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タイトル:公開特許公報(A)_免疫学的測定試薬におけるプロゾーン現象の解消法
出願番号:2014116036
年次:2015
IPC分類:G01N 33/543,G01N 33/53,G01N 33/531


特許情報キャッシュ

鈴木 啓太 岩本 久彦 JP 2015230221 公開特許公報(A) 20151221 2014116036 20140604 免疫学的測定試薬におけるプロゾーン現象の解消法 田中貴金属工業株式会社 509352945 柿澤 紀世雄 100123423 鈴木 啓太 岩本 久彦 G01N 33/543 20060101AFI20151124BHJP G01N 33/53 20060101ALI20151124BHJP G01N 33/531 20060101ALI20151124BHJP JPG01N33/543 521G01N33/543 541ZG01N33/53 BG01N33/531 B 12 1 OL 20 本発明は、免疫学的抗原抗体反応を利用して、被検出物(抗原等)が大過剰に存在する検査試料中の被検出物(抗原等)を迅速、簡便かつ正確に検出する体外診断キットもしくは携帯用診断装置として重要性が高いイムノクロマトキット、それに用いる試薬組成物又は検出方法に関する。特に、被検出物(抗原等)が大過剰に存在する検査試料、例えば、尿、血液といった検査試料中の被検出物(抗原等)を検出する際に起きるプロゾーン現象を解消することにより、検査効率および検査精度を向上させた検査方法及びそれに用いる診断キットに関する。 近年、イムノクロマトグラフ用ストリップ形式のイムノアッセイは、抗体の持つ特異的反応性を利用して、試料液中の被検出物(抗原等)を検出する簡便な体外診断キットもしくは携帯用診断装置として汎用性が高まっている。 ところで、被検出物(抗原等)を抗体によりサンドイッチにして検出するイムノクロマトグラフ検出法において、大過剰の被検出物(抗原等)が検査試料中に存在する場合に、見かけ上、被検出物が少ないか全く存在しないような偽陰性現象(プロゾーン現象、または高用量フック効果とも呼ばれる。)を惹起して、検出時のS/N比を下げるのみならず、誤った検査結果をもたらすという問題点はよく知られており、このプロゾーン現象の解消のための研究がなされてきた。この問題点を克服するために、アフィニティークロマトグラフィーの原理を利用したイムノクロマト法において、被検出物(抗原等)をその抗体と、微粒子に結合させた抗体とでサンドイッチにして検出するサンドイッチ法と、被検出物(抗原等)又は同等物をクロマト担体上に固定化させて、被検出物(抗原等)と競合させることにより、上記サンドイッチ法に特有のプロゾーン現象を抑制して、判定の客観性を確保するという手法、さらには、フリーの抗体を備えることで、プロゾーン現象を解消する技術が、開発されている。例えば、免疫学的定量装置において、試料添加部位、その下流に標識化反応体塗布部位、更にその下流に目的物質(被検出物)又はそれと同等物質を固定化した部位、更にその下流に抗体を複数本梯子状に固相化した部位を設定することにより、クロマト担体上で競合反応を行わせると共に、フリーの抗体を梯子状に複数本備えることにより、プロゾーン現象を抑制/解消している。そして、固相化抗体における反応ラインの本数ないしはその呈色パターンによって判定することにより、客観的かつワンステップで迅速に測定できる定量装置が、提案されている(特許文献1参照)。また、アフィニティークロマト検出法において、展開担体上に、検出対象物質に特異的に結合する物質が固定された第一の検出領域、及び検出対象物質競合物質が固定された第二の検出領域を設けて、標識物質により標識され検出対象物質に特異的に結合する物質と試料とを含む展開液を、これら検出領域を通して展開させ、第一及び第二の検出領域における信号に基づいて物質を検出することにより、偽陰性を生じにくく、プロゾーンの出現を回避する方法が、提案されている(特許文献2参照)。 そして、プロゾーン現象の解消のための別の手法として、拡張されたダイナミックレンジを有する試験ストリップの提供及びそれを用いた検出方法が、提案されており、これによりサンプルを希釈する事無く、プロゾーンサンプルの検出を可能にしている。例えば、特許文献3においては、分析物を特異的に結合する捕捉剤を含んだ、少なくとも第1反応領域と第2反応領域を含む第1末端及び第2末端を備え、第1末端に吸収パッドを含むクロマトグラフィーストリップであって、該吸収パッドにより、サンプルの側方流動を可能とし、それによって、捕捉剤が、分析物の少なくとも一部を結合することが可能となる試験ストリップ、および分析物の存在を、第1反応領域のシグナルに基づいて、又は第1反応領域、第2反応領域もしくはそれらの組合わせからのシグナルの強度から検出測定する方法が、提案されている(特許文献3参照)。 しかしながら、不溶性担体(金コロイド粒子、着色ラテックス粒子等)で抗体を標識したイムノクロマト法(「粒子イムノクロマト法」ともいう。)にあって、プロゾーン現象を解消する従来技術の手法としては、フリーの抗体を梯子状に複数本仕込んだり、もしくは第2又はそれ以上の検出領域を設けることにより、検出対象物質(抗原等)が大過剰に存在する高濃度検体試料に対して、反応ラインの本数ないしはその呈色パターンによって定量判定が可能になるといったメリットがある一方で、低濃度検体の発色が弱まったり、フリーの抗体が変性して、経時的にプロゾーン現象対策効果が弱まってしまうといった問題点があった。さらに、プロゾーン現象を解消する従来技術の手法としては、主として、大過剰に存在する検出対象物質に対して、フリーの抗体を梯子状に複数本仕込んだり、標準的な第1検出領域に加えて、第2又はそれ以上の検出領域を設けたりして、これらのシグナルを総合的に判断することにより、客観的に検出対象物質の判定/測定ができるというものであるが、検出ラインが複数本あったり、検出領域が少なくても2つある為、判定基準が単純ではなく、どうしても複雑となり、誰にでも容易に誤りなくできるというものではないという問題点があり、判定が簡単にできる手法が切望されていた。本発明の目的および課題は、免疫学的抗原抗体反応を利用して、被検出物(抗原等)が大過剰に存在する検査試料(「検体」ともいう。)中の被検出物(抗原等)を、抗体によりサンドイッチして検出する方法において、プロゾーン現象を、抑制/解消して、迅速、簡便かつ正確に検出できる体外診断キットもしくは携帯用診断装置として重要性が高いイムノクロマトキット、それに用いる試薬組成物又は検出方法に関する。さらに、本発明の目的は、イムノクロマト試薬において抗原が大過剰に存在する検体で、改良された部材を用いることにより、サンドイッチ法において起きるプロゾーン現象を、抑制/解消したイムノクロマトグラフィー装置を提供することにある。 さらに詳しくは、本発明の目的は、被検出物(抗原等)が大過剰に存在する検査試料、例えば、尿、血液といった生体試料中の被検出物(抗原等)を検出する際に起きるプロゾーン現象を抑制/解消することにより、検査効率および検査精度を向上させた検査方法及びそれに用いる診断キットに関する。 イムノクロマト試薬において抗原が大過剰に存在する検体では、メンブレン上に塗布されたテストライン抗体に、発色担体と結合していない抗原が捕捉されてしまい、テストラインが発色せず偽陰性と判断されてしまう現象(プロゾーン現象)が起きることは、よく知られている。本発明者等は、この現象を、少なくとも試料添加部に特定の非イオン界面活性剤を乾燥保持させ、クロマトグラフ媒体に用いるメンブレンとしてフロースピード(展開速度)の速いものを用いることで、抑制/解消できることを初めて知見したものである。 本発明の検出系では、特定の非イオン界面活性剤として、HLB値が13〜18の非イオン性かつ親水性界面活性剤を含有させた部材を用い、かつクロマトグラフ媒体に用いるメンブレンのハイフローレート(High Flow Rate:水を4cm吸い上げるのにかかる時間(sec/40mm))が、75(sec/40mm)以下であることにより、プロゾーン現象を解消して、抗原が大過剰に存在する検体を、正確に容易かつ迅速に検査できる免疫測定用試薬、免疫測定方法およびイムノクロマトキットなどを提供するものである。 本発明は、下記の(1)〜(12)に係る免疫クロマトグラフ法を使用するイムノクロマトグラフィー装置、イムノクロマトキット、およびそれを使用するイムノクロマト検出法を提供するものである。 本発明のイムノクロマトグラフィー装置としては、次のような特徴を有する。 (1)本発明の第1の特徴は、試料添加部、標識物質保持部、検出部を有するクロマトグラフ媒体、および吸収部から構成されていて、少なくとも試料添加部にHLB値が13〜18の非イオン性かつ親水性界面活性剤を保持させ、かつクロマトグラフ媒体に用いるメンブレンとしてフロースピードの速いものを用いることを特徴とする検体中の検出対象物を検出するためのイムノクロマトグラフィー装置、にある。 本発明の免疫学的検出法を使用する検出キット(「イムノクロマトキット」ともいう。)としては、次のような特徴を有する。 (2)本発明の第2の特徴は、試料添加部、標識物質保持部、検出部を有するクロマトグラフ媒体、および吸収部から構成されていて、少なくとも試料添加部にHLB値が13〜18の非イオン性かつ親水性界面活性剤を保持させ、かつクロマトグラフ媒体に用いるメンブレンとしてフロースピードの速いものを用いることを特徴とする検体中の検出対象物を検出するためのイムノクロマトキット、にある。 (3)本発明の第3の特徴は、メンブレンのフロースピードが、ハイフローレイト(sec/40mm)として、75以下であることを特徴とするイムノクロマトキット、にある。 (4)本発明の第4の特徴は、試料添加部、及び標識物質保持部の両方に、HLB値が13〜18の非イオン性かつ親水性界面活性剤を保持させることを特徴とするイムノクロマトキット、にある。 (5)本発明の第5の特徴は、非イオン性かつ親水性界面活性剤の含有量は、イムノクロマトキットの1キット当り0.1〜5μgであることを特徴とするイムノクロマトキット、にある。 (6)本発明の第6の特徴は、標識物質保持部には、金ナノ粒子により修飾された標識物質が乾燥保持されていることを特徴とするイムノクロマトキット、にある。 (7)本発明の第7の特徴は、金ナノ粒子は、その平均粒径が20〜60nmであることを特徴とするイムノクロマトキット、にある。 本発明のイムノクロマトグラフィー検出法としては、次のような特徴を有する。 (8)本発明の第8の特徴は、検体を試料添加部に添加する工程、標識物質保持部に保持されている金ナノ粒子により修飾された標識物質により検出対象物を認識させる工程、標識物質と検出対象物の複合体を移動相として展開させる工程、および展開された移動相中の検出対象物を検出部で検出する工程、からなるイムノクロマトグラフィー検出法において、少なくとも試料添加部にHLB値が13〜18の非イオン性かつ親水性界面活性剤を保持させ、かつクロマトグラフ媒体に用いるメンブレンとしてフロースピードの速いものを用いることを特徴とするイムノクロマトグラフィー検出法、にある。 (9)本発明の第9の特徴は、金ナノ粒子の平均粒径が20〜60nmであることを特徴とするイムノクロマトグラフィー検出法、にある。 (10)本発明の第10の特徴は、検体が、生体試料であることを特徴とするイムノクロマトグラフィー検出法、にある。 (11)本発明の第11の特徴は、検出対象物が、ペプチドホルモンであることを特徴とするイムノクロマトグラフィー検出法、にある。 (12)本発明の第12の特徴は、試料添加部、及び標識物質保持部の両方に、HLB値が13〜18の非イオン性かつ親水性界面活性剤を保持させることを特徴とするイムノクロマトグラフィー検出法、にある。 本発明は以上のような特徴点を備えることにより、上記の課題を達成することができたものである。 本発明では、免疫学的抗原抗体反応を利用して、被検出物(抗原等)が大過剰に存在する検査試料(「検体」ともいう。)中の被検出物(抗原等)を、抗体によりサンドイッチして検出する方法において、少なくとも試料添加部位(「サンプルパッド」ともいう。)にHLB値が13〜18の非イオン性かつ親水性界面活性剤を保持させ、かつ、クロマトグラフ媒体に用いるメンブレンとしてフロースピード(展開速度)の速いものを用いることにより、プロゾーン現象(抗原が存在するにも拘らず、テストラインが発色せず偽陰性と判断される現象)を顕著に解消できるものである。その為、本発明では、免疫学的抗原抗体反応を利用して、被検出物(抗原等)が大過剰に存在する検査試料(「検体」ともいう。)中の被検出物(抗原等)を、抗体によりサンドイッチして検出する方法において、迅速、簡便かつ正確に検出できるイムノクロマトグラフィー装置、および体外診断キットもしくは携帯用診断装置として重要性が高いイムノクロマトキット、さらにその検出方法を提供できるものである。 即ち、本発明では、試料添加部位(「サンプルパッド」という。)、又は試料添加部及び標識物質保持部(「コンジュゲーションパッド」ともいう。)の両方に保持させている、HLB値が13〜18の非イオン性かつ親水性界面活性剤の働きにより、被検出物(抗原等)が標識物質と速やかにコンジュゲートできるものであり、かつクロマトグラフ媒体に用いるメンブレンとしてフロースピード(展開速度)の速いものを用いることにより、さらには、抗体を修飾して標識物質として用いる金コロイドの粒径を20〜60nmという比較的に小さいものを使用することにより、これらが共同作用してその結果、作用機序は明確ではないが、被検出物(抗原等)と標識物質の複合体の形成が極めて迅速で、かつ該複合体のクロマトグラフ媒体中での移動展開が、非常に円滑かつ迅速で何の支障もなく、そして、テストライン抗体と速やかに結合して発色することができるものである。その結果として、プロゾーン現象を起こすことなく、正確に且つ、展開速度の速い迅速、簡便および高感度に、結果の判定が可能である検査薬を提供することができたものである。例えば、検体として用いる尿中のLH、又はhCG等を検出する際に、結合抗体量を増加させることなく、かつ、被検出物(抗原等)の低濃度での発色強度は変化させずに、感度の低下なく、しかも、プロゾーン現象を顕著に抑制/解消するため、判定基準が判り易く正確に検査結果の判定が可能である。本発明のイムノクロマト装置を示す図。本発明の[表5]のデータをグラフ化したもの。 以下、本発明を詳細に説明する。 本発明の実施形態は、各種検体中の被検出物質である検出対象物(抗原)に各種の標識をつけた特異的に結合する結合物質(抗体)を、クロマトグラフ媒体上で反応させる抗原−抗体反応により複合体を形成させ、イムノクロマトグラフ媒体上を吸収部位の方向へ展開させて、それを各種の検出手段により確認するという、イムノクロマトグラフ法またはそれを応用した検出法に基づくものである。その抗原と最も特異的に反応して結合する抗体としては、それと特異的に結合する、例えばモノクローナル抗体およびポリクローナル抗体若しくはその他の公知の抗体を任意に使用することができる。 その標識としては、酵素、発色物質、蛍光物質、または放射性物質などを任意に使用することができるが、操作が簡単で、検定時間も短くするという、イムノクロマトグラフ法の特色を出す為や、抗体、抗原の種類を考慮して決めればよい。 又、検出手段は、操作が簡単で、比較的短時間で判定できると言う、イムノクロマトグラフ法の特色を表すためには、目視判定で、正確に判定できると言う性能を有することを特徴とするが、時間、精度などが要求される場合には、分光光度検出、放射線検出など、各種の検出手段を付帯させて、検出することができる。 本発明のイムノクロマトグラフ法に使用可能なイムノクロマトグラフィー装置、イムノクロマトキット、免疫測定法もしくはイムノクロマト検出方法、を実施するための最良の形態を順次説明をする。 本発明のイムノクロマトグラフィー装置とは、免疫測定に際して使用する装置であって、その一態様としては、イムノクロマトキットが含まれるものである。このイムノクロマトグラフィー装置においては、HLB値が13〜18の非イオン性かつ親水性界面活性剤を、少なくとも試料滴下部(2)に含有保持させている。しかし、これに加えて標識物質保持部(3)、さらにはクロマトグラフ媒体であるメンブレン(4)におけるこれらの1以上の部位に含有保持させても構わない。この非イオン性かつ親水性界面活性剤を試料滴下部に含有させた場合には、標識物質保持部(3)、クロマトグラフ媒体(4)、検出部(5)および吸収部(6)へと順次移動および展開する性質を備えたものである。 本発明のイムノクロマトグラフィー装置としては、試薬保持部(2)に、または試薬保持部(2)および標識物質保持部(3)の両方に、HLB値が13〜18の非イオン性かつ親水性界面活性剤を乾燥して保持含有させるものである。 本発明で使用可能な特定の非イオン界面活性剤としては、HLB値が13〜18の非イオン性かつ親水性界面活性剤であり、より好ましくはHLB値が14〜17の非イオン性かつ親水性界面活性剤である。市販されているTriton X100(商品名)、Brij 35(商品名)、Tween 20(商品名)、NP 40(商品名)等々の商品が、使用可能なものとして挙げられる。特に好適なものとしては、Brij 35(商品名)、Tween 20(商品名)等が挙げられる。HLB値が13未満では、可溶化作用が不十分となるため、感度が悪くなる。一方で、HLB値が18超では、可溶化作用は十分であるが、親水性が大きすぎても、感度が低下する。 界面活性剤の浸透、可溶化の特性なども考慮すれば、HLB値は13〜18程度の非イオン界面活性剤が、本発明のイムノクロマトグラフィー装置に最も適していることを知見したものである。本発明の非イオン界面活性剤の挙動は、クロマトグラフ媒体のメンブレンのハイフローレート特性と、更には金ナノ粒子の特性とも相互に協同して、他のアニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤には見られない特有の性質および性能を発現することができる。 本発明の試料添加部位(「サンプルパッド」という。)、又は試料添加部及び標識物質保持部(「コンジュゲーションパッド」ともいう。)の両方に保持させる、HLB値が13〜18の非イオン性かつ親水性界面活性剤の含有量は、0.10〜5.0μg/mm2であり、好ましくは0.15〜3.0μg/mm2であり、特に好ましくは0.20〜1.0μg/mm2である。0.10μg/mm2未満の含有量では、流れが悪くなり、一方、5.0μg/mm2超では、装置製造時の裁断やパッケージの収納時に、サンプルパッドの剥離を生じたり、検出ラインの発色にムラが生じることがあり、無駄となる。0.10〜5.0μg/mm2の範囲で用いれば、クロマトグラフ媒体のメンブレンのハイフローレート特性と相互に協同して作用し、よりプロゾーン現象を抑制することができる。 本発明のクロマトグラフ媒体に使用するメンブレンとしては、フロースピード(展開速度)の速いものを用いる。ハイフローレート(High Flow Rate:水を4cm吸い上げるのにかかる時間(sec/40mm))(HFR)が、75(sec/40mm)以下であるものが使用可能であり、好ましくは、60(sec/40mm)以下であり、特に好ましくは、45(sec/40mm)以下のものである。ハイフローレート(HFR)(High Flow Rate:水を4cm吸い上げるのにかかる時間(sec/40mm))が、75(sec/40mm)を超える展開速度が遅いメンブレンでは、被検出物(抗原等)と標識物質の複合体は、被検出物(抗原等)と比べてメンブレン中を速やかに移動できないため、被検出物(抗原等)が大過剰に存在する検体の検査においては、プロゾーン現象を抑制することができない。検出に要する測定時間や精度などを考慮すれば、HFRが20(sec/40mm)程度まで、任意に設計できる。好ましくは、30(sec/40mm)以上のものであり、特に好ましくは、36(sec/40mm)以上のものである。 この膜担体の特性としては、毛細管現象などにより試料検体を吸収し移動させることができる材料が推奨される。この移動現象は、膜担体を構成する素材が有する性質、および膜の毛細管現象を発現する多孔質という構造面から吟味する必要がある。この膜担体の構造設計には、素材と構造の両面からの吟味が、必要である。いずれにせよ、フロースピード(展開速度)の速いものであれば、特に限定されるものではない。ハイフローレイト(HFR)が75(sec/40mm)以下の担体材料を選定することが、特にプロゾーン現象を抑制/解消するという目標を達成するにおいて好適である。例えば、ニトロセルロース、酢酸セルロース、セルロース、のような天然素材、ナイロン、ポリエーテルスルホン、ポリビニルアルコール、ポリエステル、ポリオレフィンのような合成ポリマー、ガラスファイバー、カーボンファイバーのような無機繊維のような材料から製造されるものであり、混合繊維からなるものであってもよい。その膜担体の使用状態は、繊維、織布、不織布、布、膜、紙、連通気泡のスポンジ、シート、発泡体、パッドなどの任意の形態のものから選定できるが、HFRの性能を考慮して設計することができる。 この膜担体の寸法は、特に限定されず、この種の製品に適用される一般的なものを利用することができるが、例示すると幅3〜10mm、長さ2〜6cm、厚さは100〜150μmのものが標準的なものである。メンブレンは多孔性であるため、不透水性のポリエステル、ポリエチレン等のフィルムを張り合わせることによって裏打ちするか、あるいはあらかじめ不透水性のポリエステル、ポリエチレン等のプラスチックフィルム上にニトロセルロースメンブレンを積層させて形成したものであっても良い。この不透水性フィルムの厚みには特に制限はないが100μm程度のものが取り扱い上好ましい。 本発明のイムノクロマトグラフィー装置において、標識物質に使用する金ナノ粒子としては、平均粒径が、10〜60nm、好ましくは20〜60nm程度の赤色金ナノ粒子及び/又は青色金ナノ粒子が好ましい。勿論、白金、銀、ロジウム、パラジウム、ゲルマニウムなどの貴金属粒子、チタン、亜鉛、鉄等の平均粒径が、10〜60nm、好ましくは20〜60nm程度の金属ナノ粒子も使用可能である。このような金属ナノ粒子が分散状態にある、例えば、抗体、抗原による感作金属コロイド、感作金コロイド、感作白金−金コロイド、感作金−銀コロイド、鉄コロイド等々が挙げられるが、金コロイドが入手及び取り扱いが容易であるところから、最も推奨される。平均粒径は、コロイドの粒度分布を動的光散乱法粒度分布計で測定した後の平均粒径を求めるという慣用の測定法に基づいて決めることができる。 本発明における検査試料(検体)としては、例えば、主として生体試料、具体的には、血液、血清、血漿、尿、唾液、汗、髄液、涙、羊水、乳頭分泌液、鼻汁、痰、鼻腔吸引液、咽頭拭い液、肺胞洗浄液、皮膚からの浸出液、直腸拭い液、糞便および組織や細胞からの抽出物等々のみならず、食品抽出液、上水、下廃水、培養液等々といった試料などが挙げることができ、特に限定されるものではない。これらの検体中に、被検出物(抗原等)が大過剰に含まれる場合に、特に有用であって、プロゾーン現象を起こすことなく、簡単かつ正確に検査できるものである。 本発明の検出対象物としては、それと特異的に結合する、例えば、抗原−抗体反応のように特異的に結合する物質が存在するかもしくは製造できるものであれば良く、特に限定されない。検出対象物が完全抗原といったそれ自体が抗原性を有するものであっても、もしくはハプテン(不完全抗原)といった、それ自体が抗原性を有しなくても化学的変成物とすることにより抗原性を持つに至るものであってもよい。これらの検出対象物と特異的に結合する物質が、存在するかもしくは製造できるものであればよく、モノクローナル抗体若しくはポリクローナル抗体とすることができる。 本発明の検出対象物を例示すれば、ペプチドホルモン(成長ホルモン(GH)、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)、メラミン細胞刺激ホルモン(MSH)、プロラクチン、甲状腺刺激ホルモン(TSH)、黄体形成ホルモン(LH)、卵胞刺激ホルモン(FSH)、下垂体ホルモン、カルシユウム代謝調節ホルモン、膵ホルモン、消化管ホルモン、血管作用ホルモン、ヒト絨毛性性腺刺激ホルモン(hCG)、エストロン等の卵胞ホルモン、プロゲストロン等の天然又は合成黄体ホルモン、テストステロン等の男性ホルモン、コルチゾール等の副腎皮質ホルモン、ジヨードサイロニン等の甲状腺ホルモン類等々のホルモン、前立腺性酸性フォスファターゼ(PAP)、前立腺特異抗原(PSA)、アルカリ性フォスファターゼ、トランスアミナーゼ、トリプシン、ペプシノーゲン、α−フェトプロテイン(AFP)、ガン胎児性抗原(CEA)等のガン特異物質、免疫グロブリンG(IgG)等の血清蛋白成分、リュウマチ因子、セロトニン、ウロキナーゼ、フェリチン、サブスタンP、便潜血、梅毒抗体、インフルエンザウィルス、アデノウィルス、ロタウィルス、マイコプラズマ、HBs抗原、HBs抗体、クラミジア抗原、A群β溶連菌抗原、コレステロール、胆汁酸、強心性ステロイド、サポゲニン等のその他のステロイド類、エピネフリン、ドーパミン、生理活性アルカロイド類、アミノ基含有向精神薬類、TRH等の低分子ペプチド類、プロスタグランジン類、ビタミン類、ペニシリン等の抗生物質類、その他生体内成分、生体内投与薬物およびその代謝産物等が挙げられるが、好ましい検出対象物としては、特に黄体形成ホルモン(LH)、卵胞刺激ホルモン(FSH)、ヒト絨毛性性腺刺激ホルモン(hCG)、エストロン等の卵胞ホルモン、プロゲストロン等の天然又は合成黄体ホルモン等々が、挙げられ、本発明の検出対象物を含む試料(検体)としては、例えば、尿、血液等が用いられる。 本発明のイムノクロマトグラフィー用の標識物質溶液等々は、緩衝剤や界面活性剤、特に、非イオン界面活性剤を含有させることが好ましい。 含有させる緩衝剤としては、試料の添加や試料の蒸発や希釈による濃度の変化、外部からの多少の異物の混入によっても致命的な影響を生じない作用(緩衝作用)を持つものであれば特に制限はない。 本発明において、緩衝剤としては、酢酸緩衝液(酢酸+酢酸ナトリウム)、リン酸緩衝液(リン酸+リン酸ナトリウム)、クエン酸緩衝液(クエン酸+クエン酸ナトリウム)、ホウ酸緩衝液、トリス塩酸緩衝液(トリス(ヒドロキシルメチル)アミノメタン+塩酸)、TE緩衝液(トリス+エチレンジアミン四酢酸)、TAE緩衝液(トリス+酢酸+エチレンジアミン四酢酸)、TBE緩衝液(トリス+ホウ酸+エチレンジアミン四酢酸)又はHEPES緩衝液(2−[4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジニル]エタンスルフォン酸)等が挙げられる。好ましくは、HEPES緩衝液、リン酸緩衝液、酢酸緩衝液、トリス塩酸緩衝液などであり、より好ましくは、リン酸、HEPES緩衝液である。また、悪影響を及ぼさない範囲内においてその他の緩衝剤を配合して使用することもできる。 本発明で使用する緩衝剤の濃度としては、10〜500mMの範囲が好ましく、10〜300mMの範囲がより好ましく、30〜100mMの範囲がさらに好ましい。濃度が10mMより低くなると緩衝作用が不十分になり、タンパク成分の析出抑制や標識粒子の凝集抑制も不十分となる。500mM以上では、必要以上の濃度となり経済的でなく無駄となる。また、緩衝液として、pH範囲7.1〜9.8のものを作るのが最適である。 本発明のイムノクロマトグラフィー装置用の各部位、特に、クロマト媒体のメンブレンには、生物学的親和性に基づく副反応を抑制したり、非特異的反応を抑制することが公知の添加剤、例えば、抗原抗体反応の促進あるいは非特異的反応を抑制するための蛋白質(例えば、牛血清アルブミン、ゼラチン等)、高分子化合物(例えば、ポリエチレングリコール、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、デキストラン等)、イオン性界面活性剤又はポリアニオン(例えば、デキストラン硫酸、ヘパリン、ポリスチレンスルホン酸、コンドロイチン硫酸等)、あるいは、抗菌剤等々の1種もしくは2種以上を添加保持して使用することも可能かつ有効であって、何ら妨げるものではない。また、これらの抗原抗体反応の促進あるいは非特異的反応を抑制するための蛋白質、高分子化合物、イオン性界面活性剤又はポリアニオン、あるいは、抗菌剤等々の1種もしくは2種以上を、固定相を構成するクロマトグラフィー媒体上の、移動相の移動経路上に保持させておくことも可能かつ有効であって、何ら妨げるものではない。 本発明のイムノクロマトグラフィー装置におけるサンプルパッド(SP)、又はサンプルパッド(SP)及びコンジュゲーションパッド(CP)中に含有させる上記添加剤の含有量としては、0.01〜20質量%の濃度範囲、好ましくは、0.1〜10質量%の濃度範囲、より好ましくは、0.5〜5質量%の濃度範囲の水溶液を、塗布あるいは含浸させて後、乾燥させて単位面積当りの含有量が、0.10〜10.0μg/mm2、好ましくは0.15〜5.0μg/mm2、特に好ましくは0.20〜1.0μg/mm2となるようにする。0.10μg/mm2未満の含有量では、非特異的反応を抑制できず正確な判定が行なえない。一方、10.0μg/mm2超では、必要以上の濃度となり経済的でなく無駄となる。単位面積当りの含有量が、0.10〜10.0μg/mm2の範囲で用いれば、クロマトグラフ媒体のメンブレンのハイフローレート特性と相互に協同して作用し、よりプロゾーン現象を抑制することができる。 本発明のイムノクロマトグラフィー用標識物質溶液を固相中に保持させるに際し、標識物質溶液中に含有させる保護安定化物質もしくは溶解促進物質としては、糖類、即ち、単糖類、二糖類、三糖類、オリゴ糖又は多糖類が使用できる。単糖類としては、グルコース、ガラクトース、キシロース、フラクトース等が、二糖類としては、トレハロース、シュークロース、ラクトース、マルトース等が、三糖類やオリゴ糖としては、ラフィノース等が、多糖類としては、グルコン酸、デキストラン等が、挙げられ、これらは、1種又は2種以上を混合して用いても何ら差支えない。 また、本発明の標識物質保持部をイムノクロマトグラフィー装置の領域部内に設けるにおいては、試料添加部の端部と判定部との間の領域内に、標識物質を分子量1000〜30000のメルカプト基を1以上有するアルキレングリコール及び/又はその誘導体(保護試薬)により保護処理し、必要に応じて、これに更にアルギニン及びカゼイン(安定化試薬)を混合して得られる、標識物質保護安定化試薬含有組成物を、塗布、吸着もしくは含浸させて後、各種の乾燥手段(通気乾燥、真空乾燥、自然乾燥、凍結乾燥等)により乾燥させることによって、担持または保持もしくは形成するのが好ましい。 本発明のイムノクロマトグラフィー用標識物質溶液やその他の試薬組成物を含む部位を設ける方法としては、例えば、イムノクロマトグラフィー装置におけるグラスファイバーパッド(標識物質保持部材)中へイムノクロマトグラフィー用標識物質溶液を塗布又は含浸させた後、各種の乾燥手段により乾燥させる方法により、グラスファイバーパッド中へ担持または保持させる態様とすることができる。 本発明のイムノクロマトグラフィー検出法を実施するにおいては、検体を直接、試料添加部に滴下するか又は検体中に試料添加部を浸漬する態様となる。しかしながら、検体が、例えば、痰のように固形状である場合には、検体希釈液を使用することも可能である。 この検体希釈液は、また展開液としても使用することができるものであるが、通常、溶媒として水を用い、これに緩衝液、塩、および非イオン界面活性剤、さらに、前記抗原抗体反応の促進あるいは非特異的反応を抑制するための蛋白質、高分子化合物(PVP等)、イオン性界面活性剤又はポリアニオン、あるいは、抗菌剤、キレート剤等々の1種もしくは2種以上を加える。加える順序は特に特定されず、同時に加えても差支えない。展開液として用いる場合には、検出試料と展開液を予め混合したものを、サンプルパッド(試料添加部位)上に供給・滴下して展開させることもできるし、先に試料をサンプルパッド上に供給・滴下して後、展開液をサンプルパッド上に供給・滴下して展開させてもよい。試料希釈液として使用する場合には、試料希釈液により試料を測定に適した濃度に調整した或いは希釈した後に、サンプルパッド上に供給・滴下することにより使用できる。 イムノクロマトグラフィー装置および仕様について、以下に説明をする。 イムノクロマトグラフィー装置もしくはイムノクロマトキット(1)は、試料添加部位(2)(「サンプルパッド」ともいう。)、標識物質保持部位(3)(「コンジュゲートパッド」ともいう。)、クロマトグラフィー媒体(4)、判定部位(5)、更に必要に応じてコントロール部(8)、吸収部位(6)(「展開速度コントロール部」ともいう。)、およびバッキングシート(7)から構成されている。それらの各部位の構造、仕様および態様は以下のとおりである。 1)試料添加部位(2)(「サンプルパッド」)は、図1を参考にすると、試料が迅速に吸収されるが、保持力は弱く、速やかに反応部へと試料が移動していくような性質の多孔質シートで構成されている。多孔質シートとしては、セルロース濾紙、ガラスファイバー濾紙、ポリウレタン、ポリアセテート、酢酸セルロース、レーヨン、ナイロン、綿布等が挙げられる。本発明の多孔質シートとしては、ガラスファイバー濾紙、レーヨンが好ましく用いられる。本発明においては、プロゾーン現象を抑制/解消するために、少なくともサンプルパッド(2)中に、HLB13〜18の非イオン性かつ親水性界面活性剤、および必要に応じて緩衝液を含むイムノクロマトグラフィー用試薬組成物を予め含浸させて後、乾燥させる等の手段により担持させる態様とすることができる。 本発明のイムノクロマトキットのサンプルパッド中に保持する非イオン性界面活性剤としては、HLB(Hydrophile Lipophile Balance=親水基の重量%×0.2=0〜20)が、13〜18であるものが使用可能である。例えば、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類(例えば、登録商標「Brij」シリーズ)、ポリオキシエチレン/ポリオキシプロピレンアルキルエーテル類(例えば、ナカライテスク社製、商品名:NP 40)、ポリオキシエチレンアリールエーテル類、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類(例えば、商品名「Tween」シリーズ)、ポリオキシエチレンp−t−オクチルフェニルエーテル類(例えば、商品名「Triton」シリーズ)、例えば、ポリオキシエチレン(10)−p−t−オクチルフェニルエーテル(Triton X100(商品名)、HLB=13.7)、ポリオキシエチレンp−t−ノニルフェニルエーテル類(例えば、商品名「TritonN」シリーズ)、ポリオキシアルキレンアリールエーテル類、ポリオキシアルキレン多環フェニルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアミンエーテル類、水素化ポリオキシエチル化ひまし油類、等々であって、HLB値が13〜18であるものを挙げることができる。また、悪影響を及ぼさない範囲内において、これらの非イオン性界面活性剤を混合して使用することも可能である。 2)標識物質保持部位(3)には、標識成分によって試薬成分を標識した標識試薬を担持または保持させている。標識成分としては、金コロイド粒子、銀コロイド粒子等の金属コロイド粒子、各種のモノマーを(共)重合させて合成した合成高分子を染色して得られる着色ラテックス粒子、酵素、蛍光化合物、その他を用いることができる。試薬成分としては、分析物を認識する能力を有する粒子又は分子であり、好ましくはモノクローナル抗体又はポリクローナル抗体若しくはそのフラグメントである(第二試薬)。 また、本発明においては、プロゾーン現象を抑制/解消するために、サンプルパッド(2)のみならず標識物質保持部位(3)中においても、HLB13〜18の非イオン性かつ親水性界面活性剤、および必要に応じて緩衝液を含むイムノクロマトグラフィー用試薬組成物を予め含浸させて後、乾燥させる等の手段により担持させる態様とすることが好ましい。 3)クロマトグラフ媒体(4)は、膜担体上に判定部位(5)を作成したものである。膜担体としては、毛細管現象により試料検体を吸収し移動させることができるものであって、フロースピード(展開速度)の速いものであれば、特に限定されるものではない。ハイフローレイトHFRが75(sec/40mm)以下、好ましくはHFRが20〜60(sec/40mm)で、プロゾーン現象を抑制/解消するのに好適である。より好ましくは、30〜60(sec/40mm)であり、特に好ましくは、36〜60(sec/40mm)である。例えば、ニトロセルロース、酢酸セルロース、ナイロン、ポリエーテルスルホン、ポリビニルアルコール、ポリエステル、ガラスファイバー、ポリオレフィン、セルロース、これらの混合繊維からなる人工ポリマーからなる群から選択される。それらの繊維、織布、不織布、布、膜などの任意のものからなる。 4)判定部位(5)には、モノクローナル抗体又はポリクローナル抗体若しくはそのフラグメント(第一試薬)が、ニトロセルロースのシート上に担持固定されている。 この判定部位(5)に用いる試薬成分(第一試薬)および標識試薬に用いる試薬成分(第二試薬)は、その一方又は両方がモノクローナル抗体であってもよいし、ポリクローナル抗体であってもよいが、特異性を保った上で製造コストや抗体の安定供給を考慮する場合は、少なくとも一方がポリクローナル抗体であることが好ましい。更に、標識試薬に用いる試薬成分(第二試薬)は、測定感度等の点から特異性の高いモノクローナル抗体がより好ましい。しかしながら、第一試薬および第二試薬の両方にモノクローナル抗体を用いることが、反応の正確性と効率性の観点から最も好ましい。 モノクローナル抗体およびポリクローナル抗体若しくはそのフラグメントは、公知であり、入手可能であり、公知の方法により調整することができる。抗体産生動物種としては、ヒト、マウス、ラット、ウサギ、ヤギ等々である。免疫グロブリンとしては、IgG、IgM、IgA、IgE、IgDのいずれでも良い。 モノクローナル抗体は、常法に従って、抗原で免疫したマウスの脾臓細胞と骨隋腫細胞をハイブリッドさせ、目的とする抗体を産生するハイブリドーマを選択し、このハイブリドーマから産生されてくるモノクローナル抗体を収得する。例えば、ケーラーとミルスタインの技法(Nature 256(1975)495−497)を参照。 ポリクローナル抗体は、常套手法により、抗原を産生動物(例えば、ヒト、マウス、ラット、ウサギ、ヤギ、ウマ等)に免疫して得た抗血清中から目的とする抗体を分離することにより得られる。 5)吸収部位(6)には、過剰の試料を迅速に吸収する能力を有する材料であるガラス繊維、セルロース繊維等からなる濾紙が汎用されているが、さらに吸収した液体が逆流しないように保持する能力を有する材料を用いればより好ましい。特に好ましい態様は(特開2012−189346号公報)に開示されているとおりのものである。 6)バッキングシート(7)は、基材である。片面に粘着剤を塗布したり、粘着テープを貼り付けることにより、片面が粘着性を有し、該粘着面上に試料添加部(2)、標識物質保持部(3)、検出部位(5)を有するクロマトグラフ媒体(4)、および吸収部位(6)の一部または全部が密着して設けられている。バッキングシート(7)は、粘着剤によって試料液に対して不透過性、非透湿性となるようなものであれば、基材としては、特に限定されない。 以下、本発明の有効性を各仕様の実施例および実施態様を挙げて説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。 以下に、実施例および比較例を挙げて、本発明の有意性を説明する。その実施の仕様は以下のとおりのものである。[実施例1]1.クロマトグラフ媒体上への判定部の作製 2.5×25cmのセルロースからなるメンブレンに、抗体塗布機(BioDot社製)を用いて、5質量%のイソプロピルアルコールを含むリン酸緩衝液(pH7.5)で希釈した濃度1.8mg/mlの抗LH(黄体形成ホルモン)モノクローナル抗体を塗布し乾燥させ、クロマトグラフ媒体上へ判定部を作製した。2.標識試薬溶液の作製 金コロイド懸濁液(田中貴金属工業(株)製:40nm)0.9mlにリン酸緩衝液(pH7.5)を0.1ml加え混和し、リン酸緩衝液(pH7.5)で希釈した50μg/mlの抗LHモノクローナル抗体を0.05ml加え、室温で10分間静置した。次いで、0.01質量%のPEG−SH(日本油脂株式会社製、商品名:SUNBRIGHT ME−200SH、分子量20000)を含むTris緩衝液(pH7.5)を0.1ml加え、十分攪拌した後、8000×gで15分間遠心分離を行った。上清を除去した後、リン酸緩衝液(pH7.5)を1ml加えた。超音波破砕機を用いてコロイド状の標識試薬をよく分散させた後、8000×gで15分間遠心分離した。上清を除去し、前記リン酸緩衝液を0.15ml加えて超音波破砕機にてよく分散し、標識試薬溶液とした。3.サンプルパッド(試料添加部)の作製3.0×25cmのレーヨン製パッドへ、非イオン界面活性剤としてTween20(シグマアルドリッチ社製、商品名:Tween(登録商標)20、HLB(Hydrophile−Lipophile Balance)値:16.7)の2質量%水溶液を表に記載の単位面積あたりの含有量となるように均一に塗布した後、真空乾燥機にて乾燥させ作製した。4.クロマトグラフ媒体の作製 上記作製した標識試薬溶液0.22mLを0.78mlの10%トレハロース水溶液に加え混和し、1.6×25cmのグラスファイバー製パッドに均一に添加した後、真空乾燥機にて乾燥させ、標識試薬保持部材とした。次いで、バッキングシートから成る基材に、上記にて判定部位を作製したニトロセルロース膜、標識試薬保持部材、上記作製したサンプルパッド、および展開した試料や標識試薬などを吸収するためのセルロース繊維の吸収パッドを貼り合わせた。最後に、裁断機で幅が5mmとなるように裁断し、クロマトグラフ媒体を作製した。5.測定 上記3.にて作製したクロマトグラフ媒体を用いて、被検物質であるLHの検出試験を行った。陰性検体としては、LHが、0mIU/mLである男性尿の150μLを陰性検体試料として用いた。また、表1〜3では、陽性検体試料として、LHが40mIU/mLの濃度で含む男性尿で希釈した試料150μLを用い、さらに、表4では、陽性検体試料として、20×106mIU/mLの濃度で含む男性尿で希釈した試料150μLを用いて試験した。表5では、LHが、0〜2×107mIU/mLの濃度範囲のものを用い、更に、メンブレンのHFRが、45、及び75のものを用いて試験した。陰性検体試料、陽性検体試料とも150μLをイムノクロマトグラフィー用試験片のサンプルパッド上に添加し展開させ、15分後に目視判定をした。・ 流れについて:測定開始後に試料液がメンブレン上に展開された際に、その液の展開と標識試薬の赤色の展開を目視で確認した。展開された液と標識試薬が同じあるいはほぼ同じ速度で展開されたものは、「○」展開された液に少し遅れ標識試薬が展開されたものは、「△」展開された液に遅れ標識試薬が展開されたものは、「×」とした。・ 感度について:判定部の赤い線を確認できるものは、「○」赤い線は確認できるが、非常に色が薄いものは、「△」赤い線を確認できないものは、「×」とした。・ 目視判定基準:判定部の赤い線を確認できるものは、「+」鮮明に確認できるものは、「++」より強く鮮明に確認できるものは、「+++」赤い線を確認できるが、非常に色が薄いものは、「±」赤い線を確認できないものは、「−」とした。 その試験結果を表に示す。尚、表1〜4中で使用した非イオン界面活性剤は、以下のとおり。〔非イオン界面活性剤について〕MN811:日油社製、商品名:ノニオンMN811Triton X100:シグマアルドリッチ社製、商品名:Triton X100Brij35:ICI Americas Inc.の登録商標、商品名:Brij35Tween20:ICI Americas Inc.の商品名:ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレートNP40:ナカライテスク社製、商品名:ノニデット P40 上記3.にて作製するクロマトグラフ媒体において、サンプルパッド(SP)に添加する非イオン界面活性剤であるTween20に代えて、HLB値が異なる各種類の非イオン界面活性剤を用いて、被検物質であるLHの検出試験を行って、HLB値の違いに起因する非イオン界面活性剤の評価検討を行った。サンプルパッド(SP)に添加する非イオン界面活性剤の含有量は、0.2μg/mm2である。59陰性検体としてLHを、0mIU/mL、あるいは陽性検体としてLHを、40mIU/mLの濃度で含む男性尿で希釈した試料150μLを、用いて試験した。試験結果を表1に示す。 表1の結果から明らかなように、HLB値が13〜18の非イオン性かつ親水性界面活性剤を用いた場合には、LHと標識物質との複合体の、サンプルパッドから吸収部へ向けて流れる速度が、展開された液と同じあるいはほぼ同じ速度で展開され良好である。また、HLB値が14〜17の非イオン性かつ親水性界面活性剤を用いた場合には、検出ラインにおける感度も良好であることがわかった。流れ及び感度の両面で、Brij35、Tween20が好ましく、特に、Tween20は保存安定性の点でも好適であった。 上記3.にて作製するクロマトグラフ媒体において、サンプルパッド(SP)のみに添加する非イオン界面活性剤としてTween20及びBrij35を用いて、その含有量を変えたこと以外は、前記と同じ手順態様で実施して、被検物質であるLHの検出試験を行って、非イオン界面活性剤の含有量の違いに起因する評価検討を行った。検査デバイスの陰性・陽性検体での評価を行うにおいて、陰性検体としてLHを、0mIU/mL、あるいは陽性検体としてLHを、40mIU/mLの濃度で含む男性尿で希釈した試料150μLを用いて試験した。そして、同じ目視判定基準に従って判定した。試験結果を表2に示す。 表2の結果から明らかなように、サンプルパッド(SP)のみに添加する非イオン界面活性剤のTween20及びBrij35の含有量は、0.20〜0.60μg/mm2の範囲であれば流れ及び感度の両面で良好であることが解った。含有量が多すぎる場合には、装置製造時やパッケージ収納時に剥離等々の損傷が生じたり、乾燥状態の不均一に起因して、検出ラインの発色にムラが生じる場合がある。 上記3.にて作製するクロマトグラフ媒体において、サンプルパッド(SP)及びコンジュゲーションパッド(CP)の両方に非イオン界面活性剤であるTween20を添加する以外は、前記と同じ手順態様で実施した。そして、Tween20の含有量を変えて、被検物質であるLHの検出試験を行って、含有量の違いに起因する評価検討を行った。検査デバイスの陰性・陽性検体での評価を行うに当り、陰性検体としてLHを、0mIU/mL、あるいは陽性検体としてLHを、40mIU/mLの濃度で含む男性尿で希釈した試料150μLを、用いて試験した。試験結果を表3に示す。 表3の結果から明らかなように、非イオン界面活性剤のTween20は、サンプルパッド(SP)のみに添加しても良いが、サンプルパッド(SP)及びコンジュゲーションパッド(CP)の両方に添加するとさらに良好であることがわかる。むしろ、サンプルパッド(SP)のみに添加するより、サンプルパッド(SP)及びコンジュゲーションパッド(CP)の両方に添加すると、非イオン界面活性剤の総含有量は少量でも、流れ及び感度の両面で良好に機能することが解った。 上記1.にて作製するクロマトグラフ媒体において、使用するメンブレンの流速(High Flow Rate:水を4cm吸い上げるのにかかる時間(sec/40mm)特性の違いによる、プロゾーン現象の抑制効果について評価検討を行った。サンプルパッド(SP)のみに添加する非イオン界面活性剤としてTween20、及びBrij35を用い、その含有量は、0.2μg/mm2である。陽性検体としてLHを、20×106mIU/mLの濃度で含む男性尿で希釈した試料150μLを、用いたこと以外は、全記と同じ操作手順、及び態様で実施した。そして、同じ目視判定基準に従って判定した。その判定結果を表4に示す。 表4の結果から明らかなように、メンブレンのハイフローレートが、75(sec/40mm)以下で、プロゾーン現象を抑制する効果が得られた。 以下においては、被検物質の濃度範囲に対して、プロゾーン現象の抑制効果について評価検討を、被検物質濃度が0〜2×107mIU/mLの濃度範囲のものについて、更に、メンブレンのHFRが、45、及び75のものを用いて、発色強度(吸光度)を測定することにより行った。 上記1.にて作製するクロマトグラフ媒体において、使用するメンブレンの流速(HFR:sec/40mm)特性は、2種類(HF45,HF75)のものを使用した。HF45では、サンプルパッド(SP)のみに非イオン界面活性剤(Tween20、0.4μg/mm2)を添加した場合と、サンプルパッド(SP)に非イオン界面活性剤(Tween20、0.2μg/mm2)を、コンジュゲーションパッド(CP)にも非イオン界面活性剤(Tween20、0.2μg/mm2)を添加した場合とで、測定した。HF75では、サンプルパッド(SP)のみに非イオン界面活性剤(Tween20、0.4μg/mm2)を添加して、測定した。 陽性検体としてLHを、3〜2×107mIU/mLの濃度で含む男性尿で希釈した試料150μLを用い、かつ、上記の条件で行う以外は、前記と同じ操作手順、及び態様で実施し、プロゾーン現象の抑制効果について評価検討を行った。そして、同じ目視判定基準に従って判定した。その判定結果を表5に示す。 発色強度(吸光度)が、10未満では目視判定は、不可能であり、10以上で目視判定が、可能になる。 表5の結果から明らかなように、本発明においては、プロゾーン現象を抑制/解消する効果が、被検物質量の極めて広い濃度範囲において、かつ、非常に顕著に発揮されることが解かる。 表5のデータをグラフにしたものが、図2である。このグラフを見れば、本発明で奏されるプロゾーン現象の抑制/解消効果が、さらに明瞭である。HF45では、被検物質濃度が20〜1×107mIU/mLの範囲まで、目視判定可能であり、HF75では、被検物質濃度が50〜5×105mIU/mLの範囲まで、目視判定可能であることが、よく解かる。この結果から、メンブレンのフロースピード(展開速度)の速いHF45の方が、フロースピード(展開速度)の遅いHF75に比べて、目視判定可能な被検物質濃度ゾーンが、低濃度及び高濃度の両ゾーンで、広がっていることが解かる。即ち、高濃度検体においては、プロゾーン現象の抑制/解消効果が極めて顕著に発揮されており、また、低濃度検体においても、発色が弱まることなく発揮されていることを、裏付けています。 このように、本発明の図1に見るようなイムノクロマトキットは、少なくとも試料添加部位(サンプルパッド)に特定の非イオン界面活性剤を乾燥保持させ、クロマトグラフ媒体に用いるメンブレンとしてフロースピード(展開速度)の速い物を用いることにより、極めて広い被検物質濃度範囲にわたって、プロゾーン現象を抑制することができると共に、低い被検物質濃度においても発色が弱まることなく十分な発色強度が得られるという格別顕著な機能を果たすことを、本発明者等は知見したものである。 これらの結果から、イムノクロマトグラフ法により検体中の検出対象物の検査を行うにおいて、少なくとも試料添加部位(サンプルパッド)にHLB値が13〜18の非イオン界面活性剤を、より好ましくはHLB値が15〜17の非イオン界面活性剤を保持させ、かつ、クロマトグラフ媒体に用いるメンブレンとして、ハイフローレートが、75(sec/40mm)以下のものを用いる本発明においては、検体の流れを速くすることにより、検出対象物(抗原)がメンブレン上の検出抗体を埋めてしまう前に、発色抗体(検出対象物(抗原)と標識物質の複合体)が到達できるようになるため、検体中に検出対象物(抗原)が大過剰に存在する場合にあっても、プロゾーン現象を顕著に抑制して、展開速度の速い、S/N比が高い正確な判定ができるという顕著な効果を奏することが、明らかとなった。 本発明は、尿、血液等といった、検体抽出液等を必要としない、しかも、検体中に検出対象物(抗原等)が大過剰に存在する系にあっても、プロゾーン現象を抑制/解消して迅速且つ簡便な検査、診断ができるという免疫学的診断方法及び装置に使用することができるという優れた利点を有するため、病院、クリニックのみならず格別な技能を有しない個人であっても、高感度で迅速な臨床検査が可能であり、病気の早期診断や治療に繋がるという利用可能性を有する。さらに、低濃度から高濃度までという幅広い範囲の検体を扱うことができ、また、希釈液等の必要もなく、更に、プロゾーン現象が起きないので、判定基準も単純明快であるため、容易かつ正確な免疫学的診断方法及び装置を提供するものである。そのため、本発明のキットの取り扱い、検査効率および検査精度を上げるばかりでなく、検査の効率化、省力化も向上するので、検査機関に係わる産業分野、医療分野に係わる産業分野の発展に著しく寄与するものである。 1 ・・・ イムノクロマト装置(1) 2 ・・・ 試料添加部(2)(サンプルパッド、SP) 3 ・・・ 標識物質保持部(3)(コンジュゲートパッド、CP) 4 ・・・ イムノクロマト媒体のメンブレン(4) 5 ・・・ 検出ライン(5) 6 ・・・ 吸収部(6)(吸収パッド) 7 ・・・ パッキングシート(7)(図中では省略。) 8 ・・・ コントロールライン(8)特開平10−185921号公報特開2004−85425号公報特表2012−524277号公報試料添加部、標識物質保持部、検出部を有するクロマトグラフ媒体、および吸収部から構成されていて、試料添加部にHLB値が13〜18の非イオン性かつ親水性界面活性剤を保持させ、かつクロマトグラフ媒体に用いるメンブレンとしてフロースピードの速いものを用いることを特徴とする検体中の検出対象物を検出するためのイムノクロマトグラフィー装置。試料添加部、標識物質保持部、検出部を有するクロマトグラフ媒体、および吸収部から構成されていて、試料添加部にHLB値が13〜18の非イオン性かつ親水性界面活性剤を保持させ、かつクロマトグラフ媒体に用いるメンブレンとしてフロースピードの速いものを用いることを特徴とする検体中の検出対象物を検出するためのイムノクロマトキット。 メンブレンのフロースピードが、ハイフローレイト(sec/40mm)として75以下であることを特徴とする請求項2に記載のイムノクロマトキット。 試料添加部、及び標識物質保持部の両方に、HLB値が13〜18の非イオン性かつ親水性界面活性剤を保持させることを特徴とする請求項2又は3に記載のイムノクロマトキット。 非イオン性かつ親水性界面活性剤の含有量は、イムノクロマトキットの1キット当り0.1〜5μgであることを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載のイムノクロマトキット。 標識物質保持部には、金ナノ粒子により修飾された標識物質が乾燥保持されていることを特徴とする請求項2〜5のいずれかに記載のイムノクロマトキット。 金ナノ粒子は、その平均粒径が20〜60nmであることを特徴とする請求項6に記載のイムノクロマトキット。 検体を試料添加部に添加する工程、標識物質保持部に保持されている金ナノ粒子により修飾された標識物質により検出対象物を認識させる工程、標識物質と検出対象物の複合体を移動相として展開させる工程、および展開された移動相中の検出対象物を検出部で検出する工程、からなるイムノクロマトグラフィー検出法において、少なくとも試料添加部にHLB値が13〜18の非イオン性かつ親水性界面活性剤を保持させ、かつクロマトグラフ媒体に用いるメンブレンとしてフロースピードの速いものを用いることを特徴とするイムノクロマトグラフィー検出法。 金ナノ粒子の平均粒径が20〜60nmであることを特徴とする請求項8に記載のイムノクロマトグラフィー検出法。 検体が、生体試料であることを特徴とする請求項8又は9に記載のイムノクロマトグラフィー検出法。 検出対象物が、ペプチドホルモンであることを特徴とする請求項8〜10のいずれかに記載のイムノクロマトグラフィー検出法。 試料添加部、及び標識物質保持部の両方に、HLB値が13〜18の非イオン性かつ親水性界面活性剤を保持させることを特徴とする請求項8〜11のいずれかに記載のイムノクロマトグラフィー検出法。 【課題】免疫反応を利用して、被検出物(抗原等)が大過剰に存在する検査試料中の被検出物を、抗体によりサンドイッチして検出する方法において起きるプロゾーン現象を、抑制/解消したイムノクロマト検出方法およびイムノクロマトキットを提供する。【解決手段】試料添加部、標識物質保持部、検出部を有するクロマトグラフ媒体、および吸収部から構成されていて、試料添加部にHLB値が14〜18の非イオン性かつ親水性界面活性剤を保持させ、かつクロマトグラフ媒体に用いるメンブレンとしてフロースピードの速いものを用いることを特徴とする、検体中の検出対象物を検出するためのイムノクロマトキット、それを用いる検出方法およびそれを行う為のイムノクロマトグラフィー装置である。【選択図】図1


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