タイトル: | 公開特許公報(A)_ブタジエンの製造方法 |
出願番号: | 2014062140 |
年次: | 2015 |
IPC分類: | C07C 5/48,C07C 11/167,C07C 11/08,C07C 1/24,C07C 4/06,C07C 4/04,C07C 2/10,C07B 61/00 |
亀尾 広志 梶谷 英伸 JP 2015182985 公開特許公報(A) 20151022 2014062140 20140325 ブタジエンの製造方法 三菱化学株式会社 000005968 亀尾 広志 梶谷 英伸 C07C 5/48 20060101AFI20150925BHJP C07C 11/167 20060101ALI20150925BHJP C07C 11/08 20060101ALI20150925BHJP C07C 1/24 20060101ALI20150925BHJP C07C 4/06 20060101ALI20150925BHJP C07C 4/04 20060101ALI20150925BHJP C07C 2/10 20060101ALI20150925BHJP C07B 61/00 20060101ALN20150925BHJP JPC07C5/48C07C11/167C07C11/08C07C1/24C07C4/06C07C4/04C07C2/10C07B61/00 300 11 OL 12 4H006 4H039 4H006AA02 4H006AC12 4H006AC13 4H006BA13 4H006BA14 4H006BA19 4H006BA20 4H006BA21 4H006BA55 4H006BD10 4H006BD70 4H006BE30 4H039CA29 4H039CC10 本発明はブタジエンの製造方法に係り、n−ブテンの接触酸化脱水素反応でブタジエンを製造する方法に関する。ブタジエンの用途はタイヤ等のゴム製品であり有用である。 n−ブテンを触媒存在下に酸化脱水素反応させてブタジエンを製造する方法は、従来公知である。この反応は例えば以下の反応式に従って進行し、水が副生する。 C4H8+1/2O2→C4H6+H2O n−ブテンの接触酸化脱水素反応によるブタジエンの製造は、工業的にはナフサ分解で副生するC4留分(C4炭化水素混合物。以下、「BB」と称す場合がある。)からのブタジエンの抽出分離プロセスにおいて、抽出蒸留塔でブタジエンを分離して得られた、1−ブテンの他、2−ブテン、ブタン等を含む混合物(以下、この混合物を「BBSS]と称す場合がある。)中に含まれるブテンからブタジエンを製造する方法が提案されている(特許文献1)。また、上記混合ブテンのほか1−ブテンや2−ブテン単独でも反応に利用することができる(特許文献2)。近年、ガス分解炉と比較してコスト競争力が劣るナフサ分解炉の稼働が低下してきており、今後も同様の傾向が続くと考えられる。BB留分はナフサ分解からは生成するが、ガス分解からは生成しないため、上記のようにブテンからブタジエンを製造する方法が提案されている。特開2010−90083号公報特開2012−67048号公報 しかし、背景技術で示されたブテン原料のみでは今後拡大すると予想されるブタジエン需要を賄うことはできないと考えられるため、十分な量のブタジエンを製造するに足る原料およびプロセスの実施形態を提供する必要がある。 本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、種々のブテン原料がブタジエンの製造に好適であることを見出し、本発明を完成させた。 すなわち、本発明は、[1]触媒存在下、n−ブテンを含む原料と分子状酸素含有ガスとを酸化脱水素反応させブタジエンを含む反応生成ガスを得て、該反応生成ガスを精製してブタジエンを得るブタジエンの製造方法において、該原料中のn−ブテンがエチレンを2量化して得たものであることを特徴とするブタジエンの製造方法、[2]前記エチレンがエタンを原料とすることを特徴とする[1]に記載のブタジエンの製造方法、[3]前記エタンが在来型及び又は非在来型天然ガスを原料とすることを特徴とする[2]に記載のブタジエンの製造方法、[4]前記非在来型天然ガスがシェールガス、タイトガス、深層天然ガスであることを特徴とする[3]に記載のブタジエンの製造方法、[5]前記エチレンがエタノールを原料とすることを特徴とする[1]に記載のブタジエンの製造方法、[6]触媒存在下、n−ブテンを含む原料と分子状酸素含有ガスとを酸化脱水素反応させブタジエンを含む反応生成ガスを得て、該反応生成ガスを精製してブタジエンを得るブタジエンの製造方法において、該原料中のn−ブテンがn−ブタノールを脱水して得られたものであることを特徴とするブタジエンの製造方法、[7]前記n−ブタノールがエタノールを原料とすることを特徴とする[6]に記載のブタジエンの製造方法、[8]前記n−ブタノールがバイオマス資源を原料とすることを特徴とする[6]に記載のブタジエンの製造方法、[9]前記エタノールがバイオマス資源を原料とすることを特徴とする[5]または[7]に記載のブタジエンの製造方法、[10]触媒存在下、n−ブテンを含む原料と分子状酸素含有ガスとを酸化脱水素反応させブタジエンを含む反応生成ガスを得て、該反応生成ガスを精製してブタジエンを得るブタジエンの製造方法において、該原料中のn−ブテンが、(i)石油精製から得られる重質油をクラッキングして得られるC4留分に含まれるn−ブテンであること、(ii)n−ブタンの脱水素又は酸化脱水素により得られること又は(iii)ナフサのクラッキングにより得られるものであることを特徴とするブタジエンの製造方法、[11]触媒が、下記一般式(1): MoaBibCocNidFeeXfYgZhSiiOj (1)(式中、Xはマグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、亜鉛(Zn)、セリウム(Ce)及びサマリウム(Sm)からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素である。Yはナトリウム(Na)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、セシウム(Cs)及びタリウム(Tl)からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素である。Zはホウ素(B)、リン(P)、砒素(As)及びタングステン(W)からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素である。 さらに、a〜jはそれぞれの元素の原子比を表し、a=12のとき、b=0.5〜7、c=0〜10、d=0〜10(但しc+d=1〜10)、e=0.05〜3、f=0〜2、g=0.04〜2、h=0〜3、i=5〜48の範囲にあり、またjは他の元素の酸化状態を満足させる数値である。)で表される複合酸化物触媒であることを特徴とする[1]〜[10]のいずれかに記載のブタジエンの製造方法、に存する。 本発明によれば、多種多様なn−ブテン原料を利用してブタジエンを製造することにより、増加するブタジエン需要を満足することが可能となる。本発明の共役ジエンの製造方法の実施の形態を示す系統図である。 以下に本発明の共役ジエンの製造方法の実施の形態を詳細に説明するが、以下に記載する説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、本発明はこれらの内容に限定されない。 本発明では、ノルマルブテン(以下「n−ブテン」と称することがある)を含む原料と分子状酸素含有ガスとを触媒存在下酸化脱水素反応させ、ブタジエンを製造する。原料の概略的系統図を図1に示したが、以下に詳述する。 <n−ブテンを含む原料> 本発明の原料はn−ブテンを含む。n−ブテンとしては、1−ブテン又は2−ブテンが挙げられる。原料は通常ガス状で酸化脱水素反応に供されブタジエンを得る。n−ブテンを製造する方法として、次の方法が挙げられる。(1)エチレンの2量化によるn−ブテンの製造 エチレンの2量化は例えば、Hydrocarbon processing (International ed.)vol.69, No.3,1990,p73に示される製造方法や特開2011−148720号に示される方法が利用できる。 エチレンの原料としては、例えばガスクラッカーによるエタン、バイオマス資源由来のエタノールが挙げられる。また、メタンの酸化カップリングやMTO反応(石炭からのオレフィン製造)により製造されるエチレンも使用可能である。エタンはガスクラッカーによって脱水素されてエチレンへ変換され、エタノールは例えば特開2006−82996号公報、特開2008−110302号公報に示されるようにゼオライト触媒を利用することによってエチレンへ変換される。 ガスクラッカーの原料は在来型および/または非在来型の天然ガスが利用できる。前記非在来型天然ガスはシェールガス、タイトガス、深層天然ガスが含まれる。 エチレンの2量化により製造したn−ブテン含有原料は、ほかにイソブテンやブタンが0.01〜10重量%、エタンが0.01〜10重量%、エチレンが0.01〜10重量%含まれる。好ましくはn−ブテン純度は80%以上、更に好ましくは90%以上、最も好ましくは95%以上である。 (2)n−ブタノールの脱水によるn−ブテンの製造 バイオマス資源由来の原料の例としてn−ブタノールが挙げられる。ブタノールは特開2011−177085号公報記載のごとくバイオマス資源由来から直接製造してもよく、バイオマス資源由来のエタノールを分子間脱水して二量化してもよい。例えばn−ブタノールを硫酸等で脱水して得られる1−ブテンを原料とすることもできる。 バイオマス資源としてはサトウキビ発酵、トウモロコシ発酵、廃材、間伐材、稲わら、農作物等の木質資源が利用できる。 n−ブタノールの脱水により製造したn−ブテン含有原料は、ほかにジブチルエーテルが0.01〜10重量%含まれる。 (3)石油精製から得られる重質油のクラッキングによるn−ブテンの製造 石油精製から得られる重質油をクラッキングして得られるC4留分(以下「FCC」と称することがある)、又はこの重質油クラッキングは更に深度に分解を行ったC4留分(以下「HSFCC」と称することがある)が、本発明の、n−ブテンを含む原料として用い得る。また前記C4留分からブタン類やイソブテンを分離除去した後に用いてもよい。 FCCの成分としては通常、n−ブテンが10〜90重量%、イソブテンが1〜50重量%、n−又はi−ブタンが1〜50重量%、その他が0.01〜10重量%、含まれる。 HSFCCの成分としては通常、n−ブテンが10〜90重量%、イソブテンが1〜50重量%、n−又はi−ブタンが1〜50重量%、その他が0.01〜10重量%、含まれる。 (4)n−ブタンの脱水素又は酸化脱水素によるn−ブテンの製造 天然ガス、石油中に含まれるn−ブタンまたは前記C4留分から分離したn−ブタンを脱水素または酸化脱水素して得られるn−ブテンが本発明の、n−ブテンを含む原料として用い得る。 n−ブタンの脱水素または酸化脱水素によって得られるn−ブテンは通常、n−ブテンが10〜90重量%、イソブテンが1〜50重量%、その他が0.01〜10重量%、含まれる。 (5)ナフサのクラッキングによるn−ブテンの製造 ナフサのクラッキングによりC4留分が得られ、これからブタジエンを分離した成分(以下「BBS」と称することがある)が、本発明の、n−ブテンを含む原料として用い得る。BBSの成分としては通常、n−ブテンが10〜50重量%、イソブテンが10〜90重量%、n−又はi−ブタンが1〜50重量%、その他エチレン、プロピレン、ブタジエン等が0.01〜10重量%、含まれる。 また、BBSからイソブテンを分離除去した成分(以下「BBSS」と称することがある)、BBSSから1−ブテンを分離除去した成分(以下「ラフィネート3」と称することがある)もまた、本発明の、n−ブテンを含む原料として用い得る。 イソブテンの分離方法としては、硫酸等の酸でイソブテンを水和してターシャルブチルアルコールとした後に蒸留で分離してもよく、メタノールやエタノール等のアルコールとイソブテンを反応させて、対応するエーテル(MTBEやETBE)とし、その後蒸留分離してもよい。また、イソブテンを触媒存在下でn−ブテンに骨格異性化してイソブテンを除去することも可能である。更に適当な吸着剤を利用してn−ブテンを選択的に分離したり、イソブテンを二量化してイソオクテンにして分離したり、1−ブテンを2−ブテンに異性化した後にイソブテンと分離することもできる。 BBSSの成分としては通常、n−ブテンが10〜90重量%、イソブテンが0.01〜10重量%、n−又はi−ブタンが1〜50重量%、その他エチレン、プロピレン、ブタジエン等が0.01〜10重量%、含まれる。 ラフィネート3の成分としては通常、n−ブテンが10〜80重量%、イソブテンが0.01〜10重量%、n−又はi−ブタンが10〜80重量%、その他エチレン、プロピレン、ブタジエン等が0.01〜10重量%、含まれる。 ナフサクラッキングから得られるC4留分としてはn−ブテンを10重量%以上含むことが好ましく、より好ましくは20重量%以上、更に好ましくは30重量%以上である。BBS、BBSS、ラフィネート3を原料とする場合、ブタン類を分離して用いることが好ましい。 ブタン類の分離方法としては抽出蒸留分離、単純蒸留分離、膜分離、吸着分離等が考えられる。分離されたn−ブタンは脱水素/酸化脱水素によってn−ブテンとし、酸化脱水素反応の原料として利用してもよい。n−ブタンは天然ガス由来でもよいし、石油採掘の同伴ガスでもよい。 (6)エチレンとヘキセンのメタセシスによるn−ブテンの製造 エチレンは上述のものを用い得る。ヘキセンはエチレンの多量化によって製造されたαオレフィンから分離してもよく、エチレンの選択的3量化によって製造してもよい。メタセシスは制限は無く、公知の方法が用い得る。<酸化脱水素反応触媒> 本発明で好適に用いられる酸化脱水素反応を行うための触媒(複合酸化物触媒)は、特に限定されないが、少なくともモリブデン、ビスマス及びコバルトを含有する複合酸化物触媒であることが好ましい。中でも、下記一般式(1): MoaBibCocNidFeeXfYgZhSiiOj (1)(式中、Xはマグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、亜鉛(Zn)、セリウム(Ce)及びサマリウム(Sm)からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素である。Yはナトリウム(Na)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、セシウム(Cs)及びタリウム(Tl)からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素である。Zはホウ素(B)、リン(P)、砒素(As)及びタングステン(W)からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素である。 さらに、a〜jはそれぞれの元素の原子比を表し、a=12のとき、b=0.5〜7、c=0〜10、d=0〜10(但しc+d=1〜10)、e=0.05〜3、f=0〜2、g=0.04〜2、h=0〜3、i=5〜48の範囲にあり、またjは他の元素の酸化状態を満足させる数値である。)で表される複合酸化物触媒がより好ましい。 複合酸化物触媒は、この複合酸化物触媒を構成する各成分元素の供給源化合物を水系内で一体化して加熱する工程を経て製造することが好ましい。例えば、前記各成分元素の供給源化合物の全部を水系内で一体化して加熱してもよい。 特に、モリブデン化合物、鉄化合物、ニッケル化合物及びコバルト化合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種とシリカとを含む原料化合物の水溶液若しくは水分散液、又はこれを乾燥して得た乾燥物を加熱処理して触媒前駆体を製造する前工程と、この触媒前駆体、モリブデン化合物及びビスマス化合物を水性溶媒とともに一体化し、乾燥、焼成する後工程とを有する方法で製造することが好ましい。 この方法を用いると、得られた複合酸化物触媒は、高い触媒活性を発揮するので、高収率でブタジエン等の共役ジエンを製造することができ、アルデヒド類含有量の少ない反応生成ガスを得ることができる。なお、水性溶媒とは、水、又はメタノール、エタノール等の水と相溶性を有する有機溶媒、又はこれらの混合物をいう。 本発明に好適な複合酸化物触媒の製造方法としては、前記前工程で用いられるモリブデンが、モリブデンの全原子比(a)の内の一部の原子比(a1)相当のモリブデンであり、前記後工程で用いられるモリブデンが、モリブデンの全原子比(a)からa1を差し引いた残りの原子比(a2)相当のモリブデンであることが好ましい。そして、前記a1が1<a1/(c+d+e)<3を満足する値であることが好ましく、さらに、前記a2が0<a2/b<8を満足する値であることが好ましい。 前記成分元素の供給源化合物としては、成分元素の酸化物、硝酸塩、炭酸塩、アンモニウム塩、水酸化物、カルボン酸塩、カルボン酸アンモニウム塩、ハロゲン化アンモニウム塩、水素酸、アセチルアセトナート、アルコキシド等が挙げられ、その具体例としては、下記のようなものが挙げられる。 Moの供給源化合物としては、パラモリブデン酸アンモニウム、三酸化モリブデン、モリブデン酸、リンモリブデン酸アンモニウム、リンモリブデン酸等が挙げられる。Feの供給源化合物としては、硝酸第二鉄、硫酸第二鉄、塩化第二鉄、酢酸第二鉄等が挙げられる。 Coの供給源化合物としては、硝酸コバルト、硫酸コバルト、塩化コバルト、炭酸コバルト、酢酸コバルト等が挙げられる。Niの供給源化合物としては、硝酸ニッケル、硫酸ニッケル、塩化ニッケル、炭酸ニッケル、酢酸ニッケル等が挙げられる。 Siの供給源化合物としては、シリカ、粒状シリカ、コロイダルシリカ、ヒュームドシリカ等が挙げられる。 Biの供給源化合物としては、塩化ビスマス、硝酸ビスマス、酸化ビスマス、次炭酸ビスマス等が挙げられる。また、X成分(Mg,Ca,Zn,Ce,Smの1種又は2種以上)やY成分(Na,K,Rb,Cs,Tlの1種又は2種以上)を固溶させた、BiとX成分やY成分との複合炭酸塩化合物として供給することもできる。 例えば、Y成分としてNaを用いた場合、BiとNaとの複合炭酸塩化合物は、炭酸ナトリウム又は重炭酸ナトリウムの水溶液等に、硝酸ビスマス等の水溶性ビスマス化合物の水溶液を滴下混合し、得られた沈殿を水洗、乾燥することによって製造することができる。 また、BiとX成分との複合炭酸塩化合物は、炭酸アンモニウム又は重炭酸アンモニウムの水溶液等に、硝酸ビスマス及びX成分の硝酸塩等の水溶性化合物からなる水溶液を滴下混合し、得られた沈殿を水洗、乾燥することによって製造することができる。前記炭酸アンモニウム又は重炭酸アンモニウムの代わりに、炭酸ナトリウム又は重炭酸ナトリウムを用いると、Bi、Na及びX成分との複合炭酸塩化合物を製造することができる。 その他の成分元素の供給源化合物としては、下記のものが挙げられる。Kの供給源化合物としては、硝酸カリウム、硫酸カリウム、塩化カリウム、炭酸カリウム、酢酸カリウム等を挙げることができる。Rbの供給源化合物としては、硝酸ルビジウム、硫酸ルビジウム、塩化ルビジウム、炭酸ルビジウム、酢酸ルビジウム等を挙げることができる。 Csの供給源化合物としては、硝酸セシウム、硫酸セシウム、塩化セシウム、炭酸セシウム、酢酸セシウム等を挙げることができる。Tlの供給源化合物としては、硝酸第一タリウム、塩化第一タリウム、炭酸タリウム、酢酸第一タリウム等を挙げることができる。 Bの供給源化合物としては、ホウ砂、ホウ酸アンモニウム、ホウ酸等を挙げることができる。Pの供給源化合物としては、リンモリブデン酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、リン酸、五酸化リン等を挙げることができる。 Asの供給源化合物としては、ジアルセノ十八モリブデン酸アンモニウム、ジアルセノ十八タングステン酸アンモニウム等を挙げることができる。Wの供給源化合物としては、パラタングステン酸アンモニウム、三酸化タングステン、タングステン酸、リンタングステン酸等を挙げることができる。 Mgの供給源化合物としては、硝酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム、炭酸マグネシウム、酢酸マグネシウム等が挙げられる。Caの供給源化合物としては、硝酸カルシウム、硫酸カルシウム、塩化カルシウム、炭酸カルシウム、酢酸カルシウム等が挙げられる。 Znの供給源化合物としては、硝酸亜鉛、硫酸亜鉛、塩化亜鉛、炭酸亜鉛、酢酸亜鉛等が挙げられる。Ceの供給源化合物としては、硝酸セリウム、硫酸セリウム、塩化セリウム、炭酸セリウム、酢酸セリウム等が挙げられる。Smの供給源化合物としては、硝酸サマリウム、硫酸サマリウム、塩化サマリウム、炭酸サマリウム、酢酸サマリウム等が挙げられる。 前工程において用いる原料化合物の水溶液又は水分散液は、触媒成分として少なくともモリブデン(全原子比aの内のa1相当)、鉄、ニッケル又はコバルトの少なくとも一方、及びシリカを含む水溶液、水スラリー又はケーキである。 この原料化合物の水溶液又は水分散液の調製は、供給源化合物の水性系での一体化により行われる。ここで各成分元素の供給源化合物の水性系での一体化とは、各成分元素の供給源化合物の水溶液あるいは水分散液を一括に、あるいは段階的に混合及び/又は熟成処理を行うことをいう。即ち、(イ)前記の各供給源化合物を一括して混合する方法、(ロ)前記の各供給源化合物を一括して混合し、そして熟成処理する方法、(ハ)前記の各供給源化合物を段階的に混合する方法、(ニ)前記の各供給源化合物を段階的に混合・熟成処理を繰り返す方法、及び(イ)〜(ニ)を組み合わせる方法のいずれもが、各成分元素の供給源化合物の水性系での一体化という概念に含まれる。ここで、熟成とは、工業原料もしくは半製品を、一定時間、一定温度等の特定条件のもとに処理して、必要とする物理性、化学性の取得、上昇あるいは所定反応の進行等を図る操作をいい、一定時間とは、通常10分〜24時間の範囲であり、一定温度とは通常室温〜水溶液又は水分散液の沸点範囲をいう。 前記の一体化の具体的な方法としては、例えば、触媒成分から選ばれた酸性塩を混合して得られた溶液と、触媒成分から選ばれた塩基性塩を混合して得られた溶液とを混合する方法等が挙げられ、具体例としてモリブデン化合物の水溶液に、鉄化合物とニッケル化合物及び/又はコバルト化合物との混合物を加温下添加し、シリカを混合する方法等が挙げられる。 このようにして得られたシリカを含む原料化合物の水溶液又は水分散液を60〜90℃に加温し、熟成する。 この熟成とは、前記触媒前駆体用スラリーを所定温度で所定時間、撹拌することをいう。この熟成により、スラリーの粘度が上昇し、スラリー中の固体成分の沈降を緩和し、とりわけ次の乾燥工程での成分の不均一化を抑制するのに有効となり、得られる最終製品である複合酸化物触媒の原料転化率や選択率等の触媒活性がより良好となる。 前記熟成における温度は、60〜90℃が好ましく、70〜85℃がより好ましい。熟成温度が60℃未満では、熟成の効果が十分ではなく、良好な活性を得られない場合がある。一方、90℃を超えると、熟成時間中の水の蒸発が多く、工業的な実施には不利である。更に100℃を超えると、溶解槽に耐圧容器が必要となり、また、ハンドリングも複雑になり、経済性及び操作性の面で著しく不利となる。 前記熟成にかける時間は、2〜12時間がよく、3〜8時間が好ましい。熟成時間が2時間未満では、触媒の活性及び選択性が十分に発現しない場合がある。一方、12時間を超えても熟成効果が増大することはなく、工業的な実施には不利である。 前記撹拌方法としては、任意の方法を採用することができ、例えば、撹拌翼を有する撹拌機による方法や、ポンプによる外部循環による方法等が挙げられる。 熟成されたスラリーは、そのままで、又は乾燥した後、加熱処理を行う。乾燥する場合の乾燥方法及び得られる乾燥物の状態については特に限定はなく、例えば、通常のスプレードライヤー、スラリードライヤー、ドラムドライヤー等を用いて粉体状の乾燥物を得てもよいし、また、通常の箱型乾燥器、トンネル型焼成炉を用いてブロック状又はフレーク状の乾燥物を得てもよい。 前記の原料塩水溶液又はこれを乾燥して得た顆粒あるいはケーキ状のものは、空気中で200〜400℃、好ましくは250〜350℃の温度域で短時間の熱処理を行う。その際の炉の形式及びその方法については特に限定はなく、例えば、通常の箱型加熱炉、トンネル型加熱炉等を用いて乾燥物を固定した状態で加熱してもよいし、また、ロータリーキルン等を用いて乾燥物を流動させながら加熱してもよい。 加熱処理後に得られた触媒前駆体の灼熱減量は、0.5〜5重量%であることが好ましく、1〜3重量%であるのがより好ましい。灼熱減量をこの範囲とすることで、原料転化率や選択率が高い触媒を得ることができる。なお、灼熱減量は、次式により与えられる値である。 灼熱減量(%)=[(W0−W1)/W0]×100・W0:触媒前駆体を150℃で3時間乾燥して付着水分を除いたものの重量(g)・W1:付着水分を除いた前記触媒前駆体を更に500℃で2時間熱処理した後の重量(g) 前記の後工程では、前記の前工程において得られる触媒前駆体とモリブデン化合物(全原子比aからa1相当を差し引いた残りのa2相当)とビスマス化合物の一体化を、水性溶媒下で行う。この際、アンモニア水を添加するのが好ましい。X、Y、Z成分の添加もこの後工程で行うのが好ましい。また、この発明のビスマス供給源化合物は、水に難溶性ないし不溶性のビスマスである。この化合物は、粉末の形態で使用することが好ましい。触媒製造原料としてのこれら化合物は粉末より大きな粒子のものであってもよいが、その熱拡散を行わせるべき加熱工程を考えれば小さい粒子である方が好ましい。従って、原料としてのこれらの化合物がこのように粒子の小さいものでなかった場合は、加熱工程前に粉砕を行うべきである。 次に、得られたスラリーを充分に撹拌した後、乾燥する。このようにして得られた乾燥品を、押出し成型、打錠成型、あるいは担持成型等の方法により任意の形状に賦形する。次に、このものを、好ましくは450〜650℃の温度条件にて1〜16時間程度の最終熱処理に付す。以上のようにして、高活性で、かつ目的とする酸化生成物を高い収率で与える複合酸化物触媒が得られる。 以上のようにして製造された複合酸化物触媒をもちいることによりエチレンを2量化して得たn−ブテンを含む原料及びn−ブタノールを脱水して得られたn−ブテンを含む原料に対しては、選択性及び触媒寿命が良好であり、石油精製から得られる重質油をクラッキングして得られるC4留分に含まれるn−ブテンを含む原料、n−ブタンの脱水素又は酸化脱水素により得られるn−ブテンを含む原料及びナフサのクラッキングにより得られるn−ブテンを含む原料に対しては、その不純物の存在に反応成績がほとんど影響されることなく、n−ブテンの高転化率を維持することができるとの利点を有する。 酸化脱水素反応の反応条件としては、特に限定されることはなく、当業者であれば通常用いられる条件から適宜選択することができる。 例えば、n−ブテン原料は前述のとおりであり、分子状酸素含有ガスは通常、空気を用いるが、酸素を空気と混合するなどして酸素濃度を高めたガス、又は空気と窒素、ヘリウム、反応生成ガスからブタジエン、n−ブテン、n−ブタン、i−ブタンなどの炭化水素化合物を分離した後のガスなどを混合して酸素濃度を低めたガス等が用いられる。n−ブテンに対する酸素のモル比は0.5〜1.5が好ましい。反応器は固定床、流動床いずれも用い得るがシェルアンドチューブ型の固定床反応器が好ましい。反応温度は通常320〜400℃であり、反応圧力は通常0.01〜0.4MPa/G(ゲージ圧)である。 精製方法は、特に限定されず、例えば、反応生成ガスを、クエンチ工程、溶剤吸収工程、不純物アルデヒド分離工程、ブタジエン精製工程(蒸留)等を適宜組み合わせて実施することができる。 本発明はn−ブテンの接触酸化脱水素反応でブタジエンを製造する方法に関する。ブタジエンの用途はタイヤ等のゴム製品であり産業上有用である。 触媒存在下、n−ブテンを含む原料と分子状酸素含有ガスとを酸化脱水素反応させブタジエンを含む反応生成ガスを得て、該反応生成ガスを精製してブタジエンを得るブタジエンの製造方法において、該原料中のn−ブテンがエチレンを2量化して得たものであることを特徴とするブタジエンの製造方法。 前記エチレンがエタンを原料とすることを特徴とする請求項1に記載のブタジエンの製造方法。 前記エタンが在来型及び又は非在来型天然ガスを原料とすることを特徴とする請求項2に記載のブタジエンの製造方法。 前記非在来型天然ガスがシェールガス、タイトガス、深層天然ガスであることを特徴とする請求項3に記載のブタジエンの製造方法。 前記エチレンがエタノールを原料とすることを特徴とする請求項1に記載のブタジエンの製造方法。 触媒存在下、n−ブテンを含む原料と分子状酸素含有ガスとを酸化脱水素反応させブタジエンを含む反応生成ガスを得て、該反応生成ガスを精製してブタジエンを得るブタジエンの製造方法において、該原料中のn−ブテンがn−ブタノールを脱水して得られたものであることを特徴とするブタジエンの製造方法。 前記n−ブタノールがエタノールを原料とすることを特徴とする請求項6に記載のブタジエンの製造方法。 前記n−ブタノールがバイオマス資源を原料とすることを特徴とする請求項6に記載のブタジエンの製造方法。 前記エタノールがバイオマス資源を原料とすることを特徴とする請求項5または7に記載のブタジエンの製造方法。 触媒存在下、n−ブテンを含む原料と分子状酸素含有ガスとを酸化脱水素反応させブタジエンを含む反応生成ガスを得て、該反応生成ガスを精製してブタジエンを得るブタジエンの製造方法において、該原料中のn−ブテンが、(i)石油精製から得られる重質油をクラッキングして得られるC4留分に含まれるn−ブテンであること、(ii)n−ブタンの脱水素又は酸化脱水素により得られること又は(iii)ナフサのクラッキングにより得られるものであることを特徴とするブタジエンの製造方法。触媒が、下記一般式(1): MoaBibCocNidFeeXfYgZhSiiOj (1)(式中、Xはマグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、亜鉛(Zn)、セリウム(Ce)及びサマリウム(Sm)からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素である。Yはナトリウム(Na)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、セシウム(Cs)及びタリウム(Tl)からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素である。Zはホウ素(B)、リン(P)、砒素(As)及びタングステン(W)からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素である。さらに、a〜jはそれぞれの元素の原子比を表し、a=12のとき、b=0.5〜7、c=0〜10、d=0〜10(但しc+d=1〜10)、e=0.05〜3、f=0〜2、g=0.04〜2、h=0〜3、i=5〜48の範囲にあり、またjは他の元素の酸化状態を満足させる数値である。)で表される複合酸化物触媒であることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載のブタジエンの製造方法。 【課題】ブテン原料の供給源として従来の、ナフサ分解で副生するC4留分等のみでは今後拡大すると予想されるブタジエン需要を賄うことはできないと考えられるため、十分な量のブタジエンを製造するに足る原料およびプロセスの実施形態を提供する必要がある。【解決手段】モリブデン−ビスマス系触媒存在下、n−ブテンを含む原料と分子状酸素含有ガスとを酸化脱水素反応させブタジエンを含む反応生成ガスを得て、該反応生成ガスを精製してブタジエンを得るブタジエンの製造方法において、該原料中のn−ブテンがエチレンを2量化して得たもの、n−ブタノールを脱水して得られたもの、石油精製から得られる重質油をクラッキングして得られるC4留分に含まれるもの、n−ブタンの脱水素又は酸化脱水素により得られたもの又はナフサのクラッキングにより得られるものであることを特徴とするブタジエンの製造方法。【選択図】なし