タイトル: | 公開特許公報(A)_メラノサイトとケラチノサイトの共培養からなるメラニン産生抑制剤の新規評価法 |
出願番号: | 2014110586 |
年次: | 2015 |
IPC分類: | C12N 5/07,A61K 8/97,A61Q 19/02,G01N 33/15,G01N 33/50,G01N 33/483 |
古川 祐太 東 勇佑 高柳 美咲 八木 政幸 市橋 正光 安藤 秀哉 JP 2015223134 公開特許公報(A) 20151214 2014110586 20140528 メラノサイトとケラチノサイトの共培養からなるメラニン産生抑制剤の新規評価法 株式会社山田養蜂場本社 598162665 古川 祐太 東 勇佑 高柳 美咲 八木 政幸 市橋 正光 安藤 秀哉 C12N 5/07 20100101AFI20151117BHJP A61K 8/97 20060101ALI20151117BHJP A61Q 19/02 20060101ALI20151117BHJP G01N 33/15 20060101ALI20151117BHJP G01N 33/50 20060101ALI20151117BHJP G01N 33/483 20060101ALN20151117BHJP JPC12N5/00 202A61K8/97A61Q19/02G01N33/15 ZG01N33/50 ZG01N33/483 C 2 OL 8 2G045 4B065 4C083 2G045AA24 2G045BB20 2G045CB01 4B065AA93X 4B065AC14 4B065CA60 4C083AA072 4C083AA082 4C083AA111 4C083AA112 4C083AB032 4C083AB242 4C083AB432 4C083AB442 4C083AC012 4C083AC022 4C083AC072 4C083AC092 4C083AC102 4C083AC122 4C083AC172 4C083AC302 4C083AC422 4C083AC432 4C083AC482 4C083AC532 4C083AC582 4C083AD022 4C083AD042 4C083AD092 4C083AD112 4C083AD152 4C083AD172 4C083AD272 4C083AD532 4C083AD572 4C083AD662 4C083CC04 4C083CC05 4C083CC07 4C083CC12 4C083DD17 4C083DD27 4C083DD31 4C083EE16本発明は、美白素材のメラニン産生抑制効果の評価方法と、新規美白素材の選定およびそれを配合した化粧料の提供に関する。これまでに多くの美白成分が開発されてきたが、その評価方法は主に、マウス由来のB16メラノーマ細胞の単培養系に美白素材を添加し、メラニン産生量の変化を測定するものであった(例えば、非特許文献1を参照)。しかしながら、動物種がマウスであることや、メラノサイトのがん細胞であるメラノーマ細胞を用いていることから、ヒト皮膚のメラノサイトの反応とは異なる点が多い。また、メラノサイトのメラニン生成能は、周囲に存在するケラチノサイトが放出する種々の因子によって制御されていることも近年の皮膚科学の発展に伴い明らかとなっている(例えば、非特許文献2を参照)。従って、マウスメラノーマ細胞の単培養系による従来の方法では、実際のヒト皮膚で起こっているメラニン産生の現象を反映しているとは言い難い。Ando H, Funasaka Y, Oka M, Ohashi A, Furumura M, Matsunaga J, Matsunaga N, Hearing VJ, Ichihashi M. Possible involvement of proteolytic degradation of tyrosinase in the regulatory effect of fatty acids on melanogenesis. J Lipid Res 40:1312−1316, 1999.Imokawa G. Autocrine and paracrine regulation of melanocytes in human skin and in pigmentary disorders. Pigment Cell Res 17:96−110, 2004.Swope VB, Abdel−Malek Z, Kassem LM, Nordlund JJ. Interleukins 1 alpha and 6 and tumor necrosis factor−alpha are paracrine inhibitors of human melanocyte proliferation and melanogenesis. J Invest Dermatol 96:180−185, 1991.Choi H, Ahn S, Lee BG, Chang I, Hwang JS. Inhibition of skin pigmentation by an extract of Lepidium apetalum and its possible implication in IL−6 mediated signaling. Pigment Cell Res 18:439−446, 2005.従来の方法であるB16マウス由来メラノーマ細胞による評価方法は、薬剤に対するメラニン産生量の増減が敏感に反応するため美白剤のスクリーニングには適している。しかしながら、ケラチノサイトが評価培養系に存在していないため、実際のヒトの皮膚で起こっているメラノサイトとケラチノサイトの相互作用によるメラニン産生の制御機構を再現することは不可能である。そこで、本発明ではヒト皮膚由来のメラノサイトとケラチノサイトの共培養からなる新規メラニン産生抑制剤評価法を確立し、ケラチノサイトを介したメラニン産生抑制剤を提供する事を課題とする。太陽紫外線が皮膚に照射されると、ケラチノサイトは紫外線から皮膚を防御するためエンドセリン1やステムセルファクターなどのメラニン産生促進因子を放出してメラノサイトを刺激する(例えば、非特許文献2を参照)。また、ケラチノサイトはインターロイキン6などのメラニン産生を逆に抑制する因子を同様に放出する(例えば、非特許文献3、非特許文献4を参照)。このように、メラノサイトのメラニン産生はケラチノサイトを介して制御されていることが知られている。本発明ではヒト皮膚由来のメラノサイトとケラチノサイトを同時に使用することで、上記のような実際にヒトへ使用した状態に近い効果の評価が行える事を特徴とする。メラノサイトとケラチノサイトの共培養系で評価を行う事で、メラノサイトの単培養での評価だけでは得られなかったメラノサイトとケラチノサイトの間で情報交換されるメラニン産生制御因子を介したメラニン産生抑制効果を評価できることを特徴とする。また、それにより得られる美白素材を提供する。上記のメラノサイトとケラチノサイトの共培養試験方法にて評価を行ったところ、植物エキスにメラノサイト単培養系では得られなかった高いメラニン産生抑制効果が確認された。上記植物エキスの原料としてはエイジツ(学名:Rosa multiflora)、メリンジョ(学名:Gnetum gnemon Linn)、ブドウ(学名 :Vitis vinifera)、ダイズ(学名:Glycine max)、カワラヨモギ(学名:Artemisia capillaris)、ウコン(学名:Curcuma longa)、カンゾウ(学名:Glycyrrhiza glabra)などがあげられるが本発明はこれにより限定されるものではない。また植物エキス以外にもプロポリス、ローヤルゼリー、レスベラトロール、イオウ、セレブロシド、セラミド、モンモリロナイト、カオリン、海泥、ミロネクトン、花粉荷エキスなどがあげられるが本発明はこれにより限定されるものではない。更には、上記メラニン産生抑制効果を持つ美白素材を有効成分として配合する化粧料組成物を提供する。上記方法を用いることで、従来の方法では美白素材として評価出来なかった素材からメラニン産生抑制効果を見出す事が可能となり新規の美白素材の開発が行える。また、その美白素材を従来の美白化粧料素材と組み合わせることで相乗的な効果が期待される。 以下、本発明の実施の形態に関し詳細に記載するが、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。 正常ヒトメラノサイトを培養用6穴プレートに播種し、そこにハンギング型の微小孔フィルター(直径1μm孔、ミリポア製、PIRP30R48)を装着した。さらにその微小孔フィルターの中に正常ヒトケラチノサイトを播種し、両細胞が底面に接着するまで24時間培養した。その後、培養液(GIBCO製、添加剤HMGS−2含有Medium 254)を10μg/mL濃度のエイジツエキスを含んだ培養液と交換し、6日間培養した。培地交換は中3日で実施した。微小孔フィルターを取り除いたのち培養プレートに生着したメラノサイトをトリプシン処理により回収し、細胞数をカウントした。遠沈して得た細胞ペレットをエタノール:エーテル=1:1溶液で脱脂した後、細胞ペレットに10%DMSO含有1M水酸化ナトリウム水溶液を加えて80℃10分間処理で溶解した。細胞溶解液の吸光度(490nm)を測定し、細胞数あたりのメラニン量を算出した。また、ケラチノサイトが共存しないメラノサイトのみの単培養系でも同様にエイジツエキスのメラニン産生に及ぼす影響を評価した。 図5より10μg/mLのエイジツエキスを含有した培養液で6日間培養したメラノサイトのメラニン産生量は、メラノサイトのみの単培養系ではメラニン産生抑制作用はほとんど認められなかったものの、ケラチノサイトとの共培養系ではエイジツエキスを処理していないコントロールの約67%まで減少し、顕著なメラニン産生抑制作用が認められた。(製造例)各種組成物の製造上記の評価結果に従い、以下にその処方例を示すが、各処方例は各製品の製造における常法により製造したもので良く、配合量のみを示した。又、本発明はこれにより限定されるものではない。(配合例1)化粧水 質量%グリセリン 4.00エタノール 8.00ポリオキシエチレン(60E.O.)硬化ヒマシ油 0.20エイジツエキス 0.50水溶性プラセンタエキス 1.00防腐剤(パラオキシ安息香酸エステル) 適量クエン酸 0.03クエン酸ナトリウム 0.10精製水 残 余(配合例2)乳液 質量% 流動パラフィン 5.00ワセリン 1.00デカメチルシクロペンタシロキサン 2.00ステアリルアルコール 1.00イソステアリン酸 0.50ステアリン酸 0.50モノステアリン酸グリセリル 1.00モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン(60E.O.) 2.00グリチルレチン酸ステアリル 0.05酢酸トコフェロール 0.101,3−ブチレングリコール 7.00グリセリン 5.00エイジツエキス 0.10防腐剤(パラオキシ安息香酸エステル) 適量カルボキシビニルポリマー 0.15水酸化カリウム 0.10精製水 残 余 (配合例3)クリーム 質量% α−オレフィンオリゴマー 8.00ミツロウ 2.00トリエチルヘキサノイン 3.00ジメチコン(6cs) 3.00ベヘニルアルコール 2.00ステアリルアルコール 1.00自己乳化型モノステアリン酸グリセリル 2.00モノミリスチン酸デカグリセリル 1.00天然型ビタミンE 0.05グリセリン 5.00ジプロピレングリコール 5.00エイジツエキス 0.25フェノキシエタノール 0.35防腐剤(パラオキシ安息香酸エステル) 適量グリチルリチン酸ジカリウム 0.10エデト酸二ナトリウム 0.05水素添加大豆リン脂質 0.25アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体 0.20L−アルギニン 0.22香料 0.05精製水 残 余 (配合例4)パック 質量% 1,3−ブチレングリコール 5.00ポリオキシエチレン(60E.O.)硬化ヒマシ油 0.50ポリビニルアルコール 10.00カルボキシメチルセルロースナトリウム 3.00エイジツエキス 0.50エタノール 12.00フェノキシエタノール 0.30精製水 残 余 (配合例5)パウダー 質量% タルク 79.99カオリン 5.00酸化チタン 3.00ミリスチン酸亜鉛 5.00セリサイト 7.00エイジツエキス 0.01本発明におけるメラノサイトとケラチノサイトの共培養に用いる細胞培養プレートのシステム構成図。本発明におけるメラノサイトとケラチノサイトの共培養の試験方法のスキーム図。本発明におけるメラノサイトの単培養に用いる細胞培養プレートのシステム構成図。本発明におけるメラノサイトの単培養の試験方法スキーム図。実施例1において得られた、エイジツエキスを添加した共培養(A)および単培養(B)によるメラニン産生抑制効果を示した図である。ケラチノサイトとメラノサイトの共培養から構成され両細胞間の相互作用の評価を可能とするメラニン産生抑制剤の評価方法。請求項1に記載の方法により選択された美白剤を含有する美白用組成物。 【課題】ケラチノサイトを介してメラノサイトのメラニン産生を抑制する素材の評価方法、及びそれから得られる美白素材を提供する。【解決手段】メラノサイトとケラチノサイトの共培養にて美白素材を添加し、より実際の皮膚に近い状態でメラニン産生抑制効果を評価する方法を確立する。また、確立した共培養方法を用い、ケラチノサイトを介してメラニン産生抑制効果を発現する美白素材を提供する。【選択図】なし