生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_末梢神経障害誘発感覚異常を改善する外用剤
出願番号:2014107362
年次:2015
IPC分類:A61K 45/00,A61P 25/02,A61K 36/71,A61K 36/00,A61K 31/7048,A61P 43/00


特許情報キャッシュ

安東 嗣修 小林 奈央 倉石 泰 JP 2015172029 公開特許公報(A) 20151001 2014107362 20140523 末梢神経障害誘発感覚異常を改善する外用剤 国立大学法人富山大学 305060567 安東 嗣修 小林 奈央 倉石 泰 JP 2014029424 20140219 A61K 45/00 20060101AFI20150904BHJP A61P 25/02 20060101ALI20150904BHJP A61K 36/71 20060101ALI20150904BHJP A61K 36/00 20060101ALI20150904BHJP A61K 31/7048 20060101ALI20150904BHJP A61P 43/00 20060101ALI20150904BHJP JPA61K45/00A61P25/02A61K35/78 FA61K35/78 XA61K31/7048A61P43/00 111 5 2 OL 7 4C084 4C086 4C088 4C084AA17 4C084MA63 4C084NA14 4C084ZA201 4C084ZA202 4C086AA01 4C086AA02 4C086EA11 4C086MA01 4C086MA02 4C086MA04 4C086MA63 4C086NA14 4C086ZA20 4C088AB32 4C088AB58 4C088BA23 4C088BA32 4C088MA63 4C088NA14 4C088ZA20本発明は、薬物の末梢神経障害で誘発される感覚異常の改善するためのアデノシンA1受容体アゴニストの外用剤、詳しくは、アデノシンA1受容体活性化作用を有する生薬または生薬成分を含有する外用剤に関するものである。医薬品の成分である薬物より生じる副作用の1つに神経障害がある。神経障害には中枢神経系、自律神経系、末梢神経系及び感覚器等の障害がある。これらの神経障害を引き起こす恐れがある医薬品として高脂血症治療薬、抗悪性腫瘍薬(抗がん剤)、抗ウィルス薬及び抗結核薬等が知られている。このうち、末梢神経障害で誘発される感覚異常は、薬物を使用してしばらく経過した後に手・足先の痺れ感、ほてり、感覚が鈍くなる等の症状を呈する。症状は、次第に上方の腕や脚に広がる。感覚異常の多くは両足・両手で起こるが、片足・片手だけのこともある。抗がん剤の末梢神経障害による感覚異常は、がん化学療法において問題となっている。抗がん剤の末梢神経障害の原因として、微小管の障害や血流の障害(非特許文献1)などが挙げられている。血流の障害に関しては血流改善が末梢神経障害を緩和することが知られている(非特許文献2)。一方、アデノシン受容体のサブタイプであるA1受容体のアゴニストは、血流を促進することに加え、疼痛抑制作用を有することが知られている(非特許文献3)。また、生薬として多用される芍薬の主要成分であるぺオニフロリンが、アデノシンA1受容体アゴニストとして機能することが知られている(非特許文献4)。 抗がん剤のパクタキセル誘発疼痛マウスモデルでの異痛、痛覚過敏に芍薬の経口投与が有効であることが報告されている (非特許文献5)。しかし、生薬を処方成分とする和漢薬は、通常、経口投与されるが、紫雲膏など一部を除き、外用されることは少なく、芍薬(シャクヤク)、牡丹皮(ボタンピ)などは単味で外用には用いられていない。Gauchan P et al, J. Pharmacol. Sci. 109: 469-472 (2009).Proctor KG et al, Circ. Res. 68: 683-688 (1991).Korboukh I et al, J. Med. Chem. 55: 6467-6477 (2012).Chih-Wei L et al, Life Sciences, 62(17/18):1591-1595 (1998).Hidaka, Science of Kampo Medicine, 34(1):24-25 (2010).抗がん薬投与患者などで誘発される四肢末端の末梢神経障害による感覚異常の改善方法や予防方法は確立されてない。また、芍薬は単味で漢方薬として使用されておらず、また、芍薬を処方成分とする芍薬甘草湯など漢方薬は、経口投与が基本であり、感覚異常を生じている局所での治療に用いる外用剤が求められている。本発明者らは、マウスにおいて、アデノシンA1受容体アゴニストを皮膚に塗布することで、抗がん薬投与による末梢神経障害から生じる感覚異常が改善されることを見出した。さらに、アデノシンA1受容体アゴニストを含有する生薬エキスを皮膚に塗布した場合においても、四肢末端の末梢神経障害を誘発する抗がん薬投与による末梢神経障害から生じる感覚異常が改善されることを見出し、本発明を完成させるに至った。以下に本発明を詳細に説明する。 末梢神経障害による感覚異常が問題となる薬物としては、例えば、微小管重合阻害薬(ビンカアルカロイド系薬剤、ハリコンドリンB類縁体)、微小管脱重合阻害薬(タキサン系薬剤)、白金製剤、プロテアソーム阻害剤、抗結核薬、抗原虫薬、逆転写酵素阻害薬、HMG−CoA還元酵素阻害薬、痛風治療薬、抗不整脈薬、インターフェロン製剤などが挙げられる。末梢神経障害で誘発される感覚異常としては、手先・足先の痺れ感、ほてり、痛み、痛覚過敏、異痛(アロディニア)、感覚が鈍くなるなどが挙げられる。アデノシンA1受容体アゴニストとして、N6−シクロプロピルアデノシン(N6-Cyclopentyladnosine)など合成アデノシン誘導体;ペオニフロリンおよびペオニフロリン関連化合物(アルビフロリン、オキシペオニフロリンなどの生薬成分が挙げられる。本発明の外用剤は、有効成分として、アデノシンA1受容体アゴニスト作用を有する生薬また前記した生薬成分を用いるものである。生薬として芍薬(シャクヤク)および/または牡丹皮(ボタンピ)、それらのエキスが挙げられるが、芍薬または芍薬エキスが好ましい。生薬エキスは、上記生薬から水もしくはメタノール、エタノールなどのアルコール類またはそれらの混合液を使用して煎じ、加熱還流など公知の方法またはそれに準じて製造されたものであればよい。本発明の外用剤は、通常外用剤に用いられる剤型を使用することができるが、好ましいものとして液剤、クリーム剤、軟膏剤、ゲル剤、貼付剤、エアゾール剤などが挙げられ、常法により製造することができる。また、本発明の外用剤には必要に応じ水、低級アルコール、溶解補助剤、界面活性剤、乳化安定剤、ゲル化剤、粘着剤、その他、所望する剤型を得るための通常使用される基剤成分などを配合でき、必要に応じて血管拡張剤、副腎皮質ホルモン、角質溶解剤、保湿剤、殺菌剤、抗酸化剤、清涼化剤、香料、色素などを本発明の効果が損なわれない範囲で配合することができる。合成アデノシンA1受容体作用薬やアデノシンA1受容体への作用を持つペオニフロリンなどの生薬成分およびそれを含有する生薬エキスを外用することで末梢神経障害による感覚異常を改善することができる。外用により経口投与より薬物の副作用などのリスクを減らすことができ、臨床への応用が容易となる。パクリタキセル誘発機械的アロディニアにおけるA1アデノシン受容体作動薬繰り返し塗布の効果を示す図である。図の値は、平均±標準誤差(n = 6)。* p<0.05 vs. PTX+VH2 (Holm-Sidak テスト)。VH1: PTXの溶媒(Chremophore:ethanol:saline=1:1:8)、VH2:エタノールパクリタキセル誘発機械的アロディニアにおけるペオニフロリン繰り返し塗布の効果を示す図である。図の値は、平均±標準誤差(n = 6)。* p<0.05 vs. PTX+VH2 (Holm-Sidak テスト)。VH1: PTXの溶媒(Chremophore:ethanol:saline=1:1:8)、VH2:エタノールパクリタキセル誘発機械的アロディニアにおける芍薬エキス1繰り返し塗布の効果を示す図である。図の値は、平均±標準誤差示した(n = 6)。* p<0.05 vs. PTX+VH2 (Holm-Sidak テスト)。VH1: PTXの溶媒(Chremophore:ethanol:saline=1:1:8)、VH2:エタノールパクリタキセル誘発機械的アロディニアにおける芍薬エキス2繰り返し塗布の効果を示す図である。図の値は、平均±標準誤差示した(n = 6)。* p<0.05 vs. PTX+VH2 (Holm-Sidak テスト)。VH1: PTXの溶媒(Chremophore:ethanol:saline=1:1:8)、VH2:エタノールパクリタキセル誘発自発神経発火並びに機械刺激による神経発火へのペオニフロリン繰り返し塗布の効果を示す図である。 図の値は、平均±標準誤差示(n = 8)。*p<0.05 vs. VH1+VH2、#p<0.05 vs. PTX+VH2 (Holm-Sidak テスト)。VH1: PTXの溶媒(Chremophore:ethanol:saline=1:1:8)、VH2:エタノール以下、本発明を実施例で説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、感覚異常の指標としてvon Freyフィラメントを用いた感覚の過過敏症(アロディニア)の評価を用い、また、一部の実験では、電気生理学的に、末梢神経の神経活動評価を用いた。製造例1<芍薬エキス1>芍薬50g と純水400mLを煎じ器加え,とろ火で50分間煎じる。煎じ液を濾紙で濾過し、濾液を凍結乾燥する。得られた粉末状のエキス(13.4g、収率:26.8%)はサンプル瓶に入れ、冷蔵保管する。製造例2<芍薬エキス2> 芍薬1kgと99.5%エタノール2Lをガラス容器(ナス型フラスコの上部に摺合ジムロート冷器を装着したガラス容器)に投入し、90分間加熱還流する。冷却後、上清を分取する。残渣に99.5%エタノール2Lを加え、90分間加熱還流する。冷却後、上清を分取する。この抽出操作を再度繰り返す。分取した上清を合わせ、減圧下に濃縮する。残渣を凍結乾燥し、得られた粉末状のエキス(112.4g)はサンプル瓶に入れ、冷蔵保管する。実施例1マウス(ICR,5〜7週齢, 雄性)に、パクリタキセル(PTX、5mg/kg)単回腹腔内注射し、翌日よりA1アデノシン受容体作動薬(CPA:N6-Cyclopentyladenosine)およびその溶媒(VH2:エタノール)を20μLの容量で1日2回両足(足首から指先まで全体的に)に塗布した。アロディニアは、von Freyフィラメント(0.69 mN)を用いてスコア化(0 : 反応なし又は後肢を横にずらす行動、1 : 後肢の引き上げ行動 (lifting)、2 : 後肢の振り行動 (flinching) 又は刺激部位への舐め行動 (licking))して評価した。実施例2マウス(ICR,5〜7週齢, 雄性)に、パクリタキセル(PTX、5mg/kg)単回腹腔内注射し、翌日よりペオニフロリンまたはその溶媒(VH2:エタノール)を20μLの容量で1日2回両足(足首から指先まで全体的に)に塗布した。アロディニアは、von Freyフィラメント(0.69 mN)を用いてスコア化(0 : 反応なし又は後肢を横にずらす行動、1 : 後肢の引き上げ行動 (lifting)、2 : 後肢の振り行動 (flinching) 又は刺激部位への舐め行動 (licking))して評価した。実施例3マウス(ICR,5〜7週齢, 雄性)に、パクリタキセル(PTX、5mg/kg)単回腹腔内注射し、翌日より芍薬エキス1またはその溶媒(VH2:エタノール)を20μLの容量で1日2回両足(足首から指先まで全体的に)に塗布した。アロディニアは、von Freyフィラメント(0.69 mN)を用いてスコア化(0 : 反応なし又は後肢を横にずらす行動、1 : 後肢の引き上げ行動 (lifting)、2 : 後肢の振り行動 (flinching) 又は刺激部位への舐め行動 (licking))して評価した。実施例4マウス(ICR,5〜7週齢, 雄性)に、パクリタキセル(PTX、5mg/kg)単回腹腔内注射し、翌日より芍薬エキス2またはその溶媒(VH2:エタノール)を20μLの容量で1日2回両足(足首から指先まで全体的に)に塗布した。アロディニアは、von Freyフィラメント(0.69 mN)を用いてスコア化(0 : 反応なし又は後肢を横にずらす行動、1 : 後肢の引き上げ行動 (lifting)、2 : 後肢の振り行動 (flinching) 又は刺激部位への舐め行動 (licking))して評価した。図の値は、平均±標準誤差示した(n = 6)。* p<0.05 vs. PTX+VH2 (Holm-Sidak テスト)。実施例5マウス(ICR,5〜7週齢, 雄性)に、パクリタキセル(PTX、5mg/kg)単回腹腔内注射し、翌日よりペオニフロリン(PNF、1%)またはその溶媒(VH2:エタノール)を20μLの容量で1日2回両足(足首から指先まで全体的に)に塗布した。PTX投与後14日目に伏在神経における神経活動を電気生理学的に評価した。自発的発火及びvon Freyフィラメント(0.69 mN)による刺激による発火を記録した。本発明の外用剤は、薬物の末梢神経障害による感覚異常を改善することができる。外用により経口投与より薬物の副作用などのリスクを減らすことができ、臨床への応用が容易となる。また、本発明の外用剤は、肌荒れなど環境要因による末梢神経障害による感覚異常にも有用である。末梢神経障害で誘発される感覚異常の改善作用を示すこと特徴とするアデノシンA1受容体アゴニストを含有する外用剤。アデノシンA1受容体アゴニストが生薬または生薬成分である請求項1に記載の外用剤。生薬が芍薬および/または牡丹皮である請求項2に記載の外用剤。生薬成分がペオニフロリンまたはペオニフロリンの関連化合物である請求項2に記載の外用剤。末梢神経障害で誘発される感覚異常が抗がん剤によるものである請求項1〜4に記載の外用剤。 【課題】末梢神経障害による感覚異常の改善に有用な外用剤を提供する。【解決手段】外用剤の有効成分にアデノシンA1受容体アゴニストを使用することにより、薬物などに起因する末梢神経障害による感覚異常を改善することができる。【選択図】図2


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