タイトル: | 公開特許公報(A)_化合物および硬化物 |
出願番号: | 2014081846 |
年次: | 2015 |
IPC分類: | C08G 14/073,C07D 265/16 |
疇地 基央 遠藤 剛 JP 2015203041 公開特許公報(A) 20151116 2014081846 20140411 化合物および硬化物 JSR株式会社 000004178 疇地 基央 遠藤 剛 C08G 14/073 20060101AFI20151020BHJP C07D 265/16 20060101ALI20151020BHJP JPC08G14/073C07D265/16 2 4 OL 7 4C056 4J033 4C056AA02 4C056AB01 4C056AC02 4C056AD03 4C056AE02 4C056DA01 4C056DB01 4C056DC02 4J033FA01 4J033FA04 4J033HB01 4J033HB02 4J033HB09 本発明は、ジヒドロ−3,1−ベンゾオキサジン構造を有する化合物およびその硬化物に関する。 ジヒドロ−3,1−ベンゾオキサジン構造を有する化合物は、開環反応により硬化物を形成するため、発生ガスなく、硬化収縮なく硬化物を形成することができる。また、その硬化物は、耐熱性、および難燃性に優れ、さらに、低熱膨張性、低吸湿性、および低誘電特性に優れていることから、プリプレグ、電子材料、接着剤、および精密機械部品等への応用が進められている。 例えば、トリアジン構造を有するジヒドロ−3,1−ベンゾオキサジン構造を有する化合物の耐熱性について評価がなされている(非特許文献1)。Journal of Applied Polymer Science (2013) vol.127, P516-522 本発明は耐熱性に優れた硬化物を形成可能なジヒドロ−3,1−ベンゾオキサジン構造を有する化合物、およびその硬化物を提供することを目的とする。本発明は以下の[1]〜[2]である。[1]下記式(1)に示す化合物。(式中、R1はそれぞれ独立に炭素数1〜20の脂肪族基、炭素数6〜20の芳香族基、若しくは前記脂肪族基または前記芳香族基の水素原子を脂肪族基および芳香族基以外の別の基に置き換えた基を示す)[2]前記[1]に記載の化合物を熱硬化して得られる硬化物。 本発明の化合物は耐熱性に優れた硬化物を形成することができる。3官能ベンゾオキサジン構造を有する化合物の合成経路3官能ベンゾオキサジン構造を有する化合物の1H−NMR3官能ベンゾオキサジンの開環重合挙動を示差走査熱量測定結果3官能ベンゾオキサジンの硬化物の5%熱重量減少温度、10%熱重量減少温度、およびガラス転移温度の測定結果 本発明の化合物は下記式(1)に示す化合物である。式(1)中、R1はそれぞれ独立に炭素数1〜20の脂肪族基、炭素数6〜20の芳香族基、若しくは前記脂肪族基または前記芳香族基の水素原子を脂肪族基および芳香族基以外の別の基に置き換えた基を示す。前記脂肪族基としては、メチル基、エチル基、イソプロピル基、ブチル基、tert−ブチル基、およびn−オクチル基等の非環式脂肪族基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基、およびシクロオクチル基等の環式脂肪族基;が挙げられる。前記芳香族基としては、フェニル基、ナフチル基、トリル基、およびベンジル基等のヘテロ原子非含有芳香族環含有基;ピリジル基、およびピロール基等のヘテロ原子含有芳香族環含有基;が挙げられる。前記脂肪族基または前記芳香族基の水素原子を脂肪族基および芳香族基以外の別の基に置き換えた基とは、前記脂肪族基または前記芳香族基の少なくとも1つの水素原子を、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基、アミノ基、シアノ基、およびニトロ基等の別の一価の基に置き換えた基を示す。本発明の化合物は、下記式(2)に示す合成経路に示すとおり、反応溶媒中、3官能フェノールと、R1NH2で示される1級アミンおよびホルムアルデヒドとを原料として反応させることで合成できる。合成に用いる原料の含有割合は、3官能フェノール1モルに対して、1級アミンを通常3〜20モル、ホルムアルデヒドを通常6〜40モルである。反応温度は、通常、0℃〜250℃、好ましくは50℃〜150℃、反応時間は、通常、0.5〜40時間、好ましくは10〜30時間である。反応中、反応温度および反応時間は適宜変えることができる。例えば、50℃〜100℃で12時間加熱、その後100℃〜150℃で5時間加熱、その後50℃〜100℃で12時間加熱する方法が挙げられる。また、反応はどのような気圧下で行ってもよい。特に、減圧下、水を除去しながら反応を行うのが好ましい。前記反応溶媒としては、クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン系溶媒;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒;キシレン、トルエン等の芳香族系溶媒;N−メチル−2−ピロリドンが挙げられる。また、反応は触媒存在下で行うことができる。前記触媒としては、酸触媒、および塩基触媒が挙げられる。前記酸触媒としては、塩酸、硫酸等の無機酸;p−トルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、メタンスルホン酸等の有機酸;塩化アルミニウム、塩化亜鉛等のルイス酸;活性白土、酸性白土、ホワイトカーボン、ゼオライト、シリカアルミナ等の固体酸;酸性イオン交換樹脂等が挙げられる。前記塩基触媒としては、ジアザビシクロウンデセン、およびピリジン等が挙げられる。これらの中でも塩基触媒が好ましい。 前記R1NH2で示される1級アミンにおけるR1は前記R1と同じで炭素数1〜20の脂肪族基、炭素数6〜20の芳香族基、若しくは前記脂肪族基または前記芳香族基の水素原子を脂肪族基および芳香族基以外の別の基に置き換えた基である。R1NH2で示される1級アミンとしては、例えば、メチルアミン、エチルアミン、フェニルアミン、アニリン、シクロヘキシルアミン、ブチルアミン、ヘキシルアミン、アリルアミン、及びプロピレンジアミンが挙げられる。これらは1種類を単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。また、合成に用いるホルムアルデヒドはパラホルムアルデヒドとして用いることもできる。 また、前記1級アミンと、ホルムアルデヒドとからテトラヒドロトリアジン類を合成し、このテトラヒドロトリアジン類を、1級アミンおよびホルムアルデヒドの原料として用いることができる。例えば、下記式(3)に示す合成経路に従って、N、N、N−トリフェニル−テトラヒドロトリアジンを合成し、このN、N、N−トリフェニル−テトラヒドロトリアジンを1級アミン類およびホルムアルデヒドの原料として用いることが挙げられる。 式(3)中Phはフェニル基を示す。 反応終了後、反応液には本発明の化合物以外に、前記原料や、反応中間体、ジヒドロ−3,1−ベンゾオキサジン構造が開環した化合物などさまざま化合物が含まれている。このため、反応終了後は、公知の精製方法、例えば、再結晶法、再沈殿法、および液洗浄法により精製するのが好ましい。 本発明の硬化物は、前記式(1)に示す化合物を熱硬化して得られる硬化物である。熱硬化の温度条件は、通常、100℃以上の温度、好ましくは100〜350℃、さらに好ましくは200〜300℃で、通常、0.1〜10時間、好ましくは0.5〜5時間である。また、熱硬化の際にはジヒドロ−3,1−ベンゾオキサジン化合物で通常用いられる硬化促進触媒を用いることができる。前記硬化促進触媒としては、例えば、PCl5、TiCl4、AlCl3、TeOMe等の無機酸;p−トルエンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸エステル等の有機酸;が挙げられる。また、硬化促進触媒と共に助触媒としてアミン類を用いることができる。 本発明の硬化物には、炭素繊維およびガラス繊維等の繊維類;染料および顔料等の着色剤;ホスファゼン化合物、臭化物等の難燃剤;エポキシ樹脂等の架橋剤;ゴム粒子等の弾性付与剤;シリカ、酸化チタン等の無機粒子;等を含有することができる。 本発明の硬化物は下記式(4)に示す架橋構造を有しているものと推定される。式(4)中、「*」は架橋点を示す。本発明の硬化物は、ガラス転移温度350℃以上、5質量%熱重量減少温度350℃以上の優れた耐熱性を有する。 以下、本発明を実施例に基づいてさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されない。以下の実施例等の記載において、特に言及しない限り、「部」は「質量部」の意味で用いる。[実施例1] 図1に示すように酢酸フェニルを出発原料として、3官能フェノールを合成し、トルエン中、3官能フェノール1モルに対して、アニリン3モル、ホルムアルデヒド6モルを90℃で4時間加熱し、3官能ベンゾオキサジン構造を有する化合物(A1)を収率36モル%で合成した。前記3官能ベンゾオキサジン構造を有する化合物(A1)の1H−NMRを図2に示す。[実施例2]前記ベンゾオキサジン(A1)の開環重合挙動を示差走査熱量測定(DSC)で評価した(図3)。ベンゾオキサジン(A1)は発熱開始温度(Tonset)が204℃、発熱ピークトップ温度(Tpeaktop)が238℃であることが分かった。Tpeaktopが238℃であることから、ベンゾオキサジン(A1)を、窒素雰囲気下、240℃で1時間加熱硬化させて、硬化物を得た。この硬化物について、5%熱重量減少温度(Td5%)、10%熱重量減少温度(Td10%)、およびガラス転移温度(Tg)を測定した(図4)。測定の結果、前記硬化物は、Td5%が396℃、Td10%が424℃、およびTgが385℃であり、600℃での炭素収率(Char Yield)は74質量%であった。前記非特許文献に記載のトリアジン構造を有するジヒドロ−3,1−ベンゾオキサジン構造を有する化合物から得られる硬化物のTgが332℃、Td5%が374℃であることから、ベンゾオキサジン(A1)から得られる硬化物は優れた耐熱性を有することが明らかとなった。下記式(1)に示す化合物。(式中、R1はそれぞれ独立に炭素数1〜20の脂肪族基、炭素数6〜20の芳香族基、若しくは前記脂肪族基または前記芳香族基の水素原子を脂肪族基および芳香族基以外の別の基に置き換えた基を示す) 請求項1に記載の化合物を熱硬化して得られる硬化物。 【課題】耐熱性に優れた硬化物を形成可能なジヒドロ−3,1−ベンゾオキサジン構造を有する化合物、およびその硬化物を提供することを目的とする。【解決手段】下記式(1)に示す化合物。【化1】(式中、R1はそれぞれ独立に炭素数1〜20の脂肪族基、炭素数6〜20の芳香族基、若しくは前記脂肪族基または前記芳香族基の水素原子を脂肪族基および芳香族基以外の別の基に置き換えた基を示す)【選択図】図4