タイトル: | 公開特許公報(A)_(ポリ)アルキレングリコールジアルキルエーテルの製造方法 |
出願番号: | 2014083955 |
年次: | 2015 |
IPC分類: | C07C 41/16,C07C 43/11 |
鈴木 崇弘 JP 2015196680 公開特許公報(A) 20151109 2014083955 20140331 (ポリ)アルキレングリコールジアルキルエーテルの製造方法 日本乳化剤株式会社 390014856 鈴木 崇弘 C07C 41/16 20060101AFI20151013BHJP C07C 43/11 20060101ALI20151013BHJP JPC07C41/16C07C43/11 6 書面 11 4H006 4H006AA02 4H006AC43 4H006BA65 4H006BE10 4H006GN03 4H006GP01 本発明は、(ポリ)アルキレングリコールジアルキルエーテルの製造方法に関する。 従来、ジアルキルエーテルの製造方法としては、水酸化ナトリウムなどの強塩基触媒の存在下、1価アルコールにハロゲン化アルキルを反応させる方法が知られている(例えば、特許文献1)。かかる場合、クロロメタン、クロロブタンなどのハロゲン化アルキルを使用してジアルキルエーテルを製造した場合には、多量に副生する塩化ナトリウムの分離、廃棄など、余計な工程や設備が必要なためコストがかかるとの問題を有する。 かような問題点に対し、特許文献2では、相間移動触媒および粉末状の水酸化アルカリの存在下にアルコールとハロゲン化アルキルとを反応させることにより、エーテル化合物を製造する技術が提案されている。 米国特許3,591,641号公報特開平6−100487号公報 しかしながら、相間移動触媒は非常に高価なものであり、工業的に使用する場合に、製造コストが高くなるという問題点があった。また、アルカリ水溶液を使用するアルキレングリコールとハロゲン化アルキルの反応において、酸化エチレン(EO)系のアルキレングリコール類に対しては高い反応性を示すものの、酸化プロピレン(PO)系のアルキレングリコール類に対しては反応性に乏しいという問題が生じることを見出した。 そこで、本発明は、より安価にアルキレングリコールジアルキルエーテル製造が可能であり、特にPO系の(ポリ)プロピレングリコールジアルキルエーテルの反応率を向上させるアルキレングリコールジアルキルエーテルの製造方法を提供することを目的とする。 上記課題を解決すべく、本発明者らは鋭意検討を積み重ねた。その結果、驚くべきことに、(ポリ)アルキレングリコールジアルキルエーテルの製造において、水酸化ナトリウム水溶液と第三級アミンの存在下で(ポリ)アルキレングリコールとハロゲン化アルキルを反応させると、アルキレンオキサイド基(AO基)の種類によらず、反応率が向上することを見出し、本発明を完成させるに至った。 すなわち、本発明は、水酸化ナトリウム水溶液と第三級アミンの存在下、(ポリ)アルキレングリコールとハロゲン化アルキルを反応させることを特徴とする(ポリ)アルキレングリコールジアルキルエーテルの製造方法であり、(ポリ)アルキレングリコールが、下記一般式(1)であり、(式中、R1は、水素または炭素数1〜22の直鎖あるいは分枝状のアルキル基、Aは、炭素数2〜4の直鎖あるいは分枝状のアルキレン基、nは、1〜5の整数を表す。) (ポリ)アルキレングリコールが(ポリ)プロピレングリコールであり、 第三級アミンが、下記一般式(2)であり、(式中、R2、R3、R4は、それぞれ独立して炭素数1〜4の炭化水素基を表す。) 第三級アミンがトリエチルアミンであり、 ハロゲン化アルキルが塩化アルキルまたは臭化アルキルである。 本発明によれば、より安価に(ポリ)アルキレングリコールジアルキルエーテル製造が可能であり、特にPO系の(ポリ)プロピレングリコールジアルキルエーテルの反応率を向上させる(ポリ)アルキレングリコールジアルキルエーテルの製造方法が提供される。 本発明は、水酸化ナトリウム水溶液と第三級アミンの存在下、(ポリ)アルキレングリコールとハロゲン化アルキルを反応させることを特徴とする(ポリ)アルキレングリコールジアルキルエーテルの製造方法であり、前記、(ポリ)アルキレングリコールが、下記一般式(1)であり、(式中、R1は、水素または炭素数1〜22の直鎖あるいは分枝状のアルキル基、Aは、炭素数2〜4の直鎖あるいは分枝状のアルキレン基、nは、1〜5の整数を表す。) 前記、(ポリ)アルキレングリコールが(ポリ)プロピレングリコールであり、 前記、第三級アミンが、下記一般式(2)であり、(式中、R2、R3、R4は、それぞれ独立して炭素数1〜4の炭化水素基を表す。) 第三級アミンがトリエチルアミンであり、 ハロゲン化アルキルが塩化アルキルまたは臭化アルキルであり、より安価に(ポリ)アルキレングリコールジアルキルエーテルの製造が可能であり、特にPO系の(ポリ)プロピレングリコールジアルキルエーテルの反応率を向上させるアルキレングリコールジアルキルエーテルの製造方法である。そのメカニズムは明確ではないが、反応の際、第三級アミンはアルキル化剤として使用しているハロゲン化アルキルと中間体である第四級アンモニウム塩を形成する。この第四級アンモニウム塩は相間移動触媒として作用するため、アルキル化反応がスムーズに進行しているものと考えられる。 以下、(ポリ)アルキレングリコールジアルキルエーテルの製造方法について、具体的に説明する。 [(ポリ)アルキレングリコール] 本発明で用いられる(ポリ)アルキレングリコールは、前記化学式(1)で表される化合物である。前記化学式(1)中のR1として用いられる、炭素数1〜22の直鎖あるいは分枝状のアルキル基の例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、エイコシル基、ドコシル基が挙げられる。上記化学式(1)中のAとして用いられる、炭素数2〜4の直鎖あるいは分枝状のアルキレン基の例としては、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基などが挙げられる。入手容易性の観点から、エチレン基、プロピレン基が好ましく、プロピレン基が特に好ましい。上記化学式(1)中のnは、1〜5の整数である。反応性の観点から、nは2が特に好ましい。 [ハロゲン化アルキル] 本発明で用いられるハロゲン化アルキルの例としては、フッ化アルキル、塩化アルキル、臭化アルキル、ヨウ化アルキルが挙げられ、アルキル基としては直鎮あるいは分枝状のアルキル基が挙げられ、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、エイコシル基、ドコシル基が挙げられる。入手容易性の観点から、塩化メチル、臭化メチルが好ましく、塩化メチルが特に好ましい。 [第三級アミン] 本発明で用いられる第三級アミンは、前記化学式(2)で表される化合物である。前記化学式(2)中のR2、R3、R4としてそれぞれ独立して用いられる、炭素数1〜4の炭化水素基の例として、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基が挙げられる。反応率の観点から、トリエチルアミンが好ましい。 [反応工程] 水酸化ナトリウムと第三級アミンの存在下、(ポリ)アルキレングリコールとハロゲン化アルキルを反応させる際の反応条件は、特に制限されないが、以下の条件であることが好ましい。(ポリ)アルキレングリコールとハロゲン化アルキルのモル比(仕込比)は、1.0:1.0〜1.0:2.0であることが好ましく、1.0:1.4〜1.0:1.8であることがより好ましい。かような範囲であれば、効率良く反応が進行する。 また、本反応においては、溶解または懸濁のいずれの形態であってもよい。これらの形態とするために、必要に応じて適宜溶媒を使用することができる。この際使用される溶媒は、水に不溶であり、かつ反応しなければ特に制限されず、例えば環状または非環状の炭化水素を使用することができる。反応圧力や精製容易性を考慮すると、例えば、トルエン、キシレン、ノナン、イソノナン、デカンなどが挙げられる。 反応雰囲気は特に制限されず、例えば大気下、または窒素もしくはアルゴンなどの不活性ガス雰囲気下などを適宜採用することができるが、過酸化物生成の防止、及び着色防止という観点から、窒素またはアルゴンなど不活性ガス雰囲気下であることが好ましい。 反応はハロゲン化アルキルの滴下と同時に反応が進行する。滴下温度は80〜120℃であることが好ましく、90〜110℃であることがより好ましい。また滴下時間は、1〜5時間であることが好ましく、2〜3時間であることがより好ましい。反応温度は80〜120℃であることが好ましく、90〜100℃であることがより好ましい。また、反応時間は、1〜5時間であることが好ましく、2〜3時間であることがより好ましい。さらに、反応圧力は、0.01〜0.6MPaであることが好ましい。 本発明の製造方法により得られる(ポリ)アルキレングリコールジアルキルエーテルの具体例としては、下記式(3〜20)で示される化合物が挙げられる。 以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は下記の実施例により何ら制限されるものではない。なお、以下において「部」あるいは「%」の表示を用いる場合があるが、特に断りがない限り「質量部」または「質量%」を表す。 500mlオートクレーブに、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(日本乳化剤株式会社製、商品名:メチルプロピレンジグリコール、略称:MFDG)44質量部に49%水酸化ナトリウム水溶液37質量部、トリエチルアミン(略称:TEA)5質量部(10%/理論収量)を加え、釜内を窒素置換した後、90℃に昇温した。これに塩化メチル14質量部を90〜100℃、0.01〜0.6MPaで圧入し、2時間反応させた(アルキレングリコールとNaOHと塩化メチルのモル比は1:1.5:0.95)。反応後、副生物の塩化ナトリウムを濾別して、ジプロピレングリコールジメチルエーテル粗液を得た。 ジプロピレングリコールモノメチルエーテル42質量部に、49%水酸化ナトリウム水溶液35質量部、トリエチルアミン(略称:TEA)2質量部(5%/理論収量)、塩化メチル20質量部を用いた(アルキレングリコールとNaOHと塩化メチルのモル比は1:1.5:1.4)こと以外は、実施例1と同様にして、ジプロピレングリコールジメチルエーテル粗液を得た。 ジプロピレングリコールモノメチルエーテル43質量部に、49%水酸化ナトリウム水溶液35質量部、トリエチルアミン(略称:TEA)1質量部(2%/理論収量)、塩化メチル21質量部を用いた(アルキレングリコールとNaOHと塩化メチルのモル比は1:1.5:1.4)こと以外は、実施例1と同様にして、ジプロピレングリコールジメチルエーテル粗液を得た。 ジプロピレングリコールモノメチルエーテル47質量部に、49%水酸化ナトリウム水溶液34質量部、トリエチルアミン(略称:TEA)1質量部(2%/理論収量)、塩化メチル18質量部を用いた(アルキレングリコールとNaOHと塩化メチルのモル比は1:1.3:1.1)こと以外は、実施例1と同様にして、ジプロピレングリコールジメチルエーテル粗液を得た。 ジプロピレングリコールモノメチルエーテル34質量部に、49%水酸化ナトリウム水溶液42質量部、トリエチルアミン(略称:TEA)1質量部(2%/理論収量)、塩化メチル23質量部を用いた(アルキレングリコールとNaOHと塩化メチルのモル比は1:2.2:2.0)こと以外は、実施例1と同様にして、ジプロピレングリコールジメチルエーテル粗液を得た。 ジプロピレングリコールモノメチルエーテル38質量部に、49%水酸化ナトリウム水溶液47質量部、トリエチルアミン(略称:TEA)1質量部(2%/理論収量)、塩化メチル14質量部を用いた(アルキレングリコールとNaOHと塩化メチルのモル比は1:2.2:1.1)こと以外は、実施例1と同様にして、ジプロピレングリコールジメチルエーテル粗液を得た。 ジプロピレングリコールモノメチルエーテル42質量部に、49%水酸化ナトリウム水溶液42質量部、トリエチルアミン(略称:TEA)1質量部(2%/理論収量)、塩化メチル16質量部を用いた(アルキレングリコールとNaOHと塩化メチルのモル比は1:1.8:1.1)こと以外は、実施例1と同様にして、ジプロピレングリコールジメチルエーテル粗液を得た。 (比較例1) 500mlオートクレーブに、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(日本乳化剤株式会社製、商品名:メチルプロピレンジグリコール、略称:MFDG)43質量部に49%水酸化ナトリウム水溶液36質量部を加え、釜内を窒素置換した後、90℃に昇温した。これに塩化メチル21質量部を90〜100℃、0.01〜0.6MPaで圧入し、2時間反応させた(アルキレングリコールとNaOHと塩化メチルのモル比は1:1.5:1.4)。反応後、副生物の塩化ナトリウムを濾別して、ジプロピレングリコールジメチルエーテル粗液を得た。 (比較例2) ジプロピレングリコールモノメチルエーテル33質量部に、49%水酸化ナトリウム水溶液47質量部、塩化メチル20質量部を用いた(アルキレングリコールとNaOHと塩化メチルのモル比は1:2.6:1.8)こと以外は、比較例1と同様にして、ジプロピレングリコールジメチルエーテル粗液を得た。 (比較例3) ジプロピレングリコールモノメチルエーテル34質量部に、49%水酸化ナトリウム水溶液42質量部、塩化メチル24質量部を用いた(アルキレングリコールとNaOHと塩化メチルのモル比は1:2.2:2)こと以外は、比較例1と同様にして、ジプロピレングリコールジメチルエーテル粗液を得た。 (比較例4) ジプロピレングリコールモノメチルエーテル41質量部に、49%水酸化ナトリウム水溶液34質量部、塩化テトラメチルアンモニウム(略称:TMAC)4質量部(10%/理論収量)、塩化メチル20質量部を用いた(アルキレングリコールとNaOHと塩化メチルのモル比は1:1.5:1.4)こと以外は、比較例1と同様にして、ジプロピレングリコールジメチルエーテル粗液を得た。 (比較例5) ジプロピレングリコールモノメチルエーテル42質量部に、49%水酸化ナトリウム水溶液35質量部、塩化テトラメチルアンモニウム(略称:TMAC)2質量部(5%/理論収量)、塩化メチル20質量部を用いた(アルキレングリコールとNaOHと塩化メチルのモル比は1:1.5:1.4)こと以外は、比較例1と同様にして、ジプロピレングリコールジメチルエーテル粗液を得た。 (比較例6) ジプロピレングリコールモノメチルエーテル32質量部に、49%水酸化ナトリウム水溶液46質量部、塩化テトラメチルアンモニウム(略称:TMAC)2質量部(5%/理論収量)、塩化メチル20質量部を用いた(アルキレングリコールとNaOHと塩化メチルのモル比は1:2.6:1.8)こと以外は、比較例1と同様にして、ジプロピレングリコールジメチルエーテル粗液を得た。 [反応率の評価] 反応率(%)は、得られた粗液をガスクロマトグラフィーにて測定し、次式によって算出した。 なお、ガスクロマトグラフィーの分析条件は以下の通りである。 機種:島津製作所製 GC−1700 カラム:Agilent製 DB−WAX(30m×0.32mmI.D.) カラム温度:100℃ → 毎分20℃で昇温 → 230℃(3.5分間保持) 気化室温度:230℃ 検出器温度:230℃ 試料注入量:0.5μl 以上より、ジアルキルエーテル化合物の製造方法について、第三級アミンの存在下、アルキレングリコールとハロゲン化アルキルを反応させることで、より安価にアルキレングリコールジアルキルエーテルの製造が可能であり、特にPO系の(ポリ)プロピレングリコールジアルキルエーテルの反応率が向上することが示された。 本発明の製造方法により製造される(ポリ)アルキレングリコールジアルキルエーテルは、電子材料の洗浄剤、塗料の溶剤など、幅広い用途において使用することができる。 水酸化ナトリウムと第三級アミンの存在下、(ポリ)アルキレングリコールとハロゲン化アルキルを反応させることを特徴とする(ポリ)アルキレングリコールジアルキルエーテルの製造方法。 前記、(ポリ)アルキレングリコールが、下記一般式(1)である、請求項1記載の(ポリ)アルキレングリコールジアルキルエーテル化合物の製造方法。 R1−O−(AO)n−H (1)(式中、R1は、炭素数1〜22の直鎖あるいは分枝状のアルキル基、Aは、炭素数2〜4の直鎖あるいは分枝状のアルキレン基、nは、1〜5の整数を表す。) 前記、(ポリ)アルキレングリコールが(ポリ)プロピレングリコールである、請求項1または2記載の(ポリ)アルキレングリコールジアルキルエーテル化合物の製造方法。 前記、第三級アミンが、下記一般式(2)で表される請求項1〜3いずれかに記載の(ポリ)アルキレングリコールジアルキルエーテル化合物の製造方法。(式中、R2、R3、R4は、それぞれ独立して炭素数1〜4の炭化水素基を表す。) 第三級アミンがトリエチルアミンである、請求項1記載の製造方法。 ハロゲン化アルキルが塩化アルキルまたは臭化アルキルである、請求項1記載の製造方法。 【課題】本発明は、より安価に(ポリ)アルキレングリコールジアルキルエーテルの製造が可能であり、特にPO系の(ポリ)プロピレングリコールジアルキルエーテルの反応率を向上させる(ポリ)アルキレングリコールジアルキルエーテルの製造方法を提供する。【解決手段】第三級アミンの存在下、(ポリ)アルキレングリコールとハロゲン化アルキルを反応させることを特徴とする(ポリ)アルキレングリコールジアルキルエーテルの製造方法。【選択図】なし