タイトル: | 公開特許公報(A)_酵素処理、乳酸発酵処理した食品の製造方法 |
出願番号: | 2014051867 |
年次: | 2015 |
IPC分類: | C12P 1/04,A23L 1/30,A23L 2/02 |
徳永 由貴 田島 祐子 瀬古 義則 宮本 圭一 羽木 貴志 JP 2015173623 公開特許公報(A) 20151005 2014051867 20140314 酵素処理、乳酸発酵処理した食品の製造方法 太陽化学株式会社 000204181 徳永 由貴 田島 祐子 瀬古 義則 宮本 圭一 羽木 貴志 C12P 1/04 20060101AFI20150908BHJP A23L 1/30 20060101ALI20150908BHJP A23L 2/02 20060101ALI20150908BHJP JPC12P1/04 ZA23L1/30 ZA23L2/02 8 OL 12 4B017 4B018 4B064 4B017LC02 4B017LE01 4B017LE04 4B017LG01 4B017LG06 4B017LK21 4B017LK23 4B017LP05 4B017LP06 4B018LE03 4B018LE04 4B018MD52 4B018MD53 4B018MD86 4B018MD90 4B018ME01 4B018ME02 4B018MF12 4B018MF13 4B064CA02 4B064CA21 4B064CD22 4B064DA10 本発明は、酸味の少ない野菜類、豆類、果実類などの食品に、素材にあう好ましい酸味を付与し素材の特徴を生かすことが可能な酵素処理乳酸発酵食品の製造方法及び酵素処理乳酸発酵食品に関するものである。 従来より健康増進目的での野菜類、豆類、果実類摂取の欲求は日々高まっているが、野菜類、豆類、果実類を実際に必要量摂取することは容易ではない。また、野菜類、豆類、果実類には特有の青臭味、苦味を有するものもありこれらも必要量の摂取を妨げる原因となっている。これらの状況を覆すために食品を食べやすくするための、酵素処理、乳酸発酵に関する技術検討は種々行われてきたが酵素反応と乳酸発酵は個別に行われている状況である。 酵素処理した青果物に乳酸菌を加えて乳酸発酵せしめた乳酸発酵食品が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。しかし、これらの乳酸発酵食品は酵素処理の後加熱処理による酵素失括を行い、さらに乳酸発酵処理を行う必要があるため、野菜や果実を酵素処理、乳酸発酵処理にかかる時間が長くなり、また酵素処理後の加熱による酵素失括工程が必須となり、酵素処理による澱粉の分解による糖化が進んだ状態で加熱処理を行う必要があるため、野菜や果実の風味や色調を損ねる結果となっていた。また、酵素処理・乳酸発酵を個別に行う為、酵素の作用が強く苦味を呈するとともに、粘度が低くなりすぎることから苦味をさらに感じやすくなる結果となった。 また、野菜を原料として、乳酸菌と酵母を利用する2段階発酵法による100%野菜発酵飲料が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。乳酸菌を先に添加し、その後酵母を添加する方法がとられている。乳酸菌を添加した段階では、乳酸発酵に必要となる低分子の糖類が不足しており、充分に乳酸発酵されない状態となり、乳酸発酵後の酵母処理の段階では酵母の作用が強く苦味を呈するとともに、粘度が低くなりすぎることから苦味をさらに感じやすくなる結果となった。特開平1−199566号公報特開平9−9928号公報 本発明は、従来の欠点を解消し、青果物本来の色や風味などを損なうことなく、充分に乳酸発酵を可能とし素材にあう好ましい酸味を付与することができる酵素処理乳酸発酵食品の製造方法を提供することを目的とする。 本発明者らは、従来の欠点を解消し、青果物本来の色や風味などを損なうことなく、充分に乳酸発酵を可能とし素材にあう好ましい酸味を付与することができる酵素処理乳酸発酵食品の製造方法について鋭意研究した結果、酵素処理と乳酸発酵を同時に行うことが極めて効果的であることを発見した。 本発明の酵素処理乳酸発酵食品は、青果物本来の色や風味などを保持しており、青臭み無く、爽やかな酸味を有することを特徴とする。本発明では酵素処理、乳酸発酵は同時に行うことを特徴とし、酵素処理により乳酸発酵に必要となる糖質が供給されることにより、工程が進行する。 次に、本発明の実施形態について、詳細に説明する。本発明の技術的範囲は、下記の実施形態によって限定されるものではなく、発明の要旨を変更することなく、様々に改変して実施することができる。また、本発明の技術的範囲は、均等の範囲にまで及ぶものである。 本発明に関わる野菜類には、例えば一般に根を食用部位とする根菜類、地下あるいは地上の茎を食用部位とする茎菜類、葉や葉柄を食用部位とする葉菜類があげられ、特に限定するものではないが、かぼちゃ、さつまいも、にんじん、紫芋、ほうれん草、トマト、たまねぎ、かぶ、ピーマン、たまねぎ、こまつな、セロリ、キャベツ、レタス、きゅうり、なす、ねぎ、とうもろこし、しょうが、ブロッコリー、ゴーヤ等が挙げられる。 本発明に関わる豆類には、例えば一般に植物分類学上、マメ科に属する穀物の種子及び果実があげられ、特に限定するものではないが、そら豆、小豆、大豆、えんどう豆等があげられる。 本発明に関わる果物類には、例えば食用になる果実や、果物のように食べられる果実的野菜があげられる。特に限定するものではないが、バナナ、オレンジ、グレープフルーツ、パイナップル、白桃、黄桃、マンゴー、ラズベリー、イチゴ、レモン、キウイ、杏、アセロラ、梅、柿、栗、スイカ、梨、洋梨、ブドウ等が挙げられ、乳酸発酵により良好な酸味を付与できる点から、酸味の少ないバナナ、マンゴー、柿、栗等pH5以上の果物が好ましい。 本発明に用いられる酵素は特に限定するものではないがアミラーゼ、ヘミセルラーゼ、セルラーゼ、ペクチナーゼ、プロテアーゼ、マンナナーゼ、キシラナーゼの群から選ばれる1種以上、また乳酸菌はLactococcus属、Lactobacillus属、Streptococcus属、Pediococcus属から選ばれる1種以上であり、使用される酵素及び乳酸菌は、酵素及び乳酸菌各1種類以上を含む。また好ましくは、酵素及び乳酸菌の中から選ばれる少なくとも3種以上であり、さらには3種類以上10種以下であることがより好ましい。特に限定するものではないが、使用される酵素の組み合わせは、アミラーゼ、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ、乳酸菌としては、Lactococcus属が好ましい。より好ましくは使用される酵素の組み合わせが、アミラーゼ、セルラーゼ、乳酸菌としてはLactococcus属が、酵素処理・乳酸発酵食品の粘度、酸度を適正に調整できる点で好ましく、アミラーゼ、セルラーゼは1対1の酵素活性で使用することが好ましい。 本発明における酵素活性とは、u(ユニット)で表わされ、毎分1マイクロモル(μmol)の基質を変化させることができる酵素量と定められている。そのユニット数は、アミラーゼで0.5u/g以上あることが好ましく、ヘミセルラーゼ、セルラーゼは、その合計として0.5u/g以上あることが好ましく、ペクチナーゼ、プロテアーゼ、マンナナーゼ、キシラナーゼは、各0.1u/g以上あることが好ましい。全ての酵素活性のユニットの合計については、特に限定されるものではないが、1u/gであることが好ましく、さらに好ましくは0.5u/g以上であることが好ましい。 本発明に用いる、野菜類、豆類、果物類の原料処理方法については、一般的に皮を剥離して食する素材については、皮の有無に拘るものではなく、皮ごとそのままペースト化処理することも可能であり、搾汁するものに関しては、搾汁する際の絞りかすを使用することも可能である。また、野菜類、豆類、果物類素材の1次処理で、ブランチング処理による表面の殺菌、酵素の失括を行い、加工や保存中の変質を防ぐ工程をいれる場合があるが、本発明では必須ではなく、適宜素材の必要性により判断することが可能である。 本発明における、野菜類、豆類、果物類の原料のペースト化方法については、物理的にミキサー等で破壊した後パルパー処理やすりおろし器によりペースト状に加工する場合や、さつまいもやかぼちゃのように蒸したり、焼いたりすることで味や硬さが変化する素材については、特に限定するものではないが、スチームオーブンによる蒸し工程やオーブンによる焼成工程を入れることで風味を調整し素材自体の硬さを柔らかく加工した後に、裏ごし機等によりペースト化することも可能である。 酵素処理・乳酸発酵処理を同時に行う際の素材については、野菜類、豆類、果物類を各々単独で使用しても問題ないが各々を混ぜあわせる方法や、野菜類、豆類、果物類素材に対して、特に限定するものではないが、糖類、水を加えることも可能である。その添加量は、特に限定するものではないが、素材自体の風味を変えない点から、20%以下であることが好ましく、素材の風味を変えない点から10%以下であることが好ましい。また、酵素の至適pHに調整する目的で酸味料を使用することもできるが、素材の風味を変えない点から1%以下の範囲で添加することが好ましい。 酵素処理と乳酸発酵処理の同時処理とは、対象物である野菜類、豆類、果物類をペースト化したものに対し、酵素処理及び乳酸発酵が同時に進行する状態をいい、処理時間を3〜48時間とした際の処理温度については、10℃〜60℃で処理する方法が好ましく、さらに好ましくは20〜50℃で処理する方法が好ましく、さらに好ましくは30〜40℃で処理する方法が酵素及び乳酸菌の作用温度が適した状態であり、効率よく処理できる点で好ましい。また、処理温度を30〜40℃とした際の処理時間については6〜48時間で処理することが好ましく、さらに好ましくは、6〜24時間で処理することが好ましく、さらに好ましくは6〜12時間で処理することが風味・色調・粘度の点で優れている点から好ましい。 本発明における乳酸酸度とは、原材料のもつ有機酸の酸度に加え、乳酸発酵により生成された乳酸の酸度をあわせたものを乳酸酸度とし、測定方法は酵素処理乳酸発酵サンプル1gをイオン交換水で100gに希釈し、NaOHを徐々に加えpH8.0になるまでに必要としたNaOH量を計量。その後以下の数式にて乳酸酸度(w/v%)を算出した。 乳酸酸度(w/v%)=0.1N NaOH添加量(ml)×0.009(乳酸係数)×F*×100(希釈倍率) F*:0.1N NaOHのファクター 同時酵素処理・乳酸発酵処理により得られた酵素処理乳酸発酵食品の酸度は、素材に適当な酸味を付与する点から乳酸酸度で0.2〜0.8%の範囲が好ましく、さらに好ましくは0.3〜0.6%の範囲が好ましい。 同時酵素処理・乳酸発酵により得られた酵素処理乳酸発酵青果物の粘度は、苦味がでず適正な酵素処理ができている際の指標となることから、粘度測定結果は、B型粘度計(東機産業社製)60rpm、10℃、60秒後に測定した結果が100〜1,000mPa・sの範囲であり、さらに好ましくは、200〜1,000mPa・sの範囲にあることが滑らかな食感と風味の点で苦味がでない点から好ましい。 本発明における、酵素処理乳酸発酵食品の殺菌方法は、特に限定するものではないが蒸気を熱媒とするジャケット付タンクでバッチ毎に昇温、殺菌する方法や、熱水を媒体とし連続的に高温短時間で昇温、殺菌し冷水を媒体として瞬時に冷却する工程が考えられるが、酵素処理乳酸発酵食品の風味及び色調を損なわない点から連続的に高温短時間で昇温、殺菌、冷却する方法が好ましい。 本発明における、酵素処理乳酸発酵食品は特に限定するものではないが、水分を含有したペースト状態でもかまわないが、乾燥により水分を10%以下に調整した粉末状でもかまわない。 以下、実施例及び試験例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。 実施例1 かぼちゃのペースト1kgを10℃に調整しα−アミラーゼを500u(酵素活性として0.5u/g相当量)、セルラーゼを500u(酵素活性として0.5u/g相当量)、乳酸菌(Lactococcus属)を1.0×109個添加し、酵素処理及び乳酸発酵を48時間行った。得られたペーストを、湯煎にて90℃、40分間保持し酵素・乳酸菌の失活を行い速やかに冷却した。その結果、乳酸酸度0.25%で風味良好な酵素処理乳酸発酵かぼちゃを得た。得られた酵素処理乳酸発酵かぼちゃの粘度を測定(B型粘度計、10℃、60rpm、60秒後)した結果960mPa・sであった。 実施例2 かぼちゃのペースト1kgを30℃に調整しα−アミラーゼを500u(酵素活性として0.5u/g相当量)、セルラーゼを500u(酵素活性として0.5u/g相当量)、乳酸菌(Lactococcus属)を1.0×109個添加し、酵素処理及び乳酸発酵を6時間行った。得られたペーストを、湯煎にて90℃、40分間保持し酵素・乳酸菌の失活を行い速やかに冷却した。その結果、乳酸酸度0.24%で風味良好な酵素処理乳酸発酵かぼちゃを得た。得られた酵素処理乳酸発酵かぼちゃの粘度を測定(B型粘度計、10℃、60rpm、60秒後)した結果890mPa・sであった。 実施例3 かぼちゃのペースト1kgを30℃に調整しα−アミラーゼを500u添加(酵素活性として0.5u/g相当量)、セルラーゼを500u(酵素活性として0.5u/g相当量)、乳酸菌(Lactococcus属)を1.0×109個添加し、酵素処理及び乳酸発酵を12時間行った。得られたペーストを、湯煎にて90℃、40分間保持し酵素・乳酸菌の失活を行い速やかに冷却した。その結果、乳酸酸度0.33%で風味良好な酵素処理乳酸発酵かぼちゃを得た。得られた酵素処理乳酸発酵かぼちゃの粘度を測定(B型粘度計、10℃、60rpm、60秒後)した結果210mPa・sであった。 実施例4 かぼちゃのペースト1kgを30℃に調整しα−アミラーゼを500u添加(酵素活性として0.5u/g相当量)、セルラーゼを500u(酵素活性として0.5u/g相当量)、乳酸菌(Lactococcus属)を1.0×109個添加し、酵素処理及び乳酸発酵を24時間行った。得られたペーストを、湯煎にて90℃、40分間保持し酵素・乳酸菌の失活を行い速やかに冷却した。その結果、乳酸酸度0.65%の酵素処理乳酸発酵かぼちゃを得た。得られた酵素処理乳酸発酵かぼちゃの粘度を測定(B型粘度計、10℃、60rpm、60秒後)した結果140mPa・sであった。 実施例5 かぼちゃのペースト1kgを40℃に調整しα−アミラーゼを500u添加(酵素活性として0.5u/g相当量)、セルラーゼを500u(酵素活性として0.5u/g相当量)、乳酸菌(Lactococcus属)を1.0×109個添加し、酵素処理及び乳酸発酵を6時間行った。得られたペーストを、湯煎にて90℃、40分間保持し酵素・乳酸菌の失活を行い速やかに冷却した。その結果、乳酸酸度0.38%の酵素処理乳酸発酵かぼちゃを得た。得られた酵素処理乳酸発酵かぼちゃの粘度を測定(B型粘度計、10℃、60rpm、60秒後)した結果860mPa・sであった。 実施例6 かぼちゃのペースト1kgを40℃に調整しα−アミラーゼを500u添加(酵素活性として0.5u/g相当量)、セルラーゼを500u(酵素活性として0.5u/g相当量)、乳酸菌(Lactococcus属)を1.0×109個添加し、酵素処理及び乳酸発酵を12時間行った。得られたペーストを、湯煎にて90℃、40分間保持し酵素・乳酸菌の失活を行い速やかに冷却した。その結果、乳酸酸度0.53%の酵素処理乳酸発酵かぼちゃを得た。得られた酵素処理乳酸発酵かぼちゃの粘度を測定(B型粘度計、10℃、60rpm、60秒後)した結果160mPa・sであった。 実施例7 かぼちゃのペースト1kgを40℃に調整しα−アミラーゼを500u添加(酵素活性として0.5u/g相当量)、セルラーゼを500u(酵素活性として0.5u/g相当量)、乳酸菌(Lactococcus属)を1.0×109個添加し、酵素処理及び乳酸発酵を24時間行った。得られたペーストを、湯煎にて90℃、40分間保持し酵素・乳酸菌の失活を行い速やかに冷却した。その結果、乳酸酸度0.75%の酵素処理乳酸発酵かぼちゃを得た。得られた酵素処理乳酸発酵かぼちゃの粘度を測定(B型粘度計、10℃、60rpm、60秒後)した結果120mPa・sであった。 実施例8 かぼちゃのペースト1kgを60℃に調整しα−アミラーゼを500u添加(酵素活性として0.5u/g相当量)、セルラーゼを500u(酵素活性として0.5u/g相当量)、乳酸菌(Lactococcus属)を1.0×109個添加し、酵素処理及び乳酸発酵を3時間行った。得られたペーストを、湯煎にて90℃、40分間保持し酵素・乳酸菌の失活を行い速やかに冷却した。その結果、乳酸酸度0.28%の酵素処理乳酸発酵かぼちゃを得た。得られた酵素処理乳酸発酵かぼちゃの粘度を測定(B型粘度計、10℃、60rpm、60秒後)した結果890mPa・sであった。 実施例9 かぼちゃのペースト1kgを40℃に調整しα−アミラーゼを500u添加(酵素活性として0.5u/g相当量)、セルラーゼを500u(酵素活性として0.5u/g相当量)、ヘミセルラーゼを100u(酵素活性として0.1u/g)、ペクチナーゼを100u(酵素活性として0.1u/g)、プロテアーゼを100u(酵素活性として0.1u/g相当量)、マンナナーゼを100u(酵素活性として0.1u/g相当量)、キシラナーゼを100u(酵素活性として0.1u/g相当量)、乳酸菌(Lactococcus属)、乳酸菌(Lactobacillus属)、乳酸菌(Streptococcus属)を各々0.5×109個添加し、酵素処理及び乳酸発酵を6時間行った。得られたペーストを、湯煎にて90℃、40分間保持し酵素・乳酸菌の失活を行い速やかに冷却した。その結果、乳酸酸度0.39%の酵素処理乳酸発酵かぼちゃを得た。得られた酵素処理乳酸発酵かぼちゃの粘度を測定(B型粘度計、10℃、60rpm、60秒後)した結果650mPa・sであった。 実施例10 かぼちゃのペースト1kgに水100gをよく混合した素材を40℃に調整しα−アミラーゼを500u添加(酵素活性として0.5u/g相当量)、セルラーゼを500u(酵素活性として0.5u/g相当量)、乳酸菌(Lactococcus属)を1.0×109個添加し、酵素処理及び乳酸発酵を6時間行った。得られたペーストを、湯煎にて90℃、40分間保持し酵素・乳酸菌の失活を行い速やかに冷却した。その結果、乳酸酸度0.33%の酵素処理乳酸発酵かぼちゃを得た。得られた酵素処理乳酸発酵かぼちゃの粘度を測定(B型粘度計、10℃、60rpm、60秒後)した結果790mPa・sであった。 実施例11 かぼちゃのペースト1kgに水200gをよく混合した素材を40℃に調整しα−アミラーゼを500u添加(酵素活性として0.5u/g相当量)、セルラーゼを500u(酵素活性として0.5u/g相当量)、乳酸菌(Lactococcus属)を1.0×109個添加し、酵素処理及び乳酸発酵を6時間行った。得られたペーストを、湯煎にて90℃、40分間保持し酵素・乳酸菌の失活を行い速やかに冷却した。その結果、乳酸酸度0.30%の酵素処理乳酸発酵かぼちゃを得た。得られた酵素処理乳酸発酵かぼちゃの粘度を測定(B型粘度計、10℃、60rpm、60秒後)した結果630mPa・sであった。 実施例12 にんじんのペースト1kgを40℃に調整しα−アミラーゼを500u添加(酵素活性として0.5u/g相当量)、セルラーゼを500u(酵素活性として0.5u/g相当量)、乳酸菌(Lactococcus属)を1.0×109個添加し、酵素処理及び乳酸発酵を6時間行った。得られたペーストを、湯煎にて90℃、40分間保持し酵素・乳酸菌の失活を行い速やかに冷却した。その結果、乳酸酸度0.31%で風味良好な酵素処理乳酸発酵にんじんを得た。得られた酵素処理乳酸発酵にんじんの粘度を測定(B型粘度計、10℃、60rpm、60秒後)した結果190mPa・sであった。 実施例13 さつまいものペースト1kgを40℃に調整しα−アミラーゼ500u添加(酵素活性として0.5u/g相当量)、セルラーゼを500u(酵素活性として0.5u/g相当量)、乳酸菌(Lactococcus属)を1.0×109個添加し、酵素処理及び乳酸発酵を6時間行った。得られたペーストを、湯煎にて90℃、40分間保持し酵素・乳酸菌の失活を行い速やかに冷却した。その結果、乳酸酸度0.35%で風味良好な酵素処理乳酸発酵さつまいもを得た。得られた酵素処理乳酸発酵さつまいもの粘度を測定(B型粘度計、10℃、60rpm、60秒後)した結果550mPa・sであった。 実施例14 紫芋のペースト1kgを40℃に調整しα−アミラーゼを500u添加(酵素活性として0.5u/g相当量)、セルラーゼを500u(酵素活性として0.5u/g相当量)、乳酸菌(Lactococcus属)を1.0×109個添加し、酵素処理及び乳酸発酵を6時間行った。得られたペーストを、湯煎にて90℃、40分間保持し酵素・乳酸菌の失活を行い速やかに冷却した。その結果、乳酸酸度0.40%で風味良好な酵素処理乳酸発酵紫芋を得た。得られた酵素処理乳酸発酵紫芋の粘度を測定(B型粘度計、10℃、60rpm、60秒後)した結果610mPa・sであった。 実施例15 ほうれん草のペースト1kgを40℃に調整しα−アミラーゼを500u添加(酵素活性として0.5u/g相当量)、セルラーゼを500u(酵素活性として0.5u/g相当量)、乳酸菌(Lactococcus属)を1.0×109個添加し、酵素処理及び乳酸発酵を6時間行った。得られたペーストを、湯煎にて90℃、40分間保持し酵素・乳酸菌の失活を行い速やかに冷却した。その結果、乳酸酸度0.32%で風味良好な酵素処理乳酸発酵ほうれん草を得た。得られた酵素処理乳酸発酵ほうれん草の粘度を測定(B型粘度計、10℃、60rpm、60秒後)した結果210mPa・sであった。 実施例16 そら豆のペースト1kgを40℃に調整しα−アミラーゼを500u添加(酵素活性として0.5u/g相当量)、セルラーゼを500u(酵素活性として0.5u/g相当量)、乳酸菌(Lactococcus属)を1.0×109個添加し、酵素処理及び乳酸発酵を6時間行った。得られたペーストを、湯煎にて90℃、40分間保持し酵素・乳酸菌の失活を行い速やかに冷却した。その結果、乳酸酸度0.40%で風味良好な酵素処理乳酸発酵ほうれん草を得た。得られた酵素処理乳酸発酵そら豆の粘度を測定(B型粘度計、10℃、60rpm、60秒後)した結果340mPa・sであった。 実施例17 バナナのペースト1kgを40℃に調整しα−アミラーゼを500u添加(酵素活性として0.5u/g相当量)、セルラーゼを500u(酵素活性として0.5u/g相当量)、乳酸菌(Lactococcus属)を1.0×109個添加し、酵素処理及び乳酸発酵を6時間行った。得られたペーストを、湯煎にて90℃、40分間保持し酵素・乳酸菌の失活を行い速やかに冷却した。その結果、乳酸酸度0.51%で風味良好な酵素処理乳酸発酵ほうれん草を得た。得られた酵素処理乳酸発酵バナナの粘度を測定(B型粘度計、10℃、60rpm、60秒後)した結果610mPa・sであった。 比較例1 かぼちゃのペースト1kgを40℃に調整し、α−アミラーゼを500u(酵素活性として0.5u/g相当量)、セルラーゼを500u(酵素活性として0.5u/g相当量)、添加し、酵素処理を6時間行った。得られたペーストを、湯煎にて90℃、40分間保持し酵素の失活を行い速やかに冷却した。その後得られたかぼちゃペーストを40℃に調整し、乳酸菌(Lactococcus属)を1.0×109個添加し40℃にて乳酸発酵を6時間行った結果乳酸酸度0.52%の酵素処理かぼちゃを得た。得られた酵素処理乳酸発酵かぼちゃの粘度を測定(B型粘度計、10℃、60rpm、60秒後)した結果60mPa・sであった。 比較例2 かぼちゃのペースト1kgを40℃に調整し、乳酸菌(Lactococcus属)を1.0×109個添加し40℃にて乳酸発酵を6時間行った。得られたペーストを、湯煎にて90℃、40分間保持し乳酸菌の失活を行い40℃に調整した。その後α−アミラーゼを500u(酵素活性として0.5u/g相当量)、セルラーゼを500u(酵素活性として0.5u/g相当量)添加し、酵素処理を6時間行った結果酸度0.22%の酵素処理かぼちゃを得た。得られた酵素処理乳酸発酵かぼちゃの粘度を測定(B型粘度計、10℃、60rpm、60秒後)した結果80mPa・sであった。 比較例3 かぼちゃのペースト1kgを40℃に調整し、α−アミラーゼを500u(酵素活性として0.5u/g相当量)、セルラーゼを500u(酵素活性として0.5u/g相当量)添加し酵素処理を12時間行った結果乳酸酸度0.12%の酵素処理かぼちゃを得た。得られたペーストを、湯煎にて90℃、40分間保持し酵素の失活を行い速やかに冷却した。得られた酵素処理かぼちゃに乳酸を0.41%添加し実施例6と同等の酸度に調整した。その粘度を測定(B型粘度計、10℃、60rpm、60秒後)した結果90mPa・sであった。 試験例1 酵素処理・乳酸発酵処理の処理方法による風味の違いについて、同時に酵素処理・乳酸発酵処理を行った、実施例1から11と既存技術と同様の方法にて調整した比較例1及び2で得られたかぼちゃについて、10人のパネラーにより5段階の官能評価を行った。官能評価は、かぼちゃの風味について、5点:かぼちゃの風味を強く感じる、4点:かぼちゃの風味をやや強く感じる、3点:かぼちゃの風味を感じる、2点:かぼちゃの風味が弱い、1点:かぼちゃの風味を感じないで評価し3点以上を合格とした。また、かぼちゃ特有の色調について、目視による色調の明るさの評価を行い、5点:とても鮮やかで明るい、4点:やや鮮やかで明るい、3点:明るい、2点:若干暗い色調、1点:くらい色調で評価を行い、3点以上を合格とした。全パネラーの平均点を表1に記載した。 実施例では、適正な酵素処理・乳酸発酵によりかぼちゃの風味を強く感じられる結果となった。実施例10、11はかぼちゃへの加水により若干風味を弱く感じる評価となったが、加水による、酵素処理及び乳酸発酵への影響は少なく、適正に進むことが確認された。 また、色調についても同時に酵素処理・乳酸発酵を行うことで、個別に行う際に必須となる殺菌回数が減じることから、かぼちゃ特有の鮮やかなオレンジ色が維持され評価も3点以上となった。 試験例2 本発明では、乳酸菌が発酵する際に生み出す乳酸が、素材にいやな酸味を与えずに、素材に適合したまろやかな酸味となる。酸味の感じ方について実施例6及び酵素処理を行ったかぼちゃに乳酸を同等の含量になるよう調整した比較例3と、10人のパネラーにより5段階の官能評価を行った。 官能評価は、5点:かぼちゃにあうまろやかな酸味を感じる、4点:適度な酸味を感じる、3点:酸味を感じる、2点:少し違和感を感じる、1点:ひどく違和感を感じるで評価し3点以上を合格とした。全パネラーの平均点を表2に記載した。 表2の結果から酵素処理・乳酸発酵を行うことにより、乳酸を別途添加した場合と明らかに酸味の感じ方がことなり、野菜素材にあうまろやかな酸味を付与できることが確認された。 試験例3 実施例12から17で得られたにんじん、さつまいも、紫いも、ほうれん草、そら豆、バナナについて、酵素処理・乳酸発酵処理の処理方法による野菜類、豆類、果物類の風味の強さを試験例1と同様に10人のパネラーにより5段階の官能評価を行った。官能評価は、各素材そのものの風味について、5点:素材の風味を強く感じる、4点:素材の風味をやや強く感じる、3点:素材の風味を感じる、2点:素材の風味が弱い、1点:素材の風味を感じないで評価し3点以上を合格とした。また、各素材特有の色調について、目視による色調の明るさの評価を行い、5点:とても鮮やかで明るい、4点:やや鮮やかで明るい、3点:明るい、2点:若干暗い色調、1点:暗い色調で評価を行い、3点以上を合格とした。全パネラーの平均点を表1に記載した。全パネラーの平均点を表3に記載した。 また、酸味について、5点:原材料にあうまろやかな酸味を感じる、4点:適度な酸味を感じる、3点:酸味を感じる、2点:少し違和感を感じる、1点:ひどく違和感を感じるで評価し3点以上を合格とした。全パネラーの平均点を表3に記載した。 酵素処理、乳酸発酵を同時に行うことにより、風味、色調の鮮やかさ、自然な酸味の付与の全ての項目において、比較例1、2の評価を上回り、3点以上の合格評価となった。 本発明により、青果物本来の色や風味などを損なうことなく、充分に乳酸発酵を可能とし素材にあう好ましい酸味を付与することができる酵素処理乳酸発酵食品の製造方法を提供することができ、産業上貢献大である。 食品素材に酵素処理と乳酸菌による成分発酵処理を同時に行うことを特徴とする酵素処理乳酸発酵食品の製造方法。 食品素材が、野菜類、豆類、果物類の群より選ばれる少なくとも1種以上であることを特徴とする請求項1酵素処理乳酸発酵食品の製造方法。 酵素処理に使用する酵素がアミラーゼ、ヘミセルラーゼ、セルラーゼ、ペクチナーゼ、プロテアーゼ、マンナナーゼ、キシラナーゼの群より選ばれる少なくとも1種以上であることを特徴とする請求項1又は2記載の酵素処理乳酸発酵食品の製造方法。 乳酸菌による成分発酵処理に使用する乳酸菌がLactococcus属、Lactobacillus属、Streptococcus属、Pediococcus属の群より選ばれる少なくとも1種以上であることを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の酵素処理乳酸発酵食品の製造方法。 酵素処理乳酸発酵食品に使用する酵素及び乳酸菌が、酵素及び乳酸菌各1種類以上を含む合計3種類以上であることを特徴とする請求項1〜4いずれか記載の酵素処理乳酸発酵食品の製造方法。 請求項1に記載の酵素処理及び乳酸発酵処理を同時に行う際に使用する酵素全ての酵素活性のユニット数の合計が1u/g以上有している状態で乳酸発酵による成分発酵処理を行うことを特徴とする酵素処理乳酸発酵食品の製造方法。 請求項1〜6いずれか記載の方法で得られた酵素処理乳酸発酵食品の粘度が、100〜1,000mPa・sの値であることを特徴とする酵素処理乳酸発酵食品。 請求項1〜6いずれか記載の方法で作られた野菜類、豆類、果物類のペーストであって、乳酸酸度が0.2から0.8%、粘度が100から1,000mPa・sであることを特徴とするペースト素材及びペーストを乾燥した粉末。 【課題】健康増進目的での野菜類、豆類、果実類摂取の欲求は日々高まっているが、野菜類、豆類、果実類を実際に必要量摂取することは容易ではない。また、野菜類、豆類、果実類には特有の青臭味、苦味を有するものもありこれらも必要量の摂取を妨げる原因となっている。青果物本来の色や風味などを損なうことなく、充分に乳酸発酵を可能とし素材にあう好ましい酸味を付与することができる酵素処理乳酸発酵食品の製造方法を提供することを目的とする。【解決手段】食品素材に酵素処理と乳酸菌による成分発酵処理を同時に行うことで上記課題を解決する。【選択図】なし