロチン酸MTXの4.25mg/mL溶液を、処置日は毎日、新たにWFI中2%重炭酸ナトリウム中に調製し、2.83及び1.89mg/mLとした。対照群は、WFI中2%重炭酸ナトリウムで処置した。化合物と賦形剤の両方が、処置日ごとに動物の個別体重に正確に合わせてマウスに投与され、その注入量は、投与ごとに体重当り0.1ml/10gであった。 7群のマウス(各郡10匹)を、次に示す如く、4日ごとに、腹腔内(ip)に注射し、合計3回行った(q4d×3、15日目、19日目、23日目、35日目)。1群は2%重炭酸ナトリウム、2、3及び4群はMTXをそれぞれ27、18、12mg/kg/1投与分、投与した。5、6及び7群は、オロチン酸MTXをそれぞれ42.5、28.3及び18.9mg/kg/1投与分、投与した(MTXのMW(分子量)=454.4、オロチン酸MTXのMW(分子量)が714.7であることに基づく)。 腫瘍を測定し、その量は、式:L×W2/2=mm3を用いて求めた。重量は、1mm3=1mgであると仮定して計算した。本研究は、腫瘍移植後47日間で終了した。(結果)腫瘍重量:MTXの投与を、27、18、及び12mg/kg/1投与分の投与量で行うと腫瘍抑制には効果が無かった。オロチン酸MTXの投与を、同等量である42.5、28.3及び18.9mg/kg/1投与分の投与量で、腹腔内(ip)で行うと2つの低用量では効果が無かったが、最高用量では、雄性NCr‐nu/nuマウスに皮下(s.c.)移植されたDU−145前立腺腫瘍異種移植片の成長を僅かに抑制した。オロチン酸MTXの投与は、MTXと比較して腫瘍成長に有意差はなく、MTXはオロチン酸MTXの腹腔内(ip)投与を示した。しかしながら、オロチン酸MTXの最高用量では、MTXに対して僅かな有利性を示した(図1)。(実施例3 メトトレキサート及びオロチン酸メトトレキサートの薬物動態解析) ラットにPK研究を実施することにより、メトトレキサートのPKプロファイルと経口生物学的利用能を決定し、これをメトトレキサートのオロチン酸塩と比較した。これは、雄性Sprague‐Dawley系ラットを用いて実施した。この化合物を静脈内(静脈内(IV);10mg/kgメトトレキサート、及び15.7mg/kgオロチン酸メトトレキサート、1mL/kg;賦形剤0.9%生理食塩水中1%NaHCO3)、又は経口栄養補給(経口(PO);100mg/kgメトトレキサート;157mg/kgオロチン酸メトトレキサート;賦形剤0.9%生理食塩水中1%NaHCO3)によって投与した。そして、血漿中の化合物の血漿濃度を規定時間に測定した。経口(PO)対静脈内(IV)における化合物濃度の曲線下面積比率を計算することにより(典型的になされる如く、無限と推定する)、生物学的利用能のパーセントが決定される。勿論、静脈内(IV)対経口(PO)に与えられた様々な用量を標準化することは、生物学的利用能の決定の際に考慮された。(結果) 静脈内(IV)及び経口(PO)処置におけるメトトレキサート及びオロチン酸メトトレキサートのPKプロファイルは、図1及び2に要約される。時間に対する血漿濃度(平均+標準偏差)が、静脈内(IV)及び経口(PO)のメトトレキサート塩及びメトトレキサートについて示された。 メトトレキサート及びメトトレキサート塩の静脈内(IV)PKプロファイルは、かなり類似しており、略同一の排出半減期を有していた。オロチン酸メトトレキサートは、分布容積と血漿クリアランス速度が明らかに高く、曲線下面積(AUC)は僅かに低かった。経口投与されると、高用量が投与された(100mg/kg)メトトレキサートは、低い(6%)経口生物学的利用能を示し、複数の山(ピーク)と谷を示し、これは体内動態の複数態様と一致した(Goodman and Gilman, The Pharmacological Basis of Therapeutics, Ed 10, 2001)。メトトレキサートは、長期間血漿中に残存し、排出半減期は非常に変動した。オロチン酸メトトレキサートは、メトトレキサートの経口生物学的利用能の2倍を有していた。 オロチン酸メトトレキサートは、メトトレキサートと比べて幾分遅く血漿中に入り込んだように見えたが、その排出半減期は、より短かった。全体としては、PKプロファイルは、メトトレキサートと極めて類似していた。 これらの結果は、経口投与の場合、高用量(100mg/kg)のメトトレキサートは低い経口生物学的利用能(6%)を示し、これは2倍の生物学的利用能(14%)を有するオロチン酸メトトレキサートと比べた場合である。オロチン酸メトトレキサートは、メトトレキサートと比べて幾分遅く血漿中に入り込んだように見えたが、その排出半減期はメトトレキサートの排出半減期よりも短かった。これら両方の観測結果から、オロチン酸メトトレキサートはメトトレキサートの改善された誘導体であるとして識別できる。 本発明は開示した実施例によって範囲を制限されるものではなく、実施例は本発明の特徴の一態様を示したにすぎず、機能的に同等な方法はいずれも本発明の範囲内とする。本明細書で示した以外にも実に多様な本発明の改良が、前述の記述により、当業者に明白なものとなるであろう。そのような改良は添付の請求項の範囲内とする。 当業者は日常的な実験だけで、本明細書記載の本発明のいずれかの実施例と同等の実施例が実施可能であることを認識又は確認するであろう。そのような同等の実施例は本発明の請求項に含まれるものとする。 代謝拮抗剤のオロチン酸誘導体を製造する方法であって、該方法は、 水酸化カリウム、水酸化ナトリウム及び水酸化アルミニウムからなる群から選択されるアルカリ溶媒と、オロチン酸を混合する工程と、 得られたアルカリオロチン酸塩の沈殿物を混合して乾燥させる工程と、 前記アルカリオロチン酸塩を前記代謝拮抗剤と反応させることにより、前記代謝拮抗剤のオロチン酸誘導体を得る工程を備えることを特徴とする方法。 前記代謝拮抗剤が、メトトレキサート及びトリメトレキサートからなる群から選択されることを特徴とする請求項1記載の方法。 代謝拮抗剤の経口生物学的利用能を、該代謝拮抗剤のオロチン酸誘導体を用いて向上させる方法であって、 前記代謝拮抗剤が、メトトレキサート及びトリメトレキサートからなる群から選択されることを特徴とする方法。 代謝拮抗剤のクリアランスを、該代謝拮抗剤のオロチン酸誘導体を用いて向上させる方法であって、 前記代謝拮抗剤が、メトトレキサート及びトリメトレキサートからなる群から選択されることを特徴とする方法。 下式(化1)により表される構造式を有する化合物。 【課題】経口生物学的利用能が低く、副作用として組織毒性を引き起こすとして知られている代謝拮抗剤の欠点を克服することを目的とする。【解決手段】代謝拮抗剤を、それらのオロチン酸誘導体を生成することによって、化学的に再構築する。より詳細には、メトトレキサート及びトリメトレキサートのオロチン酸誘導体に関し、これらは、現行で使用されているメトトレキサート及びトリメトレキサートの各製剤と比べて、経口生物学的利用能及びクリアランスを向上させることが判明している。【選択図】図1