タイトル: | 公開特許公報(A)_ソリフェナシン非晶質体を含有する医薬組成物 |
出願番号: | 2014066222 |
年次: | 2015 |
IPC分類: | A61K 31/4725,A61K 9/20,A61K 47/12,A61K 47/18,A61K 47/08,A61K 47/02,A61K 47/32,A61K 47/36,A61K 47/38,A61K 9/16,A61P 1/00,A61P 11/00,A61P 11/02,A61P 11/06,A61P 13/10,A61P 43/00 |
山下 智典 洞口 陽彦 JP 2015189677 公開特許公報(A) 20151102 2014066222 20140327 ソリフェナシン非晶質体を含有する医薬組成物 テバ製薬株式会社 000208145 小谷 悦司 100067828 小谷 昌崇 100115381 宇佐美 綾 100162765 山下 智典 洞口 陽彦 A61K 31/4725 20060101AFI20151006BHJP A61K 9/20 20060101ALI20151006BHJP A61K 47/12 20060101ALI20151006BHJP A61K 47/18 20060101ALI20151006BHJP A61K 47/08 20060101ALI20151006BHJP A61K 47/02 20060101ALI20151006BHJP A61K 47/32 20060101ALI20151006BHJP A61K 47/36 20060101ALI20151006BHJP A61K 47/38 20060101ALI20151006BHJP A61K 9/16 20060101ALI20151006BHJP A61P 1/00 20060101ALI20151006BHJP A61P 11/00 20060101ALI20151006BHJP A61P 11/02 20060101ALI20151006BHJP A61P 11/06 20060101ALI20151006BHJP A61P 13/10 20060101ALI20151006BHJP A61P 43/00 20060101ALI20151006BHJP JPA61K31/4725A61K9/20A61K47/12A61K47/18A61K47/08A61K47/02A61K47/32A61K47/36A61K47/38A61K9/16A61P1/00A61P11/00A61P11/02A61P11/06A61P13/10A61P43/00 111 10 OL 15 4C076 4C086 4C076AA31 4C076AA36 4C076BB01 4C076CC15 4C076CC16 4C076CC17 4C076CC29 4C076DD27 4C076DD38 4C076DD43 4C076DD49 4C076EE16 4C076EE30 4C076EE31 4C076EE32 4C076EE38 4C086AA10 4C086CB17 4C086MA02 4C086MA03 4C086MA05 4C086MA35 4C086MA41 4C086MA52 4C086NA03 4C086ZA59 4C086ZA66 4C086ZA81 4C086ZC02 本発明は、安定なソリフェナシン非晶質体を含有する医薬組成物に関する。 ソリフェナシンまたはその製薬学的に許容される塩は、特に頻尿、尿失禁等の泌尿器疾患等の治療剤及び/又は予防剤として有用な医薬有効成分として知られている。ソリフェナシンは、下記式:で示される化合物であり、化学名は(R)−キヌクリジン−3−イル (S)−1−フェニル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−2−カルボキシラートである。ソリフェナシンは遊離塩基の形態およびコハク酸エステルの形態(コハク酸リソフェナシン)としても知られている。 コハク酸ソリフェナシンは、ムスカリンM3受容体に対する選択的アンタゴニストとして機能する膀胱鎮攣薬であり、過活動膀胱という症状(例えば過活動膀胱症候群(OAB)の患者に起こる可能性がある尿意切迫、排尿頻度増大)の治療薬として使用されている。そのほかにも、慢性閉塞性肺疾患、慢性気管支炎、喘息や鼻炎等の呼吸器疾患、過敏性大腸症候群、痙性大腸炎及び憩室炎等の消化器疾病の予防治療剤として有用であることが報告されている(特許文献1)。特に、本化合物は、心臓等に存在するM2受容体と比較して平滑筋や腺組織等に存在するM3受容体に対する選択性が高く、心臓等への副作用の少ないM3受容体拮抗薬として、特に尿失禁並びに頻尿、慢性閉塞性肺疾患、慢性気管支炎、喘息及び鼻炎等の予防薬若しくは治療薬として有用性が高い。ソリフェナシンは、現在日本では、過活動膀胱における尿意切迫感、頻尿及び切迫性尿失禁の治療剤として、ベシケア(登録商標)、米国ではVESIcare(登録商標)、欧州ではVesicare(登録商標)として販売されている。 このように有用な医薬成分であるコハク酸ソリフェナシンについて、安定な医薬組成物・医薬製剤を得る試みがこれまでにもなされている。 これまでにも、有効成分であるソリフェナシンについて非晶質の割合を限定することにより、安定性を担保する技術(特許文献2)や、クエン酸等の安定化剤を添加することによりソリフェナシンが非晶質状態であったとしても安定化を担保するという技術(特許文献3)が報告されている。国際公開第WO96/20194号パンフレット国際公開第WO2005/092889号パンフレット国際公開第WO2010/113840号パンフレット しかしながら、まず、特許文献2記載の発明は、ソリフェナシンの非晶質体そのものを安定化するような技術ではなく、また、特許文献3記載の発明は、クエン酸を用いることによりソリフェナシンの非晶質化状態を維持することができるが、しかし、クエン酸は圧縮成型をする製剤に使用することには適していない。 従って、ソリフェナシンの非晶質体を含有する安定な医薬組成物を提供するためには、更なる改善が求められていたのが現状である。 本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、ソリフェナシンの非晶質体を含有する、より安定な医薬組成物を提供することを目的とする。 本発明の一態様に係る医薬組成物は、ソリフェナシンまたはその製薬学的に許容される塩の非晶質体と、リンゴ酸またはその製薬学的に許容される塩及びメグルミンまたはその製薬学的に許容される塩から選択される少なくとも1種のソリフェナシン非晶質体の非晶質体維持剤とを含有する。 上記医薬組成物において、前記非晶質体維持剤を、ソリフェナシンまたはその製薬学的に許容される塩の非晶質体の量に対して1:1以上の割合で含有することが好ましい。 また、上記医薬組成物において、医薬組成物中の前記非晶質体維持剤の含有量が1質量%〜50質量%であることが好ましい。 さらに、上記医薬組成物が吸着剤を含有していることが好ましい。 また、上記医薬組成物において、前記吸着剤が、マンニトール、部分アルファー化デンプン、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、結晶セルロース及びケイ酸カルシウムなどからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。 さらに、上記医薬組成物が結着剤を含有していることが好ましい。 また、上記医薬組成物において、前記結着剤が、ポリビニルピロリドン、ヒプロメロース、プルラン及びメチルセルロースなどからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。 上記医薬組成物が口腔内速崩錠であることが好ましい。 また、本発明の他の態様に係る、ソリフェナシンまたはその製薬学的に許容される塩の非晶質体を含有する医薬組成物の製造方法は、リンゴ酸またはその製薬学的に許容される塩及びメグルミンまたはその製薬学的に許容される塩から選択される少なくとも1種にソリフェナシンまたはその製薬学的に許容される塩を溶媒に溶解させた溶液を噴霧してソリフェナシンの非晶質化を行う工程を含む、ことを特徴とする。 本発明のさらなる他の態様に係る、ソリフェナシンまたはその製薬学的に許容される塩の非晶質体を安定化させる方法は、リンゴ酸またはその製薬学的に許容される塩及びメグルミンまたはその製薬学的に許容される塩から選択される少なくとも1種のソリフェナシン非晶質体の非晶質体維持剤を加えることによって安定化を行うことを特徴とする。 本発明によれば、従来よりも優れた、安定なソリフェナシンの非晶質体を含有する医薬組成物を提供することができる。すなわち、本発明の医薬組成物に含まれるコハク酸ソリフェナシン非晶質体は、経時的に安定な非晶質状態を維持することができる。 本明細書においてソリフェナシンまたはその製薬学的に許容される塩の「非晶質」あるいは「非晶質体」とは、ソリフェナシンまたはその製薬学的に許容される塩が結晶学的に非晶質の構造を有することを意味する。 ソリフェナシンまたはその製薬学的に許容される塩の結晶状態を評価する方法としては、結晶構造を識別できる方法であれば特に制限されないが、例えば、粉末X線回折法(XRD)、DSC測定法、NMR測定法または近赤外分光法で測定する等の方法が挙げられる。例えば、XRD法を用いて評価する場合、測定条件によって多少は変化するため厳密に解されるべきではないが、2θ=10℃付近にみられるソリフェナシン晶質体由来の特異的なピークが見られないとき、非晶質であると判断することができる。 以下、本発明に係る実施形態について説明するが、本発明は、これらに限定されるものではない。 本実施形態の医薬組成物は、ソリフェナシンまたはその製薬学的に許容される塩の非晶質体と、その非晶質体維持剤とを含有することを特徴とする。 まず、本実施形態において使用される「ソリフェナシンまたはその製薬学的に許容される塩」または「ソリフェナシンの塩」とは、ソリフェナシンまたはその製薬学的に許容される塩を意味し、具体的には、例えば、ソリフェナシンのコハク酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、マロン酸、フマル酸、マレイン酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸、炭酸、ピクリン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、グルタミン酸等の有機酸との酸付加塩や四級アンモニウム塩、あるいは、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸等の鉱酸等を挙げることができる(特許文献1)。中でも、ソリフェナシンのコハク酸塩が、医薬品として提供する上で好ましい。 本実施形態に用いられる「ソリフェナシンまたはその製薬学的に許容される塩」は、公知の方法によって製造することができ、具体的には、例えば、上記特許文献1に記載された方法により、あるいは、それに準じた製造方法により容易に入手できる。 本実施形態において、「ソリフェナシンまたはその製薬学的に許容される塩の非晶質体」を「ソリフェナシンまたはその製薬学的に許容される塩」から得る方法は一般的な方法であれば特に限定されるものではない。具体的には、「ソリフェナシンまたはその製薬学的に許容される塩」と何らかの添加剤とを混合する若しくはその後粉砕する方法、凍結乾燥や噴霧乾燥のように「ソリフェナシンまたはその製薬学的に許容される塩」を何らかの溶媒に溶解させたのちに再度乾燥させる方法、何らかに溶解させた「ソリフェナシンまたはその製薬学的に許容される塩」を何らかの担体に吸着させる方法などが挙げられるが、これらに限定されない。 本実施形態の医薬組成物におけるソリフェナシンまたはその塩の非晶質体の配合量は、通常医薬用途(適応症)によって適宜選択適宜使用されるものであり、当該医薬用途において治療上または予防上有効な量であれば特に制限されない。かかる配合量としては、例えば、医薬組成物全体に対し、通常0.1質量%以上であり、好ましくは、0.5質量%以上であり、より好ましくは1質量%以上である。また、通常は50質量%以下であり、好ましくは40質量%以下であり、より好ましくは30質量%以下である。 また、製剤中のソリフェナシン量としては通常0.1mg以上であり、好ましくは0.5mg以上であり、より好ましくは1mg以上である。また、通常は100mg以下であり、好ましくは30mg以下であり、より好ましくは20mg以下である。 次に、本実施形態の医薬組成物は、リンゴ酸またはその製薬学的に許容される塩及びメグルミンまたはその製薬学的に許容される塩から選択される少なくとも1種を必須の成分として含有する。本実施形態において、リンゴ酸またはその製薬学的に許容される塩及びメグルミンまたはその製薬学的に許容される塩から選択される少なくとも1種は、「ソリフェナシンまたはその製薬学的に許容される塩の非晶質体」の非晶質状態を維持する非晶質体維持剤としての役割を有する。以下、本明細書において、リンゴ酸またはその製薬学的に許容される塩及びメグルミンまたはその製薬学的に許容される塩から選択される少なくとも1種を、単に非晶質体維持剤と称することもある。 リンゴ酸は、L体、D体どちらでも特に制限されない。またはその製薬学的に許容される塩としては、特に制限されないが、具体的には、例えば、リンゴ酸、リンゴ酸ナトリウム、リンゴ酸ジナトリウム、リンゴ酸カルシウム等が挙げられる。また本発明の効果を損なわなければリンゴ酸の誘導体を用いることもできる。 メグルミンまたはその製薬学的に許容される塩としては、特に制限されないが、具体的には、例えば、メグルミン、メグルミン塩酸塩等が挙げられる。 なお、前記非晶質体維持剤は、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。 本実施形態の医薬組成物に配合される非晶質体維持剤の配合割合としては、上記「ソリフェナシンまたはその製薬学的に許容される塩の非晶質体」を安定な状態で保持しうる範囲であれば特に制限されず、通常、ソリフェナシンまたはその製薬学的に許容される塩の非晶質体量に対して1質量%程度以上の割合であることが好ましい。さらには、好ましくは10質量%以上、より好ましくは50質量%以上である。非晶質体維持剤を有効成分であるソリフェナシンまたはその製薬学的に許容される塩の非晶質体量に対して100質量%以上の範囲となる割合で含むことにより、非常に安定なソリフェナシンまたはその製薬学的に許容される塩の非晶質体を含む医薬組成物を得ることができる。 さらに好ましくは、経時的に「ソリフェナシンまたはその製薬学的に許容される塩の非晶質体」を維持するという観点から、ソリフェナシンまたはその製薬学的に許容される塩に対して非晶質体維持剤を1:1以上の割合で含有させることが望ましい。 また、医薬組成物中の非晶質体維持剤の配合量は、例えば、0.1質量%以上であり、好ましくは、0.5質量%以上であり、より好ましくは1質量%以上である。また、通常は90質量%以下であり、好ましくは80質量%以下であり、より好ましくは50質量%以下である。 組成物中の非晶質体を維持し、より高い安定性を担保するために、本実施形態の医薬組成物は、さらに吸着剤を含有していてもよい。 吸着剤を含有することにより、前記非晶質体と前記非晶質体維持剤を効率よく接触させることができ、結果的に更に安定性が向上するとともに製造性が向上する。 具体的な吸着剤としては、例えば、ケイ酸カルシウム、マンニトール、部分アルファー化デンプン、結晶セルロース、軟質無水ケイ酸、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム等が挙げられ、これらは単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。 より好ましい吸着剤としては、マンニトール、部分アルファー化デンプン、結晶セルロース、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム等が挙げられる。 また、これらの吸着剤を使用する場合、通常、ソリフェナシンまたはその製薬学的に許容される塩の非晶質体量に対して1質量%程度以上の割合であることが好ましい。さらには、50質量%程度以上の割合であることがさらに好ましく、最良の割合は100質量%である。医薬組成物への配合割合としては、本発明の効果を妨げないことを限度として特に制限されないが、かかる配合量としては、例えば、医薬組成物全体に対し、通常0.1質量%以上であり、好ましくは、0.5質量%以上であり、より好ましくは1質量%以上である。また、通常は90質量%以下であり、好ましくは80質量%以下であり、より好ましくは50質量%以下である。 さらに有効成分のより高い安定性を担保するために、本実施形態の医薬組成物は、結着剤を含有していてもよい。 結着剤を含有することにより、前記非晶質体と前記非晶質体維持剤の接触を維持することができる。その結果、ソリフェナシンの非晶質化を経時的に持続することができる。このような効果を得られる添加剤であれば、本発明の結着剤として利用することができる。 具体的な結着剤としては、例えば、ポリビニルピロリドン、ヒプロメロース、プルラン、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、マクロゴール、ポリビニルアルコール、メタクリル酸コポリマー、アルファー化デンプン、デンプン類、カンテンなどのような水溶性高分子、糖、マンニトールのような糖アルコール等が挙げられる。より好ましい結着剤としては、ポリビニルピロリドン、ヒプロメロース、プルラン及びメチルセルロース等が挙げられる。これらは単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。 さらに、非晶質体維持剤がリンゴ酸またはその塩であった場合、好ましい結着剤はヒプロメロースであり、また、非晶質体維持剤がメグルミンまたはその塩であった場合、好ましい結着剤はポリビニルピロリドン、プルランまたはメチルセルロースであり、最も好ましい結着剤はメチルセルロースである。 また、これらの結着剤を使用する場合、通常、ソリフェナシンまたはその製薬学的に許容される塩の非晶質体量に対して1質量%程度以上の割合であることが好ましい。さらには、20質量%程度以上の割合であることがさらに好ましく、最良の割合は100質量%である。医薬組成物への配合割合としては、本発明の効果を妨げないことを限度として特に制限されないが、通常医薬組成物中に0.1〜40質量%の割合で含まれるような範囲で適宜選択して使用することができる。製造性の観点から、好ましくは0.2質量%以上であり、より好ましくは0.5質量%以上である。また、好ましくは35質量%以下であり、より好ましくは25質量%以下である。 本実施形態の医薬組成物には、上記各成分に加えて、さらに各種添加剤を必要に応じて配合することができる。具体的な添加剤としては、製薬的に許容され、かつ薬理的に許容されるものであれば特に制限されない。例えば、賦形剤、崩壊剤、結合剤、酸味料、発泡剤、甘味料、香料、滑沢剤、着色剤、安定化剤、緩衝剤、抗酸化剤、界面活性剤、コーティング剤などが使用される。 賦形剤としては、例えばデキストラン、デキストリン、ブドウ糖、粉糖、乳糖などのような糖類、トウモロコシデンプンなどのようなデンプン類、結晶セルロース、マンニトールのような糖アルコールなどが挙げられる。 崩壊剤としては、例えばトウモロコシデンプン等のデンプン類、部分アルファー化デンプン、カルメロース、カルメロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースなどが挙げられる。 結合剤としては、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース、メチルセルロース、部分アルファー化デンプン、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコールなどが挙げられる。 酸味料としては、例えば安息香酸及びその化合物、酒石酸、アスコルビン酸等が挙げられる。 発泡剤としては、例えば炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウムなどが挙げられる。 甘味料としては、例えば、スクロース、フルクトース、マルトース、ショ糖、ブドウ糖、果糖、異性化液糖、フラクトオリゴ糖、環状オリゴ糖などのような糖類及び糖アルコール、サッカリンナトリウム、グリチルリチン二カリウム、アスパルテーム、ステビア、ソーマチンなどが挙げられる。 香料としては、例えばメントール、オレンジエキス、カンフル、バニリンなどが挙げられる。 滑沢剤としては、例えばステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルク、硬化油、フマル酸ステアリルナトリウム、ショ糖脂肪酸エステルなどが挙げられる。 着色剤としては、例えば黄色三二酸化鉄、三二酸化鉄、酸化鉄、酸化チタン、黄色5号、青色1号、黄色4号、赤色2号、赤色3号、赤色102号、銅クロロフィルなどが挙げられる。 緩衝剤としては、クエン酸、クエン酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、リン酸水素ナトリウム、リン酸二水素ナトリウムなどが挙げられる。 抗酸化剤としては、例えばトコフェロール、ハイドロキノン、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、ブチルヒドロキシアニソールなどが挙げられる。 界面活性剤としては、例えばマクロゴール、ポリソルベート、ポリオキシエチレン硬化ひまし油、ラウリル硫酸ナトリウムなどが挙げられる。 コーティング剤としては、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、アクリル酸エチル・メタクリル酸メチルコポリマー、アミノアルキルメタクリレートコポリマーE、アミノアルキルメタクリレートコポリマーRS、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、メタクリル酸コポリマーL、メタクリル酸コポリマーLD、メタクリル酸コポリマーSなどが挙げられる。 これらの添加剤は、いずれも、必要に応じて、1種または2種以上を組合せて適宜適量添加することができる。 本実施形態の医薬組成物の投与単位形態は、治療目的に応じて適宜選択できる。その代表例には、錠剤、丸剤、散剤、粉末剤、顆粒剤、カプセル剤などの固体投与形態が含まれる。これらは更に投与経路に応じて経口剤、非経口剤、経鼻剤、経膣剤、坐剤、舌下剤、軟膏剤などに分類され、それぞれ通常の方法に従い、調合、成型、あるいは調製することができる。 また、本実施形態の医薬組成物の投与方法は、特に制限がなく、各種製剤形態、患者の年齢、性別その他の条件、疾患の重篤度などに応じて決定される。例えば錠剤、丸剤、顆粒剤およびカプセル剤は経口投与され、注射剤はブドウ糖やアミノ酸などの通常の補液と混合して静脈内投与され、更に必要に応じ単独で筋肉内、皮内、皮下もしくは腹腔内投与され、坐剤は直腸内投与され、経膣剤は膣内投与され、経鼻剤は鼻腔内投与され、舌下剤は口腔内投与され、軟膏剤は経皮的に局所投与される。 中でも、携帯性、服用の容易性という観点から、固形製剤、特に口腔内速崩剤(OD錠)の形態であることが好ましい。 本実施形態の医薬組成物を用いた製剤の投与量は、投与ルート、疾患の症状、投与対象の年齢、性別等を考慮して個々の場合に応じて適宜決定される。一例として、コハク酸ソリフェナシンを有効成分とした場合、通常、経口投与では成人一人当たりの有効成分の投与量は0.01mg/kg〜100mg/kg/日程度であり、これを1回で、あるいは2〜4回に分けて投与する。また、症状によって静脈投与される場合は、通常成人1回当たり0.01mg/kg〜10mg/kgの範囲で1日に1回〜複数回投与される。 本実施形態の医薬組成物は従来公知の通常の方法で製造することができる。「ソリフェナシンまたはその製薬学的に許容される塩の非晶質体」については具体的にはソリフェナシンまたはその製薬学的に許容される塩」と何らかの添加剤とを混合する若しくはその後粉砕する方法、凍結乾燥や噴霧乾燥のように「ソリフェナシンまたはその製薬学的に許容される塩」を何らかの溶媒に溶解させたのちに再度乾燥させる方法、何らかに溶解させた「ソリフェナシンまたはその製薬学的に許容される塩」を何らかの担体に吸着させる方法などが挙げられるが、これらに限定されない。好ましくは何らかに溶解させた「ソリフェナシンまたはその製薬学的に許容される塩」を何らかの担体に吸着させる方法である。当該方法に用いることができる溶媒について、発明の効果を損なわなければ特に限定はされない。具体的には精製水、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコールなどが挙げられる。好ましくは、精製水を溶媒として使用することができる。 また、非晶質体維持剤について「ソリフェナシンまたはその製薬学的に許容される塩の非晶質体」と接触できる状態であれば、特に添加方法については限定されない。例えば、「ソリフェナシンまたはその製薬学的に許容される塩の非晶質体」と非晶質体維持剤とを物理的に混合することにより接触させることができる。また、この物理的な混合には粉砕等も含めることができる。その場合、「ソリフェナシンまたはその製薬学的に許容される塩の非晶質体」は「ソリフェナシンまたはその製薬学的に許容される塩の晶質体」とすることも可能である。また、「ソリフェナシンまたはその製薬学的に許容される塩の非晶質体」又は「ソリフェナシンまたはその製薬学的に許容される塩の晶質体」及び非晶質体維持剤を溶媒に溶解又は懸濁させ、その溶液を用いてもう一方に吸着させることもできる。更に、「ソリフェナシン若しくはその製薬学的に許容される塩の非晶質体」及び/又は「ソリフェナシン若しくはその製薬学的に許容される塩の晶質体」及び非晶質体維持剤を溶媒に溶解若しくは懸濁させ乾燥させることにより両物質を接触させることもできる。この場合、溶媒を除く方法として一般的な方法であれば特に問題はない。具体的には凍結乾燥法や噴霧乾燥法を用いることができる。また、他の添加剤に吸着させることにより結果的に接触させることもできる。当該方法に用いることができる溶媒について、発明の効果を損なわなければ特に限定はされない。具体的には精製水、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコールなどが挙げられる。好ましくは、精製水を溶媒として使用することができる。この場合、流動層造粒法、撹拌造粒法、転動流動層法などの方法で吸着させることができる。 「ソリフェナシンまたはその製薬学的に許容される塩の非晶質体」及び非晶質体維持剤に結着剤及び吸着剤を更に使用した場合、その製造方法について本発明の効果を損なわなければ特に限定されない。「ソリフェナシンまたはその製薬学的に許容される塩の非晶質体」とこれらの添加剤とを共に混合若しくは/及び粉砕する方法、又はこれらの物質をすべて溶媒に溶解させたのち、凍結乾燥若しくは噴霧乾燥のように溶媒を除去する方法により本発明の製剤を入手することもできる。最良の形態として次のような形態を挙げることができる。「ソリフェナシンまたはその製薬学的に許容される塩の非晶質体」、「ソリフェナシンまたはその製薬学的に許容される塩の非晶質体」又はこれらの混合物及び結着剤を溶媒に溶解若しくは懸濁させる。この溶液若しくは懸濁液を非晶質体維持剤及び吸着剤に吸着させることにより、本発明の医薬組成物を製造することができる。その際、用いられる溶媒についてはソリフェナシンまたはその製薬学的に許容される塩を溶解又は懸濁することができる溶媒であれば特に限定されない。具体的には精製水、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコールなどが挙げられる。好ましくは、精製水を溶媒として使用することができる。また、吸着剤に吸着させる方法としては、発明の効果を損なわなければ特に限定はされない。具体的には流動層造粒法、撹拌造粒法、転動流動層造粒法、ワースター造粒機等を使用した微粒子コーティング法等が挙げられる。好ましくは流動層造粒法、又は微粒子コーティング法で製造することができる。この段階でソリフェナシンは非晶質化される。 このように製造されたソリフェナシン含有顆粒については、常法により先に記載した剤形の製剤として製造することができる。 一例として、口腔内速崩錠を製造する方法を具体的に説明する。口腔内速崩錠の設計については特許公報第4601271号、特許公開公報第2006−282551号及び特許公開公報第2010−531841号などに記載されている方法等で製造することができる。具体的には、ポリビニルアルコール及び部分アルファー化デンプンを精製水に溶解させた溶液を用い、デルタ型マンニトール及び上記のように製造したソリフェナシン含有顆粒を造粒する。造粒は流動層造粒、撹拌造粒、転動流動層造粒等で行うことができる。得られた顆粒に崩壊剤と滑沢剤を添加して圧縮成型をする。必要に応じて、ソリフェナシンの顆粒は、苦みを抑制させるため、持続性を付与させるため若しくは時限的に薬効を発揮させるために、コーティングをすることができる。コーティングについては本発明の効果を損なわなければどのような基剤を使用してもよい。 以下に、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではない。 なお、以下の実施例においては、コハク酸ソリフェナシンの再結晶化について、株式会社リガク製 RINT Ultima IIIを用いてXRD法によって確認を行った。2θ=10℃付近に特異的なピークがなければ、非晶質体であると判定した。 [試験例1] コハク酸ソリフェナシン20gを適度な量の精製水に溶解した。次に、吸着剤としてケイ酸カルシウム(フローライト)10gと表1に示す各種非晶質体維持剤10gを乳鉢で混合し、その混合物に先に溶解させたコハク酸ソリフェナシン溶液を添加し、乳鉢にて混練することによって、造粒を行った。造粒後、乾燥機(アズワン社製、「DO−450A」、60℃)にて4時間乾燥し、実施例1〜2および比較例1〜10のサンプル顆粒を製造した。 〔評価〕 得られた顆粒を温度60℃に設定した恒温機(ナガノサイエンス株式会社製 CRH−220)内で、1週間放置した。その後、上述した方法によって、非晶質体の有無を確認した。結果を、下記表1にまとめる。なお、表中の○は非晶質体が確認されたことを、×は非晶質体が確認されなかったことを示す。 本試験結果より、リンゴ酸および/またはメグルミンを添加することによって、長期間保存した場合においても、非晶質体を維持できることがわかった。 [試験例2] まず、コハク酸ソリフェナシン20g及び結着剤であるヒプロメロース2910、20gを精製水に溶解させた。次に、表2に示す吸着剤10gと、同じく表2に示す非晶質維持剤(比較例11以外)を乳鉢で混合し、その混合物に先に溶解させたコハク酸ソリフェナシン溶液を添加し、乳鉢にて混練することによって、造粒を行った。造粒後、乾燥機(アズワン社製、「DO−450A」、60℃)にて4時間乾燥し、実施例3〜7および比較例11のサンプル顆粒を製造した。 〔評価〕 得られた顆粒を温度60℃に設定した恒温機(ナガノサイエンス株式会社製 CRH−220)内で、1週間放置した。その後、コハク酸ソリフェナシンの結晶の有無及びコハク酸ソリフェナシン由来の不純物の有無を確認した。 コハク酸ソリフェナシンの結晶の有無は、上記のXRD測定機にて解析することによって判定した。以下の表において、結晶の有無をそれぞれ次の記号で表す。−:結晶化したソリフェナシンを確認できず。+:結晶化したソリフェナシンを確認した。 また、コハク酸ソリフェナシン由来の不純物は高速液体クロマトグラフィーを用いて測定した。 以上の結果を表3に示す。 表3から明らかなように、リンゴ酸を添加した実施例3〜7の顆粒については、60℃で1週間保管した場合でもあってもソリフェナシン結晶は確認されなかった。一方で、非晶質体維持剤を使用していない比較例11の顆粒についてはソリフェナシンの結晶を確認した。 また、ソリフェナシン由来の不純物の増加の有無を確認したところ、非晶質体維持剤を使用していない比較例11の顆粒については5%以上の不純物の増加を確認した。一方で、リンゴ酸を添加した実施例3〜7の顆粒については、不純物の増加を抑制できたことを確認した。また、その効果は吸着剤として部分アルファー化デンプン、結晶セルロース、またはマンニトールを用いることにより、より高くなることもわかった。 [試験例3] コハク酸ソリフェナシン20g及び下記表4に示す各結着剤20gを適量の精製水に溶解させた。次に、吸着剤であるマンニトール10gと非晶質維持剤であるメグルミン10gを乳鉢で混合し、その混合物に先に溶解させたコハク酸ソリフェナシン溶液を添加し、乳鉢にて混練することによって、造粒を行った。造粒後、乾燥機(アズワン社製、「DO−450A」、60℃)にて4時間乾燥し、実施例8〜12のサンプル顆粒を製造した。 得られた顆粒について、試験例2と同様の方法によって、コハク酸ソリフェナシンの結晶の有無及びコハク酸ソリフェナシン由来の不純物の有無を確認した。結果を表5に示す。 表5から明らかなように、いずれの結着剤を使用してもソリフェナシンの結晶は確認されず、一方、不純物の増加が抑制できることを確認した。また、結着剤の中では、ポリビニルピロリドンが最も不純物の増加を抑制できることを併せて確認した。 ソリフェナシンまたはその製薬学的に許容される塩の非晶質体と、リンゴ酸またはその製薬学的に許容される塩及びメグルミンまたはその製薬学的に許容される塩から選択される少なくとも1種とを含有する、医薬組成物。 リンゴ酸またはその製薬学的に許容される塩及びメグルミンまたはその製薬学的に許容される塩から選択される少なくとも1種を、ソリフェナシンまたはその製薬学的に許容される塩の非晶質体の量に対して1:1以上の割合で含有する、請求項1記載の医薬組成物。 医薬組成物中のリンゴ酸またはその製薬学的に許容される塩及びメグルミンまたはその製薬学的に許容される塩から選択される少なくとも1種の含有量が25〜70質量%である、請求項1または2に記載の医薬組成物。 さらに吸着剤を含有している、請求項1〜3のいずれか1項に記載の医薬組成物。 前記吸着剤が、マンニトール、部分アルファー化デンプン、結晶セルロース、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム及びケイ酸カルシウムからなる群より選択される少なくとも1種である、請求項4記載の医薬組成物。 さらに結着剤を含有している、請求項1〜5のいずれか1項に記載の医薬組成物。 前記結着剤が、ポリビニルピロリドン、ヒプロメロース、プルラン及びメチルセルロースからなる群より選択される少なくとも1種である、請求項6記載の医薬組成物。 口腔内速崩錠である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の医薬組成物。 ソリフェナシンソリフェナシンまたはその製薬学的に許容される塩を溶媒に溶解させ得られる溶解物をリンゴ酸またはその製薬学的に許容される塩及びメグルミンまたはその製薬学的に許容される塩から選択される少なくとも1種と必要に応じて担体に添加してソリフェナシンの非晶質化を行う工程を含む、ソリフェナシンまたはその製薬学的に許容される塩の非晶質体を含有する医薬組成物の製造方法。 リンゴ酸またはその製薬学的に許容される塩及びメグルミンまたはその製薬学的に許容される塩から選択される少なくとも1種を加えることによって、ソリフェナシンまたはその製薬学的に許容される塩の非晶質体を安定化させる方法。 【課題】安定なソリフェナシン非晶質体を含有する医薬組成物を提供すること。【解決手段】ソリフェナシンまたはその製薬学的に許容される塩の非晶質体と、リンゴ酸またはその製薬学的に許容される塩及びメグルミンまたはその製薬学的に許容される塩から選択される少なくとも1種を含有する、医薬組成物。【選択図】なし