タイトル: | 公開特許公報(A)_食品鮮度ラベル |
出願番号: | 2014058313 |
年次: | 2015 |
IPC分類: | G09F 3/02,G01N 33/12,G01N 31/00,G01N 31/22 |
秋山 良造 小宮 研一 石川 大介 新井 竜一 二見 奈緒子 JP 2015184332 公開特許公報(A) 20151022 2014058313 20140320 食品鮮度ラベル 東芝テック株式会社 000003562 特許業務法人 天城国際特許事務所 110000235 秋山 良造 小宮 研一 石川 大介 新井 竜一 二見 奈緒子 G09F 3/02 20060101AFI20150925BHJP G01N 33/12 20060101ALI20150925BHJP G01N 31/00 20060101ALI20150925BHJP G01N 31/22 20060101ALI20150925BHJP JPG09F3/02 UG01N33/12G01N31/00 GG01N31/22 121CG01N31/22 123 5 1 OL 12 2G042 2G042AA05 2G042BB06 2G042BD13 2G042CA10 2G042DA02 2G042DA08 2G042FA12 2G042FB07 2G042FC01 本実施形態は、食品の鮮度あるいは腐敗状態を簡単に確認できる食品鮮度ラベルに関する。 全ての食品は、その種類や加工方法、防腐や抗菌作用のさせ方により、保存期間や保存特性をある程度制御することができ、歴史的にも数多くの保存方法が取られ現代に受け継がれている。しかし、その保存方法を誤った、或いは保存期間が可食の域を超えた食品を摂取すると、食中毒などの症状として現れる場合がある。 一般に、食品は、農産物、鮮魚、畜産物などを作る或いは獲る生産者や、それらを加工する食品加工業者から流通業者、スーパーなどの小売業者、レストランや飲食店などの販売業者を経て消費者に食されるまでにさまざまな移動手段や保管過程を経過する。そのため、その流通過程や食品加工段階での食材の保存方法、取扱いを誤ると、食材は劣化し、仮に腐敗菌が繁殖することになると、食中毒などを引き起こす原因となる。 食品の有効な保存方法のひとつに冷温保存があり、この冷温保存が適性に行われているかどうか履歴がわかるような方法も一般的に採用されている。しかし、食材あるいは加工食品そのものの鮮度状態あるいは腐敗状態がどの程度進行しているかを知る手段もいくつか知られているが、簡単に食品の鮮度状態が分かる技術が無いことも事実である。 このような鮮度状態を知るための鮮度ラベルの一例として、樹脂製の袋内に食品由来微生物と試料溶液を仕切りのシール部を介して封入した鮮度インジケータが知られている。これは鮮度管理したい食品に帯同させてシール部を剥離し、食品の保存状態や保存時間に応じてインジケータが変色し、鮮度状態を模擬的にわかるような仕組みをとっている。 しかしながら、この方法においては袋内の食品由来の微生物がどの程度繁殖しているかをモニターし、食品の鮮度状態を模擬的に表示しているため、実際の腐敗状態を反映させることは困難である。特開2005−87044号公報(特許請求の範囲) 本発明の目的は、大掛かりな分析装置を用いることなく食品の鮮度あるいは腐敗状態を簡単に知ることができると共に、食品の鮮度あるいは腐敗状態の程度を段階的に知ることができ、利用者が可食か否か、あるいは食品加工が可能かどうかを鮮度の状態に応じて知ることができる鮮度ラベルを提供することにある。 本実施形態に係る食品鮮度ラベルは、食品の鮮度または腐敗状態が変わることによって発生する成分Aに反応する成分Bと、上記成分Bを保持する保持体Cとを備え、上記食品の鮮度または腐敗状態の進行度に応じて上記成分Bが反応する量を段階的に変えることを特徴とする。本実施の形態に係る鮮度ラベルの一例を示す図である。本実施の形態に係る鮮度ラベルの使用例を示す図である。非可視光領域で画像を認識する鮮度ラベルの一例を示す図である。本実施の他の形態に係る鮮度ラベルの一例を示す断面図である。本実施の他の形態に係る鮮度ラベルの一例を示す断面図である。本実施の他の形態に係る鮮度ラベルの一例を示す断面図である。本実施の他の形態に係る鮮度ラベルの一例についての評価を示す図である。本実施の他の形態に係る鮮度ラベルの一例についての評価を示す図である。 以下、本実施形態について図面を参照して詳細に説明する。 (鮮度ラベル) 本実施形態にかかる鮮度ラベル(鮮度検知手段)は、食品の鮮度あるいは腐敗状態が変わることによって発生する成分A(以下、「腐敗成分A」又は、単に「成分A」と称す。)に反応する成分Bと、この成分Bを保持する保持体Cからなる形態が基本となる。成分Bは、腐敗成分Aと反応し、発色や消色、さらには可視光以外の波長域の分光特性を利用して、その変化した状態を検知される成分になる。 図1に、本実施形態に係る鮮度ラベルの一例を示す。鮮度ラベル10は、保持体Cである紙上に成分Bの含有濃度が異なる3つの円形の画像No.1,No.2およびNo.3を形成したものである。これらの画像のうち、画像No.1が最も成分Bの含有量(含有濃度)が多く、続いて画像No.2、画像No.3になるにつれて成分Bの含有量(含有濃度)は減少する。使用前の鮮度ラベル10の画像No.1からNo.3のいずれもが黄色に着色された状態となっている。腐敗成分Aが発生したときには成分Bの含有量(含有濃度)が最も多い画像No.1の色が変化しやすくなり腐敗の初期段階での検知が可能となる。画像No.3の変化が認識できたときは腐敗状態が可食に値しないものと判断される。このように、鮮度ラベル10は、使用対象となる食品に合わせて成分Bを適宜選択し、段階的な鮮度状態を知ることができる。 (腐敗成分A) 本実施形態に係る鮮度ラベルは、上記のとおり、腐敗成分Aを簡易的に定量し、食品の鮮度あるいは腐敗状態を段階的に認識可能とするものである。以下、腐敗成分Aについて説明する。 一般に、食品を放置しておくと、時間の経過とともに、匂い、外観、テクスチャー、味などに何らかの変化を生じ、ついには食用に適さなくなる。このような食品の悪変を劣化、変敗、あるいは変質と称し、通俗的には“たべものが腐る”という。食品の劣化は、微生物原因のほか、昆虫、自己消化、化学的原因(脂質の酸化、褐変)あるいは物理的原因(傷、つぶれなどの損傷)によっても起こるが、微生物の増殖によって変質し、食べられなくなる場合が多く、これを広義の腐敗という。 食品の蛋白質が微生物(腐敗細菌)の作用を受けて分解されて有害物質や悪臭を生じる過程を腐敗、これに対して炭水化物や油脂が微生物の作用を受けて分解して、風味が悪くなり食用に適さない状態を変敗もしくは変質と区別することもある。そして、腐敗臭の成分の主なものはアンモニア、トリメチルアミン等の各種の揮発性アミンである。このため、肉や魚のような蛋白質に富んだ食品の腐敗の程度を知るために、この揮発性アミン成分を定量することは有用である。 揮発性アミン成分の定量分析方法としては、揮発性塩基窒素量(volatile basic nitrogen;略称VBN)の測定が行われており、VBNが30mg%まで蓄積されると初期腐敗、50mg%以上では完全腐敗と、腐敗状態の目安にしている。VBNの測定にはコンウェイユニットを用いた微量拡散法があるが、拡散操作に時間を要し迅速な検査ができないという欠点を有する。 また、食品中の窒素化合物は主に蛋白質の形であるが、これは微生物の酵素や食品の酵素によって加水分解されてポリペプチド、簡単なペプチドあるいはアミノ酸になる。そしてアミノ酸は脱アミノ反応、トランスアミネーション、脱炭酸反応などにより分解、代謝される。 アミノ酸から生成するアミンとしては、例えばヒスタミン、チラミン、アグマチン、プトレシン、カダベリン、アラニン、トリプタミン、イソブチルアミン、イソアミルアミン、などが挙げられる。また、含硫アミノ酸からは硫化水素やメルカプタンが、トリプトファンからはインドールやスカトールが、チロシンからはクレゾールやフェノールが生成する。 (腐敗成分Aに反応する成分B) 本実施形態に係る腐敗成分Aに反応する成分Bは、上記した腐敗成分Aに応じて適宜選択できる。 例えば、腐敗成分Aとしてアミンなどの塩基性を有するものを主に検出する場合は、pHにより変色する色素(以下、「pH変色色素」ともいう。)を用いることができる。 本実施形態に係る鮮度ラベルは、成分Bが保持体Cに保持される形態が基本であり、使用する食品に接触する等を考慮すると、pH変色色素は天然物由来のもので毒性が低いことが好ましい。 天然由来のpH変色色素としては、例えば赤キャベツ色素、紫イモ色素、ブドウ果皮色素、ブドウ果汁色素、エルダーベリー色素、紫トウモノコシ色素、シソ色素、ハイビスカス色素などのアントシアニン系の色素が挙げられる。 また、アルカリ性で紫赤色系の発色を示す、コチニール色素、ラック色素、アカネ色素などのキノン系色素、アルカリ性で赤褐色になるウコン色素、なども可能である。他にカロテノイド系色素、フラボノイド系色素、ポリフィリン系色素など、腐敗成分Aに反応するものであればよい。 また、本実施形態においては、鮮度ラベルを成分Bが食品に直接接触しないような構造とし、あるいは流通段階における鮮度管理の目的で、食品の一部を採取して鮮度ラベルを使用する場合などは、一般にpH指示薬として扱われている薬品を使用することができる。 pH指示薬としては、例えばマラカイトグリーン、チモールブルー、メチルイエロー、ブロモフェノールブルー、メチルオレンジ、ブロモクレゾールグリーン、メチルレッド、ブロモクレゾールパープル、ブロモチモールブルー、フェノールレッド、ナフトールフタレイン、フェノールフタレイン、チモールフタレインなどが挙げられる。 また、成分Bは1種あるいは複数種の成分を混合して使用することも可能である。 (成分Bを保持する保持体C) 本実施形態に係る成分Bを保持する保持体Cとしては、成分Bを保持できるものであれば特に制限されないが、使用する食品に接触する等を考慮すると、耐油性、耐水性、抗菌性、保液性、強度、食品剥離性が高い紙媒体が好ましい。また、食品を覆うサランラップ(登録商標)等のラップ、食品が置かれたトレイと同じ材料からなる媒体でもよく、耐油性、耐水性、抗菌性、保液性、強度、食品剥離性が高いものが好ましい。また、当然のことながら保持体C自体に毒性を有していないものを選択し、成分B以外の鮮度ラベルとしての画像を形成するための印刷インクについても同様である。(鮮度ラベルの使用例) 本実施形態に係る鮮度ラベルは、鮮度状態を知りたい食品のそばに設置して使用する。 図2に、本実施形態に係る鮮度ラベルの使用例を示す。図2に示すように、ある食品Pがトレイやお皿等の容器T上に置かれた状態で、その食品Pの脇に鮮度ラベル10を置いておく。 食品は、鮮度が低下して腐敗状態に移行してゆくと、腐敗と共に生成される食品の分解物(腐敗成分)、例えばタンパク質の場合では腐敗臭の元となるアミン系の誘導体が発生する。本実施形態では、発生した分解物と鮮度ラベル10上の成分Bが反応し、色の変化あるいは反応物の分光的な特性を検出することによって、鮮度状態を知ることができる。 鮮度ラベル10は、容器T上に保存される食品Pをサランラップ(登録商標)等のラップフィルムや蓋で覆った密閉空間において使用することが好ましい。密閉空間で使用することで、分解物に対する成分Bの感度が高くなり正確な鮮度状態を知ることに繋がる。 鮮度ラベル10は、食品Pの腐敗状態によって、印刷した画像No.1、No.2,No.3の色が段階的に変わってゆく。例えば、図1(a)、(b)に示すように、画像No.1が黄色から緑色に変色した場合、この食品の鮮度が低下し始めていることを示している。さらに図1(c)に示すように2番の色が緑色になったときさらに腐敗状態が進み、この食品の鮮度が低下していると共に美味しさも低下していることも知らせており、この段階で食することは可能だができるだけ早く食した方がよいことを知らせている。3番目の色が緑色になった場合、この食品は可食に値しない状態を示しており、速やかに食品を廃棄すべきことを知らせている。(鮮度ラベルの作成方法) 以下に、図1に示す鮮度ラベル10を作成する方法について説明する。 先ず、成分Bとして選択したブロモチモールブルー(BTB)をエタノールに溶解し、BTBの含有濃度を1%、0.5%、0.2%とする3種のインクを作成する。さらに各々3種のインクにKOHを添加し各々pH=2.0>、4.0>、7.0>になるように調整した。作成した3種のインクを用いて保持体Cとして選択した紙媒体上に適当な画像No.1,2,3(図1では円形)を作成し、画像No.1にはBTBが0.2%配合のインク画像、画像No.2には0.5%配合のインク画像、画像No.3には1%配合のインク画像とし、エタノールを乾燥させて鮮度ラベル10とした。 画像作成は、インクジェット印刷により行った。3種の画像はBTB濃度が異なる橙色の画像で、腐敗成分Aであるアミンが発生したときに画像1が最も変色しやすくなり腐敗の初期段階での検知が可能となる。変色は橙色からくすんだ緑色さらに薄い青色に変色しゆき、画像No.3の変色が認識できたときは濃い青色に変色し腐敗状態が可食に値しないものと判断する。(腐敗状態の確認) 上記方法により作成した鮮度ラベル10を実際の食品に設置して鮮度状態がどのように変化するかを確認した。 食品例として、市販されている食肉、魚、野菜(枝豆)を使って、それぞれの食品を容器20であるトレイに載せ、その傍に鮮度ラベル10を設置し、食品を含めたトレイ全体を樹脂フィルム(サランラップ(登録商標))で密封しそのまま室温で保存した。 表1は、鮮度ラベル10の色変化を経時的に調べた結果である。評価基準は、画像の変色の有無とし、画像の変色を確認できた場合を「×」、画像の色に変化がなかった場合を「○」とした。この結果から、食品の種類によって腐敗状態の進行度が異なることがわかり、魚では7日目で画像No.3の変色が確認でき、食べることを避けた方がよい状態になることがわかる。食肉では7日目で画像No.2の変色まで確認できており、この時点で可食な状態を維持していることがわかる。 上記確認試験で使用した食肉と魚の消費期限と鮮度ラベル10の変色時期との対応を比較すると、食肉の消費期限は5日目、魚では3日目となっていた。あくまで目安になるが、魚では画像No.3まで変色した7日目の状態で食するのは危険で、画像No.2まで変色した5日目の状態で食することができると判断できる。このように本実施形態の鮮度ラベルによれば、魚の鮮度状態を段階的に判定することで食するタイミングをより具体的に知ることが可能となる。他方、本実施形態に係る鮮度ラベルを使用することで食品の廃棄時期をより具体的に知ることができるため、食品廃棄量の低減にも寄与できる。 なお、上記確認試験に使用した魚は、食材の美味しさを考えると消費期限である3日目までに食することが望ましい。本実施形態の鮮度ラベルでは、腐敗成分Aに対する成分Bの感度を変える等して鮮度ラベルの変色時期を消費期限に合わせることで対応することがきる。 (鮮度ラベルの確認方法) 本実施形態に係る鮮度ラベルは、保持体C上に形成した画像の色情報を認識して、食品の鮮度状態をわかるようにしたものであるが、画像の色情報は可視光により視認されるものでなくてもよい。例えば、可視光以外の紫外光、赤外光、テラヘルツ波などの非可視光領域の波長を分光デバイスやカメラを通して画像をモニターすることによって、保持体C上に形成した画像を認識するものである。 図3に、非可視光領域で画像を認識する鮮度ラベルの一例を示す。図3に示すように、鮮度ラベル20は、鮮度保持時(a)および腐敗進行時(b)のいずれにおいても、人間の目には画像の色情報が変化していない。一方、上記した分光デバイスやカメラを通してみると、図3(c)に示すように、画像の変化を知ることができる。 これは、腐敗成分Aと成分Bが反応することによって、化学的な変化が生じたときの可視光域外の特徴的な分光スペクトルを受光して腐敗状態を検知しようとするものである。可視光域での発色、消色の変化が少ないとき、あるいは腐敗成分Aと成分Bの感度を高めたいときに有用である。また、直接に鮮度あるいは腐敗状態を人間の目で認識させたくないときにも有用となる。使用できるカメラとしては、例えばテラヘルツカメラは東京インスツルメンツ社製の高速Sub-THzイメージングカメラ、Xenics社製の近赤外/中赤外/遠赤外線カメラ、エバジャパン社製のハイパースペクトルカメラ、JAI社製の近紫外線カメラなどが挙げられる。 (鮮度ラベルの他の形態) 図4に、本実施の他の形態に係る鮮度ラベル30を示す。図4(a)に示すように、鮮度ラベル30は、基材層Dと、成分Bを保持する層Eをマスキングするマスク層Fからなる3層構造を備える。 基材層Dは、腐敗成分が成分Bを保持する保持層Eに透過や浸透しない材料であればよく、例えば樹脂製のシートでPET、PE、PP、PPSなどの汎用材料であればよく、これら汎用材料の中でも結晶性のものが好ましい。また、アルミニウム等の金属シートを用いることもできる。 成分Bを保持する保持層Eは、保持体Cとして説明した紙媒体に成分Bを印刷などの方法によって含侵させたものや、あるいは網目状、不織布状の樹脂材に含侵させたものなどを使用できる。基材層Dと保持層Eは適切な接着剤を使って接着する。 保持層Eをマスキングするマスク層Fは、腐敗成分と反応する他、時間経過、温度状態、蒸気密度などにより保持層Eが露出するように溶解する材料で構成される。例えば腐敗成分がアミン成分である場合、マスク層Fは、アルカリ可溶性の樹脂であるノボラック樹脂で作成することができる。 ノボラック樹脂は、アルカリ可溶な直線構造を持ち、フェノールあるいはクレゾールの混合物とホルムアルデヒドを酸の存在下で加熱反応させることで得られる。また、反応条件などを変えることで分子量や分子内構造を変えたノボラック樹脂も作成できる。このようなノボラック樹脂を薄層に形成し、成分Bが保持された保持層Eの表面に形成しマスク層Fとする。鮮度ラベル30は、保持層Eが基材層Dとマスク層Fに挟まれた形態となる。 図4(b)に示すようにマスク層Fは成分Aが接触することにより溶解し始める。そして、成分Aが発生しつづけるとマスク層Fの溶解が進み、やがて図4(c)に示すように、成分Bの保持層Eに到達する。そこで保持層Eは腐敗成分と成分Bが反応し変色あるいは消色が生じ(図中;E1、以下同じ)、食品の鮮度低下を視認、即ち検出することができる。 また、他の形態として、図5(a)に示すように厚みの異なるマスク層F1とマスク層F1に対応する領域に成分Bを保持する保持層Eを備える形態とすることで、腐敗成分が成分Bに接触するタイミングを変えることができる。 また、図5(b)に示すように空隙率の異なるマスク層F2とする形態とし、腐敗成分が成分Bに接触するタイミングを変えることができる。また、同様に、図6(a)に示すように分子量や分子内構造の異なる、ノボラック樹脂層Gおよび層Hを併せ持つマスク層F3を備える形態とすることでも、腐敗成分が成分Bに接触するタイミングを変えることができる。 このような形態とすることで食品の鮮度状態を段階的に変えて検出することができる。例えば、ある食品から発生する腐敗成分の発生量が、腐敗状態が進み多くなれば、図5(a)に示す形態では、マスク層Fの厚みが異なる部分で成分Bの発色状態が変わってくる。また、図5(b)に示す形態では、マスク層Fの空隙率を変えれば、空隙率の大きい部分が先に発色あるいは消色するようになる。また、図6(a)に示す形態では、樹脂層Gおよび樹脂層Hのようにアルカリ溶解速度の異なる領域をマスク層F3内に配置でき、アルカリ溶解速度の違いを利用して、図6(b)、(c)に示すように保持層Eが露出する時間を段階的に変えることができ、発色あるいは消色を段階的に示すことが可能となる。 また、マスク層Fに用いられるノボラック樹脂以外の材料としては、例えばアルカリ可溶性樹脂のアクリル樹脂、PVP(ポリビニルフェノール)樹脂、エポキシメタアクリレート樹脂、イソブチレン無水マレイン酸共重合樹脂や、PVA(ポリビニルアルコール)樹脂、また生体を構成する蛋白質であるコラーゲン、セラック、また製剤等に用いられる酢酸フタル酸セルロースなどを用いて作成してもよい。 また、他の形態としてコントラスト、背景色の違いを利用して段階的に表示させる鮮度ラベルとすることも可能である。 図7に示すように、鮮度ラベル40は、円形の中央部にインク画像が形成され、その円周部にはインク画像が腐敗成分により変色してゆく過程の発色状態を段階的に画像化した形態である。 中央部のインク画像Xは、エタノール中に1%のBTBを溶解させたインクで印刷等して形成されている。円周部の画像は、腐敗状態に応じた第一から第三段階の画像E2,E3およびE4が形成されている。鮮度ラベル30の使用前、或いは使用初期においては、中央部に形成された画像は円周部に形成された第一から第三段階の画像E2,E3およびE4のいずれとも一致しない(第0段階(0))。食品の腐敗状態が進むと、中央部に形成された画像Xは徐々に変色等しはじめ、やがて円周部に形成された第一段階(1)の画像E2と一致する。その後、腐敗状態が進み腐敗成分の発生量が多くなれば、中央部に形成された画像Xは、円周部に形成された第二段階(2)の画像E3と一致し、やがて第三段階(3)の画像E4と一致する。 このように、鮮度ラベル40は、中央部の画像Xとその円周部の一部が一体化することで食品に対する鮮度状態を知らせることができる。 また、他の形態として酸性成分や塩基性成分、またはpH調整剤といわれるものをインク中に添加し、腐敗状態の変色を安定的かつ段階的に行うことも可能である。 これらの成分としては、pH調整剤として食品添加物などにも利用されているクエン酸ナトリウム、リン酸水素カルシウム、焼成カルシウム、塩化アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウムなどや、酸味料などに用いられているクエン酸、氷酢酸、DL-リンゴ酸、酒石酸などや、他の食品添加物として利用されているL-アスコルビン酸などが挙げられる。 図8は、pH調整剤を添加した鮮度ラベルの評価を示したものである。 先ず、エタノール溶媒にBTBを1%分添加した溶液に、pH調整剤としてクエン酸を1%、0.75%、0.5%と、それぞれ添加したインクを調製し、保持体Cである紙上にインクジェット印刷により画像を作成した。 このようにして作成した鮮度ラベル50に腐敗成分を含む溶液を用いて、鮮度状態を疑似的に評価したところ、図8に示すように、同一成分濃度で発色状態を変えられることが確認できた。すなわち、ある食品が腐敗し始めて徐々に腐敗成分を発生し始めると、まず、クエン酸が添加されていない画像No.4のラベルが発色し始め、その後、腐敗状態が進行し腐敗成分が増加してゆくと、クエン酸が0.5%添加された画像No.5、クエン酸が0.75%添加された画像No.6、クエン酸が1%添加された画像No.7と順に変色してゆくことができる。 このように、pH調整剤を配合調整することにより腐敗状態を安定的かつ段階的に示すことが可能になる。 このように、本発明に係る鮮度ラベルは、食品の鮮度状態を段階的に知ることができる鮮度検出手段であり、その食品が可食かどうか、廃棄した方がよいかどうかを知る目安を簡単に知ることができる。これまでの鮮度ラベルでは、腐敗状態を色の変化で知らせる手段はあったが、本発明のように段階的に鮮度状態を定量する方法はなく、本発明の鮮度ラベルを使用することによって食品の安全性を確保し食品廃棄の低減にも寄与できるものである。10、20、30、40、50…鮮度ラベル C,E…保持層D…基材層F…マスク層G、H…樹脂層 食品の鮮度または腐敗状態が変わることによって発生する成分Aに反応する成分Bと、 前記成分Bを保持する保持体Cとを備え、 前記食品の鮮度または腐敗状態の進行度に応じて前記成分Bが反応する量を段階的に変えることを特徴とする食品鮮度ラベル。 前記保持体Cに保持される成分Bの含有濃度を変えることによって、前記成分Bが反応する量を段階的に変えることを特徴とする請求項1に記載の食品鮮度ラベル。 前記保持体Cに保持されている前記成分Bの表面を覆うマスク層を設け、 前記成分Bの露出面積を変えることによって前記鮮度または腐敗状態の進行度に応じて成分Bが反応する量を段階的に変えることを特徴とする請求項1に記載の食品鮮度ラベル。 前記保持体Cに保持されている前記成分Bの表面を前記成分Aにより溶解または分解するマスク層で覆い、前記マスク層の厚み及び/又は形状を変えることで前記成分Bが反応する量を変え、前記鮮度または腐敗状態の進行度に応じて前記成分Bが反応する量を段階的に変えることを特徴とする請求項1の食品鮮度ラベル。 前記成分Bは、前記成分Aと反応して変色あるいは発色する色素成分から成ることを特徴とする請求項1から請求項4の何れか1項に記載の食品鮮度ラベル。 【課題】大掛かりな分析装置を用いることなく食品の鮮度あるいは腐敗状態の程度を簡単且つ段階的に知ることができ、利用者が可食か否か、あるいは食品加工が可能かどうかを鮮度の状態に応じて知ることができる鮮度ラベルを提供する。【解決手段】本実施形態の食品鮮度ラベルは、食品の鮮度または腐敗状態が変わることによって発生する成分Aに反応する成分Bと、上記成分Bを保持する保持体Cとを備え、上記食品の鮮度または腐敗状態の進行度に応じて上記Bが反応する量を段階的に変えることを特徴とする。【選択図】図1