タイトル: | 公開特許公報(A)_D−乳酸産生微生物およびその製造方法 |
出願番号: | 2014060108 |
年次: | 2015 |
IPC分類: | C12N 1/20,C12P 7/56,C12R 1/18 |
庄司 信一郎 山本 智義 多田 孝清 市村 直也 JP 2015181387 公開特許公報(A) 20151022 2014060108 20140324 D−乳酸産生微生物およびその製造方法 帝人株式会社 000003001 為山 太郎 100169085 庄司 信一郎 山本 智義 多田 孝清 市村 直也 C12N 1/20 20060101AFI20150925BHJP C12P 7/56 20060101ALI20150925BHJP C12R 1/18 20060101ALN20150925BHJP JPC12N1/20 AC12P7/56C12N1/20 AC12R1:18C12P7/56C12R1:18 4 OL 9 4B064 4B065 4B064AD33 4B064CA02 4B064CC07 4B064CC30 4B064CD04 4B064DA16 4B065AA25X 4B065AC14 4B065BB04 4B065BC02 4B065BC50 4B065CA11 4B065CA60 本発明は、D−乳酸産生微生物およびこれを用いたD−乳酸の製造方法に関する。 バイオマスから生産される生分解性樹脂は、カーボンニュートラルであること、石油を原料とせずに生産できることから、環境問題およびエネルギー・資源問題の解決に大きな役割を果たすことが期待されている。 生分解性樹脂の中でも乳酸を原料とするポリ乳酸は、製造過程でのエネルギー消費が他の生分解性樹脂の製造に比べて少なく、プラスチックとしての性能も高いことから、市場が拡大することが期待される。 しかしながら、ポリL−乳酸のみから構成されるポリ乳酸樹脂は、その機械的強度や耐熱性が不十分であるため、用途が限定されている。一方、ポリL−乳酸とポリD−乳酸とを溶融混練して得られるステレオコンプレックスポリ乳酸は、耐熱性やその他の物性が優れているため、幅広い用途への展開が期待される。 ステレオコンプレックスポリ乳酸を得るためには、原料にL−乳酸とD−乳酸が必要である。L−乳酸は多くの生産技術が確立され商業ベースで安価に製造されているが、高光学活性のD−乳酸を安価に製造する方法は十分に確立しているとは言えず、D−乳酸の低コスト発酵生産技術が、ポリ乳酸樹脂の実用化においてきわめて重要となっている。 工業的なD−乳酸発酵法として、組換え微生物を用いた方法や非組換え微生物を用いた方法が研究されている。組換え微生物を用いた研究例として、Ishida,Nらは、高光学純度D−乳酸の効率的生産を目的として、ピルビン酸デカルボキシラーゼ遺伝子を欠損したSaccharomyces cerevisiaeにLeuconostoc mesenteroides subsp.mesenteroides NBRC3426株由来のD−乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子を導入してグルコースからのD−乳酸生産を試みたところ、光学純度99.9%のD−乳酸を生産したことが開示されている(非特許文献1、特許文献1)。しかしながら、培地に高価な成分を必要とすることが課題であった。 一方、非組み換え微生物を用いた方法として、Erwinia属の微生物が、グルコースを炭素源として、酵母エキスやポリペプトンなどの着色培地成分を用いず、グルコースと無機塩のみでD−乳酸を発酵することが開示されている(特許文献2)。着色培地成分を用いないことから、排水処理コストが低減することが期待される。 しかしながら、Erwinia属は、廃糖蜜や酵母エキスなどの有色成分を培地に添加することなく、品質が一定の発酵培地を用いて、従来と同等の発酵所要時間で低コストにD−乳酸を発酵することが可能であるが、対糖収率が低く、D−乳酸産生濃度が低いことが課題であった。特開2005−102625号公報特開2009−291132号公報Ishida,N. et al、J.Biosci.Bioeng.,101(2),172−177(2006) 本発明の目的は、上記従来の問題を解決し、対糖収率が高く、D−乳酸産生濃度が高い微生物を提供することにある。さらに、当該微生物を用いたD−乳酸製造方法を提供することにある。 本発明者らは、対糖収率が高く、D−乳酸産生濃度が高い微生物について鋭意検討を重ねたところ、Erwinia属に属する微生物を変異させることで、廃糖蜜や酵母エキスなどの有色成分を培地に添加することなく、品質が一定の発酵培地を用いて、従来と同等の発酵所要時間で高効率にD−乳酸を発酵生産することが可能なことを見出した。 また、さらに検討を重ねた結果、当該微生物を用い、発酵によってD−乳酸を製造する際に、培養液中の酸化還元電位(ORP)を制御することにより、乳酸発酵の副生成物であるギ酸の生成量が低減することを見出した。また、培養液中のpHを制御することで、対糖収率およびD−乳酸の生成が増加することを見出した。 即ち、本発明によれば、 1.Erwinia M3と命名され、NITE P−01579として寄託された微生物が提供される。 また、本願発明には、下記2〜4の発明も包含される。 2.上記1に記載の微生物と有色成分である廃糖蜜を含まない培地又は酵母エキス濃度が0.1%未満である培地とを用い、培養時のpHを7.0〜8.0の範囲内に制御しつつ、D−乳酸を製造する方法。 3.上記1に記載の微生物と、有色成分である廃糖蜜を含まない培地又は酵母エキス濃度が0.1%未満である培地とを用い、培養時の酸化還元電位(ORP)を−250mV〜−100mVの範囲内に制御しつつ、D−乳酸を製造する方法。 4.上記1に記載の微生物と有色成分である廃糖蜜を含まない培地又は酵母エキス濃度が0.1%未満である培地とを用い、培養時のpHを7.0〜8.0の範囲内に、酸化還元電位(ORP)を−250mV〜−100mVの範囲内に制御しつつ、D−乳酸を製造する方法。 本発明の微生物によれば、有色成分である廃糖蜜を含まない培地又は酵母エキス濃度が0.1%未満である培地を用いて、対糖収率とD−乳酸産生濃度が高い発酵生産を行うことができる。また、D−乳酸産生時時に培養液中のpH及び/または酸化還元電位を制御することで、対糖収率とD−乳酸産生濃度が高い発酵生産方法を提供することが可能である。本願の実施例で用いたErwinia属の変異株10種(TDLNo.1〜10)について、それぞれの変異株のD−乳酸産生濃度を表した棒グラフである。 以下、本発明について詳細に説明する。<Erwinia M3と命名され、NITE P−01579として寄託された微生物> 本発明の微生物は、Erwinia属に属する微生物の変異株であって、新規な菌株として、2013年3月25日付けで、独立行政法人製品評価技術基盤機構特許微生物寄託センターに寄託しており(受託番号は、NITE P−01579である。)、容易に入手可能である。 本願発明のD−乳酸を特異的に産生するErwinia M3は、土壌中やその他の場所にも存在しているErwinia属に属する微生物を変異させて得たものであり、自然環境から分離されたErwinia属を用いて、一般に公知な方法で変異を行うことで得ることができる。 変異方法としては、例えば、アルキル化剤などの化学的変異原やX線・ガンマー線・中性子線などの物理的変異原を用いた突然変異誘発や、遺伝子操作による変異導入などが挙げられる。 本発明のErwinia M3は、対糖収率とD−乳酸産生濃度の向上の観点から、エチルメタンスルホン酸による変異誘発を使用することが好ましい。 ここで対糖収率とは下記式(i)から求められる値、D−乳酸産生濃度は発酵液をHPLCを用いて分析して面積より求められる値である。[数1]対糖収率(%)=[{(発酵後のD−乳酸濃度)−(発酵前のD−乳酸濃度)}/{(発酵後のグルコース濃度−発酵前のグルコース濃度)}] × 100 (i)<D−乳酸の製造方法> 本発明のD−乳酸の製造方法は、一般に公知な方法で行うことができる。製造方法としては、例えば、回分培養(Batch culture)、流加培養(Fed−batch culture)、連続培養法(Continuous culture)などが挙げられる。ここで、流加培養とは、培養中の容器に培地を連続的又は間欠的に流加し、培養終了時までその培地を容器から抜き取らない培養方法をいう。また、連続培養とは、培養中の容器に培地を連続的又は間欠的に流加するとともに、容器から培地(通常、流加する培地と当量)を抜き取る方法をいう。 発酵生産に用いる培地中の炭素源としては、一般に公知なものを使用することができる。例えば、グルコース、フルクトース、ガラクトース、スクロース、イヌリン、マルトース、アラビノース、セルビオース、ラクトース、メリビオース、ラフィノース、トレハロース、サリシン、マンニトール、ソルビトール、マンノース、スターチなどの糖類、澱粉加水分解物、糖蜜が挙げられる。 また、藻類や木材、廃棄物などに含まれるセルロース成分から、セルラーゼを用いて回収したグルコースを発酵生産の培地中の炭素源として使用することができる。 培地組成としては、一般に公知なものを使用することができる。例えば、硫酸アンモニウム、リン酸塩、無機塩からなるW培地に、炭素源成分を20〜100g/l添加して、滅菌処理を行った培地を使用することができる。 また、水道水にリン酸塩および尿素を添加し、炭素源を20〜100g/l添加した培地を使用してもよい。 滅菌処理は、オートクレーブ滅菌やろ過滅菌を使用することができる。 D−乳酸の製造は、例えば、Erwinia属に属する微生物の変異株をグルコース20〜100g/lを含むW培地を用いて24時間、30℃で培養し、その培養菌体を種菌として、発酵培地の容積の5%程度を添加して、発酵培養することで行うことができる。また、24時間、30℃で培養し菌体は10〜20%グリセロール濃度になるように混合して−80℃または液体窒素で冷凍保管して、種菌として利用することができる。 発酵時の温度は、20℃〜50℃の範囲で制御することが好ましく、D−乳酸産生速度や対糖収率、D−乳酸産生濃度の観点から、25℃〜40℃がより好ましく、27℃〜35℃がさらに好ましい。20℃より低いと微生物によるD−乳酸産生がほとんど起こらない場合がある。また、50℃よりも高いと微生物の生育上問題となる場合がある。 発酵時は撹拌しても無撹拌でもよいが、D−乳酸産生速度や対糖収率、D−乳酸産生濃度の観点から、撹拌することが好ましい。 本発明のErwinia属に属する微生物の変異株、とりわけ、寄託番号NITE P−01579として寄託されている微生物は、D−乳酸発酵時の培養液中のpH及び/または酸化還元電位を制御することで、対糖収率が高く、D−乳酸産生濃度の高い発酵生産を行うことができる。 本発明の発酵時の培養液中のpHは、7.0〜8.0の範囲で制御することが好ましい。対糖収率、D−乳酸産生濃度の観点から、7.4〜7.7の範囲で制御することがより好ましい。培養液中のpHは、生成するD−乳酸を中和することで制御することができ、中和には一般に公知な方法を用いることができる。例えば、アンモニア、炭酸カルシウム、水酸化ナトリウムなどのアルカリ成分を培養液中に添加する方法が挙げられる。培養液中のpHは一般に公知の方法で測定したい値であり、pHメーターやpH試験紙で確認される値である。 本発明の発酵時の培養液中の酸化還元電位は、−250mV〜−100mVの範囲で制御することが好ましい。対糖収率、D−乳酸産生濃度の観点から、−200mV〜−100mVの範囲で制御することがより好ましい。−250mVよりも低いと発酵時の副生成物、とくにギ酸の生成が多くなり、対糖収率が低下する場合がある。また、−100mVよりも高いと菌体の特性上、増殖に糖成分を消費するため、D−乳酸産生濃度が低くなる場合がある。培養液中の酸化還元電位は、空気もしくは酸素、二酸化炭素および窒素を曝気し調節することができる。培養液中の酸化還元電位は、白金等貴金属類や炭素などを指示電極とし、対極として銀・塩化銀電極などを用いる、一般に公知な方法で測定することができる。 以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが本発明はこれにより何等限定を受けるものでは無い。各物性は以下の方法により測定した。(1)D−乳酸、グルコース、ギ酸の濃度、D−乳酸産生濃度: 乳酸、グルコース、ギ酸の濃度、D−乳酸産生濃度はHPLCを用いて、下記の条件で測定し、面積から各々の濃度を求めた。 HPLC :ジーエルサイエンス株式会社製 GL−7410 分析カラム :発酵モニタリングカラム(Bio Rad社製) 流速 :0.8ml/min 温度 :70℃ 展開溶媒 :1mM 硫酸 検出 :A210及び示差屈折 サンプル量 :10μリットル(2)対糖収率: 対糖収率は下記式(ii)から求めた。[数2]対糖収率(%)=[{(発酵後のD−乳酸濃度)−(発酵前のD−乳酸濃度)}/{(発酵後のグルコース濃度−発酵前のグルコース濃度)}] × 100 (ii)(3)乳酸の光学純度: 乳酸の光学純度はHPLCを用いて、下記の条件で測定し、面積を用いて下記式(iii)から求めた。 HPLC :ジーエルサイエンス株式会社製 GL−7410 分析カラム :SUMICHIRAL OA−5000(住友化学社製) 流速 :1ml/min 温度 :40℃ 展開溶媒 :1mM CuSO4(0.22μ濾過) 検出 :A254 サンプル量 :10μl[数3]光学純度(%)={(D−L)/(D+L)} × 100 (iii)(4)培養液中の菌体量: 培養液中の菌体量は、分光光度計(株式会社日立ハイテクノロジーズ製 U2000)を用いて、吸光度600nmの濁度(OD)を測定して求めた。 pH、酸化還元電位は以下の方法により制御した。(5)pHの制御: 培養液中のpHの制御は、中和剤として28%アンモニア水(ナカライテスク品)、pH制御装置として「DJ−1023P」(バイオット社製)を用いて行った。(6)酸化還元電位(ORP)の制御: 培養液中の酸化還元電位の制御は、ORP制御装置「DJ−1083」(バイオット社製)を用い、所望のORPになるように圧縮空気(5L/min)を添加して行った。 以下、本実施例で使用するErwinia属に属する微生物の変異株を説明する。 Erwinia属に属する微生物の変異株として、以下の方法で変異処理して得た。[変異株の作製] 野生型のErwinia sp.を2%グリセロール含有W培地(硫酸アンモニウム2g/l、硫酸マグネシウム0.25g/l、塩化カルシウム2水和物0.015g/l、塩化ナトリウム0.5g/l、リン酸水素ナトリウム12水和物14.3g/l、リン酸水素カリウム5.4g/l、硫酸亜鉛7水和物2mg/l、モリブデン酸アンモニウム4水和物0.15mg/l、硫酸銅5水和物0.2mg/l、塩化コバルト0.4mg/l、硫酸マンガン5水和物1.5mg/lを含む)で、30℃、150回転/分の条件で24時間振とう培養を実施した。 培養後、菌体を含む培養液を1.5mlチューブに1ml加え、遠心分離機を用いて集菌し、蒸留水で2回洗浄した。洗浄後、エチルメタンスルホン酸(ナカライテスク社)を終濃度0.3%、3%になるように添加し、室温で30分及び60分変異処理を実施した。 変異処理後、滅菌水で菌体を2回洗浄し、1mlの滅菌水に懸濁した。懸濁した菌体液のうち100μLを2%グルコース含有W培地に塗布し、30℃で24時間培養した。プレート上に生育したコロニーを用いて3ml試験管スケールでD−乳酸発酵試験を72時間行い、D−乳酸産生量の高い菌株について、さらに20mlフラスコスケールを用いた発酵試験を72時間実施した。 なお、発酵試験は、培地は2%グルコース含有W培地、中和剤は培地に対して2%濃度となる炭酸カルシウムを用い、初期菌体量は2%グルコース含有W培地中で30℃、24時間培養した種菌(以後の発酵においても、種菌は同様の方法で準備したものを使用した)を用いて、OD=5となるように調整し、発酵液を30℃、50回転/分で振盪しながら72時間発酵した。 20mL変異株のD−乳酸産生濃度を図1に示した。その結果、最もD−乳酸産生量が大きいTDL No.3株が得られた。以後の実施例はこのTDL No.3株を用いて実施した(TDL No.3株はErwinia M3と命名し、NITE P−01579の受託番号で寄託した微生物である。)。[実施例1]Erwinia M3を用いたD−乳酸発酵: 500mLスケールのフラスコを用い、2%グルコース含有W培地(グルタミン酸、グルタミン、アスパラギン酸、アスパラギン、アルギニン、リシンを各0.01g/L追加したもの)100mLと、培地中で10%濃度となる炭酸カルシウムを加え、そこに、Erwina M3株の種菌を培地中でOD=5となるように追加し、発酵液を30℃、50回転で振盪しながら72時間発酵した。72時間後のD−乳酸産生濃度は8.7g/L、対糖収率は94.6%であった。[比較例1]Erwinia sp.を用いたD−乳酸発酵 Erwinia M3株を野生株であるErwinia sp.に変更した以外は、実施例1と同様にして72時間発酵を行った。72時間後のD−乳酸産生濃度は0.25g/l、対応収率は61.4%であった。[実施例2]酸化還元電位の影響−1: 5Lスケールのジャーファーメンターを用い、2%グルコース含有W培地(グルタミン酸、グルタミン、アスパラギン酸、アスパラギン、アルギニン、リシンを各0.01g/L追加したもの)に、Erwinia M3の種菌を培地中でOD=12.5となるように加え、トータル量3lとした発酵液を30℃、50rpmで撹拌しながら発酵した。発酵中はグルコース濃度が5g/Lとなった時点で20g/Lとなるように追糖し、最終的にトータルのグルコース仕込み量が4%となるようにした。 さらに、中和剤として28%アンモニア水を用いてpHが6.8になるようにコントロールした。到達ORPは−380mVであった。72時間後のD−乳酸産生濃度は17.7g/L、その時点の対糖収率は41.4%であった。また、ギ酸の産生濃度は8.2g/Lであった。[実施例3]酸化還元電位の影響−2: 圧縮空気によってORPを−150mVにコントロールした以外は、実施例2と同様にして発酵を行った。発酵中はグルコース濃度が5g/Lとなった時点で20g/Lとなるように追糖し、最終的にトータルのグルコース仕込み量が4%となるようにした。さらに、中和剤として28%アンモニア水を用いてpHが6.8になるようにコントロールした。72時間後のD−乳酸産生濃度は19.6g/L、対糖収率は62.4%であった。また、ギ酸の産生濃度は確認されなかった。[実施例4]pHの影響: 制御するpHを7.6にした以外は、実施例3と同様にして、発酵を行った。発酵中はグルコース濃度が5g/Lとなった時点で20g/Lとなるように追糖し、最終的にトータルのグルコース仕込み量が4%となるようにした。さらに、中和剤として28%アンモニア水を用いてpHが7.6になるようにコントロールした。72時間後のD−乳酸産生濃度は36.8g/L、対糖収率は92.0%であった。また、ギ酸の産生濃度は確認されなかった。 本発明によれば、ポリ乳酸原料となるD−乳酸を、安価に効率よく生産できるため、D−乳酸を低コストで工業生産が可能となる。 Erwinia M3と命名され、NITE P−01579として寄託されたD−乳酸産生微生物。 請求項1に記載の微生物と有色成分である廃糖蜜を含まない培地又は酵母エキス濃度が0.1%未満である培地とを用い、培養時のpHを7.0〜8.0の範囲内に制御しつつ、D−乳酸を製造する方法。 請求項1に記載の微生物と、有色成分である廃糖蜜を含まない培地又は酵母エキス濃度が0.1%未満である培地とを用い、培養時の酸化還元電位(ORP)を−250mV〜−100mVの範囲内に制御しつつ、D−乳酸を製造する方法。 請求項1に記載の微生物と有色成分である廃糖蜜を含まない培地又は酵母エキス濃度が0.1%未満である培地とを用い、培養時のpHを7.0〜8.0の範囲内に、酸化還元電位(ORP)を−250mV〜−100mVの範囲内に制御しつつ、D−乳酸を製造する方法。 【課題】対糖収率が高く、D−乳酸産生濃度が高いD−乳酸産生微生物を提供すること。さらに、そのErwinia属を用いた効率的なD−乳酸製造方法を提供すること。【解決手段】Erwinia M3と命名され、NITE P−01579として寄託されたD−乳酸産生微生物、また、当該微生物と、有色成分である廃糖蜜を含まない培地又は酵母エキス濃度が0.1%未満である培地とを用いてD−乳酸を発酵生成する際に、pH及び/又は酸化還元電位を一定の範囲とする。【選択図】なし