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タイトル:公開特許公報(A)_ポリエチレン樹脂の架橋度の評価方法
出願番号:2014110740
年次:2015
IPC分類:G01N 33/44,C08J 7/00


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北川 直明 JP 2015224996 公開特許公報(A) 20151214 2014110740 20140529 ポリエチレン樹脂の架橋度の評価方法 住友金属鉱山株式会社 000183303 北川 直明 G01N 33/44 20060101AFI20151117BHJP C08J 7/00 20060101ALI20151117BHJP JPG01N33/44C08J7/00 305C08J7/00 1 OL 8 4F073 4F073AA12 4F073BA07 4F073BB01 4F073CA41 4F073CA42 4F073HA11本発明は、電気製品に汎用的に使用される高分子ポリマーであるポリエチレン樹脂の放射線架橋処理による架橋度を評価するため方法で、安全、且つ簡便に評価することができる新規なポリエチレン樹脂の架橋度の評価方法に関する。電気特性に優れ、且つ耐熱性、耐溶剤性にも優れるので、従来からポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂が電気製品等には、さまざまな用途で使用されている。これらの高分子ポリマーは一般的に電子線・ガンマ線照射による放射線架橋や架橋剤、カップリング剤、過酸化物などによる化学反応(架橋反応)で架橋させることができる。ここで、高分子ポリマーを架橋させることで耐熱性や高温での機械的特性が大きく向上することが知られている。すなわち、この架橋反応の進行状況により樹脂の性能が大きく変化するため、高分子ポリマーの架橋度を精度よく評価することは重要である。一般的に、高分子ポリマーの架橋度は「ゲル分率」という試験方法で評価する(非特許文献1参照)。この方法を、簡単に示す。劇物及び有機溶剤であるキシレンを110℃に加熱し、評価する高分子ポリマーの試料を24時間浸漬保持し、その後試料を取り出し、温度100℃、真空度1.3kPa以下で24時間以上乾燥させる。ここで、乾燥した高分子ポリマー試料の質量M2を測定し、キシレンに浸漬する前の高分子ポリマー試料の質量M1として、架橋度をM1とM2との比であるM2/M1を「ゲル分率」として表す。すなわち、高分子ポリマーを溶剤で溶かした時に、溶かされずに残存する部分をゲル(架橋部分はゲルとして残る)とし、このゲル部分の質量と溶剤で溶かす前の質量との比(百分率)を「ゲル分率」として、架橋の進行の程度を評価するわけである。ところが、上記のゲル分率の測定方法は、有害な劇物及び有機溶剤であるキシレンを使用しなければならないうえに、測定に2日以上の時間がかかるという問題があった。ゴム・プラスチック絶縁電線試験方法 JIS C 3005:2000 4.25 架橋度電気製品に汎用的に使用されるポリエチレン樹脂の放射線架橋処理による架橋度を測定する方法として、一般的なゲル分率の測定方法の抱える前述したような問題点を解消し、安全且つ簡便に測定できるポリエチレン樹脂の架橋度の評価方法が望まれていた。 ポリエチレン樹脂に対し異なる吸収線量の放射線照射を施した複数のポリエチレン樹脂試料を作製し、未照射の試料を含めそれぞれ、ゲル分率測定(JIS C 3005:2000 4.25)、DMA測定、DSC測定を行い、測定により得られたゲル分率と数値A(A=160℃貯蔵弾性率(DMA)/融解熱量(DSC))との関係を検量線として作成しておき、その後照射量・架橋度が不明なポリエチレン樹脂については、貯蔵弾性率(DMA)および融解熱量(DSC)のみを測定し、その比である数値A(A=160℃貯蔵弾性率(DMA)/融解熱量(DSC))を算出し、前記検量線から測定したポリエチレン樹脂のゲル分率を算出し、ポリエチレン樹脂の架橋度とする、ポリエチレン樹脂の架橋度の評価方法が提供される。本発明によれば、電気製品で汎用的に使用される高分子ポリマーであるポリエチレン樹脂の架橋度を、短時間で測定し、架橋度を算出することができるため、ポリエチレン樹脂の放射線架橋処理の進行度を把握することができ、放射線照射の工程管理に利用できるなど利便性の高い評価方法である。高密度ポリエチレンの動的粘弾性測定(DMA)の測定例高密度ポリエチレンの放射線吸収線量と融解熱量(DSC)との関係高密度ポリエチレンのA値とゲル分率(架橋度)との関係 本発明は、従来から電子部品用途で、汎用的に使用される高分子ポリマーであるポリエチレン樹脂の架橋度の評価方法であるゲル分率測定方法(JIS C 3005:2000 4.25)の前述した問題点を解消するために、安全で且つ簡便に測定できる新規なポリエチレン樹脂の架橋度の評価方法を鋭意研究した。その結果、汎用的に使用される粘弾性体の一つである高分子ポリマーの貯蔵弾性率を動的粘弾性測定(Dynamic Mechanical Analysis、以下DMAと略す。)し、さらに示差熱走査熱量計(Differential Sanning Calorimetry、以下DSCと略す。)を用いて高分子ポリマーの熱分析から融解熱量測定を行い、この両者の実測値から算出される数値A(A=貯蔵弾性率(DMA)/融解熱量(DSC))と、高分子ポリマーの架橋度の従来からの評価方法であるゲル分率との間に相関関係が認められるという知見を得た。 すなわち、高分子ポリマーのポリエチレン樹脂に対し異なる吸収線量の放射線照射を施した複数の高分子ポリマーのポリエチレン樹脂試料を作製し、未照射の試料を含めそれぞれ、ゲル分率測定、DMA測定、DSC測定を行い、ゲル分率と数値A(A=貯蔵弾性率(DMA)/融解熱量(DSC))との関係を検量線として作成し、照射量・架橋度が不明のポリエチレン樹脂について、安全且つ簡便な測定法である貯蔵弾性率(DMA)および融解熱量(DSC)を測定し、その比の数値A(A=貯蔵弾性率(DMA)/融解熱量(DSC))を算出することで、そのポリエチレン樹脂試料の架橋度(ゲル分率)を推定することができることを見出し、本発明を完成するに至った。(1)貯蔵弾性率の動的粘弾性測定(DMA)まず、粘弾性体の一つである高分子ポリマーの貯蔵弾性率の動的粘弾性測定(DMA)について説明する。一般に、粘弾性体とは粘性と弾性の両方の性質を併せ持つ物質である。弾性とは応力を加えると一定の歪が生じ、応力を取り去ると歪が完全に元に戻り、応力と歪の間に比例関係が成立する性質(フックの法則)である。また、粘性とは応力を加えると一定の歪速度の変形が生じ、応力を取り去ると歪が回復することなく一定に留まり、応力と歪速度の間に比例関係が成立する性質(ニュートンの法則)である。応力と歪体積により生じたエネルギーの内物質内部に貯える成分に比例する係数を貯蔵弾性率E(Pa)といい、熱として物質外部へ拡散する成分に比例する係数を損失弾性率E(Pa)といい、(複素)弾性率E(Pa)は貯蔵弾性率E(Pa)と損失弾性率E(Pa)のベクトル和として定義される。高分子ポリマーなどの粘弾性体は、温度が上がるに従い、硬いガラス状態からガラス転移温度を境に、柔らかくなる。さらに温度が上がり融点付近になると液状になる。縦軸に貯蔵弾性率(単位:Pa)をとると、温度とともに低下してきてある温度域でゴム状となり低下する。低下した最低温度付近が融点に近い値を取る。高分子固体の動的粘弾性温度分布曲線ではガラス転移温度を境に、ガラス領域、転移領域、ゴム状平坦領域に分けられる。一般にはガラス領域では貯蔵弾性率は高く、融点付近では大きく低下し、その後はほぼ一定となる。 動的粘弾性測定(DMA)では、試料に変形(歪)を与え、試料から応答する力(応力)を求め、その歪をオプティカルデンコーダーで測定し変形を求める。貯蔵弾性率は高いときは試料の復元力が強く、温度が高くなるに従い低下してきて、融点付近で急激に低下する。すなわち試料の高分子ポリマーが軟化したことを示す。架橋が進んだ高分子ポリマーほど、室温と比較して、融点での貯蔵弾性率の低下が少なくなってくるといえる。この室温付近から融点を超えて160℃くらいまでの温度範囲の貯蔵弾性率E(MPa)を測定する。 図1に高密度ポリエチレンの動的粘弾性測定(DMA)測定の一例を示す。測定試料として放射線架橋した試料3点と放射線照射する前の試料1点の測定結果を合わせて示した。放射線(電子線500kGy照射、電子線1000kGy照射、ガンマ線500kGy照射)架橋した試料は高密度ポリエチレンの融点を超えた160℃の貯蔵弾性率(ストレージモデュラス)は3000〜5000MPaと高い値を示している。また、未架橋の高密度ポリエチレンは200〜400MPaと1ケタ低い値を示している。また放射線の照射線量が増えるほど、160℃の貯蔵弾性率も増大することがわかる。(2)示差熱走査熱量計(DSC)による融解熱量測定次に示差熱走査熱量計(DSC)を用いる融解熱量測定について説明する。一般に、DSCは試料及び基準物質で構成される試料部の温度を、一定に変化させ、その試料と基準物質の温度差を測定する。そのとき試料の融解、ガラス転移、結晶化、硬化などの転移他、熱履歴を解析することで、比熱、純度など種々の測定が可能である。DSC測定では、室温(たとえば20℃)から徐々に温度を上昇させていくと、ガラス転移温度になり放熱が起きる。さらに温度を上がると高分子ポリマーの融解が始まり、吸熱が起きる。さらに融点以上の温度160℃まで温度を上げて完全に溶融させたあとで、今度は室温まで温度を下げて、冷却していく。この降温過程で溶融していた高分子ポリマーが結晶化を始め、放熱し、再結晶化する。このときに高分子ポリマーの本来の配列の結晶が得られる。 再度、再結晶して得られた高分子ポリマーの試料を室温から融点以上の温度160℃まで上昇させる。その昇温過程で樹脂が再度、融解する。この時の吸熱量は、当該高分子ポリマー固有の融解熱を示すので、正確な架橋度を評価することができるわけである。ここで、結晶化する量が多いほど融解熱は大きく、また結晶サイズが大きいほど大きな融解熱を示す。逆に結晶サイズが小さいと融解熱は小さい。この関係に注目して、高分子ポリマーの結晶サイズとその結晶の融解熱との相関関係が認められることが実験結果からわかり、高分子ポリマーの結晶サイズ、すなわち当該高分子ポリマーの架橋反応の進行度(架橋度)を知ることができるわけである。一般に、架橋反応は高分子ポリマーの非結晶部で起こるため、融解後、非結晶部の架橋構造は保存される。このまま冷却すると結晶化時に架橋部による分子運動の制約により結晶は自由な成長ができず、その結果として、結晶サイズは融解前より小さくなり、融解熱も小さくなる。従って、高分子ポリマーのDSC測定により得られた結晶サイズを架橋度と見なすことができ、この融解熱を測定することで結晶サイズを知ることができるわけである。 次に、具体的にDSCによる高密度ポリエチレン樹脂の架橋度の測定方法について説明する。 測定試料としては、高密度ポリエチレンシートまたはフィルムを使用して3mm□程度に切り出し測定試料とする。測定条件は、前述したように室温から融点以上の温度の160℃までの加熱を2回行い、2回目(再結晶後)の吸熱温度、吸熱量をその試料の融解温度T(℃)、融解熱量E(cal/g)として測定する。 放射線架橋処理を行う放射線照射の方法としては、特に制限はないが、電子線、ガンマ線による照射が好適に処理することができる。放射線として、電子線、ガンマ線を使用し、吸収線量として、400kGy、1000kGy、2000kGyの3水準の条件で前述の高密度ポリエチレンシートから切り出した試料に放射線照射して得た試料についてDSC測定したところ、その結果は以下の通りであった。 400kGyで電子線照射した高密度ポリエチレンシートの融解温度Tは125.5℃、融解熱量Eは3.69cal/gであった。 1000kGyで電子線照射した高密度ポリエチレンシートの融解温度Tは125.7℃、融解熱量Eは3.27cal/gであった。 2000kGyで電子線照射した高密度ポリエチレンシートの融解温度Tは124.4℃、融解熱量Eは3.07cal/gであった。 400kGyでγ線照射した高密度ポリエチレンシートの融解温度Tは125.3℃、融解熱量Eは3.48cal/gであった。 1000kGyでγ線照射した高密度ポリエチレンシートの融解温度Tは125.6℃、融解熱量Eは3.26cal/gであった。 2000kGyで線γ照射した高密度ポリエチレンシートの融解温度Tは123.6℃、融解熱量Eは2.97cal/gであった。 また、未照射の高密度ポリエチレンシートの融解温度Tは132.7℃、融解熱量Eは5.20cal/gであった。 以上の測定結果を図2にまとめてみると、高密度ポリエチレンを電子線やガンマ線で照射し放射線架橋を施す場合に、放射線吸収線量(kGy)とDSC測定で得られた融解熱量(cal/g)の間には相関関係が認められる。また、放射線の種を問わず、放射線吸収線量に依存することもわかる。 (3)動的粘弾性測定(DMA)、および示差熱走査熱量測定(DSC)の比 次に、動的粘弾性測定および示差熱走査熱量測定の比である数値A(A=160℃の貯蔵弾性率(DMA)/融解熱量(DSC))と、ゲル分率との相関関係についてさらに検討した。 前述のように、動的粘弾性測定(DMA)と架橋度(ゲル分率)との間に相関があり、また示差熱走査熱量計(DSC)を用いる融解熱量測定との間にも架橋度(ゲル分率)と相関があることを示した。すなわち、DMAは樹脂の高温での強度により架橋度を評価し、DSCは結晶サイズで架橋度(ゲル分率)を評価しており、その架橋度との相関関係は逆相関の関係にある。架橋が進行するとDMAは増大し、DSCは減少する。この関係により、動的粘弾性測定および示差熱走査熱量測定の比である数値A(A=160℃貯蔵弾性率(DMA、単位=MPa)/溶融熱量(DSC、単位=cal/g)を用いることで、より精度よく架橋度を評価することができると考えられる。 これらの試料について、従来法(JIS C 3005:2000 4.25)のゲル分率測定して、動的粘弾性測定および示差熱走査熱量測定の比である数値A(A=160℃の貯蔵弾性率(DMA)/融解熱量(DSC))との関係を図3に示す。図3から明らかに、従来法のJIS C 3005準拠のゲル分率(架橋度)と、数値Aの間に相関があり、これを検量線とすることができる。 以下に実施例を用いて、さらに本発明を詳細に説明するが、実施例により限定されるものではない。(実施例1)試料として、融点135℃の高密度ポリエチレン(密度960kg/m3 )を使用した。この樹脂を、160℃の熱プレス機にて100mm角、厚み0.6mmのシート状に成形した。 この試料に、1回目の放射線照射として、Co60を線源としてγ線照射で200kGy照射した。次いで、2回目の照射として、電子線照射で200kGy照射し、合計400KGy照射した。電子線加速器は、株式会社NHXコーポレーション社製、EPS‐3000を用いた。放射線架橋条件として、加速電圧3000kV、電流20mA、の条件で照射した。上記の条件で放射線照射した試料を切り出し、動的粘弾性測定および示差熱走査熱量測定を行った。貯蔵弾性率の測定装置として、ティー・エイ・インスツルメント社 DMAQ800型 を使用した。試料サイズは長さ30mm、幅5mm、厚さ0.5mmに切り出し、3点方持ちで装置に取り付けた。素子に応力を加える条件は周波数0.5Hzとし、昇温速度は1℃/分、測定温度範囲は室温から170℃として測定した。測定チャートは、縦軸に貯蔵弾性率(ストレージモジュラス)、横軸に測定温度を選んで記録させた。評価に使用する貯蔵弾性率は160℃の測定値を用いた。また、示差熱走査熱量計(DSC)を用いる融解熱量測定は、測定装置はマックサイエンス(株)社のDSC3100Sを用い、窒素雰囲気中で測定した。試料は3×3mm程度の大きさに切断した。試料重量は41mgであった。測定温度は室温から160℃まで昇温し、その後室温まで冷却した後に、2回目の加熱として室温から160℃まで加熱を繰り返した。2回目の加熱で室温から160℃の間に起きる吸熱反応の熱量を融解熱量として得た 得られた結果は、DMAによる160℃の貯蔵弾性率は3216MPaで、DSCによる融解熱量は3.56cal/gであった。動的粘弾性測定および示差熱走査熱量測定の比である数値A(A=貯蔵弾性率(DMA、単位=MPa)/溶融熱量(DSC、単位=cal/g)は、903.4であった。前述の図3の検量線から、架橋度は65%と算出された。(実施例2)実施例1と同じポリエチレン試料を使用し、放射線照射条件を、1回目にγ線100kGy、2回目に電子線800kGyとした以外は、実施例1と同様にして放射線架橋を行った。得られた結果は、DMAによる160℃の貯蔵弾性率は4119MPaで、DSCによる融解熱量は3.50cal/gであった。動的粘弾性測定および示差熱走査熱量測定の比である数値Aは、1177であった。前述の図3の検量線から、架橋度は82%と算出された。(実施例3)実施例1と同じポリエチレン試料を使用し、放射線照射条件を、1回目にγ線200kGy、2回目に電子線800kGyとした以外は、実施例1と同様にして放射線架橋を行った。得られた結果は、DMAによる160℃の貯蔵弾性率は4411MPaで、DSCによる融解熱量は3.23cal/gであった。動的粘弾性測定および示差熱走査熱量測定の比である数値Aは、1366であった。前述の図3の検量線から、架橋度は92%と算出された。 (実施例4)実施例1と同じポリエチレン試料を使用し、放射線照射条件を、1回目にγ線200kGy、2回目に電子線900kGyとした以外は、実施例1と同様にして放射線架橋を行った。得られた結果は、DMAによる160℃の貯蔵弾性率は4600MPaで、DSCによる融解熱量は3.21cal/gであった。動的粘弾性測定および示差熱走査熱量測定の比である数値Aは、1433であった。前述の図3の検量線から、架橋度は96%と算出された。(実施例5)実施例1と同じポリエチレン試料を使用し、放射線照射条件を、1回目に電子線900kGy、2回目にγ線200kGyとした以外は、実施例1と同様にして放射線架橋を行った。得られた結果は、DMAによる160℃の貯蔵弾性率は4406MPaで、DSCによる融解熱量は3.25cal/gであった。動的粘弾性測定および示差熱走査熱量測定の比である数値Aは、1356であった。前述の図3の検量線から、架橋度は92%と算出された。(実施例6)実施例1と同じポリエチレン試料を使用し、放射線照射条件を、1回γ線400kGyとした以外は、実施例1と同様にして放射線架橋を行った。得られた結果は、DMAによる160℃の貯蔵弾性率は3357MPaで、DSCによる融解熱量は3.48cal/gであった。動的粘弾性測定および示差熱走査熱量測定の比である数値Aは、964.7であった。前述の図3の検量線から、架橋度は70%と算出された。(実施例7)実施例1と同じポリエチレン試料を使用し、放射線照射条件を、1回γ線1000kGyとした以外は、実施例1と同様にして放射線架橋を行った。得られた結果は、DMAによる160℃の貯蔵弾性率は4416MPaで、DSCによる融解熱量は3.22cal/gであった。動的粘弾性測定および示差熱走査熱量測定の比である数値Aは、1371であった。前述の図3の検量線から、架橋度は92%と算出された。(実施例8)実施例1と同じポリエチレン試料を使用し、放射線照射条件を、1回電子線400kGyとした以外は、実施例1と同様にして放射線架橋を行った。得られた結果は、DMAによる160℃の貯蔵弾性率は2718MPaで、DSCによる融解熱量は3.69cal/gであった。動的粘弾性測定および示差熱走査熱量測定の比である数値Aは、738.6であった。前述の図3の検量線から、架橋度は54%と算出された。(実施例9)実施例1と同じポリエチレン試料を使用し、放射線照射条件を、1回電子線1000kGyとした以外は、実施例1と同様にして放射線架橋を行った。得られた結果は、DMAによる160℃の貯蔵弾性率は3838MPaで、DSCによる融解熱量は3.23cal/gであった。動的粘弾性測定および示差熱走査熱量測定の比である数値Aは、1188であった。前述の図3の検量線から、架橋度は82%と算出された。 以上の結果から、実施例1から実施例5のように、放射線吸収線量の増加にしたがって、A値は増加し、架橋反応も進行しているのがわかる。実施例6から実施例9においては、再現よくA値が得られ、精度よく架橋度を算出できている。ポリエチレン樹脂の放射線架橋処理による架橋度を評価する方法であって、ポリエチレン樹脂に対し異なる吸収線量の放射線照射を施した複数のポリエチレン樹脂試料を作製し、未照射の試料を含めそれぞれ、ゲル分率測定(JIS C 3005:2000 4.25)、DMA測定、DSC測定を行い、測定により得られたゲル分率と数値A(A=160℃貯蔵弾性率(DMA)/融解熱量(DSC))との関係を検量線として作成しておき、その後照射量・架橋度が不明なポリエチレン樹脂については、貯蔵弾性率(DMA)および融解熱量(DSC)のみを測定し、その比である数値A(A=160℃貯蔵弾性率(DMA)/融解熱量(DSC))を算出し、前記検量線から測定したポリエチレン樹脂のゲル分率を算出し、ポリエチレン樹脂の架橋度とすること特徴とするポリエチレン樹脂の評価方法 【課題】ポリエチレン樹脂の架橋度を評価する方法として、安全且つ簡便に算出できるポリエチレン樹脂の架橋度の評価方法を提供する。【解決手段】放射線架橋したポリエチレンの架橋度の評価方法であって、複数のポリエチレン樹脂試料を作製し、未照射の試料を含めそれぞれ、ゲル分率測定(JIS C 3005:2000 4.25)、DMA測定、DSC測定を行い、測定により得られたゲル分率と数値A(A=160℃貯蔵弾性率(DMA)/融解熱量(DSC))との関係を検量線として作成しておき、その後照射量・架橋度が不明なポリエチレン樹脂に対して、貯蔵弾性率(DMA)および融解熱量(DSC)のみを測定し、その比である数値Aを算出し、前記検量線からゲル分率を算出し、安全かつ簡便にポリエチレン樹脂の架橋度を評価することができる。【選択図】なし


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