タイトル: | 公開特許公報(A)_水相にαゲル構造を保持した油中水型乳化化粧料又は皮膚外用剤 |
出願番号: | 2014067338 |
年次: | 2015 |
IPC分類: | A61K 8/55,A61K 47/24,A61K 8/44,A61K 47/18,A61K 8/06,A61K 9/06,A61Q 19/00,A61P 17/00 |
田中 佳祐 李 金華 鈴木 敏幸 JP 2015189696 公開特許公報(A) 20151102 2014067338 20140328 水相にαゲル構造を保持した油中水型乳化化粧料又は皮膚外用剤 株式会社コスモステクニカルセンター 301068114 日光ケミカルズ株式会社 000226437 日本サーファクタント工業株式会社 000228729 田中 佳祐 李 金華 鈴木 敏幸 A61K 8/55 20060101AFI20151006BHJP A61K 47/24 20060101ALI20151006BHJP A61K 8/44 20060101ALI20151006BHJP A61K 47/18 20060101ALI20151006BHJP A61K 8/06 20060101ALI20151006BHJP A61K 9/06 20060101ALI20151006BHJP A61Q 19/00 20060101ALI20151006BHJP A61P 17/00 20060101ALI20151006BHJP JPA61K8/55A61K47/24A61K8/44A61K47/18A61K8/06A61K9/06A61Q19/00A61P17/00 3 OL 8 4C076 4C083 4C076AA09 4C076BB31 4C076CC18 4C076DD28 4C076DD30 4C076DD38 4C076DD46 4C076DD50 4C076DD51 4C076DD63 4C076EE23 4C076EE27 4C076FF16 4C083AB032 4C083AB212 4C083AB242 4C083AB332 4C083AB442 4C083AC122 4C083AC342 4C083AC422 4C083AC542 4C083AC581 4C083AC582 4C083AC642 4C083AC901 4C083AC902 4C083AD162 4C083AD172 4C083AD572 4C083AD642 4C083CC02 4C083CC05 4C083CC19 4C083CC33 4C083DD32 4C083DD41 4C083EE01 4C083EE07 4C083EE12 4C083EE28 本発明は、直鎖型モノアルキルリン酸エステル塩が形成するαゲルを水相に保持した油中水型乳化化粧料又は皮膚外用剤に関する。 従来より、香粧品分野では、界面活性剤や高級アルコールなどによって形成された高次構造体は多数用いられており、その有用性が報告されている(特許文献1及び2)。しかしながら、従来の界面活性剤や高級アルコールによって構築した従来の高次構造体は、水中では安定なものであるが、これを油中水型乳化物に応用した例はいまだ報告されていない。なぜならば、水相中で形成した高次構造体は乳化または分散する際の機械力に弱く、調製中に崩壊してしまうこと、また乳化する際に用いた他成分の影響で構造が変化してしまうこと、特に油剤と混合した際の影響が大きく、安定な高次構造体を調製後の油中水型乳化物中に保持できないことが原因である。更に従来の高次構造体は界面活性剤や高級アルコールが高濃度配合されており、水相が高粘度で油中水型乳化物を作ること自体が困難であるという問題があった。 また、高級アルコールを配合せずに、直鎖型モノアルキルリン酸エステルを用いたαゲル構造体に関する技術については、我々が報告しているが(特許文献3)、これも水中での安定性や水中油型乳化物についての記述のみで、油中水型乳化物についての記載は一切されていない。特開2008−115612特開2010−280587特開2013−177367 本発明は、これまで調製がなされていない水相にαゲル構造を保持した油中水型乳化化粧料又は皮膚外用剤を安定かつ容易に調製し、これを提供することを課題とする。 これらの実情を鑑み、本発明者らは、水相にαゲル構造を保持したまま安定な油中水型乳化化粧料又は皮膚外用剤の調製について鋭意検討した結果、水相中に直鎖型モノアルキルリン酸エステルと特定の中和剤、水によってαゲル構造を構築し、その後、外相である油および界面活性剤および/または有機変性粘土鉱物等と混合することにより、目的である水相にαゲル構造を保持した油中水型乳化化粧料又は皮膚外用剤を得るに至った。 すなわち、本発明は、水相中に(a)直鎖型モノアルキルリン酸エステルと(b)塩基性アミノ酸、有機塩基、無機塩基から選ばれる1種または2種以上の中和剤と(c)水を必須成分として含有することで、水中にαゲル構造を構築し、これを油中に乳化又は分散させたことを特徴とする全く新しい剤型の油中水型乳化化粧料又は皮膚外用剤である。 本発明は、従来調製できなかった水中にαゲル構造を保持した油中水型乳化化粧料又は皮膚外用剤を、直鎖型のモノアルキルリン酸エステルと特定の中和剤を用いることにより調製した新規な油中水型乳化化粧料又は皮膚外用剤である。本発明者らは、直鎖型モノアルキルリン酸エステル塩は、室温付近の25〜30℃で安定なαゲル構造を構築しうることに着目し、この直鎖型モノアルキルリン酸エステル塩を用いることで水中に安定なαゲル構造を保持したまま、油中水型乳化組成物を調製することが可能であることを見出した。 さらに、本発明により得られる新規化粧料及び新規皮膚外用剤は従来の製剤とは異なり、水相中にαゲル構造を保持することで従来の油中水型乳化組成物よりも高い保湿効果を有し、かつ、αゲル構造特有のさっぱりした使用感を付与できる。 以下、本発明について詳述する。 本発明に使用される成分(a)直鎖型モノアルキルリン酸エステルは、好ましくはアルキル基の炭素数が12〜36、より好ましくは12〜30であり、さらに好ましくは14〜22である。このようなアルキル鎖長を変えたアルキルリン酸エステルは容易に合成することができ、任意に鎖長を変えたアルキルリン酸エステルを得ることが可能である。本発明では、このようにして得られた直鎖型モノアルキルリン酸エステルの1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。 本発明で使用される成分(b)塩基性アミノ酸、有機塩基、無機塩基より選ばれる1種または2種以上の中和剤としては、具体的には、アルギニン、リシン、ヒスチジン、トリプトファン等の塩基性アミノ酸類、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、アミノメチルプロパノール、アミノメチルプロパンジオール、アミノエチルプロパンジオール、トリスヒドロキシメチルアミノメタン等の有機塩基、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の無機塩基が挙げられる。これらのうち、好ましくは塩基性アミノ酸であり、特に好ましくはアルギニンである。 成分(a)に対し、成分(b)の配合量は0.2当量から1.8当量が好ましく、更に好ましくは0.5当量から1.5当量である。 さらに、本発明の油中水型乳化化粧料又は皮膚外用剤を調製するための油相及び乳化剤その他の成分については、特に制限はなく、通常の油中水型乳化物を調製する際に使用される原料であればいずれも使用することができる。 本発明に使用される油性成分は、その油剤の組成や性状により本発明の水相中のαゲル構造に影響を与えることはなく、通常化粧料などに使用されるものであれば特に制限されるものではない。またこれらの成分を組み合わせて使用することもできる。具体的には、スクワラン、流動パラフィンなどの炭化水素類、オリーブ油、マカデミアンナッツ油、ホホバ油などの植物油、牛脂などの動物油、トリイソオクタン酸グリセリル、ミリスチン酸イソプロピル、イソオクタン酸セチル、パルミチン酸イソオクチルなどのエステル類、ジメチルシリコーン、フェニルメチルシリコーン、シクロメチコンなどのシリコーン類、メトヒキケイヒ酸エチルヘキシル、オクトクリレン、サリチル酸エチルヘキシル、ホモサレート、ポリシリコーン‐15などの紫外線吸収剤などが挙げられる。また固体油、極性脂質なども同様に使用でき、具体的には、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ミリスチルアルコール、オレイルアルコール、セトステアリルアルコールなどの高級アルコール、極性脂質としては、セラミド類、リン脂質、コレステロール及びその誘導体、糖脂質類などが挙げられる。 本発明に使用される乳化剤については、界面活性剤、有機変性粘土鉱物などがあるが、その種類によって本発明の水相中のαゲル構造に影響を与えることはなく、通常油中水型乳化物に利用されるものであれば特に制限されるものではない。またこれらの成分を組み合わせて使用することもできる。界面活性剤としては、具体的には、POEアルキルエーテル類、POE脂肪酸エステル類、POEソルビット脂肪酸エステル類、POEグリセリン脂肪酸エステル類、POE・POPアルキルエーテル類、ポリソルベート類、ソルビタン脂肪酸エステル類、ポリグリセリン脂肪酸エステル、POE変性シリコーン、ショ糖脂肪酸エステル類、グリセリン脂肪酸エステル類、等のノニオン型界面活性剤。脂肪酸セッケン類、硫酸エステル類、アシル化アミノ酸塩類、リン酸エステル類等アニオン性界面活性剤。第4級アンモニウム塩などがある。有機変性粘土鉱物としては、好ましくは四級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤で処理したカチオン変性粘土鉱物であり、ジメチルジステアリルアンモニウムヘクトライト、ジメチルジステアリルアンモニウムベントナイト、ベンジルジメチルステアリルアンモニウムヘクトライト等が挙げられる。市販品としては、エレメンティスジャパン社製のベントン38VCG(ジメチルステアリルアンモニウムヘクトライト)等が挙げられる。 本発明の水相にαゲル構造を有する油中水型乳化化粧料又は皮膚外用剤は、成分(a)〜(c)を含む水相を60℃以上で均一に混合し、室温まで攪拌冷却する。次に任意の油相を攪拌しながら、あらかじめ調製した水相を徐々に添加することで調製することができる。 また、本発明の化粧料又は皮膚外用剤には、本発明の効果を損なわない範囲において、通常化粧品または皮膚外用剤に用いられる各種の成分、例えば、活性成分、保湿成分、抗菌成分、粘度調整剤、色素、香料等を配合できる。 活性成分としては、アスコルビン酸、アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム、パルミチン酸アスコルビル、ステアリン酸アスコルビル、テトライソパルミチン酸アスコルビル、アスコルビン酸グルコシド、アルブチン、エラグ酸、ルシノールなどの美白剤、アミノ酸などのNMF成分、水溶性コラーゲン、エラスチン、グリチルリチン酸、グリチルレチン酸、セラミドなどの肌荒れ防止剤、レチノール、ビタミンA酸などの抗老化剤や各種ビタミン類やその誘導体などが挙げられる。 保湿成分としては、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、ピロリドンカルボン酸ナトリウムなどを挙げられる。 また本発明にかかる化粧料または皮膚外用剤の使用用途は特に限定されるものではないが、例えば、乳液、ゲル、クリーム、ヘアトリートメントなど、種々の製品に応用することが可能である。 以下に実施例を示しながら本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。また以下に示す質量%とは、組成物全体に対する質量%のことである。 (1)試料の調製 表1および表2に示す処方で水相にαゲル構造を有する油中水型乳化化粧料を調製した。表中Bに示す相を加熱混合し、室温まで冷却後、あらかじめ混合しておいた表中Aに示す相を攪拌しながら、B相を徐々に混合し、調製終了とした。 (2)水相のαゲル構造確認 調製後の油中水型乳化化粧料の水相にαゲル構造を保持しているかの確認は偏光顕微鏡を用いて観察した。偏光顕微鏡下でαゲル構造の存在を意味する光学異方性が確認されたものを○、確認できなかったものを×とした。※NIKKOL ニコムルスWO:シクロペンタシロキサン、PEG−10ジメチコン、ジステアルジモニウムヘクトライト※NIKKOL HEXAGLYN PR−15:ポリリシノレイン酸ポリグリセリル−6モイスチャークリーム(A)NIKKOL ニコムルスWO 4.00(質量%) シクロペンタシロキサン 26.00(B)直鎖C18リン酸エステル 3.50 アルギニン 1.50 水添レシチン 0.50 1,3−ブチレングリコール 3.00 グリセリン 10.00 防腐剤 適量 精製水 残余調製方法:Bを加温し、均一溶解後室温まで冷却する。Aを攪拌しながら、Bを徐々に加える。均一攪拌後、調製終了とする。αゲル構造確認:偏光顕微鏡により、水相に光学異方性を確認した。ヘアトリートメント(A)NIKKOL ニコムルスWO 3.00(質量%) NIKKOL HEXAGLYN PR−15 1.50 シクロペンタシロキサン 10.00 トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル 5.00 アモジメチコン 1.00 パンテノール 0.50(B)直鎖C20リン酸エステル 3.00 直鎖C32リン酸エステル 0.50 塩化ナトリウム 0.50 トリエタノールアミン 1.00 1,3−ブチレングリコール 8.00 グリセリン 5.00 防腐剤 適量 精製水 残余調製方法:Bを加温し、均一溶解後室温まで冷却する。Aを攪拌しながら、Bを徐々に加える。均一攪拌後、調製終了とする。αゲル構造確認:偏光顕微鏡により、水相に光学異方性を確認した。ホワイトニングミルク(A)NIKKOL HEXAGLYN PR−15 4.00(質量%) NIKKOL DGMIS 2.00 NIKKOL VC−IP 3.00 トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル 20.00(B)直鎖C20リン酸エステル 3.00 アルギニン 1.20 グリセリン 8.00 防腐剤 適量 精製水 残余調製方法:Bを加温し、均一溶解後室温まで冷却する。Aを攪拌しながら、Bを徐々に加える。均一攪拌後、調製終了とする。αゲル構造確認:偏光顕微鏡により、水相に光学異方性を確認した。※NIKKOL DGMIS:イソステアリン酸ポリグリセリル−2※NIKKOL VC−IP:テトラヘキシルデカン酸アスコルビルサンスクリーンミルク(A)シクロペンタシロキサン 20.00(質量%) パルミチン酸エチルヘキシル 3.00 PEG−9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン 1.00 ジメチコン(6cs) 12.50 酸化チタン 10.00 酸化亜鉛 10.00 PEG−10ジメチコン 4.00(B)1,3−ブチレングリコール 5.00 グリセリン 5.00 塩化ナトリウム 0.50 直鎖C24リン酸エステル 2.50 トリエタノールアミン 1.00 防腐剤 適量 精製水 残量調製方法:A,Bを加温し、均一溶解する。Aを攪拌しながら、Bを徐々に添加する。均一攪拌後、室温まで攪拌冷却し調製終了とする。αゲル構造確認:偏光顕微鏡により、水相に光学異方性を確認した。 本発明の水相にαゲル構造を保持した油中水型乳化化粧料又は皮膚外用剤は、従来は調製困難であった油中水型乳化物の水相にαゲル構造を安定に保持できる、今までにない新しい剤型の油中水型乳化化粧料又は皮膚外用剤を提供できる。水相中に次の(a)〜(c)を必須成分として含有することを特徴とする、水相にαゲル構造を保持した油中水型乳化化粧料又は皮膚外用剤。(a)直鎖型モノアルキルリン酸エステル(b)塩基性アミノ酸、有機塩基、無機塩基から選ばれる1種または2種以上の中和剤(c)水前記成分(a)のアルキル基の炭素数が12〜36である請求項1に記載の水相にαゲル構造を保持した油中水型乳化化粧料又は皮膚外用剤。前記成分(a)のモノエステル含量が90%以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の水相にαゲル構造を保持した油中水型乳化化粧料又は皮膚外用剤。 【課題】水相中のαゲル構造が機械的および化学的に不安定であるために、従来、調製が困難であった水相中にαゲル構造を持った油中水型乳化化粧料又は皮膚外用剤を、安定かつ容易に調製し、これを提供することを課題とした。【解決手段】水相中に(a)直鎖型モノアルキルリン酸エステル、(b)塩基性アミノ酸、有機塩基、無機塩基から選ばれる1種または2種以上の中和剤、(c)水を必須成分として含有することにより、水相中にαゲル構造を構築し、さらにその水相を油中に乳化、分散させた際に、油性成分や乳化剤の種類に影響を受けることなく、水相中にαゲル構造を保持した油中水型乳化化粧料又は皮膚外用剤を安定かつ容易に調製できることを見出し、上記課題を解決するに至った。【選択図】なし